本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「板」、「シート」、「フィルム」など用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。また、「面(シート面、フィルム面)」とは、対象となる板状(シート状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材(シート状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、板状(シート状、フィルム状)の部材に対して用いる法線方向とは、当該部材の面(シート面、フィルム面)に対する法線方向のことを指す。更に、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
本明細書および本図面において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」、「上側に(又は下側に)」、または「上方に(又は下方に)」とする場合、特別な説明が無い限りは、ある構成が他の構成に直接的に接している場合のみでなく、ある構成と他の構成との間に別の構成が含まれている場合も含めて解釈することとする。また、特別な説明が無い限りは、上(または、上側や上方)又は下(または、下側、下方)という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、矛盾の生じない範囲で、その他の実施形態や変形例と組み合わせられ得る。また、その他の実施形態同士や、その他の実施形態と変形例も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられ得る。また、変形例同士も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられ得る。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、製造方法などの方法に関して複数の工程を開示する場合に、開示されている工程の間に、開示されていないその他の工程が実施されてもよい。また、開示されている工程の順序は、矛盾の生じない範囲で任意である。
本明細書および本図面において、特別な説明が無い限りは、「~」という記号によって表現される数値範囲は、「~」という符号の前後に置かれた数値を含んでいる。例えば、「34~38質量%」という表現によって画定される数値範囲は、「34質量%以上且つ38質量%以下」という表現によって画定される数値範囲と同一である。
本明細書の一実施形態において、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスクやその製造方法に関した例をあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスクに対し、本実施形態を適用することができる。
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態のみに限定して解釈されるものではない。
本開示の第1の態様は、
第1面と前記第1面とは反対側にある第2面とを有する第1金属層を準備する工程と、
前記第1金属層の前記第1面の上に、凸部を有する樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層の上及び前記第1金属層の前記第1面の上に、第2金属層を形成する工程と、
前記第2金属層を前記第1金属層と反対側から研磨する工程と、
前記第1金属層の前記第2面の上に、平面視において少なくとも部分的に前記樹脂層と重なる開口を有するレジスト層を形成する工程と、
前記第1金属層をエッチングして、前記開口から前記樹脂層に達する孔を形成する工程と、
前記樹脂層及び前記レジスト層を除去する工程と、を備えた蒸着マスクの製造方法、である。
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様において、前記第1金属層は、鉄-ニッケル系合金を含んでもよい。
本開示の第3の態様は、上述した第1又は第2の態様において、前記第2金属層は、鉄-ニッケル系合金を含んでもよい。
本開示の第4の態様は、上述した第1~第3の態様のいずれか1つの態様において、前記樹脂層は、ポジレジストを含んでもよい。
本開示の第5の態様は、上述した第1~第4の態様のいずれか1つの態様において、前記第1金属層は、15μm以上100μm以下の厚さを有してもよい。
本開示の第6の態様は、上述した第1~第5の態様のいずれか1つの態様において、前記第2金属層は、5μm以上30μm以下の最小厚さを有してもよい。
本開示の第7の態様は、上述した第1~第6の態様のいずれか1つの態様において、前記樹脂層は、フォトリソグラフィー又はナノインプリントにより形成されてもよい。
本開示の第8の態様は、上述した第1~第7の態様のいずれか1つの態様において、前記第2金属層を形成する工程は、電解めっき法、無電解めっき法、物理蒸着法、スパッタ法、化学気相成長法からなるグループから選択される少なくとも1つにより行われてもよい。
本開示の第9の態様は、上述した第1~第7の態様のいずれか1つの態様において、前記第2金属層を形成する工程は、
前記樹脂層の上及び前記第1金属層の前記第1面の上にシード層を形成する工程と、
前記シード層の上に電解めっき法又は無電解めっき法により本体層を形成する工程と、を含んでもよい。
本開示の第10の態様は、上述した第1~第9の態様のいずれか1つの態様において、前記孔を形成する工程において、前記第1金属層が塩化第二鉄溶液又は塩酸によりエッチングされてもよい。
本開示の第11の態様は、
孔を有する第1金属層と、
複数の貫通孔を有し平面視において前記孔と重なる有効領域、及び、前記有効領域の周囲に位置し前記有効領域の最小厚さよりも大きい厚さを有する周囲領域、を有する第2金属層と、を備えた蒸着マスク、である。
本開示の第12の態様は、上述した第11の態様において、前記第1金属層は、鉄-ニッケル系合金を含んでもよい。
本開示の第13の態様は、上述した第11又は第12の態様において、前記第2金属層は、鉄-ニッケル系合金を含んでもよい。
本開示の第14の態様は、上述した第11~第13の態様のいずれか1つの態様において、前記第1金属層は、15μm以上100μm以下の厚さを有してもよい。
本開示の第15の態様は、上述した第11~第14の態様のいずれか1つの態様において、前記第2金属層は、5μm以上30μm以下の最小厚さを有してもよい。
蒸着マスク20を備える蒸着装置90について、図1を参照して説明する。図1は、蒸着装置90を示す図である。蒸着装置90は、対象物に蒸着材料98を蒸着させる蒸着処理を実施する。例えば、蒸着装置90は、有機EL表示装置100を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上に蒸着させてもよい。
蒸着装置90は、その内部に、蒸着源(例えばるつぼ94)、ヒータ96、及び蒸着マスク装置10を備えてもよい。また、蒸着装置90は、蒸着装置90の内部を真空雰囲気にするための図示しない排気手段を更に備えてもよい。るつぼ94は、有機発光材料などの蒸着材料98を収容してもよい。ヒータ96は、るつぼ94を加熱して、真空雰囲気の下で蒸着材料98を蒸発させてもよい。蒸着マスク装置10は、るつぼ94と対向するよう配置されていてもよい。
蒸着マスク装置10は、フレーム15と、フレーム15に取り付けられた蒸着マスク20と、を備えてもよい。フレーム15は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように、蒸着マスク20をその平面と平行な方向に張力が掛けられた状態(平面と平行な方向に引張られた状態)で支持してもよい。蒸着マスク装置10は、図1に示すように、蒸着マスク20が、蒸着材料98を付着させる対象物である被蒸着基板(例えば有機EL基板)92に対面するよう、蒸着装置90内に配置されてもよい。以下の説明において、蒸着マスク20の面のうち、有機EL基板92側の面を第1面20aと称し、第1面20aの反対側に位置する面を第2面20bと称する。
蒸着マスク装置10は、図1に示すように、有機EL基板92の、蒸着マスク20と反対の側の面に配置された磁石93を備えていてもよい。磁石93を設けることにより、磁力によって蒸着マスク20を磁石93側に引き寄せて、蒸着マスク20を有機EL基板92に密着させることができる。また、静電気力(クーロン力)を利用する静電チャックを用いて蒸着マスク20を有機EL基板92に密着させてもよい。
図2は、図1の蒸着装置90を用いて製造した有機EL表示装置100を示す断面図である。有機EL表示装置100は、被蒸着基板(有機EL基板)92と、パターン状に設けられた蒸着材料98を含む画素と、を備えていてもよい。なお、図2の有機EL表示装置100においては、蒸着材料98を含む画素に電圧を印加する電極等が省略されている。また、有機EL基板92上に蒸着材料98をパターン状に設ける蒸着工程の後、図2の有機EL表示装置100には、有機EL表示装置のその他の構成要素が更に設けられてもよい。したがって、図2の有機EL表示装置100は、有機EL表示装置の中間体と呼ぶこともできる。
図3は、蒸着マスク20を有する蒸着マスク装置10の一例を概略的に示す平面図であり、蒸着マスク20の第2面20b側から見た蒸着マスク装置10を示す図である。図4は、蒸着マスク20の部分拡大図であって、図3のIVが付された一点鎖線で囲まれた領域を拡大して示す平面図である。図示された例では、蒸着マスク装置10は、長方形の輪郭を有するフレーム15と、フレーム15に取り付けられた蒸着マスク20と、を備えてもよい。蒸着マスク20は、蒸着マスク20を貫通する複数の貫通孔25が形成された金属板を含んでもよい。
図示された例では、蒸着マスク20は、平面視において四角形、さらに正確には平面視において長方形の輪郭を有していてもよい。蒸着マスク20は、規則的な配列で貫通孔25が形成された有効領域22と、有効領域22を取り囲む周囲領域23と、を含んでいてもよい。蒸着マスク20は複数の有効領域22を有し、複数の有効領域22は、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定のピッチで配列されていてもよい。図示された例では、一つの有効領域22が一つの有機EL表示装置に対応するようになっていてもよい。すなわち、図示された蒸着マスク装置10によれば、被蒸着基板上への多面付蒸着が可能となっていてもよい。蒸着マスク20の周縁部は、例えばスポット溶接によってフレーム15に取り付けられていてもよい。
有効領域22には、蒸着対象物である被蒸着基板(例えば有機EL基板92)へ蒸着材料98(例えば有機発光材料)を蒸着させる際に蒸着材料98を通過させることを意図された複数の貫通孔25が、所望のパターンで形成されていてもよい。この蒸着マスク装置10は、図1に示すように、蒸着マスク20の第1面20aが、被蒸着基板の下面に対面するようにして、蒸着マスク20が蒸着装置90内に支持され、被蒸着基板への蒸着材料98の蒸着に使用されてもよい。図1に示された例では、るつぼ94から蒸発して蒸着マスク装置10に到達した蒸着材料98は、蒸着マスク20の貫通孔25を通って有機EL基板92に付着してもよい。これによって、蒸着マスク20の貫通孔25の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98を有機EL基板92の表面に成膜することができる。
なお、複数の色によるカラー表示を行いたい場合には、各色に対応する蒸着マスク20が搭載された蒸着装置90をそれぞれ準備し、有機EL基板92を各蒸着装置90に順に投入してもよい。これによって、例えば、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料及び青色用の有機発光材料を順に有機EL基板92に蒸着させることができる。
図5は、図4のV-V線に対応する断面図である。蒸着マスク20は、第1金属層31と、複数の貫通孔25を有する第2金属層35と、を備えていてもよい。
第1金属層31は、圧延された金属板からなる層(圧延金属層)であってもよい。第1金属層31は、第2金属層35を支持する支持層として機能する。図5に示されているように、第1金属層31は、第2金属層35側を向く第1面31aと、第1面31aと反対側を向く第2面31bと、を有していてもよい。第1金属層31の第2面31bが蒸着マスク20の第2面20bの一部をなしていてもよい。
第1金属層31の厚さは、例えば、15μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよく、30μm以上であってもよい。また、第1金属層31の厚さは、例えば、70μm以下であってもよく、80μm以下であってもよく、90μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。第1金属層31の厚さの範囲は、15μm、20μm、25μm及び30μmからなる第1グループ、及び/又は、70μm、80μm、90μm及び100μmからなる第2グループによって定められてもよい。第1金属層31の厚さの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第1金属層31の厚さの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第1金属層31の厚さの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、15μm以上100μm以下であってもよく、15μm以上90μm以下であってもよく、15μm以上80μm以下であってもよく、15μm以上70μm以下であってもよく、15μm以上30μm以下であってもよく、15μm以上25μm以下であってもよく、15μm以上20μm以下であってもよく、20μm以上100μm以下であってもよく、20μm以上90μm以下であってもよく、20μm以上80μm以下であってもよく、20μm以上70μm以下であってもよく、20μm以上30μm以下であってもよく、20μm以上25μm以下であってもよく、25μm以上100μm以下であってもよく、25μm以上90μm以下であってもよく、25μm以上80μm以下であってもよく、25μm以上70μm以下であってもよく、25μm以上30μm以下であってもよく、30μm以上100μm以下であってもよく、30μm以上90μm以下であってもよく、30μm以上80μm以下であってもよく、30μm以上70μm以下であってもよく、70μm以上100μm以下であってもよく、70μm以上90μm以下であってもよく、70μm以上80μm以下であってもよく、80μm以上100μm以下であってもよく、80μm以上90μm以下であってもよく、90μm以上100μm以下であってもよい。
第1金属層31は、当該第1金属層31を厚さ方向に貫通する孔33を有していてもよい。孔33は、第1金属層31の第1面31aと第2面31bとを接続する貫通孔として形成されていてもよい。孔33は、蒸着マスク20の各有効領域22に対応して設けられていてもよい。すなわち、第1金属層31は、蒸着マスク20の1つの有効領域22に対応して1つの孔33を有していてもよい。図4に示されているように、孔33は、平面視において長方形の輪郭を有していてもよい。なお、いうまでもなく「長方形」は「正方形」を含む。また、これに限られず、孔33の輪郭は、平面視において、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形や、円、楕円等の他の形状を有していてもよい。なお、本明細書において、「長方形」、「正方形」、「三角形」、「四角形」、「五角形」「六角形」及び「多角形」とは、当該「長方形」、「正方形」、「三角形」、「四角形」、「五角形」「六角形」及び「多角形」の角部が丸められたり切り取られたりしている形状をも含むものとする。
本実施の形態では、隣り合う2つの有効領域22の間に第1金属層31が配置されてもよい。これにより、蒸着マスク20の強度を十分に確保することができる。すなわち、隣り合う2つの有効領域22の間に配置された第1金属層31が、第2金属層35を支持するので、重力の作用により第2金属層35が撓んだり、外力の作用により第2金属層35が変形したりすることを、抑制することができる。
第1金属層31を構成する金属としては、例えば、鉄-ニッケル系合金を用いてもよい。
第2金属層35は、第1金属層31と反対側を向く第1面35aと、第1金属層31側を向く第2面35bとを有していてもよい。本実施の形態では、第2金属層35の第1面35aが蒸着マスク20の第1面20aをなし、第2面35bのうち孔33内に露出する部分が蒸着マスク20の第2面20bの一部をなしてもよい。第2金属層35は、平面視において第1金属層31の孔33と重なる領域(有効領域22)に複数の貫通孔25を有していてもよい。貫通孔25は、蒸発した蒸着材料98が通過して被蒸着基板92へ付着することを意図された貫通孔であってもよい。図4に示された例では、各貫通孔25は、長方形の輪郭を有しているが、これに限られず、貫通孔25は、例えば有機EL表示装置100の画素の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有することができる。例えば、貫通孔25の輪郭は、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形や、円、楕円等の他の形状を有していてもよい。図4に示されているように、各有効領域22に形成された複数の貫通孔25は、当該有効領域22において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定のピッチで配列されていてもよい。なお、複数の貫通孔25は、有効領域22において任意のパターンで配置することができる。このような第2金属層35は、無電解めっき法により形成された層すなわちめっき層であってもよい。
貫通孔25の配列ピッチは、例えば、5μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、15μm以上であってもよく、20μm以上であってもよい。また、貫通孔25の配列ピッチは、例えば、30μm以下であってもよく、35μm以下であってもよく、40μm以下であってもよく、45μm以下であってもよい。貫通孔25の配列ピッチの範囲は、5μm、10μm、15μm及び20μmからなる第1グループ、及び/又は、30μm、35μm、40μm及び45μmからなる第2グループによって定められてもよい。貫通孔25の配列ピッチの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。貫通孔25の配列ピッチの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。貫通孔25の配列ピッチの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、5μm以上45μm以下であってもよく、5μm以上40μm以下であってもよく、5μm以上35μm以下であってもよく、5μm以上30μm以下であってもよく、5μm以上20μm以下であってもよく、5μm以上15μm以下であってもよく、5μm以上10μm以下であってもよく、10μm以上45μm以下であってもよく、10μm以上40μm以下であってもよく、10μm以上35μm以下であってもよく、10μm以上30μm以下であってもよく、10μm以上20μm以下であってもよく、10μm以上15μm以下であってもよく、15μm以上45μm以下であってもよく、15μm以上40μm以下であってもよく、15μm以上35μm以下であってもよく、15μm以上30μm以下であってもよく、15μm以上20μm以下であってもよく、20μm以上45μm以下であってもよく、20μm以上40μm以下であってもよく、20μm以上35μm以下であってもよく、20μm以上30μm以下であってもよく、30μm以上45μm以下であってもよく、30μm以上40μm以下であってもよく、30μm以上35μm以下であってもよく、35μm以上45μm以下であってもよく、35μm以上40μm以下であってもよく、40μm以上45μm以下であってもよい。
第2金属層35の平面と平行な方向における貫通孔25の最大寸法は、例えば、3μm以上であってもよく、5μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、15μm以上であってもよい。また、第2金属層35の平面と平行な方向における貫通孔25の最大寸法は、例えば、25μm以下であってもよく、30μm以下であってもよく、35μm以下であってもよく、40μm以下であってもよい。第2金属層35の平面と平行な方向における貫通孔25の最大寸法の範囲は、3μm、5μm、10μm及び15μmからなる第1グループ、及び/又は、25μm、30μm、35μm及び40μmからなる第2グループによって定められてもよい。第2金属層35の平面と平行な方向における貫通孔25の最大寸法の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第2金属層35の平面と平行な方向における貫通孔25の最大寸法の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第2金属層35の平面と平行な方向における貫通孔25の最大寸法の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、3μm以上40μm以下であってもよく、3μm以上35μm以下であってもよく、3μm以上30μm以下であってもよく、3μm以上25μm以下であってもよく、3μm以上15μm以下であってもよく、3μm以上10μm以下であってもよく、3μm以上5μm以下であってもよく、5μm以上40μm以下であってもよく、5μm以上35μm以下であってもよく、5μm以上30μm以下であってもよく、5μm以上25μm以下であってもよく、5μm以上15μm以下であってもよく、5μm以上10μm以下であってもよく、10μm以上40μm以下であってもよく、10μm以上35μm以下であってもよく、10μm以上30μm以下であってもよく、10μm以上25μm以下であってもよく、10μm以上15μm以下であってもよく、15μm以上40μm以下であってもよく、15μm以上35μm以下であってもよく、15μm以上30μm以下であってもよく、15μm以上25μm以下であってもよく、25μm以上40μm以下であってもよく、25μm以上35μm以下であってもよく、25μm以上30μm以下であってもよく、30μm以上40μm以下であってもよく、30μm以上35μm以下であってもよく、35μm以上40μm以下であってもよい。
有効領域22内の、複数の貫通孔25を含む領域の第2金属層35の厚さは、周囲領域23に近接する貫通孔25を含まない領域の第2金属層35の厚さよりも小さくてもよい。有効領域22内の第2金属層35は、複数の貫通孔25を含む領域において最小厚さTminを有していてもよい。この場合、シャドーの発生を効果的に抑制することができる。なお、ここでの「シャドー」とは、蒸着マスク20の法線方向に対して傾斜した方向に沿って、被蒸着基板92に向かう蒸着材料98の進路が貫通孔25の周囲の第2金属層35により妨げられ当該蒸着材料98が被蒸着基板92に適切に付着しなくなることを指す。
有効領域22の第2金属層35の最小厚さTminは、周囲領域23の第2金属層35の厚さT23よりも小さくてもよい。換言すると、周囲領域23は、有効領域22の最小厚さTminよりも大きい厚さT23を有してもよい。この場合、シャドーの発生を抑制しながらも、周囲領域23において第2金属層35の強度を適切に確保することが可能になる。
第2金属層35の最小厚さTminは、例えば、5μm以上であってもよく、8μm以上であってもよく、10μm以上であってもよく、13μm以上であってもよい。また、第2金属層35の最小厚さTminは、例えば、15μm以下であってもよく、20μm以下であってもよく、25μm以下であってもよく、30μm以下であってもよい。第2金属層35の最小厚さTminの範囲は、5μm、8μm、10μm及び13μmからなる第1グループ、及び/又は、15μm、20μm、25μm及び30μmからなる第2グループによって定められてもよい。第2金属層35の最小厚さTminの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。第2金属層35の最小厚さTminの範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。第2金属層35の最小厚さTminの範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、5μm以上30μm以下であってもよく、5μm以上25μm以下であってもよく、5μm以上20μm以下であってもよく、5μm以上15μm以下であってもよく、5μm以上13μm以下であってもよく、5μm以上10μm以下であってもよく、5μm以上8μm以下であってもよく、8μm以上30μm以下であってもよく、8μm以上25μm以下であってもよく、8μm以上20μm以下であってもよく、8μm以上15μm以下であってもよく、8μm以上13μm以下であってもよく、8μm以上10μm以下であってもよく、10μm以上30μm以下であってもよく、10μm以上25μm以下であってもよく、10μm以上20μm以下であってもよく、10μm以上15μm以下であってもよく、10μm以上13μm以下であってもよく、13μm以上30μm以下であってもよく、13μm以上25μm以下であってもよく、13μm以上20μm以下であってもよく、13μm以上15μm以下であってもよく、15μm以上30μm以下であってもよく、15μm以上25μm以下であってもよく、15μm以上20μm以下であってもよく、20μm以上30μm以下であってもよく、20μm以上25μm以下であってもよく、25μm以上30μm以下であってもよい。
周囲領域23における第2金属層35の厚さT23は、例えば、10μm以上であってもよく、14μm以上であってもよく、17μm以上であってもよく、19μm以上であってもよい。また、周囲領域23における第2金属層35の厚さT23は、例えば、20μm以下であってもよく、24μm以下であってもよく、27μm以下であってもよく、30μm以下であってもよい。周囲領域23における第2金属層35の厚さT23の範囲は、10μm、14μm、17μm及び19μmからなる第1グループ、及び/又は、20μm、24μm、27μm及び30μmからなる第2グループによって定められてもよい。周囲領域23における第2金属層35の厚さT23の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の1つと、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の1つとの組み合わせによって定められてもよい。周囲領域23における第2金属層35の厚さT23の範囲は、上述の第1グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。周囲領域23における第2金属層35の厚さT23の範囲は、上述の第2グループに含まれる値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、10μm以上30μm以下であってもよく、10μm以上27μm以下であってもよく、10μm以上24μm以下であってもよく、10μm以上20μm以下であってもよく、10μm以上19μm以下であってもよく、10μm以上17μm以下であってもよく、10μm以上14μm以下であってもよく、14μm以上30μm以下であってもよく、14μm以上27μm以下であってもよく、14μm以上24μm以下であってもよく、14μm以上20μm以下であってもよく、14μm以上19μm以下であってもよく、14μm以上17μm以下であってもよく、17μm以上30μm以下であってもよく、17μm以上27μm以下であってもよく、17μm以上24μm以下であってもよく、17μm以上20μm以下であってもよく、17μm以上19μm以下であってもよく、19μm以上30μm以下であってもよく、19μm以上27μm以下であってもよく、19μm以上24μm以下であってもよく、19μm以上20μm以下であってもよく、20μm以上30μm以下であってもよく、20μm以上27μm以下であってもよく、20μm以上24μm以下であってもよく、24μm以上30μm以下であってもよく、24μm以上27μm以下であってもよく、27μm以上30μm以下であってもよい。
有効領域22内の第2金属層35の第2面35bは、周囲領域23側から有効領域22の中心C1へ向かうにつれて第1金属層31側から第1面35a側へ向かうように傾斜した傾斜面37を含んでいてもよい。傾斜面37は、周囲領域23側から、有効領域22に含まれる複数の貫通孔25のうちの最も周囲領域23に近接する貫通孔25へ向かうにつれて第1金属層31側から第1面35a側へ向かうように傾斜していてもよい。この場合、周囲領域23側から有効領域22の中心C1へ向かうにつれて第2金属層35の厚さが連続的に小さくなっていく。なお、これに限られず、有効領域22内の第2面35bの、周囲領域23に近接する貫通孔25を含まない領域内に1以上の段差が設けられ、周囲領域23側から有効領域22の中心C1へ向かうにつれて第2金属層35の厚さが段階的に小さくなっていくようにしてもよい。
なお、ここでいう「第2金属層35の厚さが(連続的に又は段階的に)小さくなっていく」とは、法線方向に沿った第2金属層35の断面を全体的に見て、第2金属層35の厚さが、周囲領域23側から有効領域22の中心C1へ向かうにつれて小さくなっていくことを意味する。したがって、「第2金属層35の厚さが(連続的に又は段階的に)小さくなっていく」とは、図5に示されているような、第2金属層35の厚さが、周囲領域23側から有効領域22の中心C1へ向かうにつれて常に小さくなり続けることのみを意味するものではない。言い換えると、周囲領域23側から有効領域22の中心C1へ向かうにつれて、第2金属層35の厚さが変化しない又は大きくなる部分が含まれていても、法線方向に沿った第2金属層35の断面を全体的に見て、第2金属層35の厚さが、周囲領域23側から有効領域22の中心C1へ向かうにつれて小さくなっていくといえるものは、ここでいう「第2金属層35の厚さが(連続的に又は段階的に)小さくなっていく」ものに含まれる。
蒸着処理は、高温雰囲気となる蒸着装置90の内部で実施されてもよい。この場合、蒸着処理の間、蒸着装置90の内部に保持される蒸着マスク20及び有機EL基板92も加熱される。この際、蒸着マスク20及び有機EL基板92は、各々の熱膨張係数に基づいた寸法変化の挙動を示すことになる。したがって、蒸着マスク20の熱膨張係数と有機EL基板92の熱膨張係数との差が小さい場合には、蒸着マスク20の寸法変化と有機EL基板92の寸法変化との差も小さくなり、この結果、有機EL基板92上に付着する蒸着材料の寸法精度や位置精度を向上させることができるので好ましい。
このような効果を得るため、蒸着マスク20を構成する部材の熱膨張係数が、有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値であってもよい。例えば、有機EL基板92としてガラス基板が用いられる場合、フレーム15及び蒸着マスク20の主要な材料として、ニッケルを含む鉄合金すなわち鉄-ニッケル系合金を用いてもよい。鉄-ニッケル合金は、コバルト等の他の成分を更に含んでいてもよい。例えば、フレーム15及び蒸着マスク20を構成する金属板の材料として、ニッケル及びコバルトの含有量が合計で30質量%以上且つ54質量%以下であり、且つコバルトの含有量が0質量%以上且つ6質量%以下である鉄合金を用いてもよい。ニッケル若しくはニッケル及びコバルトを含む鉄合金の具体例としては、34質量%以上且つ38質量%以下のニッケルを含むインバー材、30質量%以上且つ34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材、38質量%以上且つ54質量%以下のニッケルを含む低熱膨張Fe-Ni系合金などを挙げることができる。
本実施の形態の第1金属層31及び第2金属層35は、いずれも鉄-ニッケル系合金を含んでいてもよい。これにより、本実施の形態の蒸着マスク20の熱膨張係数と、被蒸着基板92の熱膨張係数との差を小さくすることができる。この場合、蒸着マスク20と被蒸着基板92の寸法変化の差異に起因した蒸着マスク20と被蒸着基板92との位置ずれを抑制し、被蒸着基板92上に付着する蒸着材料98の寸法精度や位置精度の低下を効果的に抑制することができる。
次に、図6~図12を参照して、上に説明した蒸着マスク20の製造方法の一例について説明する。図6~図12は、それぞれ、蒸着マスク20の製造方法の一例の一工程を示す図である。
まず、第1金属層31を準備する(第1金属層準備工程)。第1金属層31は、鉄-ニッケル系合金を含み、圧延により製造された金属板であってもよい。第1金属層31は、第1面31aと、第1面31aと反対側を向く第2面31bと、を有していてもよい。
次に、第1金属層31の第1面31aの上に、凸部42を有する樹脂層41を形成する(樹脂層形成工程)。本実施の形態では、有効領域22内に、当該有効領域22内に形成されるべき複数の貫通孔25の形状及び配置パターンに対応した形状及び配置パターンを有する複数の凸部42を有する樹脂層41が形成されてもよい。とりわけ樹脂層41の形状は、形成されるべき貫通孔25の形状に対して少なくとも部分的に互いに補い合う形状を有してもよい。
凸部42を有する樹脂層41は、例えば、フォトリソグラフィー技術を用いて形成されてもよい。この場合、まず、流動性を有する感光性の樹脂を第1金属層31の第1面31aの上に塗布することにより、又は、シート状の感光性の樹脂を第1金属層31の第1面31aの上に配置することにより、図6に示されているように、第1金属層31の第1面31aの上に樹脂層40を形成する。その後、必要に応じて、樹脂層40を仮硬化させてもよい。感光性の樹脂としては、ネガ型、ポジ型の感光性を有する樹脂が特に限定されることなく使用され得る。一例として、感光性の樹脂として、ポジ型の感光性を有する樹脂が使用されてもよい。このような感光性の樹脂は、例えば紫外線により感光されてもよい。
次に、樹脂層40を感光させて、樹脂層40から、凸部42を有する樹脂層41を形成する(図7及び図8参照)。このとき、図7に示されているように、階調露光が可能な遮光マスク50を介して樹脂層40を感光させてもよい。遮光マスク50は、例えば、透光性を有する基板52と、当該基板52の一面の上に形成された遮光層54と、を有してもよい。基板52は、例えばガラス板であってもよい。また、遮光層54は、クロム、モリブデン等の金属で形成された膜であってもよい。遮光層54は、形成されるべき樹脂層41の厚さに対応した遮光性を有していてもよい。例えば、樹脂層40を構成する樹脂として、ポジ型の感光性を有する樹脂が使用される場合は、遮光層54は、形成されるべき樹脂層41の厚さに比例した厚さを有していてもよい。
樹脂層41は、複数の凸部42を含んでいてもよい。また、樹脂層41は、第1金属層31の反対側に、樹脂層41の周縁から樹脂層41の中心C2へ向かうにつれて第1金属層31側から離間するように傾斜した傾斜面43を含んでいてもよい。傾斜面43は、樹脂層41の周縁から、複数の凸部42のうちの最も樹脂層41の周縁に近接する凸部42へ向かうにつれて第1金属層31側から離間するように傾斜していてもよい。この場合、樹脂層41の周縁から樹脂層41の中心C2へ向かうにつれて樹脂層41の厚さが連続的に大きくなっていく。なお、これに限られず、樹脂層41の第1金属層31の反対側に位置する面の、凸部42と周縁との間の領域内に1以上の段差が設けられ、樹脂層41の周縁から樹脂層41の中心C2へ向かうにつれて樹脂層41の厚さが段階的に大きくなっていくようにしてもよい。なお、樹脂層41の中心C2は、最終的に形成される蒸着マスク20の有効領域22の中心C1と一致してもよい。
なお、ここでいう「樹脂層41の厚さが(連続的に又は段階的に)大きくなっていく」とは、法線方向に沿った樹脂層41の断面を全体的に見て、樹脂層41の厚さが、樹脂層41の周縁から樹脂層41の中心C2へ向かうにつれて大きくなっていくことを意味する。したがって、「樹脂層41の厚さが(連続的に又は段階的に)大きくなっていく」とは、図8に示されているような、樹脂層41の厚さが、樹脂層41の周縁から樹脂層41の中心C2へ向かうにつれて常に大きくなり続けることのみを意味するものではない。言い換えると、樹脂層41の周縁から樹脂層41の中心C2へ向かうにつれて、樹脂層41の厚さが変化しない又は小さくなる部分が含まれていても、法線方向に沿った樹脂層41の断面を全体的に見て、樹脂層41の厚さが、樹脂層41の周縁から樹脂層41の中心C2へ向かうにつれて大きくなっていくといえるものは、ここでいう「樹脂層41の厚さが(連続的に又は段階的に)大きくなっていく」ものに含まれる。
なお、凸部42を有する樹脂層41を形成する方法は、上述のフォトリソグラフィー技術を用いた方法に限られない。樹脂層41は、例えば、ナノインプリント技術等により、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂等を第1金属層31の第1面31aの上に賦型することにより形成される。ここで、凸部42の断面形状は、賦型で用いる版の断面形状により制御することができる。
樹脂層41を構成する樹脂としては、例えば、ポジレジストを用いてもよい。
図8に示された凸部42を有する樹脂層41が形成された後、図9に示されているように、樹脂層41の上及び第1金属層31の第1面31aの上に、第2金属層35を形成する(第2金属層形成工程)。これにより、第2金属層35には、樹脂層41の傾斜面43と互いに補い合う形状を有する傾斜面37が形成される。第2金属層35は、例えば、樹脂層41の上及び第1金属層31の第1面31aの上に、スパッタリング法によりシード層となる金属層を形成し、その後、シード層の上に無電解めっき法により本体層となる金属層を形成してもよい。この場合、第2金属層35は、シード層及び本体層で構成される。なお、これに限られず、第2金属層35は、シード層上に電解めっき法により本体層となる金属層を形成することにより形成されてもよいし、電解めっき法、無電解めっき法等のめっき法、物理蒸着法、スパッタ法、化学気相成長法(CVD法)等により、単層又は多層の金属層として形成されてもよい。第2金属層35は、図9に示されているように全ての凸部42を完全に覆うように形成されてもよいし、少なくとも一部の凸部42の先端が第2金属層35から露出するように形成されてもよい。
次に、図10に示されているように、第2金属層35を第1金属層31と反対側から研磨する(研磨工程)。樹脂層41の全ての凸部42が第2金属層35から露出し、第2金属層35の厚さが所望の厚さになるまで、第2金属層35を研磨してもよい。このとき、樹脂層41の凸部42の先端側の一部が第2金属層35と共に研磨されてもよい。これにより、第2金属層35には、樹脂層41の凸部42と互いに補い合う形状を有する貫通孔25が形成される。第2金属層35の研磨は、例えば、機械研磨(Mechanical Polishing)、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing)、ウェットエッチング、ドライエッチング及びこれらの組み合わせ、のいずれかにより行われてもよい。なお、研磨工程における最後の研磨として、半導体の平坦化プロセスで用いられる研磨方法、例えば、機械研磨や化学機械研磨等を用いてもよい。この場合、研磨の深さの均一性を図ることができる。
第2金属層35の上及び樹脂層41の上を覆うように第1レジスト層44を形成する。また、第1金属層31の第2金属層35と反対側の面(第2面31b)の上に第2レジスト層(レジスト層)45を形成する(図11参照、レジスト層形成工程)。第1レジスト層44は、後述のエッチング工程において用いられるエッチング液によって第2金属層35が侵食されることを防止するために設けられる。したがって、他の方法により第2金属層35が侵食されることが防止される場合には、第1レジスト層44を省略することも可能である。この場合、例えば、エッチング工程において、エッチング液が第2金属層35に接触しないようにして孔33を形成する。第2レジスト層45は、第1金属層31の孔33が形成されるべき箇所に対応する開口47を有する。開口47は、平面視において樹脂層41の複数の凸部42と重なっている。とりわけ、開口47は、平面視において1つの有効領域22に対応する全ての凸部42と重なっている。第1レジスト層44及び第2レジスト層45は、例えば、エッチング工程において用いられるエッチング液に対する耐性を有した樹脂シートを貼着したり、同様の耐性を有した流動性を有する樹脂材料を塗布して硬化させることにより形成することができる。開口47は、例えばフォトリソグラフィー技術を用いて形成することができる。
次に、第2レジスト層45をマスクとして、第1金属層31をエッチングし孔33を形成する(図12参照、エッチング工程)。具体的には、第2レジスト層45の開口47に露出した第1金属層31にエッチング液を接触させ、第1金属層31を第2面31b側から第1面31a側へ向けてエッチングする。このエッチングは、少なくとも孔33が樹脂層41へ到達し、孔33内に樹脂層41が露出するまで継続される。エッチング液としては、塩化第二鉄溶液や塩酸を用いてもよい。
ところで、エッチング工程では、図12に示されているように、エッチングによる浸食は、第1金属層31の厚さ方向(法線方向)だけでなく、第1金属層31の平面と平行な方向にも進行する。したがって、平面視において、エッチング工程で形成される孔33の寸法は、第2レジスト層45の開口47の寸法よりも大きくなる。したがって、エッチング工程における第1金属層31の平面と平行な方向への浸食量を考慮して、開口47の寸法は、形成されるべき孔33の寸法よりも小さく設定されることが好ましい。
最後に、樹脂層41、第1レジスト層44及び第2レジスト層45を除去する(除去工程)。これにより、第2金属層35の貫通孔25と孔33とが通じ、図5に示される蒸着マスク20が得られる。
本開示の蒸着マスクの製造方法は、第1面31aと第1面31aとは反対側にある第2面31bとを有する第1金属層31を準備する工程と、第1金属層31の第1面31aの上に、凸部42を有する樹脂層41を形成する工程と、樹脂層41の上及び第1金属層31の第1面31aの上に、第2金属層35を形成する工程と、第2金属層35を第1金属層31と反対側から研磨する工程と、第1金属層31の第2面31bの上に、平面視において少なくとも部分的に樹脂層41と重なる開口47を有するレジスト層45を形成する工程と、第1金属層31をエッチングして、開口47から樹脂層41に達する孔33を形成する工程と、樹脂層41及びレジスト層45を除去する工程と、を備える。
本開示の蒸着マスク20は、孔33を有する第1金属層31と、貫通孔25を有し平面視において孔33と重なる有効領域22、及び、有効領域22の周囲に位置し有効領域22の最小厚さTminよりも大きい厚さT23を有する周囲領域23、を有する第2金属層35と、を備える。
このような蒸着マスクの製造方法及び蒸着マスク20によれば、貫通孔25の配置、形状及び寸法を画定する複数の微細な凸部42を高密度に配置することができるので、これにより、複数の貫通孔を高密度に配置することが可能になる。したがって、本実施の形態の蒸着マスク20を用いて、例えば1200ppi以上の画素密度を有する高精細な有機EL表示装置100を製造することができる。また、エッチングプロセスを用いて貫通孔を形成する場合には、平面視における貫通孔の隅部が丸くなる傾向にあるが、本実施の形態では、凸部42の形状により貫通孔25の形状を画定することができるので、例えば凸部42の輪郭を平面視で長方形とすることにより、貫通孔25の平面視における輪郭も長方形に近づけることが可能になる。
また、本実施の形態では、凸部42の形状により貫通孔25の輪郭を画定することができるので、貫通孔25に高精度で安定した輪郭を付与することができる。
エッチングプロセスを用いて貫通孔を形成する方法では、貫通孔の配置を高精細化するために、金属製シートの厚さを小さくすることが考えられる。しかし、金属製シートを薄くすると、金属製シートを搬送する際に当該金属製シートにシワや変形が生じやすくなる。これに対して、本実施の形態では、貫通孔25を有する第2金属層35を、当該第2金属層35を支持可能な第1金属層31上に形成するので、蒸着マスク20を搬送する際に第2金属層35にシワや変形が生じることを効果的に抑制することができる。
エッチングプロセスを用いて貫通孔を形成する方法では、第1面側から形成された穴部及び第2面側から形成された穴部の、金属製シートの法線方向に平行に延びる断面における断面形状は、金属製シートの内部に向けて凸となる曲面形状になる。したがって、残存した金属製シートの断面積が減少し、これにより金属製シートの強度が低下する虞がある。これに対して、本実施の形態では、凸部42の形状により貫通孔25の形状を画定することができるので、凸部42の形状を適切に制御することにより、第2金属層35の断面積が大きくなるように貫通孔25の断面形状を調整することができる。したがって、第2金属層35の強度を十分に確保することができる。
また、隣り合う2つの有効領域22の間に第2金属層35を支持する第1金属層31を配置することができるので、蒸着マスク20の強度を十分に確保することができる。