本発明の一実施の形態について図1ないし図12を参照して説明する。
図1ないし図4において、11は農作業機である収穫機で、この収穫機11は、圃場の収穫物(農作物)Wの収穫作業を行うための小型の自走式収穫装置である。収穫対象である収穫物Wは、例えば圃場の土中に生育した略球形状の馬鈴薯である。なお、収穫物Wは、馬鈴薯以外に、例えば薩摩芋、玉葱、人参等でもよい。
収穫機11は、機枠12に設置された駆動源であるエンジン13と、このエンジン13からの動力に基づいて作動する左右の走行手段であるクローラ14と、同じくエンジン13からの動力に基づいて作動して収穫物Wを搬送方向(斜め上後方)に搬送可能な収穫物搬送手段であるコンベヤ15と、このコンベヤ15の搬送部16を上下方向に振動させるための振動手段17とを備えている。
そして、コンベヤ15は、前側の第1搬送部分であるコンベヤ前側部分15aと、後側の第2搬送部分であるコンベヤ後側部分15bとを有し、コンベヤ前側部分15aがコンベヤ後側部分15bに対して上下方向に回動可能となっている。具体的には、回動部分であるコンベヤ前側部分15aは、駆動手段であるシリンダ21の伸縮(作動)に基づいて、回動支点(左右方向の回動中心軸)22を中心としてコンベヤ後側部分15bに対して上下方向に回動可能である。そして、コンベヤ前側部分15aは、シリンダ21の伸び動作に基づく上方回動により非作業状態(格納状態)となり、シリンダ21の縮み動作に基づく下方回動により作業状態となる。また、このコンベヤ前側部分15aは、掘取刃23及びゲージ輪24を有し、このゲージ輪24の高さ位置(上下位置)は調整ハンドル25によって調整可能である。
また、収穫機11は、作業者が座る左右の座席26と、この各座席26の近傍に設けられたステップ27と、左側の座席26に座った作業者が操作可能な操作手段28と、収穫物収納容器であるコンテナ(収穫物Wが収納される容器)Kが載置される前コンテナ台29、後コンテナ台30及び補助コンテナ台40とを備えている。
前コンテナ台29は座席26よりも前方側に配置され、後コンテナ台30及び補助コンテナ台40が座席26よりも後方側に配置されている。後コンテナ台(載置体)30は、コンベヤ15のコンベヤ後側部分15bの後端部に設けられている(図2参照)。また、操作手段28は、各種の操作レバーや操作スイッチ等からなるもので、例えば主クラッチレバー61、補助クラッチレバー62、エンジン停止スイッチ63等を有している。
さらに、収穫機11は、コンベヤ後側部分15bに対するコンベヤ前側部分15aの上方回動時における作業者の安全を図るための左右の安全体71を備えている。そして、当該収穫機11では、シリンダ21の作動により所定位置(例えば上限位置である非作業位置)まで上方回動した非作業状態のコンベヤ前側部分15aの下方回動を安全体71によって規制可能な構成となっている。つまり、この安全体71は、シリンダ21の故障等による非作業状態のコンベヤ前側部分15aの落下(自重による下方回動)を防止する落下防止機能を兼ね備えたものである。
ここで、安全体71は、図5(a)ないし(c)にも示すように、コンベヤ前側部分15aの側板46(46a)に立設された取付部材(ゲージ輪用の取付フレーム)72に連結ピン73を介して回動可能に連結された長手状の安全カバー部材76と、この安全カバー部材76をコンベヤ後側部分15bの側板46(46b)に対して固定(ロック)するための固定部材である着脱ピン77とを有している。
安全カバー部材76は、作業者が前後の側板46(46a,46b)間で手等を挟まないようにコンベヤ15の両部分15a,15bの側板46(46a,46b)の上方部を同時に覆う断面コ字状の長手状部材である。この安全カバー部材76の後端部の上側には作業用孔(スライド用孔)78が形成され、その後端部の下側には固定用孔79が形成されている。
着脱ピン77は、安全カバー部材76に対して着脱可能な頭付きピン部材である。この着脱ピン77は、丸軸状の軸部81と、この軸部81の基端に設けられた頭部82とを有している。軸部81の先端部には先端側孔83が形成され、軸部81の基端部には基端側孔84が形成されている。
コンベヤ後側部分15bの側板46(46b)は、鉛直状の側板部86と、この側板部86の上端部から内側(搬送部16側)に向かって突出する上板部87と、この上板部87の内端部から下方に向かって突出する突出板部88とを有している。側板部86の内面の所定部分には補強部材(例えば補強座金等)90が溶接固定されている。これら補強部材90及び側板部86には、固定用孔91,92がそれぞれ形成されている。
そして、図5(a)及び(b)に示すように、作業時には、着脱ピン77は、安全カバー部材76の作業用孔78に挿入され、その後に基端側孔84に挿入されたRピン(抜止め用ピン)93によって当該作業用孔78から抜け出ない状態とされ、この状態で、当該着脱ピン77は、シリンダ21の作動に基づくコンベヤ前側部分15aの回動に応じてコンベヤ後側部分15bの側板46(46b)の上板部87の上面87a上をこの上面87aと線状に接触した状態で当該上面87aに沿ってスライドする。なおこのとき、例えば収穫物W、土、作業者の手等との当接によってRピン93が抜けることがないように、Rピン93は基端側孔84に挿入されて安全カバー部材76内に位置している。
また、図4及び図5(c)に示すように、非作業時(格納時)には、着脱ピン77は、互いに対向したピン挿入孔である固定用孔79,91,92に挿入され、その後に先端側孔83に挿入されたRピン93によって当該固定用孔79,91,92から抜け出ない状態にされる。そして、この状態において、例えばシリンダ21の故障等が原因で非作業状態のコンベヤ前側部分15aが自重で下方回動しようとした場合でも、コンベヤ後側部分15bに対して固定された固定状態(ロック状態)の安全体71によって非作業状態のコンベヤ前側部分15aの下方回動が規制され、当該非作業状態が維持される。なおこのとき、Rピン93を着脱ピン77に対して容易に脱着できるように、Rピン93は先端側孔83に挿入されて安全カバー部材76外に位置している。
また一方、コンベヤ15は、非作業時に前後の長さが短くできるように互いに回動可能に連結されたコンベヤ前側部分15a及びコンベヤ後側部分15bを有した折畳み可能なもので、圃場における畝の土中に植生した収穫物Wをその土中から掘り取って搬送方向に搬送する掘取搬送装置(収穫物搬送手段)である。
そして、このコンベヤ15は、当該コンベヤ15上に収穫物Wとともに搬入された圃場の土を土落下開口(隣り合う搬送バー43間の間隙)20から落下させながら収穫物Wを斜め上後方(搬送方向)に向けて搬送する回行可能な無端状の搬送部16を有している。なお、搬送部16の前側部分はコンベヤ前側部分15aの一部であり、搬送部16の後側部分はコンベヤ後側部分15bの一部である。
搬送部16は、前端部に位置する従動ローラ(従動回転体)31と後端部に位置する駆動ローラ(駆動回転体)32と巻き掛けられ、その駆動ローラ32の駆動回転により所定方向に回行しながら収穫物Wを搬送する。この搬送部16は、複数の土落下開口20から土を落下させながら収穫物Wを搬送する往路面部33を上側に有し、この往路面部(往路面部のうちのベルト部分)33がローラ体(支持体)35と固定ガイド体36とによって下方から支持されている。
また、搬送部16は、所定方向に回行する左右一対の帯状の無端部材である無端ベルト(ベルト部分)41と、これら両無端ベルト41間に架設され、当該無端ベルト41とともに回行して収穫物Wを搬送方向に搬送する左右方向長手状の複数本の搬送部材である搬送バー(コンベヤバー)43とを有している。搬送方向に互いに隣り合う搬送バー43間には、圃場に向けて土を落下させるための土落下開口20が存在する。
複数本の搬送バー43は、例えば互いに形状等が異なって最下位置(振動ローラ101との当接位置である下端位置)の高さがそれぞれ異なる3種類の搬送バー43a,43b,43cによって構成されており、そのうちの1種類の搬送バー43(43a)が立上りコンベヤバーである。そして、この搬送バー43(43a)は、他の搬送バー43(43b,43c)よりも上方に位置して収穫物Wの転がりを防止する上方突出状の転がり防止部(立上り部)44を有している。
さらに、左右のローラ体35は、所定方向に従動回転しながら搬送部16の無端ベルト41の中間部分を下方から支持する中間従動ローラ体である。このローラ体35は、細長板状の固定部材(石避け板)51を含む固定手段50によって、コンベヤ後側部分15bの側板46(46a)の所定部分に固定されている。
また一方、振動手段17は、土を振るい落とすためにコンベヤ15の搬送部16を上下方向に振動させるためのコンベヤ振動装置である。そして、この振動手段17は、少なくとも3つの状態、すなわち例えば搬送部16を第1振動強さ(振幅「20mm」及び振幅「9mm」を有する振動強さ)で振動させる第1振動入状態(振動「強」状態)と、搬送部16を第1振動強さよりも弱い第2振動強さ(振幅「8.2mm」を有する振動強さ)で振動させる第2振動入状態(振動「弱」状態)と、搬送部16に振動を付与しない振動切状態(振動「切」状態)とに選択的に切換可能となっている。
ここで、図6に示すように、振動手段17は、振動入状態時(第1振動入状態時、第2振動入状態時)に搬送部16の搬送バー43との当接に基づいて搬送部16に振動を付与する上下動可能な左右の振動付与体である振動ローラ101と、振動切状態時に振動ローラ101が搬送部16の搬送バー43に当接しないように搬送部16の無端ベルト41を摺動可能(スライド可能)に支持する上下動可能な板状の左右の支持体である支持ガイド102とを有している。
また、振動手段17は、この振動手段17の状態を3つの状態のうち選択したいずれか一の状態に切り換えるための回動可能な操作体である操作レバー103を有し、振動ローラ101及び支持ガイド102はその操作レバー103の回動操作に基づく上下動により振動手段17の状態に対応する所定位置に同時に設定される。すなわち、操作レバー103をロックピン104で第1振動入位置に固定することで振動手段17が第1振動入状態に切り換えられ、操作レバー103をロックピン104で第2振動入位置に固定することで振動手段17が第2振動入状態に切り換えられ、操作レバー103をロックピン104で振動切位置に固定することで振動手段17が振動切状態にそれぞれ切り換えられる。
操作レバー103は、板状のレバー本体部106と、このレバー本体部106に固着されたコ字状枠部107とを有している。L字状のロックピン104は、レバー本体部106のピン用孔108及びコ字状枠部107のピン用孔109に挿入されている。また、ロックピン104のうちコ字状枠部107内に位置する部分には、切換プレート110の孔(第1振動入位置用孔111、第2振動入位置用孔112、振動切位置用孔113)に向けてロックピン104を付勢する付勢部材であるバネ115が装着されている。
切換プレート110は、コンベヤ15の前側部分15aの左側の側板46に固着されている。切換プレート110の前後側には、操作レバー103との当接により当該操作レバー103の回動を規制するストッパ117,118が突設されている。それゆえ、操作レバー103の回動範囲は、前後のストッパ117,118によって制限されている。
さらに、振動手段17は、互いに離間対向する左右の側板46間に回動可能に架設された回動軸121を有し、この回動軸121の左側の端部に操作レバー103のレバー本体部106の基端部が固着されている。また、左右の両側板(前コンベヤ枠)46は、連結パイプ120によって連結されている。
回動軸121の2箇所には取付板122の基端側が固着され、この取付板122の先端側には円筒状の回転体である振動ローラ101がベアリング100を介して回転可能に取り付けられている。また、回動軸121のうち取付板122よりも外側に位置する部分には、回動体である支持ガイド(ベルト支持ガイド板)102を支持する支持板123が固着されている。それゆえ、操作レバー103の操作による回動軸121の回動に基づいて、振動ローラ101と支持ガイド102とが互いに連動して上下方向に回動する。
支持ガイド102は、コンベヤ15の前側部分15aの側板46に固定された支軸部(回動支点)124を中心として後端側が昇降するように上下方向に回動可能となっている。換言すると、支持ガイド102は、前端側の回動支点を中心として上下方向に回動可能となっている。
この支持ガイド102は、1箇所で曲がったへ字状をなす細長板状のガイド本体部126と、このガイド本体部126の前端部に設けられた取付部127と、ガイド本体部126の下面に突設された突出板部128とを有している。そして、取付部127が支軸部124に回動可能に取り付けられ、かつ、ガイド本体部126の下面が支持板123の湾曲状の上端部である支持部130で支持されている。
なお、振動ローラ101及び支持ガイド102は、左右の側板46間でかつコンベヤ15の搬送部16の往路面部33及び復路面部34間の位置に配置されているが、操作レバー103は、作業者がコンベヤ15の側方から容易に操作できるように左側の側板46よりも外側の位置に配置されている。
次いで、収穫機11が備える緊急停止手段(緊急停止装置)131について説明すると、図7ないし図9等に示すように、この緊急停止手段131は、作業中(具体的にはコンベヤ15の搬送部16によって搬送中の収穫物Wを手で取ってコンテナK内に収納する作業中)の作業者の身体の一部である手が後コンテナ台30と搬送部16との間に進入することで緊急停止体132に当たって当該緊急停止体132が搬送方向側(後方側)に動いた際に、その動きに連動するクラッチレバー61,62を切状態に切り換えてコンベヤ15の作動及びクローラ14の作動を緊急停止させるものである。
緊急停止体132は、後コンテナ台30の前端側に前後方向に回動可能に設けられ、コンベヤ15の搬送部16の後端側(搬送終端側)の上方であって収穫物Wが当たらない位置に配置されている。なお、後コンテナ台30は、コンベヤ後側部分15bの側板46(46b)に立設された左右一対の板状部133と、これら両板状部133間に架設された左右方向長手状の複数本の棒状部134とを有し、これら複数本の棒状部134上にコンテナKが載置される。
緊急停止体132は、後コンテナ台30の板状部133の前端部に回動可能に取り付けられた左右一対の回動部である回動アーム136と、これら両回動アーム間に架設された左右方向長手状(コンベヤ15の幅方向に長手方向を有した長手状)の長尺部である緊急停止バー137とを有している。この緊急停止バー137は、コンベヤ15の搬送部16と後コンテナ台30との間に配置され、当該後コンテナ台30の前端の棒状部134よりも後方に位置している。
そして、緊急停止体132の左側の回動アーム136には第1連結板141が連結軸140を介して連結固定され、この第1連結板141には第2連結板142の上端部が回動支点143を介して回動可能に連結されている。第2連結板142は上下方向に長い長孔部144を有し、この長孔部144には第3連結板145の軸部146がスライド可能でかつ回動可能に挿入され、この第3連結板145は補助クラッチレバー62の内端部に連結固定されている。
補助クラッチレバー62は、作業者が把持する把持部148及びL字状の棒状部149を有し、この棒状部149の右端部に第3連結板145の筒部147が連結固定されている。また、棒状部149の中間部には主クラッチレバー61が連結手段151を介して連結され、これら両クラッチレバー61,62が互いに連動するようになっている。なお、クラッチレバー61,62が回動して入状態から切状態に変わると、エンジン13からの動力伝達がクラッチ(図示せず)によって途中で遮断され、コンベヤ15及びクローラ14が同時に停止する。
連結手段151は、互いに平行に位置する前後1対の回動板152,153と、前端部が前側の回動板152に回動支点155を介して回動可能に連結されかつ後端部が後側の回動板153に回動支点156を介して回動可能に連結された連結アーム154と、後側の回動板153とともにレバー支点軸160を中心として回動するレバー側回動板159とを有している。また、主クラッチレバー61は、左右方向長手状のレバー支点軸(回動中心軸)160を中心として回動可能なもので、作業者が把持する把持部161及び真っ直ぐな棒状部162を有し、この棒状部162の中間部がレバー側回動板159の溝部158に挿入されている。
ここで、図10ないし図12を参照しつつ緊急停止手段131の動作について説明する。
図10に示すように、両クラッチレバー61,62が入状態で、エンジン13からの動力に基づいてコンベヤ15及びクローラ14が作動している場合には、圃場の土中から掘り取られた収穫物Wは、コンベヤ15の搬送部16によって搬送方向に搬送される。
そして、図10に示す収穫物Wの位置よりも前方の位置で、作業者は搬送中の収穫物Wを手で取り上げてコンテナK内に収納するのが通常であるが、例えば収穫物Wを見逃したり取り損ねたりした場合等には、収穫物Wが図10の如く駆動ローラ32の近くの位置(搬送終端付近)まで搬送される。
このとき、例えば図11に示すように、作業中の作業者が手を後方へ伸ばしてその収穫物Wを取ろうとして、後コンテナ台30と搬送部16との間に手を挿入した場合には、作業者の手が緊急停止体132の緊急停止バー137に当たり、その緊急停止体132が後コンテナ台30に対して搬送部16の搬送方向側に向かって後方回動し、この回動に基づいて両クラッチレバー61,62が連動回動して入状態から切状態に切り換わる。
その結果、クラッチが切れてエンジン13からの動力伝達が途中で遮断され、コンベヤ15の搬送部16が緊急停止するとともに、クローラ14のクローラベルト18が緊急停止する。それゆえ、作業者の手がコンベヤ15の搬送部16に巻き込まれるようなことがない。
また、図12に示すように、緊急停止後、作業者の手が緊急停止体132の緊急停止バー137から離れると、その緊急停止体132が自重でつり合う位置まで前方回動(下方回動)し、それに応じて第2連結板142が下動するが、この際に第3連結板145の軸部146が第2連結板142の長孔部144内をスライドするため、両クラッチレバー61,62は切状態のままであり、コンベヤ15及びクローラ14の停止が維持される。なお、作業を再開するには、両クラッチレバー61,62のいずれかを操作して入状態にすればよい。
次に、上述した収穫機11の作用等を説明する。
圃場においてクローラ14の作動により左右のゲージ輪24が畝の裾部分を走行するように収穫機11を前方(図1に示す進行方向)に移動させると、圃場の畝の土中の収穫物Wはコンベヤ前側部分15aの掘取刃23によってその畝の土中から掘り取られ、この掘り取られた収穫物Wは、コンベヤ前側部分15a及びコンベヤ後側部分15bに亘って位置する搬送部16によって搬送方向に向かって搬送され、この搬送途中で座席26に座った作業者の手作業により当該搬送部16上から取り上げられてコンテナ内に収納される。
ここで、このような作業時において、例えば図11に示すように、収穫物Wを取ろうとした作業者の手が緊急停止体132に当たって当該緊急停止体132が搬送方向側に回動すると、この回動に連動してクラッチレバー61,62が切状態になり、その結果、コンベヤ15の作動及びクローラ14の作動が緊急停止する。それゆえ、作業者がコンベヤ15の搬送部16に巻き込まれることがなく安全である。
また、例えば作業終了後には、図4等に示すように、シリンダ21によりコンベヤ前側部分15aを所定位置まで上方回動させて非作業状態(格納状態)にした後、着脱ピン77を固定用孔79,91,92に挿入しかつRピン93を着脱ピン77の先端側孔83に挿入することにより、安全カバー部材76をコンベヤ後側部分15bの側板46(46b)に対して固定する。これにより、安全体71を用いて非作業状態のコンベヤ前側部分15aの下方回動を規制(防止)することが可能となる。また、この図4に示す状態とした小型かつ軽量の収穫機11は、小型貨物車両である軽トラックの荷台に載せることが可能である。
そして、このような収穫機11によれば、コンベヤ15の搬送部16で搬送中の収穫物Wを取ろうとした作業者の手(身体の一部)が緊急停止体132に当たって当該緊急停止体132が搬送方向側に動くことにより、少なくともコンベヤ15の搬送部16が緊急停止するため、作業者がコンベヤ15の搬送部16に巻き込まれることを防止でき、安全性の向上を図ることができる。
また、緊急停止体132は、コンベヤ15の幅方向に長い長手状の緊急停止バー137を有するため、左右いずれの作業者に対してもコンベヤ15の搬送部16への巻き込みを効果的に防止でき、安全性の向上をより一層図ることができる。
さらに、緊急停止体132の動きに連動してクラッチレバー61,62が入状態から切状態に切り換わる構成であるから、構成の簡素化を図ることができ、軽量化やコスト削減等を図ることができる。
また一方、シリンダ21の故障等により非作業状態のコンベヤ前側部分15aが自重でコンベヤ後側部分15bに対して下方回動しようとした場合でも、非作業状態のコンベヤ前側部分15aの下方回動(自重による落下)が固定状態の安全体71によって規制されるため、安全体71とは別体の落下防止部材が不要であり、その分部品点数の低減を図ることができ、よって軽量化やコスト削減等をより一層図ることができる。
また、着脱ピン77を作業用孔78から固定用孔79,91,92に差し替えることで、安全カバー部材76をコンベヤ後側部分15bに対して容易かつ確実に固定でき、しかも、作業者は着脱ピン77の差し替えによって安全カバー部材76の固定を確認(意識)でき、固定のし忘れを防止できる。
さらに、着脱ピン77は、その下端がコンベヤ後側部分15bの側板46(46b)の上板部87の上面87aと線状に接触した状態でスライドするため、例えば当該上面87aと面状に接触してスライドする構成等に比べて摩擦抵抗が少なくスムーズにスライドできる。なお、例えば着脱ピン77が回転しながら当該上面87a上を移動するようにしてもよい。
なお、上記実施の形態では、緊急停止体の動きによりコンベヤ及びクローラの両方が同時に緊急停止する構成について説明したが、例えば緊急停止体の動きによりコンベヤ(収穫物搬送手段)のみが緊急停止する構成でもよい。
また、緊急停止体の動きによりクラッチレバーが入状態から切状態に切り換わる構成には限定されず、例えばクラッチレバーを介さずに緊急停止体の動きでクラッチが切れる構成等でもよい。
さらに、例えば作業者が緊急停止体に当たって当該緊急停止体が動くことにより、リミットスイッチ等のスイッチ手段(例えばエンジン停止用のスイッチ)がオンしてエンジンが停止するようにしてもよい。