以下、本発明を具体化した各種の実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。この領域の当業者から見れば、一つの実施形態のみならず複数の実施形態を組み合わせて実施することが可能である。
以下に図面を参照しながら本実施形態を説明する。以下の説明中では「上」、「下」やその類似の表現を使用しているが、説明を容易にするためであり、その表現により発明の内容が制限されるものではない。
説明の本文中で、本出願における「第1」と「第2」の序数詞は単に標識を表しているだけであり、その他の構造を有していないことを表すものではなく、例えば特定の順序等を表すものではない。しかも、例えば、「第1部材」という表現は「第2部材」の存在を暗示するものではなく、「第2部材」という表現は「第1部材」の存在を暗示するものではない。
本発明のインクジェットプリンタ100は背景技術のインクジェットプリンタ1と大体同じ構造を有している。本発明のインクジェットプリンタ100はプリンタ機能を有する以外に、画像をスキャンする機能やファクシミリ機能やコピー機能等の各種の機能を備えていてもよい。プリンタ機能としては、記録シートの両面に画像を記録する両面画像記録機能を有していてもよい。プリンタ機能以外の機能は任意で備えていてもよい。
図1に示すように、インクジェットプリンタ100はプリンタ本体102とインクタンク110とを備えている。
プリンタ本体102は略直方体形状を有している。プリンタ本体102には、記録シートを供給するための給送トレイと、記録シートを排出するための排出トレイとが設けられている。プリンタ本体102の内部には、例えば多数のノズルを有する記録部109が設けられており、記録部109は記録シートに向けてインクを吐出する。プリンタ本体102の上面には、操作パネルが設置されていてもよく、この操作パネルには、各種情報や設定内容を表示する表示部や、各種操作を実行したり、設定内容を入力したりするために用いられる操作キーが配置されている。実施形態によっては、表示部が設けられていなくても良いし操作キーだけが設けられていても良い。また、操作キーもプリンタ本体102の適切な位置に設けられていてもよく、例えば前表面に設けられていても良い。
インクジェットプリンタ100は、4つのインクタンク110を備えており、その中の1つのインクタンク110はプリンタ本体102の左側前部に配置され、黒色インクが収容されている。その他の3つのインクタンク110はプリンタ本体102の右側前部に配置され、その3つのインクタンク110には左から右に向かってそれぞれシアン、マゼンタ、イエローのインクが収容される。それによりインクジェットプリンタ100は、黒色、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクを用いてカラー画像を記録可能である。
プリンタ本体102は、筐体103を備えており、4つのインクタンク110は筐体103内に設けられている。4つ以外の数のインクタンク110を設置してもよいし、インクタンク110もインクタンク本体130のその他の位置に設置されていてもよい。このほか、インクタンク110はプリンタ本体102に固定されて設置されていてもよいし、プリンタ本体102に対して着脱可能に装着されていてもよい。
図4に示すように、インクタンク110は主にインクタンク本体130とインク注入筒120とから構成されており、インク注入筒120はインクタンク本体130から分離可能でもよいし、分離不能でもよい。インクタンク本体130は主に、インク貯留室131と、インク注入部133と、インク注入口132と、バッファ室134と、インク供給部135及び大気連通部136とを備えている。バッファ室134はインク貯留室131の下方に位置し、併せて図示しない細い流路でインク貯留室131と連通している。大気連通部136はバッファ室134の頂部に設置されており、その内部にはバッファ室134と連通する通路を有している。図示しない大気連通管の一端部の開口を大気連通部136に接続し、その大気連通管の別の一端部の開口をインク注入部133の近傍に配置してもよい。このように構成すれば、大気連通部136は大気連通管の別の一端部の開口を介してインクタンク本体130の外部と連通することができる。この第1実施形態のインクタンク110は、図2に示すインクタンク10と同一の構造を備えている。
インクタンク本体130は、樹脂材料とフィルム139とで構成されていてもよい。詳細には、樹脂材料を用いた射出成型方式により型の中でインクタンク本体130の主体となる樹脂筐体119を形成してもよい。この樹脂筐体119には、インク貯留室131やバッファ室134の内部空間を形成するのに用いられる中空室が設けられている。この中空室は一側に開口を有しているので、樹脂筐体119を型から取り外しやすい。
その後、フィルム139を、例えば接着などの連結方式を介して樹脂筐体119に連結させ、中空室の一側の開口を被覆することで、インク貯留室131と複数のバッファ室134とを連通させる通路を形成する。別の一枚のフィルム(不図示)は樹脂筐体119の別の一側に連結させることでインク貯留室131を形成する。
以下に図4乃至図8を参照して本発明の第1の実施形態のインク注入筒とインクタンクの各実施例を詳細に説明する。なお、以下の本文中では、第1実施形態から第9実施形態までが開示されており、各実施形態においてもそれぞれ各種変形例が存在する。そこで、以下の説明においては、実施形態毎に図面に付与される番号が独立しており、一の実施形態を説明する図面中の番号が他の実施形態を説明する図面中の番号と重複していても、お互いに独立した番号として考慮されるべきである。
(第1実施形態)
図4は本発明の第1実施形態のインク注入筒120を示している。インク注入筒120は長手方向Lに沿って伸びる本体部121を有し、この本体部121は、第1端123と、長手方向Lに沿って第1端123と相対する第2端124とを有している。
図4に示すように、本体部121は第1流路管140と第2流路管150とを備えている。第1流路管140は長手方向Lに沿って伸びており、第1端123のところに位置する第1開口(図4には不図示)と、第2端124のところに位置する第2開口142と、第1開口と第2開口142との間に形成されている第1流路(図4には不図示)とを有している。図から明らかなように、第1開口から第1端123までの距離は、第2開口142から第1端123までの距離より短い。
図4に示すように、第1端123は、第1流路管140の第1開口が形成されている端部と理解でき、これによって、第1開口から第1端123までの距離は0である。好ましくは、第1流路管140の内部横断面積は、長手方向Lに沿って第1端123から第2端124まで徐々に増大しても良い。これによって、インク注入過程において、インクは第1端123から第2端124まで第1流路管140を介してインク貯留室131に順調に流入する。
インク注入筒120は、更に、本体部121の外側に設置された装着部122を備えている。インク注入筒120を図4に示すインクタンク本体130に装着したとき、インク注入筒120の本体部121の第2端124は、インクタンク本体130のインク注入口132を貫通して延びており、インク貯留室131内に進入する。
インクタンク本体130には被係合部(未図示)が設けられている。装着部122がこの被係合部と係合することで、インク注入筒120がインクタンク本体130に対して固定されて装着される構成を実現している。
本実施形態において、装着部122は、外方に向かって突出する鈎型部を有している。これに呼応するように被係合部は凸リブで構成されている。装着部122と被係合部とは、鈎型部を凸リブに引っかける方法で係合される。その他の実施例として、装着部122が被係合部とその他の方法で係合するように構成してもよい。例えば、バックル形式で係合する方法でもよい。
同様に、第2流路管150は長手方向Lに沿って伸びており、第1端123のところにある第3開口151と、第4開口152と、第3開口151と第4開口152との間に形成されている第2流路(図4には不図示)とを有している。図から明らかなとおり、第3開口151から第1端123までの距離は、第4開口152から第1端123までの距離よりも短い。
図4に示すように、第4開口152から第1端123までの距離は、第2開口142から第1端123までの距離よりも短い。インク注入過程において、インクは第1流路管140を介してインク貯留室131に進入し、第4開口152が完全にインクにより塞がれることで「気液置換」過程が停止する。第4開口152から第1端123までの距離は、第2開口142から第1端123までの距離より短い。すなわち、第2流路管150は第1流路管140より短いので、インク貯留室131に十分な量のインクを注入できる。
第1流路管140と第2流路管150は、一体に成型された一部材として設置されていても良いし、別体として設置されていても良い。
第1流路管140の第2開口142の形成されている端面の少なくとも一部分が存在する仮想平面P11は、長手方向Lに直交する仮想平面P2と交差する。具体的には、第2開口142の形成されている端面は図4に示すような1つの傾斜平面にあり、第2開口142の端面上の任意の部分はすべて一平面内にある。当然ながら第2開口142が形成されている端面は図5に示すような傾斜面でもよい。
インク注入筒120がインクタンク本体130に装着された後、インクボトルのボトル口をインクタンク本体130のインク注入部133に挿入可能であり、インク注入筒120の頂端を覆い、第1開口と第3開口151はインクボトルと連通するのに用いられる。インク注入筒120は背景技術内で説明したのと同様の「気液置換」を発生させる。説明を簡単にするため、ここでは再度詳細に説明はしない。
引き続き図4を参照すると、インク貯留室131の底壁の第2開口142の下方に位置する部分にある平面P13は、長手方向Lに直交する仮想平面P2と平行に設置されている。これにより、インク貯留室131内を流動する流体の空間は大きくなるとともに、第2開口142でのメニスカスの形成も抑制されるので、インク注入過程での一時的な停止の現象の発生を防止することができる。
(変形例1)
図5は本発明の第1実施形態の変形例1によるインクタンク210を示す図である。
第2開口242の部分と、インク貯留室231の底部部分の構造を除き、変形例1のインクタンク210は、第1の実施形態のインクタンク110と大体同じ構造を有する。従って、同様の機能を有する構造には同様の番号を付与する。ここでは、説明を簡潔にするために、同じ構造については再度詳述せず、異なる技術的な特徴部分のみを説明する。変形例2から変形例4においても同様である。また、図5に示す変形例1のインクタンク210、図6に示す変形例2のインクタンク310、図7に示す変形例3のインクタンク410、そして図8に示す変形例4のインクタンク510では、フィルムの図示は省略してある。
図5に示すように、第2開口242が形成されている端面が存在する仮想平面P21は一傾斜平面であるから、第2開口242の端面の任意の一部分は全て仮想平面P21内にあり、更に第2開口242の端面のうち大気連通部236に近い部分は、大気連通部236から離れている部分よりも高い位置にある。それとともに、インク貯留室231の底壁の第2開口242の下方部分にある平面P23は長手方向Lに直交する仮想平面P2と交差する。図5に示すように、この平面P23の表面形状は第2開口242から離れれば離れるほど低くなる。これにより、インク貯留室231内において、第2開口242はその下方にある底壁との間に形成する空間は更に余裕があり、流体が第2開口242を介してインク貯留室231に流出するとき、流体はインク貯留室231の第2開口242から離れたところに向かって早い流速で自発的に流れることができ、更に、第2開口242のところでのメニスカスの形成を抑制することができる。従って、インク補給過程において一時的にインク補給が停止する現象が発生するのを防止できる。
(変形例2)
図6は本発明の第1実施形態の変形例2によるインクタンク210を示す図である。
図6に示すように、第2開口342が形成されている端面が存在する仮想平面P31は一傾斜平面であるから、第2開口342の端面の任意の一部分は全て仮想平面P31内にあり、更に第2開口342の端面のうち大気連通部336に近い部分は、大気連通部336から離れている部分よりも低い位置にある。第2開口342が形成されている端面が存在する仮想平面P31は、長手方向Lに直交する平面P2と交差する。
それと同時に、図6に示すように、インク貯留室331の底壁の第2開口342の下方部分にある平面P33は第1流路管340の第2開口342が形成されている端面の少なくとも一部が存在する仮想平面P31と平行である。インク貯留室331の底壁の第2開口342の下方に位置する部分が存在する平面P33と、第2開口342が形成されている端面が存在する仮想平面P31とは、全て長手方向Lに直交する平面P2と交差することが理解できる。これにより、この平面P33の表面形状は、第2開口342から離れれば離れるほど低くなる。このように、流体が第2開口342を介してインク貯留室331に流出するとき、流体はインク貯留室331の第2開口342から離れたところに向かって早い流速で自発的に流れることができ、更に、第2開口342のところでのメニスカスの形成を抑制することができる。従って、インク補給過程において一時的にインク補給が停止する現象が発生するのを防止できる。
(変形例3)
図7は本発明の第1実施形態の変形例3によるインクタンク410を示す図である。
変形例3によるインクタンク410と変形例1によるインクタンク210との違いは、第2開口442を形成する端面が鋸歯形状を有することである。
図7に示すように、鋸歯面の端面の少なくとも一部分が存在する平面が、V字形の両辺が存在する平面を表している。図7においては、V字形の一辺が存在する仮想平面P41がこの端面の一部分が存在する平面を為しており、この仮想平面P41は、長手方向Lに直交する平面P2と交差する。
引き続き図7を参照し、インク貯留室431の底壁の、第2開口442の下方に位置する部分が存在する平面P43は長手方向Lに直交する平面P2と交差する。第2開口442から離れるにつれてこの平面P43の表面形状は徐々に低くなっている。その結果、流体が第2開口442を介してインク貯留室431に流出するとき、流体はインク貯留室431の第2開口442から離れたところに向かって早い流速で自発的に流れることができ、第2開口442のところでのメニスカスの形成を抑制することができる。更に、鋸歯面の端面は流体の乱れを促進でき、流体の流動が更に順調になり、メニスカスの形成を更に抑制することができるので、インク補給過程において一時的にインク補給が停止する現象が発生するのを防止できる。
(変形例4)
図8は本発明の第1実施形態の変形例4によるインクタンク510を示す図である。
変形例4のインクタンク510と変形例3のインクタンク410との違いは、第2開口542を形成する端面が曲面であることである。本変形例4において、第1流路管540の第2開口542が形成されている端面は内向きに凹んだ局面を為している。図8から見るこの曲面は、内向きに凹んだ、連続的な曲率を有する円滑な弧である。この曲面は多数の内向きに凹んだ部分が連続して形成されていると見ることもでき、これにより、内向き凹部分が存在する任意の1つの平面を表す図8中の円滑な弧に接する破線は、この仮想平面P51を表す破線が長手方向Lに直交する仮想平面P2と交差する。その他の実施形態としては、第2開口542’の形成されている端面は外向きに突出した曲面であっても良い。同様に、外向きに突出した部分が存在する任意の1つの平面を表す図8中の円滑な弧に接する破線は、この仮想平面P51’を表す破線が長手方向Lに直交する仮想平面P2と交差する。混乱を避けるために、仮想平面P51は図8に示すように第1種の破線を用いて表し、仮想平面P51’と突出した曲面(第2開口542’を示す)とは、図8に示すように第2種の破線を用いて表している。
引き続き図8を参照すると、インク貯留室531の底壁の第2開口542の下方に位置する部分が存在する平面P53は、長手方向Lと直交する仮想平面P2と交差する。第2開口542から離れるにつれてこの平面P53の表面形状は徐々に低くなっている。その結果、流体が第2開口542を介してインク貯留室531に流出するとき、流体はインク貯留室531の第2開口542から離れたところに向かって早い流速で自発的に流れることができ、第2開口542のところでのメニスカスの形成を抑制することができる。
このように、流体が第1流路管540の第2開口542が形成されている端面のところを流出するとき、曲面の端面は流体の乱れを促進でき、流体の流動が更に順調になり、メニスカスの形成を更に抑制することができるので、インク補給過程において一時的にインク補給が停止する現象が発生するのを防止できる。
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態におけるインク注入筒をインクタンク本体に装着後のインクタンクの斜視図である。
図10は図9に記載したインク注入筒をA-A線に沿って切断したときの断面図であり、本発明の第2実施形態のインク注入筒120を示している。
第1流路管140と第2流路管150は、一体に成型されており、且つ第2流路管150の第4開口152の形成されている端面の少なくとも一部分が存在する仮想平面P1(図10に破線で示す)は、長手方向Lに直交する仮想平面P2(図10に破線で示す)と交差する。具体的には、図10に示すように、第4開口152の端面が存在する仮想平面P1は、長手方向Lに対して傾斜した平面を為しており、すなわち、第4開口152の端面は図10に示す傾斜平面にあるので、第4開口152の端面の任意の部分は全て1つの平面内にあることが理解できる。
このように、第1流路管140と第2流路管150は、一体に成型されており、且つ第2流路管150の第4開口152の形成されている端面の少なくとも一部分が存在する仮想平面P1は、長手方向Lに直交する平面P2と交差するので、インク貯留室131内を流動する流体の空間は大きくなるとともに、第4開口152でのメニスカスの形成も抑制されるので、第2流路管150内のインクの流動は更に順調になり、インク注入過程での一時的な停止の現象の発生を防止することができる。
(変形例1)
図11は本発明の第2実施形態の変形例1のインク注入筒の部分断面図を示している。
第4開口252部分の構造以外は、変形例1のインク注入筒220は第2実施形態のインク注入筒120と大体同じ構造を有している。従って、説明を簡潔にするために、この変形例1では第2実施形態と区別される技術特徴のみを詳細に説明する。変形例2から変形例4までのインク注入筒も同様である。
図11に示すように、第4開口252の端面は、第1端面部分273と第2端面部分274を備えており、第1端面部分273が存在する仮想平面P3は長手方向Lに直交しており、第2端面部分274が存在する仮想平面P4は長手方向Lに直交する平面P2と交差する。
このように、流体が第2流路管250の第4開口252が形成されている端面を流出してから第4開口252を経て第2流路管250に進入するとき、この端面では流体の流速が変動することで流体の流動は更に順調になり、更にはメニスカスの形成も抑制されるので、インク注入過程での一時的な停止の現象の発生を防止することができる。
変形例1においては、1つの第1端面部分273と1つの第2端面部分274のみを有しており、且つ第1端面部分273と第2端面部分274とは互いに接続されている。本発明では、第1端面部分273と第2端面部分274の前にその他の端面部分の存在の有無は限定されていない。その他の実施形態においても、第1端面部分273と第2端面部分274が複数設けられていてもよく、第1端面部分273は第2端面部分274と交互に順次一緒に接続されて、第2流路管250の第4開口252を形成する端面を形成してもよい。
(変形例2)
図12は本発明の第2実施形態の変形例2によるインク注入筒320の部分断面図を示している。
本変形例2において、第2流路管350の第4開口352が形成されている端面には凹溝部375が形成されており、凹溝部375の底壁が存在する仮想平面P5及び/又は側壁が存在する仮想平面P6とは、長手方向Lに直交する平面P2と交差している。凹溝部に関しては以下のように理解できる。第2流路管350の第4開口352の形成されている端面は、自ら端面の内部に向かって凹んだ部分、すなわち、この端面は凹溝部375を有している。図4に示すように、第2流路管350の第4開口352が形成されている端面には複数の凹溝部375が形成されており、各凹溝部375が互いに接続されることでこの端面を形成していることが理解できる。各凹溝部375の内壁は、2つの側壁と1つの底壁とが互いに接続されている。凹溝部375は直角の凹部でも良い。図6に示すように、凹溝部375の底壁が存在する仮想平面P5は、側壁が存在する仮想平面P6と直交する。当然ながら、この端面の複数の凹溝部375が互いに接続されてなる1つの統一体も1つの凹溝部と称しても良い。なぜならこのような構造であったとしてもこの端面が内部に向かって凹む傾向を備えているからである。
このように、流体が第2流路管350の第4開口352が形成されている端面を流出してから第4開口352を経て第2流路管350に進入するとき、この端面では流体の流速が変動することで流体の流動は更に順調になり、更にはメニスカスの形成も抑制されるので、インク注入過程での一時的な停止の現象の発生を防止することができる。
(変形例3)
図13は本発明の第2実施形態の変形例3によるインク注入筒420の部分断面図を示している。
本変形例3において、第2流路管450の第4開口452が形成されている端面には凹溝部475が形成されており、凹溝部475は鋸歯形状をなしている。鋸歯形状の凹溝部475の説明としては、第4開口452が形成されている端面が存在する内部に向かって凹んだ部分を1つの統一体として見なして説明する。第4開口452の形成されている端面は、複数の凹溝部475を有しており、各凹溝部475はV字形状の凹部であると理解してもよい。
図13を参照すると、凹溝部475の側壁が存在する平面は、V字形状の2つの辺が存在する平面と理解してもよく、図13にはV字形状の一辺が存在する仮想平面P7が凹溝部475の側壁が存在する平面をなしていることを示しており、その平面は長手方向Lに直交する仮想平面P2と交差する。
このように、流体が第2流路管450の第4開口452が形成されている端面を流出してから第4開口452を経て第2流路管450に進入するとき、この端面では流体の流速が変動することで流体の流動は更に順調になり、更にはメニスカスの形成も抑制されるので、インク注入過程での一時的な停止の現象の発生を防止することができる。
(変形例4)
図14は本発明の第2実施形態の変形例4によるインク注入筒520の部分断面図を示している。
本変形例4において、第2流路管550の第4開口552が形成されている端面には凹溝部575が形成されており、凹溝部575は曲面をなしている。図14を参照すると明らかなように、凹溝部575は内部に向かって凹んだ円滑な弧であり、その弧は連続する曲率を有している。凹溝部575は内部に向かって凹んだ複数の部分が互いに接続されてなり、これにより任意の1つの内部に向かって凹んだ部分が存在する平面が図14における円滑な弧に接する破線として表されている。仮想平面P8を表す破線は長手方向Lに直交する仮想平面P2と交差する。その他の実施形態において、第2流路管550の第4開口552が形成されている端面は、凸出部575’が形成されていてもよく、凸出部575’は曲面をなしていてもよい。同様の理由で任意の1つの外部に向かって凸出する部分が存在する平面が図14における円滑な弧に接する破線として表されている。仮想平面P8’を表す破線は長手方向Lに直交する仮想平面P2と交差する。混同を避けるために、仮想平面P8は図14中で第1種の破線を用いて表示し、仮想平面P8’と凸出部575’は図14中で第2種の破線を用いて表している。
このように、インク注入過程において、インク貯留室内の流体の流動空間が大きくなるとともに、この端面では流体の流速が変動することで流体の流動は更に順調になり、更にはメニスカスの形成も抑制されるので、インク注入過程での一時的な停止の現象の発生を防止することができる。
(第3実施形態)
図15は本発明の第3実施形態のインク注入筒120を示している。
第2開口142でのメニスカスの形成を避けるために、第2開口142は第1流路管140の側方を向くように設けられている。詳細には、図15に示すように、第1流路管140は第2端124のところに湾曲部170を備えており、第2開口142は湾曲部170の端部の出口を為しており、第1流路管140の内壁は、湾曲部170のところで曲面を呈している。当然ながら、第1流路管140の湾曲部170のところの内壁も曲がった面でもよい。本実施形態では、第2開口142は第1流路管140の側壁に凸状に伸出している。
第2開口142は、少なくとも2つの角部を有して設けられている。第2開口142は第1流路管140の弧形状の壁と鉛直壁とで囲まれて形成され、これによって、2つの角部を有する。
以下の説明におけるその他の実施形態において、第2開口は4つの角部を有する四辺形の開口であってもよい。
インク注入筒120がインクタンク本体130に装着された後、第2開口142は視認面137と反対の方向に向かって設けられていてもよい。例えば、図15において、視認面137は前方を向き、第2開口142は後方を向いて設置されても良い。インクを注入するとき、インクボトルのボトル口をインクタンク本体130のインク注入部133に挿入し、インク注入筒120の頂端を覆う。インクがインク注入筒120を介して注入されるとき、背景技術で説明した「気液置換」が発生する。しかし、第2開口142は側方(図15では「後」方向)を向いているので、この空間は比較的開けており、メニスカスが形成されにくいので、インクを順調に第2開口142から流出させることができる。
まとめると、第2開口142は、第1流路管140の側方を向いて設けられているので、第2開口142のところでメニスカス面が形成されるのを抑制することができ、インクは第1流路管140内の流動を更に順調にでき、インク補給過程において一時的に停止する現象の発生を避けることができる。
(変形例1)
図16は本発明の第3実施形態の変形例1によるインク注入筒220を示している。
第2端224のところの構造を除いて、変形例1のインク注入筒220は第3実施形態のインク注入筒120と大体同じ構造を有している。このため、説明を簡単にするために、ここでは他の実施形態とは区別できる技術的特徴のみを詳細に説明する。変形例2から変形例5までの実施形態のインク注入筒においても同様である。図16に示すように、第1流路管240は第2端124のところに湾曲部270を備えており、湾曲部270は2本の支流路を備えており、2本の支流路が2つの第2開口242を形成している。支流路の数量は、3本でも4本でもよく、各支流路が第2開口を形成する。
このように、第2開口242は第1流路管240の側方を向いており、流体は複数の第2開口242を経て第1流路管240内を流動する。すなわち、流体が流通する複数の支流路を提供できるので、インク補給の過程での一時的な停止の現象の発生を避けることができるとともに、インクを注入する過程が更に速くなる。
(変形例2)
図17は本発明の第3実施形態の変形例2によるインク注入筒320を示している。
本変形例2では、第1流路管340は第2端324のところに端壁371を備えており、第2開口342は第1流路管340の側壁に設けられている。第1流路管340の側壁に直接第2開口342が開設されていることが理解でき、すなわち、第1流路管340の側壁の一部分を除去して第2開口342が形成されている。本実施形態では、第2開口342は、図3に示す第2開口142或いは図4に示す第2開口242のように凸形状に進出していない第1流路管340の側壁にある。
図17に示すように、本実施形態の第2開口342は端壁371と連通している。第1流路管340の第2開口342が形成されている側壁の辺の縁は端壁371と互いに接続されておりしかも共働でインクが流通する開口を形成していることが理解できる。詳細には、第2開口342は、第1流路管340の側壁に形成されている2つの角部を有し、更に第1流路管340の側壁は端壁371と形成する2つの角部を有している。
このことから、第1流路管340は、第2端324のところに端壁371を、第1流路管340の側壁に第2開口342を備えているので、インク注入筒320がインク貯留室内で占める空間を節約でき、インク貯留室に更に多量のインクを収容させることができ、インク注入筒320の加工も更に簡単にできる。
(変形例3)
図18は本発明の第3実施形態の変形例3によるインク注入筒420を示している。
本変形例3では、第1流路管440は第2端424のところに第5開口472を備えており、第5開口472は長手方向Lに向かっている。第2開口442は第3の実施形態を参照すればよく、設置されることで第5開口472と連通している。このことから、第1流路管440の側方に向かって第2開口442と、長手方向Lに向かって第5開口472とが設けられていることにより、流体を更に高速にインク貯留室において第1流路管440との間で流通させることができ、メニスカスの発生を抑制することができ、インク補給過程でインクが一時的に停止する現象の発生を避けることができる。
(変形例4)
図19は本発明の第3実施形態の変形例4によるインク注入筒520を示している。
本変形例4では、複数(図19には2つ示されている)の第2開口542を有している。2つの第2開口542は全て第1流路管540の側壁に設けられている。複数の第2開口542は長手方向Lに沿って間隔を開けて設けられている。好ましくは、複数の第2開口542は長手方向Lに沿って整列している(図19参照)。この他、長手方向Lにおいて、隣接する2つの第2開口542の間の距離は同じでも同じでなくてもよい。ここでいう「同じでない」は、複数の第2開口542が形成する複数の間隔のうち、各間隔が全て同じではないか、或いは複数の間隔のうち、少なくとも1つの間隔がその他の間隔と同じではないものが存在するという意味である。なお、複数の第2開口は長手方向Lに沿って整列していなくてもよい。
本変形例4のインク注入筒520において、変形例2(図17参照)の端壁371のような端壁を有していてもよいし、或いは変形例3(図18参照)の第5開口472のような開口を有していてもよい。
(変形例5)
図20は本発明の第3実施形態の変形例5によるインク注入筒620を示している。
本実施形態では、複数(図20には2つ示されている)の第2開口642を有している。2つの第2開口642は全て第1流路管640の側壁に設けられている。複数の第2開口642は周方向に向かって間隔を開けて設けられている。好ましくは、複数の第2開口642は長手方向Lに沿って第2端624からの距離が同じである。更に好ましくは、複数の第2開口642は周方向に沿って全て同じ間隔で設けられている。当然ながら、複数の第2開口642が周方向に沿って形成されている場合の複数の間隔において、各間隔が全て同じでなくてもよく、或いは複数の間隔のうち、少なくとも1つの間隔がその他の間隔と同じではないものが存在してもよい。当然ながら、複数の第2開口のうち、少なくとも1つの開口642’の長手方向Lに沿った第2端624までの距離は、その他の第2開口642の長手方向Lに沿った第2端624までの距離と同じでなくてもよい。第2開口642或いは第2開口642’が長手方向Lに沿った第2端624までの距離は、第2端624の端面が存在する平面との最短距離でもよい。
本変形例5のインク注入筒620において、変形例2(図17参照)の端壁371のような端壁を有していてもよいし、或いは変形例3(図18参照)の第5開口472のような開口を有していてもよい。
この第3実施形態の発明によれば、インク注入口を有するインクタンクにインクを注入するのに用いられるインク注入筒であって、当該インク注入筒は長手方向に沿って延びており、第1端と、上記長手方向に沿って上記第1端と相対する第2端とを有する本体部を有し、当該本体部は、第1開口と、第2開口と、当該第1開口と当該第2開口との間に形成される第1流路とを有するとともに、上記長手方向に沿って延びる第1流路管と、第3開口と、第4開口と、当該第3開口と当該第4開口との間に形成される第2流路とを有するとともに、上記長手方向に沿って延びる第2流路管と、を備えており、上記第2開口は、上記第1流路管の側方に向いていることを特徴とする。
また、上記第1流路管は上記第2端に湾曲部を備え、上記第2開口は上記湾曲部の端部出口をなしており、上記第1流路管の内壁は、上記湾曲部のところで曲面或いは屈折面をなすことを特徴とする。
また、上記湾曲部は、複数の支路を有し、当該複数の支路は複数の上記第2開口を形成していることを特徴とする。
また、上記第1流路管は上記第2端に端壁を備え、上記第2開口は上記第1流路管の側壁に設けられていることを特徴とする。
また、上記第1流路管は上記第2端に第5開口を備え、上記第5開口は上記長手方向に向いていることを特徴とする。
また、上記第2開口は複数設けられており、上記複数の第2開口は上記長手方向に沿って、或いは上記第1流路管の周方向に沿って間隔を開けて設けられていることを特徴とする。
更に、この第3実施形態の発明によれば、記録部を備えるインクジェットプリンタに用いられるインクタンクであって、当該インクタンクは、インクタンク本体及びこのインクタンク本体に貼着されるフィルムから構成されており、当該インクタンク本体は、上記記録部に供給するインクを貯留するインク貯留室と、上記インク貯留室と連通するインク注入口と、
上述したいずれかの上記インク注入筒と、を備え、当該インク注入筒は上記インク注入口を貫通してインク貯留室内まで延びており、上記第1開口と上記第3開口は上記インクタンク本体の外部に配置され、上記第1流路は上記第2開口を介して上記インク貯留室と連通しており、上記第2流路は上記第4開口を介して上記インク貯留室と連通していることを特徴とする。
また、上記インクタンク本体は、インク貯留室内部のインクの液面を観察するために用いられる視認面を備えており、上記第2開口は上記視認面と反対の方向に向いていることを特徴とする。
また、更に、この第3実施形態の発明によるインクジェットプリンタによれば、記録部と、上述したいずれかのインクタンクと、を備えることを特徴としている。
(第4実施形態)
図21に示すように、インク注入筒120は本体部121と本体部121と一体に成型されている装着部(不図示)とを有している。
図21と図22とに示すように、第1流路管140と第2流路管150の内表面には、すべて第1領域191と第2領域192とが設けられている。第1流路管140の形状/構造と第2流路管150の形状/構造は、略等しくてもよく、以下に第1流路管140の一例を説明する。第1流路管140の形状は任意でよく、それによりその内表面の形状も任意でよい。
この第4実施形態において、内表面は、長手方向D1に垂直な横向方向D2の断面は閉じられており、且つ端点は含まれていない。つまり、内表面は周方向に連続する弧形状表面である。この実施形態において、第1領域191と第2領域192は必要に応じて任意に設けられればよい。
別の変形例では、内表面は、長手方向D1に垂直な横向方向D2の断面は閉じられており、且つ少なくとも1つの端点Pを含んでいる。気液界面が端点Pのところで破壊されることを考慮すると、第1領域191は断面の端点Pではない部分に設けられる。このように、構造を簡単にすることで、インク注入筒の生産に都合が良い。例えば、本第4実施形態において、第1流路管140は半円柱体を為している。図22に示すように、内表面は横向方向D2の断面において閉じられており、半円形状をしているとともに2つの端点Pを備えている。すなわち、内表面は長手方向D1に沿って伸びる平面F1と、弧面F2とを備え、平面F1と弧面F2は互いに交差することで2本の端線を形成する。第1領域191は、断面の部分においてこれら2つの端点P以外に位置し、更には、端点P付近の領域以外に位置している。すなわち、第1領域191は、平面F1と弧面F2とが互いに交差する端線及びその端線付近の領域には設けられていない。
第1領域191と第2領域192はみな所定の方向に沿って伸びている。第1領域191と第2領域192のうち少なくとも一つは所定方向と異なる方向に沿って間隔を開けて設けられている。好ましくは、第1領域191は互いに隣接するとともに横向方向D2において大体並行に設けられている。この第4実施形態において、第2領域192は端線上で且つ端線のところの第1端123から第2端124に向かって伸びていることが理解できる。
第1領域191と第2領域192の長手方向D1に沿った長さは大体同じである。もし必要及び/又は希望があれば、第1領域191と第2領域192のうちの少なくとも一方の長手方向D1に沿った長さは、長手方向D1に沿って変更しても良い。例えば、第1領域191と第2領域192のうちの少なくとも一方の長手方向D1に沿った長さは、徐々に大きくしたり、徐々に小さくしたりしても良いし、或いは交互に大きくしたり小さくしたりしてもよい。詳細には、内表面は上下に設けられている第1領域191を備えており、例えば、上層の第1領域191aは第1長さL1を有し、下層の第1領域191bは第2長さL2を有し、第1長さL1は第2長さL2より短い。内表面は上下に設けられている第2領域192を備えており、例えば、上層の第2領域192aは第3長さL3を有し、下層の第2領域192bは第4長さL4を有し、第3長さL3は第4長さL4より長い。
各第1領域191の濡れ性は全て同じであり、各第2領域192の濡れ性も全て同じである。もし必要及び/又は希望があれば、第1領域191と第2領域192のうちの少なくとも一方の濡れ性を長手方向D1に沿って変化させても良い。例えば、第1領域191と第2領域192のうちの少なくとも一方の濡れ性を長手方向D1に沿って徐々に大きくしたり、徐々に小さくしたりしても良いし、或いは交互に大きくしたり小さくしたりしてもよい。
詳細には、内表面は上下に設けられている第1領域191を備えており、例えば、上層の第1領域191aの濡れ性は、下層の第1領域191bの濡れ性に対して小さくても大きくてもよい。内表面は上下に設けられている第2領域192を備えており、例えば、上層の第2領域192aの濡れ性は、下層の第2領域192bの濡れ性に対して小さくても大きくてもよい。
本第4実施形態においては、内表面の粗さによって濡れ性の違いを実現しても良い。本実施形態において、第1領域191の粗さは第2領域192の粗さより大きい。
例えば、第1領域191は粗い表面であり、第2領域191は滑らかな表面である。粗さを設ける一方法としては、インク注入筒120は型による射出成形で製造されるので、内表面を形成する型の表面に粗さの異なる領域を設けることでインク注入筒120に粗さの異なる第1領域191と第2領域192とを形成することができる。粗さを設ける別の方法としては、インク注入筒120を成形した後、内表面の相応の領域を研磨することでインク注入筒120に粗さの異なる第1領域191と第2領域192とを形成することができる。
粗さを設ける別の方法としては、内表面に表面塗装をすることによって濡れ性の違いを実現しても良い。本実施形態において、第1領域191と第2領域192のうちの少なくとも一方に表面塗装を施すのである。例えば、第1領域191には表面塗装をしてもよく、第2領域192には表面塗装をしないのである。第1領域191の表面塗装の濡れ性は、第2領域192の濡れ性よりも大きくなる。インク注入筒120を成形した後、内表面の相応の領域に液剤を塗布することでこの領域に表面塗装を形成することができる。
(変形例1)
図23には、本発明の第4実施形態の変形例1のインク注入筒220が示されている。第2実施形態におけるインク注入筒220は、第1領域と第2領域を除いて、第4実施形態におけるインク注入筒120と大体同じ構造を有しており、同様の機能を有する構造には同様の番号を付与する。ここでは、説明を簡潔にするために、同じ構造については再度の詳述はしない。
第1流路管240と第2流路管250の内表面には、第1領域291と第2領域292とが設けられている。第1流路管240を例にとると、第1領域291と第2領域292はみな長手方向D1に沿って伸びており(図23)、且つ横向方向D2に沿って大体同じ間隔で設けられている(図24)。好ましくは、第1領域291は互いに隣接するとともに長手方向D1において大体並行に設けられている。第1領域291と第2領域292のうち少なくとも一方は内表面を貫いている。すなわち、第1領域291と第2領域292のうち少なくとも一方は第1開口241から第2開口242まで伸びている。変形例1においては、これら2つの領域は、ともに内表面を貫いている。第1領域291と第2領域292のうち少なくとも一方の濡れ性は長手方向D1に沿って変化する。
(変形例2)
図25には、本発明の第4実施形態の変形例2によるインク注入筒320が示されている。変形例2のインク注入筒320は、第1領域と第2領域を除いて、第4実施形態におけるインク注入筒120と大体同じ構造を有しており、同様の機能を有する構造には同様の番号を付与する。ここでは、説明を簡潔にするために、同じ構造については再度の詳述はしない。
図25に示すように、第1流路管340と第2流路管350の内表面には、第1領域391と第2領域392とが設けられている。第1流路管340を例にとると、第1領域391と第2領域392はみな長手方向D1に対して角度をなす第1方向D3に沿って伸びている(図25)。第1方向D3は、長手方向D1及び横向方向D2とは異なる方向である。第1領域391と第2領域392は長手方向D1に沿って大体同じ間隔で設けられている(図25)。好ましくは、第1領域391と第2領域392のうち少なくとも一方は螺旋形状に設けられている。第1領域391と第2領域392のうち少なくとも一方の長手方向D1に沿った長さは、長手方向D1に沿って変化しても良い。第1領域391と第2領域392のうち少なくとも一方は内表面を貫いている。すなわち、第1領域391と第2領域392のうち少なくとも一方は第1開口341から第2開口342まで伸びている。
この変形例2においては、第1領域391と第2領域392は、ともに螺旋形状に設けられており、併せてこれら2つの領域は長手方向D1に沿った長さは、長手方向D1に沿って変化して内表面を貫いていてもよい。これにより第1領域391と第2領域392のうち少なくとも一方の濡れ性は長手方向D1に沿って変化する。
第4実施形態の発明によれば、インク注入口を有するインクタンクにインクを注入するのに用いられるインク注入筒であって、当該インク注入筒は長手方向に沿って延びており、第1端と、上記長手方向に沿って上記第1端と相対する第2端とを有する本体部を有し、当該本体部は、第1開口と、第2開口と、当該第1開口と当該第2開口との間に形成される第1流路とを有するとともに、上記長手方向に沿って延びる第1流路管と、第3開口と、第4開口と、当該第3開口と当該第4開口との間に形成される第2流路とを有するとともに、上記長手方向に沿って延びる第2流路管と、を備えており、上記第1流路管と上記第2流路管のうち少なくとも一方の内表面には、第1領域と第2領域とが設けられており、上記第1領域の濡れ性は、上記第2領域の濡れ性よりも大きいことを特徴とする。
また、上記内表面の上記長手方向の垂直な横方向の断面は閉じられており且つ端点を備えていないか、或いは上記内表面の上記長手方向の垂直な横方向の断面は閉じられており且つ少なくとも一つの端点を備えており、上記第1領域は、上記断面の部分の上記端点以外のところに位置することを特徴とする。
また、上記第1領域と上記第2領域とは、全て所定方向に沿って伸びており、その所定方向は、上記長手方向、上記長手方向に垂直な横方向、上記長手方向と角度を為す第1方向のうち一つを含んでいることを特徴とする。
また、上記第1領域と上記第2領域のうち少なくとも一方は、上記所定方向と異なる方向に沿って間隔を開けて設けられていることを特徴とする。
また、上記第1領域と上記第2領域のうち少なくとも一方は、上記長手方向或いは上記第1方向に沿って上記内表面を貫通し、且つ/又は上記第1領域と上記第2領域と並行に設けられていることを特徴とする。
また、上記第1領域と上記第2領域のうち少なくとも一方は、上記長手方向のサイズが上記長手方向に沿って変化し、且つ/又は上記第1領域と上記第2領域のうち少なくとも一方の濡れ性は上記長手方向に沿って変化することを特徴とする。
また、上記第1領域と上記第2領域のうち少なくとも一方は、螺旋状に配置されていることを特徴とする。
また、上記第1領域の表面粗さは、上記第2領域の表面粗さより大きく、且つ/又は上記第1領域と上記第2領域の少なくとも一方は表面塗装が設けられていることを特徴とする。
また、第4実施形態の発明によれば、記録部を備えるインクジェットプリンタに用いられるインクタンクであって、当該インクタンクは、インクタンク本体及びこのインクタンク本体に貼着されるフィルムから構成されており、当該インクタンク本体は、上記記録部に供給するインクを貯留するインク貯留室と、上記インク貯留室と連通するインク注入口と、請求項1-8のいずれか一項に記載の上記インク注入筒と、を備え、当該インク注入筒は上記インク注入口を貫通してインク貯留室内まで延びており、上記第1開口と上記第3開口は上記インクタンク本体の外部に配置され、上記第1流路は上記第2開口を介して上記インク貯留室と連通しており、上記第2流路は上記第4開口を介して上記インク貯留室と連通していることを特徴とする。
また、更に、この第4実施形態の発明によるインクジェットプリンタによれば、記録部と、上述したいずれかのインクタンクと、を備えることを特徴としている。
(第5実施形態)
次に、図26と図27とを参照して、本発明の第5実施形態によるインク注入筒120の第1流路143と第2流路153の内部に設けられている凸部160と凹部161を説明する。凸部160と凹部161は、第1流路143と第2流路153それぞれの内表面144,154に設けられており、それぞれ対応する内表面144又は154を基準として、この内表面144又は154に対して凸出又は凹んでいる。
凸部160と凹部161は、インクが流れる第1流路143と第2流路153内にメニスカスが形成されるのを抑制できるので、インクは連続して流動するのである。
図26に示すように、第1流路143の内表面144は1つの曲面145と1つの平面146とで構成されている。例えば、曲面145は円錐台の側面の一部分でも円柱の側面の一部分でもよく、或いは両者を併せ持っていてもよい。好ましくは、曲面145と平面146とが互いに交わる位置には狭角147が形成される。
この狭角147もある程度メニスカスの形成を抑制する作用があるので、凸部160と凹部161と類似の技術的効果を発揮できる。
第2流路153の内表面154は1つの曲面155と1つの平面156とで構成されている。例えば、曲面155は円錐台の側面の一部分でも円柱の側面の一部分でもよく、或いは両者を併せ持っていても良い。第1流路143と同様に、曲面155と平面156とが互いに交わる位置には狭角157が形成される。この狭角157も狭角147と同様の技術的効果を有している。しかも、第1流路143と第2流路153も更に複数の曲面及び/又は複数の平面とから構成されていても良い。
引き続き図26を参照すると、凸部160は第1流路143の内表面144に設けられている凸部160a,160b,160cそして160dを備えている。凸部160a,160bそして160cは、平面146に設けられており、凸部160dは曲面145に設けられている。凸部160は更に第2流路153の内表面154に設けられている凸部160eそして160fを備えている。そのうち、凸部160eは、曲面155に設けられており、凸部160fは平面156に設けられている。第1流路と第2流路のそれぞれの構成の内表面のいずれか一面に凸部が設置されていればよく、設置される凸部の数の多少も一定ではない。この技術領域の技術者はインク注入筒のサイズや生産技術などの実際の要素に基づいて適宜設計をすれば良い。
凹部161は第1流路143の内表面144に設けられている凹部161a,161b,161cそして161dを備えている。凹部161a,161bそして161cは、平面146に設けられており、凹部161dは曲面145に設けられている。凹部161は更に第2流路153の内表面154に設けられている凹部161eそして161fを備えている。そのうち、凹部161eは、曲面155に設けられており、凹部161fは平面156に設けられている。第1流路と第2流路のそれぞれの構成の内表面のいずれか一面に凹部が設置されていればよく、設置される凹部の数の多少も一定ではない。この技術領域の技術者はインク注入筒のサイズや生産技術などの実際の要素に基づいて適宜設計をすれば良い。
第1流路143において、凸部160aの長手方向Lに垂直な断面は弓形状、すなわち、円弧とその円弧に対応する弦を構成する形状を為している。凸部160bと凸部160dの長手方向Lに垂直な断面は長方形を為している。凸部160cの長手方向Lに垂直な断面は台形を為している。しかも、上述した各凸部160の内表面144から外側に向かって突出するサイズはそれぞれ同じではない。これにより、本技術領域の技術者は実際の需要に基づいて凸部160の具体的な形状と凸起のサイズを適宜設計すればよい。当然ながら、その他の実施形態の中で、多数の凸部を設置しても良いし、その中の少なくとも2つは同様な形状の断面及び/又は同様の凸起サイズを有していてもよい。しかも、凸部はその他の実施可能な形状の断面であればよい。
第2流路153において、凸部160eと160fの長手方向Lに垂直な断面は全て長方形を為している。しかしながら、第2流路153に設けられている凸部160は、第1流路143中の凸部160と同一の構造を備えていても良い。
第1流路143において、凹部161aの長手方向Lに垂直な断面は弓形状、すなわち、円弧とその円弧に対応する弦を構成する形状を為している。凹部161bと凹部161dの長手方向Lに垂直な断面は長方形を為している。凹部161cの長手方向Lに垂直な断面は台形を為している。しかも、上述した各凹部161の内表面144から内側に向かって凹んだサイズはそれぞれ同じではない。これにより、本技術領域の技術者は実際の需要に基づいて凹部161の具体的な形状と凹みのサイズを適宜設計すればよい。当然ながら、その他の実施形態の中で、多数の凹部を設置してもよいし、その中の少なくとも2つは同様な形状の断面及び/又は同様の凹みサイズを有していてもよい。しかも、凹部はその他の実施可能な形状の断面であればよい。
第2流路153において、凹部161eと161fの長手方向Lに垂直な断面は全て長方形を為している。しかしながら、第2流路153に設けられている凹部161は、第1流路143中の凹部161と同一の構造を備えていてもよい。
次に図27を参照すると、第1流路143の内表面144の平面146に設けられている凸部160と凹部161が示されている。そのなかで凸部160a、160bと160c及び凹部161a、161bと161cは全て長手方向Lに沿って伸びている。しかしながら、凸部160a、160bと160cのうち各凸部の設置位置(例えば第1端123との距離)は、長手方向Lに沿って伸びる長さ及び幅がそれぞれ同一ではない。凹部161a、161bと161cも各凹部の設置位置(例えば第1端123との距離)は、長手方向Lに沿って伸びる長さ及び幅がそれぞれ同一ではない。しかしながら、複数の凸部或いは複数の凹部のうちの少なくとも2つが第1端123から同じ位置、しかも/或いは同じ長さ及び/又は幅に設けられていてもよい。
好ましくは、複数の凸部160或いは複数の凹部161のうち少なくとも1つが長手方向Lに沿って本体部121の第1端123又は第2端124まで伸びていてもよい。例えば、図27において、第1端123近くに設けられている凸部160bと凹部161aのうち少なくとも1つが第1端123まで伸びていてもよい。或いは、少なくとも1つの凸部160及び/又は少なくとも1つの凹部161が長手方向Lに沿って本体部121の第1端123から第2端124まで伸びていてもよい。
図中には示されてはいないが、第1流路143の内表面144の曲面145に設けられている凸部160と凹部161、及び第2流路153の内表面154に設けられている凸部160と凹部161は、図27に示されている凸部160と凹部161と同一の構造を備えていてもよい。
本発明によれば、インク注入筒を介してインクを注入するとき、インク注入筒の第1流路と第2流路のうち少なくとも一方の内表面の凹部及び/又は凸部は、第1流路及び/又は第2流路中でインクがメニスカスを形成するのを防止できる。従って、インクが第1流路及び/又は第2流路の中を確実に連続して流動するので、インク注入の操作を有利にすることができる。
第5実施形態の発明によれば、インク注入口を有するインクタンクにインクを注入するのに用いられるインク注入筒であって、当該インク注入筒は長手方向に沿って延びており、第1端と、上記長手方向に沿って上記第1端と相対する第2端とを有する本体部を有し、当該本体部は、第1開口と、第2開口と、当該第1開口と当該第2開口との間に形成される第1流路とを有するとともに、上記長手方向に沿って延びる第1流路管と、第3開口と、第4開口と、当該第3開口と当該第4開口との間に形成される第2流路とを有するとともに、上記長手方向に沿って延びる第2流路管と、を備えており、上記第1流路管と上記第2流路管のうち少なくとも一方の内表面には、上記内表面を基準として上記内表面に対して凸出する凸部及び/又は上記内表面に対して凹んでいる凹部が設けられていることを特徴とする。
また、上記内表面は、少なくとも一つの曲面と少なくとも一つの平面とを備えており、上記少なくとも一つの曲面と上記少なくとも一つの平面とが交差する位置に夾角をなすことを特徴とする。
また、上記凹部及び/又は上記凸部は上記少なくとも一つの曲面上に少なくとも一つ設けられており、且つ/或いは、上記凹部及び/又は上記凸部は上記少なくとも一つの平面上に少なくとも一つ設けられていることを特徴とする。
また、上記少なくとも一つの曲面は円錐台の側面の一部分及び/又は円柱の側面の一部分であり、且つ/或いは、上記少なくとも一つの平面は一平面を為していることを特徴とする。
また、上記凹部及び/又は上記凸部の数量は複数あり、併せてそれぞれが長手方向に沿って伸びており、上記複数の凹部のうちの少なくとも一つの凹部の上記長手方向に沿ったサイズは、その他の凹部或いは凸部のサイズとは異なり、上記複数の凸部のうち少なくとも一つの凸部の上記長手方向に沿ったサイズは、その他の凸部或いは凹部のサイズとは異なることを特徴とする。
また、上記凹部及び/又は上記凸部の上記長手方向に直交する断面は、長方形、弓形、台形のうちの少なくとも一つであることを特徴とする。
また、上記凹部のうち少なくとも一つ及び/又は上記凸部のうちの少なくとも一つは、上記長手方向に沿って上記第一端及び/又は上記第二端まで伸びていることを特徴とする。
また、上記凹部或いは上記凸部の数量は複数あり、上記複数の凹部のうち少なくとも一つの凹部の凹みサイズはその他の凹部の凹みサイズとは異なり、且つ/或いは、上記複数の凸部のうち少なくとも一つの凸部の凸起サイズはその他の凸部の凸起サイズとは異なることを特徴とする。
また、第5実施形態の発明によれば、 記録部を備えるインクジェットプリンタに用いられるインクタンクであって、当該インクタンクは、インクタンク本体及びこのインクタンク本体に貼着されるフィルムから構成されており、当該インクタンク本体は、上記記録部に供給するインクを貯留するインク貯留室と、上記インク貯留室と連通するインク注入口と、上述したいずれかの上記インク注入筒と、を備え、当該インク注入筒は上記インク注入口を貫通してインク貯留室内まで延びており、上記第1開口と上記第3開口は上記インクタンク本体の外部に配置され、上記第1流路は上記第2開口を介して上記インク貯留室と連通しており、上記第2流路は上記第4開口を介して上記インク貯留室と連通していることを特徴とする。
また、上記第1開口と上記第3開口とは、上記インク貯留室に注入するためのインクを収容している容器と連通するために用いられることを特徴とする。
また、更に、この第5実施形態の発明によるインクジェットプリンタによれば、記録部と、上述したいずれかのインクタンクと、を備えることを特徴としている。
(第6実施形態)
図1と図28乃至図30は、本発明の第6実施形態のインク注入筒120と、インクタンク110及びそのインクタンク110を有するインクジェットプリンタ100を示している。
第6実施形態のインクタンク本体130は背景技術のインクタンク本体30と略同一の構造を有しており、説明を簡単にするために、再度の詳述はしない。
図29に示すように、インク注入筒120は長手方向Lに沿って伸びる本体部121を有している。本体部121は主として第1流路管140と第2流路管150とを備えている。
第1流路管140は長手方向Lに沿って伸びており、第1開口141と、第2開口142と、第1開口141と第2開口142との間に形成されている第1流路143とを有している。第2流路管150は長手方向Lに沿って伸びており、第3開口151と、第4開口152と、第3開口151と第4開口152との間に形成されている第2流路153とを有している。本発明では、インク注入過程における第1流路と第2流路内のメニスカスの形成の可能性を低減するために、第1流路143と第2流路153のうち少なくとも一方の長手方向Lに沿った少なくとも一部分の、長手方向Lと直交する平面における断面形状が閉じており、且つ少なくとも3つの端点を備えている。
第2流路153も長手方向Lと直交する平面における断面形状が閉じており、且つ少なくとも3つの端点を備えている。好ましくは、第1流路143は、長手方向Lと直交する平面における断面形状が多角形を為しており、且つ第2流路153も長手方向Lと直交する平面における断面形状が多角形を為しており、例えば、四角形、五角形、六角形等である。
この第6実施形態では、図30に示すように、第1流路143と第2流路153の長手方向Lと直交する平面における断面形状が全て正方形を為している。詳細には、第1流路143は、長手方向Lと直交する平面における断面形状が4つの端点、それぞれ端点P11、端点P12、端点P13及び端点P14を備えている。第2流路153も、長手方向Lと直交する平面における断面形状が4つの端点、それぞれ端点P15、端点P16、端点P17及び端点P18を備えている。
(変形例1)
図31は、本発明の第6実施形態の変形例1によるインク注入筒220の断面図である。変形例1のインク注入筒220は第6実施形態のインク注入筒120と大体同じ構造を有しており、類似の機能の構造には類似の番号が付与されている。
本変形例1が第6実施形態と異なるところは、第2流路253の長手方向Lと直交する平面における断面形状が凸型構造を有しており、第1流路243の長手方向Lと直交する平面における断面形状が凸型構造の形状に対応する凹型構造を有している。図31に示す第1流路243と第2流路253が長手方向Lと直交する平面における断面形状はすべて扇型を為している。
詳細には、第1流路管240は長手方向Lに沿って伸びる第1側壁281と、第1側壁281と互いに接続されている第2側壁282を備えており、第1側壁281と第2側壁282がとり囲んで第1流路243を形成している。第2流路管250は長手方向Lに沿って伸びる第3側壁283を備えており、第3側壁283は第2側壁282と互いに接続されており、とり囲んで第2流路253を形成している。第1側壁281と第3側壁283とは互いに接続されており、第2側壁282は第1側壁281と第3側壁283の間に設けられており、且つ第2側壁282の横断面はV字形状を為している。
本変形例1では、第1流路243は、長手方向Lと直交する平面における断面形状は3つの端点、それぞれ端点P21、端点P22及び端点P23を備えている。第2流路253は、長手方向Lと直交する平面における断面形状は3つの端点、それぞれ端点P24、端点P25及び端点P26を備えている。
(変形例2)
図32は、本発明の第6実施形態の変形例2によるインク注入筒320の断面図である。変形例2のインク注入筒320は、変形例1のインク注入筒220と大体同じ構造を有しており、類似の機能の構造には類似の番号が付与されている。
本変形例2が変形例1と異なるところは、本変形例2では、第1流路343の長手方向Lと直交する平面における断面形状が凸型構造を有しており、第2流路353の長手方向Lと直交する平面における断面形状が凸型構造の形状に対応する凹型構造を有している。
図32に示す第1流路343の長手方向Lと直交する平面における断面形状は「凸」字形状を呈しており、第2流路353の長手方向Lと直交する平面における断面形状は「凹」字形状を呈している。
本変形例2では、第1流路343は、長手方向Lと直交する平面における断面形状は8つの端点、それぞれ端点P31、端点P32、端点P33、端点P34、端点P35、端点P36、端点P37及び端点P38を備えている。第2流路353は、長手方向Lと直交する平面における断面形状は8つの端点、それぞれ端点P39、端点P40、端点P41、端点P42、端点P43、端点P44、端点P45及び端点P46を備えている。
第6実施形態のインクジェットプリンタによれば、インクタンクのインク注入筒の第1流路と第2流路のうち少なくとも一方の流路の、長手方向に沿った少なくとも一部分は、長手方向と直交する平面における断面形状が閉じており、且つ少なくとも3つの端点を備えている。従って、インク注入過程中に第1流路と第2流路内にメニスカスが形成される可能性を低減することができ、インク補給過程での一時的な停止の現象を避けることができる。
第6実施形態の発明によれば、インク注入口を有するインクタンクのインクタンク本体にインクを注入するのに用いられるインク注入筒であって、当該インク注入筒は上記インクタンク本体に着脱可能に且つ上記インク注入口を貫通して装着されており、当該インク注入筒は長手方向に沿って伸びる本体部を有しており、当該本体部は、上記長手方向に沿って延びており、且つ第1開口と、第2開口と、当該第1開口と当該第2開口との間に形成される第1流路とを有する第1流路管と、上記長手方向に沿って延びており、且つ第3開口と、第4開口と、当該第3開口と当該第4開口との間に形成される第2流路とを有する第2流路管と、を備えており、上記第1流路と上記第2流路のうち少なくとも一方は、上記長手方向に沿った少なくとも一部分が、上記長手方向に直交する平面における断面形状が閉じており、且つ少なくとも3つの端点を備えていることを特徴とする。
また、上記第1流路の上記長手方向に直交する平面における断面形状が閉じており、且つ少なくとも3つの端点を備えており、且つ/或いは上記第2流路の上記長手方向に直交する平面における断面形状が閉じており、且つ少なくとも3つの端点を備えていることを特徴とする。
また、上記第1流路の上記長手方向に直交する平面における断面形状は多角形を為しており、且つ/或いは上記第2流路の上記長手方向に直交する平面における断面形状は多角形を為していることを特徴とする。
また、上記第1流路の上記長手方向に直交する平面における断面形状は正方形を為しており、且つ/或いは上記第2流路の上記長手方向に直交する平面における断面形状は正方形を為していることを特徴とする。
また、上記第1流路管と上記第2流路管は並んで設けられており、更に上記第1流路と上記第2流路のうちの一方は、上記長手方向に直交する平面における断面形状が凸型構造を有しており、上記第1流路と上記第2流路のうちの他の一方は、上記長手方向に直交する平面における断面形状が上記凸型構造と対応する凹型構造を有していることを特徴とする。
また、上記第1流路の上記長手方向に直交する平面における断面形状は扇形を為しており、且つ/或いは上記第2流路の上記長手方向に直交する平面における断面形状は扇型を為していることを特徴とする。
また、上記第1流路管は上記長手方向に沿って伸びる第1側壁と当該第1側壁と互いに接続されている第2側壁とを備えており、上記第1側壁と上記第2側壁とが囲むことで上記第1流路が形成されており、上記第2流路管は上記長手方向に沿って伸びる第3側壁を備えており、当該第3側壁は上記第2側壁と互いに接続されて囲むことで上記第2流路が形成されていることを特徴とする。
また、上記第1側壁と上記第3側壁とは互いに接続されて囲むことで円形構造を形成しており、上記第2側壁は上記第1側壁と上記第3側壁の間に設けられており、且つ上記第2側壁の横断面はV字形状を為すことを特徴とする。
また、第6実施形態の発明によれば、記録部を備えるインクジェットプリンタに用いられるインクタンクであって、当該インクタンクは、インクタンク本体及びこのインクタンク本体に貼着されるフィルムから構成されており、当該インクタンク本体は、上記記録部に供給するインクを貯留するインク貯留室と、上記インク貯留室と連通するインク注入口と、上述したいずれかの上記インク注入筒と、を備え、当該インク注入筒は上記インクタンク本体に着脱可能に且つ上記インク注入口を貫通して装着されており、上記第1開口と上記第3開口は上記インクタンク本体の外部に配置され、上記第1流路は上記第2開口を介して上記インク貯留室と連通しており、上記第2流路は上記第4開口を介して上記インク貯留室と連通していることを特徴とする。
また、更に、この第6実施形態の発明によるインクジェットプリンタによれば、記録部と、上述したいずれかのインクタンクと、を備えることを特徴としている。
(第7実施形態)
図1と図33乃至図35は、本発明の第7実施形態のインクタンク110及びそのインクタンク110を有するインクジェットプリンタ100を示している。
第7実施形態のインクタンク110は、背景技術のインクタンク10と略同じ構造であるので、同様の機能を持つ構造には、類似の番号を付与している。
図33に示すように、インクタンク110は主にインクタンク本体130とインク注入筒120とから構成されており、インク注入筒120はインクタンク本体130と分離可能に連結されている。インクタンク本体130は主に、インク貯留室131と、インク注入口132と、インク注入部133と、インク供給部135と、大気連通部136及び大気連通口137とを備えている。
インクタンク110は、背景技術で説明をしたインクタンク10と同一の構造を備えているので、ここで再度の詳述はしない。
図33と図34に示すように、インク注入筒120は、更に、本体部121と一体に成型されている装着部122を備えている。インク注入筒120は、装着部122を介してインクタンク本体130に固定されている。装着部122は、本体部121の外側に設けられており、係合構造を有しており、インクタンク本体130に係合されている。図33と図34には2つの装着部122を示しており、2つの装着部122は本体部121の同じ高さの位置に、所定距離の間隔を開けて設けられている。この技術領域の技術者であれば理解できるように、装着部122の数は本実施形態に限定されるものではない。必要に応じて装着部の数量は1つでもよいし、或いは2つより多くても良く、例えば、3つでもよい。図33と図35に示すように、インク注入筒120インク注入口132を貫通して伸びており、本体部121の第1端123はインク注入口132の上方に位置し、本体部121の第2端124はインク貯留室131の中に進入しており、更に装着部122もインク貯留室131の中に伸びて進入しており、インクタンク本体130と係合している。これにより、第1開口141と第3開口151は全てインク貯留室の外部に位置し、第1流路143は第2開口142を介してインク貯留室131と連通しており、第2流路153は第4開口152を介してインク貯留室131と連通しており、第2開口142は底壁に向かって底壁と間隔を為しており、第2開口142と底壁との間の最短距離d1は2.5mm以下である。
インク貯留室131は底壁181を有しており、底壁181の上表面は、水平方向に対して傾斜する流導部182を備えており、第2開口142の水平面P1上に投影されている少なくとも一部分は、流導部182が水平面P1上に投影されている内側に位置し、流導部182と水平面との夾角α1は2.4°以上である。好ましくは、流導部182と水平面P1との夾角α1は3°以上である
本実施形態において、第2開口142が水平面P1上に投影される全ての部分は流導部182が水平面P1上に投影されている内側に位置している。これにより、流導部182はインクに対して流れを導く作用を備えており、インク注入時にインクが第2開口142と流導部182との間で滞留するのを避けることができる。
インク貯留室131はそれぞれ底壁181と互いに連なる側壁183と、第1端壁184と第2端壁185とを有しており、第1端壁184と第2端壁185とはそれぞれ側壁183と互いに連なるとともに側壁183の両側に設けられている。インク注入筒120は第1端壁184と第2端壁185との間に間隔を開けて設けられている。更にインク注入筒120と第1端壁184との間の距離は、インク注入筒120と第2端壁185との間の距離よりも短い。好ましくは、流導部182は第1端壁184から第2端壁185に向かう方向に下向きに傾斜して伸びる構造をなしている。つまり、インク注入筒120はインクタンク本体130の前部に設けられており、併せて流導部182は後ろに向かう方向に下向きに傾斜して伸びている。その結果、インク注入筒120を介して注入されたインクは流導部182の比較的高い位置から下方に向かって比較的低い位置まで流動するので、第2開口142と流導部182の間に停留することはできない。本実施形態において、流導部182は第1端壁184と互いに連なっており、第2端壁185とは間隔を開けて設けられている。当然ながら、必要に応じて、流導部182は第2端壁185と互いに連なっていてもよい。
(変形例1)
図36は本発明の第7実施形態の変形例1によるインクタンク210を示す図である。変形例1のインクタンク210は第7実施形態のインクタンク110と大体同じ構造を有しており、同様の機能を奏する構造には同様の番号が付与されている。
本実施形態において、第1流路管240の第2開口242と底壁281との間の最短距離d2は、2.5mm以下であり、第2開口242が水平面P2上に投影されている全部の部分は、流導部282が水平面P2上に投影されている内側に位置する。流導部282と水平面P2との夾角α2は2.4°以上である。
第7実施形態と異なるのは、第2開口242が存在する平面が水平面P2に対して傾斜しており、第1端壁284から第2端壁285に向かう方向に下向きに傾斜して伸びるように構成されていることである。好ましくは、第2開口242が存在する平面は、流導部282と平行である。
(変形例2)
図37は本発明の第7実施形態の変形例2によるインクタンク310を示す図である。変形例2のインクタンク310は、第7実施形態のインクタンク110と大体同じ構造を有しており、同様の機能を奏する構造には同様の番号が付与されている。
本変形例2において、第1流路管340の第2開口342と底壁381との間の最短距離d3は、2.5mm以下であり、第2開口342が水平面P3上に投影されている一部分は、流導部382が水平面P3上に投影されている内側に位置する。流導部382と水平面P3との夾角α3は2.4°以上である。
本変形例2が第7実施形態と異なるのは、底壁381の上表面が傾斜面386を備えていることであり、傾斜面386は、第1端壁384の内表面と流導部382の間に位置しており、流導部382と水平面P3の夾角α3は、傾斜面386と水平面P3との夾角α4より大きい。
本第7実施形態のインクジェットプリンタによれば、インクタンクのインク貯留室の底壁の上表面に水平方向に対して傾斜している流導部が設けられており、第2開口が水平面上に投影されている少なくとも一部分は、流導部が水平面上に投影されている内側に位置するので、流導部は、インクに対して流れを導く作用を備えており、インク注入時にインクが第2開口と流導部との間で滞留するのを避けることができる。従って、インク注入過程中に第2開口のところでメニスカスが形成される可能性を低減することができ、インク補給過程での一時的な停止の現象を避けることができる。
第7実施形態にかかる発明によれば、記録部を備えるインクジェットプリンタに用いられるインクタンクであって、当該インクタンクは、上記記録部に供給するインクを収容するのに用いられ、底壁を有するインク貯留室と、上記インク貯留室と連通しているインク注入口と、長手方向に沿って伸びており、第1端と、上記長手方向に沿って上記第1端と相対する第2端とを有する本体部を有するインク注入筒と、を備え、記本体部は、上記長手方向に沿って延びており、第1開口と、第2開口と、当該第1開口と当該第2開口との間に形成される第1流路とを有し、上記第1開口から上記第1端までの距離が上記第2開口から上記第1端までの距離よりも短い第1流路管と、上記長手方向に沿って延びており、第3開口と、第4開口と、当該第3開口と当該第4開口との間に形成される第2流路とを有し、上記第3開口から上記第1端までの距離が上記第4開口から上記第1端までの距離よりも短く、上記第4開口から上記第1端までの距離は上記第2開口から上記第1端までの距離よりも短い第2流路管と、を備えており、上記インク注入筒は上記インク注入口を貫通して伸びており、上記第1開口と上記第3開口は上記インク貯留室の外部に位置し、上記第1流路は上記第2開口を介して上記インク貯留室と連通しており、上記第2流路は上記第4開口を介して上記インク貯留室と連通しており、上記第2開口は上記底壁と間隔を開けて上記底壁に面しており、上記第2開口は上記底壁との間の最短距離が2.5mm以下であり、上記底壁の上表面は、水平方向に対して傾斜している流導部を備えており、上記第2開口の水平面上に投影されている少なくとも一部分は、上記流導部が上記水平面上に投影されている内側に位置し、上記流導部と上記水平面との夾角は2.4°以上であることを特徴とする。
また、上記流導部と上記水平面との夾角は3°以上であることを特徴とする。
また、上記インク貯留室は、それぞれ上記底壁と互いに連結されている側壁と、第1端壁と第2端壁とを有しており、上記第1端壁と上記第2端壁とはそれぞれ上記側壁と互いに連結されているとともに上記側壁の両側に設けられており、上記インク注入筒は上記第1端壁と上記第2端壁との間に間隔を開けて設けられており、上記インク注入筒と上記第1端壁との間の距離は、上記インク注入筒と上記第2端壁との間の距離よりも短いことを特徴とする。
また、上記流導部は上記第1端壁から上記第2端壁に向かう方向に沿って下向きに傾斜して伸びる構造であることを特徴とする。
また、上記流導部は、上記第1端壁と互いに連結されていることを特徴とする。
また、上記第2開口が存在する平面は上記水平面と平行であることを特徴とする。
また、上記第2開口が存在する平面は上記水平面に対して傾斜しており、且つ上記第1端壁から上記第2端壁に向かう方向に沿って下向きに傾斜して伸びる構造であることを特徴とする。
また、上記第2開口が存在する平面は、上記流導部と平行であることを特徴とする。
また、上記底壁の上表面は傾斜面を備えており、上記傾斜面は上記第1端壁の内表面と上記流導部との間に位置し、上記流導部と上記水平面との間の夾角は、上記傾斜面と上記水平面との間の夾角より大きいことを特徴とする。
また、更に、この第7実施形態の発明によるインクジェットプリンタによれば、記録部と、上述したいずれかのインクタンクと、を備えることを特徴としている。
(第8実施形態)
以下に、本発明の第8実施形態にかかるインクタンク110を詳細に説明する。このインクタンク110は、背景技術で説明をしたインクタンク10と略同一の構造を備えているので、技術的な特徴を備える部位以外はここ詳述しない。
図38に示すように、底壁191の上表面には凹溝が設けられている。凹溝は上表面に対して凸出しているか又は上表面から下に向かって凹んでいる。図に示す実施形態においては、凹溝は上表面から下方に向かって凹んでいる。全部の凹溝はインク貯留室131内に設けられている。図39に示すように、凹溝の少なくとも一部分は投影領域R11外に位置し、且つ少なくとも一部分は所定領域R12内に位置している。投影領域R11は、第1流路管140の第2開口142が形成されている端部の外輪郭が上表面に投影されたところに形成される領域である。ここで「端部」とは第2端124を示している。所定領域R12は、投影領域R11の形状と相似で且つ面積がN倍の領域であり、1<N≦2.25である。例えば一例を示すと、第1流路管140は半円柱体であってもよく、これにより投影領域R11は半円形状を為している。同様に、所定領域R12も半円形状を為している。
投影領域R11は全て所定領域R12内に位置している。好ましくは、所定領域R12の辺は、投影領域R11の辺と一対一で対応している。互いに対応する辺は隣接している。例えば、所定領域R12の弧形状の辺は、投影領域R11の弧形状の辺と互いに対応し、且つ隣接している。
この第8実施形態によれば、インク注入の過程において、インクはインク注入筒120の第1流路管140から下方に向かって流動して第2開口142から流出した後、底壁191の上表面を高速で拡散する。
凹溝の伸びる方向は、底壁191の上表面と平行である。凹溝の少なくとも一部分は第1端壁197から第2端壁198に向かう方向に沿って伸びている。凹溝は、第1凹溝192と第2凹溝193とを備えていても良い。第1凹溝192の伸びる方向は、第2凹溝193の伸びる方向と同じではない。
例えば、図に示す第8実施形態においては、第1凹溝192は前後方向に沿って伸びており、すなわち、第1凹溝192は第1端壁197から第2端壁198に向かう方向に伸びている。第2凹溝193は、左右方向に沿って伸びている。当然ながら、第1凹溝192と第2凹溝193の配置は、図に示す実施形態に限定されない。
第1凹溝192は第2凹溝193と交差して設けられており、交差しているところも連通している。この実施形態によれば、第2開口142から流出したインクは高速で第1凹溝192と第2凹溝193内を拡散する。底壁191の上表面には、少なくとも2つの第1凹溝192と少なくとも2つの第2凹溝193を設けても良い。隣接した第1凹溝は離間しており、隣接した第2凹溝も離間している。
左側の第1凹溝192aの一部分は所定領域R12の外に位置し、別の一部分は所定領域R12を経由して伸びて投影領域R11を貫通している。中間の第1凹溝192bの一部分は所定領域R12の外に位置し、別の一部分は所定領域R12を経由して投影領域R11内まで伸びている。右側の第1凹溝192cの一部分は所定領域R12の外に位置し、別の一部分は所定領域R12内まで伸びているが投影領域R11までは伸びていない。前側の第2凹溝193aと後側の第2凹溝193bは伸びて所定領域R12と投影領域R11を貫通している。左側の第1凹溝192aは、前側の第2凹溝193aと後側の第2凹溝193bと交差し、且つ連通している。中間の第1凹溝192bは後側の第2凹溝193bと交差し、且つ連通している。
底壁191の上表面は、第2開口142に向く第1表面P11と、第1表面P11に接続され、第1表面P11から第2端壁198に向かって斜め下方に伸びる第2表面P12とを備えている。第2表面P12は第1表面P11と角度をなす傾斜表面である。第1表面P11は略水平方向に沿って伸びており、第1表面P11は水平表面でもよい。第1表面P11は水平方向に対して角度をなしていてもよい。角度は鋭角をなしており、第1表面P11は傾斜表面でもよい。この実施形態において、第1表面P11と第2表面P12の傾斜方向は同じであり、傾斜角度は同じでもよいし同じでなくてもよい。本実施形態において、第2開口142から流出するインクは、最初に底壁191上で第1表面P11から第2表面P12に向かう方向に流動する。第1凹溝192の伸びる方向は第1表面P11から第2表面P12に向かう方向でよく、インクが最初に底壁191上で流動する方向と同じである。
凹溝の少なくとも一部分は、第2表面P12が第1表面P11と互いに交わるところまで伸びていても良い。この実施形態では、インクが第1表面P11から高速で第2表面P12まで流れるのを促進する。
その代わりに、凹溝の少なくとも一部分は、第1表面P11から第2表面P12の上部や中部或いは下部まで伸びていても良い。この実施形態では、インクが第1表面P11から高速で第2表面P12まで流れるのを促進し、且つ第2表面P12上で拡散するのを促進する。図示した実施形態においては、3つの第1凹溝192は全て、第2表面P12と第1表面P11の互いに交わるところまで伸びている。当然ながら、3つの第1凹溝192の第2表面P12に向かって伸びる端部の位置は同じでなくても良い。
(変形例1)
図40は、本発明の第8実施形態の変形例1によるインクタンク210を示している。凹溝以外は本変形例1のインクタンク210は第8実施形態のインクタンク110と大体同じ構造を有しているので、類似の機能の構造には、類似の番号が付与されている。ここでは、説明を簡単にするために、同じ構造のところには再度詳述しない。
図40に示すように、底壁291の上表面には、凹溝が設けられており、凹溝は底壁291の上表面に対して凸出している。詳細には、底壁291には上表面から上方に向かって伸びる第1壁体295と第2壁体296とが設けられている。第1壁体295は第2壁体296と互いに平行で且つ間隔をおいて配置されることで凹溝を形成している。第1壁体295と第2壁体296とは凹溝の側壁299を為しているとも言え、底壁291の上表面は凹溝の底表面壁を形成している。
図示されている変形例1においては、第1凹溝292が例示されている。第1壁体295と第2壁体296は全て前後方向に沿って伸びているので、前後方向に沿って伸びる第1凹溝292が形成されている。更に、第1壁体295と第2壁体296は全て第1表面P21から第2表面P22に向かう方向に沿って伸びており、この変形例1によれば、第1凹溝292の伸びる方向は、第1表面P21から第2表面P22に向かう方向を為している。図示されている実施形態においては、3つの第1凹溝292が示されている。
全て前後方向に沿って伸びる第1凹溝292に対応する第1壁体295と第2壁体296が形成されている。当然ながら、実施形態で図示されてはいないが、少なくとも1つの第2凹溝が設けられていても良い。
第2凹溝は、左右方向に沿って伸びており、対応する第1壁体と第2壁体とが形成されている。
図41に示すように、左側の第1凹溝292aと、中央の第1凹溝292bと右側の第1凹溝292cの伸びている長さは同じではない。左側の第1凹溝292aは所定領域R22内まで伸びており、且つその一部分は投影領域R21内に位置している。中央の第1凹溝292bは伸びて所定領域R22と投影領域R21を貫通し、併せて第1表面P21から第2表面P22の中程まで伸びている。右側の第1凹溝292cは伸びて所定領域R22と投影領域R21を貫通し、併せて第1表面P21から第2表面P22の最下部まで伸びている。
(変形例2)
この変形例2では、インクジェットプリンタは第1インクタンクと第2インクタンク310とを備えている。第1インクタンクは、第8実施形態のインクタンク110や第8実施形態の変形例1のインクタンク210と大体同じ構造を有している。
凹溝を除いて、第2インクタンク310は第8実施形態のインクタンク110と大体同じ構造を有しているので、類似の機能の構造には、類似の番号が付与されている。ここでは、説明を簡単にするために、同じ構造のところには再度詳述しない。この他、図42においては、フィルムが省略されている。
図42に示すように、第2インクタンク310はインクタンク本体330とインク注入筒320とを備えており、インクタンク本体330は、インク貯留室331と、インク注入口332と、インク注入部333と、バッファ室334と、インク供給部335及び大気連通部336とを備えている。インク貯留室331は底壁391と、第1端壁397と、第2端壁398と側壁399とを有している。インクタンク本体330は樹脂筐体319とフィルムで構成されている。第1端壁397は第8実施形態の第1端壁197と同じ機能、すなわち視認窓の機能を有している。
インク注入筒320は本体部321と装着部322とを有している。インク注入筒320は装着部322によってインクタンク本体330に固定されている。本体部321は第1端323と第2端324とを有し、併せて第1流路管340と第2流路管350とを備えている。第1流路管340は長手方向Lに沿って伸びており、且つ第1開口と、第2開口342と、第1流路343とを有している。第2流路管350は長手方向Lに沿って伸びており、且つ第3開口351と、第4開口352と、第2流路353とを有している。
第1インクタンクの第2開口から第1インクタンクの底壁の第1距離D1(図38)は、第2インクタンク310の第2開口342から第2インクタンク310の底壁391までの第2距離D2(図42)より短い。第1インクタンクの底壁の上表面には凹溝が設けられている。第2インクタンク310の底壁391には、インクの流動を促進する凹溝が設けられていない。一つの実施形態としては、例えば、第1距離D1は2.5mm以下であり、第2距離D2は2.5mmより大きい。
本実施形態において、凹溝は、第2開口から底壁までが更に短い第1インクタンク内で更に設けられてもよい。
第8実施形態にかかる発明によれば、記録部を備えるインクジェットプリンタに用いられるインクタンクであって、当該インクタンクは、上記記録部に供給するインクを収容するのに用いられ、底壁を有するインク貯留室と、上記インク貯留室と連通しているインク注入口と、長手方向に沿って伸びており、第1端と、上記長手方向に沿って上記第1端と相対する第2端とを有する本体部を有するインク注入筒と、を備え、上記本体部は、上記長手方向に沿って延びており、第1開口と、第2開口と、当該第1開口と当該第2開口との間に形成される第1流路とを有する第1流路管と、上記長手方向に沿って延びており、第3開口と、第4開口と、当該第3開口と当該第4開口との間に形成される第2流路とを有する第2流路管と、を備えており、上記インク注入筒は上記インク注入口を貫通して伸びており、上記第1開口と上記第3開口は上記インク貯留室の外部に位置し、上記第1流路は上記第2開口を介して上記インク貯留室と連通しており、上記第2流路は上記第4開口を介して上記インク貯留室と連通しており、上記第2開口は上記底壁と間隔を開けて上記底壁に面しており、上記第2開口から上記底壁までの距離は、上記第4開口から上記底壁までの距離より短く、上記底壁の上表面には、凹溝が設けられており、当該凹溝は上記上表面に対して凸出しているか又は上記上表面から下に向かって凹んでおり、全ての上記凹溝はインク貯留室内に設けられており、上記凹溝の少なくとも一部分は投影領域外に位置し、且つ少なくとも一部分は所定領域内に位置しており、上記所定領域は、上記投影領域の形状と相似で且つ面積がN倍の領域であり、1<N≦2.25であり、上記投影領域は全て上記所定領域内に位置することを特徴とする。
また、上記凹溝の伸びる方向は上記上表面と平行であることを特徴する。
また、上記凹溝は、第1凹溝と第2凹溝とを備えており、上記第1凹溝の伸びる方向は、上記第2凹溝の伸びる方向とは異なることを特徴とする。
また、上記第1凹溝と上記第2凹溝とは交差し且つ連通していることを特徴とする。
また、上記インク貯留室は、それぞれ上記底壁と互いに連結され且つ互いに相対している第1端壁と第2端壁とを備えており、上記インク注入筒は上記第1端壁と上記第2端壁との間に位置し、上記インク注入筒と上記第1端壁との間の距離は、上記インク注入筒と上記第2端壁との間の距離よりも短いことを特徴とする。
また、上記凹溝のうち少なくとも一部分は、上記第1端壁から上記第二端壁に向かう方向に沿って伸びていることを特徴とする。
また、上記上表面は、上記第2開口に面する第1表面と、上記第1表面と互いに連結されるとともに上記第1表面から上記第二端壁に向かって下向きに傾斜して伸びる第2表面とを備えており、上記凹溝のうち少なくとも一部分は上記第2表面が上記第1表面と互いに交わるところまで伸びているか或いは上記第1表面から上記第2表面まで伸びていることを特徴とする。
また、上記底壁には上記上表面から上方に向かって伸びる第一壁体と第二壁体とが設けられており、上記第1壁体は上記第2壁体と平行且つ間隔を開けて設けられていることで上記凹溝を形成していることを特徴とする。
また、更に、この第8実施形態の発明によるインクジェットプリンタによれば、記録部と、上述したいずれかのインクタンクと、を備えることを特徴としている。
また、上記インクジェットプリンタは、第1インクタンクと第2インクタンクとを備えており、上記第1インクタンクの第2開口から上記第1インクタンクの底壁までの距離は、上記第2インクタンクの第2開口から上記第2インクタンクの底壁までの距離より短く、上記第1インクタンクの底壁の上表面には、上記凹溝が設けられていることを特徴とする。
(第9実施形態)
以下に、本発明の第9実施形態にかかるインクタンク110を詳細に説明する。このインクタンク110は、背景技術で説明をしたインクタンク10と略同一の構造を備えているので、技術的な特徴を備える部位以外はここでは再度詳述しない。
図43に示すように、インクタンク110は、第1流導部材192と、第2流導部材193と第3流導部材194のうち、少なくとも1つを備えている。第1流導部材192は第1流路管140に設けられ、且つ長手方向に沿って第2開口142を超えて伸びていてもよい。第2流導部材193は底壁191上に設けられていてもよく、第2流導部材193は底壁191の上表面に凸出している。
図44に示すように、第2流導部材193の少なくとも一部分は所定領域R2内に位置している。所定領域R2は、第1流路管140の第2開口142が形成されている端部の外輪郭が上表面に投影されたところに形成される投影領域R1の形状に相似且つ面積がN倍を為す領域であり、1<N≦2.25である。ここで、「端部」とは第2端124を指す。例えば一例を示すと、第1流路管140は半円柱体であってもよく、これにより投影領域R1は半円形状を為している。同様に、所定領域R2も半円形状を為している。
投影領域R1は全て所定領域R2内に位置している。好ましくは、所定領域R2の辺は、投影領域R1の辺と一対一で対応しており、互いに対応する辺は隣接している。例えば、所定領域R2の弧形状の辺は、投影領域R1の弧形状の辺と互いに対応し、且つ隣接している。
第3流導部材194は第2流路管150に設けられ、且つ長手方向に沿って第4開口152を超えて伸びていてもよい。
この実施形態によれば、インクは高速で流動することができ、第1流路管140の第2開口142及び/又は第2流路管150の第4開口152内で停留することができない。このようにインクの流動が形成する気液界面は、インクの高速の流出により不安定な状態となりって容易に破壊される。従って、メニスカス形状の気液界面が形成されるのを抑制することができるので、インク注入の過程においてインクは連続して流動し、インク注入過程での一時的な停止現象、すなわち、インク注入過程でのインク注入の開始と、中断後の再度のインク注入を避けることができ、これにより、インク注入の効率を高めることができ、使用者の使用実感を高めることができる。
第1流導部材192は投影領域R1内に位置している。当然ながら、第1流導部材192の少なくとも一部分は投影領域R1外に位置していてもよく、第1流導部材192は第2端124の外輪郭に凸出してもよい。好ましくは、第1流導部材192は第2端124から下方に向かって伸びて底壁191に接触していてもよい。この第9実施形態によれば、インクは高速で底壁191に接触し底壁191上で拡散する。第1流導部材192は第1流路管140と一体の部材であってもよく、その形状は任意であり、例えば長尺の塊形状である。
第2流導部材193の一部分は、所定領域R2の外に位置し、別の一部分は所定領域R2内まで伸びている。当然ながら、もし需要があれば及び/又は所望であれば、第2流導部材193は投影領域R1内にまっすぐ伸びていても良い。第2流導部材193は第1流導部材192と間隔を開けて設けられていてもよい。
好ましくは、第2流導部材193は第1流路管140に接触していてもよく、詳細には、インク注入筒の第2端124の外輪郭或いは下表面に接触していてもよい。この実施形態においては、インクは高速で第2流導部材193に接触でき、その結果、底壁191まで流れて底壁191上で拡散できる。
第3流導部材194は、第2流路管150の第4開口152が形成されている端部から下方に向かって伸びている。第3流導部材194は、第2流路管150と一体の部材であってもよく、その形状は任意であり、例えば長尺の塊形状である。
図示した第9実施形態において、第1流導部材192、第2流導部材193と第3流導部材194はそれぞれ1つずつの部材として示したが、第1流導部材192、第2流導部材193と第3流導部材194の個数は限定されず、必要に応じて1つ以上が設けられていてもよい。
更に、第2流導部材193の伸びる方向は、底壁191の上表面と平行である。
図に示した第9実施形態において、第2流導部材193は第1端壁197から第2端壁198に向かう方向に沿って伸びており、すなわち、前後方向に沿って伸びている。当然ながら、第2流導部材193の伸びる方向は図示した実施形態に限定されない。
底壁191の上表面は、第2開口142に向く第1表面P11と、第1表面P11と互いに接続され、併せて第1表面P11から第2端124に向かって斜め下方に伸びる第2表面P12とを備えている。第2表面P12は第1表面P11と角度をなす傾斜表面である。第1表面P11は略水平方向に沿って伸びており、第1表面P11は水平表面でもよい。第1表面P11は水平方向に対して角度をなしていてもよい。角度は鋭角をなしており、第1表面P11は傾斜表面でもよい。この実施形態において、第1表面P11と第2表面P12の傾斜方向は同じであり、傾斜角度は同じでもよいし同じでなくてもよい。本実施形態において、第2開口142から流出するインクは、最初に底壁191上で第1表面P11から第2表面P12に向かう方向に流動する。第1凹溝192の伸びる方向は第1表面P11から第2表面P12に向かう方向でよく、インクが最初に底壁191上で流動する方向と同じである。
第2流導部材193は、第1表面P11と互いに交わるところの第2表面P12まで伸びていてもよい。
この実施形態では、インクが第1表面P11から高速で第2表面P12に流れるのを促進できる。
第2流導部材193は、第1表面P11から第2表面P12の上部や中部或いは下部まで伸びていても良い。この実施形態では、インクが第1表面P11から高速で第2表面P12まで流れるのを促進し、且つ第2表面P12上で拡散するのを促進する。
(変形例1)
図45は、本発明の第2実施形態のインクジェットプリンタのインクタンク210を示している。第1流導部材と第2流導部材の位置関係以外は第2実施形態のインクタンク210は第1実施形態のインクタンク110と大体同じ構造を有しているので、類似の機能の構造には、類似の番号が付与されている。ここでは、説明を簡単にするために、同じ構造のところには再度詳述しない。
本変形例1では、第1流路管240に第1流導部材292が設けられており、第1流導部材292は第9実施形態の第1流導部材192と大体同じ構造を有している。
底壁291には第2流導部材293が設けられており、第2流導部材293は第1実施方式の第2流導部材193と大体同じ構造を有している。異なるところは、第2流導部材293が第1流導部材292まで伸びており、併せて第1流導部材292と接触しているところである。この変形例1によれば、インクは高速で第1流導部材292と第2流導部材293を経由して底壁291まで流れ、併せて底壁291上で拡散する。第2流路管250には第3流導部材294が設けられており、第3流導部材294は第1実施形態の第3流導部材194と略同じ構造を有している。
底壁291の上表面は、第1表面P21と第2表面P22とを備えている。第2流導部材293は第1表面P21上に設けられている。更に、第2流導部材293は第1流導部材292の下表面と接触していてもよい。この実施形態では、第2流導部材293の少なくとも一部分は第1流導部材292の下方に位置する。その代わりに、第2流導部材293は第1流導部材292に側表面に接触していてもよく、この実施形態によれば、第2流導部材293は第1流導部材292の一側に位置している。
(変形例2)
図46は本発明の第9実施形態の変形例2によるインクタンク310を示している。第1流導部材と第2流導部材以外は、変形例2のインクタンク310は第9実施形態のインクタンク110と大体同じ構造を有しているので、類似の機能の構造には、類似の番号が付与されている。ここでは、説明を簡単にするために、同じ構造のところには再度詳述しない。
図46に示すように、本変形例2では、インクタンク310は第1流導部材を有していない。底壁391には第2流導部材393が設けられており、第2流導部材393は第1実施形態の第2流導部材193と略同一の構造を有しているが、同一でないのは、第2流導部材393の一部分が伸びて第1流路管340に進入していることである。第2流路管350には、第3流導部材394が設けられており、第3流導部材394は第1実施形態の第3流導部材194と略同一の構造を有している。
底壁391の上表面は、第1表面P31と第2表面P32とを備えている。第2流導部材393は第1表面P31上に設けられている。更に、第2流導部材393は、底壁391と互いに連なっている流導部材本体部395と、流導部材本体部395と互いに連なっている凸出部396とを備えている。流導部材本体部395は、第2端324の下方に位置している。凸出部396は、流導部材本体部395から凸出し、併せて少なくとも一部分が第2開口342を介して第1流路管340に伸びて進入している。この実施形態では、凸出部396第2開口342のところに形成された気液界面を直接破壊することができ、インクが順調に流出することが保証され、第2開口342のところで停留することができない。流導部材本体部と凸出部とは一体部材をなしていてもよい。
(変形例3)
この変形例3では、インクジェットプリンタは、第1インクタンクと第2インクタンク410とを備えている。第1インクタンクは、第9実施形態のインクタンク110や第9実施形態の変形例1によるインクタンク210、或いは第9実施形態の変形例2によるインクタンク310と大体同じ構造を有しているので、類似の機能の構造には、類似の番号が付与されている。簡単に説明するために、再び詳述はしない。
流導部材を除いて、第2インクタンク410は第9実施形態のインクタンク110と大体同じ構造を有しているので、類似の機能の構造には、類似の番号が付与されている。ここでは、説明を簡単にするために、同じ構造のところには再度詳述しない。この他、図8においては、フィルムが省略されている。
第1インクタンクの第2開口から第1インクタンクの底壁の第1距離D1(図43)は、第2インクタンク410の第2開口442から第2インクタンク410の底壁491までの第2距離D2(図47)より短い。第1インクタンクには、第1流導部材と、第2流導部材と、第3流導部材のうち少なくとも1つが備えられている。第2インクタンク410には、第1流導部材、第2流導部材及び第3流導部材等の流導部材は設けられていない。一つの実施形態としては、例えば、第1距離D1は2.5mm以下であり、第2距離D2は2.5mmより大きい。
本実施形態において、流導部材は、第2開口から底壁までが更に短い第1インクタンク内で更に設けられてもよい。
第9実施形態の発明によれば、記録部を備えるインクジェットプリンタに用いられるインクタンクであって、当該インクタンクは、上記記録部に供給するインクを収容するのに用いられ、底壁を有するインク貯留室と、上記インク貯留室と連通しているインク注入口と、長手方向に沿って伸びており、第1端と、上記長手方向に沿って上記第1端と相対する第2端とを有する本体部を有するインク注入筒と、を備え、上記本体部は、上記長手方向に沿って延びており、第1開口と、第2開口と、当該第1開口と当該第2開口との間に形成される第1流路とを有する第1流路管と、上記長手方向に沿って延びており、第3開口と、第4開口と、当該第3開口と当該第4開口との間に形成される第2流路とを有する第2流路管と、を備えており、上記インク注入筒は上記インク注入口を貫通して伸びており、上記第1開口と上記第3開口は上記インク貯留室の外部に位置し、上記第1流路は上記第2開口を介して上記インク貯留室と連通しており、上記第2流路は上記第4開口を介して上記インク貯留室と連通しており、上記第2開口は上記底壁と間隔を開けて上記底壁に面しており、上記第2開口から上記底壁までの距離は、上記第4開口から上記底壁までの距離より短く、上記インクタンクは、第1流導部材と、第2流導部材と、第3流導部材のうち少なくとも一つを備えており、上記第1流導部材は上記第1流路管に設けられ、且つ長手方向に沿って上記第2開口を超えて伸びており、上記第2流導部材は上記底壁上に設けられ、上記第2流導部材は上記底壁の上表面に凸出しており、上記第2流導部材の少なくとも一部分は所定領域内に位置し、上記所定領域は、上記第1流路管の上記第2開口が形成されている端部の外輪郭が上記上表面に投影されたところに形成される投影領域の形状に相似且つ面積がN倍を為す領域であり、1<N≦2.25であり、上記投影領域R1は全て上記所定領域内に位置しており、上記第3流導部材は上記第2流路管に設けられ、且つ長手方向に沿って上記第4開口を超えて伸びていることを特徴とする。
また、上記第1流導部材は上記底壁と接触しており、且つ/或いは上記第2流導部材は上記第1流路管と接触していることを特徴とする。
また、上記第2流導部材は上記底壁と互いに連結されている流導部材本体部と、当該流導部材本体部から凸出し、少なくとも一部分が上記第2開口を介して上記第1流路管に伸びて侵進入している凸出部を備えていることを特徴とする。
また、上記インクタンクは、上記第1流導部材と上記第2流導部材とを備えており、上記第2流導部材は上記第1流導部材の下表面或いは側表面と接触していることを特徴とする。
また、上記第2流導部材の伸びる方向は、上記底壁の上表面と平行であることを特徴とする。
また、上記インク貯留室は、それぞれ上記底壁と互いに連結され且つ互いに相対している第1端壁と第2端壁とを備えており、上記インク注入筒は上記第1端壁と上記第2端壁との間に位置し、上記インク注入筒と上記第1端壁との間の距離は、上記インク注入筒と上記第2端壁との間の距離よりも短いことを特徴とする。
また、上記第2流導部材は上記第1端壁から上記第2端壁に向かう方向に沿って伸びていることを特徴とする。
また、上記上表面は、上記第2開口に面する第1表面と、上記第1表面と互いに連結されるとともに上記第1表面から上記第二端壁に向かって下向きに傾斜して伸びる第2表面とを備えており、上記第2流導部材は、上記第1表面と上記第2表面とが互いに交わるところまで伸びているか或いは上記第2表面まで伸びていることを特徴とする。
また、更に、この第9実施形態の発明によるインクジェットプリンタによれば、記録部と、上述したいずれかのインクタンクと、を備えることを特徴としている。
また、上記インクジェットプリンタは、第1インクタンクと第2インクタンクとを備えており、上記第1インクタンクの第2開口から上記第1インクタンクの底壁までの距離は、上記第2インクタンクの第2開口から上記第2インクタンクの底壁までの距離より短く、上記第1インクタンクは上記第1流導部材、上記第2流導部材及び上記第3流導部材のうち少なくとも一つを備えていることを特徴とする。
以上、各実施形態の各技術特徴を任意の組み合わせで実施可能である。説明を簡潔にするために、上述した各実施形態で説明した各技術特徴の全ての可能な組み合わせを説明したわけではないが、これらの技術特徴の組み合わせには矛盾が存在せず、全ての組み合わせが本説明に記載の範囲である。
この他、本発明はインクタンクも提供しており、そのインクタンクは上述したいずれかのインク注入筒を備えている。
この他、本発明はインクジェットプリンタも提供しており、このインクジェットプリンタは記録部と上述したいずれかのインクタンクを備えている。
特別な定義を除けば、本説明文中で用いた技術や科学技術用語は、本発明の技術領域の技術者が通常理解を含んだ範囲と同じである。本説明文中で用いた用語は、具体的な実施形態を説明するために用いたものであり、本発明を限定するものではない。本説明文中に出現する「部材」等の用語は1つの部材を示しているが、複数の部材の組み合わせを表していても良い。本説明文中に出現する「装着」、「設置」等の用語は、1つの部材を直接他の一部材に接続することを示しているが、1つの部材が中間部材を介して他の一部材に接続することを表していても良い。
本発明は既に上述の実施形態を通して説明をしてきたが、理解されるべきは、上述の実施形態は例を挙げて説明する目的でなされたものであり、本発明の本質は上述の実施形態の範囲内に制限されるものではない。この他、この技術領域の技術者が理解できることは、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、この発明の開示は更に多くの変形と修正を加えることができることを教示している。従って、これらの変形や修正もすべて本発明の特許請求の範囲内に含まれることは言うまでも無い。