本発明は、その一部の実施形態では、付加製造に関し、特に限定されないが、低い作業温度(例えば50℃未満)で実施される付加製造に使用可能な支持体材料配合物に関する。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳しく説明する前に、本発明は、その適用において、下記の説明に示されるか、および/または図面および/または実施例において例示される構成要素および/または方法の組み立ておよび構成の細部に必ずしも限定されないことを理解しなければならない。本発明は、他の実施形態が可能であり、または様々な方法で実施または実行されることが可能である。
上で述べたように、3D物体の付加製造、特に3Dインクジェット印刷に使用可能な硬化性材料は、必要な特性を具備する造形物体を与えるのに加えて、プロセス条件に合致する特性を具備するべきである。3Dインクジェット印刷では、例えば、硬化性材料(未硬化構築材料)を含む配合物は、噴射可能であるべきであり、即ち印刷ヘッド及び噴射ノズルを損傷せずに、効果的な噴射が実施されるように噴射システムとの適合性及び安定性を持つべきである。
上でさらに述べたように、噴射条件に合致するために、支持体材料配合物及び造形用材料配合物を含む未硬化構築材料は、作業(例えば噴射)温度での相対的に低い粘度(50cps以下又は35cps以下、好ましくは8~25cpsのブルックフィールド粘度)、約25~約55ダイン/cm、好ましくは約25~約40ダイン/cmの表面張力;及び硬化条件にさらすと噴射された層の1分以下、好ましくは20秒以下の高速凝固を可能にするための、選択された硬化条件に対する高い反応性及びニュートン液体挙動を具備するべきである。追加の条件は、低沸点溶剤(もし溶剤が使用されるなら)を含み、それは、例えば200℃未満又は190℃未満の沸点を特徴とするが、好ましくは作業(例えば噴射)温度で低蒸発速度を特徴とし、もし構築材料が固体粒子を含むなら、これらは、2ミクロン以下の平均サイズを具備するべきである。
インクジェット印刷に使用可能な現在利用可能な配合物のほとんどは、50~90℃、一般的には70℃の作業(例えば噴射)温度で必要な粘度(例えば8~25cps)を具備し、従って印刷プロセス中に噴射装置及び任意選択的に配合物自体を加熱することを要求する。
かかる作業温度は、揮発性溶剤、及び生物材料のような温度感受性材料の使用を妨げ、オフィス又は家庭環境での用途に好ましくない。
上述の用途で適合可能な低い温度で、本明細書に規定されるように、噴射可能である材料配合物に対する研究において、本発明者は、現在利用可能な構築材料(未硬化)に様々な修正を導入する広範な研究を鋭意行なった。
これらの研究中、本発明者は、硬化されたとき、現在利用可能な支持体材料配合物(例えば米国特許第7479510号、7183335号及び6569373号、及び公開No.WO2016/142947,WO2017/029657及びWO2017/122211を持つPCT国際特許出願に記載されるようなもの)によって与えられるものと同様の特性を具備するが、低い作業温度、即ち50℃より低いい温度で噴射可能である材料を与える造形用材料配合物を設計し、かつうまく実践した。
それゆえ、本発明の実施形態は、3Dインクジェット印刷のような付加製造に使用可能な新規な支持体材料配合物、及びこれらの配合物を利用する付加製造に関する。
本明細書中全体を通して、用語「物体」は、付加製造の最終生成物を記載する。この用語は、支持材料が構築材料の一部として使用されたなら、支持材料の除去後に本明細書に記載されたような方法によって得られた生成物を示す。「物体」は、それゆえ硬化された造形用材料から本質的になる(少なくとも95重量%からなる)。
本明細書全体を通して、用語「物体」又は「印刷物体」又は「製作物体」は、付加製造プロセスの製造物を記載する。この用語は、硬化された支持体材料の除去前の、本明細書に記載される方法によって得られた製造物に関する。それゆえ、印刷物体は、硬化(例えば固化)造形用材料及び硬化(例えば固化)支持体材料、又はまとめて硬化構築材料から作られる。
本明細書において使用される用語「印刷物体」は、印刷物品の全体又はその一部に関する。
本明細書に使用される用語「造形物(モデル)」は、製造プロセスの最終製造物を記載する。この用語は、支持体材料の除去後の、本明細書に記載される方法によって得られた製造物に関する。それゆえ、造形物は、他に示さない限り、本質的に硬化造形用材料からなる。この用語はまた、本明細書では、「造形物体」、「最終物体」、又は単に「物体」として言及される。
本明細書において使用される用語「造形物(モデル)」、「造形物体」、「最終物体」、及び「物体」は、物品全体又はその一部を示す。
本明細書中全体を通して、表現「構築材料配合物」、「未硬化構築材料」、「未硬化構築材料配合物」、「構築材料」、及び他の変形は、それゆえ集合して、本明細書に記載されるように、層を連続して形成するために吐出される材料を記載する。この表現は、物体、即ち一つ以上の未硬化造形用材料配合物を形成するように吐出された未硬化材料、及び支持体、即ち未硬化支持材料配合物を形成するように吐出された未硬化材料を包含する。
本明細書において全体を通して、表現「造形用材料配合物」(それはまた、交換可能に、「造形用配合物」又は単に「配合物」として示される)は、本明細書に記載されるように、造形物体を形成するように吐出される未硬化の構築材料の一部を記載する。造形用配合物は、未硬化の造形用配合物であり、それは、硬化条件(例えば硬化エネルギー)にさらすと最終物体又はその一部を形成する。
本発明の一部の実施形態では、造形用材料配合物は、三次元インクジェット印刷に使用するために配合され、それ自身で、即ちいかなる他の物質と混合したり又は組み合わせたりする必要なしで三次元物体を形成することができる。
本発明の一部の実施形態では、造形用材料配合物は、噴射装置、例えば印刷ヘッド及び/又はノズルアレイに熱を付与する必要性を避けながら、三次元インクジェット印刷に使用するために配合される。
未硬化の構築材料は、一種以上の造形用配合物を含むことができ、造形物体の異なる部分が異なる造形用配合物を硬化して作られ、従って異なる硬化された造形用材料又は硬化された造形用材料の異なる混合物から作られるように吐出されることができる。
本明細書全体を通して、本明細書では互換可能に「支持体配合物」または単に「配合物」とも呼ばれる語句「支持体材料」は、本明細書に記載する支持体材料を形成するために吐出される未硬化構築材料の部分を記述するものである。支持体材料配合物は未硬化配合物であり、それは、硬化条件(例えば硬化エネルギー)に曝されると硬化支持体材料を形成する。
本発明の一部の実施形態では、支持体材料配合物は、噴射装置、例えば印刷ヘッド及び/又はノズルアレイに加熱を適用する必要性を避けながら、三次元インクジェット印刷に使用するために配合される。
本明細書全体を通して、互換可能に使用される語句「硬化造形用材料」および「固化造形用材料」とは、本明細書で規定する通り、吐出された構築材料が硬化し、硬化支持体材料(もし存在するなら)が除去された後、造形物体を形成する構築材料の部分を表すものである。硬化造形用材料は、本明細書に記載する方法で使用される造形用材料配合物に応じて、単一種の硬化材料または2種以上の硬化材料の混合物とすることができる。
本明細書全体を通して、語句「硬化支持体材料」は、本明細書では互換可能に「硬化支持体材料」または単に「支持体材料」とも呼ばれ、製作された最終物体を製作プロセス中に支持するように意図された硬化(固化)構築材料の部分を表すものであり、それは、ひとたびプロセスが完了し、硬化造形用材料が得られると除去される。
本明細書に記載される実施形態のいずれかの一部では、(構築材料、支持体材料及び造形用材料の)未硬化配合物は、一般的に硬化性配合物であり、それは、硬化により硬化された材料を形成する。
本明細書中全体を通して、用語「硬化性配合物」により、本明細書中に記載されるように硬化条件(例えば硬化エネルギー)にさらされたとき、固体化または固化して、本明細書中で定義されるような硬化物を形成する材料の混合物が記載される。硬化性配合物は1つまたは複数の硬化性材料を含み、1つまたは複数の非硬化性材料、開始剤、および他の添加剤を必要に応じてさらに含むことがある。
構築材料を形成する配合物(造形用材料配合物及び支持体材料配合物)は、一種以上の硬化性材料を含み、それは、硬化条件にさらされるとき、固化(硬化)材料を形成する。これらの配合物は、硬化性配合物であり、一種以上の硬化性材料及び任意選択的に硬化性材料の硬化を促進するための一種以上の薬剤を含むことができる。
本明細書中全体を通して、「硬化性材料」は、本明細書に記載されるように硬化条件にさらされるとき、凝固又は固化して硬化材料を形成する化合物(一般的にはモノマー又はオリゴマー化合物、しかし任意選択的にポリマー化合物)である。硬化性材料は、一般的に重合可能な材料であり、それは、好適な硬化条件(好適なエネルギー源)にさらされるときに重合及び/又は架橋を受ける。
本明細書において、句「硬化エネルギーに露出する(さらす、曝す)」、「硬化に露出する(さらす、曝す)」、「硬化条件に露出する(さらす、曝す)」及び「硬化に影響を与えるエネルギー源に露出する(さらす、曝す)」は、交換可能に使用され、未硬化構築材料の吐出された層が硬化エネルギーに露出され、その露出が、一般的に、吐出された層に硬化エネルギーを付与することによって実施されることを意味する。
「硬化エネルギー」は、一般的に放射線の付与又は熱の付与を含む。
放射線は、硬化される材料に依存して、電磁放射線(例えば紫外又は可視光)、又は電子ビーム放射線、又は超音波放射線、又はマイクロ波放射線であることができる。放射線(照射)の付与は、好適な放射線源によって実施される。例えば紫外又は可視又は赤外又はキセノンランプが、本明細書に記載されるように、使用されることができる。
本実施形態による硬化性材料はまた、硬化エネルギーにさらすことなく、むしろ硬化条件(例えば、化学試薬にさらすと)、又は単に環境にさらすと、固化又は凝固(硬化)する材料を包含する。
本明細書で使用される用語「硬化性(硬化可能)」及び「凝固性(凝固可能)」は、交換可能に使用される。
重合は、例えばフリーラジカル重合、カチオン重合、又はアニオン重合であることができ、各々は、本明細書に記載されるように、例えば放射線、熱などの硬化エネルギーにさらすと誘導されることができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部において、硬化性材料は、光重合可能な材料であり、それは、本明細書に記載されるように、放射線にさらすと重合するか、及び/又は架橋を受けるものであり、一部の実施形態では、硬化性材料は、UV硬化性材料であり、それは、本明細書に記載されるように、UV放射線にさらすと重合するか、及び/又は架橋を受けるものである。
一部の実施形態では、本明細書に記載されるような硬化性材料は、光誘導性フリーラジカル重合を介して重合する光重合可能な材料である。あるいは、硬化性材料は、光誘導されたカチオン重合によって重合する光重合可能な材料である。
本明細書に記載される実施形態のいずれかの一部において、硬化性材料は、モノマー、オリゴマー、又は(例えば短鎖)ポリマーであることができ、各々は、本明細書に記載されるように重合可能及び/又は架橋可能である。
本明細書に記載される実施形態のいずれかの一部において、硬化性材料が硬化条件(例えば放射線)にさらされるとき、それは、鎖延長及び架橋のいずれか一つ又はそれらの組み合わせによって固化(硬化)する。
本明細書に記載される実施形態のいずれかの一部において、硬化性材料は、重合反応が起こる硬化条件(例えば硬化エネルギー)にさらすとき、重合反応で重合材料を形成することができるモノマー又はモノマーの混合物である。かかる硬化性材料はまた、本明細書においてモノマー硬化性材料として言及される。
本明細書及び業界において、用語「モノマー」は、互いに連結される繰り返し主鎖単位を欠いている材料を記載する。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、硬化性材料は、重合反応が起こる硬化条件(例えば硬化エネルギー)にさらすとき、重合反応でポリマー材料を形成することができるオリゴマー又はオリゴマーの混合物である。かかる硬化性材料はまた、本明細書ではオリゴマー硬化性材料として言及される。
本明細書及び業界において、用語「オリゴマー」は、互いに連結される繰り返し主鎖単位を含み、かかる繰り返し単位の数が2~10である材料を記載する。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、硬化性材料は、重合反応が起こる硬化条件(例えば硬化エネルギー)にさらすとき、重合反応で重合度の高い及び/又は架橋されたポリマー材料を形成することができるポリマー又はポリマーの混合物である。かかる硬化性材料はまた、本明細書ではポリマー硬化性材料として言及される。
本明細書及び業界において、用語「ポリマー」は、互いに連結される繰り返し主鎖単位を含み、かかる繰り返し単位の数が10より大きい材料を記載する。「ポリマー」又は「ポリマー材料」はまた、少数の主鎖単位が材料から除去されるとき、その特性が有意に変化しないようなものとして規定されることができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、硬化性材料は、モノマー又はオリゴマー又はポリマーであるかどうかにかかわらず、単官能硬化性材料又は多官能硬化性材料であることができる。
本明細書において、単官能硬化性材料は、硬化条件(例えば放射線のような硬化エネルギー)にさらすと重合を受けることができる一つの官能基を含む。
多官能硬化性材料は、硬化条件(例えば硬化エネルギー)にさらすと重合を受けることができる二つ以上(例えば2,3,4又はそれより多く)の官能基を含む。多官能硬化性材料は、例えば二官能、三官能又は四官能硬化性材料であることができ、それらは、それぞれ重合を受けることができる2,3又は4つの基を含む。多官能硬化性材料中の二つ以上の官能基は、一般的に本明細書で規定されるように、連結部分によって互いに連結される。連結部分がオリゴマー又はポリマー部分であるとき、多官能基は、オリゴマー又はポリマー多官能硬化性材料である。多官能硬化性材料は、硬化条件(例えば硬化エネルギー)にさらすと重合を受けることができ、及び/又は架橋剤として作用することができる。
本明細書中において全体を通して、表現「重量パーセント」が硬化性配合物の実施形態との関連で示されるときは常に、この用語により、本明細書中に記載されるような配合物の全重量の重量パーセントが意味される。
表現「重量パーセント」はまた、本明細書中では「重量%」または「%wt.」または「wt.%」と示される。
本発明の実施形態は、三次元物体の付加製造に使用可能であり、かつ35℃の温度で50センチポアズ(cPs又はcps)以下の粘度を具備する新規な支持体材料配合物に関し、粘度は、業界で知られた標準的な方法に従って及び/又は以下の実施例部分に記載されるように決定される。
本明細書に記載された配合物は、硬化されたとき、本明細書に記載されるような可溶性支持体材料配合物を含む、現在使用されている支持体材料配合物に匹敵する特性を具備する支持体材料を与える。
本発明の実施形態はさらに、本明細書に開示された新規な支持体材料配合物が包装されるキットに関する。
本発明の実施形態はさらに、本明細書に記載された支持体材料配合物を使用して三次元物体を付加製造する方法に関する。
本実施形態の方法は、本明細書に記載されるように、物体の形状に対応する構成パターンで複数の層を形成することによって三次元物体を層状に製造する。
この方法は、一般的に、物体の形状に対応する構成パターンで複数の層を逐次形成することによって実施され、前記層の少なくとも二、三の層の各々又は前記層の各々の形成は、本明細書に記載されるように一種以上の造形用材料配合物及び一種以上の支持体材料配合物を含む構築材料(未硬化)を吐出し、吐出された造形用材料を硬化条件(例えば硬化エネルギー)にさらし、それによって、以下にさらに詳述するように、印刷物体を形成することを含む。
本発明の一部の例示的な実施形態では、物体は、一種以上の造形用材料配合物及び一種以上の支持体材料配合物を含む構築材料(未硬化)を吐出することによって製造され、各配合物は、インクジェット印刷装置の異なる吐出ヘッド及び/又は異なるノズルアレイからのものである。吐出された配合物は、任意選択的にかつ好ましくは、印刷ヘッドの同じ通過中に層で堆積される。層内の配合物及び/又は配合物の組み合わせは、以下にさらに詳述されるように、物体の希望の特性に従って選択される。
最終的な三次元物体は、造形用材料、または複数の造形用材料の組合せ、または造形用材料(単数又は複数)と支持体材料(単数又は複数)の組合せもしくはそれらの変性物(例えば硬化後)から作られる。これらの作業は全て、立体自由造形の当業者にはよく知られている。
支持体材料配合物:
本発明の一部の実施形態の態様によれば、本明細書に規定されるように、35℃で50cPs以下の粘度を具備する、三次元物体の付加製造に支持体材料配合物として使用可能な配合物が提供される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合物は、35℃で40cPs以下又は30cPs以下又は25cPs以下又は20cPs以下又は20cPs未満の粘度を具備する。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合物は、35℃で約8~約50cPs又は約8~約40cPs又は約8~約30cPs又は約8~約25cPs又は約8~約20cPs又は約8~約15cPsの範囲の粘度を具備し、それらの間のいずれかの中間値及び下位範囲を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合物は、30℃で約8~約50cPs又は約8~約40cPs又は約8~約30cPs又は約8~約25cPs又は約8~約20cPs又は約8~約15cPsの範囲の粘度を具備し、それらの間のいずれかの中間値及び下位範囲を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合物は、本明細書に記載されるように、付加製造プロセスにおいて、使用のために好適であるか、又は使用可能である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合物は、本明細書に記載されるように、3Dインクジェット印刷プロセスにおいて、使用のために好適であるか、又は使用可能である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合物は、噴射印刷装置と、特にインクジェット印刷ヘッド、及び配合物を吐出する、その中のノズルアレイと適合する。それは、ノズルアレイを通して印刷ヘッドから容易に吐出されるように必要な粘度を具備し、それは、必要な表面張力を具備し、それは、印刷ヘッド及び/又はその中のノズルアレイの詰まりを避けるように噴射条件において十分に安定(非反応性)であるからである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合物は、業界で及び本明細書で認識されているように、3Dインクジェット印刷システムの全ての条件に合致する。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合物は、本明細書に規定されるように、二種以上の硬化性材料を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、一種以上の硬化性材料の各々は、本明細書に規定されるように、モノマー硬化性材料、オリゴマー硬化性材料、又はモノマー硬化性材料とオリゴマー硬化性材料の混合物であることができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合物中の硬化性材料の平均分子量は、500グラム/mol以下である。
「平均分子量」は、配合物中の全ての硬化性材料の分子量の合計を配合物中の硬化性材料の数で割ったものを意味する。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、硬化性材料の平均分子量は、200~500グラム/mol又は250~500グラム/mol又は300~500グラム/molの範囲であり、それは、それらの間のいずれかの中間値及び下位範囲を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、二種以上の硬化性材料の相対的な平均分子量は、500グラム/mol以下である。
「相対的平均分子量」は、配合物又は配合物系中の硬化性材料の濃度に対する配合物又は配合物系中のそれらの平均分子量、即ち各成分について、配合物又は配合物系中の相対濃度を掛けた分子量の合計を配合物又は配合物系中の硬化性材料の全濃度で割ったものを意味し、以下の通りである:
(AのMWx重量%+BのMWa重量%)/硬化性材料の全重量%
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、二種以上の硬化性材料の相対平均分子量は、200~500グラム/mol又は250~500グラム/mol又は300~500グラム/molの範囲であり、それは、それらの間のいずれかの中間値及び下位範囲を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、配合物は、硬化されたとき、水溶液において溶解可能又は膨潤可能な材料を与える少なくとも一種の親水性硬化性材料;及び前記少なくとも一種の親水性硬化性材料から形成された硬化された材料によって膨潤されることができる少なくとも一種の非硬化性材料を含む。
本明細書全体を通して、「水溶液に溶解可能」は、示された硬化された材料が水溶液と接触するとき、その少なくとも80%が溶解することを意味する。一部の実施形態では、硬化された材料の少なくとも80%が、接触の温度及び他の条件、並びに形成された硬化された材料のサイズ及び形状に依存して、水溶液に接触すると数分から数時間の範囲の時間で溶解する。
接触は、室温又は高温であることができ、水噴射などの機械手段を伴うことができる。水溶液は、水、又は例えばアルカリ性溶液のような硬化された支持体材料を溶解するために使用可能ないずれかの他の溶液であることができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、水溶液に溶解可能な硬化された材料は、水溶液に接触すると硬化された材料の少なくとも80%が24時間未満又は12時間未満又は6時間未満又は3時間未満又は1時間未満の時間で本明細書に記載されたように溶解するようなものである。一部の実施形態では、接触は、室温である。一部の実施形態では、水溶液は、水である。一部の実施形態では、接触は、室温であり、水溶液は、水又はアルカリ性水溶液である。
本明細書で使用される「硬化(硬化された)材料」は、吐出された配合物が硬化条件にさらされると形成される材料に関する。一部の実施形態では、「硬化材料」は、硬化可能な材料が本明細書に記載されるような硬化条件(例えば硬化エネルギー)に露出すると、本明細書に記載されるように、重合及び/又は架橋を受けて形成されるポリマー材料である。
本明細書全体を通して、硬化材料の特性が記載されるとき、その特性は、硬化性材料又は配合物自体から形成された硬化された材料に関する。
一部の実施形態では、非硬化性材料は、水混和性材料である。
本明細書中全体を通して、用語「水混和性(の)」は、周囲温度で少なくとも一部が水に溶解可能である、または分散可能である(すなわち、分子の少なくとも50%が混合時に水中に移動する)材料を記載する。この用語は、用語「水溶性(の)」および用語「水分散性(の)」を包含する。
本明細書中全体を通して、用語「水溶性(の)」は、等しい体積または重量での水と周囲温度で混合されたとき、均一な溶液が形成される材料を記載する。
本明細書中全体を通して、用語「水分散性(の)」は、等しい体積または重量での水と周囲温度で混合されたとき、均一な分散物を形成する物質を記載する。
本明細書全体を通して、語句「溶解速度」とは、物質が示されたように液体媒体に溶解する速度を表す。溶解速度は、本実施形態の文脈で、一定量の支持体材料が溶解するために要する時間によって決定することができる。測定された時間を本明細書では「溶解時間」という。
本明細書中において全体を通して、表現「重量パーセント」が支持体材料配合物の実施形態との関連で示されるときは常に、この用語により、本明細書中に記載されるような未硬化支持体材料配合物の総重量の重量パーセントが意味される。
表現「重量パーセント」はまた、本明細書中では「重量%」または「%wt.」と示される。
本明細書全体を通して、用語「親水性」は、一般的に水素結合を通して水分子との結合の一時的な形成を担う化合物又は化合物の一部(例えば化合物中の化学基)の物理的特性を記載する。
親水性化合物又は化合物の一部(例えば化合物中の化学基)は、一般的に電荷分極されかつ水素結合することができるものである。
親水性化合物又は基は、一般的に、水分子と強い水素結合を形成する一つ以上の電子供与ヘテロ原子を含む。かかるヘテロ原子は、限定されないが、水素及び窒素を含む。好ましくは、親水性化合物又は基中の炭素原子の数とヘテロ原子の数の比は、10:1又はそれより小さく、例えば8:1、より好ましくは7:1、6:1、5:1又は4:1又はそれより小さい。化合物及び基の親水性はまた、化合物又は化学基中の疎水性と親水性部分の間の比からもたらされ、上で示した比のみに依存しないことに注意すべきである。
親水性化合物は、油又は他の疎水性溶媒中より水中において容易に溶解する。親水性化合物は、例えばLogPが50℃未満又は40℃未満又は35℃未満又は30℃未満、例えば25℃の温度でオクタノール及び水相で決定されるとき、0.5未満のLogPを有するものとして決定されることができる。
あるいは、親水性化合物は、例えば50℃より低い、又は40℃より低い、又は35℃より低い、又は30℃より低い、例えば25℃の温度で、溶媒としての水との相互作用に対して計算されるとき、1より高い相対エネルギー距離(RED)を有するものとして、ハンセンパラメーターによって決定されることができる。
親水性化合物は、化合物を親水性にする一つ以上の親水性基を有することができる。かかる親水性基は、一般的に極性基であり、それは、水素及び窒素のような一つ以上の電子供与ヘテロ原子を含む。親水性基は、例えばモノマー単官能硬化性材料の一つ以上の置換基又はオリゴマー単官能硬化性材料の二つ以上の置換基もしくは中断基であることができる。親水性基は、例えばモノマー多官能硬化性材料の一つ以上の置換基又はモノマー多官能硬化性部分の連結部分の一つ以上の置換基もしくは中断基であることができる。親水性基は、例えばオリゴマー多官能硬化性材料中のオリゴマー連結部分の二つ以上の置換基又は中断基であることができる。
例示的な親水性基は、限定されないが、電子供与ヘテロ原子、カルボキシレート、チオカルボキシレート、オキソ(=O)、線状アミド、ヒドロキシ、(C1-4)アルコキシ、(C1-4)アルコール、ヘテロ脂環式(例えば本明細書に規定されたような炭素原子対ヘテロ原子の比を持つ)、ラクトンのような環状カルボキシレート、ラクタムのような環状アミド、カルバメート、チオカルバメート、シアヌレート、イソシアヌレート、チオシアヌレート、ウレア、チオウレア、アルキレングリコール(例えばエチレングリコール又はプロピレングリコール)、及び親水性ポリマー又はオリゴマー部分(これらの用語は、以下に規定される)、及びそれらの組み合わせ(例えば示された親水性基の二つ以上を含む親水性基)を含む。
一部の実施形態では、親水性基は、電子供与ヘテロ原子、カルボキシレート、ヘテロ脂環式、アルキレングリコール、及び/又は親水性オリゴマー部分であるか、又はそれらを含む。
本明細書で使用される親水性ポリマー又はオリゴマー部分は、本明細書に規定される親水性基を含むポリマー鎖を含む。親水性基は、例えばポリ(アルキレングリコール)又は親水性ペンダント基のようにポリマー部分の主鎖内のヘテロ原子であることができる。本発明の一部の実施形態によるポリマー又はオリゴマー部分は、好ましくは10~40の繰り返し主鎖単位、より好ましくは10~20の繰り返し主鎖単位を有する。
本発明の一部の実施形態による親水性単官能硬化性材料は、以下の式Iによって表わされるビニル含有化合物であることができる:
R
1及びR
2の少なくとも一つは、本明細書に規定されるように、親水性基であるか、及び/又はそれを含む。
式I中の=CH2基は、重合可能な基を表わし、一般的に、UV硬化性基であり、従ってその材料は、UV硬化性材料である。
例えば、R1は、本明細書に規定されるような親水性基であり、R2は、非親水性基、例えば、化合物が本明細書に規定されるように親水性である限り、水素、C(1-4)アルキル、C(1-4)アルコキシ、又はいずれかの他の置換基である。
一部の実施形態では、R1は、カルボキシレート-C(=O)-OR′であり、R2は、水素である。これらの実施形態の一部では、R2は、メチルであり、化合物は、単官能メタクリレートモノマーである。他の実施形態では、R2は、親水性置換基、即ち本明細書に記載されるような親水性基であるか又はそれを含む置換基である。
これらの実施形態のいずれかの一部では、カルボキシレート基-C(=O)-OR′は、親水性基であるR′を含む。例示的なR′基は、限定されないが、ヘテロ脂環式基(モルフォリン、テトラヒドロフラン、オキサリジンなどのように5:1又はそれより低い炭素原子対電子供与ヘテロ原子の比を有する)、ヒドロキシル、(C1-4)アルコキシ、チオール、アルキレングリコール、又は本明細書に記載されるようなポリマー又はオリゴマー部分を含む。例示的なモノマー単官能アクリレートは、アクリロイルモルフォリン(ACMO)である。
一部の実施形態では、R1は、アミドであり、一部の実施形態では、それは、ラクタムのような環状アミドであり、化合物は、ビニルラクタムである。一部の実施形態では、R1は、ラクトンのような環状カルボキシレートであり、化合物は、ビニルラクトンである。
R1及びR2の一方又は両方がポリマー又はオリゴマー部分、例えば本明細書に規定されるように、親水性オリゴマー部分を含むとき、式Iの単官能硬化性化合物は、例示的なオリゴマー単官能硬化性材料である。そうでなければ、それは、例示的なモノマー単官能硬化性材料である。
例示的なオリゴマー単官能硬化性材料は、ポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート化ウレタンオリゴマー誘導体、モノ(メタ)アクリル化ポリオールオリゴマー、親水性置換基を有するモノ(メタ)アクリレート化オリゴマー、及びモノ(メタ)アクリレート化ポリエチレングリコール(例えばメトキシポリエチレングリコール)を含むが、これらに限定されない。(メタ)アクリレート化は、オリゴマー又はポリマーがアクリレート又はメタクリレート官能基を含むことを意味する。
一部の実施形態では、R1は、カルボキシレートであり、R′は、本明細書に記載されるように、ポリ(アルキレングリコール)である。例示的なかかる親水性単官能硬化性材料は、ヘキサ(エチレングリコール)アクリレート(6-PEA)である。
一部の実施形態では、R1は、本明細書に規定されるように、親水性ヘテロ脂環式基である。例示的なかかる親水性単官能硬化性材料は、ACMOである。
本発明の一部の実施形態による親水性多官能硬化性材料は、式IIによって表わされることができる:
式中、R
3,R
4及びR
5の各々は、独立して水素、C(1-4)アルキル、又は本明細書に規定されるような親水性基であり;
L
1,L
2及びL
3の各々は、独立して連結部分であるか、又は不存在であり;
P
1及びP
2の各々は、独立して本明細書に規定されるように親水性基であるか、又は不存在であり;
X
1,X
2及びX
3の各々は、独立してC(1-4)アルキル、又は本明細書に規定されるような親水性基であるか、又は不存在であり;
n,m及びkの各々は、0,1,2,3又は4であり、
但し、n+m+kは、少なくとも2であり、R
3,R
4,R
5,X
1,X
2,X
3,P
1及びP
2の少なくとも一つは、本明細書に規定されるように親水性基である。
X1,X2及びX3(存在するとき)の一つ、二つ又は全てがオキソである式IIの多官能硬化性材料は、多官能アクリレートであり、それは、上記のように、親水性基によってさらに置換されることができる。R3,R4及びR5(存在するとき)の一つ以上がメチルであるとき、硬化性材料は、多官能メタクリレートである。
X1,X2及びX3(存在するとき)の一つ、二つ又は全てがオキソである多官能硬化性材料は、アクリレートとメタクリレート官能部分の組み合わせを含むことができる。
一部の実施形態では、アクリレート又はメタクリレート多官能硬化性材料は、モノマーであり、従ってP1及びP2のいずれもポリマー又はオリゴマー部分でない。これらの実施形態の一部では、P1及びP2の一方又は両方は、本明細書に記載されるような親水性基、例えばアルキレングリコール又はいずれかの他の親水性連結基であり、又は本明細書に規定されるような短鎖(例えば1~6個の炭素原子を持つもの)の、置換又は非置換の炭化水素部分である。
一部の実施形態では、P1及びP2の一方又は両方は、本明細書に規定されるようなポリマー又はオリゴマー部分であり、硬化性化合物は、オリゴマー多官能硬化性材料、例えばX1,X2及び/又はX3に対して本明細書に記載されるようなオリゴマー多官能アクリレート又はメタクリレートである。P1及びP2の両方が存在するなら、L2は、例えばアルキル、シクロアルキル、アリール及びそれらのいずれかの組み合わせを含む炭化水素のような連結部分であることができる。例示的なかかる硬化性材料は、エトキシル化又はメトキシル化ポリエチレングリコールジアクリレート、及びエトキシル化ビスフェノールAジアクリレートを含む。
他の限定されない例は、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール-ポリエチレングリコールウレタンジアクリレート、及び部分的にアクリル化されたポリオールオリゴマーを含む。
一部の実施形態では、P1及びP2のうちの一つ以上は、本明細書に規定されるようなポリ(アルキレングリコール)部分であるか、又はそれを含む。
式IIのアクリレート又はメタクリレート多官能硬化性材料の実施形態のいずれかの一部では、R3,R4及びR5の一つ以上は、例えば本明細書において式I中のR1及びR2に対して記載されるように親水性基である。これらの実施形態では、P1及び/又はP2は、存在しても存在しなくてもよく、親水性基であるか、又はそれを含むか、又は材料が本明細書において規定されるように親水性である限り、親水性基を含まないようにすることができる。
あるいは、X1,X2及びX3(存在するとき)の一つ、二つ又は全ては、多官能硬化性材料中の少なくとも一つの官能部分がビニルエーテルであるように、-O-であることができる。
一部の実施形態では、n及びmは、各々1であり、kは、0であり、X1は、Oであり、X2は、存在せず、化合物は、ビニルエーテルであり、それは、置換されてもされなくてもよい。これらの実施形態の一部では、L1,L2,L3,P1及びP2は、存在せず、化合物は、モノマービニルエーテルである。モノマービニルエーテルの例は、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルなどを含む。
一部の実施形態では、P1及びP2は、存在せず、L1及びL2の一つは、一つ以上の親水性基によって置換されるアルキレン鎖である。例示的なかかる硬化性化合物は、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルである。
一部の実施形態では、P1及びP2の一つ以上は、本明細書に規定されるように、親水性ポリマー又はオリゴマー部分である。一部の実施形態では、P1及びP2の一つ以上は、本明細書に規定されるように、ポリ(アルキレングリコール)部分であるか、又はそれを含む。一部の実施形態では、ポリマー部分は、一つ以上のビニルエーテル置換基によって置換される。
式IIに関する実施形態のいずれかの一部では、重合可能な基R3,R4及びR5の置換基の一つ以上は、本明細書中の式IのR1及びR2について記載されるように親水性基であることができる。
式IIに関する実施形態のいずれかの一部では、P1及びP2がポリマー又はオリゴマー部分であるとき、この部分は、主鎖の中で本明細書に規定されるように親水性ヘテロ原子を含むことができ、又は主鎖は、本明細書に記載されるように、親水性基によって置換されることができる。
例示的な実施形態では、多官能親水性硬化性材料は、多官能ポリエーテルウレタンジ又はトリアクリレートであり、一部の実施形態では、かかる硬化性材料は、アミン基をさらに具備する。例示的なかかる材料は、CN550としてSartomerによって販売される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、親水性硬化性材料の各々は、例えばそれぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されるように、モノマー又はオリゴマー、単官能又は多官能、アクリレート又はメタクリレートである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、本明細書に記載されるような親水性硬化性材料は、水溶性又は水混和性である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、本明細書に記載されるような親水性硬化性材料はまた、本明細書では極性硬化性材料として言及される。
本実施形態の文脈において使用可能な追加の硬化性材料は、例えば公開No.としてWO2016/142947,WO2017/029657、及びWO2017/122211を持つPCT国際特許出願に記載されており、それらは、本明細書中に完全に述べられているかのように参考として組み入れられる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、親水性硬化性材料は、それ自体で(つまり、追加の硬化性又は非硬化性材料なしで)硬化されたとき、本明細書に規定されるように、水溶液に溶解可能又は膨潤可能である材料を与えるようなものである。本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、親水性硬化性材料は、それ自体で硬化されたとき、本明細書に規定されるように、水溶液に溶解可能である材料を与えるようなものである。例示的なかかる材料は、ACMOである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、硬化性材料は、それ自体で(つまり、追加の硬化性又は非硬化性材料なしで)硬化されたとき、水不溶性(本明細書に規定されるように、水溶性又は水混和性でない材料)である材料を与える。例示的なかかる材料は、6-PEAである。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、支持体材料配合物は、硬化性モノマーに加えて、一種以上の水混和性材料を含み、それらは、支持体材料配合物に一般に使用される水混和性ポリマー材料のいずれかであることができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、水混和性材料は、非硬化性(本明細書では「非反応性」としても言及される)である。用語「非硬化性」は、いかなる条件でも重合可能でないポリマー材料、又は本明細書に記載されるような単官能モノマーが硬化可能である条件下でもしくは本実施形態に従って物体の製作に使用されるいかなる条件でも非硬化性であるポリマー材料を包含する。かかる材料は、一般的に重合可能な基又はUV光重合可能な基を欠いている。一部の実施形態では、材料は、本明細書に記載されるように硬化可能なモノマーに対して非反応性である。即ち、それは、モノマーと反応せず、硬化条件を含む製作条件下でモノマーの硬化に干渉できない。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、非硬化性材料は、本明細書に規定されるように、水溶性又は水分散性又は水混和性のポリマー材料である。
一部の実施形態では、非硬化性材料は、ポリマーの主鎖内に又はペンダント基として、本明細書に規定されるように複数の親水性基を含むポリマー材料である。例示的なかかるポリマー材料は、ポリオールである。一部の代表例は、Polyol 3165、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール、ポリグリム、これらのポリマーのエトキシル化形態、パラフィン油など、及びそれらのいずれかの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、親水性ポリマー非硬化性材料は、400~2000グラム/mol又は400~1200グラム/molの分子量を有し、それは、いずれかの中間値及びそれらの間の下位範囲を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、支持体材料配合物は、例えばプロパンジオール(例えば1,2-プロパンジオール、本明細書及び業界ではプロピレングリコールとしても言及される)、プロパントリオール、グリセロール、ブチルジグリム(ブチルジグリコールアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、2-(2-ブトキシエトキシ)エチルアセテート)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(BDG)、(EDGAc)ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(EDGAc;DGMEA)、ジ(エチレングリコール)エチルエーテル(DEGEE)、トリ(プロピレングリコール)メチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGME)、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテルアセテート(DPGMEA)、プロピレンカーボネート(1,2-プロパンジオール環状カーボネート、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン)、ジエチレングリコールメチルエーテル(DGME)、ジエチレングリコールメチルエーテル(TGMME)、1-メトキシ-2-プロパノール(PGME/PM;プロピレングリコールモノメチルエーテル)、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような水混和性非硬化性非ポリマー材料を含む。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、支持体材料配合物は、本明細書に記載される二種以上のポリマー及び非ポリマーの水混和性非硬化性材料の混合物を含む水混和性非硬化性材料を含む。例示的なかかる混合物は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパントリオール、プロパンジオール、プロピレンカーボネート、及びPolyol 3165のようなポリオールの二種以上を含むことができる。
本明細書で使用される用語「非硬化性材料」は、水を包含しない。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、本明細書に記載された支持体材料配合物を構成する硬化性及び非硬化性の材料は、非硬化性材料に対する又は非硬化性材料と水(もし存在するなら)の混合物に対する硬化性材料から形成された硬化材料の膨潤能力が少なくとも70%又は少なくとも80%又は少なくとも100%であるように選択される。
「膨潤能力」は、硬化された材料が、その膨潤前の重量の、非硬化性材料又はそれと水の混合物の示された重量百分率割合を膨潤することができることを意味する。例えば、100gの重さを有しかつ120%の膨潤能力を有する硬化材料は、非硬化性材料又はそれと水の混合物の120グラムを膨潤することができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、少なくとも一種の非硬化性材料は、少なくとも一種のプロピレングリコール部分又はプロピレンカーボネート部分を含む。かかる非硬化性材料は、ポリマー又は非ポリマー材料であり、限定されない例として、プロピレングリコール、プロピレンカーボネート、トリ(プロピレングリコール)メチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGME)、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテルアセテート(DPGMEA)、プロピレンカーボネート(1,2-プロパンジオール環状カーボネート、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オン)、ジエチレングリコールメチルエーテル(DGME)、ジエチレングリコールメチルエーテル(TGMME)、1-メトキシ-2-プロパノール(PGME/PM;プロピレングリコールモノメチルエーテル)、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような非ポリマー材料、及びポリマー材料としてポリプロピレングリコールを含むことができる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、配合物は、プロピレングリコール又はプロピレンカーボネート部分を含む一種の非硬化性材料を含み、一部の実施形態では、配合物は、二種以上のかかる非硬化性材料、例えばポリプロピレングリコールと、上で例示したように一種以上のプロピレングリコール部分を含む一種以上の非ポリマー材料の混合物を含む。
それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書中に記載されるような支持体材料配合物はさらに、追加の薬剤、例えば、開始剤、抑制剤および安定剤などを含むことができる。
本明細書中に記載される実施形態のいずれかの一部、及びそれらのいずれかの組み合わせでは、支持体材料配合物はさらに、硬化エネルギーまたは硬化条件にさらされたときに硬化性材料の重合を誘導するための開始剤を含む。
これらの実施形態の一部において、硬化性材料の一種以上又は全てがUV硬化性材料であり、開始剤が光開始剤である。
光開始剤は、フリーラジカル光開始剤、カチオン性光開始剤、または、それらのいずれかの組み合わせであることが可能である。
フリーラジカル光開始剤は、放射線(例えば、紫外線または可視光など)にさらされるとフリーラジカルを生成し、それによって重合反応を開始させる化合物であれば、どのような化合物であってもよい。好適な光開始剤の限定されない例には、フェニルケトン系化合物、例えば、アルキル/シクロアルキルフェニルケトンなど;ベンゾフェノン系化合物(芳香族ケトン)、例えば、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、ミヒラーのケトンおよびキサントン系化合物など;アシルホスフィンオキシド型光開始剤、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(TMPO)、2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド(TEPO)およびビスアシルホスフィンオキシド(BAPO)など;ベンゾイン系化合物およびベンゾインアルキルエーテル、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルなどが含まれる。光開始剤の例として、アルファ-アミノケトンおよび1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、Igracure(登録商標)184として市販されるもの)が挙げられる。
フリーラジカル光開始剤は、単独で、または共開始剤との組合せで使用されることができる。共開始剤は、UV系において活性であるラジカルを生成させるために第2の分子を必要とする開始剤と一緒に使用される。ベンゾフェノンが、硬化性ラジカルを生成させるために第2の分子(例えば、アミンなど)を必要とする光開始剤の一例である。放射線を吸収した後、ベンゾフェノンは水素引き抜きによって第三級アミンと反応して、アクリレート系化合物の重合を開始させるアルファ-アミノラジカルを生成する。共開始剤の種類の限定されない例として、アルカノールアミン、例えば、トリエチルアミン、メチルジエタノールアミンおよびトリエタノールアミンなどが挙げられる。
好適なカチオン性光開始剤には、例えば、重合を開始させるために十分である紫外光および/または可視光にさらされたときに非プロトン酸またはブレンステッド酸を形成する化合物が含まれる。使用される光開始剤は、単一種の化合物、2種以上の活性化合物の混合物、または2種以上の異なる化合物(すなわち、共開始剤)の組合せである場合がある。好適なカチオン性光開始剤の限定されない例には、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩およびトリアリールセレノニウム塩などが含まれる。例示的なカチオン性光開始剤は、トリアリールソルホニウム(triarylsolfonium)ヘキサフルオロアンチモナート塩の混合物である。
本明細書中に記載される実施形態のいずれかの一部では、未硬化支持体材料配合物はさらに、作製プロセスにおいて有益に使用される1種以上の追加の薬剤を含むことができる。そのような薬剤には、例えば、表面活性剤、抑制剤および安定剤が含まれる。
一部の実施形態では、本明細書中に記載されるような支持体材料配合物は、表面活性剤を含む。表面活性剤は、配合物の表面張力を、噴射のために、または他の印刷プロセスのために必要とされる値(これは典型的には30dyne/cm前後である)にまで低下させるために使用されることができる。例示的なそのような薬剤は、シリコーン系表面添加剤であり、例えば、限定されないが、BYK-345として市販される表面剤などである。
一部の実施形態では、本明細書中に記載されるような支持体材料配合物はさらに、作製プロセスの期間中で、かつ、硬化性配合物が硬化条件に供される前での硬化性材料の事前の重合を抑制する抑制剤を含む。例示的な安定剤(抑制剤)は、トリス(N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩(NPAL)(例えば、FirstCure(登録商標)NPALで市販されるもの)である。
好適な安定剤には、例えば、高温で配合物を安定させる熱安定剤が含まれる。
本明細書中に記載される実施形態のいずれかの一部において、支持体材料配合物は、シリコンポリエーテルを含まない。
例示的な支持体材料配合物:
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、本明細書に記載される配合物は、硬化されたとき、攪拌又は攪乱なしで、及び水噴射のような機械手段の適用なしで、室温で、水又はいずれかの他の中性水溶液に本明細書に規定されるように接触すると溶解可能である材料(例えば支持体材料)を与える。かかる配合物はまた、本明細書では水に溶解可能(可溶性)である硬化された材料を与えるものとして言及される。
例示的な実施形態では、かかる配合物から形成された硬化材料(即ち、水に溶解可能である硬化材料)は、硬化材料の少なくとも80重量%が24時間未満又は12時間未満又は6時間未満又は4時間未満で、任意選択的に撹拌又はいずれかの他の水循環なしで、室温で水に接触すると溶解するようなものである。
例示的な実施形態では、かかる配合物から形成された硬化材料は、図5に与えられるような溶解プロファイルを示し、以下の実施例の部分でさらに記載される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、本明細書に記載される配合物は、硬化されたとき、攪拌又は攪乱なしで、及び水噴射のような機械手段の適用なしで、室温で、水又はいずれかの他の中性水溶液に本明細書に規定されるように接触しても溶解可能でない材料(例えば支持体材料)を与える。かかる配合物はまた、本明細書では水に溶解可能でない硬化材料を与えるものとして言及される。
例示的な実施形態では、かかる配合物から形成された硬化材料(即ち、水に溶解可能でない硬化材料)は、硬化材料の80重量%未満又は50重量%未満又は30重量%未満又は20重量%未満が24時間未満又は12時間未満又は6時間未満又は4時間未満で、任意選択的に撹拌又はいずれかの他の水循環なしで、室温で水に接触すると溶解するようなものである。
これらの実施形態の一部では、本明細書に記載される配合物は、硬化されたとき、水噴射又は他の機械手段(例えば付加製造において支持体材料を除去するために一般に実践される機械手段)の適用なしで、室温で、水又はいずれかの他の中性水溶液と、本明細書に規定されるように接触すると溶解可能である材料を与える。
例示的な実施形態では、かかる配合物から形成された硬化材料(即ち、水に溶解可能である硬化材料)は、硬化材料の少なくとも80重量%が24時間未満又は12時間未満又は6時間未満又は4時間未満で、水噴射又は他の機械手段の適用で溶解するようなものである。
これらの実施形態の一部では、本明細書に記載される配合物は、硬化されたとき、本明細書に規定されるように、水噴射又はいずれかの他の機械手段の適用あり又はなしで、室温で、アルカリ性水溶液と、本明細書に規定されるように、接触すると溶解可能である材料を与える。
例示的な実施形態では、かかる配合物から形成された硬化材料(即ち、水に溶解可能である硬化材料)は、硬化材料の少なくとも80重量%が24時間未満又は12時間未満又は6時間未満又は4時間未満で、室温でアルカリ性水溶液に接触すると溶解するようなものである。本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、支持体材料配合物は、硬化されたとき、本明細書に規定されるように、水に溶解可能である材料を与える。
これらの実施形態のいずれかの一部では、例示的な支持体材料配合物は、以下のものを含む:
配合物の全重量の20~25重量%の量の、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されるような少なくとも一種の硬化性材料;
配合物の全重量の40~60重量%の量の、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されるような少なくとも一種の非硬化性材料;及び
配合物の全重量の20~40重量%の量の水。
これらの実施形態の一部では、硬化性材料は、それ自体で硬化されたとき、水に溶解可能でない材料(例えば6-PEAのようなポリ(アルキレングリコール)アクリレート)を与える。
これらの実施形態の一部では、非硬化性材料は、プロピレングリコールを含み、一部の実施形態では、プロピレングリコールの量は、配合物の全重量の少なくとも30重量%である。
これらの実施形態のいずれかの一部では、非硬化性材料は、二種以上の非硬化性材料の混合物を含み、一部の実施形態では、それは、プロピレングリコールと追加の硬化性材料の混合物を含む。これらの実施形態の一部では、追加の硬化性材料は、本明細書に記載されるように、非ポリマー硬化性材料である。
これらの実施形態の一部では、少なくとも一種の硬化性材料は、ポリ(アルキレングリコール)アクリレート(例えば6-PEA)を含み、少なくとも一種の硬化性材料は、少なくとも30重量%の量でプロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)を含む(例えばプロピレングリコールとグリセロールの混合物)。
これらの実施形態のいずれかの一部では、光開始剤の量は、配合物の全重量の2重量%未満又は1.5重量%未満又は1重量%未満、例えば0.1~0.5重量%の範囲である。
本明細書に規定されるように水に溶解可能でない硬化材料を与える配合物について本明細書に記載される実施形態のいずれかの一部では、例示的な支持体材料配合物は、以下のものを含む:
配合物の全重量の25~30重量%の量の少なくとも一種の硬化性材料;及び
配合物の全重量の60~80重量%の量の少なくとも一種の非硬化性材料。
これらの実施形態の一部では、硬化性材料は、それ自体で硬化されたとき、水に溶解可能でない材料を与える少なくとも一種の硬化性材料を含む(例えば6-PEAのようなポリ(アルキレングリコール)アクリレート)。
これらの実施形態の一部では、少なくとも一種の硬化性材料は、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されるように単官能親水性硬化性材料(例えばポリ(アルキレングリコール)アクリレート)と多官能親水性硬化性材料の混合物を含む。
これらの実施形態の一部では、単官能と多官能の硬化性材料の重量比は、2:1~5:1の範囲であり、例えば2:1,3:1,4:1,5:1,5:2又は3:2であることができる。一部の実施形態では、重量比は、5:2である。
これらの実施形態の一部では、非硬化性材料は、プロピレンカーボネートを含み、一部の実施形態では、プロピレンカーボネートの量は、配合物の全重量の少なくとも40重量%である。
これらの実施形態のいずれかの一部では、非硬化性材料は、二種以上の非硬化性材料を含み、一部の実施形態では、それは、プロピレンカーボネートと追加の非硬化性材料の混合物を含む。これらの実施形態の一部では、追加の非硬化性材料は、本明細書に記載されるように、ポリマー非硬化性材料である。
これらの実施形態の一部では、非硬化性材料は、プロピレンカーボネートとポリオールの混合物を1:1~3:1(例えば2:1)の範囲の重量比で含む。
これらの実施形態の一部では、光開始剤の量は、配合物の全重量の1~3重量%の範囲である。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、支持体材料配合物は、硬化されたとき、本明細書に規定されるように、水に溶解可能である材料を与える。
これらの実施形態の一部では、硬化性材料は、それ自体で硬化されたとき、本明細書に規定されるように、水に溶解可能である材料を与える。
これらの実施形態のいずれかの一部では、例示的な支持体材料配合物は、以下のものを含む:
配合物の全重量の25~30重量%の量の本明細書に記載されるような少なくとも一種の硬化性材料;及び
配合物の全重量の60~80重量%の量の少なくとも一種の非硬化性材料。
これらの実施形態の一部では、硬化性材料は、単官能硬化性材料、例えばACMOだけを含む。
これらの実施形態の一部では、非硬化性材料は、ポリプロピレングリコールのようなポリマー非硬化性材料と、硬化性材料から形成された硬化材料の溶解性を高める追加の非硬化性材料の混合物を含む。かかる追加の非硬化性材料は、例えば本明細書に記載されるような非ポリマー硬化性材料であることができ、例えば非ポリマー硬化性材料は、DPGMEA又は同種材料のように、本明細書に記載されるような一種以上のプロピレングリコール部分を含む。
これらの実施形態のいずれかの一部では、プロピレングリコールは、400~1000又は400~800又は600グラム/molの範囲の分子量を有する。
これらの実施形態のいずれかの一部では、ポリマー及び非ポリマーの非硬化性材料の重量比は、3:1~1:1の範囲であり、例えば3:1,4:3,3:2,2:1,5:2であることができる。
これらの実施形態のいずれかの一部では、ポリマー硬化性材料(例えばポリプロピレングリコール)の量は、配合物の全重量の少なくとも30重量%である。
これらの実施形態のいずれかの一部では、光開始剤の量は、配合物の全重量の1~3重量%の範囲である。
キット:
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、それぞれの実施形態のいずれか及びそれらのいずれかの組み合わせにおいて本明細書に記載されるように、支持体材料配合物を含むキットが提供される。
一部の実施形態では、配合物は、本明細書に記載されるような光開始剤をさらに含み、これらの実施形態の一部では、光開始剤は、配合物の他の成分から分離して、キット内に個々に包装される。
例示的な実施形態では、配合物は、好適な包装材料、好ましくは不透過性材料(例えば水及び気体不透過性材料)、さらに好ましくは不透明材料でキット内に包装される。一部の実施形態では、キットは、付加製造プロセス、好ましくは本明細書に記載されるような3Dインクジェット印刷プロセスで、支持体材料配合物として配合物を使用する指示をさらに含む。キットは、本明細書に記載された方法に従ってプロセス中に配合物を使用する指示をさらに含むことができる。
キットはさらに、造形用材料配合物、又は造形用材料配合物と組み合わせて支持体材料配合物を使用する指示を含むことができる。
造形用材料配合物は、3Dインクジェット印刷のような付加製造に使用可能ないかなる造形用材料配合物であることもでき、支持体材料配合物が硬化可能である同じ条件下で硬化可能であることが好ましい。
一部の実施形態では、造形用材料配合物は、35℃の温度で、50cPs以下又は40cPs以下又は30cPs以下又は20cPs以下の粘度を具備する。
一部の実施形態では、造形用材料配合物は、米国仮特許出願No.62/612466に記載されるようなものである。
造形物製作:
本発明の一部の実施形態の態様によれば、本明細書に記載されるような支持体材料配合物を利用する、三次元造形物体を製作する方法が提供される。この方法はまた、本明細書では製作方法(プロセス)として又は造形物製作方法(プロセス)として言及される。一部の実施形態では、この方法は、物体の形状に対応する構成パターンで複数の層を逐次形成するように未硬化構築材料を吐出することを含む。一部の実施形態では、(未硬化)構築材料は、それぞれの実施形態のいずれかにおいて本明細書に記載されるように造形用材料配合物及び支持体材料配合物を含む。
造形用材料配合物は、3Dインクジェット印刷のような付加製造に使用可能ないかなる造形用材料配合物であることもでき、支持体材料配合物が硬化可能である同じ条件下で硬化可能であることが好ましい。
一部の実施形態では、造形用材料配合物は、35℃の温度で、50cPs以下又は40cPs以下又は30cPs以下又は20cPs以下の粘度を具備する。
一部の実施形態では、造形用材料配合物は、米国仮特許出願No.62/612466に記載されるようなものである。
支持体材料配合物は、それぞれの実施形態のいずれか及びそれらのいずれかの組み合わせにおいて本明細書に記載されている。
本発明の一部の実施形態によれば、製作方法は、三次元造形物体の付加製造である。
この態様の一部の実施形態によれば、各層の形成は、少なくとも一種の未硬化構築材料を吐出し、吐出された構築材料を硬化エネルギー又は硬化条件に露出し、それによって硬化された造形用材料及び硬化された支持体材料からなる硬化された構築材料を形成することによって実施される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、付加製造は、三次元インクジェット印刷によることが好ましい。
本実施形態の方法は、物体の形状に対応する構成パターンで複数の層を形成することによって層状に三次元物体を製造する。
各層は、二次元表面を走査してそれをパターン化する付加製造装置によって形成される。走査中に、装置は、二次元の層または表面上の複数の目標位置を訪れ、各目標位置または1群の目標位置について、目標位置または目標位置群が構築材料によって占有されるべきか否か、かつどのタイプの構築材料(例えば造形用材料配合物又は支持体材料配合物)をそこに送達すべきかを決定する。決定は、表面のコンピュータ画像に従って行われる。
AMが三次元印刷によるとき、本明細書に規定されるような未硬化構築材料は、支持体構造の上に層で構築材料を吐出するために一組のノズルを有する吐出ヘッドから吐出される。従って、AM装置は、占有されることになるターゲット位置に構築材料を吐出し、他のターゲット位置を空隙のままにする。装置は、一般的に複数の吐出ヘッドを含み、それらの各々は、異なる構築材料を吐出するように構成されることができる。従って、異なるターゲット位置は、異なる構築材料(例えば本明細書に規定されるような造形用配合物及び/又は支持体配合物)によって占有されることができる。
本発明の一部の実施形態による、物体112のAMに適したシステム110の代表的かつ非限定的実施例を、図1Aに示す。システム110は、複数の吐出ヘッドを含む吐出ユニット16を有する付加製造装置114を備える。各ヘッドは、下述する図2A~図2Cに示すように、1つ以上のノズル122のアレイを含み、それを通して液状構築材料124が吐出されることが好ましい。
本発明の一部の実施形態によれば、装置114は、35℃を越えない温度で操作する。
装置114は、三次元インクジェット印刷装置であることが好ましいが、必須ではない。その場合、吐出ヘッドは、印刷ヘッドであり、構築材料は、一つ以上のノズルアレイを有する印刷ヘッドからインクジェット技術によって吐出され、支持構造の上に構築材料配合物を層状に吐出する。一部の用途によっては、付加製造装置は、三次元印刷技術を採用する必要がない場合があるので、これは必ずしもその通りである必要はない。本発明の様々な例示的実施形態に従って構想される付加製造装置の代表的実施例は、熱溶解積層造形装置および熱溶解材料堆積装置を含むが、それらに限定されない。
各吐出ヘッドは、任意選択的にかつ好ましくは構築材料配合物リザーバを介して供給され、リザーバは、任意選択的に、温度制御ユニット(例えば温度センサおよび/または加熱装置)および材料レベルセンサを含んでもよい。一部の実施形態では、温度制御ユニットは、45℃、40℃又は35℃を越えないように構成される。構築材料を吐出するために、例えば圧電式インクジェット印刷技術の場合のように、吐出ヘッドノズルを介して材料の液滴が選択的に堆積されるように、電圧信号が吐出ヘッドに印加される。各ヘッドの吐出率は、ノズル又はノズルアレイの個数、ノズルの種類、および印加電圧の信号レート(周波数)に依存する。そのような吐出ヘッドは、立体自由造形の当業者には知られている。
吐出ノズルまたはノズルアレイの総数は、吐出ノズルの半数が支持体材料を吐出するように設計され、かつ吐出ノズルの半数が造形用材料を吐出するように設計され、すなわち造形用材料を噴出するノズルの個数が支持体材料を噴出するノズルの個数と同数になるように、選択されることが好ましいが、必須ではない。図1Aの代表的実施例には4つの吐出ヘッド16a、16b、16c、および16dが示される。ヘッド16a、16b、16c、および16dの各々がノズルアレイを有する。この実施例では、ヘッド16aおよび16bは造形用材料用に設計することができ、ヘッド16cおよび16dは支持体材料用に設計することができる。こうして、ヘッド16aは第一造形用材料を吐出することができ、ヘッド16bは第二造形用材料を吐出することができ、ヘッド16cおよび16dは両方とも支持体材料を吐出することができる。代替的実施形態では、例えばヘッド16cおよび16dは、支持体材料を吐出するための2つのノズルアレイを有する単一のヘッドに組み合わされてよい。さらなる代替実施形態では、いかなる一つ以上の印刷ヘッドも一種より多い材料配合物を吐出するために一つより多いノズルアレイ、例えば二つの異なる造形用材料配合物又は一つの造形用材料配合物及び支持体材料配合物を吐出するための二つのノズルアレイであって、各配合物が異なるアレイ又は数のノズルを介するものを持つことができる。
それにも関わらず、それは本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、造形用材料印刷ヘッド(造形用ヘッド)の個数および支持体材料印刷ヘッド(支持体用ヘッド)の個数は異なってもよいことを理解されたい。一般的に、それぞれのアレイにおいて、造形用材料配合物を吐出するノズルのアレイの個数、支持体材料配合物を吐出するノズルのアレイの個数、及びノズルの個数は、支持体材料配合物の最大吐出率と造形用材料配合物の最大吐出率との間に所定の比率αがもたらされるように選択される。所定の比率αの値は、形成される各層における造形用材料の高さが支持体材料の高さに等しいことを確実にするように選択されることが好ましい。αの典型値は約0.6~約1.5である。
例えばα=1の場合、全てのノズルのアレイが作動しているときに、支持体材料の総吐出率は、造形用材料の総吐出率と略同一である。
例えば、装置114には、ノズルp個のアレイm個を各々有する造形用ヘッドM個、およびノズルq個のアレイs個を各々有する支持体用ヘッドS個が存在しうるので、M×m×p=S×s×qとなる。M×m個の造形用アレイおよびS×s個の支持体用アレイの各々は、別個の物理ユニットとして製造することができ、それをアレイ群に組み立てたり、そこから分解したりすることができる。この実施形態では、そのようなアレイの各々は、任意選択的にかつ好ましくは、それ自体の温度制御ユニットおよび材料配合物レベルセンサを含み、かつその動作のために個々に制御された電圧を受け取る。
一部の実施形態では、少なくとも二つ、三つのアレイの温度制御ユニットは、45℃又は40℃又は35℃を越えないように構成される。
装置114は、硬化装置324をさらに含むことができ、それは、堆積された材料を硬化させる光、熱などを放出するように構成された任意の装置を含むことができる。例えば硬化装置324は、1つ以上の放射源を含むことができ、それは、使用される造形用材料配合物に応じて、例えば紫外線もしくは可視光もしくは赤外線ランプ、または他の電磁放射源、または電子ビーム源とすることができる。本発明の一部の実施形態では、硬化装置324は、造形用材料を硬化または凝固させるように働く。
本明細書に使用される用語「吐出ヘッド」又は「堆積ヘッド」は、3Dインクジェット印刷のような3D印刷に使用可能な吐出ヘッドである印刷ヘッドを包含する。
吐出ヘッドおよび放射源は、作業面として働くトレイ360上を往復運動するように動作することが好ましいフレームまたはブロック128に取り付けられることが好ましい。本発明の一部の実施形態では、放射源は、吐出ヘッドによって吐出されたばかりの材料を少なくとも部分的に硬化または凝固するために、放射源が吐出ヘッドの後に追従するようにブロックに取り付けられる。トレイ360は水平に配置される。一般的な取決めに従って、X‐Y‐Zデカルト座標系はX‐Y面がトレイ360と平行になるように選択される。トレイ360は、垂直方向に(Z方向に沿って)、通常は下方に移動するように構成されることが好ましい。本発明の様々な例示的実施形態では、装置114は、1つ以上のレベリング装置132、例えばローラ326をさらに備える。レベリング装置326は、新たに形成された層の厚さを、その上に次の層が形成される前に矯正し、平準化し、かつ/または確立するように働く。レベリング装置326は、レベリング中に発生した余分な材料を回収するために、廃棄物回収装置136を含むことが好ましい。廃棄物回収装置136は、廃棄物タンクまたは廃棄物カートリッジに材料を送達する何らかの機構を含んでよい。廃棄物回収については後でさらに詳述する。
使用中に、ユニット16の吐出ヘッドは、本書ではX方向と呼ぶ走査方向に移動し、それらがトレイ360上を通過する過程で所定の構成に構築材料を選択的に吐出する。構築材料は通常、1種類以上の支持体材料および1種類以上の造形用材料を含む。ユニット16の吐出ヘッドの通過に続いて、放射源126による造形用材料の硬化が行われる。堆積されたばかりの層のためのヘッドの出発点に戻るヘッドの逆方向の通過中に、所定の構成に従って構築材料の追加吐出が実行されてよい。吐出ヘッドの順方向または逆方向の通過中に、こうして形成された層は、レベリング装置の順方向および/または逆方向の移動中に好ましくは吐出ヘッドの経路に従うレベリング装置326によって矯正される。吐出ヘッドがX方向に沿ってそれらの出発点に戻ると、吐出ヘッドは、本書ではY方向と呼ぶ割出し方向に沿って別の位置に移動し、X方向に沿った往復運動によって同じ層を構築し続けてよい。代替的に、吐出ヘッドは、順方向および逆方向の移動の間に、または2回以上の順方向‐逆方向移動の後に、Y方向に移動してよい。単一の層を完成させるために吐出ヘッドによって実行される一連の走査は、本書で単一走査サイクルと呼ばれる。
層が完成すると、次に印刷される層の所望の厚さに応じて、トレイ360は、Z方向に所定のZレベルまで下降する。この手順は、三次元物体112が層毎に形成されるように繰り返される。
別の実施形態では、トレイ360は、層内で、ユニット16の吐出ヘッドの順方向および逆方向の通過の間に、Z方向に変位されてよい。そのようなZ変位は、レベリング装置を1方向に表面と接触させ、かつ他の方向の接触を防止するために実行される。
システム110は、任意選択的にかつ好ましくは、構築材料容器またはカートリッジを含みかつ複数の構築材料を製造装置114に供給する構築材料供給システム330を備える。
制御ユニット152は、製造(例えば印刷)装置114および任意選択的にかつ好ましくは供給システム330をも制御する。制御ユニット152は通常、制御動作を実行するように構成された電子回路を含む。制御ユニット152は、コンピュータ物体データ、例えば標準テッセレーション言語(STL)フォーマットなどの形式でコンピュータ可読媒体に表されたCAD構成に基づいて、製作命令に関するデジタルデータを送信するデータプロセッサ154と通信することが好ましい。通常、制御ユニット152は、本明細書に記載されるように、各吐出ヘッドまたはノズルアレイに印加される電圧、およびそれぞれの印刷ヘッド又はそれぞれのノズルアレイの構築材料の温度を制御する。
本発明の一部の実施形態によれば、制御ユニット152は、構築材料(未硬化)の温度が40℃又は35℃を越えないように操作される。
製造データが制御ユニット152にロードされると、制御ユニットは、ユーザの介入なしに動作することができる。一部の実施形態では、制御ユニット152は、例えばデータプロセッサ154を用いて、あるいはユニット152と通信するユーザインタフェース116を用いて、オペレータから追加の入力を受信する。ユーザインタフェース116は、例えばキーボード、タッチスクリーンなど、しかしそれらに限らず、当業界で公知の任意の種類とすることができる。例えば制御ユニット152は、追加の入力として、1つ以上の構築材料の種類および/または属性、例えば色、特性歪み、および/または転移温度、粘度、電気特性、磁気特性などを受信することができるが、それらに限定されない。他の属性および属性群も考えられる。
本発明の一部の実施形態に係る物体のAMに適したシステム10の別の代表的かつ非限定的実施例を図1B~図1Dに示す。図1B~図1Dは、システム10の上面図(図1B)、側面図(図1C)、および等角図(図1D)を示す。
本実施形態では、システム10は、トレイ12と、各々が一つ以上の複数の分離したノズルを持つ一つ以上のノズルアレイを有する複数のインクジェット印刷ヘッド16とを備える。トレイ12は、円板の形状を有することができ、あるいは環状とすることができる。垂直軸線を中心に回転することができることを前提として、非円形の形状も考えられる。印刷ヘッド16は、システム110に対して上記の印刷ヘッドのいずれかであることができる。
トレイ12およびヘッド16は、任意選択的にかつ好ましくは、トレイ12とヘッド16との間の相対的回転運動ができるように取り付けられる。これは、(i)トレイ12がヘッド16に対して垂直軸線14を中心に回転するようにトレイを構成することによって、(ii)ヘッド16がトレイ12に対して垂直軸線14を中心に回転するようにヘッドを構成することによって、または(iii)トレイ12およびヘッド16の両方が垂直軸線14を中心に、しかし異なる回転速度で回転(例えば逆方向に回転)するように構成することによって、達成することができる。以下の実施形態は、トレイが、ヘッド16に対して垂直軸線14を中心に回転するように構成された回転トレイである構成(i)を特に重点的に記載するが、本願は構成(ii)および(iii)をも企図していることを理解されたい。本書に記載する実施形態はいずれも、構成(ii)および(iii)のいずれかに適用できるように調整することができ、本書に記載する詳細を前提として、そのような調整をどのように行うかが当業者には分かるであろう。
以下の説明では、トレイ12と平行で軸線14から外向きの方向を半径方向rと呼び、トレイ12と平行で半径方向rに垂直な方向をここでは方位角方向φと呼び、トレイ12に直角な方向をここでは垂直方向zと呼ぶ。
本書で使用する用語「半径方向位置」とは、軸線14から特定の距離にあるトレイ12上またはトレイ12より上の位置を指す。この用語が印刷ヘッドに関連して使用される場合、この用語は、軸線14から特定の距離にあるヘッドの位置を指す。この用語がトレイ12上の点に関連して使用される場合、この用語は、半径が軸線14から特定の距離にあってその中心が軸線14にある円を描く点の軌跡に属する任意の点に対応する。
本書で使用する用語「方位角位置」は、所定の基準点に対して特定の方位角にあるトレイ12上またはトレイ12より上の位置を指す。したがって、半径方向位置は、基準点に対して特定の方位角を形成する直線を描く点の軌跡に属する任意の点を指す。
本書で使用する用語「垂直位置」は、特定の点で垂直軸線14と交差する面全体の位置を指す。
トレイ12は、三次元印刷のための支持体構造として働く。1つ以上の物体が印刷される作業領域は通常、トレイ12の総面積より小さいが、必ずしもそうである必要はない。本発明の一部の実施形態では、作業領域は、環状である。作業領域は、符号26で示される。本発明の一部の実施形態では、トレイ12は、物体の形成中ずっと、同一方向に連続的に回転し、本発明の一部の実施形態では、トレイは、物体の形成中に少なくとも1回(例えば振動するように)回転方向を逆転する。トレイ12は、任意選択的にかつ好ましくは取外し可能である。トレイ12の取外しは、システム10の保守のために、あるいは希望する場合には、新しい物体を印刷する前にトレイを交換するために、行うことができる。本発明の一部の実施形態では、システム10には1つ以上の異なる交換トレイ(例えば交換トレイのキット)が提供され、2つ以上のトレイが異なる種類の物体(例えば異なる重量)、異なる動作モード(例えば異なる回転速度)等のために設計される。トレイ12の交換は希望通り手動または自動にすることができる。自動交換が採用された場合、システム10は、トレイ12をヘッド16の下にあるその位置から取り外して、それを交換トレイ(図示せず)と交換するように構成されたトレイ交換装置36を含む。図1Bの代表図では、トレイ交換装置36は、トレイ12を引っ張るように構成された可動アーム40を持つドライブ38として示されるが、他の種類のトレイ交換装置も考えられる。
印刷ヘッド16の例示的実施形態を図2A~図2Cに示す。これらの実施形態は、システム110およびシステム10を含め、それらに限らず、上述したAMシステムのいずれかに採用することができる。
図2A~図2Bは、1つ(図2A)および2つ(図2B)のノズルアレイ22を持つ印刷ヘッド16を示す。アレイにおけるノズルは直線に沿って線状に並ぶことが好ましい。特定の印刷ヘッドが2つ以上のリニア・ノズル・アレイを有する実施形態では、ノズルアレイは、任意選択的にかつ好ましくは、相互に平行にすることができる。印刷ヘッドが二つ以上のノズルアレイを持つとき(例えば図2B)、ヘッドの全てのアレイは、同じ構築材料配合物を供給されることができ、又は同じヘッドの少なくとも二つのアレイは、異なる構築材料配合物を供給されることができる。
システム110と同様のシステムが使用される場合、全ての印刷ヘッド16は、任意選択的にかつ好ましくは、走査方向に沿ったそれらの位置が互いにずらされ、割出し方向に沿って向き付けられる。
システム10と同様のシステムが使用される場合、全ての印刷ヘッド16は、任意選択的にかつ好ましくは、それらの方位角位置が互いにずらされ、放射状に(放射方向と平行に)向き付けられる。したがって、これらの実施形態では、異なる印刷ヘッドのノズルアレイは互いに平行ではなく、むしろ互いに角度を成しており、その角度はそれぞれのヘッド間の方位角のずれに略等しい。例えば1つのヘッドは放射状に向き付け、かつ方位角位置φ1に配置することができ、別のヘッドは放射状に向き付け、かつ方位角位置φ2に配置することができる。この実施例では、2つのヘッド間の方位角のずれはφ1-φ2であり、2つのヘッドのリニア・ノズル・アレイ間の角度もまたφ1-φ2である。
一部の実施形態では、2つ以上の印刷ヘッドを組み立てて、1ブロックの印刷ヘッドにすることができる。その場合、そのブロックの印刷ヘッドは一般的に、互いに平行である。幾つかのインクジェット印刷ヘッド16a、16b、16cを含むブロックが図2Cに示される。
一部の実施形態では、システム10は、トレイ12が支持体構造30とヘッド16との間にくるように、ヘッド16の下に位置する支持体構造30を含む。支持体構造30は、インクジェット印刷ヘッド16が作動している間発生することのあるトレイ12の振動を防止または低減するように働く。印刷ヘッド16が軸線14を中心に回転する構成では、支持体構造30が常にヘッド16の真下にくるように(トレイ12と共にヘッド16とトレイ12の間で)支持体構造30も回転することが好ましい。
トレイ12および/または印刷ヘッド16は、任意選択的にかつ好ましくは、トレイ12と印刷ヘッド16との間の垂直距離が変動するように垂直方向zに沿って垂直軸線14と平行に移動するように構成される。トレイ12を垂直方向に沿って移動させることによって垂直距離が変動する構成では、支持体構造30もトレイ12と共に垂直方向に移動することが好ましい。トレイ12の垂直位置は固定されたままで、垂直距離がヘッド16によって垂直方向に沿って変動する構成では、支持体構造30もまた固定垂直位置に維持される。
垂直移動は、垂直ドライブ28によって確立することができる。ある層が完成すると、次に印刷される層の所望の厚さに応じて所定の垂直間隔だけ、トレイ12とヘッド16との間の垂直距離を増大させることができる(例えばヘッド16に対してトレイ12を下降させる)。この手順は、三次元物体112が層毎に形成されるように繰り返される。
インクジェット印刷ヘッド16の操作、および任意選択的にかつ好ましくは、システム10の1つ以上の他の構成部品の操作、例えばトレイ12の移動の操作も、コントローラ20によって制御される。コントローラは、電子回路および回路によって読出し可能な不揮発性記憶媒体を有することができ、記憶媒体は、回路によって読み出されたときに、以下でさらに詳述するように制御動作を回路に実行させるプログラム命令を格納する。
コントローラ20はまた、例えば標準テッセレーション言語(STL)またはステレオリソグラフィ輪郭(SLC)フォーマット、仮想現実モデリング言語(VRML)、付加製造ファイル(AMF)フォーマット、図面交換フォーマット(DXF)、ポリゴン・ファイル・フォーマット(PLY)、またはコンピュータ支援設計(CAD)に適したいずれかの他のフォーマットの形のコンピュータ物体データに基づいて、製作命令に関するデジタルデータを送信するホストコンピュータ24と通信することもできる。物体データフォーマットは一般的に、デカルト座標系に従って構成される。このような場合、コンピュータ24は、コンピュータ物体データにおける各スライスの座標をデカルト座標系から極座標系に変換するための手順を実行することが好ましい。コンピュータ24は、任意選択的にかつ好ましくは、変換された座標系で製作命令を送信する。代替的に、コンピュータ24は、コンピュータ物体データによって提供された元の座標系で、製作命令を送信することができ、その場合、座標の変換はコントローラ20の回路によって実行される。
座標の変換は、回転トレイ上の三次元印刷を可能にする。静止トレイを有する非回転システムでは、印刷ヘッドは、一般的に静止トレイ上を直線に沿って往復運動する。そのようなシステムでは、ヘッドの吐出率が均一であることを前提として、印刷解像度はトレイ上のどの点でも同じである。非回転システムとは異なり、システム10では、ヘッド点の全てのノズルが同時にトレイ12全体で同一距離をカバーするわけではない。座標の変換は、任意選択的にかつ好ましくは、異なる半径方向位置における過剰な材料の均等な量が確保されるように実行される。本発明の一部の実施形態に係る座標変換の代表的実施例が、物体の3つのスライスを示す図3A~図3Bに提示される(各スライスは物体の異なる層の製作命令に対応する)。図3Aは、スライスをデカルト座標系で示し、図3Bは、座標変換手順がそれぞれのスライスに適用された後の同じスライスを示す。
通常、コントローラ20は、製作命令に基づき、かつ下述する格納されたプログラム命令に基づいて、システム10のそれぞれの構成部品に印加される電圧を制御する。
一般的に、コントローラ20は、トレイ12の回転中に、トレイ12上で三次元物体を印刷するために構築材料の液滴を層状に吐出するように、印刷ヘッド16を制御する。
システム10は、任意選択的にかつ好ましくは、1つ以上の放射源18を備え、それは、使用する造形用材料に応じて、例えば紫外線もしくは可視光もしくは赤外線ランプ、または他の電磁放射源、または電子ビーム源とすることができる。放射源は、発光ダイオード(LED)、デジタル・ライト・プロセシング(DLP)システム、抵抗ランプ等をはじめ、それらに限らず、任意の種類の放射線放出素子を含むことができる。放射源18は、造形用材料を硬化または凝固させるように働く。本発明の様々な例示的実施形態では、放射源18の動作はコントローラ20によって制御され、それは、放射源18を作動させたり停止させたりすることができ、かつ任意選択的に放射源18によって発生する放射線の量も制御することができる。
本発明の一部の実施形態では、システム10は、ローラまたはブレードとして製造することのできる1つ以上のレベリング装置32をさらに備える。レベリング装置32は、新たに形成された層を、次の層がその上に形成される前に矯正するのに役立つ。一部の実施形態では、レベリング装置32は、円錐ローラの形状を有し、その対称軸線34がトレイ12の表面に対して傾斜し、かつその表面がトレイの表面と平行になるように配置される。この実施形態をシステム10の側面図に示す(図2C)。
円錐ローラは、円錐または円錐台の形状を有することができる。
円錐ローラの開き角は、その軸線34に沿った任意の位置における円錐の半径と、その位置と軸線14との間の距離との比率が一定であるように選択されることが好ましい。ローラが回転する間、ローラの表面上の点pはどれも、点pの鉛直下方に位置する点のトレイの線速度に比例する(例えば同一の)線速度を有するので、この実施形態は、ローラ32が層を効率的に平準化することを可能にする。一部の実施形態では、ローラは高さh、軸線14から最も近い距離位置における半径R1、および軸線14から最も遠い距離位置における半径R2を有する円錐台の形状を有する。ここでパラメータh、R1、およびR2は、R1/R2=(R-h)/hの関係を満たし、ここでRは軸線14からのローラの最遠距離である(例えばRはトレイ12の半径とすることができる)。
レベリング装置32の動作は、任意選択的にかつ好ましくは、コントローラ20によって制御される。コントローラは、レベリング装置32を作動させたり停止させたりすることができ、かつ任意選択的に、垂直方向(軸線14と平行)に沿ったその位置、および/または放射方向(トレイ12と平行に、軸線14に近づくかまたはそれから離れる方向)に沿ったその位置をも制御することができる。
本発明の一部の実施形態では、印刷ヘッド16は、径方向rに沿ってトレイに対して往復運動するように構成される。これらの実施形態は、ヘッド16のノズルアレイ22の長さがトレイ12上の作業領域26の径方向に沿った幅より短いときに、有用である。径方向に沿ったヘッド16の運動は、任意選択的にかつ好ましくはコントローラ20によって制御される。
一部の実施形態は、(同じ又は異なる印刷ヘッドに属する)異なるノズルアレイから異なる材料を吐出することによって物体の製作を企図する。これらの実施形態は、とりわけ、所与の数の材料から材料を選択し、かつ選択された材料およびそれらの性質の所望の組合せを画定する能力を提供する。本実施形態によれば、異なる材料による異なる三次元空間位置の占有を達成するか、あるいは2つ以上の異なる材料による略同一の三次元位置または隣接する三次元位置の占有を達成するように、層における各材料の堆積の空間位置が画定され、層内の材料の堆積後の空間的組合せが可能になり、それによってそれぞれの位置(単数または複数)で複合材料を形成することが可能になる。
造形用材料の任意の堆積後の組合せまたは混合が企図される。例えば特定の材料が吐出された後、それはその元の性質を維持することができる。しかし、別の造形用材料または他の吐出材料と同時に、同じ位置あるいは近傍位置で吐出された場合、吐出された材料とは異なる性質を有する複合材料が形成される。
本実施形態のために好適なAMシステムの原理及び操作についてのさらなる詳細は、米国特許第9031680号及び国際公開WO2016/009426に見出され、その内容は、参考としてここに組み入れられる。
従って、本実施形態は、広範囲の材料の組合せの堆積を可能にし、かつ物体の各部分を特徴付けるために望ましい特性に応じて、物体の異なる部分を複数の異なる材料の組合せから構成することのできる物体の製作を可能にする。
図4は、本発明の様々な例示的実施形態による三次元物体のAMのために好適な方法のフローチャート図である。他に規定されない限り、以下に記載される操作は、多くの実施の組み合わせ又は順序で同時に又は連続して実施されることができることが理解されるべきである。特に、フローチャート図の順序は、限定として考えられるべきではない。例えば、特定の順序でフローチャート図に又は以下の記載に現われる二つ以上の操作は、異なる順序で(例えば逆の順序で)又は実質的に同時に実施されることができる。さらに、以下に記載される複数の操作は、任意であり、実施されなくてもよい。
方法は、AMシステム(例えばシステム110又はシステム10)、好ましくはコントローラー(例えばコントローラー152又は20)によって操作される、3Dインクジェット印刷システムによって実施されることができる。方法は、200で開始し、任意選択的にかつ好ましくは201に進み、そこで物体の三次元形状にまとめて関係するコンピューター物体データが受けとられる。データは、AMシステムと操作的に関連するデータプロセッサー(例えばプロセッサー154又は24)によって受けとられることができる。例えば、データプロセッサーは、コンピューター可読記憶媒体(図示せず)にアクセスして媒体からデータを検索することができる。データプロセッサーはまた、記憶媒体からデータを検索する代わりに又はそれに加えて、例えばコンピューター支援設計(CAD)又はコンピューター支援製造(CAM)ソフトウェアによってデータ又はその一部を発生することができる。コンピューター物体データは、一般的に複数のスライスデータを含み、各々は、製造される物体の一つの層を画定する。データプロセッサーは、データ又はその一部をAMシステムのコントローラーに移すことができる。一般的に、必須ではないが、コントローラーは、スライスごとの基準でデータを受ける。
データは、上述のコンピューター物体データフォーマットのいずれかを含む、業界で知られたいかなるデータフォーマットであることもできる。
方法は、202に進み、そこで一種以上の造形用材料配合物及び一種以上の支持体材料配合物の液滴が吐出され、物体のスライスの形状に対応する構成パターンで層を形成する。支持体材料配合物の少なくとも一種は、本明細書においてそれぞれの実施形態及びそれらのいずれかの組み合わせで記載される支持体材料配合物である。
吐出202は、任意選択的にかつ好ましくは、吐出ヘッド、製作チャンバー及び吐出される配合物を加熱せずに実施される。本発明の様々な例示的な実施形態では、吐出202は、45℃以下又は40℃以下又は35℃以下の温度で実施される。吐出ヘッドが加熱装置を含むか、又は加熱装置を含む構築材料リザーバーを介して供給されるとき、加熱装置は、任意選択的にかつ好ましくは、吐出中はスイッチオフされる。
本発明の実施形態のいずれかの一部では、いったん層が本明細書に記載されるように吐出されると、本明細書に記載されるような硬化条件(例えば硬化エネルギー)への露出が実施される。一部の実施形態では、硬化性材料は、UV硬化性材料であり、硬化条件は、放射線源がUV放射線を放出するようなものである。
これらの実施形態によれば、203で硬化放射線が、好ましくは放射線源(例えば装置324又は18)を使用して、新しく形成された層に付与される。
操作203から、方法は、任意選択的にかつ好ましくは、201にループバックし、別のスライスのためのデータを受ける。次のスライスのためのデータがコントローラー内に既に記憶されているとき、方法は、次の層を形成するために202にループバックすることができる。
本発明のこの態様の実施形態のいずれかの一部によれば、いったん構築材料が吐出されて印刷物体を形成し、硬化エネルギー又は条件が付与されると、硬化(例えば固化)支持体材料が除去され、それによって最終的な三次元物体を得る。
これらの実施形態によれば、204で硬化された支持体材料又はその一部が除去される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部によれば、支持体材料は、硬化された支持体材料を水溶液と接触させることによって除去される。
接触は、業界で知られた手段によって、例えば印刷された物体を水溶液(例えばアルカリ性溶液)に浸漬することによって、及び/又は水溶液を物体の上に噴射することによって実施されることができる。接触は、手で又は自動化された方法で実施されることができる。硬化された支持体材料を除去するために使用可能ないかなるシステム又は装置も考えられる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、接触は、印刷された物体中の硬化された支持体材料の量、及びそのジオメトリーと関係する時間期間で実施される。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、支持体材料の除去は、本明細書に記載されるような水溶液での溶解と組み合わせて又は単独で、硬化された支持体材料の機械的除去によって実施される。支持体材料を機械的に除去するための業界で知られたいかなる手段も考えられる。
一部の実施形態では、支持体材料の一部は、任意選択的に除去後に例えば本明細書に記載されるように、硬化された混合層中に残りうる。
一部の実施形態では、硬化された支持体材料の除去は、支持体材料と造形用材料配合物の硬化された混合物を含む、硬化された混合層を表わす。物体の表面でのかかる硬化された混合物は、任意選択的に、相対的に非反射性の外観(本明細書では「マット(matte)」としても言及される)を持つことができ、かかる硬化された混合物のない表面(例えば支持体材料配合物がその上に付与されなかった)は、対照的に「グロッシー(glossy)」として記載される。
硬化された支持体材料の除去は、一般的に支持体材料配合物の溶解特性に依存する。
一部の実施形態では、支持体材料配合物は、硬化されたとき、本明細書に記載されるように、水又はいずれかの他の中性水溶液に溶解可能である材料を与え、硬化された支持体材料の除去は、水に溶解可能な材料の文脈において本明細書に記載されるような時間期間で、室温で、複数の吐出された層を水に浸漬することを含む。水容積は、印刷された物体の容積に対して1:1~10:1であることができる。これらの実施形態の一部では、水に浸漬することは、撹拌又は水を循環するためのいかなる他の手段なしで実施される。
一部の実施形態では、支持体材料配合物は、硬化されたとき、本明細書に記載されるように、水又はいずれかの他の中性水溶液に溶解可能でない材料を与え、支持体材料の除去は、周囲温度で、複数の吐出された層をアルカリ性水溶液中に浸漬すること、及び/又は業界で知られた方法を使用して水噴射を適用することを含む。
いったん複数の層から形成された物体が製作され、支持体材料又はその一部が除去されると、方法は、205で終わる。
本明細書に記載された実施形態のいずれかの一部では、方法は、硬化された支持体材料の除去の前又は後のいずれかに硬化された造形用材料を後処理条件にさらすことをさらに含む。後処理条件は、一般的に、硬化された造形用材料をさらに硬化することを目的としている。一部の実施形態では、後処理は、部分的に硬化された材料を硬化し、それによって完全に硬化された材料を得る。
AMに関する本発明の実施形態のいずれかの一部では、吐出は、周囲温度下で実施される。
一部の実施形態では、未硬化構築材料又はその一部(例えば本明細書に記載されるような支持体材料配合物)は、先行する加熱なしで、又は40℃もしくは35℃を越えない温度への加熱後に吐出される。
一部の実施形態では、未硬化構築材料の吐出は、印刷ヘッドを加熱せずに、又は未硬化構築材料又は少なくとも支持体材料配合物を印刷ヘッドのノズルに通過させて40℃又は35℃を越えない温度に加熱しながら実施される。
硬化エネルギー又は条件は、例えば、使用される構築材料に依存して、紫外又は可視放射線、又は他の電磁放射線、又は電子ビーム放射線のような放射線であることができる。吐出された層に付与される硬化エネルギー又は条件は、造形用材料配合物及び支持体材料配合物を固化又は凝固又は硬化するために役立つ。好ましくは、同じ硬化エネルギー又は条件が、造形用材料と支持体材料の両方の硬化を実施するために付与される。あるいは、異なる硬化エネルギー又は条件が、吐出された構築材料に同時に又は連続的に付与され、造形用材料配合物及び支持体材料配合物の硬化を実施する。
本明細書に記載された方法及びシステムの各々の一部の実施形態によれば、未硬化構築材料は、本明細書に記載されるような少なくとも一種の支持体材料配合物を含む。
本発明の一部の実施形態の態様によれば、その実施形態のいずれか及びそのいずれかの組み合わせにおいて、本明細書に記載されるような方法によって作られた三次元造形物体が提供される。
本発明の一部の実施形態の態様によれば、本明細書に記載されるようなAM法によって製作された3D造形物体が提供される。
本出願から成熟する特許の存続期間の期間中には、多くの関連する硬化性材料及び非硬化性材料が開発されることが予想され、本明細書に記載されるそれらの材料の各々の範囲は、すべてのそのような新しい技術を先験的に包含することが意図される。
本明細書中で使用される用語「約」は、±10%又は±5%を示す。
用語「含む/備える(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
用語「からなる(consisting of)」は、「含み、それらに限定される(including and limited to)」ことを意味する。
表現「から本質的になる(consisting essentially of)」は、さらなる成分、工程および/または部分が、主張される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にだけ、組成物、方法または構造がさらなる成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。
本明細書中で使用される場合、単数形態(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1つの化合物」は、その混合物を含めて、複数の化合物を包含し得る。
本出願の全体を通して、本発明の様々な態様が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈すべきでないことを理解しなければならない。従って、範囲の記載は、具体的に開示された可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1~6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、適用される。
数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示された範囲に含まれる任意の言及された数字(分数または整数)を含むことが意味される。第1の示された数字および第2の示された数字「の範囲である/の間の範囲」という表現、および、第1の示された数字「から」第2の示された数「まで及ぶ/までの範囲」という表現は、交換可能に使用され、第1の示された数字と、第2の示された数字と、その間のすべての分数および整数とを含むことが意味される。
本明細書中で使用される用語「方法またはプロセス(methodまたはprocess)」は、所与の課題を達成するための様式、手段、技術および手順を示し、これには、化学、物理および工学の技術分野の実施者に知られているそのような様式、手段、技術および手順、または、知られている様式、手段、技術および手順から、化学、薬理学、生物学、生化学及び医学の技術分野の実施者によって容易に開発されるそのような様式、手段、技術および手順が含まれるが、それらに限定されない。
本明細書中全体を通して、用語「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリル化合物を包含する。
本明細書中全体を通して、表現「連結部分」又は「連結基」は、化合物中の二つ以上の部分又は基を接続する基を記載する。連結部分は、一般的に二又は三官能化合物から誘導され、二つ又は三つのラジカル部分として見なされることができ、二つ又は三つのラジカルは、それぞれ、その二つ又は三つの原子を介して二つ又は三つの他の部分に接続される。
例示的な連結部分は、本明細書に規定されるように、一つ以上のヘテロ原子によって任意選択的に中断される、炭化水素部分又は鎖、及び/又は連結基として規定されるとき、以下に挙げられる化学基のいずれかを含む。
化学基が本明細書において「末端基」として言及されるとき、それは、置換基として中断され、置換基は、その一つの原子によって別の基に接続される。
本明細書中全体を通して、用語「炭化水素」は、主として炭素及び水素原子から構成される化学基を集合的に記載する。炭化水素は、アルキル、アルケン、アルキン、アリール、及び/又はシクロアルキルからなることができ、各々は、置換されても置換されなくてもよく、一つ以上のヘテロ原子によって中断されてもよい。炭素原子の数は、2~20の範囲であり、好ましくはそれより低く、例えば1~10、又は1~6、又は1~4の範囲であることができる。炭化水素は、連結基又は末端基であることができる。
ビスフェノールAは、2つのアリール基及び1つのアルキル基から構成される炭化水素の一例である。
本明細書で使用される用語「アミン」は、-NR’R”基および-NR’-基の両方を記載し、ここでR’およびR”はそれぞれ独立して水素、アルキル、シクロアルキル、またはアリールであり、これらの用語は本明細書中下記で定義される。
従って、アミン基は、第一級アミン(ここでR’およびR”の両方は水素である)、第二級アミン(ここでR’は水素でありかつR”はアルキル、シクロアルキル、もしくはアリールである)、または第三級アミン(ここでR’およびR”はそれぞれ独立してアルキル、シクロアルキルもしくはアリールである)であることができる。
代替的に、R’およびR”は、それぞれ独立してヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、カルボニル、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカーバメート、O-チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N-カーバメート、O-カーバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであることができる。
用語「アミン」は、アミンが末端基である場合には、本明細書中下記で定義されるように、-NR’R”基を表すために本明細書中では使用され、また、アミンが連結基または連結部分の一部である場合には-NR’-基を表すために本明細書中では使用される。
用語「アルキル」は、直鎖基および分枝鎖基を含む飽和した脂肪族炭化水素を記載する。好ましくは、アルキル基は1個~3個又は1個~20個の炭素原子を有する。数値範囲、例えば「1個~20個」が本明細書で述べられる場合は常に、それは基(この場合はアルキル基)が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などの20個までの炭素原子を含むということを意味する。アルキル基は、置換または非置換であり得る。置換されたアルキルは一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカーバメート、O-チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N-カーバメート、O-カーバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであることができる。
アルキル基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の部分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であることができる。アルキルが連結基であるとき、それはまた、「アルキレン」または「アルキレン鎖」として本明細書中に言及される。
本明細書において、本明細書に規定されるように、親水性基によって置換されるC(1-4)アルキルは、本明細書において表現「親水性基」の下に含まれる。
本明細書中で使用されるアルケンおよびアルキンは、一つ以上の二重結合または三重結合をそれぞれ含む、本明細書中で定義されるアルキルである。
用語「シクロアルキル」基は、環の1つまたは複数が完全共役のπ電子系を有しない、すべて炭素からなる単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。例示は、限定されないが、シクロヘキサン、アダマチン、ノルボルニル、イソボルニル、及びその類似物を含む。シクロアルキル基は、置換または非置換であることができる。置換されたシクロアルキルは一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカーバメート、O-チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N-カーバメート、O-カーバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであることができる。シクロアルキル基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であることができる。
本明細書に規定されるように、二つ以上の親水性基によって置換される、1~6個の炭素原子のシクロアルキルは、本明細書において表現「親水性基」の下に含まれる。
用語「複素脂環」基は、例えば、窒素、酸素およびイオウなどの1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有する単環基または縮合環基を記載する。環はまた、1つまたは複数の二重結合を有することができる。しかしながら、環は、完全共役のπ電子系を有しない。代表的な例は、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、モルホリノおよびその類似物である。
複素脂環は、置換または非置換であることができる。置換された複素脂環は、一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は、独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカーバメート、O-チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N-カーバメート、O-カーバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであることができる。複素脂環基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であることができる。
窒素又は酸素のような一つ以上の電子供与原子を含み、かつ炭素原子対複素原子の数値比が5:1又はそれより低い複素脂環基は、本明細書において表現「親水性基」の下に含まれる。
用語「アリール」基は、完全共役のπ電子系を有する、すべて炭素からなる単環基または縮合多環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。アリール基は、置換または非置換であることができる。置換されたアリールは、一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカーバメート、O-チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N-カーバメート、O-カーバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであることができる。アリール基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であることができる。
用語「ヘテロアリール」基は、例えば、窒素、酸素およびイオウなどの1個または複数個の原子を環(1つまたは複数)に有し、さらには完全共役のπ電子系を有する単環基または縮合環(すなわち、隣接炭素原子対を共有する環)基を記載する。ヘテロアリール基の非限定的な例には、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリンおよびプリンが含まれる。ヘテロアリール基は、置換または非置換であることができる。置換されたヘテロアリールは、一つ以上の置換基を有することができ、それぞれの置換基は独立して、例えば、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素脂環、アミン、ハリド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルフォンアミド、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカーバメート、O-チオカーバメート、尿素、チオ尿素、N-カーバメート、O-カーバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン、またはヒドラジンであり得る。ヘテロアリール基は、単一の隣接原子に結合された末端基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)、またはその鎖中の少なくとも二つの炭素を介して二つ以上の成分を連結する連結基(この用語は本明細書中上記で定義される通りである)であることができる。代表的な例はピリジン、ピロール、オキサゾール、インドール、プリンおよびその類似物である。
用語「ハリド(ハライド)」および「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、または沃素を記載する。
用語「ハロアルキル」は、1つまたは複数のハリドによってさらに置換された、上記で定義されるアルキル基を記載する。
用語「スルファート」は、-O-S(=O)2-OR’末端基または-O-S(=O)2-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「チオスルファート」は、-O-S(=S)(=O)-OR’末端基または-O-S(=S)(=O)-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「スルファイト」は、-O-S(=O)-O-R’末端基または-O-S(=O)-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「チオスルファイト」は、-O-S(=S)-O-R’末端基または-O-S(=S)-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「スルフィナート」は、-S(=O)-OR’末端基または-S(=O)-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「スルホキシド」または「スルフィニル」は、-S(=O)R’末端基または-S(=O)-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「スルホネート」は、-S(=O)2-R’末端基または-S(=O)2-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「S-スルホンアミド」は、-S(=O)2-NR’R”末端基または-S(=O)2-NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「N-スルホンアミド」は、R’S(=O)2-NR”末端基または-S(=O)2-NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「ジスルフィド」は、-S-SR’末端基またはS-S-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「ホスホナート」は、本明細書中で定義されるようなR’およびR”を有する-P(=O)(OR’)(OR”)末端基または-P(=O)(OR’)(O)-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「チオホスホナート」は、本明細書中で定義されるようなR’およびR”を有する-P(=S)(OR’)(OR”)末端基または-P(=S)(OR’)(O)-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「ホスフィニル」は、本明細書中上記で定義されるようなR’およびR”を有する-PR’R”末端基または-PR’-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「ホスフィンオキシド」は、本明細書中で定義されるようなR’およびR”を有する-P(=O)(R’)(R”)末端基または-P(=O)(R’)-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「ホスフィンスルフィド」は、本明細書中で定義されるようなR’およびR”を有する-P(=S)(R’)(R”)末端基または-P(=S)(R’)-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「ホスファイト」は、本明細書中で定義されるようなR’およびR”を有する-O-PR’(=O)(OR”)末端基または-O-PH(=O)(O)-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「カルボニル」または用語「カルボネート」は、本明細書中で使用される場合、本明細書中で定義されるようなR’を有する-C(=O)-R’末端基または-C(=O)-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「チオカルボニル」は、本明細書中で使用される場合、本明細書中で定義されるようなR’を有する-C(=S)-R’末端基または-C(=S)-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
用語「オキソ」は、本明細書中で使用される場合、(=O)基を表し、この場合、酸素原子が、示された位置における原子(例えば、炭素原子)に二重結合によって連結される。
用語「チオオキソ」は、本明細書中で使用される場合、(=S)基を表し、この場合、イオウ原子が、示された位置における原子(例えば、炭素原子)に二重結合によって連結される。
用語「オキシム」は、=N-OH末端基または=N-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「ヒドロキシル」は、-OH基を記載する。
用語「アルコキシ」は、本明細書中で定義される通り-O-アルキル基および-O-シクロアルキル基の両方を記載する。
用語「アリールオキシ」は、本明細書中で定義される通り-O-アリール基および-O-ヘテロアリール基の両方を記載する。
用語「チオヒドロキシ」は、-SH基を記載する。
用語「チオアルコキシ」は、本明細書中で定義される通り-S-アルキル基および-S-シクロアルキル基の両方を記載する。
用語「チオアリールオキシ」は、本明細書中で定義される通り-S-アリール基および-S-ヘテロアリール基の両方を記載する。
「ヒドロキシアルキル」は、本明細書中で「アルコール」としても言及され、ヒドロキシ基によって置換される、本明細書中で定義されるアルキルを記載する。
用語「シアノ」は、-C≡N基を記載する。
用語「イソシアネート」は、-N=C=O基を記載する。
用語「イソチオシアネート」は、-N=C=S基を記載する。
用語「ニトロ」は、-NO2基を記載する。
用語「アシルハリド」は、-(C=O)R””基(式中、R””は本明細書中上記で定義される通りハリドである)を記載する。
用語「アゾ」または「ジアゾ」は、-N=NR’末端基または-N=N-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「パーオキソ」は、-O-OR’末端基または-O-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「カルボキシレート」は、本明細書中で使用される場合、C-カルボキシレートおよびO-カルボキシレートを包含する。
用語「C-カルボキシレート」は、-C(=O)-OR’末端基または-C(=O)-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「O-カルボキシレート」は、-OC(=O)R’末端基または-OC(=O)-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
カルボキシレートは直鎖または環状であることが可能である。環状であるとき、R’と炭素原子とが一緒に連結されて、C-カルボキシレートで環を形成し、この基はまた、ラクトンとして示される。あるいは、R’とOとが一緒に連結されて、O-カルボキシレートで環を形成する。環状カルボキシレートは、例えば、形成された環における原子が別の基に連結されるときには、連結基として機能することができる。
用語「チオカルボキシレート」は、本明細書中で使用される場合、C-チオカルボキシレートおよびO-チオカルボキシレートを包含する。
用語「C-チオカルボキシレート」は、-C(=S)OR’末端基または-C(=S)-O-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「O-チオカルボキシレート」は、-OC(=S)R’末端基または-OC(=S)-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
チオカルボキシレートは直鎖または環状であることが可能である。環状であるとき、R’と炭素原子とが一緒に連結されて、C-チオカルボキシレートで環を形成し、この基はまた、チオラクトンとして示される。あるいは、R’とOとが一緒に連結されて、O-チオカルボキシレートで環を形成する。環状チオカルボキシレートは、例えば、形成された環における原子が別の基に連結されるときには、連結基として機能することができる。
用語「カーバメート(カルバメート)」は、本明細書中で使用される場合、N-カーバメートおよびO-カーバメートを包含する。
用語「N-カーバメート」は、R”OC(=O)-NR’-末端基または-OC(=O)-NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「O-カーバメート」は、-OC(=O)-NR’R”末端基または-OC(=O)-NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
カーバメートは、直鎖または環状であることが可能である。環状であるとき、R’と炭素原子とが一緒に連結されて、O-カーバメートで環を形成する。あるいは、R’とOとが一緒に連結されて、N-カーバメートで環を形成する。環状カーバメートは、例えば、形成された環における原子が別の基に連結されるときには、連結基として機能することができる。
用語「カーバメート」は、本明細書中で使用される場合、N-カーバメートおよびO-カーバメートを包含する。
用語「チオカーバメート」は、本明細書中で使用される場合、N-チオカーバメートおよびO-チオカーバメートを包含する。
用語「O-チオカーバメート」は、-OC(=S)-NR’R”末端基または-OC(=S)-NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「N-チオカーバメート」は、R”OC(=S)NR’-末端基または-OC(=S)NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
チオカーバメートは、カーバメートについて本明細書中に記載したように、直鎖または環状であることが可能である。
用語「ジチオカーバメート」は、本明細書中で使用される場合、S-ジチオカーバメートおよびO-チオジチオカーバメートを包含する。
用語「S-ジチオカーバメート」は、-SC(=S)-NR’R”末端基または-SC(=S)NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「N-ジチオカーバメート」は、R”SC(=S)NR’-末端基または-SC(=S)NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「尿素(ウレア)」(「ウレイド」とも称される)は、-NR’C(=O)-NR”R”’末端基または-NR’C(=O)-NR”-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りであり、R”’はR’およびR”について本明細書中で定義される通りである)を記載する。
用語「チオ尿素(チオウレア)」(「チオウレイド」とも称される)は、-NR’C(=S)-NR”R”’末端基または-NR’-C(=S)-NR”-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’,R”およびR”’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「アミド」は、本明細書中で使用される場合、C-アミドおよびN-アミドを包含する。
用語「C-アミド」は、-C(=O)-NR’R”末端基または-C(=O)-NR’-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「N-アミド」は、R’C(=O)-NR”-末端基またはR’C(=O)-N-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
アミドは、直鎖または環状であることが可能である。環状であるとき、R’と炭素原子とが一緒に連結されて、C-アミドで環を形成し、この基はまた、ラクタムとして示される。環状アミドは、例えば、形成された環における原子が別の基に連結されるときには、連結基として機能することができる。
用語「グアニル」は、R’R”NC(=N)-末端基または-R’NC(=N)-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’およびR”は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「グアニジン」は、-R’NC(=N)-NR”R”’末端基または-R’NC(=N)-NR”-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’,R”およびR”’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
用語「ヒドラジン」は、-NR’-NR”R”’末端基または-NR’-NR”-連結基(これらの用語は本明細書中上記で定義される通りである)(式中、R’,R”およびR”’は本明細書中上記で定義される通りである)を記載する。
本明細書中で使用される場合、用語「ヒドラジド」は、R’、R”およびR”’が本明細書中で定義される通りである-C(=O)-NR’-NR”R”’末端基または-C(=O)-NR’-NR”-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
本明細書中で使用される場合、用語「チオヒドラジド」は、R’、R”およびR”’が本明細書中で定義される通りである-C(=S)-NR’-NR”R”’末端基または-C(=S)-NR’-NR”-連結基を表す(これらの表現は本明細書中上記で定義される通りである)。
本明細書中で使用される場合、用語「アルキレングリコール」は-O-[(CR’R”)z-O]y-R”’末端基または-O-[(CR’R”)z-O]y-連結基を表し、ただし、式中、R’、R”およびR”’は本明細書中で定義される通りであり、zは1~10の整数であり、好ましくは2~6の整数であり、より好ましくは2または3の整数であり、yは1またはそれ以上の整数である。好ましくは、R’およびR”はともに水素である。zが2であり、かつ、yが1であるとき、この基はエチレングリコールである。zが3であり、かつ、yが1であるとき、この基はプロピレングリコールである。yが2~4であるとき、アルキレングリコールは、本明細書ではオリゴ(アルキレングリコール)として言及される。
yが4よりも大きいとき、このアルキレングリコールは本明細書中ではポリ(アルキレングリコール)として示される。本発明の一部の実施形態において、ポリ(アルキレングリコール)基またはポリ(アルキレングリコール)部分は、zが1~200であるように、好ましくは1~100であるように、より好ましくは10~50であるように、1個~20個の繰り返しアルキレングリコールユニットを有することができる。
用語「シラノール」は、-Si(OH)R’R”基又は-Si(OH)2R’基又は-Si(OH)3基を記載し、R’及びR”は本明細書中で定義される通りである。
用語「シリル」は、-SiR’R”R”’基を記載し、R’,R”及びR”’は本明細書中で定義される通りである。
本明細書で使用される場合、用語「ウレタン」又は「ウレタン部分」又は「ウレタン基」は、RX-O-C(=O)-NR’R”末端基又は-RX-O-C(=O)NR’連結基を記載し、R’及びR”は本明細書中で定義される通りであり、RXはアルキル、シクロアルキル、アリール、アルキレングリコール又はそれらのいずれかの組み合わせである。好ましくは、R’及びR”は両方とも水素である。
用語「ポリウレタン」又は「オリゴウレタン」は、繰り返し骨格ユニット中に本明細書に記載されるようなウレタン基を少なくとも一つ含むか、又は繰り返し骨格ユニット中にウレタン結合-O-C(=O)NR’-を少なくとも一つ含む部分を記載する。
明確にするため別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴が、単一の実施形態に組み合わせて提供されることもできることは分かるであろう。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明されている本発明の各種の特徴は別個にまたは適切なサブコンビネーションで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において好適なように提供することもできる。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除いては、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
本明細書中上記に描かれるような、および、下記の請求項の部分において特許請求されるような本発明の様々な実施形態および態様のそれぞれは、実験的裏付けが下記の実施例において見出される。
次に下記の実施例が参照されるが、下記の実施例は、上記の説明と一緒に、本発明を非限定様式で例示する。
材料及び実験方法
3Dインクジェット印刷実験が、40~42℃を越えない噴射温度で、単一モード又はデジタルモードのいずれかで、Objet30TM,Objet Eden260VSTM、又はJ750TM印刷システム(Stratasys Ltd.、イスラエル)のいずれかを使用して実施された。
試験された配合物を構成する全ての試薬及び材料は、既知の販売者から得られた。
粘度は、25~45℃でブルックフィールド粘度計で測定された。
実施例1
支持体材料配合物設計
本発明者は、40℃を越えない、好ましくは35℃を越えない噴射温度で3Dインクジェット印刷法で使用されることができる支持体材料配合物の探索において、数年間、広範な研究を行なった。
本明細書で述べられるように、現在利用可能な配合物は、3Dインクジェット印刷システムの条件に合致する粘度、即ち少なくとも50℃の高温でのみ、通常50~90℃の範囲で、典型的には70℃で、約8cPs~約30cPsの範囲の粘度を具備する。
本発明者は、低温での配合物の粘度に対する、及び配合物の安定性及び配合物から形成された硬化材料の機械特性に対する3Dインクジェット印刷に現在使用される支持体配合物の多数の変性物の効果を研究し、これらの研究に基づいて、目標とする低温で必要な粘度を具備する支持体材料配合物を設計した。
現在入手可能な支持体配合物と同様の変動可能な膨潤及び溶解特性を具備する硬化材料を与える、20~35℃で50cPs以下、典型的には20cPs以下の粘度を具備する支持体材料配合物が設計された。
特に、本発明者は、SUP705(商品名)、SUP706(商品名)、SUP707(商品名)としてStratasys Ltd.(イスラエル)によって販売される配合物と同様の膨潤及び/又は溶解特性を与え、しかも低い温度(即ち、40℃を越えない噴射温度)で噴射可能な配合物を設計した。設計された配合物は、実際に、現在入手可能な配合物と同様の膨潤及び溶解特性を具備し、あるものは、圧力及び/又はアルカリ性条件の必要なしで水溶液に溶解可能である点において改良された溶解特性を具備する。
設計された支持体材料配合物は、水溶解性単官能硬化性材料、任意選択的に水溶解性多官能硬化性材料、及び低粘度を具備するポリマー材料及び/又は水のような非硬化性成分を含み、それらは、一般的に硬化性材料から形成された硬化材料を膨潤又は溶解するように選択される。設計された配合物は、支持体材料のために要求される反応性及び機械特性、及び硬化時の容易な除去のために要求される溶解性を具備する。
実施例2
非溶解性支持体材料配合物
以下の表1は、SUP706(商品名)と同様の特性を持つ、即ち水噴射の付与で溶解可能である、支持体材料を形成するために好適な例示的な支持体材料配合物の化学組成を与える。この配合物はまた、本明細書では水に溶解可能でない硬化材料を与えるものとして言及される。
これらの実施形態による例示的な組成物はまた、B-14として言及される。この組成物では、非硬化性材料は、グリセロールを5~10重量%の濃度で、プロピレングリコールを35~45重量%の濃度で含む。
本発明者は、硬化性材料から形成された硬化材料に対して高い膨潤能力を有する非硬化性材料の多い量が硬化性材料の相対的に低い濃度を使用することを可能にし、さらに配合物の反応性を高め、光開始剤の量を1重量%未満に減少することを発見した。
以下の表2は、SUP705(商品名)と同様に、機械手段の付与により除去可能である非溶解性支持体材料を形成するために好適な例示的な支持体材料配合物の化学組成を与える。この配合物はまた、本明細書では、水に溶解可能でない硬化材料を与えるものとして言及される。
これらの実施形態による例示的な組成物はまた、A-3として言及される。この組成物では、硬化性材料は、単官能と三官能の親水性硬化性材料を約5:2の重量比で含み、それによって配合物の反応性を高める。
実施例3
溶解可能な配合物
「溶解可能な支持体配合物」は一般に、硬化されたとき、水圧、及び/又は造形物体からそれを除去するための他の機械手段を使用する必要なしで、水溶液に浸漬すると溶解可能である材料を与える配合物を意味する。
本発明者は、SUP707(商品名)と同様に遂行することを目的とした追加の配合物を設計した。この配合物はまた、本明細書では水に溶解可能である硬化材料を与えるものとして言及される。
かかる配合物の化学組成は、以下の表3にまとめて与えられる。
例示的な配合物はまた、R-54E及びR-57Eとして言及され、PPG600(例えば35~45重量%)及びDPGMEA(例えば15~35重量%)を非硬化性材料の主要な成分として含み、後者は、ACMOによって与えられる硬化材料による膨潤を高めるために含められた。
図5は、本明細書に記載されるようにマットモードで、支持体配合物R-54Eから作られ、60×30×30mmの概略寸法を有するカテドラル形状の印刷物体からの硬化支持体材料の溶解を示す一連の写真を与える。印刷物体は、撹拌なしで、室温で水道水に浸漬された。図5に示されるように、硬化された支持体材料の完全な溶解は、約3時間30分(210分)で行なわれた。
本発明はその特定の実施態様によって説明してきたが、多くの別法、変更および変形があることは当業者には明らかであることは明白である。従って、本発明は、本願の請求項の精神と広い範囲の中に入るこのような別法、変更および変形すべてを包含するものである。
本明細書で挙げた刊行物、特許および特許出願はすべて、個々の刊行物、特許および特許出願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用または確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。節の見出しが使用されている程度まで、それらは必ずしも限定であると解釈されるべきではない。