以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
実施の形態1に係る半導体装置101について、図1を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係る半導体装置101の縦断面図である。
図1に示す半導体装置101は、例えば、高電圧バッテリの電圧を低電圧まで調整可能とするDC/DCコンバータ等の電力変換装置に適用されるものである。この電力変換装置は、プラグインハイブリッド車両及び電気自動車等の電動車両に搭載される。
図1に示すように、半導体装置101は、1つ以上の半導体部品10、接合材21、第1バスバ31、第2バスバ32、及び、保護部材40Aを備えている。
半導体部品10は、1つ以上の半導体素子(図示省略)、第1電極端子11、及び、第2電極端子12を有している。半導体素子は、例えば、ダイオード及びトランジスタ等に相当する半導体チップである。第1電極端子11及び第2電極端子12は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、及び、アルミニウム合金等の金属材料で形成されている。
第1電極端子11の一端は、半田、Agペースト、及び、金属ワイヤ等によって、半導体素子と接続されている。第1電極端子11の他端は、接合材21を介して、第1バスバ31と電気的に接続されている。また、第2電極端子12の一端は、半田、Agペースト、及び、金属ワイヤ等によって、半導体素子と接続されている。第2電極端子12の他端は、接合材21を介して、第2バスバ32と電気的に接続されている。
ここで、半導体部品10は、全ての半導体素子、第1電極端子11、及び、第2電極端子12等を、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂材料によって、一体成形したものである。このとき、第1電極端子11は、半導体部品10の下面10bから、少なくとも、その他端が露出するように、樹脂材料によって固定されている。また、第2電極端子12は、半導体部品10の1つの側面10cから、少なくとも、その他端が露出するように、樹脂材料によって固定されている。
なお、半導体部品10は、第2面を構成する上面10a、第1面を構成する下面10b、及び、第3面を構成する複数の側面10cを有している。上面10aと下面10bとは、互いに対向する面である。各側面10cは、上面10aと下面10bとに隣接する面である。
上述したように、接合材21は、第1電極端子11と第1バスバ31とを電気的に接続するものである。また、接合材21は、第2電極端子12と第2バスバ32とを電気的に接続するものである。このような接合材21は、例えば、すず、銀、及び、銅等からなる合金製の半田である。接合材21は、リフロー工程において溶融することで、第1電極端子11と第1バスバ31との間、及び、第2電極端子12と第2バスバ32との間を、電気的に接続する。
第1バスバ31及び第2バスバ32は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、及び、アルミニウム合金等の金属材料で形成されている。第1バスバ31の一方の面は、接合材21と接続されている。第1バスバ31の他方の面は、電力変換装置を構成する他の電子部品と電気的に接続されている。また、第2バスバ32の一方の面は、接合材21と接触している。第2バスバ32の他方の面は、電力変換装置を構成する他の電子部品と電気的に接続されている。
保護部材40Aは、半導体部品10、第1バスバ31、及び、第2バスバ32の周囲を上方及び側方から覆うように設けられている。このように、保護部材40Aは、半導体部品10の周囲を上方から覆うように設けられることで、半導体素子の短絡故障による半導体部品10からの飛散物の飛散を抑えるものである。
保護部材40Aは、その内面が半導体部品10の上面10a及び全ての側面10cと対向するように、設けられている。言い換えれば、保護部材40Aは、その内面が、半導体部品10の全ての外面のうち、下面10b以外の外面と対向するように設けられている。
このような、保護部材40Aは、例えば、カバー部51及び保護壁61を有している。カバー部51と保護壁61とは、別部材であり、互いに接合されている。
カバー部51は、平板状に形成されている。また、カバー部51は、半導体部品10、第1バスバ31、及び、第2バスバ32の周囲を上方から覆っている。このカバー部51の下面は、半導体部品10の上面10aと対向するように配置されている。更に、カバー部51の下面は、その上面10aよりも大きく形成されている。このような、カバー部51は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、及び、鉄合金等の金属材料で形成されている。
保護壁61は、半導体装置101の周囲を囲むように設けられている。この保護壁61は、半導体部品10の設置高さよりも高くなるように形成されている。このため、保護壁61は、半導体部品10、第1バスバ31、及び、第2バスバ32の周囲を側方から覆っている。また、保護壁61に内面は、半導体部品10の全ての側面10cと対向するように配置されている。このような、保護壁61は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)等の樹脂材料で形成されている。
更に、保護壁61の下部は、第1バスバ31及び第2バスバ32に一体的に固定されている。なお、保護壁61の下部は、第1バスバ31及び第2バスバ32のうち、少なくともいずれか一方のバスバに一体的に固定されていれば良い。このため、保護壁61の固定強度は、向上される。この結果、保護部材40Aは、半導体素子の短絡故障による飛散物が衝突しても、破損することが防止される。また、保護壁61と、第1バスバ31及び第2バスバ32とを、互いに一体成形することで、半導体装置101の部品点数が少なくなり、組み立てが容易となる。この結果、半導体装置101の製造コストを低減することができる。
また、カバー部51は、位置決め孔51aを有している。この位置決め孔51aは、カバー部51をその厚さ方向に貫通する貫通孔である。
これに対して、保護壁61は、カバー取付面61a及び位置決め突起61bを有している。カバー取付面61aは、保護壁61の上面を構成しており、カバー部51を保護壁61に取り付けるための面である。位置決め突起61bは、そのカバー取付面61aに設けられている。この位置決め突起61bは、カバー取付面61aから上方に向けて延びるように形成されている。位置決め突起61bは、位置決め孔51aに対して嵌合可能となっている。
従って、位置決め突起61bは、カバー取付面61aに取り付けられたカバー部51の位置決め孔51aと嵌合する。このため、カバー部51と保護壁61とは、互いに位置決めされる。
なお、半導体装置101においては、カバー部51が位置決め孔51aを有し、保護壁が61が位置決め突起61bを有しているが、カバー部51が位置決め突起を有し、保護壁61が位置決め孔を有しても良い。
以上、実施の形態1に係る半導体装置101は、半導体素子と、半導体素子と接続する第1電極端子11とを有する半導体部品10と、半導体部品10の周囲を覆うように設けられる保護部材40Aとを備え、保護部材40Aは、半導体部品10における第1電極端子11が露出する下面10bの反対側に位置する上面10aと対向し、当該上面10aよりも大きく形成されるカバー部51を有する。このため、半導体装置101は、半導体素子の短絡故障による飛散物の装置外部への飛散を抑えることができる。
半導体装置101においては、保護部材40Aは、半導体部品10における上面10aと下面10bとを繋ぐ側面10cと対向する保護壁61を有する。このため、半導体装置101は、上方外部への飛散物の飛散を、カバー部51によって抑えると共に、側方外部への飛散物の飛散を、保護壁61によって抑えることができる。
半導体装置101においては、半導体部品10は、半導体素子と接続する第2電極端子12を有し、保護壁61は、第1電極端子11と接続する第1バスバ31と、第2電極端子12と接続する第2バスバ32とのうち、少なくともいずれか一方のバスバに固定されている。このため、保護部材40Aは、半導体素子の短絡故障による飛散物の衝突に耐え得る強度を有することができる。
半導体装置101においては、半導体部品10における第1電極端子11が露出する下面10bと、半導体部品10における第2電極端子12が露出する側面10cとは、互いに異なる面である。このため、半導体装置101においては、第1電極端子11が第1バスバ31に容易に接続でき、第2電極端子12が第2バスバ32に容易に接続できる。よって、半導体装置101は、第1電極端子11及び第2電極端子12を、それぞれの電位ごとに、異なるバスバに接続させることができる。
半導体装置101においては、保護壁61は、カバー部51が取り付けられるカバー取付面61aと、カバー取付面61aに設けられる位置決め突起61bとを有し、カバー部51は、位置決め突起61bと嵌合する位置決め孔51aを有する。このため、保護部材40Aにおいては、カバー部51と保護壁61とを、互いに精度良く組み付けることができる。よって、半導体装置101は、カバー部51と保護壁61との間のがた付きを抑えることができるので、保護部材40Aの強度低下を抑えることができる。
半導体装置101においては、カバー部51は、金属材料で形成される。このため、カバー部51は、半導体素子の短絡故障による飛散物の衝突に耐え得る強度を有することができる。
半導体装置101においては、保護壁61は、樹脂材料で形成される。このため、半導体装置101は、保護部材40Aの軽量化を図りながら、当該保護部材40Aにおいて、半導体素子の短絡故障による飛散物の衝突に耐え得る強度を有することができる。
なお、半導体装置101においては、半導体部品10における第1電極端子11が露出する下面10bと、半導体部品10における第2電極端子12が露出する側面10cとは、互いに異なる面となっているが、半導体部品10における第1電極端子11が露出する面と、半導体部品10における第2電極端子12が露出する面とは、同じ面であっても良い。図2は、実施の形態1に係る他の半導体装置101Aの縦断面図である。この図2は、第1電極端子11と第2電極端子12とが、半導体部品10の下面10bから露出する例である。
実施の形態2.
実施の形態2に係る半導体装置102について、図3を用いて説明する。図3は、実施の形態2に係る半導体装置102の縦断面図である。なお、上述した実施の形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図3に示すように、実施の形態2に係る半導体装置102は、実施の形態1に係る半導体装置101の保護部材40Aに替えて、保護部材40Bを備えている。保護部材40Bは、半導体部品10、第1バスバ31、及び、第2バスバ32の周囲を上方及び側方から覆うように設けられている。
保護部材40Bは、カバー部52及び保護壁62を有している。この保護部材40Bは、樹脂材料で形成されている。カバー部52と保護壁62とは、互いに一体成形されている。カバー部52の下面は、半導体部品10の上面10aよりも大きく形成されている。保護部材40Bと、第1バスバ31及び第2バスバ32とは、別部材である。
以上、実施の形態2に係る半導体装置102においては、カバー部52及び保護壁62を有する保護部材40Bを備えることにより、半導体装置102の部品点数が少なくなり、組み立てが容易となる。この結果、半導体装置102の製造コストを低減することができる。
なお、上述したように、半導体装置102においては、保護部材40Bを、カバー部52と保護壁62との一体成形部品としているが、カバー部52と保護壁62とは、一体成形されていなくても良い。この場合、例えば、図3に示すように、保護壁62は、カバー部52の外周部が嵌合する嵌合凹部62aを有している。このため、カバー部52の外周部は、保護壁62の嵌合凹部62aに嵌合可能となっている。カバー部51と保護壁61とは、別部材であり、互いに接合される。
図4は、実施の形態2に係る他の半導体装置102Aの縦断面図である。この図4に示すように、保護部材41Bは、カバー部52A及び保護壁62を有している。カバー部52Aと保護壁62とは、共に樹脂材料で形成されるものの、別部材である。カバー部52Aの外周部は、下方に向けて曲げられた曲げ形状となっている。このカバー部52Aは、保護壁62の内側に設けられている。
このとき、カバー部52Aの外周曲げ部52bと、保護壁62の内面との間には、隙間が形成されてしまう。しかしながら、保護部材41Bにおいては、カバー部52Aと保護壁62との間に、隙間が生じても、カバー部52Aの外周部に外周曲げ部52bが形成されているため、その隙間は、迷路構造となる。このため、半導体装置102Aは、半導体素子の短絡故障による飛散物の装置外部への飛散を抑えることができる。また、半導体装置102においては、カバー部52Aの外周部に外周曲げ部52bが形成されているため、当該カバー部52Aを保護壁62の内側に差し込み易くなり、保護部材41Bの組み立てが容易となる。この結果、半導体装置102Aの製造コストを低減することができる。
実施の形態3.
実施の形態3に係る半導体装置103について、図5を用いて説明する。図5は、実施の形態3に係る半導体装置103の縦断面図である。なお、上述した実施の形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図5に示すように、実施の形態3に係る半導体装置103は、実施の形態1に係る半導体装置101の保護部材40Aに替えて、保護部材40Cを備えている。保護部材40Bは、半導体部品10、第1バスバ31、及び、第2バスバ32の周囲を上方及び側方から覆うように設けられている。また、保護部材40Cは、金属材料で形成されるカバー部53、及び、樹脂材料で形成される保護壁63を有している。
カバー部53は、平板部53a及び傾斜部53bを有している。平板部53aは、平板状に形成されている。この平板部53aの下面は、半導体部品10の上面10aと対向するように配置されている。また、平板部53aの下面は、その上面10aよりも大きく形成されている。更に、平板部53aの一端側には、位置決め孔51aが形成されている。一方、平板部53aの他端は、傾斜部53bの一端と接続している。
傾斜部53bは、その一端から他端に向かうに従って、下方に向けて徐々に傾斜している。このため、カバー部53は、全体として、一端側が高く形成される一方、他端側が低く形成されている。なお、カバー部53の一端側とは、第2バスバ32が配置される側であり、カバー部53の他端とは、第1バスバ31が配置される側である。
傾斜部53bの他端には、位置決め孔51aが形成されている。また、傾斜部53bの内面は、半導体部品10の側面10cと対向するように配置されている。その傾斜部53bの内面と対向する側面10cは、第2電極端子12の他端が露出する側面10cの反対側に位置する側面である。なお、傾斜部53bは、略上下方向に延びる縦壁部であっても良い。
保護壁63は、カバー部53の構成及びその形状に応じて形成されている。即ち、保護壁63は、全体として、一端側が高く形成される一方、他端側が低く形成されている。
具体的には、保護壁63は、高壁部63a及び低壁部63bを有している。高壁部63aは、保護壁63の一端側に配置されている。この高壁部63aは、半導体部品10の設置高さよりも高くなるように形成されている。低壁部63bは、保護壁63の他端側に配置されている。この低壁部63bは、半導体部品10の設置高さよりも低くなるように形成されている。即ち、高壁部63aは、低壁部63bよりも高く形成されている。このとき、傾斜部53bの内面と低壁部63bの内面とは、隙間なく接続した状態となっている。このため、半導体素子の短絡故障による飛散物が、傾斜部53bの内面と低壁部63bの内面との間に、侵入することは無い。
また、高壁部63aの下部は、第2バスバ32に固定されている。低壁部63bの下部は、第1バスバ31に固定されている。このため、保護壁63の固定強度は、向上される。この結果、保護部材40Cは、半導体素子の短絡故障による飛散物が衝突しても、破損することが防止される。
高壁部63a及び低壁部63bの各上面は、カバー取付面61aを構成している。これらのカバー取付面61aには、位置決め突起61bがそれぞれ設けられている。高壁部63aのカバー取付面61aには、カバー部53の平板部53aが取り付けられている。高壁部63aの位置決め突起61bは、平板部53aの位置決め孔51aに嵌合している。また、低壁部63bのカバー取付面61aには、カバー部53の傾斜部53bが取り付けられている。低壁部63bの位置決め突起61bは、傾斜部53bの位置決め孔51aに嵌合している。
以上、実施の形態3に係る半導体装置103は、半導体素子と、半導体素子と接続する第1電極端子11とを有する半導体部品10と、半導体部品10の周囲を覆うように設けられる保護部材40Cとを備え、保護部材40Cは、半導体部品10における第1電極端子11が露出する下面10bの反対側に位置する上面10aと対向し、当該上面10aよりも大きく形成されるカバー部53を有する。このため、半導体装置101は、半導体素子の短絡故障による飛散物の装置外部への飛散を抑えることができる。
実施の形態4.
実施の形態4に係る半導体装置104について、図6を用いて説明する。図6は、実施の形態4に係る半導体装置104の縦断面図である。なお、上述した実施の形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図6に示すように、実施の形態4に係る半導体装置104は、実施の形態1に係る半導体装置101の保護部材40Aに替えて、保護部材40Dを備えている。保護部材40Dは、半導体部品10、第1バスバ31、及び、第2バスバ32の周囲を上方及び側方から覆うように設けられている。また、保護部材40Dは、金属材料で形成されるカバー部54、及び、樹脂材料で形成される保護壁64を有している。
カバー部54は、平板部54a及び2つの傾斜部54bを有している。平板部54aは、平板状に形成されている。この平板部54aの下面は、半導体部品10の上面10aと対向するように配置されている。また、平板部54aの下面は、その上面10aよりも大きく形成されている。更に、平板部54aの一端及び他端は、各傾斜部54bの一端とそれぞれ接続している。
一方の傾斜部54bは、第2バスバ32側に配置されている。他方の傾斜部54bは、第1バスバ31側に配置されている。各傾斜部54bは、その一端から他端に向かうに従って、下方に向けて徐々に傾斜している。このため、カバー部54は、全体として、中央部から外側に向かうに従って、下方に向けて徐々に傾斜するような、凸形状をなしている。
各傾斜部54bの他端には、位置決め孔51aが形成されている。また、各傾斜部54bの内面は、半導体部品10の側面10cと対向するようにそれぞれ配置されている。一方の傾斜部54bの内面と対向する側面10cは、第2電極端子12の他端が露出する側面である。一方、他方の傾斜部54bの内面と対向する側面10cは、第2電極端子12の他端が露出する側面10cの反対側に位置する側面である。なお、傾斜部54bは、略上下方向に延びる縦壁部であっても良い。
保護壁64の上面は、カバー取付面61aを構成している。このカバー取付面61aには、位置決め突起61bが設けられている。保護壁64のカバー取付面61aには、カバー部54の各傾斜部54bが取り付けられている。保護壁64の位置決め突起61bは、傾斜部54bの位置決め孔51aに嵌合している。このとき、各傾斜部54bの内面と保護壁64の内面とは、隙間なく接続した状態となっている。このため、半導体素子の短絡故障による飛散物が、各傾斜部54bの内面と保護壁64の内面との間に、侵入することは無い。
また、保護壁64の下部は、第1バスバ31及び第2バスバ32に固定されている。このため、保護壁64の固定強度は、向上される。この結果、保護部材40Dは、半導体素子の短絡故障による飛散物が衝突しても、破損することが防止される。
以上、実施の形態4に係る半導体装置104は、半導体素子と、半導体素子と接続する第1電極端子11とを有する半導体部品10と、半導体部品10の周囲を覆うように設けられる保護部材40Dとを備え、保護部材40Dは、半導体部品10における第1電極端子11が露出する下面10bの反対側に位置する上面10aと対向し、当該上面10aよりも大きく形成されるカバー部54を有する。このため、半導体装置101は、半導体素子の短絡故障による飛散物の装置外部への飛散を抑えることができる。
実施の形態5.
実施の形態5に係る半導体装置105について、図7を用いて説明する。図7は、実施の形態5に係る半導体装置105の縦断面図である。なお、上述した実施の形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図7に示すように、実施の形態5に係る半導体装置105は、実施の形態1に係る半導体装置101の保護部材40Aに替えて、保護部材40Eを備えている。保護部材40Eは、半導体部品10、第1バスバ31、及び、第2バスバ32の周囲を上方及び側方から覆うように設けられている。
保護部材40Eは、金属材料のみで形成されており、例えば、実施の形態4に係るカバー54相当のものとして良い。この場合、保護部材40Eは、平板部54a及び2つの傾斜部54bから構成される。このため、保護部材40Eは、全体として、中央部から外側に向かうに従って、下方に向けて徐々に傾斜するような、凸形状をなしている。
以上、実施の形態5に係る半導体装置105は、半導体素子と、半導体素子と接続する第1電極端子11とを有する半導体部品10と、半導体部品10の周囲を覆うように設けられる保護部材40Eとを備え、保護部材40Eは、半導体部品10における第1電極端子11が露出する下面10bの反対側に位置する上面10aと対向し、当該上面10aよりも大きく形成される。このため、半導体装置101は、半導体素子の短絡故障による飛散物の装置外部への飛散を抑えることができる。
実施の形態6.
実施の形態6に係る半導体装置106について、図8を用いて説明する。図8は、実施の形態6に係る半導体装置106の縦断面図である。なお、上述した実施の形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図8に示すように、実施の形態6に係る半導体装置106は、実施の形態1に係る半導体装置101の保護部材40Aに替えて、保護部材40Fを備えている。保護部材40Fは、半導体部品10、第1バスバ31、及び、第2バスバ32の周囲を上方及び側方から覆うように設けられている。保護部材40Fは、金属材料で形成されるカバー部56、及び、樹脂材料で形成される保護壁66を有している。また、半導体装置106は、冷却器81を備えている。
カバー部56は、平板部56a及び傾斜部56bを有している。平板部56aは、平板状に形成されている。この平板部56aの下面は、半導体部品10の上面10aと対向するように配置されている。また、平板部56aの下面は、その上面10aよりも大きく形成されている。更に、平板部56aの一端側には、位置決め孔51aが形成されている。一方、平板部53aの他端は、傾斜部56bの一端と接続している。
傾斜部56bは、その一端から他端に向かうに従って、下方に向けて徐々に傾斜している。このため、カバー部56は、全体として、一端側が高く形成される一方、他端側が低く形成されている。なお、カバー部56の一端側とは、第2バスバ32が配置される側であり、カバー部56の他端とは、第1バスバ31が配置される側である。
傾斜部56bの他端は、第1バスバ31に固定されている。また、傾斜部56bの内面は、半導体部品10の側面10cと対向するように配置されている。その傾斜部56bの内面と対向する側面10cは、第2電極端子12の他端が露出する側面10cの反対側に位置する側面である。なお、傾斜部56bは、略上下方向に延びる縦壁部であっても良い。
保護壁66は、1つの壁部等から構成されており、半導体部品10の設置高さよりも高くなるように形成されている。この保護壁66は、第2バスバ32側に配置されている。保護壁66の上面は、カバー取付面61aを構成している。このカバー取付面61aには、位置決め突起61bが設けられている。保護壁66のカバー取付面61aには、カバー部56の平板部56aが取り付けられている。保護壁66の位置決め突起61bは、傾斜部56bの位置決め孔51aに嵌合している。
冷却器81は、半導体部品10を冷却するためのものである。この冷却器81は、第1バスバ31の下面に設けられている。即ち、冷却器81は、第1バスバ31における半導体部品10が接続される上面の反対側に位置する下面に接続している。そして、傾斜部56bの他端(平坦部)と、第1バスバ31、及び、冷却器81は、ねじ82を用いて、1箇所以上で共締めされている。このため、カバー部56の固定強度は、向上される。この結果、保護部材40Dは、半導体素子の短絡故障による飛散物が衝突しても、破損することが防止される。
従って、半導体部品10から発せられた熱は、第1電極端子11、接合材21、及び、第1バスバ31を介して、冷却器81に吸収される。この結果、半導体部品10は、冷却される。また、半導体装置106は、半導体部品10からその周囲に放出される熱を、冷却器81によって冷却されたカバー部56によって吸収するようにしても良い。このため、半導体装置106は、半導体部品10から発せられた熱の装置外部への漏れを防止することができる。
半導体装置106においては、冷却器81を固定するために、ねじ82を用いているが、半田及び接着剤等の接合材を用いても良い。
以上、実施の形態6に係る半導体装置106は、第1バスバ31に設けられる冷却器81を備える。このため、半導体装置106は、半導体部品10を、第1バスバ31を介して、冷却することができる。
半導体装置106においては、カバー部56の傾斜部56bと第1バスバ31と冷却器81とは、ねじ82によって共締めされる。このため、半導体装置106は、冷却器81の取り付けを利用して、カバー部56の固定強度の向上を図ることができる。
なお、半導体装置106は、冷却器81を備えているが、半導体部品10に対する放熱性を更に向上させたい場合には、放熱性を有する放熱部材を設けても良い。
図9は、実施の形態6に係る他の半導体装置106Aの縦断面図である。この図9は、放熱部材85を第1バスバ31と冷却器81との間に介在させた例である。放熱部材85は、例えば、シリコングリース等の放熱材で形成されている。この場合、第1バスバ31は、カバー部56の傾斜部56b及び冷却器81と共締めされなくても良い。傾斜部56bと冷却器81とが、ねじ82を用いて、互いに固定されている。このように、半導体装置106は、放熱部材85を設けることにより、半導体部品10に対する放熱性を向上させることができる。このとき、第1バスバ31と冷却器81との間を絶縁したい場合には、半導体装置106Aは、絶縁性を有する放熱材で形成された放熱部材85を、用いれば良い。
また、図10は、実施の形態6に係る更に他の半導体装置106Bの縦断面図である。この図10は、放熱部材85を第1バスバ31と冷却器81との間に介在させると共に、カバー部56の傾斜部56bと第1バスバ31と樹脂部材86とを、ねじ82によって共締めする例である。このため、半導体装置106Bにおいては、半導体部品10と冷却器81との間を、絶縁性を有する放熱部材85によって絶縁した状態で、カバー部56の傾斜部56bが保護壁66の役割を果たすことができる。
実施の形態7.
実施の形態7に係る半導体装置107について、図11を用いて説明する。図11は、実施の形態7に係る半導体装置107の縦断面図である。なお、上述した実施の形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図11に示すように、実施の形態7に係る半導体装置107は、実施の形態1に係る半導体装置101の保護部材40Aに替えて、保護部材40Gを備えている。保護部材40Gは、半導体部品10、第1バスバ31、及び、第2バスバ32の周囲を上方及び側方から覆うように設けられている。また、保護部材40Gは、金属材料で形成されるカバー部57、及び、樹脂材料で形成される保護壁67を有している。
カバー部57は、平板状に形成されている。また、カバー部57は、半導体部品10、第1バスバ31、及び、第2バスバ32の周囲を上方から覆っている。このカバー部57の下面は、半導体部品10の上面10aと対向するように配置されている。更に、カバー部57の下面は、その上面10aよりも大きく形成されている。
保護壁67は、半導体部品10の設置高さよりも高くなるように形成されている。このため、保護壁67は、半導体部品10、第1バスバ31、及び、第2バスバ32の周囲を側方から覆っている。また、保護壁67に内面は、半導体部品10の全ての側面10cと対向するように配置されている。更に、保護壁67の下部は、第1バスバ31及び第2バスバ32に固定されている。このため、保護壁67の固定強度は、向上される。この結果、保護部材40Gは、半導体素子の短絡故障による飛散物が衝突しても、破損することが防止される。
また、カバー部57は、係止孔57aを有している。この係止孔57aは、カバー部57をその厚さ方向に貫通する貫通孔である。
これに対して、保護壁67は、カバー取付面61a及び係止突起67aを有している。カバー取付面61aは、保護壁67の上面を構成しており、カバー部57を保護壁67に取り付けるための面である。係止突起67aは、そのカバー取付面61aに設けられている。この係止突起67aは、カバー取付面61aから上方に向けて延びるように形成されている。係止突起67aは、係止孔57aに対して係止可能となっている。
従って、係止突起67aは、カバー取付面61aに取り付けられたカバー部57の係止孔57aに係止する。このため、カバー部57と保護壁67とは、互いに係止される。
なお、半導体装置107においては、カバー部57が係止孔57aを有し、保護壁67が係止突起67aを有しているが、カバー部57が係止突起を有し、保護壁67が係止孔を有しても良い。
以上、実施の形態7に係る半導体装置107においては、保護壁67は、カバー部57が取り付けられるカバー取付面61aと、カバー取付面61aに設けられる係止突起67aとを有し、カバー部57は、係止突起67aが係止する係止孔57aを有する。このため、保護部材40Gにおいては、カバー部57と保護壁67とを、互いに精度良く組み付けることができる。よって、半導体装置107は、カバー部57と保護壁67との間のがた付きを抑えることができるので、保護部材40Gの強度低下を抑えることができる。
実施の形態8.
実施の形態8に係る半導体装置108について、図12を用いて説明する。図12は、実施の形態8に係る半導体装置108の縦断面図である。なお、上述した実施の形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図12に示すように、実施の形態8に係る半導体装置108は、実施の形態6に係る半導体装置106に、ばね83を加えたものである。ばね83は、カバー部56の下面に設けられている。このばね83は、半導体部品10の上面10aを押圧可能となっている。
以上、実施の形態8に係る半導体装置108は、カバー部56に設けられ、半導体部品10を押圧可能とするばね83を備える。このため、半導体装置108は、半導体素子の短絡故障による飛散物の飛散に伴う、半導体部品10の浮き上がり及び位置ずれを、抑えることができる。また、半導体装置108は、ばね83を備えているため、半導体部品10から発せられた熱は、ばね83、カバー部56、及び、第1バスバ31を介して、冷却器81に吸収される。このため、半導体装置108は、半導体部品10に対する放熱を十分に行うことができる。この結果、半導体装置108は、半導体部品10を、放熱性が劣る安価な半導体部品とすることができ、製造コストを抑制することができる。
実施の形態9.
実施の形態9に係る半導体装置109について、図13を用いて説明する。図13は、実施の形態9に係る半導体装置109の縦断面図である。なお、上述した実施の形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図13に示すように、実施の形態9に係る半導体装置109は、実施の形態1に係る半導体装置101における第1電極端子11、第2電極端子12、第1バスバ31、及び、第2バスバ32に替えて、第1電極端子11a、第2電極端子12a、第1バスバ31a、及び、第2バスバ32aを備えている。この半導体装置109においては、接合材21が用いられていない。
第1電極端子11aは、半導体部品10の側面10cから、少なくとも、その他端が露出するように、樹脂材料によって固定されている。また、第2電極端子12aは、半導体部品10の側面10cから、少なくとも、その他端が露出するように、樹脂材料によって固定されている。このとき、第1電極端子11aと第2電極端子12aとは、同じ側面10cから露出している。
第1電極端子11aの他端は、第1バスバ31aを介して、保護壁61の内面に固定されている。また、第2電極端子12aの他端は、第2バスバ32aを介して、保護壁61の内面に固定されている。このとき、第1バスバ31aと第2バスバ32aとは、同じ保護壁61の内面に固定されている。言い換えれば、第1電極端子11aと第2電極端子12aとは、同じ保護壁61の内面に固定されている。
第1電極端子11aと第1バスバ31aは、例えば、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接及び超音波接合等の接合を用いて、電気的に接合されている。また、第2電極端子12aと第2バスバ32aは、例えば、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接及び超音波接合等の接合を用いて、電気的に接合されている。
以上、実施の形態9に係る半導体装置109は、半導体素子と、半導体素子と接続する第1電極端子11a及び第2電極端子12aとを有する半導体部品10と、半導体部品10の周囲を覆うように設けられる保護部材40Aとを備え、保護部材40Aは、半導体部品10における第1電極端子11aが露出し、且つ、半導体部品10における第2電極端子12aが露出する側面10cと対向する保護壁61を有する。このため、このため、半導体装置101は、半導体素子の短絡故障による飛散物の装置外部への飛散を抑えることができる。
半導体装置109は、第1電極端子11aに接続する第1バスバ31aと、第2電極端子12aに接続する第2バスバ32aとを備え、第1バスバ31a及び第2バスバ32aは、保護部材40Aに固定されている。このため、半導体装置109は、保護部材40Aの固定強度を向上させることができる。よって、カバー部51は、半導体素子の短絡故障による飛散物の衝突に耐え得る強度を有することができる。
なお、半導体装置109においては、第1バスバ31aと第2バスバ32aとが、同じ保護壁61の内面に固定されているが、互いに異なる面に固定されても良い。図14は、実施の形態9に係る他の半導体装置109Aの縦断面図である。この図14は、第1バスバ31aと第2バスバ32aとが、互いに異なる保護壁61の内面に固定される例である。このため、半導体装置109Aは、電力変換装置を構成する他の電子部品が配置される位置に応じて、第1バスバ31a及び第2バスバ32aの各固定位置を設定することができる。
実施の形態10.
実施の形態10に係る半導体装置110について、図15及び図16を説明する。図15は、実施の形態10に係る半導体装置110の上方斜視図である。図16は、実施の形態10に係る半導体装置110の平面図である。なお、上述した実施の形態で説明した構成と同様の機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、図15及び図16に示す半導体装置110においては、保護部材及び接合材21が省略されている。この半導体装置110に保護部材を適用する場合、その保護部材は、上記保護部材40A~40Gのうち、いずれか1つの保護部材を適用することができる。
図15及び図16に示すように、実施の形態10に係る半導体装置110は、実施の形態1に係る半導体装置101の第2バスバ32に替えて、第2バスバ33を備えている。
半導体装置110は、複数の半導体部品10、1つの第1バスバ31、及び、1つの第2バスバ33を備えている。各半導体部品10は、第1電極端子11及び接合材21(図示省略)を介して、第1バスバ31に接続されている。また、各半導体部品10は、第2電極端子12及び接合材21(図示省略)を介して、第2バスバ33に接続されている。
第2バスバ33は、平坦部33a及びコイル部33bを有している。平坦部33aは、第2バスバ33の一端側に設けられている。この平坦部33aには、各半導体部品10が、第2電極端子12及び接合材21を介して、接続されている。コイル部33bは、第2バスバ33の他端側に設けられている。このコイル部33bは、平坦部33aからコイル状に形成されている。
これに対して、半導体装置110は、磁性体コア84を備えている。この磁性体コア84は、第2バスバ33の他端側に設けられている。また、磁性体コア84は、2つのコア部材84a及び中心柱84bを有している。磁性体コア84は、2つのコア部材84aが、中心柱84bを上下両側からそれぞれ挟み込むような、構造となっており、その内部に閉磁路を形成している。そして、中心柱84bには、第2バスバ33のコイル部33bが当該中心柱84bの外周面に沿って設けられている。このような磁性体コア84は、例えば、フェライト、センダスト、アモルファス、電磁材料等で形成されている。
また、保護壁61~67は、第2バスバ33のコイル部33b及び磁性体コア84のうち、少なくとも一方に固定されている。このため、コイル部33bを固定するためのコイル部固定用部材、又は、磁性体コア84を固定するための磁性体コア固定用部材が、削減されている。
以上、実施の形態10に係る半導体装置110においては、第2バスバ33は、第2電極端子12が接続する平坦部33aと、平坦部33aからコイル状に形成され、磁性体コア84の内部に設けられるコイル部33bとを有する。このため、半導体装置110においては、第2バスバ33にコイル部33bを形成することで、別部品となるコイル部品を備える必要が無い。よって、半導体装置110は、製造コストを抑えることができる。また、半導体装置110を電力変換装置に適用した場合、当該半導体装置110は、その電力変換装置の小型化に貢献することができる。
半導体装置110においては、保護壁61~67は、第2バスバ33のコイル部33b及び磁性体コア84のうち、少なくとも一方に固定されている。このため、半導体装置110は、コイル部固定用部材又は磁性体コア固定用部材を削減することができる。よって、半導体装置110は、製造コストを抑えることができる。また、半導体装置110を電力変換装置に適用した場合、当該半導体装置110は、その電力変換装置の小型化に貢献することができる。
なお、本開示は、その開示の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、或いは、各実施の形態における任意の構成要素の変形、若しくは、各実施の形態における任意の構成要素の省略が可能である。