先ず、以下の説明で使用される文言について説明する。
CPUとは、“Central Processing Unit”の略称を指す。RAMとは、“Random Access Memory”の略称を指す。NVMとは、“Non-Volatile Memory”の略称を指す。ROMとは、“Read Only Memory”の略称を指す。EEPROMとは、“Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory”の略称を指す。SSDとは、“Solid State Drive”の略称を指す。USBとは、“Universal Serial Bus”の略称を指す。ASICとは、“Application Specific Integrated Circuit”の略称を指す。PLDとは、“Programmable Logic Device”の略称を指す。FPGAとは、“Field-Programmable Gate Array”の略称を指す。SoCとは、“System-on-a-chip”の略称を指す。ICとは、“Integrated circuit”の略称を指す。RFIDとは、“radio frequency identifier”の略称を指す。LTOとは、“Linear Tape-Open”の略称を指す。
以下の説明では、説明の便宜上、図1において、磁気テープカートリッジ10の磁気テープドライブ30(図4参照)への装填方向を矢印Aで示し、矢印A方向を磁気テープカートリッジ10の前方向とし、磁気テープカートリッジ10の前方向の側を磁気テープカートリッジ10の前側とする。以下の構造上の説明において、「前」とは、磁気テープカートリッジ10の前側を指す。
また、以下の説明では、説明の便宜上、図1において、矢印A方向と直交する矢印B方向を右方向とし、磁気テープカートリッジ10の右方向の側を磁気テープカートリッジ10の右側とする。以下の構造上の説明において、「右」とは、磁気テープカートリッジ10の右側を指す
また、以下の説明では、説明の便宜上、図1において、矢印A方向及び矢印B方向と直交する方向を矢印Cで示し、矢印C方向を磁気テープカートリッジ10の上方向とし、磁気テープカートリッジ10の上方向の側を磁気テープカートリッジ10の上側とする。以下の説明において、以下の構造上の説明において、「上」とは、磁気テープカートリッジ10の上側を指す。
また、以下の説明では、説明の便宜上、図1において、磁気テープカートリッジ10の前方向と逆の方向を磁気テープカートリッジ10の後方向とし、磁気テープカートリッジ10の後方向の側を、磁気テープカートリッジ10の後側とする。以下の構造上の説明において、「後」とは、磁気テープカートリッジ10の後側を指す。
また、以下の説明では、説明の便宜上、図1において、磁気テープカートリッジ10の上方向と逆の方向を磁気テープカートリッジ10の下方向とし、磁気テープカートリッジ10の下方向の側を磁気テープカートリッジ10の下側とする。以下の構造上の説明において、「下」とは、磁気テープカートリッジ10の下側を指す。
また、以下の説明では、磁気テープカートリッジ10の仕様としてLTOを例に挙げて説明する。また、以下の説明では、本開示の技術に係るLTOに対して、下記の表1に示す仕様が適用されていることを前提として説明するが、これはあくまでも一例に過ぎず、IBM3592の磁気テープカートリッジの仕様に準じていてもよい。
表1において、「REQA~SELCET系」とは、後述のポーリングコマンドを意味する。「REQA~SELCET系」には、少なくとも“Request A”というコマンド、“Request SN”というコマンド、及び“Select”というコマンドが含まれている。“Request A”は、カートリッジメモリに対して、如何なるタイプのカートリッジメモリであるかを問い合わせるコマンドである。本実施形態において“Request A”は、1種類であるが、これに限らず、複数種類であってもよい。“Request SN”は、カートリッジメモリに対して、シリアルナンバーを問い合わせるコマンドである。“Select”は、カートリッジメモリに対して読み書きの準備を予告するコマンドである。READ系は、後述の読出コマンドに相当するコマンドである。WRITE系は、後述の書込コマンドに相当するコマンドである。
[第1実施形態]
一例として図1に示すように、磁気テープカートリッジ10は、平面視略矩形であり、かつ、箱状のケース12を備えている。ケース12は、ポリカーボネート等の樹脂製であり、上ケース14及び下ケース16を備えている。上ケース14及び下ケース16は、上ケース14の下周縁面と下ケース16の上周縁面とを接触させた状態で、溶着(例えば、超音波溶着)及びビス止めによって接合されている。接合方法は、溶着及びビス止めに限らず、他の接合方法であってもよい。なお、磁気テープカートリッジ10は、本開示の技術に係る「磁気テープカートリッジ」の一例である。
ケース12の内部には、カートリッジリール18が回転可能に収容されている。カートリッジリール18は、リールハブ18A、上フランジ18B1、及び下フランジ18B2を備えている。リールハブ18Aは、円筒状に形成されている。リールハブ18Aは、カートリッジリール18の軸心部であり、軸心方向がケース12の上下方向に沿っており、ケース12の中央部に配置されている。上フランジ18B1及び下フランジ18B2の各々は円環状に形成されている。リールハブ18Aの上端部には上フランジ18B1の平面視中央部が固定されており、リールハブ18Aの下端部には下フランジ18B2の平面視中央部が固定されている。リールハブ18Aの外周面には、磁気テープMTが巻き回されており、磁気テープMTの幅方向の端部は上フランジ18B1及び下フランジ18B2によって保持されている。なお、リールハブ18A及び下フランジ18B2は一体として成型されていてもよい。磁気テープMTは、本開示の技術に係る「磁気テープ」の一例である。
ケース12の右壁12Aの前側には、開口12Bが形成されている。磁気テープMTは、開口12Bから引き出される。
一例として図2に示すように、下ケース16の右後端部には、カートリッジメモリ19が収容されている。カートリッジメモリ19は、本開示の技術に係る「非接触式通信媒体」の一例である。本実施形態では、いわゆるパッシブ型のRFIDタグがカートリッジメモリ19として採用されている。
カートリッジメモリ19には、管理情報100(図10参照)が記憶されている。管理情報100は、磁気テープカートリッジ10を管理する情報である。管理情報100としては、例えば、磁気テープカートリッジ10を特定可能な識別情報、磁気テープMTの記録容量、磁気テープMTに記録されている情報(以下、「記録情報」とも称する)の概要、記録情報の項目、及び記録情報の記録形式等を示す情報が挙げられる。なお、管理情報100は、本開示の技術に係る「第1情報」、「第2情報」、及び「磁気テープに関する情報」の一例である。
カートリッジメモリ19は、非接触式で外部装置(図示省略)と通信を行う。外部装置としては、例えば、磁気テープカートリッジ10の生産工程で使用される読み書き装置、及び、磁気テープドライブ(例えば、図4に示す磁気テープドライブ30)内で使用される読み書き装置(例えば、図4~図6に示す非接触式読み書き装置50)が挙げられる。
外部装置は、カートリッジメモリ19に対して、非接触式で各種情報の読み書きを行う。詳しくは後述するが、カートリッジメモリ19は、外部装置から与えられた磁界に対して電磁的に作用することで電力を生成する。そして、カートリッジメモリ19は、生成した電力を用いて作動し、磁界を介して外部装置と通信を行うことで外部装置との間で各種情報の授受を行う。なお、通信方式は、例えば、ISO14443又はISO18092等の公知の規格に準じる方式であってもよいし、ECMA319のLTO仕様に準じる方式等であってもよい。
一例として図2に示すように、下ケース16の右後端部の底板16Aの内面には、支持部材20が設けられている。支持部材20は、カートリッジメモリ19を傾斜させた状態で下方から支持する一対の傾斜台である。一対の傾斜台は、第1傾斜台20A及び第2傾斜台20Bである。第1傾斜台20A及び第2傾斜台20Bは、ケース12の左右方向に間隔を隔てて配置されており、下ケース16の後壁16Bの内面及び底板16Aの内面に一体化されている。第1傾斜台20Aは、傾斜面20A1を有しており、傾斜面20A1は、後壁16Bの内面から底板16Aの内面に向けて下り傾斜している。また、傾斜面20B1も、後壁16Bの内面から底板16Aの内面に向けて下り傾斜している。
支持部材20の前方側には、一対の位置規制リブ22が左右方向に間隔を隔てて配置されている。一対の位置規制リブ22は、底板16Aの内面に立設されており、支持部材20に配置された状態のカートリッジメモリ19の下端部の位置を規制する。
一例として図3に示すように、底板16Aの外面には基準面16A1が形成されている。基準面16A1は、平面である。ここで、平面とは、底板16Aを下側にして下ケース16を水平面に置いた場合において、水平面に対して平行な面を指す。支持部材20の傾斜角度θ、すなわち、傾斜面20A1及び傾斜面20B1の傾斜角は、基準面16A1に対して45度である。なお、45度は、あくまでも一例に過ぎず、“0度<傾斜角度θ<45度”であってもよいし、45度以上であってもよい。
カートリッジメモリ19は、基板26を備えている。基板26は、基板26の裏面26Aを下側に向けて支持部材20上に置かれ、支持部材20は、基板26の裏面26Aを下方から支持する。基板26の裏面26Aの一部は、支持部材20の傾斜面、すなわち、傾斜面20A1及び20B1に接触しており、基板26の表面26Bは、天板14Aの内面14A1側に露出している。
上ケース14は、複数のリブ24を備えている。複数のリブ24は、ケース12の左右方向に間隔を隔てて配置されている。複数のリブ24は、上ケース14の天板14Aの内面14A1から下側に突設されており、各リブ24の先端面24Aは、傾斜面20A1及び20B1に対応した傾斜面を有する。すなわち、各リブ24の先端面24Aは、基準面16A1に対して45度に傾斜している。
カートリッジメモリ19が支持部材20に配置された状態で、上述したように上ケース14が下ケース16に接合されると、各リブ24の先端面24Aは、基板26に対して表面26B側から接触し、基板26は、各リブ24の先端面24Aと支持部材20の傾斜面とで挟み込まれる。これにより、カートリッジメモリ19の上下方向の位置がリブ24によって規制される。
一例として図4に示すように、磁気テープドライブ30は、搬送装置34、読取ヘッド36、及び制御装置38を備えている。磁気テープドライブ30には、磁気テープカートリッジ10が装填される。磁気テープドライブ30は、磁気テープカートリッジ10から磁気テープMTが引き出され、引き出された磁気テープMTから読取ヘッド36を用いて記録情報をリニアサーペンタイン方式で読み取る装置である。なお、本実施形態において、記録情報の読み取りとは、換言すると、記録情報の再生を指す。
制御装置38は、磁気テープドライブ30の全体を制御する。本実施形態において、制御装置38は、ASICによって実現されているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、制御装置38は、FPGAによって実現されるようにしてもよい。また、制御装置38は、CPU、ROM、及びRAMを含むコンピュータによって実現されるようにしてもよい。また、AISC、FPGA、及びコンピュータのうちの2つ以上を組み合わせて実現されるようにしてもよい。すなわち、制御装置38は、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現されるようにしてもよい。
搬送装置34は、磁気テープMTを順方向及び逆方向に選択的に搬送する装置であり、送出モータ40、巻取リール42、巻取モータ44、複数のガイドローラGR、及び制御装置38を備えている。
送出モータ40は、制御装置38の制御下で、磁気テープカートリッジ10内のカートリッジリール18を回転駆動させる。制御装置38は、送出モータ40を制御することで、カートリッジリール18の回転方向、回転速度、及び回転トルク等を制御する。
巻取モータ44は、制御装置38の制御下で、巻取リール42を回転駆動させる。制御装置38は、巻取モータ44を制御することで、巻取リール42の回転方向、回転速度、及び回転トルク等を制御する。
磁気テープMTが巻取リール42によって巻き取られる場合には、制御装置38によって、磁気テープMTを順方向に走行させるように送出モータ40及び巻取モータ44を回転させる。送出モータ40及び巻取モータ44の回転速度及び回転トルク等は、巻取リール42によって巻き取られる磁気テープMTの速度に応じて調整される。
磁気テープMTがカートリッジリール18に巻き戻される場合には、制御装置38によって、磁気テープMTを逆方向に走行させるように送出モータ40及び巻取モータ44を回転させる。送出モータ40及び巻取モータ44の回転速度及び回転トルク等は、巻取リール42によって巻き取られる磁気テープMTの速度に応じて調整される。
このようにして送出モータ40及び巻取モータ44の各々の回転速度及び回転トルク等が調整されることで、磁気テープMTに既定範囲内の張力が付与される。ここで、既定範囲内とは、例えば、磁気テープMTから読取ヘッド36によってデータが読取可能な張力の範囲として、コンピュータ・シミュレーション及び/又は実機による試験等により得られた張力の範囲を指す。
本実施形態では、送出モータ40及び巻取モータ44の回転速度及び回転トルク等が制御されることにより磁気テープMTの張力が制御されているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、磁気テープMTの張力は、ダンサローラを用いて制御されてもよいし、バキュームチャンバに磁気テープMTを引き込むことによって制御されるようにしてもよい。
複数のガイドローラGRの各々は、磁気テープMTを案内するローラである。磁気テープMTの走行経路は、複数のガイドローラGRが磁気テープカートリッジ10と巻取リール42との間において読取ヘッド36を跨ぐ位置に分けて配置されることによって定められている。
読取ヘッド36は、読取素子46及びホルダ48を備えている。読取素子46は、走行中の磁気テープMTに接触するようにホルダ48によって保持されており、搬送装置34によって搬送される磁気テープMTから記録情報を読み取る。
磁気テープドライブ30は、非接触式読み書き装置50を備えている。非接触式読み書き装置50は、本開示の技術に係る「通信先」及び「通信装置」の一例である。非接触式読み書き装置50は、磁気テープカートリッジ10が装填された状態の磁気テープカートリッジ10の下側にてカートリッジメモリ19の裏面26Aに正対するように配置されている。なお、磁気テープカートリッジ10が磁気テープドライブ30に装填された状態とは、例えば、磁気テープカートリッジ10が読取ヘッド36による磁気テープMTに対する記録情報の読み取りを開始する位置として事前に定められた位置に到達した状態を指す。
一例として図5に示すように、非接触式読み書き装置50は、磁気テープカートリッジ10の下側からカートリッジメモリ19に向けて磁界MFを放出する。磁界MFは、カートリッジメモリ19を貫通する。なお、磁界MFは、本開示の技術に係る「外部磁界」の一例である。
一例として図6に示すように、非接触式読み書き装置50は、制御装置38に接続されている。制御装置38は、カートリッジメモリ19を制御する制御信号を非接触式読み書き装置50に出力する。非接触式読み書き装置50は、制御装置38から入力された制御信号に従って、磁界MFをカートリッジメモリ19に向けて放出する。磁界MFは、カートリッジメモリ19の裏面26A側から表面26B側に貫通する。
非接触式読み書き装置50は、制御装置38の制御下で、コマンド信号をカートリッジメモリ19に空間伝送する。詳しく後述するが、コマンド信号は、カートリッジメモリ19に対する指令を示す信号である。コマンド信号が非接触式読み書き装置50からカートリッジメモリ19に空間伝送される場合、磁界MFには、制御装置38からの指示に従って非接触式読み書き装置50によってコマンド信号が含まれる。換言すると、磁界MFには、コマンド信号が重畳される。すなわち、非接触式読み書き装置50は、制御装置38の制御下で、磁界MFを介してコマンド信号をカートリッジメモリ19に送信する。なお、コマンド信号は、本開示の技術に係る「コマンド」の一例である。
カートリッジメモリ19の表面26Bには、ICチップ52及びコンデンサ54が搭載されている。ICチップ52及びコンデンサ54は、表面26Bに接着されている。また、カートリッジメモリ19の表面26Bにおいて、ICチップ52及びコンデンサ54は封止材56によって封止されている。ここでは、封止材56として、紫外線に反応して硬化する紫外線硬化樹脂が採用されている。なお、紫外線硬化樹脂は、あくまでも一例に過ぎず、紫外線以外の波長域の光に反応して効果する光硬化樹脂を封止材56として使用してもよいし、熱硬化性樹脂を封止材56として使用してもよいし、接着剤を封止材56として使用してもよい。
一例として図7に示すように、カートリッジメモリ19の裏面26Aには、コイル60がループ状に形成されている。ここでは、コイル60の素材として、銅箔が採用されている。銅箔は、あくまでも一例に過ぎず、例えば、アルミニウム箔等の他種類の導電性素材であってもよい。コイル60は、非接触式読み書き装置50から与えられた磁界MF(図5及び図6参照)が作用することで誘導電流を誘起する。なお、コイル60は、本開示の技術に係る「コイル」の一例である。
カートリッジメモリ19の裏面26Aには、第1導通部62A及び第2導通部62Bが設けられている。第1導通部62A及び第2導通部62Bは、はんだを有しており、表面26BのICチップ52(図6及び図8参照)及びコンデンサ54(図6及び図8参照)に対してコイル60の両端部を電気的に接続している。
一例として図8に示すように、カートリッジメモリ19の表面26Bにおいて、ICチップ52及びコンデンサ54は、ワイヤ接続方式で互いに電気的に接続されている。具体的には、ICチップ52の正極端子及び負極端子のうちの一方の端子が配線64Aを介して第1導通部62Aに接続されており、他方の端子が配線64Bを介して第2導通部62Bに接続されている。また、コンデンサ54は、一対の電極を有する。図8に示す例では、一対の電極は、電極54A及び54Bである。電極54Aは、配線64Cを介して第1導通部62Aに接続されており、電極54Bは、配線64Dを介して第2導通部62Bに接続されている。これにより、コイル60に対して、ICチップ52及びコンデンサ54は並列に接続される。
一例として図9に示すように、ICチップ52は、内蔵コンデンサ80、電源回路82、コンピュータ84、クロック信号生成器86、信号処理回路88、及び磁界強度測定回路90を備えている。ICチップ52は、磁気テープカートリッジ10以外の用途にも使用可能な汎用タイプのICチップであり、磁気テープカートリッジ用プログラムがインストールされることによって磁気テープカートリッジ用演算装置として機能する。なお、磁気テープカートリッジ用プログラムの一例としては、後述の動作モード設定処理プログラム102が挙げられる。また、クロック信号生成器86は、本開示の技術に係る「クロック信号生成器」の一例である。
また、カートリッジメモリ19は、電力生成器70を備えている。電力生成器70は、非接触式読み書き装置50から与えられた磁界MFがコイル60に対して作用することで電力を生成する。具体的には、電力生成器70は、共振回路92を用いて交流電力を生成し、生成した交流電力を直流電力に変換して出力する。なお、電力生成器70は、本開示の技術に係る「電力生成器」の一例である。
電力生成器70は、共振回路92及び電源回路82を有する。共振回路92は、コンデンサ54、コイル60、及び内蔵コンデンサ80を備えている。内蔵コンデンサ80は、ICチップ52に内蔵されているコンデンサであり、電源回路82もICチップ52に内蔵されている回路である。内蔵コンデンサ80は、コイル60に対して並列に接続されている。
コンデンサ54は、ICチップ52に対して外付けされたコンデンサである。ICチップ52は、本来、磁気テープカートリッジ10とは異なる用途でも用いることが可能な汎用のICチップである。そのため、内蔵コンデンサ80の容量は、磁気テープカートリッジ10で用いられるカートリッジメモリ19で要求される共振周波数を実現するには不足している場合がある。そこで、カートリッジメモリ19では、磁界MFが作用することで共振回路92を予め定められた共振周波数で共振させる上で必要な容量値を有するコンデンサとして、ICチップ52に対してコンデンサ54が後付けされている。なお、予め定められた共振周波数に相当する周波数は、例えば、13.56MHzであり、カートリッジメモリ19及び/又は非接触式読み書き装置50の仕様等によって適宜決定されればよい。また、コンデンサ54の容量は、内蔵コンデンサ80の容量の実測値に基づいて定められている。
共振回路92は、磁界MFがコイル60を貫通することでコイル60によって誘起された誘導電流を用いて、予め定められた共振周波数の共振現象を発生させることで交流電力を生成し、生成した交流電力を電源回路82に出力する。
電源回路82は、整流回路及び平滑回路等を有する。整流回路は、複数のダイオードを有する全波整流回路である。全波整流回路は、あくまでも一例に過ぎず、半波整流回路であってもよい。平滑回路は、コンデンサ及び抵抗を含んで構成されている。電源回路82は、共振回路92から入力された交流電力を直流電力に変換し、変換して得た直流電力(以下、単に「電力」とも称する)をICチップ52内の各種の駆動素子に供給する。各種の駆動素子としては、コンピュータ84、クロック信号生成器86、信号処理回路88、及び磁界強度測定回路90が挙げられる。このように、ICチップ52内の各種の駆動素子に対して電力が電力生成器70によって供給されることで、ICチップ52は、電力生成器70によって生成された電力を用いて動作する。
コンピュータ84は、本開示の技術に係る「コンピュータ」の一例であり、カートリッジメモリ19の全体を制御する。コンピュータ84は、管理情報100(図10参照)を保持している。
クロック信号生成器86は、クロック信号を生成して各種の駆動素子に出力する。各種の駆動素子は、クロック信号生成器86から入力されたクロック信号に従って動作する。詳しくは後述するが、クロック信号生成器86は、コンピュータ84の指示に従って、クロック信号の周波数(以下、「クロック周波数」とも称する)を変更する。クロック信号生成器86では、基準となるクロック周波数(以下、「基準クロック周波数」と称する)として磁界MFの周波数と同一の周波数が用いられており、基準クロック周波数に基づいて異なるクロック周波数のクロック信号が生成される。本実施形態において、クロック信号生成器86は、第1周波数~第3周波数のクロック信号を選択的に生成する。第1周波数は、基準クロック周波数と同じ周波数であり、第2周波数は、基準クロック周波数の1/2の周波数であり、第3周波数は、基準クロック周波数の1/4の周波数である(図11参照)。つまり、クロック周波数は、第1周波数よりも第2周波数の方が低く、第2周波数よりも第3周波数の方が低い。なお、クロック信号は、本開示の技術に係る「クロック信号」の一例である。
信号処理回路88は、共振回路92に接続されている。信号処理回路88は、復号回路(図示省略)及び符号化回路(図示省略)を有する。信号処理回路88の復号回路は、コイル60によって受信された磁界MFからコマンド信号を抽出して復号し、コンピュータ84に出力する。コンピュータ84は、コマンド信号に対する応答信号を信号処理回路88に出力する。すなわち、コンピュータ84は、信号処理回路88から入力されたコマンド信号に応じた処理を実行し、処理結果を応答信号として信号処理回路88に出力する。信号処理回路88では、コンピュータ84から応答信号が入力されると、信号処理回路88の符号化回路は、応答信号を符号化することで変調して共振回路92に出力する。共振回路92のコイル60は、信号処理回路88の符号化回路から入力された応答信号を、磁界MFを介して非接触式読み書き装置50に送信する。すなわち、カートリッジメモリ19から非接触式読み書き装置50に応答信号が送信される場合、磁界MFには、応答信号が含まれる。換言すると、磁界MFには応答信号が重畳される。
磁界強度測定回路90は、電源回路82によって生成された電力に基づいて磁界MFの強度を測定する。電源回路82によって生成された電力は、共振回路92に与えられる磁界MFの強度が大きいほど制限範囲内で大きくなる。磁界強度測定回路90は、電源回路82によって生成された電力と共振回路92に与えられる磁界MFの強度との相関に基づいて、電源回路82によって生成された電力に応じた出力レベルの信号を出力する。つまり、磁界強度測定回路90は、電源回路82によって生成された電力を測定し、測定結果に基づいて磁界MFの強度を示す磁界強度信号を生成してコンピュータ84に出力する。これにより、コンピュータ84は、磁界強度測定回路90から入力された磁界強度信号に応じた処理を実行することが可能となる。
一例として図10に示すように、コンピュータ84は、CPU94、NVM96、及びRAM98を備えている。CPU94、NVM96、及びRAM98は、バス99に接続されている。また、バス99には、クロック信号生成器86、信号処理回路88、及び磁界強度測定回路90も接続されている。なお、CPU94は、本開示の技術に係る「プロセッサ」の一例である。
NVM96は、本開示の技術に係る「第1メモリ」、「第2メモリ」、及び「第3メモリ」の一例である。ここでは、NVM96として、EEPROMが採用されている。EEPROMは、これはあくまでも一例に過ぎず、例えば、EEPROMに代えて強誘電体メモリであってもよく、ICチップ52に搭載可能な不揮発性メモリであれば如何なるメモリであってもよい。
NVM96には、管理情報100が記憶されている。CPU94は、信号処理回路88から入力されたコマンド信号に応じて、ポーリング処理、読出処理、及び書込処理を選択的に行う。ポーリング処理は、非接触式読み書き装置50との間で通信を確立する処理であり、例えば、読出処理及び書込処理の前段階の準備処理として行われる。読出処理は、NVM96から管理情報100等を読み出す処理である。書込処理は、NVM96に管理情報100等を書き込む処理である。ポーリング処理、読出処理、及び書込処理(以下、区別して説明する必要がない場合、「各種処理」と称する)は何れも、クロック信号生成器86によって生成されたクロック信号に従ってCPU94によって行われる。すなわち、CPU94は、各種処理をクロック周波数に応じた処理速度で行う。
従って、クロック周波数が高いほど処理速度は速まる。処理速度が速まるということは、CPU94にかかる負荷が大きくなり、消費電力も大きくなる。また、管理情報100等の情報量が多くなるほど、CPU94による読出処理及び書込処理の実行時間が長くなり、電源回路82からCPU94等に供給される電力が不足してしまう虞がある。
CPU94にかかる負荷が大きくなる一因としては、非接触式読み書き装置50からカートリッジメモリ19に対するコマンド信号の送信が完了してから、カートリッジメモリ19によるコマンド信号に対する応答信号の送信が開始するまでに要する時間(以下、「レスポンスタイム」とも称する)が短くなることが挙げられる。レスポンスタイムが短いいほど、カートリッジメモリ19の高速動作が必要となり、クロック周波数を高くして処理することになると消費電力が大きくなる。なお、一般的に、レスポンスタイムと、非接触式読み書き装置50とカートリッジメモリ19との間の最大通信距離とはトレードオフの関係にあることが知られている。なお、レスポンスタイムは、本開示の技術に係る「レスポンスタイム」の一例である。
カートリッジメモリ19では、消費電力の増大を抑制するために、CPU94によって動作モード設定処理が実行される。動作モード設定処理は、レスポンスタイムを、標準的なレスポンスタイムとして予め定められた時間よりも長くする処理である。ここで、標準的なレスポンスタイムとして予め定められた時間は、本開示の技術に係る「第1既定時間」の一例である。以下、動作モード設定処理について説明する。
NVM96には、動作モード設定処理プログラム102が記憶されている。CPU94は、NVM96から動作モード設定処理プログラム102を読み出し、RAM98上で動作モード設定処理プログラム102を実行する。動作モード設定処理は、CPU94によって動作モード設定処理プログラム102が実行されることで実現される。
一例として図11に示すように、CPU94は、動作モード設定処理を実行することで、カートリッジメモリ19の動作モード(以下、単に「動作モード」とも称する)をコマンド信号に応じた動作モードに設定し、動作モードに応じたクロック周波数を設定する。CPU94は、コマンド信号に応じて動作モードを変更することで、コマンド(例えば、1つのコマンド)に対する処理の開始から終了するまでに要する処理時間(以下、単に「処理時間」とも称する)を既定時間よりも長くする。このように、CPU94は、処理時間を既定時間よりも長くすることで、上述したレスポンスタイムを、標準的なレスポンスタイムとして予め定められた時間よりも長くする。ここで、既定時間は、本開示の技術に係る「第2既定時間」の一例である。
CPU94は、動作モードに応じたクロック周波数を設定することで、クロック周波数を変更する。具体的には、CPU94は、処理時間を長くするほどクロック周波数を低くする。
動作モードは、信号処理回路88からCPU94に入力されるコマンド信号により示されるコマンドに応じて設定される。コマンド信号により示されるコマンドは、ポーリングコマンド、読出コマンド、又は書込コマンドである。コマンド信号により示されるコマンドがポーリングコマンドの場合、CPU94は、ポーリング処理を実行し、コマンド信号により示されるコマンドが読出コマンドの場合、CPU94は、読出処理を実行し、コマンド信号により示されるコマンドが書込コマンドの場合、CPU94は、書込処理を実行する。なお、ここでは、説明の便宜上、ポーリング信号として1種類の信号を例示しているが、ポーリング信号は、複数種類の信号であってもよい。
CPU94は、動作モードとして、長時間処理モード、中時間処理モード、及び短時間処理モードの何れかを設定することで、処理時間の長さを調節する。処理時間は、長時間、中時間、及び短時間の何れかである。長時間とは、中時間よりも長い時間を指し、短時間とは、中時間よりも短い時間を指す。長時間処理モードでは、CPU94によるコマンドに対する処理に要する時間が長時間となり、中時間処理モードでは、CPU94によるコマンドに対する処理に要する時間が中時間となり、短時間処理モードでは、CPU94によるコマンドに対する処理に要する時間が短時間となる。
図11に示す例では、コマンド信号により示されるコマンドがポーリングコマンドの場合に、CPU94は、動作モードとして、短時間処理モードを設定し、コマンド信号により示されるコマンドが書込コマンドの場合に、CPU94は、中時間処理モードを設定し、コマンド信号により示されるコマンドが読出コマンドの場合に、CPU94は、長時間処理モードを設定する。
CPU94は、動作モードとして短時間処理モードを設定した場合に、クロック周波数として第1周波数を設定する。すなわち、CPU94は、動作モードとして短時間処理モードを設定した場合に、クロック信号生成器86に対して第1周波数のクロック信号が生成させるようにクロック信号生成器86を制御する。
CPU94は、動作モードとして中時間処理モードを設定した場合に、クロック周波数として第2周波数を設定する。すなわち、CPU94は、動作モードとして中時間処理モードを設定した場合に、クロック信号生成器86に対して第2周波数のクロック信号が生成させるようにクロック信号生成器86を制御する。
CPU94は、動作モードとして長時間処理モードを設定した場合に、クロック周波数として第3周波数を設定する。すなわち、CPU94は、動作モードとして長時間処理モードを設定した場合に、クロック信号生成器86に対して第3周波数のクロック信号が生成させるようにクロック信号生成器86を制御する。
なお、動作モードが短時間処理モードから中時間処理モードに移行する場合、短時間が本開示の技術に係る「第2既定時間」の一例であり、短時間に相当するレスポンスタイムが、上述した標準的なレスポンスタイムとして予め定められた時間、すなわち、本開示の技術に係る「第1既定時間」の一例である。また、動作モードが中時間処理モードから長時間処理モードに移行する場合、中時間が本開示の技術に係る「第2既定時間」の一例であり、中時間に相当するレスポンスタイムが、上述した標準的なレスポンスタイムとして予め定められた時間、すなわち、本開示の技術に係る「第1既定時間」の一例である。このようにして動作モードが短時間処理モードから中時間処理モードに移行されたり、中時間処理モードから長時間処理モードに移行されたりすることで、結果的に、これに伴ってレスポンスタイムも長くなる。
次に、カートリッジメモリ19の作用について、図12A~図12Cを参照して説明する。
図12A~図12Cには、CPU94によって実行される動作モード設定処理の流れの一例が示されている。以下の動作モード設定処理の説明では、説明の便宜上、電源回路82から各種の駆動素子に電力が供給されていることを前提としている。また、以下の動作モード設定処理の説明では、説明の便宜上、コマンド信号により示されるコマンドがポーリングコマンド、読出コマンド、又は書込コマンドの何れかであることを前提としている。更に、以下の動作モード設定処理の説明では、説明の便宜上、動作モードとして長時間処理モード、中時間処理モード、又は、短時間処理モードが設定されていることを前提としている。
図12Aに示す動作モード設定処理では、先ず、ステップST12で、CPU94は、信号処理回路88によってコマンド信号が受信された否かを判定する。ステップST12において、信号処理回路88によってコマンド信号が受信された場合は、判定が肯定されて、動作モード設定処理はステップST14へ移行する。ステップST12において、信号処理回路88によってコマンド信号が受信されていない場合は、判定が否定されて、動作モード設定処理はステップST26へ移行する。
ステップST14で、CPU94は、ステップST12で信号処理回路88によって受信されたコマンド信号により示されるコマンドがポーリングコマンドであるか否かを判定する。ステップST14において、信号処理回路88によって受信されたコマンド信号により示されるコマンドがポーリングコマンドでない場合は、判定が否定されて、動作モード設定処理は、図12Bに示すステップST28へ移行する。ステップST14において、信号処理回路88によって受信されたコマンド信号により示されるコマンドがポーリングコマンドである場合は、判定が肯定されて、動作モード設定処理はステップST16へ移行する。
ステップST16で、CPU94は、現時点で設定されている動作モードが長時間処理モード又は中時間処理モードであるか否かを判定する。ステップST16において、現時点で設定されている動作モードが長時間処理モード又は中時間処理モードでない場合(現時点で設定されている動作モードが短時間処理モードの場合)は、判定が否定されて、動作モード設定処理はステップST22へ移行する。ステップST16において、現時点で設定されている動作モードが長時間処理モード又は中時間処理モードである場合は、判定が肯定されて、動作モード設定処理はステップST18へ移行する。
ステップST18で、CPU94は、動作モードを短時間処理モードへ移行し、その後、動作モード設定処理はステップST20へ移行する。
ステップST20で、CPU94は、クロック周波数を第1周波数に設定し、その後、動作モード設定処理はステップST22へ移行する。
一方、図12Bに示すステップST28で、CPU94は、ステップST12で信号処理回路88によって受信されたコマンド信号により示されるコマンドが書込コマンドであるか否かを判定する。ステップST28において、信号処理回路88によって受信されたコマンド信号により示されるコマンドが書込コマンドでない場合(信号処理回路88によって受信されたコマンド信号により示されるコマンドが読出コマンドである場合)は、判定が否定されて、動作モード設定処理は、図12Cに示すステップST36へ移行する。ステップST28において、信号処理回路88によって受信されたコマンド信号により示されるコマンドが読出コマンドである場合は、判定が肯定されて、動作モード設定処理はステップST30へ移行する。
ステップST30で、CPU94は、現時点で設定されている動作モードが長時間処理モード又は短時間処理モードであるか否かを判定する。ステップST30において、現時点で設定されている動作モードが長時間処理モード又は短時間処理モードでない場合(現時点で設定されている動作モードが中時間処理モードの場合)は、判定が否定されて、動作モード設定処理は、図12Aに示すステップST22へ移行する。ステップST30において、現時点で設定されている動作モードが長時間処理モード又は短時間処理モードである場合は、判定が肯定されて、動作モード設定処理はステップST32へ移行する。
ステップST32で、CPU94は、動作モードを中時間処理モードへ移行し、その後、動作モード設定処理はステップST34へ移行する。
ステップST34で、CPU94は、クロック周波数を第2周波数に設定し、その後、動作モード設定処理は、図12Aに示すステップST22へ移行する。
一方、図12Cに示すステップST36で、CPU94は、現時点で設定されている動作モードが中時間処理モード又は短時間処理モードであるか否かを判定する。ステップST36において、現時点で設定されている動作モードが中時間処理モード又は短時間処理モードでない場合(現時点で設定されている動作モードが長時間処理モードの場合)は、判定が否定されて、動作モード設定処理は、図12Aに示すステップST22へ移行する。ステップST36において、現時点で設定されている動作モードが中時間処理モード又は短時間処理モードである場合は、判定が肯定されて、動作モード設定処理はステップST38へ移行する。
ステップST38で、CPU94は、動作モードを長時間処理モードへ移行し、その後、動作モード設定処理はステップST40へ移行する。
ステップST40で、CPU94は、クロック周波数を第3周波数に設定し、その後、動作モード設定処理は、図12Aに示すステップST22へ移行する。
図12Aに示すステップST22で、CPU94は、ステップST12で信号処理回路88によって受信されたコマンド信号に応じた処理を実行し、その後、動作モード設定処理はステップST24へ移行する。
ステップST24で、CPU94は、信号処理回路88及び共振回路92に対して、ステップST22の処理が実行されることで得られた処理結果を示す応答信号を、磁界MFを介して非接触式読み書き装置50へ送信させ、その後、動作モード設定処理はステップST26へ移行する。
ステップST26で、CPU94は、動作モード設定処理を終了する条件(以下、「動作モード設定処理終了条件」と称する)を満足したか否かを判定する。動作モード設定処理終了条件としては、例えば、磁界MFが消失した、との条件が挙げられる。磁界MFが消失したか否かは、磁界強度測定回路90からCPU94に入力される磁界強度信号に基づいてCPU94によって判定される。ステップST26において、動作モード設定処理終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、動作モード設定処理はステップST12へ移行する。ステップST26において、動作モード設定処理終了条件を満足した場合は、判定が肯定されて、動作モード設定処理が終了する。
以上説明したように、カートリッジメモリ19では、CPU94によって処理時間が既定時間よりも長く設定され、処理時間が長くなった分、レスポンスタイムも長くなる。処理時間が長くなるほど、すなわち、レスポンスタイムが長くなるほど、低いクロック周波数が設定される。つまり、短時間処理モードから中時間処理モードに移行すると、処理時間が長くなり、レスポンスタイムも長くなる。短時間処理モードから中時間処理モードへの移行は、処理時間が短時間から中時間になることを意味する。これに伴ってクロック周波数が第1周波数から第2周波数に変更される。第2周波数は、クロック周波数が“0”というわけではないので、CPU94は、第2周波数に従って、コマンド信号に応じた処理を実行することができる。
また、中時間処理モードから長時間処理モードに移行すると、処理時間が中時間から長時間になり、処理時間が長くなった分、レスポンスタイムも長くなる。これに伴ってクロック周波数が第2周波数から第3周波数に変更される。第3周波数は、クロック周波数が“0”というわけではないので、CPU94は、第3周波数に従って、コマンド信号に応じた処理を実行することができる。また、クロック周波数が低くなるほど、CPU94での消費電力が低減される。
従って、本構成によれば、カートリッジメモリ19の動作の安定と消費電力の低減との両立を実現することができる。なお、ここでは、処理時間が段階的に変更され、これに伴ってクロック周波数も段階的に変更される形態例を挙げているが、本開示の技術はこれに限定されず、処理時間が無段階的に変更され、これに伴ってクロック周波数も無段階的に変更されるようにしてもよい。
また、カートリッジメモリ19では、1つのコマンドに対するCPU94による処理時間が既定時間よりも長く設定され、処理時間が長くなるほど低いクロック周波数が設定される。従って、本構成によれば、1つのコマンドに対する処理がCPU94によって行われる場合であっても、カートリッジメモリ19の動作の安定と消費電力の低減との両立を実現することができる。
また、カートリッジメモリ19では、CPU94によってコマンド信号に応じた処理が行われることで得られた処理結果を示す応答信号が磁界MFを介して非接触式読み書き装置50に送信される。従って、本構成によれば、磁界MFとは異なる磁界がコイル60に付与せずとも処理結果を非接触式読み書き装置50に送信することができる。
また、カートリッジメモリ19では、コマンド信号に応じた処理が常に第1周波数のクロック信号に従ってCPU94によって行われるわけではなく、コマンド信号により示されるコマンドの種類に応じてレスポンスタイムの長さが変更される。従って、本構成によれば、コマンドの種類に関わらず処理時間が常に一定の場合に比べ、電力及び処理時間が過不足することを抑制することができる。
更に、カートリッジメモリ19では、読出処理及び書込処理に要する時間がポーリング処理に要する時間よりも長くされている。従って、本構成によれば、読出処理及び書込処理は、ポーリング処理で使用されるクロック周波数よりも低いクロック周波数で行われるので、ポーリング処理が行われる場合に比べ、消費電力小さくすることができる。すなわち、読出処理及び書込処理の場合もポーリング処理と同じクロック周波数が使用される場合に比べ、電力不足が原因で読出処理及び書込処理が完遂されないという事態の発生を抑制することができる。
なお、上記実施形態では、動作モード設定処理において、磁界MFの強度に関わらずステップST12の処理が実行される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図13に示すように、動作モード設定処理において、ステップST12の前段階でステップST10の処理が実行されるようにしてもよい。
図13に示す動作モード設定処理は、図12A~図12Cに示す動作モード設定処理に比べ、動作モード設定処理が実行される前提として既に第1周波数のクロック信号がクロック信号生成器86によって各種の駆動素子に供給されている点が異なる。また、図13に示す動作モード設定処理は、図12A~図12Cに示す動作モード設定処理に比べ、ステップST10の処理を有する点が異なる。
図13に示すステップST10で、CPU94は、磁界強度信号に基づいて磁界MFの強度が閾値未満であるか否かを判定する。ここで、閾値は、例えば、第1周波数のクロック信号が各種の駆動素子に供給されたとしても電力不足が生じない磁界の強度の下限値として、実機による試験及び/又はコンピュータ・シミュレーション等によって予め導き出された値である。
ステップST10において、磁界MFの強度が閾値以上である場合は、判定が否定されて、動作モード設定処理はステップST26へ移行する。ステップST10において、磁界MFの強度が閾値未満である場合は、判定が肯定されて、動作モード設定処理はステップST12へ移行する。
つまり、磁界MFの強度が閾値以上である場合は、第1周波数のクロック信号が維持される。従って、本構成によれば、電力不足が生じる虞が無い場合であるにも関わらず処理時間が長くなることを回避することができる。
また、磁界MFの強度が閾値未満である場合は、コマンド信号により示されるコマンドの種類に応じて動作モードが変更され、かつ、動作モードに応じてクロック周波数が変更される。従って、本構成によれば、磁界MFの強度に関わらず処理時間の長さが固定されている場合に比べ、電力及び処理時間の過不足を抑制することができる。
また、図13に示す例では、ステップST12の前段階で磁界MFの強度が閾値未満であるか否かの判定が行われているが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図14に示すように、ステップST14とステップST16との間に、ステップST15を挿入してもよい。
図14に示すステップST15では、上述したステップST12の処理と同様の判定が行われる。そして、ステップST15において、磁界MFの強度が閾値以上である場合は、判定が否定されて、動作モード設定処理はステップST26へ移行する。ステップST15において、磁界MFの強度が閾値未満の場合は、判定が肯定されて、動作モード設定処理はステップST16へ移行する。
また、上記第1実施形態で説明した動作モード設定処理はあくまでも一例に過ぎず、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図12Bに示す動作モード設定処理に代えて、図15に示す動作モード設定処理がCPU94によって実行されるようにしてもよい。図15に示す動作モード設定処理は、図12Bに示す動作モード設定処理に比べ、ステップST29の処理を有する点が異なる。
図15に示すステップST29で、CPU94は、磁界強度信号に基づいて磁界MFの強度が閾値未満であるか否かを判定する。ステップST29において、磁界MFの強度が閾値以上の場合は、判定が否定されて、動作モード設定処理は、図12Aに示すステップST22へ移行する。ステップST29において、磁界MFの強度が閾値未満の場合は、判定が肯定されて、動作モード設定処理はステップST30へ移行する。
また、上記第1実施形態で説明した動作モード設定処理はあくまでも一例に過ぎず、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図12Cに示す動作モード設定処理に代えて、図16に示す動作モード設定処理がCPU94によって実行されるようにしてもよい。図16に示す動作モード設定処理は、図12Cに示す動作モード設定処理に比べ、ステップST35の処理を有する点が異なる。
図16に示すステップST35で、CPU94は、磁界強度信号に基づいて磁界MFの強度が閾値未満であるか否かを判定する。ステップST35において、磁界MFの強度が閾値以上の場合は、判定が否定されて、動作モード設定処理は、図12Aに示すステップST22へ移行する。ステップST35において、磁界MFの強度が閾値未満の場合は、判定が肯定されて、動作モード設定処理はステップST36へ移行する。
なお、図12B及び図15に示す例では、コマンド信号により示されるコマンドが書込コマンドの場合に、中時間処理モードが設定され、かつ、クロック周波数として第2周波数が設定されているが、本開示の技術はこれに限定されず、コマンド信号により示されるコマンドが書込コマンドの場合に、長時間処理モードが設定され、かつ、クロック周波数として第3周波数が設定されるようにしてもよい。
また、図12C及び図16に示す例では、コマンド信号により示されるコマンドが読出コマンドの場合に、長時間処理モードが設定され、かつ、クロック周波数として第3周波数が設定されているが、本開示の技術はこれに限定されず、コマンド信号により示されるコマンドが読出コマンドの場合に、中時間処理モードが設定され、かつ、クロック周波数として第2周波数が設定されるようにしもよい。
このように、コマンド信号により示されるコマンドが書込コマンドの場合及び読出処理の場合には、処理時間が短時間よりも長い中時間又は長時間であればよく、クロック周波数が第1周波数よりも高ければよい。
また、図13~図16に示す例では、磁界MFの強度に応じてレスポンスタイムが変更される形態例を挙げて説明したが、磁界MFの強度に関わらずレスポンスタイムが固定されていてもよい。
また、上記第1実施形態では、ICチップ52とコイル60とがワイヤ接続方式で接続されている形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図17に示すように、ICチップ52とコイル60とがフリップチップ接続方式で接続されていてもよい。この場合、例えば、ICチップ52の正極端子及び負極端子のうちの一方の端子が第1導通部62Aに直接接続され、他方の端子が第2導通部62Bに直接接続される。
また、上記第1実施形態では、第2周波数を第1周波数の1/2の周波数とし、第3周波数を第1周波数の1/4の周波数としたが、本開示の技術はこれに限定されず、第2周波数は第1周波数よりも低い周波数であり、第3周波数は第2周波数よりも低い周波数であればよい。第2周波数を第1周波数よりも低くするレベル、及び/又は第3周波数を第2周波数よりも低くするレベルは、コンデンサ54及び内蔵コンデンサ80に残存している電圧、すなわち、カートリッジメモリ19内に残存している電力に応じて変更するようにしてもよい。この場合、例えば、コンピュータ84は、カートリッジメモリ19内に残存している電力が閾値よりも低ければ第2周波数を第1周波数の1/3以下の周波数とし、かつ、第3周波数を第2周波数と同じ周波数又は第3周波数を第2周波数よりも低くするようにクロック信号生成器86を制御する。
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、コマンド信号に応じて動作モードが変更される形態例を挙げて説明したが、本第2実施形態では、非接触式読み書き装置50とカートリッジメモリ19との間の距離を示す通信距離Dに応じて動作モードが変更される形態例について説明する。なお、本第2実施形態では、上記第1実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素は、第1実施形態と同一の符号で表し、その説明を省略する。
一例として図18に示すように、通信距離Dは、非接触式読み書き装置50の磁界放出面とカートリッジメモリ19の基板26の裏面26Aの短辺方向中央との間の距離である。なお、通信距離Dは、本開示の技術に係る「磁気テープカートリッジの特性」及び「通信先の特性」の一例である。
磁気テープカートリッジ10のケース12のサイズ、及び、磁気テープカートリッジ10内でのカートリッジメモリ19の配置位置は、ケース12の種類に応じて予め定められている。また、磁気テープドライブ30のサイズ、及び、磁気テープドライブ30内での磁気テープカートリッジ10の装填位置は、磁気テープドライブ30の種類に応じて予め定められている。また、非接触式読み書き装置50のサイズは、非接触式読み書き装置50の種類に応じて予め定められており、磁気テープドライブ30に対する非接触式読み書き装置50の位置は固定されている。従って、磁気テープカートリッジ10が磁気テープドライブ30に装填されている場合、通信距離Dは、磁気テープカートリッジ10の種類、磁気テープドライブ30の種類、及び非接触式読み書き装置50の種類に応じて導出される。
一例として図19に示すように、NVM96には、通信距離導出テーブル103が格納されている。磁気テープカートリッジ10の製造元において、通信距離導出テーブル103は、磁気テープカートリッジ10の種類に応じて複数種類用意されており、NVM96を有するカートリッジメモリ19が収容される磁気テープカートリッジ10の種類に応じた通信距離導出テーブル103が、NVM96に格納される。CPU94は、NVM96に格納された通信距離導出テーブル103に基づいて、通信距離Dを導出する。
一例として図20に示すように、通信距離導出テーブル103には、磁気テープドライブ30の種類及び非接触式読み書き装置50の種類に応じた通信距離Dが示されている。CPU94は、磁気テープドライブ30の種類及び非接触式読み書き装置50の種類を、非接触式読み書き装置50から磁界MFを介して取得する。具体的には、例えば、磁気テープドライブ30の制御装置38から非接触式読み書き装置50に出力される制御信号(図6参照)には、磁気テープドライブ30の種類(図20に示す例では、磁気テープドライブ30の型番)を示す磁気テープドライブ種類情報、及び、非接触式読み書き装置50の種類(図20に示す例では、非接触式読み書き装置50の型番)を示す読み書き装置種類情報が含まれている。非接触式読み書き装置50は、制御装置38から入力された制御信号に従って、コマンド信号に加えて、磁気テープドライブ種類情報及び読み書き装置種類情報を含む磁界MFをカートリッジメモリ19に向けて放出する。
CPU94は、信号処理回路88によって磁界MFから抽出されたコマンド信号、磁気テープドライブ種類情報、及び読み書き装置種類情報を受け付ける。CPU94は、通信距離導出テーブル103に基づいて、受け付けた磁気テープドライブ種類情報及び読み書き装置種類情報を用いて通信距離Dを導出する。
一例として図21に示すように、CPU94は、導出した通信距離Dを第1通信距離閾値及び第2通信距離閾値と比較する。第1通信距離閾値は、例えば、非接触式読み書き装置50から放出される磁界MFの強度が常に一定であるという条件の下で、短時間処理モードで、すなわち、第1周波数のクロック信号に基づいて読出処理を行ったとしても電力不足が生じない強度の磁界を得られる通信距離の上限値として、実機による試験及び/コンピュータ・シミュレーション等によって予め導き出された値である。また、第2通信距離閾値は、例えば、非接触式読み書き装置50から放出される磁界MFの強度が常に一定であるという条件の下で、中時間処理モードで、すなわち、第2周波数のクロック信号に基づいて読出処理を行ったとしても電力不足が生じない強度の磁界を得られる通信距離の上限値として、実機による試験及び/コンピュータ・シミュレーション等によって予め導き出された値である。第1通信距離閾値は、第2通信距離閾値よりも小さい。
導出した通信距離Dが第1通信距離閾値未満の場合、CPU94は、動作モードとして、短時間処理モードを設定する。また、導出した通信距離Dが第1通信距離閾値以上、かつ、第2通信距離閾値未満の場合、CPU94は、動作モードとして、中時間処理モードを設定する。また、導出した通信距離Dが第2通信距離閾値以上の場合、CPU94は、動作モードとして、長時間処理モードを設定する。
CPU94は、設定した動作モードで、コマンド信号に応じた処理を実行する。つまり、CPU94は、通信距離Dに応じた処理速度で、ポーリング処理、書込処理、及び読出処理を行う。CPU94は、通信距離Dに応じて処理速度を変更させることによって、コマンド信号に対するレスポンスタイムを変更する。
次に、第2実施形態によるカートリッジメモリ19の作用について、図22を参照して説明する。
図22に示す動作モード設定処理では、先ず、ステップST100で、CPU94は、コマンド信号、読み書き装置種類情報、及び磁気テープドライブ種類情報を含む信号の受信を検出する検出タイミングが到来したか否かを判定する。検出タイミングは、既定時間(例えば、0.5秒)毎に設定されている。ステップST100において、検出タイミングが到来していない場合は、判定が否定されて、動作モード設定処理はステップST113へ移行する。ステップST100において、検出タイミングが到来した場合は、判定が肯定されて、動作モード設定処理はステップST101へ移行する。
ステップST101で、CPU94は、信号処理回路88によってコマンド信号、読み書き装置種類情報、及び磁気テープドライブ種類情報が受信されたか否かを判定する。ステップST101において、信号処理回路88によってコマンド信号、読み書き装置種類情報、及び磁気テープドライブ種類情報が受信されていない場合は、判定が否定されて、動作モード設定処理はステップST113へ移行する。ステップST101において、信号処理回路88によってコマンド信号、読み書き装置種類情報、及び磁気テープドライブ種類情報が受信された場合は、判定が肯定されて、動作モード設定処理はステップST102へ移行する。
ステップST102で、CPU94は、受信した読み書き装置種類情報及び磁気テープドライブ種類情報を用いて、通信距離導出テーブル103に基づいて、通信距離Dを導出する。この後、動作モード設定処理は、ステップST103へ移行する。
ステップST103で、CPU94は、通信距離Dが第1通信距離閾値未満か否かを判定する。ステップST103において、通信距離Dが第1通信距離閾値以上の場合、判定が否定されて、動作モード設定処理はステップST106へ移行する。ステップST103において、通信距離Dが第1通信距離閾値未満の場合、判定が肯定されて、動作モード設定処理はステップST104へ移行する。
ステップST104で、CPU94は、動作モードとして、短時間処理モードを設定する。この後、動作モード設定処理はステップST105へ移行する。
ステップST105で、CPU94は、クロック周波数を、短時間処理モードに対応する第1周波数に設定する。この後、動作モード設定処理はステップST111へ移行する。
ステップST106で、CPU94は、通信距離Dが第2通信距離閾値未満か否かを判定する。ステップST106において、通信距離Dが第2通信距離閾値以上の場合、判定が否定されて、動作モード設定処理はステップST109へ移行する。ステップST109において、通信距離Dが第2通信距離閾値未満(つまり、第1通信距離閾値≦通信距離D<第2通信距離閾値)の場合、判定が肯定されて、動作モード設定処理はステップST107へ移行する。
ステップST107で、CPU94は、動作モードとして、中時間処理モードを設定する。この後、動作モード設定処理はステップST108へ移行する。
ステップST108で、CPU94は、クロック周波数を、中時間処理モードに対応する第2周波数に設定する。この後、動作モード設定処理はステップST111へ移行する。
ステップST109で、CPU94は、動作モードとして、長時間処理モードを設定する。この後、動作モード設定処理はステップST110へ移行する。
ステップST110で、CPU94は、クロック周波数を、長時間処理モードに対応する第3周波数に設定する。この後、動作モード設定処理はステップST111へ移行する。
ステップST111で、CPU94は、ステップST101で信号処理回路88によって受信されたコマンド信号に応じた処理を実行し、その後、動作モード設定処理はステップST112移行する。
ステップST112で、CPU94は、信号処理回路88及び共振回路92に対して、ステップST111の処理が実行されることで得られた処理結果を示す応答信号を、磁界MFを介して非接触式読み書き装置50へ送信させ、その後、動作モード設定処理はステップST113へ移行する。
ステップST113で、CPU94は、動作モード設定処理を終了する条件(以下、「動作モード設定処理終了条件」と称する)を満足したか否かを判定する。動作モード設定処理終了条件としては、例えば、磁界MFが消失した、との条件が挙げられる。磁界MFが消失したか否かは、磁界強度測定回路90からCPU94に入力される磁界強度信号に基づいてCPU94によって判定される。ステップST113において、動作モード設定処理終了条件を満足していない場合は、判定が否定されて、動作モード設定処理はステップST100へ移行する。ステップST113において、動作モード設定処理終了条件を満足した場合は、判定が肯定されて、動作モード設定処理が終了する。
以上説明したように、本第2実施形態において、CPU94は、コマンド信号に対するレスポンスタイムを、磁気テープカートリッジ10及び非接触式読み書き装置50の特性から導出される通信距離Dに応じて変更する。従って、本構成によれば、通信距離Dに関係なくレスポンスタイムが設定される場合に比べ、カートリッジメモリ19の動作の安定と処理速度の向上との両立を実現することができる。
なお、上記第2実施形態では、通信距離Dに応じてレスポンスタイムが変更される形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。CPU94は、例えば、動作モードを予め短時間処理モードに設定しておき、通信距離Dに応じて、動作モードを中時間処理モード又は長時間処理モードに変更してもよい。つまり、CPU94は、通信距離Dに応じて、レスポンスタイムを、標準的なレスポンスタイムとして予め定められた時間よりも長くしてもよい。本構成によれば、カートリッジメモリ19の動作の安定と消費電力の低減との両立を実現することができる。
[第3実施形態]
上記第2実施形態では、通信距離Dに応じてカートリッジメモリ19の動作モードが変更される形態例を説明したが、本第3実施形態では、NVM96に対して設定されている使用可能な記憶容量(以下、「使用可能記憶容量」とも称する)に応じて、動作モードが変更される形態例について説明する。なお、本第3実施形態では、上記第1及び第2実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素は、第1及び第2実施形態と同一の符号で表し、その説明を省略する。
一例として図23に示すように、NVM96には、使用可能記憶容量に関する情報を示す使用可能記憶容量情報105が格納されている。NVM96の使用可能記憶容量は、例えば、NVM96の全記憶容量の数分の1に設定されている。これは、一因として、磁気テープMTの製品寿命に比較して、NVM96に含まれるメモリセルが劣化しやすいことに基づいている。NVM96の使用可能記憶容量を全記憶容量の数分の1に設定しておくことによって、例えば、劣化して使用できなくなったメモリセルを未使用のメモリセルに代替することにより、NVM96の製品寿命を延ばすためである。なお、使用可能記憶容量は、本開示の技術に係る「非接触式通信媒体の特性」の一例である。
一例として図24に示すように、CPU94は、NVM96から使用可能記憶容量情報105を読み出し、読み出した使用可能記憶容量情報105によって示される使用可能記憶容量を第1記憶容量閾値及び第2記憶容量閾値と比較する。第1記憶容量閾値は、例えば、短時間処理モードで、すなわち、第1周波数のクロック信号に基づいて読出処理を行ったとしても電力不足が生じない使用可能記憶容量の上限値として、実機による試験及び/コンピュータ・シミュレーション等によって予め導き出された値である。また、第2記憶容量閾値は、例えば、中時間処理モードで、すなわち、第2周波数のクロック信号に基づいて読出処理を行ったとしても電力不足が生じない使用可能記憶容量の上限値として、実機による試験及び/コンピュータ・シミュレーション等によって予め導き出された値である。第1記憶容量閾値は、第2記憶容量閾値よりも小さい。
CPU94は、使用可能記憶容量情報105によって示される使用可能記憶容量が第1記憶容量閾値未満の場合、動作モードとして、短時間処理モードを設定する。また、使用可能記憶容量情報105によって示される使用可能記憶容量が第1記憶容量閾値以上、かつ、第2記憶容量閾値未満の場合、CPU94は、動作モードとして、中時間処理モードを設定する。また、使用可能記憶容量情報105によって示される使用可能記憶容量が第2記憶容量閾値以上の場合、CPU94は、動作モードとして、長時間処理モードを設定する。
CPU94は、設定した動作モードで、コマンド信号に応じた処理を実行する。つまり、CPU94は、使用可能記憶容量に応じた処理速度で、ポーリング処理、書込処理、及び読出処理を行う。CPU94は、使用可能記憶容量に応じて処理速度を変更させることによって、コマンド信号に対するレスポンスタイムを変更する。
以上説明したように、本第3実施形態において、CPU94は、NVM96に対して設定されている使用可能記憶容量に応じてレスポンスタイムを変更する。従って、本構成によれば、使用可能記憶容量に関係なくレスポンスタイムが設定される場合に比べ、カートリッジメモリ19の動作の安定と処理速度の向上との両立を実現することができる。
[第4実施形態]
上記第3実施形態では、使用可能記憶容量に応じて動作モードが変更される形態例を挙げて説明したが、本第4実施形態では、カートリッジメモリ19は複数の通信規格を選択的に用いて通信を行うことが可能であり、用いられる通信規格に応じてレスポンスタイムが変更される態様について説明する。なお、本第4実施形態では、上記第1~第3実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素は、第1~第3実施形態と同一の符号で表し、その説明を省略する。
本第4実施形態において、カートリッジメモリ19は、複数の通信規格に対応しており、CPU94は、複数の通信規格を選択的に用いて、非接触式読み書き装置50と通信を行う。カートリッジメモリ19と非接触式読み書き装置50との間の無線通信で用いられる通信規格としては、例えば、ISO18092、ISO14443A、ISO14443B、及びISO15693等が挙げられる。
一例として図25に示すように、NVM96は、設定可能パラメータ記憶ブロック122、現設定パラメータ記憶ブロック124、及びプログラム記憶ブロック126を含む複数の記憶ブロックを有する。複数の記憶ブロックには、管理情報100(図10参照)等が記憶されている。
設定可能パラメータ記憶ブロック122には、ICチップ52において設定可能な通信規格を特定可能な複数の通信規格パラメータ130が記憶されている。現設定パラメータ記憶ブロック124には、現設定パラメータ132が記憶されている。現設定パラメータ132は、複数の通信規格パラメータ130のうち、ICチップ52において現在設定されている通信規格に対応する通信規格パラメータ130である。
プログラム記憶ブロック126には、動作モード設定処理プログラム102に加えて、通信規格設定プログラム134が記憶されている。
現設定パラメータ記憶ブロック124に記憶されている現設定パラメータ132から特定される通信規格は、ICチップ52において現在設定されている通信規格である。CPU94は、現設定パラメータ記憶ブロック124に記憶されている現設定パラメータ132に応じてレスポンスタイムを変更する。
一例として図26に示すように、非接触式読み書き装置50は、複数の通信規格に対応している。非接触式読み書き装置50は、複数の通信規格のうち、カートリッジメモリ19が対応可能な通信規格を用いて、カートリッジメモリ19と通信を行う。なお、非接触式読み書き装置50とカートリッジメモリ19との通信に用いられる通信規格は、本開示の技術に係る「非接触式通信媒体の特性」及び「通信先の特性」の一例である。
一例として図26に示すように、非接触式読み書き装置50は、コイル60に対して磁界MF(図5及び図6参照)を与えることで、コイル60と電磁誘導で結合する。非接触式読み書き装置50とコイル60とが電磁誘導で結合された状態で、非接触式読み書き装置50は、ポーリングコマンドを信号処理回路88に送信する。信号処理回路88は、非接触式読み書き装置50からのポーリングコマンドを、コイル60を介して受信する。信号処理回路88は、受信したポーリングコマンドをCPU94に送信する。
CPU94は、信号処理回路88からポーリングコマンドを受け付け、受け付けたポーリングコマンドの通信規格を判定する。CPU94は、複数の通信規格のうち、判定結果に応じた通信規格を選択して設定する。
一例として図27に示すように、CPU94は、設定可能パラメータ記憶ブロック122から、判定結果に応じた通信規格に対応する通信規格パラメータ130を取得する。そして、CPU94は、設定可能パラメータ記憶ブロック122から取得した通信規格パラメータ130を現設定パラメータ記憶ブロック124に上書き保存することで、現設定パラメータ記憶ブロック124内の現設定パラメータ132を更新する。すなわち、現設定パラメータ記憶ブロック124内の現設定パラメータ132がCPU94によって書き換えられることで、現設定パラメータ記憶ブロック124内の現設定パラメータ132が更新される。
現設定パラメータ記憶ブロック124に記憶されている現設定パラメータ132から特定される通信規格は、ICチップ52において現在設定されている通信規格である。CPU94は、現設定パラメータ132に基づいて現在設定されている通信規格を特定し、特定した通信規格に応じて動作モードを変更する。
一例として図28に示すように、現在設定されている通信規格が高速通信規格である場合、CPU94は、動作モードとして、短時間処理モードを設定する。また、現在設定されている通信規格が中速通信規格である場合、CPU94は、動作モードとして、中時間処理モードを設定する。現在設定されている通信規格が低速通信規格である場合、CPU94は、動作モードとして、長時間処理モードを設定する。
CPU94は、設定した動作モードで、コマンド信号に応じた処理を実行する。つまり、CPU94は、現在設定されている通信規格に応じた処理速度で、ポーリング処理、書込処理、及び読出処理を行う。CPU94は、現在設定されている通信規格に応じて処理速度を変更させることによって、コマンド信号に対するレスポンスタイムを変更する。
以上説明したように、本第4実施形態において、カートリッジメモリ19は複数の通信規格に対応している。CPU94は、複数の通信規格を選択的に用いて通信を行い、通信に用いられる通信規格に応じてレスポンスタイムを変更する。従って、本構成によれば、現在設定されている通信規格に関係なくレスポンスタイムが設定される場合に比べ、カートリッジメモリ19の動作の安定と処理速度の向上との両立を実現することができる。
また、非接触式読み書き装置50は、複数の通信規格の各々で通信可能である。CPU94は、複数の通信規格のうちのカートリッジメモリ19に対応する通信規格に応じてレスポンスタイムを変更する。従って、本構成によれば、1つの通信規格しか使用できない場合に比べ、通信規格に対する選択の自由度が向上する。
なお、上記第4実施形態では、1つの非接触式読み書き装置50が複数の通信規格に対応している形態例を挙げて説明したが、本開示の技術はこれに限定されない。一例として図29に示すように、例えば、それぞれ異なる通信規格に対応している複数の非接触式読み書き装置50-1及び50-2が、同一のカートリッジメモリ19と通信を行う場合に、本開示の技術を適用してもよい。つまり、CPU94は、複数の非接触式読み書き装置50-1及び50-2のうち使用される非接触式読み書き装置50-1又は50-2が用いる通信規格に応じて、レスポンスタイムを変更してもよい。本構成によれば、1つの通信規格にしか対応できない場合に比べ、複数の非接触式読み書き装置50-1及び50-2が有する複数の通信規格に対応可能な汎用性の高いカートリッジメモリ19を提供することができる。
なお、上記各実施形態では、傾斜角度θとして45度を例示したが、本開示の技術はこれに限定されず、一例として図30に示すように、カートリッジメモリ19の基準面16A1に対する傾斜角度として、傾斜角度θよりも小さな傾斜角度θ1が採用されてもよい。傾斜角度θ1の一例としては30度が挙げられる。傾斜角度θ1は、傾斜角度θよりも小さな角度であるので、傾斜角度θの場合に比べ、コイル60(図7参照)に対して多くの磁力線を貫通させることができる。この結果、磁気テープカートリッジ10が磁気テープドライブ30に装填された状態で、コイル60は、傾斜角度θの場合に比べ、大きな誘導電流を得ることができる。
一例として図31に示すように、磁気テープカートリッジ10の生産工程、磁気テープカートリッジ10の管理工程、及び/又は、磁気テープカートリッジ10が流通する流通工程(例えば、市場での流通工程)では、上下方向に重ねられた複数の磁気テープカートリッジ10がプラスチックフィルムで束ねられたパッケージ200内の各磁気テープカートリッジ10のカートリッジメモリ19に対して非接触式読み書き装置150によって管理情報100等の読み書きが行われる。カートリッジメモリ19に対する非接触式読み書き装置150による管理情報100等の読み書きは、磁気テープカートリッジ10の後側において複数の磁気テープカートリッジ10が重ねられた方向に沿って非接触式読み書き装置150を移動させながら行われる。この場合、例えば、非接触式読み書き装置150は、磁界MF1のオンとオフとを繰り返しながら磁気テープカートリッジ10の各々に対して磁界MF1を順次に放出する。
ところで、磁気テープカートリッジ10が磁気テープドライブ30に装填されている環境下(第1環境下)では、磁気テープカートリッジ10の下方向又は上方向から非接触式読み書き装置50によって磁界MF(第1磁界)が、基準面16A1に対して正対する側から、基板26のうちのコイル60が形成されている裏面26A(コイル形成面)に向けて磁界MFが付与される(図30参照)。これにより、カートリッジメモリ19の傾斜角度が傾斜角度θの場合に比べ、多くの磁力線がコイル60を貫通することになり、大きな誘導電流が得られる。
これに対し、生産工程、管理工程、及び/又は流通工程の環境下(第2環境下)では、一例として図31に示すように、複数の磁気テープカートリッジ10がパッケージ200として取り扱われる。この場合、基準面16A1の法線方向に対して交差し、かつ、裏面26Aに対峙する側から裏面26Aに向けて磁界MF1(第2磁界)が付与される。これにより、カートリッジメモリ19の傾斜角度が傾斜角度θの場合に比べ、パッケージ200内で意図しない磁気テープカートリッジ10に対して管理情報100等の読み書きが行われる(クロストークが生じる)ことを抑制することができる。
なお、図31に示す例では、非接触式読み書き装置150がパッケージ200内の各カートリッジメモリ19と磁界MF1を介して通信を行う場合に非接触式読み書き装置150がパッケージ200に対して上下方向に沿って移動している態様が例示されているが、この態様はあくまでも一例に過ぎず、非接触式読み書き装置150の位置を固定して、パッケージ200を上下方向に沿って移動させてもよい。また、非接触式読み書き装置150とパッケージ200とは上下方向において反対の方向に移動させてもよい。このように、非接触式読み書き装置150がパッケージ200内の各カートリッジメモリ19と磁界MF1を介して通信を行う場合、非接触式読み書き装置150がパッケージ200に対して上下方向に沿って相対的に移動していればよい。
非接触式読み書き装置150は、カートリッジメモリ19に対して管理情報100等の読み書きを行う場合、磁気テープカートリッジ10の後方からカートリッジメモリ19に向けて磁界MF1を放出する。カートリッジメモリ19の電力生成器70は、磁界MF1がカートリッジメモリ19のコイル60に作用することで電力を生成する。そして、非接触式読み書き装置150は、磁界MF1を介してコマンド信号をカートリッジメモリ19に送信する。カートリッジメモリ19は、電力生成器70によって生成された電力を用いて、コマンド信号に応じた処理を実行し、かつ、処理結果を応答信号として非接触式読み書き装置150に送信する。すなわち、非接触式読み書き装置150とカートリッジメモリ19との間で磁界MF1を介して各種情報の授受が行われる。
パッケージ200に含まれる1つの磁気テープカートリッジ10(以下、符号を付さずに「単一カートリッジ」とも称する)のカートリッジメモリ19(以下、符号を付さずに「読み書き対象カートリッジメモリ」とも称する)に対しては、単一カートリッジの後方から読み書き対象カートリッジメモリに向けて非接触式読み書き装置150から磁界MF1が付与される。しかし、傾斜角度θの場合、磁界MF1の指向性次第で、パッケージ200内で単一カートリッジと隣接する磁気テープカートリッジ10(以下、「隣接カートリッジ」とも称する)のカートリッジメモリ19に対しても磁界MF1が付与され、隣接カートリッジのカートリッジメモリ19に対して、管理情報100等の読み書きが行われてしまう虞がある。隣接カートリッジのカートリッジメモリ19に対して管理情報100等の読み書きが行われるというのは、換言すると、クロストークが生じる、ということである。
ここで、傾斜角度θ1とした場合、傾斜角度θよりもカートリッジメモリ19のコイル60を貫通する磁力線の本数を少なくすることができ、傾斜角度θに比べ、隣接カートリッジのカートリッジメモリ19に対して、磁界MF1が付与され難くなる。この結果、傾斜角度θ1とした場合、傾斜角度θに比べ、磁気テープカートリッジ10に対して管理情報100等が誤って読み書きされること、すなわち、クロストークが生じることを抑制することができる。この結果、例えば、磁気テープカートリッジ10の生産工程では、設備コストを増大させることなく、磁気テープカートリッジ10の生産性を向上させることができる。また、磁気テープカートリッジ10の管理工程では、設備コストを増大させることなく、磁気テープカートリッジ10の管理の効率化を図ることができる。
また、図10に示す例では、NVM96に動作モード設定処理プログラム102が記憶されている形態例を挙げたが、本開示の技術はこれに限定されない。例えば、図32に示すように、動作モード設定処理プログラム102が記憶媒体300に記憶されていてもよい。記憶媒体300は、非一時的記憶媒体である。記憶媒体300の一例としては、SSD又はUSBメモリなどの任意の可搬型の記憶媒体が挙げられる。
記憶媒体300に記憶されている動作モード設定処理プログラム102は、コンピュータ84にインストールされる。CPU94は、動作モード設定処理プログラム102に従って動作モード設定処理を実行する。図32に示す例では、CPU94は、単数のCPUであるが、複数のCPUであってもよい。
また、通信網(図示省略)を介してコンピュータ84に接続される他のコンピュータ又はサーバ装置等の記憶部に動作モード設定処理プログラム102を記憶させておき、カートリッジメモリ19からの要求に応じて動作モード設定処理プログラム102がダウンロードされ、コンピュータ84にインストールされるようにしてもよい。
図32に示す例では、コンピュータ84が例示されているが、本開示の技術はこれに限定されず、コンピュータ84に代えて、ASIC、FPGA、及び/又はPLDを含むデバイスを適用してもよい。また、コンピュータ84に代えて、ハードウェア構成及びソフトウェア構成の組み合わせを用いてもよい。
動作モード設定処理を実行するハードウェア資源としては、次に示す各種のプロセッサを用いることができる。プロセッサとしては、例えば、ソフトウェア、すなわち、プログラムを実行することで、動作モード設定処理を実行するハードウェア資源として機能する汎用的なプロセッサであるCPUが挙げられる。また、プロセッサとしては、例えば、FPGA、PLD、又はASICなどの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路が挙げられる。何れのプロセッサにもメモリが内蔵又は接続されており、何れのプロセッサもメモリを使用することで動作モード設定処理を実行する。
動作モード設定処理を実行するハードウェア資源は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種または異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ、又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、動作モード設定処理を実行するハードウェア資源は1つのプロセッサであってもよい。
1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが、動作モード設定処理を実行するハードウェア資源として機能する形態がある。第2に、SoCなどに代表されるように、動作モード設定処理を実行する複数のハードウェア資源を含むシステム全体の機能を1つのICチップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、動作モード設定処理は、ハードウェア資源として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて実現される。
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路を用いることができる。また、上記の動作モード設定処理はあくまでも一例である。従って、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容及び図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
本明細書において、「A及び/又はB」は、「A及びBのうちの少なくとも1つ」と同義である。つまり、「A及び/又はB」は、Aだけであってもよいし、Bだけであってもよいし、A及びBの組み合わせであってもよい、という意味である。また、本明細書において、3つ以上の事柄を「及び/又は」で結び付けて表現する場合も、「A及び/又はB」と同様の考え方が適用される。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
コイルが形成された基板と、外部から与えられた外部磁界が上記コイルに対して作用することで電力を生成する電力生成器と、上記電力生成器によって生成された上記電力を用いて、上記外部磁界に含まれるコマンドに対する処理を行うプロセッサと、を備えた非接触式通信媒体が収容され、かつ、基準平面が形成されている磁気テープカートリッジ内の上記非接触式通信媒体に対して上記外部から上記外部磁界が付与され、付与された上記外部磁界を介して上記非接触式通信媒体と通信を行うことで上記磁気テープカートリッジを管理する非接触式管理方法であって、
上記基板を上記基準平面に対して45度未満の角度で傾斜させて配置すること、
上記磁気テープカートリッジが磁気テープドライブに装填された第1環境下で、上記基準平面に対して正対する側から、上記基板のうちの上記コイルが形成されているコイル形成面に向けて上記外部磁界として第1磁界を付与すること、及び、
上記磁気テープカートリッジが上記磁気テープドライブ外に存在する第2環境下で、上記基準平面の法線方向に対して交差し、かつ、上記コイル形成面に対峙する側から上記コイル形成面に向けて上記外部磁界として第2磁界を付与することを含む
非接触式管理方法。
(付記2)
上記第2環境は、上記磁気テープカートリッジの生産工程、上記磁気テープカートリッジの管理工程、及び/又は、上記磁気テープカートリッジが流通する流通工程である付記1に記載の非接触式管理方法。
(付記3)
上記生産工程、上記管理工程、及び上記流通工程の各々は、複数の上記磁気テープカートリッジが上記法線方向に重ねられたパッケージ内の上記非接触式通信媒体に対して上記第2磁界を付与する工程を含む付記1又は付記2に記載の非接触式管理方法。
(付記4)
上記外部装置が、上記法線方向に沿って移動しながら、上記複数の磁気テープカートリッジの各々の上記非接触通信媒体の上記コイル形成面に対して上記外部磁界を付与することを含む付記3に記載の非接触式管理方法。