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JP7339588B2 - データ補正方法及びデータ補正装置 - Google Patents

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JP7339588B2 JP2022539870A JP2022539870A JP7339588B2 JP 7339588 B2 JP7339588 B2 JP 7339588B2 JP 2022539870 A JP2022539870 A JP 2022539870A JP 2022539870 A JP2022539870 A JP 2022539870A JP 7339588 B2 JP7339588 B2 JP 7339588B2
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Description

本発明は、点群データを測定した際の測定条件に関するデータを補正するデータ補正方法及びデータ補正装置に関する。
図16は、通信ネットワーク機器全般の仕様オープン化推進を図るコンソーシアムであるTIP(Telecom InfraProjcet)(主要メンバ:Facebook, Deutsche Telecom, Intel, NOKIAなど)において、mmWave Networksが提案するユースケース(例えば、非特許文献1~3参照)を参考に一部を修正して模式化した図である。mmWave Networksは、TIPのプロジェクトグループの1つであり,アンライセンス帯のミリ波無線を使用して、光ファイバの敷設より速く、かつ安価なネットワーク構築を目指している。
図16に示すビル800,801及び住宅810,811,812などの建物において、建物のそれぞれの壁面に設置された端末局装置(以下「端末局」という。)840~844及び電柱821~826に設置された基地局装置(以下「基地局」という。)830~834は、mmWave DN(Distribution Node)と呼ばれる装置である。
基地局830~834は、光ファイバ900,901により局舎(Fiber PoP(Point of Presence))850,851に備えられた通信装置と接続されている。この通信装置は、プロバイダーの通信ネットワークに接続されている。端末局840~844と、基地局830~834との間(以下「両局間」ともいう。)では、mmWave Link、すなわちミリ波無線が行われる。図16では、ミリ波無線のリンクを一点破線で示している。
基地局830~834を電柱821~826に設置し、端末局840~844を建物の壁面に設置し、両局間をミリ波無線によって通信する形態において、基地局830~834および端末局840~844を設置する候補になる位置を選定することを置局設計(以下「置局」ともいう。)という。
図17は、ミリ波局の置局設計に用いる点群データを収集するMMS(Mobile Mapping System)の概略構成と、MMSが収集するデータの種類と、点群データを利用する置局支援ツールにより表示した画面500を示した図である。MMSとは、例えば、レーザレーダ702と、GPS(Global Positioning System)からの電波を受信するアンテナ703と、計測装置701とを備える車両700である。車両700の走行中に、レーザレーダ702が、測定時刻ごとにレーザ光を周囲に照射する。レーザレーダ702は、周囲に存在する建物等の測定対象物から反射光が戻ってくるまでの時間を計測し、計測した時間に基づいて測定対象物までの距離を算出する。計測装置701は、測定時刻ごとの測定対象物までの距離と、レーザ光の照射方向とを記録することにより点群データを生成する。
計測装置701は、複数のGPS衛星600-1,600-2から観測時刻ごとに電波を受信する。計測装置701は、受信した電波に重畳されているデータに基づいて観測時刻ごとの車両700の位置を検出する。計測装置701は、検出した観測時刻ごとの車両700の位置の履歴から走行軌跡データ711を生成する。
測定時刻の間隔よりも、観測時刻の間隔の方が長いため、測定時刻と、観測時刻とが一致することは少ない。そのため、まず計測装置701は、生成した走行軌跡データ711から測定時刻ごとの車両700の位置と、速度と、走行方向とを推定する。次に、計測装置701は、推定した車両700の位置から三次元空間におけるレーザレーダ702の照射位置を算出する。そして、計測装置701は、車両700の走行方向からレーザレーダ702が向いている方向を算出する。検出したレーザレーダ702の照射位置と、レーザレーダ702が向いている方向と、点群データとに基づいて、点群データに含まれる個々の点の三次元空間での座標を特定することができる。
計測装置701は、推定した測定時刻ごとの車両700の速度及び走行方向に基づいて、車両700が等速で走行しており、かつ直進していると判定した場合、当該測定時刻の点群データに対して、信頼度合いが高いことを示す信頼指標「高い」を付与し、点群データ(タイプA)712として分類する。これに対して、計測装置701は、推定した測定時刻ごとの車両700の速度及び走行方向により、車両700が等速で走行していないか、または、直進していないと判定した場合、当該測定時刻の点群データに対して、信頼度合いが低いことを示す信頼指標「低い」を付与し、点群データ(タイプB)713として分類する。
車両700が等速で走行していない場合とは、例えば、加速や減速をしている場合であり、車両700が直進していない場合とは、例えば、右左折を含む屈曲した走行をしている場合である。信頼指標「低い」を付与する理由は、加速や減速、または、右左折を含む屈曲した走行をしている場合、車両700の位置と、速度と、走行方向の推定精度が低くなるためである。なお、信頼指標「低い」ではなく、点群データに信頼性が無く利用することができない場合には、信頼指標「無い」を付与することもある。
ここで、信頼指標とは、置局支援ツールにおいて点群データを利用する際に、利用の優先度を示す指標である。例えば、「無い」が付与されている点群データについては利用せず、「低い」が付与されている点群データを利用する際には、同一の位置を示す「高い」が付与されている他の点群データが存在しない場合に利用し、「高い」が付与されている点群データを優先して利用するような処理が行われる。
置局支援ツールは、点群データを利用して、画面500に示す基地局501を設置する位置と、端末局511~514の各々を設置する位置との間の見通しの有無を検出する。例えば、置局支援ツールは、基地局501の位置から端末局511~514の各々を設置する位置との間に見通し検出線を設定し、見通し検出線上に、建物の形状を示す点群データが存在するか否かにより見通しの有無を検出する。
置局支援ツールは、画面500に、地図データを表示する。例えば、符号521,522が示す実線で囲まれる領域は、地図データに示される建物等が存在する区画であり、区画の間の空白が道路である。置局支援ツールは、走行軌跡データ711に基づいて、地図データ上に車両700の走行軌跡540を表示する。走行軌跡540に沿って、例えば、符号531,532で示す実線の矢印に沿った一定の幅の領域(以下「領域A」という。)が点群データ(タイプA)712が存在する箇所になる。走行軌跡540に沿って、例えば、符号533,534で示す点線に沿った一定の幅の領域(以下「領域B」という。)が点群データ(タイプB)713が存在する箇所になる。
画面500には、複数の領域Aの模様の箇所と、複数の領域Bの模様の箇所とが示されている。領域Aの模様の箇所では、走行軌跡データ711が示す軌跡が直線である。これに対して、領域Bの模様の箇所では、走行軌跡データ711が示す軌跡が屈曲していることが分かる。
Sean Kinney, "Telecom Infra Project focuses on millimeter wave for dense networks, Millimeter Wave Networks Project Group eyes 60 GHz band", Image courtesy of the Telecom Infra Project, RCR Wireless News, Intelligence on all things wireless, Sep 13 2017, [令和2年7月12日検索]、インターネット(URL: https://www.rcrwireless.com/20170913/carriers/telecom-infra-project-millimeter-wave-tag17) Frederic Lardinois, "Facebook-backed Telecom Infra Project adds a new focus on millimeter wave tech for 5G", [令和2年7月12日検索]、インターネット(URL: https://techcrunch.com/2017/09/12/facebook-backed-telecom-infra-project-adds-a-new-focus-on-millimeter-wave-tech-for-5g/?renderMode=ie11) Jamie Davies, "DT and Facebook TIP the scales for mmWave", GLOTEL AWARDS 2019, telecoms.com, Sep 12 2017, [令和2年7月12日検索]、インターネット(URL: http://telecoms.com/484622/dt-and-facebook-tip-the-scales-for-mmwave/) 寺田弘慈,"準天頂衛星初号機「みちびき」の運用状況について -「みちびき」による最新実験成果例- GPS補完機能効果の実験システム構成",第9回衛星測位と地理空間情報フォーラム(SPAC),平成23年5月18日,[令和2年7月12日検索],インターネット(URL:http://www.eiseisokui.or.jp/media/pdf/forum_09/forum_09-05.pdf) 松岡繁,"準天頂衛星初号機「みちびき」を使用した民間利用実証報告書 -1.3 センチメータ級補強システムの開発及び利用推進- 利用実証用センチメータ級測位補強の実験例",財団法人 衛星測位利用推進センタ 民間利用実証調整会議,平成24年5月16日,[令和2年7月12日検索],インターネット(URL: http://www.eiseisokui.or.jp/media/pdf/forum_10/forum_10-09.pdf) 齋藤 雅行,山岸 敦,瀧口 純一,浅里 幸起,"準天頂衛星による高精度測位システムの紹介", MSS技報,Vol.26,[令和2年7月12日検索],インターネット(URL: https://www.mss.co.jp/technology/report/pdf/26_02.pdf)
図17に示した点群データ(タイプB)713として分類された点群データに対して信頼指標「低い」または「無い」を付与する理由は、上記したように、加速や減速、または、右左折を含む屈曲した走行をしている場合、車両700の位置と、速度と、走行方向の推定精度が低くなるためである。この理由の具体例を、図18及び図19に示す。
図18は、直線の片側二車線の道路の一方の方向の道路の付近である道路550と、歩道570とを上空から見た図である。なお、符号552で示すラインは、対向車線との境界を示すセンターラインである。
符号541で示す二重線の矢印は、MMSである車両700が走行した軌跡であり、以下、走行軌跡541という。車両700は、走行軌跡541の矢印が示す右方向に走行している。道路550には、歩道570に寄せて車両750が停車している。車両700では、走行レーン561を走行している途中で、停車している車両750を避けるために、走行レーン561と追越レーン562を区切るライン551を超えて、一時的に追越レーン562を走行し、その後、走行レーン561に戻る運転操作が行われている。
このような運転操作が行われているため、車両700の走行軌跡541は、2か所において屈曲した状態になっている。走行軌跡541に沿って示している複数の点線は、車両700に搭載されたレーザレーダ702が、測定時刻ごとに照射したレーザ光の照射方向を示したレーザ照射ラインである。車両700が、走行レーン561及び追越レーン562を一定の速度で、直線に走行している場合、すなわち、等速直進している場合には、レーザ照射ラインは、走行方向に対して垂直になり、等間隔で平行な規則的な並びになる。
これに対して、車両700が走行レーン561から追越レーン562に移動し、追越レーン562から走行レーン561に戻る符号401,402によって示される区間においては、レーザ照射ラインは、平行ではなく乱れが生じることになり、更に等速でない場合、等間隔でもなくなる。
図19は、片側一車線の道路が交差した交差点の部分において、MMSである車両700が走行した走行軌跡542を示した図である。図18と同様に図19においても測定時刻ごとのレーザ照射ラインを点線で示している。符号580-1,580-2で示すラインは、センターラインであり、符号581-1~581-4で示すラインは、車道と路側帯の境界を示すラインである。車両700では、走行軌跡542の矢印が示すように、図19の下方から上方に走行し、交差点において右折する前にセンターライン580-1側に近寄り、その後、交差点を右折して右方向に直進する運転操作が行われている。
このような運転操作が行われているため、車両700の走行軌跡542は、センターライン580-1側に近寄る区間403の間及び交差点を右折する区間404においてレーザ照射ラインは、平行ではなく乱れが生じて不規則な状態になり、更に等速でない場合、等間隔にもならない。右折した後は、車両700は、一定の速度で直進しているので、レーザ照射ラインは、走行方向に対して垂直になり、等間隔で平行な規則的な並びになる。
図18及び図19に示したように、走行レーンの変更や、交差点での右折や左折など、直進しない場合、レーザ照射ラインは、平行でなくなり、更に等速でない場合、等間隔にもならない。このように、レーザ照射ラインが不規則に乱れると、点群データに含まれる個々の点が存在する空間の形状やサイズを推定するのが困難、または、推定ができなくなる。そのため、このようにレーザ照射ラインが不規則に乱れた際の点群データについては、信頼度合いが低下するため、信頼指標「低い」か、または、信頼指標「無い」を付与することになる。
このようなレーザ照射ラインが乱れる現象は、図18及び図19に示した水平面に限られず、例えば、車両700が、平地から坂道を上ったり、坂道から平地に戻ったり、凹凸のあるような道路を走行したりする場合にも発生する。
上記事情に鑑み、本発明は、レーザ照射ラインの乱れによって信頼度合いが低下した点群データを利用可能にすることができる技術の提供を目的としている。
本発明の一態様は、移動体に搭載されたレーザレーダ装置が、測定時刻ごとにレーザ光を照射することにより測定対象物までの距離を計測して点群データを生成する際に前記点群データに対応付けて生成される収集データであって観測時刻ごとに得られる前記移動体の水平面上での位置を示す水平面位置データから推定される前記レーザレーダ装置の測定条件を示す収集データを補正するデータ補正方法であって、前記観測時刻ごとに得られる前記水平面位置データよりも高精度の水平面位置データを取得するか、または、前記移動体の鉛直面上での位置を示す鉛直面位置データを取得し、取得した前記高精度の水平面位置データ、または、前記鉛直面位置データに基づいて、前記移動体の移動軌跡を示す移動軌跡データを生成する移動軌跡データ生成データ生成ステップと、前記移動軌跡データを解析して、前記測定時刻ごとの前記移動体の位置及び移動状態を推定する移動軌跡解析ステップと、前記測定時刻ごとの前記移動体の位置及び移動状態に基づいて、前記測定時刻ごとの前記レーザレーダ装置の測定条件を示す測定条件データを生成する測定条件生成ステップと、前記測定条件データに基づいて、前記収集データを補正する補正処理ステップと、を含むデータ補正方法である。
本発明の一態様は、移動体に搭載されたレーザレーダ装置が、測定時刻ごとにレーザ光を照射することにより測定対象物までの距離を計測して点群データを生成する際に前記点群データに対応付けて生成される収集データであって観測時刻ごとに得られる前記移動体の水平面上での位置を示す水平面位置データから推定される前記レーザレーダ装置の測定条件を示す収集データを補正するデータ補正装置であって、前記観測時刻ごとに得られる前記水平面位置データよりも高精度の水平面位置データを取得するか、または、前記移動体の鉛直面上での位置を示す鉛直面位置データを取得し、取得した前記高精度の水平面位置データ、または、前記鉛直面位置データに基づいて、前記移動体の移動軌跡を示す移動軌跡データを生成する移動軌跡データ生成部と、前記移動軌跡データを解析して、前記測定時刻ごとの前記移動体の位置及び移動状態を推定する移動軌跡解析部と、前記測定時刻ごとの前記移動体の位置及び移動状態に基づいて、前記測定時刻ごとの前記レーザレーダ装置の測定条件を示す測定条件データを生成する測定条件生成部と、前記測定条件データに基づいて、前記収集データを補正する補正処理部と、を備えるデータ補正装置である。
本発明により、レーザ照射ラインの乱れによって信頼度合いが低下した点群データを利用可能にすることができる。
第1の実施形態における点群データ収集システムの構成を示すブロック図である。 第1の実施形態の記憶部が記憶するデータを示す図である。 第1の実施形態の走行軌跡解析部による走行軌跡データから測定時刻ごとの車両の位置と走行方向を推定する手法を示した図である。 図3で推定した車両の位置に対して走行状態データを適用して車両の位置と走行方向を求める手法を示した図である。 GPS観測データのみを用いた場合のレーザ照射方向の推定精度を説明するための図である。 GPS観測データと準天頂衛星観測データを用いた場合のレーザ照射方向の推定精度を説明するための図である。 第1の実施形態の収集データ生成部による処理の流れを示すフローチャートである。 第1の実施形態における収集データを補正する処理の流れを示すフローチャートである。 第2の実施形態の点群データ収集システムの構成を示すブロック図である。 第2の実施形態の記憶部が記憶するデータを示す図である。 凹凸のある道路を走行した場合の車両の走行軌跡の変化を示す図である。 図11に示した道路を第2の実施形態の車両が走行した際のレーザ照射方向の変化を示す図である。 第2の実施形態における収集データを補正する処理の流れを示すフローチャートである。 第3の実施形態の点群データ収集システムの構成を示すブロック図である。 図11に示した道路を第3の実施形態の車両が走行した際のレーザ照射方向の変化を示す図である。 TIPが提案するユースケースの一例を示す図である。 点群データを用いた置局設計の概要を示す図である。 MMSが屈曲した走行をした場合のレーザ照射方向の変化を示す図である。 MMSが右折した場合のレーザ照射方向の変化を示す図である。
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態における点群データ収集システムαの構成を示すブロック図である。点群データ収集システムαは、点群データ収集装置2を備えた車両1と、複数のGPS衛星10-1,10-2及び準天頂衛星11とを備えている。車両1は、例えば、自動車のような移動体であり、上記したMMSに相当する。
図1では、2台のGPS衛星10-1,10-2を一例として示しているが、実際には、2台を超える数が運用されている。図1では、1台の準天頂衛星11を一例として示しているが、将来的には、複数の準天頂衛星11が運用される予定である。車両1が走行している位置に応じて見通しの状態が変化するため、車両1の走行中に電波を受信可能なGPS衛星10-1,10-2及び準天頂衛星11の数は変化する。
第1の実施形態では、GPS衛星10-1,10-2から受信する電波に重畳されているデータに加えて、準天頂衛星11から受信する電波に重畳されているデータを利用する。ここで、準天頂衛星11の概要について説明する。近年、準天頂衛星11(以下「QZS」(Quasi-Zenith Satellite)ともいう。)を主体として構成したQZSS(Quasi-Zenith Satellite System)を利用することにより、GPSを利用した場合よりも高い精度で位置を検出する試みがなされている。
例えば、非特許文献4の7ページには、GPS補完機能効果の実験システム構成の例が示されている。この実験システムでは、移動測位器であるMMSに準天頂衛星11に対応する受信機を搭載し、準天頂衛星11とGPS衛星10-1,10-2の受信ログとともに、リファレンスとなるMMSの走行軌跡を収集している。非特許文献4では、実験システムによりGPS衛星10-1,10-2に準天頂衛星11からの情報を加えた測位演算を実施することで「補完」機能を実現したこと、準天頂衛星11からの情報が追加されたことによる都市部での移動体測位性能の改善効果の検証が示されている。
非特許文献5の16ページには、MMSに測位端末を搭載し、林道にてリアルタイム移動体測位して、利用実証用センチメータ級測位補強を実験した例が示されており、当該実験において、FIX率79%、測位精度2.4cmの結果が得られ、結果が良好であることが示されている。
非特許文献6の6ページの図6に示された「都市部における精度評価」によれば、走行軌跡の誤差が(1)GPSのみによる測位で1.28mであった地点において(2)QZS+GPSによる測位では0.21mに改善したことが示されている。非特許文献6の6ページの表6の「QZSによる測位性能の向上」によれば、GPSのみによる測位と比較した場合、QZSを加えることにより測位率の改善度1.7倍、3D(Three-Dimensions)の精度が169cmから45cmに増加することが示されている。
GPS衛星10-1,10-2のみによる測位の精度は、精々数メートル~数十メートルである。これに対して、GPS衛星10-1,10-2と準天頂衛星11とを用いた場合には、非特許文献5に示される林道を走行する良い環境では、2.4cmの精度が得られており、非特許文献6に示される都市部でのビルの谷間となる道路を走行する悪い環境であっても、0.21mの精度が得られていることから測位の精度は、おおよそ十数センチメートル~数センチメートルに向上することになる。
図1に戻り、点群データ収集装置2は、レーザレーダ装置21、衛星電波受信用アンテナ22、情報受信部23、走行状態計測部24、記憶部25、収集データ生成部26及びデータ補正部3を備える。
レーザレーダ装置21は、例えば、回転軸を中心にレーザ光の照射穴を360°回転させてレーザ光を照射可能になっており、照射されたレーザ光が形成する面と、回転軸とが垂直に交わるように構成されている。以下、レーザレーダ装置21の回転軸が向いている方向をレーザレーダ装置21の方向という。レーザレーダ装置21は、照射されたレーザ光が形成する面が、車両1の走行方向に対して、垂直になるように車両1の天部に固定して搭載される。したがって、図1に示すように、レーザレーダ装置21の方向は、符号4の矢印で示す方向となり、車両1の走行方向と180°逆の向きになる。
レーザレーダ装置21は、測定時刻ごとにレーザ光を周囲に照射する。レーザレーダ装置21は、周囲に存在する建物等の測定対象物から反射光が戻ってくるまでの時間を計測し、計測した時間に基づいて測定対象物までの距離を算出する。なお、測定時刻の間隔は、一定の時間であり、例えば、0.005秒程度の時間である。レーザレーダ装置21は、当該測定時刻の間隔の間に、例えば、200[Hz]程度の回転速度で回転する。レーザレーダ装置21は、測定時刻ごとの測定対象物までの距離と、レーザ光の照射方向とを対応付けて点群データ43を生成し、生成した点群データ43を記憶部25に書き込む。ここで、レーザ光の照射穴が、例えば、レーザレーダ装置21の方向に向かって、時計回りで回転する場合、レーザ光の照射角度の「0°」を上空に向かう方向、すなわち真上の方向とすると、レーザ光の照射角度は、時計回りで角度が増加し、図1の紙面の表面から裏面に向かう方向、すなわち車両1の走行方向に対して左の方向が「90°」になり、地面に向かう方向、すなわち真下の方向が「180°」となり、図1の裏面から表面に向かう方向、すなわち車両1の走行方向に対して右の方向が「270°」になる。現在の高精度なレーザレーダ装置21は、1秒間に約100万点程度(100万点/秒)の計測位置を計測することができる。なお、説明を簡単にするため、本実施形態では、レーザレーダ装置内21は、1秒間に72万点(72万/秒(≒200[Hz]×360[°]÷0.1[°]))の計測位置を計測することができるものとする。
衛星電波受信用アンテナ22は、GPS衛星10-1,10-2及び準天頂衛星11からの電波を受信する。情報受信部23は、GPS衛星10-1,10-2及び準天頂衛星11の受信機や測位端末に相当する。情報受信部23は、観測時刻ごとに、衛星電波受信用アンテナ22がGPS衛星10-1,10-2から受信した電波に重畳されているデータを検出し、検出したデータから観測時刻における車両1の位置を算出し、算出した車両1の位置と観測時刻とを関連付けてGPS観測データ40として記憶部25に書き込む。情報受信部23は、観測時刻ごとに、衛星電波受信用アンテナ22が準天頂衛星11から受信した電波に重畳されているデータを検出し、検出したデータから観測時刻における車両1の位置を算出し、算出した車両1の位置と観測時刻とを関連付けて準天頂衛星観測データ41として記憶部25に書き込む。GPS衛星10-1,10-2及び準天頂衛星11から電波を受信する観測時刻の間隔は、一定の時間であり、例えば、1秒である。
走行状態計測部24は、例えば、車両1のタイヤの回転数から速度を検出する車速センサと、車両1のステアリングの操舵角を検出するステアリングセンサとに接続する。車速センサとステアリングセンサは、車両1の内部に備えられている。走行状態計測部24は、車速センサから得られるデータに基づいて、測定時刻ごとの車両1の速度を計測する。走行状態計測部24は、ステアリングセンサから得られるデータに基づいて測定時刻ごとのステアリングの操舵角を計測する。走行状態計測部24は、ステアリングの操舵角から測定時刻ごとの車両1の水平面上での走行方向を算出する。
走行状態計測部24は、測定時刻ごとの車両1の速度を示す車速データ42-1と、測定時刻ごとの車両1の水平面上での走行方向を示す走行方向データ42-2とを含む走行状態データ42を生成する。走行状態計測部24は、生成した走行状態データ42を記憶部25に書き込む。
記憶部25は、図2に示すように、上記したGPS観測データ40、準天頂衛星観測データ41、走行状態データ42及び点群データ43を記憶する。記憶部25は、収集データ生成部26が、記憶部25が記憶するデータに基づいて生成する収集データ44を記憶する。
収集データ生成部26は、記憶部25が記憶するGPS観測データ40と、車速データ42-1と、走行方向データ42-2とに基づいて、測定時刻ごとの車両1の水平面上での位置と、速度と、水平面上での走行方向と、測定位置間隔とを推定する。ここで、車両1の水平面上での位置とは、例えば、緯度、経度で示される二次元座標で示される位置ある。ある測定時刻における測定位置間隔とは、当該ある測定時刻の車両1の位置と、当該ある測定時刻の直前の測定時刻の車両1の位置との間の距離である。
収集データ生成部26は、推定した測定時刻ごとの車両1の水平面上での位置と、車両1において固定設置されているレーザレーダ装置21の位置関係とに基づいて、レーザレーダ装置21の三次元空間における位置を算出する。
収集データ生成部26は、推定した測定時刻ごとの車両1の水平面上での走行方向の180°逆の向きを測定時刻ごとのレーザレーダ装置21の水平面上での方向とする。上記したように、照射されたレーザ光が形成する面が、車両1の走行方向に対して、垂直になるように車両1の天部に固定してレーザレーダ装置21が搭載されている。そのため、レーザレーダ装置21の回転軸が、常に水平面に対して一定になるので、収集データ生成部26は、レーザレーダ装置21の鉛直面上での方向を常に「0°」とする。
収集データ生成部26は、測定時刻の各々と、測定時刻の各々に対応するレーザレーダ装置21の位置、測定時刻の各々に対応するレーザレーダ装置21の水平面及び鉛直面上での方向、測定時刻の各々に対応する測定位置間隔、測定時刻の各々に対応する車両1の速度及び測定時刻の各々に対応する車両1の走行方向を対応付けて収集データ44を生成する。なお、車両1の走行方向は、水平成分と、鉛直成分とによって特定される方向であるが、第1の実施形態では、車両1の水平面上での走行方向のみを求めているため、鉛直成分は含まれないことになる。
収集データ生成部26は、生成した収集データ44を記憶部25に書き込む。収集データ生成部26は、記憶部25が記憶する測定時刻ごとの点群データ43の各々に対して信頼指標を付与する。
データ補正部3は、走行軌跡データ生成部31、走行軌跡解析部32、測定条件生成部33、道路交通情報取得部34、走行軌跡データ正常判定部35及び補正処理部36を備える。走行軌跡データ生成部31は、記憶部25が記憶するGPS観測データ40と、準天頂衛星観測データ41とに基づいて、車両1の走行軌跡を示す走行軌跡データを生成する。走行軌跡データ生成部31は、移動軌跡データ生成部の一態様である。
走行軌跡解析部32は、走行軌跡データ生成部31が生成した走行軌跡データに基づいて、測定時刻ごとの車両1の水平面上での位置と、速度と、水平面上での走行方向と、測定位置間隔とを推定する。走行軌跡解析部32は、測定時刻ごとに、推定した車両1の水平面上での位置を示す推定位置データと、推定した測定位置間隔を示す推定測定位置間隔データと、推定した車両1の速度及び水平面上での走行方向を含む推定走行状態データとを生成する。走行軌跡解析部32は、移動軌跡解析部の一態様である。
ここで、図3を参照しつつ、走行軌跡解析部32による測定時刻ごとの車両1の水平面上での位置と、速度と、水平面上での走行方向と、測定位置間隔とを推定する手法について説明する。図3において、符号5で示す二重線の矢印の曲線が、走行軌跡データ生成部31がGPS観測データ40と、準天頂衛星観測データ41とに基づいて生成した走行軌跡データによって示される車両1の走行軌跡である。
符号PJ-1,P,PJ+1,PJ+2により示す丸印の位置は、GPS観測データ40及び準天頂衛星観測データ41によって示される観測時刻における車両1の位置である。走行軌跡データ生成部31は、車両1の走行軌跡を近似する線として、PJ-1,P,PJ+1,PJ+2を通る曲線5を求め、求めた曲線5を示すデータを走行軌跡データとして生成する。
ここで、Pを出発してPJ+1に至るまでの間で、N回の測定時刻が存在したとする。なお、図3は、N=5の例である。N個の測定時刻の各々において、レーザ光を照射するN個の各々の位置を、pj(1),pj(2),…,pj(i),…,pj(N)とする。最後のpj(N)は、PJ+1に一致する。
このとき、残りのN-1個のpj(1),pj(2),…,pj(i),…,pj(N―1)の位置は、PからPJ+1の間で等間隔に並ぶとは限らない。そのため、走行軌跡解析部32は、PからPJ+1の間の前後の間隔、すなわち、PJ-1からPの間の長さと、PJ+1からPJ+2の間の長さとを考慮して、PからPJ+1の間をN個に区切って、N-1個のpj(1),pj(2),…,pj(i),…,pj(N―1)の位置を求める。
図3に示す例の場合、PJ-1からPの間の長さ及び、PJ+1からPJ+2の間の長さに比べて、PからPJ+1の間の長さは短い。そのため、走行軌跡解析部32は、PJ-1からPの間の長さ及び、PJ+1からPJ+2の間の長さに応じて、中央の部分の間隔よりも両端の部分の間隔が長くなるように区切って、N-1個のpj(1),pj(2),…,pj(i),…,pj(N―1)の位置を求める。走行軌跡解析部32は、pj(1),pj(2),…,pj(i),…,pj(N―1),PJ+1の各々の位置を、PからPJ+1の間におけるN個の測定時刻ごとの推定位置データとし、各々の間の長さをN個の測定時刻ごとの推定測定位置間隔データとして生成する。
走行軌跡解析部32は、Pとpj(1)とを結ぶベクトルを生成し、生成したベクトルの方向をpj(1)における車両1の走行方向として求める。走行軌跡解析部32は、生成したベクトルの長さを、Pにおける測定時刻と、pj(1)における測定時刻の差、すなわち測定の時間間隔で除算した値を、pj(1)における車両1の速度として求める。走行軌跡解析部32は、pj(2),…,pj(i),…,pj(N―1),PJ+1の各々に対して同様のベクトルを生成し、pj(2),…,pj(i),…,pj(N―1),PJ+1の各々の位置における車両1の走行方向と、車両1の速度とを求める。走行軌跡解析部32は、pj(2),…,pj(i),…,pj(N―1),PJ+1の各々の位置における走行方向と、速度との組み合わせを、PからPJ+1の間におけるN個の測定時刻ごとの推定走行状態データとする。
例えば、車両1の時速を60[km/時間]とすると、秒速は、1666.7[cm/秒]になる。レーザレーダ装置21の測定時刻の間隔は、上記したように、例えば、0.005秒程度である。0.005秒の間に、車両1は、約8.3[cm](≒1666.7×0.005)移動する。上記したように、GPS観測データ40及び準天頂衛星観測データ41の観測時刻の間隔は、1秒であるため、1秒間の間に200個の測定時刻が存在することになる。上記したように、GPS観測データ40及び準天頂衛星観測データ41の両方を利用した場合の測位の精度は、おおよそ十数センチメートル~数センチメートルである。したがって、0.005秒間隔で約8.3[cm]変化する移動であれば、高い確率で測定時刻ごとの車両1の位置を正確に推定することができる。これに対して、GPS観測データ40のみを利用する場合の測位の精度は、精々数メートル~数十メートルである。数メートル~数十メートルという誤差は、観測時刻の間隔、すなわち1秒間に車両1が移動する1666.7[cm]に比べると無視できない誤差であり、正確に車両1の位置を推定することができない場合も想定される。
走行軌跡解析部32は、ある測定時刻の推定走行状態データと、記憶部25が記憶する当該測定時刻に対応する走行状態データ42とを対比し、速度の相違が予め定められる範囲内であり、かつ、走行方向の相違が予め定められる範囲内である場合、走行状態データ42を利用して、推定位置データ、推定測定位置間隔データ及び推定走行状態データの精度を高める処理を行う。
ここで、速度の相違についての予め定められる範囲内及び走行方向の相違についての予め定められる範囲内とは、例えば、走行状態データ42が示す車両1の速度及び走行方向が、推定走行状態データが示す車両1の速度及び走行方向と大きく異なっていない範囲内であって、走行状態データ42が、推定位置データ、推定測定位置間隔データ及び推定走行状態データの精度を高める処理に利用できる程度の範囲内である。
図4は、図3において示した車両1の位置、速度及び走行方向を特定するベクトルを、測定時刻ごとの車速データ42-1と走行方向データ42-2によって補正したベクトルを示した図である。図4に示すように、測定時刻ごとの車速データ42-1と走行方向データ42-2により、個々のベクトルは、細やかなアクセル操作、ブレーキ操作、ハンドル操作を反映して、左右方向に微妙に変化する。走行軌跡解析部32は、図4に示すベクトルの各々から改めて推定位置データと、推定測定位置間隔データと、推定走行状態データとを生成することにより、精度の高い推定位置データと、推定測定位置間隔データと、推定走行状態データとが得られることになる。
測定条件生成部33は、走行軌跡解析部32が生成した測定時刻ごとの推定位置データと、推定測定位置間隔データと、推定走行状態データとに基づいて、測定時刻におけるレーザレーダ装置21の測定条件を示す測定条件データを生成する。
道路交通情報取得部34は、例えば、カーナビゲーション装置であり、車両1が走行している道路に関する道路交通情報を取得する。走行軌跡データ正常判定部35は、測定時刻と、当該測定時刻における車両1の推定位置データとを含む正常判定指示信号を受けた場合、道路交通情報取得部34から取得する道路交通情報と、正常判定指示信号に含まれる測定時刻における車両1の推定位置データとに基づいて、正常判定指示信号に含まれている測定時刻において車両1が、トンネル内や高架下などのGPS衛星10-1,10-2及び準天頂衛星11から正常に電波が受信できない位置に存在していたか否かにより、走行軌跡データが正常であるか否かを判定する。
補正処理部36は、測定条件生成部33が生成した測定条件データに基づいて、記憶部25が記憶する収集データ44を補正する。補正処理部36は、記憶部25が記憶する点群データ43に付与されている信頼指標を補正する。
(収集データに含まれる誤差)
次に、図5を参照しつつ、収集データ生成部26が生成する収集データ44に含まれる誤差について説明する。図5は、図18に示した図の一部を拡大した図であり、図18と同一の構成については、同一の符号を付している。なお、図5では、車両700に替えて車両1が走行しており、走行軌跡541は、車両1の走行軌跡を示しているものとする。走行軌跡541は、収集データ生成部26がGPS観測データ40から得られる観測時刻ごとの車両1の位置を通過する線を描くことにより生成され、屈曲している部分については近似曲線を描くことにより生成される。
実際には、GPS衛星10-1、10-2からの電波を常に受信することができない。そのため、上記したように、収集データ生成部26は、GPS観測データ40に加えて、車速データ42-1と、走行方向データ42-2とを用いて、測定時刻ごとの車両1の水平面上での位置、速度、水平面上での走行方向及び測定位置間隔を推定する。
ただし、図5では、収集データ44に含まれる誤差を分かり易く説明するために、収集データ生成部26は、GPS観測データ40のみから測定時刻ごとの車両1の水平面上での位置及び水平面上での走行方向を推定した例を示している。また、図5において、走行軌跡541に沿って示している複数の点線は、車両1に搭載されたレーザレーダ装置21が、実際に測定時刻ごとに照射したレーザ光の照射方向を示したレーザ照射ラインであり、レーザ照射ラインの各々に対して対応する測定時刻t0~t20を付して示している。
車両1が等速で走行し、かつ直進している場合、点線で示すレーザ照射ラインは等間隔になるため、収集データ生成部26は、観測時刻と測定時刻の差に基づいて、GPS観測データ40から測定時刻における車両1の位置を正確に推定することができる。車両1の位置71,72,73(以下、車両1の位置71を車両位置71のようにいう)は、実際にレーザ光を照射した位置であるレーザ照射ライン81,82,83と走行軌跡541との交点に一致しており、収集データ生成部26が、正確に車両1の位置を推定できている例である。
GPS観測データ40によって特定する測位の精度、すなわち、特定する位置の誤差は、上記したように、数メートル~数十メートルになる。これに対して、車両1が時速60[km/時間]で走行している場合、上記したように、測定時刻の間隔が0.005秒であるときには、車両1は、測定時刻の間隔の間に約8.3[cm]移動する。約8.3[cm]という移動距離は、数メートル~数十メートルという距離に比べると、かなり短い距離である。この距離の違いを考慮して、収集データ生成部26は、直近の測定位置間隔の数百~千倍程度の長さのベクトルを、推定済みの車両1の位置を起点として生成する。ただし、図5は、図示して説明できるようにするため、数百~千倍ではなく、3倍の長さのベクトルを生成する例を示している。
収集データ生成部26は、例えば、レーザ照射ライン85に対応する測定時刻t5における車両1の位置を推定する際、既に推定している4つ前の測定時刻t1の車両位置71と、3つ前の測定時刻t2の車両位置72とに基づいて、車両位置72における車両1の速度を算出する。なお、収集データ生成部26が算出する速度の単位時間は、測定時刻の間隔である。収集データ生成部26は、算出した速度の大きさを3倍にしたベクトルV85を、車両位置72を起点として走行軌跡541に沿って生成する。収集データ生成部26は、生成したベクトルV85の終端位置である位置を、測定時刻t5における車両1の位置、すなわち車両位置75として推定する。また、収集データ生成部26は、測定時刻t5における車両1の走行方向をベクトルV85の方向とする。
車両1は、レーザ照射ライン84に対応する測定時刻t4の付近から、速度を減速し始めているため、収集データ生成部26が測定時刻t5の車両1の位置として推定した車両位置75は、実際の測定時刻t5でレーザ光を照射した位置であるレーザ照射ライン85と走行軌跡541との交点とは異なる位置になっており、両方向矢印で示す差がある。ベクトルV85を、直角を挟む2辺のうちの一方の辺とする直角三角形を仮定すると、直角三角形の直角を含む他方の辺が、推定した車両位置75に対応するレーザ照射方向を示すレーザ照射ラインとなる。図5では、推定した車両1の位置に対応するレーザ照射ラインを一点鎖線で示している。
収集データ生成部26は、直近の観測時刻の位置を起点として、繰り返し上記のベクトルV85のようなベクトルを生成して、測定時刻ごとの車両1の位置と走行方向を推定する。この手法を用いると、車両1が等速で走行しており、かつ直進している場合、収集データ生成部26は、車両位置71,72,73のように正確に車両1の位置を推定することができる。これに対して、車両1が減速し始めると正確な推定を行うことができなくなり、測定時刻t4,t5,t6において推定する車両位置74,75,76と、実際にレーザ光を照射した車両1の位置との間にずれが生じることになる。ただし、車両1が減速しているが直進している間は、一点鎖線で示す推定した車両1の位置に対応するレーザの照射ラインは、実際のレーザ照射方向を示すレーザ照射ライン84,85,86とは平行になる。
車両1が車両750を回避するために、走行レーン561から追越レーン562に移動すると、走行軌跡541が屈曲することになる。ここで、仮に、収集データ生成部26が、レーザ照射ライン87に対応する測定時刻t11における車両1の位置として、正確な位置である車両位置77を推定し、また、レーザ照射ライン88に対応する測定時刻t12における車両1の位置として、正確な位置である車両位置78を推定したとする。
収集データ生成部26は、レーザ照射ライン89に対応する測定時刻t15における車両1の位置を推定する際、上記した手順にしたがって、4つ前の測定時刻t11の車両位置77と、3つ前の測定時刻t12の車両位置78とに基づいて、車両位置78における車両1の速度を算出する。収集データ生成部26は、算出した速度の大きさを3倍にしたベクトルV89を走行軌跡541に沿って生成する。収集データ生成部26は、生成したベクトルV89の終端位置である車両位置79を、測定時刻t15における車両1の位置として推定する。ベクトルV89を、直角を挟む2辺のうちの一方の辺とする直角三角形を仮定すると、直角三角形の直角を含む他方の辺が、推定した車両位置79に対応するレーザ照射方向を示すレーザ照射ラインとなる。車両位置79を通る一点鎖線で示したレーザ照射ラインの方向と、実際の測定時刻t15のレーザ照射ライン89の方向とには両方向矢印で示す違いが生じていることが分かる。
すなわち、車両1が等速で走行していない場合には、収集データ生成部26が生成する収集データ44にはGPS観測データ40の精度に応じた位置の誤差が含まれていることになる。車両1が直進していない場合には、GPS観測データ40の精度に応じた走行方向の誤差が加わることになる。したがって、車両1が等速で走行しておらず、かつ直進していない場合、車両1の位置と走行方向の両方に誤差が含まれていることになる。
(準天頂衛星観測データを用いた場合の精度)
図6は、走行軌跡データ生成部31が生成した走行軌跡データに基づいて、走行軌跡解析部32が推定した測定時刻ごとの車両1の水平面上での位置と、速度と、水平面上での走行方向とを示した図である。
図6は、図5と同様に、図18に示した図の一部を拡大した図であり、図18と同一の構成については、同一の符号を付している。なお、図6においても、車両700に替えて車両1が走行しており、走行軌跡541は、車両1の走行軌跡を示しているものとする。図6に示す複数の点線は、レーザレーダ装置21が、測定時刻ごとに照射したレーザ光の照射方向を示したレーザ照射ラインであり、図5と同一の位置及び傾きになっている。
走行軌跡データ生成部31は、GPS観測データ40と、準天頂衛星観測データ41とに基づいて走行軌跡データを生成する。上記したように、GPS観測データ40と、準天頂衛星観測データ41とを利用することで、測位誤差は、おおよそ十数センチメートル~数センチメートルになる。したがって、走行軌跡解析部32が推定する測定時刻ごとの車両1の水平面上での位置、速度及び水平面上での走行方向の各々のデータは、各々に対応する収集データ生成部26が推定するデータよりも高い精度になる。
そのため、走行軌跡解析部32が推定した測定時刻ごとの車両1の位置は、図6の走行軌跡541上に丸印で示すように、実際の測定時刻においてレーザレーダ装置21がレーザ光を照射した位置に一致することになる。したがって、車両1が直進しているが、等速で走行していない場合であっても、走行軌跡解析部32は、例えば、連続する5つの測定時刻の車両1の位置を車両位置90,91,92,93,94として推定する。車両位置90,91,92,93,94において隣接する各々の間を結ぶベクトルを生成し、上記のように生成したベクトルを、直角を挟む2辺のうちの一方の辺とする直角三角形を仮定すると、直角三角形の直角を挟む他方の辺とレーザ照射ラインとが一致することになる。
車両1が車両750を回避して走行軌跡541が屈曲した場合、走行軌跡解析部32は、例えば、連続する5つの測定時刻の車両1の位置を車両位置95,96,97,98,99として推定する。車両位置95,96,97,98,99において隣接する各々の間を結ぶベクトルを生成した上で、上記のように生成したベクトルを、直角を挟む2辺のうちの一方の辺とする直角三角形を仮定すると、直角三角形の直角を挟む他方の辺と、傾いたレーザ照射ラインとが一致することになる。
したがって、車両1の位置の推定に準天頂衛星観測データ41を用いることで、車両1の位置と走行方向を高い精度で推定可能であることが分かり、更に、車速データ42-1と、走行方向データ42-2とを用いることで、推定の精度を高めることができることになる。
(収集データ生成部による処理)
図7は、収集データ生成部26による収集データ44の生成処理の流れを示すフローチャートである。収集データ生成部26は、記憶部25にレーザレーダ装置21によって、新たな測定時刻に対応する点群データ43が書き込まれたことを検出する(ステップS1)。
収集データ生成部26は、GPS観測データ40に基づいて、図5を参照して説明した手法により、検出した測定時刻における車両1の水平面上での位置、速度、水平面上での走行方向及び測定位置間隔を推定する。収集データ生成部26は、検出した測定時刻における車両1の水平面上での位置、速度、水平面上での走行方向、及び測定位置間隔を推定する際、検出した測定時刻の走行状態データ42を適用した補正も行う。収集データ生成部26は、推定した車両1の水平面上での位置と、車両1において固定設置されているレーザレーダ装置21の位置関係とに基づいて、検出した測定時刻におけるレーザレーダ装置21の三次元空間における位置を算出する。
収集データ生成部26は、推定した車両1の水平面上での走行方向の180°逆向きの方向を、検出した測定時刻におけるレーザレーダ装置21の水平面上での方向とし、検出した測定時刻におけるレーザレーダ装置21の鉛直面上での方向を「0°」とする。
収集データ生成部26は、検出した測定時刻と、当該測定時刻に対応するレーザレーダ装置21の位置、レーザレーダ装置21の水平面上及び鉛直面上での方向、測定位置間隔、車両1の速度及び車両1の走行方向を対応付けて収集データ44を生成し、生成した収集データ44を記憶部25に書き込む(ステップS2)。
収集データ生成部26は、検出した測定時刻の走行状態データ42と、当該測定時刻の直前の測定時刻の走行状態データ42とが一致するか否かにより、車両1が等速で走行しており、かつ直進しているか否かを判定する(ステップS3)。すなわち、収集データ生成部26は、検出した測定時刻の車速データ42-1が示す車両1の速度と、当該測定時刻の直前の測定時刻の車速データ42-1が示す車両1の速度とが一致するか否かを判定することにより、車両1が等速で走行しているか否かを判定する。また、収集データ生成部26は、検出した測定時刻の走行方向データ42-2が示す車両1の走行方向と、当該測定時刻の直前の測定時刻の走行方向データ42-2が示す車両1の走行方向とが一致するか否かを判定することにより、車両1が直進しているか否かを判定する。収集データ生成部26は、2つの車両1の速度が一致しており、かつ2つの車両1の走行方向が一致している場合、車両1が等速で走行しており、かつ直進していると判定し(ステップS3、Yes)、検出した測定時刻に対応する点群データ43に対して信頼指標「高い」を付与する(ステップS4)。
一方、収集データ生成部26は、2つの車両1の速度が一致していないか、または、2つの車両1の走行方向が一致していない場合、車両1が等速でないか、または、直進していないと判定し(ステップS3、No)、検出した測定時刻に対応する点群データ43に対して信頼指標「低い」を付与する(ステップS5)。なお、収集データ生成部26は、例えば、点群データ43を利用して行う置局設計において、設計結果の信頼性を向上させる事情などがある場合、信頼指標「低い」に替えて「無い」を付与してもよい。収集データ生成部26は、等速でないが直進している場合に、信頼指標「低い」を付与し、等速でなく、かつ直進していない場合に、信頼指標「無い」を付与するようにしてもよい。
収集データ生成部26は、例えば、点群データ収集装置2の利用者の操作入力により、点群データ43の測定を終了する指示信号を受けているか否かに基づいて、収集データ44の生成を終了するか否かを判定する(ステップS6)。収集データ生成部26は、点群データ43の測定を終了する指示信号を受けていると判定した場合(ステップS6、Yes)、処理を終了する。
一方、収集データ生成部26は、点群データ43の測定を終了する指示信号を受けていないと判定した場合(ステップS6、No)、ステップS1からの処理を継続する。
(準天頂衛星観測データを用いる場合の処理)
図8は、データ補正部3による収集データ44を補正する処理の流れを示すフローチャートである。
走行軌跡データ生成部31は、記憶部25において新たな測定時刻の収集データ44が収集データ生成部26によって記録されたことを検出する(ステップSa1)。走行軌跡データ生成部31は、新たに記録された収集データ44の測定時刻(以下「処理対象の測定時刻」ともいう。)を含む前後4つの観測時刻におけるGPS観測データ40と、準天頂衛星観測データ41とを記憶部25から読み出す。走行軌跡データ生成部31は、読み出したGPS観測データ40と、準天頂衛星観測データ41とに基づいて、走行軌跡データを生成する(ステップSa2)。走行軌跡データ生成部31は、生成した走行軌跡データと、処理対象の測定時刻とを走行軌跡解析部32に出力する。
走行軌跡解析部32は、走行軌跡データ生成部31が出力する処理対象の測定時刻と、走行軌跡データとを取り込む。走行軌跡解析部32は、図3に示した手法により、走行軌跡データに基づいて、処理対象の測定時刻における車両1の水平面上での位置と、速度と、水平面上での走行方向と、測定位置間隔とを推定する。走行軌跡解析部32は、推定した車両1の水平面上での位置を示す推定位置データと、推定した測定位置間隔を示す推定測定位置間隔データと、推定した車両1の速度及び水平面上での走行方向を含む推定走行状態データとを生成する(ステップSa3)。
走行軌跡解析部32は、記憶部25から処理対象の測定時刻の走行状態データ42を読み出す。走行軌跡解析部32は、読み出した走行状態データ42と、生成した推定走行状態データとを対比し、速度の相違が予め定められる範囲内であり、かつ、走行方向の相違が予め定められる範囲内であるか否かを判定する(ステップSa4)。すなわち、走行軌跡解析部32は、走行状態データ42に含まれる車速データ42-1が示す車両1の速度と、推定走行状態データに含まれる車両1の速度との相違が予め定められる範囲内であるか否かを判定するとともに、走行状態データ42に含まれる走行方向データ42-2が示す車両1の走行方向と、推定走行状態データに含まれる車両1の水平面上での走行方向との相違が予め定められる範囲内であるか否かを判定する。
走行軌跡解析部32は、2つの速度の相違が予め定められる範囲内でないか、または、2つの走行方向の相違が予め定められる範囲内でないと判定した場合(ステップSa4、No)、処理対象の測定時刻と、生成した推定位置データとを含む正常判定指示信号を走行軌跡データ正常判定部35に出力する。
走行軌跡データ正常判定部35は、走行軌跡解析部32から正常判定指示信号を受けると、道路交通情報取得部34に対して、正常判定指示信号に含まれる処理対象の測定時刻における道路交通情報を要求して取得する。走行軌跡データ正常判定部35は、取得した道路交通情報と、正常判定指示信号に含まれる推定位置データが示す位置とに基づいて、処理対象の測定時刻において車両1が、トンネル内や高架下などのGPS衛星10-1,10-2及び準天頂衛星11から正常に電波が受信できない位置に存在していたか否かにより、走行軌跡データが正常であるか否かを判定する(ステップSa5)。
走行軌跡データ正常判定部35は、処理対象の測定時刻において車両1がGPS衛星10-1,10-2及び準天頂衛星11から正常に電波が受信できない位置に存在していた場合、走行軌跡データは正常でないと判定し(ステップSa5、No)、外部に異常を出力して(ステップSa6)、走行軌跡データ生成部31に処理終了指示信号を出力する。走行軌跡データ生成部31は、処理終了指示信号を受けると処理を終了する。
一方、走行軌跡データ正常判定部35は、処理対象の測定時刻において車両1がGPS衛星10-1,10-2及び準天頂衛星11から正常に電波が受信できる位置に存在していた場合、走行軌跡データは正常であると判定し(ステップSa5、Yes)、補正処理部36に対して、処理対象の測定時刻を含む信頼指標「低い」を付与する補正指示信号を出力する。補正処理部36は、走行軌跡データ正常判定部35から補正指示信号を受けると、記憶部25の点群データ43を参照し、補正指示信号に含まれる処理対象の測定時刻に対応する点群データ43の信頼指標を「低い」に補正する(ステップSa7)。その後、処理は、ステップSa13に進められる。
ここで、ステップSa5において、走行軌跡データ正常判定部35が、走行軌跡データは正常であると判定した場合、処理対象の測定時刻の点群データ43に対して信頼指標「低い」を付与する理由は、走行状態データ42と、推定走行状態データとの間に予め定められる範囲を超える相違が存在し、車両1がスリップ等して走行状態データ42が正常でない可能性があり、そのために、処理対象の測定時刻の点群データ43も正常に収集されていない可能性があるからである。
一方、ステップSa4において、走行軌跡解析部32は、2つの速度の相違が予め定められる範囲内であり、かつ2つの走行方向の相違が予め定められる範囲内であると判定した場合(ステップSa4、Yes)、図4に示した手法により、推定位置データ、推定測定位置間隔データ及び推定走行状態データに対して、処理対象の測定時刻の走行状態データ42を適用して、改めて推定位置データと、推定測定位置間隔データと、推定走行状態データとを生成する(ステップSa8)。
走行軌跡解析部32は、記憶部25から処理対象の測定時刻の直前の測定時刻に対応する収集データ44を読み出す。走行軌跡解析部32は、読み出した収集データ44に含まれる測定位置間隔、車両1の走行方向の各々が、推定測定位置間隔データが示す測定位置間隔、推定走行状態データが示す車両1の走行方向の各々に一致するか否かを判定する(ステップSa9)。
走行軌跡解析部32が、2つの測定位置間隔が一致し、かつ2つの車両1の走行方向が一致すると判定した場合(ステップSa9、Yes)、車両1は、処理対象の測定時刻において、等速で走行しており、かつ直進していることになる。そのため、処理対象の測定時刻の収集データ44を補正する必要がないので、走行軌跡解析部32は、収集データ44を補正する処理に進めずに、ステップSa13に処理を進める。
一方、走行軌跡解析部32は、2つの測定位置間隔が一致しないか、または、2つの車両1の走行方向が一致しないと判定した場合(ステップSa9、No)、改めて生成した推定位置データと、推定測定位置間隔データと、推定走行状態データと、処理対象の測定時刻とを測定条件生成部33に出力する。
測定条件生成部33は、走行軌跡解析部32が出力した推定位置データと、車両1において固定設置されているレーザレーダ装置21の位置関係とに基づいて、処理対象の測定時刻におけるレーザレーダ装置21の三次元空間における位置を算出する。測定条件生成部33は、走行軌跡解析部32が出力する推定走行状態データに含まれる車両1の走行方向の水平成分の方向の180°逆向きの方向を処理対象の測定時刻におけるレーザレーダ装置21の方向の水平成分とし、レーザレーダ装置21の方向の鉛直成分を「0°」とする。
測定条件生成部33は、算出したレーザレーダ装置21の位置と、レーザレーダ装置21の水平面上及び鉛直面上での方向と、推定測定位置間隔データが示す測定位置間隔と、推定走行状態データに含まれる車両1の速度及び走行方向と、処理対象の測定時刻とを含むデータを測定条件データとして生成する(ステップSa10)。測定条件生成部33は、生成した測定条件データを補正処理部36に出力する。
補正処理部36は、測定条件生成部33が出力する測定条件データを取り込む。補正処理部36は、記憶部25が記憶する収集データ44の中から取り込んだ測定条件データに含まれている処理対象の測定時刻に対応する収集データ44を選択する。補正処理部36は、選択した収集データ44に含まれているデータを、測定条件データに含まれているデータに書き替えて、収集データ44を補正する(ステップSa11)。補正処理部36は、記憶部25の点群データ43を参照し、測定条件データに含まれている処理対象の測定時刻に対応する点群データ43の信頼指標を「高い」に補正する(ステップSa12)。
補正処理部36は、例えば、点群データ収集装置2の利用者の操作入力により、点群データ43の測定を終了する指示信号を受けているか否かに基づいて、収集データ44の補正を終了するか否かを判定する(ステップSa13)。補正処理部36は、点群データ43の測定を終了する指示信号を受けていると判定した場合(ステップSa13、Yes)、処理終了指示信号を走行軌跡データ生成部31に出力する。走行軌跡データ生成部31は、処理終了指示信号を受けると処理を終了する。
一方、補正処理部36は、点群データ43の測定を終了する指示信号を受けていないと判定した場合(ステップSa13、No)、走行軌跡データ生成部31に処理継続指示信号を出力する。走行軌跡データ生成部31は、処理継続指示信号を受けるとステップSa1の処理を再び開始する。
上記の第1の実施形態の構成において、走行軌跡データ生成部31は、観測時刻ごとに得られる車両1の水平面上での位置を示すデータよりも高精度の車両1の水平面上での位置を示すデータを取得し、取得した高精度の車両1の水平面上での位置を示すデータに基づいて、車両1の走行軌跡を示す走行軌跡データを生成する。走行軌跡解析部32は、走行軌跡データを解析して、測定時刻ごとの車両1の位置及び走行状態を推定する。測定条件生成部33は、測定時刻ごとの車両1の位置及び走行状態に基づいて、測定時刻ごとのレーザレーダ装置21の測定条件を示す測定条件データを生成する。補正処理部36は、測定条件データに基づいて、収集データ44を補正する。
収集データ生成部26が生成した収集データ44では、車両1が加速や減速をしたり、右左折や屈曲した走行をしたりした場合に収集された点群データ43に対して信頼指標「低い」、または、「無い」を付与していた。そのため、点群データ43を用いて、基地局と端末局の間を見通し判定や遮蔽率の判定を行う置局設計において、信頼指標「低い」、または、「無い」が付与された点群データ43を有効に活用することができていなかった。これに対して、第1の実施形態では、GPS観測データ40に加えて準天頂衛星観測データ41を利用する。これにより、車両1が加速や減速をしたり、右左折や屈曲した走行をしたりした場合であっても、車両1の位置と、水平面上での走行方向とを高い精度で推定することできる。それにより、収集データ44に含まれるレーザレーダ装置21の位置と、レーザレーダ装置21の水平面上での方向とを正確に補正することができる。そのため、車両1が加速や減速をしたり、右左折や屈曲した走行をしたりした場合に収集された点群データ43の信頼度合いを高めることができるので、右左折や屈曲した走行をしたりした場合に収集された点群データ43に対して信頼指標「高い」を付与することができる。したがって、レーザ照射ラインが乱れる箇所における車両の位置及び走行状態を従来よりも高精度に推定することにより、レーザ照射ラインの乱れによって信頼度合いが低下した点群データを利用可能にすることができ、例えば、置局設計を行う際に利用することができる点群データ43を増やすことができる。
なお、上記の第1の実施形態では、走行状態計測部24は、ステアリングセンサから測定時刻ごとのステアリングの操舵角を取得して、車両1の水平面上での走行方向を算出するようにしているが、三次元ジャイロセンサ(3Dジャイロセンサ)や方位磁針(コンパス)などに接続し、三次元ジャイロセンサや方位磁針などから方向を示す情報を取得して、車両1の水平面上での走行方向を算出するようにしてもよい。
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態の点群データ収集システムβの構成を示すブロック図である。第2の実施形態の点群データ収集システムβにおいて、第1の実施形態における点群データ収集システムαと同一の構成については、同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。点群データ収集システムβは、点群データ収集装置2aを備えた車両1aと、複数のGPS衛星10-1,10-2及び準天頂衛星11と、位置情報サービス事業者サーバ装置50とを備えている。車両1aは、例えば、自動車であり、上記したMMSに相当する。
第2の実施形態の点群データ収集装置2aは、車両1aの水平面上での走行方向に加えて、車両1aの鉛直面上での走行方向を推定する。そのため、点群データ収集装置2aは、車両1aの標高を検出する手法として、例えば、以下の参考文献1-1に示す汎地球測位航法衛星システム(以下「GNSS」(Global Navigation Satellite System))という。)を用いた手法を利用する。
[参考文献1-1:“情報化施工を実現する技術,汎地球測位航法衛星システム(GNSS)”,国土交通省 九州地方整備局,[令和2年7月12日検索],インターネット(URL: http://www.qsr.mlit.go.jp/ict/technology/jitsugen_3.html)]
GNSSとは、測位衛星を用いた測位システムである。ここで、測位衛星とは、例えば、上記したGPS衛星10-1,10-2や準天頂衛星11の他に、ロシアのGLONASS(Global Navigation Satellite System)、欧州のGALILEOなどがある。原理としては、空間で位置の分かる3点の測位衛星から衛星電波受信機までの各距離により、衛星電波受信機の位置を特定する。GNSSを利用した測位方式には、参考文献1-1に示されるように、以下のような種類がある。
例えば、RTK(Real Time Kinematic)-GNSS測位方式では、衛星電波受信機を備えた移動局を測定したい観測点に設置し、移動局の他に位置の分かる基準局を設置して測位する。RTK-GNSS測位方式による測位の精度は、水平方向において2~3cmであり、鉛直方向において3~4cm程度である。
これに対して、参考文献1-1に示されているネットワーク型RTK-GNSS測位方式がある。ネットワーク型RTK-GNSS測位方式には、VRS(Virtual Reference Station)方式と、FKP(Flachen Korrektur Parameter)方式とがある。
ネットワーク型RTK-GNSS測位方式では、全国に設置された複数の電子基準点に設置された衛星電波受信機が測位衛星からのデータを受信する。国土地理院の解析装置が、複数の電子基準点に設置された衛星電波受信機の各々からデータを受信して解析する。位置情報サービス事業者の処理装置が、国土地理院の解析装置から解析結果を受信し、国土地理院の基準点から求めた位相差を示す補正データ45を生成する。測位を行う人は、衛星電波受信機を備えた移動局を観測点に設置し、観測点において受信した測位衛星からのデータと、通信回線を通じて受信する補正データ45とに基づいて測位を行う。ネットワーク型RTK-GNSS測位方式は、RTK-GNSS測位方式に比べると精度は若干落ちるが、RTK-GNSS測位方式のように基準局の設置が不要である。なお、RTK-GNSS測位方式及びネットワーク型RTK-GNSS測位方式は、衛星数が多いほど良い精度となり、谷間より上空が開けている方が良い精度となる。
第2の実施形態では、ネットワーク型RTK-GNSS測位方式を利用する例について示すが、基準局を設置できるのであれば、RTK-GNSS測位方式を利用してもよい。
図9に戻り、位置情報サービス事業者サーバ装置50とは、上記した国土地理院の解析装置から解析結果を受信する位置情報サービス事業者の処理装置に相当する装置であり、補正データ45を生成する。位置情報サービス事業者サーバ装置50は、生成した補正データ45を、例えば、無線通信ネットワークを介して車両1aの点群データ収集装置2aに送信する。
点群データ収集装置2aは、レーザレーダ装置21、衛星電波受信用アンテナ22、無線電波受信用アンテナ27、情報受信部23a、走行状態計測部24a、記憶部25a、収集データ生成部26a及びデータ補正部3aを備える。
無線電波受信用アンテナ27は、無線通信ネットワークを介して位置情報サービス事業者サーバ装置50から補正データ45が重畳された電波を受信する。情報受信部23aは、情報受信部23が備える構成に加えて以下の構成を備える。情報受信部23aは、無線電波受信用アンテナ27に接続しており、無線電波受信用アンテナ27が受信した電波に重畳されている補正データ45を検出し、検出した補正データ45を記憶部25aに書き込む。
データ補正部3aは、走行軌跡データ生成部31a、走行軌跡解析部32a、測定条件生成部33a、道路交通情報取得部34、走行軌跡データ正常判定部35及び補正処理部36を備える。
走行状態計測部24aは、例えば、車両1aが備える速度を検出する車速センサ、ステアリングの操舵角を検出するステアリングセンサ及び水平水準器に接続する。走行状態計測部24aは、車速センサから得られるデータに基づいて、測定時刻ごとの車両1aの速度を計測する。走行状態計測部24aは、ステアリングセンサから得られるデータに基づいて測定時刻ごとのステアリングの操舵角を計測する。走行状態計測部24aは、水平水準器から得られるデータに基づいて測定時刻ごとの車両1aの傾きを計測する。
走行状態計測部24aは、測定時刻ごとのステアリングの操舵角から車両1aの水平面上での走行方向を算出し、測定時刻ごとの車両1aの傾きから鉛直面上での走行方向を算出する。走行状態計測部24aは、測定時刻ごとの車両1aの速度を示す車速データ42-1と、測定時刻ごとの車両1aの水平面上での走行方向と、鉛直面上での走行方向とによって特定される走行方向示す走行方向データ42a-2とを含む走行状態データ42aを生成する。走行状態計測部24aは、生成した走行状態データ42aを記憶部25aに書き込む。
収集データ生成部26aは、第1の実施形態の収集データ生成部26と以下の点を除いて同一の構成を有している。第1の実施形態の収集データ生成部26は、走行方向データ42-2を参照していたが、第2の実施形態の収集データ生成部26aは、走行方向データ42a-2を参照する際、走行方向データ42a-2に含まれる走行方向の水平成分の方向のみを参照する。
記憶部25aは、図10に示すように、上記したGPS観測データ40、準天頂衛星観測データ41、補正データ45、走行状態データ42a、点群データ43及び収集データ44を記憶する。
走行軌跡データ生成部31aは、記憶部25aが記憶するGPS観測データ40と、準天頂衛星観測データ41と、補正データ45とに基づいて、車両1aの走行軌跡を示す走行軌跡データを生成する。なお、補正データ45は、GPS観測データ40や準天頂衛星観測データ41等から生成されるデータであり、補正データ45の中に観測時刻が含まれている。そのため、走行軌跡データ生成部31aは、GPS観測データ40及び準天頂衛星観測データ41の観測時刻に対応する補正データ45を用いて走行軌跡データを生成する。走行軌跡データ生成部31aが生成する走行軌跡データは、第1の実施形態の走行軌跡データ生成部31が生成する走行軌跡データとは異なり、鉛直方向の成分が含まれる。
走行軌跡解析部32aは、走行軌跡データ生成部31aが生成した走行軌跡データに基づいて、第1の実施形態において、図3に示した手法を鉛直方向にも拡張して、測定時刻ごとの車両1aの位置と、速度と、走行方向と、測定位置間隔とを推定する。ここで、測定時刻ごとの車両1aの位置には、水平成分及び鉛直成分が含まれるため、例えば、緯度、経度、標高で示される三次元座標で示される位置である。測定時刻ごとの車両1aの走行方向は、水平成分と鉛直成分とにより特定される方向である。
走行軌跡解析部32aは、推定した測定時刻ごとの車両1aの位置を示す推定位置データと、推定した測定位置間隔を示す推定測定位置間隔データと、推定した測定時刻ごとの車両1aの速度及び走行方向を含む推定走行状態データを生成する。
走行軌跡解析部32aは、ある測定時刻の推定走行状態データと、記憶部25aが記憶する当該測定時刻に対応する走行状態データ42aとを対比し、速度の相違が予め定められる範囲内であり、かつ、走行方向の相違が予め定められる範囲内である場合、走行状態データ42aを利用して、推定位置データ、推定測定位置間隔データ及び推定走行状態データの精度を高める処理を行う。
ここで、速度の相違についての予め定められる範囲内及び走行方向の相違についての予め定められる範囲内とは、例えば、走行状態データ42aが示す車両1aの速度及び走行方向が、推定走行状態データが示す車両1aの速度及び走行方向と大きく異なっていない範囲内であって、走行状態データ42aが、推定位置データ、推定測定位置間隔データ及び推定走行状態データの精度を高める処理に利用できる程度の範囲内である。
測定条件生成部33aは、走行軌跡解析部32aが生成した測定時刻ごとの推定位置データと、推定測定位置間隔データと、推定走行状態データとに基づいて、測定時刻におけるレーザレーダ装置21の測定条件を示す測定条件データを生成する。
(鉛直方向に車両の位置が変動する場合のレーザ照射方向の変化)
図11及び図12を参照しつつ、鉛直方向に車両1aの位置が変動する場合のレーザ照射方向の変化について説明する。図11は、凹凸のある道路300を走行する車両1aを側面方向から見た図である。符号200で示す二重線の矢印は、車両1aが走行した軌跡を示しており、以下、走行軌跡200という。車両1aは、走行軌跡200の矢印が示すように、右方向に走行している。符号210で示す一点鎖線は、車両1aの平均標高を示しており、以下、車両平均標高210という。
走行軌跡200は、道路300の凹凸の状況により上下に変化する。車両平均標高210と比較することにより、車両1aの位置が、平均標高よりも高いか低いかが分かることになる。例えば、符号310で示す区間では、車両1aが平均標高よりも高い所に位置しており、符号320で示す区間では、車両1aが平均標高よりも低い所に位置していることが分かる。第1の実施形態で述べた右左折、屈曲などの水平面上での走行方向の変化に比べると、鉛直面上での走行方向の変化は小さい。例えば、5%の上り下り坂では、100mの走行に対して、鉛直面上での変化は5mであるが、一般的には急な坂道と言われる。
図12は、図11に示す道路300を走行する車両1aのレーザレーダ装置21のレーザ照射方向の変化を示した図である。なお、上記したように、一般的には急な坂道と言われるものであっても、鉛直面上での変化は小さいので、図12では、鉛直面上での走行方向の変化を大きく示すために、道路300の凹凸の変化を誇張して示している。
走行軌跡200に沿って示している複数の点線が、車両1aに搭載されたレーザレーダ装置21が、測定時刻ごとに照射したレーザ光の照射方向を示したレーザ照射ラインである。図12から分かるように、車両1aが等速で走行しており、かつ車両1aの標高が変わらない場合、レーザ照射ラインは、走行方向に対して垂直になり、等間隔で、平行に並ぶことになる。これに対して、車両1aの標高が上下に変化する場合、レーザ照射ラインは、車両1aの傾きに応じて角度が変わるため平行ではなく乱れが生じ、更に、等速でない場合、等間隔でもなくなる。
そのため、車両1aの走行方向の鉛直成分を考慮しないまま、収集データ44に基づいて点群データ43の各点の位置を特定しても、レーザレーダ装置21の方向が正確でないことから、特定した点群データ43の各点の位置も正確にはならない。したがって、車両1aの標高の変化している間に収集された点群データ43は、右左折や屈曲の場合と同様に、信頼指標を「低い」、または、「無い」とするのが妥当である。
第2の実施形態では、走行軌跡データ生成部31aは、GPS観測データ40と、準天頂衛星観測データ41と、補正データ45とに基づいて走行軌跡データを生成する。上記したように、GPS観測データ40と、準天頂衛星観測データ41と、補正データ45とを利用することで、車両1aの標高を3~4cm程度の高い精度で推定することができる。
そのため、走行軌跡解析部32aが推定した測定時刻ごとの車両1aの位置は、例えば、図12の走行軌跡200上に丸印で示すように、実際の測定時刻においてレーザレーダ装置21がレーザ光を照射した位置に一致することになる。例えば、車両1aが等速で直進している場合に、走行軌跡解析部32aが、連続する4つの測定時刻の車両1aの位置を車両位置60,61,62,63として推定したとする。車両位置60,61,62,63において隣接する各々の間を結ぶベクトルを生成し、第1の実施形態において説明したように生成したベクトルを、直角を挟む2辺のうちの一方の辺とする直角三角形を仮定すると、直角三角形の直角を挟む他方の辺とレーザ照射ラインとが一致することになる。
車両1aの標高に変化が生じた場合に、走行軌跡解析部32aは、連続する4つの測定時刻の車両1aの位置を車両位置64,65,66,67として推定したとする。この場合も、車両位置64,65,66,67において隣接する各々の間を結ぶベクトルを生成した上で、上記のように生成したベクトルを、直角を挟む2辺のうちの一方の辺とする直角三角形を仮定すると、直角三角形の直角を挟む他方の辺と、傾いたレーザ照射ラインとが一致することになる。
したがって、車両1aの位置の推定にGPS観測データ40と、準天頂衛星観測データ41とを用いることで、鉛直方向を考慮した車両1aの位置と走行方向を高い精度で推定可能であることが分かり、更に、車速データ42-1と、走行方向データ42a-2とを用いることで、より高い精度で推定することができることになる。
(第2の実施形態の処理)
収集データ生成部26aは、第1の実施形態の収集データ生成部26と同様の処理を行って収集データ44を生成する。図13は、データ補正部3aによる収集データ44を補正する処理の流れを示すフローチャートである。
走行軌跡データ生成部31aは、記憶部25aにおいて新たな測定時刻の収集データ44が収集データ生成部26aによって記録されたことを検出する(ステップSb1)。走行軌跡データ生成部31aは、新たに記録された収集データ44の測定時刻(以下「処理対象の測定時刻」ともいう。)を含む前後4つの観測時刻におけるGPS観測データ40と、準天頂衛星観測データ41と、補正データ45とを記憶部25aから読み出す。走行軌跡データ生成部31aは、読み出したGPS観測データ40と、準天頂衛星観測データ41と、補正データ45とに基づいて、鉛直成分を含んだ走行軌跡データを生成する(ステップSb2)。走行軌跡データ生成部31aは、生成した走行軌跡データと、処理対象の測定時刻とを走行軌跡解析部32aに出力する。
走行軌跡解析部32aは、走行軌跡データ生成部31aが出力する処理対象の測定時刻と、走行軌跡データとを取り込む。走行軌跡解析部32aは、図3に示した手法を鉛直方向にも拡張して、走行軌跡データに基づいて、処理対象の測定時刻における車両1aの三次元空間での位置と、速度と、水平成分及び鉛直成分を含んだ走行方向と、測定位置間隔とを推定する。走行軌跡解析部32aは、推定した車両1aの位置を示す推定位置データと、推定した測定位置間隔を示す推定測定位置間隔データと、推定した車両1aの速度及び走行方向を含む推定走行状態データを生成する(ステップSb3)。
走行軌跡解析部32aは、記憶部25aから処理対象の測定時刻の走行状態データ42aを読み出す。走行軌跡解析部32aは、読み出した走行状態データ42aと、生成した推定走行状態データとを対比し、速度の相違が予め定められる範囲内であり、かつ、走行方向の相違が予め定められる範囲内であるか否かを判定する(ステップSb4)。すなわち、走行軌跡解析部32aは、走行状態データ42aに含まれる車速データ42-1が示す車両1aの速度と、推定走行状態データに含まれる車両1aの速度との相違が予め定められる範囲内であるか否かを判定するとともに、走行状態データ42aに含まれる走行方向データ42a-2が示す車両1aの走行方向と、推定走行状態データに含まれる車両1aの走行方向との相違が予め定められる範囲内であるか否かを判定する。
走行軌跡解析部32aは、2つの速度の相違が予め定められる範囲内でないか、または、2つの走行方向の相違が予め定められる範囲内でないと判定した場合(ステップSb4、No)、処理対象の測定時刻と、生成した推定位置データとを含む正常判定指示信号を走行軌跡データ正常判定部35に出力する。
ステップSb5,Sb6,Sb7の処理は、図8に示したステップSa5,Sa6,Sa7と同一の処理が、走行軌跡データ正常判定部35、道路交通情報取得部34及び補正処理部36によって行われる。
一方、走行軌跡解析部32aは、2つの速度の相違が予め定められる範囲内であり、かつ2つの走行方向の相違が予め定められる範囲内であると判定した場合(ステップSb4、Yes)、図4に示した手法を鉛直方向にも拡張して、推定位置データ、推定測定位置間隔データ及び推定走行状態データに対して、処理対象の測定時刻の走行状態データ42aを適用して、改めて推定位置データと、推定測定位置間隔データと、推定走行状態データとを生成する(ステップSb8)。
走行軌跡解析部32aは、記憶部25aから処理対象の測定時刻の直前の測定時刻に対応する収集データ44を読み出す。走行軌跡解析部32aは、読み出した収集データ44に含まれる測定位置間隔、車両1aの走行方向の各々が、推定測定位置間隔データが示す測定位置間隔、推定走行状態データが示す車両1aの走行方向の各々に一致するか否かを判定する(ステップSb9)。
走行軌跡解析部32aが、2つの測定位置間隔が一致し、2つの車両1aの走行方向が一致すると判定した場合(ステップSb9、Yes)、車両1aは処理対象の測定時刻において、等速で走行しており、かつ直進していることになる。そのため、処理対象の測定時刻の収集データ44を補正する必要がない。そのため、走行軌跡解析部32aは、収集データ44を補正する処理に進めずに、ステップSb13に処理を進める。
一方、走行軌跡解析部32aは、2つの測定位置間隔が一致しないか、または、2つの車両1aの走行方向が一致しないと判定した場合(ステップSb9、No)、改めて生成した推定位置データと、推定測定位置間隔データと、推定走行状態データと、処理対象の測定時刻とを測定条件生成部33aに出力する。
測定条件生成部33aは、走行軌跡解析部32aが出力した推定位置データと、車両1aにおいて固定設置されているレーザレーダ装置21の位置関係とに基づいて、処理対象の測定時刻におけるレーザレーダ装置21の三次元空間における位置を算出する。測定条件生成部33aは、走行軌跡解析部32aが出力する推定走行状態データに含まれる車両1aの走行方向の水平成分の方向の180°逆の向きをレーザレーダ装置21の方向の水平成分とし、車両1aの走行方向の鉛直成分の方向の180°逆の向きをレーザレーダ装置21の方向の鉛直成分とする。すなわち、車両1aの走行方向をベクトルで示した場合、当該ベクトルの逆ベクトルの方向が、レーザレーダ装置21の方向を示すことになる。そのため、測定条件生成部33aは、上記のように、レーザレーダ装置21の水平成分の方向と、鉛直成分の方向を求める。
測定条件生成部33aは、算出したレーザレーダ装置21の位置と、レーザレーダ装置21の水平面上及び鉛直面上での方向と、推定測定位置間隔データが示す測定位置間隔と、推定走行状態データに含まれる車両1aの速度及び走行方向と、処理対象の測定時刻とを含むデータを測定条件データとして生成する(ステップSb10)。測定条件生成部33aは、生成した測定条件データを補正処理部36に出力する。
補正処理部36は、測定条件生成部33aが出力する測定条件データを取り込む。補正処理部36は、記憶部25aが記憶する収集データ44の中から取り込んだ測定条件データに含まれている処理対象の測定時刻に対応する収集データ44を選択する。補正処理部36は、選択した収集データ44に含まれているデータを、測定条件データに含まれているデータに書き替えて、収集データ44を補正する(ステップSb11)。補正処理部36は、記憶部25aの点群データ43を参照し、測定条件データに含まれている処理対象の測定時刻に対応する点群データ43の信頼指標を「高い」に補正する(ステップSb12)。
ステップSb13の処理は、図8に示したステップSa13と同一の処理が、補正処理部36によって行われる。
上記の第2の実施形態の構成において、走行軌跡データ生成部31aは、観測時刻ごとに得られる車両1aの鉛直面上での位置を示すデータを取得し、取得した車両1aの鉛直面上での位置を示すデータに基づいて、車両1aの走行軌跡を示す走行軌跡データを生成する。走行軌跡解析部32aは、走行軌跡データを解析して、測定時刻ごとの車両1aの位置及び走行状態を推定する。測定条件生成部33aは、測定時刻ごとの車両1aの位置及び走行状態に基づいて、測定時刻ごとのレーザレーダ装置21の測定条件を示す測定条件データを生成する。補正処理部36は、測定条件データに基づいて、収集データ44を補正する。
車両1aの標高が上下に変動する走行を車両1aがした場合、収集データ生成部26が生成した収集データ44に含まれるレーザレーダ装置21の位置や方向に誤差が含まれるが、誤差が含まれる収集データ44に対応する点群データ43に対して適切な信頼指標を付与していなかった。そのため、置局設計において、信頼度合いの低い点群データ43を利用してしまうことがあった。これに対して、第2の実施形態では、車両1aの標高を検出するため、車両1aの標高が上下に変動する走行を車両1aがした場合であっても、車両1aの位置と、水平面上及び鉛直面上での走行方向とを高い精度で推定することできる。それにより、収集データ44に含まれるレーザレーダ装置21の位置と、レーザレーダ装置の水平及び鉛直方向とを正確に補正することができる。そのため、車両1aの標高が上下に変動する走行を車両1aがした場合に収集された点群データ43の信頼度合いを高めることができるので、車両1aの標高が上下に変動する走行を車両1aがした場合に収集された点群データ43に対して信頼指標「高い」を付与することができる。したがって、レーザ照射ラインが乱れる箇所における車両の位置及び走行状態を従来よりも高精度に推定することにより、レーザ照射ラインの乱れによって信頼度合いが低下した点群データを利用可能にすることができ、例えば、置局設計を行う際に利用することができる点群データ43の信頼度合いを高めることができる。
なお、上記の第2の実施形態では、走行状態計測部24aは、ステアリングセンサから得られるデータに基づいて測定時刻ごとのステアリングの操舵角を計測し、水平水準器から得られるデータに基づいて測定時刻ごとの車両1aの傾きを計測するようにしているが、本発明は、当該実施の形態に限られない。走行状態計測部24aは、ステアリングセンサ及び水平水準器に替えて、三次元ジャイロセンサから得られるデータを取得し、取得したデータに基づいて、車両1aの水平面上及び鉛直面上での走行方向を算出するようにしてもよい。
(第3の実施形態)
図14は、第3の実施形態の点群データ収集システムγの構成を示すブロック図である。第3の実施形態の点群データ収集システムγにおいて、第1及び第2の実施形態の点群データ収集システムα,βと同一の構成については、同一の符号を付し、以下、異なる構成について説明する。点群データ収集システムγは、点群データ収集装置2bを備えた車両1bと、複数のGPS衛星10-1,10-2及び準天頂衛星11と、位置情報サービス事業者サーバ装置50とを備えている。車両1bは、例えば、自動車であり、上記したMMSに相当する。
点群データ収集装置2bは、レーザレーダ装置21、衛星電波受信用アンテナ22、無線電波受信用アンテナ27、情報受信部23a、走行状態計測部24a、記憶部25a、収集データ生成部26b及びデータ補正部3bを備える。
レーザレーダ装置21は、第1及び第2の実施形態と異なり、車両1bの天部に対して、符号100で示す一定の角度を設けて設置されている。以下、符号100で示す一定の角度を傾斜角度100という。そのため、レーザレーダ装置21の回転軸も傾斜角度100の角度で傾斜することになり、レーザレーダ装置21の方向は符号4bの矢印が示す方向となる。
例えば、特開2017-156179には、「レーザスキャナの発振するスキャンラインの角度を鉛直方向に対して斜め方向となる様に当該装置を配置する」(段落[0018])ということが記載されており、このようにスキャンラインの角度を傾斜させることにより、「検査車両の走行速度を低速化したり、レーザスキャナの秒間あたりの照射点の数を多くすることなく、設備の状態を正確に検出することができる」(段落[0019])という効果が得られることが記載されている。
第3の実施形態では、特開2017-156179に示されている効果を得るために、レーザレーダ装置21を傾斜角度100の角度で傾斜させている。これにより、照射するレーザ光の照射方向も傾斜角度100の角度で傾斜することになる。そのため、傾斜角度100を考慮して収集データ44を生成する必要がある。車両1bの標高が上下に変動した場合、傾斜角度100を考慮して収集データ44を補正する必要がある。
収集データ生成部26bは、第2の実施形態の収集データ生成部26aと以下の点を除いて同一の構成を有している。第2の実施形態の収集データ生成部26aは、第1の実施形態の収集データ生成部26と同様に、レーザレーダ装置21の回転軸が、常に水平面に対して一定であるとし、レーザレーダ装置21の鉛直面上での方向を常に「0°」として収集データ44を生成している。これに対して、第3の実施形態の収集データ生成部26bは、レーザレーダ装置21の鉛直面上での方向を常に傾斜角度100の分、傾いた方向として収集データ44を生成する。
データ補正部3bは、走行軌跡データ生成部31a、走行軌跡解析部32a、測定条件生成部33b、道路交通情報取得部34、走行軌跡データ正常判定部35及び補正処理部36を備える。
測定条件生成部33bは、走行軌跡解析部32aが生成した測定時刻ごとの推定位置データと、推定測定位置間隔データと、推定走行状態データと、傾斜角度100とに基づいて、測定時刻におけるレーザレーダ装置21の測定条件を示す測定条件データを生成する。
図15は、第2の実施形態の図11に示した道路300を、第3の実施形態の車両1bが走行した場合のレーザ照射ラインの変化を示した図である。第2の実施形態の車両1aと、第3の実施形態の車両1bとの形状は同一であるため、平均の車両標高は同一になり、走行軌跡も同一になる。そのため、図12と同じ符号を付して走行軌跡200と、車両平均標高210とを示している。
走行軌跡200に沿って示している複数の点線が、車両1bに搭載されたレーザレーダ装置21が、測定時刻ごとに照射したレーザ光の照射方向を示したレーザ照射ラインである。レーザレーダ装置21は、傾斜角度100の角度で傾斜している。そのため、レーザ照射ラインも全て傾斜角度100の角度で傾斜することになる。
第2の実施形態と同様に、走行軌跡解析部32aが推定した測定時刻ごとの車両1bの位置は、例えば、図15の走行軌跡200上に丸印で示すように、実際の測定時刻においてレーザレーダ装置21がレーザ光を照射した位置に一致することになる。例えば、車両1bが等速で直進している場合に、走行軌跡解析部32aが、連続する4つの測定時刻の車両1aの位置を車両位置60,61,62,63として推定したとする。車両位置60,61,62,63において隣接する各々の間を結ぶベクトルを生成し、第1の実施形態において説明したように生成したベクトルを、直角を挟む2辺のうちの一方の辺とする直角三角形を仮定する。第3の実施形態では、レーザレーダ装置21が傾斜角度100の角度で傾斜しているため、直角三角形の直角を挟む他方の辺を傾斜角度100の角度で傾斜させるとレーザ照射ラインに一致することになる。
車両1bの標高に変化が生じた場合に、走行軌跡解析部32aは、連続する4つの測定時刻の車両1bの位置を車両位置64,65,66,67として推定したとする。この場合も、車両位置64,65,66,67において隣接する各々の間を結ぶベクトルを生成した上で、上記のように生成したベクトルを、直角を挟む2辺のうちの一方の辺とする直角三角形を仮定する。直角三角形の直角を挟む他方の辺を傾斜角度100の角度で傾斜させるとレーザ照射ラインに一致することになる。
測定条件生成部33bは、走行軌跡解析部32aが生成した推定走行状態データに含まれる車両1bの走行方向に基づいて、レーザレーダ装置21の傾斜である傾斜角度100を考慮してレーザレーダ装置21の方向の水平成分及び鉛直成分を算出する。算出されたレーザレーダ装置21の方向の水平成分及び鉛直成分を用いることにより、正確に点群データ43の各点の三次元空間における位置を特定することが可能になる。
(第3の実施形態の処理)
収集データ生成部26bは、第1の実施形態の収集データ生成部26と同様の処理を行って収集データ44を生成する。ただし、収集データ生成部26bは、レーザレーダ装置21の方向のうち鉛直面上での方向を常に傾斜角度100の分、傾いた方向として収集データ44を生成する。
第3の実施形態における収集データ44を補正する処理は、図13に示した第2の実施形態の処理のうち、ステップSb10の処理以外については、第2の実施形態と同一の処理が行われる。
第3の実施形態では、ステップSb10の処理として以下の処理が行われる。測定条件生成部33bは、走行軌跡解析部32aが出力した推定位置データと、車両1bにおいて固定設置されているレーザレーダ装置21の位置関係とに基づいて、処理対象の測定時刻におけるレーザレーダ装置21の三次元空間における位置を算出する。測定条件生成部33bは、走行軌跡解析部32aが出力する推定走行状態データに含まれる車両1bの走行方向の水平成分の方向の180°逆の向きをレーザレーダ装置21の水平面上での方向とし、車両1bの走行方向の鉛直成分の方向の180°逆の向きに、傾斜角度100を加えた向きをレーザレーダ装置21の方向の鉛直成分とする。すなわち、車両1bの走行方向をベクトルで示した場合、当該ベクトルの逆ベクトルを鉛直方向に傾斜角度100の分傾けたベクトルの方が、レーザレーダ装置21の方向を示すことになる。そのため、測定条件生成部33bは、上記のように、レーザレーダ装置21の水平成分の方向と、鉛直成分の方向を求める。
測定条件生成部33bは、算出したレーザレーダ装置21の位置と、レーザレーダ装置21の水平面上及び鉛直面上での方向と、推定測定位置間隔データが示す測定位置間隔と、推定走行状態データに含まれる車両1bの速度及び走行方向と、処理対象の測定時刻とを含むデータを測定条件データとして生成する。
第3の実施形態では、第2の実施形態で得られる効果に加えて、以下のような効果を奏することになる。レーザレーダ装置21が傾斜して車両1bの天部に取り付けられていて、車両1bの標高が上下に変動する走行を車両1bがした場合、レーザレーダ装置21の方向の鉛直成分が複雑に変化することになる。これに対して、第3の実施形態の構成を適用することで、レーザレーダ装置21の傾斜を加味して、正確なレーザレーダ装置21の方向の鉛直成分を算出することが可能となる。それにより、収集データ44に含まれるレーザレーダ装置21の方向の鉛直成分を正確に補正することができる。そのため、車両1bの標高が上下に変動する走行を車両1bがした場合に収集された点群データ43の信頼度合いを高めることができ、点群データ43に対して信頼指標「高い」を付与することができる。したがって、レーザ照射ラインが乱れる箇所における車両の位置及び走行状態を従来よりも高精度に推定することにより、レーザ照射ラインの乱れによって信頼度合いが低下した点群データを利用可能にすることができ、例えば、置局設計を行う際に利用することができる点群データ43の信頼度合いを高めることができる。
なお、上記の第2及び第3の実施形態では、走行軌跡解析部32aは、ネットワーク型RTK-GNSS測位方式を利用して車両1a,1bの標高を検出していたが、他の方式を利用してもよい。例えば、参考文献2-1,2-2,2-3に示される光格子時計を利用してもよい。光格子時計とは、レーザ光を干渉させて作り出した光の波長より小さな多数の領域である光格子に原子を1つずつ収め,別のレーザ光を当て共鳴周波数を測定する原子時計である。アインシュタインの一般相対性理論では、重力が強い、すなわち標高が低い場所で時間が遅れる。この極めて僅かな遅れの測定は、18桁の精度の時計により可能になり、2台の時計の高さに数cmの差があれば、時間差の計測ができる。したがって、基準となる標高との時間差を計測することにより、相対論的測地、すなわち標高差の測定が可能になる。GNSSでは、3~4cm程度の精度で標高を検出することができるのに対して、光格子時計では、5cmの精度で標高を検出することが可能である。
[参考文献2-1:“超高精度の「光格子時計」で標高差の測定に成功 ~火山活動の監視など、時計の常識を超える新たな応用に期待~”,科学技術振興機構(JST),東京大学,理化学研究所,国土地理院,先端光量子科学アライアンス,平成28年8月16日,[令和2年7月12日検索],インターネット(URL: https://www.jst.go.jp/pr/announce/20160816/)]
[参考文献2-2:“日本発の光格子時計 相対性理論で標高差を測定 次世代の世界標準に期待”,産経ニュース,2016年10月24日,[令和2年7月12日検索],インターネット(URL: https://www.sankei.com/life/news/161024/lif1610240029-n1.html)]]
[参考文献2-3:“世界初、「光格子時計」で標高差5cmの測定精度を実現 東京大学など”,大学ジャーナル,2016年8月22日,[令和2年7月12日検索],インターネット(URL: https://univ-journal.jp/9185/)]]
上記の第1から第3の実施形態において、走行軌跡データ生成部31,31aが、準天頂衛星観測データ41に基づいて走行軌跡データを生成する際、例えば、MADOCA(Multi-GNSS Advanced Demonstration tool for Orbit and Clock Analysis)(参考文献3-1)、QZS準スタティック法(参考文献3-2)等の準天頂衛星観測データ41の測位データを補正する補正アルゴリズムを利用するようにしてもよい。
第1の実施形態における点群データ収集システムαに対して、第2及び第3の実施形態において説明したネットワーク型RTK-GNSS測位方式を適用してもよい。この場合、走行軌跡データ生成部31,31aが、ネットワーク型RTK-GPS測位方式の測位処理(参考文献3-3)などの準天頂衛星観測データ41の測位データを補正する補正アルゴリズムを利用するようにしてもよい。これらの測位データを補正する補正アルゴリズムを利用することにより、走行軌跡データ生成部31,31aが行う車両1,1a,1bの位置、速度、走行方向の推定精度が向上することになる。
三次元データ(3Dデータ)である点群データ43のノイズを除去する補正手法として、例えば、汎用的な処理を行う点群データ処理ソフトウェア(参考文献3-4)、壁状ノイズ除去処理(参考文献3-5)などが知られている。したがって、高精度な走行軌跡データを生成した上で、このような点群データ43のノイズを除去する補正手法を適用することにより、点群データ43を更に高精度に補正することができる。
[参考文献3-1:小暮 聡(JAXA),“高精度測位技術の応用について”,第13回クリティカルソフトウェアワークショップ,2016年1月21日,[令和2年7月12日検索],インターネット(URL: https://www.ipa.go.jp/files/000050351.pdf),21~25ページに「6.高精度測位技術(MADOCA開発),複数GNSS対応の精密起動クロック推定ソフトウェア」が示されており,34ページに、水平方向誤差6cm、垂直方向誤差10cmに達するまでの時間が示されている。]
[参考文献3-2:矢来博司,“準天頂衛星による高精度測位補正に関する技術開発”,第40回国土地理院報告会,2011年6月3日,[令和2年7月12日検索],インターネット(URL: https://www.gsi.go.jp/common/000061189.pdf),15~29ページに「(2)測量向け高精度測位補正技術の開発」が示されている。18ページに、補正情報受信・測位処理‘QZS準スタティック法’或いは‘QZS-QS(QZS-Quasi Static)法’が示されており、20ページに「試験観測結果(標準地区)RMS(Root Mean Square)(cm)として、水平:1.2~6.7 上下:2.0~8.4、(山間部)RMS(cm)として、水平:2.1~3.7 上下:3.4~5.3」が示されている。24ページに「みちびき実機を用いた精度検証」境界測量におけるTSでの2回測定の比較の許容誤差範囲が5mmであることが示されている。]
[参考文献3-3:“準天頂衛星による高精度測位補正情報の生成・配信による技術開発 アルゴリズム詳細説明書”,国土交通省 国土地理院,平成20年3月25日,[令和2年7月12日検索],インターネット(URL: https://www.gsi.go.jp/common/000065384.pdf),61ページに「4.4 ネットワーク型RTK-GPS測位方式の測位処理」が示されている。]
[参考文献3-4:何啓源,窪田論,岡本桂輔,“地上レーザスキャナによる3次元点群データを用いた道路維持管理システムの検討”,情報処理学会,第80回全国大会,1ZC-01,p.4-539-540,2018年,[令和2年7月12日検索],インターネット(URL: https://www.ipsj.or.jp/event/taikai/80/ipsj_web2018/data/pdf/1ZC-01.html),図1に道路維持管理システムの定義 点群データ処理ソフトウェア(汎用的な処理)が示されている。]
[参考文献3-5:田中成典,今井龍一,中村健二,河野浩平,“点群座標データを用いた3次元モデルの自動生成に関する研究”,知能と知識(日本知能情報ファジィ学会誌),Vol.23,No.4,pp.572-590,2011年,[令和2年7月12日検索],インターネット(URL: http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/ronbun/H23_fajii01.pdf),202ページの図6の提案手法の処理の流れに「壁状ノイズ除去処理」が示されている。]
上記の第1の実施形態においてGPS衛星10-1,10-2及び準天頂衛星11を利用せず、第2及び第3の実施形態においてGPS衛星10-1,10-2、準天頂衛星11、位置情報サービス事業者サーバ装置50を利用せず、その替わりにデジタルカメラやビデオカメラでの手ぶれ補正における手ぶれ検出機能を利用してもよい(例えば、参考文献4-1,4-2,4-3,4-4参照)。この場合、車両1,1a,1bは、例えば、ビデオカメラ等の撮像部と、撮像部から得られた映像を解析する映像解析部を備える。映像解析部は、撮像部から得られる映像から車両1,1a,1bが走行した軌跡が屈曲したり、上下に変動したりしていることを検出した場合、細かな変位、例えば、手ぶれに対応する振動、回転、移動量等の変位情報を検出することができる。この場合、映像解析部の解析の速度は任意に調整が可能であり、映像解析部の解析の時間間隔を第1から第3の実施形態における観測時刻の間隔である1秒よりも短い時間間隔、例えば、レーザレーダ装置21の測定時刻の間隔に一致させることもできるため、高い精度の変位情報を検出することが可能になる。検出した変位情報を、収集データ44の補正に用いることで、レーザレーダ装置21の詳細な水平方向及び鉛直方向の変位量などを特定することができる。特定したレーザレーダ装置21の変位量を利用することで、点群データの信頼度合いを高めることができ、信頼度合いを高めた点群データを置局設計に活かすことが可能になる。第1から第3の実施形態の構成に、手ぶれ検出機能を加えるようにしてもよい、手ぶれ検出機能では、上記のように観測時刻より短い間隔で変位情報を得ることが可能であり、観測時刻の間隔の間を補完する情報として利用することができ、観測時刻の間の車両1,1a,1bの移動を更に高い精度で推定することが可能になる。
第1から第3の実施形態において、車両1,1a,1bにレーザレーダ装置21を搭載する際に、屈曲した走行や上下に変動する走行をする際の変位の影響を防ぐために、振動を抑制するヘキサポッド、ジンバルなどの台座に備え付ける構成を適用してもよい。ヘキサポッド、ジンバルなどは、カメラ映像や加速度、傾きを検出するセンサ情報に基づいて振動を抑え、カメラの水平を維持する補正制御技術を備えている(例えば、参考文献4-2,4-5,4-6参照)。そのため、ヘキサポッド、ジンバルなどの台座を車両1,1a,1bに備え、その台座にレーザレーダ装置21を取り付けることにより、振動が抑制された状態になる。そのため、レーザレーダ装置21の回転軸の方向を一定の方向に維持することができるので、点群データの各点の位置を特定する精度を向上させることができる。なお、当該構成では、ヘキサポッド、ジンバルなどによりレーザレーダ装置21の回転軸の方向が一定の方向に維持されるため、車両1,1a,1bの走行方向と、レーザレーダ装置21の方向との間に変位が生じる。そのため、生じる変位を考慮して、第1から第3の実施形態において、収集データ44を補正する必要がある。ヘキサポッド、ジンバルなどが調整する調整量を超えて傾きが生じる場合や、継続的に傾きを調整している状況、例えば、水平に近い状態で傾きの調整量が少ない状況に、更に、追加で傾きが加わり調整ができなくなる場合には、レーザレーダ装置21を水平に維持することができなくなり、その場合には、第1から第3の実施形態の構成による収集データの補正が活かされることになる。
[参考文献4-1:芹田保明,“デジタルカメラの手振れ補正機構”,光学,33巻,9号,p.550(26)-p.555(31),2004年、[令和2年7月12日検索],インターネット(URL: https://annex.jsap.or.jp/photonics/kogaku/public/33-09-kaisetsu5.pdf),551ページの表1に、おもな手ぶれ検出技術として「画像の動きベクトル検出方式:撮像素子から連続的に画像データを読み出して各画像間での像の移動状態からぶれを検出する」ことが示されている。]
[参考文献4-2:“手ぶれ補正機構”,Wikipedia,[令和2年7月12日検索],インターネット(URL: https://ja.wikipedia.org/wiki/手ぶれ補正機構),「電子式:デジタルカメラやデジタルビデオカメラで搭載されることが多い。撮影可能領域を一定のサイズに狭め、撮影の際にバッファメモリに画像を読み込み、最初に撮影した画像をそれ以降に撮影した画像を比較、その移動量を演算し、撮影可能領域を自動的にずらして撮影し記録する。外装式:ジンバル:ジンバル(Gimbal)は,ジャイロスコープやヤジロベエの原理を用いたスタビライザー。装着したカメラの水平を保ってくれるため,移動撮影時のブレを減少させることができる。]
[参考文献4-3:西一樹,“デジタル・ムービーのブレ計測・補正評価システム”,電気通信大学 新技術説明会,2008年5月13日,[令和2年7月12日検索],インターネット(URL: https://shingi.jst.go.jp/past_abst/abst/p/08/802/uec5.pdf),10ページに手ブレ検出結果の統計処理として「手ぶれの3D軌跡⇒多数枚の撮影画像に対する手ブレ検出結果をプロット+主成分分析(PCA)⇒手ブレ検出データの分散図とその傾向を示す楕円体」が示されている。]
[参考文献4-4:丸山裕士,山口佳樹,児玉祐悦(筑波大),“FPGAによるブレ補正機構に関する研究”,FIT2014(第13回情報科学技術フォーラム),第1分冊,RC-004,p23-p28,2014年,[令和2年7月12日検索],インターネット(URL: https://www.ipsj.or.jp/award/9faeag0000004eyo-att/RC-004.pdf),1ページに「2.オプティカルフロー検出とブレ補正手法(図1.フレーム内オプティカルフローとブレ補正の違い)、2.1.フレーム移動量の推定方法(図2.フレーム移動量の推定方法)」が示されている。]
[参考文献4-5:ステファン・ボーンドラン,スコット・ジョーダン,“圧電式ヘキサポッドモーションシステム による、手ぶれ補正と画像解像度の改善”,featureイメージング,Laser Focus World Japan,p.26-29,2017年1月,[令和2年7月12日検索],インターネット(URL: http://ex-press.jp/wp-content/uploads/2017/01/LFWJ1701ft4.pdf),29ページに「ヘキサポッドのドライブの種類と応用:H-840ヘキサポッドを用いたドローンカメラのぶれ補正試験に加えて、工業オートメーションと、移動する車両や船舶のモーション安定化を目的とした「PI H-900KSCO」ヘキサポッドも設計されている」ことが示されている。「PI H-900KSCO」ヘキサポッドでは「最大130ポンド(約59kg)の負荷に対応しつつ,最大で200mm(X,Y,Z軸方向)、66°(ピッチ,ヨー,ロール)のモーション範囲をそれぞれ80mm/sと30°/sの速度で提供する」ことが示されている。]
[参考文献4-6:川村和弘,“まるで映画のような滑らかで手ブレが無い映像が、片手で簡単に撮れる!ドローンのカメラと空撮技術を転用! 3軸電動スタビライザー搭載カメラ「Osmo」登場”,価格.comマガジン,2015年10月26日,[令和2年7月12日検索],インターネット(URL: https://kakakumag.com/camera/?id=3477),「カメラがグリグリと回転し,傾きや向きを検知して水平と保つ」]
上記の第1から第3の実施形態において、図8と図13に示したステップSa8,Sb8では、推定位置データ、推定測定位置間隔データ及び推定走行状態データに走行状態データ42,42aを適用して、改めて推定位置データ、推定測定位置間隔データ及び推定走行状態データを生成するようにしているが、本発明の構成は、当該実施の形態に限られない。ステップSa3,Sb3の処理において、走行軌跡データと、走行状態データ42,42aとに基づいて、推定位置データ、推定測定位置間隔データ及び推定走行状態データを生成し、ステップSa8,Sb8の処理を行わないようにしてもよい。この場合、推定位置データ、推定測定位置間隔データ及び推定走行状態データを生成する処理が1回になるため、処理量を軽減化することができる。その一方で、ステップSa4,Sb4の判定処理において、対比する推定走行状態データと、走行状態データとの相違が少なくなる。そのため、ステップSa4,Sb4において、走行軌跡解析部32,32aが「Yes」の判定を行うことが多くなる可能性がある。したがって、最終的に得られる推定位置データ、推定測定位置間隔データ及び推定走行状態データの精度という観点でみると、ステップSa8,Sb8の処理をステップSa3,Sb3の処理としてまとめて行うよりも、図8と図13に示した処理の方が優れている。走行軌跡データのみから推定位置データ、推定測定位置間隔データ及び推定走行状態データを生成するようにして、ステップSa8,Sb8を行わないようにしてもよい。
上記の第1から第3の実施形態において、収集データ44には、測定時刻と、レーザレーダ装置21の位置と、レーザレーダ装置21の水平成分及び鉛直成分を含んだ方向と、測定位置間隔と、車両1,1a,1bの速度と、車両1,1a,1bの走行方向を含むようにしているが、本発明の構成は、当該実施の形態に限られない。点群データ43における各点の三次元空間での位置が特定できればよいため、第1の実施形態では、収集データ44は、少なくとも測定時刻と、レーザレーダ装置21の位置と、レーザレーダ装置21の水平成分の方向が含まれるようにしてもよく、その場合、第1の実施形態の走行軌跡解析部32は、測定時刻ごとの車両1の水平面上での位置を推定する。次に、走行軌跡解析部32は、測定時刻ごとの車両1の水平面上での走行方向のみを車両1の走行状態として推定する。測定条件生成部33は、測定時刻と、レーザレーダ装置21の位置と、レーザレーダ装置21の水平成分の方向とを含む測定条件データを生成すればよいことになる。第2及び第3の実施形態では、収集データ44は、少なくとも測定時刻と、レーザレーダ装置21の位置と、レーザレーダ装置21の水平成分及び鉛直成分の方向が含まれるようにしてもよく、その場合、第2及び第3の実施形態の走行軌跡解析部32aは、まず測定時刻ごとの車両1aの位置を推定する。次に、走行軌跡解析部32aは、測定時刻ごとの車両1aの水平面上及び鉛直面上での走行方向のみを車両1aの走行状態として推定する。測定条件生成部33a,33bは、測定時刻と、レーザレーダ装置21の位置と、レーザレーダ装置21の水平成分及び鉛直成分の方向とを含む測定条件データを生成すればよいことになる。
上記の第1から第3の実施形態の点群データ収集装置2,2a,2bにおけるデータ補正部3,3a,3bを、単体の装置であるデータ補正装置として構成してもよい。
上記の第1から第3の実施形態では、道路を走行する車両1を例に説明したが、車両1に限らずドローン等の移動体が用いられてもよい。このように構成される場合、ドローン等の移動体に点群データ収集装置2が備えられる。
上述した実施形態におけるデータ補正部3,3a,3bをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
点群データを収集するMMSに適用することが可能である。
1…車両、2…点群データ収集装置、3…データ補正部、4…レーザレーダ装置の方向、10-1,10-2…GPS衛星、11…準天頂衛星、21…レーザレーダ装置、22…衛星電波受信用アンテナ、23…情報受信部、24…走行状態計測部、25…記憶部、26…収集データ生成部、31…走行軌跡データ生成部、32…走行軌跡解析部、33…測定条件生成部、34…道路交通情報取得部、35…走行軌跡データ正常判定部、36…補正処理部

Claims (8)

  1. 移動体に搭載されたレーザレーダ装置が、測定時刻ごとにレーザ光を照射することにより測定対象物までの距離を計測して点群データを生成する際に前記点群データに対応付けて生成される収集データであって観測時刻ごとに得られる前記移動体の水平面上での位置を示す水平面位置データから推定される前記レーザレーダ装置の測定条件を示す収集データを補正するデータ補正方法であって、
    前記観測時刻ごとに得られる前記水平面位置データよりも高精度の水平面位置データを取得するか、または、前記移動体の鉛直面上での位置を示す鉛直面位置データを取得し、取得した前記高精度の水平面位置データ、または、前記鉛直面位置データに基づいて、前記移動体の移動軌跡を示す移動軌跡データを生成する移動軌跡データ生成データ生成ステップと、
    前記移動軌跡データを解析して、前記測定時刻ごとの前記移動体の位置及び移動状態を推定する移動軌跡解析ステップと、
    前記測定時刻ごとの前記移動体の位置及び移動状態に基づいて、前記測定時刻ごとの前記レーザレーダ装置の測定条件を示す測定条件データを生成する測定条件生成ステップと、
    前記測定条件データに基づいて、前記収集データを補正する補正処理ステップと、
    を含むデータ補正方法。
  2. 前記高精度の水平面位置データとは、前記観測時刻の間隔と同一の時間間隔で得られるデータであって前記収集データを生成する際に用いられた前記水平面位置データよりも誤差の少ない水平面位置データであるか、または、前記観測時刻の間隔よりも短い時間間隔で得られる水平面位置データである、
    請求項1に記載のデータ補正方法。
  3. 前記レーザレーダ装置が前記移動体に対して傾斜して搭載されている場合、
    前記測定条件生成ステップにおいて、前記移動体の位置及び移動状態と、前記傾斜の角度とに基づいて前記測定時刻ごとの前記測定条件データを生成する、
    請求項1又は2に記載のデータ補正方法。
  4. 前記補正処理ステップにおいて、前記収集データを補正した場合、補正した前記収集データに対応する点群データに対して高い信頼度合いを示す信頼指標を付与する、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のデータ補正方法。
  5. 前記移動軌跡解析ステップにおいて、前記測定時刻において移動体が等速で移動しており、かつ直進していると判定した場合、前記測定条件生成ステップにおいて前記測定条件データを生成せず、
    前記移動軌跡解析ステップにおいて、前記測定時刻において移動体が等速で移動していないか、または、直進していないと判定した場合、前記測定条件生成ステップにおいて前記測定条件データを生成する、
    請求項1から4のいずれか一項に記載のデータ補正方法。
  6. 前記移動軌跡解析ステップにおいて、推定した前記移動体の移動状態を示す推定移動状態データを生成し、前記移動体が内部に備える移動状態計測部が計測して生成した移動状態データであって前記推定移動状態データの測定時刻に対応する移動状態データと、前記推定移動状態データとの相違が、予め定められる範囲内である場合、前記移動軌跡データと、前記移動状態データとに基づいて、前記測定時刻ごとの前記移動体の位置及び移動状態を推定する、
    請求項1から5のいずれか一項に記載のデータ補正方法。
  7. 前記移動状態データと、前記推定移動状態データとの相違が、予め定められる範囲内でない場合、前記移動体が内部に備える道路交通情報取得部が取得する道路交通情報に基づいて前記移動軌跡データが正常であるか否かを判定し、正常でないと判定した場合、外部に異常を出力する移動軌跡データ正常判定ステップ
    をさらに含む請求項6に記載のデータ補正方法。
  8. 移動体に搭載されたレーザレーダ装置が、測定時刻ごとにレーザ光を照射することにより測定対象物までの距離を計測して点群データを生成する際に前記点群データに対応付けて生成される収集データであって観測時刻ごとに得られる前記移動体の水平面上での位置を示す水平面位置データから推定される前記レーザレーダ装置の測定条件を示す収集データを補正するデータ補正装置であって、
    前記観測時刻ごとに得られる前記水平面位置データよりも高精度の水平面位置データを取得するか、または、前記移動体の鉛直面上での位置を示す鉛直面位置データを取得し、取得した前記高精度の水平面位置データ、または、前記鉛直面位置データに基づいて、前記移動体の移動軌跡を示す移動軌跡データを生成する移動軌跡データ生成部と、
    前記移動軌跡データを解析して、前記測定時刻ごとの前記移動体の位置及び移動状態を推定する移動軌跡解析部と、
    前記測定時刻ごとの前記移動体の位置及び移動状態に基づいて、前記測定時刻ごとの前記レーザレーダ装置の測定条件を示す測定条件データを生成する測定条件生成部と、
    前記測定条件データに基づいて、前記収集データを補正する補正処理部と、
    を備えるデータ補正装置。
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