図1は、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置1を備える基板処理システム10のレイアウトを示す図解的な平面図である。基板処理システム10は、半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)を処理するシステムである。基板処理システム10は、インデクサブロック101と、インデクサブロック101に結合された処理ブロック102とを備える。
インデクサブロック101は、キャリア保持部104と、インデクサロボット105(すなわち、基板搬送手段)と、IR移動機構106とを備える。キャリア保持部104は、複数枚の基板9を収容できる複数のキャリア107を保持する。複数のキャリア107は、水平なキャリア配列方向(すなわち、図1中の上下方向)に配列された状態でキャリア保持部104に保持される。IR移動機構106は、キャリア配列方向にインデクサロボット105を移動させる。インデクサロボット105は、キャリア保持部104に保持されたキャリア107に基板9を搬入する搬入動作、および、基板9をキャリア107から搬出する搬出動作を行う。基板9は、インデクサロボット105によって水平な姿勢で搬送される。
一方、処理ブロック102は、基板9を処理する複数(たとえば、4つ以上)の処理ユニット108と、センターロボット109(すなわち、基板搬送手段)とを備えている。複数の処理ユニット108は、平面視において、センターロボット109を取り囲むように配置されている。複数の処理ユニット108では、基板9に対する様々な処理が施される。後述する基板処理装置1は、複数の処理ユニット108のうちの1つである。センターロボット109は、処理ユニット108に基板9を搬入する搬入動作、および、基板9を処理ユニット108から搬出する搬出動作を行う。さらに、センターロボット109は、複数の処理ユニット108間で基板9を搬送する。基板9は、センターロボット109によって水平な姿勢で搬送される。センターロボット109は、インデクサロボット105から基板9を受け取るとともに、インデクサロボット105に基板9を渡す。
図2は、基板処理装置1の構成を示す側面図である。基板処理装置1は、基板9を1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、基板9に処理液を供給して処理を行う。図2では、基板処理装置1の構成の一部を断面にて示す。
基板処理装置1は、基板保持部31と、基板回転機構33と、加熱部35と、カップ部4と、処理部5と、測定部6と、基板移動機構7と、制御部8と、ハウジング11と、を備える。基板保持部31、基板回転機構33、加熱部35、カップ部4、測定部6および基板移動機構7等は、ハウジング11の内部空間に収容される。ハウジング11の天蓋部には、当該内部空間にガスを供給して下方に流れる気流(いわゆる、ダウンフロー)を形成する気流形成部12が設けられる。気流形成部12としては、例えば、FFU(ファン・フィルタ・ユニット)が利用される。
制御部8は、ハウジング11の外部に配置され、基板保持部31、基板回転機構33、処理部5および基板移動機構7等を制御する。図3に示すように、制御部8は、例えば、プロセッサ81と、メモリ82と、入出力部83と、バス84とを備える通常のコンピュータシステムである。バス84は、プロセッサ81、メモリ82および入出力部83を接続する信号回路である。メモリ82は、プログラムおよび各種情報を記憶する。プロセッサ81は、メモリ82に記憶されるプログラム等に従って、メモリ82等を利用しつつ様々な処理(例えば、数値計算)を実行する。入出力部83は、操作者からの入力を受け付けるキーボード85およびマウス86、プロセッサ81からの出力等を表示するディスプレイ87、並びに、プロセッサ81からの出力等を送信する送信部等を備える。なお、制御部8は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)、または、回路基板等であってもよい。制御部8は、コンピュータシステム、PLCおよび回路基板等のうち、任意の複数の構成を含んでいてもよい。
図2に示すように、制御部8は、記憶部801と、測定制御部802と、演算部803とを備える。記憶部801は、主にメモリ82により実現され、基板9の処理レシピ等の各種情報を記憶する。測定制御部802は、主にプロセッサ81により実現され、記憶部801に格納されている測定レシピ等に従って、基板回転機構33および測定部6を制御する。演算部803は、主にプロセッサ81により実現され、測定部6による測定結果(後述)等に基づいて基板9の直径を求める。
基板保持部31は、水平状態の基板9の下側の主面(以下、「下面」とも呼ぶ。)と対向し、基板9を下側から保持する。基板保持部31は、例えば、基板9の下面中央部を吸着して保持するバキュームチャックである。基板保持部31は、例えば、基板9よりも直径が小さい略円板状の部材であり、上面には吸着口が設けられる。基板保持部31は、バキュームチャック以外のチャックであってもよい。
基板回転機構33は、基板保持部31の下方に配置される。基板回転機構33は、上下方向を向く回転軸J1を中心として基板9を基板保持部31と共に回転する。基板回転機構33は、例えば、回転シャフトが基板保持部31に接続された電動回転式モータを備える。基板回転機構33は、中空モータ等の他の構造を有していてもよい。
処理部5は、基板9に所定の処理を施す。図2に示す例では、処理部5は、基板9に複数種類の処理液を個別に供給し、基板9に対する液処理を行う処理液供給部である。当該複数種類の処理液には、例えば、後述する薬液およびリンス液等が含まれる。処理部5は、第1ノズル51と、第2ノズル52と、第2ノズル移動機構54とを備える。第1ノズル51および第2ノズル52はそれぞれ、基板9の上方から基板9の上側の主面(以下、「上面91」とも呼ぶ。)に向けて処理液を吐出する。第1ノズル51および第2ノズル52は、例えば、テフロン(登録商標)等の高い耐薬品性を有する樹脂により形成される。
第1ノズル51は、基板9の中央部の上方に位置し、基板9の上面91の中央部に向けて処理液を吐出する。第2ノズル52は、基板9の外周部の上方に位置し、基板9の上面91の周縁領域93に向けて処理液を吐出する。第2ノズル移動機構54は、第2ノズル52を、回転軸J1を中心とする径方向(以下、単に「径方向」とも呼ぶ。)に略水平に移動させる機構である。第2ノズル移動機構54は、例えば、第2ノズル52に接続される電動リニアモータ、エアシリンダ、または、ボールネジおよび電動回転式モータを備える。第2ノズル移動機構54により第2ノズル52が径方向に移動されることにより、第2ノズル52から吐出される処理液の基板9上における着液位置が変更される。換言すれば、第2ノズル移動機構54は、第2ノズル52から吐出される処理液の基板9上における着液位置を調節する着液位置調節部である。
基板処理装置1では、第1ノズル51から処理液の吐出が行われる際には、第2ノズル52が退避位置へと退避し、第2ノズル52から処理液の吐出が行われる際には、第1ノズル51が退避位置へと退避してもよい。第1ノズル51および第2ノズル52の退避位置は、例えば、径方向においてカップ部4よりも外側の位置である。当該退避位置は、例えば、基板9の上方において基板9から大きく離れた位置であってもよい。
図4は、基板処理装置1の処理部5を示すブロック図である。図4では、処理部5以外の構成も併せて示す。第1ノズル51は、リンス液供給源572に接続される。第2ノズル52は、薬液供給源573に接続される。第1ノズル51は、基板9に向けてリンス液を液柱状にて吐出する液吐出部である。第2ノズル52は、基板9に向けて薬液を液柱状にて吐出する液吐出部である。
第1ノズル51は、リンス液供給源572から送出されたリンス液を、基板9の上面91の中央部に供給する。リンス液としては、例えば、DIW(De-ionized Water)、炭酸水、オゾン水または水素水等の水性処理液が利用される。本実施の形態では、DIWがリンス液として利用される。第1ノズル51は、基板9の上面91にリンス液を供給するリンス液供給部に含まれる。当該リンス液供給部には、上述のリンス液供給源572も含まれてよい。
第2ノズル52は、薬液供給源573から送出された薬液を、基板9の上面91の周縁領域93(すなわち、ベベル部)に供給する。薬液は、例えば、基板9の上面91上に形成された薄膜(例えば、酸化膜)をエッチングして除去するエッチング液である。薬液としては、例えば、純水に微量のフッ化水素(HF)が溶解している希フッ酸である。基板9の周縁領域93から除去される薄膜の種類、および、当該周縁領域93に供給される薬液の種類は、様々に変更されてよい。例えば、薬液としてSC1(すなわち、アンモニアと過酸化水素との混合水溶液)、または、SC2(すなわち、塩化水素(HCl)と過酸化水素との混合水溶液)が利用されてもよい。
図5は、基板9を示す平面図である。図5では、図の理解を容易にするために、基板9の上面91において周縁領域93の径方向内側の領域である内側領域94上に平行斜線を付し、周縁領域93と内側領域94との境界を二点鎖線にて示す。周縁領域93は、回転軸J1を中心とする略円環状の領域である。図5に示す例では、基板9の直径は約300mmであり、周縁領域93の径方向の幅は、約2mm~3mmの範囲で所定の大きさに定められている。内側領域94は、回転軸J1を中心とする略円形の領域である。基板9の上面91では、多数の微細な構造体要素の集合である構造体(例えば、製品にて使用される回路パターン)が、内側領域94に予め形成されている。周縁領域93には、当該構造体は形成されていない。
図2に示すように、カップ部4は、カップ41と、カップ昇降機構42とを備える。カップ41は、回転軸J1を中心とする環状の部材である。カップ部4は、基板9および基板保持部31の周囲において、回転軸J1を中心とする周方向(以下、単に「周方向」とも呼ぶ。)の全周に亘って配置され、基板9および基板保持部31の側方および下方を覆う。カップ41は、回転中の基板9から周囲に向かって飛散する処理液等の液体を受ける受液容器である。カップ41の内側面は、例えば撥水性材料により形成される。カップ41は、基板9の回転および静止に関わらず、周方向において静止している。カップ41の底部には、カップ41にて受けられた処理液等をハウジング11の外部へと排出する排液ポート(図示省略)が設けられる。
カップ昇降機構42は、カップ41を基板保持部31に対して相対的に上下方向に移動する。カップ昇降機構42は、例えば、カップ41に接続される電動リニアモータ、エアシリンダ、または、ボールネジおよび電動回転式モータを備える。カップ41は、カップ昇降機構42により、図2に示す基板9の周囲の位置である処理位置と、当該処理位置よりも下側の退避位置との間で上下方向に移動可能である。
カップ部4は、径方向に積層される複数のカップ41を備えていてもよい。カップ部4が複数のカップ41を備える場合、複数のカップ41はそれぞれ独立して上下方向に移動可能であり、基板9から飛散する処理液の種類に合わせて、複数のカップ41が切り替えられて処理液の受液に使用される。
加熱部35は、加熱部本体351と、加熱部昇降機構352とを備える。加熱部本体351は、回転軸J1を中心とする略円環板状の部材であり、基板保持部31の径方向外側に配置される。基板保持部31に基板9が保持された状態では、加熱部35は、基板9と平面視において重なり、基板9の外周部の下方に位置する。加熱部35の外周縁は、基板9の外周縁よりも径方向内側に位置する。加熱部本体351は、例えば、内部に電熱線が配線された電気ヒータである。基板処理装置1では、処理部5による基板9の処理の際に、加熱部本体351に電流が供給されて発熱する。これにより、基板9において、上述の周縁領域93を含む外周部が加熱される。
加熱部昇降機構352は、加熱部本体351を基板保持部31に対して相対的に上下方向に移動する。加熱部昇降機構352は、例えば、加熱部本体351に接続される電動リニアモータ、エアシリンダ、または、ボールネジおよび電動回転式モータを備える。加熱部本体351は、加熱部昇降機構352により、図2に示す基板9の下面に近接した位置である加熱位置と、当該加熱位置よりも下側の退避位置との間で上下方向に移動可能である。
図6は、第1ノズル51、第2ノズル52およびカップ41が退避位置に退避した状態の基板処理装置1を示す側面図である。基板移動機構7は、基板接触部71と、接触部進退機構72と、接触部昇降機構73とを備える。基板接触部71は、例えば、テフロン(登録商標)等の樹脂により形成されるブロックである。図6に示す状態では、基板接触部71は、基板9と上下方向の略同じ位置に位置し、基板9の側面から径方向外側に離間している。
接触部進退機構72は、基板接触部71を径方向に略水平に移動することにより、基板9に対して進退させる。接触部進退機構72は、例えば、基板接触部71に接続される電動リニアモータ、エアシリンダ、または、ボールネジおよび電動回転式モータを備える。基板接触部71は、接触部進退機構72により、図6に示す位置から径方向内方へと移動し、基板9の側面に接触する。基板処理装置1では、基板保持部31による基板9の吸着が解除された状態(すなわち、基板9が基板保持部31上に移動可能に載置されている状態)で、基板9に接触する基板接触部71が径方向内方へと移動することにより、基板9が基板接触部71により押されて基板保持部31に対して略水平に移動する。これにより、基板9の水平方向における位置が調節される。
接触部昇降機構73は、基板接触部71を接触部進退機構72と共に上下方向に移動する。接触部昇降機構73は、例えば、接触部進退機構72に接続される電動リニアモータ、エアシリンダ、または、ボールネジおよび電動回転式モータを備える。基板接触部71は、接触部昇降機構73により、図6に示す移動位置から接触部進退機構72と共に上方へと移動し、図2に示す退避位置に退避する。なお、基板移動機構7(すなわち、基板接触部71、接触部進退機構72および接触部昇降機構73)は、処理位置に位置する第2ノズル52(図2参照)とは、周方向において異なる位置に配置されてもよい。
測定部6は、基板保持部31に保持された基板9の周縁近傍に配置されて、基板9の周縁の水平方向における位置であるエッジ位置を測定するセンサである。測定部6は、発光部61と受光部62とを備える光センサである。発光部61および受光部62のうち一方は、基板9の周縁近傍において基板9から上方に離間して配置される。発光部61および受光部62のうち他方は、基板9の周縁近傍において基板9から下方に離間して配置される。図6に示す例では、発光部61が基板9の周縁部の上方に配置され、受光部62が基板9の周縁部の下方に配置される。
発光部61および受光部62は、周方向において略同じ位置に位置し、平面視において重なる。発光部61および受光部62は、例えば、基板移動機構7と周方向において180°ずれた位置に配置される。換言すれば、発光部61および受光部62は、径方向において、回転軸J1を挟んで基板移動機構7の反対側に位置する。なお、発光部61および受光部62は、基板9に処理液が供給される際には、処理液が付着しない退避位置(例えば、カップ部4よりも径方向外側の位置)へと退避されることが好ましい。
発光部61は、径方向に略平行に延びる直線状の光を、受光部62に向けて(すなわち、下方に向けて)出射する。発光部61は、例えば、LD(Laser Diode)またはLED(Light Emitting Diode)を光源として備える。受光部62は、基板9の周縁を跨いで径方向に略平行に延びるラインセンサである。受光部62の径方向の長さは、例えば10mm~40mmである。発光部61から出射される直線状の光は、基板9の周縁を跨いでおり、当該直線状の光のうち、基板9の周縁よりも径方向外側の部分が、受光部62により受光される。これにより、発光部61と受光部62との間(以下、「測定位置」とも呼ぶ。)における基板9のエッジ位置(すなわち、基板9の周縁の径方向における位置)が測定される。
基板処理装置1では、制御部8により基板保持部31、基板回転機構33、測定部6および基板移動機構7が制御されることにより、基板保持部31上における基板9のセンタリングが行われ、基板9の中心が回転軸J1に一致する。具体的には、まず、基板保持部31により基板9が吸着保持された状態で、測定制御部802により基板回転機構33が制御されることにより、基板9が回転される。続いて、測定制御部802により測定部6が制御されることにより、回転中の基板9のエッジ位置が、周方向の全周に亘って継続的に測定される。これにより、基板9の回転位置(すなわち、基板9の周方向における向きであり、基板9の角度位置ともいう。)と、基板9のエッジ位置との関係を示す測定エッジ情報が取得される。
図7は、測定エッジ情報95の一例を示す図である。図7中の横軸は基板9の回転位置(°)を示し、縦軸は基板9のエッジ位置を示す。図7中の縦軸の原点(すなわち、ゼロ点)は、受光部62の径方向の中心に対応する。後述する図9および図12においても同様である。受光部62の当該中心は、回転軸J1から径方向外側に約150mm(すなわち、基板9の設計上の半径におよそ等しい距離)だけ離れた位置に配置される。なお、受光部62の当該中心と回転軸J1との間の径方向の距離は、厳密に150mmである必要はなく、150mmよりも多少大きくてもよく、多少小さくてもよい。
図7に示す測定エッジ情報95は、回転位置0°~360°において、略サインカーブ状の形状を示す。具体的には、測定エッジ情報95では、回転位置がα1°のときにエッジ位置が最大値Pmaxを示し、回転位置がα2°(すなわち、α1°+180°)のときにエッジ位置が最小値Pminを示す。測定エッジ情報95におけるエッジ位置の変動は、基板9の中心が基板回転機構33の回転軸J1から径方向にずれていること(すなわち、基板9の偏心)により生じる。以下の説明では、測定エッジ情報95におけるエッジ位置の最大値Pmaxと最小値Pminとの算術平均を「測定中心値Pave」と呼ぶ。図7では、測定エッジ情報95における測定中心値Paveを、横軸に平行な二点鎖線で示す。
図8は、基板9の第2位置912におけるエッジ位置が測定部6により測定されている状態を模式的に示す平面図である。第2位置912は、測定エッジ情報95における最小値Pminに対応する基板9の回転位置(α2°)である。図8では、基板9の第1位置911は、基板移動機構7の基板接触部71の径方向内側において、基板接触部71と径方向に対向している。第1位置911は、測定エッジ情報95における最大値Pmaxに対応する基板9の回転位置(α1°)である。基板9の中心90は、回転軸J1から図8中の右側(すなわち、回転軸J1から第1位置911へと向かう方向)へとずれている。図8では、回転軸J1と基板9の中心90との間の径方向の距離D1(すなわち、基板9の偏心量D1)を実際よりも大きく描いている。基板9の偏心量D1は、図7の測定エッジ情報95における最大値Pmaxから測定中心値Paveを減算して得られた差に等しい距離である。偏心量D1は、測定エッジ情報95における最大値Pmaxから最小値Pminを減算して得られた差の半分に等しい距離でもある。
基板処理装置1では、基板9の第1位置911が基板移動機構7の基板接触部71と径方向に対向するように、基板保持部31により吸着保持された基板9が基板回転機構33(図6参照)により回転される。続いて、基板保持部31による基板9の吸着が解除される。次に、基板9が、基板移動機構7により、第1位置911から回転軸J1へと向かう方向(すなわち、図8中において右側から左側へと向かう方向)に、偏心量D1と等しい補正距離だけ水平に移動される。これにより、基板9の中心90が、平面視において回転軸J1と重なり、基板9のセンタリングが終了する。その後、基板保持部31により基板9が再度吸着されて保持される。
なお、上述の説明では、図7に示す1周分の測定エッジ情報95から、エッジ位置の最大値Pmax、最小値Pminおよび測定中心値Paveを取得しているが、これには限定されない。例えば、複数周分の測定エッジ情報95におけるエッジ位置の最大値、最小値および測定中心値の算術平均を、最大値Pmax、最小値Pminおよび測定中心値Paveとして取得してもよい。
図6に示す基板処理装置1では、上述の測定エッジ情報95を利用して、基板9の直径が演算部803により求められる。本実施の形態では、基板9の直径は、上述のように約300mmであるが、製造誤差や前工程における熱処理の影響等により、厳密には300mmよりも僅かに大きいまたは小さい場合がある。基板9の直径が求められる際には、まず、基板9と略同様の大きさの基準基板が準備される。ただし、基準基板の直径である基準径は、設計上の基板直径に等しく、本実施の形態では厳密に300mmである。また、基準基板は、反りや歪み等を実質的に有しない。
続いて、基準基板の回転位置とエッジ位置との関係を示す基準エッジ情報が取得される。基準エッジ情報の取得は、測定エッジ情報95の取得よりも前に予め行われる。基準エッジ情報の取得方法は、上述の測定エッジ情報95の取得方法と略同様である。具体的には、まず、基板保持部31により基準基板が水平状態で吸着保持され、測定制御部802により基板回転機構33が制御されることにより、基準基板が回転軸J1を中心として回転される。そして、測定制御部802により測定部6が制御されることにより、回転中の基準基板のエッジ位置が、周方向の全周に亘って継続的に測定される。これにより、基準エッジ情報が取得される。
図9は、基準エッジ情報950の一例を示す図である。基準エッジ情報950は、回転位置0°~360°において、略サインカーブ状の形状を示す。具体的には、基準エッジ情報950では、回転位置がα1°のときにエッジ位置が最大値P0maxを示し、回転位置がα2°(すなわち、α1°+180°)のときにエッジ位置が最小値P0minを示す。基準エッジ情報950におけるエッジ位置の変動は、測定エッジ情報95と同様に、基準基板の中心が基板回転機構33の回転軸J1から径方向にずれていること(すなわち、基準基板の偏心)により生じる。以下の説明では、基準エッジ情報950におけるエッジ位置の最大値P0maxと最小値P0minとの算術平均を「基準中心値P0ave」と呼ぶ。図9では、基準エッジ情報950における基準中心値P0aveを、横軸に平行な二点鎖線で示す。また、図9では、上述の測定エッジ情報95、および、測定エッジ情報95における測定中心値Paveを破線にて併せて示す。
その後、上述のように、測定対象である基板9の測定エッジ情報95が取得され、測定中心値Paveが求められる。そして、制御部8の演算部803により、測定中心値Paveから基準中心値P0aveを減算して得られた差の2倍が、基準基板の基準径(本実施の形態では、300mm)に加算されることにより、基板9の直径が求められる。
なお、上述の説明では、図9に示す1周分の基準エッジ情報950から、エッジ位置の最大値P0max、最小値P0minおよび測定中心値P0aveを取得しているが、これには限定されない。例えば、複数周分の基準エッジ情報950におけるエッジ位置の最大値、最小値および測定中心値の算術平均を、最大値P0max、最小値P0minおよび測定中心値P0aveとして取得してもよい。
次に、図10および図11を参照しつつ、基板処理装置1による基板9の処理の流れについて説明する。基板9の処理が行われる場合には、まず、上述の基準基板が基板処理装置1に搬入され、基板保持部31により水平状態で吸着保持される。このとき、カップ41は、図6に示すように、基板保持部31よりも下方の退避位置に退避しており、測定部6および基板移動機構7が基準基板の側方に位置する。
続いて、基板回転機構33により基準基板が回転軸J1を中心として回転され、回転中の基準基板のエッジ位置が測定部6により測定されることにより、基準エッジ情報950(図9参照)が取得される。そして、演算部803により、基準エッジ情報950における最大値P0maxと最小値P0minとの算術平均が求められて基準中心値P0aveとされる(ステップS11)。
基準中心値P0aveが求められると、基準基板が基板処理装置1から搬出され、処理対象である基板9が基板処理装置1に搬入される。このときも、カップ41は、図6に示すように、基板保持部31よりも下方の退避位置に退避しており、測定部6および基板移動機構7が基板9の側方に位置している。続いて、基板保持部31により水平状態で吸着保持された基板9が、基板回転機構33により回転軸J1を中心として回転される。そして、回転中の基板9のエッジ位置が測定部6により測定されことにより、測定エッジ情報95(図7参照)が取得される。
測定エッジ情報95が取得されると、演算部803により、測定エッジ情報95における最大値Pmaxと最小値Pminとの算術平均である測定中心値Paveが求められる(ステップS12)。そして、測定中心値Paveから基準中心値P0aveを減算して得られた差の2倍が、基準径に加算されることにより、基板9の直径が求められる(ステップS13)。
また、基板回転機構33により基板9が回転され、基板9の第1位置911(すなわち、測定エッジ情報95における最大値Pmaxに対応する回転位置)が、基板移動機構7の基板接触部71と径方向に対向する。そして、基板保持部31による基板9の吸着が解除された後、基板移動機構7により、基板9が、第1位置911から回転軸J1へと向かう方向に、最大値Pmaxから測定中心値Paveを減算して得られた差(すなわち、偏心量D1)に等しい補正距離だけ水平に移動される。これにより、基板9のセンタリングが行われ、基板9の中心90が回転軸J1上に位置する(ステップS14)。なお、ステップS14は、ステップS12よりも後であれば、ステップS13と並行して、あるいは、ステップS13よりも前に行われてもよい。
基板9のセンタリングが終了すると、基板保持部31により基板9が再度吸着される。また、図2に示すように、測定部6および基板移動機構7は退避し、カップ41、第1ノズル51および第2ノズル52が処理位置に位置する。そして、処理部5により、基板9に対して所定の処理が施される(ステップS15)。
ステップS15では、まず、ステップS13において求められた基板9の直径に基づいて、第2ノズル移動機構54により第2ノズル52が径方向に移動される。これにより、第2ノズル52から吐出される処理液の着液位置(すなわち、薬液が基板9の周縁領域93上において着液する径方向の位置)が調節される(図11:ステップS151)。上述のように、基板9上において、第2ノズル52から吐出される薬液により処理される周縁領域93の幅(すなわち、基板9の周縁から周縁領域93と内側領域94との境界までの径方向の距離)は所定の大きさに定められている。このため、基板9の周縁から上記着液位置までの径方向の距離も、所定の目標距離とされる必要がある。
ステップS151では、例えば、基板9の直径が基準径よりも大きい場合、基板9の直径から基準径を減算して得られた差の半分に等しい距離だけ、第2ノズル52が径方向外方へと移動され、上述の着液位置も径方向外方へと移動される。また、基板9の直径が基準径よりも小さい場合、基準径から基板9の直径を減算して得られた差の半分に等しい距離だけ、第2ノズル52が径方向内方へと移動され、着液位置も径方向内方へと移動される。その結果、基板9の直径が基準径と異なる場合であっても、第2ノズル52からの薬液の着液位置と基板9の周縁との間の径方向の距離が、上述の目標距離に近づけられる。
基板処理装置1では、ステップS151と並行して、あるいは、ステップS151よりも前に、基板9の下面近傍に位置する加熱部本体351により、基板9の周縁領域93が加熱される。次に、基板回転機構33により基板9が回転され、回転中の基板9の周縁領域93に向けて、第2ノズル52から薬液が吐出される。そして、周縁領域93に対する薬液の供給が所定時間継続されることにより、周縁領域93に対する薬液処理(例えば、エッチング処理)が行われる(ステップS152)。ステップS152では、上述のように、基板9の周縁領域93が加熱されているため、周縁領域93に対する薬液処理(すなわち、ベベル処理)の速度を増大させることができる。
周縁領域93に対する薬液処理が終了すると、回転中の基板9の中央部に対して、第1ノズル51からリンス液が吐出される。基板9の上面91の中央部に供給されたリンス液は、遠心力により径方向外方へと広がり、周縁領域93に残存している薬液を洗い流す。そして、リンス液の供給が所定時間継続されることにより、基板9に対するリンス処理が行われる(ステップS153)。
リンス処理が終了すると、基板9の回転速度が増大され、基板9の乾燥処理が行われる(ステップS154)。乾燥処理では、基板9上に残っている処理液が、遠心力により基板9の周縁から径方向外方へとへと飛散し、基板9上から除去される。上述のステップS152~S154中に基板9上から径方向外方へと飛散した薬液およびリンス液等の処理液は、カップ部4により受けられ、ハウジング11の外部へと排出される。
ステップS15が終了すると、基板9の回転が停止され、基板保持部31による基板9の吸着が解除される。そして、基板9が基板処理装置1から搬出され、基板9に対する一連の処理が終了する。基板処理装置1では、上述のステップS12~S15の処理が、複数の基板9に対して順次行われる。なお、ステップS11における基準基板の測定は、所定の複数枚の基板9の処理が終了する毎に行われてもよく、1枚の基板9の処理が終了する毎に行われてもよい。
上述の例では、測定部6の受光部62の中心と回転軸J1との間の径方向の距離は、150mm(すなわち、基準基板の基準径の半分)から多少ずれる可能性があるものとして説明したが、当該距離が厳密に基準径の半分となるように、測定部6の受光部62が配置されてもよい。この場合、上述の基準中心値P0aveは0μmとなる。したがって、基準中心値P0aveは、必ずしも、基板処理装置1において基準基板の測定を行って基準エッジ情報950を取得し、基準エッジ情報950における最大値P0maxと最小値P0minとを実際に平均して求める必要はない。すなわち、基準中心値P0aveは、基準エッジ情報950における最大値P0maxと最小値P0minとの算術平均に相当する値である。
以上に説明したように、基板9を処理する基板処理装置1は、基板保持部31と、基板回転機構33と、測定部6と、測定制御部802と、演算部803と、処理部5とを備える。基板保持部31は、基板9を水平状態で保持する。基板回転機構33は、上下方向を向く回転軸J1を中心として基板保持部31を回転する。処理部5は、基板9に所定の処理を施す。測定部6は、基板保持部31に保持された基板9の周縁の水平方向における位置であるエッジ位置を測定する。測定制御部802は、基板回転機構33および測定部6を制御することにより、回転中の基板9のエッジ位置を測定して、基板9の回転位置とエッジ位置との関係を示す測定エッジ情報95を取得する。
演算部803は、測定エッジ情報95の測定中心値Paveから基準エッジ情報950の基準中心値P0aveを減算して得られる差の2倍を、基準径に加算することにより、基板9の直径を求める。測定中心値Paveは、測定エッジ情報95における最大値Pmaxと最小値Pminとの平均である。基準中心値P0aveは、基準径を有する基準基板の回転位置とエッジ位置との関係を示す基準エッジ情報950における最大値P0maxと最小値P0minとの平均に相当する。
このように、基板処理装置1では、基板9のエッジ位置の測定により得られた測定エッジ情報95を利用して基板9の直径が求められる。したがって、基板9の直径を簡素な構成で取得することができる。
上述のように、測定制御部802は、基板回転機構33および測定部6を制御することにより、回転中の基準基板のエッジ位置を測定して基準エッジ情報950を予め取得することが好ましい。また、基準中心値P0aveは、基準エッジ情報950における最大値P0maxと最小値P0minとを平均して求められることが好ましい。これにより、測定部6の設置位置精度にかかわらず、基板9の直径を精度良く求めることができる。したがって、基板処理装置1の製造を簡素化することができる。
上述のように、基板処理装置1は、基板移動機構7をさらに備えることが好ましい。基板移動機構7は、測定エッジ情報95における最大値Pmaxに対応する回転位置である第1位置911から回転軸J1へと向かう方向に、当該最大値Pmaxから測定中心値Paveを減算して得られた差に等しい補正距離だけ、基板9を基板保持部31に対して水平に移動する。このように、基板9のセンタリングを行う基板移動機構7が基板処理装置1に設けられることにより、基板9の中心90と基板保持部31の回転軸J1との一致度を向上することができる。その結果、処理部5による基板9の処理の質を向上することができる。
上述のように、測定部6は、発光部61および受光部62を有する光センサであることが好ましい。発光部61および受光部62は、基板9の周縁近傍において基板9の上方および下方に配置される。これにより、基板9に接触することなく、基板9のエッジ位置を測定することができる。したがって、エッジ位置の測定時における基板9との接触による発塵等を防止することができる。
上述のように、処理部5は、回転中の基板9の周縁領域93に向けて処理液を吐出する液吐出部(すなわち、第2ノズル52)と、第2ノズル52から吐出される処理液の基板9上における着液位置を調節する着液位置調節部(すなわち、第2ノズル移動機構54)とを備えることが好ましい。第2ノズル移動機構54は、演算部803により求められた基板9の直径に基づいて当該着液位置を調節することにより、着液位置と基板9の周縁との間の径方向の距離を目標距離に近づける。これにより、第2ノズル52から吐出される処理液により処理される周縁領域93の幅(すなわち、ベベル処理の処理幅)を、精度良く制御することができる。
上述の基板処理方法は、ステップS12と、ステップS13と、ステップS15とを備える。ステップS12では、水平状態で保持された基板9を、上下方向を向く回転軸J1を中心として回転させ、回転中の基板9のエッジ位置を測定して、基板9の回転位置とエッジ位置との関係を示す測定エッジ情報95を取得する。そして、測定エッジ情報95における最大値Pmaxと最小値Pminとの平均を求めて測定中心値Paveとする。ステップS13では、測定中心値Paveから基準中心値P0aveを減算し、得られた差の2倍を基準径に加算することにより基板9の直径を求める。基準中心値P0aveは、基準径を有する基準基板の回転位置とエッジ位置との関係を示す基準エッジ情報950における最大値P0maxと最小値P0minとの平均に相当する。ステップS15では、基板9に所定の処理を施す。これにより、上記と同様に、基板9の直径を簡素な構成で取得することができる。
上記基板処理方法は、ステップS11をさらに備えることが好ましい。ステップS11では、水平状態で保持された基準基板を回転軸J1を中心として回転させ、回転中の基準基板のエッジ位置を測定して基準エッジ情報950を取得する。そして、基準エッジ情報950における最大値P0maxと最小値P0minとの平均を求めて基準中心値P0aveとする。これにより、上記と同様に、基板9の直径を精度良く求めることができる。
上記基板処理方法は、ステップS12とステップS15との間において、測定エッジ情報95における最大値Pmaxに対応する回転位置である第1位置911から回転軸J1へと向かう方向に、当該最大値Pmaxから測定中心値Paveを減算して得られた差に等しい補正距離だけ、基板9を水平に移動する工程(ステップS14)をさらに備えることが好ましい。これにより、上記と同様に、基板9の中心90と回転軸J1との一致度を向上することができる。その結果、基板9の処理の質を向上することができる。
上述のように、ステップS15は、回転中の基板9の周縁領域93に向けて処理液を吐出する工程(ステップS152)と、ステップS152よりも前に、処理液の基板9上における着液位置を調節する工程(ステップS151)とを備えることが好ましい。ステップS151では、ステップS13において求められた基板9の直径に基づいて着液位置が調節されることにより、着液位置と基板9の周縁との間の径方向の距離が目標距離に近づけられることが好ましい。これにより、上記と同様に、処理液により処理される周縁領域93の幅(すなわち、ベベル処理の処理幅)を、精度良く制御することができる。
基板処理装置1は、処理部5による基板9の処理(ステップS15)の際に基板9を加熱する加熱部35をさらに備えることが好ましい。この場合、測定エッジ情報95の取得は、加熱部35により基板9が加熱された状態で行われてもよい。換言すれば、ステップS12における測定エッジ情報95の取得は、ステップS15と同様に基板9が加熱された状態で行われてもよい。これにより、基板9の処理時と略同じ状態で、基板9の直径を取得することができる。その結果、基板9の直径に基づく着液位置の調節等を精度良く行うことができ、基板9に対する処理の質をさらに向上することができる。また、ステップS15の開始よりも前に基板9を加熱しておくことにより、基板9の一連の処理に要する時間を短縮することもできる。
一方、基板9の加熱中に測定エッジ情報95の取得が行われる場合、測定部6と加熱部35とが近接しているため、加熱部35からの熱により測定部6による測定精度が低下する可能性がある。具体的には、発光部61と受光部62との間における空気が加熱部35により加熱され、当該空気の屈折率が一様ではなくなる。このため、発光部61からの光がランダムに屈折し、受光部62により取得される測定エッジ情報95にノイズが乗る可能性がある。また、加熱部35以外の要因により、測定エッジ情報95にノイズが乗る可能性もある。
図12は、測定エッジ情報に対するノイズの影響を模式的に示す図である。図12では、ノイズが乗っている場合の測定エッジ情報95aを実線にて示し、ノイズが乗っていない場合の測定エッジ情報95を破線にて示す。測定エッジ情報95は、図7に示すものと同じである。測定エッジ情報95aでは、ノイズの影響により、最大値Pmax(a)が測定エッジ情報95の最大値Pmaxよりも大きくなっている。また、測定エッジ情報95aの最大値Pmax(a)に対応する回転位置α1(a)°が、測定エッジ情報95の最大値Pmaxに対応する回転位置α1°からずれている。なお、測定エッジ情報95aと測定エッジ情報95とでは、最小値Pminは同じであり、最小値Pminに対応する回転位置α2°も同じであるものとする。
図12に示す測定エッジ情報95aに基づいて基板9のセンタリングが行われると、基板9の周縁において、測定エッジ情報の実際の最大値に対応する回転位置である第1位置911(図8参照)とは異なる部位を、回転軸J1に向かって押すことになる。具体的には、基板9の周縁において、測定エッジ情報95aの最大値Pmax(a)に対応する回転位置α1(a)°を回転軸J1に向かって押すことになる。その結果、基板9のセンタリングの精度が低下し、基板9の中心90と回転軸J1との一致度が低下する可能性がある。
そこで、基板処理装置1では、ステップS12においてノイズが乗っている測定エッジ情報95aが取得された場合、ステップS14では、測定エッジ情報95aの最大値Pmax(a)と最小値Pminとの平均である測定中心値Pave(a)に対応する回転位置α3°が求められ、当該回転位置α3°に90°だけ加算または減算した回転位置が、第1位置911として求められる。図12に示す例では、第1位置911は、回転位置α3°から90°だけ減算した回転位置として求められる。
測定中心値Pave(a)に対応する回転位置α3°近傍では、回転位置の変動に対するエッジ位置の変動が大きい(すなわち、測定エッジ情報95aの傾きが大きい)ため、回転位置に対するノイズの影響は相対的に小さくなる。このため、ノイズの影響がある場合であっても、回転位置α3°を比較的精度良く求めることができる。したがって、回転位置α3°を基準として第1位置911を求めることにより、ノイズの影響を抑制して、第1位置911を精度良く求めることができる。その結果、基板9のエッジ位置測定においてノイズが乗る場合であっても、基板9のセンタリング(すなわち、第1位置911から回転軸J1へと向かう方向への基板9の水平移動)を精度良く行うことができ、基板9の中心90と回転軸J1との一致度をさらに向上させることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置1aについて説明する。図13は、基板処理装置1aの構成を示す側面図である。基板処理装置1aでは、図2中の第2ノズル52、第2ノズル移動機構54および基板保持部31に代えて、第3ノズル53、流量調節部55および基板保持部31aが設けられる。また、加熱部35は基板保持部31aに内蔵される。基板処理装置1aの他の構成は、図2に示す基板処理装置1と略同様である。以下の説明では、基板処理装置1の構成に対応する基板処理装置1aの構成に同符号を付す。
第3ノズル53は、基板9の下面92に向けて処理液を吐出する液吐出部である。流量調節部55は、第3ノズル53からの処理液の吐出流量を調節する。第3ノズル53は、流量調節部55を介して薬液供給源573(図4参照)に接続されており、回転中の基板9の下面92の中央部に向けて薬液(例えば、エッチング液)を吐出する。基板9の下面92に吐出された薬液は、遠心力によりにより基板9の下面92に沿って径方向外方へと広がり、基板9の周縁を経由して上面91へと回り込み、上面91の周縁領域93に付与される。これにより、基板9の上面91の周縁領域93に対する薬液処理が行われる。
基板保持部31aは、メカニカルチャックである。基板保持部31aは、保持部本体と、複数(例えば、6つ)のチャックピンとを備える。保持部本体は、基板9の下面92と対向する略円板状の部材である。保持部本体の直径は、基板9の直径よりも少し大きい。複数のチャックピンは、保持部本体の周縁部にて周方向に略等角度間隔にて配置される。各チャックピンは、保持部本体の上面から上方へと突出し、基板9の下面92の周縁近傍の部位および側面に接触して基板9を支持する。基板処理装置1aでは、例えば、基板9の周縁領域93に対する薬液処理の前半において、6つのチャックピンのうち3つのチャックピンにより基板9が保持され、当該薬液処理の後半において、残りの3つのチャックピンにより基板9が保持される。これにより、基板9の周縁領域93に対する薬液処理の周方向における均一性を向上することができる。また、基板9に対するリンス処理の際等にも、複数のチャックピンが同様に駆動される。
図14は、基板処理装置1aにおける基板9に対する処理(ステップS15)の詳細な流れを示す図である。基板処理装置1aでは、まず、ステップS13において求められた基板9の直径に基づいて、流量調節部55により第3ノズル53から吐出される予定の処理液(すなわち、薬液)の流量が調節される。これにより、基板9の下面92から上面91に回り込んだ薬液の径方向における到達位置(すなわち、基板9の上面91における薬液の回り込み幅)が調節される(ステップS156)。すなわち、流量調節部55は、当該回り込み幅を調節する回り込み幅調節部である。基板処理装置1aでは、薬液の当該回り込み幅(すなわち、薬液により処理される周縁領域93の幅)は、基板処理装置1と同様に、所定の目標幅に定められている。
ステップS156では、例えば、基板9の直径が基準径よりも大きい場合、第3ノズル53からの薬液の吐出流量が基準流量(すなわち、基準径に対応する流量)よりも大きくされる。また、基板9の直径が基準径よりも小さい場合、第3ノズル53からの薬液の吐出流量が基準流量よりも小さくされる。これにより、基板9の上面91における薬液の回り込み幅(すなわち、処理幅)が、上述の目標幅に近づけられる。
基板処理装置1aでは、ステップS156と並行して、あるいは、ステップS156よりも前に、加熱部35により基板9の周縁領域93が加熱される。次に、基板回転機構33により基板9が回転され、回転中の基板9の下面92に向けて第3ノズル53から薬液が吐出され、上面91の周縁領域93に供給される。そして、周縁領域93に対する薬液の供給が所定時間継続されることにより、周縁領域93に対する薬液処理(例えば、エッチング処理)が行われる(ステップS157)。ステップS157では、上述のように、基板9の周縁領域93が加熱されているため、周縁領域93に対する薬液処理(すなわち、ベベル処理)の速度を増大させることができる。
周縁領域93に対する薬液処理が終了すると、ステップS153~S154と同様に、基板9に対するリンス処理および乾燥処理が行われ(ステップS158~S159)、基板9に対する一連の処理が終了する。
基板処理装置1aにおいても、基板処理装置1と同様に、基板9のエッジ位置の測定により得られた測定エッジ情報95(図7参照)を利用して基板9の直径が求められる。したがって、基板9の直径を簡素な構成で取得することができる。また、基板移動機構7により基板9のセンタリングを行うことにより、基板9の中心90(図8参照)と基板保持部31aの回転軸J1との一致度を向上することができる。その結果、処理部5による基板9の処理の質を向上することができる。
基板処理装置1aでは、上述の薬液処理は、基板9の下面92の周縁領域93に対して行われてもよい。この場合、第3ノズル53は、基板9の上方に設けられ、回転中の基板9の上面91の中央部に向けて薬液を吐出する。当該薬液は、遠心力によりにより基板9の上面91に沿って径方向外方へと広がり、基板9の周縁を経由して下面92へと回り込み、下面92の周縁領域93に付与される。これにより、基板9の下面92の周縁領域93に対する薬液処理が行われる。
以上に説明したように、基板処理装置1aでは、処理部5は、液吐出部である第3ノズル53と、回り込み調節部である流量調節部55とを備える。第3ノズル53は、回転中の基板9の一方の主面(すなわち、上面91または下面92)の中央部に向けて処理液を吐出することにより、基板9の他方の主面(すなわち、下面92または上面91)の周縁領域93に処理液を回り込ませる。流量調節部55は、演算部803により求められた基板9の直径に基づいて、基板9の当該他方の主面における処理液の回り込み幅を調節して目標幅に近づける。これにより、これにより、第3ノズル53から吐出される処理液により処理される周縁領域93の幅(すなわち、ベベル処理の処理幅)を、精度良く制御することができる。
なお、処理液の回り込み幅を調節する回り込み調節部は、必ずしも、第3ノズル53からの処理液の吐出流量を調節する流量調節部55である必要はなく、他の構造(例えば、基板回転機構33による基板9の回転速度を調節する回転速度調節部)であってもよい。
上述の基板処理方法では、ステップS15は、回転中の基板9の一方の主面の中央部に向けて処理液を吐出することにより、基板9の他方の主面の周縁領域93に処理液を回り込ませる工程(ステップS157)と、ステップS157よりも前に、基板9の当該他方の主面における処理液の回り込み幅を調節する工程(ステップS156)とを備える。ステップS156では、ステップS13において求められた基板9の直径に基づいて、当該回り込み幅が目標幅に近づけられる。これにより、上記と同様に、処理液により処理される周縁領域93の幅(すなわち、ベベル処理の処理幅)を、精度良く制御することができる。
上述の基板処理装置1,1aおよび基板処理方法では、様々な変更が可能である。
例えば、基板処理装置1の着液位置調節部は、第2ノズル移動機構54とは異なる構造を有していてもよい。着液位置調節部は、例えば、第2ノズル52の傾きを変更して基板9上における処理液の着液位置を調節するノズルチルト機構であってもよい。
基板処理装置1,1aでは、測定エッジ情報95に対するノイズ等の影響が大きい場合、演算部803において測定エッジ情報95の補正が行われた後、測定エッジ情報95の最大値Pmax、最小値Pminおよび測定中心値Paveが求められてもよい。当該補正としては、例えば、最小二乗法等を利用して測定エッジ情報95をサインカーブ等に近似することが考えられる。基準エッジ情報950についても同様である。
上述の基板処理方法では、基板9の加熱は省略されてもよい。この場合、基板処理装置1,1aでは、加熱部35は省略されてもよい。
測定部6は、必ずしも上述の光センサである必要はなく、他の構造を有する光センサ、または、光センサ以外のセンサであってもよい。
上述の基板処理方法では、必ずしも基板9のセンタリングは行われる必要はなく、測定エッジ情報95に基づいて基板9の直径が求められればよい。この場合、基板処理装置1,1aでは、基板移動機構7は省略されてもよい。
また、上述の基板処理方法では、必ずしも基板9の直径は求められる必要はなく、測定エッジ情報95に基づいて基板9のセンタリングが行われればよい。この場合、基板処理装置1は、基板保持部31と、基板回転機構33と、処理部5と、測定部6と、測定制御部802と、基板移動機構7とを備える。基板保持部31は、基板9を水平状態で保持する。基板回転機構33は、上下方向を向く回転軸J1を中心として基板保持部31を回転する。処理部5は、基板9に所定の処理を施す。
測定部6は、基板保持部31に保持された基板9の周縁の水平方向における位置であるエッジ位置を測定する。測定制御部802は、基板回転機構33および測定部6を制御することにより、回転中の基板9のエッジ位置を測定して、基板9の回転位置とエッジ位置との関係を示す測定エッジ情報95を取得する。基板移動機構7は、測定エッジ情報95における最大値Pmaxに対応する回転位置である第1位置911(図8参照)から回転軸J1へと向かう方向に、当該最大値Pmaxと測定エッジ情報95における最小値Pminとの平均である測定中心値Paveを最大値Pmaxから減算して得られた差に等しい補正距離だけ、基板9を基板保持部31に対して水平に移動する。当該第1位置911は、測定中心値Paveに対応する回転位置に90°だけ加算または減算した回転位置として求められる。これにより、基板9の中心90と基板保持部31の回転軸J1との一致度を向上することができる。その結果、処理部5による基板9の処理の質を向上することができる。基板処理装置1aにおいても同様である。
上述のように、基板処理装置1,1aにおいて基板9の直径取得が行われない場合であっても、測定部6は、発光部61および受光部62を有する光センサであることが好ましい。発光部61および受光部62は、基板9の周縁近傍において基板9の上方および下方に配置される。これにより、基板9に接触することなく、基板9のエッジ位置を測定することができる。したがって、エッジ位置の測定時における基板9との接触による発塵等を防止することができる。
上述のように、基板9の直径取得が行われない場合、基板処理方法は、ステップS12と、ステップS14と、ステップS15とを備える。ステップS12では、水平状態で保持された基板9を、上下方向を向く回転軸J1を中心として回転させ、回転中の基板9のエッジ位置を測定して、基板9の回転位置とエッジ位置との関係を示す測定エッジ情報95を取得する。そして、測定エッジ情報95における最大値Pmaxと最小値Pminとの平均を求めて測定中心値Paveとする。ステップS14では、測定エッジ情報95における最大値Pmaxに対応する回転位置である第1位置911から回転軸J1へと向かう方向に、当該最大値Pmaxから測定中心値Paveを減算して得られた差に等しい補正距離だけ、基板9を水平に移動する。当該第1位置911は、測定中心値Paveに対応する回転位置に90°だけ加算または減算した回転位置として求められる。ステップS15では、基板9に所定の処理を施す。これにより、上記と同様に、基板9の中心90と回転軸J1との一致度を向上することができる。その結果、基板9の処理の質を向上することができる。
基板処理装置1,1aでは、ステップS15における基板9に対する処理は、上述のベベル処理には限定されず、様々な処理(例えば、基板9の一方の主面全体に対する処理)であってもよい。
上述の基板処理装置1は、半導体基板以外に、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等の平面表示装置(Flat Panel Display)に使用されるガラス基板、あるいは、他の表示装置に使用されるガラス基板の処理に利用されてもよい。また、上述の基板処理装置1は、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板等の処理に利用されてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。