以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。以下では、ストリング制御ユニット(String Control Unit)を、「SCU」と称する。グループ制御ユニット(Group Control Unit)を、「GCU」と称する。また、交流を「AC」、直流を「DC」と称する場合がある。
図1は、この実施の形態に係る電源システムの構成を示す図である。電源システム1は、第1電源回路2と、第2電源回路3と、絶縁フィルタT1,T2と、リレーR1,R2と、分電盤C1と、GCU100とを備える。GCU100は、本開示に係る「制御装置」の一例に相当する。GCU100は、コンピュータであってもよい。GCU100は、たとえば、プロセッサ、RAM(Random Access Memory)、及び記憶装置(いずれも図示せず)を備える。記憶装置に記憶されているプログラムをプロセッサが実行することで、各種の処理が実行される。ただし、GCU100における各種処理は、ソフトウェアによる実行に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。この実施の形態では、電源システム1が、たとえば住宅、学校、病院、商業施設、又は駅のような建物300に適用される。
電力系統PGは、電線PGLを通じて、建物300に電力を供給する。電力系統PGは、送配電設備によって構築される電力網である。電力系統PGには、複数の発電所が接続されている。電力系統PGは、それらの発電所から電力の供給を受けている。この実施の形態では、電力会社が、電力系統PG(商用電力系統)を保守及び管理する。電力会社は、一般送配電事業者に相当する。電力系統PGは、三相交流電力を建物300に供給する。電力系統PGは、本開示に係る「外部電源」の一例に相当する。電力系統PGの需給状況は、サーバ200によって管理される。サーバ200は、GCU100と通信可能に構成される。この実施の形態では、サーバ200が電力会社に帰属する。ただしこれに限られず、サーバ200は、アグリゲータに帰属するサーバであってもよいし、電力市場(たとえば、需給調整市場)で取引きを行なうサーバであってもよい。
第1電源回路2及び第2電源回路3の各々は、電力系統PGとの間で電力の授受を行なうように構成される。第1電源回路2及び第2電源回路3の各々は、電力系統PGから電力の供給を受けることもあるし、電力系統PGに電力を供給することもある。第1電源回路2及び第2電源回路3の各々は、分電盤C1を介して、電線PGL(電力系統PGと建物300とをつなぐ電線)に電気的に接続されている。ただし、電線PGLと第1電源回路2との間(より特定的には、分電盤C1と第1電源回路2との間)にはリレーR1及び絶縁フィルタT1が設けられている。また、電線PGLと第2電源回路3との間(より特定的には、分電盤C1と第2電源回路3との間)にはリレーR2及び絶縁フィルタT2が設けられている。リレーR1、R2は、それぞれ本開示に係る「第1リレー」、「第2リレー」の一例に相当する。
分電盤C1は、漏電遮断器及び/又はブレーカを備える。また、分電盤C1には電力センサC1a及びC1bが設けられている。電力センサC1aは、第1電源回路2と電線PGLとの間を流れる電流(入出力電流)を検出する電流センサと、第1電源回路2の入出力電圧を検出する電圧センサとを含む。電力センサC1bは、第2電源回路3と電線PGLとの間を流れる電流(入出力電流)を検出する電流センサと、第2電源回路3の入出力電圧を検出する電圧センサとを含む。電力センサC1a及びC1bの各々の検出結果は、GCU100へ出力される。分電盤C1は電力量計(図示せず)をさらに備えてもよい。
建物300内に設置された分電盤C2は、電力系統PGと電源システム1との各々から電力の供給を受けられるように構成される。分電盤C2は、屋内配線と接続され、電力系統PGと電源システム1との少なくとも一方から供給される電力を屋内配線に分配する。
第1電源回路2は、電池ストリングSt1,St2,St3と、インバータ11,21,31と、SCU12,22,32とを含む。第2電源回路3は、電池ストリングSt4~St9及びSCU41~46を含む。第1電源回路2及び第2電源回路3に含まれる各電池ストリングはスウィープユニットSUを構成する。
図2は、スウィープユニットSUの構成を示す図である。図1とともに図2を参照して、この実施の形態に係る電源システム1では、電池ストリングSt(図1に示した電池ストリングSt1~St9に相当)と、電池ストリングSt内のスイッチ(後述するSW51及びSW52)を駆動する複数の駆動回路SUA(図1では図示せず)と、駆動回路SUAに制御信号を送るSCU(図1に示したSCU12,22,32及び41~46に相当)とがモジュール化されたスウィープユニットSUが、第1電源回路2及び第2電源回路3の各々に搭載されている。なお、複数の駆動回路SUAは、1つの基板上に形成されて一体化していてもよい。また、スウィープユニットSUは、1つの回路基板であってもよい。
電池ストリングStは、直列に接続された複数の電池回路モジュールMを備える。この実施の形態において、電池ストリングStに含まれる電池回路モジュールMの数は20個程度であるが、その数は任意であり、5~50個であってもよいし、100個以上であってもよい。この実施の形態では、第1電源回路2及び第2電源回路3に含まれる各電池ストリングが同じ数の電池回路モジュールMを含むが、電池ストリングごとに電池回路モジュールMの数が異なっていてもよい。
各電池回路モジュールMは、電力回路SUBと、カートリッジCgとを含む。カートリッジCgは、電池Bと、監視ユニットBSとを含む。電力回路SUBと電池Bとが接続されることによって、電池Bを含む電池回路モジュールMが形成されている。駆動回路SUAは、電池回路モジュールMごとに設けられている。そして、駆動回路SUAは、電池回路モジュールMに含まれるスイッチ(より特定的には、後述するSW51及びSW52)を駆動するように構成される。電池Bの詳細については後述する。この実施の形態では、第1電源回路2と第2電源回路3とで異なる種類の電池が採用される。
図2に示すように、各電池回路モジュールMは、遮断器RB1及びRB2(以下、区別しない場合は「遮断器RB」と称する)をさらに含む。電力回路SUBとカートリッジCgとは、遮断器RB1及びRB2を介して、互いに接続されている。SCUは、GCU100からの制御指令に従って各遮断器RBをON/OFF制御することによって、電力回路SUBとカートリッジCgとの接続状態(導通/遮断)を切り替えるように構成される。遮断器RBは、電磁式のメカニカルリレーであってもよい。遮断器RBは、ユーザが手動でON/OFFできるように構成されてもよい。
この実施の形態では、カートリッジCgが電力回路SUBに対して着脱可能に構成される。たとえば遮断器RB1及びRB2の各々がOFF状態(遮断状態)であるときに、ユーザはカートリッジCgを電力回路SUBから取り外してもよい。電池ストリングStは空きカートリッジがあっても動作可能であるため、ユーザは、電池ストリングStに含まれるカートリッジCgの数を増減しやすい。こうした電池ストリングStは、電池の再利用に適している。
カートリッジCgにおいて、監視ユニットBSは、電池Bの状態(たとえば、電圧、電流、及び温度)を検出して、検出結果をSCUへ出力するように構成される。監視ユニットBSは、電池Bの電圧を検出する電圧センサと、電池Bの電流を検出する電流センサと、電池Bの温度を検出する温度センサとを含む。また、監視ユニットBSは、上記センサ機能に加えて、SOC推定機能、SOH(State of Health)推定機能、電池電圧の均等化機能、診断機能、及び通信機能をさらに有するBMS(Battery Management System)であってもよい。SCUは、各監視ユニットBSの出力に基づいて、各電池Bの状態(たとえば、温度、電流、電圧、SOC、及び内部抵抗)を取得し、得られた各電池Bの状態をGCU100へ出力する。なお、SOC(State Of Charge)は、蓄電残量を示し、たとえば、満充電状態の蓄電量に対する現在の蓄電量の割合を0~100%で表わしたものである。
電池ストリングStに含まれる電池回路モジュールMは共通の電線PLによって接続されている。電線PLは、各電池回路モジュールMの出力端子OT1及びOT2を含む。電池回路モジュールMの出力端子OT2が、当該電池回路モジュールMに隣接する電池回路モジュールMの出力端子OT1と接続されることによって、電池ストリングStに含まれる電池回路モジュールM同士が接続されている。
電力回路SUBは、第1スイッチング素子51(以下、「SW51」と称する)と、第2スイッチング素子52(以下、「SW52」と称する)と、第1ダイオード53と、第2ダイオード54と、チョークコイル55と、コンデンサ56と、出力端子OT1及びOT2とを備える。SW51及びSW52の各々は、駆動回路SUAによって駆動される。この実施の形態に係るSW51、SW52は、それぞれ本開示に係る「第1スイッチ」、「第2スイッチ」の一例に相当する。
電力回路SUBの出力端子OT1及びOT2間には、SW51と、コンデンサ56と、電池Bとが並列に接続されている。SW51は、電線PL上に位置し、出力端子OT1と出力端子OT2との接続状態(導通/遮断)を切り替えるように構成される。出力端子OT1は電線BL1を介して電池Bの正極に接続されており、出力端子OT2は電線BL2を介して電池Bの負極に接続されている。遮断器RB1、RB2は、それぞれ電線BL1、BL2に設けられている。電線BL1には、SW52及びチョークコイル55がさらに設けられている。電池回路モジュールMにおいては、電池Bと直列に接続されたSW52がON状態(導通状態)であり、かつ、電池Bと並列に接続されたSW51がOFF状態(遮断状態)であるときに、出力端子OT1及びOT2間に電池Bの電圧が印加される。
出力端子OT1,OT2と電池Bとの間には、電線BL1及び電線BL2の各々に接続されたコンデンサ56が設けられている。コンデンサ56の一端は、SW52とチョークコイル55との間で電線BL1に接続されている。コンデンサ56は、電池Bの電圧を平滑化して出力端子OT1及びOT2間に出力する。
SW51及びSW52の各々は、たとえばFET(電界効果トランジスタ)である。第1ダイオード53、第2ダイオード54は、それぞれSW51、SW52に対して並列に接続されている。SW52は、出力端子OT1とチョークコイル55との間に位置する。チョークコイル55は、SW52と電池Bの正極との間に位置する。電池B、チョークコイル55、及びコンデンサ56によってRCLフィルタが形成される。このRCLフィルタによって電流の平準化が図られる。なお、SW51及びSW52の各々は、FETに限られず、FET以外のスイッチであってもよい。
SCUは、GCU100からの指令に従ってSW51及びSW52の各々を駆動するための信号を駆動回路SUAに送る。具体的には、SCUは、GCU100からの制御指令に従ってゲート信号を生成する。このゲート信号は、GCU100からの指令に従ってSW51及びSW52の各々を駆動するための信号に相当する。そして、SCUは、ゲート信号を駆動回路SUAに送る。駆動回路SUAは、ゲート信号に従ってSW51及びSW52を駆動するGD(ゲートドライバ)81と、ゲート信号を遅延させる遅延回路82とを含む。電池回路モジュールMに含まれるSW51及びSW52の各々は、ゲート信号に従ってON/OFF制御される。
図3は、ゲート信号によって制御される電池回路モジュールMの動作の一例を示すタイムチャートである。この実施の形態では、SW51(第1スイッチ)及びSW52(第2スイッチ)を駆動するためのゲート信号として、矩形波信号を採用する。図3中に示されるゲート信号の「Low」、「High」は、それぞれゲート信号(矩形波信号)のLレベル、Hレベルを意味する。また、「出力電圧」は、出力端子OT1及びOT2間に出力される電圧を意味する。
電池回路モジュールMの初期状態では、駆動回路SUAにゲート信号が入力されず(ゲート信号=Lレベル)、SW51、SW52がそれぞれON状態、OFF状態になっている。駆動回路SUAにゲート信号が入力されると、GD81が、入力されたゲート信号に従ってSW51及びSW52を駆動する。図3に示す例では、タイミングt1で、ゲート信号がLレベルからHレベルに立ち上がり、ゲート信号の立ち上がりと同時にSW51がON状態からOFF状態に切り替わる。そして、ゲート信号の立ち上がりから所定の時間(以下、「dt1」と表記する)だけ遅れたタイミングt2で、SW52がOFF状態からON状態に切り替わる。これにより、電池回路モジュールMが稼働状態になる。以下、ゲート信号の立ち上がりからdt1が経過するまでの期間を、「第1遅延期間」とも称する。
図4は、稼働状態の電池回路モジュールMを示す図である。図4を参照して、稼働状態の電池回路モジュールMでは、SW51がOFF状態かつSW52がON状態になることで、出力端子OT1及びOT2間に電池Bの電圧が印加される。電池Bの電圧がコンデンサ56を介して出力端子OT1及びOT2間に印加されることで、電圧Vmが出力端子OT1及びOT2間に出力される。
再び図3を参照して、タイミングt3で、ゲート信号がHレベルからLレベルに立ち下がると、ゲート信号の立ち下がりと同時にSW52がON状態からOFF状態に切り替わる。これにより、電池回路モジュールMが停止状態になる。停止状態の電池回路モジュールMでは、SW52がOFF状態になることで、出力端子OT1及びOT2間に電池Bの電圧が印加されなくなる。その後、ゲート信号の立ち下がりから所定の時間(以下、「dt2」と表記する)だけ遅れたタイミングt4で、SW51がOFF状態からON状態に切り替わる。dt1とdt2とは互いに同じであっても異なってもよい。この実施の形態では、dt1及びdt2の各々を100n秒とする。ただし、dt1及びdt2の各々は任意に設定できる。
以下、ゲート信号の立ち下がりからdt2が経過するまでの期間を、「第2遅延期間」とも称する。また、第2遅延期間終了から電池回路モジュールMが稼働状態になるまでの期間を、「停止期間」とも称する。
図5は、遅延期間における電池回路モジュールMの状態を示す図である。図5に示すように、第1遅延期間及び第2遅延期間の各々では、SW51及びSW52の両方がOFF状態になる。
図6は、停止期間における電池回路モジュールMの状態を示す図である。図6に示すように、停止期間では、初期状態と同様、SW51がON状態かつSW52がOFF状態になる。
上記遅延期間及び停止期間のいずれの期間においても、電池回路モジュールMは停止状態になっている。停止状態の電池回路モジュールMでは、出力端子OT1及びOT2間に電圧が印加されない。第1遅延期間及び第2遅延期間が設けられていることで、SW51及びSW52が同時にON状態になること(すなわち、電池回路モジュールMが短絡状態になること)が抑制される。
電池ストリングStは、0Vから、電池ストリングStに含まれる各電池Bの電圧の総和までの電圧を出力可能に構成される。スウィープユニットSUにおいて、SCUは、同時に稼働状態になる電池回路モジュールMの数を調整することで、電池ストリングStの出力電圧を制御することができる。この実施の形態では、SCUがスウィープ制御によって電池ストリングStの電圧を制御する。
図7は、スウィープ制御の一例について説明するための図である。図2及び図3とともに図7を参照して、スウィープ制御される電池ストリングStでは、所定数(図7に示す例では、3つ)の電池Bが回路に接続し、他の電池Bが回路から切り離される。電池回路モジュールMにおいて、SW51がOFF状態かつSW52がON状態になると、電池Bが回路に接続され、電池Bの電圧が回路に印加される。電池回路モジュールMにおいて、SW51がON状態かつSW52がOFF状態になると、電池Bが回路から切り離され、電池Bの電圧は回路に印加されなくなる(パススルー)。スウィープ制御では、回路に接続される電池Bが入れ替わりながらも、回路に所定数(図7に示す例では、3つ)の電池Bが同時に接続される状態が維持される。スウィープユニットSUは、電池ストリングStの一端(上流端)から他端(下流端)へ図3に示したゲート信号を遅延させながら伝達することで、スウィープ制御を実行する。ゲート信号は、遅延回路82によって遅延される。そして、GD81が、ゲート信号に従ってSW51及びSW52を駆動する。このため、下流に位置する電池Bは、上流に位置する電池Bに遅れて回路に接続される。たとえば図7に示すように、電池ストリングStに含まれる各電池Bを順次接続させることで、電池ストリングStに含まれる各電池Bの電流及びSOCの均等化が図られる。なお、各遅延回路82による遅延時間は、GCU100によって設定される。遅延時間は0(遅延なし)に設定されるかもしれない。たとえば、スウィープユニットSUにおいて、全ての遅延回路82の遅延時間が0に設定されると、全ての電池Bの接続/パススルーが同じタイミングで行なわれるようになる。
GCU100は、ゲート信号の周期及びデューティ比(周期に対するHレベル期間の割合)に基づいて、電池ストリングStの入出力を制御してもよい。GCU100は、電池ストリングStにおけるカートリッジCg(電池B)ごとに接続/切離しを選択することができる。切離しの指示は、GCU100からSCUに送られる。SCUから切離しを指示されたGD81は、ゲート信号にかかわらず、対応する電池Bをパススルーの状態に維持してもよい。また、SCUは、遮断器RB1及びRB2の各々をOFF状態にすることによって回路から電池Bを切り離してもよい。GCU100は、各電池Bの容量(又は、SOC)に応じて電池Bごとの負荷分担を調整してもよい。GCU100は、各電池BのSOCに基づいて、特定の電池Bの放電又は充電を禁止してもよい。GCU100は、たとえば、過放電になる可能性がある電池Bの放電を禁止したり、過充電になる可能性がある電池Bの充電を禁止したりしてもよい。また、GCU100は、電池ストリングStに含まれる所定の電池Bについて、定負荷による劣化診断を実行してもよい。GCU100は、故障した電池B(又は、劣化度合いが大きい電池B)の使用を禁止するように、当該電池Bを回路から切り離された状態(図6参照)に維持してもよい。
図1に示す第1電源回路2及び第2電源回路3の各々は、上述したスウィープユニットSUを、電池ストリングの数に対応した数だけ備える。具体的には、第1電源回路2は、電池ストリングSt1~St3に対応して3つのスウィープユニットSU(以下では、「SU1」、「SU2」、「SU3」と表記する)を含む。SCU12、22、32は、それぞれ電池ストリングSt1、St2、St3とともにSU1、SU2、SU3を構成する。第1電源回路2に含まれるスウィープユニットSUの電池ストリング、駆動回路、SCUは、それぞれ本開示に係る「DC電池ストリング」、「第1駆動回路」、「第1制御回路」の一例に相当する。第2電源回路3は、電池ストリングSt4~St9に対応して6つのスウィープユニットSU(以下では、「SU4」~「SU9」と表記する)を含む。SCU41、42、43、44、45、46は、それぞれ電池ストリングSt4、St5、St6、St7、St8、St9とともにSU4、SU5、SU6、SU7、SU8、SU9を構成する。第2電源回路3に含まれるスウィープユニットSUの電池ストリング、駆動回路、SCUは、それぞれ本開示に係る「AC電池ストリング」、「第2駆動回路」、「第2制御回路」の一例に相当する。
GCU100は、SU1~SU3を制御することにより、所望の電圧の直流電力(一定電圧の電力)を電池ストリングSt1~St3の各々に出力させることができる。GCU100は、ユーザ又はサーバ200から取得した情報に基づいて電池ストリングSt1~St3の各々の出力電圧(直流電力の電圧)を決定してもよい。GCU100は、SU4~SU9を制御することにより、所望の電圧波形の交流電力(電圧の大きさが周期的に変わる電力)を電池ストリングSt4~St9の各々に出力させることができる。GCU100は、ユーザ又はサーバ200から取得した情報に基づいて電池ストリングSt4~St9の各々の出力電圧波形を決定してもよい。ユーザは、GCU100に給電条件及び/又は充電条件を入力してもよい。
この実施の形態では、DC電池ストリング(電池ストリングSt1、St2、及びSt3)に含まれる各DC電池(電池B)として、高出力型電池を採用する。具体的には、各DC電池として、パワー密度が1500W/kg以上5000W/kg未満であり、かつ、エネルギー密度が50Wh/kg以上500Wh/kg未満であるニッケル水素二次電池を採用する。また、AC電池ストリング(電池ストリングSt4~St9)に含まれる各AC電池(電池B)として、高容量型電池を採用する。具体的には、各AC電池として、パワー密度が300W/kg以上1000W/kg未満であり、かつ、エネルギー密度が500Wh/kg以上1000Wh/kg未満であるリチウムイオン二次電池を採用する。ただし、電池ストリングSt4、St6、及びSt8と電池ストリングSt5、St7、及びSt9とでは、異なる種類のリチウムイオン二次電池が採用される。電池ストリングSt4、St6、及びSt8に含まれる各電池Bとしては、三元系(NMC)のリチウムイオン二次電池が採用される。また、電池ストリングSt5、St7、及びSt9に含まれる各電池Bとしては、リン酸鉄系(LFP)のリチウムイオン二次電池が採用される。
ただし、電池の種類(たとえば、構造及び材料)及び特性(たとえば、パワー密度及びエネルギー密度)は上記に限られず適宜変更可能である。たとえば、縦軸にパワー密度(W/kg)、横軸にエネルギー密度(Wh/kg)をとったラゴンプロットに基づいて、パワー型(高出力型)電池とエネルギー型(高容量型)電池とが定義されることがある。ラゴンプロットで高出力型電池に分類される電池をDC電池として採用し、ラゴンプロットで高容量型電池に分類される電池をAC電池として採用してもよい。また、1つの電池ストリングに複数種の二次電池が混在していてもよい。電池は、リチウム空気電池でも鉛畜電池でもNAS(ナトリウム硫黄)電池でもレドックスフロー電池でも全固体電池でもよい。また、xEVで使用された二次電池を直列に接続することにより、xEVで使用された二次電池を再利用して電池Bを製造してよい。
第1電源回路2において、電池ストリングSt1、St2、St3から出力された直流電力は、それぞれインバータ11、21、31に入力される。以下、図1及び図8を用いて、第1電源回路2に含まれるインバータの構成について説明する。インバータ11、21、及び31は、互いに同じ構成を有するため、以下では、代表としてインバータ11の構成について説明する。
図8は、第1電源回路2に含まれるインバータの構成を示す図である。図1とともに図8を参照して、インバータ11は、三相インバータであり、U相アームに互いに直列に接続されたスイッチング素子q1及びq2と、V相アームに互いに直列に接続されたスイッチング素子q3及びq4と、W相アームに互いに直列に接続されたスイッチング素子q5及びq6とを備える。スイッチング素子q1~q6のコレクタ-エミッタ間には、ダイオードd1~d6が逆並列にそれぞれ接続されている。この実施の形態では、インバータ11として、xEVの三相同期電動機を駆動するために使用された三相インバータを再利用している。インバータ11は、双方向に電力変換可能に構成される。
インバータ11の各相アームの中間点は、絶縁フィルタT1に接続されており、さらにリレーR1及び分電盤C1を介して電線PGLに接続されている(図1参照)。インバータ11のスイッチング素子q1~q6は、GCU100からの制御指令によって制御される。インバータ11の各スイッチング素子は、たとえばPWM(Pulse Width Modulation)制御によりON/OFFされる。
インバータ11は、電池ストリングSt1から出力される直流電力を交流電力(三相交流電力)に変換して電線PGLへ供給する。インバータ11はDC/AC変換回路として機能する。インバータ11から出力される交流電力は、絶縁フィルタT1、リレーR1、及び分電盤C1を経て電線PGLに供給される。SU1は、電池ストリングSt1に含まれる各電池回路モジュールMのSW51及びSW52を制御することにより、電池ストリングSt1に含まれる複数の電池Bのうち、任意の電池Bから電力を出力させることができる。SU1は、たとえばGCU100からの指令に従い、指定された電池Bからインバータ11へ電力を出力させる。SU2、SU3においても、上記と同様にして、電池ストリングSt2、St3に含まれる電池Bからインバータ21、31へそれぞれ電力が出力される。GCU100は、第1電源回路2から三相交流電力が出力されるように、電池ストリングSt1、St2、及びSt3を制御するための指令をSCU12、22、及び32に送るとともにインバータ11、21、及び31を制御するように構成される。
インバータ11は、電力系統PGから電線PGL、分電盤C1、リレーR1、及び絶縁フィルタT1を経て入力される交流電力(三相交流電力)を、直流電力に変換して電池ストリングSt1へ出力する。SU1は、インバータ11から供給される直流電力を用いて、電池ストリングSt1の電池Bを充電することができる。この際、GCU100は、電力系統PGから供給される交流電圧に対して電池ストリングSt1の電圧が少し低くなるようにSU1を制御する。SU1は、電池ストリングSt1に含まれる各電池回路モジュールMのSW51及びSW52を制御することにより、電池ストリングSt1に含まれる複数の電池Bのうち、任意の電池Bを充電することができる。SU1は、たとえばGCU100からの指令に従い、指定された電池Bを充電する。SU2、SU3においても、上記と同様にして、電池ストリングSt2、St3に含まれる電池Bが充電される。GCU100は、電池ストリングSt1、St2、及びSt3に含まれる所定の電池Bが充電されるように、電池ストリングSt1、St2、及びSt3を制御するための指令をSCU12、22、及び32に送るとともにインバータ11、21、及び31を制御するように構成される。
インバータ11、21、及び31は、図1に示すように、絶縁フィルタT1に対して並列に接続されている。具体的には、インバータ11、21、及び31の各相アームの中間点(図8参照)が電線で接続されている。第1電源回路2は、並列に接続された電池ストリングSt1,St2,St3とインバータ11,21,31とを用いて、三相交流電力(第1交流電力)を出力する。この実施の形態では、第1電源回路2が、並列に接続された3つのDC電池ストリング(電池ストリングSt1,St2,St3)を備える。並列に接続されるDC電池ストリングの数が増えるほど、第1電源回路2から出力される交流電力波形を安定させやすくなる。ただし、第1電源回路2に含まれるDC電池ストリングの数は、3つに限られず適宜変更可能であり、1つでも4つ以上でもよい。第1電源回路2は、単相交流電力を出力するように構成されてもよい。
図9は、第2電源回路3の構成を示す図である。図9を参照して、電池ストリングSt4、St5、St6、St7、St8、St9は、それぞれ第1のU相用電池ストリング、第2のU相用電池ストリング、第1のV相用電池ストリング、第2のV相用電池ストリング、第1のW相用電池ストリング、第2のW相用電池ストリングに相当する。
電池ストリングSt4の正極端子と電池ストリングSt5の正極端子とは、電線PLuに接続されている。電池ストリングSt6の正極端子と電池ストリングSt7の正極端子とは、電線PLvに接続されている。電池ストリングSt8の正極端子と電池ストリングSt9の正極端子とは、電線PLwに接続されている。また、電池ストリングSt4~St9の各々の負極端子は、中性点N1に接続されている。第2電源回路3においては、並列に接続された電池ストリングSt4及びSt5と、並列に接続された電池ストリングSt6及びSt7と、並列に接続された電池ストリングSt8及びSt9とが、Y結線されている。
SCU41~46は、GCU100からの制御指令により、図2に示した各電池回路モジュールMのSW51及びSW52を数十kHzのスイッチング周波数で制御して、電池ストリングSt4~St9の各々のストリング電圧(出力電圧)を、図9の下方に示した電圧波形になるように制御する。図9において、線L11は、U相用電池ストリング(電池ストリングSt4,St5)のストリング電圧を示す。線L12は、V相用電池ストリング(電池ストリングSt6,St7)のストリング電圧を示す。線L13は、W相用電池ストリング(電池ストリングSt8,St9)のストリング電圧を示す。線L11、線L12、及び線L13は、位相が120°ずれた正弦波であり、その周波数は、電力系統PGに対応した周波数(たとえば、60Hz)である。
電池ストリングSt4~St9の各々のストリング電圧が上記のように制御されることにより、電線PLu、PLv、及びPLwの線間電圧は、図9の上方に示した電圧波形になる。図9において、線L21は電線PLuと電線PLvの線間電圧「Vuv」を示し、線L22は電線PLwと電線PLuの線間電圧「Vwu」を示し、線L23は電線PLvと電線PLwの線間電圧「Vvw」を示している。各線間電圧は、周期的に極性(正/負)が変わる正弦波交流波形になる。
上記のように、第2電源回路3は、電池ストリングSt4~St9を用いて三相交流電力(第2交流電力)を出力する。第2電源回路3において、U相用電池ストリング(電池ストリングSt4,St5)とV相用電池ストリング(電池ストリングSt6,St7)とW相用電池ストリング(電池ストリングSt8,St9)とがY結線されることで、第2電源回路3は、インバータを用いずに交流電力(より特定的には、三相交流電力)を出力することができる。これにより、コストが削減される。この実施の形態に係る第2電源回路3では、各相のAC電池ストリングとして、並列に接続された複数の電池ストリングが採用されている。並列に接続される電池ストリングの数が増えるほど、第2電源回路3から出力される交流電力波形を細かく調整しやすくなる。ただし、第2電源回路3に含まれるAC電池ストリングの数は、6つに限られず適宜変更可能であり、3つでもよいし、1つでもよい。また、第2電源回路3は、単相交流電力を出力するように構成されてもよい。
再び図1を参照して、第1電源回路2から出力された交流電力は、絶縁フィルタT1、リレーR1、及び分電盤C1を介して、電線PGLに供給される。第2電源回路3から出力された交流電力は、絶縁フィルタT2、リレーR2、及び分電盤C1を介して、電線PGLに供給される。電源システム1は、第1電源回路2及び第2電源回路3の少なくとも一方から電力系統PGに対して三相交流電力を逆潮流する系統連携運転を可能に構成されている。
絶縁フィルタT1及びT2の各々は、たとえば、LCLフィルタと三相トランスとを含む。絶縁フィルタT1及びT2の各々は、LCLフィルタによって三相交流成分のノイズ成分を低減し、三相トランスによって三相交流電力を所定の電圧(たとえば、200V)に変換するとともに入力側と出力側との絶縁を行なう。この実施の形態では、インバータ11、21、及び31の各々が、他の用途(xEVの駆動)で使用された再利用品であり、必ずしも性能が高くない。このため、これらのインバータ出力にはノイズが含まれやすい。第1電源回路2と電線PGLとの間に配置された絶縁フィルタT1は、こうしたノイズを除去するように構成される。絶縁フィルタT1は、絶縁フィルタT2よりも高いノイズ除去性能を有してもよい。
リレーR1及びR2の各々は、たとえば電磁式のメカニカルリレーである。GCU100は、リレーR1のON/OFFを制御することにより、第1電源回路2と電力系統PGとの接続(並列)/遮断(解列)を切り替えるように構成される。また、GCU100は、リレーR2のON/OFFを制御することにより、第2電源回路3と電力系統PGとの接続(並列)/遮断(解列)を切り替えるように構成される。
分電盤C1は、電力系統PGから供給される電力を第1電源回路2と第2電源回路3との各々へ供給する。また、分電盤C1は、第1電源回路2及び第2電源回路3の少なくとも一方から供給された電力を、電力系統PG及び/又は建物300(分電盤C2)へ供給する。第1電源回路2が出力する交流電力と、第2電源回路3が出力する交流電力とは、電力系統PGが出力する交流電力とともに電線PGLに供給され、分電盤C2を介して、建物300内の配線に供給される。
GCU100は、複数種の充放電モード(第1モード及び第2モード)で充放電可能に構成される。GCU100は、第1モードと第2モードとを切替え可能に構成される。第1モードでは、給電対象と第2電源回路3との間で電力をやり取りする一方、給電対象と第1電源回路2との間では電力をやり取りしない。第1モードでは、GCU100が、リレーR1(第1リレー)をOFF状態(遮断状態)、かつ、リレーR2(第2リレー)をON状態(導通状態)にする。第2モードでは、給電対象と第1電源回路2及び第2電源回路3の各々との間で電力をやり取りする。第2モードでは、GCU100が、リレーR1(第1リレー)及びリレーR2(第2リレー)の両方をON状態(導通状態)にする。電源システム1は、第1モード及び第2モードのうち、選択された充放電モードで、給電対象(電線PGL)に対して給電を行なったり、電線PGLに接続された電力系統PGから電力の供給を受けたりする。
図10は、GCU100によって実行される給電開始制御に係る処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、所定の給電開始条件が成立すると、開始される。たとえば、GCU100がユーザ又はサーバ200から給電開始の指示を受けたときに、給電開始条件が成立してもよい。以下では、フローチャート中の各ステップを、単に「S」と表記する。
図1及び図2とともに図10を参照して、S11では、GCU100が第1閾値(以下、「Th1」と表記する)を設定する。図11は、S11(Th1設定処理)の詳細を示すフローチャートである。
図1及び図2とともに図11を参照して、S101では、DC電池の温度(より特定的には、後述する代表値)が所定の基準値以上であるか否かを、GCU100が判断する。上記基準値は、DC電池が劣化しやすくなる高温域の下限値に相当する。たとえば、予めユーザが実験で求めた値が、上記基準値として設定されてもよい。
この実施の形態では、第1電源回路2の電池ストリングSt1、St2、及びSt3に含まれる各電池Bが、DC電池に相当する。各DC電池の温度は、監視ユニットBS(図2)によって検出される。GCU100は、各DC電池について検出された温度の代表値(たとえば、平均値、中央値、又は最高値)を、上記DC電池の温度として扱う。
DC電池の温度が基準値以上である場合には(S101にてYES)、S102において、DC電池のSOC(より特定的には、後述する代表値)が所定の基準範囲内であるか否かを、GCU100が判断する。上記基準範囲は、DC電池が過放電になることなく給電を行なうことができるSOC範囲に相当する。たとえば、予めユーザが実験で求めた範囲が、上記基準範囲として設定されてもよい。基準範囲の一例としては、40%以上のSOC範囲が挙げられる。この実施の形態では、各DC電池のSOCが、監視ユニットBS(図2)によって検出される。GCU100は、各DC電池について検出されたSOCの代表値(たとえば、平均値、中央値、又は最高値)を、上記DC電池のSOCとして扱う。なお、DC電池の温度が基準値未満である場合にも(S101にてNO)、S103において、DC電池のSOCが上記基準範囲内であるか否かが判断される。S103の処理は、S102の処理と同じである。DC電池のSOCが上記基準範囲外であることは、DC電池の放電が行なわれたときにDC電池が過放電になってDC電池の劣化が進行し得ることを意味する。
DC電池の温度が上記基準値以上であり、かつ、DC電池のSOCが上記基準範囲外である場合(S101にてYESかつS102にてNO)には、GCU100が、S111において、Th1に所定値(以下、「X1」と表記する)を設定する。DC電池の温度が上記基準値以上であり、かつ、DC電池のSOCが上記基準範囲内である場合(S101及びS102の両方でYES)には、GCU100が、S112において、Th1に所定値(以下、「X2」と表記する)を設定する。S101においてYESと判断されることは、DC電池の温度がDC電池の劣化しやすい高温域に入っていることを意味する。
DC電池の温度が上記基準値未満であり、かつ、DC電池のSOCが上記基準範囲外である場合(S101及びS102の両方でNO)には、GCU100が、S113において、Th1に所定値(以下、「X3」と表記する)を設定する。DC電池の温度が上記基準値未満であり、かつ、DC電池のSOCが上記基準範囲内である場合(S101にてNOかつS102にてYES)には、GCU100が、S114において、Th1に所定値(以下、「X4」と表記する)を設定する。
上記X1~X4のうち、X1が最も大きく、X4が最も小さい。X2とX3とは同程度であってもよい。あるいは、X3よりもX2のほうが大きくてもよい。X1、X2、X3、及びX4の各々は、第1電源回路2のCレートで表わされてもよい。たとえば、X1、X2、X3、X4は、それぞれ1.5C、1.2C、1.0C、0.5Cであってもよい。上記S111~S114のいずれかにおいてTh1が設定されると、図11に示す一連の処理は終了し、処理は図10のS12に進む。
上記のように、GCU100は、DC電池の温度とDC電池のSOCとに基づいて、Th1(第1閾値)を設定するように構成される。この実施の形態では、図11に示した処理によって第1閾値が設定される。しかし、第1閾値の設定処理は、図11に示した処理に限られない。GCU100は、たとえばDC電池の温度及びSOCと第1閾値との関係を示すマップを用いて、DC電池の温度及びSOCに対応する第1閾値を設定してもよい。DC電池の温度が高くなるほど第1閾値が大きくなってもよい。また、DC電池のSOCが低くなるほど第1閾値が大きくなってもよい。また、GCU100は、DC電池の温度とDC電池のSOCとのいずれか一方のみに基づいて、Th1(第1閾値)を設定するように構成されてもよい。
再び図1及び図2とともに図10を参照して、S12では、GCU100が第1モードで給電対象に対する給電を開始する。具体的には、GCU100は、リレーR1、R2をそれぞれOFF状態、ON状態とした後、第2電源回路3から電線PGLへ三相交流電力(第2交流電力)を出力する。その後、GCU100は、S13において、給電電流がTh1を超えたか否かを判断する。給電電流は、電力センサC1bによって検出される。給電電流がTh1である間は(S13にてNO)、処理がS14に進む。S14では、第1モードでの給電が継続される。
給電電流が第1閾値を超えると(S13にてYES)、GCU100は、S15において、充放電モードを第1モードから第2モードに切り替える。そして、GCU100は、S16において、第2モードで給電対象に対する給電を実行する。具体的には、GCU100は、リレーR1及びR2の両方をON状態とした後、第1電源回路2及び第2電源回路3の両方から電線PGLへ三相交流電力(第1交流電力及び第2交流電力)を出力する。
上記S16で第2モードによる給電が開始されると、図10に示す一連の処理は終了する。開始された第2モードによる給電は、所定の給電停止条件が成立すると終了する。給電停止条件が成立するまでは、第2モードで給電が実行される。給電停止条件が成立した場合には、GCU100が、第1電源回路2及び第2電源回路3の各々からの交流電力の出力を停止する。たとえば、GCU100がユーザ又はサーバ200から給電停止の指示を受けたときに、給電停止条件が成立してもよい。ただしこれに限られず、給電停止条件は任意に設定できる。
図1に示したサーバ200は、必要に応じて、GCU100に電力系統PGの電力調整を要求する。サーバ200は、DR(デマンドレスポンス)を実施してもよい。サーバ200は、GCU100へ指令を送信することで、電力系統PGの電力調整が実行されるように第1電源回路2及び第2電源回路3の少なくとも一方の入出力電力をリモート制御する。
GCU100は、リモート制御が許可された状態(以下、「リモートON状態」とも称する)でサーバ200からの指令を受信すると、サーバ200からの指令に従って第1電源回路2及び第2電源回路3の少なくとも一方を制御する。詳しくは、上記指令は、入出力電流値を示す。入出力電流値は、入力電流値又は出力電流値である。上記指令が入力電流値を示す場合には、GCU100は、入力電流値に相当する電流が電力系統PGから電源システム1に入力されるように、リレーR1及びR2と第1電源回路2及び第2電源回路3の少なくとも一方とを制御する。上記指令が出力電流値を示す場合には、GCU100は、出力電流値に相当する電流が電源システム1から電力系統PGへ出力されるように、リレーR1及びR2と第1電源回路2及び第2電源回路3の少なくとも一方とを制御する。
他方、GCU100は、リモート制御が禁止された状態(以下、「リモートOFF状態」とも称する)でサーバ200からの指令を受信すると、サーバ200からの指令を受け付けない。リモート制御に関するGCU100の状態(リモートON状態/リモートOFF状態)は、ユーザによる設定に応じて切り替わってもよい。
図12は、リモートON状態のGCU100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、GCU100がリモートOFF状態からリモートON状態に切り替わると、開始される。
図1及び図2とともに図12を参照して、S21では、GCU100が第2閾値(以下、「Th2」と表記する)を設定する。Th2の設定方法は、前述したTh1の設定方法(図11参照)に準ずる方法であってもよい。ただし、上記のリモート制御では、放電だけでなく充電が行なわれることもある。このため、Th2の設定における基準範囲(図11のS102及びS103参照)は、DC電池が過放電及び過充電のいずれにもなることなく充放電を行なうことができるSOC範囲とされる。こうした基準範囲の一例としては、40%以上75%以下のSOC範囲が挙げられる。
続くS22では、GCU100が、サーバ200からの指令を受信したか否かを判断する。GCU100が上記指令を受信していない場合には(S22にてNO)、処理がS26に進む。S26では、リモート制御の終了条件が成立したか否かを、GCU100が判断する。そして、リモート制御の終了条件が成立しない場合には(S26にてNO)、処理がS22に戻る。たとえば、GCU100がリモートOFF状態になると、リモート制御の終了条件が成立する。また、サーバ200から終了通知を受信したときにも、リモート制御の終了条件は成立する。ただしこれに限られず、リモート制御の終了条件は任意に設定できる。
GCU100が上記指令を受信した場合には(S22にてYES)、GCU100は、S23において、指令が示す入出力電流値がTh2よりも大きいか否かを判断する。そして、指令が示す入出力電流値がTh2以下である場合には(S23にてNO)、GCU100は、S24において、第1モードで上記指令に従う入出力制御を実行する。具体的には、GCU100は、第1電源回路2からの交流電力の出力を停止し、リレーR1、R2をそれぞれOFF状態、ON状態とした後、第2電源回路3の入出力電流値が上記指令が示す入出力電流値になるように第2電源回路3を制御する。他方、指令が示す入出力電流値がTh2よりも大きい場合には(S23にてYES)、GCU100は、S25において、第2モードで上記指令に従う入出力制御を実行する。具体的には、GCU100は、リレーR1及びR2の両方をON状態とした後、第1電源回路2の入出力電流値と第2電源回路3の入出力電流値との合計が上記指令が示す入出力電流値になるように第1電源回路2及び第2電源回路3を制御する。第1電源回路2の入出力電流値、第2電源回路3の入出力電流値は、それぞれ電力センサC1a、C1bによって検出される。図12に示す処理では、指令が示す入出力電流値がTh2に一致する場合に、処理がS24に進むが、S24ではなくS25に進むように変更されてもよい。
S24又はS25において上記指令に従う入出力制御が実行されると、処理はS26に進む。リモート制御の終了条件が成立しない間は(S26にてNO)、サーバ200からの指令によるリモート制御(S22~S25)が継続される。そして、リモート制御の終了条件が成立すると(S26にてYES)、図12に示す一連の処理が終了する。
電源システム1による電力系統PGの電力調整は、外部からの指令によらないローカル制御によって実行されてもよい。GCU100は、電力系統PGの電力調整のための充放電計画を予めサーバ200から取得してもよい。充放電計画は、所定期間における充放電プロファイル(すなわち、電力系統PGに対する電源システム1の入出力電力の推移)を指示する情報である。そして、GCU100は、充放電計画の開始時刻が到来すると、充放電計画に従って第1電源回路2及び第2電源回路3の少なくとも一方の入出力電力を制御してもよい。
図13は、GCU100が所定の充放電計画に従って電力調整を行なうときに実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、充放電計画の開始時刻が到来すると、開始される。
図1及び図2とともに図13を参照して、S31では、GCU100が第3閾値(以下、「Th3」と表記する)を設定する。Th3の設定方法は、前述したTh1の設定方法(図11参照)に準ずる方法であってもよい。ただし、上記の電力調整では、放電だけでなく充電が行なわれることもある。このため、Th3の設定における基準範囲(図11のS102及びS103参照)は、DC電池が過放電及び過充電のいずれにもなることなく充放電を行なうことができるSOC範囲とされる。こうした基準範囲の一例としては、40%以上75%以下のSOC範囲が挙げられる。
続くS32では、GCU100が、電源システム1の入出力電流を取得する。この実施の形態では、電力センサC1aよって検出される第1電源回路2の入出力電流値と、電力センサC1bよって検出される第2電源回路3の入出力電流値との合計が、電源システム1の入出力電流に相当する。
S33では、上記S32で取得した電源システム1の入出力電流がTh3よりも大きいか否かを、GCU100が判断する。そして、電源システム1の入出力電流がTh3以下である場合には(S33にてNO)、GCU100は、S34において、第1モードで上記充放電計画に従う入出力制御を実行する。具体的には、GCU100は、第1電源回路2からの交流電力の出力を停止し、リレーR1、R2をそれぞれOFF状態、ON状態とした後、第2電源回路3の入出力電流値が上記充放電計画が示す入出力電流値になるように第2電源回路3を制御する。こうした制御により、第2電源回路3の入出力電力によって電力系統PGの電力調整が行なわれる。他方、電源システム1の入出力電流がTh3よりも大きい場合には(S33にてYES)、GCU100は、S35において、第2モードで上記充放電計画に従う入出力制御を実行する。具体的には、GCU100は、リレーR1及びR2の両方をON状態とした後、第1電源回路2の入出力電流値と第2電源回路3の入出力電流値との合計が上記充放電計画が示す入出力電流値になるように第1電源回路2及び第2電源回路3を制御する。こうした制御により、第1電源回路2の入出力電力と第2電源回路3の入出力電力との両方によって電力系統PGの電力調整が行なわれる。図13に示す処理では、電源システム1の入出力電流がTh3に一致する場合に、処理がS34に進むが、S34ではなくS35に進むように変更されてもよい。
S34又はS35において上記充放電計画に従う入出力制御が実行されると、処理はS36に進む。S36では、電力調整の終了条件が成立したか否かを、GCU100が判断する。電力調整の終了条件は、充放電計画の終了時刻が到来したときに成立する。電力調整の終了条件は、サーバ200から終了通知を受信したときにも成立してもよい。電力調整の終了条件が成立しない間は(S36にてNO)、上記充放電計画に従う入出力制御(S32~S35)が継続される。そして、電力調整の終了条件が成立すると(S36にてYES)、図13に示す一連の処理が終了する。
以上説明したように、この実施の形態に係る電源システム1は、給電対象(電線PGL)へ交流電力を出力するように構成される。電源システムは、第1電源回路2と、第2電源回路3と、GCU100(制御装置)とを備える。第1電源回路2は、直流電力用のDC電池ストリング(電池ストリングSt1,St2,St3)と、DC電池ストリングから出力される直流電力を交流電力に変換するインバータ(インバータ11,21,31)とを備え、DC電池ストリング及びインバータによって第1交流電力を出力するように構成される。第2電源回路3は、交流電力用のAC電池ストリング(電池ストリングSt4~St9)を備え、AC電池ストリングによって第2交流電力を出力するように構成される。GCU100は、第1電源回路2及び第2電源回路3を制御するように構成される。AC電池ストリング及びDC電池ストリングの各々は、直列に接続された複数の電池回路モジュールMを含む。複数の電池回路モジュールMの各々は、電池Bと、電池Bの電圧を出力する出力端子OT1及びOT2と、出力端子OT1及びOT2に接続されるとともに電池Bに並列に接続された第1スイッチ(SW51)と、電池Bに直列に接続された第2スイッチ(SW52)とを含み、第1スイッチが遮断状態かつ第2スイッチが導通状態であるときに出力端子OT1及びOT2間に電池Bの電圧が印加されるように構成される(図2参照)。GCU100は、第1モードで給電対象に対する第2交流電力の供給を開始し、給電電流が第1閾値を超えると、GCU100は、第1モードから第2モードに切り替え、第2モードで給電対象に第1交流電力及び第2交流電力を供給するように構成される(図10参照)。こうした電源システム1によれば、低レートの給電と高レートの給電との両方を好適に行なうことが可能になる。また、低レートの給電においてDC電池ストリングが使用されないため、DC電池ストリングに含まれる各電池の劣化が抑制される。
この実施の形態では、DC電池ストリングに含まれる電池のパワー密度が、AC電池ストリングに含まれる電池のパワー密度よりも高い。また、AC電池ストリングに含まれる電池のエネルギー密度は、DC電池ストリングに含まれる電池のエネルギー密度よりも高い。この実施の形態に係る電源システム1では、低レートの給電に高容量型電池を用いることで、長時間の給電にも対応しやすくなる。また、高レートの給電に高出力型電池を用いることで、高レートの給電を好適に行ないやすくなる。高容量型電池と高出力型電池とを組み合わせることで、高容量型電池だけで同じ給電性能を確保するよりも、必要電池量が少なくなり、電池コストの削減が図られる。
建物300に発電設備(たとえば、太陽光発電設備又は風力発電設備のような自然変動電源)が設けられてもよい。電源システム1は、発電設備で発電された余剰電力を所定の電池ストリングに蓄えるように構成されてもよい。また、電源システム1は、建物300からの要求に応じて、所定の電池ストリングから建物300へ電力を出力するように構成されてもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。