本発明は、とりわけ、CD22、特にヒトCD22に特異的に結合する構築物を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD22構築物は、記載される抗CD22抗体部分を含むポリペプチド又は組成物であってもよい。例えば、抗CD22構築物は、(例えば、細胞の表面上で発現される)天然形態のヒトCD22に対して高い特異性を示す、抗体、キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor、CAR)、キメラ抗体-T細胞受容体(chimeric antibody-T cell receptor、caTCR)、又はキメラシグナル伝達受容体(chimeric signaling receptor、CSR)であり得る。いくつかの実施形態では、提供される構築物は、CD22発現によって特徴付けられる癌細胞(例えば、リンパ腫及び/又は白血病)の殺傷を効果的に媒介してもよい。
ヒト抗体、すなわち、ヒトCDR配列を含むヒト重鎖可変領域配列及びヒト軽鎖可変領域配列を有するヒト抗体を含有する構築物を採用する実施形態が本明細書で広範囲にわたって論じられているが、本発明はまた、非ヒト抗体を含有する構築物も提供する。いくつかの実施形態では、非ヒト抗体は、本明細書に記載の抗体由来のヒトCDR配列、及び非ヒトフレームワーク配列を含む。非ヒトフレームワーク配列としては、いくつかの実施形態では、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウシ、シカ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ、サル、ニワトリなどから生成される配列を含む、本明細書に記載の1つ以上のヒトCDR配列を使用して合成重鎖可変領域及び/又は合成軽鎖可変領域を生成するために使用することができる任意の配列が挙げられる。いくつかの実施形態では、提供される構築物は、本明細書に記載の1つ以上のヒトCDR配列を、非ヒトフレームワーク配列(例えば、マウス又はニワトリのフレームワーク配列)に移植することによって生成される抗体を含む。多くの実施形態では、提供される構築物は、ヒト抗体(例えば、ヒトモノクローナル抗体又はそのフラグメント、ヒト抗原結合タンパク質又はポリペプチド、ヒト多重特異性抗体(例えば、ヒト二重特異性抗体)、ヒト免疫グロブリンポリペプチドの1つ以上の成分を有するヒトポリペプチド)を含むか、又はヒト抗体である。
一態様では、本発明は、CD22に特異的に結合する抗体部分を含む抗CD22構築物を特徴とする。抗体部分は、(a)配列番号218又は212の軽鎖可変領域の軽鎖相補性決定領域(light chain complementarity determining region、LC-CDR)1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む軽鎖可変領域(light chain variable region、VL)と、(b)配列番号219又は213の重鎖可変領域の重鎖相補性決定領域(heavy chain complementarity determining region、HC-CDR)1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む重鎖可変領域(heavy chain variable region、VH)と、を含む。
いくつかの実施形態では、抗体部分は、配列番号218の軽鎖可変領域のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、配列番号212の軽鎖可変領域のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む。
いくつかの実施形態では、抗体部分は、(a)配列番号218の軽鎖可変領域のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む軽鎖可変領域(VL)と、(b)配列番号219の重鎖可変領域のHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、を含む。
いくつかの実施形態では、抗体部分は、(a)配列番号212の軽鎖可変領域のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む軽鎖可変領域(VL)と、(b)配列番号213の重鎖可変領域のHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む重鎖可変領域(VH)と、を含む。
本態様のいくつかの実施形態では、抗体部分は、HDIRNY(配列番号214)の配列を有するLC-CDR1、AAS(配列番号215)の配列を有するLC-CDR2、QQYDGLPLT(配列番号216)の配列を有するLC-CDR3、GFTFSNYA(配列番号209)の配列を有するHC-CDR1、ISGSGGST(配列番号210)の配列を有するHC-CDR2、及びARYGSAAWMDS(配列番号217)の配列を有するHC-CDR3のうちの1つ以上を含む。特定の実施形態では、抗体部分は、配列番号209、210、及び214~217の配列を含む。
この態様のいくつかの実施形態では、軽鎖可変領域は、
DIQLTQSPSSLSTSVGDRVTITCQASHDIRNYLNWYQQKPGKAPNLLIYAASNLQTGVPSRFSGRGSGTDFTLTISSLQPEDIATYYCQQYDGLPLTFGQGTRLEIKR(配列番号218)の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
本態様のいくつかの実施形態では、重鎖可変領域は、
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDTSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARYGSAAWMDSWGQGTLVTVSS(配列番号219)の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
別の態様では、本発明は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む抗CD22構築物を特徴とする。軽鎖可変領域は、
DIQLTQSPSSLSTSVGDRVTITCQASHDIRNYLNWYQQKPGKAPNLLIYAASNLQTGVPSRFSGRGSGTDFTLTISSLQPEDIATYYCQQYDGLPLTFGQGTRLEIKR(配列番号218)の配列に対して少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する配列を有し、重鎖可変領域は、
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDTSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARYGSAAWMDSWGQGTLVTVSS(配列番号219)の配列に対して少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号218の配列を含み、重鎖可変領域は、配列番号219の配列を含む。
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態では、抗体部分は、SSNIGNNY(配列番号206)の配列を有するLC-CDR1、ENN(配列番号207)の配列を有するLC-CDR2、GTWDSSLSAGAV(配列番号208)の配列を有するLC-CDR3、GFTFSNYA(配列番号209)の配列を有するHC-CDR1、ISGSGGST(配列番号210)の配列を有するHC-CDR2、及びARPYYDD(配列番号211)の配列を有するHC-CDR3のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、配列番号206~211の配列を含む。
この態様のいくつかの実施形態では、構築物の軽鎖可変領域は、QSVVTQPPSVSAAPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYENNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAGAVFGGGTKLTVLG(配列番号212)の配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%又は99%同一性)を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域は、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPYDDWGQGTLVTVSS(配列番号213)の配列に対して少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する配列を有する。いくつかの実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号212の配列を含み、重鎖可変領域は、配列番号213の配列を含む。
別の態様では、本発明は、CD22への特異的結合について、本明細書に記載の抗CD22構築物と競合する抗体部分を含む、抗CD22構築物を提供する。
別の態様では、本発明は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗CD22構築物を提供する。軽鎖可変領域は、
QSVVTQPPSVSAAPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYENNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAGAVFGGGTKLTVLG(配列番号212)の配列に対して少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する配列を有し、重鎖可変領域は、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPYDDWGQGTLVTVSS(配列番号213)の配列に対して少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する配列を有する。特定の実施形態では、抗CD22構築物は、配列番号212の軽鎖可変領域配列と、配列番号213の重鎖可変領域配列と、を有する。
いくつかの実施形態では、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、リンカー(例えば、SRGGGGSGGGGSGGGGSLEMA(配列番号233)の配列を有するリンカー)によって結合されている。
いくつかの実施形態では、構築物は、λアイソタイプ又はκアイソタイプの軽鎖を含む。
本明細書に記載の任意の態様では、抗CD22構築物は、CD22の細胞外領域に結合する。特定の実施形態では、CD22の細胞外領域は、
DVQYPPKKVTTVIQNPMPIREGDTVTLSCNYNSSNPSVTRYEWKPHGAWEEPSLGVLKIQNVGWDNTTIACAACNSWCSWASPVALNVQYAPRDVRVRKIKPLSEIHSGNSVSLQCDFSSSHPKEVQFFWEKNGRLLGKESQLNFDSISPEDAGSYSCWVNNSIGQTASKAWTLEVLYAPRRLRVSMSPGDQVMEGKSATLTCESDANPPVSHYTWFDWNNQSLPYHSQKLRLEPVKVQHSGAYWCQGTNSVGKGRSPLSTLTVYYSPETIGRR(配列番号205)の配列のうちの少なくとも7個のアミノ酸を含む。特定の実施形態では、細胞外領域は、配列番号205の配列を有する。
本明細書に記載の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、一本鎖Fv(scFv)抗体である。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、単一特異性である。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、多重特異性(例えば、二重特異性)である。
本明細書に記載の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、第2の抗原に特異的に結合する第2の抗体部分を更に含む。第2の抗原は、T細胞(例えば、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、又はナチュラルキラーT細胞)の表面上の抗原であってもよい。いくつかの実施形態では、第2の抗原は、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD28、CD16a、CD56、CD68、GDS2D、OX40、GITR、CD137、CD27、CD40L、及びHVEMからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第2の抗原は、ナチュラルキラー細胞、好中球、単球、マクロファージ、又は樹状細胞の表面上の抗原である。
特定の実施形態では、第2の抗原は、CD3εである。構築物は、配列番号205の配列又はその一部を有するCD22に特異的なN末端scFvと、CD3εに特異的なC末端scFvと、を含む、タンデムscFvである。
本明細書に記載の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、タンデムscFv、ダイアボディ(Db)、一本鎖ダイアボディ(scDb)、二重親和性再標的化(dual-affinity retargeting、DART)抗体、二重可変ドメイン(dual variable domain、DVD)抗体、ノブ・イントゥ・ホール(knob-into-hole、KiH)抗体、ドックアンドロック(dock and lock、DNL)抗体、化学的に架橋された抗体、ヘテロマルチマー抗体、又はヘテロ結合抗体である。特定の実施形態では、抗CD22構築物は、ペプチドリンカー(例えば、ペプチドリンカーは、配列番号233のアミノ酸配列を含む)によって連結された2つのscFvを含むタンデムscFvである。
本明細書に記載の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、構築物は、キメラ抗原受容体(CAR)である。いくつかの実施形態では、CARは、抗CD22抗体部分と、膜貫通ドメイン(例えば、T細胞受容体膜貫通ドメイン)と、免疫細胞シグナル伝達ドメインと、を含む。抗CD22抗体部分は、配列番号214~216の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209、210、及び217の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含む、scFvである。いくつかの実施形態では、CARは、抗CD22抗体部分と、膜貫通ドメインと、免疫細胞シグナル伝達ドメインと、を含む。抗CD22抗体部分は、配列番号206~208の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209~211の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含む、scFvである。いくつかの実施形態では、免疫細胞シグナル伝達ドメインは、CD3ζ鎖由来である。他の実施形態では、免疫細胞シグナル伝達ドメインは、CD28、4-1BB、ICOS、又はOX40由来である。
本明細書に記載の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、構築物は、CD22に結合する細胞外ドメイン(例えば、配列番号205又はその一部)を含むキメラ抗体-T細胞受容体(caTCR、抗体-TCRキメラ分子又は構築物(abTCR)とも呼ばれる)、及びTCR膜貫通ドメインを含むT細胞受容体(TCR)モジュール(TCRM)である。いくつかの実施形態では、caTCRは、配列番号214~216の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209、210、及び217の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含む。他の実施形態では、caTCRは、配列番号206~208の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209~211の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達モジュール(例えば、CD3δε、CD3γε、及びCD3ζ)を動員することができる。
いくつかの実施形態では、caTCRの細胞外ドメインは、(a)重鎖可変領域(VH)及びCH1抗体定常ドメインを含む第1の抗原結合領域を含む第1のポリペプチドと、(b)軽鎖可変領域(VL)及びCL抗体定常ドメインを含む第2の抗原結合領域を含む第2のポリペプチド鎖と、を含む。第1の抗原結合領域のVH及びCH1抗体定常ドメイン並びに第2の抗原結合領域のVL及びCL抗体定常ドメインは、CD22に特異的に結合するFab様抗原結合モジュールを形成する。
いくつかの実施形態では、細胞外ドメインは、CD22に特異的に結合するscFvを含む。いくつかの実施形態では、細胞外ドメインは、少なくとも1種類の非CD22抗原に特異的に結合する少なくとも1つの追加の抗体部分を更に含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1種類の非CD22抗原は、B細胞悪性腫瘍で発現される。特定の実施形態では、細胞外ドメインは、CD19に特異的に結合する抗体部分を更に含む。特定の実施形態では、細胞外ドメインは、CD20に特異的に結合する抗体部分を更に含む。特定の実施形態では、細胞外ドメインは、CD19に特異的に結合する抗体部分と、CD20に特異的に結合する抗体部分と、を更に含む。
いくつかの実施形態では、caTCRは、キメラシグナル伝達受容体(CSR)との組み合わせで発現される。いくつかの実施形態では、CSRは、抗CD22抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、非CD22抗原に特異的に結合する抗体部分を含む。
本明細書に記載の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、構築物は、キメラシグナル伝達受容体(CSR)である。いくつかの実施形態では、CSRは、(a)抗CD22抗体部分と、(b)膜貫通モジュールと、(c)免疫細胞に共刺激シグナルを提供することができる共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールと、を含む。CSRは、機能的一次免疫細胞シグナル伝達ドメインを欠いている。特定の実施形態では、抗CD22抗体部分は、配列番号214~216の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209、210、及び217の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含む。特定の実施形態では、抗CD22抗体部分は、配列番号206~208の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209~211の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、caTCR又はCARとの組み合わせで使用される(すなわち、発現される)。いくつかの実施形態では、CSRは、caTCR又はCARとの組み合わせで発現される。
いくつかの実施形態では、CSRは、CD22を特異的に標的とするcaTCR又はCARとの組み合わせで発現される。他の実施形態では、CSRは、CD22を特異的に標的としないcaTCR又はCARとの組み合わせで発現される。
いくつかの実施形態では、CSRは、少なくとも1種類の非CD22抗原に特異的に結合する少なくとも1つの追加の抗体部分を更に含む。特定の実施形態では、CSRは、CD19に特異的に結合する抗体部分を更に含む。特定の実施形態では、CSRは、CD20に特異的に結合する抗体部分を更に含む。
いくつかの実施形態では、CSRは、同じ分子に由来する膜貫通フラグメント及び細胞内フラグメントを含む。特定の実施形態では、分子は、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD27、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(lymphocyte function-associated antigen-1、LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、及びCD83と特異的に結合するリガンドからなる群から選択される。特定の実施形態では、分子は、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、及びCD27からなる群から選択される。
他の実施形態では、CSRは、異なる分子に由来する膜貫通フラグメント及び細胞内フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、T細胞受容体のα鎖、β鎖、δ鎖、γ鎖、又はζ鎖、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、及びCD154(例えば、CD8、4-1BB、CD27、CD28、CD30、又はOX40の膜貫通フラグメント)からなる群から選択される分子の膜貫通フラグメントを含む。特定の実施形態では、膜貫通フラグメントは、配列番号145~150のうちのいずれか1つの配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD27、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、及びCD83と特異的に結合するリガンドからなる群から選択される分子の細胞内フラグメント(例えば、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、及びCD27からなる群から選択される分子の細胞内フラグメント)を含む。特定の実施形態では、細胞内フラグメントは、配列番号151~155のうちのいずれか1つの配列を含む。他の実施形態では、CSRは、配列番号156~171のうちのいずれか1つの配列を含む。
本明細書に記載の任意の態様のいくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、抗体部分及びエフェクタ分子を含む免疫コンジュゲートである。エフェクタ分子は、薬物、毒素、放射性同位体、タンパク質、ペプチド、及び核酸からなる群から選択される治療薬(例えば、薬物又は毒素)であってもよい。いくつかの実施形態では、エフェクタ分子は、ラベルであってもよい。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗CD22構築物に含有される1つ以上のポリペプチドをコードする核酸分子を提供する。例えば、核酸分子は、構築物の軽鎖可変領域(例えば、配列番号212又は218)又は重鎖可変領域(例えば、配列番号213又は219)をコードしてもよい。いくつかの実施形態では、核酸分子は、scFv抗体(例えば、配列番号239又は240)をコードしてもよい。更なる実施形態では、本明細書に記載の抗CD22構築物中の異なるポリペプチド(例えば、抗CD22 CAR又はcaTCR)は、複数の別個の核酸分子によってコードされてもよい。例えば、本明細書に記載の抗CD22構築物中の2つのポリペプチド(例えば、抗CD22 CAR又はcaTCR)は、2つの別個の核酸分子によってコードされてもよい。いくつかの実施形態では、核酸分子は、本明細書に記載の抗CD22構築物に含有される全てのポリペプチドをコードする。
本態様のいくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、caTCRであり、CSRとの組み合わせで発現され、核酸分子は、caTCRに含有される全てのポリペプチド及びCSRのポリペプチドをコードするか、あるいは、抗CD22構築物は、CSRであり、caTCR又はCARとの組み合わせで発現され、核酸分子は、CSRのポリペプチド及びcaTCR又はCARに含有される全てのポリペプチドをコードする。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗CD22構築物に含有される全てのポリペプチドを個別にコードする核酸分子のセットを提供する。
本態様のいくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、caTCRであり、CSRとの組み合わせで発現され、核酸分子のセットは、caTCRに含有される全てのポリペプチド及びCSRのポリペプチドをコードするか、あるいは、抗CD22構築物は、CSRであり、caTCR又はCARとの組み合わせで発現され、核酸分子のセットは、CSRのポリペプチド及びcaTCR又はCARに含有される全てのポリペプチドをコードする。
別の態様では、本発明はまた、プロモータに操作可能に連結された、上述の核酸分子を含む発現カセットを提供し、これは場合によっては、核酸内のコード配列にとって非相同である。複数の別個の核酸分子が、本明細書に記載の抗CD22構築物中の複数のポリペプチドをコードするために使用される場合、複数の別個の核酸分子は、複数の発現カセット内に配置されてもよい。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗CD22構築物に含有される全てのポリペプチドを個別にコードする核酸分子を含む発現カセットのセットを提供する。いくつかの実施形態では、発現カセットのセットは、上述の核酸分子のセットを含む。
別の態様では、本発明は、上述の核酸分子、核酸分子のセット、発現カセット、又は発現カセットのセットを含む宿主細胞を提供する。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗CD22構築物を発現する宿主細胞を提供する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、本明細書に記載の核酸分子、核酸分子のセット、発現カセット、又は発現カセットのセットを含む。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の抗CD22構築物を調製する方法を提供する。本方法は、(a)上述の核酸分子、核酸分子のセット、発現カセット、又は発現カセットのセットを含む宿主細胞を提供することと、b)抗CD22構築物の形成を可能にする条件下で、宿主細胞中の核酸分子(複数可)又は発現カセット(複数可)を発現することと、を含む。
別の態様では、本発明は、上述の抗CD22構築物、上述の抗CD22構築物に含有される1つ以上のポリペプチドをコードする核酸、上述の抗CD22構築物に含有される1つ以上のポリペプチドをコードする核酸分子のセット、核酸分子を含む発現カセット、複数の核酸分子を含む発現カセットのセット、又は抗CD22構築物を発現する宿主細胞を含む医薬組成物、及び1つ以上の薬学的に許容される担体又は賦形剤を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の構築物は、治療的に有効な量である。
別の態様では、本発明は、必要な対象においてB細胞悪性腫瘍を治療する方法であって、治療的に有効な量の、本明細書に記載の抗CD22構築物、核酸分子、核酸分子のセット、発現カセット、発現カセットのセット、宿主細胞、又は医薬組成物を、対象に投与することを含む、方法を提供する。
別の態様では、本発明は、必要な対象においてCD22過剰発現によって特徴付けられる疾患又は障害を治療する方法であって、治療的に有効な量の、本明細書に記載の抗CD22構築物、核酸分子、核酸分子のセット、発現カセット、発現カセットのセット、宿主細胞、又は医薬組成物を、対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、疾患を治療する方法である。いくつかの実施形態では、本方法は、障害を治療する方法である。いくつかの実施形態では、CD22過剰発現によって特徴付けられる疾患又は障害は、癌(例えば、B細胞悪性腫瘍)である。
別の態様では、本発明は、治療方法であって、核酸分子、核酸分子のセット、発現カセット、又は発現カセットのセットを、対象から単離された1つ以上の初代細胞に導入することと、1つ以上の核酸を含む細胞を対象に投与することと、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、細胞を対象に投与する前に細胞を増殖させる工程を更に含む。いくつかの実施形態では、初代細胞は、リンパ球である。いくつかの実施形態では、初代細胞は、T細胞である。
別の態様では、本発明は、試料中のCD22を検出する方法であって、(a)試料を本明細書に記載の抗CD22構築物と接触させることと、(b)抗CD22構築物と試料中の任意のCD22との結合を直接的又は間接的に検出することと、を含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、検出可能な標識(例えば、発色剤、酵素、放射性同位体、同位体、蛍光剤、毒物、化学発光剤、又は核磁気共鳴造影剤)にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物と試料中の任意のCD22との結合は、検出可能な標識を検出することによって直接的に検出される。他の実施形態では、抗CD22構築物と試料中の任意のCD22との結合は、二次抗体を使用して間接的に検出される。
別の態様では、本発明は、CD22関連疾患又は障害を有する疑いのある対象を診断する方法であって、a)有効量の本明細書に記載の抗CD22構築物を対象に投与することと、b)抗CD22構築物と対象における任意のCD22との結合のレベルを直接的又は間接的に決定することと、を含み、閾値レベルを上回る結合のレベルは、対象がCD22関連疾患又は障害を有することを示す、方法を提供する。
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、CD22関連疾患又は障害は、癌(例えば、B細胞悪性腫瘍)である。
別の態様では、本発明は、B細胞悪性腫瘍を有する対象を診断する方法であって、(a)対象から得られた試料を本明細書に記載の抗CD22構築物と接触させることと、(b)試料中の抗CD22構築物に結合した細胞の数を決定することと、を含み、閾値レベルを上回る抗CD22構築物に結合した細胞の数の値は、対象がB細胞悪性腫瘍を有することを示す、方法を提供する。
本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、疾患、障害、又はB細胞悪性腫瘍は、B細胞リンパ腫又はB細胞白血病である。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、CD22+B細胞悪性腫瘍又はB細胞関連癌である。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、B細胞リンパ腫(例えば、CD22+B細胞リンパ腫)又はB細胞白血病(例えば、CD22+B細胞白血病)である。特定の実施形態では、B細胞悪性腫瘍(例えば、CD22+B細胞悪性腫瘍)は、急性リンパ芽球性白血病(acute lymphoblastic leukemia、ALL)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia、CLL)、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、前リンパ球性白血病、有毛細胞白血病、共通急性リンパ性白血病、及びnull細胞型急性リンパ芽球性白血病からなる群から選択される。本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
別の態様では、本発明は、陽性CD22発現に関連する疾患又は障害の治療のための、本明細書に記載の抗CD22構築物、核酸分子、核酸分子のセット、発現カセット、発現カセットのセット、宿主細胞、又は医薬組成物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、陽性CD22発現に関連する疾患又は障害の治療のための薬剤の製造における、本明細書に記載の抗CD22構築物、核酸分子、核酸分子のセット、発現カセット、発現カセットのセット、宿主細胞、又は医薬組成物の使用を提供する。
別の態様では、本発明は、陽性CD22発現に関連する疾患又は障害の診断のための、本明細書に記載の抗CD22構築物の使用を提供する。いくつかの実施形態では、陽性CD22発現に関連する疾患又は障害は、癌である。
定義
本発明の範囲は、本明細書に添付の「特許請求の範囲」によって定義され、本明細書に記載される特定の実施形態によって限定されるものではない。当業者であれば、本開示を読むことで、そのような記載される実施形態と同等であり得る、あるいは請求項の範囲内であり得る、様々な修正を認識するであろう。
一般に、本明細書で使用される用語は、別途明確に示されない限り、当該技術分野において理解されている意味に従う。特定の用語の明示的な定義を以下に示す。本明細書全体をとおして特定の例におけるこれら及び他の用語の意味は、当業者には文脈から明らかであろう。
本発明がより容易に理解され得るように、特定の用語を以下に最初に定義する。以下の用語及び他の用語の更なる定義は、本明細書全体にわたって記載されている。
投与:本明細書で使用するとき、用語「投与」は、対象又は系(例えば、細胞、器官、組織、生物体、又はそれらの関連する構成要素若しくは構成要素のセット)に対する組成物の投与を指す。当業者は、投与経路が、例えば、組成物が投与される対象又は系、組成物の性質、投与の目的などに応じて変化し得ることを理解するであろう。例えば、特定の実施形態では、動物対象(例えば、ヒト)に対する投与は、気管支内(気管支点滴によるものを含む)、口腔内、腸内、真皮内、動脈内、皮内、胃内、肝内、髄内、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、髄腔内、腫瘍内、静脈内、脳室内、粘膜内、経鼻、経口、直腸内、皮下、舌下、局所、気管内(気管内点滴によるものを含む)、経皮、膣内、及び/又は硝子体内であってもよい。いくつかの実施形態では、投与は、断続的な投与を伴ってもよい。いくつかの実施形態では、投与は、少なくとも選択された期間の連続的な投与(例えば、潅流)を伴ってもよい。
親和性:当該技術分野において既知であるように、「親和性」は、特定のリガンドがそのパートナーに結合する密着性の尺度である。親和性は、様々な方法で測定することができる。いくつかの実施形態では、親和性は、定量的アッセイによって測定される。いくつかのかかる実施形態では、結合パートナー濃度は、生理学的条件を模倣するように、リガンド濃度を超過して固定されてもよい。代替的に又は追加的に、いくつかの実施形態では、結合パートナー濃度及び/又はリガンド濃度を変化させてもよい。いくつかのかかる実施形態では、親和性は、同等の条件下(例えば、濃度)で基準と比較されてもよい。
親和性成熟(又は親和性成熟抗体):本明細書で使用するとき、1つ以上のそのCDR(又はいくつかの実施形態では、フレームワーク領域)において1つ以上の改変を有する抗体を指し、その改変は、それらの改変を有していない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性の改善をもたらす。いくつかの実施形態では、親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル濃度又は更にはピコモル濃度での親和性を有するであろう。親和性成熟抗体は、当該技術分野において既知の様々な手順のいずれかによって生成されてもよい。Marks et al.,1992,BioTechnology 10:779-783は、VH及びVLドメイン・シャフリングによる親和性成熟について記載している。CDR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、Barbas et al.,1994,Proc.Nat.Acad.Sci.,U.S.A.91:3809-3813、Schier et al.,1995,Gene 169:147-155、Yelton et al.,1995.J.Immunol.155:1994-2004、Jackson et al.,1995,J.Immunol.154(7):3310-9、及びHawkins et al.,1992,J.Mol.Biol.226:889-896により記載されている。結合特性が改善された結合剤の選択は、Thie et al.,2009,Methods Mol.Bio.525:309-22により記載されている。
薬剤:本明細書で使用するとき、例えば、ポリペプチド、核酸、糖類、脂質、小分子、金属、又はそれらの組み合わせを含む、任意の化学的分類の化合物又は実体を指し得る。いくつかの実施形態では、薬剤は、自然界に存在する、かつ/又は自然界から得られるという点で、天然産物であるか、又はその天然産物を含むものである。いくつかの実施形態では、薬剤は、人の手の作用を介して設計、操作、及び/若しくは製造されている、かつ/又は自然界には存在しないという点で、人工である1つ以上の実体であるか、又はその実体含むものである。いくつかの実施形態では、薬剤は、単離された形態又は純粋な形態で利用されてもよく、いくつかの実施形態では、薬剤は、粗製形態で利用されてもよい。いくつかの実施形態では、潜在的な薬剤は、例えば、薬剤の中の活性剤を特定又は特徴付けするためにスクリーニングされ得るコレクション又はライブラリとして提供される。本発明に従って利用され得る薬剤のいくつかの特定の実施形態には、小分子、抗体、アプタマー、核酸(例えば、siRNA、shRNA、DNA/RNAハイブリッド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム)、ペプチド、ペプチド模倣物などが挙げられる。いくつかの実施形態では、薬剤は、ポリマーであるか、又はポリマーを含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、ポリマーではなく、かつ/又はいなかるポリマーも実質的に含まない。いくつかの実施形態では、薬剤は、少なくとも1つのポリマー部分を含有する。いくつかの実施形態では、薬剤は、いかなるポリマー部分も欠いているか、又は実質的に含まない。
アミノ酸:本明細書で使用するとき、用語「アミノ酸」は、その最も広い意味で、ポリペプチド鎖に組み込むことができる任意の化合物及び/又は物質を指す。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、一般構造H2N-C(H)(R)-COOHを有する。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸である。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、合成アミノ酸であり、いくつかの実施形態では、アミノ酸は、d-アミノ酸であり、いくつかの実施形態では、アミノ酸は、l-アミノ酸である。「標準アミノ酸」は、天然に存在するペプチド中に一般に見出される20種の標準的なl-アミノ酸のうちのいずれかを指す。「非標準アミノ酸」は、合成的に調製されるか、又は天然源から得られるかにかかわらず、標準アミノ酸以外の任意のアミノ酸を指す。本明細書で使用するとき、「合成アミノ酸」は、塩、アミノ酸誘導体(アミドなど)、及び/又は置換体を含むがこれらに限定されない、化学修飾アミノ酸を包含する。アミノ酸は、ペプチド中のカルボキシ末端アミノ酸及び/又はアミノ末端アミノ酸を含め、メチル化、アミド化、アセチル化、保護基、及び/又はペプチドの活性に悪影響を及ぼすことなくペプチドの循環半減期を変化させることができる他の化学基による置換によって修飾することができる。アミノ酸は、ジスルフィド結合に関与していてもよい。アミノ酸は、例えば、1つ以上の化学実体(例えば、メチル基、アセテート基、アセチル基、リン酸基、ホルミル部分、イソプレノイド基、硫酸基、ポリエチレングリコール部分、脂質部分、炭水化物部分、ビオチン部分など)との会合など、1つ又は翻訳後修飾を含んでいてもよい。用語「アミノ酸」は、「アミノ酸残基」と互換的に使用され、遊離アミノ酸及び/又はペプチドのアミノ酸残基を指す場合もある。アミノ酸が遊離アミノ酸を指すのか、又はペプチドの残基を指すのかは、この用語が用いられる文脈から明らかであろう。
動物:本明細書で使用するとき、動物界の任意のメンバーを指す。いくつかの実施形態では、「動物」は、いずれかの性別、及び任意の発達段階の、ヒトを指す。いくつかの実施形態では、「動物」は、任意の発達段階の非ヒト動物を指す。特定の実施形態では、非ヒト動物は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウシ、シカ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ、又はサル)である。いくつかの実施形態では、動物には、哺乳動物、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、昆虫、及び/又は蠕虫が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、動物は、トランスジェニック動物、遺伝子操作された動物、及び/又はクローンであってもよい。
抗体部分:本明細書で使用するとき、この用語は、完全長抗体及びその抗原結合フラグメントを包含する。完全長抗体は、2本の重鎖及び2本の軽鎖を含む。軽鎖及び重鎖の可変領域は、抗原結合に関与する。両方の鎖内の可変領域は、一般に、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる3つの超可変のループ(LC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む軽鎖(LC)CDR、HC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む重鎖(HC)CDR)を含有する。本明細書に開示される抗体及び抗原結合フラグメントのCDR境界は、Kabat、Chothia、又はAl-Lazikani(Al-Lazikani 1997、Chothia 1985、Chothia 1987、Chothia 1989、Kabat 1987、Kabat 1991)の慣例によって定義又は特定されてもよい。重鎖又は軽鎖の3つのCDRは、フレームワーク領域(FR)として知られるフランキングストレッチの間に介在し、フレームワーク領域は、CDRよりも高度に保存され、超可変ループを支持するスキャフォールドを形成する。重鎖及び軽鎖の定常領域は、抗原結合に関与しないが、様々なエフェクタ機能を示す。抗体は、その抗体の重鎖の定常領域のアミノ酸配列に基づいて、クラスに割り当てられる。抗体の5つの主要なクラス又はアイソタイプは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμ重鎖の存在によって特徴付けられる、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMである。主要な抗体クラスのいくつかは、lgG1(γ1重鎖)、lgG2(γ2重鎖)、lgG3(γ3重鎖)、lgG4(γ4重鎖)、lgA1(α1重鎖)、又はlgA2(α2重鎖)などのサブクラスに分類される。
抗原結合フラグメント又は抗原結合部分:本明細書で使用するとき、用語「抗原結合フラグメント」又は「抗原結合部分」は、例えば、ダイアボディ、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvフラグメント、ジスルフィド安定化Fvフラグメント(dsFv)、(dsFv)2、二重特異性dsFv(dsFv-dsFv’)、ジスルフィド安定化ダイアボディ(dsダイアボディ)、一本鎖Fv(scFv)、scFv二量体(二価ダイアボディ)、1つ以上のCDRを含む抗体の一部分から形成される多重特異性抗体、ラクダ化単一ドメイン抗体、ナノボディ、ドメイン抗体、二価ドメイン抗体、又は抗原に結合するが完全な抗体構造を含まない任意の他の抗体フラグメントを含む、抗体フラグメントを指す。抗原結合フラグメントは、親抗体又は親抗体フラグメント(例えば、親scFv)が結合する同じ抗原に結合することができる。いくつかの実施形態では、抗原結合フラグメントは、1つ以上の異なるヒト抗体からフレームワーク領域に移植された特定のヒト抗体由来の1つ以上のCDRを含んでいてもよい。
生物活性:本明細書で使用するとき、対象の薬剤又は実体によって得られる観察可能な生物学的効果又は結果を指す。例えば、いくつかの実施形態では、特異的結合相互作用は、生物活性である。いくつかの実施形態では、生物学的経路又は事象の調節(例えば、誘導、増強、又は阻害)は、生物活性である。いくつかの実施形態では、生物活性の存在又は規模は、対象の生物学的経路又は事象によって生成される直接的又は間接的産物の検出によって評価される。
二重特異性抗体:本明細書で使用するとき、結合部分のうちの少なくとも1つ、典型的には両方が、抗体部分であるか又は抗体部分を含む、二重特異性結合剤を指す。様々な異なる二重特異性抗体の構造は、当該技術分野において既知である。いくつかの実施形態では、抗体部分であるか又は抗体部分を含む二重特異性抗体におけるそれぞれの結合部分は、VH及び/又はVL領域を含み、いくつかのかかる実施形態では、VH領域及び/又はVL領域は、特定のモノクローナル抗体に見出されるものである。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体が2つの抗体部分を含有する場合には、抗体部分はそれぞれ、異なるモノクローナル抗体由来のVH領域及び/又はVL領域を含む。
本明細書で使用するとき、用語「二重特異性抗体」はまた、2つの別個の結合部分を有するポリペプチドを指し、結合部分はそれぞれ、別個の標的に結合する。いくつかの実施形態では、二重特異性結合抗体は、単一のポリペプチドであり、いくつかの実施形態では、二重特異性結合抗体は、いくつかのかかる実施形態では、例えば、架橋によって互いに共有会合し得る、複数のペプチドであるか、又は複数のペプチドを含むものである。いくつかの実施形態では、二重特異性結合抗体の2つの結合部分は、同じ標的(例えば、抗原)の異なる部位(例えば、エピトープ)を認識し、いくつかの実施形態では、異なる標的を認識する。いくつかの実施形態では、二重特異性結合抗体は、異なる構造である2つの標的に同時に結合することができる。
担体:本明細書で使用するとき、組成物とともに投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、又はビヒクルを指す。いくつかの例示的な実施形態では、担体は、例えば、水及び油などの滅菌された液体を含むことができ、油には、石油、動物、植物、又は合成を起源とする油が挙げられ、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油などがある。いくつかの実施形態では、担体は、1種類以上の固体成分であるか、又は1種類以上の個体成分を含むものである。
CDR:本明細書で使用するとき、用語「CDR」又は「相補性決定領域」は、重鎖ポリペプチド及び軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見出される非隣接抗原結合部位を意味することが意図される。重鎖及び軽鎖の可変領域のそれぞれには、3つのCDRが存在し、これらは、可変領域のそれぞれについて指定されたCDR1、CDR2、及びCDR3である。「CDRのセット」又は「CDRセット」は、抗原に結合することができる単一の可変領域のいずれかに存在する3つ又は6つのCDR、又は抗原に結合することができる同種の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のCDRの群を指す。これらの特定の領域は、Kabat et al.,J.Biol.Chem.252:6609-6616(1977)、Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,「Sequences of proteins of immunological interest」(1991)、Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)、Al-Lazikani B.et al.,J.Mol.Biol.,273:927-948(1997)、MacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996)、Abhinandan and Martin,Mol.Immunol.,45:3832-3839(2008)、Lefranc M.P.et al.,Dev.Comp.Immunol.,27:55-77(2003)、及びHonegger and Pluckthun,J.Mol.Biol.,309:657-670(2001)により記載されており、ここで定義は、互いに比較される場合、アミノ酸残基の重複又はサブセットを含む。それにもかかわらず、抗体若しくは移植された抗体又はその変異体のCDRを指すためのいずれかの定義の適用は、本明細書で定義及び使用される用語の範囲内であることが意図される。先に引用された参考資料のそれぞれに定義されるCDRを包含するアミノ酸残基を、比較として、以下の表1に示す。CDR予測アルゴリズム及びインターフェースは、当該技術分野において既知であり、例えば、Abhinandan and Martin,Mol.Immunol.,45:3832-3839(2008)、Ehrenmann F.et al.,Nucleic Acids Res.,38:D301-D307(2010)、及びAdolf-Bryfogle J.et al.,Nucleic Acids Res.,43:D432-D438(2015)が挙げられる。本段落で引用される参考文献の内容は、本発明で使用するために、かつ本明細書の1つ以上の請求項における可能な包含のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
1残基の付番は、上記Kabat et al.の命名法に従う。
2残基の付番は、上記Chothia et al.の命名法に従う。
3残基の付番は、上記MacCallum et al.の命名法に従う。
4残基の付番は、上記Lefranc et al.の命名法に従う。
5残基の付番は、上記Honegger and Pluckthunの命名法に従う。
表面抗原分類22又はCD22:本明細書で使用するとき、特記のない限り、霊長類(例えば、ヒト、カニクイザル(cyno))及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然のCD22を指す。この用語は、「完全長」の未処理のCD22、及び細胞における処理から生じる任意の形態のCD22を包含する。この用語はまた、CD22の天然に存在する変異体、例えば、スプライス変異体、対立遺伝子変異体、及びアイソフォームも包含する。CD22の主要なアイソフォーム(CD22β)は、細胞外ドメインに、847個のアミノ酸及び7つの免疫グロブリン様領域を含む(Wilson,G.L.et al.,J.Exp.Med.173:137-146(1991)を参照されたい)。マイナーなアイソフォームであるCD22αは、細胞外ドメインに、647個のアミノ酸を含み、免疫グロブリン様ドメイン3及び4を欠いている(Stamenkovic,I.and Seed,B.,Nature 345:74-77(1990))及び上記Wilson et al.(1991)を参照されたい)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD22構築物は、CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に結合する。
CD22過剰発現によって特徴付けられる疾患:本明細書で使用するとき、細胞表面上でCD22を過剰発現する細胞によって特徴付けられるか、又は引き起こされる、疾患又は障害を指す。いくつかの実施形態では、CD22過剰発現によって特徴付けられる疾患又は障害は、CD22+B細胞悪性腫瘍である。
CD22+B細胞悪性腫瘍:本明細書で使用するとき、細胞表面上でCD22を過剰発現するB細胞によって特徴付けられるか、又は引き起こされる、疾患又は障害を指す。いくつかの実施形態では、CD22+B細胞悪性腫瘍は、B細胞リンパ腫又はB細胞白血病である。
キメラ抗原受容体(CAR):一本鎖可変フラグメント(scFv)を含む本発明の構築物は、キメラ抗原受容体の調製に使用されてもよく、その調製及び使用は、当該技術分野において一般的に知られている。キメラ抗原受容体(CAR)は、細胞外抗原結合ドメインの一部として一本鎖可変フラグメント(scFv)を含有する人為的に構築されたハイブリッド一本鎖タンパク質又は一本鎖ポリペプチドであり、膜貫通ドメイン(例えば、TCR膜貫通ドメイン)に連結され、この膜貫通ドメインは、細胞内免疫細胞(例えば、T細胞又はNK細胞)シグナル伝達ドメイン(例えば、共刺激ドメイン、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどの細胞内ドメインの一部、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、又はCD66dの細胞内ドメインの一部、CD3ζの細胞内ドメインの一部)に更に連結されている。CARの特性としては、MHC制限(TCR模倣抗体の場合)様式又は非MHC制限(細胞表面タンパク質に対する抗体の場合)様式のいずれかによって、選択された標的に向けて免疫細胞(例えば、T細胞又はNK細胞)の特異性及び反応性を再指向して、モノクローナル抗体の抗原結合特性を利用する能力が挙げられる。非MHC制限抗原認識は、CARを発現する免疫細胞(例えば、T細胞又はNK細胞)に対して、抗原プロセシングに依存しない抗原を認識する能力を与えるため、腫瘍エスケープの主要なメカニズムを回避する。
現在、3世代のCARが存在する。「第1世代」CARは、典型的には、T細胞受容体(TCR)鎖の細胞質/細胞内ドメインに融合された膜貫通ドメインに融合された抗原結合ドメインとしてscFvから構成される一本鎖ポリペプチドである。「第1世代」CARは、典型的には、内在性TCRからのシグナルの主要な伝達物質であるCD3ζ鎖由来の細胞内ドメインを有する。「第1世代」CARは、de novo抗原認識を提供し、HLA媒介性抗原提示に依存しない、単一の融合分子におけるそのCD3ζ鎖シグナル伝達ドメインを介して、CD4+及びCD8+T細胞の両方の活性化を引き起こすことができる。
「第2世代」CARは、様々な共刺激分子(例えば、CD28、4-1BB、ICOS、OX40)由来の細胞内ドメインを、CARの細胞質テールに付加して、T細胞に追加的なシグナルを提供する。「第2世代」CARは、共刺激(例えば、CD28又は4-IBB)及び活性化(例えば、CD3ζ)の両方を提供するものを含む。前臨床研究によって、「第2世代」CARがT細胞の抗腫瘍活性を改善し得ることが示された。例えば、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)及び急性リンパ芽球性白血病(ALL)を有する患者におけるCD19分子を標的とする臨床試験において、「第2世代」CARによって修飾されたT細胞の頑強な有効性が実証された。
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される遺伝子操作された免疫細胞は、「第3世代」CARを発現する。「第3世代」CARは、複数の共刺激(例えば、CD28及び4-1BB)及び活性化(例えば、CD3ζ)を提供するものを含む。
キメラ抗体-T細胞受容体構築物又はcaTCR:本明細書で使用するとき、この用語は、2本の別個のポリペプチド鎖を含む機能性ポリペプチド複合体を指し、2本の別個のポリペプチド鎖のうちの一方は、抗体重鎖可変領域(VH)及び抗体重鎖定常領域(CH)を含み、他方は、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体軽鎖定常領域(CL)を含む。したがって、本明細書で定義されるcaTCRは、2サブユニット構築物であり、各サブユニットは、膜貫通ドメイン(例えば、TCR膜貫通ドメイン)及び細胞内免疫細胞シグナル伝達ドメインに融合された、細胞膜に固定された抗体重鎖又は軽鎖に実質的に類似している。いくつかの実施形態では、caTCRは、共刺激ドメイン(例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε、又はCD3ζの細胞内ドメインの一部)を含まない。いくつかの実施形態では、caTCRは、a)抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含む。いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRは、a)CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に特異的に結合する抗CD22抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含む。
本明細書で定義されるcaTCRは、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖を含み、第1のポリペプチド鎖は、膜貫通ドメイン及び細胞内免疫細胞シグナル伝達ドメインに融合された抗体CHに融合された抗体VHを含み、第2のポリペプチドは、膜貫通ドメイン及び細胞内免疫細胞シグナル伝達ドメインに融合された抗体CLに融合された抗体VLを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、共有結合(例えば、ペプチド結合又は他の化学結合)又は非共有結合によって連結されている。いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRは、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖を含むヘテロ二量体である。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって連結されている。抗CD22 caTCRの特異性は、CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に対する結合特異性を付与する抗体部分に由来する。
用語「キメラ抗体-T細胞受容体(caTCR)」及び「抗体-TCRキメラ分子又は構築物(abTCR)」は、交換可能に使用される。caTCRの更なる説明及び例は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2017年4月26日出願の米国特許出願第62/490,576号に見出すことができる。
養子細胞療法:養子細胞療法は、例えば、癌の治療のための、免疫細胞(例えば、NK細胞又はT細胞)の単離、エクスビボ増殖及び/又は操作、並びにその後のこれらの細胞の患者への投与を典型的に含む、治療的アプローチである。投与された細胞は、自家性であってもよいか、又は同種異系であってもよい。細胞は、例えば、RNA及びDNAトランスフェクション、ウイルス形質導入、エレクトロポレーション(これらは全て、当該技術分野において既知の技術である)の使用を含む、既知の方法のいずれか1つにおいて遺伝子操作された受容体(CAR、caTCR、及び遺伝子操作されたTCRを含む)を発現するように操作されてもよい。
用語「養子細胞治療組成物」は、養子細胞移入に好適な細胞を含む任意の組成物を指す。例示的な実施形態では、養子細胞治療組成物は、腫瘍浸潤リンパ球(tumor infiltrating lymphocyte、TIL)、TCR(すなわち、非相同T細胞受容体)修飾されたリンパ球(例えば、eTCR T細胞及びcaTCR T細胞)、及びCAR(すなわち、キメラ抗原受容体)修飾されたリンパ球(例えば、CAR T細胞)からなる群から選択される細胞型を含む。別の実施形態では、養子細胞治療組成物は、T細胞、CD8+細胞、CD4+細胞、NK細胞、δγT細胞、制御性T細胞、及び末梢血単核細胞からなる群から選択される細胞型を含む。別の実施形態では、TIL、T細胞、CD8+細胞、CD4+細胞、NK細胞、δγT細胞、制御性T細胞、又は末梢血単核細胞は、養子細胞治療組成物を形成する。一実施形態では、養子細胞治療組成物は、T細胞を含む。
いくつかの実施形態では、細胞内で発現される抗CD22構築物は、CAR(例えば、上述の「第1世代」、「第2世代」、又は「第3世代」CAR)である。本開示の主題によると、本明細書で提供される遺伝子操作された免疫細胞のCARは、細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内ドメインを含む。
いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、caTCRである。上記で定義したように、caTCRは、2サブユニット構築物であり、それぞれのサブユニットは、膜貫通ドメイン(例えば、TCR膜貫通ドメイン)に融合された、細胞膜に固定された抗体重鎖又は軽鎖に実質的に類似している。いくつかの実施形態では、caTCRは、免疫細胞シグナル伝達ドメイン(例えば、共刺激ドメイン)を含まない。いくつかの実施形態では、caTCR自体は、TCR関連シグナル伝達分子(CD3δε、CD3γε、及び/又はCD3ζなど)を含まず、少なくとも、機能性ではなく、又はその機能的フラグメントでもない。いくつかの実施形態では、caTCRは、抗原特異性を提供する抗原結合モジュール(すなわち、細胞外抗原結合ドメイン)と、CD3動員及びシグナル伝達を可能にするT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含む。抗原結合モジュール(すなわち、細胞外抗原結合ドメイン)は、天然に存在するT細胞受容体抗原結合部分ではない。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュール(すなわち、細胞外抗原結合ドメイン)は、TCRM中のポリペプチド鎖のアミノ末端に連結されている。いくつかの実施形態では、抗原結合モジュール(すなわち、細胞外抗原結合ドメイン)は、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は一本鎖Fv(scFv)である。TCRMは、αβTCR及び/又はγδTCRなどの1つ以上のTCR(TCR-TM)の膜貫通ドメインに由来する膜貫通モジュールを含み、任意選択的に、TCRの結合ペプチド若しくはそのフラグメント、及び/又は1つ以上のTCR細胞内ドメイン若しくはそのフラグメントのうちの一方又は両方を更に含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、2本のポリペプチド鎖を含み、それぞれのポリペプチド鎖は、アミノ末端からカルボキシ末端へと、結合ペプチド、膜貫通ドメイン、及び任意選択的にTCR細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、1つ以上の天然に存在しないTCRドメインを含む。例えば、いくつかの実施形態では、TCRMは、1つ又は2つの天然に存在しないTCR膜貫通ドメインを含む。天然に存在しないTCRドメインは、1つ以上のアミノ酸の置換によって、及び/又は対応するドメインの一部を別のTCR由来の類似ドメインの一部で代替することによって修飾された、天然に存在するTCRの対応するドメインであり得る。caTCRは、第1及び第2のポリペプチド鎖を含むことができ、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖は共に、抗原結合モジュール及びTCRMを形成する。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、別個のポリペプチド鎖であり、caTCRは、二量体などの多量体である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、ペプチド結合によって、又はジスルフィド結合などの別の化学結合によって、共有結合されている。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって連結されている。いくつかの実施形態では、caTCRは、1つ以上のT細胞共刺激シグナル伝達配列を更に含む。caTCRの例は、例えば、国際公開第2017/070608号、及び2017年4月26日出願の米国特許仮出願第62/490,576号に記載されており、これらは共に参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
同等の:本明細書で使用するとき、互いに同一ではないが、それらを比較するには充分な類似性があり、それによって、観察された差異又は類似性に基づき合理的に結論を下すことができる、2つ以上の薬剤、実体、状況、条件のセットなどを指す。いくつかの実施形態では、条件、状況、個体、又は集団の同等のセットは、複数の実質的に同一の特徴及び1つ又は少数の異なる特徴によって特徴付けられる。当業者であれば、文脈において、2つ以上のかかる薬剤、実体、状況、条件のセットなどが、任意の所与の環境下で同等と見なされるためにはどの程度の同一性が必要とされるかを理解するであろう。例えば、当業者であれば、異なる状況、個体、若しくは集団のセットの下で、又はそれらによって得られた結果若しくは観察された事象の差異が、異なるそれらの特徴の変動によって引き起されるか、又はその変動を示唆するという合理的な結論を保証するのに十分な数及びタイプの実質的に同一の特徴によって特徴付けられる場合、状況、個体、又は集団のセットが互いに同等であることを認識するであろう。
対照:本明細書で使用するとき、それに対し結果が比較される標準である「対照」の当該技術分野において理解されている意味を指す。典型的には、対照を使用して、変数を単離し、かかる変数に関する結論を出すことにより、実験における完全性を増補する。いくつかの実施形態では、対照は、比較物を提供するために、試験反応又はアッセイと同時に行われる反応又はアッセイである。本明細書で使用するとき、「対照」は、「対照抗体」を指す場合もある。「対照抗体」は、本明細書に記載されるヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、CDR移植抗体、多重特異性抗体、若しくは二重特異性抗体、本明細書に記載されるものとは異なる抗体、又は親抗体であってもよい。1つの実験では、「試験」(すなわち、試験される変数)が適用される。第2の実験では、「対照」である、試験される変数は適用されない。いくつかの実施形態では、対照は、既存対照(すなわち、以前に行われた試験若しくはアッセイのもの、又は既に知られている量若しくは結果)である。いくつかの実施形態では、対照は、印刷された記録又は他の方法で保存された記録であるか、又はその記録を含む。対照は、陽性対照であってもよいか、又は陰性対照であってもよい。
~に対応する:本明細書で使用するとき、対象のポリペプチド中のアミノ酸残基の位置/同一性を示す。当業者であれば、簡潔さのために、ポリペプチド中の残基は多くの場合、ポリペプチドに関した基準に基づいて正準番号付けシステムを使用して指定され、それによって、例えば、190位の残基に「対応する」アミノ酸は、実際には特定のアミノ酸鎖中の190番目のアミノ酸である必要はなく、むしろ基準ポリペプチド中の190番目に存在する残基に対応することを認識するであろう。当業者は、「対応する」アミノ酸を特定する方法を容易に理解するであろう。
検出実体/検出剤:本明細書で使用するとき、検出可能な任意の要素、分子、官能基、化合物、フラグメント、又は部分を指す。いくつかの実施形態では、検出実体は、単独で提供又は利用される。いくつかの実施形態では、検出実体は、別の薬剤と会合して(例えば、結合されて)提供され、かつ/又は利用される。検出実体の例としては、様々なリガンド、放射性核種(例えば、3H、14C、18F、19F、32P、35S、135I、125I、123I、64Cu、187Re、111In、90Y、99mTc、177Lu、89Zrなど)、蛍光色素(特定の例示的な蛍光色素については、以下を参照されたい)、化学発光剤(例えば、アクリジニウムエステル、安定化ジオキセタンなど)、生物発光剤、スペクトル分解可能無機蛍光半導体ナノ結晶(すなわち、量子ドット)、金属ナノ粒子(例えば、金、銀、銅、白金など)ナノクラスター、常磁性金属イオン、酵素(酵素の具体例については、以下を参照されたい)、比色標識(例えば、色素、コロイド金など)、ビオチン、ジオキシゲニン、ハプテン、及び抗血清又はモノクローナル抗体が利用可能なタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
エフェクタ機能:本明細書で使用するとき、抗体Fc領域とFc受容体又はリガンドとの相互作用から生じる生化学的事象を指す。エフェクタ機能には、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞介在性貪食(ADCP)、及び補体介在性細胞傷害(CMC)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、エフェクタ機能は、抗原の結合後に作動するもの、抗原結合とは無関係に作動するもの、又はその両方である。
エフェクタ細胞:本明細書で使用するとき、1つ以上のエフェクタ機能を媒介する免疫系の細胞を指す。いくつかの実施形態では、エフェクタ細胞には、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、好酸球、肥満細胞、血小板、大型顆粒リンパ球、ランゲルハンス細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、Tリンパ球、Bリンパ球のうちの1つ以上を含んでもよいが、これらに限定されず、また、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、及びサルを含むが、これらに限定されない、任意の生物に由来し得る。
遺伝子操作された:本明細書で使用するとき、一般に、人の手によって操作された態様を指す。例えば、いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、自然にはその順序で共に連結されていない2つ以上の配列が、人の手によって操作され、遺伝子操作されたポリヌクレオチド中では互いに直接連結されている場合、「遺伝子操作された」と見なされ得る。いくつかの特定のこのような実施形態では、遺伝子操作されたポリヌクレオチドは、自然界において、第1のコード配列と操作的に関連して存在しているが、第2のコード配列とは操作的に関連して存在しておらず、人の手によって連結され、それによって、第2のコード配列とも操作的に関連させた、調節配列を含んでいてもよい。代替的に又は追加的に、いくつかの実施形態では、自然界では互いに連結していないポリペプチド要素又はドメインをそれぞれコードする第1及び第2の核酸配列は、単一の遺伝子操作されたポリヌクレオチド中では互いに連結されていてもよい。同様に、いくつかの実施形態では、細胞又は生物は、その遺伝子情報が変更されるように操作されている(例えば、以前には存在していなかった新たな遺伝物質が導入された、あるいは以前には存在していた遺伝物質が変更された又は除去された)場合には、「遺伝子操作された」と見なされ得る。一般的な方法であり、当業者に理解されているように、遺伝子操作されたポリヌクレオチド又は細胞の子孫は、実際の操作が従来の実体に対して行われたものだとしても、典型的には依然として「遺伝子操作された」と呼称される。更に、当業者には理解されるように、様々な技法が利用可能であり、それを介して、本明細書に記載される「遺伝子操作」が達成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、「遺伝子操作」は、分析又は比較を実施するようにプログラムされた、あるいは別の方法で配列、改変などを分析、推奨、及び/又は選択するようにプログラムされたコンピュータシステムの使用を介した(例えば、核酸配列、ポリペプチド配列、細胞、組織、及び/又は生物の)選択又は設計を含んでいてもよい。)。代替的に又は追加的に、いくつかの実施形態では、「遺伝子操作」は、インビトロ化学合成法、及び/又は、例えば、核酸増幅(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を介したものなど)ハイブリダイゼーション、突然変異誘発、形質転換、トランスフェクションなどの組み換え核酸法、及び/又は様々な制御された交配法のうちのいずれかの使用を伴ってもよい。当業者には理解されるように、様々な確立されたそのような技術(例えば、組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、並びに組織培養及び形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクションなど)は、当該技術分野において周知であり、それらは本明細書全体をとおして引用及び/又は考察される様々な一般的かつより具体的な参照文献において記載されている。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)を参照されたい。
エピトープ:本明細書で使用するとき、免疫グロブリン(例えば、抗体又は受容体)結合成分によって特異的に認識される任意の部分を含む。いくつかの実施形態では、エピトープは、抗原上の複数の化学的原子又は基から構成されている。いくつかの実施形態では、このような化学的原子又は基は、抗原が関連する三次元構造をとるときに表面露出される。いくつかの実施形態では、このような化学的原子又は基は、抗原がそのような立体構造をとるとき、空間内で互いに物理的に近接している。いくつかの実施形態では、少なくともいくつかのこのような化学的原子は、基は、抗原が代替的な立体構造(例えば、直線化)をとるとき、互いに物理的に離れている。本発明のいくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD22構築物は、配列番号205の配列の少なくとも7個のアミノ酸(例えば、配列番号205の配列の少なくとも7個の連続するアミノ酸)を含むエピトープに結合する。本明細書に記載の抗CD22構築物は、配列番号205の配列の7~50個のアミノ酸(例えば、7~50個の連続するアミノ酸)、例えば、配列番号205の配列の7~45個、7~7~40個、7~35個、7~30個、7~25個、7~20個、7~15個、7~10個、10~50個、15~50個、20~50個、25~50個、30~50個、35~50個、40~50個、45~50個、10~45個、15~40個、20~35個、又は25~30個のアミノ酸を含むエピトープに結合してもよい。
賦形剤:本明細書で使用するとき、例えば、所望の粘稠度又は安定化効果を提供又は付与するために医薬組成物に含まれ得る非治療薬を指す。好適な医薬賦形剤としては、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、滑石、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。
発現カセット:本明細書で使用するとき、宿主細胞に導入されると、RNA又はポリペプチドの転写及び/又は翻訳をそれぞれもたらす核酸構築物を指す。
非相同:本明細書で使用するとき、宿主細胞又は宿主生物において天然に存在しないポリヌクレオチド又はポリペプチドを指す。非相同ポリヌクレオチド又はポリペプチドは、周知の組み換え方法を用いて、例えば、プロモータに任意選択的に連結された非相同ポリヌクレオチドを含む発現カセットを使用して、宿主細胞又は宿主生物に導入されてもよい。
フレームワーク又はフレームワーク領域:本明細書で使用するとき、CDRを除いた、可変領域の配列を指す。CDR配列は、異なるシステムによって決定され得るため、同様にフレームワーク配列もそれに応じて異なる解釈を受ける。6つのCDRは、重鎖及び軽鎖上のフレームワーク領域を、それぞれの鎖上の4つのサブ領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)に分割し、ここでCDR1は、FR1とFR2との間、CDR2は、FR2とFR3との間、CDR3は、FR3とFR4との間に位置する。特定のサブ領域をFR1、FR2、FR3、又はFR4として指定することなくとも、他で言及されているように、フレームワーク領域とは、単一の天然に存在する免疫グロブリン鎖の可変領域内の混合FRを表す。本明細書で使用するとき、FRは、4つのサブ領域のうちの1つを表しており、例えば、FR1は、可変領域のアミノ末端に最も近く、かつCDR1に関しては5’である、第1のフレームワーク領域を表し、複数形FRsは、フレームワーク領域を構成するサブ領域のうちの2つ以上を表す。
宿主細胞:本明細書で使用するとき、外因性DNAが(組み換え又は他の方法で)導入された細胞を指す。本開示を読んだ当業者であれば、そのような用語が、特定の対象の細胞だけではなく、そのような細胞の子孫も指すことを理解するであろう。突然変異誘発又は環境の影響のいずれかにより後の世代においてある種の改変が生じ得るため、そのような子孫は、実際には、親細胞と同一でない場合もあるが、本明細書で使用するときは依然として、用語「宿主細胞」の範囲内に含まれる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、外因性DNA(例えば、組み換え核酸配列)を発現するのに好適な、生命界のいずれかから選択される原核細胞及び真核細胞を含む。例示的な細胞としては、原核生物及び真核生物(単細胞又は多細胞)の細胞、細菌細胞(例えば、E.coli、Bacillus spp.、Streptomyces spp.などの株)、マイコバクテリア細胞、真菌細胞、酵母細胞(例えば、S.cerevisiae、S.pombe、P.pastoris、P.methanolicaなど)、植物細胞、昆虫細胞(例えば、SF-9、SF-21、バキュロウイルス感染昆虫細胞、Trichoplusia niなど)、非ヒト動物細胞、ヒト細胞、又は、例えば、ハイブリドーマ若しくはクアドローマなどの細胞融合体が挙げられる。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、ヒト、サル、類人猿、ハムスター、ラット、又はマウスの細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、真核細胞であり、以下の細胞から選択される:CHO(例えば、CHO Kl、DXB-1 1 CHO、Veggie-CHO)、COS(例えば、COS-7)、網膜細胞、Vero、CV1、腎臓(例えば、HEK293、293 EBNA、MSR 293、MDCK、HaK、BHK)、HeLa、HepG2、WI38、MRC 5、Colo205、HB 8065、HL-60、(例えば、BHK21)、Jurkat、Daudi、A431(表皮)、CV-1、U937、3T3、L細胞、C127細胞、SP2/0、NS-0、MMT 060562、セルトリ細胞、BRL 3 A細胞、HT1080細胞、骨髄腫細胞、腫瘍細胞、及び前述の細胞由来の細胞株。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、1つ以上のウイルス遺伝子、例えば、ウイルス遺伝子を発現する網膜細胞(例えば、PER.C6(商標)細胞)を含む。
ヒト抗体:本明細書で使用するとき、ヒト免疫グロブリン配列から生成される(又はアセンブルされる)可変領域及び定常領域を有する抗体を含むことが意図される。いくつかの実施形態では、抗体(又は抗体部分)は、例えば、1つ以上のCDR、特にCDR3において、それらのアミノ酸配列がヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によりコードされていない残基又は要素を含む(例えば、インビトロの無作為若しくは部位特異的な突然変異誘発、又はインビボの体細胞突然変異により(元々)導入されていたであろう配列変異を含む)場合であっても、「ヒト」であると見なされる場合がある。ヒト抗体、ヒト抗体部分、及びそれらのフラグメントは、ヒト免疫細胞から単離されてもよいか、又は組み換え的に若しくは合成的(半合成的を含む)に生成されてもよい。
ヒト化:当該技術分野において既知であるように、用語「ヒト化」は、そのアミノ酸配列が、非ヒト種(例えば、マウス)において産生された参照抗体に由来するVH及びVL領域配列を含むだけではなく、それら配列中に、より「ヒト様」、すなわち、ヒト生殖細胞系列可変配列とより類似させることを意図した参照抗体に対する改変もまた含む、抗体(又は部分)を指すために一般的に使用される。いくつかの実施形態では、「ヒト化」抗体(又は抗体部分)は、対象の抗原に免疫特異的に結合し、実質的にヒト抗体のアミノ酸配列と同様のアミノ酸配列を有するフレームワーク(FR)領域と、実質的に非ヒト抗体のアミノ酸配列と同様のアミノ酸配列を有する相補性決定領域(CDR)と、を有するものである。ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインのうちの実質的に全て(Fab、Fab’、F(ab’)2、FabC、Fv)を含み、それらにおいて、CDR領域の全て又は実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリン(すなわち、ドナー免疫グロブリン)のものに対応し、フレームワーク領域の全て又は実質的に全ては、ヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のものである。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部を含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、軽鎖と、重鎖の少なくとも可変ドメインと、の両方を含有する。抗体はまた、重鎖定常領域のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、及び任意選択的にCH4領域を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、ヒト化VL領域のみを含有する。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、ヒト化VH領域のみを含有する。いくつかの特定の実施形態では、ヒト化抗体は、ヒト化VH及びヒト化VL領域を含有する。
親水性:本明細書で使用するとき、用語「親水性」及び/又は「極性」は、水と混合するか、又は水に容易に溶解する傾向を指す。
疎水性:本明細書で使用するとき、用語「疎水性」及び/又は「非極性」は、水に反発するか、水と結合しないか、又は水に容易に溶解できない傾向を指す。
改善、増加、又は低減:本明細書で使用するとき、又はこれらの文法的に等価なものは、本明細書に記載される治療の開始前の同一個体における測定値、又は本明細書に記載される治療のない対照個体(又は複数の対照個体)における測定値などの基準測定値に対する値を示す。「対照個体」は、治療される個体と同じ形態の疾患又は損傷を患っている個体である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD22構築物を使用してB細胞悪性腫瘍を治療するための方法は、治療を受ける前の個体、又は対照個体と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、又は少なくとも90%、個体における細胞アポトーシスを増加(例えば、CD22+腫瘍細胞アポトーシスを増加)させ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD22構築物を使用してB細胞悪性腫瘍を治療するための方法は、治療を受ける前の個体、又は対照個体と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、又は少なくとも90%、個体における腫瘍サイズを低減(例えば、CD22+腫瘍サイズを低減)させ得る。
インビトロ:本明細書で使用するとき、多細胞生物体内ではなく、例えば、試験管中又は反応管中、細胞培養中などの人工的な環境中で発生する事象を指す。
インビボ:本明細書で使用するとき、ヒト及び非ヒト動物などの多細胞生物体内で発生する事象を指す。細胞ベースシステムの文脈において、この用語は、(例えば、インビトロ系との対語として)生きている細胞内で発生する事象を指すために使用され得る。
単離された:本明細書で使用するとき、(1)ある物質及び/又は実体が(自然界において、及び/又は実験的設定において)最初に生成されたときに関連付けられていた成分のうちの少なくとも一部から分離された、かつ/又は(2)人の手によって設計、生成、調製、及び/若しくは製造された、物質及び/又は実体を指す。単離された物質及び/又は実体は、それらが最初に関連付けられていた他の成分の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99%超から分離されていてもよい。いくつかの実施形態では、単離された薬剤は、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約99%超純粋である。本明細書で使用するとき、物質は、他の成分を実質的に含まない場合、「純粋」である。いくつかの実施形態では、当業者には理解されるように、物質は、例えば、1種類以上の担体又は賦形剤(例えば、緩衝液、溶媒、水など)のような特定の他の成分と組み合わされた後でも、依然として「単離された」又は更には「純粋」と見なされてもよく、このような実施形態では、物質の単離割合、又は純度は、そのような担体又は賦形剤を含まずに算出される。一例を挙げれば、いくつかの実施形態では、天然に存在するポリペプチド又はポリヌクレオチドなどの生物学的ポリマーは、a)その由来の起源又は源を理由として、自然界において、天然の状態で生物学的ポリマーに付随する成分の一部又は全てと関連付けられていない場合、b)自然界において、生物学的ポリマーを生成する種と同じ種の他のポリペプチド又は核酸を実質的に含まない場合、c)自然界において、生物学的ポリマーを生成する種のものではない細胞又は他の発現系に由来する成分によって発現されるか、又は他の方法でそれと関連付けられている場合、「単離された」と見なされる。したがって、例えば、いくつかの実施形態では、化学的に合成されるか、又は自然界においてそれを生成する細胞系とは異なる細胞システムで合成されるポリペプチドは、「単離された」ポリペプチドであると見なされる。代替的に又は追加的に、いくつかの実施形態では、1つ以上の精製技術が施されたポリペプチドは、a)自然界においてポリペプチドが関連付けられている、かつ/又はb)最初に生成されたときにポリペプチドが関連付けられている他の成分から分離されている限り、「単離された」ポリペプチドであると見なされてもよい。
KD:本明細書で使用するとき、結合剤(例えば、抗体剤又はその結合成分)の、そのパートナー(例えば、抗体剤又はその結合成分が結合するエピトープ)との複合体からの解離定数を指す。
koff:本明細書で使用するとき、結合剤(例えば、抗体剤又はその結合成分)の、そのパートナー(例えば、抗体剤又はその結合成分が結合するエピトープ)との複合体からの解離に対する速度定数を指す。
kon:本明細書で使用するとき、結合剤(例えば、抗体剤又はその結合成分)の、そのパートナー(例えば、抗体剤又はその結合成分が結合するエピトープ)との会合に対する速度定数を指す。
リンカー:本明細書で使用するとき、異なる要素を互いに繋ぐ、多要素ポリペプチドの部分を指すために使用される。例えば、当業者であれば、その構造が2つ以上の機能的ドメイン又は組織的ドメインを含むポリペプチドが、多くの場合、そのようなドメインの間に、それらドメインを互いに連結するアミノ酸のストレッチを含むことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、リンカー要素を含むポリペプチドは、一般形態であるS1-L-S2の全体構造を有し、ここでS1及びS2は、同じであっても異なっていてもよく、リンカーによって互いに会合された2つのドメインを表す。いくつかの実施形態では、リンカーは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100個以上のアミノ酸の長さである。いくつかの実施形態では、リンカーは、3~7個のアミノ酸、7~15個のアミノ酸、又は20~30個(例えば、20~25個又は25~30個)のアミノ酸を有する。いくつかの実施形態では、リンカーは、剛性の三次元構造をとる傾向はなく、むしろポリペプチドに柔軟性を与えるという点で特徴付けられている。当該技術分野において既知のポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を遺伝子操作する際に適切に使用することができる様々な異なるリンカー要素(例えば、Holliger,P.,et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:6444-6448、Poljak,R.J.et al.,1994,Structure 2:1121-1123を参照されたい)。
多価結合抗体(又は多重特異性抗体):本明細書で使用するとき、2つ以上の抗原に結合することができる抗体を指し、それら抗原は、同じ分子上又は異なる分子上に存在し得る。本明細書に記載の多価結合抗体は、いくつかの実施形態では、2つ以上の抗原結合部位を有するよう遺伝子操作され、典型的には、天然に存在するタンパク質ではない。本明細書に記載の多価結合抗体は、2つ以上の関連標的又は非関連標的に結合することができる抗体を指す。多価結合抗体は、単一の抗体部分の複数のコピー、又は異なる抗体部分の複数のコピーから構成されていてもよい。このような抗体は、2つ以上の抗原に結合することができ、四価抗体又は多価抗体であってもよい。多価結合抗体は、例えば、免疫調節物質、毒素、又はRNaseなどの治療薬を追加的に含んでいてもよい。本明細書に記載の多価結合抗体は、いくつかの実施形態では、異なる構造の少なくとも2つの標的、例えば、2つの異なる抗原、同一抗原上の2つの異なるエピトープ、又はハプテン及び/又は抗原若しくはエピトープ、に同時に結合することができる。本発明の多価結合抗体は、単一特異性(1つの抗原に結合可能)又は多重特異性(2つ以上の抗原に結合可能)であってもよく、2本の重鎖ポリペプチド及び2本の軽鎖ポリペプチドから構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、それぞれの結合部位は、1つの抗原結合部位当たり、抗原結合に関与する総数で6つのCDRを有する、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインから構成されている。
核酸:本明細書で使用するとき、その最も広い意味で、オリゴヌクレオチド鎖に組み込まれているか、又はオリゴヌクレオチド鎖に組み込まれ得る任意の化合物及び/又は物質を指す。いくつかの実施形態では、核酸は、ホスホジエステル連結を介してオリゴヌクレオチド鎖に組み込まれているか、又は組み込まれ得る化合物及び/又は物質である。文脈から明らかなように、いくつかの実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチド及び/又はヌクレオシド)を指し、いくつかの実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基を含むオリゴヌクレオチド鎖を指す。いくつかの実施形態では、「核酸」は、RNAであるか、又はRNAを含み、いくつかの実施形態では、「核酸」は、DNAであるか、又はDNAを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上の天然核酸残基であるか、1つ以上の天然核酸残基を含むか、又は1つ以上の天然核酸残基からなる。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上の核酸類似体であるか、1つ以上の核酸類似体を含むか、又は1つ以上の核酸類似体からなる。いくつかの実施形態では、核酸類似体は、ホスホジエステル骨格を利用しないという点で核酸とは異なる。例えば、いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上の「ペプチド核酸」であるか、1つ以上の「ペプチド核酸」を含むか、又は1つ以上の「ペプチド核酸」からなる。「ペプチド核酸」は、当該技術分野において既知であり、骨格中にホスホジエステル結合の代わりにペプチド結合を有しており、本発明の範囲内であると見なされる。代替的に又は追加的に、いくつかの実施形態では、核酸は、ホスホジエステル結合ではなく、1つ以上のホスホロチオエート連結及び/又は5’-N-ホスホロアミダイト連結を有する。
いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上の天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、及びデオキシシチジン)であるか、1つ以上の天然ヌクレオシドを含むか、又は1つ以上の天然ヌクレオシドからなる。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上のヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、0(6)-メチルグアニン、2-チオシチジン、メチル化塩基、挿入塩基、及びこれらの組み合わせ)であるか、1つ以上のヌクレオシド類似体を含むか、又は1つ以上のヌクレオシド類似体からなる。いくつかの実施形態では、核酸は、天然核酸中のものと比較して、1つ以上の修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、及びヘキソース)を含む。いくつかの実施形態では、核酸は、RNA又はタンパク質などの機能性遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、核酸は、1つ以上のイントロンを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、天然源からの単離、相補テンプレートに基づく重合による酵素合成(インビボ又はインビトロ)、組み換え細胞又は系内での複製、及び化学合成のうちの1つ以上によって調製される。いくつかの実施形態では、核酸は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、20、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000個以上の残基長である。いくつかの実施形態では、核酸は、一本鎖であり、いくつかの実施形態では、核酸は、二本鎖である。いくつかの実施形態では、核酸は、ポリペプチドをコードする少なくとも1つの要素を含むヌクレオチド配列を有しているか、又はポリペプチドをコードする配列の相補体である。いくつかの実施形態では、核酸は、酵素活性を有する。
操作可能に連結された:本明細書で使用するとき、記載の成分がそれらの意図された様式で機能することを許容する関係にある、並置を指す。コード配列に「操作可能に連結された」制御配列は、コード配列の発現が、制御配列と適合する条件下で達成されるようにライゲーションされる。「操作可能に連結された」配列は、対象遺伝子と隣接している発現制御配列と、当該対象遺伝子を制御するためにトランスで又は距離をとって作用する発現制御配列と、の両方を含む。本明細書で使用するとき、用語「発現制御配列」は、ポリヌクレオチド配列がライゲーションされるコード配列の発現及びプロセシングを生じさせるのに必要なポリヌクレオチド配列を指す。発現制御配列としては、適切な転写開始配列、終結配列、プロモータ配列、及びエンハンサー配列、スプライシングシグナル及びポリアデニレーションシグナルなどの効率的なRNAプロセシングシグナル、細胞質mRNAを安定化させる配列、翻訳効率を向上させる配列(すなわち、Kozakコンセンサス配列)、タンパク質の安定性を向上させる配列、並びに所望により、タンパク質分泌を増強させる配列が挙げられる。このような制御配列の性質は、宿主生物によって異なる。例えば、原核生物では、このような制御配列は、一般的に、プロモータ、リボソーム結合部位、及び転写終結配列を含むが、真核生物では、典型的には、このような制御配列は、プロモータ及び転写終結配列を含む。用語「制御配列」は、その存在が発現及びプロセシングに必須である成分を含むことが意図されており、また、その存在が、例えば、リーダー配列及び融合パートナー配列に対して有利である追加の成分も含み得る。
生理学的条件:本明細書で使用するとき、細胞又は生物が生存及び/又は繁殖する状態を指す、当該技術分野において理解されている意味を有する。いくつかの実施形態では、この用語は、生物又は細胞系に対して、自然界で発生し得る外部環境又は内部環境の条件を指す。いくつかの実施形態では、生理学的条件は、ヒト又は非ヒト動物の体内に存在する条件、特に手術部位及び/又は手術部位内に存在する条件である。生理的条件は、典型的には、例えば、20~40℃の温度範囲、1の大気圧、6~8のpH、1~20mMのグルコース濃度、大気中の酸素濃度、及び地上で直面する際の重力を含む。いくつかの実施形態では、実験室における条件は、生理学的条件で操作され、かつ/又は維持される。いくつかの実施形態では、生理学的条件は、生物中で直面する。
ポリペプチド:本明細書で使用するとき、アミノ酸の任意のポリマー鎖を指す。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、ペプチド結合又は修飾ペプチド結合によって互いに結合されている。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、天然に存在するアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、天然に存在しないアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、合成的に設計され、かつ/又は生成されるという点で遺伝子操作されたアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、若しくはこれらの両方を含んでいてもよいか、又はこれらからなっていてもよい。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、天然アミノ酸のみ若しくは非天然アミノ酸のみを含んでいてもよいか、又はそれからなっていてもよい。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、D-アミノ酸、L-アミノ酸、又はこれらの両方を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、D-アミノ酸のみを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、L-アミノ酸のみを含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、例えば、1つ以上のアミノ酸側鎖を修飾するか又はそれに付着される1つ以上のペンダント基又は他の修飾を、ポリペプチドのN末端に、ポリペプチドのC末端に、又はこれらの任意の組み合わせで含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、このようなペンダント基又は修飾は、アセチル化、アミド化、脂質化、メチル化、PEG化など(それらの組み合わせを含む)からなる群から選択されてもよい。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、環状であってもよく、かつ/又は環状部分を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、環状ではなく、かつ/又は環状部分を全く含まない。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、直線状である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、ステープルポリペプチドであってもよいか、又はステープルポリペプチドを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、用語「ポリペプチド」は、参照ポリペプチドの名称、活性、又は構造に付け加えられてもよく、このような場合、本明細書では、関連する活性又は構造を共有しているために同じクラス又はファミリーのポリペプチドのメンバーであると見なされ得るポリペプチドを指すために使用される。このようなクラスごとに、本明細書は、アミノ酸配列及び/又は機能が既知であるクラス内の例示的なポリペプチドを提供し、当業者もその例示的なポリペプチドを認識するであろう。いくつかの実施形態では、このような代表的なポリペプチドは、ポリペプチドクラスの参照ポリペプチドである。
いくつかの実施形態では、ポリペプチドクラス又はファミリーのメンバーは、そのクラスの参照ポリペプチドと、いくつかの実施形態では、クラス内の全てのポリペプチドと)、有意な配列相同性又は同一性を示し、共通の配列モチーフ(例えば、特徴的な配列要素)を共有し、かつ/又は(いくつかの実施態様では、同等のレベルで又は指定の範囲内で)共通の活性を共有している。例えば、いくつかの実施形態では、メンバーのポリペプチドは、少なくとも約30~40%、かつ多くの場合、約50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の参照ポリペプチドとの全体的な配列相同性又は同一性を示し、かつ/又は非常に高い、多くの場合90%、又は更には95%、96%、97%、98%、又は99%よりも高い、配列同一性を示す少なくとも1つの領域(すなわち、いくつかの実施形態では、特徴的な配列要素であってもよいか、又はその配列要素を含んでもよい保存領域)を含む。このような保存領域は、通常、少なくとも3~4個、多くの場合、最大20個以上のアミノ酸を包含し、いくつかの実施形態では、保存領域は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個以上の連続するアミノ酸の少なくとも1つのストレッチを包含する。いくつかの実施形態では、有用なポリペプチドは、親ポリペプチドのフラグメントを含んでもよいか、又は親ポリペプチドのフラグメントからなっていてもよい。いくつかの実施形態では、有用なポリペプチドは、複数のフラグメントを含んでもよいか、又は複数のフラグメントからなっていてもよく、複数のフラグメントのそれぞれは、互いに対して、対象のポリペプチド中で見出される場合とは異なる空間配置で、同じ親ポリペプチド中に見出される(例えば、親に直接連結されたフラグメントは、対象のポリペプチド中では空間的に分離されている場合があり、逆もまた然りであり、かつ/又はフラグメントは、対象のポリペプチド中では、親における順序とは異なる順序で存在している場合がある)。そのため、対象のポリペプチドは、その親ポリペプチドの派生物である。
予防する又は予防:本明細書で使用するとき、疾患、障害、及び/又は状態の発生に関連して使用される場合、疾患、障害、及び/若しくは状態を発現するリスクを低下させること、並びに/又は疾患、障害、若しくは状態の1つ以上の特徴若しくは症状の発症を遅延させることを指す。予防は、疾患、障害、又は状態の発症が所定の期間遅延された場合に、完全と見なされ得る。
組み換え体:本明細書で使用するとき、組み換え手段によって設計、遺伝子操作、調製、発現、作製、又は単離されたポリペプチド(例えば、抗体又は抗体部分)を指すことが意図される。例えば、宿主細胞にトランスフェクトされた組み換え発現ベクターを用いて発現されたポリペプチド、組み換えコンビナトリアルヒトポリペプチドライブラリから単離されたポリペプチド(Hoogenboom H.R.,1997,TIB Tech.15:62-70、Azzazy H.,and Highsmith W.E.,2002,Clin.Biochem.35:425-45、Gavilondo J.V.,and Larrick J.W.,2002,BioTechniques 29:128-45、Hoogenboom H.,and Chames P.,2000,Immunol.Today 21:371-8)、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor,L.D.,et al.,1992,Nucl.Acids Res.20:6287-95、Kellermann S-A.,and Green L.L.,2002,Curr.Opin.Biotech.13:593-7、Little,M.et al.,2000,Immunol.Today 21:364-70、Murphy,A.J.et al.,2014,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.111(14):5153-8を参照されたい)、又は選択された配列要素の相互スプライシングを伴う任意の他の手段によって調製、発現、作製、又は単離されたポリペプチドである。いくつかの実施形態では、このような選択された配列要素のうちの1つ以上は、自然界に存在する。いくつかの実施形態では、このような選択された配列要素のうちの1つ以上は、インシリコで設計される。いくつかの実施形態では、1つ以上のこのような選択された配列要素は、例えば、天然又は合成供給源からの、既知の配列要素の(例えば、インビボ又はインビトロの)突然変異誘発から生じる。例えば、いくつかの実施形態では、組み換え抗体は、対象の供給源生物(例えば、ヒト、マウスなど)の生殖系列中に存在する配列から構成されている。いくつかの実施形態では、組み換え抗体は、(例えば、トランスジェニック動物における、例えば、インビトロ又はインビボの)突然変異誘発から生じたアミノ酸配列を有しており、それによって、組み換え抗体のVH領域及びVL領域のアミノ酸配列は、生殖系列のVH配列及びVL配列に由来し、かつそれに関連する一方で、その生殖系列抗体レパートリ内にインビボで天然に存在し得ない配列である。
基準:本明細書で使用するとき、本明細書に記載されるようにそれに対して比較が行われる、標準、対照、又は他の適切な基準を記載する。例えば、いくつかの実施形態では、基準は、標準又は対照の薬剤、動物、個体、集団、試料、配列、一連の工程、条件のセット、又は値であり、それらに対して、対象の薬剤、動物、個体、集団、試料、配列、一連の工程、条件のセット、又は値の比較が行われる。いくつかの実施形態では、基準は、対象の試験又は決定と実質的に同時に試験され、かつ/又は決定される。いくつかの実施形態では、基準は、任意選択的に有形の培地中で実施される、履歴的基準である。典型的には、当業者には理解されるように、基準は、対象の評価に利用される条件と同等の条件下で決定されるか、又は特徴付けられる。
特異的結合:本明細書で使用するとき、結合が生じる環境において可能なパートナーを識別する結合剤の能力を指す。他の潜在的な標的が存在するときに1つの特定の標的と相互作用する結合剤は、相互作用する標的に対して「特異的に結合する」と言われる。いくつかの実施形態では、特異的結合は、結合剤とそのパートナーとの会合の程度を検出又は決定することによって評価され、いくつかの実施形態では、特異的結合は、結合剤-パートナー複合体の解離の程度を検出又は決定することによって評価され、いくつかの実施形態では、特異的結合は、そのパートナーと他の実体との代替的相互作用と競合する結合剤の能力を検出又は決定することによって評価される。いくつかの実施形態では、特異的結合は、ある濃度の範囲にわたってそのような検出又は決定を行うことによって評価される。いくつかの実施形態では、特異的結合は、同種の標的と非同種の標的との間の結合親和性の差を決定することによって評価される。例えば、結合剤は、非同種の標的に対する結合親和性と比べて約3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍以上である、同種の標的に対する結合親和性を有していてもよい。
特異性:当該技術分野において既知であるように、「特異性」は、結合パートナーを他の潜在的な結合パートナーと区別する、特定のリガンドの能力の尺度である。
対象:本明細書で使用するとき、ヒトを含む任意の哺乳動物を意味する。本発明の特定の実施形態では、対象は、成人、若者、又は乳児である。いくつかの実施形態では、用語「個体」又は「患者」が使用され、「対象」と互換的であることが意図される。また、本発明により、子宮における医薬組成物の投与及び/又は治療の方法の実施が想定される。
実質的に:本明細書で使用するとき、用語「実質的に」は、対象の特徴又は特性の全て又はほぼ全ての範囲又は程度を示す定性的な状態を指す。生物分野の当業者であれば、生物学的現象及び化学的現象は、完了にまで進行すること、及び/又は完全性にまで進展すること、又は完全な結果に達すること、若しくはそれを回避することが仮にあったとしても稀であることを理解するであろう。したがって、用語「実質的に」は、本明細書では、多くの生物学的現象及び化学的現象に固有の、完全性の潜在的な欠如を捕捉するために使用される。
実質的な配列相同性:本明細書で使用するとき、文言「実質的な相同性」は、アミノ酸配列間又は核酸配列間の比較を指す。当業者には理解されるように、2つの配列は、対応する位置に相同な残基を含有する場合、「実質的に相同」であると一般的に見なされる。相同の残基は、同一の残基であってもよい。あるいは、相同の残基は、適切に類似した構造特性及び/又は機能特性を有する非同一の残基であってもよい。例えば、当業者に周知であるように、特定のアミノ酸は、典型的には、「疎水性」若しくは「親水性」のアミノ酸として分類され、かつ/又は「極性」若しくは「非極性」の側鎖を有するものとして分類される。1つのアミノ酸を同じ種類の別のアミノ酸で置換することは、多くの場合、「相同な」置換であると見なされ得る。典型的なアミノ酸の分類は、以下のとおり要約される。
当該技術分野において周知であるように、アミノ酸配列又は核酸配列は、例えば、ヌクレオチド配列に対してはBLASTN、アミノ酸配列に対してはBLASTP、ギャップ化BLAST、及びPSI-BLASTなどの市販のコンピュータプログラムにおいて利用可能なものを含む、様々なアルゴリズムのうちのいずれかを使用して比較することができる。このようなプログラムの例は、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.,215(3):403-410、Altschul et al.,1996,Meth.Enzymology 266:460-480、Altschul et al.,1997,Nucleic Acids Res.25:3389-3402、Baxevanis et al,Bioinformatics:A Practical Guide to the Analysis of Genes and Proteins,Wiley,1998、及びMisener,et al,(eds.),Bioinformatics Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology,Vol.132),Humana Press,1999に記載されている。相同な配列を特定することに加えて、上記のプログラムは、典型的には、相同性の程度の指標を提供する。いくつかの実施形態では、2つの配列は、その対応する残基の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%以上が、残基の関連するストレッチにわたって相同である場合に、実質的に相同であると見なされる。いくつかの実施形態では、関連するストレッチは、完全な配列である。いくつかの実施形態では、関連するストレッチは、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、少なくとも225、少なくとも250、少なくとも275、少なくとも300、少なくとも325、少なくとも350、少なくとも375、少なくとも400、少なくとも425、少なくとも450、少なくとも475、少なくとも500個以上の残基である。
表面プラズモン共鳴:本明細書で使用するとき、例えば、BIAcoreシステム(Pharmacia Biosensor AB,Uppsala,Sweden and Piscataway,N.J)を使用することなどによって、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化を検出することにより、特異的結合の相互作用をリアルタイムで分析することを可能にする光学現象を指す。更なる説明については、Jonsson,U.et al.,1993,Ann.Biol.Clin.51:19-26、Jonsson,U.et al.,1991,Biotechniques 11:620-627、Johnsson,B.et al.,1995,J.Mol.Recognit.8:125-131、及びJohnnson,B.et al.,1991,Anal.Biochem.198:268-277により記載されている。
治療薬:本明細書で使用するとき、一般に、生物に投与されたときに所望の薬理効果を引き出す任意の薬剤を指す。いくつかの実施形態では、薬剤は、適切な集団にわたって統計的に有意な効果を示す場合、治療薬であると見なされる。いくつかの実施形態では、適切な集団は、モデル生物の集団であってもよい。いくつかの実施形態では、適切な集団は、特定の年齢群、性別、遺伝的背景、既存の臨床状態などの様々な基準によって定義され得る。いくつかの実施形態では、治療薬は、疾患、障害、及び/又は状態の1つ以上の症状又は特徴の軽減、改善、緩和、阻害、予防、発症の遅延、重症度の低減、及び/又は発生率の低減に使用することができる物質である。いくつかの実施形態では、「治療薬」は、ヒトへの投与のために市販され得る前に政府機関によって承認されているか、又は承認される必要がある薬剤である。いくつかの実施形態では、「治療薬」は、ヒトへの投与のために医療処方が必要とされる薬剤である。
治療的に有効な量:本明細書で使用するとき、そのために投与が実施される所望の効果をもたらす量を意味する。いくつかの実施形態では、この用語は、治療的投与レジメンに従って、疾患、障害、及び/又は状態に罹患しているか、又はそれらに対して感受性がある集団に投与した場合に、その疾患、障害、及び/又は状態を治療するのに十分な量を指す。いくつかの実施形態では、治療的に有効な量は、疾患、障害、及び/又は状態のうちの1つ以上の症状の発生率及び/又は重症度を低下させ、かつ/又はそれらの発症を遅延させるものである。当業者であれば、用語「治療的に有効な量」は、実際には、特定の個体における治療成功の達成が必須ではないことを理解するであろう。むしろ、治療的に有効な量は、そのような治療を必要とする患者に投与された場合に、有意な数の対象において特定の所望の薬理反応をもたらす量であってもよい。いくつかの実施形態では、治療的に有効な量への言及は、1つ以上の特定の組織(例えば、疾患、障害、又は状態によって影響を受ける組織)又は流体(例えば、血液、唾液、血清、汗、涙、尿など)において測定されたときの量への言及であり得る。当業者であれば、いくつかの実施形態では、治療的に有効な量の特定の薬剤又は治療が、単一用量で製剤化され、かつ/又は投与されてもよいことを理解するであろう。いくつかの実施形態では、治療的に有効な薬剤は、例えば、投与レジメンの一部として、複数用量で製剤化され、かつ/又は投与されてもよい。
治療:本明細書で使用するとき、用語「治療」(また、「治療する」又は「治療すること」)は、その最も広い意味で、特定の疾患、障害、及び/又は状態のうちの1つ以上の症状、特徴、及び/又は原因の、部分的又は完全な、軽減、改善、緩和、阻害、発症の遅延、重症度の低減、及び/又は発生率の低減をもたらす物質(例えば、提供される組成物)の任意の投与を指す。いくつかの実施形態では、そのような治療は、関連する疾患、障害、及び/若しくは状態の兆候を示していない対象、並びに/又は疾患、障害、及び/若しくは状態の早期兆候のみを示している対象に実施されてもよい。代替的に又は追加的に、いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/又は状態のうちの1つ以上の確立された兆候を示す対象に実施されてもよい。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/又は状態に罹患していると診断された対象の治療であってもよい。いくつかの実施形態では、治療は、関連する疾患、障害、及び/又は状態の発症リスクの増加と統計的に相関する、1つ以上の感受性因子を有することが知られている対象の治療であってもよい。
変異体:本明細書で使用するとき、用語「変異体」は、参照実体と有意な構造的同一性を示すが、参照実体と比較した際、1つ以上の化学部分の存在又はレベルにおいて参照実体とは構造的に異なる、実体を指す。多くの実施形態では、変異体はまた、参照実体とは機能的に異なる。一般に、特定の実体が、参照実体の「変異体」であると適切に見なされるかどうかは、参照実体との構造的同一性の程度に基づく。当業者には理解されるように、任意の生物学的参照実体又は化学的参照実体は、特定の特徴的な構造要素を有する。変異体は、定義によれば、1つ以上のそのような特徴的な構造要素を共有する別個の化学物質である。いくつかではあるが例を挙げると、ポリペプチドは、直鎖若しくは三次元空間において互いに対して指定された位置を有し、かつ/又は特定の生物学的機能に寄与する、複数のアミノ酸で構成される特徴的な配列要素を有していてもよく、核酸は、直鎖若しくは三次元空間において互いに対して指定された位置を有する、複数のヌクレオチド残基で構成される特徴的な配列要素を有していてもよい。例えば、変異体ポリペプチドは、アミノ酸配列における1つ以上相違の結果、及び/又はポリペプチド骨格に共有結合した化学部分(例えば、炭水化物、脂質など)における1つ以上の相違の結果として、参照ポリペプチドと異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、変異体ポリペプチドは、少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、又は99%である、参照ポリペプチドとの全体的な配列同一性を示す。代替的に又は追加的に、いくつかの実施形態では、変異体ポリペプチドは、参照ポリペプチドと、少なくとも1つの特徴的な配列要素を共有しない。
いくつかの実施形態では、参照ポリペプチドは、1つ以上の生物活性を有する。いくつかの実施形態では、変異体ポリペプチドは、参照ポリペプチドの生物活性のうちの1つ以上を共有する。いくつかの実施形態では、変異体ポリペプチドは、参照ポリペプチドの生物活性のうちの1つ以上を欠いている。いくつかの実施形態では、変異体ポリペプチドは、参照ポリペプチドと比較して、1つ以上の生物活性のレベルが低下していることを示す。多くの実施形態では、対象のポリペプチドが、特定の位置での少数の配列改変を除いて親のアミノ酸配列と同一である場合、対象のポリペプチドは、親又は参照ポリペプチドの「変異体」であると見なされる。典型的には、親と比較して、変異体中の残基の20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満が置換される。いくつかの実施形態では、変異体は、親と比較して、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1個の置換残基を有する。多くの場合、変異体は、非常に少数の(例えば、5、4、3、2、又は1未満の)数の置換された機能的残基(すなわち、特定の生物活性に関与する残基)を有する。更に、変異体は、典型的には、親と比較して、5、4、3、2、又は1個以下の挿入又は欠失を有し、多くの場合、挿入又は欠失を有さない。更に、任意の付加又は欠失は、典型的には、約25、約20、約19、約18、約17、約16、約15、約14、約13、約10、約9、約8、約7、約6個の残基よりも少なく、一般に、約5、約4、約3、又は約2個の残基よりも少ない。いくつかの実施形態では、親ポリペプチド又は参照ポリペプチドは、自然界に存在すものである。当業者には理解されるように、対象の特定のポリペプチドの複数の変異体は、特に対象のポリペプチドが感染性病原体ポリペプチドである場合、一般に、自然界に存在し得る。
ベクター:本明細書で使用するとき、核酸分子であって、自身が連結されている別の核酸を輸送することができるものを指す。ベクターの1つの型は、「プラスミド」であり、追加のDNAセグメントがライゲーションされ得る環状の二本鎖DNAループを指す。ベクターの別の型は、ウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントは、ウイルスゲノム内にライゲーションされ得る。特定のベクターは、自身が導入される宿主細胞において自律的に複製することができる(例えば、細菌起源の複製を有する細菌ベクター、及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入の際に宿主細胞のゲノムに組み込むことができ、それによって宿主ゲノムと共に複製される。更に、特定のベクターは、自身が機能的に連結される遺伝子の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と称される。
野生型:本明細書で使用するとき、用語「野生型」は、当該技術分野において理解されている意味を有し、「正常な」(突然変異の、変異の、疾患のある、改変された、などの対照語として)状態又は文脈において自然界に存在するような構造及び/又は活性を有する実体を指す。当業者であれば、野生型の遺伝子及びポリペプチドは、多くの場合、複数の異なる形態(例えば、アレル)で存在することを理解するであろう。
本発明は、CD22の細胞外領域に特異的に結合する能力を有する抗CD22構築物の発見に関する。本発明はまた、B細胞悪性疾患(例えば、CD22+B細胞悪性疾患)を治療するためのそのような構築物の使用も提供する。
I.CD22
表面抗原分類22又はCD22は、B細胞の分化の成熟段階の間にのみ発現される135-kDaシアル酸結合細胞表面受容体である(Dorken.,J.Immunol.136:4470,1986)。ヒトにおけるCD22の主要な形態は、CD22βであり、7つのドメインを含有している(Wilson et al.,J.Exp.Med.173:137,1991)。変異型であるCD22αは、ドメイン3及び4を欠いている(Stamenkovic and Seed,Nature 345:74,1990)。ヒトCD22へのリガンド結合は、ドメイン1及び2(エピトープ1及び2とも呼ばれる)と関係していることが示されている(Engel et al.,J.Exp.Med.181:1581,1995)。完全長ヒトCD22のアミノ酸配列を、以下の配列番号204に示す。配列番号205は、抗CD22クローン1及びクローン2が結合する、CD22のドメイン5~7を含有する細胞外領域を更に示している(実施例1を参照されたい)。抗CD22クローン1は、配列番号206~208の配列をそれぞれ有するLC-CDR1~3と、配列番号209~211の配列をそれぞれ有するHC-CDR1~3と、を含む。抗CD22クローン2は、配列番号214~216の配列をそれぞれ有するLC-CDR1~3と、配列番号209、210、及び217の配列をそれぞれ有するHC-CDR1~3と、を含む。
配列番号204(完全長ヒトCD22、下線部:実施例1に記載のファージディスプレイにおいて使用されるCD22の部分、太字下線部:CD22の膜貫通ドメイン):
配列番号205(CD22のドメイン5~7を含有する細胞外領域、配列番号204のアミノ酸414~687に対応する):
DVQYPPKKVTTVIQNPMPIREGDTVTLSCNYNSSNPSVTRYEWKPHGAWEEPSLGVLKIQNVGWDNTTIACAACNSWCSWASPVALNVQYAPRDVRVRKIKPLSEIHSGNSVSLQCDFSSSHPKEVQFFWEKNGRLLGKESQLNFDSISPEDAGSYSCWVNNSIGQTASKAWTLEVLYAPRRLRVSMSPGDQVMEGKSATLTCESDANPPVSHYTWFDWNNQSLPYHSQKLRLEPVKVQHSGAYWCQGTNSVGKGRSPLSTLTVYYSPETIGRR
CD22は、様々な癌、例えば、B細胞関連癌に関与してきた。B細胞関連癌としては、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)、多発性骨髄腫、及び慢性リンパ性白血病(CLL、B細胞白血病(CD5+Bリンパ球))が挙げられるが、これらに限定されない。CD22発現は、限界希釈試験により確立されたヒト急性リンパ芽球性白血病(ALL)-マウス異種移植片において再現され、CD22が白血病開始細胞で発現され得る可能性を引き起こしている(Morisot et al.,Leukemia 24:1859,2010)。更に、CD22発現は、45人の患者の連続研究(39人が抗CD22指向療法で治療された)において維持されることが見出され、これは、CD22-B細胞前駆体急性リンパ芽球性白血病(BCP-ALL)の発症が珍しいことを示唆している(Morisot et al.,Leukemia 24:1859,2010)。BCP-ALLにおけるCD22の標的化の適合性について試験した(Haso et al.,Blood 121:1165,2013)。BCP-ALLを有する111人の患者からのリンパ芽球をCD22発現についてアッセイし、全員がCD22陽性であり、平均CD22発現レベルが3500部位/細胞であることが見出された。
更に、CD22は、非ホジキンリンパ腫集団の90%超で高度に発現される(Cesano et al.,Blood 100:350a,2002)。Bリンパ球から主に生じる癌の異種群であるNHLは、全ての新たに診断された癌のおよそ4%を示す(Jemal et al.,CA Cancer J Clin,52:23,2002)。攻撃型NHLは、成人NHLのおよそ30~40%を占めており(Harris et al.,Hematol J.1:53,2001)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、末梢性T細胞リンパ腫、及び未分化大細胞型リンパ腫を含む。最前線の併合化学療法は、攻撃型NHLを有する患者の半数未満のみしか治療することができず、多くの患者は、最終的にその疾患に倒れている(Fisher,Oncol.27(suppl 12):2,2000)。アポトーシスを予防することによってCD22発現がB細胞が腫瘍化することを可能にし得る証拠もまた存在する(Otipoby et al.,Nature(Lond)384:634,1996)。CD22は、B細胞活性化複合体の成分として(Sato et al.,Semin.Immunol.10:287,1998)、かつ接着分子として(Engel et al.,J.Immunol.150:4719,1993)。その天然リガンドとの結合後、CD22は、急速に内部に取り入れられ、初代B細胞中に共刺激シグナルを、新生物のB細胞にアポトーシス促進性シグナルを、提供する(Sato et al.,Immunity 5:551,1996)。
II.抗CD22構築物及び構築物の組み合わせ
一態様では、本発明は、表面抗原分類22(CD22)に特異的に結合する(すなわち、配列番号205の配列又はその一部に結合する)抗体部分を含む、抗CD22構築物を提供する。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、単離された抗CD22構築物である。抗CD22構築物の特異性は、CD22に特異的に結合する(すなわち、配列番号205の配列又はその一部に結合する)、完全長抗体又はその抗原結合フラグメントなどの、抗CD22抗体部分に由来する。企図される抗CD22構築物には、例えば、完全長抗CD22抗体、(二重特異性などの)多重特異性抗CD22抗体、抗CD22キメラ抗原受容体(CAR)、抗CD22キメラ抗体-T細胞受容体(caTCR)、抗CD22キメラ共刺激受容体(CSR)、及び抗CD22免疫コンジュゲートが含まれる。本明細書に記載の抗CD22構築物は、完全長抗CD22抗体又は(二重特異性などの)多重特異性抗CD22抗体である抗体部分を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD22構築物は、完全長抗CD22抗体又は(二重特異性などの)多重特異性抗CD22抗体である抗体部分であってもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD22構築物は、抗CD22キメラ抗原受容体(CAR)又は抗CD22免疫コンジュゲートであってもよい。
いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、多重特異性(例えば、二重特異性)であり得る。多重特異性抗CD22構築物は、1つより多い標的に対して抗体部分を有する。いくつかの実施形態では、多重特異性抗CD22構築物は、CD22に対して1つの抗体部分と、1つ以上の非CD22抗原(例えば、CD19、CD20、B細胞悪性腫瘍で発現される非CD22抗原)に対して1つ以上の追加の抗体部分を有する。いくつかの実施形態では、多重特異性抗CD22構築物は、二重特異性、三重特異性、四重特異性、又は五重特異性であり得る。いくつかの実施形態では、多重特異性抗CD22構築物は、caTCR、CSR、CAR、完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、一本鎖Fv(scFv)抗体、タンデムscFv、ダイアボディ(Db)、一本鎖ダイアボディ(scDb)、二重親和性再標的化(DART)抗体、二重可変ドメイン(DVD)抗体、ノブ・イントゥ・ホール(KiH)抗体、ドックアンドロック(DNL)抗体、化学的に架橋された抗体、ヘテロマルチマー抗体、又はヘテロ結合抗体であり得る。
本発明は、抗CD22構築物と、CD22関連疾患を治療するためにこのような抗体を使用する方法と、を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD22構築物は、配列番号205の配列中のエピトープを認識し、それに結合する。抗CD22構築物は、配列番号205の配列中の、少なくとも7個のアミノ酸(例えば、少なくとも8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、又は40個のアミノ酸)を含む、エピトープに結合していてもよい。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、配列番号2の配列中の、少なくとも7個の連続するアミノ酸(例えば、少なくとも8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、又は40個のアミノ酸)を含む、エピトープに結合していてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD22構築物は、配列番号205の配列に結合する。本明細書に記載の抗CD22構築物は、完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、一本鎖Fv(scFv)抗体である抗体部分を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD22構築物は、完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、一本鎖Fv(scFv)抗体であってもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD22構築物は、scFv抗体であってもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD22構築物は、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE、又はそのフラグメントからなる群から選択される抗体クラス(すなわち、アイソタイプ)のメンバーである抗体部分を含んでいてもよい。
抗CD22構築物は、CD22に特異的に結合する抗体部分を含んでいてもよく、抗体部分は、本明細書に記載されるような1つ以上のCDR、重鎖可変領域、及び/又は軽鎖可変領域を含む。一実施形態では、CD22に特異的に結合する(すなわち、配列番号205の配列又はその一部に結合する)抗CD22構築物は、抗体部分を含む。抗体部分は、(1)軽鎖相補性決定領域(LC-CDR)1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む軽鎖可変領域と、(2)重鎖相補性決定領域(HC-CDR)1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む重鎖可変領域と、を含む。抗体部分は、SSNIGNNY(配列番号206)の配列を有するLC-CDR1、ENN(配列番号207)の配列を有するLC-CDR2、GTWDSSLSAGAV(配列番号208)の配列を有するLC-CDR3、GFTFSNYA(配列番号209)の配列を有するHC-CDR1、ISGSGGST(配列番号210)の配列を有するHC-CDR2、及びARPYYDD(配列番号211)の配列を有するHC-CDR3のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、配列番号206~211の配列を含む。
いくつかの実施形態では、配列番号206の配列のLC-CDR1、配列番号207の配列のLC-CDR2、及び配列番号208の配列のLC-CDR3を有する本明細書に記載の抗CD22構築物の抗体部分は、
QSVVTQPPSVSAAPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYENNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAGAVFGGGTKLTVLG(配列番号212)の配列に対して少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する配列を有する軽鎖可変領域を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、軽鎖可変領域(例えば、配列番号212)は、更にヒト化されていてもよい。例えば、軽鎖可変領域は、ヒト抗体配列からヒト化されるか、又はそれに由来する、非ヒトCDR、並びにフレームワーク領域及び/又は定常領域を含んでいてもよい。特定の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号212の配列を含む。いくつかの実施形態では、それぞれ配列番号206~208の配列のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を有する抗CD22構築物の軽鎖は、λアイソタイプの軽鎖である。
いくつかの実施形態では、配列番号209の配列のHC-CDR1、配列番号210の配列のHC-CDR2、及び配列番号211の配列のHC-CDR3を有する本明細書に記載の抗CD22構築物の抗体部分は、EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPYYDDWGQGTLVTVSS(配列番号213)の配列に対して少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する配列を有する重鎖可変領域を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域(例えば、配列番号213)は、更にヒト化されていてもよい。例えば、重鎖可変領域は、ヒト抗体配列からヒト化されるか、又はそれに由来する、非ヒトCDR、並びにフレームワーク領域及び/又は定常領域を含んでいてもよい。特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号213の配列を含む。
別の実施形態では、CD22に特異的に結合する(すなわち、配列番号205の配列又はその一部に結合する)抗CD22構築物は、抗体部分を含む。抗体部分は、(1)軽鎖相補性決定領域(LC-CDR)1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む軽鎖可変領域と、(2)重鎖相補性決定領域(HC-CDR)1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む重鎖可変領域と、を含む。抗体部分は、HDIRNY(配列番号214)の配列を有するLC-CDR1、AAS(配列番号215)の配列を有するLC-CDR2、QQYDGLPLT(配列番号216)の配列を有するLC-CDR3、GFTFSNYA(配列番号209)の配列を有するHC-CDR1、ISGSGGST(配列番号210)の配列を有するHC-CDR2、及びARYGSAAWMDS(配列番号217)の配列を有するHC-CDR3のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、配列番号209、210、214~217の配列を含む。
いくつかの実施形態では、配列番号214の配列のLC-CDR1、配列番号215の配列のLC-CDR2、及び配列番号216の配列のLC-CDR3を有する本明細書に記載の抗CD22構築物の抗体部分は、
DIQLTQSPSSLSTSVGDRVTITCQASHDIRNYLNWYQQKPGKAPNLLIYAASNLQTGVPSRFSGRGSGTDFTLTISSLQPEDIATYYCQQYDGLPLTFGQGTRLEIKR(配列番号218)の配列に対して少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する配列を有する軽鎖可変領域を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、軽鎖可変領域(例えば、配列番号218)は、更にヒト化されていてもよい。例えば、軽鎖可変領域は、ヒト抗体配列からヒト化されるか、又はそれに由来する、非ヒトCDR、並びにフレームワーク領域及び/又は定常領域を含んでいてもよい。特定の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号218の配列を含む。いくつかの実施形態では、それぞれ配列番号214~216の配列のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を有する抗CD22構築物の軽鎖は、λアイソタイプの軽鎖である。
いくつかの実施形態では、配列番号209の配列のHC-CDR1、配列番号210の配列のHC-CDR2、及び配列番号217の配列のHC-CDR3を有する本明細書に記載の抗CD22構築物の抗体部分は、
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDTSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARYGSAAWMDSWGQGTLVTVSS(配列番号219)の配列に対して少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する配列を有する重鎖可変領域を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域(例えば、配列番号219)は、更にヒト化されていてもよい。例えば、重鎖可変領域は、ヒト抗体配列からヒト化されるか、又はそれに由来する、非ヒトCDR、並びにフレームワーク領域及び/又は定常領域を含んでいてもよい。特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号219の配列を含む。
本発明はまた、結合について、配列番号206~208の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3、並びに配列番号209~211の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を有する抗体部分と競合する抗体部分を含む、抗CD22構築物を含む。本発明はまた、結合について、配列番号212の配列を有する軽鎖可変領域と配列番号213の配列を有する重鎖可変領域とを有する抗体部分と競合する抗体部分を含む、抗CD22構築物を含む。当業者であれば、そのような競合する抗体部分を特定するための一般的な知識、スキル、及び方法を有している。
本発明はまた、結合について、配列番号214~216の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3、並びに配列番号209、210、及び217の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を有する抗体部分と競合する抗体部分を含む、抗CD22構築物を含む。本発明はまた、結合について、配列番号218の配列を有する軽鎖可変領域と配列番号219の配列を有する重鎖可変領域とを有する抗体部分と競合する抗体部分を含む、抗CD22構築物を含む。当業者であれば、そのような競合する抗体部分を特定するための一般的な知識、スキル、及び方法を有している。
一本鎖可変フラグメント(scFv)抗体
本明細書に記載の抗CD22構築物は、一本鎖Fv(scFv)抗体である抗体部分を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD22構築物は、scFv抗体であってもよい。scFv抗体は、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含んでいてもよく、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、組み換え方法を用いて合成リンカーによって結合されて、一本鎖のポリペプチド鎖を作製してもよい。いくつかの実施形態では、scFvは、重鎖可変領域がリンカーを介して軽鎖可変領域のC末端に結合されている構造「(N末端)軽鎖可変領域-リンカー-重鎖可変領域(C末端)」を有していてもよい。他の実施形態では、scFvは、軽鎖可変領域がリンカーを介して重鎖可変領域のC末端に結合されている構造「(N末端)重鎖可変領域-リンカー-軽鎖可変領域(C末端)」を有していてもよい。リンカーは、2~200個(例えば、2、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、又は200個)のアミノ酸を含むポリペプチドであってもよい。好適なリンカーは、グリシン及びセリンなどの可撓性アミノ酸残基を含有していてもよい。特定の実施形態では、リンカーは、GS、GGS、GGGGS(配列番号220)、GGSG(配列番号221)、又はSGGG(配列番号222)のモチーフ、例えば、複数のモチーフ又は反復モチーフ、を含有していてもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列GSGS(配列番号223)、GSGSGS(配列番号224)、GSGSGSGS(配列番号225)、GSGSGSGSGS(配列番号226)、GGSGGS(配列番号227)、GGSGGSGGS(配列番号228)、GGSGGSGGSGGS(配列番号229)。GGSG(配列番号230)、GGSGGGSG(配列番号231)、又はGGSGGGSGGGSG(配列番号232)を有していてもよい。他の実施形態では、リンカーはまた、グリシン及びセリン以外のアミノ酸、例えば、SRGGGGSGGGGSGGGGSLEMA(配列番号233)を含有していてもよい。
精製タグ
いくつかの実施形態では、精製タグは、本明細書に記載の抗CD22構築物(例えば、抗CD22 scFv)に結合されていてもよい。精製タグとは、ポリペプチドの精製、単離、又は特定に使用できる任意の長さのペプチドを指す。精製タグは、ポリペプチドに結合されて(例えば、ポリペプチドのN末端又はC末端に結合されて)、ポリペプチドの精製及び/又はポリペプチドの、例えば、細胞溶解混合物からの単離を補助してもよい。いくつかの実施形態では、精製タグは、精製タグに対して特異的親和性を有する別の部分に結合する。いくつかの実施形態では、精製タグに特異的に結合するこのような部分は、マトリックス、樹脂、又はアガロースビーズなどの固体支持体に付着される。抗CD22構築物(例えば、抗CD22 scFv)に結合され得る精製タグの例としては、ヘキサヒスチジンペプチド、赤血球凝集素(hemagglutinin、HA)ペプチド、FLAGペプチド、及びmycペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、構築物、例えば、ヘキサヒスチジンペプチド及びHAペプチドに2つ以上の精製タグが結合されていてもよい。ヘキサヒスチジンペプチド(HHHHHH(配列番号234))は、マイクロモル濃度親和性を有するニッケル官能化アガロース親和性カラムに結合する。いくつかの実施形態では、HAペプチドは、配列YPYDVPDYA(配列番号235)又はYPYDVPDYAS(配列番号236)を含む。いくつかの実施形態では、HAペプチドは、タンデムシリーズにおいて、配列YPYDVPDYA(配列番号235)又はYPYDVPDYAS(配列番号236)の整数倍、例えば、3xYPYDVPDYA又は3xYPYDVPDYASを含む。いくつかの実施形態では、FLAGペプチドは、配列DYKDDDDK(配列番号237)を含む。いくつかの実施形態では、FLAGペプチドは、タンデムシリーズにおいて、配列DYKDDDDK(配列番号237)の整数倍、例えば、3xDYKDDDDKを含む。いくつかの実施形態では、mycペプチドは、配列EQKLISEEDL(配列番号238)を含む。いくつかの実施形態では、mycペプチドは、タンデムシリーズにおいて、配列EQKLISEEDLの整数倍、例えば、3xEQKLISEEDLを含む。
抗CD22 scFv抗体
いくつかの実施形態では、それぞれ配列番号206~211の配列のLC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3、HC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を有する抗CD22構築物は、scFv抗体であってもよい。いくつかの実施形態では、配列番号213の配列に対して少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する重鎖可変領域は、リンカーを介して、配列番号212の配列に対して少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する軽鎖可変領域のN末端又はC末端に結合されていてもよい。特定の実施形態では、抗CD22 scFv抗体は、以下に示す配列番号239の配列を有する。
配列番号239(抗CD22 scFv抗体、平文部(太字又は下線なし):軽鎖可変領域及び重鎖可変領域、太字部:リンカー、下線部:精製タグ(ヘキサヒスチジンタグ及びHAタグ)
いくつかの実施形態では、それぞれ配列番号214~216、209、210、及び217の配列のLC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3、HC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を有する抗CD22構築物は、scFv抗体であってもよい。いくつかの実施形態では、配列番号219の配列に対して少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する重鎖可変領域は、リンカーを介して、配列番号218の配列に対して少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する軽鎖可変領域のN末端又はC末端に結合されていてもよい。特定の実施形態では、抗CD22 scFv抗体は、以下に示す配列番号240の配列を有する。
配列番号240(抗CD22 scFv抗体、平文部(太字又は下線なし):軽鎖可変領域及び重鎖可変領域、太字部:リンカー、下線部:精製タグ(ヘキサヒスチジンタグ及びHAタグ)
本明細書に記載の抗CD22構築物は、多重特異性抗体である抗体部分を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD22構築物は、多重特異性抗体であってもよい。多重特異性抗体は、抗CD22結合部分及び第2の結合部分(第2の抗原結合部分など)を含んでいてもよい。多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原又はエピトープに対して結合特異性を有する抗体である(例えば、二重特異性抗体は、2つの抗原又はエピトープに対して結合特異性を有する)。2つより多い特異性を有する多重特異性抗体もまた想定される。例えば、三重特異性抗体を調製することができる(例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)を参照されたい)。当業者であれば、本明細書に記載の個々の多重特異性抗体の適切な特徴を選択して、互いに組み合わせて、本発明の多重特異性抗体を形成することができるであろうことを理解されたい。
したがって、例えば、いくつかの実施形態では、a)CD22の細胞外領域に特異的に結合する(すなわち、配列番号205の配列又はその一部に結合する)抗CD22結合部分と、b)第2の結合部分(抗原結合部分など)と、を含む、多重特異性(例えば、二重特異性)抗CD22抗体が提供される。いくつかの実施形態では、第2の結合部分は、異なる抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2の結合部分は、細胞傷害性細胞などの細胞の表面上の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2の結合部分は、T細胞、NK細胞、好中球、単球、マクロファージ、又は樹状細胞などのリンパ球の表面上の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2の結合部分は、細胞傷害性T細胞(細胞傷害性Tリンパ球(CTL)又はTキラー細胞としても知られている)などのエフェクタT細胞に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、第2の結合部分は、腫瘍抗原に特異的に結合する。腫瘍抗原の例としては、αフェトプロテイン(alpha fetoprotein、AFP)、CA15-3、CA27-29、CA19-9、CA-125、カルレチニン、癌胎児性抗原、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、上皮膜タンパク質(epithelial membrane protein、EMA)、第VIII因子、CD31 FL1、グリア線維酸性タンパク質(glial fibrillary acidic protein、GFAP)、グロス嚢胞性疾患流体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、インヒビン、ケラチン、CD45、リンパ球マーカー、MART-1(Melan-A)、Myo D1、筋肉特異的アクチン(muscle-specific actin、MSA)、神経フィラメント、神経特異的エノラーゼ(neuron-specific enolase、NSE)、胎盤性アルカリホスファターゼ(placental alkaline phosphatase、PLAP)、前立腺特異的抗原、S100タンパク質、平滑筋アクチン(smooth muscle actin、SMA)、シナプトフィジン、チログロブリン、甲状腺転写因子-1、腫瘍M2-PK、及びビメンチンが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体における第2の抗原結合部分は、CD3に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合部分は、CD3εに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合部分は、CD3εのアゴニストエピトープに特異的に結合する。本明細書で使用するとき、用語「アゴニストエピトープ」は、(a)多重特異性抗体の結合時に、任意選択的に同一細胞上のいくつかの多重特異性抗体の結合時に、多重特異性抗体がT細胞受容体(TCR)シグナル伝達を活性化し、T細胞活性を誘発することを可能にするエピトープ、及び/又は(b)CD3のイプシロン鎖のアミノ酸残基のみからなり、T細胞上でその自然な文脈で存在する(すなわち、TCR、CD3γ鎖などによって囲まれている)とき、多重特異性抗体による結合にアクセス可能である、エピトープ、及び/又は(c)多重特異性抗体の結合時に、CD3γに対するCD3εの空間位置の安定化をもたらさないエピトープを意味する。
いくつかの実施形態では、第2の抗原結合部分は、例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD28、CD16a、CD56、CD68、GDS2D、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD28、CD16a、CD56、CD68、GDS2D、OX40、GITR、CD137、CD27、CD40L、及びHVEMを含む、エフェクタ細胞の表面上の抗原に特異的に結合する。他の実施形態では、第2の抗原結合部分は、C1qなどの補体系の成分に結合する。C1qは、血清補体系を活性化するC1酵素複合体のサブユニットである。他の実施形態では、第2の抗原結合部分は、Fc受容体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合部分は、Fcγ受容体(FcγR)に特異的に結合する。FcγRは、ナチュラルキラー(NK)細胞の表面上に存在するFcγRIII、又はマクロファージ、単球、好中球、及び/若しくは樹状細胞の表面上に存在するFcγRI、FcγRIIA、FcγRIIBI、FcγRIIB2、及びFcγRIIIBのうちの1つであってもよい。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合部分は、Fc領域又はその機能的フラグメントである。本文脈で使用するとき、「機能的フラグメント」は、FcγRベアリングエフェクタ細胞、特に、マクロファージ、単球、好中球、及び/又は樹状細胞が、細胞傷害性溶解又は貪食作用によって標的細胞を殺傷するのを可能にするために、十分な特異性及び親和性でFcR、特に、FcγRに依然として結合することができる、抗体Fc領域のフラグメントを指す。機能的Fcフラグメントは、元の完全長Fc部分の、活性化FcγRIなどのFcRへの結合を競合的に阻害することができる。いくつかの実施形態では、機能的Fcフラグメントは、活性化FcγRに対して、その親和性の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は95%を保持する。いくつかの実施形態では、Fc領域又はその機能的フラグメントは、増強されたFc領域又はその機能的フラグメントである。本明細書で使用するとき、用語「増強されたFc領域」は、Fc受容体媒介エフェクタ機能、特に、抗体依存性細胞媒介細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、及び抗体介在性貪食を増強させるように修飾されたFc領域を指す。これは、当該技術分野において既知のように、例えば、活性化受容体(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞上で発現されるFcγRIIIA(CD16A))に対する親和性を増加させ、かつ/又は阻害受容体(例えば、FcγRIIB1/B2(CD32B))に対する結合を低減させるようにFc領域を改変することによって、達成することができる。
いくつかの実施形態では、多重特異性抗CD22抗体は、CD22提示標的細胞の殺傷を可能にし、かつ/又はCTLを効果的に再指向してCD22提示標的細胞を溶解することができる。いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性(例えば、二重特異性)抗CD22抗体は、10~500ng/mLの範囲のインビトロEC50を示し、約1:1~約50:1(例えば、約1:1~約15:1、又は約2:1~約10:1)のCTLと標的細胞との比で、CTL中の標的細胞の約50%の再指向された溶解を誘発することができる。
いくつかの実施形態では、多重特異性(例えば、二重特異性)抗CD22抗体は、標的細胞が溶解されるように、刺激CTL又は非刺激CTLと標的細胞とを架橋することができる。これは、多重特異性抗CD22抗体が所望の活性を発揮するために、標的特異的T細胞クローンの発生又は樹状細胞による共通抗原の提示は必要とされないという利点を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の多重特異性抗CD22抗体は、他の活性化シグナルの非存在下で標的細胞を溶解するようにCTLを再指向することができる。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合部分は、CD3に特異的に結合(例えば、CD3εに特異的に結合)し、CD28及び/又はIL-2によるシグナル伝達は、標的細胞を溶解するようにCTLを再指向するために必要ではない。
2つの抗原(例えば、2つの異なる細胞上の抗原)に同時に結合する多重特異性抗CD22抗体の選択を測定するための方法は、当業者の通常の能力の範囲内である。例えば、第2の結合部分がCD3に特異的に結合するとき、多重特異性抗CD22抗体は、CD3+/CD22-細胞とCD3-/CD22+細胞との混合物と接触してもよい。次いで、多重特異性抗CD22抗体陽性単一細胞の数、及び多重特異性抗CD22抗体によって架橋された細胞の数を、当該技術分野において既知の顕微鏡検査法又は蛍光標識細胞分取(fluorescence-activated cell sorting、FACS)によって評価してもよい。
多重特異性抗CD22抗体は、a)i)配列番号206~208の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む軽鎖可変領域、及びii)配列番号209~211の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む重鎖可変領域を含む抗CD22結合部分と、b)第2の抗原結合部分と、を含んでいてもよい。別の実施形態では、多重特異性抗CD22抗体は、a)i)配列番号214~216の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む軽鎖可変領域、及びii)配列番号209、210、及び217の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む重鎖可変領域を含む抗CD22結合部分と、b)第2の抗原結合部分と、を含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、多重特異性抗CD22抗体は、例えば、ダイアボディ(Db)、一本鎖ダイアボディ(scDb)、タンデムscDb(Tandab)、線状二量体scDb(LD-scDb)、環状二量体scDb(CD-scDb)、ジダイアボディ、タンデムscFv、タンデムジscFv(例えば、二重特異性T細胞エンゲージャ)、タンデムトリscFv、トリ(ア)ボディ、二重特異性Fab2、ジミニ抗体、テトラボディ、scFv-Fc-scFv融合体、二重親和性再標的化(DART)抗体、二重可変ドメイン(DVD)抗体、IgG-scFab、scFab-ds-scFv、Fv2-Fc、IgG-scFv融合体、ドックアンドロック(DNL)抗体、ノブ・イントゥ・ホール(KiH)抗体(KiH技術により調製される二重特異性IgG)、デュオボディ(デュオボディ技術により調製される二重特異性IgG)、ヘテロマルチマー抗体、又はヘテロ結合抗体である。いくつかの実施形態では、多重特異性抗CD22抗体は、タンデムscFv(例えば、二重特異性T細胞エンゲージャなどのタンデムジscFv)である。
タンデムscFv
いくつかの実施形態では、多重特異性抗CD22抗体は、抗CD22結合部分を含む第1のscFvと、第2のscFvと、を含む、タンデムscFv(本明細書では、「タンデムscFv多重特異性抗CD22抗体」とも称される)である。いくつかの実施形態では、タンデムscFv多重特異性抗CD22抗体は、少なくとも1つ(例えば、少なくとも約2、3、4、5、又はそれ以上のいずれか)の追加のscFvを更に含む。
いくつかの実施形態では、a)CD22の細胞外領域に特異的に結合する第1のscFvと、b)第2のscFvと、を含む、タンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗CD22抗体が提供される。いくつかの実施形態では、第1のscFvは、それぞれ配列番号206~208の配列のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3、並びに配列番号212の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列を有する軽鎖可変領域と、それぞれ配列番号209~211の配列のHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3、並びに配列番号213の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列を有する重鎖可変領域と、を含み、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、リンカー(例えば、SRGGGGSGGGGSGGGGSLEMA(配列番号233))を介して互いに結合されている。いくつかの実施形態では、第1のscFvは、リンカー(例えば、SRGGGGSGGGGSGGGGSLEMA(配列番号233))を介して互いに結合された、配列番号212の軽鎖可変領域配列と、配列番号213の重鎖可変領域配列と、を含む。第1のscFvは、CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に結合していてもよい。
いくつかの実施形態では、a)CD22の細胞外領域に特異的に結合する第1のscFvと、b)第2のscFvと、を含む、タンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗CD22抗体が提供される。いくつかの実施形態では、第1のscFvは、それぞれ配列番号214~216の配列のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3、並びに配列番号218の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列を有する軽鎖可変領域と、それぞれ配列番号209、210、及び217の配列のHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3、並びに配列番号219の配列に対して少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列を有する重鎖可変領域と、を含み、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、リンカー(例えば、SRGGGGSGGGGSGGGGSLEMA(配列番号233))を介して互いに結合されている。いくつかの実施形態では、第1のscFvは、リンカー(例えば、SRGGGGSGGGGSGGGGSLEMA(配列番号233))を介して互いに結合された、配列番号218の軽鎖可変領域配列と、配列番号219の重鎖可変領域配列と、を含む。第1のscFvは、CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に結合していてもよい。
いくつかの実施形態では、第2のscFvは、別の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、CD22提示細胞などの癌細胞の表面上の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、CD22を発現しない細胞の表面上の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、細胞傷害性細胞の表面上の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、T細胞、NK細胞、好中球、単球、マクロファージ、又は樹状細胞などのリンパ球の表面上の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、細胞傷害性T細胞などのエフェクタT細胞の表面上の抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、例えば、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD28、CD16a、CD56、CD68、GDS2D、OX40、GITR、CD137、CD27、CD40L、及びHVEMを含む、エフェクタ細胞の表面上の抗原に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、第1のscFvは、ヒト、ヒト化、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第2のscFvは、ヒト、ヒト化、又は半合成である。いくつかの実施形態では、第1のscFv及び第2のscFvは両方とも、ヒト、ヒト化、又は半合成である。いくつかの実施形態では、タンデムscFv多重特異性抗CD22抗体は、少なくとも1つ(例えば、少なくとも約2、3、4、5、又はそれ以上のいずれか)の追加のscFvを更に含む。
いくつかの実施形態では、a)CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部分)に特異的に結合する第1のscFvと、b)第2のscFvと、を含む、タンデムscFv多重特異性(例えば、二重特異性)抗CD22抗体が提供され、タンデムscFv多重特異性抗CD22抗体は、タンデムジscFv又はタンデムトリscFvである。いくつかの実施形態では、タンデムscFv多重特異性抗CD22抗体は、タンデムジscFvである。いくつかの実施形態では、タンデムscFv多重特異性抗CD22抗体は、二重特異性T細胞エンゲージャである。
いくつかの実施形態では、タンデムジscFv二重特異性抗CD22抗体は、約0.1pM~約500nM(例えば、これらの値の任意の範囲を含む、約0.1pM、1.0pM、10pM、50pM、100pM、500pM、1nM、10nM、50nM、100nM、又は500nMのいずれか)のKdで、CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に結合する。いくつかの実施形態では、タンデムジscFv二重特異性抗CD22抗体は、約1nM~約500nM(例えば、これらの値の任意の範囲を含む、約1、10、25、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500nMのいずれか)のKdで、CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に結合する。
多重特異性抗体を設計、構築、かつ/又は生成するための様々な技術は、当該技術分野において既知である。全免疫グロブリンフレームワーク(例えば、IgG)、一本鎖可変フラグメント(scFv)、又はこれらの組み合わせのいずれかを利用する多重特異性抗体が構築されてもよい。二重特異性抗体は、上述のとおり、タンデムで2つのscFv単位で構成されていてもよい。抗腫瘍免疫療法の場合、タンデムで2つの一本鎖可変フラグメント(scFv)を含む二重特異性抗体は、腫瘍抗原に結合するscFvがT細胞と係合するscFvと連結するように、すなわち、T細胞上のCD3を結合することで、設計されてもよい。したがって、T細胞は、腫瘍細胞の殺傷を媒介するために腫瘍部位に動員される。二重特異性抗体は、例えば、同一の抗原又は異なる抗原の異なるエピトープを認識する重鎖及び/又は軽鎖を組み合わせることによって作製することができる。いくつかの実施形態では、分子機能により、二重特異性結合剤は、その2つの結合アームのうちの一方に1つの抗原(又はエピトープ)を結合し(1つのVH/VL対)、第2のアームに異なる抗原(又はエピトープ)を結合する(異なるVH/VL対)。この定義により、二重特異性結合剤は、(特異性及びCDR配列の両方において)2つの別個の抗原結合アームを有しており、また、二重特異性結合剤が結合する抗原のそれぞれに対して一価である。特定の実施形態では、本発明に係る二重特異性結合剤は、第1及び第2のscFvを含む。いくつかの特定の実施形態では、第1のscFvは、第2のscFvのC末端に連結されている。いくつかの特定の実施形態では、第2のscFvは、第1のscFvのC末端に連結されている。いくつかの特定の実施形態では、scFvは、リンカー(例えば、SRGGGGSGGGGSGGGGSLEMA(配列番号233))を介して互いに連結されている。いくつかの特定の実施形態では、scFvは、リンカーを介することなく互いに連結されている。
キメラ抗原受容体(CAR)構築物
いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、抗CD22 CARであり得る。いくつかの実施形態では、抗CD22 CARは、a)CD22の細胞外領域又はその一部(配列番号205又はその一部)に特異的に結合する抗CD22抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む。膜貫通ドメインは、細胞外ドメインと細胞内ドメインとの間に存在し得る。
抗CD22 CARの細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間、又は抗CD22 CARの細胞内ドメインと膜貫通ドメインとの間には、スペーサドメインが存在し得る。スペーサドメインは、膜貫通ドメインをポリペプチド鎖内の細胞外ドメイン又は細胞内ドメインに結合するように機能する任意のオリゴペプチド又はポリペプチドであり得る。スペーサドメインは、例えば、約10~約100個又は約25~約50個のアミノ酸を含む最大約300個のアミノ酸を含み得る。
膜貫通ドメインは、天然供給源又は合成供給源のいずれか一方に由来し得る。供給源が天然である場合、当該ドメインは、任意の膜結合タンパク質又は膜貫通タンパク質に由来し得る。本発明における特定の使用のための膜貫通領域は、T細胞受容体、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、又はCD154のα鎖、β鎖、δ鎖、γ鎖、又はζ鎖に由来し得る(すなわち、少なくともこれらの(複数の)膜貫通領域を含み得る)。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは合成であってもよく、この場合、膜貫通ドメインは、ロイシン及びバリンなどの主に疎水性残基を含み得る。いくつかの実施形態では、フェニルアラニン、トリプトファン、及びバリンのトリプレットは、合成膜貫通ドメインのそれぞれの末端に見出され得る。いくつかの実施形態では、例えば、(約2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のうちのいずれかなど)約2~約10個のアミノ酸の長さを有する、短いオリゴペプチド又はポリペプチドリンカーは、膜貫通ドメインと抗CD22 CARの細胞内シグナル伝達ドメインとの間の結合を形成し得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、グリシン-セリンダブレットである。
いくつかの実施形態では、抗CD22 CARの細胞内ドメイン内の配列のうちの1つに自然に関連付けられている膜貫通ドメインが使用される(例えば、抗CD22 CAR細胞内ドメインがCD28共刺激配列を含む場合、抗CD22 CARの膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインに由来する)。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるために、同じ又は異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのかかるドメインの結合を回避するように、アミノ酸置換により選択又は修飾され得る。
抗CD22 CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、抗CD22 CARが配置された免疫細胞の正常なエフェクタ機能のうちの少なくとも1つの活性化に関与する。T細胞のエフェクタ機能は、例えば、サイトカインの分泌を含む細胞溶解活性又はヘルパー活性であり得る。したがって、用語「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、エフェクタ機能のシグナルを伝達し、細胞に特殊機能を実行するように誘導するタンパク質の一部を指す。通常、細胞内シグナル伝達ドメイン全体を用いることができるが、多くの場合、全鎖を使用する必要はない。細胞内シグナル伝達ドメインの切断された一部が使用される範囲では、かかる切断された一部は、エフェクタ機能のシグナルを伝達する限り、無傷鎖の代わりに使用してもよい。したがって、用語「細胞内シグナル伝達配列」は、エフェクタ機能のシグナルを伝達するのに十分な細胞内シグナル伝達ドメインの任意の切断された一部を含むことを意味する。
本発明の抗CD22 CARで使用するための細胞内シグナル伝達ドメインの例としては、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列、及び抗原受容体のエンゲージメント後のシグナル伝達を開始するように協力して機能する共受容体の細胞質配列、並びにこれらの配列の任意の誘導体又は変異体、並びに同一の機能を有する任意の合成配列が挙げられる。
TCR単独によって生成されたシグナルでは、T細胞の完全な活性化に不十分であり、二次シグナル又は共刺激シグナルも必要とされることが既知である。したがって、T細胞活性化は、2つの別個の部類の細胞内シグナル伝達配列、すなわち、TCRによって抗原依存的一次活性化を開始させる配列(一次シグナル伝達配列)、及び抗原非依存的に作用して、二次シグナル又は共刺激シグナルを提供する配列(共刺激シグナル伝達配列)によって介在されると言うことができる。
一次シグナル伝達配列は、刺激的手法又は阻害的手法のいずれか一方で、TCR複合体の一次活性化を調節する。刺激的様式で機能する一次シグナル伝達配列は、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ、すなわち、ITAMとして既知であるシグナル伝達モチーフを含有し得る。いくつかの実施形態では、抗CD22 CAR構築物は、1つ以上のITAMを含む。
本発明で特に使用される一次シグナル伝達配列を含有するITAMの例としては、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、及びCD66dに由来するものが挙げられる。
いくつかの実施形態では、抗CD22 CARは、CD3ζ由来の一次シグナル伝達配列を含む。例えば、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、それ自体がCD3ζ細胞内シグナル伝達配列を含んでもよいか、あるいは本発明の抗CD22 CARとの関連で有用な任意の他の所望の細胞内シグナル伝達配列(複数可)と組み合わせられてもよい。例えば、抗CD22 CARの細胞内ドメインは、CD3ζ細胞内シグナル伝達配列及び共刺激シグナル伝達配列を含んでもよい。共刺激シグナル伝達配列は、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む共刺激分子の細胞内ドメインの一部であってもよい。
いくつかの実施形態では、抗CD22 CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28の細胞内シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、抗CD22 CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及び4-1BBの細胞内シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、抗CD22 CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζの細胞内シグナル伝達配列及びCD28及び4-1BBの細胞内シグナル伝達配列を含む。
したがって、例えば、いくつかの実施形態では、a)CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に特異的に結合する抗CD22抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む抗CD22 CARが提供される。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、免疫細胞を活性化することができる。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達配列及び共刺激シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、一次シグナル伝達配列は、CD3ζ細胞内シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達配列は、CD28及び/又は4-1BB細胞内シグナル伝達配列を含む。いくつかの実施形態では、細胞内ドメインは、CD3ζ細胞内シグナル伝達配列、並びにCD28及び/又は4-1BB細胞内シグナル伝達配列を含む。
いくつかの実施形態では、抗CD22 CARは、i)それぞれ配列番号206~208の配列を有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む軽鎖可変領域と、ii)それぞれ配列番号209~211の配列を有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む重鎖可変領域と、を含む、抗CD22抗体部分を含む。他の実施形態では、抗CD22 CARは、i)それぞれ配列番号206~208の配列のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号212の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列と、を有する軽鎖可変領域と、ii)それぞれ配列番号209~211の配列のHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、配列番号213の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列と、を有する重鎖可変領域と、を含む、抗CD22抗体部分を含み、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、リンカーを介して互いに結合されている。
いくつかの実施形態では、抗CD22 CARは、i)それぞれ配列番号214~216の配列を有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む軽鎖可変領域と、ii)それぞれ配列番号209、210、及び217の配列を有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む重鎖可変領域と、を含む、抗CD22抗体部分を含む。他の実施形態では、抗CD22 CARは、i)配列番号214~216の配列のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号218の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列と、を有する軽鎖可変領域と、ii)配列番号209、210、及び217の配列のHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、配列番号219の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列と、を有する重鎖可変領域と、を含む、抗CD22抗体部分を含み、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、リンカーを介して互いに結合されている。
キメラ抗体-T細胞受容体(caTCR)構築物
いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、キメラ抗体-T細胞受容体構築物(本明細書では「caTCR」と称される)であり、抗CD22キメラ抗体-T細胞受容体は、抗CD22 caTCRである。いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRは、a)CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に特異的に結合する抗CD22抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含む。
いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRは、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、共有結合(例えば、ペプチド結合又は他の化学結合)又は非共有結合によって連結されている。いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRは、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖を含むヘテロ二量体である。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって連結されている。抗CD22 caTCRの特異性は、CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に対する結合特異性を付与する抗体部分に由来する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab様抗原結合モジュールである。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fv様抗原結合モジュールである。いくつかの実施形態では、抗体部分は、scFvである。TCR関連シグナル伝達モジュールを動員するための抗CD22 caTCRの機能は、T細胞受容体モジュール(TCRM)に由来する。いくつかの実施形態では、TCRMは、TCR(αβTCR又はγδTCRなど)の膜貫通モジュールを含む。いくつかの実施形態では、TCRMは、TCRの結合ペプチド又はそのフラグメントのうちの一方又は両方を更に含む。いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRは、少なくとも1つの細胞内ドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRの少なくとも1つの細胞内ドメインのうちの1つ以上は、TCRの細胞内ドメインからの配列を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、抗CD22 caTCRの細胞外ドメインに含有される。いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRは、抗体部分とTCRMとの間に1つ以上のペプチドリンカーを更に含んで、細胞外ドメインの長さを最適化する。
いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に特異的に結合するFab様抗原結合モジュールであり、a)VH抗体ドメイン及びCH1抗体ドメインを含む第1の抗原結合領域を含む第1のポリペプチド鎖と、b)VL抗体ドメイン及びCL抗体ドメインを含む第2の抗原結合領域を含む第2のポリペプチド鎖と、を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合領域は、CH1抗体ドメインに対するVH抗体ドメインアミノ末端を含み、かつ/又は第2の抗原結合領域は、CL抗体ドメインに対するVL抗体ドメインアミノ末端を含む。いくつかの実施形態では、VL抗体ドメインとCL抗体ドメインとの間にペプチドリンカーが存在し、かつ/又はVH抗体ドメインとCH1抗体ドメインとの間にペプチドリンカーが存在する。いくつかの実施形態では、VL抗体ドメイン及びVH抗体ドメインのCDRの全ては、同じ抗体部分に由来する。いくつかの実施形態では、VL抗体ドメイン及びVH抗体ドメインは、2つ以上の抗体部分に由来する抗体CDRを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、共有結合(例えば、ペプチド結合又は他の化学結合)又は非共有結合によって連結されている。いくつかの実施形態では、第1及び第2の抗原結合領域は、ジスルフィド結合によって結合されている。いくつかの実施形態では、第1及び第2の抗原結合領域は、CH1ドメイン内の残基とCLドメイン内の残基との間のジスルフィド結合によって結合されている。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)重鎖に由来し、任意選択的にヒトに由来する。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、由来する配列と比較して、1つ以上の修飾(例えば、アミノ酸の置換、挿入、及び/又は欠失)を含む変異体である。いくつかの実施形態では、CLドメインは、κアイソタイプ又はλアイソタイプの軽鎖に由来する。いくつかの実施形態では、CLドメインは、由来する配列と比較して、1つ以上の修飾(例えば、アミノ酸の置換、挿入、及び/又は欠失)を含む変異体である。いくつかの実施形態では、CH1及び/又はCLドメインは、互いに対する結合親和性を実質的に変更しない1つ以上の修飾を含む。いくつかの実施形態では、CH1及び/若しくはCLドメインは、互いに対する結合親和性を増加させ、かつ/又は天然に存在しないジスルフィド結合を導入する1つ以上の修飾を含む。いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、ヒト、ヒト化、キメラ、半合成、又は完全合成である。
いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に特異的に結合するFab様抗原結合モジュールであり、VL抗体ドメイン及びCH1抗体ドメインを含む第1の抗原結合領域を含む第1のポリペプチド鎖と、b)VH抗体ドメイン及びCL抗体ドメインを含む第2の抗原結合領域を含む第2のポリペプチド鎖と、を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合領域は、CH1抗体ドメインに対するVL抗体ドメインアミノ末端を含み、かつ/又は第2の抗原結合領域は、CL抗体ドメインに対するVH抗体ドメインアミノ末端を含む。いくつかの実施形態では、VH抗体ドメインとCL抗体ドメインとの間にペプチドリンカーが存在し、かつ/又はVL抗体ドメインとCH1抗体ドメインとの間にペプチドリンカーが存在する。いくつかの実施形態では、VL抗体ドメイン及びVH抗体ドメインのCDRの全ては、同じ抗体部分に由来する。いくつかの実施形態では、VL抗体ドメイン及びVH抗体ドメインは、2つ以上の抗体部分に由来する抗体CDRを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、共有結合(例えば、ペプチド結合又は他の化学結合)又は非共有結合によって連結されている。いくつかの実施形態では、第1及び第2の抗原結合領域は、ジスルフィド結合によって結合されている。いくつかの実施形態では、第1及び第2の抗原結合領域は、CH1ドメイン内の残基とCLドメイン内の残基との間のジスルフィド結合によって結合されている。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)重鎖に由来し、任意にヒトに由来する。いくつかの実施形態では、CH1ドメインは、由来する配列と比較して、1つ以上の修飾(例えば、アミノ酸の置換、挿入、及び/又は欠失)を含む変異体である。いくつかの実施形態では、CLドメインは、κ又はλアイソタイプの軽鎖に由来する。いくつかの実施形態では、CLドメインは、由来する配列と比較して、1つ以上の修飾(例えば、アミノ酸の置換、挿入、及び/又は欠失)を含む変異体である。いくつかの実施形態では、CH1及び/又はCLドメインは、互いに対する結合親和性を実質的に変更しない1つ以上の修飾を含む。いくつかの実施形態では、CH1及び/若しくはCLドメインは、互いに対する結合親和性を増加させ、かつ/又は天然に存在しないジスルフィド結合を導入する1つ以上の修飾を含む。いくつかの実施形態では、Fab様抗原結合モジュールは、ヒト、ヒト化、キメラ、半合成、又は完全合成である。
いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に特異的に結合するFv様抗原結合モジュールであり、a)VH抗体ドメインと、任意選択的に、T細胞受容体サブユニットからの第1のTCR定常ドメインと、を含む第1の抗原結合領域を含む、第1のポリペプチド鎖と、b)VL抗体ドメインと、任意選択的に、T細胞受容体サブユニットからの第2のTCR定常ドメインと、を含む第2の抗原結合領域を含む、第2のポリペプチド鎖と、を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗原結合領域は、第1のTCR定常ドメインに対するVH抗体ドメインアミノ末端を含み、かつ/又は第2の抗原結合領域は、第2のTCR定常ドメインに対するVL抗体ドメインアミノ末端を含む。いくつかの実施形態では、VL抗体ドメインと第1のTCR定常ドメインとの間にペプチドリンカーが存在し、かつ/又はVH抗体ドメインと第2のTCR定常ドメインとの間にペプチドリンカーが存在する。いくつかの実施形態では、VL抗体ドメイン及びVH抗体ドメインのCDRの全ては、同じ抗体部分に由来する。いくつかの実施形態では、VL抗体ドメイン及びVH抗体ドメインは、2つ以上の抗体部分に由来する抗体CDRを含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、共有結合(例えば、ペプチド結合又は他の化学結合)又は非共有結合によって連結されている。いくつかの実施形態では、第1及び第2の抗原結合領域は、ジスルフィド結合によって結合されている。いくつかの実施形態では、第1及び第2の抗原結合領域は、第1のTCR定常ドメイン内の残基と第2のTCR定常ドメイン内の残基との間のジスルフィド結合によって結合されている。いくつかの実施形態では、第1のTCR定常ドメインは、TCRαサブユニットに由来し、任意選択的にヒトに由来し、かつ/又は第2のTCR定常ドメインは、TCRβサブユニットに由来し、任意選択的にヒトに由来する。いくつかの実施形態では、第1のTCR定常ドメインは、TCRδサブユニットに由来し、任意選択的にヒトに由来し、かつ/又は第2のTCR定常ドメインは、TCRγサブユニットに由来し、任意選択的にヒトに由来する。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のTCR定常ドメインは、由来する配列と比較して、1つ以上の修飾(例えば、アミノ酸の置換、挿入、及び/又は欠失)を含む変異体である。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のTCR定常ドメインは、互いに対する結合親和性を実質的に変更しない1つ以上の修飾を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/若しくは第2のTCR定常ドメインは、互いに対する結合親和性を増加させ、かつ/又は天然に存在しないジスルフィド結合を導入する1つ以上の修飾を含む。いくつかの実施形態では、Fv様抗原結合モジュールは、ヒト、ヒト化、キメラ、半合成、又は完全合成である。
いくつかの実施形態では、抗体部分は、CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に特異的に結合するscFvであり、a)VH抗体ドメイン及びVL抗体ドメインを含むポリペプチド鎖を含む。いくつかの実施形態では、scFvは、VL抗体ドメインに対するVH抗体ドメインアミノ末端を含む。いくつかの実施形態では、scFvは、VH抗体ドメインに対するVL抗体ドメインアミノ末端を含む。いくつかの実施形態では、VL抗体ドメインとVH抗体ドメインとの間にペプチドリンカーが存在する。いくつかの実施形態では、VL抗体ドメイン及びVH抗体ドメインのCDRの全ては、同じ抗体部分に由来する。いくつかの実施形態では、VL抗体ドメイン及びVH抗体ドメインは、2つ以上の抗体部分に由来する抗体CDRを含む。いくつかの実施形態では、scFvは、ヒト、ヒト化、キメラ、半合成、又は完全合成である。
いくつかの実施形態では、TCRMは、a)第1の膜貫通ドメインを含む第1のT細胞受容体ドメイン(T cell receptor domain、TCRD)を含む第1のポリペプチド鎖と、b)第2の膜貫通ドメインを含む第2のTCRDを含む第2のポリペプチド鎖と、を含む。いくつかの実施形態では、第1の膜貫通ドメインは、第1のTCRサブユニットの膜貫通ドメインであり、かつ/又は第2の膜貫通ドメインは、第2のTCRサブユニットの膜貫通ドメインである。いくつかの実施形態では、第1のTCRサブユニットは、TCRα鎖(例えば、GenBank Accession No.CCI73895)であり、第2のTCRサブユニットはTCRβ鎖(例えば、GenBank Accession No.CCI73893)である。いくつかの実施形態では、第1のTCRサブユニットは、TCRβ鎖であり、第2のTCRサブユニットは、TCRα鎖である。いくつかの実施形態では、第1のTCRサブユニットは、TCRγ鎖(例えば、GenBank Accession No.AGE91788)であり、第2のTCRサブユニットは、TCRδ鎖(例えば、GenBank Accession No.AAQ57272)である。いくつかの実施形態では、第1のTCRサブユニットは、TCRδ鎖であり、第2のTCRサブユニットは、TCRγ鎖である。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、膜貫通ドメインに対する第1の結合ペプチドアミノ末端を更に含み、かつ/又は第2のTCRDは、膜貫通ドメインに対する第2の結合ペプチドアミノ末端を更に含む。いくつかの実施形態では、第1の結合ペプチドは、第1のTCRサブユニットの結合ペプチドの全て若しくは一部を含み、かつ/又は第2の結合ペプチドは、第2のTCRサブユニットの結合ペプチドの全て若しくは一部を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1の膜貫通ドメインに対する第1のTCR細胞内ドメインのカルボキシ末端を更に含み、かつ/又は第2のTCRDは、第2の膜貫通ドメインに対する第2のTCR細胞内ドメインのカルボキシ末端を更に含む。いくつかの実施形態では、第1のTCR細胞内ドメインは、第1のTCRサブユニットの細胞内ドメインの全て若しくは一部を含み、かつ/又は第2のTCR細胞内ドメインは、第2のTCRサブユニットの細胞内ドメインの全て若しくは一部を含む。いくつかの実施形態では、第1のTCRDは、第1のTCRサブユニットのフラグメントであり、かつ/又は第2のTCRDは、第2のTCR鎖のフラグメントである。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、共有結合(例えば、ペプチド結合又は他の化学結合)又は非共有結合によって連結されている。いくつかの実施形態では、第1及び第2のTCRDは、ジスルフィド結合によって結合されている。いくつかの実施形態では、第1及び第2のTCRDは、第1の結合ペプチド中の残基と第2の結合ペプチド中の残基との間のジスルフィド結合によって結合されている。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びCD3ζからなる群から選択される少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達モジュールを動員することができる。いくつかの実施形態では、TCRMは、CD3δε、CD3γε、及びCD3ζのそれぞれを動員して、八量体型抗CD22 caTCR-CD3複合体を形成することができる(すなわち、抗CD22 caTCR-CD3複合体形成を促進する)。
いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRは、TCRMに対する(CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に特異的に結合する)抗体部分の融合体を含む分子である。いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRは、TCRMの第1のポリペプチド鎖に対するFab様又はFv様抗原結合モジュールアミノ末端の第1のポリペプチド鎖の融合体であって、それにより、抗CD22 caTCRの第1のポリペプチド鎖を形成する、融合体と、TCRMの第2のポリペプチド鎖に対するFab様又はFv様抗原結合モジュールアミノ末端の第2のポリペプチド鎖の融合体であって、それにより、抗CD22 caTCRの第2のポリペプチド鎖を形成する、融合体と、を含む。いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRは、TCRMの第1又は第2のポリペプチド鎖に対するscFvアミノ末端の融合体を含む。いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRは、Fab様若しくはFv様抗原結合モジュールの第1のポリペプチド鎖と、TCRMの第1のポリペプチド鎖との間のペプチドリンカー、及び/又はFab様若しくはFv様抗原結合モジュールの第2のポリペプチド鎖と、TCRMの第2のポリペプチド鎖との間のペプチドリンカーを更に含む。いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRは、scFvと、TCRMの第1又は第2のポリペプチド鎖との間にペプチドリンカーを更に含む。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーの長さは、(値の間の任意の範囲を含む約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、又は70個のうちのいずれかなどの)約5~約70個のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRの第1のポリペプチド鎖は、アミノ末端の第1のシグナルペプチドを更に含み、かつ/又は抗CD22 caTCRの第2のポリペプチド鎖は、アミノ末端の第2のシグナルペプチドを更に含む。いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRの第1のポリペプチド鎖は、第1の膜貫通ドメインに対する第1のアクセサリ細胞内ドメインのカルボキシ末端を更に含み、かつ/又は抗CD22 caTCRの第2のポリペプチド鎖は、第2の膜貫通ドメインに対する第2のアクセサリ細胞内ドメインのカルボキシ末端を更に含む。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のアクセサリ細胞内ドメインは、TCR共刺激ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRの第1及び第2のポリペプチド鎖は、共有結合(例えば、ペプチド結合又は他の化学結合)又は非共有結合などによって結合されている。いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRは、ヘテロダイマーである。
したがって、例えば、いくつかの実施形態では、a)CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に特異的に結合する抗CD22抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含む、抗CD22 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab様抗原結合モジュールである。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fv様抗原結合モジュールである。いくつかの実施形態では、抗体部分は、scFvである。
いくつかの実施形態では、a)i)それぞれ配列番号206~208の配列を有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む軽鎖可変領域と、ii)それぞれ配列番号209~211の配列を有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む重鎖可変領域と、を含む、CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に特異的に結合する抗CD22抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含む、抗CD22 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)i)それぞれ配列番号206~208の配列のLC CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号212の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列と、を有する軽鎖可変領域と、ii)それぞれ配列番号209~211の配列のHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、配列番号213の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列と、を有する重鎖可変領域と、を含む、CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に特異的に結合する抗CD22抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含む、抗CD22 caTCRが提供され、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、リンカーを介して互いに結合されている。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab様抗原結合モジュールである。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fv様抗原結合モジュールである。いくつかの実施形態では、抗体部分は、scFvである。
いくつかの実施形態では、a)i)それぞれ配列番号214~216の配列を有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む軽鎖可変領域と、ii)それぞれ配列番号209、210、及び217の配列を有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む重鎖可変領域と、を含む、CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に特異的に結合する抗CD22抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含む、抗CD22 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、a)i)それぞれ配列番号214~216の配列のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号218の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列と、を有する軽鎖可変領域と、ii)それぞれ配列番号209、210、及び217の配列のHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、配列番号219の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列と、を有する重鎖可変領域と、を含む、CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に特異的に結合する抗CD22抗体部分を含む細胞外ドメインであって、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、リンカーを介して互いに結合されている、細胞外ドメインと、b)少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達モジュールを動員することができるT細胞受容体モジュール(TCRM)と、を含む、抗CD22 caTCRが提供される。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab様抗原結合モジュールである。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fv様抗原結合モジュールである。いくつかの実施形態では、抗体部分は、scFvである。
いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、キメラシグナル伝達受容体(CSR)である。例えば、CSRは、(a)本明細書に記載の抗CD22抗体部分(例えば、配列番号218の配列を有する軽鎖可変領域と、配列番号219の配列を有する重鎖可変領域と、を含む、抗CD22抗体部分、又は配列番号212の配列を有する軽鎖可変領域と、配列番号213の配列を有する重鎖可変領域と、を含む、抗CD22抗体部分)と、(b)膜貫通モジュールと、(c)CSRが機能的一次免疫細胞シグナル伝達ドメインを欠失している免疫細胞に共刺激シグナルを提供することができる共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールと、を含み得る。いくつかの実施形態では、CSRは、caTCR又はCAR(例えば、CD22を特異的に標的とするcaTCR又はCAR)と組み合わせて使用される。
キメラ共刺激受容体(CSR)構築物
本明細書に記載されるリガンド特異性キメラ共刺激受容体(CSR)は、標的リガンド(細胞表面抗原又はペプチド/MHC複合体など)に特異的に結合し、標的リガンド結合の際、機能的に発現される表面上の免疫細胞を刺激することができる。CSRは、リガンド結合特異性を提供するリガンド結合モジュールと、膜貫通モジュールと、免疫細胞の刺激を可能にする共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールと、を含む。CSRは、機能的一次免疫細胞シグナル伝達配列を欠失している。いくつかの実施形態では、CSRは、任意の一次免疫細胞シグナル伝達配列を欠失している。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合モジュールと、膜貫通モジュールと、共刺激シグナル伝達モジュールと、を含む、単一のポリペプチド鎖を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖を含み、第1及び第2のポリペプチド鎖は共に、リガンド結合モジュール、膜貫通モジュール、及び共刺激シグナル伝達モジュールを形成する。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、別個のポリペプチド鎖であり、CSRは、ダイマーなどのマルチマーである。いくつかの実施形態では、第1及び第2のポリペプチド鎖は、ペプチド結合によって、又はジスルフィド結合などの別の化学結合によって、共有結合されている。いくつかの実施形態では、第1のポリペプチド鎖及び第2のポリペプチド鎖は、少なくとも1つのジスルフィド結合によって連結されている。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞におけるCSRの発現は誘導性である。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞におけるCSRの発現は、caTCRを介したシグナル伝達時に誘導性である。CSRの更なる説明は、参照によりその全体が本明細書に援用されている、2017年4月26日に出願された米国特許出願第62/490,578号に見出すことができる。
本発明のCSRで使用するため共刺激免疫細胞シグナル伝達ドメインの例としては、caTCRのエンゲージメント後のシグナル伝達を開始するように協力して機能することができるT細胞受容体(TCR)の共受容体の細胞質配列、並びにこれらの配列の任意の誘導体又は変異体、並びに同一の機能を有する任意の合成配列が挙げられる。
TCR単独によって生成されたシグナルでは、T細胞の完全な活性化に不十分であり、二次シグナル又は共刺激シグナルも必要とされることが既知である。したがって、T細胞活性化は、2つの別個の部類の細胞内シグナル伝達配列、すなわち、TCRによって抗原依存的一次活性化を開始させる配列(本明細書では「初代T細胞シグナル伝達配列」と称する)、及び抗原非依存的に作用して、二次シグナル又は共刺激シグナルを提供する配列(本明細書では「共刺激T細胞シグナル伝達配列」と称する)によって介在されると言うことができる。
刺激的様式で機能する一次免疫細胞シグナル伝達配列は、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ、すなわち、ITAMとして既知であるシグナル伝達モチーフを含有し得る。ITAM含有一次免疫細胞シグナル伝達配列の例としては、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、及びCD66dに由来する配列が挙げられる。「機能的」一次免疫細胞シグナル伝達配列は、適切な受容体に動作可能に結合されたときに免疫細胞活性化シグナルを伝達することができる配列である。一次免疫細胞シグナル伝達配列のフラグメント又は変異体を含み得る「非機能的」一次免疫細胞シグナル伝達配列は、免疫細胞活性化シグナルを伝達することができない。本明細書に記載のCSRは、ITAMを含む機能的シグナル伝達配列などの機能的一次免疫細胞シグナル伝達配列を欠失している。いくつかの実施形態では、CSRは、任意の一次免疫細胞シグナル伝達配列を欠失している。
共刺激免疫細胞シグナル伝達配列は、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む共刺激分子の細胞内ドメインの一部であり得る。
いくつかの実施形態では、標的リガンドは、細胞表面抗原である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されるcaTCRの標的抗原と同一である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されるcaTCRの標的抗原とは異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、標的抗原を提示する細胞の表面上に提示される分子である。例えば、いくつかの実施形態では、caTCRの標的抗原は、癌細胞上に提示される癌関連抗原であり、標的リガンドは、インテグリンなどの癌細胞の表面上に発現される偏在する分子である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、癌関連リガンドである。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、例えば、CD19、CD20、CD47、IL4、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、及びPSAを含むタンパク質に由来するペプチドを含むペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ウイルス関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、免疫チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、PD-L1、PD-L2、CD80、CD86、ICOSL、B7-H3、B7-H4、HVEM、4-1BBL、OX40L、CD70、CD40、及びGAL9を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、アポトーシス分子である。いくつかの実施形態では、アポトーシス分子は、FasL、FasR、TNFR1、及びTNFR2を含む。
いくつかの実施形態では、リガンド結合モジュールは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は一本鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、細胞表面抗原、例えば、CD22と特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CDR又はCD22に特異的な抗体部分の可変ドメイン(VHドメイン及び/又はVLドメイン)(例えば、配列番号219のアミノ酸配列を含む、配列番号219のアミノ酸配列から本質的になる、若しくは配列番号219のアミノ酸配列からなる、VHドメイン、及び/又は配列番号218のアミノ酸配列を含む、配列番号218のアミノ酸配列から本質的になる、若しくは配列番号218のアミノ酸配列からなる、VLドメイン、又はその中に含まれるCDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、CDR又はCD22に特異的な抗体部分の可変ドメイン(VHドメイン及び/又はVLドメイン)(例えば、配列番号213のアミノ酸配列を含む、配列番号213のアミノ酸配列から本質的になる、若しくは配列番号213のアミノ酸配列からなるVHドメイン、及び/又は配列番号212のアミノ酸配列を含む、配列番号212のアミノ酸配列から本質的になる、若しくは配列番号212のアミノ酸配列からなるVLドメイン、又はその中に含まれるCDR)を含む。
いくつかの実施形態では、膜貫通モジュールは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、又はCD154に由来する1つ以上の膜貫通ドメインを含む。
いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達モジュールは、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む、免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、全て又は一部から本質的になるか、あるいは全て又は一部からなる。
いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合モジュール、膜貫通モジュール、及び共刺激シグナル伝達モジュールのうちのいずれかの間にスペーサモジュールを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサモジュールは、2つのCSRモジュールを結合する1つ以上のペプチドリンカーを含む。いくつかの実施形態では、スペーサモジュールは、(値の間の任意の範囲を含む約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、又は70個のうちのいずれかなどの)約5~約70個のアミノ酸の長さの1つ以上のペプチドリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、リガンド結合モジュール(抗体部分など)は、a)他の分子に対する結合親和性の約少なくとも10倍(例えば、少なくとも約10、20、30、40、50、75、100、200、300、400、500、750、1000倍以上のうちのいずれかを含む)の親和性、又はb)他の分子に結合するためのKdの約1/10倍以下(例えば、約1/10、1/20、1/30、1/40、1/50、1/75、1/100、1/200、1/300、1/400、1/500、1/750、1/1000倍以下のうちのいずれかなど)のKdで標的抗原に特異的に結合する。結合親和性は、ELISA、蛍光活性化細胞選別(FACS)分析、又は放射線免疫沈降アッセイ(radioimmunoprecipitation assay、RIA)などの当該技術分野において既知の方法によって判定することができる。Kdは、例えば、Biacore機器、又は例えば、Sapidyne機器を利用する結合平衡除外法(kinetic exclusion assay、KinExA)を利用する表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance、SPR)アッセイなどの当該技術分野において既知の方法によって判定することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、標的リガンド(例えば、CD22)と特異的に結合し、a)標的リガンド結合ドメイン(ligand-binding domain、LBD)と、b)膜貫通ドメインと、c)共刺激シグナル伝達ドメインと、を含み、CSRは、標的リガンド結合の際に機能的に発現される表面上の免疫細胞を刺激することができる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、細胞表面抗原である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されるcaTCRの標的抗原と同一である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されるcaTCRの標的抗原とは異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、癌関連リガンドである。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、例えば、CD19、CD20、CD47、IL4、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、及びPSAを含むタンパク質に由来するペプチドを含むペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ウイルス関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、免疫チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、PD-L1、PD-L2、CD80、CD86、ICOSL、B7-H3、B7-H4、HVEM、4-1BBL、OX40L、CD70、CD40、及びGAL9を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、アポトーシス分子である。いくつかの実施形態では、アポトーシス分子は、FasL、FasR、TNFR1、及びTNFR2を含む。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は一本鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、標的リガンドの受容体の細胞外ドメインの全て又は一部である(あるいは全て又は一部に由来する)。いくつかの実施形態では、受容体は、例えば、FasR、TNFR1、TNFR2、PD-1、CD28、CTLA-4、ICOS、BTLA、KIR、LAG-3、4-1BB、OX40、CD27、及びTIM-3を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、又はCD154を含む膜貫通タンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、膜貫通タンパク質のフラグメント(fTMP)を含み、fTMPは、CSR膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む、免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、全て又は一部から本質的になるか、あるいは全て又は一部からなる。いくつかの実施形態では、CSRは、免疫細胞共刺激分子のフラグメント(fCSM)を含み、fCSMは、CSR膜貫通ドメイン及びCSR共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び共刺激シグナル伝達ドメインのうちのいずれかの間にスペーサドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサドメインは、2つのCSRドメインを結合するペプチドリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、標的リガンド(例えば、CD22)と特異的に結合し、a)標的リガンド結合ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)共刺激シグナル伝達ドメインと、を含み、標的リガンドは、細胞表面抗原であり、CSRは、標的リガンド結合時に機能的に発現される表面上の免疫細胞を刺激することができる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されるcaTCRの標的抗原と同一である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されるcaTCRの標的抗原とは異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、癌関連リガンドである。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、例えば、CD19、CD20、CD47、IL4、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ウイルス関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、免疫チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、PD-L1、PD-L2、CD80、CD86、ICOSL、B7-H3、B7-H4、HVEM、4-1BBL、OX40L、CD70、CD40、及びGAL9を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、アポトーシス分子である。いくつかの実施形態では、アポトーシス分子は、FasL、FasR、TNFR1、及びTNFR2を含む。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は一本鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、標的リガンドの受容体の細胞外ドメインの全て又は一部である(あるいは全て又は一部に由来する)。いくつかの実施形態では、受容体は、例えば、FasR、TNFR1、TNFR2、PD-1、CD28、CTLA-4、ICOS、BTLA、KIR、LAG-3、4-1BB、OX40、CD27、及びTIM-3を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、又はCD154を含む膜貫通タンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、膜貫通タンパク質のフラグメント(fTMP)を含み、fTMPは、CSR膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む、免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、全て又は一部から本質的になるか、あるいは全て又は一部からなる。いくつかの実施形態では、CSRは、免疫細胞共刺激分子のフラグメント(fCSM)を含み、fCSMは、CSR膜貫通ドメイン及びCSR共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び共刺激シグナル伝達ドメインのうちのいずれかの間にスペーサドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサドメインは、2つのCSRドメインを結合するペプチドリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、標的リガンド(例えば、CD22)に特異的に結合し、a)標的リガンド結合ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)共刺激シグナル伝達ドメインと、を含み、標的リガンドは、ペプチド/MHC複合体であり、CSRは、標的リガンド結合時に機能的に発現される表面上の免疫細胞を刺激することができる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されるcaTCRの標的抗原と同一である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されるcaTCRの標的抗原とは異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、癌関連リガンドである。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、及びPSAを含むタンパク質に由来するペプチドを含むペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ウイルス関連リガンドである。いくつかの実施形態では、リガンド結合ドメインは、抗体部分である。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は一本鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、又はCD154を含む膜貫通タンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、膜貫通タンパク質のフラグメント(fTMP)を含み、fTMPは、CSR膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む、免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、全て又は一部から本質的になるか、あるいは全て又は一部からなる。いくつかの実施形態では、CSRは、免疫細胞共刺激分子のフラグメント(fCSM)を含み、fCSMは、CSR膜貫通ドメイン及びCSR共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び共刺激シグナル伝達ドメインのうちのいずれかの間にスペーサドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサドメインは、2つのCSRドメインを結合するペプチドリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、標的リガンド(例えば、CD22)に特異的に結合し、a)標的リガンド結合ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)共刺激シグナル伝達ドメインと、を含み、リガンド結合ドメインは、抗体部分であり、CSRは、標的リガンド結合の際、機能的に発現される表面上の免疫細胞を刺激することができる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、細胞表面抗原である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されるcaTCRの標的抗原と同一である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されるcaTCRの標的抗原とは異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、癌関連リガンドである。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、例えば、CD19、CD20、CD47、IL4、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、WT-1、AFP、HPV16-E7、NY-ESO-1、PRAME、EBV-LMP2A、及びPSAを含むタンパク質に由来するペプチドを含むペプチド/MHC複合体である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、ウイルス関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、免疫チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、PD-L1、PD-L2、CD80、CD86、ICOSL、B7-H3、B7-H4、HVEM、4-1BBL、OX40L、CD70、CD40、及びGAL9を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、アポトーシス分子である。いくつかの実施形態では、アポトーシス分子は、FasL、FasR、TNFR1、及びTNFR2を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、Fab、Fab’、(Fab’)2、Fv、又は一本鎖Fv(scFv)である。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、又はCD154を含む膜貫通タンパク質に由来する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、膜貫通タンパク質のフラグメント(fTMP)を含み、fTMPは、CSR膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む、免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、全て又は一部から本質的になるか、あるいは全て又は一部からなる。いくつかの実施形態では、CSRは、免疫細胞共刺激分子のフラグメント(fCSM)を含み、fCSMは、CSR膜貫通ドメイン及びCSR共刺激シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び共刺激シグナル伝達ドメインのうちのいずれかの間にスペーサドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサドメインは、2つのCSRドメインを結合するペプチドリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、標的リガンド(例えば、CD22)に特異的に結合し、a)標的リガンド結合ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)共刺激シグナル伝達ドメインと、を含み、リガンド結合ドメインは、標的リガンドの受容体の細胞外ドメインの全部又は一部であり(あるいは全部又は一部に由来し)、CSRは、標的リガンドの結合時に機能的に発現する表面上の免疫細胞を刺激することができる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、細胞表面抗原である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されるcaTCRの標的抗原と同一である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、同じ免疫細胞で発現されるcaTCRの標的抗原とは異なる。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、疾患関連リガンドである。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、癌関連リガンドである。いくつかの実施形態では、癌関連リガンドは、例えば、CD19、CD20、CD47、IL4、GPC-3、ROR1、ROR2、BCMA、GPRC5D、又はFCRL5である。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、免疫チェックポイント分子である。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント分子は、PD-L1、PD-L2、CD80、CD86、ICOSL、B7-H3、B7-H4、HVEM、4-1BBL、OX40L、CD70、CD40、及びGAL9を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンドは、アポトーシス分子である。いくつかの実施形態では、アポトーシス分子は、FasL、FasR、TNFR1、及びTNFR2を含む。いくつかの実施形態では、標的リガンド受容体は、例えば、FasR、TNFR1、TNFR2、PD-1、CD28、CTLA-4、ICOS、BTLA、KIR、LAG-3、4-1BB、OX40、CD27、及びTIM-3を含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、例えば、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9,CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、又はCD154に由来する膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、例えば、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどを含む、免疫細胞共刺激分子の細胞内ドメインの全て又は一部を含むか、全て又は一部から本質的になるか、あるいは全て又は一部からなる。いくつかの実施形態では、CSRは、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、及び共刺激シグナル伝達ドメインのうちのいずれかの間にスペーサドメインを更に含む。いくつかの実施形態では、スペーサドメインは、2つのCSRドメインを結合するペプチドリンカーを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、CD22に特異的に結合し、配列番号219のアミノ酸配列を有するVHドメインと、配列番号218のアミノ酸配列を有するVLドメインと、を含む、scFvを含む。いくつかの実施形態では、scFvは、アミノ末端からカルボキシ末端まで、VLドメイン、配列番号233のアミノ酸配列を含むペプチドリンカー、及びVHドメインを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCSRは、CD22に特異的に結合し、配列番号213のアミノ酸配列を有するVHドメインと、配列番号212のアミノ酸配列を有するVLドメインと、を含む、scFvを含む。いくつかの実施形態では、scFvは、アミノ末端からカルボキシ末端まで、VLドメイン、配列番号233のアミノ酸配列を含むペプチドリンカー、及びVHドメインを含む。
いくつかの実施形態では、CSRは、抗CD22 CSR、抗CD19 CSR、又は抗CD20 CSRであってもよい。CSRは、共刺激分子の細胞内ドメインの一部であり得る細胞内フラグメント(すなわち、共刺激免疫細胞シグナル伝達配列)を含み得る。共刺激分子の例としては、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83と特異的に結合するリガンドなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、CSRは、共刺激分子の膜貫通部分のフラグメントであり得る膜貫通フラグメントを含み得る。いくつかの実施形態では、CSRにおける細胞内フラグメント及び膜貫通フラグメントは、同じ共刺激分子(例えば、CD28又はCD30)由来であり得る。いくつかの実施形態では、CSRにおける細胞内フラグメント及び膜貫通フラグメントは、異なる共刺激分子由来であり得る。いくつかの実施形態では、細胞内フラグメントは、第1の共刺激分子から取得され、第2の共刺激分子からの膜貫通フラグメントに融合され得る。例えば、膜貫通フラグメントは、CD8の膜貫通部分由来であってもよく、細胞内フラグメントは、CD30の細胞内ドメイン由来であってもよい。いくつかの実施形態では、CSRにおける細胞内フラグメント及び膜貫通フラグメントが同じ共刺激分子由来である場合、細胞内フラグメント及び膜貫通フラグメントは、単一の共刺激分子(例えば、単一のCD28又は単一のCD30)から取得され得る。他の実施形態では、CSRにおける細胞内フラグメント及び膜貫通フラグメントが同じ共刺激分子由来である場合、細胞内フラグメントは、第1の共刺激分子(例えば、第1のCD28)から取得され、第2の共刺激分子(例えば、第2のCD28)から取得された膜貫通フラグメントに融合され得る。
いくつかの実施形態では、抗CD19 CSRは、配列番号81~96のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、抗CD22 CSRは、配列番号97~112のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、抗CD20 CSRは、配列番号113~128のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、配列番号129~144のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む。
いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞におけるCSRの発現は誘導性である。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、本明細書に記載の誘導性プロモータのうちのいずれかを含む誘導性プロモータに作動可能に連結されたCSRをコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞におけるCSRの発現は、caTCRを介したシグナル伝達時に誘導性である。いくつかのかかる実施形態では、caTCR+CSR免疫細胞は、caTCRを介したシグナル伝達に応答してプロモータ又は調節エレメントに作動可能に連結されたCSRをコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRをコードする核酸配列は、活性化T細胞核内因子(nuclear-factor of the activated T-cell、NFAT)由来プロモータに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、NFAT由来プロモータは、NFAT由来の最小プロモータである(例えば、Durand,D.et.al.,Molec.Cell.Biol.8,1715-1724(1988);Clipstone,NA,Crabtree,GR.Nature.1992 357(6380):695-7;Chmielewski,M.,et al.Cancer research 71.17(2011):5697-5706;and Zhang,L.,et al.Molecular therapy 19.4(2011):751-759)を参照)。
抗CD22 CAR、抗CD22 caTCR、又は抗CD22 CSRなどの抗CD22構築物を発現するエフェクタ細胞(例えば、T細胞などのリンパ球など)もまた提供される。
抗CD22 CAR、抗CD22 caTCR、又は抗CD22 CSRを発現するエフェクタ細胞の生成方法もまた提供され、方法は、抗CD22 CAR、抗CD22 caTCR、又は抗CD22 CSRをコードする核酸を含むベクターをエフェクタ細胞内に導入することを含む。いくつかの実施形態では、ベクターをエフェクタ細胞内に導入することは、ベクターでエフェクタ細胞を形質導入することを含む。いくつかの実施形態では、ベクターをエフェクタ細胞に導入することは、ベクターでエフェクタ細胞をトランスフェクトすることを含む。エフェクタ細胞へのベクターの形質導入又はトランスフェクションは、当該技術分野において既知の任意の方法を使用して実施することができる。
単一特異性構築物
本発明は、標的リガンド(細胞表面抗原又はペプチド/MHC複合体など)に特異的に結合する単一特異性構築物を特徴とし、単一特異性構築物は、標的リガンド結合の際、機能的に発現される表面上の免疫細胞を刺激することができる。いくつかの実施形態では、単一特異性構築物は、CD22を特異的に標的化する。いくつかの実施形態では、単一特異性構築物は、caTCR、CSR、CAR、完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、一本鎖Fv(scFv)抗体、タンデムscFv、ダイアボディ(Db)、一本鎖ダイアボディ(scDb)、二重親和性再標的化(DART)抗体、二重可変ドメイン(DVD)抗体、ノブ・イントゥ・ホール(KiH)抗体、ドックアンドロック(DNL)抗体、化学的に架橋された抗体、ヘテロマルチマー抗体、又はヘテロ結合抗体であってもよい。
いくつかの実施形態では、単一特異性構築物は、抗CD22抗体部分を含む抗CD22構築物である。特定の実施形態では、抗CD22抗体部分は、(a)配列番号212の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)と、(b)配列番号213の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)と、を含む。特定の実施形態では、抗CD22抗体部分は、(a)配列番号218の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域(VL)と、(b)配列番号219の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む重鎖可変領域(VH)と、を含む。他の実施形態では、抗CD22抗体部分は、配列番号186の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む抗CD22 scFvを含む。
いくつかの実施形態では、単一特異性抗CD22構築物は、caTCR、CSR、CAR、又は抗体であり、それぞれは、一価又は多価(例えば、二価、三価、四価)であり得る。例えば、構築物4(配列番号4)は、抗CD22 scFv及び抗CD22 Fabを含み、「二価単一特異性」構築物とも呼ばれる。いくつかの実施形態では、単一特異性抗CD22構築物は、複数のFab又はFab及びscFvの組み合わせを含有し得る多価のcaTCRである。
いくつかの実施形態では、単一特異性構築物は、caTCR、例えば、抗CD22 caTCR、抗CD19 caTCR、又は抗CD20 caTCRであり得る。いくつかの実施形態では、単一特異性caTCRは、配列番号2、4、22、28、及び76~80のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む。
いくつかの実施形態では、単一特異性構築物は、CSR、例えば、抗CD22 CSR、抗CD19 CSR、又は抗CD20 CSRであり得る。いくつかの実施形態では、抗CD19 CSRは、配列番号81~96のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、抗CD22 CSRは、配列番号97~112のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、抗CD20 CSRは、配列番号113~128のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む。
多重特異性構築物
いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、多重特異性(例えば、二重特異性)であり得る。多重特異性抗CD22構築物は、2つ以上の標的に対する抗体部分を有する。いくつかの実施形態では、多重特異性抗CD22構築物は、CD22に対する1つの抗体部分と、1つ以上の非CD22抗原(例えば、CD19、CD20、B細胞悪性腫瘍で発現される非CD22抗原)に対する1つ以上の追加抗体部分を有する。いくつかの実施形態では、多重特異性抗CD22構築物は、二重特異性、三重特異性、四重特異的、又は五重特異性であってもよい。いくつかの実施形態では、多重特異性抗CD22構築物は、caTCR、CSR、CAR、完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、一本鎖Fv(scFv)抗体、タンデムscFv、ダイアボディ(Db)、一本鎖ダイアボディ(scDb)、二重親和性再標的化(DART)抗体、二重可変ドメイン(DVD)抗体、ノブ・イントゥ・ホール(KiH)抗体、ドックアンドロック(DNL)抗体、化学的に架橋された抗体、ヘテロマルチマー抗体、又はヘテロ結合抗体であってもよい。
多重特異性構築物-二重特異性構築物
本発明は、2つの標的リガンド(細胞表面抗原又はペプチド/MHC複合体など)に特異的に結合する二重特異性構築物を特徴とし、二重特異性構築物は、標的リガンド結合の際に機能的に発現される表面上の免疫細胞を刺激することができる。いくつかの実施形態では、二重特異性構築物は、CD22及びCD19を特異的に標的化する。他の実施形態では、二重特異性構築物は、CD22及びCD20を特異的に標的化する。
いくつかの実施形態では、二重特異性構築物は、caTCR、例えば、抗CD22-抗CD19 caTCRであり得る。いくつかの実施形態では、二重特異性caTCRは、配列番号15~21のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む。
いくつかの実施形態において、二重特異性構築物は、CSRであり得る。いくつかの実施形態では、二重特異性CSRは、配列番号129~144のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む。
多重特異性構築物-三重特異性構築物
本発明は、3つの標的リガンド(細胞表面抗原又はペプチド/MHC複合体など)に特異的に結合する三重特異性構築物を特徴とし、三重特異性構築物は、標的リガンド結合の際に機能的に発現される表面上の免疫細胞を刺激することができる。いくつかの実施形態では、三重特異性構築物は、CD22、CD19、及びCD20を特異的に標的化する。
いくつかの実施形態では、三重特異性構築物は、配列番号24~27のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態では、FLGAタグ(配列番号195)は、配列番号24~27のうちのいずれか1つの配列から除去される。
構築物の組み合わせ
本発明は、本発明の少なくとも2つの異なる構築物を含む構築物の組み合わせを特徴とする。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの異なる構築物は、同じ種類の構築物、例えば、2つの異なる抗体(例えば、2つの異なる完全長のIgG又は2つの異なる二重特異性抗体)、2つの異なるCAR、2つの異なるcaTCR、又は2つの異なるCSRである。いくつかの実施形態では、少なくとも2つの異なる構築物は、異なる種類の構築物、例えば、抗体+CAR、抗体+caTCR、CAR+CSR、caTCR+CSRなどである。いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、少なくとも1つの単一特異性構築物を含む。いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、少なくとも1つの多重特異性構築物を含む。いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、少なくとも1つの単一特異性構築物及び少なくとも1つの多重特異性構築物を含む。いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせにおける少なくとも2つの異なる構築物は、少なくとも1つの共通の標的に対する抗体部分を有する。いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせにおける少なくとも2つの異なる構築物は、任意の共通標的に対する抗体部分を有さない。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、本発明の少なくとも1つの抗CD22構築物を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗CD22構築物は、抗体、CAR、caTCR、又はCSRである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗CD22構築物は、単一特異性構築物である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗CD22構築物は、多重特異性構築物である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗CD22構築物は、抗CD22 caTCRであり、構築物の組み合わせは、CSRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD22 caTCRは、CSRと組み合わせて発現される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗CD22構築物は、抗CD22 CSRであり、構築物の組み合わせは、caTCRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD22 CSRは、caTCRと組み合わせて発現される。
単一特異性構築物を含む構築物の組み合わせ
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、標的リガンド(細胞表面抗原又はペプチド/MHC複合体など)に特異的に結合する少なくとも1つの単一特異性構築物を含み、単一特異性構築物は、標的リガンド結合の際に機能的に発現される表面上の免疫細胞を刺激することができる。いくつかの実施形態では、単一特異性構築物は、CD22を特異的に標的化する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、単一特異性構築物を含み、構築物の組み合わせは、配列番号1、3、及び5~14のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、単一特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号77の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号81~96のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、単一特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号77の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号97~112のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、単一特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号77の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号113~128のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、単一特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号78の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号81~96のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、単一特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号78の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号97~112のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、単一特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号78の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号113~128のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、単一特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号77のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、CD8、4-1BB、CD27、CD28、CD30、又はOX40の膜貫通フラグメントを含む配列を有する。いくつかの実施形態では、膜貫通フラグメントは、配列番号145~150のうちのいずれか1つの配列を有する。いくつかの実施形態では、CSRは、抗CD22部分を含む。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、単一特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号77のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、及びCD27からなる群から選択される分子の細胞内フラグメントを含む配列を有する。いくつかの実施形態では、細胞内フラグメントは、配列番号151~155のうちのいずれか1つの配列を含む。いくつかの実施形態では、CSRは、抗CD22部分を含む。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、単一特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号77のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号156~171のうちのいずれか1つの配列を含む配列を有する。いくつかの実施形態では、CSRは、抗CD22部分を含む。
本明細書に開示される構築物の組み合わせのうちのいずれか1つにおいて、いくつかの実施形態では、それぞれのcaTCR及びCSRは、単一の核酸によってコードされ、発現され、単一のポリペプチドとして最初に翻訳され、次いで、別個のポリペプチドに切断され得る。caTCR及びCSRは、切断可能なP2Aペプチド(例えば、配列番号190)を介して結合することができる。他の実施形態では、caTCR及びCSRは、2つの異なる核酸によってコードされ、発現され、別個のポリペプチドとして別個に翻訳され得る。
二重特異性構築物を含む構築物の組み合わせ
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、2つの標的リガンド(細胞表面抗原又はペプチド/MHC複合体など)に特異的に結合する少なくとも1つの二重特異性構築物を含み、二重特異性構築物は、標的リガンド結合の際、機能的に発現される表面上の免疫細胞を刺激することができる。いくつかの実施形態では、二重特異性構築物は、CD22及びCD19を特異的に標的化する。他の実施形態では、二重特異性構築物は、CD22及びCD20を特異的に標的化する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性構築物を含み、構築物の組み合わせは、配列番号23及び29~75のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を含む。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号15の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号81~96のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号16の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号81~96のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号17の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号81~96のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号18の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号81~96のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号19の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号81~96のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号20の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号81~96のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号21の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号81~96のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号15の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号97~112のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号16の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号97~112のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号17の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号97~112のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号18の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号97~112のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号19の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号97~112のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号20の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号97~112のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号21の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号97~112のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号15の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号113~128のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号16の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号113~128のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号17の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号113~128のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号18の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号113~128のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号19の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号113~128のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号20の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号113~128のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号21の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号113~128のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号15の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号129~144のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号16の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号129~144のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号17の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号129~144のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号18の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号129~144のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号19の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号129~144のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号20の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号129~144のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、二重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号21の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号129~144のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
本明細書に開示される二重特異性caTCR及びCSRを含む構築物の組み合わせのうちのいずれか1つにおいて、いくつかの実施形態では、それぞれのcaTCR及びCSRは、単一の核酸によってコードされ、発現され、単一のポリペプチドとして最初に翻訳され、次いで別個のポリペプチドに切断され得る。caTCR及びCSRは、切断可能なP2Aペプチド(例えば、配列番号190)を介して結合することができる。他の実施形態では、caTCR及びCSRは、2つの異なる核酸においてコードされ、発現され、別個のポリペプチドとして別個に翻訳され得る。
三重特異性構築物を含む構築物の組み合わせ
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、3つの標的リガンド(細胞表面抗原又はペプチド/MHC複合体など)に特異的に結合する少なくとも1つの三重特異性構築物を含み、三重特異性構築物は、標的リガンド結合の際、機能的に発現される表面上の免疫細胞を刺激することができる。いくつかの実施形態では、三重特異性構築物の組み合わせは、CD22、CD19、及びCD20を特異的に標的化する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、三重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号24の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号81~96のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、三重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号25の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号81~96のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、三重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号26の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号81~96のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、三重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号27の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号81~96のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、三重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号24の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号97~112のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、三重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号25の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号97~112のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、三重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号26の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号97~112のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、三重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号27の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号97~112のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、三重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号24の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号113~128のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、三重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号25の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号113~128のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、三重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号26の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号113~128のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
いくつかの実施形態では、構築物の組み合わせは、三重特異性caTCR及びCSRを含み、caTCRは、配列番号27の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号113~128のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する。
本明細書に開示される三重特異性caTCR及びCSRを含む構築物の組み合わせのうちのいずれか1つにおいて、いくつかの実施形態では、それぞれのcaTCR及びCSRは、単一の核酸によってコードされ、発現され、単一のポリペプチドとして最初に翻訳され、次いで別個のポリペプチドに切断され得る。caTCR及びCSRは、切断可能なP2Aペプチド(例えば、配列番号190)を介して結合することができる。他の実施形態では、caTCR及びCSRは、2つの異なる核酸においてコードされ、発現され、別個のポリペプチドとして別個に翻訳され得る。
いくつかの実施形態では、標的抗原を結合する際、CD3ζと会合すると、caTCRは、T細胞を活性化することができる。一般的に、CSRはCD3ζと会合せず、標的抗原を結合する際、T細胞を活性化しない。caTCR及びCSRの更なる説明及び実施例は、それぞれが参照によりその全体が本明細書に援用されている国際公開第2018/200582号及び同第2018/200583号に見出すことができる。
抗体-薬物コンジュゲート
いくつかの実施形態では、抗CD22抗体部分及び治療薬を含む抗CD22免疫コンジュゲート(本明細書では、「抗体-薬物コンジュゲート」、又は「ADC」とも称される)が提供される。いくつかの実施形態では、治療薬は、細胞傷害性、細胞増殖抑制性のいずれか一方である毒素であるか、あるいは別の方法で標的細胞が分裂する能力を防止又は低減する毒素である。細胞傷害剤又は細胞増殖抑制剤の局所送達のためのADC、すなわち、癌の治療における腫瘍細胞を殺傷又は阻害する薬物(Syrigos and Epenetos,Anticancer Research 19:605-614(1999);Niculescu-Duvaz and Springer,Adv.Drg.Del.Rev.26:151-172(1997);米国特許第4,975,278号)の使用により、標的細胞への薬剤部分の標的化送達、及び標的細胞への細胞内蓄積を可能にし、これらの非コンジュゲート化治療薬の全身投与により、正常細胞並びに排除されることが求められる標的細胞への許容不可能なレベルの毒性がもたらされ得る(Baldwin et al.,Lancet(Mar.15,1986):603-605(1986);Thorpe,(1985)「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review,」in Monoclonal Antibodies’84:Biological And Clinical Applications,A.Pinchera et al.(eds.),pp.475-506)。したがって、最小限の毒性による最大有効性が求められている。
抗CD22免疫コンジュゲート(例えば、抗CD22 ADC)に使用される治療薬としては、例えば、ダウノマイシン、ドキソルビシン、メトトレキサート、及びビンデシンが挙げられる(Rowland et al.,Cancer Immunol.Immunother.21:183-187(1986)を参照されたい)。抗CD22免疫コンジュゲートに使用される毒素としては、ジフテリア毒素などの細菌毒素、リシンなどの植物毒素、ゲルダナマイシンなどの小分子毒素(Mandler et al.,J.Nat.Cancer Inst.92(19):1573-1581(2000);Mandler et al.,Bioorganic&Med.Chem.Letters 10:1025-1028(2000);Mandler et al.,Bioconjugate Chem.13:786-791(2002))、マイタンシノイド(欧州特許第1391213号;Liu et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:8618-8623(1996))、及びカリケアマイシン(Lode et al.,Cancer Res.58:2928(1998);Hinman et al.,Cancer Res.53:3336-3342(1993)を参照されたい)。毒素は、チューブリン結合、DNA結合、又はトポイソメラーゼ阻害を含む機構によって、細胞傷害効果及び細胞増殖抑制効果を発揮し得る。いくつかの細胞傷害薬は、大型抗体又はタンパク質受容体リガンドにコンジュゲートした場合、非活性であるか、又は活性が小さくなる傾向がある。
使用することができる酵素的に活性な毒素及びこれらのフラグメントとしては、例えば、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、(緑膿菌由来の)菌体外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α-サルシン、シナアブラギリタンパク質、ダイアンシンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウタンパク質(Phytolaca americana protein、PAPI、PAPII及びPAP-S)、ニガウリ阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコセセンズが挙げられる。例えば、1993年10月28日に発行された国際公開第93/21232号を参照。
抗CD22抗体部分の抗CD22免疫コンジュゲート(例えば、抗CD22 ADC)、並びに、カリケアマイシン、マイタンシノイド、ドラスタチン、及びCC1065、並びに毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体などの1種以上の小分子毒素もまた本明細書において想到される。
いくつかの実施形態では、細胞内活性を有する治療薬を含む抗CD22免疫コンジュゲート(例えば、抗CD22 ADC)が提供される。いくつかの実施形態では、抗CD22免疫コンジュゲートは内在化し、治療薬は、細胞のタンパク質合成を阻害し、細胞死をもたらす細胞毒素である。いくつかの実施形態では、治療薬は、例えば、ゲロニン、ブーゲニン、サポリン、リシン、リシンA鎖、ブリオジン(bryodin)、ジフテリア毒素、レストリクトシン、緑膿菌由来菌体外毒素A及びこれらの変異体を含む、リボソーム不活性化活性を有するポリペプチドを含む細胞毒素である。治療薬が、リボソーム不活性化活性を有するポリペプチドを含む細胞毒素であるいくつかの実施形態では、抗CD22免疫コンジュゲートは、タンパク質が細胞に対して細胞傷害性であるように、標的細胞への結合時に内在化していなければならない。
いくつかの実施形態では、DNAを破壊するように作用する治療薬を含む抗CD22免疫コンジュゲート(例えば、抗CD22 ADC)が提供される。いくつかの実施形態では、DNAを破壊するように作用する治療薬は、例えば、エンジイン(例えば、カリケアマイシン及びエスペラマイシン)及び非エンジインである低分子の薬剤(例えば、ブレオマイシン、メチジウムプロピル-EDTA-Fe(II))からなる群から選択される。
本発明は、抗CD22抗体部分と核酸分解活性を有する化合物(例えば、リボヌクレアーゼ又はデオキシリボヌクレアーゼ、すなわち、DNaseなどのDNAエンドヌクレアーゼ)との間に形成された抗CD22免疫コンジュゲート(例えば、抗CD22 ADC)を更に想到している。
いくつかの実施形態では、抗CD22免疫コンジュゲートは、チューブリンを破壊するように作用する薬剤を含む。このような薬剤としては、例えば、リゾキシン/メイタンシン、パクリタキセル、ビンクリスチン、及びビンブラスチン、コルヒチン、アウリスタチンドラスタチン10MMAE、並びにペロルシドAを挙げることができる。
いくつかの実施形態では、抗CD22免疫コンジュゲート(例えば、抗CD22 ADC)は、例えば、アサレイ(Asaley)NSC167780、AZQ NSC182986、BCNU NSC409962、ブスルファン(Busulfan)NSC750、カルボキシフタラト白金NSC271674、CBDCA NSC241240、CCNU NSC79037、CHIP NSC256927、クロラムブシルNSC3088、クロロゾトシンNSC178248、シス-白金NSC119875、クロメゾンNSC338947、シアノモルホリノドキソルビシンNSC357704、シクロジソンNSC348948、ジアンヒドロガラクチトールNSC132313、フルオロドパン(fluorodopan)NSC73754、ヘプスルファム(hepsulfam)NSC329680、ヒカントン(hycanthone)NSC142982、メルファランNSC8806、メチルCCNU NSC95441、マイトマイシンC NSC26980、ミトゾールアミドNSC353451、ナイトロジェンマスタードNSC762、PCNU NSC95466、ピペラジンNSC344007、ピペラジンジオンNSC135758、ピポブロマンNSC25154、ポルフィロマイシンNSC56410、スピロヒダントインマスタード(spirohydantoin mustard)NSC172112、テロキシロン(teroxirone)NSC296934、テトラプラチンNSC363812、チオテパNSC6396、トリエチレンメラミンNSC9706、ウラシルナイトロジェンマスタードNSC34462及びヨシ(Yoshi)-864 NSC102627を含むアルキル化剤を含む。
いくつかの実施形態では、抗CD22免疫コンジュゲート(例えば、抗CD22 ADC)は、高放射性原子を含む。放射性コンジュゲートした抗体の生成には、様々な放射性同位体が利用可能である。例としては、211At、131I、125I、90Y、186Re、188Re、153Sm、212Bi、32P、212Pb、及びLuの放射性同位体が挙げられる。
いくつかの実施形態では、抗CD22抗体部分は、抗体-受容体コンジュゲートが患者に投与される場所において腫瘍を事前に標的とする際に利用するための「受容体」(ストレプトアビジンなど)にコンジュゲートさせることができ、続いて、クリア剤を使用して循環から非結合コンジュゲートを除去し、次いで、細胞毒性剤(例えば、放射性ヌクレオチド)にコンジュゲートしている「リガンド」(例えば、アビジン)を投与する。
いくつかの実施形態では、抗CD22免疫コンジュゲート(例えば、抗CD22 ADC)は、プロドラッグ活性化酵素にコンジュゲートした抗CD22抗体部分を含んでもよい。いくつかのこのような実施形態では、プロドラッグ活性化酵素は、プロドラッグを抗ウイルス薬などの活性薬剤に変換する。かかる抗CD22免疫コンジュゲートは、いくつかの実施形態では、抗体依存性酵素介在性プロドラッグ療法(「ADEPT」)において有用である。抗体にコンジュゲートされ得る酵素としては、リン酸塩含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なアルカリホスファターゼ;硫酸塩含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なアリールスルファターゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用な、セラチアプロテアーゼ、テルモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ、及びカテプシン(カテプシンB及びLなど)などのプロテアーゼ;D-アミノ酸置換基を含有するプロドラッグを変換するのに有用なD-アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用な、β-ガラクトシダーゼ及びノイラミニダーゼなどの炭水化物分解酵素;β-ラクタムで誘導化された薬物を遊離薬物に変換するのに有用なβ-ラクタマーゼ;並びにフェノキシアセチル基又はフェニルアセチル基をそれぞれ有するアミン窒素で誘導化された薬物を遊離薬物に変換するのに有用なペニシリンVアミダーゼ及びペニシリンGアミダーゼなどのペニシリンアミダーゼが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、酵素は、当該技術分野において周知の組み換えDNA技術によって抗体部分に共有結合してもよい。例えば、Neuberger et al.,Nature 312:604-608(1984)を参照。
いくつかの実施形態では、抗CD22免疫コンジュゲート(例えば、抗CD22 ADC)のうち治療に効果的な部分は核酸であり得る。使用され得る核酸としては、チオグアニン及びチオプリンなどの核酸類似体を含む、アンチセンスRNA、遺伝子又は他のポリヌクレオチドが挙げられるが、これらに限定されない。
本出願は、エフェクタ分子に付着した抗CD22抗体部分を含む抗CD22免疫コンジュゲート(例えば、抗CD22 ADC)を更に提供し、エフェクタ分子は、標識であり、間接的又は直接的に検出可能なシグナルを生成することができる。これらの抗CD22免疫コンジュゲートは、癌のインビボでの検出などの研究又は診断用途に使用することができる。標識は、好ましくは、検出可能なシグナルを直接的又は間接的に生成することができる。例えば、標識は、放射線不透過性、若しくは3H、14C、32P、35S、123I、125I、131Iなどの放射性同位体;フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン若しくはルシフェリンなどの蛍光(発蛍光団)化合物若しくは化学発光(発色団)化合物;アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、若しくは西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素;造影剤;又は金属イオンであってもよい。いくつかの実施形態では、標識は、シンチグラフィ検査用の放射性原子、例えば、99Tc若しくは123I、又はジルコニウム-89、ヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン又は鉄などの(磁気共鳴撮像法、すなわち、MRIとしても既知である)核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance、NMR)撮像用のスピン標識である。ジルコニウム-89は、様々な金属キレート剤と錯体化され、例えば、PET画像診断(国際公開第2011/056983号)に関して、抗体にコンジュゲートされ得る。
いくつかの実施形態では、抗CD22免疫コンジュゲートは、間接的に検出可能である。例えば、抗CD22免疫コンジュゲートに特異性であり、検出可能な標識を含有する二次抗体を使用して、抗CD22免疫コンジュゲートを検出することができる。
III.caTCR+CSR免疫細胞
本発明は、本明細書に記載されるcaTCR及びCSRのうちの任意によるcaTCR及びCSRを表面に提示する免疫細胞(T細胞など)を提供する(かかる免疫細胞は、本明細書において「caTCR+CSR免疫細胞」とも称される)。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、caTCR及びCSRをコードする核酸を含み、caTCR及びCSRは、核酸から発現され、免疫細胞表面に局在化される。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、T細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、caTCRのTCR-TMが由来するTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞はαβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMSは、TCRδ鎖及びTCRγ鎖に由来する配列を含むか、あるいは、T細胞は、γδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCRα鎖及びTCRβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、免疫細胞の内因性TCRサブユニットのうちの一方又は両方の発現を阻害又は減少させるように修飾される。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、TCRα鎖及び/又はTCRβ鎖の発現を阻害又は減少させるように修飾されたαβT細胞であるか、あるいは免疫細胞は、TCRγ鎖及び/又はTCRδ鎖の発現を阻害又は減少させるように修飾されたγδT細胞である。遺伝子発現を中断させる細胞の修飾としては、例えば、RNA干渉(例えば、siRNA、shRNA、miRNA)、遺伝子編集(例えば、CRISPR又はTALEN系遺伝子ノックアウト)などを含む、当該技術分野において既知の任意のかかる技術が挙げられる。
例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるcaTCRのいずれかによるcaTCRをコードする核酸と、本明細書に記載されるCSRのいずれかによるCSRと、を含む、免疫細胞(T細胞など)が提供され、caTCR及びCSRは、核酸から発現され、免疫細胞表面に局在化される。いくつかの実施形態では、核酸は、caTCRの第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1のcaTCR核酸配列と、caTCRの第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第2のcaTCR核酸配列と、CSRのCSRポリペプチド鎖をコードするCSR核酸配列と、を含む。いくつかの実施形態では、第1及び第2のcaTCR核酸配列並びにCSR核酸配列はそれぞれ、異なるベクターに含まれる。いくつかの実施形態では、核酸配列の一部又は全ては、同じベクターに含まれる。ベクターは、例えば、哺乳動物発現ベクター及びウイルスベクター(レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、及びレンチウイルス由来のものなど)からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、ベクターのうちの1つ以上は、免疫細胞の宿主ゲノムに組み込まれている。いくつかの実施形態では、第1及び第2のcaTCR核酸配列並びにCSR核酸配列はそれぞれ、異なるプロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、核酸配列の一部又は全ては、単一のプロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、誘導性である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのうちのいずれかによるcaTCR及び本明細書に記載のCSRのうちのいずれかによるCSRを表面に発現するcaTCR+CSR免疫細胞(T細胞など)が提供され、caTCR+CSR免疫細胞は、a)caTCRの第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1のcaTCR核酸配列と、b)caTCRの第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第2のcaTCR核酸配列と、c)CSRのCSRポリペプチド鎖をコードするCSR核酸配列と、を含み、第1及び第2のcaTCRポリペプチド鎖が、第1及び第2のcaTCR核酸配列から発現して、caTCRを形成し、CSRポリペプチド鎖が、CSR核酸から発現されて、CSRを形成し、caTCR及びCSRが、免疫細胞の表面に局在する。いくつかの実施形態では、第1のcaTCR核酸配列は、第1のベクター(レンチウイルスベクターなど)に含有され、第2のcaTCR核酸配列は、第2のベクター(レンチウイルスベクターなど)に含有され、CSR核酸配列は、第3のベクター(レンチウイルスベクターなど)に含有される。いくつかの実施形態では、第1及び第2のcaTCR核酸配列並びにCSR核酸配列の一部又は全ては、同じベクター(レンチウイルスベクターなど)に含有される。いくつかの実施形態では、第1及び第2のcaTCR核酸配列並びにCSR核酸配列のそれぞれは、個別に、プロモータに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、核酸配列の一部又は全ては、単一のプロモータの制御下にある。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、誘導性である。いくつかの実施形態では、ベクターの一部又は全ては、ウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、caTCRのTCR-TMが由来するTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、αβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCRδ鎖及びTCRγ鎖に由来する配列を含むか、あるいは免疫細胞は、γδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCRα鎖及びTCRβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、その内在性TCRサブユニットのうちの1つ又は両方の発現を阻害又は減少させるように修飾される。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、TCRα鎖及び/若しくはTCRβ鎖の発現を阻害又は減少させるように修飾されたαβT細胞であるか、あるいは免疫細胞は、TCRγ鎖及び/又はTCRδ鎖の発現を阻害又は減少させるように修飾されたγδT細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ベクターの一部又は全ては、免疫細胞の宿主ゲノムに組み込まれたウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるcaTCRのいずれかによるcaTCR及び本明細書に記載のCSRのいずれかによるCSRを表面に発現するcaTCR+CSR免疫細胞(T細胞など)が提供され、caTCR+CSR免疫細胞が、a)caTCRの第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1のcaTCR核酸配列に作動可能に連結された第1のプロモータを含む第1のベクターと、b)caTCRの第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第2のcaTCR核酸配列に作動可能に連結された第2のプロモータを含む第2のベクターと、c)CSRのCSRポリペプチド鎖をコードするCSR核酸配列に作動可能に連結された第3のプロモータを含む第3のベクターと、を含み、第1及び第2のcaTCRポリペプチド鎖が、第1及び第2のcaTCR核酸配列から発現して、caTCRを形成し、CSRポリペプチド鎖がCSR核酸配列から発現して、CSRを形成し、caTCR及びCSRは、免疫細胞の表面に局在する。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、誘導性である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、caTCRのTCR-TMが由来するTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、αβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCRδ鎖及びTCRγ鎖に由来する配列を含むか、あるいは免疫細胞は、γδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCRα鎖及びTCRβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、その内在性TCRサブユニットのうちの1つ又は両方の発現を阻害又は減少させるように修飾される。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、TCRα鎖及び/若しくはTCRβ鎖の発現を阻害又は減少させるように修飾されたαβT細胞であるか、あるいは免疫細胞は、TCRγ鎖及び/又はTCRδ鎖の発現を阻害又は減少させるように修飾されたγδT細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第1及び第2のベクターは、免疫細胞の宿主ゲノムに組み込まれたウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるcaTCRのいずれかによるcaTCR及び本明細書に記載のCSRのいずれかによるCSRを表面に発現するcaTCR+CSR免疫細胞(T細胞など)が提供され、caTCR+CSR免疫細胞は、a)i)caTCRの第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1のcaTCR核酸配列に作動可能に連結された第1のプロモータと、ii)caTCRの第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第2のcaTCR核酸配列に作動可能に連結された第2プロモータと、を含む、第1のベクターと、b)CSRのCSRポリペプチド鎖をコードするCSR核酸配列に作動可能に連結された第3のプロモータを含む第2のベクターと、を含み、第1及び第2のcaTCRポリペプチド鎖は、第1及び第2のcaTCR核酸配列から発現して、caTCRを形成し、CSRポリペプチド鎖は、CSR核酸配列から発現して、CSRを形成し、caTCRは免疫細胞の表面に局在する。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、プロモータの一部又は全ては、誘導性である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、caTCRのTCR-TMが由来するTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、αβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCRδ鎖及びTCRγ鎖に由来する配列を含むか、あるいは免疫細胞は、γδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCRα鎖及びTCRβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、その内在性TCRサブユニットのうちの1つ又は両方の発現を阻害又は減少させるように修飾される。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、TCRα鎖及び/若しくはTCRβ鎖の発現を阻害又は減少させるように修飾されたαβT細胞であるか、あるいは免疫細胞は、TCRγ鎖及び/又はTCRδ鎖の発現を阻害又は減少させるように修飾されたγδT細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、第1及び第2のベクターは、免疫細胞の宿主ゲノムに組み込まれたウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。第1又は第2のcaTCR核酸配列がCSR核酸配列と交換される場合など、核酸配列のいずれかが交換される実施形態もまた想到されることを理解されたい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるcaTCRのいずれかによるcaTCR及び本明細書に記載のCSRのいずれかによるCSRを表面に発現するcaTCR+CSR免疫細胞(T細胞など)が提供され、caTCR+CSR免疫細胞は、a)i)caTCRの第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1のcaTCR核酸配列と、ii)caTCRの第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第2のcaTCR核酸配列と、を含む、第1のベクターと、b)CSRのCSRポリペプチド鎖をコードするCSR核酸配列に作動可能に連結された第2のプロモータを含む第2のベクターと、を含み、第1及び第2のcaTCR核酸配列は、第1のプロモータの制御下にあり、第1及び第2のcaTCRポリペプチド鎖は、第1及び第2のcaTCR核酸配列から発現して、caTCRを形成し、CSRポリペプチド鎖は、CSR核酸配列から発現して、CSRを形成し、caTCR及びCSRは免疫細胞の表面に局在する。いくつかの実施形態では、第1のプロモータは、第1のcaTCR核酸配列の5’末端に作動可能に連結され、内部リボソーム進入部位(internal ribosomal entry site、IRES)、及び第1のcaTCR核酸配列の3’末端を第2のcaTCR核酸配列の5’末端に連結させる自己切断2Aペプチド(P2A、T2A、E2A、又はF2Aなど)をコードする核酸からなる群から選択される核酸リンカーが存在し、第1のcaTCR核酸配列及び第2のcaTCR核酸配列は、プロモータの制御下で単一のRNAとして転写される。いくつかの実施形態では、第1のプロモータは、第2のcaTCR核酸配列の5’末端に作動可能に連結され、内部リボソーム進入部位(IRES)、及び第2のcaTCR核酸配列の3’末端を第1のcaTCR核酸配列の5’末端に連結させる自己切断2Aペプチド(P2A、T2A、E2A、又はF2Aなど)をコードする核酸からなる群から選択される核酸リンカーが存在し、第1のcaTCR核酸配列及び第2のcaTCR核酸配列は、プロモータの制御下で単一のRNAとして転写される。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のプロモータは、同じ配列を有する。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のプロモータは、異なる配列を有する。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のプロモータは誘導性である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、caTCRのTCR-TMが由来するTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、αβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCRδ鎖及びTCRγ鎖に由来する配列を含むか、あるいは免疫細胞は、γδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCRα鎖及びTCRβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、その内在性TCRサブユニットのうちの1つ又は両方の発現を阻害又は減少させるように修飾される。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、TCRα鎖及び/若しくはTCRβ鎖の発現を阻害又は減少させるように修飾されたαβT細胞であるか、あるいは免疫細胞は、TCRγ鎖及び/又はTCRδ鎖の発現を阻害又は減少させるように修飾されたγδT細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ベクターは、免疫細胞の宿主ゲノムに組み込まれたウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。第1又は第2のcaTCR核酸配列がCSR核酸配列と交換される場合など、核酸配列のいずれかが交換される実施形態もまた想到されることを理解されたい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のcaTCRのうちのいずれかによるcaTCR及び本明細書に記載のCSRのうちのいずれかによるCSRを表面に発現するcaTCR+CSR免疫細胞(T細胞など)が提供され、caTCR+CSR免疫細胞は、a)caTCRの第1のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第1のcaTCR核酸配列と、b)caTCRの第2のcaTCRポリペプチド鎖をコードする第2のcaTCR核酸配列と、c)CSRのCSRポリペプチド鎖をコードするCSR核酸配列と、を含む、ベクターを含み、第1及び第2のcaTCR核酸配列並びにCSR核酸配列は、単一のプロモータの制御下にあり、第1及び第2のcaTCRポリペプチド鎖は、第1及び第2のcaTCR核酸配列から発現して、caTCRを形成し、CSRポリペプチド鎖は、CSR核酸配列から発現して、CSRを形成し、caTCR及びCSRは、免疫細胞の表面に局在する。いくつかの実施形態では、プロモータは、個々に、内部リボソーム進入部位(IRES)及び自己切断2Aペプチド(P2A、T2A、E2A、又はF2Aなど)をコードする核酸からなる群から選択された核酸リンカーによって他の核酸配列に連結される、核酸配列のうちの1つに作動可能に連結され、第1及び第2のcaTCR核酸配列並びにCSR核酸配列が、プロモータの制御下で単一RNAとして転写される。いくつかの実施形態では、プロモータは誘導性である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、caTCRのTCR-TMが由来するTCRサブユニットを発現しない。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、αβT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCRδ鎖及びTCRγ鎖に由来する配列を含むか、あるいは免疫細胞は、γδT細胞であり、導入されたcaTCRのTCR-TMは、TCRα鎖及びTCRβ鎖に由来する配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、その内在性TCRサブユニットのうちの1つ又は両方の発現を阻害又は減少させるように修飾される。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、TCRα鎖及び/若しくはTCRβ鎖の発現を阻害又は減少させるように修飾されたαβT細胞であるか、あるいは免疫細胞は、TCRγ鎖及び/又はTCRδ鎖の発現を阻害又は減少させるように修飾されたγδT細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、ナチュラルキラーT細胞、及びサプレッサーT細胞からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ベクターは、免疫細胞の宿主ゲノムに組み込まれたウイルスベクター(レンチウイルスベクターなど)である。
IV.Fc変異体
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD22構築物は、変異型Fc領域を含んでもよく、変異型Fc領域は、参照Fc領域(又は親Fc領域又は野生型Fc領域)に対して少なくとも1つのアミノ酸修飾を含んでもよい。アミノ酸修飾は、エフェクタ機能を変更するように、かつ/又は構築物の血清安定性を増大させるように、Fc領域でなされ得る。変異型Fc領域を含む構築物は、Fc受容体(例えば、FcγR)に対する改変された親和性を示し得るが、ただし、変異型Fc領域は、Sondermann et al.,2000,Nature,406:267-273によって開示されるものなどのFc-Fc受容体相互作用の結晶学的分析及び構造的分析に基づいてFc受容体と直接接触する位置で置換を有さないことを条件とする。FcγRなどのFc受容体と直接接触するFc領域内の位置の例は、アミノ酸234~239(ヒンジ領域)、アミノ酸265~269(B/Cループ)、アミノ酸297~299(C’/Eループ)、及びアミノ酸327~332(F/G)ループである。いくつかの実施形態では、変異型Fc領域を含む構築物は、構造的分析及び結晶学的分析に基づいて、FcγRと直接接触する少なくとも1つの残基の修飾を含み得る。
例えば、活性化受容体及び/又は阻害受容体に対する親和性を変更し、例えば、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)などの改善されたエフェクタ機能をもたらし、C1qに対する結合親和性を増大させ、FcR結合を低減又は排除させ、半減期を増大させる、変異型Fc領域を生成するためのFc領域内のアミノ酸修飾は、当該技術分野において既知である(例えば、米国特許第9,051,373号、同第9,040,041号、同第8,937,158号、同第8,883,973号、同第8,883,147号、同第8,858,937号、同第8,852,586号、同第8,809,503号、同第8,802,823号、同第8,802,820号、同第8,795,661号、同第8,753,629号、同第8,753,628号、同第8,735,547号、同第8,735,545号、同第8,734,791号、同第8,697,396号、同第8,546,543号、同第8,475,792号、同第8,399,618号、同第8,394,925号、同第8,388,955号、同第8,383,109号、同第8,367,805号、同第8,362,210号、同第8,338,574号、同第8,324,351号、同第8,318,907号、同第8,188,231号、同第8,124,731号、同第8,101,720号、同第8,093,359号、同第8,093,357号、同第8,088,376号、同第8,084,582号、同第8,039,592号、同第8,012,476号、同第7,799,900号、同第7,790,858号、同第7,785,791号、同第7,741,072号、同第7,704,497号、同第7,662,925号、同第7,416,727号、同第7,371,826号、同第7,364,731号、同第7,335,742号、同第7,332,581号、同第7,317,091号、同第7,297,775号、同第7,122,637号、同第7,083,784号、同第6,737,056号、同第6,538,124号、同第6,528,624号及び同第6,194,551号を参照)。
いくつかの実施形態では、変異型Fc領域は、親Fc領域と比較して、異なるグリコシル化パターンを有し得る(例えば、アグリコシル化)。いくつかの実施形態では、異なるグリコシル化パターンは、異なる細胞株、例えば、遺伝子操作された細胞株における発現から生じ得る。
本明細書に記載の構築物は、1つ以上のFcγRにより大きい親和性で結合する変異型Fc領域を含んでもよい。このような構築物は、好ましくは、以下に記載されるように、エフェクタ機能をより効果的に介在する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の構築物は、1つ以上のFcγRにより低い親和性で結合する変異型Fc領域を含み得る。エフェクタ機能の低減又は排除は、場合によっては、例えば、その作用機序がブロッキング又は拮抗作用を伴うが、標的抗原を有する細胞の殺傷を伴わない構築物の場合に所望され得る。いくつかの実施形態では、エフェクタ機能の増加は、腫瘍細胞及び外来抗原を発現する細胞を対象とし得る。
V.構築物の生成
提供される構築物若しくは構築物の一部、又は構築物をコードする核酸は、任意の利用可能な手段によって生成され得る。構築物の生成方法は、当該技術分野において周知である。抗体(例えば、scFv抗体、モノクローナル抗体、及び/又はポリクローナル抗体)を生成するための技術は、当該技術分野において利用可能である。抗血清の生成には、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、ウシ、シカ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ、サル、及びニワトリなど、広範囲の動物種を使用することができることが理解されるであろう。動物の選択は、当業者に既知であるように、操作容易性、コスト、又は所望の血清量に応じて決定することができる。抗体はまた、対象とする免疫グロブリン重鎖及び軽鎖配列導入哺乳動物又は植物(例えば、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子及び軽鎖遺伝子導入げっ歯類)の生成によって形質転換によって生成され得ることが理解されよう。哺乳動物における形質転換生成に関連して、抗体は、ヤギ、ウシ、又は他の哺乳動物の母乳において生成され、母乳から回収され得る(本明細書において参照によりその全体が援用されている、例えば、米国特許第5,827,690号、同第5,756,687号、同第5,750,172号、及び同第5,741,957号を参照)。あるいは、抗体は、ニワトリにおいて製造することができ、IgY分子を生成することができる(Schade et al.,1996,ALTEX13(5):80-85)。
いくつかの実施形態では、本発明に好適な抗体は、霊長類の抗体である。例えば、ヒヒにおいて治療的に有用な抗体を産生させる一般的な技術は、例えば、国際特許出願第1991/11465号及びLosman et al.,1990,Int.J.Cancer46:310に見出され得る。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、モノクローナル抗体)は、ハイブリドーマ法を使用して調製され得る(Milstein and Cuello,1983,Nature 305(5934):537-40)。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、モノクローナル抗体)はまた、組換え方法によって製造され得る(例えば、米国特許第4,166,452号を参照)。
B細胞不死化による抗体の生成に伴う困難の多くは、ファージディスプレイを使用して、E.coli又は酵母における構築物成分を操作し、発現させることによって克服することができる。高親和性抗体の回収を確実にするために、組み合わせ免疫グロブリンライブラリは、典型的には、大きなレパートリサイズを含有しなければならない。典型的な戦略は、免疫マウスのリンパ球又は脾臓細胞から得られたmRNAを利用して、逆転写酵素を使用してcDNAを合成する。重鎖及び軽鎖遺伝子は、PCRによって別々に増幅され、ファージクローニングベクター内にライゲーションされる。2つの異なるライブラリが生成されてもよく、1つは重鎖遺伝子を含有し、1つは軽鎖遺伝子を含有する。ライブラリは、ナイーブであってもよいか、あるいは半合成であってもよく、すなわち、全てのアミノ酸(システインを除く)は、CDR中の任意の所与の位置に存在する可能性が同等である。ファージDNAは、それぞれのライブラリから単離され、重鎖配列及び軽鎖配列は共にライゲーションされ、パッケージ化されて、組み合わせライブラリを形成する。それぞれのファージは、重鎖cDNA及び軽鎖cDNAのランダムペアを含有し、E.coliの感染時に、感染細胞中の抗CD22構築物におけるポリペプチドの発現を誘導する。対象の抗原(例えば、CD22)を認識する構築物を同定するために、ファージライブラリを播種し、プラーク内に存在する構築物分子をフィルタに移す。フィルタを放射性活性標識抗原と共にインキュベートし、次いで洗浄して、過剰な非結合リガンドを除去する。オートラジオグラム上の放射性スポットは、抗原に結合する構築物を含有するプラークを同定する。あるいは、対象の抗原(例えば、CD22)を認識する構築物の同定は、抗原に対するファージの結合を反復することによって達成することができ、固形支持体、例えば、ビーズ又は哺乳動物細胞に結合し、続いて非結合ファージを除去し、特異的に結合したファージの溶出によって達成することができる。このような実施形態では、抗原は、まず、例えば、ストレプトアビジンにコンジュゲートされたDynabeads M-280に固定化するためにビオチン化される。ファージライブラリは、細胞、ビーズ、又は他の固形支持体と共にインキュベートされ、非結合ファージは、洗浄によって除去される。対象の抗原に結合する構築物のファージクローンを選択し、更なる特性評価のために試験される。
選択されると、フローサイトメトリーによって、生細胞の表面に発現した対象の抗原に対する結合について陽性クローンを試験することができる。簡潔には、ファージクローンは、抗原を発現するか、又は抗原を発現しないかのいずれか一方である細胞(例えば、対象の抗原を発現するよう遺伝子操作されているか、又は抗原を自然発現する細胞)と共にインキュベートされ得る。細胞は洗浄され、次いでマウス抗M13コートタンパク質モノクローナル抗体で標識され得る。フローサイトメトリーの前に、細胞を再度洗浄し、蛍光コンジュゲート二次抗体(例えば、FITC-ヤギ(Fab)2抗マウスIgG)で標識してもよい。ヒト免疫グロブリンファージライブラリの生成に有用なクローニング及び発現ベクターは、例えば、Stratagene Cloning System(La Jolla,CA)から得ることができる。
同様の戦略を用いて、高親和性scFvクローンを得ることができる。大きなレパートリを有するライブラリは、全ての既知のVH、Vκ、及びVλ遺伝子ファミリーに対応するPCRプライマーを使用して、非免疫ヒトドナーからV遺伝子を単離することによって構築され得る。増幅後、Vκプール及びVλプールを組み合わせて、1つのプールが形成され得る。これらのフラグメントは、ファージミドベクターにライゲーションされ得る。scFvリンカー(例えば、(G4S)n)は、VLフラグメントの上流のファージミド内(又はそのように所望されるようなVHフラグメントの上流)にライゲーションされ得る。VH及びリンカー-VLフラグメント(又はVL及びリンカー-VHフラグメント)は、JH領域上で増幅及びアセンブルされ得る。得られたVH-リンカーVL(又はVL-リンカー-VH)フラグメントは、ファージミドベクター内にライゲーションされ得る。ファージミドライブラリは、上述のようにフィルタを使用するか、又は免疫チューブを使用してパニングされ得る(Nunc;Maxisorp)。同様の結果は、免疫ウサギのリンパ球又は脾臓細胞からの組み合わせ免疫グロブリンライブラリを構築することによって、かつP.pastorisにおけるscFv構築物を発現させることによって達成され得る(例えば、R idder et al.,1995,Biotechnology,13:255-260を参照)。加えて、適切なscFv抗体の単離後、突然変異生成及び鎖混合(chain-shuffling)などの親和性成熟プロセスによって、より高い結合親和性及びより遅い解離速度を得ることができる(例えば、Jackson et al.,1998,Br.J.Cancer,78:181-188);Osbourn et al.,1996,Immunotechnology,2:181-196を参照)。
ヒト抗体は、様々な技術を用いて生成することができ、すなわち、内在性Ig遺伝子が部分的又は完全に不活性化されているトランスジェニック動物にヒトIg遺伝子を導入することを利用して、ヒト抗体を合成することができる。いくつかの実施形態では、抗CD22ヒト抗体は、ヒトCD22との抗原攻撃に応答してヒト抗体を製造するよう遺伝子操作された非ヒト動物の免疫化によって製造され得る。
提供された構築物は、例えば、構築物をコードする核酸を発現するよう遺伝子操作された宿主細胞系を利用することによっても生成され得る。代替的にあるいは追加的に、提供された構築物は、化学合成によって(例えば、自動ペプチド合成装置又は構築物をコードする核酸の遺伝子合成を使用して)部分的に又は完全に調製され得る。本明細書に記載の構築物は、任意の適切なベクター又は発現カセットを使用して発現させることができる。様々なベクター(例えば、ウイルスベクター)及び発現カセットは、当該技術分野において既知であり、かかるベクター又は発現カセットが導入され得る細胞は、当該技術分野において既知のように(例えば、連続式又は流加式培養系を使用して)培養することができる。いくつかの実施形態では、細胞は、遺伝子操作されてもよく、遺伝子操作されたポリペプチドを発現するように細胞を遺伝子操作する技術は、当該技術分野において周知である(例えば、Ausabel et al.,eds.,1990,Current Protocols in Molecular Biology(Wiley,New York)を参照)。
本明細書に記載の構築物は、精製されてもよく、すなわち、濾過、遠心分離、及び/又はHPLC若しくはアフィニティクロマトグラフィなどの様々なクロマトグラフィ技術を使用して精製されてもよい。いくつかの実施形態では、提供される構築物のフラグメントは、ペプシン若しくはパパインなどの酵素による消化を含む方法、及び/又は化学還元によるジスルフィド結合の切断によって得られる。
提供された構築物は、構築物の特性及び/又は活性を改善するような方法で遺伝子操作、生成、かつ/又は精製され得ることが理解されるであろう。例えば、改善された特性としては、特に、安定性の向上、結合親和性及び/又は結合活性の向上、結合特異性の向上、生成の増加、凝集の減少、非特異的結合の低下が挙げられるが、これらに限定されない。 いくつかの実施形態では、提供された構築物は、(例えば、免疫グロブリン又はそのフラグメント(例えば、scFv抗体)との関連のフレームワーク領域において)タンパク質安定性、抗原結合、発現レベルを改善するか、あるいは治療薬、診断薬、若しくは検出試薬のコンジュゲーションのための部位若しくは場所を提供する1つ以上のアミノ酸置換を含むことができる。
VI.治療薬及び検出試薬
治療薬又は検出試薬は、本明細書に記載される抗CD22構築物に付着されてもよい。治療薬は、例えば、タンパク質、炭水化物、脂質、核酸、有機小分子、非生物学的ポリマー、金属、イオン、放射性同位体などが挙げられるが、これらに限定されない、任意の部類の化学物質であってもよい。いくつかの実施形態では、本発明による使用のための治療薬は、1つ以上の症状又は癌の原因の治療に関連する生物学的活性を有し得る。いくつかの実施形態では、本発明による使用のための治療薬は、免疫系の調節及び/又はT細胞介在性細胞傷害の増強に関連する生物学的活性を有し得る。いくつかの実施形態では、本発明による使用のための治療薬は、1つ以上の他の活性を有する。
検出試薬は、例えば、検出試薬の特定の機能特性及び/又は化学的特性に起因して、アッセイを用いて検出され得る任意の部分を含み得る。かかる試薬の非限定的な例としては、酵素、放射標識、ハプテン、蛍光標識、燐光分子、化学発光分子、発色団、発光分子、光親和性分子、着色粒子、又はビオチンなどの配位子が挙げられる。
構築物への付着のための系であるような多くの検出試薬が当該技術分野において既知である(例えば、米国特許第5,021,236号、同第4,938,948号、及び同第4,472,509号を参照)。このような検出試薬の例としては、とりわけ、常磁性イオン、放射性同位体、蛍光色素、NMR検出可能物質、X線造影剤が挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、常磁性イオンは、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、エルビウム(III)、ランタン(III)、金(III)、鉛(II)、及び/又はビスマス(III)のうちの1つ以上である。
放射性同位体は、アクチニウム-225、アスタチン-211、ビスマス-212、炭素14、クロム-51、塩素-36、コバルト-57、コバルト-58、銅-67、ユーロピウム-152、ガリウム-67、水素-3、ヨウ素-123、ヨウ素-124、ヨウ素-125、ヨウ素-131、インジウム-111、鉄-59、鉛-212、ルテチウム-177、リン-32、ラジウム-223、ラジウム-224、レニウム-186、レニウム-188、セレン-75、硫黄-35、テクネチウム-99m、トリウム-227、イットリウム-90、及びジルコニウム-89のうちの1つ以上であってもよい。放射線活性標識構築物は、当該技術分野において周知の技術に従って生成することができる。
蛍光標識は、とりわけ、Alexa350、Alexa430、AMCA、BODIPY630/650、BODIPY650/665、BODIPY-FL、BODIPY-R6G、BODIPY-TMR、BODIPY-TRX、Cascade Blue、Cy3、Cy5、6-FAM、フルオレセインイソチオシアネート、HEX、6-JOE、Oregon Green488、Oregon Green500、Oregon Green514、Pacific Blue、REG、Rhodamine Green、Rhodamine Red、Renographin、ROX、TAMRA、TET、テトラメチルローダミン、及び/又はTexas Redであってもよく、あるいは、これらのうちの1つ以上を含んでもよい。
VII.治療の方法
本発明の抗CD22構築物及び/又は組成物は、個体(例えば、ヒトなどの哺乳動物)に投与されて、B細胞リンパ腫又はB細胞白血病などのB細胞悪性腫瘍(例えば、CD22+B細胞悪性腫瘍)を治療することができる。B細胞悪性腫瘍はまた、本明細書で更に説明されるような様々な種類の癌を含む。B細胞悪性腫瘍の例としては、急性リンパ性白血病(ALL)、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、前リンパ球性白血病、有毛細胞白血病、共通急性リンパ性白血病、及びnull細胞型急性リンパ性白血病が挙げられるが、これらに限定されない。本発明は、個体においてB細胞悪性腫瘍(例えば、CD22+B細胞悪性腫瘍)を治療する方法を提供し、方法は、本明細書に記載される抗CD22構築物(例えば、抗CD22 scFv)を含む有効量の医薬組成物を個体に投与することを含み、抗CD22構築物は、CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に結合する。
癌
いくつかの実施形態における、抗CD22構築物及び抗CD22 CAR及び及び抗CD22 caTCRを含む抗CD22構築物を発現する細胞は、B細胞関連癌の治療に有用であり得る。本明細書に記載される方法のうちのいずれかを使用して治療され得る癌としては、脈管化されていないか、又はまだ実質的に脈管化されていない腫瘍、並びに脈管化腫瘍が挙げられる。癌は、非固形腫瘍(例えば、白血病及びリンパ腫などの血液系腫瘍)を含んでもよく、又は固形腫瘍を含んでもよい。本発明の抗CD22構築物及び抗CD22 CAR細胞で治療される癌の種類としては、癌腫、芽細胞腫、肉腫、黒色腫、神経内分泌腫瘍、及び神経膠腫、並びに特定の白血病又はリンパ系悪性腫瘍、良性腫瘍及び悪性腫瘍、並びに肉腫、癌腫、黒色腫、及び神経膠腫などの悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。成人腫瘍/癌及び小児腫瘍/癌もまた含まれる。
本明細書に記載される方法のうちのいずれかによる治療のために想到される固形腫瘍としては、神経膠腫(例えば、脳幹神経膠腫及び混合神経膠腫)、(多形グリア芽細胞腫としても知られる)グリア芽腫、星状細胞腫(高悪性度星状細胞腫など)、小児神経膠腫又はグリア芽腫(例えば、小児高悪性度神経膠腫(high-grade glioma、HGG)及びびまん性橋膠腫(diffuse intrinsic pontine glioma、DIPG))、CNSリンパ腫、胚細胞腫、髄芽腫、シュワン腫、頭蓋骨髄腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽腫、及び脳転移が挙げられる。
いくつかの実施形態では、B細胞関連癌は、小児神経膠腫である。いくつかの実施形態では、小児神経膠腫は、低悪性度神経膠腫である。いくつかの実施形態では、小児神経膠腫は、高悪性度神経膠腫(HGG)である。いくつかの実施形態では、小児神経膠腫は、多形グリア芽細胞腫である。いくつかの実施形態では、小児神経膠腫は、びまん性橋膠腫(DIPG)である。いくつかの実施形態では、DIPGは、グレードIIである。いくつかの実施形態では、DIPGは、グレードIIIである。いくつかの実施形態では、DIPGは、グレードIVである。
治療のために想到される更なる固形腫瘍としては、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫(明細胞軟骨肉腫など)、軟骨芽細胞腫、骨肉腫、及び他の肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ悪性腫瘍、膵臓癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、褐色細胞腫、乳頭癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝腫、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸部癌(例えば、子宮頸癌及び子宮頸部異形成)、肛門癌、肛門管癌、肛門直腸癌、膣癌、外陰部癌(例えば、扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、及び線維肉腫)、陰茎癌、口腔咽頭癌、頭部癌(例えば、扁平上皮癌)、頸癌(例えば、扁平上皮癌)、精巣癌(例えば、精上皮腫、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、ライディッヒ細胞腫、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、及び脂肪腫)、膀胱癌、黒色腫、子宮癌(例えば、子宮内膜癌)、及び尿路上皮癌(例えば、扁平上皮癌、転移細胞癌、腺癌、尿管癌、及び膀胱癌)が挙げられる。
本明細書に記載される方法のうちのいずれかによる治療のために想到される血液癌としては、急性白血病(急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病及び骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性及び赤白血病など)、慢性白血病(慢性骨髄性(顆粒球)白血病、慢性骨髄性白血病、及び慢性リンパ性白血病)、真性赤血球増加症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(無痛性及び高悪性度形態)、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群、ヘアリー細胞白血病及び骨髄異形成症が挙げられる。
癌治療は、例えば、腫瘍退縮、腫瘍重量又はサイズ収縮、無増悪期間、生存期間、無増悪生存、全奏功率、奏功期間、生活の質、タンパク質発現量及び/又は活性によって評価することができる。例えば、放射線画像撮影による応答の測定を含む治療の有効性を判定するためのアプローチを用いることができる。
いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍(例えば、CD22+B細胞悪性腫瘍)を治療する方法において使用される抗CD22構築物は、i)それぞれ配列番号206~208の配列を有するLC-CDR1、LC-CDR2及びLC-CDR3のうちの1つ以上を含む軽鎖可変領域と、ii)それぞれ配列番号209~211の配列を有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3のうちの1つ以上を含む重鎖可変領域と、を含む、抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、それぞれ配列番号206~211の配列を有するLC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3、HC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む。他の実施形態では、B細胞悪性腫瘍を治療する方法において使用される抗CD22構築物は、i)それぞれ配列番号206~208の配列のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号212の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列と、を有する軽鎖可変領域と、ii)それぞれ配列番号209~211の配列のHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、配列番号213の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列と、を有する重鎖可変領域と、を含む抗体部分を含み、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、リンカーを介して互いに結合されている。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、完全長抗体である。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、CAR又はcaTCRである。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、上記の抗体部分及びエフェクタ分子を含む免疫コンジュゲートである。エフェクタ分子は、治療薬(例えば、薬物、毒素、放射性同位体、タンパク質、ペプチド、又は核酸)又は標識であってもよい。いくつかの実施形態では、治療薬は、薬物又は毒素である。いくつかの実施形態では、組成物は、抗CD22構築物に関連する細胞(エフェクタ細胞など)を更に含む。
いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍(例えば、CD22+B細胞悪性腫瘍)を治療する方法において使用される抗CD22構築物は、i)それぞれ配列番号214~216の配列を有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3のうちの1つ以上を含む軽鎖可変領域と、ii)それぞれ配列番号209、210、及び217の配列を有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3のうちの1つ以上を含む重鎖可変領域と、を含む抗体部分を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、それぞれ配列番号214~216、209、210、及び217の配列を有するLC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3、HC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む。他の実施形態では、B細胞悪性腫瘍を治療する方法において使用される抗CD22構築物は、i)それぞれ配列番号214~216の配列のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号218の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列と、を有する軽鎖可変領域と、ii)それぞれ配列番号209、210、及び217の配列のHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、配列番号219の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列と、を有する重鎖可変領域と、を含む抗体部分を含み、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、リンカーを介して互いに結合されている。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、完全長抗体である。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)である。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、CAR又はcaTCRである。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、上述の抗体部分及びエフェクタ分子を含む免疫コンジュゲートである。エフェクタ分子は、治療薬(例えば、薬物、毒素、放射性同位体、タンパク質、ペプチド、又は核酸)又は標識であってもよい。いくつかの実施形態では、治療薬は、薬物又は毒素である。いくつかの実施形態では、組成物は、抗CD22構築物に関連する細胞(エフェクタ細胞など)を更に含む。
B細胞悪性腫瘍(例えば、上記のCD22+B細胞悪性腫瘍)を治療するための方法のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、個体に投与される前に細胞(例えば、T細胞などの免疫細胞など)にコンジュゲートされる。したがって、例えば、個体におけるB細胞悪性腫瘍(例えば、CD22+B細胞悪性腫瘍)を治療する方法であって、a)本明細書に記載される抗CD22構築物又は抗CD22構築物の抗体部分を細胞(例えば、T細胞などの免疫細胞など)にコンジュゲートさせて、抗CD22構築物/細胞コンジュゲートを形成することと、b)抗CD22構築物/細胞コンジュゲートを含む有効量の組成物を個体に投与することと、を含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、細胞は、個体に由来する。いくつかの実施形態では、細胞は、個体に由来しない。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、細胞の表面上の分子に共有結合することによって細胞にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、細胞の表面上の分子への非共有結合によって細胞にコンジュゲートされる。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、抗CD22構築物の一部を細胞の外側膜に挿入することによって細胞にコンジュゲートされる。
治療は、例えば、腫瘍退縮、腫瘍重量又はサイズ収縮、無増悪期間、生存期間、無増悪生存、全奏功率、奏功期間、生活の質、タンパク質発現量及び/又は活性によって評価することができる。例えば、放射線画像撮影による応答の測定を含む治療の有効性を判定するためのアプローチを用いることができる。
いくつかの実施形態では、治療の有効性は、式100-(T/C×100)(式中、Tは、治療された腫瘍の平均相対腫瘍体積であり、Cは、未治療の腫瘍の平均相対腫瘍体積である)を使用して算出することができる腫瘍成長阻害率(%TGI)として測定することができる。いくつかの実施形態では、%TGIは、約2%、約4%、約6、約8%、10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、又は95%超である。
VIII.抗CD22構築物エフェクタ細胞療法
本出願はまた、抗CD22構築物(抗CD22 CAR、抗CD22 caTCR、又は抗CD22 CSRなど)を使用して、B細胞悪性腫瘍におけるCD22+細胞へエフェクタ細胞(初代T細胞など)の特異性を向け直す方法を提供する。したがって、本発明はまた、哺乳動物におけるCD22+細胞を含む標的細胞集団又は標的細胞組織に対するエフェクタ細胞介在性応答(T細胞介在性免疫応答など)を刺激する方法を提供し、方法は、抗CD22 CAR又は抗CD22 caTCRを発現するエフェクタ細胞(T細胞など)を哺乳動物に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞を「刺激する」とは、免疫細胞の活性化とは異なるエフェクタ細胞介在性応答(T細胞介在性免疫応答など)を誘発することを指す。いくつかの実施形態では、抗CD22 CSRは、免疫細胞(例えば、T細胞)を刺激することができるが、免疫細胞を活性化しない。
抗CD22構築物を発現する抗CD22構築物エフェクタ細胞(抗CD22 CAR T細胞又は抗CD22 caTCR T細胞など)は、抗CD22構築物を必要とするレシピエントに注入され得る。注入された細胞は、レシピエント内のCD22+細胞を殺傷することができる。いくつかの実施形態では、抗体療法とは異なり、抗CD22構築物エフェクタ細胞(T細胞など)は、インビボで複製することができ、持続的な腫瘍制御をもたらし得る長期持続性をもたらす。
いくつかの実施形態では、抗CD22構築物エフェクタ細胞は、ロバストなインビボでのT細胞増殖を受けることができ、かつ長時間、存続することができる抗CD22 CAR T細胞又は抗CD22 caTCR T細胞である。いくつかの実施形態では、本発明の抗CD22 CAR T細胞又は抗CD22 caTCR T細胞は、任意の更なる腫瘍形成又は増殖を阻害するように再活性化され得る特定のメモリT細胞に進化する。
本発明の抗CD22構築物T細胞(抗CD22 CAR T細胞又は抗CD22 caTCR T細胞など)はまた、哺乳動物におけるエクスビボの免疫及び/又はインビボの治療のための一種のワクチンとしても機能し得る。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
エクスビボの免疫に関して、以下のうちの少なくとも1つが、細胞を哺乳動物に投与する前にインビトロで生じる。i)細胞の増殖、ii)抗CD22 CAR若しくは抗CD22 caTCRをコードする核酸を細胞に導入すること、及び/又はiii)細胞の冷凍保存。エクスビボの手順は、当該技術分野において周知である。簡潔には、細胞は、哺乳動物(好ましくはヒト)から単離され、本明細書に開示される抗CD22 CAR又は抗CD22 caTCRを発現するベクターにより遺伝子修飾(すなわち、インビトロで形質導入又はトランスフェクト)される。抗CD22 CAR細胞又は抗CD22 caTCR細胞は、治療効果を提供するように、哺乳動物のレシピエントに投与することができる。哺乳動物のレシピエントは、ヒトであってもよく、抗CD22 CAR細胞又は抗CD22 caTCR細胞は、レシピエントに対して自己移植であってもよい。あるいは、細胞は、レシピエントに対して同種異系、同系又は異種であってもよい。造血幹細胞及び前駆細胞のエクスビボ増殖の手順は、参照により本明細書に援用されている米国特許第5,199,942号に記載されており、本発明の細胞に適用することができる。他の好適な方法は、当該技術分野において既知であるため、本発明は、細胞のエクスビボ増殖の任意の特定の方法に限定されない。簡潔には、T細胞のエクスビボ培養及びエクスビボ増殖は、(1)末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cell、PBMC)からT細胞を収集することと、(2)かかる細胞をエクスビボで増殖させることと、を含む。米国特許第5,199,942号に記載の細胞増殖因子に加えて、flt3-L、IL-1、IL-3、及びc-kitリガンドなどの他の因子を、細胞の培養及び増殖のために使用することができる。
本発明はまた、エクスビボ免疫化に関して細胞系ワクチンを使用することに加えて、患者内の抗原に対する免疫応答を誘発するためのインビボ免疫化のための組成物及び方法も提供する。本発明の抗CD22構築物エフェクタ細胞(抗CD22 CAR T細胞又は抗CD22 caTCR T細胞など)は、単独で、あるいは希釈剤と組み合わせた、かつ/又はIL-2若しくは他のサイトカインなどの他の成分又は細胞集団と組み合わせた、医薬組成物としてのいずれか一方で投与され得る。簡潔には、本発明の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に又は生理学的に許容される担体、希釈剤、若しくは賦形剤と組み合わせて、抗CD22構築物エフェクタ細胞(T細胞など)を含んでもよい。このような組成物は、中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水などの緩衝剤と;グルコース、マンノース、スクロース、又はデキストランなどの炭水化物、マンニトールと;タンパク質と;ポリペプチド又はグリシンなどのアミノ酸と;酸化防止剤と;EDTA又はグルタチオンなどのキレート剤と;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)と;防腐剤と、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物エフェクタ細胞(T細胞など)組成物は、静注経路、髄腔内経路、頭蓋内経路、大脳内経路、脳室内経路による投与のために製剤化される。
本発明の抗CD22構築物エフェクタ細胞(抗CD22 CAR T細胞又は抗CD22 caTCR T細胞など)組成物の正確な投与量は、患者(対象)の年齢、体重、腫瘍サイズ、感染又は転移の程度、及び病状の個々の差異を考慮して医師によって判定され得る。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物エフェクタ細胞(T細胞など)を含む医薬組成物は、以下の範囲内のすべての整数値を含む、約104~約105、約105~約106、約106~約107、約107~約108個細胞/kg体重、又は約108~約109個細胞/kg体重のうちの任意など約104~約109個細胞/kg体重の用量で投与される。抗CD22構築物効果細胞(T細胞など)組成物はまた、これらの用量で複数回投与されてもよい。細胞は、免疫療法において一般的に知られている注入手法を使用することによって投与することができる(例えば、Rosenberg et al.,New Eng.J.of Med.319:1676,1988)。特定の患者の最適な用量及び治療レジメンは、疾患の徴候について患者をモニタし、それに応じて治療を調整することによって、医療分野の当業者によって容易に決定することができる。
いくつかの実施形態では、活性化された抗CD22構築物T細胞(例えば、抗CD22 CAR T細胞又は抗CD22 caTCR T細胞など)を対象に投与し、続いて血液を再び採取して(又はアフェレーシスを行って)、血液由来のT細胞を本発明に従って活性化し、これらの活性化され、増殖したT細胞を患者に再注入することが所望され得る。このプロセスは、2~3週毎に複数回実行することができる。いくつかの実施形態では、T細胞は、10cc~400ccの採取血から活性化され得る。いくつかの実施形態では、T細胞は、20cc、30cc、40cc、50cc、60cc、70cc、80cc、90cc、又は100ccの採取血から活性化される。
抗CD22構築物エフェクタ細胞(抗CD22 CAR T細胞又は抗CD22 caTCR T細胞など)の投与は、注射、経口摂取、輸液、植え付け、又は移植によることを含む任意の好都合な方法で実施され得る。本明細書に記載される組成物は、皮下に、皮内に、腫瘍内に、結節内に、髄内に、筋肉内に、髄腔内に、頭蓋内に、大脳内に、脳室内に、静注経路(i.v.)注射によって、又は腹腔内に、患者に投与され得る。いくつかの実施形態では、本発明の抗CD22構築物エフェクタ細胞(T細胞など)組成物は、皮内注射又は皮下注射によって患者に投与される。いくつかの実施形態では、本発明の抗CD22構築物エフェクタ細胞(T細胞など)組成物は、i.v.注射により投与される。いくつかの実施形態では、本発明の抗CD22構築物エフェクタ細胞(T細胞など)組成物は、髄腔内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、本発明の抗CD22構築物エフェクタ細胞(T細胞など)組成物は、頭蓋内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、本発明の抗CD22構築物エフェクタ細胞(T細胞など)組成物は、大脳内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、本発明の抗CD22構築物エフェクタ細胞(T細胞など)組成物は、脳室内注射によって投与される。抗CD22構築物エフェクタ細胞(T細胞など)の組成物は、腫瘍、リンパ節、又は感染部位に直接注入されてもよい。
したがって、例えば、いくつかの実施形態では、a)CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に特異的に結合する本明細書に記載の抗CD22構築物又はその抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζ細胞内シグナル伝達配列、並びにCD28及び/又は4-1BB細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む、抗CD22 CARを発現するエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるB細胞悪性腫瘍(例えば、CD22+B細胞悪性腫瘍)を標的化する方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗CD22抗体部分は、i)それぞれ配列番号206~208の配列を有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3のうちの1つ以上を含む軽鎖可変領域と、ii)それぞれ配列番号209~211の配列を有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3のうちの1つ以上を含む重鎖可変領域と、を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、それぞれ配列番号206~211の配列を有するLC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3、HC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む。他の実施形態では、抗CD22抗体部分は、i)それぞれ配列番号206~208の配列のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号212の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列と、を有する軽鎖可変領域と、ii)それぞれ配列番号209~211の配列のHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、配列番号213の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列と、を有する重鎖可変領域と、を含み、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、リンカーを介して互いに結合されている。
したがって、例えば、いくつかの実施形態では、a)CD22の細胞外領域又はその一部(例えば、配列番号205又はその一部)に特異的に結合する抗CD22抗体部分を含む細胞外ドメインと、b)膜貫通ドメインと、c)CD3ζ細胞内シグナル伝達配列、並びにCD28及び/又は4-1BB細胞内シグナル伝達配列を含む細胞内シグナル伝達ドメインと、を含む、抗CD22 CARを発現するエフェクタ細胞(T細胞など)を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む、個体におけるB細胞悪性腫瘍(例えば、CD22+B細胞悪性腫瘍)を標的化する方法が提供される。いくつかの実施形態では、抗CD22抗体部分は、i)それぞれ配列番号214~216の配列を有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3のうちの1つ以上を含む軽鎖可変領域と、ii)それぞれ配列番号209、210、及び217の配列を有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3のうちの1つ以上を含む重鎖可変領域と、を含む。いくつかの実施形態では、抗体部分は、それぞれ配列番号214~216、209、210、及び217の配列を有するLC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3、HC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む。他の実施形態では、抗CD22抗体部分は、i)それぞれ配列番号214~216の配列のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号218の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列と、を有する軽鎖可変領域と、ii)それぞれ配列番号209、210、及び217の配列のHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、配列番号219の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%)の同一性を有する配列と、を有する重鎖可変領域と、を含み、軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、リンカーを介して互いに結合されている。
IX.抗CD22構築物を使用した診断及び撮像方法
細胞の表面上のCD22に特異的に結合する標識された抗CD22抗体部分並びにその誘導体及び類似体を診断目的で使用して、B細胞悪性腫瘍(例えば、B細胞関連癌又はCD22+B細胞悪性腫瘍)を検出、診断、又はモニタすることができる。例えば、本発明の抗CD22抗体部分は、インシトゥ、インビボ、エクスビボ、及びインビトロ診断アッセイ又は撮像アッセイにおいて使用することができる。
本発明の更なる実施形態は、個体(例えば、ヒトなどの哺乳動物)におけるB細胞悪性腫瘍(例えば、B細胞関連癌又はCD22+B細胞悪性腫瘍)を診断する方法を含む。本方法は、個体においてCD22提示細胞を検出することを含む。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、B細胞リンパ腫又はB細胞白血病である。いくつかの実施形態では、上記の実施形態のうちのいずれかによる有効量の標識された抗CD22抗体部分を個体に投与することと、(b)個体における標識のレベルを判定して、閾値レベルを超える標識のレベルが、個体がB細胞悪性腫瘍を有することを示すことと、を含む、個体(例えば、ヒトなどの哺乳動物)におけるB細胞悪性腫瘍(例えば、B細胞関連癌又はCD22+B細胞悪性腫瘍)を診断する方法が提供される。閾値レベルは、例えば、B細胞悪性腫瘍を有する第1のセットの個体、及びB細胞悪性腫瘍を有さない第2のセットの個体において、上記の診断方法に従って標識を検出することと、第1のセットと第2のセットとの間の識別を可能にするレベルに閾値を設定することと、を含む、様々な方法によって判定することができる。いくつかの実施形態では、閾値レベルはゼロであり、方法は、個体における標識の有無を判定することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、工程(a)の投与後のある時間待機して、標識された抗CD22抗体部分が、CD22が発現される個体の部位に優先的に集中すること(及び標識された非結合抗CD22抗体部分が排除されること)を可能にすることを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、標識のバックグラウンドレベルを差し引くことを更に含む。バックグラウンドレベルは、例えば、標識された抗CD22抗体部分の投与前の個体内の標識を検出すること、又はB細胞悪性腫瘍を有さない個体において上記の診断方法に従って標識を検出することを含む、様々な方法によって判定することができる。
本発明の抗CD22抗体部分を使用して、当業者に既知の方法を使用して、生体サンプル中のCD22提示細胞のレベルをアッセイすることができる。好適な抗体標識は、当該技術分野において既知であり、グルコースオキシダーゼなどの酵素標識と;ヨウ素(131I、125I、123I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115mIn、113mIn、112In、111In)、テクネチウム(99Tc、99mTc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、サマリウム(153Sm)、ルテチウム(177Lu)、ガドリニウム(159Gd)、プロメチウム(149Pm)、ランタン(140La)、イッテルビウム(175Yb)、ホルミウム(166Ho)、イットリウム(90Y)、スカンジウム(47Sc)、レニウム(186Re、188Re)、プラセオジム(142Pr)、ロジウム(105Rh)、及びルテニウム(97Ru)などの放射性同位体と;ルミノールと;フルオレセイン及びローダミンなどの蛍光標識と;ビオチンと、が挙げられる。
当該技術分野において既知の手法は、本発明の標識された抗CD22抗体部分に適用され得る。このような手法としては、二官能性共役剤の使用が挙げられる(例えば、米国特許第5,756,065号、同第5,714,631号、同第5,696,239号、同第5,652,361号、同第5,505,931号、同第5,489,425号、同第5,435,990号、同第5,428,139号、同第5,342,604号、同第5,274,119号、同第4,994,560号、及び同第5,808,003号を参照)。上記アッセイとは別に、様々なインビボ及びエクスビボのアッセイが当業者に利用可能である。例えば、対象の体内の細胞を、検出可能な標識、例えば、放射性同位体で任意に標識された抗CD22抗体部分に曝露することができ、例えば、放射能を外部走査することによって、又は抗CD22抗体部分に以前に曝露された対象に由来する試料(例えば、生検又は他の生体サンプル)を分析することによって、抗CD22抗体部分の細胞への結合を評価することができる。
X.医薬組成物
本明細書に記載される抗CD22構築物を含む組成物(本明細書では製剤とも呼ばれる医薬組成物など)、本明細書に記載される抗CD22構築物に含有される1つ以上のポリペプチドをコードする核酸、核酸を含む発現カセット、又は抗CD22構築物を発現する宿主細胞もまた本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、組成物は、抗CD22構築物に関連する細胞(エフェクタ細胞、例えば、T細胞など)を更に含む。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、抗CD22構築物に関連する細胞(エフェクタ細胞、例えば、T細胞など)を更に含む。
抗CD22構築物の好適な製剤は、所望の純度を有する抗CD22構築物を、任意の薬学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と混合することによって凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で得られる。許容可能な担体、賦形剤、又は安定剤は、用いられる用量及び濃度においてレシピエントに対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルアルコール、若しくはベンジルアルコール;メチルパラベン若しくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなどの)防腐剤;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;オリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む、単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);並びに/又はTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)若しくはポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。例示的な製剤は、参照により本明細書に明示的に援用されている国際公開第98/56418号に記載されている。皮下投与に適合された凍結乾燥製剤は、国際公開第97/04801号に記載されている。このような凍結乾燥製剤は、好適な希釈剤で高タンパク質濃度に再構成されてもよく、再構成された製剤は、本明細書において治療される個体に皮下投与されてもよい。リポフェクチン又はリポソームを使用して、本発明の抗CD22抗体を細胞に送達することができる。
本明細書の製剤はまた、治療中の特定の指示に対して必要である場合、抗CD22構築物に加えて1種以上の活性化合物を含有してもよく、活性化合物は、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有する。例えば、抗CD22構築物に加えて、抗腫瘍剤、増殖抑制剤、細胞毒性剤、又は化学療法剤を更に提供することが所望され得る。このような微量物は、意図される目的に有効な量で組み合わされて好適に存在する。このような他の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗CD22構築物の量、疾患若しくは障害又は治療の種類、及び上記の他の因子に依存する。これらは、大略的に、同一用量でかつ本明細書に記載される投与経路で、あるいはこれまで使用された用量の約1~99%で使用される。
抗CD22抗体は、例えば、コアセルベーション技術によって、又は界面重合によって調製された、それぞれ、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミン微小球、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルションにおける、例えば、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルなどのマイクロカプセルに封入され得る。このような手法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。徐放性調製剤が調製されてもよい。
抗CD22構築物の徐放性調製剤が調製されてもよい。徐放性調製剤の好適な例としては、構築物(又はそのフラグメント)を含有する固形疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、マトリックスは、成形物品、例えば、フィルム、又はマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、Lグルタミン酸とエチル-Lグルタミン酸とのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸ロイプロリドからなる注入可能な微小球)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、及びポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン-酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸などのポリマーは、100日間にわたって分子の放出を可能にするが、特定のヒドロゲル放出タンパク質は、より短い期間にわたって放出される。カプセル化された構築物が長期にわたって体内に残留すると、37℃で水分に曝露された結果、変性又は凝集する場合があり、生物学的活性の損失及び免疫原性の潜在的な変化をもたらす場合がある。関与する機構に応じて、抗CD22構築物の安定化のための合理的戦略を考案することができる。例えば、凝集機構がチオ-ジスルフィド交換による分子間S-S結合形成であることが分かった場合、スルフヒドリル残基を修飾することと、酸性溶液から凍結乾燥することと、含水量を制御することと、適切な添加剤を使用することと、特定のポリマーマトリックス組成物を開発することと、によって、安定化を達成することができる。
いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、クエン酸塩、NaCl,酢酸塩、コハク酸塩、グリシン、ポリソルベート80(Tween80)、又は前述の任意の組み合わせを含む緩衝液中に配合される。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、約100mM~約150mMのグリシンを含む緩衝液中に配合される。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、約50mM~約100mMのNaClを含む緩衝液中に配合される。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、約10mM~約50mMの酢酸塩を含む緩衝液中に配合される。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、約10mM~約50mMのコハク酸塩を含む緩衝液中に配合される。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、約0.005%~約0.02%のポリソルベート80を含む緩衝液中に配合される。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、約5.1~5.6のPHを有する緩衝液中に配合される。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物は、10mMのクエン酸塩、100mMのNaCl、100mMのグリシン、及び0.01%のポリソルベート80を含む緩衝液中に配合され、製剤はpH5.5である。
インビボの投与に使用される製剤は無菌でなければならない。これは、例えば、滅菌濾過膜を介する濾過によって容易に達成される。
XI.用量及び投与
(ヒトなどの)個体に投与される抗CD22構築物組成物の用量は、特定の組成物、投与様式、及び治療中の疾患の種類によって変化し得る。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物組成物の量は、個体において完全奏効をもたらすのに十分である。いくつかの実施形態では、抗CD22構築物組成物の量は、個体において部分的奏効をもたらすのに十分である。いくつかの実施形態では、(例えば、単独で投与される場合、)投与される抗CD22構築物組成物の量は、抗CD22構築物組成物で治療された個体の集団の中で、約2%、4%、6%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、64%、65%、70%、75%、80%、85%、又は90%のうちのいずれかを超える全奏功率を生じさせるのに十分な量である。本明細書に記載される方法の治療に対する個体の応答は、例えば、腫瘍成長阻害率(%TGI)に基づいて判定することができる。
いくつかの実施形態では、組成物の量は、個体の全生存期間を延長するのに十分である。いくつかの実施形態では、(例えば、投与される場合、)組成物の量は、抗CD22構築物組成物で治療された個体の集団の中で、約2%、4%、6%、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、又は77%のうちのいずれかを超える臨床的利益をもたらすのに十分である。
いくつかの実施形態では、組成物の量は、治療前の同じ対象における、対応する腫瘍サイズ、癌細胞数、又は腫瘍成長率と比較して、あるいは治療を受けていない他の対象における対応する活性と比較して、少なくとも約2%、4%、6%、8%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%のうちのいずれかだけ、腫瘍のサイズを縮小させるか、癌細胞(例えば、CD22+細胞)の数を減少させるか、又は腫瘍増殖速度を低下させるのに十分な量である。標準的な方法を使用して、精製酵素、細胞系アッセイ、動物モデル、又はヒト試験によるインビトロでのアッセイなどのこの効果の大きさを測定することができる。
いくつかの実施形態では、組成物中の抗CD22構築物の量は、毒性効果(すなわち、臨床的に許容可能な毒性レベルを上回る効果)を誘発するレベル未満であるか、あるいは組成物が個体に投与される場合、潜在的な副作用を制御又は許容することができるレベルである。いくつかの実施形態では、組成物の量は、同じ投与レジメンに従う組成物の最大耐性用量(maximum tolerated dose、MTD)に近い。いくつかの実施形態では、組成物の量は、MTDの約80%、90%、95%、又は98%のうちのいずれかを超える。いくつかの実施形態では、組成物中の抗CD22構築物の量は、約0.001μg~約1000μgの範囲内に含まれる。上記態様のうちのいずれかのいくつかの実施形態では、組成物中の抗CD22構築物の有効量は、総体重の約0.1μg/kg~約100mg/kgの範囲内である。
抗CD22構築物組成物は、例えば、静注経路、動脈内、腹腔内、肺内、経口、経鼻、吸入、膀胱内、筋肉内、気管内、皮下、眼内、髄腔内、頭蓋内、大脳内、脳室内、経粘膜、及び経皮を含む様々な経路を介して、(ヒトなどの)個体に投与され得る。いくつかの実施形態では、組成物の徐放性製剤を使用することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、静注経路で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、動脈内投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、腹腔内投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、髄腔内投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、頭蓋内投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、大脳内投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、脳室内投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、経鼻投与される。
実施例1-ヒト抗CD22構築物の生成及び選択
本実施例は、ヒトCD22に特異なヒト構築物の生成を実証する。特に、本実施例は、ヒトCD22をネイティブフォーマットで特異的に結合するヒト一本鎖可変フラグメント(scFv)の生成を実証する。本明細書に記載のヒト構築物は、正常ドナー及び/又は疾患のあるドナーから作成されたナイーブヒトファージライブラリ又は半合成ヒトファージライブラリを使用して作成され、CD22に対する高い特異性に基づいて、ネイティブ構造の細胞表面発現ヒトCD22をパニングすることにより選択された。したがって、このようなヒト構築物は、とりわけ、完全長IgG、多重特異性抗体、及び本来見出されるレパートリから削除され得るキメラ抗原受容体の構築のための貴重な供給源として機能し得る。
簡潔には、抗ヒトCD22構築物の作成のための例示的な概要を表2に示す。プロセスは、E-ALPHA(登録商標)ファージライブラリからのヒトCD22特異性構築物及び生物学的活性構築物の同定から開始した。Eureka Therapeuticsにおいて構築された、E-ALPHA(登録商標)ファージライブラリと称される、ヒトscFv抗体ファージディスプレイライブラリ(多様性=10X1010)の収集物を、ヒトCD22に特異なヒト構築物の選択に使用した。E-ALPHA(登録商標)ファージライブラリには、完全にナイーブなヒト重鎖レパートリ及びヒト軽鎖レパートリからなるナイーブライブラリ、並びに完全にナイーブなヒト軽鎖レパートリ及び完全にランダム化された重鎖CDR3領域を有する半合成重鎖を含有する半合成ライブラリが含まれた。ナイーブな抗体レパートリは、健康なドナーのPBMC及び脾臓から、又は疾患のあるドナーのPBMCからクローン化された。scFvライブラリは、Raji(CD22を自然発現するリンパ腫細胞株)、完全長CD22を発現するJurkat細胞、及びCD22のドメイン5~7を発現するJurkat細胞を含むヒトCD22陽性細胞に対するパニングに使用された。Jurkat細胞における完全長CD22の発現は、図1A~図1Eのように、完全長CD22にのみ結合するAPCマウス抗ヒトCD22抗体(Biolegend,Cat.No.363505)を使用する抗CD22の染色によって確認された。CD22のドメイン5~7を緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein、GFP)にコンジュゲートさせ、Jurkat細胞におけるCD22の発現をFITCシグナルによって確認した。CD22を発現しないJurkat細胞を陰性対照として使用した。細胞パニングに関しては、最初に、完全長CD22若しくはCD22のドメイン5~7を発現するJurkat細胞、又はRaji細胞を、ヒトscFvファージライブラリと混合させた。PBSで長時間洗浄した後、結合したscFv抗体ファージを有する細胞をスピンダウンさせた。次いで、結合したクローンを溶出させ、これらを使用して、E.coli XL1-Blue細胞に感染させた。ファージクローンを細菌において発現させ、精製した。ヒトCD22の細胞外領域を特異的に結合したscFvファージクローンを濃縮させるように、3~4ラウンドのパニングを行った。
細胞パニングによって選択されたファージクローンは、直接結合している細胞表面ヒトCD22に関して試験された。ファージディスプレイによってスクリーニングされた1080個のクローンのうち、フローサイトメトリーによって確認されたように、細胞表面CD22結合クローンとして2つのクローンを同定した。図2A及び図2Bに示されるように、クローン1及び2は、CD22+ Raji細胞及び完全長CD22又はCD22のドメイン5~7を発現するJurkat細胞に対する特異的結合を実証した。更に、クローン1及び2はまた、図3A及び図3Bに示されるように、NALM-6細胞(CD22を自然発現する白血病細胞株)に特異的に結合することも実証された。
実施例2-抗ヒトCD22キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor、CAR-T)を発現するT細胞の特性評価
本実施例は、抗ヒトCD22抗体を使用したキメラ抗原受容体(CAR)の構築について説明する。特に、本実施例は、抗CD22抗体の抗原結合部位を含み、T細胞の表面上に発現されるCARの構築を具体的に説明する。更に、T細胞によって発現されたCARを、ヒトリンパ腫細胞株に対する細胞傷害性アッセイにおいて用いた。したがって、本実施例は、いくつかの実施形態において、本明細書に記載のヒト抗CD22抗体由来の抗原結合部位を含むCARを使用することは、ヒトCD22を発現する標的細胞(例えば、リンパ腫)を殺傷するのに有用であることを示す。
ヒトCD22形質導入T細胞のインビトロの細胞傷害性。ヒトCD22特異性キメラ抗原受容体(CAR)を含有するレンチウイルスを、293T細胞をCARベクターでトランスフェクションすることによって生成した。いくつかの実施形態では、ヒトT細胞を、100U/mLにおけるIL-2の存在下でCD3/CD28ビーズ(Dynabeads(登録商標)、Invitrogen)による1日間の刺激後の形質導入に使用した。濃縮されたレンチウイルスを、レトロネクチン(Takara)コーティングされた6ウェルプレート中のT細胞に72時間適用した。形質導入T細胞(CD22/CAR-T細胞)の機能評価は、LDH細胞傷害性アッセイを使用して実施する。
更に、同様の実験では、CD22陽性癌細胞株及びCD22陰性癌細胞株の大きなパネルを使用して、ヒトCD22CAR-T(上述)を試験した。簡潔には、初代T細胞は、擬似形質導入(Mock)されたか、あるいは選択されたCARコード抗CD22抗体により形質導入された。形質導入T細胞を、抗体を使用するFACSにより分析して、CAR構築物の細胞外ドメイン内のタグ(例えば、mycタグ)を検出した。
別の実験では、活性化されたヒトCD22CAR-T細胞のサイトカイン放出プロファイル及び標的細胞の分解が判定された。擬似形質導入T細胞(擬似)又は選択された抗CD22 CAR-Tを、16時間、2対1の割合で標的細胞と共にインキュベートした(図4A:K562、K562+CD22、及びK562+M18+CD22;図4B:ASPC1、Jurkat、IM9、MCF7、HepG2、Hela、SK-Hep1、及びSKOV3;図4C:K562、K562+CD22、LnCaP、Colo205、及びNALM6;図5A:K562及びK562+CD22;図5B:ASPC1、Jurkat、IM9、MCF7、HepG2、Hela、SK-Hep1、及びSKOV3)。インビトロでの殺傷後の培地へのIFN-γの放出は、Bio-plex Pro Human Cytokine 8-plex Assay(BioRad)と共にBioPlex200システム(BiO-Rad)を使用して測定した。培地、標的細胞単独、及びクローン形質導入T細胞単独からの放出を差しい引いた後、既知の標準曲線を用いてサイトカイン濃度を判定した。IFN-γ放出アッセイの結果を図4A、図4B、及び図4Cに示す。図4A、図4B、及び図4Cは、抗CD22 CAR(クローン2)がCD22+標的細胞に対する特異的かつ強力なIFN-γ放出を示したことを示している。図5A及び図5Bは、抗CD22 CAR(クローン2)が、K562+CD22標的細胞に対する特異的な殺傷及びK562細胞に対する非殺傷を更に示している。図5Aはまた、抗CD22 CAR(クローン2)が、m971 CAR細胞と比較して優れた殺傷活性を示したことを示している(m971は、CD22の膜近位領域を標的とする抗体である)。
実施例3-競合アッセイ
フローサイトメトリー競合アッセイを行って、m971が抗CD22 CAR(クローン2)と競合するかどうかを判定した。m971は、CD22の膜近位領域を標的とする抗体である。標的細胞K562+CD22を、10μg/mL、5μg/mL、1μg/mL、0.1μg/mL、0.01μg/mL、及び0.001μg/mLで30分間ブロッキング抗体(m971又は抗CD22 CAR(クローン1))と共にプレインキュベートした。プレインキュベーション後、1μg/mLの検出抗体(ビオチンにコンジュゲートさせた抗CD22 CAR(クローン2))を、洗浄せずに試料に直接添加し、更に30分間インキュベートした。ブロッキング後、FACSを検出及び分析に使用した。結合率をMFI(平均蛍光強度)から判定し、試料をアイソタイプ対照に対して正規化した。図6は、m971が、異なるエピトープに結合する抗CD22 CAR(クローン2)と競合しないことを示している。図6はまた、抗CD22 CAR(クローン2)及び抗CD22 CAR(クローン1)が互いに競合し、同じエピトープ又は重複エピトープに結合する可能性が高いことを示している。抗CD22 CAR(クローン1)は、m971よりも高い親和性を有するように思われた抗CD22 CAR(クローン2)よりも高い親和性を有するように思われた。
実施例4-ヒト抗CD22抗体を使用した二重特異性構築物の生成
本実施例は、ヒトCD22に特異的なヒトscFvを使用した多重特異性抗体の構築について説明する。特に、本実施例は、ネイティブフォーマットの(細胞表面発現)ヒトCD22を結合する第1の抗原結合部位及び第2の抗原結合部位を有する二重特異性抗体の構築を具体的に説明する。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合部位は、T細胞上で発現されるタンパク質(例えば、T細胞上のCD3)である。したがって、本実施例は、いくつかの実施形態では、本明細書に記載のような抗CD22抗体部分を含有する多重特異性抗体を使用して、T細胞がヒトCD22を発現する標的細胞を殺傷することを目的とする。
二重特異性抗体は、ヒトCD22特異性ファージクローン(例えば、クローン1及び2)のscFv配列を使用して生成される。二重特異性抗体は、N末端にヒトCD22特異性ファージクローンのVL-VHscFv配列と、C末端に抗ヒトCD3εモノクローナルscFvと、を含む、一本鎖フォーマットを用いて構築される(例えば、Brischwein et al.,Mol.Immunol.43:1129,2006)。ヒトCD22 scFv及び抗ヒトCD3ε scFvをコードするDNAフラグメントを合成し、標準的な組み換えDNA技術を用いて、哺乳動物発現ベクター、例えば、pQD-T(Eureka Therapeutics,Inc.)にサブクローニングされる。精製及び検出のために、ヘキサヒスタミンタグをC末端において挿入する。例えば、HEK293細胞などの哺乳動物細胞を、二重特異性抗体発現ベクターでトランスフェクトし、二重特異性抗体生成のために培養する。続いて、二重特異性抗体は、例えば、HisTrap HPカラムを使用して、細胞上清から精製することができる。細胞培養物を清澄化し、低イミダゾール濃度(例えば、20mM)でカラムに投入し、次いで、イソクラティック高イミダゾール濃度溶出緩衝液(例えば、500mM)を使用して、結合した二重特異性抗体を溶出させる。精製ヒトCD22二重特異性抗体の分子量は、ゲル電気泳動により非還元条件下で測定される。
実施例5-ヒトCD22二重特異性抗体の特性評価
本実施例は、二重特異性抗体の結合プロファイルの特性評価を説明する。
組み換えヒトCD22 ECD-Fc融合タンパク質への結合。細胞表面ヒトCD22、例えば、クローン1及び2に対する特異的結合剤として同定されたファージクローンを、組み換えヒトCD22 ECD-Fc融合タンパク質への溶液中の結合について試験する。いくつかの実施形態では、ビオチン化ヒトCD22 ECD-Fc融合タンパク質を、ストレプトアビジンバイオセンサ上に投入する。過剰な抗原を洗い流した後、二重特異性抗体を、会合及び解離のためにPBS緩衝液中で試験する。
一次ヒトB細胞への結合。ヒトB細胞は、例えば、PerCP-コンジュゲート抗ヒトCD20抗体を有するヒトPBMC、第2の抗原結合部位を標的とする抗体(例えば、APC標識抗ヒトCD3抗体)、及び抗CD22二重特異性抗体を共染色することよって、抗CD22抗体結合について試験される。PBS緩衝液で短時間洗浄した後、FITC標識抗HiSタグ抗体を、二重特異性抗体を検出するための二次抗体としての混合物に添加する。フローサイトメトリーアッセイでは、ヒトB細胞は、陽性のCD20染色及び陰性のCD3染色によってゲーティングされる。抗CD22二重特異性抗体は、これらのCD20+CD3細胞で発現されたヒトCD22を認識する能力について評価される。
T細胞殺傷アッセイ。腫瘍細胞傷害性は、例えば、LDH細胞傷害性アッセイ(Promega)を使用してアッセイされる。ヒトT細胞(AllCells)又は全血からのFicoll精製細胞(Blood Centers of the Pacific)は、例えば、CD3/CD28 Dynabeads(Invitrogen)で活性化及び増殖される。活性化T細胞を培養し、例えば、10%FBS及び100U/mLのIL-2を有するRPMI1640培地において培養及び維持される。活性化T細胞は、活性化後、数日後、例えば、7~14日後に使用される。FACS分析を使用して、T細胞活性化を確認する。活性化T細胞及び標的細胞は、二重特異性抗体により5:1の割合で共培養される。細胞傷害性は、培養上清中のLDH活性を測定することによって判定される。
実施例6-抗ヒトCD22抗体の親和性成熟
本実施例は、抗ヒトCD22抗体の親和性成熟について説明する。具体的には、一連の抗体変異体の生成は、ランダムな変異を選択された抗ヒトCD22抗体(クローン1及び2)に組み込み、続いて抗体変異体のスクリーニング及び特性評価を行うことによって実施される。
変異ファージライブラリの生成。抗ヒトCD22 scFvをコードしているDNAを、例えば、GeneMorph II Random Mutagenesis kit(Agilent Technologies)を使用してランダム突然変異生成を受けさせる。突然変異生成後、DNA配列をscFv発現ファージミドベクターにクローニングして、変異抗体ファージライブラリを構築する。変異ライブラリは、抗ヒトCD22特異性クローン毎に別々に構築される。濃縮されたファージパニングプール(例えば、変異体クローン)からの個々のファージクローンを、対応する親クローンと比較して、細胞表面ヒトCD22への強化された結合について試験される。更に、競合細胞結合アッセイを行って、変異体クローンの結合親和性を親クローンのものと比較する。
実施例7-抗ヒトCD22変異体クローンに基づく二重特異性抗体の生成及び特性評価
本実施例は、ヒトCD22に特異的な変異ヒトscFvを使用した多重特異性抗体の構築について説明する。特に、本実施例は、ネイティブフォーマットの(細胞表面発現)ヒトCD22を結合する第1の抗原結合部位及び第2の抗原結合部位を有する二重特異性抗体の構築を具体的に説明する。いくつかの実施形態では、第2の抗原結合部位は、T細胞上でCD3を結合し得る。したがって、本実施例は、いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような抗体部分を含有する多重特異性抗体を使用して、T細胞がヒトCD22を発現する標的細胞を殺傷することを目的とする。
変異体クローン二重特異性抗体の生成。親和性が改良された変異抗体クローンに由来する二重特異性抗体は、実施例2に記載されるように生成される。
変異二重特異性抗体の結合親和性の判定。親抗体と比較して、変異体クローンの相対的な結合親和性は、例えば、ヒトCD22+癌細胞を使用して、抗体滴定フローサイトメトリーによって判定される。二重特異性抗体クローンは、段階希釈濃度でRaji細胞と混合される。抗体EC50及び見かけのKDは、フローサイトメトリー結合シグナルに基づいて算出される。
T細胞殺傷アッセイ。腫瘍細胞傷害性は、例えば、LDH細胞傷害性アッセイ(Promega)を使用して判定される。ヒトT細胞は、例えば、CD3/CD28 Dynabeads(Invitrogen)で活性化及び増殖される。活性化T細胞を培養し、例えば、10%FBS及び100U/mLのIL-2を有するRPMI1640培地において培養及び維持される。活性化T細胞は、活性化後、数日後、例えば、7~14日後に使用される。FACS分析を使用して、T細胞活性化を確認する。活性化T細胞及び標的細胞は、二重特異性抗体により5:1の割合で共培養される。細胞傷害性は、培養上清中のLDH活性を測定することによって判定される。
実施例8-抗ヒトCD22キメラ抗原受容体(CAR-T)を発現するT細胞の特性評価
別の同様の実験では、本明細書に記載の選択されたヒト抗体から生成されたCAR-T及び非ヒト(例えば、マウス)抗体を、上記のようにCD22陽性癌細胞株及びCD22陰性癌細胞株のパネルを使用して試験する。簡潔には、初代T細胞は、擬似形質導入(Mock)されているか、あるいは本明細書に記載されるCARコード抗ヒトCD22 scFv(例えば、クローン1又はクローン2)又は抗ヒトCD22マウス抗体からの可変領域配列を有するCARコード抗ヒトCD22 scFvで形質導入される。形質導入T細胞は、上記のようにFACSにより分析される。
ヒトリンパ腫異種移植片におけるCD22 CAR-T細胞のインビボの有効性。例示的なCAR-T細胞のインビボの抗腫瘍活性は、NOD SCIDγ(NOD SCID gamma、NSG)マウスにおけるCD22+ヒトリンパ腫異種移植片モデルにおいて試験される。細胞株Raji-luc-GFPは、生物発光イメージングを使用してインビボで追跡できる細胞をもたらす、ホタルルシフェラーゼ(luc)と緑色蛍光タンパク質との両方をコードしている二重レポーター遺伝子による安定なトランスフェクション後の、CD22+Burkittリンパ腫細胞株、すなわち、Rajiに由来する。NSGマウスは、Jackson Laboratories(Bar Harbor,ME USA04609)から購入する。Raji-luc-GFP細胞をPBS中に再懸濁させ、尾静脈を介して、1×106個細胞/100μL/マウスで、静注経路(i.v.)でNSGマウスに移植する。移植から5日後に、腫瘍量を評価するためのXenogen IVIS撮像システムを使用して動物を撮像する。マウスは、(i)治療なし、(ii)擬似(CAR-T細胞の同じドナー由来の非形質導入活性化ヒトT細胞)、及び(iii)クローンCAR-Tの3つの群に無作為化される。動物を、マウスあたり、例えば、2週毎に3用量で、(グループ(iii)に関して、1用量あたり6~8×106個のCAR+T細胞を含む)107個のT細胞の用量で、無作為化直後にMock又はクローンCAR-T細胞によりi.v.で治療する。動物は、用量投与後に非常に注意深くモニタされる。Xenogen IVISシステムを用いた生物発光イメージングが1週間に1回行われる。以下の条件を有する動物を安楽死させ、「条件死」として記録する。(i)初期体重より25%を超える体重減少、(ii)マウスの動きに影響を及ぼす肢麻痺がある。
腫瘍移植後、抗CD22 CARクローン形質導入T細胞治療群からのマウスは、Rajiリンパ腫細胞によるi.v.移植によって再チャレンジされ、抗CD22 CAR形質導入T細胞が持続し、抗原(CD22)に応答する能力を維持しているかどうかを判定する。ナイーブなNSGマウス(すなわち、Rajiリンパ腫細胞が移植されていないか、又はT細胞で前処置されていないマウス)に、対照として、擬似形質導入T細胞の注射の1日後にRajiリンパ腫細胞を移植する。このような擬似形質導入T細胞は、Rajiリンパ腫細胞の移植前のマウス内の循環T細胞のレベルが低い状態を模倣し得る。それぞれの群の腫瘍量は、ルシフェラーゼ活性によって測定される。
別の同様の実験では、NSGマウス中のCD22+ヒト白血病異種移植片モデル(NALM)において、例示的なCAR-T細胞のインビボでの抗腫瘍活性を試験する。NALM-6-luc-GFP細胞は、生物発光イメージングを使用してインビボで追跡できる細胞をもたらす、ホタルルシフェラーゼ(luc)と緑色蛍光タンパク質(GFP)との両方をコードしている二重レポーター遺伝子による安定なトランスフェクション後の、CD22+急性リンパ性白血病細胞株NALM-6に由来する。
簡潔には、NALM-6-luc-GFPを、5%CO2を有する加湿雰囲気中、37℃でRPMI培地+10%FBSにおいて培養する。NSGマウスは、Jackson Laboratories(Bar Harbor,ME USA04609)から購入し、実験前に順応させる。NALM-6-luc-GFP細胞をリン酸緩衝生理食塩水(phosphate-buffered saline、PBS)中に再懸濁させ、例えば、5X105個細胞/100μL/マウスで、静注経路で(i.v.)尾静脈注射によって雌NSGマウスに移植する。移植後、腫瘍量評価のためにXenogen IVIS撮像システムを使用して動物を撮像する。NSGマウスは、(i)ビヒクル(PBS)、(ii)擬似形質導入ヒトT細胞、及び(iii)クローン抗CD22 CAR形質導入T細胞という3群に無作為化される。動物は、上記のようにT細胞又はビヒクルを移植及び投与した後に、非常に注意深くモニタされる。
実施例9-単一特異性抗ヒトCD22キメラ抗体-T細胞受容体(caTCR)を発現するT細胞の生成及び特性評価
本実施例は、本明細書に記載の抗ヒトCD22Fabを含む様々な単一特異性caTCR構築物を発現するT細胞の生成及び特性評価を説明する。caTCR構築物のうちのいくつかは、本明細書に記載の抗CD22 Fab及び抗CD22 scFvの両方を含む。caTCR-T細胞のうちの一部は、キメラシグナル伝達受容体(CSR)を更に発現する。
抗ヒトCD22-caTCRを発現するT細胞の生成。簡潔には、初代T細胞は、擬似形質導入(Mock)されたか、あるいは選択されたcaTCRコード核酸で形質導入された。特に、以下のcaTCR構築物又はcaTCR+CSR構築物の組み合わせをコードしている核酸を生成し、形質導入に使用した。
構築物の組み合わせ1(配列番号1):抗CD19-caTCR+抗CD19-CSR
構築物2(配列番号2):抗CD22-caTCR
構築物の組み合わせ3(配列番号3):抗CD22-caTCR+抗CD19-CSR
構築物4(配列番号4):抗CD22-scFv-抗CD22-caTCR(二価単一特異性抗CD22-caTCRとも呼ばれる)
構築物の組み合わせ5(配列番号5):抗CD22-scFv-抗CD22-caTCR+抗CD19-CSR
構築物の組み合わせ6(配列番号6):抗CD22-scFv-抗CD22-caTCR+抗CD22-CSR。
構築物の組み合わせ1、3、5、及び6において、CSRは、CD28膜貫通領域配列及び細胞内シグナル伝達配列を含む先端切断型CD28(配列番号157)を含む。
加えて、以下の構築物の組み合わせをコードする核酸が生成され、初代T細胞に形質導入される。
構築物の組み合わせ7(配列番号7):抗CD22-scFv-抗CD22-caTCR+抗CD22-(CD8 TM配列及び4-1BB ICシグナル伝達配列(配列番号173)を含む)CSR
構築物の組み合わせ8(配列番号8):抗CD22-scFv-抗CD22-caTCR+抗CD22-(先端切断型4-1BB(配列番号159)を含む)CSR
構築物の組み合わせ9(配列番号9):抗CD22-scFv-抗CD22-caTCR+抗CD22-(CD8 TM配列及びCD27 ICシグナル伝達配列(配列番号167)を含む)CSR
構築物の組み合わせ10(配列番号10):抗CD22-scFv-抗CD22-caTCR+抗CD22-(先端切断型CD27(配列番号161)を含む)CSR
構築物の組み合わせ11(配列番号11):抗CD22-scFv-抗CD22-caTCR+抗CD22-(CD8 TM配列及びCD30 ICシグナル伝達配列(配列番号169)を含む)CSR
構築物の組み合わせ12(配列番号12):抗CD22-scFv-抗CD22-caTCR+抗CD22-(先端切断型CD30(配列番号163)を含む)CSR
構築物の組み合わせ13(配列番号13):抗CD22-scFv-抗CD22-caTCR+抗CD22-(CD8 TM配列及びOX40 ICシグナル伝達配列(配列番号171)を含む)CSR
構築物の組み合わせ14(配列番号14):抗CD22-scFv-抗CD22-caTCR+抗CD22-(先端切断型OX40を有する(配列番号165)を含む)CSR。
更に、構築物の組み合わせ5~14(配列番号5~14)をコードしているが、mycタグ(配列番号194)を除去した核酸も生成され、初代T細胞に形質導入される。
本実施例に開示される構築物及び構築物の組み合わせでは、各CSR及び共発現caTCRは、最初に単一のポリペプチドとして翻訳され、次いで別個のポリペプチドに切断される。他の実施形態では、共発現されたCSR及びcaTCRは、同じ核酸上にコードされるか、又は更には異なる核酸上にコードされた別個に翻訳されたポリペプチドとして構築することができる。
抗ヒトCD22 caTCRを発現するT細胞の特性評価。初代T細胞は、構築物の組み合わせ1、3、5、及び6(それぞれ配列番号1、3、5、及び6)、構築物2及び4(それぞれ配列番号2及び4)をコードする核酸により形質導入されるか、又は疑似形質導入(核酸なし)された。形質導入効率は、細胞表面染色によって、caTCR発現のマーカーとしてFab及びCSR発現のマーカーとしてmycタグを用いて判定された。caTCR+細胞の割合とCSR+細胞の割合は、caTCR-CSR-コード核酸で形質導入された同じT細胞サンプルにおいて、ほぼ同じであったという結果が示された。全てのcaTCR-形質導入T細胞を、擬似T細胞と混合することによって、およそ46%のcaTCRの受容体陽性において対応させ(に正規化し)、エフェクタ細胞としてcaTCR+細胞を使用した。
インビトロの殺傷。CD80/86陰性NALM6-luc-GFP細胞及びCD80/CD86陽性Raji-luc-GFP細胞(CD22及びCD19を発現する白血病及びリンパ腫細胞)を、1:1のエフェクタ対標的の割合で、T細胞刺激のための別個の実験で標的細胞として使用し、caTCR T細胞と共に一晩(約16時間)インキュベートした。Cytox96非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega)を使用して一晩インキュベートした後、特異性T細胞の分解を測定した。生存標的細胞を計数し、各群における生存標的細胞の割合と、標的単独(T細胞なし)の群の割合との比較による差として、殺傷率を算出した。結果を図7に示す。6つの構築物及び構築物の組み合わせ(配列番号1~6)のうちのいずれか1つを発現するcaTCR T細胞は、NALM6細胞において非常に高い殺傷効果を有した。試験されたエフェクタ対標的の割合1:1では、NALM6ほど高くないが、Raji細胞において有意な殺傷効果を有していた。
NALM6-luc-GFP細胞及びRaji-luc-GFP細胞を標的細胞として使用し、エフェクタ細胞として構築物の組み合わせ7~14をコードする核酸で形質導入された初代T細胞を使用して同様のインビトロの殺傷実験を実施する。
サイトカインの分泌。生存標的細胞数を測定することに加えて、インビトロの殺傷反応の上清中に放出されたIFN-γの濃度を、Biolegend製Human IFN-γ ELISA MAX(商標)キットによる細胞殺傷の別の指標として測定した。結果を図8に示す。6つの構築物及び構築物の組み合わせのうちのいずれか1つを発現するcaTCR T細胞において、Raji細胞、特に構築物4(抗CD22-scFv-抗CD22-caTCR(二価単一特異性抗CD22-caTCRとも呼ばれる))から高いIFN-γ放出レベルがあった。抗CD22-caTCR T細胞群の大部分においてもまた、NALM6細胞から高いIFN-γ放出レベルがあった。
同様に、構築物の組み合わせ7~14を発現するT細胞によるNALM6細胞及びRaji細胞からのインビトロの殺傷反応の上清中に放出されたIFN-γの濃度を同じ方法で測定する。
標的細胞再チャレンジ。最初に、構築物の組み合わせ3、5、及び6(それぞれ配列番号1、3、5、及び6)並びに構築物2及び4(それぞれ配列番号2及び4)のうちのいずれか1つを発現するT細胞を、エフェクタ対標的の割合1:1で、50,000個のNALM6-luc-GFP標的細胞又はRaji-luc-GFP標的細胞と共培養した。7日毎に、新たな標的細胞のうちの100,000個を、T細胞を再チャレンジ(又は「エンゲージ」)させるために、同じ共培養物に添加した。共培養物中の残りの標的細胞及びT細胞を、フロー分析を用いて週2回計数して、T細胞の殺傷活性を評価した。標的細胞としてのNALM6による結果を図9A(標的細胞数)及び図9B(合計T細胞数)に示し、標的細胞としてのRajiによる結果を図10A(標的細胞数)及び図10B(合計T細胞数)に示す。5つの構築物及び構築物の組み合わせ(配列番号2~6)のうちのいずれか1つを発現する抗CD22-caTCR T細胞は、NALM6細胞内で少なくとも最大3週間、かつ3ラウンド以上の標的エンゲージメントの後に(例えば、E3D7及びE4D3において)高い殺傷効果を維持した。NALM6標的細胞では、構築物の組み合わせ5(抗CD22-scFv-抗CD22-caTCR+抗CD19-CSR)を発現するT細胞が、5つの構築物及び構築物の組み合わせのうち最長時間持続した。5つの構築物及び構築物の組み合わせのうちのいずれか1つを発現している抗CD22-caTCR T細胞はまた、Raji細胞において、最大約5週間、及び合計5ラウンドの標的エンゲージメント後に、有意な殺傷効果を有した。
同様の標的細胞再チャレンジ実験は、NALM6-luc-GFP細胞及びRaji-luc-GFP細胞を標的細胞として使用し、エフェクタ細胞として構築物の組み合わせ1及び7~14のそれぞれをコードする核酸により形質導入された初代T細胞を使用して実施される。
本実施例に記載された実験の結果は、抗CD22-caTCRを発現するように形質導入T細胞が、CD22を発現している標的癌細胞を殺傷させることに成功したことを示している。このような細胞はまた、少なくとも数週間持続し、標的細胞の殺傷能力を維持した。
実施例10-二重特異性又は三重特異性抗ヒトCD22-caTCRを発現するT細胞の生成及び特性評価
本実施例は、本明細書に記載されるような非CD22抗原を標的化する抗ヒトCD22Fab及び1つ又は2つの追加の抗体可変領域フラグメントを含む、様々な二重特異性又は三特異性caTCR構築物を発現するT細胞の生成及び特性評価を説明する。caTCR-T細胞のうちの一部は、CSRを更に発現する。
二重特異性又は三重特異性抗ヒトCD22-caTCRを含む様々なcaTCRを発現するT細胞の生成。簡潔には、初代T細胞は、擬似形質導入(Mock)されたか、あるいは選択されたcaTCRコード核酸で形質導入された。特に、以下の構築物15~21(それぞれ配列番号15~21)をコードする核酸を生成し、形質導入に使用した。
インビトロの殺傷。実施例9に記載したものと同様のプロトコルに従い、CD80/86陰性NALM6-luc-GFP細胞、CD80/CD86陽性Raji-luc-GFP細胞(CD22及びCD19を発現する白血病及びリンパ腫細胞)、及びK562細胞を、エフェクタ対標的の割合1:1で、T細胞刺激のための別個の実験で標的細胞として使用し、caTCR T細胞と共に一晩(約16時間)インキュベートした。Cytox96非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega)を使用して一晩インキュベートした後、特異性T細胞の分解を測定した。生存標的細胞を計数し、各群における生存標的細胞の割合と、標的単独(T細胞なし)の群の割合との比較による差として、殺傷率を算出した。結果を図11及び図12A~図12Fに示す。二重特異性構築物のうちのいずれか1つを発現するcaTCR T細胞(構築物15~21(それぞれ配列番号15~21))又は単一特異性構築物(構築物2、22、及び28(それぞれ配列番号2、22、及び28))は、細胞内で非常に高い殺傷効果を有した。
同様のインビトロの殺傷実験は、構築物の組み合わせ23(配列番号23)、構築物24~27(それぞれ配列番号24~27)、及び構築物の組み合わせ29~75(それぞれ配列番号29~75)をコードする核酸を使用して、同一の実験プロトコルに従って実施される。
標的細胞再チャレンジ。実施例9に記載したものと同様のプロトコルに従って、最初に、構築物の組み合わせ1及び23を発現するT細胞を、エフェクタ対標的の割合1:1で、50,000個のNALM6-luc-GFP標的細胞と共培養した。7日毎に、新たな標的細胞のうちの100,000個を、T細胞を再チャレンジ(又は「エンゲージ」)させるために、同じ共培養物に添加した。共培養物中の残りの標的細胞及びT細胞を、フロー分析を用いて週2回計数して、T細胞の殺傷活性を評価した。標的細胞としてのNALM6による結果を図13A及び図13Bに示す。
構築物及び構築物の組み合わせ15~21、24~27、及び29~75(それぞれ配列番号15~21、24~27、及び29~75)のそれぞれをコードしている核酸を使用して、同様の標的細胞再チャレンジ実験を、同一の実験プロトコルに従って実施する。
実施例11-他の構築物の組み合わせを発現するT細胞の生成及び特性評価
本実施例は、抗ヒトCD22Fabと、本明細書に記載のような非CD22抗原を標的とする1つ又は2つの追加の抗体可変領域フラグメントと、を含む、様々な他のcaTCR-CSR構築物の組み合わせを発現するT細胞の生成及び特性評価について説明する。caTCR-T細胞のうちの一部は、CSRを更に発現する。
上記と同様のプロトコルに従い、初代T細胞は、擬似形質導入(Mock)されているか、あるは以下の構築物の組み合わせをコードする核酸で形質導されている。
(1)caTCR及びCSRを含む構築物の組み合わせであって、caTCRは、配列番号77の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号81~96のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する、構築物の組み合わせ;
(2)caTCR及びCSRを含む構築物の組み合わせであって、caTCRは、配列番号77の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号97~112のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する、構築物の組み合わせ;
(3)caTCR及びCSRを含む構築物の組み合わせであって、caTCRは、配列番号77の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号113~128のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する、構築物の組み合わせ;
(4)caTCR及びCSRを含む構築物の組み合わせであって、caTCRは、配列番号78の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号81~96のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する、構築物の組み合わせ;
(5)caTCR及びCSRを含む構築物の組み合わせであって、caTCRは、配列番号78の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号97~112のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する、構築物の組み合わせ;並びに
(6)caTCR及びCSRを含む構築物の組み合わせであって、caTCRは、配列番号78の配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有し、CSRは、配列番号113~128のうちのいずれか1つの配列と少なくとも90%(例えば、92%、94%、96%、98%、99%、又は100%)の同一性を有する配列を有する、構築物の組み合わせ。
いくつかの実施形態では、抗CD22構築物の組み合わせは、配列番号212の配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する配列を有する軽鎖可変領域と、配列番号213の配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する配列を有する重鎖可変領域と、を有するcaTCRを含む。
いくつかの実施形態では、抗CD22構築物の組み合わせは、配列番号218の配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する配列を有する軽鎖可変領域と、配列番号219の配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する配列を有する重鎖可変領域と、を有するcaTCRを含む。
いくつかの実施形態では、抗CD22構築物の組み合わせは、配列番号212の配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する配列を有する軽鎖可変領域と、配列番号213の配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する配列を有する重鎖可変領域と、を有するCSRを含む。
いくつかの実施形態では、抗CD22構築物の組み合わせは、配列番号218の配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する配列を有する軽鎖可変領域と、配列番号219の配列と少なくとも90%の同一性(例えば、少なくとも92%、94%、96%、98%、又は99%の同一性)を有する配列を有する重鎖可変領域と、を有するCSRを含む。
上記実施形態のうちのいずれかに記載の抗CD22構築物の組み合わせのうちのいずれかをコードしている核酸もまた初代T細胞に形質導入される。
上記のような同様のプロトコルに従い、上記実施形態のうちのいずれかに記載の抗CD22構築物の組み合わせのうちのいずれも、インビトロの殺傷実験及び標的細胞再チャレンジ実験において試験される。
実施例12-抗CD22構築物又は構築物の組み合わせで形質導入T細胞のインビボの有効性研究
本明細書に記載の抗CD22構築物及び構築物の組み合わせのうちの1つ以上を発現するT細胞のインビボの抗腫瘍活性を、ヒトCD19+NALM-6pre-B急性リンパ芽球性白血病(ALL)モデルにおいて試験する。ルシフェラーゼ発現NALM-6細胞を、NOD SCIDγ(NSG)免疫不全マウスに静注経路(i.v.)で移植し、腫瘍量を、腫瘍由来生物発光を測定することによって評価する。腫瘍移植から6日後、マウスを、全生物発光フラックスに基づいて治療群に無作為化する。(1)5×106個の未形質導入ドナーに適合した(Mock)T細胞のi.v.注射、(2)抗CD22 caTCR構築物のみを発現する2×106個のT細胞(「caTCR T細胞」)のi.v.注射、及び(3)抗CD19 caTCR及び抗CD19 CSRの両方を発現する2×106個のT細胞(「caTCR CSR T細胞」;n=6個のマウス/群)のi.v.注射。マウスにおけるT細胞注入から生じる健康効果は、全身の外観、体重、及び有害応答の他の臨床的徴候(低体温、腹腔呼吸、及び後肢麻痺/衰弱を含む)をモニタすることによって評価される。
インビボでのサイトカインの放出レベルを判定するために、NALM-6腫瘍担持マウスに抗CD22 CAR-T細胞又はcaTCR CSR T細胞を投与後、臨床サイトカイン放出症候群に関連するものを含む重要なサイトカインを24時間分析する。BioRad Bio-Plexキットを使用して、Luminex Magpix技術によりサイトカインレベルを定量する。
例示的な実施形態
本開示の主題に従って提供される例示的な実施形態としては、これらの実施形態及び以下の実施形態が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
1.CD22に特異的に結合する抗体部分を含む抗CD22構築物であって、抗体部分は、
(a)配列番号218又は212の軽鎖可変領域(VL)の軽鎖相補性決定領域(LC-CDR)1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む、軽鎖可変領域と、
(b)配列番号219又は213の重鎖可変領域(VH)の重鎖相補性決定領域(HC-CDR)1、HC-CDR2、及びHC-CDR3、を含む、重鎖可変領域と、を含む、抗CD22構築物。
2.抗体部分は、配列番号218の軽鎖可変領域のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む、実施形態1に記載の抗CD22構築物。
3.抗体部分は、配列番号212の軽鎖可変領域のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む、実施形態1に記載の抗CD22構築物。
4.抗体部分は、
(a)配列番号218の軽鎖可変領域(VL)のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む、軽鎖可変領域と、
(b)配列番号219の重鎖可変領域(VH)のHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む、重鎖可変領域と、を含む、実施形態1又は2に記載の抗CD22構築物。
5.抗体部分は、
(a)配列番号212の軽鎖可変領域(VL)のLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む、軽鎖可変領域と、
(b)配列番号213の重鎖可変領域(VH)のHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む、重鎖可変領域と、を含む、実施形態1又は3に記載の抗CD22構築物。
6.抗体部分は、
HDIRNY(配列番号214)の配列を有するLC-CDR1、
AAS(配列番号215)の配列を有するLC-CDR2、
QQYDGLPLT(配列番号216)の配列を有するLC-CDR3、
GFTFSNYA(配列番号209)の配列を有するHC-CDR1、
ISGSGGST(配列番号210)の配列を有するHC-CDR2、及び
ARYGSAAWMDS(配列番号217)の配列を有するHC-CDR3のうちの1つ以上を含む、実施形態1に記載の抗CD22構築物。
7.抗体部分は、配列番号209、210、及び214~217の配列を含む、実施形態6に記載の抗CD22構築物。
8.軽鎖可変領域は、
DIQLTQSPSSLSTSVGDRVTITCQASHDIRNYLNWYQQKPGKAPNLLIYAASNLQTGVPSRFSGRGSGTDFTLTISSLQPEDIATYYCQQYDGLPLTFGQGTRLEIKR(配列番号218)の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を有する、実施形態6又は7に記載の抗CD22構築物。
9.重鎖可変領域は、
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDTSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARYGSAAWMDSWGQGTLVTVSS(配列番号219)の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を有する、実施形態6~8のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
10.軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含む抗CD22構築物であって、
軽鎖可変領域は、
DIQLTQSPSSLSTSVGDRVTITCQASHDIRNYLNWYQQKPGKAPNLLIYAASNLQTGVPSRFSGRGSGTDFTLTISSLQPEDIATYYCQQYDGLPLTFGQGTRLEIKR(配列番号218)の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を有し、
重鎖可変領域は、
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDTSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARYGSAAWMDSWGQGTLVTVSS(配列番号219)の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
11.軽鎖可変領域は、配列番号218の配列を含み、重鎖可変領域は、配列番号219の配列を含む、実施形態10に記載の抗CD22構築物。
12.抗体部分は、
SSNIGNNY(配列番号206)の配列を有するLC-CDR1、
ENN(配列番号207)の配列を有するLC-CDR2、
GTWDSSLSAGAV(配列番号208)の配列を有するLC-CDR3、
GFTFSNYA(配列番号209)の配列を有するHC-CDR1、
ISGSGGST(配列番号210)の配列を有するHC-CDR2、及び
ARPYYDD(配列番号211)の配列を有するHC-CDR3のうちの1つ以上を含む、実施形態1に記載の抗CD22構築物。
13.抗体部分は、配列番号206~211の配列を含む、実施形態12に記載の抗CD22構築物。
14.軽鎖可変領域は、
QSVVTQPPSVSAAPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYENNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAGAVFGGGTKLTVLG(配列番号212)の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を有する実施形態12又は13に記載の抗CD22構築物。
15.重鎖可変領域は、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPYDDWGQGTLVTVSS(配列番号213)の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を有する実施形態12又は13に記載の抗CD22構築物。
16.重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗CD22構築物であって、
軽鎖可変領域は、
QSVVTQPPSVSAAPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYENNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAGAVFGGGTKLTVLG(配列番号212)の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を有し、
重鎖可変領域は、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPYDDWGQGTLVTVSS(配列番号213)の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を有する。
17.軽鎖可変領域は、配列番号212の配列を含み、重鎖可変領域は、配列番号213の配列を含む、実施形態16に記載の抗CD22構築物。
18.CD22への特異的結合について、実施形態11又は17に記載の抗CD22構築物と競合する抗体部分を含む、抗CD22構築物。
19.軽鎖可変領域と重鎖可変領域は、リンカーによって結合されている、実施形態1~18のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
20.リンカーは、SRGGGGSGGGGSGGGGSLEMA(配列番号233)の配列を有する、実施形態19に記載の抗CD22構築物。
21.抗体部分は、λ又はκアイソタイプの軽鎖を含む、実施形態1~20のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
22.抗体部分は、CD22の細胞外領域に結合する、実施形態1~21のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
23.CD22の細胞外領域は、
DVQYPPKKVTTVIQNPMPIREGDTVTLSCNYNSSNPSVTRYEWKPHGAWEEPSLGVLKIQNVGWDNTTIACAACNSWCSWASPVALNVQYAPRDVRVRKIKPLSEIHSGNSVSLQCDFSSSHPKEVQFFWEKNGRLLGKESQLNFDSISPEDAGSYSCWVNNSIGQTASKAWTLEVLYAPRRLRVSMSPGDQVMEGKSATLTCESDANPPVSHYTWFDWNNQSLPYHSQKLRLEPVKVQHSGAYWCQGTNSVGKGRSPLSTLTVYYSPETIGRR(配列番号205)の配列のうちの少なくとも7個のアミノ酸を含む、実施形態22に記載の抗CD22構築物。
24.細胞外領域は、配列番号205の配列を有する、実施形態22又は23に記載の抗CD22構築物。
25.構築物は、完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又は一本鎖Fv(scFv)抗体である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
26.構築物は、単一特異性である、実施形態1~25のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
27.構築物は、多重特異性である、実施形態1~25のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
28.構築物は、二重特異性である、実施形態27に記載の抗CD22構築物。
29.構築物は、タンデムscFv、ダイアボディ(Db)、一本鎖ダイアボディ(scDb)、二重親和性再標的化(DART)抗体、二重可変ドメイン(DVD)抗体、ノブ・イントゥ・ホール(KiH)抗体、ドックアンドロック(DNL)抗体、化学的に架橋された抗体、ヘテロマルチマー抗体、又はヘテロコンジュゲート抗体である、実施形態27又は28に記載の抗CD22構築物。
30.構築物は、ペプチドリンカーによって連結された2つのscFvを含むタンデムscFvである、実施形態25に記載の抗CD22構築物。
31.ペプチドリンカーは、配列番号233のアミノ酸配列を含む、実施形態30に記載の抗CD22構築物。
32.構築物は、第2の抗原に特異的に結合する第2の抗体部分を更に含む、実施形態27~31のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
33.第2の抗原は、T細胞の表面上の抗原である、実施形態32に記載の抗CD22構築物。
34.T細胞は、細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、及びナチュラルキラーT細胞からなる群から選択される、実施形態33に記載の抗CD22構築物。
35.第2の抗原は、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD28、CD16a、CD56、CD68、GDS2D、OX40、GITR、CD137、CD27、CD40L、及びHVEMからなる群から選択される、実施形態32~34のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
36.第2の抗原は、CD3εであり、構築物は、配列番号205の配列又はその一部を有するCD22に特異的なN末端scFvと、CD3εに特異的なC末端scFvと、を含むタンデムscFvである、実施形態35に記載の抗CD22構築物。
37.第2の抗原は、ナチュラルキラー細胞、好中球、単球、マクロファージ、又は樹状細胞の表面上の抗原である、実施形態32に記載の抗CD22構築物。
38.抗CD22構築物は、キメラ抗原受容体(CAR)である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
39.CARは、抗CD22抗体部分と、膜貫通ドメインと、免疫細胞シグナル伝達ドメインと、を含み、抗CD22抗体部分は、配列番号214~216の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209、210、及び217の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含むscFvである、実施形態38に記載の抗CD22構築物。
40.CARは、抗CD22抗体部分と、膜貫通ドメインと、免疫細胞シグナル伝達ドメインと、を含み、抗CD22抗体部分は、配列番号206~208の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209~211の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含むscFvである、実施形態38に記載の抗CD22構築物。
41.免疫細胞シグナル伝達ドメインは、CD3ζ鎖由来である、実施形態39又は40に記載の抗CD22構築物。
42.免疫細胞シグナル伝達ドメインは、CD28、4-1BB、ICOS、又はOX40由来である、実施形態39又は40に記載の抗CD22構築物。
43.膜貫通ドメインは、T細胞受容体膜貫通ドメインである、実施形態39又は40のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
44.抗CD22構築物は、CD22に結合する細胞外ドメインと、TCR膜貫通ドメインを含むT細胞受容体(TCR)モジュール(TCRM)と、を含む、キメラ抗体-T細胞受容体(caTCR)である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
45.caTCRは、配列番号214~216の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209、210、及び217の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含む、実施形態44に記載の抗CD22構築物。
46.caTCRは、配列番号206~208の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209~211の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含む、実施形態44に記載の抗CD22構築物。
47.TCRMは、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達モジュールをリクルート可能である、実施形態44~46のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
48.TCR関連シグナル伝達モジュールは、CD3δε、CD3γε、及びCD3ζからなる群から選択される、実施形態47に記載の抗CD22構築物。
49.細胞外ドメインは、
(a)重鎖可変領域(VH)とCH1定常ドメインを含む第1の抗原結合領域を含む、第1のポリペプチドと、
(b)軽鎖可変領域(VL)とCL定常ドメインを含む第2の抗原結合領域を含む、第2のポリペプチド鎖と、を含み、
第1の抗原結合領域のVH及びCH1定常ドメイン、並びに第2の抗原結合領域のVL及びCL定常ドメインは、CD22に特異的に結合するFab様抗原結合モジュールを形成する、実施形態44~48のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
50.細胞外ドメインは、CD22に特異的に結合するscFvを含む、実施形態44~49のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
51.細胞外ドメインは、少なくとも1種類の非CD22抗原に特異的に結合する少なくとも1つの追加の抗体部分を更に含む、実施形態44~50のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
52.少なくとも1種類の非CD22抗原は、B細胞悪性腫瘍で発現される、実施形態51に記載の抗CD22構築物。
53.細胞外ドメインは、CD19に特異的に結合する抗体部分を更に含む、実施形態44~50のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
54.細胞外ドメインは、CD20に特異的に結合する抗体部分を更に含む、実施形態44~50のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
55.細胞外ドメインは、CD19に特異的に結合する抗体部分と、CD20に特異的に結合する抗体部分と、を更に含む、実施形態44~50のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
56.caTCRは、キメラシグナル伝達受容体(CSR)との組み合わせで発現する、実施形態44~55のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
57.CSRは、抗CD22抗体部分を含む、実施形態56に記載の抗CD22構築物。
58.CSRは、非CD22抗原に特異的に結合する抗体部分を含む、実施形態56に記載の抗CD22構築物。
59.抗CD22構築物は、キメラシグナル伝達受容体(CSR)である、実施形態1~24のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
60.CSRは、
(a)抗CD22抗体部分と、
(b)膜貫通モジュールと、
(c)免疫細胞に共刺激シグナルを提供可能な共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールと、を含み、
CSRは、機能的一次免疫細胞シグナル伝達ドメインを欠く、実施形態59に記載の抗CD22構築物。
61.抗CD22抗体部分は、配列番号214~216の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209、210、及び217の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含む、実施形態60に記載の抗CD22構築物。
62.抗CD22抗体部分は、配列番号206~208の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209~211の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含む、実施形態60に記載の抗CD22構築物。
63.CSRは、caTCR又はCARとの組み合わせで発現する、実施形態59~62のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
64.caTCR又はCARは、特異的にCD22を標的とする、実施形態63に記載の抗CD22構築物。
65.caTCR又はCARは、特異的にCD22を標的としない、実施形態63に記載の抗CD22構築物。
66.CSRは、少なくとも1種類の非CD22抗原に特異的に結合する少なくとも1つの追加の抗体部分を更に含む、実施形態59~65のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
67.CSRは、CD19に特異的に結合する抗体部分を更に含む、実施形態56~66のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
68.CSRは、CD20に特異的に結合する抗体部分を更に含む、実施形態56~67のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
69.CSRは、同じ分子に由来する膜貫通フラグメント及び細胞内フラグメントを含む、実施形態56~68のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
70.分子は、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD27、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、及びCD83と特異的に結合するリガンドからなる群から選択される、実施形態69に記載の抗CD22構築物。
71.分子は、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、及びCD27からなる群から選択される、実施形態70に記載の抗CD22構築物。
72.CSRは、異なる分子に由来する膜貫通フラグメント及び細胞内フラグメントを含む、実施形態56~68のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
73.CSRは、T細胞受容体のα鎖、β鎖、δ鎖、γ鎖、又はζ鎖、CD28、CD3ε、CD3ζ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、及びCD154からなる群から選択される分子の膜貫通フラグメントを含む、実施形態72に記載の抗CD22構築物。
74.CSRは、CD8、4-1BB、CD27、CD28、CD30、又はOX40の膜貫通フラグメントを含む、実施形態72に記載の抗CD22構築物。
75.膜貫通フラグメントは、配列番号145~150のうちのいずれか1つの配列を含む、実施形態72~74のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
76.CSRは、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD27、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、及びCD83と特異的に結合するリガンドからなる群から選択される分子の細胞内フラグメントを含む、実施形態72~75のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
77.CSRは、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、及びCD27からなる群から選択される分子の細胞内フラグメントを含む、実施形態76に記載の抗CD22構築物。
78.細胞内フラグメントは、配列番号151~155のうちのいずれか1つの配列を含む、実施形態76に記載の抗CD22構築物。
79.CSRは、配列番号156~171のうちのいずれか1つの配列を含む、実施形態56~78のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
80.抗CD22構築物は、抗体部分と、エフェクタ分子と、を含む免疫コンジュゲートである、実施形態1~24のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
81.エフェクタ分子は、薬物、毒素、放射性同位体、タンパク質、ペプチド、及び核酸からなる群から選択される治療薬である、実施形態80に記載の抗CD22構築物。
82.治療薬は、薬物又は毒素である、実施形態81に記載の抗CD22構築物。
83.エフェクタ分子は、標識である、実施形態80に記載の抗CD22構築物。
84.実施形態1~83のいずれか1つに記載の抗CD22構築物に含有される1つ以上のポリペプチドをコードする核酸分子。
85.核酸分子は、実施形態1~83のいずれか1つに記載の抗CD22構築物に含有される全てのポリペプチドをコードする、実施形態84に記載の核酸分子。
86.実施形態85に記載の核酸分子であって、
抗CD22構築物は、caTCRであり、かつCSRとの組み合わせで発現し、核酸分子は、caTCRに含有される全てのポリペプチド及びCSRのポリペプチドをコードしているか、又は、
抗CD22構築物は、CSRであり、かつcaTCR又はCARとの組み合わせで発現し、核酸分子は、CSRのポリペプチド及びcaTCR又はCARに含有される全てのポリペプチドをコードしている、核酸分子。
87.実施形態1~83のいずれか1つに記載の抗CD22構築物に含有される全てのポリペプチドを個別にコードする核酸分子のセット。
88.実施形態87に記載の核酸分子のセットであって、
抗CD22構築物は、caTCRであり、かつCSRとの組み合わせで発現し、核酸分子のセットは、caTCRに含有される全てのポリペプチド及びCSRのポリペプチドをコードしているか、又は、
抗CD22構築物は、CSRであり、かつcaTCR又はCARとの組み合わせで発現し、核酸分子のセットは、CSRのポリペプチド及びcaTCR又はCARに含有される全てのポリペプチドをコードしている、核酸分子のセット。
89.実施形態84~86のいずれか1つに記載の核酸分子を含む、発現カセット。
90.実施形態1~83のいずれか1つに記載の抗CD22構築物に含有される全てのポリペプチドを個別にコードする核酸分子を含む、発現カセットのセット。
91.発現カセットのセットは、実施形態87又は88に記載の核酸分子のセットを含む、実施形態90に記載の発現カセットのセット。
92.実施形態84~86のいずれか1つに記載の核酸分子、実施形態87若しくは88に記載の核酸分子のセット、実施形態89に記載の発現カセット、又は実施形態90若しくは91に記載の発現カセットのセットを含む、宿主細胞。
93.実施形態1~83のいずれか1つに記載の抗CD22構築物を発現する宿主細胞。
94.宿主細胞は、実施形態84~86のいずれか1つに記載の核酸分子、実施形態87若しくは88に記載の核酸分子のセット、実施形態89に記載の発現カセット、又は実施形態90若しくは91に記載の発現カセットのセットを含む、実施形態93に記載の宿主細胞。
95.実施形態1~83のいずれか1つに記載の抗CD22構築物の調製方法であって、
(a)実施形態84~86のいずれか1つに記載の核酸分子、実施形態87若しくは88に記載の核酸分子のセット、実施形態89に記載の発現カセット、又は実施形態90若しくは91に記載の発現カセットのセットを含む宿主細胞を提供することと、
(b)抗CD22構築物を形成可能な条件下で、宿主細胞内にて1種類若しくは複数種類の核酸分子又は1種類若しくは複数種類の発現カセットを発現させることと、を含む、方法。
96.治療的に有効な量の、実施形態1~83のいずれか1つに記載の抗CD22構築物、実施形態84~86のいずれか1つに記載の核酸分子、実施形態87若しくは88に記載の核酸分子のセット、実施形態89に記載の発現カセット、実施形態90若しくは91に記載の発現カセットのセット、又は実施形態92~94のいずれか1つに記載の宿主細胞と、1種類以上の薬学的に許容される担体又は賦形剤と、を含む、医薬組成物。
97.必要な対象においてB細胞悪性腫瘍を治療する方法であって、治療的に有効な量の、実施形態1~83のいずれか1つに記載の抗CD22構築物、実施形態84~86のいずれか1つに記載の核酸分子、実施形態87若しくは88に記載の核酸分子のセット、実施形態89に記載の発現カセット、実施形態90若しくは91に記載の発現カセットのセット、実施形態92~94のいずれか1つに記載の宿主細胞、又は実施形態96に記載の医薬組成物を、対象に投与することを含む、方法。
98.必要な対象においてCD22の過剰発現によって特徴付けられる疾患又は障害を治療する方法であって、治療的に有効な量の、実施形態1~83のいずれか1つに記載の抗CD22構築物、実施形態84~86のいずれか1つに記載の核酸分子、実施形態87若しくは88に記載の核酸分子のセット、実施形態89に記載の発現カセット、実施形態90若しくは91に記載の発現カセットのセット、実施形態92~94のいずれか1つに記載の宿主細胞、又は実施形態96に記載の医薬組成物を、対象に投与することを含む、方法。この方法のいくつかの実施形態では、本方法は、疾患を治療する方法である。いくつかの実施形態では、本方法は、障害を治療する方法である。いくつかの実施形態では、CD22過剰発現によって特徴付けられる疾患又は障害は、癌(例えば、B細胞悪性腫瘍)である。
99.実施形態84~86のいずれか1つに記載の核酸分子、実施形態87若しくは88に記載の核酸分子のセット、実施形態89に記載の発現カセット、又は実施形態90若しくは91に記載の発現カセットのセットを、対象から単離された1つ以上の初代細胞に導入することと、核酸分子、核酸分子のセット、発現カセット、又は発現カセットのセットを含む細胞を対象に投与することと、を含む、治療方法。
100.細胞を対象に投与する前に、細胞を増殖させることを更に含む、実施形態99に記載の方法。
101.初代細胞は、リンパ球である、方法実施形態99又は100。
102.初代細胞は、T細胞である、実施形態101に記載の方法。
103.試料中のCD22を検出する方法であって、(a)試料を実施形態1~26のいずれか1つに記載の抗CD22構築物と接触させることと、(b)抗CD22構築物と試料中の任意のCD22との結合を直接的又は間接的に検出することと、を含む、方法。
104.抗CD22構築物は、検出可能な標識にコンジュゲートされる、実施形態103に記載の方法。
105.検出可能な標識は、発色性造影剤、酵素造影剤、放射性同位体造影剤、同位体造影剤、蛍光造影剤、毒性造影剤、化学発光性造影剤、核磁気共鳴造影剤である、実施形態104に記載の方法。
106.抗CD22構築物と試料中の任意のCD22との結合は、検出可能な標識を検出することによって、直接的に検出される、実施形態104又は105に記載の方法。
107.抗CD22構築物と試料中の任意のCD22との結合は、二次抗体を使用して間接的に検出される、実施形態103に記載の方法。
108.CD22関連疾患又は障害を有する疑いのある対象を診断する方法であって、
a)有効な量の実施形態1~26のいずれか1つに記載の抗CD22構築物を対象に投与することと、
b)抗CD22構築物と対象における任意のCD22との結合のレベルを直接的又は間接的に決定することであって、閾値レベルを上回る結合のレベルは、対象がCD22関連疾患又は障害を有することを示す、ことと、を含む、方法。
109.CD22関連疾患又は障害は、癌である、実施形態108に記載の方法。
110.癌は、B細胞悪性腫瘍である、実施形態109に記載の方法。
111.B細胞悪性腫瘍に罹患している対象を診断する方法であって、
(a)対象から得られた試料を実施形態1~26のいずれか1つに記載の抗CD22構築物と接触させることと、
(b)試料中の抗CD22構築物に結合した細胞の数を決定することと、を含み、
閾値レベルを上回る、抗CD22構築物に結合した細胞の数の値は、対象がB細胞悪性腫瘍に罹患していることを示す、方法。
112.B細胞悪性腫瘍は、CD22+B細胞悪性腫瘍である、実施形態111に記載の方法。
113.疾患、障害、又はB細胞悪性腫瘍は、B細胞リンパ腫又はB細胞白血病である、実施形態98、108、及び111のいずれか1つに記載の方法。
114.対象は、ヒトである、実施形態97~113のいずれか1つに記載の方法。
115.陽性CD22発現に関連する疾患又は障害の治療のための、実施形態1~83のいずれか1つに記載の抗CD22構築物、実施形態84~86のいずれか1つに記載の核酸分子、実施形態87若しくは88に記載の核酸分子のセット、実施形態89に記載の発現カセット、実施形態90若しくは91に記載の発現カセットのセット、実施形態92~94のいずれか1つに記載の宿主細胞、又は実施形態96に記載の医薬組成物の使用。
116.陽性CD22発現に関連する疾患又は障害の治療のための薬剤の製造における、実施形態1~83のいずれか1つに記載の抗CD22構築物、実施形態84~86のいずれか1つに記載の核酸分子、実施形態87若しくは88に記載の核酸分子のセット、実施形態89に記載の発現カセット、実施形態90若しくは91に記載の発現カセットのセット、実施形態92~94のいずれか1つに記載の宿主細胞、又は実施形態96に記載の医薬組成物の使用。
117.陽性CD22発現に関連する疾患又は障害の診断のための、実施形態1~26のいずれか1つに記載の抗CD22構築物の使用。
118.陽性CD22発現に関連する疾患又は障害は、癌である、実施形態115~117のいずれか1つに記載の使用。
本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書又は図面に記載される任意の実施形態の1つ以上の特徴を、図面において本明細書に記載される任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせてもよい。
本明細書にて引用された全ての刊行物、特許、及び特許出願は、参照による組み込みが個々の刊行物又は特許出願について具体的かつ個別に示唆されているのと同様に、参照により本明細書に組み込まれている。上記開示内容は、理解を明確にするための例示として、ある程度具体的に記載されているものの、本開示の教示に照らせば、当業者には、添付の特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく特定の変更及び修正を行い得ることが、容易に明らかとなるであろう。
本発明に係る態様には以下の態様も含まれる。
<1>
CD22に特異的に結合する抗体部分を含む抗CD22構築物であって、前記抗体部分は、
(a)配列番号218又は212の軽鎖可変領域(V
L
)の軽鎖相補性決定領域(LC-CDR)1、LC-CDR2、及びLC-CDR3を含む、軽鎖可変領域と、
(b)配列番号219又は213の重鎖可変領域(V
H
)の重鎖相補性決定領域(HC-CDR)1、HC-CDR2、及びHC-CDR3を含む、重鎖可変領域と、を含む、抗CD22構築物。
<2>
前記抗体部分は、
HDIRNY(配列番号214)の配列を有するLC-CDR1、
AAS(配列番号215)の配列を有するLC-CDR2、
QQYDGLPLT(配列番号216)の配列を有するLC-CDR3、
GFTFSNYA(配列番号209)の配列を有するHC-CDR1、
ISGSGGST(配列番号210)の配列を有するHC-CDR2、及び
ARYGSAAWMDS(配列番号217)の配列を有するHC-CDR3のうちの1つ以上を含む、<1>に記載の抗CD22構築物。
<3>
前記軽鎖可変領域は、
DIQLTQSPSSLSTSVGDRVTITCQASHDIRNYLNWYQQKPGKAPNLLIYAASNLQTGVPSRFSGRGSGTDFTLTISSLQPEDIATYYCQQYDGLPLTFGQGTRLEIKR(配列番号218)の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を有する、<1>又は<2>に記載の抗CD22構築物。
<4>
前記重鎖可変領域は、
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVSSISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDTSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARYGSAAWMDSWGQGTLVTVSS(配列番号219)の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を有する、<1>~<3>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
<5>
前記抗体部分は、
SSNIGNNY(配列番号206)の配列を有するLC-CDR1、
ENN(配列番号207)の配列を有するLC-CDR2、
GTWDSSLSAGAV(配列番号208)の配列を有するLC-CDR3、
GFTFSNYA(配列番号209)の配列を有するHC-CDR1、
ISGSGGST(配列番号210)の配列を有するHC-CDR2、及び
ARPYYDD(配列番号211)の配列を有するHC-CDR3のうちの1つ以上を含む、<1>に記載の抗CD22構築物。
<6>
前記軽鎖可変領域は、
QSVVTQPPSVSAAPGQKVTISCSGSSSNIGNNYVSWYQQLPGTAPKLLIYENNKRPSGIPDRFSGSKSGTSATLGITGLQTGDEADYYCGTWDSSLSAGAVFGGGTKLTVLG(配列番号212)の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を有する、<1>又は<5>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
<7>
前記重鎖可変領域は、
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYAMSWVRQAPGKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPYDDWGQGTLVTVSS(配列番号213)の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を有する、<1>、<5>又は<6>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
<8>
前記構築物は、完全長抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又は一本鎖Fv(scFv)抗体である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
<9>
前記構築物は、タンデムscFv、ダイアボディ(Db)、一本鎖ダイアボディ(scDb)、二重親和性再標的化(DART)抗体、二重可変ドメイン(DVD)抗体、ノブ・イントゥ・ホール(KiH)抗体、ドックアンドロック(DNL)抗体、化学的に架橋された抗体、ヘテロマルチマー抗体、又はヘテロコンジュゲート抗体である、<1>~<8>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
<10>
前記構築物は、第2の抗原に特異的に結合する第2の抗体部分を更に含み、前記第2の抗原は、T細胞、ナチュラルキラー細胞、好中球、単球、マクロファージ、又は樹状細胞の表面上の抗原である、<1>~<9>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
<11>
前記抗CD22構築物は、キメラ抗原受容体(CAR)である、<1>~<10>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
<12>
前記CARは、抗CD22抗体部分と、膜貫通ドメインと、免疫細胞シグナル伝達ドメインと、を含み、前記抗CD22抗体部分は、配列番号214~216の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209、210、及び217の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含むscFvである、<11>に記載の抗CD22構築物。
<13>
前記CARは、抗CD22抗体部分と、膜貫通ドメインと、免疫細胞シグナル伝達ドメインと、を含み、前記抗CD22抗体部分は、配列番号206~208の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209~211の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含むscFvである、<11>に記載の抗CD22構築物。
<14>
前記抗CD22構築物は、CD22に結合する細胞外ドメインと、TCR膜貫通ドメインを含むT細胞受容体(TCR)モジュール(TCRM)と、を含む、キメラ抗体-T細胞受容体(caTCR)である、<1>~<10>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
<15>
前記caTCRは、配列番号214~216の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209、210、及び217の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含む、<14>に記載の抗CD22構築物。
<16>
前記caTCRは、配列番号206~208の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209~211の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含む、<14>に記載の抗CD22構築物。
<17>
前記細胞外ドメインは、
(a)重鎖可変領域(V
H
)とC
H
1定常ドメインを含む第1の抗原結合領域を含む、第1のポリペプチドと、
(b)軽鎖可変領域(V
L
)とC
L
定常ドメインを含む第2の抗原結合領域を含む、第2のポリペプチド鎖と、を含み、
前記第1の抗原結合領域の前記V
H
及び前記C
H
1定常ドメイン、並びに前記第2の抗原結合領域の前記V
L
及び前記C
L
定常ドメインは、CD22に特異的に結合するFab様抗原結合モジュールを形成する、<14>~<16>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
<18>
前記細胞外ドメインは、少なくとも1種類の非CD22抗原に特異的に結合する少なくとも1つの追加の抗体部分を更に含む、<14>~<17>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
<19>
前記caTCRは、キメラシグナル伝達受容体(CSR)との組み合わせで発現する、<14>~<18>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
<20>
前記抗CD22構築物は、キメラシグナル伝達受容体(CSR)であり、前記CSRは、
(a)抗CD22抗体部分と、
(b)膜貫通モジュールと、
(c)免疫細胞に共刺激シグナルを提供可能な共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールと、を含み、
前記CSRは、機能的一次免疫細胞シグナル伝達ドメインを欠く、<1>~<10>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
<21>
前記抗CD22抗体部分は、配列番号214~216の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209、210、及び217の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含む、<20>に記載の抗CD22構築物。
<22>
前記抗CD22抗体部分は、配列番号206~208の配列をそれぞれ有するLC-CDR1、LC-CDR2、及びLC-CDR3と、配列番号209~211の配列をそれぞれ有するHC-CDR1、HC-CDR2、及びHC-CDR3と、を含む、<20>に記載の抗CD22構築物。
<23>
前記CSRは、caTCR又はCARとの組み合わせで発現する、<20>~<22>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物。
<24>
<1>~<23>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物に含有される1つ以上のポリペプチドをコードする、核酸分子。
<25>
<24>に記載の核酸分子を含む、発現カセット。
<26>
<24>に記載の核酸分子又は<25>に記載の発現カセットを含む、宿主細胞。
<27>
<1>~<23>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物を発現する、宿主細胞。
<28>
<1>~<23>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物を調製する方法であって、
(a)<24>に記載の核酸分子又は<25>に記載の発現カセットを含む宿主細胞を提供することと、
(b)前記抗CD22構築物を形成可能な条件下で、前記宿主細胞内にて前記核酸分子又は前記発現カセットを発現させることと、を含む、方法。
<29>
治療的に有効な量の、<1>~<23>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物、<24>に記載の核酸分子、<25>に記載の発現カセット、又は<26>若しくは<27>に記載の宿主細胞と、1種類以上の薬学的に許容される担体又は賦形剤と、を含む、医薬組成物。
<30>
必要な対象においてB細胞悪性腫瘍を治療する方法であって、治療的に有効な量の、<1>~<23>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物、<24>に記載の核酸分子、<25>に記載の発現カセット、<26>若しくは<27>に記載の宿主細胞、又は<29>に記載の医薬組成物を、前記対象に投与することを含む、方法。
<31>
必要な対象においてCD22の過剰発現によって特徴付けられる疾患又は障害を治療する方法であって、治療的に有効な量の、<1>~<23>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物、<24>に記載の核酸分子、<25>に記載の発現カセット、<26>若しくは<27>に記載の宿主細胞、又は<29>に記載の医薬組成物を、前記対象に投与することを含む、方法。
<32>
<24>に記載の核酸分子又は<25>に記載の発現カセットを、対象から単離された1つ以上の初代細胞に導入することと、前記核酸分子又は前記発現カセットを含む細胞を、前記対象に投与することと、を含む、治療方法。
<33>
試料中のCD22を検出する方法であって、(a)前記試料を<1>~<23>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物と接触させることと、(b)前記抗CD22構築物と前記試料中の任意のCD22との結合を直接的又は間接的に検出することと、を含む、方法。
<34>
CD22関連疾患又は障害を有する疑いのある対象を診断する方法であって、
a)有効な量の<1>~<23>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物を前記対象に投与することと、
b)前記抗CD22構築物と前記対象における任意のCD22との結合のレベルを直接的又は間接的に決定することであって、閾値レベルを上回る結合のレベルは、前記対象が前記CD22関連疾患又は障害を有することを示す、ことと、を含む、方法。
<35>
B細胞悪性腫瘍に罹患している対象を診断する方法であって、
(a)前記対象から得られた試料を<1>~<23>のいずれか1つに記載の抗CD22構築物と接触させることと、
(b)前記試料中の前記抗CD22構築物に結合した細胞の数を決定することと、を含み、
閾値レベルを上回る、前記抗CD22構築物に結合した細胞の数の値は、前記対象が前記B細胞悪性腫瘍に罹患していることを示す、方法。