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JP7401015B1 - プラスチック基材の分離回収方法 - Google Patents

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JP7401015B1 JP2023079490A JP2023079490A JP7401015B1 JP 7401015 B1 JP7401015 B1 JP 7401015B1 JP 2023079490 A JP2023079490 A JP 2023079490A JP 2023079490 A JP2023079490 A JP 2023079490A JP 7401015 B1 JP7401015 B1 JP 7401015B1
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Abstract

【課題】本発明の課題は、コーティング層の脱離性に優れ、さらに、脱離したコーティング層成分の再付着が抑制された、プラスチックリサイクルに適した積層体を高効率で分離回収できる方法を提供することにある。さらに、回収したプラスチック基材を加熱成形して得られる高品位な成形体の製造方法を提供することにある。【解決手段】少なくともプラスチック基材と、プラスチック基材に接するコーティング層とを備える積層体を、前記積層体の平均サイズが5mm以下のフラフに破砕する工程、及び破砕後のフラフを脱離液に接触させて、前記コーティング層をプラスチック基材から脱離させる工程を含む、積層体の分離回収方法であって、前記積層体の含有量が、前記脱離液の全質量に対して10質量%以上である、積層体の分離回収方法。【選択図】なし

Description

本発明は、少なくともプラスチック基材層及びコーティング層を備える積層体からプラスチック基材を分離回収する方法に関する。
近年、プラスチックフィルムを原料とするパッケージ、プラスチックボトル、その他プラスチック製品は、海洋にゴミとして廃棄・投棄され環境汚染問題となっている。これらのプラスチック製品は海水中で分解されてサブミクロンサイズの破片(マイクロプラスチック)となり海水中に浮遊する。当該マイクロプラスチックは、魚類等の海洋生物に摂取されることで生物体内中に濃縮され、当該海洋生物を食料として摂取する海鳥や人間の健康にも影響することが懸念されている。
上記プラスチック製品としては、プラスチックフィルムを使用した複層構成の食品包装パッケージ等が挙げられ、このような食品包装パッケージでは、フィルム基材としてポリエステル基材、ナイロン基材(NY)、ポリプロピレン基材(PP)、ポリエチレン基材(PE)等、種々のプラスチック基材が使用されている。これらフィルム基材は、印刷インキにより印刷が施され、接着剤等を介して他のフィルム基材や熱溶融樹脂基材と貼り合わされた後に、カットされ熱融着されてパッケージとなる。しかしながら、このような複層構成の食品包装パッケージは、相溶しない異種の材料が複数混合しているため、このままではマテリアルリサイクルができないという問題がある。
このような複層構成の包装材のマテリアルリサイクルについて、例えば、特許文献1、2には、所定の酸価を有するポリウレタン樹脂を含む脱離層を備える積層体をアルカリ水溶液で処理することで、表刷り構成だけでなく複層構成の積層体から印刷層を脱離する技術が開示されている。特許文献3には、所定の酸価を有するポリエステルポリオール系接着剤を備える積層体をアルカリ水溶液で処理することで、複層構成の積層体から接着剤層を脱離する技術が開示されている。
特開2020-090627号公報 特開2021-098294号公報 特開2020-084130号公報
本発明において、「フラフ」とは、少なくとも、シートなどを、工程を実施することが可能なサイズに、細断、破砕などしたものをいい、シートなどが少なくともプラスチック基材と、プラスチック基材に接するコーティング層とを備える積層体である。特に、脱離液と接触させて、コーティング層を除去し、純度の高いプラスチック基材を回収する目的に使われるフラフをいう。プラスチック基材は、単層であっても複数の層であってもよい。プラスチック基材が複数の層である場合、回収されるプラスチック基材は、前記複数の層の一部または全部の層が分離したものであっても、複数の層のままであってもよい。
特許文献1~3に記載の脱離工程で使用しているフラフは、サイズが大きいため、処理効率を向上させるために、脱離液に対するフラフの処理量を増やそうとしても、一般的に行われる浸漬方式では、一定量以上では脱離液に浸漬できずに溢れてしまう、また、モーターに圧力がかかって攪拌ができなくなるなどの問題が発生する。また、フラフサイズが大きいために脱離時間が長くなり、脱離後のコーティング層が基材に再付着するという課題も発生する。ここで、「再付着」とは、基材から脱離した前記コーティング層や、基材から脱離したプラスチック基材に直接接しないコーティング層が、撹拌により細かく分散されて基材に再度付着することであり、回収される基材の着色や再生材料の性状低下を引き起こす原因となる。すなわち、上記のように脱離したコーティング層が再付着したプラスチック基材をリサイクルして得られる成形用材料(以下、再生材、あるいは再生基材ともいう)は、着色による外観低下や物理性状の低下を引き起こす。
したがって本発明の課題は、コーティング層の脱離性に優れ、さらに、脱離したコーティング層成分の再付着が抑制された、プラスチックリサイクルに適した積層体を高効率で分離回収できる方法を提供することにある。さらに、回収したプラスチック基材を加熱成形して得られる高品位な成形体の製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、少なくともプラスチック基材と、プラスチック基材に接するコーティング層とを備える積層体を、前記積層体の平均サイズが5mm以下のフラフに破砕する工程、及び
破砕後のフラフを脱離液に接触させて、前記コーティング層をプラスチック基材から脱離させる工程を含む、積層体の分離回収方法であって、
前記積層体の含有量が、前記脱離液の全質量に対して10質量%以上である、積層体の分離回収方法に関する。
また、本発明は、破砕する工程の後に、さらに平均サイズが1mm以下のフラフに微粉砕する工程を含む、上記積層体の分離回収方法に関する。
また、本発明は、微粉砕する工程は、冷却する手段の下で行うことを特徴とする、上記積層体の分離回収方法に関する。
また、本発明は、プラスチック基材は、ポリオレフィンを含む、上記積層体の分離回収方法に関する。
また、本発明は、プラスチック基材は、プラスチックフィルムである、上記積層体の分離回収方法に関する。
また、本発明は、脱離液が、水および界面活性剤を含有する、上記積層体の分離回収方法に関する。
また、本発明は、上記積層体の分離回収方法で回収されたプラスチック基材を溶融混練する工程を含む、成形用材料の製造方法に関する。
また、本発明は、さらに、上記製造方法により得られる成形用材料を、加熱成形する工程を含む、成形体の製造方法に関する。
本発明により、コーティング層の脱離性に優れ、さらに、脱離したコーティング層成分の再付着が抑制された、プラスチックリサイクルに適した積層体を高効率で分離回収できる方法を提供することができる。さらに、回収したプラスチック基材を加熱成形して得られる高品位な成形体の製造方法を提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する実施形態又は要件の説明は、本発明の実施形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
本発明は、少なくともプラスチック基材と、プラスチック基材に接するコーティング層とを備える積層体を、前記積層体の平均サイズが5mm以下のフラフに破砕する工程(以下、破砕工程ともいう)、及び、破砕後のフラフを脱離液に接触させて、前記コーティング層をプラスチック基材から脱離させる工程(以下、脱離工程ともいう)を含む、積層体の分離回収方法であって、前記積層体の含有量が、前記脱離液の全質量に対して10質量%以上であることを特徴とする。
本発明で用いられる積層体は、脱離工程前に平均サイズが5mm以下のフラフに破砕する工程を有することで、脱離工程時の積層体の処理量を増やすことができる。また、脱離性が向上して脱離工程時間を短縮することができるため、脱離後のコーティング層が基材に再付着することを抑制できる。さらには、フラフサイズが小さいことで、脱離後に回収したフラフを溶融混練する際に、押し出し機等に均質にフラフが供給、分散されるようになり、再生材の品質の向上および安定生産が可能となる。
<分離回収方法>
本発明の積層体の分離回収方法は、プラスチック基材、並びに、該プラスチック基材に接して、コーティング層を有する積層体を、前記積層体の平均サイズが5mm以下のフラフに破砕する工程、及び、破砕後のフラフを脱離液に接触させてコーティング層を脱離させる工程を含み、前記積層体の含有量は、前記脱離液の全質量に対して10質量%以上である。本発明では破砕工程の後に、さらに平均サイズが1mm以下のフラフに微粉砕する工程(以下、粉砕する工程、あるいは、粉砕工程ともいう)を含んでも良い。
<積層体を破砕する工程、破砕工程>
本発明の分離回収方法は、積層体を平均サイズが5mm以下のフラフに破砕する方法を含む。破砕する方法としては、公知の破砕装置を使用することができ、例えば、カッターミル(ロータリーカッター)、ジョークラッシャー、インパクトクラッシャー、スタンプミル、リングミル、ローラーミル、ジェットミル、ハンマーミルを用いる方法が挙げられる。カッターミルを用いた破砕装置としては、例えば、タナカ製MF45-700WRS、日本シーム製PF-2000型等が挙げられる。
本発明における破砕工程の一例を以下に示す。
積層体は、破砕装置の積層体投入口から投入され、必要に応じて、水流入口から供給される水を用いて、破砕部で所定の大きさ以下まで破砕する。破砕部については公知の構造を用いることができる。破砕部では、せん断力を用いて破砕するロータリーカッターを用いることが好ましい。
破砕工程において、積層体に付着した内容物等の汚れを洗浄するために、水に洗剤等を含有させてもよい。また、脱離液の成分を含有させてもよい。破砕工程に用いる水が、洗浄剤や脱離液の成分を含むことで、脱離工程での分離を促進することができる。
破砕が進み、フラフのサイズが一定以下になると、水とともに自重により破砕部の下部に設けられたスクリーンを通過する。スクリーンとは、一定のサイズ以下のものを通過させるフィルターの役割を有するものを指し、フィルター、又はグリッドと言う場合もある。スクリーンの形状は、円形状、ひし形状、扇状などがあり、フラフの硬さや厚みに応じて適宜選択できる。
フラフの長辺は、使用するスクリーンの大きさによって調整でき、例えば、スクリーンの形状が円形の場合、直径15mmのスクリーンを使用することで、フラフサイズの平均値を15mm程度に制御することができるが、破砕機に投入する積層体量や、破砕部での積層体の滞留時間等を調整することでもフラフのサイズを調整することは可能である。
破砕工程に用いる水の質量は、積層体の質量を基準として、好ましくは10~100倍であり、より好ましくは15~80倍、さらに好ましくは20~60倍である。
上記範囲内であると、積層体に対する冷却するための水の量が十分となり、破砕部に絶えず水の流入と流出が繰り返されるため、せん断による破砕部の局所的な温度上昇が抑制される。これにより、積層体の樹脂基材の融着や軟化を抑制することができる。
また、水の量が上記範囲内であることで、フラフだけでなく、破砕時に生じた微細なインキ片、接着剤片といった不要成分が、上述するスクリーンを通過しやすくなり、破砕部における積層体の滞留や、不要成分によるスクリーン詰まりを防ぐことができる。
これにより、破砕部に過剰に積層体が滞留することがなく、樹脂基材の融着や過剰な破砕による微細片の発生を抑制できる。
なお、破砕工程に用いる水の質量とは、1分間に破砕装置に投入される水の質量を表し、積層体の質量とは、1分間に破砕装置に投入される積層体の質量を表す。
また、破砕工程後は、水洗や水切り、脱水、乾燥等、公知の工程を適宜加えてもよい。
本発明の分離回収方法は、純度の高い成形用材料を得られるよう、破砕工程の前に、少なくとも特定のプラスチック基材を選別する第一の選別工程を有していてもよい。第一の選別で用いられる選別方法は、後述する第二の選別工程の説明する方法でもよいし、また、例えば、センサなどでプラスチック基材の種別を判断し、特定の基材と、それ以外の基材とを風圧などで選別する方法を用いてもよい。
また、破砕工程の前に、積層体を破砕装置に投入しやすい大きさに破砕する粗破砕工程を有していてもよい。粗破砕工程に用いる装置としては、例えば油圧式切断機等が挙げられる。
本発明において、積層体を破砕後のフラフの平均サイズは5mm以下である。より好ましくは3mm以下、さらに好ましくは1mm以下である。5mm以下であると、脱離性が良好となる。また、溶融混練時にフラフが均一に取り込まれるため、再生材の性状が安定する。
<微粉砕する工程、粉砕工程>
本発明の分離回収方法は、平均サイズが1mm以下のフラフに微粉砕する工程を含んでも良い。粉砕方法としては、公知の粉砕装置を使用することができ、例えば、衝撃とせん断を利用したスクリューミル、スタンプミル、ディスクミル、ピンミル、スクリーンミル、カッターミルや、衝撃と摩擦、せん断を利用したボールミルが挙げられる。その他、溶融混練機において樹脂の溶融温度以下に設定することで、固体状態で粉砕可能な装置に臼型押出機があり、これらの粉砕方法を繰り返し行なうか、2種類以上を併用してもよい。
粉砕する工程は、必要に応じて、寒剤を用いて冷却する手段の下で行うことが好ましい。冷却に使用する寒剤の温度は、好ましくは0℃以下、より好ましくは-20℃以下、さらに好ましくは-60℃以下である。冷却に使用する寒剤の温度を0℃以下にしておくことで、粉砕時のせん断発熱によるプラスチックの溶融を防ぐ効果も期待でき、積層体の分離、脱離性が向上する。低温ほど短時間で粉粒体化させることができ、さらに、プラスチックの脆化温度以下で粉砕することで、プラスチックの性質を変えることなく粉砕が可能となる。
冷却に使用する寒剤としては、冷却水や液体窒素やドライアイス等が挙げられる。
粉砕工程において、フラフのサイズは、粉砕刃の種類や回転数、刃の間隙や冷却温度等で調整することができる。
粉砕後に得られるフラフの平均サイズは1mm以下が好ましい。より好ましくは1μm~1mm、さらに好ましくは10μm~800μm、より好ましくは100μm~600μmである。1mm以下であると、脱離液がフラフの端面から中心部まで浸透する時間が短縮され、効率的に分離回収を行うことができるため、脱離性がさらに良好となる。また、溶融混練時にフラフがより均一に取り込まれるため、再生材の性状が安定し、性状が良化する。
<コーティング層を脱離する工程、脱離工程>
本発明の分離回収方法は、プラスチック基材、および、プラスチック基材に接してコーティング層を有する積層体を、脱離液に接触させてコーティング層を脱離する工程を含む。なお、脱離液により基材から脱離するコーティング層を以下、脱離層(プラスチック基材に直接接しないコーティング層を含む)ともいう。
本発明において「脱離」とは、脱離層の少なくとも一部が脱離液により溶解若しくは膨潤し剥離することにより、基材が積層体から脱離することを指し、(1)脱離層が溶解して基材から脱離する場合、(2)脱離層が溶解しなくとも、中和・膨潤等により剥離し、基材から脱離する場合、の両方の形態を含む。
本発明は、脱離後のプラスチック基材が、高品位なリサイクル基材・再生基材である成形用材料となることを目的としているため、プラスチック基材から、脱離層等をできる限り多く除去した態様が好適である。具体的には、脱離層100質量%のうち、少なくとも50質量%以上が脱離していることが好ましい。より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上が脱離している態様が好ましい。必ずしも、コーティング層が、基材との界面から剥離することを意味しない。
<脱離液>
脱離液は、コーティング層を膨潤・溶解させるものであればよく、後述するコーティング層の脱離しやすさを考慮し、適宜選択することができる。このような脱離液としては、例えば、水、塩基性水溶液、酸性水溶液が挙げられる。環境面及び回収されたプラスチック基材を用いた再生材料の性状維持の観点から、好ましくは水溶液である。脱離液は、水を50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことが更に好ましい。
これらの脱離液は加温されていてもよい。積層体を浸漬する時の脱離液の温度は、好ましくは25~120℃、より好ましくは30~100℃、特に好ましくは50~80℃の範囲である。脱離温度が高いほど、脱離性の観点で好ましく、脱離温度が低いほど、基材カール抑制および再付着性抑制の観点で好ましい。
脱離液は、包装材で通常用いられるウレタン系接着剤層を脱離する観点から、より好ましくは塩基性化合物を含む塩基性水溶液である。
脱離液への浸漬時間は、好ましくは1分~24時間、より好ましくは1分~6時間、なお好ましくは1分~1時間、さらに好ましくは、1分~10分の範囲である。
脱離効率を向上させるために、脱離液の撹拌又は振動、循環等を行うことが好ましい。
攪拌羽根の回転速度は、好ましくは80~5000rpm、より好ましくは80~4000rpmである。
[界面活性剤]
脱離液は、水と界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤は、主に、コーティング層の脱離性を向上させる役割を担う。これは、界面活性剤の作用により、脱離液がプライマー層、印刷層、及び接着剤層等のコーティング層中に浸透しやすくなり、脱離性が促進するためと考えられる。また、分離回収において脱離液に対する積層体の量を増やしていくと、積層体及び分離した基材は脱離したインキ片等を巻き込んだ状態でカールする傾向にあり、脱離液に浸漬したとしても、カールに巻き込まれたインキ片等をきれいに除去することは困難である。しかしながら、脱離液が界面活性剤を含むことで、積層体及び分離した基材表面に界面活性剤が吸着し、カールが抑制される。その結果、脱離性が向上し再付着を抑えることができる。
さらに、脱離液が界面活性剤を含有する場合、脱離層に塩基性化合物との作用による脱離性がなくてもプラスチック基材に接したコーティング層を脱離することが可能である。
HLB値とは界面活性剤の水及び油への親和性に関する指標値であり、親水基を持たない物質のHLB値を0、親水基のみを有する物質のHLB値を20として等分したものである。HLBの概念は1949年にAtlas Powder Companyのウィリアム・グリフィンによって提唱され、計算によって決定する方法がいくつか提案されているが、本発明においてHLB値は、グリフィン法により次式から求めることができる。
式) HLB=20×[(界面活性剤中に含まれる親水基の分子量)/(界面活性剤の分子量)]
界面活性剤中に含まれる親水基としては、例えば、水酸基及びエチレンオキシ基が挙げられる。
本発明で用いる界面活性剤のHLB値は、7以上であることが好ましい。HLBが7以上であることで、優れた脱離性と再付着防止性とを発揮する。界面活性剤のHLB値は、好ましくは8以上、より好ましくは10以上である。また界面活性剤のHLB値は、好ましくは20以下、より好ましくは19以下、さらに好ましくは17以下である。HLB値が20以下であると、消泡性に優れるため好ましい。
界面活性剤の種類としては、例えば、ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性が挙げられ、要求特性に応じて適宜好適な種類、配合量を選択して使用することができる。脱離性や発泡性の観点から、好ましくは、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
また、界面活性剤は、アルキレンオキサイド(以下、AOともいう)を付加した構造であることで、脱離性や再付着防止性が良好となるため好ましい。
(ノニオン性界面活性剤)
ノニオン性界面活性剤としては、特に制限されないが、好ましくは、アルキレンオキサイドが付加したアルキレンオキサイド付加物である。より好ましくは、活性水素を有するアルコール類にアルキレンオキサイドを付加して得られる化合物、アミン類にアルキレンオキサイドを付加して得られる化合物若しくは脂肪酸類にアルキレンオキサイドを付加して得られる化合物である。上記付加は、ランダム付加又はブロック付加のいずれであってもよい。また、アルキレンオキサイドの炭素数は、好ましくは炭素数2~4である。
ノニオン性界面活性剤としてより好ましくは、アルコール類に炭素数2~4のアルキレンオキサイドを付加したアルコール系ノニオン性界面活性剤である。
〔アルコール系ノニオン性界面活性剤〕
アルコール系ノニオン性界面活性剤としては、例えば、総炭素数8~24の第1級若しくは第2級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、又は、総炭素数8~12のアルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。上記総炭素数8~24の第1級若しくは第2級アルコールは、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよい。
上記総炭素数8~24の第1級若しくは第2級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ドデシルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、ミリスチルアルコール等が挙げられる。
また、アルコール類に付加するアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、エチレンオキサイドを必須とするのが好ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数は、アルコール類又はアルキルフェノール1モルに対し、好ましくは1~100モル、より好ましくは2~50モルである。上記範囲であると、特に脱離性に優れるため好ましい。
〔脂肪酸系ノニオン性界面活性剤〕
脂肪酸系ノニオン性界面活性剤としては、構造は特に制限されないが、例えば、総炭素数10~24の高級脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物や、前記した総炭素数が10~24の飽和若しくは不飽和の高級脂肪酸とグリセリンとのエステルからなる油脂、さらには、前記した油脂と2~10の多価アルコールとの混合物のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。上記総炭素数10~24の高級脂肪酸は、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよい。
上記総炭素数10~24の高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸等の飽和高級脂肪酸;パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、リシノール酸等の不飽和高級脂肪酸;が挙げられる。2~10価の多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、ソルビタン、ショ糖等が挙げられる。アルキレンオキサイドの種類及び付加モル数は、上述する〔アルコール系ノニオン性界面活性剤〕の項の記載と同様である。
〔アミン系ノニオン性界面活性剤〕
アミン系ノニオン性界面活性剤としては、総炭素数8~36の飽和又は不飽和の第1級又は第2級アミンのAO付加物が挙げられる。アミンとしては、2-エチルヘキシルアミン、ジ2-エチルヘキシルアミン、ラウリルアミン、ジラウリルアミン、テトラデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、ジステアリルアミン、オレイルアミン、ジオレイルアミン等が挙げられる。また、AOの種類及び付加モル数は上記と同様である。
(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤として好ましくは非石鹸系界面活性剤であり、例えば、スルホン酸系アニオン性界面活性剤、硫酸エステル系アニオン性界面活性剤、カルボン酸系アニオン性界面活性剤、リン酸エステル系アニオン性界面活性剤が挙げられる。
〔スルホン酸系アニオン性界面活性剤〕
上記スルホン酸系アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、アルキルメチルタウリン、スルホコハク酸ジエステル、スルホン酸のアルキレンオキサイド付加物、及びこれらの塩が挙げられる。具体例としては、ヘキサンスルホン酸、オクタンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジニトロベンゼンスルホン酸、及びラウリルドデシルフェニルエーテルジスルホン酸等を用いることができる。
〔硫酸エステル系アニオン性界面活性剤〕
上記硫酸エステル系アニオン性界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル(アルキルエーテル硫酸エステル)、硫酸エステルのアルキレンオキサイド付加物、及びこれらの塩が挙げられる。具体例としては、ラウリル硫酸、ミリスチル硫酸、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸等を用いることができる。
〔カルボン酸系アニオン性界面活性剤〕
上記カルボン酸系アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボン酸、アルキルベンゼンカルボン酸、カルボン酸のアルキレンオキサイド付加物、及びこれらの塩が挙げられる。具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、及びポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸等を用いることができる。
〔リン酸エステル系アニオン性界面活性剤〕
上記リン酸エステル系アニオン性界面活性剤としては、例えば、リン酸エステル(アルキルエーテルリン酸エステル)、リン酸エステルのアルキレンオキサイド付加物、及びこれらの塩が挙げられる。具体例としては、オクチルリン酸エステル、ラウリルリン酸エステル、トリデシルリン酸エステル、ミリスチルリン酸エステル、セチルリン酸エステル、ステアリルリン酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル等を用いることができる。
アニオン性界面活性剤は、炭素数2~24のアルキル基又は炭素数2~24のアルケニル基を有することが好ましく、より好ましくは、炭素数8~18のアルキル基を有するものである。当該アルキル基又は当該アルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
また、アニオン性界面活性剤がアルキレンオキサイド付加物である場合、該アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、エチレンオキサイドが好ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数は、アルコール類又はアルキルフェノール1モルに対し、好ましくは1~12モル、より好ましくは1~8モルである。上記範囲であると、特に脱離性に優れるため好ましい。
上述するアニオン性界面活性剤を構成する塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の金属塩が挙げられる。これらの塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でもアニオン性界面活性剤として好ましくは、脱離性及び再付着防止性の観点から、スルホン酸塩タイプ、リン酸塩タイプであり、より好ましくは、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩等である。
(カチオン性界面活性剤)
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類が挙げられる。具体的にはステアリルアミンアセテート、トリメチルヤシアンモニウムクロリド、トリメチル牛脂アンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、メチルオレイルジエタノールクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ラウリルピリジニウムジサルフェート、セチルピリジニウムブロマイド、4-アルキルメルカプトピリジン、ポリ(ビニルピリジン)-ドデシルブロマイド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等を用いることができる。
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。脱離液中の界面活性剤の含有量は、脱離液の質量を基準として、好ましくは0.001~10質量%の範囲であり、より好ましくは0.005~7質量%の範囲であり、さらに好ましくは0.03~5質量%であり、なお好ましくは0.05~3質量%である。0.001質量%以上であると基材のカールを抑制して脱離性に優れ、脱離したコーティング層成分の再付着も抑制するため好ましく、10質量%以下であると消泡性の観点で好ましい。
[消泡剤]
本発明においては、脱離液が更に消泡剤を含有することも好ましい。消泡剤を、上述の界面活性剤と組み合わせて用いることで、脱離性及び再付着防止性を低下させることなく良好な消泡性を発現し、界面活性剤による発泡を抑制することができる。消泡剤としては、例えば、シリコーン系化合物、非シリコーン系化合物が挙げられる。
(シリコーン系化合物)
上記シリコーン系化合物としては、例えば、エマルジョン型、自己乳化型、オイル型、オイルコンパウンド型、溶剤型が挙げられる。
エマルジョン型は、シリコーンオイルコンパウンドを活性剤で乳化させてO/W型(oil in water型)のエマルジョンとしたシリコーン系消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KM-89」、「KM-98」、旭化成ワッカーシリコーン製の「FC2913」、「SILFOAMSE47」、ビックケミー・ジャパン製の「BYK-015」、「BYK-1640」が挙げられる。
自己乳化型は、水で希釈、混合することでエマルション状態となる有効成分100%のシリコーン系消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KS-540」、「X-50-1176」、旭化成ワッカーシリコーン製の「SILFOAM SD670」、「SILFOAM SD850」が挙げられる。
オイル型は、溶剤や添加剤を含まない100%シリコーンオイルの消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KM-89」、「KM-98」、旭化成ワッカーシリコーン製「AK350」、「AK12500」、ビックケミー・ジャパン製の「BYK-1770」が挙げられる。
オイルコンパウンド型とは、シリコーンオイルにシリカ粒子を配合したシリコーン系消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KM-89」、「KM-98」、旭化成ワッカーシリコーン製「SILFOAM SC370」、「PULPSIL22274VP」、ビックケミー・ジャパン製の「BYK-017」、「BYK-018」が挙げられる。
溶剤型は、シリコーンオイルを溶剤に溶解させたシリコーン系消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KM-89」、「KM-98」、ビックケミー・ジャパン製の「BYK-019」、「BYK-025」が挙げられる。
(非シリコーン系化合物)
上記非シリコーン系化合物としては、例えば、脂肪酸エステル系化合物、ウレア樹脂系化合物、パラフィン系化合物、ポリオキシアルキレングリコール系化合物、アクリルエステル共重合物、エステル系重合物、エーテル系重合物、アミド系重合物、ミネラルオイルの乳化タイプ、ポリシロキサンアダクト、フッ素系化合物、ビニル系重合物、アセチレンアルコール、アクリル系ポリマー、特殊ビニル系ポリマー、エチレングリコール、高級アルコール(オクチルアルコール、シクロヘキサノール等)が挙げられる。
消泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。脱離液中の消泡剤の含有量は、脱離液の質量を基準として、好ましくは0.0001~5質量%の範囲であり、より好ましくは0.001~4.5質量%の範囲であり、さらに好ましくは0.01~4質量%であり、なお好ましくは0.02~3.5質量%であり、特に好ましくは0.03~3質量%である。0.0001質量%以上であると消泡性に優れ、5質量%以下であると脱離性や再付着防止性に優れる。
上記消泡剤は、耐アルカリ性が良好であり、上記界面活性剤と組み合わせたときに、脱離性や再付着防止性を低下させにくいという観点から、エマルジョン型シリコーン系化合物、自己乳化型シリコーン系化合物、及び非シリコーン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
[塩基性化合物]
上述のとおり、本発明に用いる脱離液は、包装材で通常用いられるウレタン系接着剤層を脱離する観点で塩基性化合物を含む塩基性水溶液が好適に用いられる。
上記塩基性化合物は特に制限されず、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、アンモニア、水酸化バリウム(Ba(OH))、炭酸ナトリウム(NaCO)が好適に用いられる。より好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
塩基性水溶液中の塩基性化合物の含有量は、塩基性水溶液の質量を基準として、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは0.3~15質量%、さらに好ましくは0.5~10質量%の範囲である。上記範囲内にあると、塩基性水溶液は、後述する脱離層を溶解又は膨潤により脱離させてプラスチック基材を回収するのに充分な塩基性を保持することができる。
脱離液は、積層体の端部分から浸透して脱離層に接触し、溶解又は膨潤することで、プラスチック基材と脱離層を分離する。したがって効率的に脱離工程を進めるために、積層体は、破砕され、脱離液に浸漬する際に、断面に脱離層が露出している状態であることが好ましい。このような場合、より短時間で基材層を脱離することができる。
[脱離前のフラフの含有量(処理量ともいう)]
積層体を脱離液中で分離させる際の積層体の含有量は、脱離液の全質量に対して、10質量%以上であり、好ましくは10質量%以上100質量%以下、より好ましくは15質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上50質量%以下である。10質量%以上であると、処理効率の観点で好ましい。100質量%以下であると、脱離性、再付着防止性、攪拌効率の観点で好ましい。
<積層体>
本発明に用いる積層体は、プラスチック基材、および、コーティング層を備える。コーティング層は、例えば、プライマー層、印刷層及び接着剤層からなる群より選ばれる少なくとも1種のコーティング層があげられる。プラスチック基材に接した層が上述する脱離
液により脱離することで、プラスチック基材を回収しリサイクルすることが可能となる。本発明においては、脱離液に接触したときの脱離性を向上させるために、プラスチック基材層に接して脱離液と親和性の高いプライマー層を備えることが好ましい。
<印刷層>
本発明において、印刷層はプラスチック基材と接して設けてもよく、積層体がプライマー層を有する場合、プライマー層に接して設けてもよい。印刷層とは、装飾、美感の付与、内容物、賞味期限、製造者又は販売者の表示等を目的とした、任意の印刷模様を形成する層であり、ベタ印刷層も含む。印刷層は、単層あるいは複数の層から形成されていてもよい。 印刷層が後述する水溶性樹脂又は酸性基を有する化合物を含む場合は、脱離性が機能付与される。
印刷層を形成するために用いる印刷インキは、少なくとも、着色剤、分散剤、バインダー樹脂を溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができ、必要に応じて、その他成分を含有してもよい。
[着色剤]
印刷層は、有色であっても無色であってもよく、印刷インキや塗料で使用される公知の着色剤を含有する。このような着色剤は特に制限されず、無機顔料、有機顔料、染料のほか、金属光沢を与える金属粉、近赤外吸収材料、紫外線吸収材料を用いてもよい。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、ベンガラ、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等の有色顔料;炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等の体質顔料;が挙げられる。
有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾキレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等が好適に用いられる。
なおこれらに限らず、前記顔料はカラーインデックスのジェネリックネームで記載のものが適宜使用できる。中でも、脱離液が塩基性水溶液である場合、塩基性水溶液に溶出しない、アルカリ耐性を有する顔料が好ましい。顔料の溶出を防ぐことで塩基水溶液の再利用が容易となる。
顔料のアルカリ耐性は、概ね顔料の骨格又は構造で推定され、アルカリ耐性のある顔料としては、例えば、無機顔料、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントイエロー83が挙げられる。
顔料が酸化チタンである場合、酸化チタンの含有量は、印刷層中に好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~75質量%である。また顔料が、酸化チタンを除く無機顔料、体質顔料、有機顔料である場合、これらの顔料の含有量はいずれも、印刷層中に好ましくは0.5~60質量%、より好ましくは10~50質量%である。
[分散剤]
印刷層は、着色剤の分散剤として、顔料誘導体及び/又は樹脂型分散剤を含有することで、脱離性が向上する。さらに、インキの分散安定性及び経時安定性が良好となる。これらは単独で用いてもよいが、併用することで、さらに分散安定性及び経時安定性が良好となるため、好ましい。
(顔料誘導体)
顔料誘導体は、顔料の骨格に置換基を導入した化合物である。印刷インキ中では、顔料誘導体の顔料の骨格が印刷インキ中の顔料表面に吸着し、顔料誘導体の置換基部分が印刷インキ中の溶媒に配向することで、印刷インキ中で顔料を分散させる作用を有する。
顔料誘導体としては、例えば、フタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等の顔料の骨格に、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボニル基、スルホニル基等の官能基を付加したもの、及びその塩等を好ましく使用することができる。これらは単独で、又は組み合わせて使用することができる。
顔料誘導体の市販品としては、ソルスパース5000、ソルスパース12000(日本ルーブリゾール社製)、BYK-SYNERGIST2100、BYK-SYNERGIST2105(ビッグケミー・ジャパン社製)、エフカ6745、エフカ6750(BASF社製)等を好ましく使用することができる。これらは単独で、又は組み合わせて使用することができる。
顔料誘導体は、インク中の顔料と同じ、又は類似した色を呈することが好ましい。例えば、黒インクやシアンインクに添加する場合は、顔料誘導体としてフタロシアニン顔料誘導体を好ましく使用することができる。
顔料誘導体の総量は、着色剤全体に対して0.01~10質量%であることが好ましく、0.05~6質量%であることがより好ましく、0.1~4質量%であることがさらに好ましい。0.01質量%以上であると印刷インキの分散安定性が良好となり、脱離性も良化する。また、0.01~10質量%であることにより、脱離性の向上および再付着の抑制に寄与し、高品位なリサイクル成形用材料に再生することができる。
(樹脂型分散剤)
樹脂型分散剤は、顔料組成物に吸着する性質を有する顔料組成物への親和性部位と、顔料組成物担体と相溶性のある部位とを有し、顔料組成物に吸着して顔料組成物担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独又は2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
樹脂型分散剤の総量は、着色剤全体に対して0.01~30質量%であることが好ましく、0.05~20質量%であることがより好ましく、0.1~10質量%であることがさらに好ましい。0.01質量%以上であると印刷インキの分散安定性が良好となり、脱離性も良化する。また、30質量%以下であると印刷層の耐水性が良好となる。
[バインダー樹脂]
印刷層のバインダー樹脂としては、例えば、ニトロセルロース系、セルロースアセテート・プロピオネート等の繊維素材、塩素化ポリプロピレン系、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン樹脂系及びアクリルウレタン系、ポリアミド系、ポリブチラール系、環化ゴム系、塩化ゴム系あるいはそれらを適宜併用したバインダーを用いることができる。後述する水溶性樹脂又は酸性基を有する化合物を含む場合は、印刷層は脱離性が機能付与される。これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[プライマー層]
本発明で使用する積層体は、プライマー層を有してもよい。積層体がプライマー層を有する場合、該プライマー層は、プラスチック基材と接して配置され、水溶性樹脂又は酸性基を有する化合物を有するプライマー組成物より形成される。脱離性のない印刷層や接着剤層などが存在しても、脱離液による溶解・剥離等によりプラスチック基材を脱離する役割を担う。
(水溶性樹脂)
水溶性樹脂としては、水で膨潤又は溶解し、プラスチック基材から脱離することができる樹脂であればよい。水は温度25~100℃程度に加温されていてもよい。これにより、プライマー層を水(温水含む)で脱離することができる。
このような樹脂としては、水溶性を損なわない範囲で、公知の樹脂から選択でき、例えば、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリアミド樹脂、水溶性ポリイミド樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリアリルアミン樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性フェノキシ樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性メラミン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、並びにこれらの樹脂の変性物が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、入手のしやすさ、脱離性の観点から、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂が好適に用いられる。
水溶性樹脂が造膜性を有する場合、プライマー層を構成するバインダー樹脂として水溶性樹脂を用いてもよい。
ポリビニルアルコール樹脂としては、未変性のポリビニルアルコールの他に、ビニルエステル系樹脂の製造時に各種モノマーを共重合させ、これをケン化して得られる変性ポリビニルアルコールや、未変性ポリビニルアルコールに後変性によって各種官能基を導入した各種の後変性ポリビニルアルコールを用いてもよい。また、変性ポリビニルアルコールを更に後変性させたものでもよい。これらの変性は、ポリビニルアルコール樹脂の水溶性が損なわれない範囲で行うことができる。
これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリビニルアルコール樹脂として好ましくは、側鎖に一級水酸基を有する構成単位を含有する樹脂、エチレン変性ポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。中でも、溶融成形性に優れ、さらに水溶性に優れる点で、側鎖に一級水酸基を有する構成単位を含有するポリビニルアルコール樹脂が好ましい。これらの構成単位における一級水酸基の数は、通常1~5個、好ましくは1~2個、より好ましくは1個である。また、一級水酸基以外にも二級水酸基を有することが好ましい。
本発明で用いられるポリビニルアルコール樹脂のケン化度(JIS K 6726に準拠して測定)は、通常60~100モル%である。また、ケン化度の好ましい範囲は、変性種によって異なり、例えば、未変性ポリビニルアルコール樹脂の場合、通常60~99.9モル%、好ましくは70~99.0モル%、より好ましくは75~98.5%である。側鎖1,2-ジオール構成単位含有変性ポリビニルアルコール樹脂のケン化度は、通常60~99.9モル%、好ましくは65~99.8モル%、より好ましくは70~99.5モル%である。かかるケン化度が低すぎると水溶性が低下する傾向がある。少量のエチレンで変性されたエチレン変性ポリビニルアルコール樹脂のケン化度は、通常60モル%以上、好ましくは70~99.5モル%、特に好ましくは75~99.0モル%である。
ケン化度が上記範囲内であると、水溶性に優れ脱離性が良好になるため好ましい。また、プライマー層を形成する際の、塗工性にも優れるため好ましい。
ポリビニルアルコール樹脂の平均重合度(JIS K 6726に準拠して測定)は、通常100~3000であり、好ましくは150~2000、より好ましくは180~1000、特に好ましくは200~800である。
(酸性基を有する化合物)
酸性基を有する化合物としては、酸性基を有する樹脂又は酸性基を有する低分子化合物を用いてもよい。これにより、プライマー層を上述する塩基性水溶液で脱離することができる。
酸性基を有する樹脂における樹脂としては、例えば、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。上記酸性基としては、例えば、カルボキシ基、リン酸基、スルホ基、スルフィノ基等若しくはそれらのエステル又は塩が挙げられる。
また、酸性基を有する樹脂として、マレイン化ロジンやフマル化ロジン等の酸価を有するロジン変性樹脂を用いることができる。
また、酸性基を有する樹脂として、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシ基を有する重合性モノマー;無水イタコン酸、無水マレイン酸等の酸無水物である重合性モノマー;スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性モノマー;ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性モノマー;のような酸性基を有する重合性モノマーを共重合させた、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(無水)マレイン酸樹脂、テルペン-(無水)マレイン酸樹脂等のラジカル共重合体や、酸変性されたポリオレフィン樹脂を用いることができる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸性基を有する低分子化合物は、分子量分布を有しない化合物であって、且つ分子量が1,000以下の化合物を指す。このような化合物としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸等の不飽和脂肪酸;乳酸、リンゴ酸、クエン酸等のヒドロキシ酸;安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸等の芳香族カルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸等のジカルボン酸;アコニット酸等のトリカルボン酸;ピルビン酸、オキサロ酢酸等のオキソカルボン酸;アミノ酸、ニトロカルボン酸等のカルボン酸誘導体;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物が挙げられる。
酸性基を有する低分子化合物は、上述する酸性基を有する樹脂又は公知のプライマー層を構成する公知のバインダー樹脂と組合せて用いることで、プライマー層を形成することができる。
プライマー層は、リコート適正の観点から、酸性基を有する化合物を含むことが好ましい。また、印刷適性の観点から、酸性基を有するウレタン樹脂、酸性基を有するアクリル樹脂、又はロジン変性樹脂を含むことが好ましい。プライマー層は、これらの樹脂を1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて含んでよい。
〔酸性基を有するウレタン樹脂〕
酸性基を有するウレタン樹脂は特に制限されず、例えば、酸性基を有するポリオールとポリイソシアネートとを反応させてなるウレタン樹脂、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてなるウレタン樹脂中の水酸基を酸変性してなる樹脂、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてなるウレタン樹脂中のイソシアネート基にポリアミンを反応させてなるウレタンウレア樹脂中のアミノ基を酸変性してなる樹脂が挙げられる。
また、酸性基を有するウレタン樹脂として、ヒドロキシ酸を含むポリオール及びポリイソシアネートを反応させてなる樹脂を用いてもよい。ポリオールとしてヒドロキシ酸を使用することで、ウレタン樹脂にカルボキシ基に由来する酸価を付与することができ、脱離性を向上させることができる。また、上記酸性基を有するウレタン樹脂がイソシアネート基を有する場合、該イソシアネート基の一部にポリアミンを反応させてウレア結合を導入し、ウレタンウレアとしてもよい。
《ポリオール》
ポリオールは、一つの分子内に少なくとも二つの水酸基を有する化合物の総称である。ポリオールの数平均分子量は、好ましくは500~10,000、より好ましくは1,000~5,000である。上記数平均分子量とは、ポリオールの水酸基価から算出されるものであり、当該水酸基価はJIS K 0070による測定値を指す。ポリオールの数平均分子量が500以上であると、プライマー層の柔軟性に優れ、プラスチック基材への密着性が向上する。数平均分子量が10,000以下であると、プラスチック基材に対する耐ブロッキング性に優れる。
ポリオールとしては特に制限されず、より好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリカーボネートポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオールが用いられる。更にポリオールは、その他ダイマージオール、水添ダイマージオール、ひまし油変性ポリオール等を含んでもよい。
即ち、上記ウレタン樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオール由来の構成単位を含むことが好ましい。ポリエステルポリオールのエステル結合部位がアルカリ加水分解することにより脱離性が向上するため、より好ましくは、ポリエステルポリオール由来の構成単位を含むものである。
ポリオール由来の構成単位の含有量は、ウレタン樹脂全量に対して、好ましくは10~75質量%、より好ましくは15~70質量%、さらに好ましくは20~65質量%である。ポリエステルポリオール由来の構成単位の含有量は、ポリオール由来の構成単位全量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
《ヒドロキシ酸》
上記ポリオールはヒドロキシ酸を含んでもよい。上記ヒドロキシ酸は、活性水素基である水酸基及び酸性官能基の両方を一分子中に有する化合物を指す。該酸性官能基とは、酸価を測定する際に、水酸化カリウムで中和され得る官能基を示し、具体的にはカルボキシ基やスルホン酸基等が挙げられ、好ましくはカルボキシ基である。このようなヒドロキシ酸としては、例えば、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール吉草酸のようなジメチロールアルカン酸が好適に用いられる。
《ポリイソシアネート》
上記ポリイソシアネートは特に制限されず、従来公知のポリイソシアネートから選択することができる。好ましくは、ジイソシアネート又はトリイソシアネートを含み、より好ましくは、芳香族、脂肪族又は脂環式のジイソシアネートを含む。これらは単独又は2種以上を併用してもよい。
《ポリアミン》
ウレタンウレアとするためのポリアミンは特に制限されず、好ましくはジアミン化合物である。また、ウレタン樹脂に水酸基を導入できる点で、水酸基を有するジアミンを用いてもよい。
酸性基を有するウレタン樹脂の酸価は、好ましくは15mgKOH/g以上であり、よ
り好ましくは15~70mgKOH/gであり、さらに好ましくは20~50mgKOH/gである。15mgKOH/g以上であると、脱離液による脱離性が良好となるため好
ましく、70mgKOH/g以下であると、基材密着性や耐レトルト性が良好となるため好ましい。 ウレタン樹脂の水酸基価は、好ましくは1~35mgKOH/gであり、より好ましくは10~30mgKOH/gである。1mgKOH/g以上であると、脱離液による脱離性が良好となるため好ましく、35mgKOH/g以下であると、基材密着性が良好となるため好ましい。
酸性基を有するウレタン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10,000~100,000、より好ましくは15,000~70,000、さらに好ましくは15,000~50,000である。ウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは6以下である。Mwは重量平均分子量を表し、Mnは数平均分子量を表す。分子量分布が6以下であると脱離性、プライマー組成物の乾燥性、耐レトルト性に優れる。また、分子量分布が小さい、即ち分子量分布がシャープであるほど、脱離液による溶解・剥離作用が均一に起こり、プラスチック基材の脱離性が向上する。分子量分布は、より好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下である。また、分子量分布は好ましくは1.5以上、より好ましくは1.2以上である。
本発明において、Mw、Mn及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)により求めたポリスチレン換算値である。
酸性基を有するウレタン樹脂はアミン価を有していてもよい。ウレタン樹脂がアミン価を有する場合、アミン価は0.1~20mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは1~10mgKOH/gである。上記範囲内であると基材密着性に優れる。
酸性基を有するポリウレタン樹脂のウレタン結合数は、好ましくは1~3mmol/g、より好ましくは1.5~2mmol/gである。また、ウレア結合数は、好ましくは0~3mmol/g、より好ましくは0.2~1mmol/gである。また、ウレタン結合数とウレア結合数の合計は、好ましくは1~6mmol/g、より好ましくは1.7~3mmol/gである。
ウレタン結合数及びウレア結合数を該当範囲に設定することで、脱離性及び基材密着性が向上する。
〔酸性基を有するアクリル樹脂〕
酸性基を有するアクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等の酸性基を有する(メタ)アクリルモノマーを含むモノマーを重合した重合体;水酸基やグリシジル基を有する(メタ)アクリルモノマーを含むモノマーを重合した後、当該官能基を変性してカルボキシ基を導入した樹脂(例えば無水マレイン酸変性樹脂);が挙げられる。
酸性基を有するアクリル樹脂の酸価は、好ましくは50mgKOH/g以上、より好ましくは100mgKOH/g以上である。
〔ロジン変性樹脂〕
ロジン変性樹脂は、原料の一つとしてロジンを用いて調製された樹脂である。ロジンには、アビエチン酸、パラストリン酸、イソピマール酸、レボピマール酸等の樹脂酸が混合物として含まれ、これら樹脂酸は、親水性で化学活性なカルボキシ基が含まれ、中には共役二重結合を備えるものもある。そのため、多価アルコールや多塩基酸を組み合わせて縮重合させたり、ロジン骨格に含まれるベンゼン環にフェノールの縮合体であるレゾールを付加させたり、ジエノフィルである無水マレイン酸やマレイン酸とディールスアルダー反応をさせてマレイン酸や無水マレイン酸骨格を付加させさせたりすること等により、様々なロジン変性樹脂が調製されている。このようなロジン変性樹脂は、各種のものが市販されており、それを入手して用いることも可能である。
ロジン変性樹脂としては、例えば、マレイン化ロジン、フマル化ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性アルキッド樹脂、ロジン変性ポリエステル樹脂が挙げられる。本発明においては、いずれのロジン変性樹脂を用いてもよいが、これらの中でも、その構造中にマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸及び無水フマル酸からなる群より選択される少なくとも一つを由来とする部位を含むものが好ましく用いられる。「その構造中にマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸及び無水フマル酸からなる群より選択される少なくとも一つを由来とする部位を含む」樹脂とは、原料の一部としてマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸及び無水フマル酸からなる群より選択される少なくとも一つを用いて調製されたものであり、例えば、多塩基酸の一部としてマレイン酸やフマル酸を縮重合させたロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂や、ジエノフィルとしてマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸や無水フマル酸をディールスアルダー反応で付加させた構造を備えるマレイン化ロジン、フマル化ロジンや、これらに含まれる官能基を用いてさらに他の化学種を重合させた樹脂等を意味する。
ロジン変性樹脂の酸価は、好ましくは10~400mgKOH/gであり、より好ましくは100~300mgKOH/gである。
(その他成分)
プライマー層は、水溶性樹脂又は酸性基を有する化合物以外の樹脂を含有してもよい。
このような樹脂としては、例えば、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂若しくは塩化ビニル-アクリル系共重合樹脂等の塩化ビニル樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ダンマル樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、ポリアセタール樹脂、石油樹脂、及びこれらの変性樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、プライマー層は、セルロース樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン樹脂、アクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくも1種の樹脂を含むことが好ましい。より好ましくは、塩化ビニル樹脂、又はアクリル樹脂を含む。
酸性基を有するウレタン樹脂と、その他樹脂との質量比(酸性基を有するウレタン樹脂:その他樹脂)は、好ましくは95:5~50:50である。上記範囲内であると、塩基性水溶液中において、プライマー層と共に印刷層が剥離した際に、印刷層が薄膜の状態で剥離され、回収が容易となるため好ましい。
プライマー層は、体質顔料を含有してもよい。体質顔料としては、例えば、シリカ、硫酸バリウム、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物が挙げられる。中でも好ましくはシリカであり、より好ましくは親水性シリカである。
体質顔料の平均粒子径は、好ましくは0.5~10μmであり、より好ましくは1~8μmである。体質顔料の含有量は、プライマー層中に0.5~10質量%であることが好ましく、より好ましくは1~5質量%である。平均粒子径及び体質顔料の含有量が、上記範囲内であると、印刷層の濡れ性が向上し画質が向上する。
プライマー層は、上述する酸性基を有するウレタン樹脂が硬化剤で架橋された層であってもよい。プライマー層に架橋構造が導入されることで、プライマー層上に形成される印刷層の浸透や滲みが抑制され、優れた画質を示すことができる。
硬化剤としては、例えば、ポリイソシアネートが挙げられる。ポリイソシアネートとしては、特に制限されず、従来公知のポリイソシアネートから選択することができ、例えば、脂肪族ポリイソシアネート又は芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。これらは単独又は2種以上を併用してもよい。
プライマー層は、さらに公知の添加剤を含有してもよい。公知の添加剤としては、例えば、分散剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、粘度調整剤、金属キレート、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、上記以外のワックス成分、シランカップリング剤が挙げられる。
プライマー層の厚みは、好ましくは0.5~3.0μm、より好ましくは0.6~2.0μm、さらに好ましくは0.8~1.5μmの範囲であり、公知の方法を用いて形成することができる。
[接着剤層] 本発明の積層体は、接着剤層を有してもよい。積層体が接着剤層を有する場合、該接着剤層は、プラスチック基材と接して配置され、酸性基を有する化合物を含み、脱離液による溶解・剥離等によりプラスチック基材を脱離する役割を担うことが好ましい。接着剤層が、酸性基を有する樹脂又は酸性基を有する低分子化合物を含むことで、上述する塩基性水溶液を用いて接着剤層を脱離することができる。
上記酸性基を有する化合物、酸性基を有する樹脂及び酸性基を有する低分子化合物は、上述する[プライマー層]の項における(酸性基を有する化合物)の記載を援用できる。
また接着剤層の形成方法は制限されず、公知の方法を用いて形成することができる。
接着剤層は、脱離性の観点から、酸性基を有するポリエステルポリオールと、脂肪族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネートとを含む接着剤の硬化物であってもよい。上記硬化物は、酸性基を有する樹脂に該当する。
また、接着剤層は、ポリエステルポリオールと、脂肪族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネートと、酸性基を有する低分子化合物とを含む接着剤の硬化物であってもよい。
(ポリエステルポリオール)
ポリエステルポリオールは、酸性基を有していればよく、公知のポリエステルポリオールから適宜選択できる。このようなポリエステルポリオールを含むことにより、脱離液として塩基性水溶液を用いた場合、塩基性化合物との親和性が高いエステル結合を有することで、脱離性が向上するため好ましい。ポリエステルポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエステルポリオールは、特に限定されないが、カルボキシ基成分と水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルポリオール;ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール;が好適に用いられる。
上記カルボキシ基成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等二塩基酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物が挙げられる。
上記水酸基成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3′-ジメチロールヘプタン、1,9-ノナンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール等のジオール類若しくはそれらの混合物が挙げられる。
上記カルボキシ基成分及び水酸基成分は、2種以上を併用してもよい。
ポリエステルポリオールは、ポリオール中の水酸基にポリイソシアネートを反応させたポリエステルウレタンポリオールであってもよい。ポリエステルポリオールがウレタン結合を有することで、優れた耐熱性、接着性を発揮する。
上記ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールは、ポリオール中の水酸基に酸無水物を反応させた酸無水物変性物であってもよい。これにより、ポリエステルポリオールに酸性基であるカルボキシ基を導入することができる。
酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、無水トリメリット酸、トリメリット酸エステル無水物が挙げられる。トリメリット酸エステル無水物としては、例えば、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテートが挙げられる。
ポリエステルポリオールの酸価は、好ましくは5.0mgKOH/g以上、より好ましくは10.0mgKOH/g以上である。また、ポリエステルポリオールの酸価は、好ましくは100mgKOH/g以下、より好ましくは80mgKOH/g以下である。ポリエステルポリオールの酸価が上記範囲であると、塩基性水溶液である脱離液と接触させた際に、塩基性水溶液が浸透して分解され、より優れた脱離性を発揮する。
接着剤が複数のポリエステルポリオールを含む場合、ポリエステルポリオール全体の酸価は、各々のポリエステルポリオール分の酸価とその質量比率から求めることができる。
ポリエステルポリオールの数平均分子量(Mn)は、好ましくは3,000~25,000、より好ましくは5,000~20,000、特に好ましくは7,000~15,000である。ポリエステルポリオールの数平均分子量が3,000以上であると、塗工性だけでなく十分な耐レトルト性を発揮することができ、20,000以下であると塗工性だけでなく脱離性が向上するため好ましい。
ポリエステルポリオール分は、包装材料に要求される各種物性を満たすために、複数のポリエステルポリオール成分を併用してもよく、例えば、数平均分子量5,000~20,000のポリエステルポリオールを含んでもよく、さらに、基材密着性を向上させるために、数平均分子量3,000未満のポリエステルポリオールを含んでもよい。
数平均分子量が3,000未満のポリエステルポリオールの含有量は、ポリエステルポリオールの全質量を基準として、好ましくは0~30質量%、より好ましくは0~20質量%である。30質量%以下であると、耐レトルト性を維持できる。
(その他ポリオール)
接着剤層を構成する接着剤は、ポリエステルポリオール以外のその他ポリオールを含有してもよい。ポリエステルポリオール以外に含有してもよいポリオールは、特に限定されず、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ヒマシ油系ポリオール、フッ素系ポリオールが挙げられる。
(ポリイソシアネート)
接着剤層を構成するために、上述するポリエステルポリオールと組み合わせるポリイソシアネートは、公知の脂肪族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート等の非環状の脂肪族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(以下、イソホロンジイソシアネート)等の脂環式ジイソシアネート;上記ジイソシアネートから誘導された、アロファネートタイプ、ヌレートタイプ、ビウレットタイプ、アダクトタイプの誘導体、若しくはその複合体等のポリイソシアネート;が挙げられる。
誘導体として好ましくは、ヌレートタイプ、アダクトタイプであり、より好ましくはアダクトタイプである。脂肪族ポリイソシアネートとしては、脱離性とラミネート物性のバランスが確保しやすいヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIともいう)から誘導されたポリイソシアネートが好ましい。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;上記芳香脂肪族ジイソシアネートから誘導された、アロファネートタイプ、ヌレートタイプ、ビウレットタイプ、アダクトタイプの誘導体、若しくはその複合体等のポリイソシアネート;が挙げられる。
(その他ポリイソシアネート)
接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート以外のその他ポリイソシアネートを含有してもよい。このようなポリイソシアネートとしては、例えば、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート;上記ジイソシアネートの誘導体、若しくはその複合体等のポリイソシアネート;が挙げられる。
上記ポリオールとポリイソシアネートとの配合割合は、ポリオール中の水酸基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基のモル比(NCO/OH)が0.3~10.0になるよう配合してもよい。好ましくは、0.3~7.0であり、より好ましくは0.5~5.0である。
(その他成分)
接着剤層は、シランカップリング剤、リンの酸素酸若しくはその誘導体、レベリング剤、消泡剤、反応促進剤のほか、無機充填剤(例えば、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレーク)、層状無機化合物、安定剤(例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤)、防錆剤、増粘剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤、硬化反応を調整するための触媒等を含有してもよい。
<プラスチック基材層>
プラスチック基材としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、繊維素系プラスチックが挙げられる。
リサイクル基材として再利用する観点から、プラスチック基材は、ポリオレフィン樹脂を含む、ポリオレフィン基材であることが好ましい。このようなポリオレフィン樹脂を含む基材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)のようなプラスチック基材のほか、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、酸変性ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン(CPP)、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレンのようなシーラント基材が挙げられる。
プラスチック基材は、ガスバリア処理されてガスバリア基材となっていてもよい。
プラスチック基材層の厚みは特に制限されず、用途に応じて適宜選択してよい。好ましくは5~200μmであり、より好ましくは10~150μmである。厚みが薄いほど、基材はカールしやすくなり、脱離性の難易度は上がる。
また、ガスバリア基材として、アルミニウム箔、アルミニウム等の金属蒸着層、シリカやアルミナ等の金属酸化物蒸着層を有するプラスチック基材が挙げられる。アルミニウム箔の厚みは、経済的な面から3~50μmの範囲で用いることが多い。また、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着層及びアルミナ蒸着層は、塩基性水溶液に溶解し、脱離するため、脱離性を有し、容易に、プラスチック基材を分離することができる。
以下に、本発明で用いられる積層体構成の一例を挙げるが、これらに限定されない。また下記の構成において、「プラスチック基材」は、単層である必要はなく、複数の基材が積層された積層体であってもよい。
なお、分離回収するプラスチック基材に接する層は、脱離性を有していればよいので、例えば、「プラスチック基材/複数の印刷層」である積層体は、プラスチック基材に接する印刷層が脱離性を有していれば、その積層体は、「プラスチック基材/印刷層」であるともいえるし、「プラスチック基材/プライマー層/印刷層」であるともいえる。
・プラスチック基材/印刷層
・プラスチック基材/プライマー層/印刷層
・プラスチック基材/印刷層/接着剤層/プラスチック基材
・プラスチック基材/プライマー層/印刷層/接着剤層/プラスチック基材
・基材層/印刷層/接着剤層/プラスチック基材
・プラスチック基材/プライマー層/印刷層/接着剤層/蒸着層/プラスチック基材
<プラスチック基材を分離回収する工程>
脱離工程後、分離したプラスチック基材を回収する。回収方法は、脱離後のプラスチック基材と、脱離後のコーティング層片との物性値の違いを利用して、公知の手段が適用できる。例えば、比重を利用した浮沈する手段、あるいは、遠心分離する手段が適用できる。
プラスチック基材を回収する前に、積層体から脱離したインキ及び接着剤などの樹脂基材層以外の成分を除去する工程を設けてもよい。上記インキ及び接着剤などの成分は、脱離工程時におけるせん断力により微細化されるため、フラフとのサイズの違いを利用し、フィルターのサイズを調整することで、プラスチック基材に付着したインキや接着剤成分の微細片を除去しながら、プラスチック基材を回収することができる。また、プラスチック基材とインキや接着剤成分の微細片の比重差を利用して分離する方法もある。
プラスチック基材を回収し、さらに、インキ及び接着剤などのプラスチック基材層以外の成分を除去した後の脱離液は、脱離工程で再利用してもよい。
脱離工程後には、プラスチック基材の樹脂種を選別する工程(第二の選別工程)を有していてもよい。選別工程としては、例えば、液体を用いた比重選別法、風力選別法、近赤外線選別法が挙げられ、生産性の観点から、好ましくは液体を用いた比重選別法である。
液体を用いた比重選別法において、例えば比重液に水を用いた場合、ポリエチレン、ポリプロピレン等の水より比重の軽い樹脂基材と、ポリエステル、ナイロン、セロファン等の水より比重の重い樹脂基材とを選別することができる。比重液は、有機溶剤、金属塩化合物の水溶液等を単独又は混合して配合し、比重を適宜調整してもよい。このような比重選別は複数回行うこともできる。
回収されたプラスチック基材は、必要に応じて脱水処理、乾燥処理等の処理を経て、再利用される。
<樹脂基材の再利用>
[回収されたプラスチック基材を溶融混練する工程] 上述する分離回収方法により回収された樹脂基材は、溶融混練することで、成形用材料を製造することができる。
溶融混練工程は、必要に応じて各種添加剤等を加え、ヘンシェルミキサーやタンブラー、ディスパー等で混合した後、ニーダー、ロールミル、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、シュギミキサー、バーティカルグラニュレーター、ハイスピードミキサー、ファーマトリックス、ボールミル、スチールミル、サンドミル、振動ミル、アトライター、バンバリーミキサーのような回分式混練機、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機等を用いて、混合や分散することを指す。これにより樹脂組成物である再生樹脂が得られる。再生樹脂の形状は、特に制限されず、ペレット状、粉体状、顆粒状、ビーズ状であってもよい。溶融混練工程は、二軸押出機を用いるのが好ましい。
また、回収されたプラスチック基材を用いて、マスターバッチを製造してもよい。
成形用材料は、さらにマスターバッチや、再生プラスチック以外のプラスチックを含有してもよい。マスターバッチは、再生樹脂に対して相溶性を有するものであれば特に制限されず、一般的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂と着色剤とを混練したものを使用できる。マスターバッチに含まれる熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
マスターバッチは、本発明の効果を阻害しない範囲で、アルカリ金属やアルカリ土類金属又は亜鉛の金属石けん、ハイドロタルサイト、ノニオン系界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、帯電防止剤、ハロゲン系、リン系又は金属酸化物等の難燃剤、エチレンビスアルキルアマイド等の滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤を含有してもよい。
[加熱成形する工程]
上述により得られる成形用材料を加熱成形することで、成形体を得ることができる。加熱成形方法は特に制限されず、例えば、射出成形、押出し成形、ブロー成形、圧縮成形が挙げられる。
本発明の分離回収方法により回収されたプラスチック基材を用いて製造された成形用材料は、フラフの断面が塞がれておらず脱離性に優れるため、付着成分が抑制され高品位であり、家電製品や文房具、自動車用のパーツ、おもちゃやスポーツ用品、医療用や建築・建設資材の材料等、様々な分野に用いることができる。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部及び%は、特に注釈の無い場合、質量部及び質量%を表す。
<分子量及び分子量分布>
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定を行い、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。測定条件を以下に示す。
GPC装置:昭和電工社製 Shodex GPC-104
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
昭和電工社製 Shodex LF-404 2本
昭和電工社製 Shodex LF-G
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.3mL/分
<酸価 >
酸価は、JIS K 0070(1992)に記載の方法に従って測定した。
<プライマー組成物及び印刷インキ用樹脂の製造>
[合成例1-1](ポリウレタン樹脂P1)
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、PPA(プロピレングリコールとアジピン酸の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール)152.2部、PPG(ポリプロピレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール)15.2部、BD(1,4-ブタンジオール)13.6部、IPDI(イソホロンジイソシアネート)99.8部、NPAC(酢酸ノルマルプロピル)200部を仕込み、90℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。
次いで、AEA(2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール)を19.2部、IPA(イソプロピルアルコール)を350部混合したものを、室温で60分間かけて滴下した後、70℃で3時間反応させて、ポリウレタン樹脂溶液を得た。
得られたポリウレタン樹脂溶液に、NPACを加えて固形分を調整し、固形分濃度30%、重量平均分子量27,000、Mw/Mn=3.1、酸価0.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂P1の溶液を得た。
[合成例1-2](ポリウレタン樹脂P2)
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、PPAを135.7部、PPGを13.6部、DMPA(2,2-ジメチロールプロパン酸)を28.3部、IPDIを105.7部、NPACを200部仕込み、90℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。
次いで、AEAを16.7部、IPAを350部混合したものを、室温で60分間かけて滴下した後、70℃で3時間反応させて、ポリウレタン樹脂溶液を得た。
得られたポリウレタン樹脂溶液に、NPACを加えて固形分を調整し、固形分濃度30%、重量平均分子量30,000、Mw/Mn=3.0、酸価39.3mgKOH/gのポリウレタン樹脂P2の溶液を得た。
<プライマー層形成用組成物の製造>
[製造例1-1](プライマー組成物S1)
ポリウレタン樹脂P2溶液87部、酢酸エチル(EA)5部、IPA5部、シリカ粒子(水澤化学社製P-73:平均粒子径3.8μmの親水性シリカ粒子)3部を、ディスパーを用いて撹拌混合して、プライマー組成物S1を得た。
<印刷インキの製造>
[製造例2-1](印刷インキR1)
藍顔料P.B.15(C.I.Pigment Blue 15)を10部、BYK-SYNERGIST2100(顔料誘導体、ビックケミー・ジャパン製)を0.2部、DISPER BYK-142(樹脂型分散剤、ビックケミー・ジャパン製)を0.5部、ポリウレタン樹脂P1溶液を24.3部、PVC溶液(塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液(日信化学製 ソルバインTAO、固形分30%、EA溶液))を5部、EA10部、IPA10部を混合撹拌し、ビーズミルとしてサンドミルを用いて20分間分散処理を行った。その後、ポリウレタン樹脂P1溶液20部、EA10部、IPA10部を混合撹拌し、印刷インキR1を得た。
[製造例2-2](印刷インキR2) 藍顔料P.B.15を10部、BYK-SYNERGIST2100を0.2部、DISPER BYK-142を0.5部、ポリウレタン樹脂P2溶液を24.3部、PVC溶液を5部、EA10部、IPA10部を混合撹拌し、ビーズミルとしてサンドミルを用いて20分間分散処理を行った。その後、ポリウレタン樹脂P2溶液20部、EA10部、IPA10部を混合撹拌し、印刷インキR2を得た。
<接着剤に用いるポリオールの製造>
[合成例2-1](ポリエステルポリオールB1)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エチレングリコール124部、ネオペンチルグリコール212部、1,6-ヘキサンジオール368部、イソフタル酸645部、アジピン酸36部、セバシン酸265部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら250℃まで昇温し、エステル化反応を行った。所定量の水が留出し、酸価が5以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行って、1mmHg以下で5時間脱グリコール反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。その後、イソホロンジイソシアネート35部を徐々に添加し、150℃で約2時間反応を行い、ポリエステルポリウレタンポリオールを得た。このポリエステルポリウレタンポリオール100部にエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテートを12.0部添加し、180℃で約2時間反応させ、その後固形分濃度50%になるまでEAで希釈することで、数平均分子量9,000、酸価30.3mgKOH/gの部分酸変性ポリエステルポリオールB1の溶液を得た。
[合成例2-2](ポリエステルポリオールB2)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エチレングリコール58部、ジエチレングリコール412部、ネオペンチルグリコール343部、イソフタル酸517部、アジピン酸393部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら250℃まで昇温し、エステル化反応を行った。所定量の水が留出し、酸価が5以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行って、1mmHg以下で5時間脱グリコール反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオール100部に無水トリメリット酸を4.0部添加し、180℃で約2時間反応させ、その後固形分濃度50%になるまでEAで希釈することで、数平均分子量2,000、酸価23.5mgKOH/gの部分酸変性ポリエステルポリオールB2の溶液を得た。
[合成例2-3](ポリエステルポリオールB3)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エチレングリコール188部、ネオペンチルグリコール316部、1,6-ヘキサンジオール179部、テレフタル酸315部、イソフタル酸315部、アジピン酸64部、セバシン酸323部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら250℃まで昇温し、エステル化反応を行った。所定量の水が留出し、酸価が5以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行って、1mmHg以下で5時間脱グリコール反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。その後、イソホロンジイソシアネート8.5部を徐々に添加し、150℃で約2時間反応を行い、その後固形分濃度50%になるまでEAで希釈することで、数平均分子量7,500、酸価0mgKOH/gの部分酸変性ポリエステルポリオールB3の溶液を得た。
<ポリイソシアネートの調整>
[調製例1](ポリイソシアネートC1)
コロネート2785(ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるビウレット型ポリイソシアネート、東ソー社製)をEAに希釈して、固形分濃度50%、NCO%=9.6%に調整し、ポリイソシアネートC1の溶液を得た。
<接着剤の製造>[製造例3-1](接着剤D1)
ポリエステルポリオールB1溶液を90部、ポリエステルポリオールB2溶液を10部、ポリイソシアネートC1溶液を8部配合し、EAを加えて固形分濃度30%の接着剤溶液を調整した。
[製造例3-2](接着剤D2)
ポリエステルポリオールB3溶液を100部、ポリイソシアネートC1溶液を8部配合し、EAを加えて固形分濃度30%の接着剤溶液を調整した。
<積層体の製造>
以下に積層体の製造方法について説明する。なお、プライマー組成物及び印刷インキは、各々、EA/IPAの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、粘度が15秒(25℃、ザーンカップ#3(離合社製))になるように希釈してから使用した。また、プライマー層及び印刷層の厚みは、各々、約1.5μmとなるように調整した。
[製造例4-1](積層体L1)
OPP(コロナ処理延伸ポリプロピレンフィルム、厚み20μm)に対し、希釈したプライマー組成物S1及び印刷インキR1を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いてこの順で印刷し、50℃で乾燥して、基材層(OPP)/プライマー層(S1)/印刷層(R1)の構成である積層体L1を得た。
[製造例4-2](積層体L2)
OPPに対し、希釈した印刷インキR2を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて印刷し、50℃で乾燥して、基材層(OPP)/印刷層(R2)の構成である積層体L2を得た。
[製造例4-3](積層体L3)
防曇OPP(防曇処理延伸ポリプロピレンフィルム、厚み20μm)に対し、希釈した印刷インキR1を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて印刷し、50℃で乾燥して、基材層(防曇OPP)/印刷層(R1)の構成である積層体L3を得た。
[製造例4-4](積層体L4)
OPPに対し、希釈したプライマー組成物S1及び印刷インキR1を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いてこの順で印刷し、50℃で乾燥して、OPP/S1/R1の構成である積層体を得た。
次いで、得られた積層体の印刷層上に、ドライラミネート機を用いて接着剤D1を乾燥後膜厚が約3μmになるように塗布・乾燥した後、CPP(無延伸ポリプロピレンフィルム 厚み30μm)と貼り合せて、基材層(OPP)/プライマー層(S1)/印刷層(R1)/接着剤層(D1)/基材層(CPP)の構成である積層体L4を得た。
[製造例4-5](積層体L5)
OPPに対し、ドライラミネート機を用いて接着剤D1を乾燥後膜厚が約3μmになるように塗布・乾燥した後、CPPと貼り合せて、基材層(OPP)/接着剤層(D1)/基材層(CPP)の構成である積層体L5を得た。
[製造例4-6](積層体L6)
NY(延伸ナイロンフィルム、厚み15μm)に対し、希釈した印刷インキR1を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて印刷し、50℃で乾燥して、NY/R1の構成である積層体を得た。 次いで、得られた積層体の印刷層上に、ドライラミネート機を用いて接着剤D1を乾燥後膜厚が約3μmになるように塗布・乾燥した後、LLDPE(無延伸直鎖低密度ポリエチレンフィルム、厚み130μm)と貼り合せて、基材層(NY)/印刷層(R1)/接着剤層(D1)/基材層(LLDPE)の構成である積層体L6を得た。
[製造例4-7](積層体L7)
OPPに対し、希釈したプライマー組成物S1及び印刷インキR1を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いてこの順で印刷し、50℃で乾燥して、OPP/S1/R1の構成である積層体を得た。
次いで、得られた積層体の印刷層上に、ドライラミネート機を用いて接着剤D2を乾燥後膜厚が約3μmになるように塗布・乾燥した後、VMCPP(アルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレンフィルム、厚み25μm)と貼り合せて、基材層(OPP)/プライマー層(S1)/印刷層(R1)/接着剤層(D2)/基材層(VMCPP)の構成である積層体L7を得た。
表1中の略称を以下に示す。
OPP:コロナ処理延伸ポリプロピレンフィルム、厚み20μm
CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム 厚み50μm
防曇OPP:防曇処理延伸ポリプロピレンフィルム、厚み20μm
NY:延伸ナイロンフィルム、厚み15μm
LLDPE:無延伸直鎖低密度ポリエチレンフィルム、厚み130μm
VMCPP:アルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレンフィルム、厚み25μm
<積層体の破砕・フラフの作成>
[製造例5-1](フラフF1)
積層体L1を、日本シーム製の湿式破砕装置(直径3mmの円形状スクリーンを搭載したカッターミル)[破砕装置A]を用いて、20℃の水を流入させながら破砕を行い、平均サイズが3mmであるフラフF1を得た。
[製造例5-2~9、19](フラフF2~9、19)
使用する積層体を、表2に記載した積層体に変更した以外は、製造例5-1と同様の設備および方法で、積層体の破砕を行い、フラフF2~9、19を得た。なお、F2およびF3は、フラフのサイズが表2に記載の値になるように、スクリーンサイズや積層体の投入速度を調整した。
[製造例5-10](フラフF10)
製造例5-1で破砕したフラフF1を、日本コークス工業製の微粉砕装置(冷却機構を搭載したディスクミル)[粉砕装置B]を用いて、粉砕刃を-10℃の冷却水で冷却しながら粉砕を行い、平均サイズが0.5mmであるフラフF10を得た。
[製造例5-11~18](フラフF11~18)
粉砕に使用するフラフを表2に記載したフラフに変更した以外は、製造例5-10と同様の設備および方法で、フラフの粉砕を行い、フラフF11~18を得た。なお、F11およびF12は、粉砕後のフラフのサイズが表2に記載の値になるように、回転刃の回転速度や間隙を調整した。
[製造例5-20](フラフF20)
製造例5-1で破砕したフラフF1を、Retsch製の微粉砕装置(凍結粉砕クライオミル)[粉砕装置C]を用いて、液体窒素雰囲気下(-196℃)で粉砕を行い、平均サイズが0.4mmであるフラフF20を得た。
[製造例5-21~28](フラフF21~28)
粉砕に使用するフラフを表2に記載したフラフに変更した以外は、製造例5-20と同様の設備および方法で、フラフの粉砕を行い、フラフF21~28を得た。なお、F21およびF22は、粉砕後のフラフのサイズが表2に記載の値になるように、振盪数や粉砕時間を調整した。
<脱離液の製造>
[製造例6-1](脱離液A1)
水酸化ナトリウム2部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB;13.6)0.4部、BYK-1650(ビックケミー・ジャパン製、シリコーン系エマルジョン型消泡剤、固形分濃度27.5%)0.004部、水97.6部を配合し、ディスパーで撹拌して、脱離液A1を得た。
<積層体の分離回収および再生フィルムの作製>
[実施例1]
500mLのステンレスビーカーに、脱離液A1を200g、フラフF1を40g入れ、70℃、2000rpmの条件で10分間撹拌し、積層体の分離および印刷層の脱離を行った。その後、30分静置させて、上層に浮いたフラフを回収し、洗浄した。その後、回収したフラフを単軸押し出し機にて200℃で押し出し、ペレタイズ工程を経て、再生樹脂のペレットを得た。再生樹脂をTダイフィルム成形機にて200℃で押し出し、厚み30μmの再生フィルムを作製した。得られた再生フィルムについて、以下の評価を行った。
[実施例2~31、比較例1~3] フラフの種類および脱離時のフラフ配合量を表3に記載の内容に変更した以外は、実施例1と同様の手法により、積層体の分離回収および再生フィルムの作製を行い、再生フィルムの評価を行った。なお、比較例3は脱離工程は行わず、フラフをペレタイズして再生フィルムを作製した。
なお、実施例6、7、9、15、16、18~20、26、27、29~31は、基材1と基材2のそれぞれが脱離したが、区別せず合わせて回収して再生フィルム評価を行った。実施例8、17、28は、基材1のナイロンフィルムが、上層に浮かなかったため回収せず、基材2のポリエチレンフィルムのみを回収して再生フィルム評価を行った。
<再生フィルムの評価>
(透過率)
再生フィルムの着色について、ヘイズメーター(日本電子工業(株)製、SH7000)を用いて全光線透過率を測定し、以下の基準で評価した。
A(優):全光線透過率が80%以上。
B(良):全光線透過率が60%以上80%未満。
C(可):全光線透過率が40%以上60%未満。
D(不可):全光線透過率が40%未満
(引張強度)
再生フィルムより幅15mm、長さ150mmの試験片を、機械方向(MD)および横断方向(TD)にそれぞれ採取し、JIS K 7127に準じて、チャック間距離50mm、引張速度200mm/minで引張り、最大まで伸びたときの強度(応力)をMDおよびTDそれぞれ測定し、数値の大きい方について、以下の基準で評価した。
A(優):引張強度が35MPa以上。
B(良):引張強度が25MPa以上35MPa未満。
C(可):引張強度が15MPa以上25MPa未満。
D(不可):引張強度が15MPa未満
なお、実施例8、17については、以下の基準で評価した。
A(優):引張強度が12MPa以上。
B(良):引張強度が7MPa以上12MPa未満。
C(可):引張強度が2MPa以上7MPa未満。
D(不可):引張強度が2MPa未満
上記の評価結果より、本発明の分離回収方法であれば、フラフサイズが小さいため、短時間で大量の積層体からコーティング層を容易に脱離させることができ、コーティング層の再付着が少ない良質なプラスチック基材が得られ、さらには溶融混練時にフラフが均質に取り込まれるため、着色の少ない高品位な成形用材料が得られることが示された。

Claims (8)

  1. 少なくともプラスチック基材と、プラスチック基材に接するコーティング層とを備える積層体を、前記積層体の平均サイズが5mm以下のフラフに破砕する工程、及び
    破砕後のフラフを脱離液に接触させて、前記コーティング層をプラスチック基材から脱離させる工程を含む、積層体の分離回収方法であって、
    前記プラスチック基材は、厚み5~200μmのプラスチックフィルムであり、
    前記積層体が、包装材であり、
    前記積層体の含有量が、前記脱離液の全質量に対して10質量%以上である、積層体の分離回収方法。
  2. 破砕する工程の後に、さらに平均サイズが1mm以下のフラフに微粉砕する工程を含む、請求項1に記載の積層体の分離回収方法。
  3. 微粉砕する工程は、冷却する手段の下で行うことを特徴とする、請求項2に記載の積層体の分離回収方法。
  4. 微粉砕する工程は、0℃以下の寒剤を用いて冷却する手段の下で行うことを特徴とする、請求項3に記載の積層体の分離回収方法。
  5. プラスチック基材は、ポリオレフィンを含む、請求項1に記載の積層体の分離回収方法。
  6. 脱離液が、水および界面活性剤を含有する、請求項1に記載の積層体の分離回収方法。
  7. 請求項1~いずれかに記載の積層体の分離回収方法で回収されたプラスチック基材を溶融混練する工程を含む、成形用材料の製造方法。
  8. さらに、請求項に記載の製造方法により得られる成形用材料を、加熱成形する工程を含む、成形体の製造方法。
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