JP7461519B1 - ポリプロピレン系樹脂組成物及びその製造方法、並びに射出成形品 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、そのゴム相の濃度を高めると、恐らくはゴム相に由来する成分が射出成形品の使用時に溶出する懸念がある。
[1] プロピレン重合体(a1)からなる連続相と、エチレンと炭素数3~10のαオレフィンとの共重合体(a2)からなるゴム相とを含むポリプロピレン系樹脂(A)、
エチレンと炭素数3~10のαオレフィンとの共重合体である任意成分のエチレン・αオレフィン共重合体(B)、及び無機フィラー(C)を含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、
前記ポリプロピレン系樹脂組成物の総質量に対して、
前記ポリプロピレン系樹脂(A)の含有割合が、45~93質量%であり、
前記エチレン・αオレフィン共重合体(B)の含有割合が、0~20質量%であり、
前記無機フィラー(C)の含有割合が、7~55質量%であり、
前記ポリプロピレン系樹脂組成物の温度230℃、荷重2.16kgでのMFRが10~130g/10分であり、
前記プロピレン重合体(a1)の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率(Mw/Mn)が4~10であり、
前記プロピレン重合体(a1)中のエチレン由来単位含有量が、前記プロピレン重合体(a1)の総質量に対して0.5質量%以下であり、
前記共重合体(a2)の含有量が、前記ポリプロピレン系樹脂(A)の総質量に対して25~45質量%であり、
前記共重合体(a2)中のエチレン由来単位含有量が、前記共重合体(a2)の総質量に対して20~50質量%であり、
前記ポリプロピレン系樹脂(A)のキシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が1.2~7.0dl/gであり、
前記ポリプロピレン系樹脂(A)の温度230℃、荷重2.16kgでのMFRが10~130g/10分である、ポリプロピレン系樹脂組成物。
[2] 前記プロピレン重合体(a1)と、前記共重合体(a2)とは重合によって混合され、前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、下記(ア)~(ウ)の成分を含む触媒を用いて製造された重合混合物である、[1]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
(ア)マグネシウム、チタン、ハロゲン、及び電子供与体化合物としてのフタレート系化合物を含有する固体触媒
(イ)有機アルミニウム化合物
(ウ)外部電子供与体化合物である有機ケイ素化合物
[3] [1]又は[2]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、下記(ア)~(ウ)の成分を含む触媒を用いて、前記プロピレン重合体(a1)の存在下で、エチレン単量体及び炭素数3~10のαオレフィン単量体を重合して前記ポリプロピレン系樹脂(A)を得る工程を有する、ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
(ア)マグネシウム、チタン、ハロゲン、及び電子供与体化合物としてのフタレート系化合物を必須成分として含有する固体触媒
(イ)有機アルミニウム化合物
(ウ)外部電子供与体化合物である有機ケイ素化合物
[4] [1]又は[2]に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の射出成形品。
[5] 最も薄肉の部分の厚さが1mm以下である、[4]に記載の射出成形品。
[6] 容器の形状に成形されており、前記容器の側壁の厚さが0.1~1mmである、[4]又は[5]に記載の射出成形品。
[7] -10℃以下の低温環境下で使用される用途の[4]~[6]の何れか一項に記載の射出成形品。
[8] 食品に接する、容器又は包装体として使用される用途の[4]~[7]の何れか一項に記載の射出成形品。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、薄肉射出成形に適している。
本発明の射出成形品は、上記の機械物性のバランスに優れるので、食品包装用途(容器・ドリンクカップ等)に特に適している。また、食品包装用途以外にも、例えば、雑貨、日用品、家電部品、電機電子部品、自動車部品、筐体部材、玩具部材、家具部材、建材部材、包装部材、工業資材、物流資材、農業資材等の用途に使用してもよい。
本発明の第一態様は、プロピレン重合体(以下、成分(a1)ともいう)からなる連続相と、エチレンと炭素数3~10のαオレフィンとの共重合体(以下、成分(a2)ともいう)からなるゴム相とを含むポリプロピレン系樹脂(A)(以下、成分(A)ともいう)を含有し、さらに、エチレンと炭素数3~10のαオレフィンとの共重合体である任意成分のエチレン・αオレフィン共重合体(B)(以下、成分(B)ともいう)、及び無機フィラー(C)(以下、成分(C)ともいう)を含有する、ポリプロピレン系樹脂組成物である。
成分(B)は任意成分であり、本態様のポリプロピレン系樹脂組成物に含まれてもよいし、含まれていなくてもよい。
前記範囲の下限値以上であれば、成形性が高まる。
前記範囲の上限値以下であれば、成分(C)を充分に含有することができる。
(B)成分を含有すると、射出成形品の耐衝撃性が高まる。
前記範囲の上限値以下であると、射出成形品の剛性が高まる。
(C)成分を含有することにより、焼却処分時のCO2排出量を削減することができる。
前記範囲の下限値以上であると、射出成形品の剛性が高まる。
前記範囲の上限値以下であると、射出成形品の耐衝撃性が高まる。
前記範囲の下限値以上であると、薄肉射出成形の際にも成形型内への充填不良が発生し難く、ハイサイクル(高速)の成形にも対応することができる。
前記範囲の上限値以下であると、射出成形品の耐衝撃性を高めることができる。
本態様のポリプロピレン系樹脂組成物に含有されるポリプロピレン系樹脂(A)は、JIS K6921-1で規定される耐衝撃性ポリプロピレンポリマーの一態様であり、プロピレン重合体(成分(a1))の連続相と、その連続相の中に分散相として存在するエチレン・αオレフィン共重合体(成分(a2))のゴム相を含む二つ以上の相で構成される。
ポリプロピレン系樹脂(A)は、成分(a1)と成分(a2)とが重合時に混合された混合樹脂であってもよいし、別々に得られた成分(a1)と成分(a2)とが、溶融混練によって混合された混合樹脂であってもよい。剛性と低温耐衝撃性と引張特性とのバランス(以下「機械物性バランス」ともいう。)に優れるものがより安価で得られることから、成分(a1)と成分(a2)とが重合時に混合されたもの(重合混合物)であることが好ましい。
重合混合物では、成分(a1)と成分(a2)とがサブミクロンオーダーで混じり合うことが可能であるため、重合混合物をベースとしたポリプロピレン系樹脂組成物は、優れた機械物性バランスを示す。
一方、別々に得られた成分(a1)と成分(a2)とを溶融混練して得た単なる機械混合物で同様な均一混合を実現して優れた機械物性バランスを得る場合には、貯蔵・保管・移送・計量・混合・溶融混練等の別工程を経る必要性から製造コストが高くなる。エネルギーコストの観点からも好ましくない。
なお、前記重合混合物と機械混合物とが異なる物性を示す場合があるのは、成分(a1)中の成分(a2)の分散状態が異なっているためと推測されるが、成分(a2)の成分(a1)との界面の状態を含めた分子レベルでの分散状態を分析する現実的手段は現状知られていない。ポリプロピレン系樹脂(A)の製造方法については後で詳しく説明する。
上記範囲であると、射出成形品の耐衝撃性が高まる。
ここで、XSIVは、135℃のテトラヒドロナフタレン中での測定値である。キシレン可溶分は、ポリプロピレン系樹脂の試料をo-キシレン中、135℃で溶解させた後、25℃に冷却し、その冷却した溶液を、濾紙を用いて濾過し、濾液を蒸発乾固して得られる成分である。
ここで、プロピレン重合体の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した値であり、具体的には後述する方法で測定された値である。
C2-a1が前記上限値以下であると、射出成形品の剛性が高まる。C2-a1の下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。
本実施形態のプロピレン重合体は、プロピレン由来単位のみからなるポリプロピレンホモポリマーであってもよく、99.5質量%以上100質量%未満のプロピレン由来単位と0質量%超0.5質量%以下のエチレン由来単位とからなる共重合体であってもよい。
C2-a1は、13C-NMR法によって測定される。
成分(a2)中のエチレン由来単位含有量は、成分(a2)の総質量に対して、20~50質量%であり、25~45質量%が好ましく、30~40質量%がより好ましく、30~35質量%がさらに好ましい。
前記範囲の下限値以上であると、射出成形品の耐衝撃性が高まる。
前記範囲の上限値以下であると、射出成形品の食品衛生性が高まる(n-ヘプタンへの溶出量を充分に低減できる)。
成分(a2)中のエチレン由来単位含有量は、13C-NMR法によって測定される。
前記範囲の下限値以上であると、射出成形品の耐衝撃性が高まる。
前記範囲の上限値以下であると、ポリプロピレン系樹脂(A)製造時に粉体流動性悪化により生産設備上での流路が閉塞するリスクを低減できるので、ポリプロピレン系樹脂(A)を安定的に連続生産することができる。
具体的な成分(a2)としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ペンテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体等が挙げられる。
これらの中でも、ポリプロピレン系樹脂(A)の生産性向上を考慮すると、エチレン・プロピレン共重合体が好ましい。
前記範囲の下限値以上であると、薄肉射出成形の際にも成形型内への充填不良が発生し難く、ハイサイクル(高速)の成形にも対応することができる。
前記範囲の上限値以下であると、射出成形品の耐衝撃性を高めることができる。
エチレン・αオレフィン共重合体(B)は、エチレンと炭素数3~10のαオレフィンとの共重合体である。αオレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等が挙げられる。
具体的なエチレン・αオレフィン共重合体(B)としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・ペンテン共重合体、エチレン・ヘキセン共重合体、エチレン・オクテン共重合体等が挙げられる。
これらの中でも、原料としての調達容易性や経済性等を考慮すると、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、またはエチレン・オクテン共重合体が好ましい。
前記範囲の下限値以上であると、前記ポリプロピレン系樹脂組成物の流動性が高まる。
前記範囲の上限値以下であると、前記ポリプロピレン系樹脂組成物におけるブロッキングの発生を抑制し、当該組成物の連続生産性を高めることができる。また、射出成形品の耐衝撃性および剛性が高まる。
無機フィラー(C)としては、例えば、タルク、カオリナイト、クレー、バイロフィライト、セリナイト、ウォラストナイト、マイカのような天然珪酸または珪酸塩;含水珪酸カルシウム、含水珪酸アルミニウム、含水珪酸、無水珪酸のような合成珪酸または珪酸塩;沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムのような炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムのような水酸化物;酸化亜鉛、酸化マグネシウムのような酸化物が挙げられる。
また、無機フィラーとしては形状の観点から、例えば、以下のものが挙げられる。
含水珪酸カルシウム、含水珪酸アルミニウム、含水珪酸、無水珪酸のような合成珪酸または珪酸塩のような粉末状充填剤;タルク、カオリナイト、クレー、マイカのような板状充填剤;塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、セピオライト、PMF(Processed Mineral
Filler)、ゾノトライト、チタン酸カリウム、およびエレスタダイトのようなウィスカー状充填剤;ガラスバルン、フライアッシュバルンのようなバルン状充填剤;ガラスファイバーのような繊維状充填剤。
無機フィラーとして1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの充填剤の分散性を向上させるため、必要に応じて無機フィラーの表面処理を行ってもよい。
本発明に用いる無機フィラーは制限されないが、射出成形品においてポリプロピレン結晶の配向を促進することにより機械物性バランスを高める観点から、板状無機フィラーが好ましい。
板状無機フィラーとしてはタルク、カオリナイト、クレー、マイカ等の公知のものを使用できるが、ポリプロピレン系樹脂との親和性や原料としての調達容易性や経済性等を考慮すると、好ましくはタルク、マイカであり、さらに好ましくはタルクである。
本態様のポリプロピレン系樹脂組成物は、成分(A)~(C)以外に、プロピレン系ワックス(以下、成分(D)の1種以上を含んでも構わない。
本態様のポリプロピレン系樹脂組成物の総質量に対する成分(D)の含有量は、例えば、1~10質量%とすればよい。
成分(D)の融点は100℃以上が好ましい。融点はDSCを用いて測定される。
本態様のポリプロピレン系樹脂組成物は、任意成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリプロピレン系樹脂(A)、エチレン・αオレフィン共重合体(B)、及び無機フィラー(C)以外の添加剤が含まれてもよい。
前記添加剤としては、例えば、酸化防止剤、中和剤、核剤、耐候剤、顔料(有機または無機)、内部滑剤および外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、塩素吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、スリップ剤、防曇剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、可塑剤、発泡剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物、油展等が挙げられる。これらの添加剤は1種のみでもよいし、2種以上でもよい。含有量は公知の量としてよい。
本発明の第二態様は、後述の(ア)~(ウ)の成分を含む触媒を用いて、前記プロピレン重合体(a1)の存在下で、エチレン単量体及び炭素数3~10のαオレフィン単量体を重合して前記ポリプロピレン系樹脂(A)を得る工程を有する、ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法である。
混合方法としては、ヘンシェルミキサー、タンブラーおよびリボンミキサー等の混合機を使用してドライブレンドする方法が挙げられる。
溶融混練方法としては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等の混合機を用いて溶融しながら混合する方法が挙げられる。溶融混練する場合の溶融温度は160~350℃であることが好ましく、170~260℃であることがより好ましい。溶融混練した後でさらにペレット化してもよい。
無機フィラー(C)は、ポリプロピレンやポリエチレンなどをベース樹脂とするマスターバッチとして、(A)と(B)が溶融混錬されたペレットに対して成形直前にドライブレンドしてもよい。この場合、成形品の用途に応じて樹脂組成物中の無機フィラー(C)の含有割合を容易に調整できるメリットがあるが、マスターバッチ中のベース樹脂の影響やフィラーの分散状態悪化に起因する機械物性バランスの低下が懸念されるとともに、マスターバッチの製造コストが発生することから、無機フィラー(C)のみを(A)及び(B)と溶融混錬することが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(A)は、プロピレン重合体(成分(a1))とエチレン・αオレフィン共重合体(成分(a2))とを重合時に混合して得てもよいし、別々に製造された成分(a1)と成分(a2)とを溶融混練によって混合して得てもよい。
ポリプロピレン系樹脂(A)は、成分(a1)と成分(a2)とが重合時に混合された重合混合物であることが好ましい。
このような重合混合物は、成分(a1)の存在下で、エチレン単量体及びαオレフィン単量体を重合することにより得られる。この方法によれば、生産性が高くなる上に、成分(a1)中の成分(a2)の分散性が高くなるため、これを用いて得た射出成形品の機械物性バランスが向上する。
重合条件は、公知の重合条件と同様であってよい。例えば一段目の重合条件としては、プロピレンが液相でモノマー密度と生産性の高いスラリー重合法が挙げられる。二段目の重合条件としては、一般的にプロピレンへの溶解性が高い共重合体の製造が容易な気相重合法が挙げられる。
重合温度は50~90℃が好ましく、60~90℃がより好ましく、70~90℃がさらに好ましい。該重合温度が上記範囲の下限値以上であると、生産性及び得られたポリプロピレンの立体規則性がより優れる。
重合圧力は、液相中で行われる場合には25~60bar(2.5~6.0MPa)が好ましく、33~45bar(3.3~4.5MPa)がより好ましい。気相中で行われる場合には、5~30bar(0.5~3.0MPa)が好ましく、8~30bar(0.8~3.0MPa)がより好ましい。
重合(プロピレン単量体の重合、エチレン単量体及びプロピレン単量体等の重合)は、通常、触媒を用いて行われる。重合の際、必要に応じて、分子量の調整のために、水素が添加されてもよい。プロピレン重合体やエチレン・プロピレン共重合体の分子量を調整することで、ポリプロピレン系樹脂(A)のMFR、ひいてはポリプロピレン系樹脂組成物のMFRを調整できる。
一段目の重合反応器での重合の前に、その後の本重合の足がかりとなるポリマー鎖を固体触媒成分に形成させるために、プロピレンの予重合を行ってもよい。予重合は、通常は40℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下で行われる。
前記プロピレン重合体の存在下でエチレン単量体及びプロピレン単量体を重合する際の触媒としては、立体特異性チーグラー・ナッタ触媒が好ましく、以下の成分(ア)と成分(イ)と成分(ウ)とを含む触媒(以下、「触媒(X)」ともいう。)が特に好ましい。
(ア)マグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与体化合物としてフタレート系化合物を必須成分として含有する固体触媒。
(イ)有機アルミニウム化合物。
(ウ)外部電子供与体化合物である有機ケイ素化合物。
なお、使用する触媒(特に成分(ア)の電子供与体化合物)によって得られるプロピレン重合体の分子量や立体規則性の分布は異なり、その違いは結晶化挙動等に影響を与えるが、その関係性についての詳細が明らかになっていない。これを明らかにしようとする場合、分子構造として分子量分布と立体規則性分布を併せて解析する必要があるが、結晶化過程において分子量と立体規則性が異なる成分同士が影響を及ぼし合うため複雑であり、立体規則性の分布が結晶化挙動に及ぼす影響についての解釈をより困難にしている。さらに、実際の射出成形は非常に高速でかつ流動状態にて実施されるので、たとえ高度な解析技術を用いてもその現象を把握することは容易ではない。よって、特定の触媒を用いて得られたポリプロピレン系樹脂組成物において、立体規則性の分布による結晶化挙動の違いを数値等で特定することはおよそ不可能である。分子量分布や立体規則性分布は、上述した触媒の種類以外に溶融混錬時の熱劣化や過酸化物処理等によっても変化する。
成分(ア)に用いられるチタン化合物として、一般式:Ti(OR)gX4-g(Rは炭化水素基、Xはハロゲン、0≦g≦4)で表される4価のチタン化合物が好適である。
炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等が挙げられ、ハロゲンとしては、Cl、Br等が挙げられる。
より具体的なチタン化合物としては、TiCl4、TiBr4、TiI4のようなテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC2H5)Cl3、Ti(On-C4H9)Cl3、Ti(OC2H5)Br3、Ti(O-isoC4H9)Br3のようなトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH3)2Cl2、Ti(OC2H5)2Cl2、Ti(On-C4H9)2Cl2、Ti(OC2H5)2Br2のようなジハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH3)3Cl、Ti(OC2H5)3Cl、Ti(On-C4H9)3Cl、Ti(OC2H5)3Brなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OCH3)4、Ti(OC2H5)4、Ti(On-C4H9)4のようなテトラアルコキシチタン等が挙げられる。これらチタン化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記チタン化合物の中で好ましいものはハロゲン含有チタン化合物であり、より好ましくはテトラハロゲン化チタンであり、特に好ましくは四塩化チタン(TiCl4)である。
フタレート系化合物としては、例えば、モノエチルフタレート、ジメチルフタレート、メチルエチルフタレート、モノイソブチルフタレート、モノノルマルブチルフタレート、ジエチルフタレート、エチルイソブチルフタレート、エチルノルマルブチルフタレート、ジn-プロピルフタレート、ジイソプロピルフタレート、ジn-ブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジn-ヘプチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジn-オクチルフタレート、ジネオペンチルフタレート、ジデシルフタレート、ベンジルブチルフタレート、ジフェニルフタレート等が挙げられる。中でもジイソブチルフタレートが特に好ましい。
また、1,3-ジエーテル系化合物のさらなる具体例としては、以下が挙げられる。
1,1-ビス(メトキシメチル)-シクロペンタジエン;1,1-ビス(メトキシメチル)-2,3,4,5-テトラメチルシクロペンタジエン;1,1-ビス(メトキシメチル)-2,3,4,5-テトラフェニルシクロペンタジエン;
1,1-ビス(メトキシメチル)-2,3,4,5-テトラフルオロシクロペンタジエン;
1,1-ビス(メトキシメチル)-3,4-ジシクロペンチルシクロペンタジエン;1,1-ビス(メトキシメチル)インデン;
1,1-ビス(メトキシメチル)-2,3-ジメチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4,5,6,7-テトラヒドロインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-2,3,6,7-テトラフルオロインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4,7-ジメチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-3,6-ジメチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4-フェニルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4-フェニル-2-メチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4-シクロヘキシルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-(3,3,3-トリフルオロプロピル)インデン;
1,1-ビス(メトキシメチル)-7-トリメチルシリルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-トリフルオロメチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-4,7-ジメチル-4,5,6,7-テトラヒドロインデン;
1,1-ビス(メトキシメチル)-7-メチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-シクロペンチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-イソプロピルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-シクロヘキシルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-tert-ブチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-tert-ブチル-2-メチルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-7-フェニルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-2-フェニルインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-1H-ベンズインデン;1,1-ビス(メトキシメチル)-1H-2-メチルベンズインデン;9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン;
9,9-ビス(メトキシメチル)-2,3,6,7-テトラメチルフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-2,3,4,5,6,7-ヘキサフルオロフルオレン;
9,9-ビス(メトキシメチル)-2,3-ベンゾフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-2,3,6,7-ジベンゾフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-2,7-ジイソプロピルフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-1,8-ジクロロフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-2,7-ジシクロペンチルフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-1,8-ジフルオロフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-1,2,3,4-テトラヒドロフルオレン;9,9-ビス(メトキシメチル)-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロフルオレン;
9,9-ビス(メトキシメチル)-4-tert-ブチルフルオレン。
好ましい有機ケイ素化合物として、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo-トリルジメトキシシラン、ビスm-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ-クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、iso-ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2-ノルボルナントリメトキシシラン、2-ノルボルナントリエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン、メチル(3,3,3-トリフルオロ-n-プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロペンチル-t-ブトキシジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、ジ-n-プロピルジメトキシシラン、t-ブチルエチルジメトキシシラン、t-ブチルプロピルジメトキシシラン、t-ブチル-t-ブトキシジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、ジ-sec-ブチルジメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、ビス(デカヒドロイソキノリン-2-イル)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ジシクロペンチル-ビス(エチルアミノ)シラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、t-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルセク-ブチルジメトキシシラン、エチル(パーヒドロイソキノリン2-イル)ジメトキシシラン、トリ(イソプロペニロキシ)フェニルシラン、i-ブチルi-プロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルi-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルi-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソプロピルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシラン、p-トリルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、エチルトリエトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-ブチルエチルジメトキシシラン、t-ブチルプロピルジメトキシシラン、t-ブチルt-ブトキシジメトキシシラン、t-ブチルトリメトキシシラン、i-ブチルトリメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、i-ブチルセク-ブチルジメトキシシラン、エチル(パーヒドロイソキノリン2-イル)ジメトキシシラン、ビス(デカヒドロイソキノリン-2-イル)ジメトキシシラン、トリ(イソプロペニロキシ)フェニルシラン、テキシルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、i-ブチルi-プロピルジメトキシシラン、シクロペンチルt-ブトキシジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルi-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルi-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソプロピルジメトキシシラン、ジ-sec-ブチルジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、p-トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、2-ノルボルナントリエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチル(3、3、3-トリフルオロ-n-プロピル)ジメトキシシラン、ケイ酸エチル等が好ましい。
上記成分(ウ)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
内部電子供与体化合物としてフタレート系化合物を用いる場合は、重合温度を上げるとキシレン不溶分が増加するので、好ましい有機ケイ素化合物と有機アルミニウム化合物とのモル比(有機ケイ素化合物/有機アルミニウム)の下限および上限が低下する。具体的には、フタレート系化合物を用いて80℃で重合する場合の前記モル比の下限は、0.010が好ましく、0.015がより好ましく、0.018がさらに好ましい。前記モル比の上限は、0.20が好ましく、0.14がより好ましく、0.08がさらに好ましい。
前記重合混合物を得る方法として、単量体濃度や重合条件の勾配を有する重合器を用いて行う方法も挙げられる。このような重合器では、例えば、少なくとも2つの重合領域が接合されたものを使用し、気相重合でモノマーを重合することができる。
具体的には、触媒の存在下、上昇管からなる重合領域にてモノマーを供給して重合し、上昇管に接続された下降管にてモノマーを供給して重合し、上昇管と下降管とを循環しながら、重合生成物を回収する。この方法では、上昇管中に存在する気体混合物が下降管に入るのを全面的又は部分的に防止する手段を備える。また、上昇管中に存在する気体混合物とは異なる組成を有する気体及び/又は液体混合物を下降管中に導入する。この重合方法は、例えば、特表2002-520426号公報に記載された方法を適用することができる。
エチレン・αオレフィン共重合体(B)は、重合の際にメタロセン触媒又はハーフメタロセン触媒を用いる公知の方法(例えば、国際公開WO2006/102155号に記載の方法)によって製造することができる。
前記重合の際に、連鎖移動剤(例えば、水素またはジエチル亜鉛)等の公知の分子量自動調整剤を使用してもよい。
本発明の第三態様は、第一態様のポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形した射出成形品である。
射出成形温度は一般的には150~350℃、好ましくは170~250℃で実施される。成形温度が350℃を超えると、樹脂組成物の劣化及び成形不良の原因となり、150℃より低いと流動性が低下することで金型内への充填不足による外観不良や成形不良が発生する。金型温度については、10~60℃の範囲で行うことが好ましい。金型温度が60℃を超えると成形体の表面仕上げ度が優れ、剛性に優れた成形体が得られるものの、成形サイクルが長くなり生産性が低下する。逆に、金型温度を10℃より低温に設定すると反りや収縮などが顕著になり、満足な成形体が得られにくくなるばかりか、金型に結露が生じやすくなるために金型腐食を進行させる原因となる。冷却に関わるエネルギーコストの観点からも適さない。
前記ポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形品について、後述するn-ヘプタン溶出試験によって求められる蒸発残留物の量は、30μg/ml以下が好ましく、20μg/ml以下がより好ましく、10μg/ml以下がさらに好ましい。
MgCl2上にTiCl4と内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを担持させた固体触媒を、欧州特許第728769号公報の実施例5の46~53行に記載された方法により調製した。具体的には下記のように行った。
微小長球形MgCl2・2.1C2H5OHを、次のようにして製造した。タービン撹拌機および吸引パイプを備えた2Lオートクレーブ中に、不活性ガス中、常温で、無水MgCl2 48g、無水C2H5OH 77g、および灯油830mLを入れた。内容物を撹拌しながら120℃に加熱することにより、MgCl2とアルコールの間の付加物が生じたが、この付加物を融解し、分散剤と混合した。オートクレーブ内の窒素圧を15気圧に維持した。オートクレーブの吸引パイプを加熱ジャケットを用いて外部から120℃に加熱した。吸引パイプは内径が1mmで、加熱ジャケットの一端から他端までの長さが3mであった。このパイプを通して混合物を7m/secの速度で流した。パイプの出口にて、灯油2.5Lを含み、初期温度を-40℃に維持したジャケットで外部から冷却されている5Lフラスコ中に、分散液を撹拌しながら採取した。分散液の最終温度は0℃であった。エマルションの分散相を構成する球状固体生成物を沈降させ、濾過して分離し、ヘプタンで洗浄して乾燥した。これらの操作はすべて不活性ガス雰囲気中で行った。最大直径が50μm以下の固体球状粒子形のMgCl2・3C2H5OHを得た。収量は130gであった。こうして得られた生成物から、MgCl2 1モルあたりのアルコール含有量が2.1モルに減少するまで、窒素気流中で温度を50℃から100℃に徐々に上昇してアルコールを除去した。
10.1g(54mmol)を、内容物を撹拌しながら15分間かけて入れた。その後、温度を40℃に上げフタル酸ジイソブチル9mmolを入れた。温度を1時間かけて100℃に上げ、撹拌をさらに2時間続行した。次いで、TiCl4を濾過により除去し、120℃でさらに1時間撹拌しながらTiCl4 200mLを加えた。最後に、内容物を濾過し、濾液から塩素イオンが完全に消失するまで60℃のn-ヘプタンで洗浄した。このようにして得た触媒成分は、Ti=3.3重量%、フタル酸ジイソブチル=8.2重量%を含んでいた。
ここで得た固体触媒を用いた試験例について、表1では「Pht-1」と記載した。
上記で調製した固体触媒である「Pht-1」と、有機アルミニウム化合物としてトリエチルアルミニウム(TEAL)と、外部電子供与体化合物としてジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を用い、固体触媒に対するTEALの質量比が20、TEAL/DCPMSの質量比が10(上述した有機ケイ素化合物/有機アルミニウムのモル比に換算すると0.05)となるような量で、12℃において24分間接触させた。
得られた触媒(X)を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃にて5分間保持することによって予重合を行った。
得られた予重合物を、二段の重合反応器を直列に備える重合装置の一段目の重合反応器に導入し、プロピレンを供給してプロピレン単独重合体を製造した。続いて、二段目の重合反応器に、プロピレン単独重合体、プロピレン及びエチレンを供給してエチレン-プロピレン共重合体を製造した。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。
重合温度と反応物の比率は、一段目の反応器では、重合温度、水素濃度が、それぞれ70℃、2.88モル%、二段目の反応器では、重合温度、水素濃度、エチレンとプロピレンとの合計に対するエチレンの割合が、それぞれ80℃、2.69モル%、0.28モル比であった。また、エチレン-プロピレン共重合体の量が28質量%となるように一段目と二段目の重合時間を調整した。以上の方法により、目的の共重合体A-1を得た。
得られた共重合体A-1は、連続相を構成するプロピレン重合体である成分(a1)とゴム相を構成するエチレン・プロピレン共重合体である成分(a2)との重合混合物であり、前述のポリプロピレン系樹脂(A)である。
特表2011-500907号公報の実施例に記載の調製法に従い、固体触媒を以下の手順で調製した。
窒素でパージした500mLの4つ口丸底フラスコ中に、250mLのTiCl4を0℃において導入した。撹拌しながら、10.0gの微細球状MgCl2・1.8C2H5OH(USP-4,399,054の実施例2に記載の方法にしたがって、ただし10000rpmに代えて3000rpmで運転して製造した)、及び9.1ミリモルのジエチル-2,3-(ジイソプロピル)スクシネートを加えた。温度を100℃に上昇させ、120分間保持した。次に、撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。次に、以下の操作を2回繰り返した:250mLの新しいTiCl4を加え、混合物を120℃において60分間反応させ、上澄み液を吸い出した。得られた固体触媒を、60℃において無水ヘキサン(6×100mL)で6回洗浄した。
ここで得た固体触媒を用いた試験例について、表1では「Suc」と記載した。
上記で調製した固体触媒である「Suc」と、TEAL及びDCPMSを、固体触媒に対するTEALの質量比が18であり、TEAL/DCPMSの質量比が10となるような量で、室温において5分間接触させた。得られた触媒を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予重合を行った。
得られた予重合物を、二段の重合反応器を直列に備える重合装置の一段目の重合反応器に導入し、プロピレンを供給してプロピレン単独重合体を製造した。続いて、二段目の重合反応器に、プロピレン単独重合体、プロピレン及びエチレンを供給してエチレン-プロピレン共重合体を製造した。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。
重合温度と反応物の比率は、一段目の反応器では、重合温度、水素濃度が、それぞれ80℃、1.51モル%、二段目の反応器では、重合温度、水素濃度、エチレンとプロピレンとの合計に対するエチレンの割合が、それぞれ80℃、2.69モル%、0.27モル比であった。また、質量比 成分(a2)/[成分(a1)+成分(a2)]が27質量%となるように一段目と二段目の重合時間を調整した。以上の方法により、表1に示す共重合体A-2を得た。共重合体A-1と同様に測定した結果を表1に示す。
上記で調製した固体触媒である「Pht-1」を用い、共重合体A-1と同様の製造方法にて、表1に記載した共重合体A-3を得た。ただし、一段目の反応器の水素濃度を2.40モル%、二段目の反応器の水素濃度とエチレンとプロピレンとの合計に対するエチレンの割合を、それぞれ2.04モル%と0.20モル比に変更するとともに、成分(a2)/[成分(a1)+成分(a2)]の質量比が35質量%となるように一段目と二段目の重合時間を調整した。
上記で調製した固体触媒である「Pht-1」を用い、共重合体A-1と同様の製造方法にて、表1に記載した共重合体A-4を得た。ただし、一段目の反応器の水素濃度を3.00モル%、二段目の反応器のエチレンとプロピレンとの合計に対するエチレンの割合を0.44モル比に変更するとともに、成分(a2)/[成分(a1)+成分(a2)]の質量比が35質量%となるように一段目と二段目の重合時間を調整した。
上記で調製した固体触媒である「Pht-1」を用い、共重合体A-4と同様の製造方法にて、表1に記載した共重合体A-5を得た。ただし、二段目の反応器のエチレンとプロピレンとの合計に対するエチレンの割合を0.53モル比に変更した。
MgCl2上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを担持した固体触媒を、特開2004-27218公報の段落0032の21~36行に記載された方法により調製した。具体的には下記のように行った。
窒素雰囲気下、120℃にて、無水塩化マグネシウム56.8gを、無水エタノール100g、出光興産株式会社製のワセリンオイル「CP15N」500mLおよび信越シリコーン株式会社製のシリコーン油「KF96」500mLに完全に溶解した。この溶液を、特殊機化工業株式会社製のTKホモミキサーを用いて120℃、5000回転/分で2分間撹拌した。撹拌を保持しながら、2Lの無水ヘプタン中に0℃を越えないようにして注いだ。得られた白色固体を無水ヘプタンで十分に洗浄し室温下で真空乾燥し、さらに窒素気流下で部分的に脱エタノール化し、MgCl2・1.2C2H5OHの球状固体30gを得た。
上記球状固体30gを無水ヘプタン200mL中に懸濁した。0℃で撹拌しながら、四塩化チタン500mLを1時間かけて滴下した。次に、加熱を始めて40℃になったところで、フタル酸ジイソブチル4.96gを加えて、100℃まで約1時間で昇温した。100℃で2時間反応した後、熱時濾過にて固体部分を採取した。その後、この反応物に四塩化チタン500mLを加え撹拌した後、120℃で1時間反応を行った。反応終了後、再度、熱時濾過にて固体部分を採取し、60℃のヘキサン1.0Lで7回、室温のヘキサン1.0Lで3回洗浄して固体触媒を得た。得られた固体触媒成分中のチタン含有率を測定したところ、2.36質量%であった。
ここで得た固体触媒を用いた試験例について、表1では「Pht-2」と記載した。
上記で調製した固体触媒である「Pht-2」を用いた以外は共重合体A-1と同様の製造方法にて、表1に記載した共重合体A-6を得た。ただし、一段目の反応器の水素濃度を1.90モル%、二段目の反応器の水素濃度とエチレンとプロピレンとの合計に対するエチレンの割合をそれぞれ1.88モル%と0.46モル比に変更するとともに、成分(a2)/[成分(a1)+成分(a2)]の質量比が15質量%となるように一段目と二段目の重合時間を調整した。
上記で調製した固体触媒である「Pht-2」を用いた以外は共重合体A-1と同様の製造方法にて、表1に記載した共重合体A-7を得た。ただし、一段目の反応器の水素濃度を0.42モル%、二段目の反応器の水素濃度とエチレンとプロピレンとの合計に対するエチレンの割合をそれぞれ1.44モル%と0.44モル比に変更するとともに、成分(a2)/[成分(a1)+成分(a2)]の質量比が20質量%となるように一段目と二段目の重合時間を調整した。
一段目の反応器で重合した成分(a1)を採取した試料2.5gを測定試料とし、以下のように、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)の測定を行い、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除して分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
装置としてポリマーラボラトリーズ社製PL GPC220を使用し、酸化防止剤を含む1,2,4-トリクロロベンゼンを移動相とし、カラムとして昭和電工社製UT-G(1本)、UT-807(1本)、UT-806M(2本)を直列に接続したものを使用し、検出器として示差屈折率計を使用した。また、試料溶液の溶媒としては移動相と同じものを使用し、1mg/mLの試料濃度で、150℃の温度で振とうさせながら2時間溶解して測定試料を調製した。これにより得た試料溶液500μLをカラムに注入し、流速1.0mL/分、温度145℃、データ取り込み間隔1秒で測定した。カラムの較正には、分子量580~745万のポリスチレン標準試料(Shodex STANDARD、昭和電工株式会社製)を使用し、三次式近似で行った。Mark-Houwink-Sakuradaの係数は、ポリスチレン標準試料に関しては、K=1.21×10-4、α=0.707、ポリプロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体、およびポリプロピレン系重合体に関しては、K=1.37×10-4、α=0.75を使用した。
1,2,4-トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼン/ヘキサメチルジシロキサン=30/10/1(容積比)の混合溶媒に溶解した共重合体試料について、Bruker社製AVANCEIII HD400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、測定温度120℃、フリップ角45度、パルス間隔7秒、試料回転数20Hz、積算回数6000回の条件で13C-NMRのスペクトルを得た。
上記で得られたスペクトルを用いて、Kakugo,Y.Naito,K.Mizunuma and T.Miyatake,Macromolecules,15,1150-1152(1982)の文献に記載された方法により、共重合体試料の総エチレン量(質量%)を求めた。なお、成分(a1)を試料として測定する場合、上記方法により得られる総エチレン量(質量%)は、成分(a1)のエチレン由来単位含有量(C2-a1)(質量%)となる。
上記文献に記載された方法で共重合体の総エチレン量を測定するに際して求めたTββの積分強度の替わりに、下記式で求めた積分強度T’ββを使用した以外は、総エチレン量と同様の方法で計算を行い、成分(a2)のエチレン由来単位含有量(質量%)を求めた。
T’ββ=0.98×Sαγ×A/(1-0.98×A)
ここで、A=Sαγ/(Sαγ+Sαδ)であり、上記文献に記載のSαγ及びSαδより算出される。
なお、成分(a1)と成分(a2)からなる共重合体において、成分(a1)がエチレン単位を含む場合の成分(a2)中のエチレン由来単位含有量は、質量比 成分(a2)/[成分(a1)+成分(a2)]が重合条件より明らかな場合、下記式により求めた。
成分(a2)のエチレン由来単位含有量(単位:質量%)=
[共重合体の総エチレン量
-成分(a1)のエチレン由来単位含有量×共重合体中の成分(a1)の含有割合]/(共重合体中の成分(a2)の含有割合)
下記式により求めた。
成分(a2)/[成分(a1)+成分(a2)](単位:質量%)=共重合体の総エチレン量/(成分(a2)中のエチレン由来単位含有量/100)
以下の方法によって共重合体のキシレン可溶分を得て、キシレン可溶分の極限粘度(XSIV)を測定した。
共重合体のサンプル2.5gを、o-キシレン(溶媒)を250mL入れたフラスコに入れ、ホットプレート及び還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間撹拌し完全溶解させた後、25℃で1時間、冷却した。これにより得られた溶液を、濾紙を用いて濾過した。濾過後の濾液を100mL採取し、アルミニウムカップ等に移し、窒素パージを行いながら、140℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置して、キシレン可溶分を得た。
極限粘度は、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛細管自動粘度測定装置(SS-780-H1、株式会社柴山科学器械製作所製)を用いて測定した。
共重合体の試料5gに対し、本州化学工業株式会社製H-BHTを0.05g添加し、ドライブレンドにより均一化した後、JIS K6921-2に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
表2に示す組成で成分(A)~(D)を配合し、これらの総量100質量部に対し、酸化防止剤としてBASF社製のIrganox1010及びIrgafors168を0.2質量部、中和剤として淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレートを0.05質量部加え、ヘンシェルミキサーで1分間撹拌、混合した。当該混合物を、株式会社JSW製同方向2軸押出機TEX-30αを用いて、シリンダー温度200℃で溶融混練して押出した。ストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、ポリプロピレン系組成物のペレットを得た。このようにして製造したポリプロピレン系樹脂組成物、およびこれらを用いて得た射出成形品について各種物性を評価した。結果を表2に示す。
なお、実施例4,7,9は参考例である。
成分(A)は、表1の共重合体A-1~A-7である。
B-1:住友化学社製、エクセレンEP3721E1、エチレン・プロピレン共重合体MFR(190℃、2.16kg)=2.5g/10分
B-2:ダウケミカル製、エンゲージ8200、エチレン・オクテン共重合体、MFR(190℃、2.16kg)=10g/10分
B-3:ダウケミカル製、エンゲージ8407、エチレン・オクテン共重合体、MFR(190℃、2.16kg)=60g/10分
C-1:ネオライト興産製、タルクUNI-05、タルク
C-2:三共製粉製、エスカロン♯200、炭酸カルシウム
C-3:巴工業製、マイカ♯325、マイカ
D-1:三洋化成工業製、ビスコール330-P、Mw=30,000
酸化防止剤:BASF社製、Irganox1010、Irgafors168
中和剤:淡南化学工業株式会社製、カルシウムステアレート
JIS K7210-1に従い、ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRについては、JIS K6921-2に基づき温度230℃および荷重2.16kgの条件下で測定した。
JIS K6921-2に従い、射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT S2000i)を用い、溶融樹脂温度を200℃、金型温度40℃、平均射出速度200mm/秒、保圧時間40秒、全サイクル時間60秒の条件にて、ポリプロピレン系樹脂組成物からJIS K7139に規定する多目的試験片(タイプA1)を射出成形し、測定用試験片を得た。JIS K7161-2に従い、株式会社島津製作所製精密万能試験機(オートグラフAG-X 10kN)を用い、温度23℃、相対湿度50%、試験速度2mm/分の条件で曲げ弾性率を測定した。
JIS K6921-2と、JIS K7139に従い、上記と同様にタイプA1の測定用試験片を得た。さらに、JIS K7111-1に従い、株式会社東洋精機製作所製ノッチングツールA-4を用いて幅10mm、厚み4mm、長さ80mmに加工してから幅方向に2mmのノッチを入れ、形状Aの測定用試験片を得た。その測定用試験片について、株式会社安田精機製作所製低温槽付き全自動衝撃試験機(No.258-ZA)を用い、温度0℃におけるシャルピー衝撃強さ(エッジワイズ打撃、1eA法)を測定した。
縦×横×厚さが130×130×2mmである射出成形平板をファナック(株)製α100C射出成形機を用いて、シリンダー温度230℃、金型温度40℃、射出速度35mm/sの条件で得た。パンクチャー衝撃試験機(島津製作所製ハイドロショットHITS-P10)を用い、JIS K7211-2に準拠し、上記平板試験片の-10℃における面衝撃強度パンクチャーエネルギーを測定した。エネルギー値が大きい程、耐衝撃性が優れる。
縦×横×厚さが100×100×0.75mmである射出成形平板をファナック(株)製α100C射出成形機を用いて、シリンダー温度230℃、金型温度40℃、射出速度35mm/sの条件で得た。この射出成形平板を50×70×0.75mmにカットしたものを試験片として、250mlのn-ヘプタン(25℃)に浸漬し、1時間放置した。次に試験片を取り出して得たn-ヘプタン(試験溶液)をナス型フラスコに移し、減圧濃縮して数mlとしたその濃縮液及びそのフラスコをヘプタン約5mlずつで2回洗った。その洗液を、あらかじめ105℃で乾燥した重量既知の耐熱ガラス製の蒸発皿にとり、水浴上で蒸発乾固させた。次いで、105℃で2時間乾燥し、デシケーター中で放冷した後、秤量して蒸発皿の前後の重量差を求めて、蒸発残留物の量(単位:μg/ml)を算出した。以上の試験は、厚生省告示第370号に記載の方法に準拠して行った。
算出した蒸発残留物の量が30μg/ml以下である場合に、食品容器として加熱する場合も想定し、基準を満たすとした。当該量は少ない程好ましい。
薄肉容器を射出成形性する際の射出圧力を基準として、成形性を評価した。
具体的には、射出成形機(SE230HY、住友重機(株)製)を用い、シリンダー設定温度290℃又は230℃、金型温度15℃の条件で、ポリプロピレン系樹脂組成物を、外径71mm、高さ110mm、厚さ0.5mmの飲料用容器に成形した。この際の射出圧力を下記1,2の基準で評価した。
1)シリンダー設定温度が290℃である場合、射出圧力が170MPa以下であれば良好と判断した。
2)シリンダー設定温度が230℃である場合、射出圧力が180MPa以下であれば良好と判断した。
実施例1~9の射出成形品を形成したポリプロピレン系樹脂組成物は、無機フィラー(成分(C))の含有量が多いので、焼却廃棄時のCO2排出量が少なくなっている。一般には、無機フィラーの含有量が多いと、射出成形性が悪くなったり、射出成形品の機械物性が悪化したりするが、本発明にあっては所定の物性を有するポリプロピレン系樹脂組成物を用いているので、射出成形性が良好であり、剛性及び耐衝撃性も良好である。さらに食品容器や食品包装用途に求められる食品衛生性(n-ヘプタン溶出試験蒸発残留物が基準値(ここでは30μg/ml)以下であること)を満たしている。
比較例2は、成分(C)の含有量が多いので、耐衝撃性が劣る。
比較例3は、共重合体(A-5)の成分(a2)中のエチレン由来単位含有量が多いので、食品衛生性が劣る。
比較例4(共重合体A-6)は、成分(A)の総質量に対する成分(a2)の含有量が少ないので、耐衝撃性が劣る。
比較例5(共重合体A-7)は、成分(A)の総質量に対する成分(a2)の含有量が少なく、成分(A)のMFRが小さく、ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRも低いので、射出圧力が高く、成形性が劣る。
比較例6~8では、耐衝撃性を維持しつつ、共重合体A-7のMFRの低さを改善すべく、成分(B)及び成分(D)を配合したが、耐衝撃性が劣る。
Claims (8)
- プロピレン重合体(a1)からなる連続相と、エチレンと炭素数3~10のαオレフィンとの共重合体(a2)からなるゴム相とを含むポリプロピレン系樹脂(A)、
エチレンと炭素数3~10のαオレフィンとの共重合体である任意成分のエチレン・αオレフィン共重合体(B)、及び無機フィラー(C)を含有するポリプロピレン系樹脂組成物であって、
前記ポリプロピレン系樹脂組成物の総質量に対して、
前記ポリプロピレン系樹脂(A)の含有割合が、70質量%以上90質量%未満であり、
前記エチレン・αオレフィン共重合体(B)の含有割合が、0~20質量%であり、 前記無機フィラー(C)の含有割合が、7~55質量%であり、
前記ポリプロピレン系樹脂組成物の温度230℃、荷重2.16kgでのMFRが70~130g/10分であり、
前記プロピレン重合体(a1)の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率(Mw/Mn)が4~10であり、
前記プロピレン重合体(a1)中のエチレン由来単位含有量が、前記プロピレン重合体(a1)の総質量に対して0.5質量%以下であり、
前記共重合体(a2)の含有量が、前記ポリプロピレン系樹脂(A)の総質量に対して25~45質量%であり、
前記共重合体(a2)中のエチレン由来単位含有量が、前記共重合体(a2)の総質量に対して20~50質量%であり、
前記ポリプロピレン系樹脂(A)のキシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が1.2~7.0dl/gであり、
前記ポリプロピレン系樹脂(A)の温度230℃、荷重2.16kgでのMFRが70~130g/10分である、ポリプロピレン系樹脂組成物。 - 前記プロピレン重合体(a1)と、前記共重合体(a2)とは重合によって混合され、前記ポリプロピレン系樹脂(A)は、下記(ア)~(ウ)の成分を含む触媒を用いて製造された重合混合物である、請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
(ア)マグネシウム、チタン、ハロゲン、及び電子供与体化合物としてのフタレート系化合物を含有する固体触媒
(イ)有機アルミニウム化合物
(ウ)外部電子供与体化合物である有機ケイ素化合物 - 請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、下記(ア)~(ウ)の成分を含む触媒を用いて、前記プロピレン重合体(a1)の存在下で、エチレン単量体及び炭素数3~10のαオレフィン単量体を重合して前記ポリプロピレン系樹脂(A)を得る工程を有する、ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
(ア)マグネシウム、チタン、ハロゲン、及び電子供与体化合物としてのフタレート系化合物を必須成分として含有する固体触媒
(イ)有機アルミニウム化合物
(ウ)外部電子供与体化合物である有機ケイ素化合物 - 請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の射出成形品。
- 最も薄肉の部分の厚さが1mm以下である、請求項4に記載の射出成形品。
- 容器の形状に成形されており、前記容器の側壁の厚さが0.1~1mmである、請求項4に記載の射出成形品。
- -10℃以下の低温環境下で使用される用途の請求項4に記載の射出成形品。
- 食品に接する、容器又は包装体として使用される用途の請求項4に記載の射出成形品。
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