以下、図面を参照して実施の形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。また、信号を示す符号を、端子または信号線を示す符号としても使用する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るSPIコントローラが搭載されるシステムの一例を示すブロック図である。特に限定されないが、図1に示すシステムSYSは、例えば、コピー機能、ファクシミリ機能、プリント機能またはスキャナ機能等を有するMFP(MultiFunction Printer)等の画像形成装置に含まれる。
システムSYSは、SoC(System on a Chip)100およびシリアルフラッシュメモリ等のシリアルROM200を有する。SoC100は、CPU300、デコーダ400、SPIコントローラ500、RAM(Random Access Memory)600、入出力インタフェース部700およびネットワークインタフェース部800を有する。シリアルROM200は、シリアルメモリの一例であり、SPIコントローラ500は、シリアルROM200のアクセスを制御するインタフェース回路の一例であり、CPU300は、プロセッサの一例である。
CPU300は、シリアルROM200に格納されたプログラムをフェッチすることで、動作し、SoC100内の動作の制御と、SoC100に接続される外部装置との通信等を制御する。CPU300は、クロック信号CLKおよびチップセレクト信号/CSをシリアルROM200に出力し、4ビットのデータ信号IO(IO0-IO3)をシリアルROM200に対して入出力する。CPU300からシリアルROM200に出力されるデータ信号IOは、データ信号だけではなく、コマンド信号(命令)またはアドレス信号の場合もある。4ビットのデータ信号IOのうち、何ビットを使用するかは、動作モードに応じて異なる。
なお、CPU300は、シリアルROM200が保持するプログラムをRAM600に展開することなく、シリアルROM200からリードしたプログラム(命令コードおよびオペランド)を直接実行する。プログラムのフェッチ効率を向上するため、例えば、CPU300は、一度フェッチしたプログラムを新しい順に保持する図示しないキャッシュメモリを有してもよい。
デコーダ400は、CPU300から出力されるアクセス要求に含まれるアドレスをデコードすることで、アクセス対象のデバイスを特定し、特定したデバイスにアクセスするためのセレクト信号を出力する。アクセス対象のデバイスは、シリアルROM200、RAM600、入出力インタフェース部700に接続される入出力デバイスまたはネットワークインタフェース部800に接続されるネットワークに接続される各種機器である。
SPIコントローラ500は、CPU300から出力されるシリアルROM200へのアクセス要求に基づいて、シリアルROM200のアクセスを制御し、例えば、シリアルROM200からプログラムまたはデータをリードする。SPIコントローラ500は、メモリマップドアクセスとインダイレクトアクセスと称するアクセスを実行可能である。
メモリマップドアクセスでは、CPU300が発行するリードアクセス要求(リードコマンド)が、SPIコントローラ500によりシリアルROM200のコマンド体系に自動的に変換される。そして、シリアルROM200からリードされたデータは、CPU300がリードコマンドを実行することなく、SPIコントローラ500からCPU300に直接出力される。従って、CPU300は、シリアルROM200のインタフェース仕様を意識することなく、シリアルROM200を、メモリマップ上に割り当てられたメモリとして、アクセスすることができる。例えば、メモリマップドアクセスは、リードアクセスのみに適用される。
インダイレクトアクセスでは、CPU300によりSPIコントローラ500内のレジスタにライトされた情報に基づいて、SPIコントローラ500がシリアルROM200にライトアクセスまたはリードアクセスする。例えば、インダイレクトアクセスによるライトアクセスは、シリアルROM200の動作モードを切り替えるために使用される。SPIコントローラ500の内部構成の例は、図5で説明する。
RAM600は、いわゆるワーキングRAMであり、SoC100の動作に必要な最小限の記憶容量を有する。入出力インタフェース部700は、システムSYSに接続される図示しない入出力装置との間で情報を入出力する。入出力インタフェース部700には、入力装置または出力装置が接続されてもよい。入出力インタフェース部700は、接続される装置毎に設けられてもよい。ネットワークインタフェース部800は、システムSYSに接続される図示しないネットワークを介して他の装置と通信を実行する。
シリアルROM200は、動作モードとして、例えば、シングルモード、デュアルモード、クワッドモード、クワッドパラレル命令モードおよび命令省略モードをサポートしている。シングルモードでは、命令およびアドレスがデータ端子IO0(DI)に入力され、リードデータがデータ端子IO1(DO)から直列に出力される。シングルモードは、1本の信号線(IO0またはIO1)を使用してデータを転送するシリアルモードの一例である。
デュアルモードでは、命令がデータ端子IO0に入力され、アドレスがデータ端子IO0、IO1に入力され、リードデータがデータ端子IO0、IO1から並列に出力される。クワッドモードでは、命令がデータ端子IO0に入力され、アドレスがデータ端子IO0~IO3に入力され、リードデータがデータ端子IO0~IO3から並列に出力される。
クワッドパラレル命令モードでは、命令およびアドレスがデータ端子IO0~IO3に入力され、リードデータがデータ端子IO0~IO3から並列に出力される。命令省略モードは、命令の入力を省略する動作モードであり、命令省略モードにエンターする以前に入力された命令が引き継がれる。例えば、命令省略モードでは、アドレスがデータ端子IO0~IO3に入力され、リードデータがデータ端子IO0~IO3から並列に出力される。デュアルモード、クワッドモードおよび命令省略モードは、複数の信号線を使用してデータを転送するパラレルモードの一例である。
他の動作モードからクワッドパラレル命令モードまたは命令省略モードへの切り替えは、切り替え命令を入力することで行われる。この場合、切り替え命令の入力に使用されるデータ端子IOのビット数は、現在の動作モードに依存する。以下では、クワッドパラレル命令モードは、QPIモードと称し、命令省略モードは、XIPモードと称する。
図2は、図1のシリアルROM200のシングルモードでのリード動作の一例を示すタイミング図である。図2および以降のタイミング図において、網掛けはDon't Careを示す。シングルモードでは、チップセレクト信号/CSがロウレベルの期間に、クロック信号CLKに同期して、命令INSおよびアドレスADがシリアルROM200に入力され、シリアルROM200からリードデータRDTが出力される。命令INSおよびアドレスADは、データ端子IO0に入力され、リードデータRDTは、データ端子IO1から出力される。
図2では、命令INSを03hとしているが、命令コードは03hに限定されない。命令コードの末尾の"h"は、その前の数値が16進数であることを示す。また、命令INS、アドレスAD、リードデータRDTのビット数(それぞれ8ビット、24ビット、32ビット(4バイト))も図示した以外でもよい。以降のタイミング図に示すビット数(バイト数)も同様である。シングルモードでのクロック信号CLKの周波数の上限は、50MHz程度である。クロック信号CLKの周波数は、QPIモードおよびXIPモードに比べて低いため、シングルモードでは、アドレスADとリードデータRDTとの間にダミーサイクルDMY(図3)を挿入しなくてもよい。
図3は、図1のシリアルROM200のQPIモードでのリード動作の一例を示すタイミング図である。チップセレクト信号/CSおよびクロック信号CLKの入力は、図2と同様である。QPIモードでは、4ビットのデータ端子IO0~IO3が使用される。そして、8ビットの命令INSが2クロックサイクルでシリアルROM200に入力され、24ビットのアドレスADが6クロックサイクルでシリアルROM200に入力される。
アドレスADの入力後、8ビットのモードMDが2クロックサイクルでシリアルROM200に入力され、ダミーサイクルDMYが4クロックサイクル挿入された後、4バイトのリードデータRDTが8クロックサイクルで出力される。
なお、QPIモードは、シングルモードと異なり、4ビットのデータ端子IO0~IO3を使用して命令をシリアルROM200に供給する。このため、QPIモードを使用するためには、シリアルROM200を予めQPIモードにエンターしておく必要がある。QPIモードへのエンターは、後述する図19に示すFast Read Quad I/O(Enter XIP mode)の命令コード(EBh)を38hとすることで実行される。
図3において、命令INSのEBhは、XIPモードのエンターを示し、モードMDの入力値に応じて、次のチップセレクト信号/CSのアサートサイクルで、命令INSの入力が省略されるか否かが決定される。ダミーサイクルDMYを挿入することで、シリアルROM200内部でのリード動作をダミーサイクルDMYで隠すことができる。これにより、QPIモードでのクロック信号CLKの周波数の上限は、133MHz程度と、シングルモードに比べて高くなる。
図4は、図1のシリアルROM200のXIPモードでのリード動作の一例を示すタイミング図である。例えば、図4に示すXIPモードでのリード動作は、図3のQPIモードでのリード動作において、モードMDが命令INSの省略を示す場合に実行される。
XIPモードでのリード動作は、QPIモードでのリード動作から命令INSが省略されることを除き、QPIモードと同様である。例えば、XIPモードにおいて、モードMDが命令INSの入力の省略を示す場合、次のチップセレクト信号/CSのアサートサイクルでもXIPモードのリード動作が実行される。一方、XIPモードにおいて、モードMDが命令INSの入力を示す場合、次のチップセレクト信号/CSのアサートサイクルでは、命令INSの入力を含むQPIモードのリード動作が実行される。
図5は、図1のSPIコントローラ500の一例を示すブロック図である。SPIコントローラ500は、CPUインタフェース回路510、シーケンサ520、要求調停回路530およびプロトコル発生回路540を有する。CPUインタフェース回路510は、CPUバスを介して図1のCPU300に接続される。
CPUインタフェース回路510は、例えば、CPUバスを介してCPU300から受信するリセット信号reset_nをシーケンサ520に出力する。シーケンサ520は、リセット信号reset_nのロウレベル期間にリセットされ、リセット信号reset_nのハイレベルへの変化によりリセットが解除され、動作を開始する。
シーケンサ520は、メモリマップドアクセス用の制御レジスタ群522と、インダイレクトアクセス用の制御レジスタ群525と、メモリマップドアクセスとインダイレクトアクセスとに共通の共通制御レジスタ528とを有する。制御レジスタ群522は、後述するPhase0~Phase5で使用される制御レジスタ523と、データバッファ524とを有する。制御レジスタ群525は、後述するPhase0~Phase5で使用される制御レジスタ526と、データバッファ527とを有する。
制御レジスタ523は、要求調停回路530に出力する命令を保持するカレント用のレジスタと、カレント用のレジスタに転送する命令を保持するネクスト用のレジスタとを有する。制御レジスタ526は、要求調停回路530に出力する命令を保持するカレント用のレジスタと、カレント用のレジスタに転送する命令を保持するネクスト用のレジスタとを有する。制御レジスタ523において、カレント用のレジスタは、第3命令保持部の一例であり、ネクスト用のレジスタは、第2命令保持部の一例である。制御レジスタ526において、カレント用のレジスタは、第1命令保持部の一例である。制御レジスタ群522、525および共通制御レジスタ528の仕様は、図6に示す。
シーケンサ520のうち、制御レジスタ群525と、制御レジスタ群525を使用してシリアルROM200のアクセスを制御する要素とは、第1インタフェース部の一例である。シーケンサ520のうち、制御レジスタ群522と、制御レジスタ群522を使用してシリアルROM200のアクセスを制御する要素は、第2インタフェース部の一例である。
シーケンサ520は、CPUインタフェース回路510を介してCPU300から受信するシリアルROM200のアクセス要求に基づいて、シリアルROM200に向けて命令INS等を出力し、シリアルROM200からリードデータRDT等を受信する。
要求調停回路530は、シーケンサ520から出力されるメモリマップドアクセス要求と、インダイレクトアクセス要求とを調停し、調停により選択した要求をプロトコル発生回路540に出力する。なお、要求調停回路530は、インダイレクトアクセス要求を受信した場合、メモリマップドアクセス要求の受付をマスクし、インダイレクトアクセス要求をプロトコル発生回路540に出力する。すなわち、要求調停回路530は、インダイレクトアクセス要求は、メモリマップドアクセス要求よりも優先して選択される。要求調停回路530は、調停部の一例である。
プロトコル発生回路540は、図1のシリアルROM200に接続される。プロトコル発生回路540は、要求調停回路530から受信するメモリマップドアクセス要求またはインダイレクトアクセス要求に基づいて、シリアルROM200のインタフェース仕様に応じた信号を生成し、生成した信号をシリアルROM200に出力する。そして、CPU300が発行するアクセス要求に基づいて、シーケンサ520の制御によりシリアルROM200がアクセスされる。
図6は、図5のシーケンサ520に設けられるレジスタの設定内容の一例を示す説明図である。要求発行レジスタは、メモリマップドアクセス用の制御レジスタ群522と、インダイレクトアクセス用の制御レジスタ群525とにそれぞれ設けられる。シーケンサ520は、要求発行レジスタが"1"に設定された場合、制御レジスタ523(または、526)の設定内容に従ったアクセス要求を要求調停回路530に発行する。シーケンサ520は、アクセス要求を要求調停回路530に発行後、要求発行レジスタを"0"に戻す。
なお、メモリマップドアクセスでは、シーケンサ520は、CPU300からのアクセス要求に含まれる情報に応じて、制御レジスタ523にシリアルROM200のアクセス用の情報を設定した後、制御レジスタ群522の要求発行レジスタに"1"をセットする。インダイレクトアクセスでは、制御レジスタ群525の要求発行レジスタは、CPU300が実行するプログラムにより"1"に設定される。要求発行レジスタは、要求発行フラグの一例である。
制御レジスタ群522に含まれるシフトイネーブルレジスタ(メモリマップド)は、CPU300により設定される。シーケンサ520は、シフトイネーブルレジスタ(メモリマップド)が"1"の場合、インダイレクトアクセスの実行に応答して、メモリマップド用の制御レジスタ523のネクスト用のレジスタの内容を、カレント用のレジスタにコピーする。シフトイネーブルレジスタ(メモリマップド)は、制御レジスタ526のカレント用からの命令の出力に応答して、制御レジスタ523のネクスト用からカレント用に命令を転送する場合にセットされるシフトフラグの一例である。
制御レジスタ群525に含まれるシフトイネーブルレジスタ(インダイレクト)は、CPU300により設定される。シーケンサ520は、シフトイネーブルレジスタ(インダイレクト)が"1"の場合、インダイレクトアクセスの実行に応答して、インダイレクト用の制御レジスタ526のネクスト用のレジスタの内容を、カレント用のレジスタにコピーする。
メモリマップドアクセス用の制御レジスタ群522に含まれるデータバッファ524は、シリアルROM200からリードされるリードデータを一時的に蓄積するために使用される。シーケンサ520は、データバッファ524に蓄積したリードデータを、CPU300からのリード要求を受けることなく、CPU300のデータバス幅に合わせてCPU300に出力する。
インダイレクトアクセス用の制御レジスタ群525に含まれるデータバッファ527は、シリアルROM200からリードされるリードデータを蓄積するために使用される。シーケンサ520は、データバッファ527に蓄積したリードデータを、CPU300からのリード要求(ロード命令)に応じて取り出し、取り出したリードデータをCPU300に出力する。すなわち、インダイレクトアクセス用の制御レジスタ群525に保持されたリードデータは、CPU300により明示的にリードされる必要がある。
CLKL幅レジスタには、シリアルROM200に供給するクロック信号CLKのロウレベル期間を、例えば、SoC100で使用するシステムクロックの何クロック分にするかが設定される。CLKH幅レジスタは、クロック信号CLKのハイレベル期間を、システムクロックの何クロック分にするかが設定される。
制御レジスタ群522、525の各PhaseN(N=0~4)の制御レジスタ523、526の構成は、互いに同じである。また、各制御レジスタ523、526のカレント用とネクスト用のレジスタの構成は、互いに同じである。
Phase有効レジスタは、"1"の場合、当該Phaseが有効であることを示し、"0"の場合、当該Phaseが無効であることを示す。IO方向レジスタは、"1"の場合、データ信号IOのシリアルROM200への出力を示し、"0"の場合、データ信号IOのシリアルROM200からの入力を示す。なお、図3および図4に示したダミーサイクルDMYのPhaseでは、Phase有効レジスタは、入力でも出力でもない"2"に設定される。
IO数レジスタには、有効なデータ端子IOの数より"1"少ない数が設定される。IO数レジスタは、"0"の場合、1ビットが有効であり、"1"の場合、2ビットが有効であり、"3"のとき、4ビットが有効である。
CLK数レジスタには、当該Phaseで使用するクロック信号CLKのクロックサイクル数より"1"少ない数が設定される。例えば、CLK数レジスタが"7"のPhaseは、8クロックサイクルを使用することを示し、CLK数レジスタが"23"のPhaseは、24クロックサイクルを使用することを示す。
出力データ選択レジスタは、"0"の場合、データレジスタに保持されたデータをデータ端子IOに出力することを示し、"1"の場合、CPU300からのアクセス要求に含まれるデータをデータ端子IOに出力することを示す。データレジスタは、出力データ選択レジスタが"0"の場合に有効になり、データレジスタに保持されているデータが出力される。
図7は、図5のシーケンサ520と要求調停回路530間で授受される信号の一例を示す説明図である。図8は、図5の要求調停回路530とプロトコル発生回路540間で授受される信号の一例を示す説明図である。
図9は、図5のプロトコル発生回路540の動作の一例を示すタイミング図である。図9の信号名の後ろに示す(I)は、入力信号を示し、(O)は、出力信号を示し、(I/O)は、入出力信号を示す。図10は、図9のタイミング図において各レジスタに設定される値の一例を示す説明図である。プロトコル発生回路540は、図10に示すように、Phase0~Phase4の5セット分の制御パラメータ値を受信し、その制御パラメータに従ってシーケンサとして動作する。
図9の(1)において、要求発行信号ACC_REQが論理値1となることでアクセス要求が発行される。この時、パラメータ信号ACC_PARAMは、アクセス要求のパラメータの設定値に確定される。
(2)において、プロトコル発生回路540は、要求発行信号ACC_REQの論理値1を検知する。この時、ビジー信号ACC_BUSYは論理値0であり、シリアルROM200へのアクセスが可能な状態である。このため、プロトコル発生回路540は、要求許可信号ACC_ACKを論理値1にアサートするとともに、チップセレクト信号/CSを論理値0にアサートし、シリアルROM200へのアクセスを開始する。
プロトコル発生回路540は、最初にPhase0用のパラメータを使用してシリアルROM200へのアクセスを開始する。CLKL幅およびCLKH幅は、1システムクロック(1SYSCLK)を示す値に設定されている。このため、SPIコントローラ500は、システムクロックSYSCLKを2分周したクロック信号CLKを生成する。
Phase0では、1本のデータ端子IOを使用して、データレジスタに設定されているEBhを8クロックサイクルで出力する設定となっている。このため、プロトコル発生回路540は、(11)の期間まで、Fast Read Quad I/O命令を示す03hをシリアルROM200に直列に出力する。
(11)から(17)までは、Phase1であり、Phase1の設定値に従ってFast Read Quad I/O命令でのアドレスの出力が行われる。なお、メモリマップドアクセスの場合、CPU300からのアクセス要求に含まれるアドレスが使用されるため、出力データ選択レジスタは論理値1に設定される。インダイレクトアクセスの場合、データレジスタ設定の値がアドレスとして使用されるため、出力データ選択レジスタは、論理値0に設定される。
(17)~(19)までがPhase2であり、Fast Read Quad I/O命令でのモードの論理値がシリアルROM200に出力される。(19)~(23)までがPhase3であり、Fast Read Quad I/O命令でのダミーサイクルDMYに相当する。ダミーサイクルDMYのクロックサイクル数は、シリアルROM200のインタフェース仕様に合わせて設定される。ダミーサイクルDMYにより、命令(アドレス)をシリアルROM200に出力してからリードデータが出力されるまでの待ち時間が確保される。
(23)~(31)までがPhase4であり、Fast Read Quad I/O命令において、シリアルROM200からデータが出力される期間である。プロトコル発生回路540は、シリアルROM200から受信したデータを、(25)~(33)の期間、リードデータ信号ACC_RDとして要求調停回路530を介してシーケンサ520に出力する。また、プロトコル発生回路540は、リードデータ信号ACC_RDによるデータの出力期間に、リードデータ有効信号ACC_RDRDYを論理値1にアサートする。そして、シリアルROM200からリードされたデータは、要求調停回路530を経由して、シーケンサ520のデータバッファ524、527のいずれかに蓄積される。
図9に示すPhase1~Phase4によるシリアルROM200のアクセスの完了後、チップセレクト信号/CSがハイレベルにネゲートされる。例えば、チップセレクト信号/CSは、最終Phase4の終了後、クロック信号CLKの1クロックサイクル(1CLKL幅+1CLKH幅)後にネゲートされる。
図11は、図5の要求調停回路530の動作の一例を示すタイミング図である。図9と同様に、信号名の後ろに示す(I)は、入力信号を示し、信号名の後ろに示す(O)は、出力信号を示す。また、レジスタ名と同じ名称の信号は、レジスタの設定値と同じ論理値に設定される。
まず、(1)において、要求調停回路530は、論理値1にアサートされた要求発行信号MMA_REQをシーケンサ520から受信し、メモリマップドアクセス要求の発生を検出する。また、要求調停回路530は、論理値1にアサートされた要求発行信号IDA_REQをシーケンサ520から受信し、インダイレクトアクセス要求の発生を検出する。すなわち、要求調停回路530は、メモップドアクセス要求とインダイレクトアクセス要求とが同時に発生したことを検出する。
(2)において、要求調停回路530は、メモリマップドアクセス要求よりもインダイレクトアクセス要求を優先して調停する。これにより、インダイレクトアクセス要求によるシリアルROM200のアクセス中、メモリマップドアクセス要求によるシリアルROM200のアクセスは禁止される。
インダイレクトアクセス要求によるアクセスを決定した要求調停回路530は、論理値1にアサートした要求許可信号IDA_ACKをシーケンサ520に出力する。また、要求調停回路530は、シーケンサ520から受信したパラメータ信号IDA_PARAMの内容(IDP_P0)をパラメータ信号ACC_PARAMとしてプロトコル発生回路540に出力する。同時に、要求調停回路530は、論理値1にアサートした要求発行信号ACC_REQをプロトコル発生回路540に出力する。
なお、(2)では、要求調停回路530は、論理値1にアサートしたシフト要求信号IDA_NEXTをシーケンサ520に出力し、インダイレクトアクセス要求に対し、ネクストのパラメータをカレントにシフトすることを要求する。これは、シーケンサ520から受信するシフトイネーブル信号IDA_SHIFTが論理値1にアサートされており、かつ、インダイレクトアクセス要求が許可されたためである。論理値1のシフトイネーブル信号IDA_SHIFTは、インダイレクトアクセス要求によるシリアルROM200のアクセス実行に基づいて、インダイレクト用の制御レジスタ526のネクスト用の内容をカレント用にコピーする要求を示す。
(3)において、要求調停回路530は、論理値1にアサートされた要求許可信号ACC_ACKとビジー信号ACC_BUSYとをプロトコル発生回路から受信する。また、要求調停回路530は、パラメータ信号IDA_PARAMの内容(IDP_P1)をシーケンサ520から受信する。
(6)~(8)の期間において、要求調停回路530は、プロトコル発生回路540を介してシリアルROM200からのリードデータ(RD_IO0、RD_IO1)をリードデータ信号ACC_RDとして受信する。要求調停回路530は、論理値1にアサートされたリードデータ有効信号ACC_RDRDYにより、リードデータ信号ACC_RDが有効なデータであることを検出する。
要求調停回路530は、受信したリードデータ(RD_IO0、RD_IO1)を、(7)~(9)の期間に、リードデータ信号IDA_RDとしてシーケンサ520に出力する。要求調停回路530は、有効なリードデータ信号IDA_RDを出力している期間、リードデータ有効信号IDA_RDRDYを論理値1にアサートする。リードデータ(RD_IO0、RD_IO1)は、シーケンサ520のインダイレクト用のデータバッファ527に格納される。
(9)において、要求調停回路530は、プロトコル発生回路540からのビジー信号ACC_BUSYのネゲート(論理値0)を検知する。また、要求調停回路530は、このタイミングで、要求発行信号MMA_REQと要求発行信号IDA_REQが共にアサートされていることを検知する。要求調停回路530は、インダイレクトアクセス要求を優先して調停するため、(9)において、要求許可信号IDA_ACKをアサートする。
また、要求調停回路530は、(3)で受信したパラメータ信号IDA_PARAMの内容(IDP_P1)をパラメータ信号ACC_PARAMとしてプロトコル発生回路540に出力し、同時に、要求発行信号ACC_REQをアサートする。これを受け、(10)において、要求調停回路530は、プロトコル発生回路540からアサートされた要求許可信号ACC_ACKとビジー信号ACC_BUSYとを受信する。
また、(10)では、要求調停回路530は、論理値1にアサートしたシフト要求信号MMA_NEXTをシーケンサ520に出力し、メモリマップドアクセス用の制御レジスタ523のネクスト用のパラメータをカレント用にシフトすることを要求する。これは、シーケンサ520から受信するシフトイネーブル信号MMA_SHIFTが論理値1にアサートされており、かつ、インダイレクトアクセス要求が許可されたためである。論理値1のシフトイネーブル信号MMA_SHIFTは、インダイレクトアクセス要求によるシリアルROM200のアクセス実行に基づいて、メモリマップド用の制御レジスタ523のネクスト用の内容をカレント用にコピーする要求を示す。
次に、(13)において、要求調停回路530は、プロトコル発生回路540からのビジー信号ACC_BUSYのネゲートを検知する。また、要求調停回路530は、シーケンサ520からの要求発行信号MMA_REQのみのアサートを検知する。この結果、要求調停回路530は、論理値1にアサートした要求許可信号MMA_ACKをプロトコル発生回路540に出力する。
また、要求調停回路530は、パラメータ信号IDA_PARAMの内容(MMA_P1)をパラメータ信号ACC_PARAMとしてプロトコル発生回路540に出力し、同時に、要求発行信号ACC_REQをアサートする。これを受け、(15)において、要求調停回路530は、プロトコル発生回路540からアサートされた要求許可信号ACC_ACKとビジー信号ACC_BUSYとを受信する。そして、要求調停回路530は、(16)~(18)において、プロトコル発生回路540を介して、シリアルROM200からのリードデータDR_M10、RD_M11を受信する。
図12は、図1のSPIコントローラ500がシリアルROM200をシングルモードからXIPモードに切り替える動作の一例を示すフロー図である。図12は、SPIコントローラ500の制御方法の一例を示す。XIPモードへの切り替えは、CPU300によるシーケンサ520内の制御レジスタ群522、525へのパラメータのライトに基づいて、シーケンサ520により実行される。
まず、ステップS10において、CPU300からのライト命令に基づいて、メモリマップドアクセス用の制御レジスタ523のネクスト用に、XIPモードでシリアルROM200からデータをリードするためのパラメータが設定される(Fast Read Quad I/O(XIP))。メモリマップドアクセス用の制御レジスタ523のネクスト用に設定されるパラメータは、XIPモードへのエンター後に最初に実行される命令で使用される。
次に、ステップS12において、CPU300からのライト命令に基づいて、インダイレクトアクセス用の制御レジスタ526のカレント用に、XIPモードにエンターするためのパラメータが設定される(Fast Read Quad I/O(XIP遷移))。例えば、XIPモードへのエンターは、クワッドモードによりシリアルROM200からリードデータをリードするアクセスとともに実施される。
次に、ステップS14において、CPU300からのライト命令に基づいて、シフトイネーブルレジスタ(メモリマップド)に"1"が設定される。次に、ステップS16において、CPU300からのライト命令に基づいて、インダイレクトアクセス用の要求発行レジスタに"1"が設定される。
次に、ステップS18において、シーケンサ520は、ステップS16に基づいて、XIPモードに切り替えるためのリードアクセス要求をシリアルROM200に発行する。そして、シーケンサ520は、XIPモードに切り替えるためのリードアクセス要求に基づいて、シリアルROM200から出力されるリードデータをデータレジスタに格納し、インダイレクトアクセス用の要求発行レジスタを"0"にリセットする。これにより、XIPモードに切り替える動作が完了する。図12に示す動作の完了後、図4に示したXIPモードでのリード動作が繰り返し実行されることで、シリアルROM200からのプログラムのリード効率が向上する。
図13は、図12のフローを実行する場合のメモリマップド用のカレント用制御レジスタの設定例を示す説明図である。なお、図13に示すメモリマップド用のカレント用制御レジスタは、デフォルト値として設定されている。図13は、図12のフローによる各種レジスタへのパラメータの設定と並行してシングルモードでのリード動作(ノーマルリード)を実行するために、メモリマップド用のカレント用制御レジスタに設定されるパラメータの例を示す。なお、図13に示すレジスタの状態は、シリアルROM200がシングルモードに設定されている場合に、CPU300からのリードアクセス要求に応じて、シーケンサ520により設定する。
図13に示す状態でシリアルROM200に対して実行されるリード動作では、シーケンサ520は、Phase0~2のレジスタに設定された情報に従って、命令とアドレスをシリアルROM200に出力し、シリアルROM200からリードデータを受信する。そして、図2に示したリード動作が実行される。メモリマップドアクセスでは、シーケンサ520は、シリアルROM200から受信してデータバッファ524に格納したデータを、リードアクセス要求の応答としてCPU300に向けて出力する。
図14は、図12のフローを実行する場合のメモリマップド用のネクスト用制御レジスタの設定例を示す説明図である。図14は、図12のステップS10を実行後のメモリマップドアクセス用の制御レジスタ523のネクスト用の状態を示す。図14に示す状態でシリアルROM200に対して実行されるリード動作の例は、図4に示される。
図15は、図12のフローを実行する場合のインダイレクト用のカレント用制御レジスタの設定例を示す説明図である。図15は、図12のステップS12の実行後のインダイレクトアクセス用の制御レジスタ526のカレント用の状態を示し、シリアルROM200をシングルモードからXIPモードに遷移する場合に設定される。
図16は、図12のフローを実行する場合のインダイレクト用のネクスト用制御レジスタの設定例を示す説明図である。例えば、インダイレクトアクセス用の制御レジスタ526のネクスト用は、シングルモードからXIPモードへの切り替え時に使用されない。この場合、シーケンサ520は、各レジスタのパラメータを、"0"(無効)または"Don't Care"に維持または設定する。
図17は、シリアルROM200をシングルモードからXIPモードに遷移させる図5のSPIコントローラ500の動作の一例を示すタイミング図である。図2と同様の動作については、詳細な説明は省略する。図17~図20に示す動作は、SPIコントローラ500の制御方法の一例を示す。
図17に示す動作は、図13に示したパラメータ設定に基づいて、シーケンサ520の制御により実行される。まず、(1)において、リセット信号reset_nが論理値1に解除され、SPIコントローラ500は動作を開始する。以降、リセット信号reset_nはハイレベル"H"に維持される。CPU300は、CPUアクセスに示すように、自分自身の動作のための命令をフェッチするために、メモリマップドアクセス要求(リード要求)を発行する。なお、リセット信号reset_nの解除の直後、シリアルROM200は、シングルモードに設定されている。
次に、(2)において、要求調停回路530のステータスは、ロウレベル"L"である。このため、SPIコントローラ500は、CPU300からのメモリマップドアクセス要求により、メモリマップド用の制御レジスタ523の設定値を使用してシングルモードでのリード動作を実行する。ここで、要求調停回路530のステータスを示す要求調停回路ステータスのロウレベル"L"は、インダイレクトアクセス要求が発生しておらず、メモリマップドアクセス要求を禁止していない状態を示す。
メモリマップドアクセス要求に応答するシングルモードでのシリアルROM200のリード動作は、(2)~(3)で実行され、シリアルROM200からリードされたリードデータRDTがCPU300に返されて、リード動作が完了する。
CPU300は、後続の命令フェッチのために、(4)でメモリマップドアクセス要求(リード)を発行する。SPIコントローラ500は、このメモリマップドアクセス要求を(5)で許可し、(5)~(6)において、(2)~(3)と同様に、シングルモードでのリード動作が実行される。
次に、図18において、CPU300は、メモリマップド用の制御レジスタ523のネクスト用の設定のためのアクセス要求を発行する。アクセス要求に基づいてシリアルROM200からリードされたメモリマップドアクセス用の各種パラメータは、(7)で、制御レジスタ523のネクスト用に設定される。メモリマップドのネクスト用のパラメータは、XIPモードに切り替わった直後に実行されるXIPモードでのメモリアクセス要求(リード;Fast Read Quad I/O(XIP))である。
この実施形態では、メモリマップド用の制御レジスタ523のカレント用を使用して、シングルモードでのシリアルROM200のアクセス(プログラムのフェッチ)を実行しながら、XIPモードの命令をネクスト用に予め格納することができる。また、ネクスト用のレジスタからカレント用のレジスタへの命令の転送は、シフトイネーブルレジスタ(メモリマップド)がセットされている場合に、インダイレクト用の制御レジスタ526のカレント用からの命令の出力に基づいて実行される。この結果、図18および図19に示すように、インダイレクトアクセス用の制御レジスタ526のカレントを使用してシリアルROM200をXIPモードに切り替え後、XIPモードの命令を迅速に実行することができる。
CPU300は、(7)で、インダイレクト用の制御レジスタ526のカレント用の設定のためのアクセス要求を発行する。アクセス要求に基づいてシリアルROM200からリードされたインダイレクトアクセス用の各種パラメータは、(8)で、制御レジスタ526のカレント用に設定される。インダイレクトのカレント用のパラメータは、XIPモードにエンターするためのメモリアクセス要求(リード;Fast Read Quad I/O(Enter XIP mode))である。
この実施形態では、メモリマップドアクセス用の制御レジスタ523と、インダイレクトアクセス用の制御レジスタ526とが、互いに独立して設けられる。これにより、制御レジスタ526を使用してXIPモードに切り替わる前に、制御レジスタ526にXIPモード用の命令を予め格納しておくことができる。換言すれば、シリアルROM200をXIPモードに切り替える命令と、切り替え後に実行するXIPモードの命令とを、同時に保持することができる。
この後、CPU300は、後続の命令フェッチのために、メモリマップドアクセス要求(リード)を発行する。SPIコントローラ500は、このメモリマップドアクセス要求を(9)で許可し、(9)~(10)において、図17と同様に、シングルモードでのリード動作が実行される。(10)において、CPU300は、シフトイネーブルレジスタ(メモリマップド)に"1"を設定する要求を発行し、シフトイネーブルレジスタ(メモリマップド)は、"1"に設定される。
図19の(11)において、CPU300は、インダイレクト用の要求発行レジスタに"1"を設定するアクセス要求を発行する。インダイレクト用の要求発行レジスタは、(12)で"1"に設定される。シーケンサ520は、インダイレクト用の要求発行レジスタの"1"に応答して、制御レジスタ526のカレント用に保持している命令を含むパラメータを要求調停回路530に出力する。要求発行レジスタは、インダイレクトアクセス用とメモリマップドアクセス用とのそれぞれに対応して設けられる。これにより、制御レジスタ526、523毎に保持されるアクセス要求を、CPU300が実行するプログラムの任意の位置で、要求調停回路530を介してシリアルROM200に発行することができる。
要求調停回路530は、インダイレクトアクセス用の命令の受信に基づいて、メモリマップドアクセス用の命令の選択を禁止し、要求調停回路ステータスをハイレベル"H"に設定する。換言すれば、要求調停回路530は、インダイレクトアクセス用の命令の受信とメモリマップドアクセス用の命令の受信とが競合する場合、メモリマップドアクセス用の命令のシリアルROM200への出力を禁止する。
ここで、ハイレベル"H"の要求調停回路ステータスは、インダイレクトアクセス要求が発生していて、メモリマップドアクセス要求が禁止されている状態を示す。要求調停回路ステータスは、要求調停回路530の内部情報であるが、メモリマップドアクセス用の命令の選択の抑止を示す抑止信号として、要求調停回路530の外部に出力されてもよい。
要求調停回路530の調停制御により、例えば、制御レジスタ523に保持されたXIPモードの命令が、制御レジスタ526に保持されたXIPモードへの切り替え命令より前に実行されることを抑止することができる。従って、シリアルROM200の動作モードを切り替える場合に、シリアルROM200の動作モードと、シリアルROM200に供給される命令の動作モードが不一致になることを抑止することができ、シリアルROM200の誤動作を抑止することができる。この結果、システムSYSの誤動作を抑止することができる。
要求調停回路530は、調停により選択したインダイレクトアクセス要求(XIPモードにエンターする命令)をシリアルROM200に出力し、インダイレクトアクセス要求の発行をシーケンサ520に通知する。シフトイネーブルレジスタ(メモリマップド)は、図18の(10)で"1"に設定されている。このため、シーケンサ520は、インダイレクトアクセス要求の発行の通知に基づいて、(13)でメモリマップド用の制御レジスタ(ネクスト用)の内容をメモリマップド用の制御レジスタ(カレント用)にコピーする。
シフトイネーブルレジスタ(メモリマップド)を設けることで、インダイレクトアクセス要求の発行に応答して、その後に発行されるメモリマップドアクセス要求を、メモリマップドアクセス用の制御レジスタ523のカレント用に設定することができる。従って、例えば、インダイレクトアクセス要求でのXIPモードの切り替え後に、メモリマップドアクセス要求でのXIPモードの命令を実行することができる。
これに対して、インダイレクトアクセス要求でのXIPモードの切り替えタイミングが、要求調停回路530による調停順により、連続する複数のメモリマップドアクセス要求のどこの間に挿入されるか分からないと、次に示すような不具合が発生する。例えば、連続するシングルモードでのメモリマップドアクセス要求の間に、XIPモードの切り替え命令が挿入された場合、XIPモードへの切り替え後のシングルモードでのアクセス要求は正常に実行されない。また、連続するXIPモードでのメモリマップドアクセス要求の間に、XIPモードの切り替え命令が挿入された場合、XIPモードへの切り替え前のXIPモードでのアクセス要求は正常に実行されない。
(14)~(15)で、シリアルROM200をXIPモードにエンターさせるFast Read Quad I/O(Enter XIP mode)のアクセスが実行され、シリアルROM200の動作モードは、シングルモードからXIPモードに切り替わる。要求調停回路530は、インダイレクトアクセス要求によるシリアルROM200のアクセスが完了した(16)で、要求調停回路ステータスをロウレベル"L"に戻す。これにより、メモリマップドアクセス要求のシリアルROM200への出力の禁止状態を解除する。メモリマップドアクセス要求の出力禁止の契機となったインダイレクトアクセス要求によるシリアルROM200へのアクセスが完了するまで、メモリマップドアクセス要求の選択を禁止することで、SPIコントローラ500の誤動作を抑止することができる。また、XIPモードに切り替わった後、メモリマップドアクセス要求によりシリアルROM200がアクセスされるまでの待ち時間を最小限にすることができる。
図20において、CPU300は、後続の命令フェッチのために、(17)でメモリマップドアクセス要求(リード)を発行する。SPIコントローラ500は、このメモリマップドアクセス要求を(18)で許可する。この時点で、メモリマップド用の制御レジスタ(カレント用)に、Fast Read Quad I/O(XIP mode)用のパラメータが設定されている。このため、SPIコントローラ500は、(18)~(19)において、命令コードを発行することなく、XIPモードでシリアルROM200のリード動作を実行する。そして、シリアルROM200からリードされたリードデータRDTがCPU300に返されて、XIPモードでのリード動作が完了する。
なお、図17のリセット信号reset_nの解除前に、インダイレクトアクセス用の制御レジスタ526にXIPモードの切り替え用の命令を予め格納し、メモリマップドアクセス用の制御レジスタ523に、XIPモードの命令を予め格納にしてもよい。そして、図17のリセット信号reset_nの解除前に、インダイレクト用の要求発行レジスタに"1"を予め設定してもよい。この場合、リセット信号reset_nの解除後の最初に、CPU300が、シフトイネーブルレジスタ(メモリマップド)に"1"を設定する要求を発行することで、プログラムの最初でXIPモードへの切り替えを実行することができる。この結果、リセット信号reset_nの解除後に複数のシングルモードの命令を実行する場合に比べて、命令の実行効率を向上することができ、システムSYSの性能を向上することができる。
以上、この実施形態では、インダイレクトアクセス用の制御レジスタ526に保持した命令をシリアルROM200に出力する場合、メモリマップドアクセス用の制御レジスタ523に保持した命令のシリアルROM200への出力を禁止する。これにより、例えば、シリアルROM200の動作モードを切り替える命令を制御レジスタ526から出力する場合に、切り替え後の動作モードの命令が、動作モードの切り替え前にシリアルROM200に出力されることを抑止することができる。
また、切り替える動作モードと異なる動作モードの命令が、動作モードの切り替え後にシリアルROM200に出力されることを抑止することができる。この結果、シリアルROM200の誤動作を抑止することができ、システムSYSの誤動作を抑止することができる。すなわち、シリアルROM200に対するアクセスを継続しつつ、シリアルROM200の動作モードを切り替えることすることができる。
メモリマップドアクセス用の制御レジスタ523と、インダイレクトアクセス用の制御レジスタ526とが、互いに独立して設けられるため、XIPモードに切り替える前に、制御レジスタ526にXIPモード用の命令を予め格納しておくことができる。換言すれば、シリアルROM200をXIPモードに切り替える命令と、切り替え後に実行するXIPモードの命令とを、同時に保持することができる。
要求発行レジスタは、インダイレクトアクセス用とメモリマップドアクセス用とのそれぞれに対応して設けられる。これにより、制御レジスタ526、523毎に保持されるアクセス要求を、CPU300が実行するプログラムの任意の位置で、要求調停回路530を介してシリアルROM200に発行することができる。また、新規デバイスに対しても柔軟に対応することができる。
メモリマップドアクセス要求の出力禁止の契機となったインダイレクトアクセス要求によるシリアルROM200へのアクセスが完了するまで、メモリマップドアクセス要求の選択を禁止することで、SPIコントローラ500の誤動作を抑止することができる。また、XIPモードに切り替わった後、メモリマップドアクセス要求によりシリアルROM200がアクセスされるまでの待ち時間を最小限にすることができる。
シーケンサ520は、メモリマップド用の制御レジスタ523内に、シリアルROM200の発行する命令を保持するカレント用と、カレント用の次に発行する命令を保持するネクスト用とを有する。これにより、カレント用を使用して、シングルモードでのシリアルROM200のアクセス(プログラムのフェッチ)を実行しながら、XIPモードの命令をネクスト用に予め格納することができる。
また、ネクスト用のレジスタからカレント用のレジスタへの命令の転送は、シフトイネーブルレジスタ(メモリマップド)がセットされている場合に、インダイレクト用の制御レジスタ526のカレント用からの命令の出力に基づいて実行される。この結果、インダイレクトアクセス用の制御レジスタ526のカレントを使用してシリアルROM200をXIPモードに切り替え後、XIPモードの命令を迅速に実行することができる。
(第2の実施形態)
図21は、本発明の第2の実施形態に係るSPIコントローラの一例を示すブロック図である。図5と同様の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。図21に示すSPIコントローラ500Aは、図5のSPIコントローラ500のシーケンサ520の代わりにシーケンサ520Aを有する。
シーケンサ520Aは、図5のシーケンサ520の共通制御レジスタ528の代わりに、共通制御レジスタ528Aを有する。共通制御レジスタ528Aは、共通制御レジスタ528にパラメータリード制御レジスタ529Aを追加している。パラメータリード制御レジスタ529Aは、パラメータリード要求フラグの一例である。パラメータリード制御レジスタ529Aは、シリアルROM200からパラメータをリードしてSPIコントローラ500A内のレジスタに設定する動作のトリガとなるフラグと、バッファとを有する。バッファには、フラグのセット時にシリアルROM200からリードするデータが一時的に蓄積される。
SPIコントローラ500Aのその他の構成は、図5のSPIコントローラ500の構成と同様である。また、SPIコントローラ500Aを含むシステムSYSの構成は、図1と同様である。
図22は、図21のシーケンサ520Aに設けられるレジスタの設定内容の一例を示す説明図である。図22は、図6の設定内容に、図21のパラメータリード制御レジスタ529Aの設定内容が追加される。パラメータリード制御レジスタ529Aが"1"の場合、SPIコントローラ500Aは、シリアルROM200からリードしたパラメータをメモリマップドアクセス用の制御レジスタ群522およびインダイレクトアクセス用の制御レジスタ群525に格納する。例えば、パラメータリード制御レジスタ529Aは、リセット信号reset_nの解除時(論理値0から論理値1への変化時)に"1"に設定される。SPIコントローラ500は、シリアルROM200から読み出した各種パラメータをレジスタに格納した後、パラメータリード制御レジスタ529Aを"0"にリセットする。
図23は、シリアルROM200をシングルモードから命令省略モードに遷移させる図21のSPIコントローラ500Aの動作の一例を示すタイミング図である。図17~図20と同様の動作については、詳細な説明を省略する。図23~図25に示す動作は、SPIコントローラ500Aの制御方法の一例を示す。
この実施形態では、図23の動作の前に、パラメータリード制御レジスタ529Aのフラグに論理値1が設定される。また、インダイレクトアクセス用の制御レジスタ526のカレント用に、シリアルROM200の最終アドレス(例えば、FFFF80h)から128バイトのデータをシングルモードでリードするためのパラメータが格納される。図23~図25では、パラメータリード制御レジスタ529Aの設定値は、パラメータリード要求信号PReadreqの論理値(図23ではハイレベル"H")として示される。
図23の(1)において、リセット信号reset_nが論理値1に解除され、SPIコントローラ500は動作を開始する。パラメータリード制御レジスタ529Aのフラグが論理値1にセットされた場合、CPU300は、CPUアクセスに示すように、自分自身の動作のための命令をフェッチするため(メモリマップドリード)、メモリマップドアクセス要求(リード要求)を発行する。しかしながら、要求調停回路ステータスがハイレベル"H"に設定されているため、メモリマップド側(すなわち、CPU300)からのアクセス要求は、要求調停回路530により禁止される。
(2)において、SPIコントローラ500Aは、インダイレクトアクセス用の制御レジスタ526のカレント用に保持されたパラメータリード用の命令に従って、シリアルROM200の最終アドレスから128バイトのデータをリードするリード動作を実行する。リード動作は、シングルモードで実行される。例えば、リードするデータが格納されたアドレスと、リードするデータのバイト数とは、CPU300が実行する命令のオペランドに格納されている。SPIコントローラ500Aは、シリアルROM200からリードしたデータを、パラメータリード制御レジスタ529Aのバッファに順次蓄積する。
リード動作が完了した(3)において、SPIコントローラ500Aは、バッファに蓄積したデータを、メモリマップドアクセス用の制御レジスタ523のネクスト用とインダイレクトアクセス用の制御レジスタ526のカレント用とに転送する。また、SPIコントローラ500Aは、インダイレクトアクセス用の制御レジスタ群525の要求発行レジスタを"1"に設定する。
図23に示すように、この実施形態では、SPIコントローラ500Aの起動時にシリアルROM200に格納されているデータを、メモリマップドアクセス要求用の命令と、インダイレクトアクセス要求用の命令として読み出すことができる。そして、メモリマップドアクセス用の制御レジスタ523のネクスト用に、Fast Read Quad I/O(XIP)用のパラメータが設定される。インダイレクトアクセス用の制御レジスタ526のカレント用に、Fast Read Quad I/O(Enter XIP mode)用のパラメータが設定される。
従って、CPU300により制御レジスタ523、526にパラメータを格納する命令をそれぞれ実行することなく、制御レジスタ523、526にパラメータを格納することができる。この結果、例えば、シングルモードからXIPモードへの切り替えを効率的に実行することができる。シリアルROM200に格納されたデータをパラメータとして制御レジスタ523、526に設定できるため、新規デバイスに対しても柔軟に対応することができる。
なお、図23では、リセット信号reset_nの解除時に、リード要求信号PReadreqが論理値1にセットされている場合の動作を示すが、リード要求信号PReadreqは、CPU300によるライトアクセスにより論理値1に設定されてもよい。この場合、リード要求信号PReadreqが論理値0の期間、メモリマップドアクセス用の制御レジスタ523のカレント用を使用して、CPU300によるメモリアクセスが実行される。そして、リード要求信号PReadreqの論理値1への変化に基づいて、図23の(2)からの動作が開始される。
図24の(4)において、インダイレクトアクセス用の制御レジスタ群525の要求発行レジスタが"1"に設定されたとき、要求調停回路ステータスは、ハイレベル"H"に維持されている。このため、SPIコントローラ500Aは、インダイレクトアクセス用の制御レジスタ526のカレント用のパラメータに従って、Fast Read Quad I/O(Enter XIP mode)のアクセスを開始する。Fast Read Quad I/O(Enter XIP mode)のアクセスの実行により、シリアルROM200は、シングルモードからXIPモードに遷移する。
(5)でFast Read Quad I/O(Enter XIP mode)のアクセスが完了したとき、SPIコントローラ500Aは、要求調停回路ステータスをロウレベル"L"に変化させ、メモリマップド側からのアクセスを許可する。また、SPIコントローラ500Aは、パラメータリード要求信号PReadreqを、ロウレベル"L"に変化させる。この時点で、メモリマップドアクセス用の制御レジスタ523のカレント用には、ネクスト用からFast Read Quad I/O(XIP用)が転送されている。
図25の(6)において、メモリマップドアクセス用の制御レジスタ523のカレント用のパラメータに従って、Fast Read Quad I/O(XIP用)のアクセスを開始する。Fast Read Quad I/O(XIP用)のアクセスの実行により、シリアルROM200からリードデータが出力され、(7)でXIPモードのリード動作が完了する。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、CPU300により制御レジスタ523、526にパラメータを格納する命令をそれぞれ実行することなく、制御レジスタ523、526にパラメータを格納することができる。この結果、例えば、シングルモードからXIPモードへの切り替えを効率的に実行することができる。シリアルROM200に格納されたデータをパラメータとして制御レジスタ523、526に設定できるため、新規デバイスに対しても柔軟に対応することができる。
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。