JP7445514B2 - 空間充填材および空間充填構造体 - Google Patents
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〔態様1〕
強化繊維と非晶性熱可塑性樹脂とで構成され、前記強化繊維同士が複数の交点を有し、少なくともその交点の一部が非晶性熱可塑性樹脂で接着されてなり、前記非晶性熱可塑性樹脂の軟化により強化繊維の残留応力が解放されて膨張する、空間充填材。
〔態様2〕
態様1に記載の空間充填材であって、前記強化繊維および前記非晶性熱可塑性樹脂の合計体積のうちの前記非晶性熱可塑性樹脂の体積比率が15~95vol%(好ましくは17~93vol%、より好ましくは20~90vol%、さらに好ましくは25~85vol%)である、空間充填材。
〔態様3〕
態様1または2に記載の空間充填材であって、前記強化繊維が屈曲しており、前記非晶性熱可塑性樹脂の軟化により強化繊維の屈曲が解放されることで膨張する、空間充填材。
〔態様4〕
態様1~3のいずれか一態様に記載の空間充填材であって、前記非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)に対してTg+50℃での膨張率が110%以上(好ましくは120%以上、より好ましくは130%以上、さらに好ましくは150%以上、さらにより好ましくは200%以上)である、空間充填材。
〔態様5〕
態様1~4のいずれか一態様に記載の空間充填材であって、厚み方向において定荷重下での膨張率が105%以上(好ましくは120%以上、より好ましくは140%以上、さらに好ましくは150%以上、さらにより好ましくは170%以上)である、空間充填材。
〔態様6〕
態様1~5のいずれか一態様に記載の空間充填材であって、前記非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度が100℃以上(好ましくは130℃以上、さらに好ましくは150℃以上)である、空間充填材。
〔態様7〕
態様1~6のいずれか一態様に記載の空間充填材であって、前記非晶性熱可塑性樹脂が熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、およびポリエーテルスルホン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の非晶性熱可塑性樹脂である、空間充填材。
〔態様8〕
態様1~7のいずれか一態様に記載の空間充填材であって、前記強化繊維の繊維長が3~100mm(好ましくは4~80mm、さらに好ましくは5~50mm)である、空間充填材。
〔態様9〕
態様1~8のいずれか一態様に記載の空間充填材であって、前記強化繊維が絶縁性繊維である、空間充填材。
〔態様10〕
態様1~9のいずれか一態様に記載の空間充填材であって、空隙率が3~75%(好ましくは5~70%、より好ましくは10~65%)である、空間充填材。
〔態様11〕
態様1~10のいずれか一態様に記載の空間充填材であって、所定の空間内で被固定材を固定させるために用いられる、空間充填材。
〔態様12〕
態様11に記載の空間充填材と、その少なくとも一部に接して一体化された被固定材とを備える、空間充填構造体。
〔態様13〕
態様12に記載の空間充填構造体であって、前記被固定材が前記空間充填材で挟まれている、空間充填構造体。
本発明で用いる強化繊維は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、有機繊維であってもよく、無機繊維であってもよく、また、単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明において、空間充填材内で、非晶性熱可塑性樹脂で接着されている強化繊維が残留応力を有しており、非晶性熱可塑性樹脂の軟化によりその残留応力が解放され、その残留応力が解放された強化繊維の反発力により空間充填材が膨張することになる。
これらのうち、空間充填材を膨張させる際の反発力を高くする観点から、ガラス繊維または炭素繊維などの高弾性率の無機繊維を用いるのが好ましい。また、膨張後の空間充填材を含む構造体において絶縁性が要求される用途の場合、絶縁性繊維(例えば、ガラス繊維、窒化ケイ素繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維など)であってもよい。
本発明において、空間充填材の構成材料として非晶性熱可塑性樹脂を用いて、前記非晶性熱可塑性樹脂を軟化させて拘束された強化繊維を膨張させることにより、空間充填材を膨張させた後に非晶性熱可塑性樹脂をマトリクスとして利用することができる。特に、非晶性熱可塑性樹脂では、膨張開始温度および膨張後のマトリクスの耐熱性が共にガラス転移温度に依存するため、ガラス転移温度が100℃以上である場合、結晶性熱可塑性樹脂と比べて相対的に低い温度で高い膨張率を達成可能である一方で、高い耐熱性を実現することが可能となり、好ましい。
空間充填材の製造方法としては、強化繊維同士が複数の交点を有し、少なくともその交点の一部を非晶性熱可塑性樹脂で接着することができる限り特に制限はなく、強化繊維と非晶性熱可塑性樹脂とで構成された前駆体を準備する工程と、前記前駆体を加熱加圧する工程とを備えていてもよい。得られる空間充填材の目付のむらを低減する観点から、加熱加圧する工程において、前記前駆体を複数重ね合わせた多層体を加熱加圧してもよい。
加熱後は、加圧した状態のまま冷却することにより、所定の形状を有する空間充填材を得ることができる。
本発明の空間充填材は、強化繊維と非晶性熱可塑性樹脂とで構成され、強化繊維同士が複数の交点を有し、少なくともその交点の一部が非晶性熱可塑性樹脂で接着されている。例えば、強化繊維同士は、ランダムに絡み合った状態で非晶性熱可塑性樹脂により接着されていてもよく、好ましくは、強化繊維同士の交点に非晶性熱可塑性樹脂が水掻き状に存在していてもよく、強化繊維の全面が非晶性熱可塑性樹脂で被覆されていてもよい。このような構造を取る事で、空間充填材の構造強度が向上する。
上記のような空間充填材の製造方法において、加熱成型の際に厚み方向に加圧していることから、周囲の非晶性熱可塑性樹脂マトリックスの軟化に伴い屈曲が解放された強化繊維の反発力(復元力)は厚み方向に発現するため、空間充填材の加熱時の膨張応力は厚み方向に生じる。
本発明の空間充填材の使用方法は、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上で加熱することにより所定の空間内で前記空間充填材を膨張させる工程を含んでいてもよい。
充填時膨張率(%)=充填後の空間充填材の厚さ(充填する空間の厚さ)(mm)/充填前の空間充填材の厚さ(mm)×100
本発明の空間充填構造体は、空間充填材と、その少なくとも一部に接して一体化した被固定材とを備えていてもよい。
空間充填構造体は、例えば、前記空間充填材と被固定材とを融着により一体化してもよい。例えば、前記空間充填材と被固定材とが接するように積層し、加圧などにより空間充填材が膨張するのを抑制しつつ、空間充填材中の前記非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱する方法により、前記空間充填材と被固定材とを融着させて製造することができる。
または、空間充填構造体は、空間充填材の製造方法を参照して製造してもよい。例えば、空間充填構造体は、空間充填材を形成するための前駆体の多層体と被固定材とが接するように積層し、空間充填材中の前記非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱しつつ、積層方向に加圧し、さらに、加圧しながら冷却する方法により、前記空間充填材と被固定材とを融着させて製造してもよい。
または、空間充填構造体は、例えば、空間充填材と被固定材とを接着剤を介して積層して、接着させて製造することができる。この場合、接着剤としては、空間充填材と被固定材とを接着させることができる限り特に限定されず、公知の接着剤を使用することができる。
本発明の空間充填構造体の使用方法は、非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上で加熱することにより所定の空間において前記空間充填材を膨張させて、被固定材を固定する工程を含んでいてもよい。
特に、空間充填材が所定の絶縁特性および/または耐熱性を有する場合、本発明の空間充填材の一態様では、絶縁性および/または耐熱性空間充填材として有用に用いることができる。
JIS L 1015:2010「化学繊維ステープル試験方法」の8.5.1のB法に準じて、後述の方法で算出した平均繊維長を用いて、単繊維繊度を測定した。
ランダムに選択した100本の繊維について、その繊維長を測定し、その測定値の平均値を平均繊維長とした。
ランダムに選択した30本の繊維について、顕微鏡観察により繊維径を測定し、その測定値の平均値を平均繊維径とした。
ガラス繊維の場合はJIS R 3420、炭素繊維の場合はJIS R 7606に準拠し、引張弾性率を測定した。
熱可塑性繊維のガラス転移温度は、レオロジー社製固体動的粘弾性装置「レオスペクトラDVE-V4」を用い、周波数10Hz、昇温速度10℃/minで損失正接(tanδ)の温度依存性を測定し、そのピーク温度から求めた。ここで、tanδのピーク温度とは、tanδの値の温度に対する変化量の第1次微分値がゼロとなる温度のことである。
空間充填材を構成する強化繊維および熱可塑性樹脂の体積比率は、重量比率を、それぞれの比重により換算して算出した。
目付は、空間充填材サンプルを縦10cm、横10cmに切り出し、その重量(g)を計測し、下記式により算出した。
目付(g/m2)=重量(g)/0.01(m2)
厚さは、空間充填材サンプルの中央部、および角から1cmずつ内側の部分(4箇所)、の計5箇所を測定し、その測定値の平均値をその空間充填材の厚さとした。
密度は、空間充填材サンプルを縦10cm、横10cmに切り出し、その厚さ(cm)と重量(g)を計測し、下記式により算出した。
密度(g/cm3)=重量(g)/(厚さ(cm)×100(cm2))
JIS K 7075「炭素繊維強化プラスチックの繊維含有率及び空洞率試験」に準拠し、空間充填材の空隙率(%)を算出した。
実施例にて得られた空間充填材を、熱可塑性樹脂のガラス転移温度+50℃またはガラス転移温度+100℃に設定した送風定温恒温器(ヤマト科学株式会社製、DN411H)中に入れて10分加熱後、取り出して25℃まで冷却した。その後、サンプルの厚みを測定し、加熱前後のサンプル厚みより、下記式を用いて膨張率を測定した。
膨張率(%)=膨張後の空間充填材の厚さ(mm)/膨張前の空間充填材の厚さ(mm)×100
次いで、以下の基準で各温度での膨張性を評価した。
〇:膨張率110%以上
×:膨張率110%未満
非晶性熱可塑性樹脂であるポリエーテルイミド(以下、PEIと略称することがある)系ポリマー(サービックイノベイティブプラスチックス製「ULTEM9001」)を150℃で12時間真空乾燥した。前記PEI系ポリマーを紡糸ヘッド温度390℃、紡糸速度1500m/min、吐出量50g/minの条件で丸孔ノズルより吐出し、2640dtex/1200fのPEI繊維のマルチフィラメントを作製した。得られたマルチフィラメントを15mmにカットし、PEI繊維のショートカットファイバーを作製した。得られた繊維の外観は毛羽等なく良好で、単繊維繊度は2.2dtex、平均繊維長は15.0mmであり、ガラス転移温度は217℃であり、比重は1.27g/cm3であった。
非晶性熱可塑性樹脂であるポリカーボネート(以下、PCと略称することがある)系ポリマー(三菱エンジニアリングプラスチック製「ユーピロンS-3000」)を120℃で6時間真空乾燥した。前記PC系ポリマーを紡糸ヘッド温度300℃、紡糸速度1500m/min、吐出量50g/minの条件で丸孔ノズルより吐出し、2640dtex/1200fのPC繊維のマルチフィラメントを作製した。得られたマルチフィラメントを15mmにカットし、PC繊維のショートカットファイバーを作製した。得られた繊維の外観は毛羽等なく良好で、単繊維繊度は2.2dtex、平均繊維長は15.0mmであり、ガラス転移温度は153℃であり、比重は1.20g/cm3であった。
結晶性熱可塑性樹脂である半芳香族ポリアミド系ポリマー(クラレ製「ジェネスタPA9T」、以下PA9Tと略称することがある;融点265℃)を80℃で12時間真空乾燥した。前記ポリマーを紡糸ヘッド温度310℃、紡糸速度1500m/min、吐出量50g/minの条件で丸孔ノズルより吐出し、2640dtex/1200fのPA9T繊維のマルチフィラメントを作製した。得られたマルチフィラメントを15mmにカットし、PA9T繊維のショートカットファイバーを作製した。得られた繊維の外観は毛羽等なく良好で、単繊維繊度は2.2dtex、平均繊維長は15.1mmであり、ガラス転移温度は125℃であり、比重は1.14g/cm3であった。
結晶性熱可塑性樹脂であるポリアミド6系ポリマー(宇部興産製「UBEナイロン1015B」、以下PA6と略称することがある;融点225℃)を80℃で12時間真空乾燥した。前記ポリマーを紡糸ヘッド温度290℃、紡糸速度3000m/min、吐出量50g/minの条件で丸孔ノズルより吐出し、2640dtex/1200fのPA6繊維のマルチフィラメントを作製した。得られたマルチフィラメントを15mmにカットし、PA6繊維のショートカットファイバーを作製した。得られた繊維の外観は毛羽等なく良好で、単繊維繊度は2.2dtex、平均繊維長は15.0mmであり、ガラス転移温度は50℃であり、比重は1.14g/cm3であった。
非晶性熱可塑性繊維としてPEI繊維50wt%、強化繊維として13mmのカット長のガラス繊維(日東紡製:平均繊維径9μm、比重2.54g/cm3)50wt%からなるスラリーを用いて、ウェットレイドプロセスにより目付254g/m2の混合不織布(混抄紙)を得た。
得られた混合不織布を8枚積層し、テストプレス機(北川精機製「KVHC-II」)にて、高さ1.5mmのスペーサーを配置し、積層方向に対して垂直な面に対して3MPaにて加圧しながら、340℃で10分間加熱し、ガラス繊維の間に溶融したPEI樹脂を含浸させた後、加圧を維持したまま、PEIのガラス転移温度以下である200℃まで冷却し、空間充填材を作製した。得られた空間充填材の厚さは1.55mm、目付は1936g/m2、密度は1.248g/cm3、空隙率は26.3%であった。得られた空間充填材について、膨張性の評価を行い、評価結果を表1に示す。
空間充填材の作製工程にて、混合不織布の枚数を4枚とした以外は実施例1と同様にして、空間充填材を作製した。得られた空間充填材の厚さは1.36mm、目付は963g/m2、密度は0.709g/cm3、空隙率は58.1%であった。得られた空間充填材について、実施例1と同様に評価を行い、評価結果を表1に示す。
空間充填材の作製工程にて、混合不織布の積層枚数を12枚としたこと、およびスペーサーの高さを2.2mmに変更したこと以外は実施例1と同様にして、空間充填材を作製した。得られた空間充填材の厚さは2.15mm、目付は2918g/m2、密度は1.360g/cm3、空隙率は19.7%であった。得られた空間充填材について、実施例1と同様に評価を行い、評価結果を表1に示す。
非晶性熱可塑性繊維としてPEI繊維70wt%、強化繊維として13mmのカット長のガラス繊維(日東紡製:平均繊維径9μm、比重2.54g/cm3)30wt%からなるスラリーを用いて、ウェットレイドプロセスにより目付224g/m2の混合不織布(混抄紙)を得た。
その後、実施例1と同様にして空間充填材を作製した。得られた空間充填材の厚さは1.42mm、目付は1698g/m2、密度は1.197g/cm3、空隙率は19.9%であった。得られた空間充填材について、実施例1と同様に評価を行い、評価結果を表1に示す。
非晶性熱可塑性繊維としてPEI繊維30wt%、強化繊維として13mmのカット長のガラス繊維(日東紡製:平均繊維径9μm、比重2.54g/cm3)70wt%からなるスラリーを用いて、ウェットレイドプロセスにより目付293g/m2の混合不織布(混抄紙)を得た。
その後、実施例1と同様にして空間充填材を作製した。得られた空間充填材の厚さは1.80mm、目付は2218g/m2、密度は1.232g/cm3、空隙率は36.9%であった。得られた空間充填材について、実施例1と同様に評価を行い、評価結果を表1に示す。
非晶性熱可塑性繊維としてPEI繊維50wt%、強化繊維として13mmのカット長の炭素繊維(東邦テナックス製:平均繊維径7μm、比重1.82g/cm3)50wt%からなるスラリーを用いて、ウェットレイドプロセスにより目付224g/m2の混合不織布(混抄紙)を得た。
得られた混合不織布を8枚積層し、テストプレス機(北川精機製「KVHC-II」)にて、高さ1.5mmのスペーサーを配置し、積層方向に対して垂直な面に対して3MPaにて加圧しながら、340℃で10分間加熱し、炭素繊維の間に溶融したPEI樹脂を含浸させた後、加圧を維持したまま、PEIのガラス転移温度以下である200℃まで冷却し、空間充填材を作製した。得られた空間充填材の厚さは1.99mm、目付は1696g/m2、密度は0.853g/cm3、空隙率は43.0%であった。得られた空間充填材について、実施例1と同様に評価を行い、評価結果を表1に示す。
非晶性熱可塑性繊維としてPEI繊維10wt%、強化繊維として13mmのカット長のガラス繊維(日東紡製:平均繊維径9μm、比重2.54g/cm3)90wt%からなるスラリーを用いて、ウェットレイドプロセスにより目付346g/m2の混合不織布(混抄紙)を得た。
その後、加圧の圧力を15MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして空間充填材を作製した。得られた空間充填材の厚さは1.86mm、目付は2583g/m2、密度は1.390g/cm3、空隙率は39.8%であった。得られた空間充填材について、実施例1と同様に評価を行い、評価結果を表1に示す。
非晶性熱可塑性繊維としてPEI繊維80wt%、強化繊維として13mmのカット長のガラス繊維(日東紡製:平均繊維径9μm、比重2.54g/cm3)20wt%からなるスラリーを用いて、ウェットレイドプロセスにより目付230g/m2の混合不織布(混抄紙)を得た。
その後、混合不織布の積層枚数を12枚としたこと、およびスペーサーの高さを2.2mmに変更したこと以外実施例1と同様にして空間充填材を作製した。得られた空間充填材の厚さは2.00mm、目付は2688g/m2、密度は1.340g/cm3、空隙率は5.0%であった。得られた空間充填材について、実施例1と同様に評価を行い、評価結果を表1に示す。
非晶性熱可塑性繊維としてPEI繊維85wt%、強化繊維として13mmのカット長のガラス繊維(日東紡製:平均繊維径9μm、比重2.54g/cm3)15wt%からなるスラリーを用いて、ウェットレイドプロセスにより目付220g/m2の混合不織布(混抄紙)を得た。
その後、混合不織布の積層枚数を12枚としたこと、およびスペーサーの高さを2.2mmに変更したこと以外実施例1と同様にして空間充填材を作製した。得られた空間充填材の厚さは2.00mm、目付は2573g/m2、密度は1.289g/cm3、空隙率は6.1%であった。得られた空間充填材について、実施例1と同様に評価を行い、評価結果を表1に示す。
非晶性熱可塑性繊維としてPC繊維49wt%、強化繊維として13mmのカット長のガラス繊維(日東紡製:平均繊維径9μm、比重2.54g/cm3)51wt%からなるスラリーを用いて、ウェットレイドプロセスにより目付150g/m2の混合不織布(混抄紙)を得た。
その後、得られた混合不織布を12枚積層し、テストプレス機(北川精機製「KVHC-II」)にて、高さ1.5mmのスペーサーを配置し、積層方向に対して垂直な面に対して3MPaにて加圧しながら、280℃で10分間加熱し、ガラス繊維の間に溶融したPC樹脂を含浸させた後、加圧を維持したまま、PCのガラス転移温度以下である130℃まで冷却し、空間充填材を作製した。得られた空間充填材の厚さは1.53mm、目付は1800g/m2、密度は1.176g/cm3、空隙率は28.3%であった。得られた空間充填材について、実施例1と同様に評価を行い、評価結果を表1に示す。
非晶性熱可塑性繊維としてPEI繊維100wt%からなるスラリーを用いて、ウェットレイドプロセスにより目付210g/m2の不織布を得た。
その後、不織布の積層枚数を12枚とした以外実施例1と同様にして空間充填材を作製した。得られた空間充填材の厚さは2.00mm、目付は2410g/m2、密度は1.210g/cm3、空隙率は5.0%であった。また、得られた空間充填材の定荷重下での膨張率を評価するために実施例1と同じ条件で加熱したところ、空間充填材が溶融、流出したため、空間充填材として機能しなかった。
結晶性熱可塑性繊維としてPA9T繊維50wt%、強化繊維として13mmのカット長のガラス繊維(日東紡製:平均繊維径9μm、比重2.54g/cm3)50wt%からなるスラリーを用いて、ウェットレイドプロセスにより目付236g/m2の混合不織布(混抄紙)を得た。
得られた混合不織布を8枚積層し、テストプレス機(北川精機製「KVHC-II」)にて、高さ1.5mmのスペーサーを配置し、積層方向に対して垂直な面に対して3MPaにて加圧しながら、320℃で10分間加熱し、ガラス繊維の間に溶融したPA9T樹脂を含浸させた後、加圧を維持したまま、PA9Tのガラス転移温度以下である100℃まで冷却し、空間充填材を作製した。得られた空間充填材の厚さは1.47mm、目付は1813g/m2、密度は1.232g/cm3、空隙率は21.7%であった。得られた空間充填材について、実施例1と同様に評価を行い、評価結果を表1に示す。
結晶性熱可塑性繊維としてPA6繊維50wt%、強化繊維として13mmのカット長のガラス繊維(日東紡製:平均繊維径9μm、比重2.54g/cm3)50wt%からなるスラリーを用いて、ウェットレイドプロセスにより目付234g/m2の混合不織布(混抄紙)を得た。
得られた混合不織布を8枚積層し、テストプレス機(北川精機製「KVHC-II」)にて、高さ1.5mmのスペーサーを配置し、積層方向に対して垂直な面に対して3MPaにて加圧しながら、300℃で10分間加熱し、ガラス繊維の間に溶融したPA6樹脂を含浸させた後、加圧を維持したまま、PA6のガラス転移温度以下である30℃まで冷却し、空間充填材を作製した。得られた空間充填材の厚さは1.40mm、目付は1800g/m2、密度は1.286g/cm3、空隙率は18.3%であった。得られた空間充填材について、実施例1と同様に評価を行い、評価結果を表1に示す。
縦5cm、横5cmに切り出した膨張前の空間充填材を用い、重量1.44kg、縦5cm、横5cm、高さ7.4cmの金属製の直方体を空間充填材の上に乗せた状態で熱風炉中に入れ、熱可塑性樹脂の軟化温度+30℃以上の温度で、空間充填材の厚み変化が無くなるまで加熱した。
次いで、膨張した空間充填材の膨張前の厚さ及び膨張後の厚さから、下記式に従って定荷重下(5.6kPa)での膨張率を算出した。
膨張率(%)=膨張後の空間充填材の厚さ(mm)/膨張前の空間充填材の厚さ(mm)×100
定荷重下(5.6kPa)での膨張率の計測に用いた膨張後サンプルについて、面方向の寸法を計測し、下記式により、寸法変化率を算出した。
寸法変化率(%)=(膨張後面積(cm2)-膨張前面積(cm2))/膨張前面積(cm2)×100
実施例にて得られた空間充填材を、長さ50mm、幅14mmに切り出し、高さ3mm、幅14mm、奥行き50mmの孔を有する鋼鉄製外方部材の孔(空隙)内に挿入し、所定の温度で加熱して空間充填材を膨張させて、以下の基準で充填性を評価した。
○:空隙の高さがすべて埋まる
×:空隙の高さが埋まらない
充填時膨張率(%)=充填後の空間充填材の厚さ(mm)/充填前の空間充填材の厚さ(mm)×100
充填後密度(g/cm3)=充填前の空間充填材の密度(g/cm3)/(充填時膨張率(%)/100)
高さ10mm、幅20mm、奥行き50mmの孔を有する鋼鉄製外方部材に、厚さ4mm、幅14mm、長さ50mmの直方体の鋼鉄製被固定材を挿入し、更に外方部材と被固定材との間に、幅14mm、長さ50mmに切り出した空間充填材を1枚ずつ挿入した。これらを熱風炉中で、所定温度にて30分加熱することで、空間充填材により、外方部材に被固定材を固定した。
次いで、得られた多重構造体(被固定材が空間充填材により外方部材の内部に固定されている構造体)に対して、万能試験機(島津製作所製「AG-2000A」)を用いて、被固定材のみに荷重を長さ方向にかけ、被固定材を押抜き、ずれが生じ始める時の荷重を押抜荷重とした。
空間充填材を幅50mm、長さ50mmに切り出し、それを3枚積層した状態で、高さ9mm、幅50mm、奥行き50mmの貫通孔を有する鋼鉄製外方部材の孔内に挿入した。挿入後、所定の温度で加熱し、外方部材の孔を空間充填材で完全に充填した。外方部材の貫通孔を通液できるように外方部材の両端にそれぞれ耐圧チューブを取り付けた。
そして、耐圧チューブの一方より、45kPaの圧力で純水を注入し、空間充填材を経て他方の耐圧チューブから流出する水の体積を観測し、合計量が20mLから40mLとなるために必要な時間t(min)を計測した。
得られた時間より、下記式により、膨張後の空間充填材の通液速度を算出した。
通液速度(mL/min)=20(mL)/t(min)
◎:100mm/min以上
〇:3mm/min以上100mm/min未満
×:3mm/min未満
実施例にて得られた空間充填材を、JIS K 6911に準拠して体積抵抗率を計測し、以下の基準で絶縁性を評価した。
〇:体積抵抗率105(Ω・cm)以上
×:体積抵抗率105(Ω・cm)未満
実施例にて得られた空間充填材を、3mm厚に隙間設定したテストプレス機(北川精機製「KVHC-II」)にて、所定温度で10分間加熱し、膨張させた後に冷却し、耐熱性試験片を作製した。次いで、JIS K 7017「繊維強化プラスチック-曲げ特性の求め方」に準拠して曲げ試験片を作製し、25℃および80℃雰囲気下で曲げ試験を実施し、下記式により物性保持率を算出した。
物性保持率(%)=80℃雰囲気下での曲げ強度(MPa)/25℃雰囲気下での曲げ強度(MPa)×100
次いで、以下の基準で耐熱性を評価した。
〇:物性保持率70%以上
×:物性保持率70%未満
12,22・・・外方部材
13,23・・・空間
24・・・被固定材
25・・・空間充填構造体
X・・・厚み方向
Claims (11)
- 繊維長が3~100mmである強化繊維と非晶性熱可塑性樹脂で構成された繊維とを含む混合不織布で構成され、前記強化繊維同士が複数の交点を有し、少なくともその交点の一部が非晶性熱可塑性樹脂で接着されてなり、前記非晶性熱可塑性樹脂の軟化により強化繊維の残留応力が解放されて膨張する、空間充填材であって、
前記非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)に対してTg+50℃での膨張率が110%以上である、空間充填材。 - 請求項1に記載の空間充填材であって、前記強化繊維および前記非晶性熱可塑性樹脂の合計体積のうちの前記非晶性熱可塑性樹脂の体積比率が15~95vol%である、空間充填材。
- 請求項1または2に記載の空間充填材であって、前記強化繊維が屈曲しており、前記非晶性熱可塑性樹脂の軟化により強化繊維の屈曲が解放されることで膨張する、空間充填材。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載の空間充填材であって、厚み方向において定荷重下での膨張率が105%以上である、空間充填材。
- 請求項1~4のいずれか一項に記載の空間充填材であって、前記非晶性熱可塑性樹脂のガラス転移温度が100℃以上である、空間充填材。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の空間充填材であって、前記非晶性熱可塑性樹脂が熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、およびポリエーテルスルホン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の非晶性熱可塑性樹脂である、空間充填材。
- 請求項1~6のいずれか一項に記載の空間充填材であって、前記強化繊維が絶縁性繊維である、空間充填材。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載の空間充填材であって、空隙率が3~75%である、空間充填材。
- 請求項1~8のいずれか一項に記載の空間充填材であって、所定の空間内で被固定材を固定させるために用いられる、空間充填材。
- 請求項9に記載の空間充填材と、その少なくとも一部に接して一体化された被固定材とを備える、空間充填構造体。
- 請求項10に記載の空間充填構造体であって、前記被固定材が前記空間充填材で挟まれている、空間充填構造体。
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