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JP7415403B2 - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents

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JP7415403B2 JP2019180043A JP2019180043A JP7415403B2 JP 7415403 B2 JP7415403 B2 JP 7415403B2 JP 2019180043 A JP2019180043 A JP 2019180043A JP 2019180043 A JP2019180043 A JP 2019180043A JP 7415403 B2 JP7415403 B2 JP 7415403B2
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Description

本発明は、化粧シート及びこれを用いた化粧材に関する。
壁、天井、床、玄関ドア等の建築物の内装材又は外装用部材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具又は造作部材の他、キッチン、家具又は弱電製品、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装材又は外装用部材には、一般的に、鋼板等の金属部材、樹脂部材、木質部材を被着材として、これらの被着材に化粧シートを貼り合わせた化粧材が用いられる。特に、化粧シートが貼り付けられた化粧材が屋外で用いられる場合は、太陽光線や照明光線等中の紫外線により、長時間晒されると化粧シートの耐候性が低下し、それに伴って、意匠性が損なわれる問題点を有する。例えば、玄関ドア等の外装用部材、窓枠、扉等の建具といった直射日光に晒される環境で用いられる部材に用いようとすると、割れ及び剥離が生じ、長期的な使用に耐えられない場合があった。
このような問題を解決するために、化粧シートの表面保護層及びプライマー層に、紫外線吸収剤及び光安定剤を含有させることにより、耐候性を高めることが提案されている。
紫外線吸収剤には、一般的に、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤(紫外線遮蔽剤)の2種類あることが知られている。無機系紫外線遮蔽剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化ビスマスなどがあることが知られている(例えば特許文献1)。有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線遮蔽剤とを併用することによって、耐候性を高めることが可能である。
また、化粧材には種々の機能を付与するために、各種の添加剤を添加して各種の機能を付与することが知られている。例えば、マット剤を添加することにより表面の光沢を制御し、艶消し効果を有する化粧材を得ることができる(例えば特許文献2)
特開2018-171839号公報 特開2009-255502号公報
本発明は、艶消し効果を有しつつ、優れた耐候性を有する化粧シート、及び、該化粧シートを有する化粧材を提供することを目的とする。
無機系紫外線遮蔽剤としては、吸収波長域及び耐候性の見地から、酸化亜鉛が好適に使用される。しかしながら本願発明者らは、マット意匠を付与した化粧シートでは、酸化亜鉛を含有する表面保護層を形成した場合でも、十分な耐候性が得られないという課題に直面した。そして、この原因について鋭意検討した結果、マット意匠を付与するためのマット剤と酸化亜鉛と併用することが、化粧シートの耐候性に大きく影響を及ぼすことを見出した。そこで、このような事情に鑑み、高い耐候性を有するとともに、艶消し効果を有する化粧材を実現すべく、本発明に至った。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の[1]~[10]を提供する。
[1]最表層に表面保護層を有する化粧シートであって、該表面保護層が、硬化性樹脂組成物の硬化物と、無機系紫外線遮蔽剤とを含み、かつ、マット剤を実質的に含まず、前記無機系紫外線遮蔽剤が酸化亜鉛であり、前記表面保護層の最表面が、微細凹凸を有する化粧シート。
[2]ISO25178-6:2010に準拠して測定される前記微細凹凸の最大高さ(Sz)が4.0μm以上である[1]に記載の化粧シート。
[3]ISO25178-6:2010に準拠して測定される前記微細凹凸の算術平均高さ(Sa)が0.5μm以上である[1]または[2]に記載の化粧シート。
[4]ISO25178-6:2010に準拠して測定される前記微細凹凸の算術平均高さ(Sa)に対する、ISO25178-6:2010に準拠して測定される前記微細凹凸の最大高さ(Sz)の比(Sz/Sa)が、40以下である[1]~[3]のいずれかに記載の化粧シート。
[5]前記酸化亜鉛が、平均粒径が0.5nm以上300nm以下である粒子である[1]~[4]のいずれかに記載の化粧シート。
[6]前記酸化亜鉛の含有量が、前記硬化性樹脂組成物100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下である[1]~[5]のいずれかに記載の化粧シート。
[7]前記表面保護層が、有機系紫外線吸収剤を更に含む[1]~[6]のいずれかに記載の化粧シート。
[8]前記表面保護層の裏面側に、更にプライマー層及び透明樹脂層の少なくとも一方を有する[1]~[7]のいずれかに記載の化粧シート。
[9]前記硬化性樹脂組成物が、電離放射線硬化性樹脂である[1]~[8]のいずれかに記載の化粧シート。
[10]前記有機系紫外線吸収剤が、トリアジン系紫外線吸収剤である[7]に記載の化粧シート。
[11]被着材と、[1]~[10]のいずれかに記載の化粧シートとを有する化粧材。
本発明は、マット剤を実質的に含有しないながら艶消し効果を有しつつ、更に耐候性を向上させた化粧シート、及び、これを備える化粧材を得ることができる。
本発明の化粧シートの一例を説明する断面概略図である。 本発明の化粧シートの一例を説明する断面概略図である。 本発明の化粧シートの一例を説明する断面概略図である。 本発明の化粧シートの一例を説明する断面概略図である。 本発明の化粧シートの一例を説明する断面概略図である。 本発明の化粧材の一例を説明する断面概略図である。
[化粧シート]
本発明の化粧シートは、最表層に表面保護層を有する化粧シートであって、該表面保護層が、硬化性樹脂組成物の硬化物と、無機系紫外線遮蔽剤とを含み、かつ、マット剤を実質的に含まず、前記無機系紫外線遮蔽剤が酸化亜鉛であり、前記表面保護層の最表面が、微細凹凸を有する。
本発明者らの検討の結果、酸化亜鉛とマット剤とを併用した表面保護層を形成する化粧シートは、マット剤を添加せず酸化亜鉛のみを含有する表面保護層を形成した化粧シートよりも耐候性が劣ることを見出した。更に、特にマット剤としてシリカを用いた場合に、耐候性が大幅に劣ることが判明した。酸化亜鉛とマット剤(特にシリカ)との相互作用が耐候性に影響を及ぼしたと考えられるが、そのメカニズムについては解明されていない。
一方で、化粧シートの意匠として艶消し感が求められる場合、マット剤を添加することが工程面でも容易である。しかし本発明の化粧シートは、マット剤を添加せずに表面保護層の最表面(他の層と接触する面と反対側の表面)に微細凹凸を付与することにより、マット意匠を有しつつ、耐候性に優れるものである。
図1~5は、本発明の化粧シートの一例を説明する断面概略図である。ただし、本発明の化粧シートの構成は図1~5に限定されない。
図1に示す化粧シート10は、シート状の基材12の一方の面に、表面保護層11を有する。図2に示す化粧シート10は、基材12と表面保護層11との間に、装飾層13を有する。図3に示す化粧シート10は、基材12上に、装飾層13、透明樹脂層14、表面保護層15がこの順で積層されている。装飾層13と透明樹脂層14との間に、接着層が形成されていても良い。図4に示す化粧シート10は、透明樹脂層14と表面保護層11との間に、更にプライマー層15を有する構成である。図1~4の構成において、基材12の他方の面(表面保護層11が形成される面と反対側の面)側に、裏面プライマー層が形成されていても良い。
図5の化粧シート10は、透明樹脂層14の一方の面上に表面保護層11を有し、他方の面上に装飾層13を有する。この場合、透明樹脂層が基材としての役割を果たす。図5の化粧シートは、透明樹脂層と表面保護層との間に更にプライマー層を形成してもよい。
以下では、本発明の化粧シートを構成する各層について説明する。
〔表面保護層〕
表面保護層は、化粧シートを被着材に接着させた際に最外層に位置する。本発明の化粧シートの表面保護層は、硬化性樹脂組成物の硬化物と、無機系紫外線遮蔽剤として酸化亜鉛を含み、かつ、マット剤を実質的に含有しない。表面保護層の厚さは特に限定されないが、1μm以上25μm以下であることが好ましく、1μm以上20μm以下であることがより好ましい。
マット剤とは、表面に艶消し効果を付与する添加剤である。マット剤としては、無機質微粉末、有機フィラー等が挙げられる。無機質微粉末としては、シリカ、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸塩、ケイ酸微粉末等がある。有機フィラーとしては、アクリル、ウレタン、ナイロン、ポリプロピレン、尿素系樹脂等からなるフィラー、スチレン架橋フィラー、ベンゾグアナミン架橋フィラーなどある。なお、フィラーにはビーズも含有される。
本発明において、「実質的に含まない」とは、表面保護層の全質量を100とした場合に、マット剤が0.1質量部以下、より好ましくは0.01質量部以下であることを意味する。
<硬化性樹脂組成物>
本発明の化粧シートの表面保護層は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことを要する。硬化性樹脂組成物の樹脂成分としては、電離放射線硬化性樹脂、2液硬化型樹脂及び熱硬化性樹脂を用いることができる。これらの樹脂の中でも、電離放射線硬化性樹脂が、耐熱性、耐傷付性、及び無機系紫外線遮蔽剤のブリードアウト抑制の観点から、好ましく用いられ、これらの複数種を組み合わせた、例えば、電離放射線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂とを併用することができる。また、硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを併用する、いわゆるハイブリッドタイプであってもよい。
<電離放射線硬化性樹脂>
電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂のことであり、電離放射線硬化性官能基を有するものである。ここで、電離放射線硬化性官能基とは、電離放射線の照射によって架橋硬化する基であり、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基などのエチレン性二重結合を有する官能基などが好ましく挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基又はメタクリロイル基」を意味する。また、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含まれる。
電離放射線硬化性樹脂としては、従来慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマーの中から適宜選択して用いることができる。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好ましく、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子中に2つ以上の電離放射線硬化性官能基を有し、かつ該官能基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。
加工特性と耐傷性及び耐候性を向上させる観点から、官能基数は2以上8以下が好ましい。これらの多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。また、これらの多官能性(メタ)アクリレートモノマー1種類以上と後述の重合性オリゴマー1種以上とを混合した組成物として用いても良い。両者を混合した組成物とすることにより硬化物の架橋密度、架橋間分子量等を調整し、硬化物の諸物性を調整することができる。
重合性オリゴマーとしては、例えば、分子中に2つ以上の電離放射線硬化性官能基を有し、かつ該官能基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。例えば、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等がある。
これらの重合性オリゴマーは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。加工特性と耐傷性及び耐候性を向上させる観点から、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマーがより好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが更に好ましい。
これらの重合性オリゴマーの官能基数は、加工特性と耐傷性及び耐候性を向上させる観点から、2以上8以下のものが好ましい。
また、これらの重合性オリゴマーの重量平均分子量は、加工特性と耐傷性及び耐候性を向上させる観点から、700以上7,500以下が好ましく、1,000以上7,000以下がより好ましい。ここで、重量平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。
本発明においては、多官能性(メタ)アクリレート等とともに、その粘度を低下させる等の目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、電離放射線硬化性樹脂としては、加工特性と耐傷性及び耐候性を向上させる観点から、重合性オリゴマーを含むものであることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂中の重合性オリゴマーの含有量は、80質量%以上が好ましい。
<2液硬化型樹脂>
表面保護層に2液硬化型樹脂を用いる場合、2液硬化型樹脂としては、例えば塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系、ウレタン系、アクリル系などのポリマーポリオール単独、又はそれらの混合物に対して、使用直前に硬化剤を添加したものが用いられる。硬化剤としては、多価イソシアネートが好ましく、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(または脂環式)イソシアネートを用いることができ、あるいは、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等も用いることができる。前記ポリマーポリオールとしては、ポリエステルポリオールが好ましく、例えばポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチルアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアゼラエート)、ポリ(ブチレンセバケート)、ポリカプロラクトン等が用いられる。また、アクリル系ポリマーポリオールも好ましく用いることができる。
<熱硬化性樹脂>
表面保護層に熱硬化性樹脂を用いる場合、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等を例示することができる。
<熱可塑性樹脂>
表面保護層に熱可塑性樹脂を混合して用いる場合、後述する基材に用いることのできる熱可塑性樹脂を用いることができる。
<無機系紫外線遮蔽剤>
表面保護層は、無機系紫外線遮蔽剤として酸化亜鉛を含有することを要件とする。無機系紫外線遮蔽剤は、後述する有機系紫外線吸収剤に比べて紫外線による劣化が生じにくいため、化粧シートの耐候性を向上させることができる成分である。
酸化亜鉛は、粒子として表面保護層を構成する樹脂中に分散した状態で存在する。本発明では、平均粒径が0.5nm以上300nm以下の酸化亜鉛粒子を好適に使用することができる。平均粒径を上記範囲とすることにより、表面保護層の透明性を確保でき、化粧シートの良好な意匠性を確保することができる。平均粒径は、1nm以上であることがより好ましい。また、平均粒径は、200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。ここで、「平均粒径」とは、レーザー光回折法による粒度分布測定における個数平均値D50として求めることができる。
また、表面保護層中に含まれる酸化亜鉛の含有量は、硬化性樹脂組成物の硬化物100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。表面保護層の透明性を確保でき、化粧シートの良好な意匠性を確保することができる。紫外線遮蔽効果を考慮すると、酸化亜鉛の含有量は5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。また、透明性を考慮すると、酸化亜鉛の含有量は45質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましい。
なお、本発明では、酸化亜鉛以外に、他の無機系紫外線遮蔽剤を表面保護層に添加することもできる。酸化亜鉛以外の無機系紫外線遮蔽剤とは、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化ビスマスなどである。ただし、光触媒作用による光劣化を考慮すると、酸化チタンを含有しないことが好ましい。表面保護層が酸化亜鉛以外の無機系紫外線遮蔽剤を含有する場合、透明性を考慮すると、無機系紫外線遮蔽剤の総含有量は5質量部以上40質量部以下であることが好ましい。
<有機系紫外線吸収剤>
表面保護層は、更に有機系紫外線吸収剤を含んでも良い。有機系紫外線吸収剤は、有機系紫外線吸収剤は、上記の無機系紫外性遮蔽剤と比較して透明性に優れる。
有機系紫外線吸収剤としては特に限定されないが、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、サリチレート系、アクリロニトリル系などが好ましく挙げることができる。なかでも、紫外線吸収能が高く、また紫外線などの高エネルギーに対しても劣化しにくいトリアジン系がより好ましい。また、紫外線吸収剤として、分子内に電子線反応性基を有する紫外線吸収剤を用いることもできる。これらの紫外線吸収剤は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
トリアジン系紫外線吸収剤の中でも、トリアジン環に、ヒドロキシフェニル基、アルコキシフェニル基及びこれらの基を含む有機基から選ばれる少なくとも一つの有機基が三つ連結したヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤がより好ましく、下記一般式(1)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤が更に好ましい。表面保護層は、化粧シートの最表面に位置する層であるため、層からブリードアウトしにくいものが好ましく、下記一般式(1)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤は分岐構造を有するため、ブリードアウトしにくくなることが期待され、耐候性の観点から、表面保護層に用いられる紫外線吸収剤として特に好ましいものである。
一般式(1)中、R11は2価の有機基であり、R12は-C(=O)OR15で示されるエステル基、又は-O-R16で示されるオルガニルオキシ基であり、R13、R14、R15及びR16は各々独立して1価の有機基であり、n11及びn12は各々独立して1~5の整数である。
11の2価の有機基としては、アルキレン基、アルケニレン基等の脂肪族炭化水素基が挙げられ、耐候性の観点から、アルキレン基が好ましく、その炭素数は、好ましくは1以上、上限として好ましくは20以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは8以下、特に好ましくは4以下である。アルキレン基、アルケニレン基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよいが、直鎖状、分岐状が好ましい。
炭素数1以上20以下のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、1,1-エチレン基、1,2-エチレン基、1,3-プロピレン、1,2-プロピレン、2,2-プロピレン等の各種プロピレン基(以下、「各種」は、直鎖状、分岐状、及びこれらの異性体のものを含むものを示す。)、各種ブチレン基、各種ペンチレン基、各種ヘキシレン基、各種へプチレン基、各種オクチレン基、各種ノニレン基、各種デシレン基、各種ウンデシレン基、各種ドデシレン基、各種トリデシレン基、各種テトラデシレン基、各種ペンタデシレン基、各種ヘキサデシレン基、各種ヘプタデシレン基、各種オクタデシレン基、各種ノナデシレン基、各種イコシレン基が挙げられる。
13及びR14の1価の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアリールアルキル基等が挙げられ、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基等の芳香族炭化水素基が好ましく、アルキル基、アリール基が好ましい。
アルキル基としては、炭素数が好ましくは1以上20以下のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デシル基、各種ウンデシル基、各種ドデシル基、各種トリデシル基、各種テトラデシル基、各種ペンタデシル基、各種ヘキサデシル基、各種ヘプタデシル基、各種オクタデシル基、各種ノナデシル基、各種イコシル基が挙げられる。R13及びR14の1価の有機基のアルキル基の炭素数としては、16以下がより好ましく、8以下が更に好ましく、4以下がより更に好ましく、特に2以下が好ましい。すなわち、R13及びR14の1価のアルキル基としては、特にメチル基、エチル基が好ましい。また、入手容易性を考慮すると、メチル基であることが好ましい。
13及びR14のアリール基としては、炭素数が好ましくは6以上、上限として好ましくは20以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは10以下のアリール基、例えば、フェニル基、各種メチルフェニル基、各種エチルフェニル基、各種ジメチルフェニル基、各種プロピルフェニル基、各種トリメチルフェニル基、各種ブチルフェニル基、各種ナフチル基等が挙げられる。アリールアルキル基としては、炭素数が好ましくは7以上、上限として好ましくは20以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは10以下のアリールアルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、各種フェニルプロピル基、各種フェニルブチル基、各種メチルベンジル基、各種エチルベンジル基、各種プロピルベンジル基、各種ブチルベンジル基、各種ヘキシルベンジル基等が挙げられる。中でも、フェニル基が好ましい。
15及びR16の1価の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、及びアリールアルキル基等が挙げられ、アルキル基、アルケニル基等の脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましい。すなわち、R12としては、アルキルエステル基、アルケニルエステル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基が好ましく、アルキルエステル基、アルコキシ基がより好ましい。
アルキル基としては、上記R13及びR14の1価の有機基として例示したアルキル基が挙げられる。R13及びR14のアルキル基の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは6以上であり、上限として好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下である。
アルケニル基としては、炭素数が好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは6以上、上限として好ましくは20以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは12以下のアルケニル基、例えば、ビニル基、各種プロペニル基、各種ブテニル基、各種ペンテニル基、各種ヘキセニル基、各種オクテニル基、各種ノネニル基、各種デセニル基、各種ウンデセニル基、各種ドデセニル基、各種トリデセニル基、各種テトラデセニル基、各種ペンタデセニル基、各種ヘキサデセニル基、各種ヘプタデセニル基、各種オクタデセニル基、各種ノナデセニル基、各種イコセニル基が挙げられる。
上記のR11、R12、R13、R14、R15及びR16の基は、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、炭素数1以上4以下のアルキル基等の置換基を有していてもよい。
11及びn12は各々独立して1~5の整数であり、好ましくは1~3の整数、より好ましくは1~2の整数である。n11及びn12が2以上の整数である場合、複数のR13及びR14は同じでもよく、異なっていてもよく、入手容易性の観点から、同じであることが好ましい。
一般式(1)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン化合物としては、より具体的には、R11が炭素数1以上20以下のアルキレン基であり、R12がR15及びR16が炭素数1以上20以下のアルキル基であるアルキルエステル基又はアルコキシ基であり、R13及びR14が炭素数6以上20以下のアリール基又は炭素数1以上20以下のアルキル基であり、n11及びn12が1又は2のヒドロキシフェニルトリアジン化合物が好ましく、R11が炭素数1以上12以下のアルキレン基であり、R12がR15及びR16が炭素数2以上16以下のアルキル基であるアルキルエステル基又はアルコキシ基であり、R13及びR14が炭素数6以上12以下のアリール基又は炭素数1以上8以下のアルキル基であり、n11及びn12が1又は2のヒドロキシフェニルトリアジン化合物がより好ましく、R11が炭素数1以上8以下のアルキレン基であり、R12がR15及びR16が炭素数6以上14以下のアルキル基であるアルキルエステル基又はアルコキシ基であり、R13及びR14が炭素数6以上10以下のアリール基又は炭素数1以上4以下のアルキル基であり、n11及びn12が1又は2のヒドロキシフェニルトリアジン化合物が更に好ましい。中でも、R11が炭素数1以上4以下の水酸基を有するアルキレン基であり、R12がR16が炭素数1又は2のアルキル基であるアルコキシ基であり、R13及びR14がメチル基であり、n11及びn12が2のヒドロキシフェニルトリアジン化合物、R11が炭素数1以上4以下のアルキレン基であり、R12がR15が炭素数8のアルキル基であるエステル基であり、R13及びR14がフェニル基であり、n11及びn12が1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物が特に好ましい。
一般式(1)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン化合物としては、更に具体的には、下記化学式(2)で示される、R11が水酸基を有するプロピレン基(ヒドロキシプロピレン基)であり、R12がR16が炭素数12又は13のアルキル基であるアルコキシ基であり、R13及びR14がメチル基であり、n11及びn12が2のヒドロキシフェニルトリアジン化合物、すなわち2-(2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-[3-ドデシロキシプロポキシ]フェニル)-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-[3-トリデシロキシプロポキシ]フェニル)-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン又はこれらの混合物が好ましく、このヒドロキシフェニルトリアジン化合物は、例えば、市販品(TINUVIN400」、BASF社製)として入手可能である。
また、一般式(1)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン化合物としては、更に具体的には、下記化学式(3)で示されるR11がエチレン基であり、R12がR15がイソオクチル基であるエステル基であり、R13及びR14がフェニル基であり、n11及びn12が1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物、すなわち2-(2-ヒドロキシ-4-[1-オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)-4,6-ビス(4-フェニルフェニル)-1,3,5-トリアジンも好ましく、このヒドロキシフェニルトリアジン化合物は、例えば、市販品(「TINUVIN479」、BASF社製)として入手可能である。
<その他添加剤>
本発明の表面保護層には、本発明の目的が損なわれない範囲で各種添加剤を含有させることができる。各種添加剤としては、例えば、光安定剤、耐摩耗性向上剤、重合促進剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、溶剤、着色剤、酸化防止剤などが挙げられる。
<表面保護層の微細凹凸>
表面保護層は、最表面に微細凹凸を有することを要件とする。微細凹凸は、可視光を散乱させて、化粧シートにマット感を付与できるものである。微細凹凸は、表面保護層の全面に設けられていることが特に好ましい。
ISO25178-6:2010に準拠して測定される前記微細凹凸の最大高さ(Sz)が0.5μm以上であることが好ましく、1.0μm以上であることがより好ましく、4.0μm以上であることがが更に好ましい。上記数値を満たすことにより、化粧シートにマット感を付与することができる。ただし、Szが大きくなると、表面保護層よりも下層の装飾(例えば、装飾層や基材)の視認性が低下し、意匠性に劣る場合があるため、Szは50μm以下であることが好ましく、45μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましい。
ISO25178-6:2010に準拠して測定される算術平均高さ(Sa)が、0.5μm以上であることが好ましく、0.7μm以上であることがより好ましく、1.0μm以上であることが更に好ましい。上記数値を満たすことにより、化粧シートにマット感を付与することができる。ただし、Saが大きくなると、表面保護層よりも下層の装飾(例えば、装飾層や基材)の視認性が低下し、意匠性に劣る場合がある。上記事情を考慮すると、Saは50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。
なお、Sz及びSaは、測定範囲:300μm×300μm~800μm×800μmの範囲を、化粧シート面内10点以上の測定点で計測される値の平均値とする。
さらに、微細凹凸は、Sz/Saが40以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましい。Sz/Saが小さいことは、微細凹凸が均一であり、凹凸の平均的な標高差に対して突出した凹凸を有さないことを意味している。Sz/Saが上記範囲を満たすことにより、視認性が良好になる。更には、賦形シートを剥離する際の損傷を抑制することが可能となる。
本発明の化粧シートは、表面保護層の最表面に上述の微細凹凸が設けられていることにより、マット剤を実質的に含有しなくても化粧シートにマット感を付与することができる。
具体的に、本発明の化粧シートは、表面保護層の表面について、JIS Z8741:1997に準拠した方法により測定した60°グロスが好ましくは20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
本発明において、上述したSz、Sa及びグロスを満たす限り、凹凸の形状、繰り返し単位の幅(ピッチ)などは特に限定されない。
表面保護層の最表面に微細凹凸を付与する方法としては、賦形シートを用いた転写、エンボス加工など、公知の方法を適用することができる。特に、賦形シートを用いた転写を採用することにより、所望の形状の微細凹凸を高精度で形成することができるので有利である。
賦形シートを用いた転写では、まず、基材、または、図1~5で例示した表面保護層の下層となる積層体を形成する。該基材又は積層体上に、酸化亜鉛、硬化性樹脂組成物及びその他添加物を含む表面保護層形成用塗布液を塗布する。塗布方法としては、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート、ダイコートなどの公知の方式、好ましくはダイコートにより行うことが望ましい。また、硬化後の厚さが上述の範囲となるように、塗布することが好ましい。
賦形シートは、その表面に、表面保護層に付与される微細凹凸と相補的な凹凸形状が形成されている。賦形シートの凹凸形状が形成された面が塗布膜と対向するように、上記塗布膜上に賦形シートを配置して接触させる。この状態で、塗布膜の樹脂を硬化させる。硬化後、賦形シートを剥離することにより、表面保護層の表面に所望の微細凹凸が形成される。
賦形シートの剥離の際、及び、製造過程で搬送ロールやドラムから化粧シートが離れる際に、表面保護層の表面で剥離放電が発生する場合がある。本発明の化粧シートは、表面保護層に導電性を有する酸化亜鉛が含有されているため、剥離放電が抑制されて、製造時における微細凹凸の損傷を抑制することができるという効果も奏する。
〔基材〕
基材に用いられる樹脂としては、通常化粧シートの基材として用いられるものを制限なく採用することができ、代表的には熱可塑性樹脂が使用される。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(以下、「ABS樹脂」とも称する。)、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂などが使用される。これらの中で、加工特性を考慮すると、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びABS樹脂が好ましく、特にポリオレフィン樹脂が好ましい。本発明においては、これらの樹脂を単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
ポリオレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン(低密度、中密度、高密度)、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。中でも、ポリエチレン(低密度、中密度、高密度)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体が好ましい。
基材は、着色されていてもよい。着色の態様には特に制限はなく、透明着色であってもよいし、不透明着色(隠蔽着色)であってもよく、これらは任意に選択できる。
基材は、白色顔料を含むことが好ましい。白色顔料を含むことにより、化粧シートを貼着する被着材の地色を隠蔽することができ、より優れた意匠性が得られ、得られる化粧シートの色調安定性を向上させることができる。
白色顔料としては、酸化チタン(チタン白)、鉛白、アンチモン白、二酸化チタン被覆雲母等が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。本発明においては、隠蔽性(発色)、取り扱いの容易さ等を考慮すると、酸化チタン(チタン白)が好ましい。
酸化チタンには、アナターゼ型、ブルッカイト型及びルチル型があり、いずれも用いることができるが、隠蔽性(発色)に優れ、耐候性を考慮すると、ルチル型が好ましい。ルチル型の酸化チタンは、光触媒活性が低いため、直射日光に晒される環境下で用いても、光触媒反応が生じにくく、光触媒反応による基材及び装飾層、またその他の任意で設けられる層の劣化が生じにくく、結果として耐候性が向上する。
白色顔料は、耐候性を考慮して光触媒活性が低いものを選定する観点から、表面処理されたものであることが好ましい。表面処理された白色顔料としては、例えば、無機金属含水酸化物で表面処理されて、無機含水酸化物微粒子で表面が覆われたものが好ましく挙げられる。無機金属含水酸化物としては、アルミナ、シリカ、チタニアの他、ジルコニア、酸化錫、酸化アンチモン、酸化亜鉛等が好ましく挙げられる。また、表面が未処理の酸化チタン、又は上記の無機金属含水酸化物で表面処理された酸化チタンを、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等のカップリング剤、又はシリコーンオイル、フッ素系オイル等で表面処理して、表面を疎水性や親油性にしたものも好ましく挙げられる。本発明においては、上記の表面処理を単独で施されたもの、又は複数の表面処理を組み合わせて施された白色顔料を用いることができる。
本発明においては、優れた隠蔽性を得る観点から、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛による表面処理が好ましく、アルミナ、シリカによる表面処理がより好ましく、特にアルミナ及びシリカによる表面処理が好ましい。
白色顔料の平均粒径は、0.02μm以上1.5μm以下が好ましく、0.15μm以上0.5μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.3μm以下が更に好ましい。白色顔料の平均粒径が上記範囲内であると、優れた発色が得られ、高い隠蔽性とともに、意匠性が得られる。ここで、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50として求めることができる値である。
基材中の白色顔料の含有量は、透明着色とするか、不透明着色(隠蔽着色)とするかに応じて適宜調整すればよい。例えば、基材を構成する樹脂100質量部に対し、1質量部以上50質量部以下が好ましく、3質量部以上40質量部以下がより好ましく、5質量部以上30質量部以下が更に好ましく、5質量部以上20質量部以下が特に好ましい。
基材は、白色顔料以外の着色剤を含んでもよい。例えば、鉄黒、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等の着色剤が挙げられる。
基材には、必要に応じて、添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレーなどの無機充填剤、水酸化マグネシウムなどの難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。添加剤の配合量は、特に加工特性を阻害しない範囲であれば特に制限はなく、要求特性等に応じて適宜設定できる。
基材は、上記樹脂の単層、あるいは同種又は異種樹脂による複層のいずれの構成であってもよい。
基材の厚さは、特に加工特性を考慮すると、20μm以上150μm以下が好ましく、25μm以上120μm以下がより好ましく、30μm以上100μm以下が更に好ましく、特に40μm以上80μm以下が好ましい。
また、基材は、基材と他の層との層間密着性の向上、各種の被着材との接着性の強化等のために、その片面又は両面に、酸化法、凹凸化法等の物理的表面処理、又は化学的表面処理等の表面処理を施すことができる。
酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン-紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が、表面処理の効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
また、基材と他の層との層間密着性の向上、各種の被着材との接着性の強化のために、基材に下地プライマー層や裏面プライマー層を形成する等の処理を施してもよい。
〔装飾層〕
本発明の化粧シートは、意匠性を向上させる観点から、装飾層を有することが好ましい。装飾層は、例えば、全面を被覆する着色層(いわゆるベタ着色層)であってもよいし、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される絵柄層であってもよいし、またこれらを組み合わせたものであってもよい。例えば、被着材の地色を着色隠蔽する場合には、ベタ着色層とすることで、着色隠蔽しつつ、意匠性を向上させることができるし、更に意匠性を向上させる観点から、ベタ着色層と絵柄層とを組み合わせてもよいし、一方、被着材の地模様を生かす場合は、ベタ着色層とせずに絵柄層のみを設ければよい。
装飾層に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を適宜混合したものが使用される。
バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ウレタン樹脂、アクリルポリオール樹脂、アクリル樹脂、エステル樹脂、アミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、ウレタン-アクリル共重合体、ポリカーボネート系ウレタン-アクリル共重合体(ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、末端、側鎖に2個以上の水酸基を有する重合体(ポリカーボネートポリオール)由来のウレタン-アクリル共重合体)、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-アクリル共重合体樹脂、塩素化プロピレン樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等の樹脂が好ましく挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、1液硬化型の他、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPID)、キシリレンジイソシアネート(XDI)等のイソシアネート化合物等の硬化剤を伴う2液硬化型など、種々のタイプの樹脂を用いることができる。
着色剤としては、被着材の地色を着色隠蔽し、かつ意匠性を向上させる観点から、白色顔料が好ましく用いられる。装飾層中の白色顔料の含有量は、装飾層を構成する樹脂100質量部に対して、5質量部以上90質量部以下が好ましく、15質量部以上80質量部以下がより好ましく、30質量部以上70質量部以下が更に好ましい。
また、装飾層には、白色顔料以外の着色剤、例えば、鉄黒、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、アゾメチンアゾ系化合物、ペリレン系化合物等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等の着色剤を用いることもできる。
装飾層は、耐候性を向上させる観点から、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候剤を含むことが好ましく、光安定剤を含むことがより好ましい。紫外線吸収剤、光安定剤としては、表面保護層に含まれ得るものを使用することができる。
装飾層として絵柄層を有する場合、その模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
装飾層の厚さは、所望の絵柄に応じて適宜選択すればよいが、被着材の地色を着色隠蔽し、かつ意匠性を向上させる観点から、0.5μm以上20μm以下が好ましく、1μm以上10μm以下がより好ましく、2μm以上5μm以下が更に好ましい。
本発明の化粧シートが基材と装飾層とを有する場合、基材及び装飾層の少なくとも一方に白色顔料を含むことが好ましい。白色顔料により着色された基材、装飾層を用いることで、化粧シートを貼着する被着材の表面色相がばらついている場合に、表面色相を良好に隠蔽しやすい。この結果、より優れた意匠性が得られるとともに、化粧シートの色調安定性を向上させることができる。
〔透明樹脂層〕
本発明の化粧シートは、透明樹脂層を有していても良い。透明樹脂層を装飾層の上に設けることにより、耐傷付き性や耐汚染性等の諸性能を良好なものとすることができる。また、図5に示したように、透明樹脂層を基材として表面保護層などを形成しても良い。
透明樹脂層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。透明樹脂層を形成する樹脂成分としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリメチルペンテン、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等が挙げられる。上記の中でも、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。より好ましくは、立体規則性を有するポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂を用いる場合は、溶融ポリオレフィン系樹脂を押し出し法により透明樹脂層を形成することが望ましい。
透明樹脂層には、必要に応じて、充填剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えばゴム)等の各種の添加剤が含まれていても良い。
透明樹脂層の形成方法としては、上記樹脂成分等を含む樹脂組成物を、例えば、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等により装飾層の上にラミネートする方法が挙げられる。
透明樹脂層の厚みは特に限定されないが、一般的には20~250μm、特に30~200μm程度とすることが好ましい。
透明樹脂層の表面であって、表面保護層を形成する面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
〔プライマー層〕
本発明の化粧シートは、プライマー層を設けても良い。プライマー層を設ける場合、装飾層と表面保護層との間に設けることが好ましい。装飾層及び透明樹脂層が設けられ場合、透明樹脂層と表面保護層との間に設けることが好ましい。プライマー層を設けることにより、装飾層と表面保護層との密着性、又は、透明樹脂層と表面保護層との密着性を高めることができ、かつ、表面保護層に対する応力が緩和され、表面保護層の耐候劣化による割れを抑制することが可能となり、耐久性を著しく向上させることができる。
プライマー層は、例えば、上記装飾層に用いるバインダーとして例示したバインダーに、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を適宜混合した樹脂組成物により形成することができる。
プライマー層の厚さは、密着性を向上させる観点から、0.1~10μmが好ましく、0.5μm~8μmがより好ましく、1~6μmが更に好ましい。
[化粧材]
本発明の化粧材は、被着材と上記の化粧シートとを有してなるものである。具体的に、被着材と、化粧シートの表面保護層と反対側の面とを対向させて積層したものである。図6は、本発明の化粧材の一例を説明する断面概略図である。化粧材20は、被着材21及び本発明の化粧シート10(一例として図1に示す化粧シート)を順に有する。
<被着材>
被着材としては、各種素材の平板、曲面板等の板材、立体形状物品、シート(或いはフィルム)等が挙げられる。例えば、
(1)杉、檜、松、ラワン等の各種木材から成る木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質繊維板等の板材や立体形状物品等として用いられる木質部材、
(2)鉄、アルミニウム等の板材や鋼板、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる金属部材
(3)ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セメント窯業系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板等の非陶磁器窯業系材料等の板材や立体形状物品等として用いられる窯業部材、
(4)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ゴム等の板材、立体形状物品、あるいはシート等として用いられる樹脂部材、
等が挙げられる。また、これらの部材は、単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。
被着材は、上記の中から用途に応じて適宜選択すればよく、壁、天井、床等の建築物の内装材又は外装用部材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具乃至造作部材を用途とする場合は、木質部材、金属部材及び樹脂部材から選ばれる少なくとも一種の部材からなるものが好ましく、玄関ドア等の外装部材、窓枠、扉等の建具を用途とする場合は、金属部材及び樹脂部材から選ばれる少なくとも一種の部材からなるものが好ましい。
被着材の厚さは、用途及び材料に応じて適宜選択すればよく、0.1mm以上10mm以下が好ましく、0.3mm以上5mmがより好ましく、0.5mm以上3mm以下が更に好ましい。
被着材と化粧シートとは、優れた接着性を得るため、接着剤を用いて貼り合わせることが好ましい。
被着材と化粧シートを貼り合わせる際に用いられる接着剤としては、特に限定されず、公知の接着剤を使用することができ、例えば、感熱接着剤、感圧接着剤等の接着剤が好ましく挙げられる。この接着剤層を構成する接着剤に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、これらを単独で、又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネート化合物等を硬化剤とする2液硬化型のポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤も適用し得る。
また、接着剤を用いるにあたり、粘着剤を併用して用いることもできる。粘着剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、ゴム系等の粘着剤を適宜選択して用いることができる。
接着剤層の厚さは特に制限はないが、優れた接着性を得る観点から、1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がより好ましく、10μm以上30μm以下が更に好ましい。
<化粧材の製造方法>
化粧材は、化粧シートと被着材とを積層する工程を経て製造することができる。
被着材の化粧を要する面と、化粧シートの表面保護層と反対側の面とを対向させて積層する。被着材と化粧シートとを積層する方法としては、例えば、上述の接着剤層を介して化粧シートを被着材に加圧ローラー等で加圧して積層するラミネート方法等が挙げられる。化粧シートがシート状であれば、被着材に加圧ローラー等で加圧して積層することにより、化粧材を効率よく製造することができる。
接着剤としてホットメルト接着剤(感熱接着剤)を用いる場合、接着剤を構成する樹脂の種類にもよるが、加温温度は160℃以上200℃以下が好ましく、反応性ホットメルト接着剤では100℃以上130℃以下が好ましい。また、真空成形加工の場合は加熱しながら行うことが一般的であり、80℃以上130℃以下が好ましく、より好ましくは90℃以上120℃以下である。
以上のようにして得られる化粧材は、任意切断し、表面や木口部にルーター、カッター等の切削加工機を用いて溝加工、面取加工等の任意加飾を施すことができる。そして種々の用途、例えば、壁、天井、床等の建築物の内外装用部材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具の他、キッチン、家具又は家電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装、外装等に用いることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
<評価>
(1)耐候性試験
実施例及び比較例の化粧シートについて、以下の手順で耐候性試験を実施した。
超促進耐候性試験装置(商品名:アイ スーパー UVテスター SUV-W261)を試験装置として用い、以下の照射条件による照射及び結露条件による結露とを繰り返した。
(照射条件)
照度:100mW/cm
ブラックパネル温度:63℃
湿度:50%RH
照射時間:20時間
結露時間:4時間
耐候性試験前、及び、所定時間経過後の化粧シートの外観を目視で観察し評価した。評価基準は以下のとおりである。
A:外観変化は確認されなかった。
B:軽微な外観変化(艶変化、色調変化、クラック等)が確認された。
C:著しい艶変化、色調変化、クラックが確認された。
(2)意匠性評価
耐候性試験前、及び、耐候性試験で所定時間経過した時点の各サンプルについて、意匠性(マット性及び装飾層の視認性)を目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
A:マット性が感じられた。装飾層が視認できた。
B:マット性は感じられるが、表面保護層が曇り、装飾層の視認性が低下した。
C:装飾層は確認できるが、マット性が感じられなかった。
D:表面保護層が曇り、装飾層の視認性が低下した。マット性も感じられなかった。
(3)表面粗さ測定
非接触式の形状解析レーザー顕微鏡(キーエンス製:VK-X1000)を用いてSz(最大高さ)及びSa(算術平均高さ)を、化粧シート面内10点について以下の条件で測定した。各測定値の平均値を、実施例及び比較例の化粧シートのSz及びSaとした。結果を表1に示す。
[表面粗さ測定器の測定条件]
・S-フィルター:なし
・L-フィルター:なし
・倍率:400倍
・測定範囲:400μm×500μm
<実施例1>
ポリプロピレン樹脂シート(厚さ60μm、両面コロナ放電処理)を基材として、該基材の一方の面に2液硬化型アクリル-ウレタン樹脂をバインダーとする茶褐色インキをグラビア印刷法で塗布し、木目模様の装飾層(乾燥後の厚さ:3μm)を設けた。
該基材の他方の面に、2液硬化型ウレタン-硝化綿混合樹脂(硬化剤:ヘキサメチレンジイソシアネートを樹脂100質量部に対して5質量部含有)を含む樹脂組成物を塗布し、裏面プライマー層(厚さ:3μm)を形成した。
装飾層上に、透明のポリウレタン樹脂系接着剤を塗布し、接着層(乾燥後の厚さ:3μm)を形成した。透明なポリプロピレン樹脂をTダイ押出機により加熱溶融し、該接着層上に押し出して、透明樹脂層(厚さ:80μm)を形成した。
次いで、透明樹脂層の表面にコロナ処理を施した後、2液硬化型ウレタン-硝化綿混合樹脂(硬化剤:ヘキサメチレンジイソシアネートを樹脂100質量部に対して5質量部含有)を含む樹脂組成物を透明樹脂層上に塗布し、プライマー層(乾燥後の厚さ:4μm)を形成した。
プライマー層上に、硬化後の厚さが約5μmとなるように、下記処方の表面保護層形成用塗布液を塗布した。
(表面保護層形成用塗布液)
ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量:1000、官能基数:2) 100質量部
酸化亜鉛粒子(平均粒径:10nm) 25質量部
トリアジン系紫外線吸収剤(商品名「Tinuvin479」) 1質量部
ヒンダードアミン光安定剤 5質量部
未硬化の上記塗布膜に、凹凸面が塗布膜側となるように賦形シートAを配置し、ドライラミによって塗布膜と賦形シートAとを密着させた。この状態で、165KeV、5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して、塗布膜を架橋硬化させた。
硬化後、賦形シートAを剥離し、実施例1の化粧シート(マット賦形を施した化粧シート)を得た。評価結果を表1に示す。
<実施例2>
賦形シートAとは表面凹凸の大きさが異なる賦形シートBを用いたこと以外は、実施例1と同じ工程で、実施例2の化粧シート(マット賦形を施した化粧シート)を得た。評価結果を表1に示す。
<比較例1>
表面保護層以外は実施例1と同じ積層体を作製した。
実施例1の表面保護層形成用塗布液に、更にマット剤としてシリカ(平均粒径:8μm)を25質量部の割合で添加した。プライマー層上にこの塗布液を塗布した後、そのまま実施例1と同条件で硬化させて、表面保護層(厚さ:5μm)を形成した比較例1の化粧シート(マット剤を含む化粧シート)を得た。評価結果を表1に示す。
<比較例2>
表面保護層以外は実施例1と同じ積層体を作製した。実施例1と同じ表面保護層形成用塗布液をプライマー層上に塗布した後、そのまま実施例1と同条件で硬化させて、表面保護層(厚さ:5μm)を形成した比較例2の化粧シート(クリア化粧シート)を得た。評価結果を表1に示す。
Figure 0007415403000004
実施例1,2の化粧シートはいずれも、耐候性に優れ、長期間の試験でも意匠性(マット性及び装飾層の視認性)に変化がなかった。
一方、表1に示すように、表面保護層にマット剤(シリカ)を含む比較例1の化粧シートは、マット剤を含まない実施例1,2及び比較例2に比べて、艶や色調が変化し、クラックの発生が認められた。耐候性が大幅に劣る結果となった。また、比較例1の化粧シートは初期の意匠性は優れていたものの、上記耐候性試験により表面保護層の曇り(白化)が発生し、装飾層の視認性が低下した。
比較例2は、賦形及びマット剤の添加のいずれも行っていないため、試験前の化粧シートではマット感がなかった。また、比較例2の化粧シートはでは、上記耐候性試験により色調・艶の変化やクラックの発生は認められなかったものの、表面保護層の曇り(白化)の発生が認められた。
10 化粧シート
11 表面保護層
12 基材
13 装飾層
14 透明樹脂層
15 プライマー層
20 化粧材
21 被着材

Claims (10)

  1. 最表層に表面保護層を有する化粧シートであって、
    該表面保護層が、硬化性樹脂組成物の硬化物と、無機系紫外線遮蔽剤とを含み、かつ、マット剤を実質的に含まず、
    前記無機系紫外線遮蔽剤が酸化亜鉛であり、
    前記表面保護層の最表面が、微細凹凸を有し、
    ISO25178-6:2010に準拠して測定される前記微細凹凸の最大高さ(Sz)が4.0μm以上30μm以下である化粧シート。
  2. ISO25178-6:2010に準拠して測定される前記微細凹凸の算術平均高さ(Sa)が0.5μm以上である請求項に記載の化粧シート。
  3. ISO25178-6:2010に準拠して測定される前記微細凹凸の算術平均高さ(Sa)に対する、ISO25178-6:2010に準拠して測定される前記微細凹凸の最大高さ(Sz)の比(Sz/Sa)が、40以下である請求項1または2に記載の化粧シート。
  4. 前記酸化亜鉛が、平均粒径が0.5nm以上300nm以下である粒子である請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の化粧シート。
  5. 前記酸化亜鉛の含有量が、前記硬化性樹脂組成物100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下である請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の化粧シート。
  6. 前記表面保護層が、有機系紫外線吸収剤を更に含む請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の化粧シート。
  7. 前記表面保護層の裏面側に、更にプライマー層及び透明樹脂層の少なくとも一方を有する請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の化粧シート。
  8. 前記硬化性樹脂組成物が、電離放射線硬化性樹脂である請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の化粧シート。
  9. 前記有機系紫外線吸収剤が、トリアジン系紫外線吸収剤である請求項に記載の化粧シート。
  10. 被着材と、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の化粧シートとを有する化粧材。
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