JP7425443B2 - ラップ工具 - Google Patents
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Description
本発明に用いられる前記FCV鋳鉄において、C[炭素]は、適宜な黒鉛形状を保障するために必要である。300MPa以上の引張強度を得て、且つ十分な量の黒鉛を晶出させるために、3.0%以上のCを含有することが好ましい。上記形状の黒鉛をより安定して得る観点から、C含有量の上限は好ましくは4.0%以下である。C[炭素]含有量の下限値は、より好ましくは3.1%以上、さらに好ましくは3.2%以上である。C[炭素]含有量の上限は、より好ましくは3.9%以下、より好ましくは3.8%以下である。尚、C[炭素]、Si[ケイ素]の組成の割合や、Cu[銅]、Sn[錫]などを添加し基地組織をパーライト化させることで引張強度を調整する。
本発明に用いられる前記FCV鋳鉄において、Si[ケイ素]は黒鉛化促進元素である。C[炭素]を黒鉛化させるために、2.0%以上のSiを含有することが好ましい。C[炭素]の黒鉛化量をより増やすために、Si[ケイ素]含有量の下限値は、より好ましくは2.1%以上、さらに好ましくは2.2%以上である。上記形状の黒鉛をより安定して得る観点から 、Si[ケイ素]含有量の上限は好ましくは3.0%以下である。Si[ケイ素]含有量の上限は、より好ましくは2.9%以下、さらに好ましくは2.8%以下である。
本発明に用いられる前記FCV鋳鉄において、Mn[マンガン]は、原料の銑鉄等から混入し得る成分で、フェライトの析出を抑制し、パーライト化を促進させる観点で、Mn[マンガン]含有量の上限は好ましくは1.0%未満である。また、Mn[マンガン]含有量の下限値は0.2%以上でもよい。
本発明に用いられる前記FCV鋳鉄において、P[リン]は過剰に含有すると靭性及び伸びが低下する。したがって、P含有量の上限を好ましくは0.10%以下とする。また、P[リン]含有量の下限値は0.02%以上でもよい。
S[硫黄]は上記形状の黒鉛を得る観点からS含有量の上限は0.02%以下であるが、安定して黒鉛を析出する観点から、S[硫黄]含有量の下限値は0.01%以上である。
本発明に用いられる前記FCV鋳鉄において、Cu[銅]は、フェライトの析出を抑制し、パーライト化を促進させる観点で、Cu[銅]含有量の上限は好ましくは1.0%以下である。また、パーライト化を促進させる観点で、Cu[銅]含有量の下限は、0%超(不可避不純物を含む)である。
本発明に用いられる前記FCV鋳鉄において、Mg[マグネシウム]は黒鉛球状化元素である。上記形状の黒鉛を得る観点からMg含有量の上限は好ましくは0.02%以下である。上記形状の黒鉛をより安定して得る観点から、Mg[マグネシウム]含有量の下限値は好ましくは0.01%以上である。
本発明に用いられる前記FCV鋳鉄において、RE[希土類元素]は、上記形状の黒鉛を維持する効果を有する。上記形状の黒鉛を維持する観点からRE[希土類元素]含有量の下限値は好ましくは0.03%以上である。上記黒鉛を安定して維持する観点から、RE[希土類元素]含有量の上限は好ましくは0.08%以下である。RE[希土類元素]としては、Ce[セリウム]、La[ランタン]などが挙げられる。
C[炭素]、Si[ケイ素]、Mn[マンガン]、P[リン]、及びS[硫黄]を調整したFCV鋳鉄の元湯に、CV化剤及び各種接種剤を添加し、鋳型に注湯した。溶湯成分はC[炭素]:3.75%、Si[ケイ素]:2.51%、Mn[マンガン]:0.23%、P[リン]:0.020%、S[硫黄]:0.011%、Cu[銅]:0.26%、Mg[マグネシウム]:0.011%、及びRE[希土類元素]:0.031%であった。
C[炭素]、Si[ケイ素]、Mn[マンガン]、P[リン]及びS[硫黄]を調整したFC鋳鉄の元湯に、各種接種剤を添加し、鋳型に注湯した。溶湯成分はC[炭素]:3.21%、Si[ケイ素]:1.96%、Mn[マンガン]:0.66%、P[リン]:0.029%、S[硫黄]:0.085%、及びCu[銅]:0.82%であった。初期の溶湯温度は1410℃で注湯した。上記以外は実施例1と同様に、幅が7.5μm、長さが175μm、及び黒鉛が250個/mm2の密度で含有される引張強度が354MPaのFC鋳鉄製のラップ定盤を作製した。
C[炭素]、Si[ケイ素]、Mn[マンガン]、P[リン]及びS[硫黄]を調整したFCV鋳鉄の元湯に、CV化剤及び各種接種剤を添加し、鋳型に注湯した。溶湯成分はC[炭素]:3.65%、Si[ケイ素]:2.51%、Mn[マンガン]:0.23%、P[リン]:0.020%、S[硫黄]:0.011%、Cu[銅]:0.264%、Mg[マグネシウム]:0.011%、及びRE[希土類元素]:0.041%であった。初期の溶湯温度は1402℃で注湯した。上記以外は実施例1と同様に、幅が15μm、長さが125μm、及び球状化率が46%の黒鉛が103個/mm2の密度で含有される引張強度が432MPaのFCV鋳鉄製のラップ定盤を作製した。
C[炭素]、Si[ケイ素]、Mn[マンガン]、P[リン]及びS[硫黄]を調整したFCD鋳鉄の元湯に、球状化剤及び各種接種剤を添加し、鋳型に注湯した。溶湯成分はC[炭素]:3.55%、Si[ケイ素]:2.47%、Mn[マンガン]:0.26%、P[リン]:0.018%、S[硫黄]:0.010%、Cu[銅]:0.024%、Mg[マグネシウム]:0.036%、及びRE[希土類元素]:0.010%であった。初期の溶湯温度は1396℃で注湯した。上記以外は実施例1と同様に、幅が27.5μm、長さが27.5μm、及び球状化率が88%の黒鉛が150個/mm2の密度で含有される引張強度が491MPaのFCD鋳鉄製のラップ定盤を作製した。
C[炭素]、Si[ケイ素]、Mn[マンガン]、P[リン]及びS[硫黄]を調整したFCV鋳鉄の元湯に、CV化剤及び各種接種剤を添加し、鋳型に注湯した。溶湯成分はC[炭素]:3.37%、Si[ケイ素]:2.66%、Mn[マンガン]:0.30%、P[リン]:0.030%、S[硫黄]:0.013%、Cu[銅]:0.292%、Mg[マグネシウム]:0.011%、及びRE[希土類元素]:0.053%であった。初期の溶湯温度は1340℃で注湯した。上記以外は実施例1と同様に、幅が14μm、長さが37μm、及び球状化率が52%の黒鉛が110個/mm2の密度で含有される引張強度が431MPaのFCV鋳鉄製のラップ定盤を作製した。
C[炭素]、Si[ケイ素]、Mn[マンガン]、P[リン]及びS[硫黄]を調整したFCV鋳鉄の元湯に、CV化剤及び各種接種剤を添加し、鋳型に注湯した。溶湯成分はC[炭素]:3.61%、Si[ケイ素]:2.61%、Mn[マンガン]:0.27%、P[リン]:0.023%、S[硫黄]:0.012%、Cu[銅]:0.022%、Mg[マグネシウム]:0.008%、及びRE[希土類元素]:0.024%であった。初期の溶湯温度は1357℃で注湯した。上記以外は実施例1と同様に、幅が13μm、長さが34μm、及び球状化率が56%の黒鉛が230個/mm2の密度で含有される引張強度が389MPaのFCV鋳鉄製のラップ定盤を作製した。
C[炭素]、Si[ケイ素]、Mn[マンガン]、P[リン]及びS[硫黄]を調整したFCV鋳鉄の元湯に、CV化剤及び各種接種剤を添加し、鋳型に注湯した。溶湯成分はC[炭素]:3.53%、Si[ケイ素]:2.67%、Mn[マンガン]:0.32%、P[リン]:0.026%、S[硫黄]:0.012%、Cu[銅]:0.400%、Mg[マグネシウム]:0.008%、及びRE[希土類元素]:0.025%であった。初期の溶湯温度は1367℃で注湯した。上記以外は実施例1と同様に、幅が12μm、長さが35μm、及び球状化率が57%の黒鉛が284個/mm2の密度で含有される引張強度が473MPaのFCV鋳鉄製のラップ定盤を作製した。
黒鉛の長さが100~200μm及び幅が10~15μmのFC鋳鉄製のラップ定盤(洲崎鋳工(株)社製、FC350、直径200mm、厚み30mm)を用意した。図2に、ラップ定盤表面の金属顕微鏡写真を示す。
黒鉛の平均粒径が28μmのFCD製のラップ定盤(日立造船株式会社社製、FCD450、直径200mm、厚み30mm)を用意した。図3に、ラップ定盤表面の金属顕微鏡写真を示す。
図6に、本発明のFCV鋳鉄(実施例1)及び従来のFCD鋳鉄(比較例2)のラップ工具を用いて、サファイア基板を湿式ラッピングしたときの研磨能率及び仕上げ面粗さを示す。仕上げ面粗さは算術平均粗さ(Ra)である。湿式ラッピングに用いた砥粒は、B4Cであり、平均粒径が17.3μmの番手F500、平均粒径が6.5μmの番手F800、及び平均粒径が3.0μmの番手F1200である。
図7に、♯600のGCを用いてドレッシングを行い、次いで本発明のFCV鋳鉄(実施例1)、従来のFCD鋳鉄(比較例2)、及び従来のFC鋳鉄(比較例1)のラップ工具と♯2000のGCとを用いて湿式ラッピングを行ったときの、ラッピング(研磨)時間と研磨能率の関係を示す。
図8に、湿式ラッピングで用いる♯2000のGCの砥粒濃度を1質量%、3質量%、及び5質量%としたときの本発明のFCV鋳鉄(実施例1)、従来のFC鋳鉄(比較例2)、及び従来のFCD鋳鉄(比較例1)のそれぞれのラップ工具の研磨能率及び仕上げ面粗さを示す。棒グラフが研磨能率を示し、丸印のプロットが仕上げ面粗さを示す。
図9に、本発明のFCV鋳鉄を用いたラップ工具(実施例1)、従来の従来のFC鋳鉄(比較例2)、及び従来のFCD鋳鉄(比較例1)を用いたラップ工具の、湿式ラッピングで用いるGCの番手を、♯600、♯1000、及び♯2000としたときの研磨能率及び仕上げ面粗さの結果を示す。砥粒濃度は3質量%であった。棒グラフが研磨能率を示し、丸印のプロットが仕上げ面粗さを示す。
図10に、黒鉛幅が7.5μm、15μm、及び27.5μmの比較例3、実施例2、及び比較例4で作製したラップ定盤を用いてサファイア基板を湿式ラッピングしたときの研磨能率を示す。湿式ラッピングに用いた砥粒は、GC♯1000であり、砥粒濃度は3質量%であった。黒鉛幅が7.5~27.5μmの範囲で黒鉛幅が15μmのラップ定盤が最も高い研磨能率を示した。
図11に、黒鉛長さが175μm、125μm、及び27.5μmの比較例3、実施例2、及び比較例4で作製したラップ定盤を用いてサファイア基板を湿式ラッピングしたときの研磨能率を示す。湿式ラッピングに用いた砥粒はGC♯1000であり、砥粒濃度は3質量%であった。黒鉛長さが27.5~175μmの範囲で黒鉛長さが125μmのラップ定盤が最も高い研磨能率を示した。
図12に、黒鉛密度が110個/mm2、230個/mm2、及び284個/mm2の実施例3~5で作製したラップ定盤を用いてサファイア基板を湿式ラッピングしたときの研磨能率を示す。湿式ラッピングに用いた砥粒はGC♯1000であり、砥粒濃度は3質量%であった。黒鉛密度が大きいほど高い研磨能率を示した。
Claims (3)
- 黒鉛を含有する引張強度が300MPa以上のFCV鋳鉄製のラップ工具であって、
前記黒鉛が6~80μmの幅及び20~500μmの長さを有し、80個/mm2以上の密度で含有されることを特徴とするラップ工具。 - 前記FCV鋳鉄が、質量%で、3.0%以上4.0%以下のC[炭素]、2.0%以上3.0%以下のSi[ケイ素]、1.0%未満のMn[マンガン]、0.10%以下のP[リン]、0.01%以上0.02%以下のS[硫黄]、1.0%以下のCu[銅]、0.01%以上0.02%以下のMg[マグネシウム]及び0.03%以上0.08%以下のRE[希土類元素]を含有し、残部がFe[鉄]及び不可避不純物からなることを特徴とする請求項1に記載のラップ工具。
- 前記FCV鋳鉄が、Cr[クロム]、Ni[ニッケル]、及びMo[モリブデン]からなる群から選択される少なくとも一種を含む金属または合金である耐食性向上添加剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のラップ工具。
Priority Applications (1)
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JP2020106357A JP7425443B2 (ja) | 2020-06-19 | 2020-06-19 | ラップ工具 |
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