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JP7425634B2 - Cu基合金粉末 - Google Patents

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JP7425634B2
JP7425634B2 JP2020042644A JP2020042644A JP7425634B2 JP 7425634 B2 JP7425634 B2 JP 7425634B2 JP 2020042644 A JP2020042644 A JP 2020042644A JP 2020042644 A JP2020042644 A JP 2020042644A JP 7425634 B2 JP7425634 B2 JP 7425634B2
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Description

本発明は、Cu基合金粉末に関する。詳細には、本発明は、積層造形法に適したCu基合金粉末に関する。
金属からなる造形物の製作に、3Dプリンターが使用されている。この3Dプリンターでは、積層造形法(Additive Manufacturing)によって造形物が製作される。積層造形法では、敷き詰められた金属粉末に、レーザービーム又は電子ビームが照射される。照射により、粉末の金属粒子が溶融する。粒子はその後、凝固する。この溶融と凝固とにより、粒子同士が結合する。照射は、金属粉末の一部に、選択的になされる。粉末の、照射がなされなかった部分は、溶融しない。照射がなされた部分のみにおいて、結合層が形成される。
結合層の上に、さらに金属粉末が敷き詰められる。この金属粉末に、レーザービーム又は電子ビームが照射される。照射により、金属粒子が溶融する。金属はその後、凝固する。この溶融と凝固とにより、粉末中の粒子同士が結合され、新たな結合層が形成される。新たな結合層は、既存の結合層とも結合される。
照射による結合が繰り返されることにより、結合層の集合体が徐々に成長する。この成長により、三次元形状を有する造形物が得られる。積層造形法により、複雑な形状の造形物が、容易に得られる。積層造形法の一例が、特許第4661842号公報(特許文献1)に開示されている。
従来、金属粉末を用いた積層造形法には、マルエージング鋼、ステンレス鋼、Ti(チタン)等が用いられている。近年、積層造形用材料として、Cu(銅)、Al(アルミニウム)等の適用が求められている。特に、得られる造形物において、高い電気伝導度が要求される用途には、Cu及びCu基合金が適している。
積層造形法では、通常、近赤外波長領域(波長1000nm近傍)のファイバーレーザー又はYAGレーザーを用いて、金属材料が急速に溶融され、かつ急冷されて凝固する。しかし、Cu及びCu基合金は、熱伝導性が高く、エネルギー拡散が大きい。例えば、波長1064nmであるファイバーレーザーを照射した場合の、純Cuのレーザー光吸収率は10%程度と低い。このレーザー光吸収率の低さに起因して、Cu及びCu基合金では、レーザーによる溶融が困難、もしくは溶融できてもその効率が著しく低いという問題があった。
また、Fe基合金、Ni基合金、Co基合金等のレーザー反射率と比較すると、純Cuのレーザー反射率は高い。積層造形法のような、急速溶融急冷凝固を伴うプロセスに純Cuの粉末が用いられると、高いレーザー反射率に起因して、多くの熱が大気へ放出される。従って、粉末が溶融するための十分な熱が、この粉末に与えられない。熱の不足は、粒子同士の結合の不良を招来する。熱の不足に起因して、この粉末から得られた造形物の内部に、未溶融の粒子が残存する。この造形物の相対密度は、低い。
一方、エネルギー密度が高いレーザーが純Cu粉末に照射されれば、未溶融の粒子の残存は抑制される。しかし、エネルギー密度が高いレーザーは、溶融金属の突沸を招来する。この突沸は、造形物の内部の空隙の原因である。空隙を有する造形物の相対密度は、低い。
特開2017-141505号公報(特許文献2)には、造形光ビームと異なる波長の支援光ビームを金属末に照射して、この金属粉末の表面に酸化膜を形成することにより、造形光ビームの吸収率を向上させる技術が開示されている。特開2019-123920号公報(特許文献3)では、積層造形用原料として、銅もしくは銅合金からなる銅粉末本体と、この銅粉末本体の表面に、酸素存在下での加熱処理により形成された酸化被膜を具備する銅粉末が、提案されている。
特許第4661842号公報 特開2017-141505号公報 特開2019-123920号公報
特許文献2及び3に開示された積層造形用粉末の製造には、特定の酸化処理が必要である。本発明の目的は、このような酸化処理を要することなく得られ、しかも、レーザー光吸収率が高く、高密度の造形物を製造できるCu基合金粉末の提供にある。
本発明者は、鋭意検討の結果、Crと、Crよりも酸化物の標準生成エネルギーが低い特定の元素を添加したCu基合金では、積層造形時のレーザー照射によって、酸化物の生成が促進されてレーザー光吸収率が顕著に向上することを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明に係るCu基合金粉末は、多数の粒子からなる。それぞれの粒子は、その材質が、Cuと、Crと、Nd、Gd、Dy及びYからなる群から選択される1種又は2種以上と、を含むCu基合金である。このCu基合金におけるCrの含有率は、0.10質量%以上1.00質量%以下である。このCu基合金における、Nd、Gd、Dy及びYの合計含有率は、0.10質量%以上5.00質量%以下である。
好ましくは、このCu基合金は、0.0質量%以上0.20質量%以下のSiと、0.0質量%以上0.10質量%以下のPと、0.0質量%以上0.10質量%以下のSと、をさらに含み、その残部は不可避的不純物である。好ましくは、このCu基合金中の酸素含有量は、1000質量ppm以下である。
好ましくは、このCu基合金粉末の平均粒子径D50(μm)と、タップ密度TD(Mg/m)との比D50/TDは、0.2×10-5・m/Mg以上20×10-5・m/Mg以下である。好ましくは、このCu基合金粉末の球形度は、0.80以上0.95以下である。
好ましくは、このCu基合金粉末の、波長1064nmにおけるレーザー光吸収率は30%以上である。このCu基合金粉末は、積層造形法に用いられる。
本発明に係るCu基合金粉末のレーザー光吸収率は、高い。このCu基粉末を積層造形法に適用することにより、高密度かつ優れた特性を有する造形物が得られる。
以下、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。なお、本願明細書において、特に記載がない限り、「平均粒子径」は、レーザー回折散乱法により得られる体積基準の累積カーブにおいて、累積体積が50%である点の粒子径D50(メジアン径)である。範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、Cu基合金の成分組成に関し、含有率の下限値が「0.0質量%」と記載されている場合、所定の成分(元素)が含まれていないか、定量限界値以下であることを意味する。単位「ppm」は、「質量ppm」を意味する。
本発明に係るCu基合金粉末(以下、「合金粉末」と称する場合がある)は、多数の粒子の集合である。それぞれの粒子の材質は、Cu基合金である。
[Cu基合金]
本発明に係るCu基合金粉末において、Cu基合金は、主成分であるCuと、Crと、Nd、Gd、Dy及びYからなる群から選択される1種又は2種以上を含んでいる。Cu基合金が、Si、P及びSからなる群から選択される1種又は2種以上をさらに含んでもよい。好ましくは、このCu基合金の残部は、不可避的不純物である。
[Cr(クロム)、Nd(ネオジム)、Gd(ガドリニウム)、Dy(ジスプロシウム)及びY(イットリウム)]
Crを含むCu基合金では、CrがCuに固溶して固溶体を形成する。この固溶体では、レーザー反射率が抑制される。Crを含むCu基合金からなる粒子にレーザーが照射されると、その熱が効率的に吸収され、Crを含む酸化物が生成する。Nd、Gd、Dy及びYの酸化物の標準生成エネルギーは、Crと比較して、低い。Crとともに、Nd、Gd、Dy及びYからなる群から選択される1種又は2種以上を含むCu基合金からなる粒子では、レーザー照射による酸化物の生成が促進され、その表面に、酸化物層の被膜が速やかに形成される。Nd、Gd、Dy及びYから選択される1種又は2種以上と、Crとを含む酸化物層は、レーザー光吸収率の更なる向上に寄与する。Nd、Gd、Dy及びYは、形成された酸化物層の密着性及び安定性の向上にも寄与する。
このCu基合金粉末では、別途、酸化物被膜を形成するための酸化処理を要することなく、高いレーザー光吸収率が達成される。このCu基合金からなる粒子は、エネルギー密度が低いレーザー照射によっても、急速に溶融されうる。このCu基合金粉末によれば、溶融金属の突沸を招来することなく、積層造形法により高密度の造形物が得られる。さらに、このCu基合金粉末によれば、保管時の経時変化による酸化が抑制されるという効果も得られる。このCu基合金粉末を積層造形法の材料とすることにより、所望の特性を有する造形物を安定して製造することができる。
このCu基合金におけるCrの含有率は、0.10質量%以上1.00質量%以下である。酸化物層が形成されやすいとの観点から、好ましいCrの含有率は0.15質量%以上である。得られる造形物の電気伝導度を阻害しないとの観点から、好ましいCrの含有率は0.50%以下である。
このCu基合金におけるNd、Gd、Dy及びYの合計含有率は、0.10質量%以上5.00質量%以下である。酸化物層の形成及び密着性の観点から、好ましい合計含有率は0.15%以上である。製造時の取扱性及び安全性の観点から、好ましい合計含有率は、3.0質量%以下である。
[Si(ケイ素)、P(リン)及びS(硫黄)]
好ましくは、このCu基合金におけるSi、P及びSの含有率は、以下の通りである。
Si:0.0質量%以上0.20質量%以下
P:0.0質量%以上0.10質量%以下
S:0.0質量%以上0.10質量%以下
SiはCuに固溶し、Cu基合金の電気伝導及び熱伝導を阻害する。この観点から、Siの含有率は0.20質量%以下が好ましく、0.10質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下が特に好ましい。Siの含有率が、ゼロであってもよい。
PはCuに固溶し、Cu基合金の電気伝導及び熱伝導を阻害する。この観点から、Pの含有率は0.10質量%以下が好ましく、0.010質量%以下がより好ましく、0.005質量%以下が特に好ましい。Pの含有率が、ゼロであってもよい。
SはCuに固溶し、Cu基合金の電気伝導及び熱伝導を阻害する。この観点から、Sの含有率は0.10質量%以下が好ましく、0.010質量%以下がより好ましく、0.005質量%以下が特に好ましい。Sの含有率が、ゼロであってもよい。
[O(酸素)]
Cu基合金は、不可避的不純物として、O(酸素)を含みうる。酸素は、合金粉末製造時及び保管中に、前述した各元素の酸化物を生成しうる。特に保管中に生成された酸化物により、吸収率が変化することで積層造形時の製造安定性が低下する場合がある。この観点から、Cu基合金中の酸素含有量は、1000質量ppm以下が好ましく、500質量ppm以下がより好ましい。酸素含有量は少ないほど好ましく、その下限値は特に限定されない。
[比D50/TD]
この合金粉末では、その平均粒子径D50(μm)と、そのタップ密度TD(Mg/m)との比D50/TDが、0.2×10-5・m/Mg以上20×10-5・m/Mg以下であることが好ましい。この比D50/TDが0.2×10-5・m/Mg以上である合金粉末は、流動性に優れる。この観点から、比D50/TDは0.5×10-5・m/Mg以上がより好ましく、5.0×10-5・m/Mg以上が特に好ましい。比D50/TDが20×10-5・m/Mg以下である合金粉末から、相対密度が大きい造形物が得られうる。この観点から、比D50/TDは18×10-5・m/Mg以下がより好ましく、15×10-5・m/Mg以下が特に好ましい。
[合金粉末の平均粒子径D50]
前述した比D50/TDが得られる限り、合金粉末の平均粒子径D50は特に限定されない。流動性の観点から、この合金粉末の平均粒子径D50は、15μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、25μm以上が特に好ましい。造形物の高密度化の観点から、合金粉末の平均粒子径D50は、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が特に好ましい。
平均粒子径D50の測定では、合金粉末の全体積が100%とされて、累積カーブが求められる。このカーブ上の、累積体積が50%である点の粒子径(メジアン径)が、平均粒子径D50である。平均粒子径D50は、レーザー回折散乱法によって測定される。この測定に適した装置として、日機装社のレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置「マイクロトラックMT3000」が挙げられる。この装置のセル内に、合金粉末が純水とともに流し込まれ、粒子の光散乱情報に基づいて、粒子径が検出される。
[合金粉末のタップ密度TD]
前述した比D50/TDが得られる限り、合金粉末のタップ密度TDは特に限定されない。造形物の製造容易の観点から、この合金粉末のタップ密度TDは、0.10Mg/m以上0.40Mg/m以下が好ましく、0.15Mg/m以上0.35Mg/m以下が特に好ましい。
タップ密度TDは、「JIS Z2512」の規定に準拠して測定される。測定では、約50gの合金粉末が容積100cmのシリンダーに充填され、タップ密度が測定される。測定条件は、以下の通りである。
落下高さ:10mm
タップ回数:200
[合金粉末の球形度]
この合金粉末の球形度は、0.80以上0.95以下が好ましい。球形度が0.80以上である合金粉末は、流動性に優れる。この観点から、球形度は0.83以上がより好ましく、0.85以上が特に好ましい。球形度が0.95以下である合金粉末では、レーザーの反射が抑制されうる。この観点から、球形度は0.93以下がより好ましく、0.90以下が特に好ましい。
球形度の測定では、合金粉末が樹脂に埋め込まれた試験片が準備される。この試験片が鏡面研磨に供され、研磨面が光学顕微鏡で観察される。顕微鏡の倍率は、100倍である。無作為に抽出された20個の合金粒子について画像解析がなされ、この合金粒子の球形度が測定される。合金粒子の球形度は、この合金粒子の輪郭内に画かれうる最長線分の長さに対する、この最長線分に対して垂直な方向における長さの比である。20個の測定値の平均が、合金粉末の球形度である。
[合金粉末のレーザー光吸収率]
前述した通り、本発明に係るCu基合金粉末は、レーザー光吸収率が高い。一般に、レーザー式金属積層造形機には、波長1064nmのファイバーレーザーが広く用いられている。積層造形用材料への適用の観点から、この合金粉末の、波長1064nmのレーザー光吸収率は、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましい。レーザー光吸収率の測定方法については、実施例にて後述する。
[Cu基合金粉末の製造方法]
Cu基合金粉末の製造方法は特に限定されず、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、ディスクアトマイズ法及び遠心アトマイズ法が例示される。好ましい製造方法は、ガスアトマイズ法及びディスクアトマイズ法である。Cu基合金粉末にメカニカルミリング等が施されてもよい。ミリング方法として、ボールミル法、ビーズミル法、遊星ボールミル法、アトライタ法及び振動ボールミル法が例示される。
[造形]
本発明に係るCu基合金粉末は、積層造形法の材料として、特に適している。この合金粉末から、種々の造形物が製造されうる。
積層造形法には、3Dプリンターが使用されうる。この積層造形法では、敷き詰められた合金粉末に、レーザービーム又は電子ビームが照射される。照射により、合金粒子が急速に加熱され、急速に溶融する。合金粒子はその後、急速に凝固する。この溶融と凝固とにより、合金粒子同士が結合する。照射は、合金粉末の一部に、選択的になされる。合金粉末の、照射がなされなかった部分は、溶融しない。照射がなされた部分のみにおいて、結合層が形成される。
結合層の上に、さらに合金粉末が敷き詰められる。この合金粉末に、レーザービーム又は電子ビームが照射される。照射により、合金粒子が急速に溶融する。合金粒子はその後、急速に凝固する。この溶融と凝固とにより、合金粉末中の合金粒子同士が結合され、新たな結合層が形成される。新たな結合層は、既存の結合層とも結合される。
照射による結合が繰り返されることにより、結合層の集合体が徐々に成長する。この成長により、三次元形状を有する造形物が得られる。この積層造形法により、複雑な形状の造形物が、容易に得られる。
[造形の条件]
造形条件は、Cu基合金粉末の物性、Cu基合金の組成等に応じて、適宜選択されるが、好ましいエネルギー密度E.D.は100J/mm以上350J/mm以下である。エネルギー密度E.D.が100J/mm以上である場合、十分な熱が合金粉末に与えられる。従って、造形物内部における未溶融の合金粉末の残存が抑制される。この造形物の相対密度は、大きい。この観点から、エネルギー密度E.D.は120J/mm以上がより好ましく、140J/mm以上が特に好ましい。エネルギー密度E.D.が350J/mm以下である場合、過剰な熱が合金粉末に与えられない。従って、溶融金属の突沸が抑制され、造形物の内部における空孔が抑制される。この観点から、エネルギー密度E.D.は300J/mm以下がより好ましく、250J/mm以下が特に好ましい。
[相対密度]
積層造形法で得られた造形物(即ち、後述される熱処理が施される前の造形物)の相対密度は、90%以上が好ましい。この未熱処理の造形物は、寸法精度及び導電性に優れる。この観点から、相対密度は93%以上がより好ましく、95%以上が特に好ましい。
造形物の相対密度は、積層造形法で作製した10mm角試験片の密度と、原料である合金粉末の理論密度との比に基づいて算出される。10mm角試験片の密度は、アルキメデス法によって測定される。合金粉末の理論密度は、この合金を構成する各元素の理論密度から算出される。例えば、99質量%のCuと1質量%のCrとからなるCu基合金の場合、下記数式に基づいて、合金粉末の理論密度が算出される。
合金粉末の理論密度(g/cm)=Cuの理論密度(g/cm)×0.99+Crの理論密度(g/cm)×0.01
[造形物の電気伝導度]
造形物の電気伝導度(即ち、後述される熱処理が施される前の造形物)は、50IACS%以上が好ましく、80IACS%以上がより好ましい。電気伝導度の測定方法及び測定条件については、実施例にて後述する。
[熱処理]
積層造形法で得られた造形物には、必要に応じて、熱処理が施される。好ましい熱処理は、時効処理である。時効処理により、造形物の導電性が向上する。
[熱処理の条件]
時効では、未処理造形物が、所定温度下に所定時間保持される。導電性向上の観点から、時効温度は350℃以上が好ましく、400℃以上がより好ましく、450℃以上が特に好ましい。同様の観点から、時効温度は1000℃以下が好ましく、950℃以下がより好ましく、900℃以下が特に好ましい。
時効時間は、導電性向上の観点から、1時間以上が好ましく、1.3時間以上がより好ましく、1.5時間以上が特に好ましい。エネルギーコストの観点から、時効時間は10時間以下が好ましく、9.7時間以下がより好ましく、9.5時間以下が特に好ましい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[Cu基合金粉末の製造]
真空中にて、アルミナ製坩堝で、表1及び2に示される組成の原料を高周波誘導加熱で加熱し、溶解した。坩堝の底に形成されておりその直径が5mmであるノズルから、溶湯を落下させた。この溶湯に、アルゴンガスを噴霧し、多数の粒子を得た。これらの粒子に分級を施して直径が63μmを超える粒子を除去することにより、実施例及び比較例のCu基合金粉末を得た。各合金粉末について、前述した方法により求めた比D50/TD及び球形度が、下表1及び2に示されている。
[酸素含有量]
JIS Z2613「金属材料の酸素定量方法通則」の規定に準拠して、燃焼法により、実施例及び比較例のCu基合金粉末の酸素含有量(質量ppm)を定量した。燃焼法では、試料を黒鉛坩堝で加熱し生成したCOガス量を非分散性赤外線吸収法により測定して試料に含まれる酸素量を測定した。測定には、酸素窒素分析装置(株式会社堀場製作所の商品名「EMGA-620W」)を使用した。測定結果が、下表1及び2に示されている。
[レーザー光吸収率の測定]
実施例及び比較例のCu基合金粉末について、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社製の商品名「V-770DS」)を用いて、波長1064nmにおける全反射率(%)を測定し、下記数式により、レーザー光吸収率(%)を求めた。
レーザー光吸収率(%)=100-全反射率(%)
得られた結果が、表1及び2に示されている。
[造形]
実施例及び比較例のCu基合金粉末を原料として、それぞれ、3次元積層造形装置(EOS社の商品名「EOS-M280」)による積層造形法を実施し、造形物(未熱処理造形物)を得た。積層造形法におけるエネルギー密度E.D.(J/mm)が、下表1及び2に示されている。造形物の形状は、いずれも一辺の長さが10mmの立方体であった。得られた造形物について、前述の方法にて測定した相対密度(%)が、下表1及び2に示されている。
[電気伝導度の測定]
実施例及び比較例のCu基合金粉末を、それぞれ、アーク溶解してインゴットを得た。得られたインゴットを切断して、板状の試験片(3×2×60mm)を作製し、「JIS C 2525」に準拠した4端子法により、電気抵抗値(Ω)を測定した。測定には、アルバック理工社の装置「TER-2000RH型」を用いた。測定条件は、以下の通りである。
温度:25℃
電流:4A
電圧降下間距離:40mm
下記数式に基づき、電気抵抗率ρ(Ωm)を算出した。
ρ=R/I×S
この数式において、Rは試験片の電気抵抗値(Ω)であり、Iは電流(A)であり、Sは試験片の料断面積(m)である。電気伝導度(S/m)は、電気抵抗率ρの逆数から算出した。また、5.9×10(S/m)を100%IACSとして、各試験片の電気伝導度(%IACS)を算出した。この結果が、下表1及び2に示されている。
[評価1]
各合金粉末を測定して得たレーザー光吸収率に基づいて、下記基準により合金粉末の格付けを行った。
評価1:レーザー光吸収率が50%以上である。
評価2:レーザー光吸収率が30%以上50%未満である。
評価3:レーザー光吸収率が30%未満である。
この結果が、下表1及び2に示されている。
[評価2]
本発明者らの知見によれば、前述したインゴットを用いて得られる電気伝導度は、積層造形法により得られる造形物の電気伝導度と相関する。よって、上記測定方法にて求めた電気伝導度に基づいて、下記基準により、合金粉末の格付けを行った。
評価1:電気伝導度が80%IACS以上である。
評価2:電気伝導度が50%IACS以上80%IACS未満である。
評価3:電気伝導度が50%IACS未満である。
この結果が、下表1及び2に示されている。
Figure 0007425634000001
Figure 0007425634000002
表1及び2中、Cu基合金粉末の組成欄に示された「-」は、0.0質量%を意味する。
表1及び2に示されるように、実施例のCu基合金粉末は、比較例の合金粉末に比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係るCu基合金粉末は、溶射法、レーザーコーティング法、肉盛法等、急速溶融急冷凝固を伴う種々のプロセスによる造形物の製造に適用される。

Claims (5)

  1. 多数の粒子からなり、それぞれの粒子の材質が、Cuと、Crと、Nd、Gd、Dy及びYからなる群から選択される1種又は2種以上と、を含むCu基合金であり、
    上記Cu基合金におけるCrの含有率が0.10質量%以上1.00質量%以下であり、Nd、Gd、Dy及びYの合計含有率が0.10質量%以上5.00質量%以下であり、積層造形法の材料に用いられる、Cu基合金粉末。
  2. 上記Cu基合金が、0.0質量%以上0.20質量%以下のSiと、0.0質量%以上0.10質量%以下のPと、0.0質量%以上0.10質量%以下のSと、をさらに含み、残部が不可避的不純物である、請求項1に記載のCu基合金粉末。
  3. 上記Cu基合金中の酸素含有量が1000質量ppm以下である、請求項1又は2に記載のCu基合金粉末。
  4. 上記Cu基合金粉末の平均粒子径D50(μm)と、上記Cu基合金粉末のタップ密度TD(Mg/m)との比D50/TDが、0.2×10-5・m/Mg以上20×10-5・m/Mg以下であり、
    上記Cu基合金粉末の球形度が、0.80以上0.95以下である、請求項1から3のいずれかに記載のCu基合金粉末。
  5. 波長1064nmにおけるレーザー光吸収率が30%以上であり、積層造形法に用いられる、請求項1から4のいずれかに記載のCu基合金粉末。
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