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JP7502751B2 - 組織再生促進シート - Google Patents

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JP7502751B2 JP2023054932A JP2023054932A JP7502751B2 JP 7502751 B2 JP7502751 B2 JP 7502751B2 JP 2023054932 A JP2023054932 A JP 2023054932A JP 2023054932 A JP2023054932 A JP 2023054932A JP 7502751 B2 JP7502751 B2 JP 7502751B2
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Description

本発明は、組織再生促進シートに関する。
近年、再生医療分野において、内部に細胞を保持でき、体内に埋設されることにより組織再生を促進する組織再生促進材の開発が進んでいる。例えば、特許文献1には、白血球及び血小板からなる群の少なくとも1つが表面に存在するシート状の組織再生促進材が開示されている。また、特許文献2には、高分子材料の粉と細胞とを混合して得られる液状の組織再生促進材が開示されている。
特許第4847129号公報 特開2015-112262号公報
しかしながら、特許文献1、2に開示された組織再生促進材では、多孔質体や高分子材料の粉を用いているため、細胞の中でも組織再生能力が高い間葉系幹細胞を安定的に保持することが難しい、という問題がある。このような問題は、組織再生促進材で間葉系幹細胞を保持する場合に限られず、他の幹細胞を保持する場合にも存在している。
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、幹細胞を安定的に保持することが可能な組織再生促進シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る組織再生促進シートは、
ポリカプロラクトンを主成分とする繊維を含み、幹細胞を含む細胞懸濁液を浸透させることが可能な不織布を備える。
前記不織布を構成する繊維の繊維径は、300nm~2μmの範囲内であってもよい。
前記不織布の目付は、1g/m~3g/mの範囲内であってもよい。
前記不織布の厚みは、300μm以上であってもよい。
前記不織布に積層され、前記細胞懸濁液を浸透させることが可能な補強シートをさらに備えてもよい。
前記補強シートは、前記不織布を構成する繊維よりも太い繊維で構成された他の不織布であってもよい。
前記不織布は、第1の不織布と、前記第1の不織布に積層され、前記第1の不織布よりも変形しにくい第2の不織布と、を備えてもよい。
本発明によれば、幹細胞を安定的に保持することが可能な組織再生促進シートを提供できる。
本発明の実施の形態に係る組織再生促進シートの構成を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係る組織再生促進シートを製造する様子を示す正面図である。 本発明の変形例に係る組織再生促進シートの構成を示す斜視図である。 本発明の他の変形例に係る組織再生促進シートの構成を示す斜視図である。 実施例1における各サンプルによる間葉系幹細胞の捕捉率を示す図である。 実施例2における各サンプルによる間葉系幹細胞の捕捉率を示す図である。 実施例3におけるラット頸椎のCT画像を示す図である。 実施例3における骨移植後6週経過時点の免疫染色像を示す図である。
以下、本発明の実施の形態に係る組織再生促進シートを、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面では、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。
実施の形態に係る組織再生促進シートは、体内の損傷箇所に埋設されることにより損傷箇所での組織再生を促進するシートである。実施の形態に係る組織再生促進シートは、幹細胞が付着する細径の繊維、例えば、マイクロファイバーで構成された不織布を備える。不織布は、細径の繊維を織らずに絡み合わせたシートである。不織布は、自由自在に変形させることができるため、損傷箇所の形状に合わせて埋め込んだり貼り付けたりするのに好適である。組織再生促進シートは、任意の臓器や器官に、例えば、心臓、血管、肺、気管、食道、胃、小腸、大腸、肝臓、腎臓、膀胱、骨、筋肉、皮膚に貼り付けたり埋め込んだりできる。組織再生促進シートは、体内において特定の細胞の増殖を促す足場(スキャフォールド)として機能させることができる。
図1に示すように、組織再生促進シート10は、幹細胞を保持する細胞保持シート12と、細胞保持シート12を上下から挟むように接合され、細胞保持シート12を補強する一対の補強シート14と、を備える。細胞保持シート12を一対の補強シート14で挟んで補強するのは、細胞保持シート12を構成する不織布が後述する原料の性質ゆえに濡れると簡単に丸まりやすいためである。細胞保持シート12及び補強シート14は、接着剤や熱融合により互いに接合されてもよく、不織布の製造時に繊維同士を絡み合わせることで接合されてもよい。
一対の補強シート14の間に配置される細胞保持シート12の数は、幹細胞を含む細胞懸濁液をろ過可能な範囲で任意であるが、細胞懸濁液をろ過する際に後述するホルダーから細胞懸濁液が漏れることを防ぐため、2枚以上積層することが好ましい。細胞懸濁液は、体内に投与可能な液体に細胞を浮遊させた液である。細胞保持シート12が複数積層される場合には、細胞保持シート12及び補強シート14を積層する場合と同様の手法で互いを接合すればよい。なお、図1では、理解を容易にするため、組織再生促進シート10の厚み方向を誇張して図示している。組織再生促進シート10の厚みは、細胞懸濁液をろ過できる程度に設定されている。
細胞保持シート12は、ポリカプロラクトンを主成分とする繊維を含む不織布である。発明者が鋭意検討した結果、ポリカプロラクトンを主成分とする繊維を含む不織布では、幹細胞を含む細胞懸濁液をろ過した際に高効率で幹細胞を捕捉できると共に、付着した幹細胞での活性が促進されることを見いだした。ポリカプロラクトンは、半結晶性で生分解性の熱可塑性ポリエステルであり、不織布の製造にも好適である。ポリカプロラクトンは、例えば、ポリ-ε-カプロラクトンである。ポリカプロラクトンの分子量は、射出成型に適した分子量であってもよく、例えば、70,000~100,000の範囲内である。
ポリカプロラクトンを主成分とする繊維は、ポリカプロラクトンのみで形成されてもよく、他の物質を含んでもよい。他の物質としては、例えば、組織再生を促進する薬剤や他の生分解性ポリマーを用いてもよい。組織再生を促進する薬剤は、例えば、ハイドロキシアパタイト(水酸化リン酸カルシウム)、リン酸三カルシウムである。他の生分解性ポリマーは、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、及びこれらの共重合体である。
細胞保持シート12を構成する繊維は、繊維径が細くなるほど幹細胞の捕捉率が向上するが、細胞保持シート12が水分を吸収した際に簡単に丸まりやすくなる。細胞保持シート12を構成する繊維の繊維径は、幹細胞の捕捉率とハンドリング性とを考慮して、例えば、100nm~3μmの範囲内であり、500nm~1μmの範囲内であることが好ましい。
細胞保持シート12は、目付が大きくなるほど付着する幹細胞の量を増やせるが、次第に細胞懸濁液のろ過が困難になる。細胞保持シート12の目付は、幹細胞の付着量と製造時の容易性とを考慮して、例えば、1g/m~3g/mの範囲内であり、1.5g/m ~2.5g/mの範囲内であることが好ましく、2g/mであることがより好ましい。
細胞保持シート12の厚みは、ピンセットによるハンドリング性を考慮すると、例えば、300μm以上であることが好ましく、500μm以上であることがより好ましい。ただし、細胞保持シート12の厚みが大きくなるほど、細胞懸濁液のろ過が困難になることに留意が必要である。
細胞保持シート12に付着させる幹細胞は、間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell:MSC)又は間葉系幹細胞から分化した細胞であることが好ましい。間葉系幹細胞は、間葉系に属する細胞への分化能を有する体性幹細胞であり、脂肪由来、骨膜由来、滑膜由来、海綿骨由来、骨髄由来、羊膜由来、臍帯血由来、胎盤由来のいずれであってもよい。また、不織布に付着させる幹細胞は、例えば、ES(Embryonic Stem)細胞やiPS(induced Pluripotent Stem)細胞であってもよい。不織布には、複数種類の幹細胞を一緒に付着させてもよい。
細胞保持シート12に付着させる幹細胞は、患者から採取したものを培養するとよい。幹細胞をin vitroで培養するには、例えば、ウシ胎児血清(Fetal Bovine Serum:FBS)若しくはヒト血清、好ましくは患者由来のヒト血清を含む培地、又は無血清培地を用いるとよい。培地にて培養された幹細胞はそのまま不織布に付着させてもよく、幹細胞を分化させて特定の細胞、例えば、骨芽細胞を発現させてから不織布に付着させてもよい。特定の細胞を発現させるには、例えば、幹細胞の培地に分化誘導因子を添加すればよい。
なお、細胞保持シート12には、必ずしも事前に幹細胞を付着させる必要はなく、組織再生促進シート10を体内の損傷箇所に配置した後に、脈管系に幹細胞を含む細胞懸濁液を投与することで、体内で細胞保持シート12に幹細胞を捕捉させてもよい。
補強シート14は、生体適合性ポリマーを主成分とする繊維を含み、細胞懸濁液を通過させることが可能な不織布である。補強シート14は、丸まりやすく容易に変形しやすい細胞保持シート12を補強するために細胞保持シート12に接合されている。補強シート14を構成する生体適合性ポリマーは、ポリカプロラクトンよりも強度がある生体適合性ポリマー、例えば、キチン、キトサン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸といった生分解性ポリマーであり、その中でもキチンであることが好ましい。補強シート14のマイクロファイバーの繊維径は、細胞保持シート12のマイクロファイバーの繊維径よりも太いことが好ましい。なお、補強シート14には、幹細胞を付着させる必要がないが、細胞保持シート12に幹細胞を付着させる工程で補強シート14に幹細胞が付着しても構わない。
以上が、組織再生促進シート10の構成である。
次に、実施の形態に係る細胞保持シート12に幹細胞を付着させる具体的な手順を説明する。細胞保持シート12に幹細胞を付着させるには、幹細胞含む細胞混濁液をしばらくの間接触させればよいが、幹細胞培養時の成長因子産生能の低下を抑制するには以下の手順で行うことが好ましい。
まず、図2に示すように、ろ過装置を構成する一対のホルダー20の間に互いに積層された細胞保持シート12及び補強シート14をセットする。各ホルダー20は、細胞混濁液が流出又は流入可能に構成され、一方のホルダー20から他方のホルダー20に向けて細胞懸濁液を流す際に細胞混濁液が細胞保持シート12に接触する。なお、図2では、それぞれに隙間が存在しているが、実際には互いに接合している2枚の細胞保持シート12を一対の補強シート14で挟んで接合させた状態で一対のホルダー20を密着させている。
次に、幹細胞を含む細胞混濁液を上から1滴ずつゆっくりと滴下させ、2枚の細胞保持シート12で細胞混濁液をろ過する。ろ過速度は、例えば、2分~3分かけて細胞混濁液1mlを滴下する速度である。このとき滴下された細胞懸濁液に含まれる幹細胞が自ら細胞保持シート12の繊維に付着する。厳密なメカニズムは不明であるが、幹細胞を含む細胞混濁液を、少しずつポリカプロラクトンを主成分とする繊維で構成された不織布にろ過させると、各繊維に幹細胞が安定的に付着すると共に、付着した幹細胞が活性化して成長因子の産生が促進される。
以上が、細胞保持シート12に幹細胞を付着させる具体的な手順である。
なお、細胞保持シート12に幹細胞が付着してさえいれば、多少なりとも幹細胞からの成長因子の産生を期待できるため、必ずしも上記の手順を用いなくてもよい。
以上説明したように、実施の形態に係る組織再生促進シート10は、ポリカプロラクトンを主成分とする繊維を含み、幹細胞を含む細胞懸濁液を浸透させることが可能な細胞保持シート12と、細胞保持シート12に積層され、細胞懸濁液を浸透させることが可能な補強シート14と、を備える。このため、細胞保持シート12で幹細胞を安定的に保持できると共に、ユーザによるハンドリング性を向上させることができる。
本発明は上記実施の形態に限られず、以下に述べる変形も可能である。
(変形例)
上記実施の形態では、一対の補強シート14の間に2枚の細胞保持シート12を配置していたが、これに限られない。一対の補強シート14の間に挟まれる細胞保持シート12は1枚であってもよく、3枚以上であってもよい。
上記実施の形態では、補強シート14が不織布であったが、本発明はこれに限られない。例えば、補強シート14は、細胞懸濁液を浸透させることができる多孔質体であってもよい。
上記実施の形態では、細胞保持シート12に対して上下から補強シート14を挟んでいたが、本発明はこれに限られない。例えば、図3に示すように、細胞保持シート12の一方の面に補強シート14を積層して組織再生促進シート10を構成してもよい。補強シート14を省略しても組織再生促進シート10の強度を確保できる場合や組織再生促進シート10の強度を確保することが不要な場合には、補強シート14を省略してもよい。組織再生促進シート10の強度を確保することが不要な場合は、例えば、インプラント内の空間に収容する場合や体内の損傷箇所に丸めて埋め込む場合である。
補強シート14を省略しても組織再生促進シート10の強度を確保するには、例えば、細胞保持シート12を構成する繊維の繊維径、繊維密度及び細胞保持シート12の厚みの少なくとも1つを大きくすればよい。また、組織再生促進シート10は、図4に示すように、第1の細胞保持シート12Aと、第1の細胞保持シート12Aよりも変形しにくい第2の細胞保持シート12Bと、を積層させてもよい。第2の細胞保持シート12Bは、例えば、第1の細胞保持シート12Aよりも繊維径を太くするか、繊維密度を大きくすればよい。第1の細胞保持シート12Aは、第1の不織布の一例であり、第2の細胞保持シート12Bは、第1の不織布よりも変形しにくい第2の不織布の一例である。
上記実施の形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな実施の形態が可能である。実施の形態や変形例で記載した構成要素は自由に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した発明と均等な発明も本発明に含まれる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、上記実施の形態に係る手法を用いてポリカプロラクトン(Poly Caprolactone:PCL)不織布とキチン不織布とを積層したシートを作製し、それぞれにおける間葉系幹細胞の捕捉率を評価した。具体的に説明すると、まず、図1に示すように2枚のPCL不織布を上下から1枚ずつキチン不織布で挟んで接合した。PCL不織布は、繊維径0.5~1μm、繊維密度2g/mであり、キチン不織布は、繊維径8μm、繊維密度30g/mである。次に、ろ過滅菌用ホルダーに挟んだ状態でヒト間葉系幹細胞を含む細胞懸濁液を通過させることで、PCL不織布に間葉系幹細胞を付着させ、間葉系幹細胞の捕捉率を評価した。ホルダーとしては、スウィネクスフィルターホルダー(メルクミリポア)を用いた。比較例として、2枚のキチン不織布のみを積層したシートに対しても、それぞれ同様の実験を行った。それぞれ3つのサンプルに対して実験を行った。
その結果を図5に示す。キチン不織布のみを積層したシートでは、細胞捕捉率の平均が43.6%であったのに対し、PCL不織布とキチン不織布とを積層したシートでは、細胞捕捉率の平均が100%であった。以上から、PCL不織布が幹細胞を高効率に付着させることが確認できた。
(実施例2)
実施例2では、PCL不織布とポリエステル(Polyester:PEs)不織布とを積層したシート、PCL不織布単独のシート、2つの特性の異なるPCL不織布を積層させたシートを作製し、ハンドリング性を検証した。また、各サンプルに細胞懸濁液を滴下し、細胞捕捉率を計測した。
PCL不織布単独のシートをホルダーにセットしようと試みたところ、PCL不織布の繊維径が200μm以下の場合には、PCL不織布単独でホルダーにセットできないことが判明した。そこで、PCL不織布の繊維径が200μm以下の場合は、PCL不織布とPEs不織布とを積層することとし、PCL不織布の繊維径を300μm以上の場合にPCL不織布単独のシートをホルダーにセットすることにした。また、繊維径0.5μm、繊維密度2g/m、厚み100μmPCL不織布と、繊維径4.9μm、繊維密度10g/m、厚み500μmのPCL不織布とを積層させたシートを作製したところ、このシートはホルダーにセットできた。その他の手順は、実施例1と同様である。条件毎に3つのサンプルを用いて実験を行ったが、繊維径0.5μm、繊維密度2g/m、厚み100μm、PEs積層数2、PCL積層数3~6のシートについては1つのサンプルのみで実験を行った。
その結果を図6に示す。PEs積層数2、PCL積層数2、厚み200μmのデータ群に注目すると、繊維径が細いほど細胞捕捉率が高いことが判明した。繊維径0.5μmの場合、細胞捕捉率が100±0.0%であるのに対し、繊維径2.8μmの場合、細胞捕捉率が73.4±18.8%であった。また、繊維径4.9μmのデータ群に注目すると、厚みが大きいほど細胞捕捉率が高いことが判明した。具体的には、厚み200μmの場合、細胞捕捉率が74.9±9.5%であるのに対し、厚み500μmの場合、細胞捕捉率が99.4±3.6%であった。以上から、繊維径が細く、厚みが大きいほど、間葉系幹細胞の捕捉率が高くなることが確認できた。
(実施例3)
実施例3では、免疫不全モデルラット3匹の頸椎に骨片と併用してPCL不織布とキチン不織布とを積層したシートを移植し、移植後6週経過時点で徒手的に骨融合を評価した。また、骨融合の評価は、免疫不全モデルラットの頸椎を撮影したCT(Computed Tomography)像や採取した組織片の免疫染色像を用いても実施した。免疫染色像は、DNA(Deoxyribonucleic acid)に結合する蛍光色素であるDAPI(4',6-diamidino-2-phenylindole)を用いて染色した組織片を蛍光顕微鏡により撮影することで得られる。PCL不織布とキチン不織布とを積層したシートには、ヒト間葉系幹細胞が付着したものを使用した。比較例として、免疫不全モデルラット5匹の頸椎に骨移植のみを行い、同様に骨融合を評価した。
その結果、PCL不織布とキチン不織布とを積層したシートを併用した不織布併用群では、3匹中3匹において骨融合がなされており、骨融合率は100%であった。他方、比較例の骨単独移植群では、骨融合がなされたのは5匹中1匹にとどまり、骨融合率は20%であった。また、骨移植6週間経過時点でCT像により骨融合を評価すると、図7に示すように骨移植単独群では、骨と骨の間に隙間が存在しており、骨癒合がなされていなかったが、不織布併用群では骨癒合がなされていることが確認できた。
骨移植6週間経過時点で免疫染色像により骨融合を評価すると、PCL不織布併用群ではラット体内でヒトMSCが生着していることを確認できた。具体的に説明すると、HNA (Human Nuclear Antigen)とDAPIとが共に陽性の細胞がヒト間葉系幹細胞であり、DAPIのみ陽性の細胞がラットの細胞である。図8に示すように、左側のHNAの像と真ん中のDAPIの像とを重ね合わせると、右側の像が得られる。この像を観察するとHNAとDAPIが共に陽性の細胞が多数存在していた。このため、PCL不織布併用群では、細胞レベルでも骨融合が行われていることが確認できた。
10 組織再生促進シート
12 細胞保持シート
12A 第1の細胞保持シート
12B 第2の細胞保持シート
14 補強シート
20 ホルダー

Claims (5)

  1. ポリカプロラクトンを主成分とする繊維を含み、幹細胞を含む細胞懸濁液を浸透させることが可能な不織布を備え、
    前記不織布に積層され、前記細胞懸濁液を浸透させることが可能な補強シートをさらに備え、
    前記補強シートは、前記不織布を構成する繊維よりも太い繊維で構成された他の不織布である、
    組織再生促進シート。
  2. ポリカプロラクトンを主成分とする繊維を含み、幹細胞を含む細胞懸濁液を浸透させることが可能な不織布を備え、
    前記不織布は、第1の不織布と、前記第1の不織布に積層され、前記第1の不織布より
    も変形しにくい第2の不織布と、を備える、
    組織再生促進シート。
  3. 前記不織布を構成する繊維の繊維径は、300nm~2μmの範囲内である、
    請求項1又は2に記載の組織再生促進シート。
  4. 前記不織布の目付は、1g/m~3g/mの範囲内である、
    請求項1又は2に記載の組織再生促進シート。
  5. 前記不織布の厚みは、300μm以上である、
    請求項1又は2に記載の組織再生促進シート。
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