この発明の一例としての実施形態に係る円すいころ軸受を添付図面に基づいて説明する。
図2に示すこの円すいころ軸受は、内輪10と、外輪20と、内輪10と外輪20との間に配置された複数の円すいころ30と、これら円すいころ30を収容する保持器40と、を備える。この円すいころ軸受は、自動車用トランスミッション又はデファレンシャルの中でも主に乗用車用のものに対する適用を想定したものであって、その軸受外径は、150mm以下である。
内輪10は、図2、図3に示すように、円すい状に形成された軌道面11と、軌道面11の大径側縁よりも大径に形成された大鍔12と、大鍔12の基部から軌道面11まで形成された研削逃げ13と、軌道面11の小径側縁よりも大径に形成された小鍔14と、小鍔14の基部から軌道面11まで形成された小径側研削逃げ15とを外周側に有する軌道輪からなる。
外輪20は、図2に示すように、円すい状に形成された軌道面21を内周側に有する軌道輪からなる。内輪10と外輪20間の軸受内部空間には、外部から潤滑油が供給される。
円すいころ30は、円すい状に形成された転動面31と、転動面31の大径側に連続する面取り32と、面取り32に連続する大端面33と、大端面33と反対側に形成された小端面34とを有する転動体からなる。円すいころ30の大端面33と小端面34は、円すいころ30のころ長さLを規定する両側端を含む。
複数の円すいころ30は、内外の軌道面11,21間に単列に配置されている。保持器40は、複数の円すいころ30を周方向に均等間隔に保つ環状の軸受部品からなる。各円すいころ30は、保持器40に周方向に等間隔に形成されたポケットに収容されている。
図示例の保持器40は、かご形の打ち抜き保持器を例示したが、保持器40の材料や製法は特に問わない。
ここで、内輪10の回転中心である中心軸CLに沿った方向のことを「軸方向」といい、その中心軸CLに直交する方向のことを「径方向」といい、その中心軸CL回りに一周する円周方向のことを「周方向」という。内輪10の中心軸CLは、この円すいころ軸受の設計上の回転中心に相当する。
内外の軌道面11,21は、円すいころ30の転動面31が転がり接触可能であって、その転動面31からラジアル荷重を負荷される表面部である。
図4に示すように、内輪10、外輪20及び円すいころ30の各中心軸が同一の仮想アキシアル平面に含まれ、かつ円すいころ30の中心軸(図示省略)が内輪10の中心軸CL上の一点O1に真っすぐに対向する位置関係のとき、内外の軌道面11,21と、円すいころ30の転動面31の各円すい状における頂点は、点O1に一致する。円すいころ30の大端面33は、設計上、図4において点O1と円すいころ30の中心軸とを結ぶ直線上に中心をおいた設定曲率半径Rの球面状に基づいて規定されている。
なお、内外の軌道面11,21、円すいころ30の転動面31の各円すい状は、母線を直線とした形状に限定されず、クラウニングをもった形状を含む概念である。ここで、母線は、軸線回りの運動による軌跡としてある種の曲面を生成する線分のことをいう。例えば、軌道面11の母線は、内輪10の中心軸CLを含む仮想アキシアル平面上において軌道面11を成す線分であり、転動面31の母線は、円すいころ30の中心軸を含む任意の仮想平面上において転動面31を成す線分である。前述のクラウニング形状としては、本出願人が特許文献3で開示したフルクラウニング形状又はカットクラウニング形状を採用することができ、転動面31のカットクラウニング形状として、対数クラウニング、例えば、特許文献3で引用された特許第5037094号公報の数式で規定される形状を採用してもよい。
内輪10の大鍔12は、図2、図3に示すように、円すいころ30の大端面33を受ける大鍔面12aと、大鍔12の外径を規定する外径面12bと、大鍔面12aの外径側縁と外径面12bを全周で繋ぐ鍔側面取り12cとを有する。大鍔12の大鍔面12aと反対側の端面は、内輪10の側面の一部を成す。
大鍔面12aは、円すいころ30の大端面33を周方向に滑り接触させるための表面部である。大鍔面12aの母線は、径方向に対して傾斜した直線状である。従い、大鍔面12aは、軌道面11と同軸の円すい状になっている。大鍔面12aは、幾何的に、円すいころ30の大端面33と一点のみで接触可能な形状であればよく、その母線形状を中凹状(この場合、接触面をもった当たりとなるが、便宜上、中凹底ところ大端面との当たり位置での点当たりと表現している)、中凸状等に変更することが可能である。
内輪10の研削逃げ13は、大鍔面12aと軌道面11を繋ぐ溝状に形成されている。研削逃げ13は、軌道面11及び大鍔面12aを研削及び超仕上げにするための全周溝であり、軌道面11及び大鍔面12aのそれぞれに対して深さをもっている。
図2に示すように、内輪10の小鍔14は、複数の円すいころ30が軌道面11から小径側へ脱落することを防ぎ、これら円すいころ30と保持器40と内輪10とでアセンブリを構成するための部位である。小鍔14と、この形成に伴って採用される小径側研削逃げ15は、内輪の構成要素として必須の部位でない。
内輪10、外輪20及び円すいころ30は、それぞれ鍛造、旋削、研削の順に所要部位を加工することで形成されている。
内輪10の軌道面11及び大鍔面12aは、鍛造体を旋削及び研削することで形成され、超仕上げ加工によって研磨されている。
図1、図3に示すように、内輪10の研削逃げ13は、所定の母線形状に基づいて旋削加工されている。研削逃げ13の旋削加工における母線は、大鍔面12aから傾斜した大径側直線部と、軌道面11から傾斜した小径側直線部と、これら大径側直線部と小径側直線部を繋ぐ円弧状線部とで規定されている。研削逃げ13には積極的に研削加工及び超上げ加工を行わないが、軌道面11及び大鍔面12aの研削加工時、砥石が軌道面研削部位の大径側端、大鍔面研削部位の内径側端を少し丸めてしまう。このため、研削逃げ13の略全面は旋削加工面からなるが、研削逃げ13の軌道面11との接続部及び大鍔面12aとの接続部は、僅かに丸まった研削面ないし超仕上げ面になっている。
ここで、図1に示すように、内輪10の軌道面11の母線を研削逃げ13側へ延長した仮想線と、大鍔面12aの母線を研削逃げ13側へ延長した仮想線との交点を基準点O2とする。大鍔面12aに対する研削逃げ13の進入角をaとする。また、軌道面11に対する研削逃げ13の進入角をbとする。また、軌道面11に対する研削逃げ13の深さをcとする。また、大鍔面12aに対する研削逃げ13の深さをdとする。また、基準点O2から大鍔面12aまでのヌスミ幅をAとする。その基準点O2から軌道面11までのヌスミ幅をBとする。
進入角a,b、ヌスミ幅A,B及び深さc,dは、研削逃げ13の形状を規定するための物理量である。ただし、研削逃げ13の軌道面11、大鍔面12aとの接続部は、前述の丸まり具合が安定しないから、進入角a,bの規定に活用することは困難である。このため、進入角a,bとして、軌道面11、大鍔面12aに対する研削逃げ13の旋削加工面の傾き角度を採用する。
具体的には、研削逃げ13の進入角aは、研削逃げ13の母線の大径側直線部が大鍔面12aの内径側縁に対して成す鋭角である。研削逃げ13の進入角bは、研削逃げ13の母線の小径側直線部が軌道面11の大径側縁に対して成す鋭角である。
研削逃げ13のヌスミ幅Aは、大鍔面12aの内径側縁から大鍔面12aの母線に沿った方向に向かって基準点O2までの長さである。研削逃げ13のヌスミ幅Bは、軌道面11の大径側縁から軌道面11の母線に沿った方向に向かって基準点O2までの長さである。
研削逃げ13の進入角aは、進入角bよりも大きい。研削加工において大鍔面12aの研削量(大鍔面12aの母線と直角な方向の削り代)が目標値から前後した場合、図3に示す大鍔面12aの幅Wは、研削逃げ13の進入角aに依存して変化することになる。ここで、大鍔面12aの幅Wは、大鍔面12aの母線の両端間の距離である。図示例においては、大鍔面12aの母線が直線状であるから、その母線の長さが幅Wに相当する。大鍔面12aの幅Wの変化量は、図1に示す進入角aを大きくする程に小さくすることができる。すなわち、進入角aを大きくする方が、大鍔面12aの研削量が前後した場合にヌスミ幅Aの寸法への影響が鈍感となる。
研削逃げ13の進入角aは、20°以上50°以下であるとよい。この範囲であれば、大鍔面12aの研削量が前後しても、ヌスミ幅Aの寸法への影響が穏やかであり、ヌスミ幅Aの制御が行い易い。より好ましくは、進入角aを30°以上40°以下にするとよい。
研削逃げ13の深さcは、軌道面11の大径側縁を基準として、軌道面11の母線を延長した仮想線と直角な方向で考えた研削逃げ13の深さである。研削逃げ13の深さdは、大鍔面12aの内径側縁を基準として、大鍔面12aの母線を延長した仮想線と直角な方向で考えた研削逃げ13の深さである。
研削逃げ13の深さcは、深さdよりも大きい。これは、研削逃げ13と内輪10の側面間の肉厚が薄くなることを避けるためである。この肉厚を十分に大きくするため、深さdは、0.3mm以下であることが好ましい。
研削逃げ13のヌスミ幅Aは、ヌスミ幅Bよりも小さい。ヌスミ幅Aをヌスミ幅Bよりも小さくすると、進入角aを進入角bよりも大きくすることに有利となる。研削逃げ13の加工は旋削で行われる。その際の切粉は、研削逃げ13に対して大鍔面12a側へ排出するよりも比較的広い空間を取れる軌道面11側の方が排出し易い。このため、切粉を軌道面11側へ排出する方が旋削加工を効率よく行える。研削逃げ13の進入角a>bかつヌスミ幅A<Bを満足することにより、旋削時に進入角b、ヌスミ幅B側で切粉の排出圧力が比較的小さくなり、切粉が軌道面11側へ排出され易くなる。このため、旋削加工性をよくし、加工コストを抑えることができる。
研削逃げ13のヌスミ幅Aは、0.5mm以下である。このように小さなヌスミ幅Aを採用するのは、大鍔面12aの内径を小さくして図3に示すように円すいころ30の大端面33と対向する大鍔面12aの幅Wを十分に広くするためである。大鍔面12aの幅Wを広くすることは、円すいころ30の大端面33と大鍔面12aの滑り接触部の位置が移動しても、円すいころ30の大端面33と大鍔面12aを良好な接触状態に保つことに有利となる。
円すいころ30の面取り32が大鍔面12aの母線に沿った方向に有する幅をRCとすると、研削逃げ13のヌスミ幅Aは、円すいころ30の面取り32の幅RCよりも小さい。これは、円すいころ30の大端面33と大鍔面12aの滑り接触部が大鍔面12aの内径側縁まで及ばないようにするためである。円すいころ30の面取り32の幅RCは、例えば、0.7mm以下にすることができる。
また、図2、図4に示すように、内輪10の中心軸CLに対して軌道面11の母線が成す鋭角をθとする。また、円すいころ30の転動面31の大端径をDwとする。これら軌道面11の傾斜角θと、転動面31の大端径Dwと、図2に示すころ長さLとの幾何的関係において、図3に示す大鍔面12aの幅Wは、次の式1を満足する値である。
W≧{Dw×(1/2)×Tanθ/(L/Dw)}・・・式1
上記式1は、図2、図3に示す円すいころ30の大端面33と内輪10の大鍔面12aとを良好な接触状態に保てるように、適正な大鍔面12aの幅Wの下限値を決めるためのものである。すなわち、この円すいころ軸受にラジアル荷重(アキシアルとの複合では動等価荷重)が負荷されているとき、軌道面11の傾斜角θに従い、軌道面11に負荷される荷重と、大鍔面12aに負荷される荷重とに分配される。この分配の比率をTanθで表し、軸受負荷容量に関わりの深い転動面31の大端径Dwを乗ずる。通常、円すいころ軸受の運転時に負荷される荷重は、凡そ軸受負荷容量の半分以下の大きさであるから、これを考慮するために転動面31の大端径Dwに(1/2)を乗ずる。さらに、ころ長さLが長いと、前述の分配比率における軌道面11での受け率が大きくなることも考慮し、ころ長さLと転動面31の大端径Dwの関係も(L/Dw)-1として考慮に入れた。この式1により、負荷荷重に応じた大鍔面12aの幅Wの下限値を設定した。これにより、円すいころ30のスキューや、大きなモーメント荷重による内輪10の大鍔12の倒れ等が発生して大端面33と大鍔面12aの滑り接触部が大鍔外径側に上がったときにも良好な接触を保つことができる。
なお、大鍔面12aの幅Wの上限値は、円すいころ30の大端面33を支持、案内する目的からは何mmでもよいが、好ましくは、式1で求まる下限値の3倍以下がよい。大鍔面12aの幅Wが大き過ぎる(つまり大鍔面12aの外径が大き過ぎる)と、円すいころ30の大端面33と大鍔面12aとの滑り接触部に潤滑油が届き難くなり、良好な潤滑状態が確保できなくなる。
ここで、図3に示すように、大鍔面12aが径方向に対して成す鋭角を鍔面角αとする。また、大鍔面12aと円すいころ30の大端面33の接触点と基準点O2との間での径方向の高低差を接点高さHとする。接点高さHは、円すいころ30の大端面33における基本曲率半径RBASEと、鍔面角αとの組み合わせにより、一義的に決定される。また、図2、図4に示すように、円すいころ30の転動面31の円すい角をβとする。転動面31の円すい角βは、その頂点O1を中心として転動面31の円すい状が成す中心角である。また、内輪10の大鍔面12aと円すいころ30の大端面33との接触点から円すい角βの頂点O1まで結ぶ仮想線が軌道面11の母線に対して成す鋭角をρとする。角度ρは、図3に示すように接点高さHに対応する。ここで、大鍔面が円すいころの大端面に向かって凸側又は大端面から遠ざかる凹側の曲率を持っている場合には、大鍔面の最深部もしくは最高部と大端面の接触点を結ぶ角度をρとする。
大鍔面12aと円すいころ30の大端面33の接触点における周方向の滑り速度は、接点高さHに依存する。仮に、内輪10の軌道面11と大鍔面12aの仮想交点である基準点O2において前述の接触点がある(接点高さH=0)であるならば、滑り速度は零であり、基準点O2からの接点高さHが高くなる程、その接触点での滑り速度が高くなる。前述のように小さなヌスミ幅Aの採用に伴い、大鍔面12aを研削逃げ13側へ広げて、接点高さHを低くすることが可能である。このため、大鍔面12aと円すいころ30の大端面33の接触点は、β/6≧ρを満足する低い位置に定められている。このように低い位置に接触点を設定することは、大鍔面12aと円すいころ30の大端面33の滑り接触部での滑り速度を低速化して大鍔面12aでの発熱を抑え、大鍔面12aの急昇温を防止することに有効である。
円すいころ30の面取り32の幅RCを0.7mm以下とする場合には、大鍔面12aと円すいころ30の大端面33の接触点をβ/7≧ρを満足する一層低い位置に定めることも可能である。
図4に示す円すいころ30の大端面33における設定曲率半径Rと、転動面31の円すい角βの頂点O1から内輪10の大鍔面12aまでの基本曲率半径RBASEとの比R/RBASEや、大端面33の実曲率半径RACTUALと設定曲率半径Rとの比RACTUAL/Rについては、本出願人が特許文献3で開示した数値範囲を採用することが可能である。これらR/RBASE、RACTUAL/Rの詳細や技術的意義は特許文献3に開示の通りであるので、この実施形態の説明では、R/RBASE、RACTUAL/Rの要旨を説明するに留める。
すなわち、図4に示す円すいころ30の大端面33の設定曲率半径Rは、設計上、大端面33に定められた理想的な球面でできていたときのR寸法である。図5に示すように、大端面33の端部の点P1、P2、P3、P4、点P1、P2間の中点P5、点P3、P4間の中点P6、点P1、P5、P2を通る曲率半径R152、点P3、P6、P4を通る曲率半径R364および点P1、P5、P6、P4を通る曲率半径R1564を考えると、理想的には、R=R152=R364=R1564である。点P1、P4は、大端面33と面取り32との接続点である。点P2、P3は、大端面33と逃げ部35との接続点である。実際には、図6に示すように、研削加工時に大端面33の両端がだれることで、大端面33全体のR1564に対する片側のR152、R364は、それぞれ同一にできず、小さくできてしまう。この大端面33の加工後の片側のR152、R364を実曲率半径RACTUALという。
設定曲率半径Rおよび実曲率半径RACTUALは、次のようにして求める。図6における曲率半径R1564は、図5に示す点P1、P5、P6、P4の4点を通る近似円である。R152=R364=R1564の測定は、「株式会社ミツトヨ製表面粗さ測定機 サーフテスト」の機種名:SV-3100を用いて測定した。測定方法は、上記測定器を用いて円すいころ30の大端面33の母線に沿った方向の形状を出し、点P1、P2、P3、P4をプロットした後、中点P5および中点P6をプロットした。曲率半径R152は、点P1、P5、P2を通る円弧曲線半径として算出した(曲率半径R364も同様である)。曲率半径R1564は、「複数回入力」というコマンドを用いて4点を取った値で近似円弧曲線半径を算出した。大端面33の母線に沿った方向の形状は、直径方向に1回の測定とした。
図3に示す内輪10の大鍔面12aは、図6に示す円すいころ30の大端面33における片側の曲率半径R152、曲率半径R364の部分としか滑り接触しない。実際の大端面33と大鍔面12aの滑り接触は、設定曲率半径R(R1564)よりも小さい実曲率半径RACTUAL(R152,R364)となる。この分、実際の大端面33と大鍔面12aとの接触面圧及び円すいころ30のスキュー角は、それぞれの設計上の理想値に比して大きくなる。油膜が十分でない環境でスキュー角や接触面圧が大きくなると、大端面33と大鍔面12aの滑り接触が不安定になり、油膜パラメータが低下する。油膜パラメータが1を切ると、大端面33と大鍔面12aは金属接触が始まる境界潤滑となり、焼付き発生の懸念が高まる。ここで、油膜パラメータとは、弾性流体潤滑理論により求まる油膜厚さhと大端面33と大鍔面12aの二乗平均粗さの合成粗さσとの比で定義されるΛ(=h/σ)である。実曲率半径RACTUALと設定曲率半径Rとの比の実用可能な範囲の検証には、大端面33と大鍔面12a間の潤滑油使用温度のピーク時における潤滑状態の厳しさのレベルが影響する。
大鍔面12aの母線形状が直線状で一定である場合、大端面33と大鍔面12a間の潤滑状態は、実曲率半径RACTUALと潤滑油の使用温度により決まり、トランスミッションやデファレンシャルの用途では、使用される潤滑油が基本的に決まっているので、その潤滑油の粘度も決まってくる。その潤滑油使用温度のピーク時の最大条件として、120℃で3分(180秒)間継続する極めて厳しい温度条件を想定し、この想定ピーク温度条件に潤滑油の粘度特性を加味した潤滑状態において急昇温を生じない実曲率半径RACTUALと設定曲率半径Rとの比RACTUAL/Rを設定するための閾値は、つば部潤滑係数として求められる。つば部潤滑係数=120℃粘度×(油膜厚さh)2/180秒で求められる。その油膜厚さhは、Karnaの式から求められる。大端面33と大鍔面12aとの接触面圧、油膜厚さh、スキュー角、油膜パラメータの観点から、つば部潤滑係数の値が8×10-9(閾値)を超えるようにRACTUAL/Rを設定すると実用可能である。
トランスミッションによく使用される潤滑油であるタービン油ISO粘度グレード VG32の場合、120℃粘度は7.7cSt(=7.7mm2/s)である。VG32の120℃粘度は低く、想定ピーク温度条件に潤滑油の粘度を加味した潤滑状態は極めて厳しい条件となる。このため、前述のRACTUAL/Rは、0.8以上が好ましい。また、デファレンシャルによく使用されるギヤ潤滑油であるSAE 75W-90の場合、RACTUAL/Rは、0.5以上が好ましい。
図4に示す円すいころ30の大端面33の設定曲率半径Rと、転動面31の円すい角βの頂点O1から内輪10の大鍔面12aまでの基本曲率半径RBASEとの比R/RBASEは、図7に示すように、大端面33と大鍔面12aの滑り接触部における油膜形成能力に関係する。大鍔面12aと大端面33の滑り接触部における最大ヘルツ応力pは、R/RBASEが大きくなる程、減少する。また、R/RBASEが小さくなる程、スキュー角が大きくなる。
図4に示す大端面33と大鍔面12aとの滑り接触部に形成される油膜厚さをtとすると、図7の縦軸は、R/RBASEが0.76のときの油膜厚さt0に対する比t/t0で示す。図7から、R/RBASEが0.76のときに油膜厚さtが最大となり、R/RBASEが0.9を越えると、油膜厚さtが急激に減少する。油膜厚さの最適値という面では、R/RBASEは、0.75以上0.87以下であることが特に好ましい。
この円すいころ軸受では、前述のように研削逃げ13のヌスミ幅Aを小さくして大鍔面12aの幅Wを研削逃げ13側へ広く取り、円すいころ30の大端面33との接触状態を良好に保てるように大鍔面12aの最適化を図ったことから、R/RBASE、RACTUAL/Rのそれぞれについて許容可能な範囲を広げることも可能である。
具体的には、R/RBASEは、0.70以上0.95以下でよく、好ましくは0.70以上0.90以下であり、0.75以上0.87以下であることが最も好ましい。
また、RACTUAL/Rは、0.3以上でよく、好ましくは0.5以上であり、最も好ましくは0.8以上である。RACTUAL/Rが0.3以上0.5未満の範囲となる出来上がりの円すいころ30について、円すいころ30のスキュー、大きなモーメント荷重による大鍔12の倒れ等、滑り接触部が移動するような多少の外乱があったとしても、前述のような大鍔面12aの最適化で円すいころ30の大端面33との良好な接触を保つことができる。
従い、複数の円すいころ30の中に、R/RBASEが0.70以上0.95以下、RACTUAL/Rが0.3以上0.5未満となる出来上がりの円すいころ30が含まれることを許容して、円すいころ30の歩留まりを向上させることができる。
前述の油膜パラメータは、円すいころ30の大端面33と内輪10の大鍔面12aの合成粗さに依存する。大端面33と大鍔面12aを鏡面仕上げとすることにより、油膜形成をよくして良好な油膜厚さを保つことができる。具体的には、大鍔面12aの表面粗さは、0.1μmRa以下であり、好ましくは0.08μmRa以下である。また、大端面33の表面粗さは、0.12μmRa以下であり、好ましくは0.1μmRa以下である。ここで、表面粗さは、JIS規格のB0601:2013「製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-用語,定義及び表面性状パラメータ」で規定された算術平均粗さRaのことをいう。
また、内輪10の大鍔面12aの外径側縁に円すいころ30の大端面33が滑り接触すること(エッジ当たり)を防ぐため、図1に示す大鍔面12a及び鍔側面取り12c間に逃げ面を形成してもよい。その変更例を図8に示す。同図に示すように、大鍔面12aと鍔側面取り12cとの間に逃げ面12dが形成されている。逃げ面12dは、大鍔面12aの外径側縁から鍔側面取り12cに向かう程に外径面12b側へ曲がっている。逃げ面12dの母線は、曲率半径Rdの円孤線状になっている。
ここで、大鍔面12aの母線を延長した仮想線と、鍔側面取り12cの母線を延長した仮想線との仮想交点を考え、当該仮想交点から大鍔面12aの母線に沿った方向に向かって外径面12bと同径の位置までの距離を鍔側面取り12bの幅L1とし、大鍔面12aの外径側縁から大鍔面12aの母線に沿った方向に向かって当該仮想交点までの距離を逃げ面12dの幅L2とする。逃げ面12dの幅L2が小さくなり過ぎるのを防ぐため、逃げ面12dの曲率半径Rdは、2mm以下であることが好ましい。また、逃げ面12dの幅L2を稼ぐため、鍔側面取り12cの幅L1は、1mm以下であることが好ましい。
また、図1、図3、図8に示すような内輪10の大鍔面12aの最適化と、内輪10の熱処理特性との組合せによって更なる機能向上を図ることが好ましい。すなわち、円すいころ30の大端面33と大鍔面12aの滑り接触における潤滑条件が厳しい場合、金属接触して表面損傷が懸念されるため、大鍔面12a側に表面損傷を遅延させる特性をもたせるとよい。
具体的には、内輪10の大鍔面12aにおける旧オーステナイト結晶粒の粒度番号が6番以上であるとよい。ここで、旧オーステナイト結晶粒の粒度番号は、JIS規格のG0551:2013「鋼-結晶粒度の顕微鏡試験方法」として規定されたものをいう。旧オーステナイト結晶粒は、焼入れ後におけるオーステナイトの結晶粒のことをいう。旧オーステナイトの結晶粒の境目(粒界)を旧オーステナイト結晶粒界といい、その旧オーステナイト結晶粒界に囲まれたものが旧オーステナイト結晶粒である。旧オーステナイト結晶粒の粒度が細かくなる(粒度番号が大きくなる)程、その結晶粒界により損傷の進行を遅らせることが可能となる。このため、大鍔面12aのような滑り接触する金属母材組織には、粒度番号6番以上が好適であり、10番以上がより好ましく、11番以上がさらに好ましい。
また、内輪10の大鍔面12aが、窒素含有量0.05wt%以上の窒化層によって形成されているとよく、あるいは、窒素侵入深さ0.1mm以上であるとよい。窒素含有量0.05wt%以上の窒化層は、その窒素富化効果により、焼き戻し軟化抵抗性を有する。このため、大鍔面12aの滑り接触での局部発熱への抵抗性が高まる。窒化層は、大鍔面12aの表層に形成されている窒素含有量を増加した層であって、例えば浸炭窒化、窒化、浸窒などの処理によって実現される。窒化層における窒素含有量は、好ましくは0.1wt%以上0.7wt%以下である。窒素含有量が0.1wt%以上であれば特に異物混入条件での転動寿命向上を期待でき、0.7wt%を超えると、ボイドと呼ばれる空孔ができたり、残留オーステナイトが多くなりすぎて硬度が出なくなったりして短寿命の懸念が高まる。窒素含有量は、研削後の大鍔面12aの表層10μmにおける値であり、例えばEPMA(波長分散型X線マイクロアナライザ)で測定することができる。
図2に示す内輪10、外輪20および円すいころ30は、高炭素クロム軸受鋼(例えば、SUJ2材)からなる。これら内輪10、外輪20および円すいころ30には、窒化層を形成するため熱処理を施している。この熱処理方法は、特許文献3に開示の方法でもよいし、他の方法でもよい。内輪10及び外輪20および円すいころ30の材料は、高炭素クロム軸受鋼に限定されない。例えば、内輪10および外輪20は、クロム鋼、クロムモリブデン鋼などの浸炭鋼とし、熱処理として従来からある浸炭焼入れ焼戻しを適用してもよい。
この円すいころ軸受の有効性を検証する試験を実施した。その第1試験における検証条件と試験品の基本仕様は、次の通りである(以下、適宜、図1~図3を参照)。
<検証条件>
・ 試験軸受 : 型番32008X(JISミリ系標準の円すいころ軸受)
・ 軸受サイズ: φ40×φ68×19
・ 潤滑油 : タービン油 ISO VG32(粘度32mm2/s@40℃、5.5mm2/s@100℃)
・ 荷重条件 : ラジアル荷重=0.3Cr(Crは基本動定格荷重)
・ 回転速度 : 4000r/min
・ 潤滑油量 : 滴下 給油量 4 mL/min
<試験品の出来栄え>
・ RACTUAL/R = 0.51
・ 大鍔面12aの幅W = 1.67
・ 大鍔面12aの表面粗さ = 0.035μmRa
・ 大端面33の表面粗さ = 0.037μmRa
・ R/RBASE = 0.83
第1試験では、前述の基本仕様に加え、以下のように、円すい角βと角度ρの比を一定として、ヌスミ幅Aを異ならせた様々な仕様違いを評価した。それらの評価結果を表1に示す。
上記表1に示すように、β/ρが6.5であるとき、ヌスミ幅Aが0.59m以下である試験品1~4では、厳しい潤滑条件でも温度上昇を抑えて十分な軸受寿命を得ることができる一方、ヌスミ幅Aが0.65mm以上である試験品5、6では、昇温抑制ができず、軸受寿命を期待できないことが分かる。
第2試験における検証条件と試験品の基本仕様は、次の通りである。
<検証条件>
・ 試験軸受 : 型番32008X(JISミリ系標準の円すいころ軸受)
・ 軸受サイズ: φ40×φ68×19
・ 潤滑油 : タービン油 ISO VG32(粘度32mm2/s@40℃、5.5mm2/s@100℃)
・ 荷重条件 : ラジアル荷重=0.3Cr(Crは基本動定格荷重)
・ 回転速度 : 4000r/min
・ 潤滑油量 : 滴下 給油量 4 mL/min
<試験品の出来栄え>
・ RACTUAL/R = 0.55
・ 大鍔面12aの幅W = 1.52
・ 大鍔面12aの表面粗さ = 0.046μmRa
・ 大端面33の表面粗さ = 0.047μmRa
・ R/RBASE = 0.86
第2試験では、前述の基本仕様に加え、以下のように、ヌスミ幅Aを一定として、円すい角βと角度ρの比を異ならせた様々な仕様違いを評価した。それらの評価結果を表2に示す。
上記表2に示すように、ヌスミ幅Aが0.5mmのとき、β/ρが5.7以上である試験品7~10では、厳しい潤滑条件でも温度上昇を抑えて十分な軸受寿命を得ることができる一方、β/ρが5.5以下である試験品11、12では、昇温抑制ができず、軸受寿命を期待できないことが分かる。第1試験と第2試験の結果と併せて考えると、ヌスミ幅Aが0.5mm以下かつβ/6≧ρにすることは、厳しい潤滑条件でも温度上昇を抑えることに有効であると考えられる。
この円すいころ軸受は、上述のように、内輪10の研削逃げ13のヌスミ幅Aが0.5mm以下であるので、大鍔面12aの幅Wを広くし、円すいころ30の大端面33を受けるのに十分な幅にすることができる。このため、大鍔面12aと大端面33との接触関係の最適化を図り、大鍔面12aと大端面33との間で作用するくさび効果を良好に発揮させ、大鍔面12aと大端面33の滑り接触部での油膜形成能力を向上させることができる。
また、この円すいころ軸受は、円すいころ30の円すい角β/6≧角度ρであるので、内輪10の大鍔面12aと大端面33の基準点O2に対する径方向の接点高さHが低く、大鍔面12aと大端面33の滑り接触部での滑り速度の上昇を防ぎ、大鍔面12aの発熱量を抑えて急昇温を防止することができる。
このように、この円すいころ軸受は、内輪10の大鍔面12aと円すいころ30の大端面33との接触関係の最適化を図り、滑り接触部での油膜形成能力を向上させ、その滑り接触部での滑り速度の上昇を防ぐことが可能なため、厳しい潤滑条件で円すいころ軸受が使用される場合でも急昇温を防いで軸受を円滑に回転させることができる。
例えば、特に潤滑条件が厳しく、大鍔面12aと大端面33の滑り接触部の潤滑が境界膜程度である場合には、大鍔面12a側が摩耗することも考えられる。仮に、大鍔面12aの摩耗が研削逃げ13まで到達して大端面33と大鍔面12aの内径側縁が角当たりとなって大きな応力集中が生じ、円すいころ30の滑り挙動に不安定さが生じ、急昇温の懸念が生じる。これに対し、この円すいころ軸受では、大鍔面12aが摩耗したとしても、大鍔面12aの幅Wが広く、大端面33と十分に対向させられ、しかも研削逃げ13(ヌスミ幅A)が小さいため、大鍔面12aの摩耗が研削逃げ13との境界(大鍔面12aの内径側縁)まで到達せず、大鍔面12aの内径側の端部領域が保たれるため、このような特に潤滑条件が厳しい場合でも大鍔面12aと大端面33が適正に接触する状態を保つことができる。
また、この円すいころ軸受は、内輪10の研削逃げ13の進入角a>bであり、ヌスミ幅A<Bであるので、研削逃げ13の旋削加工性に優れるとともに、大鍔面12aの研削量が前後したときに大鍔面12aの幅Wの変化量(ヌスミ幅Aの寸法)に影響しにくく、大鍔面12aの研削加工も困難とならない。このため、この円すいころ軸受は、加工コストに不安がなく、格別コスト高にならない。
また、この円すいころ軸受は、内輪10の研削逃げ13の深さc>dであるので、円すいころ30の大端面33から内輪10の大鍔面12aに加わる荷重により発生する大鍔12の応力を低減し、大鍔12の強度向上を図ることができる。このことは、外乱等による大鍔12の倒れを抑え、大鍔面12aと大端面33の接触状態を適正に保つことに有利である。
また、この円すいころ軸受は、内輪10の研削逃げ13の深さdが0.3mm以下であるので、大鍔12の強度向上が確実に得られる。
また、この円すいころ軸受は、内輪10の研削逃げ13の進入角aが20°≦a≦50°の範囲であるので、大鍔面12aの研削量が前後しても、大鍔面12aの幅Wの変化量(ヌスミ幅A)の寸法への影響が穏やかであり、大鍔面12aの幅W(ヌスミ幅A)の制御が行い易い。
また、この円すいころ軸受は、内輪10の大鍔面12aの幅Wが上記式1を満足する値であるので、大鍔面12aを円すいころ30の大端面33と十分に対向させておき、外乱で大端面33と大鍔面12aの滑り接触部が大鍔外径側に上がった時にも良好な接触を保つことができる。
また、この円すいころ軸受は、内輪10の大鍔面12aにおける旧オーステナイト結晶粒の粒度番号が6番以上であるので、円すいころ30の大端面33との金属接触による表面損傷を遅延させることができる。
また、この円すいころ軸受は、内輪10の大鍔面12aが窒素含有量0.05wt%以上の窒化層によって形成されているので、円すいころ30の大端面33との金属接触による表面損傷を遅延させることができる。
また、この円すいころ軸受は、内輪10の大鍔面12aの表面粗さが0.1μmRa以下であり、円すいころ30の大端面33の表面粗さが0.12μmRa以下であるので、大鍔面12aと大端面33間の油膜パラメータを向上させて油膜形成を良好にすることができる。
また、この円すいころ軸受は、R/RBASEが0.70以上0.95以下であり、複数の円すいころ30のうち、少なくとも一つの円すいころ30におけるRACTUAL/Rが0.3以上で、0.5未満であっても、厳しい潤滑条件で使用可能なものでありながら、特許文献3に開示の円すいころ軸受に比して、円すいころ30の歩留まりを向上させ、比較的安価に提供することができる。
この円すいころ軸受は、自動車用トランスミッション又はデファレンシャルの回転軸を支持する用途であって、跳ね掛け又は油浴潤滑によって、潤滑油を外部から軸受内部へ供給する用途に好適である。その使用例を図9に基づいて説明する。図9は、自動車用デファレンシャルの一例を示すものである。
図9に示すデファレンシャルは、ハウジング101に対して2つの円すいころ軸受102、103で回転自在に支持されたドライブピニオン104と、このドライブピニオン104に噛み合うリングギヤ105と、図示省略の差動歯車機構とを備え、これらがギヤ潤滑油の封入されたハウジング101内に収納されている。このギヤ潤滑油は、各円すいころ軸受102、103を潤滑する潤滑油にもなっており、跳ね掛け又は油浴潤滑法により軸受側面に供給される。
この円すいころ軸受の別の使用例を図10に基づいて説明する。図10は、自動車用トランスミッションの一例を示すものである。
図10に示すトランスミッションは、段階的に変速比を変化させる多段変速機になっており、その回転軸(例えば、エンジンの回転が入力される入力軸201)を回転可能に支持する円すいころ軸受202~205として、上述の実施形態のいずれかに係る円すいころ軸受を備えている。図示のトランスミッションは、クラッチ(図示省略)を選択的に係合させることで使用するギヤ列206、207を切り替え、入力軸201から出力軸側へ伝達する回転の変速比を変化させるものである。また、このトランスミッションは、ギヤの回転に伴う潤滑油(ミッション潤滑油)のはね掛けにより、潤滑油が各円すいころ軸受202~205の側面にかかるようになっている。
図9、図10に例示する各円すいころ軸受102、103、202~205は、図1等に示すこの円すいころ軸受に該当するものであるから、省燃費化のために希薄な潤滑環境であっても、運転開始の際の初期潤滑において内輪の大鍔面と円すいころの大端面間の滑り接触による急昇温を防ぎ、また、運転温度が上がって潤滑油の粘度が低下しても安定した滑り接触を保って良好な油膜形成を図り、これら両面の損傷防止を図ることができる。
ただし、この円すいころ軸受は、トランスミッション用途に限定されるものではなく、その他の極めて厳しい潤滑状態の用途に適用することができる。今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。