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JP7388670B1 - アルミニウム合金積層造形体、その製造方法、及び、アルミニウム合金粉末 - Google Patents

アルミニウム合金積層造形体、その製造方法、及び、アルミニウム合金粉末 Download PDF

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Abstract

Figure 0007388670000001
【課題】高強度のアルミニウム合金積層造形体、その製造方法、及び、アルミニウム合金粉末を提供する。
【解決手段】アルミニウム合金積層造形体は、総量が0.15重量%以下の不可避不純物、4.0~9.5重量%のZn、0.3~3.0重量%のCu、1.0~4.0重量%のSi、及び、0.50重量%以下のFeを含有し、Si量に応じて、Mgを(1.4+1.73×[Si重量%])~(3.7+1.73×[Si重量%])重量%含有し、金属組織中に粒状のMg-Si系化合物が存在し、ビッカース硬さが150Hv以上である。
【選択図】図9

Description

本発明は、アルミニウム合金積層造形体、その製造方法、及び、アルミニウム合金粉末に関するものである。また、本発明は、金属積層造形法によって成形されたZn、Mg、Cuを含む積層造形体であって、積層造形体内部に割れが発生することなく、また、造形体内部の残留応力も小さく、熱処理後、7000系合金相当の引張強さを満たすためのビッカース硬さとして150Hv以上の硬さを有する造形体に関するものである。この硬さは、代表的な7000系合金の応力腐食割れを考慮した熱処理であるT73処理材の代表的な硬さである。以下、ビッカース硬さを用いて内容を記載する。
金属積層造形体は、粉末あるいはワイヤを局部的に溶かしながら積層造形することから、急速に凝固することにより非常に細かい金属組織を有する。このため、金属積層造形体は従来製法に比較して高い機械的性質が得られる。ただし、押し出し、圧延合金用の合金として知られるAl-Cu系の2000系、Al-Mg-Si系の6000系、Al-Zn-Mg-Cu系の7000系合金は、図1に示すように、積層造形時に鋳造割れを発生しやすく、高い強度が得られないことから、そのままの成分では実用化できない。この3種の合金の中でも、押出材、圧延材の引張強さが500MPaを超える7000系合金においては、種々検討はされているが、良好な造形性と機械的性質を必ずしも示しているわけではない。また、Al-Mg系、Al-Si-Mg系合金においても高強度合金の開発が種々の合金系で進められている。
Al-Mg系の5000系合金においては、Scを析出強化元素として添加する商品名Scalmalloyが知られている。この合金は、350℃程度の熱処理をすることで、残留応力を抑え、500MPa程度の引張強さを示す(例えば、非特許文献1参照)。
Al-Si-Mg系合金においては、Mnを添加することで析出強化と分散強化を改善して強度を大きく改善したAl-Si-Mg-Mn系合金が知られている。熱処理しないとき(以下、「as built」と呼ぶ)の引張強さは500MPa程度である(例えば、非特許文献2参照)。
非特許文献2記載のAl-Si-Mg-Mn系合金をT6処理することで、残留応力を低減し、かつ積層造形体中の機械的性質の均質化を図り、高強度を達成することができる(例えば、非特許文献3参照)。
Si添加7075合金の結晶粒径に対して、Zr、Ti、Bが著しい効果を持つことが知られている(例えば、非特許文献4参照)。
7075合金の割れ対策として、Al-10Si-Mg合金粉末を一定の配合率で混合して、熱膨張係数、凝固温度範囲の低減、流動性改善を図ることで割れの防止を図ることが知られている(例えば、非特許文献5参照)。
7075合金の割れ対策として、Siを5重量%添加した合金が、as built材(熱処理なし)では500MPa程度の高強度の合金を示すことは知られている(例えば、非特許文献6参照)。
非特許文献6と同様に、Al-Mg-Zn-Cu系合金においてSiを添加することで硬さ向上と割れ防止が図られることが記載されている(例えば、特許文献1参照)。
鋳造材においては、結晶の微細化剤としてTiとともにZrが添加されることが多い。積層造形においても、結晶の微細化を目的としてZrを7075合金に添加して、割れ対策することが知られている。Zr添加7075積層造形材の引張強さは約420MPa、伸びは約5%である(例えば、特許文献2参照)。
木村ら:軽金属70(2020)467-474頁 安達ら:軽金属71(2021)441-449頁 遊佐ら:141軽金属学会大会概要集、講演No66 Ahmed O.Mosleh etc.:Materials(2021)pp.146-154 Alverta Avrsa etc.:Metals(2018), No8, p.300 大谷ら:粉体と粉末冶金66(2019)109-115頁
特開2021-188103公報 米国特許公開2019/0161835
本発明は、以上のような背景からなされたものである。即ち、7075合金に代表される7000系合金は、本来押し出し材においてはT73処理材でも500MPaを超える高い引張強さを示す合金である。しかしながら金属積層造形体においては積層造形時に図1のように内部に多数の割れが発生して使えない合金である。このため、この合金系において割れることなく、しかも高い強度を有する金属粉末、金属積層造形体が求められる。
非特許文献1に記載された製造法によると、Al-Mg系合金にScを添加した積層造形体に350℃程度の熱処理を施すことで、残留応力を抑え、500MPa程度の引張強さを示し、実用的な材料ではある。しかし、添加するScの価格が高く高価な粉末と言える。
非特許文献2に記載された製造法によると、Al-Si-Mg系合金の強度を大きく改善したAl-Si-Mg-Mn系合金が知られている。Al-Si-Mg-Mn系合金において、as built材(熱処理なし)の引張強さは500MPa程度である。一方、積層造形体に内在する残留応力を除去する場合には、250℃以上、好ましくは300℃以上のT5熱処理は必要である。しかし、T5処理をした場合、400MPaを超える高強度は得られず、積層造形体の強度は300MPa前後にとどまる。このため、さらに高い強度を得るために、非特許文献3に記載された溶体化処理、焼き入れ、及び人工時効を伴うT6処理をすることが考えられるが、この場合でも、積層造形体の引張強さは400MPaを超えることはない。
非特許文献4に記載された製造法によると、Si添加7075合金の結晶粒径に対して、Zr、Ti、Bが著しい微細化効果を持つことが知られている。しかし、鋳造のままの状態の硬さはビッカース硬さが140Hv程度にとどまり、その値は必ずしも大きいものではない。500℃で熱処理した素材については、さらに軟化するのみであり、高い値は報告されていない。
非特許文献5に記載された製造法によると、7075合金の割れ対策として、Al-10Si-Mg合金粉末を一定の配合率で混合する。しかし、この方法で得られた合金は熱処理なしの場合については400MPa前後の高い強度を示すかもしれない。しかし、残留応力を低減する溶体化処理を伴うT73処理では、400MPaを示すことは難しい。なぜなら、混合によって得られた合金は、もはや7075合金の成分ではないからである。
非特許文献6に記載された製造法によると、7075合金にSiを5重量%添加することで、as built材(熱処理なし)では500MPa程度の高強度の合金が得られる。しかし、残留応力除去の観点から熱処理(T6)をすると、350MPa程度まで引張強さが低下してしまい、高強度合金としては不十分である。
特許文献1に記載された製造法によると、非特許文献5と同様に、Al-Mg-Zn-Cu系合金においてSiを添加することで硬さ向上と割れ防止を図ることができる。ただし、この合金においては高強度合金を対象としたものではなく、耐食性の観点からCuの上限は0.5重量%としている。またZn量も少ないため、高い強度、及び硬さは得られない。おおよそビッカース硬さは80~120Hvである。引張強さは350MPa程度にとどまる。
特許文献2に記載された製造法によると、7000系合金の割れ対策としてZrを添加している。しかし、T6処理をしていながら引張強さは約420MPa、伸び約5%にとどまり、7075合金の押出材ではT6処理よりも強度を落としたT73材の引張強さが500MPaを超えることを考えると、必ずしも高いとは言えない。鋳造割れなどの欠陥が内在していることが予想される。割れのない健全体なら、少なくとも450MPa程度を超える強度を有するはずである。実用的な観点からは割れの可能性のある素材は使用することは難しい。
以上のことから、本発明の目的は、積層造形時に割れず、しかも熱処理後高い強さが得られるアルミニウム合金積層造形体、その製造方法、及び、アルミニウム合金粉末を提供することにある。
より具体的には、本発明の目的は、積層造形体中に割れがほぼないアルミニウム合金積層成形体が作られ、溶体化処理、焼き入れ、人工時効処理によりビッカース硬さ150Hvを有する高強度のアルミニウム合金積層造形体、その製造方法、及び、アルミニウム合金粉末を提供することにある。
以上の課題を解決するため、本発明の第1の態様は、総量が0.15重量%以下の不可避不純物、4.0~9.5重量%のZn、0.3~3.0重量%のCu、1.0~4.0重量%のSi、及び、0.50重量%以下のFeを含有し、Si量に応じて、Mgを(1.4+1.73×[Si重量%])~(3.7+1.73×[Si重量%])重量%含有し、金属組織中に粒状のMg-Si系化合物が存在し、ビッカース硬さが150Hv以上であることを特徴とするアルミニウム合金積層造形体を提供する。
本発明の第1の態様に係るアルミニウム合金積層造形体の一つの実施形態においては、粒の最大長径が0.3μm~5.0μmの範囲である粒状のMg-Si系化合物が存在する。
また、本発明の第1の態様に係るアルミニウム合金積層造形体の他の実施形態は、Mn及びCrのうち少なくとも1種を含み、Mn及びCrの総量が0.3~3.0重量%である。
また、本発明の第1の態様に係るアルミニウム合金積層造形体の他の実施形態は、Ti及びZrのうち少なくとも1種を含み、Ti及びZrの総量が0.05~1.00重量%である。
また、本発明の第1の態様に係るアルミニウム合金積層造形体の他の実施形態は、0.001~0.200重量%のBと、0.005~1.000重量%のTiと、を更に含有する。
また、本発明の第1の態様に係るアルミニウム合金積層造形体の他の実施形態は、0.2~0.8重量%のScを更に含有する。延性低下、製品コストを考慮して好ましくは、0.2~0.5重量%のScを更に含有する。
また、本発明の第1の態様に係るアルミニウム合金積層造形体の他の実施形態は、0.0005~0.0100重量%のBeを更に含有する。
また、本発明の第1の態様に係るアルミニウム合金積層造形体の更に他の実施形態は、0.001~0.050重量%のSrを更に含有する。
本発明の第2の態様は、総量が0.15重量%以下の不可避不純物、1.2×(4.0~9.5)重量%のZn、0.3~3.0重量%のCu、1.0~4.0重量%のSi、及び、0.50重量%以下のFeを含有し、Si量に応じて、Mgを1.2×(1.4+1.73[Si重量%])~1.2×(3.7+1.73[Si重量%])重量%含有するアルミニウム合金粉末を用いて金属積層造形法により造形し、その後、溶体化処理、焼き入れ、及び、時効処理を行うことを特徴とするアルミニウム合金積層造形体の製造方法を提供する。
また、本発明の第3の態様は総量が0.15重量%以下の不可避不純物、1.2×(4.0~9.5)重量%のZn、0.3~3.0重量%のCu、1.0~4.0重量%のSi、及び、0.50重量%以下のFeを含有し、Si量に応じて、Mgを1.2×(1.4+1.73[Si重量%])~1.2×(3.7+1.73[Si重量%])重量%含有するアルミニウム合金粉末を提供する。
本発明によれば、積層造形体の内部、外部に割れが発生することなく、造形体内部の残留応力も小さい高強度のアルミニウム合金積層造形体、その製造方法、及び、これらに使用するアルミニウム合金粉末が提供される。
従来の7075合金の積層造形材に見られる割れを示す写真図である。 Al-2.5Mg-1.9Cu-XSi-5.7Zn合金積層造形体の硬さを示すグラフである。 Al-5Mg-1.6Cu-1.9Si-XZn合金積層造形体の硬さを示すグラフである。 Al-5Mg-XCu-1.7Si-6.0Zn合金積層造形体の硬さを示すグラフである。 Al-XMg-1.1Si-1.9Cu-5.9Zn合金積層造形体の硬さを示すグラフである。 Al-XMg-1.8Si-1.9Cu-5.9Zn合金積層造形体の硬さを示すグラフである。 Al-XMg-3.4Si-1.9Cu-5.9Zn合金積層造形体の硬さを示すグラフである。 溶体化処理時間に伴い形態変化するAl-7Mg-1.5Cu-3.2Si-6.5Zn-0.18Ti-0.35Zr合金積層造形体中のMg-Si系化合物を示す写真図である。 第1実施形態に係るアルミニウム合金積層造形体におけるSi量とMg量との関係を示すグラフである。 第2及び第3実施形態に係るアルミニウム合金粉末におけるSi量とMg量との関係を示すグラフである。
以下、本発明の種々の実施形態について、詳細に説明する。本発明のアルミニウム合金積層造形法は、合金粉末を一層ずつ繰り返し溶融・凝固を行うことで希望する形状の製品を成形する造形法である。たとえば、粉末溶融結合法(powder bed fusion)方式や、デポジット法(指向性エネルギー堆積法:direct energy deposition)などが挙げられる。
粉末溶融結合法には電子ビーム方式とレーザー方式がある。電子ビーム方式の場合は、製品外観面粗さはレーザー方式に比較してやや劣るが、レーザー方式の場合よりも高い予熱、そしてエネルギーが付加されるために積層造形体中に割れは抑制され好都合である。加えて、その積層造形体中のMg-Si系化合物はレーザー積層造形体に比較して熱処理前の時点ですでに粒状化し、高い延性が期待できる。本発明のアルミニウム合金造形体は、粉末溶融結合方式による積層造形体、およびデポジット方式による積層造形体のいずれも含む。
デポジット方式は、積層したい所望の箇所に原料粉末を直接噴射して、該金属粉末を溶融しながら積層する方式である。また、デポジット方式としては、粉末の代わりに原料金属合金ワイヤを用いて、レーザーなどを照射して溶融させながら堆積する方式(ワイヤ繰り出し式)も含まれる。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るアルミニウム合金積層成形体は、総量が0.15重量%以下の不可避不純物、4.0~9.5重量%のZn、0.3~3.0重量%のCu、1.0~4.0重量%のSi、及び、0.50重量%以下のFeを含有し、Si量に応じて、Mgを(1.4+1.73×[Si重量%])~(3.7+1.73×[Si重量%])重量%含有し、金属組織中に粒状のMg-Si系化合物が存在し、ビッカース硬さが150Hv以上であることを特徴とする。なお、本明細書において、「不可避不純物」とは、Al,Zn,Cu,Si、Fe,Mg,Mn,Cr,Ti,Zr,B,Sc,Be及びSr以外の金属元素であって、例えば、Ga,Ni,V等の金属元素が挙げられる。なお、酸素元素は「不可避不純物」には含めないものとする。
Siは、積層造形時に金属積層造形体の内部に発生する鋳造割れを抑制するために有効な元素である。その効果については最終凝固部である結晶粒間の融液にSiが濃縮して、共晶MgSiと共晶α-Alが晶出することで、割れにくくなることが一つの理由として考えられる。Siの添加量が1.0重量%未満では、その効果は小さい。Si量が1.7重量%を超えると複雑な製品でも割れの発生を抑制する効果が増す。しかしSi量が多すぎるとMg-Si化合物が増えて熱処理後の強度を決めるフリーなMg(Znとの析出物を形成することができるMg)が減少するため、強度向上のためには必要なMgの量が多くなる。この結果、粉末製造時の溶湯の滓(酸化物)が増えて粉末の品質の低下の懸念がある。そのため、本実施形態において、アルミニウム合金積層造形体が含むSi量は1.0~4.0重量%とする。
Mgは、溶体化処理、焼き入れ、及び人工時効の組み合わせによる熱処理をすることでMg-Zn系析出物(例えばη相)を形成し強度をもたらすために有効な元素である。しかし、上述のとおり鋳造割れ防止のためにSi添加すると、MgはSiと化合物(MgSiが主体)を形成するために、析出に寄与できるフリーなMg(以下フリーMgと呼ぶ)が減少する。フリーMgの量は、例えば以下式1により算出する。
[式1] フリーMg量(重量%)=[Mg重量%]-1.73[Si重量%]
ここで、記載される数値1.73は、以下式2で示すように、MgSi化合物の形成に必要なMg及びSiの必要量の比である。
[式2] Mg量/Si量=(24.3×2)÷28.1=1.73
式2において、24.3はMgの原子量であり、28.1はSiの原子量である。
式1に示す様に、Siを添加する程、フリーMg量は減少する。よって、Siを添加した場合、Siを添加していない場合に比較して高い強度が得られない。Siを添加した場合、減少したMgを補充する必要がある。Mgの量は、添加されたSi量に基づき以下の式に従い増量される必要がある。仮にSiを添加しないときの7000系合金のMg量として、7075合金展伸材の管理範囲の[2.1~2.9]重量%を適用した場合、必要なMg量(重量%)は、(2.1+1.73[Si重量%])~(2.9+1.73[Si重量%])となる。
尚、複雑な形状の積層造形体の割れの抑制を考えると、Si量は好ましくは1.7~4.0重量%とし、さらに好ましくは2.0~4.0重量%とする。
しかし、Siを添加した7075合金相当合金の積層造形法においては、上記の[2.1~2.9]重量%の下限より少なくあるいは上限よりも多くても優れた性能が出る。このため、Mgの上下限の範囲がもっとも広い場合は、Mgの含有量は、Si量に応じて、(1.4+1.73[Si重量%])~(3.7+1.73[Si重量%])重量%の範囲内となる。
また、SiとMgによって形成されたMgSi化合物は、熱処理前の段階の積層造形体では、溶体化処理をすることで金属組織中に粒状化し、粒の最大長径が0.3~5.0μmになる。粒状化した化合物のサイズは、熱処理の温度や時間の選択によって制御することができ、希望する強度、延性を達成するのに合わせることができる。
Znは、溶体化処理、焼き入れ、人工時効の熱処理をすることでMg-Zn系析出物(例えばη相)を形成して、強度をもたらすために有効な元素である。しかし、Znの含有量は、4.0重量%より少なければ十分な強度得られず、また9.5重量%よりも多くても強度の向上は認められず、かつ造形体の密度が高くなる。よって、Znの含有量は、4.0~9.5重量%とする。
Cuは、Al-Cu-Mg系の析出物として寄与する説とη相に固溶するという説もあり、正確なところは判っていないが、熱処理をすることで硬さを改善する効果を有する。だたし、Cuを添加することで耐食性が低下すること、及び、強度改善の観点から、Cuの含有量は、0.3~3.0重量%とする。好ましくは、Cuの含有量は、1.2~2.0重量%とする。
Mn及びCrは、Al-Mn系あるいはAl-Cr系の化合物として硬さを改善する効果を有する。そのために0.3重量%以上添加する。しかしMn及びCrの総量が3重量%を超えて添加しても大きな改善効果はないことから、Mn及びCrの総重量で0.3~3.0重量%とする。Mn及びCrは、応力腐食割れの発生の抑制元素としても知られる元素である。必要に応じてMn及びCrの総重量は、0.3~2.0重量%の範囲で添加することは好ましい。
Ti及びZrは、結晶粒径の微細化剤として鋳造割れ防止の効果を有する。Siが添加されることで割れの抑制が図られているが、内部の割れが発生するような複雑な製品のような場合には複合して添加することは有効である。しかし、Ti及びZrは、1.00重量%を超えて添加しても大きな改善効果はなく、むしろ化合物を形成して延性低下の可能性もある。よって、Ti及びZrの総重量は、0.05~1.00重量%の範囲で添加する。好ましくは、Ti及びZrの総重量は、0.05~0.50重量%とする。
Bは、Tiと相俟って結晶粒径の微細化剤として鋳造割れ防止の効果を有する。Siが添加されることで割れの抑制が図られているが、内部の割れが発生するような複雑な製品のような場合には、Si、TiおよびBを複合して添加することは有効である。しかしBが0.001重量%未満では効果は小さく、一方0.200重量%を超えて添加しても大きな改善効果はない。むしろ化合物を形成して延性低下の可能性もあり、Bは0.001~0.200重量%とする。ただし、粉末価格、粉末中のB含有量の均質性の観点から、上限は0.050重量%とするのが好ましい。Bとともに共存するTiの量は、例えば市販されている代表的なAl-5%Ti-1%B中間合金でBを添加する場合、0.001重量%のBに対応するTiとしては0.005重量%が入ることになる。また、0.200重量%のBに対応するTiとしては1.000重量%が入ることになる。しかし、0.001重量%を超え、0.200重量%未満の範囲のBが含まれる場合に添加されるTiは、Al-5%Ti-1%B中間合金の添加に限定されるものではなく、Al-5%Ti中間合金、Al-10%Ti中間合金の添加もありえる。
Scは、Al-Sc析出物により時効硬化を発現する。熱処理条件の選択により、Mg-Zn系析出物(例えばη相)に加えて、AlSc析出物の2種の析出物による時効硬化を組み合わせることが可能である。このため、必要に応じて、Scの含有量は、0.2~0.8重量%とする。延性低下、製品コストを考慮して、好ましくは、Scの含有量は、0.2~0.5重量%とする。
Beの添加は、二つの役割を有する。一つは、Beの添加は、熱処理時(例えば400℃以上)における積層素材の表面が黒褐色化することを抑制する効果を有する。また更に一つは、Beの添加は、金属粉末作成時の合金溶解時における酸化被膜の巻き込み防止を図り、健全な粉末、健全な積層造形体を作る効果を有する。これらの目的のために、Beを添加するが、0.0005重量%未満ではその効果は小さく、また0.0100重量%を超えて添加してもその効果の改善効果に変化はない。よって、Beの含有量は、0.0005~0.0100重量%とする。好ましくは、Beの含有量は、0.001~0.002重量%とする。
Srは、as built材(熱処理なし)の状態でMg、Si系化合物の形態を微細粒化促進させる傾向を有する。このため、Mg、Si系化合物は溶体化を目的とした熱処理によりSrを添加していない場合よりも、短時間、低温で容易に粒状化する傾向がある。例えば、465℃、1時間の熱処理条件でも、Srを0.007重量%添加することにより、図8(c)に示す様な粒状の組織が得られる。また450℃以下の温度でも、例えば短時間に粒状化させるため、必要に応じて微量添加してもよい。Srの量は0.001重量%~0.050重量%、好ましくは0.001重量%~0.020重量%とする。
以上の実施形態における、アルミニウム合金積層造形体の組織中には、粒状のMg-Si系化合物が存在する。粒状のMg-Si系化合物の最大長径は、0.3μm~5.0μmの範囲であっても良い。
また、第1実施形態において、アルミニウム合金積層造形体は、Mn及びCrのうち少なくとも1種を含んでも良く、Mn及びCrの総重量は0.3~3.0重量%であっても良い。
また、第1実施形態において、アルミニウム合金積層造形体は、Ti及びZrのうち少なくとも1種を含んでも良く、Ti及びZrの総重量は0.05~1.00重量%であっても良い。
また、第1実施形態において、アルミニウム合金積層造形体は、0.001~0.200重量%のBと、0.005~1.000重量%のTiと、を更に含有することができる。
また、第1実施形態において、アルミニウム合金積層造形体は、0.2~0.8重量%のScを更に含有することができる。
また、第1実施形態において、アルミニウム合金積層造形体が、0.0005~0.0100重量%であるBeを更に含有することができる。
また、第1実施形態において、アルミニウム合金積層造形体が、0.001~0.050重量%であるSrを更に含有することができる。
[第2実施形態]
また、本発明の第2実施形態においては、総量が0.15重量%以下の不可避不純物、1.2×(4.0~9.5)重量%のZn、0.3~3.0重量%のCu、1.0~4.0重量%のSi、及び、0.50重量%以下のFeを含有し、Si量に応じて、Mgの量を1.2×(1.4+1.73[Si重量%])~1.2×(3.7+1.73[Si重量%])重量%含有するアルミニウム合金粉末を用いて金属積層造形法により造形し、その後、溶体化処理、焼き入れ、及び、時効処理を行う。
すなわち、7000系粉末のZn、Mg量は、積層造形時にある割合で大きく減少することが造形試験から判明している。これでは、積層造形体の成分が所定の成分量を維持できないので目標の機械的性質を達成できない。このため、積層時の造形条件にもよるが、積層造形体中の成分を所定の量に納めるために、粉末の成分値を高めに管理する必要がある。そのため、造形実績から、粉末のZn、Mg量については、積層造形体の成分目標値よりも2割ほど高めに設定する。
アルミニウム合金粉末は、例えば、不活性ガスアトマイズ法、プラズマアトマイズ法、遠心アトマイズ法、プラズマ回転電極法(PREP法)等により製造されても良い。
[第3実施形態]
また、本発明の第3実施形態においては、アルミニウム合金粉末は、総量が0.15重量%以下の不可避不純物、1.2×(4.0~9.5)重量%のZn、0.3~3.0重量%のCu、1.0~4.0重量%のSi、及び、0.50重量%以下のFeを含有し、Si量に応じて、Mgの量を1.2×(1.4+1.73[Si重量%])~1.2×(3.7+1.73[Si重量%])重量%含有する。
尚、第3実施形態においても第2実施形態と同様に、造形実績から、アルミニウム合金粉末のZn、Mg量については、積層造形体の成分目標値よりも2割ほど高めに設定する。
以下、本発明の実施例と比較例とを対比して説明する。なお、積層造形体の機械的性質に及ぼす各種元素の影響については、ビッカース硬さを用いて記載する。
レーザー積層造形体は、厚み20mm、幅120mm、積層高さ120mmの平板の素材から評価用の試験片を切り出して、熱処理(465℃×2時間⇒WQ(水焼き入れ)⇒112℃×6時間⇒178℃×8時間)を施して成分の影響を確認した。この熱処理条件は、7075素材において行われる代表的なT73条件(応力腐食割れ対策を考慮した熱処理)に準じたものである。
図1は、従来の7075合金の積層造形材の内部に見られる割れを示す写真図である。図1に示すように、割れは金属組織を貫いて積層造形方向に平行に走っている。
表1、図2に(Al-2.5Mg-1.9Cu-XSi-5.7Zn)合金積層造形体の硬さを示す。比較例1~4に示すSi含有量の少ない7075相当合金では、ビッカース硬さ(以下実施例では硬さと略す)は150Hv以上の高い値を示す。一方、比較例5~7に示すように、Si量の増加とともに、合金積層造形体の硬さは大きく低下している。特に、Siの含有量が約0.65重量%を超えるあたり(例えば、比較例4)から、合金積層造形体の硬さが大きく低下している。CuとZnが7075合金相当含まれているにも関わらずこのように硬さが低下するのは、フリーMg([Mg重量%]-1.73[Si重量%])が減少し、Zn-Mg系析出物の生成が抑制されることに起因する。一方、比較例1~4では割れが合金積層造形体中に発生することから、硬さが150Hv以上であっても実用上使用できない。
表2、図3に(Al-5Mg-1.6Cu-1.9Si-X%Zn)合金積層造形体の硬さを示す。比較例8,9、及び、実施例1~6は、フリーのMgを1.7重量%以上含む。例えば、実施例1~6のように、Znを4.0重量%以上含む場合は、硬さは150Hv以上の高い値を示している。一方、比較例8,9のように、Znを4.0重量%より少なく含む場合は、硬さは140Hv以下である。
表3、図4に(Al-5Mg-X%Cu-1.7Si-6.0Zn)合金積層造形体の硬さを示す。比較例10,11、及び、実施例7~10は、フリーMgを2.1重量%程度含む。一方、フリーMgを十分含んでいても、比較例10,11に示すように、Cuを0.3重量%未満しか含まない場合は、硬さは150Hv未満である。
表4、図5に(Al-X%Mg-1.1Si-1.9Cu-5.9Zn)合金積層造形体の硬さを示す。比較例12,13、及び、実施例11~14に示す例は、Cu及びZnを7075合金相当含み、またSiを1.1重量%含む。比較例12,13は、フリーMgが、1.4重量%未満と少ないため、硬さが150Hv未満である。一方、実施例11~14は、フリーMgを1.4重量%以上含むため、150Hv以上の高い硬さを示す。
表5、図6に(Al-X%Mg-1.8Si-1.9Cu-5.9Zn)合金積層造形体の硬さを示す。比較例14,15、及び、実施例15~18に示す例は、Cu及びZnを7075合金相当含み、またSiを1.8重量%含む。比較例14,15は、フリーMgが1.4重量%未満と少ないため、硬さが150Hv未満である。一方、実施例15~18は、フリーMgを1.4重量%以上含むため、150Hv以上の高い硬さを示す。
表6、図7に(Al-X%Mg-3.4Si-1.9Cu-5.9Zn)合金積層造形体の硬さを示す。比較例16,17、及び、実施例19~22に示す例は、Cu及びZnを7075合金相当含み、またSiを3.4重量%含む。比較例16,17は、フリーMgが1.4重量%未満と少ないため、硬さが150Hv未満である。一方、実施例19~22は、フリーMgを1.4重量%以上含むため、150Hv以上の高い硬さを示す。
Figure 0007388670000007
尚、表4~6の実施例11~22で示した、Siを1.1~3.8重量%添加した合金積層造形体では、いずれも割れは発生しなかった。
表7に(Al-5Mg-1.8Si-1.6Cu-5.9Zn)合金積層造形体の硬さに及ぼすMn及びCrの影響を示す。実施例23~26に示すように、Mn及びCrの総量が多くなるに従い、硬さが向上する。
Figure 0007388670000008
表8に(Al-5Mg-1.8Si-1.6Cu-5.9Zn)合金積層造形体の硬さに及ぼすTi及びZrの影響を示す。実施例27~29に示す例は、同等のMn及びCrを含む実施例24(表7)に比較してTi、Zrの総量が多くなってもほとんど硬さに変化はない。
Figure 0007388670000009
表9に(Al-5Mg-1.8Si-1.6Cu-5.9Zn)合金積層造形体の硬さに及ぼすTi及びBの影響を示す。実施例30~32に示す例は、同等のMn及びCrを含む実施例24(表7)に比較してTi、Bの量が多くなってもほとんど硬さに変化はない。
Figure 0007388670000010
表10に(Al-5Mg-1.8Si-1.9Cu-5.9Zn)合金積層造形体の硬さと、大気中の熱処理後の積層造形材の色調の変化を示す。実施例33~36に示すように、Beが添加されることで、黒褐色になりにくい。
Figure 0007388670000011
図8に(Al-7Mg-1.5Cu-3.2Si-6.5Zn-0.18Ti-0.35Zr)合金積層造形体にT73処理を行った際のミクロ組織の変化を示す。いずれの金属組織中にも割れは観察されない。同合金造形体の熱処理は、以下のように、溶体化処理時間が異なるT73処理である。
465℃×(0、1、2、24)時間⇒水焼き入れ⇒112℃×6時間⇒178℃×8時間
熱処理をしない場合(図8(a))、Mg-Si系化合物は網目状の形態を示している。溶体化処理を施すことで、Mg-Si系化合物は粒状化し、溶体化処理時間の増加とともにその化合物のサイズが粗大化していくのが判る(図8(b)~(d))。溶体化処理時間を24時間(図8(d))行った場合、Mg-Si系化合物は大きいもので5μmに近いところまで到達している。粒の最大長径の測定は、光学顕微鏡により無作為に求められた面積0.01mmの視野を3箇所選択し、それぞれの視野に観察された最大サイズを平均したものとする。
尚、熱処理前の時点(図8(a))において、Mg-Si系化合物のほとんどは連結した状態(A)にあるが、積層造形時の溶融熱により、ごく一部にはすでに粒状化した状態(B)を含む。しかし、400℃を超える溶体化処理を含む熱処理を行うことによりMg-Si系化合物がすべて粒状化する(図8(b)~(d))。熱処理前に粒状化していた状態(B)はさらに粗大化し、連結していた状態(A)は不連続になり粒状化する。Mg-Si系化合物の最大長径のサイズは、溶体化処理時間の延長とともに粗大化する(図8(b)~(d))。粒状のMg-Si系化合物の形状は、球形、多角形、楕円形等様々である。
表11に(Al-5.1Mg-1.8Si-1.6Cu-5.9Zn-1.0Mn)合金積層造形体の硬さに及ぼすScの影響を示す。実施例37~39に示すように、Scの添加量が多くなる従い、硬さが向上する。
Figure 0007388670000012
表12に(Al-5Mg-1.8Si-1.6Cu-5.9Zn)合金積層造形体の硬さに及ぼすSrの影響を示す。T73処理をした実施例40~42に示す例は、同等のMn、Crを含む実施例24(表7)とほとんど同等の硬さである約200Hvを示す。また、実施例43に示す熱処理をしない場合でも150Hvを超える高い硬さを示す。また、そのMg-Si系化合物の形態は微細粒状である。
Figure 0007388670000013
表13に(Al-7Mg-1.5Cu-3.2Si-6.5Zn-0.15Ti-0.35Zr)合金積層造形体のT73処理材の引張特性の一例を示す。熱処理条件は、以下である。
465℃×(1、24)時間⇒水焼き入れ⇒112℃×6時間⇒178℃×8時間
引張試験においては、JIS14号A試験片を用い、クロスヘッド変位速度は1mm/min、標点の径は6mm、標点間距離は30mmとした。実施例44,45に示す例は、T73処理材でありながら、いずれも500MPaを超える高い引張強さを示している。このことは、Znとの析出物を形成するフリーMgを確保して、所定元素を一定量含めば、従来7075材相当の性質は確保できることが確認された。溶体化時間が短くMg-Si系化合物が小さいほど高い引張強さを示している。強化機構については明確ではないが、微細Mg-Si系化合物による分散強化、時効処理前の積層造形体からの析出強化などが考えられる。
Figure 0007388670000014
なお、合金の熱処理条件は、希望する特性により選択することができる。また、合金の最終凝固温度は、本願の合金の組成の範囲のなかで、微妙に異なるものであるため、熱分析の測定結果に基づき凝固点以下で選択されることが好ましい。溶体化温度が高ければ、Mg-Si系化合物は短時間で機械的性質に悪影響を及ぼすほど粒状粗大化することがあるため、時間管理は注意が必要である。ちなみに(Al-7Mg-1.5Cu-3.2Si-6.5Zn-0.15Ti-0.35Zr)合金積層造形体では500℃近くまで溶体化処理が可能であった。
図9は、第1実施形態に係るアルミニウム合金積層造形体が含むSi量に応じたMg量を示すグラフである。第1実施形態に係るアルミニウム合金積層造形体は、Si量に応じて、Mgを(1.4+1.73×[Si重量%])~(3.7+1.73×[Si重量%])重量%含有する。図9には、アルミニウム合金積層造形体がSiを1.0~4.0重量%含む場合において、Mgを含み得る量(重量%)の範囲を、図中の斜線領域で示す。図9の斜線領域は、点PS1,PS2,PS3,PS4で囲まれる領域である。
図9の点PS1は、アルミニウム合金積層造形体が、Siを1.00重量%含み、Mgを3.13重量%含む場合を示す。図9の点PS2は、アルミニウム合金積層造形体が、Siを1.00重量%含み、Mgを5.43重量%含む場合を示す。例えば、第1実施形態に係るアルミニウム合金積層造形体が、Siを1.0重量%含む場合は、Mgは3.1重量%~5.4重量%の範囲で含まれる。
図9の点PS3は、アルミニウム合金積層造形体が、Siを4.00重量%含み、Mgを8.32重量%含む場合を示す。図9の点PS4は、アルミニウム合金積層造形体が、Siを4.00重量%含み、Mgを10.62重量%含む場合を示す。例えば、第1実施形態に係るアルミニウム合金積層造形体が、Siを4.0重量%含む場合は、Mgは8.3重量%~10.6重量%の範囲で含まれる。
図10は、第2、第3実施形態に係るアルミニウム合金粉末が含むSi量に応じたMg量を示すグラフである。第2、第3実施形態に係るアルミニウム合金粉末は、Si量に応じて、Mgを1.2×(1.4+1.73[Si重量%])~1.2×(3.7+1.73[Si重量%])重量%含有する。図10には、アルミニウム合金粉末がSiを1.0~4.0重量%含む場合において、Mgを含み得る量(重量%)の範囲を、図中の斜線領域で示す。図10の斜線領域は、点PP1,PP2,PP3,PP4で囲まれる領域である。
図10の点PP1は、アルミニウム合金粉末が、Siを1.00重量%含み、Mgを3.76重量%含む場合を示す。図10の点PP2は、アルミニウム合金粉末が、Siを1.00重量%含み、Mgを6.52重量%含む場合を示す。例えば、第2、第3実施形態に係るアルミニウム合金粉末が、Siを1.0重量%含む場合は、Mgは3.8重量%~6.5重量%の範囲で含まれる。
図10の点PP3は、アルミニウム合金粉末が、Siを4.00重量%含み、Mgを9.98重量%含む場合を示す。図10の点PP4は、アルミニウム合金粉末が、Siを4.00重量%含み、Mgを12.74重量%含む場合を示す。例えば、第2、第3実施形態に係るアルミニウム合金粉末が、Siを4.0重量%含む場合は、Mgは10.0重量%~12.7重量%の範囲で含まれる。

Claims (8)

  1. 総量が0.15重量%以下の不可避不純物、4.0~9.5重量%のZn、0.3~3.0重量%のCu、1.0~4.0重量%のSi、0.50重量%以下のFe、及び、Mgを含有し、残部がAlからなり、
    Si量に応じて、Mgを(1.4+1.73×[Si重量%])~(3.7+1.73×[Si重量%])重量%含有し、
    金属組織中に粒状のMg-Si系化合物が存在し、
    ビッカース硬さが150Hv以上であることを特徴とする
    アルミニウム合金積層造形体。
  2. 総量が0.15重量%以下の不可避不純物、4.0~9.5重量%のZn、0.3~3.0重量%のCu、1.0~4.0重量%のSi、0.50重量%以下のFe、Mg、並びに、3.0重量%以下のMn、0.3重量%以下のCr、0.5重量%以下のTi、0.5重量%以下のZr、0.1重量%以下のB、0.5重量%以下のSc、0.01重量%以下のBe、及び、0.05重量%以下のSrから選ばれた少なくとも一つの元素を含有し、残部がAlからなり、
    Si量に応じて、Mgを(1.4+1.73×[Si重量%])~(3.7+1.73×[Si重量%])重量%含有し、
    金属組織中に粒状のMg-Si系化合物が存在し、
    ビッカース硬さが150Hv以上であることを特徴とする
    アルミニウム合金積層造形体。
  3. Siの量が1.7~4.0重量%であることを特徴とする
    請求項1又は2記載のアルミニウム合金積層造形体。
  4. 前記粒状のMg-Si系化合物の最大長径が0.3μm~5.0μmの範囲であることを特徴とする
    請求項1又は2記載のアルミニウム合金積層造形体。
  5. 総量が0.15重量%以下の不可避不純物、4.8~11.4重量%のZn、0.3~3.0重量%のCu、1.0~4.0重量%のSi、0.50重量%以下のFe、及び、Mgを含有し、残部がAlからなり
    Si量に応じて、Mgを1.2×(1.4+1.73×[Si重量%])~1.2×(3.7+1.73×[Si重量%])重量%含有するアルミニウム合金粉末を金属積層造形法により造形し、
    その後、溶体化処理、焼き入れ、及び、時効処理を行い、
    請求項1記載のアルミニウム合金積層造形体を製造する
    アルミニウム合金積層造形体の製造方法。
  6. 総量が0.15重量%以下の不可避不純物、4.8~11.4重量%のZn、0.3~3.0重量%のCu、1.0~4.0重量%のSi、0.50重量%以下のFe、Mg、並びに、3.0重量%以下のMn、0.3重量%以下のCr、0.5重量%以下のTi、0.5重量%以下のZr、0.1重量%以下のB、0.5重量%以下のSc、0.01重量%以下のBe、及び、0.05重量%以下のSrから選ばれた少なくとも一つの元素を含有し、残部がAlからなり、
    Si量に応じて、Mgを1.2×(1.4+1.73×[Si重量%])~1.2×(3.7+1.73×[Si重量%])重量%含有するアルミニウム合金粉末を金属積層造形法により造形し、
    その後、溶体化処理、焼き入れ、及び、時効処理を行い、
    請求項2記載のアルミニウム合金積層造形体を製造する
    アルミニウム合金積層造形体の製造方法。
  7. 請求項1記載のアルミニウム合金積層造形体を製造するためのアルミニウム合金粉末であって、
    総量が0.15重量%以下の不可避不純物、4.8~11.4重量%のZn、0.3~3.0重量%のCu、1.0~4.0重量%のSi、0.50重量%以下のFe、及び、Mgを含有し、残部がAlからなり
    Si量に応じて、Mgを1.2×(1.4+1.73×[Si重量%])~1.2×(3.7+1.73×[Si重量%])重量%含有するアルミニウム合金粉末。
  8. 請求項2記載のアルミニウム合金積層造形体を製造するためのアルミニウム合金粉末であって、
    総量が0.15重量%以下の不可避不純物、4.8~11.4重量%のZn、0.3~3.0重量%のCu、1.0~4.0重量%のSi、0.50重量%以下のFe、Mg、並びに、3.0重量%以下のMn、0.3重量%以下のCr、0.5重量%以下のTi、0.5重量%以下のZr、0.1重量%以下のB、0.5重量%以下のSc、0.01重量%以下のBe、及び、0.05重量%以下のSrから選ばれた少なくとも一つの元素を含有し、残部がAlからなり、
    Si量に応じて、Mgを1.2×(1.4+1.73×[Si重量%])~1.2×(3.7+1.73×[Si重量%])重量%含有するアルミニウム合金粉末。
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