本発明のポリイソシアネート組成物は、ペンタメチレンジイソシアネートのビウレットを含んでいる。
ビウレットは、ビウレット基を分子中に1つ以上含有する変性体である。ビウレット基は、尿素基とイソシアネート基との反応により生成する官能基である。
また、ポリイソシアネート組成物は、ペンタメチレンジイソシアネートのビウレットを含有するとともに、2分子のペンタメチレンジイソシアネートを含有し、1つの尿素基を含有する尿素基含有2量体(後述)を、後述する所定割合で含有する。
このようなポリイソシアネート組成物は、ペンタメチレンジイソシアネートとビウレット変性剤とを、後述の方法で反応させることにより、得ることができる。
換言すれば、ポリイソシアネート組成物は、ペンタメチレンジイソシアネートとビウレット変性剤との反応生成物を、含有する。
ペンタメチレンジイソシアネートとしては、1,2-ペンタメチレンジイソシアネート(1,2-ペンタンジイソシアネート)、1,3-ペンタメチレンジイソシアネート(1,3-ペンタンジイソシアネート)、1,4-ペンタメチレンジイソシアネート(1,4-ペンタンジイソシアネート)、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(1,5-ペンタンジイソシアネート)などのペンタメチレンジイソシアネート単量体が挙げられる。
これらペンタメチレンジイソシアネートは、単独使用または2種類以上併用することができる。
ペンタメチレンジイソシアネートとして、好ましくは、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート(1,5-ペンタンジイソシアネート)が挙げられる。
ビウレット変性剤としては、例えば、水、第3級アルコール、第2級アミンなどが挙げられる。
第3級アルコールとしては、例えば、t-ブチルアルコール、t-アミルアルコール、2-エチル-2-ブタノール、トリエチルカルビノール、1,1-ジメチルベンジルアルコール、1-メチル-1-フェニルベンジルアルコール、ジメチルフェニルカルビノール、ジフェニルメチルカルビノール、トリフェニルカルビノール、3-エチル-5,5-ジメチル3-ヘキサノールなどが挙げられる。
これら第3級アルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
第2級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジオクタデシルアミン、N-メチルエチルアミン、N-エチルプロピルアミンなどのジアルキルアミンなどが挙げられる。
これら第2級アミンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、ビウレット変性剤としては、上記の他、さらに、蟻酸、硫化水素なども挙げられる。
これらビウレット変性剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
ビウレット変性剤として、好ましくは、水が挙げられる。
ペンタメチレンジイソシアネートとビウレット変性剤の反応(ビウレット化反応)では、例えば、まず、ビウレットの前駆体として、尿素基を含む誘導体(以下、尿素誘導体(後述))が得られる。その後、尿素誘導体の尿素基に対して、さらに、1分子のペンタメチレンジイソシアネートが付加することによって、ビウレット(後述)が得られる。
上記のビウレット化反応において、ビウレット変性剤の配合割合は、ペンタメチレンジイソシアネート100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、1質量部以上であり、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下である。
また、上記の反応では、必要により、公知の反応溶媒(例えば、エチレングリコール系溶剤、プロピレングリコール系溶剤、アルキルリン酸系溶剤など)を適宜の割合で配合してもよい。
ビウレット化反応の反応条件としては、例えば、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気、常圧(大気圧)下において、例えば、室温(25℃)以上、好ましくは、40℃以上、より好ましくは、50℃以上、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下、より好ましくは、150℃以下であり、反応時間は、例えば、30分以上、好ましくは、1時間以上、例えば、10時間以下、好ましくは、6時間以下である。
また、上記のビウレット化反応においては、必要に応じて、公知の添加剤を添加することができる。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、助触媒などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられ、衛生性の観点から、好ましくは、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、具体的には、例えば、2,6-ジ(tert-ブチル)-4-メチルフェノール、[3-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパノイルオキシ]-2,2-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパノイルオキシメチル]プロピル]3-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパノエート(イルガノックス1010、チバ・ジャパン社製、商品名)、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート(イルガノックス1076、チバ・ジャパン社製、商品名)、3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジイソプロピルフェニル)プロピオン酸オクチルエステル(イルガノックス1135、チバ・ジャパン社製、商品名)、ビス[3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)プロピオン酸]エチレンビスオキシビスエチレン(イルガノックス245、チバ・ジャパン社製、商品名)などが挙げられる。
これら酸化防止剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
助触媒としては、例えば、有機亜リン酸エステルが挙げられる。有機亜リン酸エステルとしては、脂肪族有機亜リン酸エステル、芳香族有機亜リン酸エステルなどが挙げられる。
脂肪族有機亜リン酸エステルとしては、例えば、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2-エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリステアリルホスファイトなどのアルキルモノホスファイト、例えば、ジステアリル・ペンタエリスリチル・ジホスファイト、ジ・ドデシル・ペンタエリスリトール・ジホスファイト、ジ・トリデシル・ペンタエリスリトール・ジホスファイト、トリペンタエリスリトール・トリホスファイトなどの脂肪族多価アルコールから誘導されたジ、トリあるいはテトラホスファイト、さらに、水添ビスフェノールAホスファイトポリマー(分子量2400~3000)などの脂環族ポリホスファイト、トリス(2,3-ジクロロプロピル)ホスファイトなどが挙げられる。
芳香族有機亜リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニル(トリデシル)ホスファイトなどのアリールモノホスファイト、例えば、ジノニルフェニル・ペンタエリスリトール・ジホスファイト、テトラフェニル・テトラ・トリデシル・ペンタエリスリチル・テトラホスファイト、テトラフェニル・ジプロピレングリコール・ジホスファイトなどの芳香族多価アルコールから誘導されたジ、トリあるいはテトラホスファイト、さらに、例えば、炭素数が1~20のジ・アルキル・ビスフェノールA・ジホスファイト、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ・トリデシル)ホスファイトなどのビスフェノール系化合物から誘導されたジホスファイトなどが挙げられる。
これら助触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
なお、添加剤の添加割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
また、添加剤を添加するタイミングは、特に制限されず、ビウレット化反応前のペンタメチレンジイソシアネートまたはビウレット化剤に添加してもよく、また、ビウレット化反応中のビウレット反応液に添加してもよく、さらには、ビウレット化反応後のビウレット反応液に添加してもよい。
そして、この方法では、上記ビウレット化反応の終了後、必要に応じて、得られる反応混合液から、未反応のペンタメチレンジイソシアネートモノマーおよび反応溶媒(さらに、必要に応じて、触媒、添加剤など)を、例えば、薄膜蒸留(スミス蒸留)などの蒸留や、抽出などの公知の方法で除去する。
これにより、ポリイソシアネート組成物が得られる。
ポリイソシアネート組成物は、好ましくは、溶剤を含まず、固形分濃度は、例えば、例えば、95質量%以上、好ましくは、99質量%以上であり、例えば、100質量%以下である。
また、ポリイソシアネート組成物(固形分(以下同じ))において、イソシアネートモノマー濃度(未反応のペンタメチレンジイソシアネートの濃度)が、例えば、5質量%以下、好ましくは、2質量%以下、より好ましくは、1質量%以下である。
また、ポリイソシアネート組成物において、イソシアネート基濃度(固形分基準)は、例えば、15質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、例えば、35質量%以下、好ましくは、30質量%以下である。
そして、得られるポリイソシアネート組成物は、上記したように、ペンタメチレンジイソシアネートのビウレットを含んでいる。
ビウレットは、例えば、3分子のペンタメチレンジイソシアネートを含有し、ビウレット基を1つ含有する3分子体ビウレット、例えば、5分子のペンタメチレンジイソシアネートを含有し、ビウレット基を2つ含有する5分子体ビウレット、例えば、7分子のペンタメチレンジイソシアネートを含有し、ビウレット基を3つ含有する7分子体ビウレットなどを含んでいる。
好ましくは、ポリイソシアネート組成物は、3分子体ビウレットを、主成分として含有する。
3分子体ビウレットの含有割合(3分子体ビウレット含有率)は、ポリイソシアネート組成物の総量に対して、塗膜耐性の観点から、例えば、20質量%以上、好ましくは、25質量%以上、より好ましくは、30質量%以上、さらに好ましくは、35質量%以上、とりわけ好ましくは、40質量%以上であり、作業性(低粘度性)の観点から、例えば、80質量%以下、好ましくは、75質量%以下、より好ましくは、70質量%以下、さらに好ましくは、60質量%以下である。
なお、3分子体ビウレット含有率は、図1が参照されるように、ポリイソシアネート組成物をゲルパーミエーションクロマトグラフにて測定(GPC測定)したときのクロマトグラムに基づいて、算出される。
GPC測定において、GPC測定装置およびGPC測定方法は、特に制限されず、後述する各ピークの各面積率を算出できる分解能を有する装置および方法が、適宜採用される。
また、各ピークの各面積率の算出方法は、特に制限されないが、通常、GPC測定で得られるクロマトグラムの各ピークを垂直分割し、垂直分割された各ピークの面積の比率を、面積百分率法によって算出する。
そして、ポリイソシアネート組成物のGPC測定により得られるクロマトグラムにおいて、3分子体ビウレットに由来するピークを同定することにより、そのピークの面積率を、3分子体ビウレットとする。
この場合、3分子体ビウレットに由来するピークは、例えば、ポリスチレン換算分子量(平均分子量)に基づいて、同定される。この場合、ポリスチレン換算分子量(平均分子量)は、上記の反応に用いられるビウレット変性剤の種類によって異なる。
例えば、ビウレット変性剤が水の場合、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)300以上500未満の範囲にピークトップを有するピークを、3分子体ビウレットに由来するピークであると同定する。
さらに詳述すると、例えば、ビウレット変性剤が水の場合、ポリイソシアネート組成物において、ペンタメチレンジイソシアネートの3分子体ビウレット含有率は、ポリイソシアネート組成物を、示差屈折計を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)にて測定したときのクロマトグラムにおいて、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)300以上500未満の範囲にピークトップを有するピークの面積の、全ピークの面積に対する面積率(以下、Mn300-500面積率、または、3分子体ビウレット面積率と称する場合がある。)として、求めることができる。
好ましくは、ポリイソシアネート組成物中の3分子体ビウレット含有率は、GPC測定したときのクロマトグラムにおいて、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)330以上470以下の範囲にピークトップを有するピークの面積の、全ピークの面積に対する面積率として、求めることができる。
3分子体ビウレット面積率(例えば、Mn300-500面積率)は、塗膜耐性の観点から、例えば、20%以上、好ましくは、25%以上、より好ましくは、30%以上、さらに好ましくは、35%以上、とりわけ好ましくは、40%以上であり、作業性(低粘度性)の観点から、例えば、80%以下、好ましくは、75%以下、より好ましくは、70%以下、さらに好ましくは、60%以下である。
なお、3分子体ビウレット含有率を示すピークは、通常、上記クロマトグラムにおいて、1つである。
図1に、3分子体ビウレット含有率を示すピークを、ピーク5として示す。
また、好ましくは、ポリイソシアネート組成物は、5分子体ビウレットを含有する。
5分子体ビウレットの含有割合(5分子体ビウレット含有率)は、ポリイソシアネート組成物の総量に対して、塗膜耐性の観点から、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、10質量%以上、さらに好ましくは、12質量%以上、とりわけ好ましくは、15質量%以上であり、作業性(低粘度性)の観点から、例えば、35質量%以下、好ましくは、30質量%以下、より好ましくは、25質量%以下、さらに好ましくは、20質量%以下である。
なお、5分子体ビウレット含有率は、上記と同様の方法により、ポリイソシアネート組成物をゲルパーミエーションクロマトグラフにて測定(GPC測定)したときのクロマトグラムに基づいて、算出される。
この場合も、ポリスチレン換算分子量(平均分子量)は、上記の反応に用いられるビウレット変性剤の種類によって異なる。
例えば、ビウレット変性剤が水の場合、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)650以上800未満の範囲にピークトップを有するピークを、5分子体ビウレットに由来するピークであると同定する。
さらに詳述すると、例えば、ビウレット変性剤が水の場合、ポリイソシアネート組成物において、ペンタメチレンジイソシアネートの5分子体ビウレット含有率は、ポリイソシアネート組成物を、示差屈折計を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)にて測定したときのクロマトグラムにおいて、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)650以上800未満の範囲にピークトップを有するピークの面積の、全ピークの面積に対する面積率(以下、Mn650-800面積率、または、5分子体ビウレット面積率と称する場合がある。)として、求めることができる。
好ましくは、ポリイソシアネート組成物中の5分子体ビウレット含有率は、GPC測定したときのクロマトグラムにおいて、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)630以上770以下の範囲にピークトップを有するピークの面積の、全ピークの面積に対する面積率として、求めることができる。
5分子体ビウレット面積率(例えば、Mn650-800面積率)は、塗膜耐性の観点から、例えば、1%以上、好ましくは、5%以上、より好ましくは、10%以上、さらに好ましくは、12%以上、とりわけ好ましくは、15%以上であり、作業性(低粘度性)の観点から、例えば、35%以下、好ましくは、30%以下、より好ましくは、25%以下、さらに好ましくは、20%以下である。
なお、5分子体ビウレット含有率を示すピークは、通常、上記クロマトグラムにおいて、1つである。
図1に、5分子体ビウレット含有率を示すピークを、ピーク3として示す。
また、好ましくは、ポリイソシアネート組成物は、7分子体ビウレットを含有する。
7分子体ビウレットの含有割合(7分子体ビウレット含有率)は、ポリイソシアネート組成物の総量に対して、塗膜耐性の観点から、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上、より好ましくは、1質量%以上、さらに好ましくは、2質量%以上、とりわけ好ましくは、3質量%以上であり、作業性(低粘度性)の観点から、例えば、25質量%以下、好ましくは、20質量%以下、より好ましくは、15質量%以下、さらに好ましくは、10質量%以下である。
なお、7分子体ビウレット含有率は、上記と同様の方法により、ポリイソシアネート組成物をゲルパーミエーションクロマトグラフにて測定(GPC測定)したときのクロマトグラムに基づいて、算出される。
この場合も、ポリスチレン換算分子量(平均分子量)は、上記の反応に用いられるビウレット変性剤の種類によって異なる。
例えば、ビウレット変性剤が水の場合、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)800以上1100未満の範囲にピークトップを有するピークを、7分子体ビウレットに由来するピークであると同定する。
さらに詳述すると、例えば、ビウレット変性剤が水の場合、ポリイソシアネート組成物において、ペンタメチレンジイソシアネートの7分子体ビウレット含有率は、ポリイソシアネート組成物を、示差屈折計を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)にて測定したときのクロマトグラムにおいて、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)800以上1100未満の範囲にピークトップを有するピークの面積の、全ピークの面積に対する面積率(以下、Mn800-1100面積率、または、7分子体ビウレット面積率と称する場合がある。)として、求めることができる。
好ましくは、ポリイソシアネート組成物中の7分子体ビウレット含有率は、GPC測定したときのクロマトグラムにおいて、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)850以上1050以下の範囲にピークトップを有するピークの面積の、全ピークの面積に対する面積率として、求めることができる。
7分子体ビウレット面積率(例えば、Mn800-1100面積率)は、塗膜耐性の観点から、例えば、0.1%以上、好ましくは、0.5%以上、より好ましくは、1%以上、さらに好ましくは、2%以上、とりわけ好ましくは、3%以上であり、作業性(低粘度性)の観点から、例えば、25%以下、好ましくは、20%以下、より好ましくは、15%以下、さらに好ましくは、10%以下である。
なお、7分子体ビウレット含有率を示すピークは、通常、上記クロマトグラムにおいて、1つである。
図1に、7分子体ビウレット含有率を示すピークを、ピーク2として示す。
そして、3分子体ビウレットのポリイソシアネート組成物の総量に対する含有割合(3分子体ビウレット含有率)と、5分子体ビウレットのポリイソシアネート組成物の総量に対する含有割合(5分子体ビウレット含有率)と、7分子体ビウレットのポリイソシアネート組成物の総量に対する含有割合(7分子体ビウレット含有率)との総量(ビウレット含有率)は、塗膜耐性の観点から、例えば、50質量%以上、好ましくは、55質量%以上、より好ましくは、60質量%以上、さらに好ましくは、65質量%以上、とりわけ好ましくは、70質量%以上であり、作業性(低粘度性)の観点から、例えば、99質量%以下、好ましくは、98質量%以下、より好ましくは、95質量%以下、さらに好ましくは、90質量%以下である。
なお、ポリイソシアネート組成物において、ビウレット含有率は、上記の3分子体ビウレット面積率(Mn300-500面積率)と、上記の5分子体ビウレット面積率(Mn650-800面積率)と、上記の7分子体ビウレット面積率(Mn800-1100面積率)との合計面積率(以下、ビウレット面積率と称する場合がある。)として、算出される。
ビウレット面積率は、塗膜耐性の観点から、例えば、50%以上、好ましくは、55%以上、より好ましくは、60%以上、さらに好ましくは、65%以上、とりわけ好ましくは、70%以上であり、作業性(低粘度性)の観点から、例えば、99%以下、好ましくは、98%以下、より好ましくは、95%以下、さらに好ましくは、90%以下である。
また、ポリイソシアネート組成物は、副生成物として、尿素誘導体を含有する。
尿素誘導体は、ビウレットの前駆体である。尿素誘導体としては、2分子のペンタメチレンジイソシアネートを含有し、1つの尿素基を含有する尿素基含有2量体が挙げられる。
換言すれば、ポリイソシアネート組成物は、2分子のペンタメチレンジイソシアネートを含有し、1つの尿素基を含有する尿素基含有2量体を含む。
ポリイソシアネート組成物において、尿素基含有2量体の含有割合(尿素基含有2量体含有率)は、ポリイソシアネート組成物の総量に対して、作業性(低粘度性)の観点から、1質量%以上、好ましくは、2質量%以上、より好ましくは、3質量%以上、さらに好ましくは、4質量%以上であり、反応安定性(耐濁り性)の観点から、10質量%以下、好ましくは、9質量%以下、より好ましくは、8質量%以下、さらに好ましくは、7質量%以下である。
なお、尿素基含有2量体含有率は、上記と同様の方法により、ポリイソシアネート組成物をゲルパーミエーションクロマトグラフにて測定(GPC測定)したときのクロマトグラムに基づいて、算出される。
この場合も、ポリスチレン換算分子量(平均分子量)は、上記の反応に用いられるビウレット変性剤の種類によって異なる。
例えば、ビウレット変性剤が水の場合、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)200以上300未満の範囲にピークトップを有するピークを、尿素基含有2量体に由来するピークであると同定する。
さらに詳述すると、例えば、ビウレット変性剤が水の場合、ポリイソシアネート組成物において、尿素基含有2量体含有率は、ポリイソシアネート組成物を、示差屈折計を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフにて測定したときのクロマトグラムにおいて、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)200以上300未満の範囲にピークトップを有するピークの面積の、全ピークの面積に対する面積率(以下、Mn200-300面積率、または、尿素基含有2量体面積率と称する場合がある。)として、求めることができる。
好ましくは、ポリイソシアネート組成物中の尿素基含有2量体含有率は、GPC測定したときのクロマトグラムにおいて、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)220以上320以下の範囲にピークトップを有するピークの面積の、全ピークの面積に対する面積率として、求めることができる。
尿素基含有2量体面積率(例えば、Mn200-300面積率)は、作業性(低粘度性)の観点から、1%以上、好ましくは、2%以上、より好ましくは、3%以上、さらに好ましくは、4%以上であり、反応安定性(耐濁り性)の観点から、10%以下、好ましくは、9%以下、より好ましくは、8%以下、さらに好ましくは、7%以下である。
なお、尿素基含有2量体を示すピークは、通常、上記クロマトグラムにおいて、1つである。
図1に、尿素基含有2量体を示すピークを、ピーク6として示す。
また、ポリイソシアネート組成物は、副生成物として、4分子のペンタメチレンジイソシアネートからなる誘導体(以下、イソシアネート4量体)を含有することができる。
イソシアネート4量体は、例えば、ビウレット3分子体に、さらに、1分子のペンタメチレンジイソシアネートが付加して得られる。
ポリイソシアネート組成物において、イソシアネート4量体の含有割合(イソシアネート4量体含有率)は、ポリイソシアネート組成物の総量に対して、作業性(低粘度性)の観点から、例えば、1質量%以上、好ましくは、2質量%以上、より好ましくは、3質量%以上、さらに好ましくは、4質量%以上であり、反応安定性(耐濁り性)の観点から、30質量%以下、好ましくは、20質量%以下、より好ましくは、15質量%以下、さらに好ましくは、10質量%以下である。
なお、イソシアネート4量体含有率は、上記と同様の方法により、ポリイソシアネート組成物をゲルパーミエーションクロマトグラフにて測定(GPC測定)したときのクロマトグラムに基づいて、算出される。
この場合も、ポリスチレン換算分子量(平均分子量)は、上記の反応に用いられるビウレット変性剤の種類によって異なる。
例えば、ビウレット変性剤が水の場合、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)500以上650未満の範囲にピークトップを有するピークを、イソシアネート4量体に由来するピークであると同定する。
さらに詳述すると、例えば、ビウレット変性剤が水の場合、ポリイソシアネート組成物において、イソシアネート4量体含有率は、ポリイソシアネート組成物を、示差屈折計を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフにて測定したときのクロマトグラムにおいて、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)500以上650未満の範囲にピークトップを有するピークの面積の、全ピークの面積に対する面積率(以下、Mn500-650面積率、または、イソシアネート4量体面積率と称する場合がある。)として、求めることができる。
好ましくは、ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート4量体含有率は、GPC測定したときのクロマトグラムにおいて、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)520以上620以下の範囲にピークトップを有するピークの面積の、全ピークの面積に対する面積率として、求めることができる。
イソシアネート4量体面積率(例えば、Mn520-620面積率)は、作業性(低粘度性)の観点から、例えば、1%以上、好ましくは、2%以上、より好ましくは、3%以上、さらに好ましくは、4%以上であり、反応安定性(耐濁り性)の観点から、30%以下、好ましくは、20%以下、より好ましくは、15%以下、さらに好ましくは、10%以下である。
なお、イソシアネート4量体を示すピークは、通常、上記クロマトグラムにおいて、1つである。
図1に、イソシアネート4量体を示すピークを、ピーク4として示す。
さらに、ポリイソシアネート組成物は、好ましくは、8分子以上のペンタメチレンジイソシアネートを含有する誘導体(以下、高分子量体)を含む。
高分子量体は、例えば、7分子体ビウレット対するペンタメチレンジイソシアネートの付加反応、例えば、2分子以上のイソシアネート4量体の縮合反応などにより、生成される。
ポリイソシアネート組成物において、高分子量体の含有割合(高分子量体含有率)は、ポリイソシアネート組成物の総量に対して、反応安定性(耐濁り性)の観点から、例えば、0質量%以上、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、2質量%以上、さらに好ましくは、5質量%以上であり、作業性(低粘度性)の観点から、25質量%以下、好ましくは、20質量%以下、より好ましくは、15質量%以下、さらに好ましくは、10質量%以下である。
なお、高分子量体含有率は、上記と同様の方法により、ポリイソシアネート組成物をゲルパーミエーションクロマトグラフにて測定(GPC測定)したときのクロマトグラムに基づいて、算出される。
この場合も、ポリスチレン換算分子量(平均分子量)は、上記の反応に用いられるビウレット変性剤の種類によって異なる。
例えば、ビウレット変性剤が水の場合、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)1100以上の範囲にピークトップを有するピークを、高分子量体に由来するピークであると同定する。
さらに詳述すると、例えば、ビウレット変性剤が水の場合、ポリイソシアネート組成物において、高分子量体含有率は、ポリイソシアネート組成物を、示差屈折計を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフにて測定したときのクロマトグラムにおいて、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)1100以上の範囲にピークトップを有するピークの面積の、全ピークの面積に対する面積率(以下、Mn1100-面積率、または、高分子量体面積率と称する場合がある。)として、求めることができる。
好ましくは、ポリイソシアネート組成物中の高分子量体は、GPC測定したときのクロマトグラムにおいて、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)1200以上の範囲にピークトップを有するピークの面積の、全ピークの面積に対する面積率として、求めることができる。
高分子量体面積率(例えば、Mn1100-面積率)は、反応安定性(耐濁り性)の観点から、例えば、0%以上、好ましくは、1%以上、より好ましくは、2%以上、さらに好ましくは、5%以上であり、作業性(低粘度性)の観点から、25%以下、好ましくは、20%以下、より好ましくは、15%以下、さらに好ましくは、10%以下である。
図1に、高分子量体を示すピークを、ピーク1として示す。
加えて、ポリイソシアネート組成物は、未反応のペンタメチレンジイソシアネートモノマーを含むことができる。
ポリイソシアネート組成物において、ペンタメチレンジイソシアネートモノマーの含有割合(モノマー含有率)は、ポリイソシアネート組成物の総量に対して、例えば、10質量%以下、好ましくは、8質量%以下、より好ましくは、6質量%以下、さらに好ましくは、5質量%以下である。
なお、モノマー含有率は、上記と同様の方法により、ポリイソシアネート組成物をゲルパーミエーションクロマトグラフにて測定(GPC測定)したときのクロマトグラムに基づいて、算出される。
この場合、ポリスチレン換算分子量(平均分子量)100以上200未満(例えば、154)の近辺にピークトップを有するピークを、ペンタメチレンジイソシアネートモノマーに由来するピークであると同定する。
より具体的には、ポリイソシアネート組成物において、モノマー含有率は、ポリイソシアネート組成物を、示差屈折計を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフにて測定したときのクロマトグラムにおいて、ポリスチレン換算分子量(数平均分子量)100以上200未満(好ましくは、154)の近辺にピークトップを有するピークの面積の、全ピークの面積に対する面積率(以下、Mn100-200(好ましくは、154)面積率、または、モノマー面積率と称する場合がある。)として、求めることができる。
モノマー面積率(例えば、Mn100-200面積率)は、例えば、10%以下、好ましくは、8%以下、より好ましくは、6%以下、さらに好ましくは、5%以下である。
なお、ペンタメチレンジイソシアネートモノマーを示すピークは、通常、上記クロマトグラムにおいて、1つである。
図1に、ペンタメチレンジイソシアネートモノマーを示すピークを、ピーク7として示す。
そして、上記のポリイソシアネート組成物において、高分子量体のポリイソシアネート組成物の総量に対する含有割合(高分子量体含有率)に対する、尿素基含有2量体のポリイソシアネート組成物の総量に対する含有割合(尿素基含有2量体含有率)の比(尿素基含有2量体含有率/高分子量体含有率)は、作業性(低粘度性)の観点から、例えば、0.20以上、好ましくは、0.25以上、より好ましくは、0.30以上、さらに好ましくは、0.40以上、とりわけ好ましくは、0.60以上であり、反応安定性の観点から、例えば、3.00以下、好ましくは、2.40以下、より好ましくは、2.20以下、さらに好ましくは、2.00以下、とりわけ好ましくは、1.50以下である。
なお、上記の比率は、ポリイソシアネート組成物を、示差屈折計を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフにて測定したときのクロマトグラムにおける面積率の比としても示される。
すなわち、上記のポリイソシアネート組成物において、高分子量体面積率に対する、尿素基含有2量体面積率の比(尿素基含有2量体面積率/高分子量体面積率)は、作業性(低粘度化)の観点から、例えば、0.20以上、好ましくは、0.25以上、より好ましくは、0.30以上、さらに好ましくは、0.40以上、とりわけ好ましくは、0.60以上であり、反応安定性の観点から、例えば、3.00以下、好ましくは、2.40以下、より好ましくは、2.20以下、さらに好ましくは、2.00以下、とりわけ好ましくは、1.50以下である。
また、上記のポリイソシアネート組成物において、高分子量体のポリイソシアネート組成物の総量に対する含有割合(高分子量体含有率)に対する、イソシアネート4量体のポリイソシアネート組成物の総量に対する含有割合(イソシアネート4量体含有率)の比(イソシアネート4量体含有率/高分子量体含有率)は、作業性の観点から、例えば、0.20以上、好ましくは、0.30以上、より好ましくは、0.40以上、さらに好ましくは、0.60以上であり、反応安定性の観点から、2.40以下、好ましくは、2.20以下、より好ましくは、2.00以下、さらに好ましくは、1.50以下である。
なお、上記の比率は、ポリイソシアネート組成物を、示差屈折計を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフにて測定したときのクロマトグラムにおける面積率の比としても示される。
すなわち、上記のポリイソシアネート組成物において、高分子量体面積率に対する、イソシアネート4量体面積率の比(イソシアネート4量体面積率/高分子量体面積率)は、作業性の観点から、例えば、0.20以上、好ましくは、0.30以上、より好ましくは、0.40以上、さらに好ましくは、0.60以上であり、反応安定性の観点から、2.40以下、好ましくは、2.20以下、より好ましくは、2.00以下、さらに好ましくは、1.50以下である。
また、上記のポリイソシアネート組成物において、高分子量体のポリイソシアネート組成物の総量に対する含有割合(高分子量体含有率)に対する、ビウレット(3分子体ビウレット、5分子体ビウレットおよび7分子体ビウレットの総量)のポリイソシアネート組成物の総量に対する含有割合(ビウレット含有率)の比(ビウレット含有率/高分子量体含有率)は、作業性の観点から、例えば、5.00以上、好ましくは、7.00以上、より好ましくは、9.00以上、さらに好ましくは、10.0以上である。
なお、上記の比率は、ポリイソシアネート組成物を、示差屈折計を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフにて測定したときのクロマトグラムにおける面積率の比としても示される。
すなわち、上記のポリイソシアネート組成物において、高分子量体面積率に対する、ビウレット面積率の比(ビウレット面積率/高分子量体面積率)は、作業性の観点から、例えば、5.00以上、好ましくは、7.00以上、より好ましくは、9.00以上、さらに好ましくは、10.0以上である。
このようなポリイソシアネート組成物は、尿素基含有2量体を上記の所定割合で含むため、反応安定性(耐濁性、耐変色性)および取扱性(低粘度性)に優れる。
そのため、上記ポリイソシアネート組成物は、例えば、塗料、接着剤、コーティング剤など、ポリウレタン樹脂を塗布する分野において、ポリウレタン樹脂の製造原料として、好適に用いられる。
ポリウレタン樹脂の形態としては、特に制限されないが、好ましくは、2液硬化型ポリウレタンが挙げられる。2液硬化型ポリウレタンは、硬化剤と主剤とがそれぞれ独立したパッケージとして調製され、それらが使用時に配合されることによりポリウレタン樹脂(硬化塗膜など)を形成する樹脂組成物である。
このような2液硬化型ポリウレタンにおける硬化剤(ポリイソシアネート成分)として、好ましくは、上記したポリイソシアネート組成物が用いられる。
例えば、ポリイソシアネート組成物は、必要により公知の有機溶剤などに溶解され、硬化剤として調製される。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのアルキルエステル類、例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、臭化メチル、ヨウ化メチレン、ジクロロエタンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素類、例えば、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、N,N’-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの極性非プロトン類などが挙げられる。
ポリイソシアネート成分(硬化剤)が有機溶剤を含有する場合、その含有割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
2液硬化型ポリウレタンの主剤は、例えば、ポリオール成分を含有する。
ポリオール成分としては、例えば、公知の高分子量ポリオールが挙げられる。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量300以上、好ましくは、400以上、さらに好ましくは、500以上の化合物であって、例えば、ポリエーテルポリオール(例えば、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオールなど)、ポリエステルポリオール(例えば、アジピン酸系ポリエステルポリオール、フタル酸系ポリエステルポリオール、ラクトン系ポリエステルポリオールなど)、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール(例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどをポリイソシアネートによりウレタン変性したポリオール)、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ビニルモノマー変性ポリオールなどが挙げられる。
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
高分子量ポリオールとして、好ましくは、アクリルポリオールが挙げられる。
なお、ポリオール成分は、必要により上記した有機溶媒などに溶解され、主剤として調製される。
そして、2液硬化型ポリウレタンは、硬化剤および主剤を使用時に配合し、混合撹拌することにより、塗料(2液硬化型塗料)、接着剤(2液硬化型接着剤)などとして好適に用いられる。
より具体的には、まず、上記主剤と上記硬化剤とをそれぞれ用意し、使用直前に主剤と硬化剤とを混合して、2液硬化型ポリウレタン樹脂(塗料、接着剤)を調製し、その2液硬化型ポリウレタン樹脂を、被塗物または被着物に塗布する。
主剤および硬化剤の配合割合は、例えば、主剤(ポリオール成分)中の水酸基に対する、硬化剤(ポリイソシアネート組成物)中のイソシアネート基の当量比(NCO/OH)として、例えば、0.5~1.5、好ましくは、0.8~1.2となる割合である。
そして、主剤および硬化剤の混合物は、例えば、スプレー塗装、エアスプレー塗装、はけ塗り、浸漬法、ロールコート法、フローコート法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、ダイレクトコート法などの任意の方法により、被着体に塗布される。
被着物としては、特に制限されず、例えば、各種建材および各種積層フィルムが挙げられる。より具体的には、プラスチックフィルム、金属箔、金属蒸着フィルムなどの包装材料、FRP、鋼材などの土木材料などが挙げられる。
そして、主剤および硬化剤の混合物が乾燥および硬化することにより、ポリウレタン樹脂(硬化塗膜、接着層など)が得られる。
なお、上記ポリイソシアネート組成物は、例えば、イソシアネート基が公知のブロック剤によりブロックされ、加熱によりブロック剤が脱離されるブロックイソシアネートとして用いることもできる。このような場合、ポリイソシアネート組成物は、1液硬化型ポリウレタン樹脂(塗料、接着剤)におけるポリイソシアネート成分として、用いられる。
そのため、上記のポリウレタン樹脂およびポリイソシアネート組成物は、例えば、塗料、接着剤などの各種産業分野において、好適に用いられる。
次に、本発明を、製造例、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
1.GPC
サンプルをゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)測定し、得られたクロマトグラム(チャート)における各ピークの面積の、全ピークの面積に対する面積率を求めた。
そして、各ピークを、ピークトップのポリスチレン換算分子量に応じて同定し、各ピークの面積率から、各成分の含有率を算出した。
なお、ポリイソシアネートの種類およびビウレット変性剤と、ピークトップのポリスチレン換算分子量と、各成分の帰属とを、表1に示す。
<GPC測定>
GPC測定においては、サンプルを約0.03g採取し、テトラヒドロフラン10mLを添加して溶解させた。そして、得られた溶液を、以下の条件でGPC測定した。
(1)分析装置 : Alliance(Waters)
(2)ポンプ : Alliance 2695(Waters)
(3)検出器 : 2414型示差屈折検出器(Waters)
(4)溶離液 : Tetrahydrofuran
(5)分離カラム :Plgel GUARD + Plgel 5μmMixed-C×3本(50×7.5mm,300×7.5mm)
メーカー ; Polymer Laboratories
品番 ; PL1110-6500
(6)測定温度 : 40℃
(7)流速 : 1mL/min
(8)サンプル注入量 : 100μL
(9)解析装置 : EMPOWERデータ処理装置(Waters)
・システム補正
(1)標準物質名 : Polystyrene
(2)検量線作成方法 : 分子量の異なるTOSOH社製 TSKstandard Polystyreneを用い、リテンションタイムと分子量のグラフを作成。
(3)注入量、注入濃度 : 100μL、 1mg/mL
なお、実施例1のポリイソシアネート組成物のゲルパーミエーションクロマトグラムを図2に示す。
実施例1~2、参考例3~4、実施例5~8および比較例1~3
表2~表3に示す原料および条件で、ポリイソシアネート組成物を得た。
すなわち、撹拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた反応器に、窒素雰囲気下で、表中に記載のポリイソシアネート100質量部と、助触媒としてのトリス(トリデシル)ホスファイト0.02質量部と、溶剤としてのトリメチルリン酸30質量部と、ビウレット変性剤としての水1.2質量部とを仕込み、表中に記載の温度で、表中に記載の時間反応させた。
そして、得られた反応液を、薄膜蒸留装置(真空度50Pa、温度150℃)に通液して未反応のイソシアネート(表中に記載のポリイソシアネート)を除去した。
これにより、ポリイソシアネート組成物を得た。
評価
(1)反応安定性(着色(耐変色性))
ポリイソシアネート組成物の製造において得られた反応液を、100mLガラス瓶に入れ、窒素置換した後、金属製の蓋で密閉し、反応液の色相(APHA)をJIS K 007-1-1(2017年)に準拠して、目視により評価した。評価の基準を下記する。
〇:APHA20以下
△:APHA20超50以下
×:APHA50超
(2)反応安定性(濁り(耐濁り性))
ポリイソシアネート組成物の製造において得られた反応液を、100mLガラス瓶に入れ、窒素置換した後、金属製の蓋で密閉し、反応液の濁りを目視で評価した。評価の基準を下記する。
〇:透明である
△:透明であるが、浮遊物がある
×:濁りがある
(3)作業性(粘度)
ポリイソシアネート組成物を1mL採取し、25℃環境下、下記粘度計および下記条件で粘度測定した。
E型粘度計:TVE-25H型(東機産業製)
循環恒温装置:ビスコメイトVM150IV(東機産業製)
測定条件:25℃、ローター:1°34’×R24、ローター回転速度1rpm、測定レンジ:H
そして、粘度に基づいて、以下の基準で評価した。
〇:2500mPa・s未満
△:2500mPa・s以上3500mPa・s未満
×:3500mPa・s以上