(第1実施形態)
第1実施形態の提示制御装置について、図1~図24を参照しながら説明する。第1実施形態の提示制御装置は、車両Aに搭載されたHCU(Human Machine Interface Control Unit)100により提供される。HCU100は、車両Aにおいて用いられるHMI(Human Machine Interface)システムを、複数の表示デバイス、オーディオ装置24および操作デバイス26等と共に構成している。HMIシステムは、車両Aの乗員(例えばドライバ等)による操作を受け付ける入力インターフェース機能と、ドライバへ向けて情報を提示する出力インターフェース機能とを備えている。HCU100は、ロケータ30、周辺監視センサ40、車載通信器50、第1自動運転ECU60、第2自動運転ECU70、DSM27および車両制御ECU80と、通信バス99等を介して接続されている。
ロケータ30は、複数の取得情報を組み合わせる複合測位により、自車位置情報等を生成する。ロケータ30は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機31、慣性センサ32、地図データベース(以下、「地図DB」)DB33、およびロケータECU34を備えている。GNSS受信機31は、複数の測位衛星からの測位信号を受信する。慣性センサ32は、車両Aに作用する慣性力を検出するセンサである。慣性センサ32は、例えばジャイロセンサおよび加速度センサを備える。
地図DB33は、不揮発性メモリであって、リンクデータ、ノードデータ、道路形状、構造物等の地図データを格納している。地図データは、道路形状および構造物の特徴点の点群からなる三次元地図であってもよい。なお、3次元地図は、REM(Road Experience Management)によって撮像画像をもとに生成されたものであってもよい。また、地図データには、交通規制情報、道路工事情報、気象情報、および信号情報等が含まれていてもよい。地図DBに格納された地図データは、後述の車載通信器50にて受信される最新の情報に基づいて、定期的または随時に更新される。
ロケータECU34は、プロセッサ、メモリ、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたマイクロコンピュータを主体として含む構成である。ロケータECU34は、GNSS受信機31で受信する測位信号、地図DB33の地図データ、および慣性センサ32の計測結果を組み合わせることにより、車両Aの位置(以下、自車位置)を逐次測位する。自車位置は、例えば緯度経度の座標で表される構成とすればよい。なお、自車位置の測位には、車両Aに搭載された車速センサから逐次出力される信号から求めた走行距離を用いる構成としてもよい。地図データとして、道路形状および構造物の特徴点の点群からなる3次元地図を用いる場合、ロケータECU34は、GNSS受信機31を用いずに、この3次元地図と、周辺監視センサ40での検出結果とを用いて、自車位置を特定する構成としてもよい。
周辺監視センサ40は、車両Aの周辺環境を監視する自律センサである。周辺監視センサ40は、車両A周囲の検出範囲から、歩行者、サイクリスト、人間以外の動物、および他車両等の移動物体、さらに路上の落下物、ガードレール、縁石、道路標識、走行区画線等の路面表示、および道路脇の構造物等の静止物体などを検出可能である。周辺監視センサ40は、車両Aの周囲の物体を検出した検出情報を、通信バス99を通じて、第1自動運転ECU60、第2自動運転ECU70等に提供する。
周辺監視センサ40は、物体検出のための検出構成として、フロントカメラ41およびミリ波レーダ42を有している。フロントカメラ41は、車両Aの前方範囲を撮影した撮像データ、および撮像データの解析結果の少なくとも一方を、検出情報として出力する。ミリ波レーダ42は、例えば車両Aの前後の各バンパーに互いに間隔を開けて複数配置されている。ミリ波レーダ42は、ミリ波または準ミリ波を、車両Aの前方範囲、前側方範囲、後方範囲および後側方範囲等へ向けて照射する。ミリ波レーダ42は、移動物体および静止物体等で反射された反射波を受信する処理により、検出情報を生成する。なお、地物の特徴点の点群を検出するLiDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)、超音波の反射波を受信するソナー等の他の検出構成が、周辺監視センサ40に含まれていてもよい。
車載通信器50は、車両Aに搭載される通信モジュールである。車載通信器50は、LTE(Long Term Evolution)および5G等の通信規格に沿ったV2N(Vehicle to cellular Network)通信の機能を少なくとも有しており、車両Aの周囲の基地局との間で電波を送受信する。車載通信器50は、路車間(Vehicle to roadside Infrastructure,以下「V2I」)通信および車車間(Vehicle to Vehicle,以下「V2V」)通信等の機能をさらに有していてもよい。車載通信器50は、V2N通信により、クラウドと車載システムとの連携(Cloud to Car)を可能にする。車載通信器50の搭載により、車両Aは、インターネットに接続可能なコネクテッドカーとなる。車載通信器50は、交通情報センタ等から配信される渋滞情報を取得し、第2自動運転ECU70およびHCU100等に提供する。
第1自動運転ECU60および第2自動運転ECU70は、それぞれプロセッサ62,72、メモリ61,71、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として含む構成である。第1自動運転ECU60および第2自動運転ECU70は、車両Aの走行を部分的または実質全て制御する自動走行制御を実行可能なECUである。
第1自動運転ECU60は、ドライバの運転操作を部分的に代行する部分的自動運転機能を備えている。第2自動運転ECU70は、ドライバの運転操作を代行可能な自動運転機能を備えている。一例として、米国自動車技術会の規定する自動運転レベルにおいて、第1自動運転ECU60は、レベル2以下の部分的な自動走行制御(高度運転支援)を可能にする。すなわち、第1自動運転ECU60は、周辺監視がドライバに必要とされる自動走行制御を、実施可能にする。換言すると、第1自動運転ECU60は、後述のセカンドタスクが禁止される自動運転を、実施可能にする。
例えば、第1自動運転ECU60は、車両Aの縦方向制御および横方向制御の一方または両方を実行可能である。ここで縦方向は、車両Aの前後方向と一致する方向であり、横方向は、車両Aの幅方向と一致する方向である。第1自動運転ECU60は、縦方向制御として、車両Aの加減速の制御を実行する。また、第1自動運転ECU60は、横方向制御として、車両Aの操舵輪の舵角制御を実行する。
第1自動運転ECU60は、メモリ61に記憶された運転支援プログラムが複数の命令をプロセッサ62に実行させることで、上述の高度運転支援を実現する複数の機能部を構築する。具体的には、第1自動運転ECU60は、図2に示すように、環境認識部63、ACC制御部64、およびLTA制御部65等を機能部として構築する。
環境認識部63は、周辺監視センサ40から取得する検出情報に基づき、車両Aの周囲の走行環境を認識する。環境認識部63は、走行環境認識のために実施した検出情報の解析結果を、解析済みの検出情報として、ACC制御部64およびLTA制御部65に提供する。一例として、環境認識部63は、車両Aが現在走行する車線(以下、現在車線)の左右の区画線または道路端の相対位置および形状を示す情報(車線情報)を、解析済みの検出情報として生成する。加えて、環境認識部63は、現在車線にて車両Aに先行する先行車の有無と、先行車が有る場合のその位置および速度と、を示す情報(先行車情報)を、解析済みの検出情報として生成する。環境認識部63は、先行車情報をACC制御部64に逐次提供し、車線情報をLTA制御部65に逐次提供する。なお、環境認識部63は、後述のMDエリア、ADエリア、並びにST区間、非ST区間を認識する構成であってもよい。
ACC制御部64は、先行車情報に基づいて、目標速度での車両Aの定速走行または先行車への追従走行を実現するACC(Adaptive Cruise Control)制御を実行する。LTA制御部65は、車線情報に基づいて、車両Aの車線内走行を維持するLTA(Lane Tracing Assist)制御を実行する。具体的には、各制御部64,65は、加減速または舵角の制御指令を生成し、後述の車両制御ECU80へと逐次提供する。ACC制御が縦方向制御の一例であり、LTA制御が横方向制御の一例である。
第1自動運転ECU60は、ACC制御およびLTA制御の両方を実行することで、レベル2の自動運転を実現する。なお、第1自動運転ECU60は、ACC制御およびLTA制御のいずれか一方を実行することで、レベル1の自動運転を実現可能であってもよい。
一方、第2自動運転ECU70は、上述の自動運転レベルにおいて、レベル3以上の自動走行制御を可能にする。すなわち、第2自動運転ECU70は、周辺監視の中断がドライバに許可される自動運転を、実施可能にする。換言すると、第2自動運転ECU70は、セカンドタスクが許可される自動運転を、実施可能にする。
ここでセカンドタスクとは、ドライバに対して許可される運転以外の行為であって、予め規定された特定行為である。第2自動運転ECU70によるレベル3の自動運転機能によって車両Aが自動走行する自動走行期間にて、この場合のドライバは、限定領域から出るときまたは緊急時において、自動運転システムから運転の制御権を引き継ぐ者(搭乗者)である。自動運転システムによる運転操作の実施要求、即ち、運転交代の要請(Take Over Request)が発生するまで、ドライバには、セカンドタスクの実施が法規的に許可され得る。
セカンドタスクは、セカンダリアクティビティまたはアザーアクティビティ等と呼ばれ得る。セカンドタスクは、自動運転システムからの運転操作の引き継ぎ要求にドライバが対応することを妨げてはならないとされる。一例として、動画等のコンテンツの視聴、スマートフォン等の操作、読書、および食事等の行為が、セカンドタスクとして想定される。
第2自動運転ECU70は、メモリ71に記憶された自動運転プログラムが複数の命令をプロセッサ72に実行させることで、上述の自動運転を実現する複数の機能部を構築する。具体的には、第2自動運転ECU70は、環境認識部73、行動判断部74、および軌道生成部75等を機能部として構築する。
環境認識部73は、周辺監視センサ40から取得する検出情報、ロケータECU34から取得する自車位置および地図データ、車載通信器50から取得する通信情報等に基づき、車両Aの周囲の走行環境を認識する。一例として、環境認識部73は、車両Aの現在車線の位置、現在車線の形状、並びに車両A周辺の移動体の相対位置および相対速度等を認識する。環境認識部73は、以上の認識結果を行動判断部74および軌道生成部75に逐次提供する。
加えて、環境認識部73は、車両Aの走行地域における手動運転エリア(MDエリア)および自動運転エリア(ADエリア)の判別、ADエリアにおけるST区間および非ST区間の判別を行い、その認識結果をHCU100に逐次提供する。
MDエリアは、自動運転が禁止されるエリアである。換言すれば、MDエリアは、車両Aの縦方向制御、横方向制御および周辺監視の全てをドライバが実行すると規定されたエリアである。例えば、MDエリアは、走行路が一般道路であるエリアとされる。
ADエリアは、自動運転が許可されるエリアである。換言すれば、ADエリアは、縦方向制御、横方向制御および周辺監視のうち1つ以上を、車両Aが代替可能なエリアである。例えば、ADエリアは、走行路が高速道路または自動車専用道路であるエリアとされる。
ADエリアは、レベル2以下の自動運転が可能な非ST区間と、レベル3以上の自動運転が可能なST区間とに区分される。なお、第1実施形態において、レベル1の自動運転が許可される非ST区間と、レベル2の自動運転が許可される非ST区間は、同等であるとする。
ST区間は、例えば、渋滞が発生している走行区間(渋滞区間)であるとされる。また、ST区間は、例えば、高精度地図が整備された走行区間であるとされる。周辺状態把握部110は、車両Aの走行速度が閾範囲内である状態が所定期間継続している場合に、ST区間であると判断する。または、周辺状態把握部110は、自車位置と、車載通信器50から取得した渋滞情報とを組み合わせて、ST区間であるか否かを判断してもよい。なお、周辺状態把握部110は、渋滞区間に加えて、車両Aの周辺環境に関して渋滞以外の特定の条件が成立する区間をST区間としてもよい。
行動判断部74は、走行環境の認識結果に基づいて、車両Aに予定される将来行動を判断する。具体的には、行動判断部74は、後述のHCU100との共同により自動運転の開始指示を取得している場合、目的地に到着するために、車両Aが取るべき振る舞いの類型(例えば、直進、右折、左折、車線変更等)を将来行動として決定する。また、行動判断部74は、ドライバへの運転制御権の移譲が必要であると判断した場合には、交代要請を生成し、HCU100へと提供する。
軌道生成部75は、走行環境の認識結果および決定された将来行動に基づき、自動運転を実行可能な区間での車両Aの走行軌道を生成する。走行軌道には、例えば進行に応じた車両Aの目標位置および各目標位置での目標速度等が含まれている。軌道生成部75は、生成した走行軌道を、自動走行において車両Aが従う制御指令として車両制御ECU80に逐次提供する。
以上の自動運転ECU60,70を含んで構成される自動運転システムにより、車両Aにおいてレベル2およびレベル3相当の自動運転が少なくとも実行可能となる。以下において、レベル2相当の自動運転を実行している状態を「レベル2実行モード」、レベル3相当の自動運転を実行している状態を「レベル3実行モード」と表記する場合がある。
車両制御ECU80は、車両Aの加減速制御および操舵制御を行う電子制御装置である。車両制御ECU80としては、操舵制御を行う操舵ECU、加減速制御を行うパワーユニット制御ECUおよびブレーキECU等がある。車両制御ECU80は、車両Aに搭載された舵角センサ、車速センサ等の各センサから出力される検出信号を取得し、電子制御スロットル、ブレーキアクチュエータ、EPS(Electric Power Steering)モータ等の各走行制御デバイスへ制御信号を出力する。車両制御ECU80は、車両Aの制御指示を第1自動運転ECU60または第2自動運転ECU70から取得することで、当該制御指示に従う自動走行を実現するように、各走行制御デバイスを制御する。
また、車両制御ECU80は、ドライバによる運転部材の運転操作情報を検出する車載センサ81と接続されている。車載センサ81は、例えば、アクセルペダルの踏込量を検出するペダルセンサ、およびステアリングの操舵量を検出するステアセンサ等を含んでいる。車両制御ECU80は、検出されたこれら運転操作情報を、HCU100へと逐次提供する。
DSM27は、近赤外光源及び近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニットとを含む構成である。DSM27は、運転席のヘッドレスト部分に近赤外カメラを向けた姿勢にて、例えばステアリングコラム部の上面またはインスツルメントパネル9の上面等に設置されている。DSM27は、近赤外光源によって近赤外光を照射されたドライバの頭部を、近赤外カメラによって撮影する。近赤外カメラによる撮像画像は、制御ユニットによって画像解析される。制御ユニットは、ドライバのアイポイントの位置および視線方向等の情報を撮像画像から抽出し、抽出したドライバの状態情報を、通信バス99を通じて、HCU100等に提供する。
次に、HMIシステムに含まれる複数の表示デバイス、オーディオ装置24、操作デバイス26およびHCU100の各詳細を説明する。
複数の表示デバイスは、ヘッドアップディスプレイ(以下、HUD)21、メータディスプレイ22、およびセンタインフォメーションディスプレイ(以下、CID)23等を含んでいる。複数の表示デバイスには、電子ミラーシステムの各ディスプレイEMB,EML,EMRがさらに含まれていてもよい。HUD21、メータディスプレイ22およびCID23は、静止画または動画等の画像コンテンツを、視覚情報としてドライバに提示する表示器である。
HUD21は、HCU100から取得する制御信号および映像データに基づき、ドライバ前方に結像される画像の光を、ウィンドシールドWS等に規定された投影領域PAに投影する。ウィンドシールドWSにて車室内側に反射された画像の光は、運転席に着座するドライバによって知覚される。こうしてHUD21は、投影領域PAよりも前方の空間中に虚像を表示させる。ドライバは、HUD21によって表示される画角VA内の虚像を、車両Aの前景と重ねて視認する。
メータディスプレイ22およびCID23は、例えば液晶ディスプレイまたはOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等を主体とする構成である。メータディスプレイ22およびCID23は、HCU100から取得する制御信号および映像データに基づき、種々の画像を表示画面に表示させる。メータディスプレイ22は、例えば運転席の正面に設置されている。CID23は、ドライバの前方において車幅方向の中央領域に設けられている。例えばCID23は、インスツルメントパネル9におけるセンタクラスタの上方に設置されている。CID23は、タッチパネルの機能を有しており、例えばドライバ等による表示画面へのタッチ操作およびスワイプ操作等を検出する。CID23は、「中央表示器」の一例である。
オーディオ装置24は、車室内に設置された複数のスピーカを有している。オーディオ装置24は、HCU100から取得する制御信号および音声データに基づき、報知音または音声メッセージ等を、聴覚情報としてドライバに提示する。すなわち、オーディオ装置24は、視覚情報と異なる態様の情報を提示可能な情報提示デバイスである。聴覚情報は、「視覚情報と異なる特定態様の情報」の一例である。
操作デバイス26は、ドライバ等によるユーザ装置を受け付ける入力部である。操作デバイス26には、例えば自動運転機能の各レベルの開始および停止に関連するユーザ操作等が入力される。操作デバイス26には、例えば、ステアリングホイールのスポーク部に設けられたステアスイッチ、ステアリングコラム部に設けられた操作レバー、およびドライバの発話内容を認識する音声入力装置等が含まれる。
HCU100は、上述の第1自動運転ECU60および第2自動運転ECU70等からの情報に基づき、ドライバに対する情報提示を制御する。HCU100は、メモリ101、プロセッサ102、入出力インターフェース、およびこれらを接続するバス等を備えたコンピュータを主体として含む構成である。プロセッサ102は、演算処理のためのハードウェアである。プロセッサ102は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)およびRISC(Reduced Instruction Set Computer)-CPU等のうち、少なくとも一種類をコアとして含む。
メモリ101は、コンピュータにより読み取り可能なプログラムおよびデータ等を非一時的に格納または記憶する、例えば半導体メモリ、磁気媒体および光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。メモリ101は、後述の提示制御プログラム等、プロセッサ102によって実行される種々のプログラムを格納している。
プロセッサ102は、メモリ101に格納された提示制御プログラムに含まれる複数の命令を、実行する。これによりHCU100は、ドライバへの提示制御ための機能部を、複数構築する。このようにHCU100では、メモリ101に格納された提示制御プログラムが複数の命令をプロセッサ102に実行させることで、複数の機能部が構築される。具体的に、HCU100には、図2に示すように、周辺状態把握部110、運転状態判断部120、ドライバ状態推定部130および提示情報調整部140等の機能部が構築される。
周辺状態把握部110は、第1自動運転ECU60の環境認識部63または第2自動運転ECU70の環境認識部73から、走行環境の認識結果を取得する。周辺状態把握部110は、取得した認識結果に基づいて、車両Aの周辺状態を把握する。具体的には、周辺状態把握部110は、ADエリアへの接近、ADエリアへの進入、ST区間への接近およびST区間への進入等を把握する。周辺状態把握部110は、把握した周辺状態情報を、運転状態判断部120へと逐次提供する。なお、周辺状態把握部110は、各自動運転ECU60、70から取得した認識結果に代えて、ロケータECU34や周辺監視センサ40等から直接取得した情報に基づいて周辺状態を把握してもよい。
ドライバ状態推定部130は、DSM27および車両制御ECU80等からの情報に基づいて、ドライバ状態を推定する。例えば、ドライバ状態推定部130は、ドライバの各身体部位の運転動作への関与有無を、ドライバ状態として推定する。具体的には、ドライバ状態推定部130は、DSM27から取得したドライバの視線方向に関する状態情報等に基づいて、ドライバの眼部が周辺監視を行っているか否かを判定する。また、ドライバ状態推定部130は、車両制御ECU80から取得した操舵量に基づいて、ドライバがステアリングを手で把持しているか否かを判定する。加えて、ドライバ状態推定部130は、車両制御ECU80から取得したアクセルペダルの踏込量に基づいて、ドライバがアクセルペダルに足を置いているか否かを判定する。
なお、以下において、眼部が周辺監視を行っている状態をアイズオン、行っていない状態をアイズオフと表記する場合がある。また、ステアリングを手で把持している状態をハンズオン、把持していない状態をハンズオフと表記する場合がある。加えて、アクセルペダルに足を置いている状態をレッグオン、置いていない状態をレッグオフと表記する場合がある。ドライバ状態推定部130は、推定した各身体部位の状態を、運転状態判断部120へと逐次提供する。なお、ドライバ状態推定部130は、後述のドライバ条件が成立しているか否かも判定してよい。
運転状態判断部120は、第2自動運転ECU70および第1自動運転ECU60との共同により、自動運転に関する運転状態を判断する。具体的には、運転状態判断部120は、ドライバに対して許可する自動運転レベルと、実際に実行する自動運転レベルとを、運転状態として判断する。
運転状態判断部120は、周辺状態把握部110からの情報に基づいて、車両AがMDエリアを走行している場合に、自動運転を許可できないと判断する。一方で、運転状態判断部120は、ADエリアを走行している場合に、レベル2以上の自動運転を許可できると判断する。ADエリアを走行している状態は、「自動運転許可状態」の一例である。さらに、運転状態判断部120は、ADエリアのうち非ST区間を走行している場合に、レベル2の自動運転を許可できると判定し、ST区間を走行している場合には、レベル3の自動運転を許可できると判定する。
以下において、レベル2の自動運転を許可した状態を、「レベル2許可状態」、レベル3の自動運転を許可した状態を、「レベル3許可状態」と表記する場合がある。また、自動運転自体が禁止された状態を、「自動運転禁止状態」と表記する場合がある。また、自動運転レベル0~レベル2は、「特定行為禁止状態」の一例であり、レベル3許可状態は、「特定行為許可状態」の一例である。
加えて、運転状態判断部120は、レベル2の自動運転を許可すると判断した場合には、レベル2においてハンズオフを許可するか否かを判定する。具体的には、運転状態判断部120は、LTAの実行状態、車両A周辺の高精度地図データの有無、車線状態、ドライバの周辺監視状態、車両A周辺の道路形状等に基づき、特定の条件が成立した場合に、ハンズオフ許可の判定を下す。
特定の条件には、例えば、LTA制御が実行であること、車両A周辺の高精度地図データが有ること、現在車線の左右の区画線のうち少なくとも一方を検出可能であること、ドライバが周辺監視を行っていると判断可能であること、走行区間が道路構造の複雑な区間(例えば合流区間や分岐区間等)でないことのうち少なくとも1つが含まれる。以下において、ハンズオフを許可した状態を「ハンズオフ許可状態」、ハンズオフを禁止した状態を「ハンズオフ禁止状態」と表記する場合がある。ハンズオフ許可状態は、「手放し許可状態」の一例であり、ハンズオフ禁止状態は、「手放し禁止状態」の一例である。ハンズオフ禁止状態における自動運転レベル2は、「両禁止状態」の一例である。
また、運転状態判断部120は、レベル2以下の自動運転において少なくともACCが実行されている場合、レッグオフを許可する。以下において、レッグオフを許可した状態を「レッグオフ許可状態」、レッグオフを禁止した状態を「レッグオフ禁止状態」と表記する場合がある。加えて、運転状態判断部120は、レベル3の自動運転が許可されている場合、アイズオフを許可する。すなわち、レベル3許可状態は、アイズオフ許可状態であるということもできる。
運転状態判断部120は、現在許可されている自動運転レベル、ドライバの状態情報、および操作デバイス26への入力情報等に基づいて、実際に実行する自動運転レベルを判断する。すなわち、運転状態判断部120は、現在許可されている自動運転レベルの開始指示が入力情報として取得された場合に、当該自動運転レベルの実行を決定する。ただし、運転状態判断部120は、レベル2の自動運転を実行中で且つハンズオンの状態下にて、レベル3の自動運転が許可された場合、入力情報を取得することなくレベル3の実行を判断する。以上の運転状態判断部120は、「判別部」の一例である。
提示情報調整部140は、サブ機能部として、提示情報選定部141と、コンテンツ調停部142と、提示情報生成部143とを有している。提示情報調整部140は、「提示制御部」の一例である。
提示情報選定部141は、周辺状態把握部110、運転状態判断部120およびドライバ状態推定部130から取得される情報に基づいて、自動運転に関するコンテンツの提示を、コンテンツ調停部142と連携して制御する。具体的には、提示情報選定部141は、各種情報に基づき各提示デバイスに提示させるコンテンツを選定する。
コンテンツ調停部142は、各表示デバイスに表示させるコンテンツの調停を行う。コンテンツ調停部142は、提示情報選定部141からの各種情報に基づき、各コンテンツの優先度を総合的に判断する。コンテンツ調停部142は、優先度が高いと判断したコンテンツを、提示対象のコンテンツとして選定する。加えてコンテンツ調停部142は、各表示デバイスに表示させる各コンテンツの表示サイズおよび表示レイアウトを、優先度に応じて逐次変更可能である。一例として、コンテンツ調停部142は、優先度の高いコンテンツほど、表示サイズを大きくする。別の一例として、コンテンツ調停部142は、優先度の高いコンテンツほど、各表示領域の手前側に位置させる。
提示情報生成部143は、提示情報選定部141の選定結果およびコンテンツ調停部142の調停結果に基づいて、各表示デバイスに提供する制御信号および映像データと、オーディオ装置24に提供する制御信号および音声データとを生成する。提示情報生成部143は、生成した制御信号および各データを各提示デバイスへと出力することで、各提示デバイスにて情報提示を実施する。
次に、HCU100が提示するコンテンツについて、図4のタイムチャートを参照しつつ、図5~図18を用いて以下に説明する。HCU100は、自動運転に関連して、ADエリア接近通知、ADエリア進入通知、レベル2開始通知、レベル3接近通知、ドライバ準備通知、レベル3可能通知、レベル3開始通知、レベル3終了通知等を実施する。
ADエリア接近通知は、MDエリアの走行中に、ADエリアへと接近した場合に実施される。具体的には、ADエリア接近通知は、周辺状態把握部110にて車両AからADエリアまでの距離が閾距離を下回ったと判断された場合に、実施される。ADエリア接近通知において、提示情報調整部140は、図5に示すように、ADエリア接近メッセージN1h,N1mを、HUD21およびメータディスプレイ22に表示させる。
ADエリア接近メッセージN1h,N1mは、ADエリアへの接近を視覚情報として表す画像コンテンツである。HUD21に表示されるADエリア接近メッセージN1hは、デジタルスピードメータおよび運転ステータスSTh等とともに、画角VA内に表示される。ADエリア接近メッセージN1hは、画角VA内の中央領域に配置された運転ステータスSThの左方または右方に配置される。ADエリア接近メッセージN1hは、メッセージ画像と、当該メッセージ画像を囲む枠形状のウィンドウ画像とを含んで構成されている。メッセージ画像は、例えば、「まもなく自動運転可能エリアです」等、ADエリアの接近を示す記述の文字情報とされる。
メータディスプレイ22に表示されるADエリア接近メッセージN1mは、運転ステータスSTm等とともに、表示画面内に表示される。ADエリア接近メッセージN1mは、例えば、表示画面内の下縁に配置される。ADエリア接近メッセージN1mは、運転ステータスSTmよりも手前側に表示される。ADエリア接近メッセージN1mは、メッセージ画像と、当該メッセージ画像が手前側に配置された帯状のウィンドウ画像とを含んで構成されている。メッセージ画像は、HUD21と同様に、ADエリアの接近を示す文字情報とされる。ウィンドウ画像は、運転ステータスSTmの背景と異なる表示色(例えば青色)とされる。
なお、以上のADエリア接近通知は、ADエリア進入後にて可能な自動運転のレベルに関わらず実施される。すなわち、図4に示すようにMDエリアからレベル2が可能なADエリアに接近した場合のみでなく、MDエリアからレベル3以上の自動運転が可能なADエリアに接近した場合にも、ADエリア接近通知が実施される。
ADエリア進入通知は、ADエリア接近通知の後、周辺状態把握部110にて車両AがADエリアへと進入したと判断された場合に、実施される。ADエリア進入通知は、「自動運転許可情報」の一例である。ADエリア進入通知において、提示情報調整部140は、図6,7,8に示すように、ADエリア進入メッセージN2h,N2mを、HUD21およびメータディスプレイ22に表示させ、ADエリア通知コンテンツCTMcをCID23に表示させる。
ADエリア進入メッセージN2h,N2m,N2cは、ADエリアへの進入を視覚情報として表す画像コンテンツである。HUD21およびメータディスプレイ22に表示されるADエリア進入メッセージN2h,N2mは、表示開始から所定変更時間経過すると、表示態様が変更される。以下において、変更前のADエリア進入メッセージを、第1ADエリア進入メッセージN2fh,N2fmとし、変更後のADエリア進入メッセージを、第2ADエリア進入メッセージN2sh,N2smとする。
HUD21に表示される第1ADエリア進入メッセージN2fhは、例えば、ADエリア接近メッセージN1hと実質同じ位置に配置され、ADエリア接近メッセージN1hと同様にメッセージ画像および枠形状のウィンドウ画像とを含んで構成されている。メッセージ画像は、ADエリアへの進入に関連する文字情報とされ、例えば、自動運転の開始方法を示すメッセージが記述される。具体的には、「自動運転モード」との記述、操作デバイス26への入力を示す「ENTER」との記述、および当該「ENTER」を指し示す矢印が、メッセージ画像に含まれる。これにより、第1ADエリア接近メッセージN1fhは、操作デバイス26へ入力すると自動運転モードを開始可能であることを通知し、ひいては車両Aが自動運転可能なADエリアへと進入したことをドライバに提示する。
メータディスプレイ22に表示される第1ADエリア進入メッセージN2fmは、例えば、ADエリア接近メッセージN1mと実質的に同じ位置に配置され、ADエリア接近メッセージN1mと同様にメッセージ画像および当該メッセージ画像が手前側に配置された帯状のウィンドウ画像とを含んで構成されている。メッセージ画像は、第1ADエリア進入メッセージN2fhと同様にADエリアへの進入に関連する文字情報とされる。具体的には、「自動運転モード使用」との記述、操作デバイス26への入力を示す「ENTER」との記述、および当該「ENTER」を指し示す矢印が、メッセージ画像に含まれる。
以上の第1ADエリア進入メッセージN2fh,N2fmは、所定変更時間(例えば数秒)経過後に、第2ADエリア進入メッセージN2sh,N2smへと変更される。第2ADエリア進入メッセージN2sh,N2smは、第1ADエリア進入メッセージN2fh,N2fmよりも視認性の低い表示態様とされる。具体的には、第2ADエリア進入メッセージN2sh,N2smは、表示サイズの縮小、表示色の変更、表示位置の変更、表示輝度の低下、一部分の非表示等のうち少なくとも1つが適用されることで、視認性の低い表示態様とされる。例えば、HUD21に表示される第2ADエリア進入メッセージN2shは、ウィンドウ画像が非表示とされ、表示位置が画角VA内のより下方の表示位置とされ、さらに表示サイズが縮小される。また、メータディスプレイ22に表示される第2ADエリア進入メッセージN2smは、メッセージ画像の一部およびウィンドウ画像が非表示とされ、表示サイズが縮小される。
CID23に表示されるADエリア通知コンテンツCTMcは、地図表示領域AmにおいてADエリアの通知前と異なる表示態様にて表示された地図画像である。例えば、ADエリア通知コンテンツCTMcは、車両Aの周辺地域のうち、ADエリアをMDエリアと区別して示す地図画像とされる。具体的には、異なる表示色で表示した領域画像である。ADエリア通知画像N2cは、車両AがADエリアへと進入したと判断された場合に、第1ADエリア進入メッセージN2fh,N2fmと実質同時に表示開始される。ADエリア通知コンテンツCTMaは、所定変更時間経過しても表示態様を変更されない。
以上のADエリア進入メッセージN2h,N2m,CTMcのうち、HUD21およびメータディスプレイ22に表示されるADエリア進入メッセージN2h,N2mは、表示許容時間(例えば5~10秒程度)表示される。表示許容時間の間、操作デバイス26から自動運転開始の入力情報が取得されなかった場合、許容時間経過後にADエリア進入メッセージN2h,N2mは非表示とされる。一方、ADエリア通知コンテンツCTMcは、表示許容時間経過後も表示が継続される(図8参照)。すなわち、表示許容時間経過後は、より少ない表示デバイスにて進入通知が継続されることになる。ADエリア通知コンテンツCTMcは、例えば自動運転開始の入力情報が取得されるまで継続して表示される。
レベル2開始通知は、運転状態判断部120にてレベル2の自動運転開始が判断された場合に、実施される。レベル2開始通知において、提示情報調整部140は、図9に示すように、レベル2開始メッセージN3h,N3mを、HUD21およびメータディスプレイ22に表示させる。
レベル2開始メッセージN3h,N3mは、レベル2の自動運転開始を視覚情報として表す画像コンテンツである。レベル2開始メッセージN3h,N3mは、例えば、自動運転開始に関連した文字情報が記述されたメッセージ画像と、当該メッセージ画像を表示領域内で区画するウィンドウ画像とを含んで構成されている。メッセージ画像は、例えば、「周辺の道路状況により自動運転が解除されます」等、開始する自動運転が解除される可能性が有る旨の記述とされる。各レベル2開始メッセージN3h,N3mは、表示領域内の中央部分に配置される。各レベル2開始メッセージN3h,N3mは、運転ステータスSTh,STmよりも手前側に表示される。
レベル3接近通知は、レベル3の自動運転が可能なST区間への接近を通知する。レベル3接近通知は、MDエリアまたはADエリアの非ST区間を走行中において、車両AからST区間までの残距離が閾値(例えば10km程度)を下回った場合に実行される。レベル3接近通知において、提示情報調整部140は、図13に示すように、レベル3接近メッセージN4h,N4mを、HUD21およびメータディスプレイ22に表示させる。
レベル3接近メッセージN4h,N4mは、ST区間への接近を視覚情報として表す画像コンテンツである。HUD21に表示されるレベル3接近メッセージN4hは、例えば、ADエリア接近メッセージN1hと実質同じ位置に配置され、ADエリア接近メッセージN1hと同様にメッセージ画像および枠形状のウィンドウ画像とを含んで構成されている。メッセージ画像は、例えば、「およそ10km先 渋滞中 2ndタスク利用可能」等、ST区間の接近を示す記述の文字情報とされる。
メータディスプレイ22に表示されるレベル3接近メッセージN4mは、例えば、ADエリア接近メッセージN1mと実質的に同じ位置に配置される。レベル3接近メッセージN4mは、ADエリア接近メッセージN1mと同様にメッセージ画像および当該メッセージ画像が手前側に配置された帯状のウィンドウ画像とを含んで構成されている。メッセージ画像は、例えば、「およそ10km先渋滞 渋滞中は2ndタスクが利用可能です」等、HUD21の表示と同様に、ST区間の接近を示す記述の文字情報とされる。
なお、自動運転禁止状態からレベル3可能状態へと遷移(第1遷移)する場合には、レベル3接近通知とADエリア接近通知とが同時に実施される。このとき、レベル3接近通知とADエリア接近通知とを一つの通知として行うようにしてもよい。
ドライバ準備通知は、ドライバにレベル3を実施するための条件(ドライバ条件)を満たすことを促す通知である。ドライバ準備通知は、レベル3接近通知の開始時にドライバ条件が満たされていなかった場合に実行される。ドライバ条件は、例えば、ドライバの覚醒度が閾値レベルを上回ること、ドライバの姿勢種類が予め規定された姿勢種類であること等である。さらに、ドライバ条件は、ストレスレベルが閾値レベルを下回ること、走行開始からの経過時間が所定時間を上回ること等であってもよい。ドライバ条件の成立は、自動運転レベル3に対するドライバの準備ができた状態となることに相当する。ドライバ準備通知は、レベル3接近通知と同時に実行されてもよい。例えば、レベル3接近通知の実行後に開始される。提示情報調整部140は、図14に示すように、ドライバ準備通知において、ドライバ準備メッセージNph,NpmをHUD21およびメータディスプレイ22に表示させる。
各ドライバ準備メッセージNph,Npmは、例えば、ウィンドウ画像と、メッセージ画像とを含んで構成されている。メッセージ画像は、成立していないドライバ条件が成立するように、ドライバに所定の行動を促す記述とされる。HUD21に表示されるドライバ準備メッセージNphは、例えばレベル3接近メッセージN4hと同様の位置に表示される。メータディスプレイ22に表示されるドライバ準備メッセージNpmは、例えばドライバステータスSTDと同じ表示領域内において、ドライバステータスSTDより下方に表示される。
レベル3可能通知は、ST区間への進入により、レベル3可能状態となったことを通知する。レベル3可能通知は、ADエリアの非ST区間からST区間へと進入した場合、すなわちレベル2可能状態からレベル3可能状態へと遷移(第2遷移)した場合に実行される。加えて、レベル3可能通知は、MDエリアからST区間へと進入した場合、すなわち自動運転禁止状態からレベル3可能状態へと遷移(第1遷移)した場合に実行される。つまり、レベル3可能通知は、ADエリア進入通知と同時に実行されることもある。また、レベル3可能通知と、ADエリア進入通知とを一つの通知として行うようにしてもよい。ここで、レベル3可能通知は、「遷移可能情報」の一例である。また、自動運転禁止状態(手動運転状態)からレベル3可能状態へと遷移した場合のレベル3可能通知は、「手動遷移可能情報」の一例である。また、ハンズオフを許可されたレベル2可能状態からレベル3可能状態へと遷移した場合のレベル3可能通知は、「手放し遷移可能情報」の一例である。また、ハンズオフを禁止されたレベル2可能状態からレベル3可能状態へと遷移した場合のレベル3可能通知は、「両禁止遷移可能情報」の一例である。
レベル3可能通知において、提示情報調整部140は、図15に示すように、レベル3可能メッセージN5h,N5mを、HUD21、およびメータディスプレイ22に表示させる。加えて、提示情報調整部140は、第1遷移が発生する場合に、レベル3可能通知音をオーディオ装置24に提示させる。これにより、提示情報調整部140は、第1遷移に関する情報(手動遷移情報)を、第2遷移に関する情報よりも強調してドライバに提示する。
レベル3可能メッセージN5h,N5mは、ST区間への進入を視覚情報として表す画像コンテンツである。HUD21に表示されるレベル3可能メッセージN5hは、例えば、ADエリア接近メッセージN1hと実質同じ位置に配置され、ADエリア接近メッセージN1hと同様にメッセージ画像および枠形状のウィンドウ画像とを含んで構成されている。メッセージ画像は、例えば、「2ndタスクが利用可能になりました」等、ST区間への進入を示す記述の文字情報とされる。
メータディスプレイ22に表示されるレベル3可能メッセージN5mは、例えば、ADエリア接近メッセージN1mと実質的に同じ位置に配置される。レベル3接近メッセージN4mは、ADエリア接近メッセージN1mと同様に、メッセージ画像および当該メッセージ画像が手前側に配置された帯状のウィンドウ画像とを含んで構成されている。メッセージ画像は、例えばHUD21に表示されるものと実質同じとされる。
レベル3可能通知音は、レベル3自動運転が可能となったことを聴覚情報として示す音コンテンツである。レベル3可能通知音は、効果音でもよいし、音声メッセージであってもよい。
レベル3開始通知は、レベル3自動運転の開始を通知する。第1実施形態において、レベル3開始通知は、手動運転、レベル1、またはレベル2のハンズオンからレベル3に遷移した場合には、ドライバによるレベル3の開始指示を受けてから実行されることになる。一方、レベル2のハンズオフからレベル3に遷移した場合、レベル3開始通知は、ST区間へと進入した場合に実行されることになる。この場合、レベル3開始通知は、レベル3可能通知と同時に実行される。ここで、レベル3開始通知は、「遷移実行情報」の一例である。また、自動運転禁止状態からレベル3可能状態へと遷移した場合のレベル3開始通知は、「手動遷移実行情報」の一例である。また、ハンズオフを許可されたレベル2可能状態からレベル3可能状態へと遷移した場合のレベル3実行通知は、「手放し遷移実行情報」の一例である。また、ハンズオフを禁止されたレベル2可能状態からレベル3可能状態へと遷移した場合のレベル3実行通知は、「両禁止遷移実行情報」の一例である。レベル3開始通知において、提示情報調整部140は、図16に示すように、レベル3開始メッセージN6h,N6m,N6cを、HUD21、メータディスプレイ22およびCID23に表示させる。
レベル3開始メッセージN6h,N6m,N6cは、レベル3自動運転の開始を視覚情報として表す画像コンテンツである。HUD21に表示されるレベル3開始メッセージN6hは、例えば、レベル2開始メッセージN3hと実質同じ位置に配置され、メッセージ画像および枠形状のウィンドウ画像とを含んで構成されている。メッセージ画像は、例えば、「車両からの情報にご注意ください 周辺の道路状況により自動運転が解除されます」等、レベル3自動運転の開始に関連した記述の文字情報とされる。
メータディスプレイ22に表示されるレベル3開始メッセージN6mは、例えば、レベル2開始メッセージN3hと実質同じ位置に配置され、メッセージ画像および枠形状のウィンドウ画像とを含んで構成されている。メッセージ画像は、例えばHUD21に表示されるものと実質同じとされる。
CID23に表示されるレベル3開始メッセージN6cは、例えば、エンタメ表示領域Aeの中央領域付近に表示される。レベル3開始メッセージN6cは、エンタメ表示領域Aeにおける他の表示コンテンツよりも手前側に表示される。レベル3開始メッセージN6cは、メッセージ画像および当該メッセージ画像の奥側に配置されたウィンドウ画像を含んで構成されている。メッセージ画像は、例えば、「周辺の道路環境により自動運転が解除されます 車両から発信する情報にご注意ください」等、HUD21およびメータディスプレイ22におけるメッセージ画像と類似の、レベル3自動運転の開始に関連した記述とされる。
加えて、レベル3開始通知において、提示情報調整部140は、CID23の地図表示領域Amおよびエンタメ表示領域Aeを入れ替える。具体的には、提示情報調整部140は、エンタメ表示領域Aeを地図表示領域Amの上方に表示させる。
レベル3終了通知は、レベル3の自動運転からレベル2以下の自動運転または手動運転へと遷移する場合に実行される。提示情報調整部140は、レベル3の自動運転からレベル2許可状態へと遷移する場合、レベル3終了通知として、図17の情報提示から図10または図11の情報提示への遷移を行う。また、提示情報調整部140は、レベル3の自動運転から手動運転状態へと遷移する場合、レベル3終了通知として、図17の情報提示から図8の情報提示への遷移を行う。そのほかに、提示情報調整部140は、レベル3終了通知として、図18に示すように、レベル3終了メッセージN7mを、メータディスプレイ22に表示させる。加えて、提示情報調整部140は、レベル3終了通知音をオーディオ装置24に出力させる。
レベル3終了メッセージN7mは、レベル3自動運転の終了を視覚情報として表す画像コンテンツである。例えば、手動運転へと遷移する場合、レベル3終了メッセージN7mは、「自動運転モード解除中」等の自動運転の終了に関連する記述の文字情報を含むメッセージ画像とされる(図18参照)。また、レベル2以下の自動運転へと遷移する場合には、メッセージ画像は、セカンドタスクの終了や、必要な運転動作の開始等を喚起する記述の文字情報を含むものであればよい。
なお、提示情報調整部140は、レベル2以上の自動運転中において、ドライバがハンドル操作を行うオーバーライドが実行された場合、図18に示すように、一時的に自動運転モードが解除されていることを示す通知を行う。そして、提示情報調整部140は、オーバーライド中、エンタメ表示領域Aeの表示コンテンツを停止または非表示とする。
レベル3終了通知音は、レベル3自動運転の終了を聴覚情報として表す音コンテンツである。レベル3終了通知音は、効果音でもよいし、音声メッセージであってもよい。
ただし、提示情報調整部140は、ハンズオフ許可状態に遷移(第4遷移)する場合には、レベル3終了通知音の提示を中断する。すなわち、提示情報調整部140は、遷移後にハンズオフ禁止状態へと遷移(第3遷移)する場合には、レベル3終了通知音を提示し、遷移後にハンズオンが不要な場合には、レベル3終了通知音を提示しない。これにより、提示情報調整部140は、第3遷移に関する情報を、第4遷移に関する情報よりも強調してドライバに提示する。
ここで、自動運転の実施中に、提示情報調整部140が継続的に表示させるコンテンツについて、図10~12等を参照して説明する。提示情報調整部140は、運転ステータスSTh,STm、ステータスアイコンICsh,ICsm、およびドライバステータスSTD等を、レベル2以下の自動運転の実施中にて表示させる。
運転ステータスSTh,STmは、HUD21およびメータディスプレイ22にて表示されるコンテンツである。運転ステータスSTh,STmは、レベル2以下の自動運転における縦方向制御および横方向制御、すなわちACC機能およびLTA機能の作動状態を提示する。各運転ステータスSTh,STmは、他車アイコンICv2、ACCアイコンICa、およびLTAアイコンIClを含む。なお、メータディスプレイ22にて表示される運転ステータスSTmには、上述の各コンテンツに加えて自車アイコンICv1も表示される。
他車アイコンICv2は、他車両を模ったアイコンであり、ACC機能の実行中または先行車の検出中に少なくとも表示される。ACCアイコンICah,ICamは、ACC制御の実行を提示するアイコンであり、ACC制御の実行中に表示され、停止中に非表示または実行中とは異なる表示態様とされる。ACCアイコンICaは、他車アイコンICv2の下方に並べられる図形であり、遠近法により他車アイコンICv2にて示される先行車に続いて並んでいるように視認される。LTAアイコンIClh,IClmは、LTA制御の実行を提示するアイコンであり、LTA制御の実行中に表示され、停止中に非表示または実行中とは異なる表示態様とされる。LTAアイコンIClは、他車アイコンICv2およびACCアイコンICaの左右両側に配置され、手前側から奥側へと延びる一対のライン状に視認される形状である。
メータディスプレイ22における運転ステータスSTmは、メータディスプレイ22の表示画面を複数分割した表示領域のうちの1つにまとめて表示される。メータディスプレイ22の表示領域は、例えば、上部領域DAu、下部左方領域DAl、下部中央領域DAc、下部右方領域DArの4つに分割される。なお、各表示領域は、提示情報調整部140による表示領域ごとの背景色の変化や枠画像の表示等により見かけ上分割されたものである。運転ステータスSTmは、下部中央領域DAc内に表示される。
ステータスアイコンICsh,ICsmは、運転ステータスSTh,STmと同様に、縦方向制御および横方向制御の実行状態を示すアイコンである。ステータスアイコンICsmは、上部領域DAu内に表示される。ステータスアイコンICsh,ICsmは、例えば、他車両を模ったアイコン、ACC制御の実行を示すアイコン、LTA制御の実行を示すアイコンが、運転ステータスSTh,STmよりも簡略化されたものとなっている。なお、ステータスアイコンICsh,ICsmは、レベル3以上の自動運転においても継続的に表示されてもよい。
将来行動コンテンツは、車両Aに予定される将来行動を通知するコンテンツであり、下部右方領域DAr内に表示される。将来行動コンテンツは、例えば、将来行動を示すアイコンと、当該将来行動を実施する地点までの距離を示す数値画像とを含む。将来行動には、車線変更、右左折、合流等を含む。加えて、将来行動には、ドライバとの間での制御権の交代や、自動運転レベルの変更等を含んでいてもよい。
ドライバステータスSTDは、運転動作に関するドライバの状態を提示するコンテンツである。ドライバステータスSTDは、メータディスプレイ22の下部左方領域DAl内に表示される。ドライバステータスSTDは、ドライバの複数種類の身体部位の各々に関して、運転動作の中断が許可された中断許可状態と、運転動作の中断が禁止された中断禁止状態とのうちで該当する状態を提示する。例えば、ドライバステータスSTDは、眼部の周辺監視、手でのステアリングの把持、ペダルへの足の載置といった運転動作について、中断許可状態または中断禁止状態を提示する。ドライバステータスSTDは、各身体部位の状態に関して同一の表示領域にて表示する。
具体的には、ドライバステータスSTDは、ドライバアイコンICd、ステアアイコンICs、ペダルアイコンICpおよび視線アイコンICvを含む。ドライバアイコンICdは、人型のアイコンである。詳記すると、ドライバアイコンICdは、手腕部、足部、および眼部を含む部位である頭部を身体部位として含む一人の人間の身体を模った形状とされる。すなわち、ドライバアイコンICdは、各身体部位をひとまとめに表示するコンテンツである。これにより、ドライバアイコンICdは、各身体部位同士を下部左方領域DAl内で近接して提示する。このドライバアイコンICdは、まとまった一つのコンテンツでもよいし、それぞれの身体部位が離間したコンテンツであってもよい。
ステアアイコンICsは、ステアリングホイールを模したアイコン画像である。また、ペダルアイコンICpは、アクセルペダルを模したアイコンである。視線アイコンICvは、ドライバの視線を示すアイコンである。視線アイコンICvは、例えば、ドライバアイコンICdの頭部付近から、当該頭部が向いている方向(図10~12等の場合は左方向)へと延びる矢印形状とされる。
ドライバステータスSTDは、各アイコンの共同により、運転動作に関してドライバに許可される状態を表示する。例えば、ハンズオフが禁止されるハンズオフ禁止状態の場合、ドライバアイコンICdの手部とステアアイコンICsとが重なって表示される。ハンズオフが許可されるハンズオフ許可状態の場合、ドライバアイコンICdの手部とステアアイコンICsとが離れて表示される。加えて、ステアアイコンICsの視認性が低下される。
また、レッグオフが禁止されるレッグオフ禁止状態の場合、ドライバアイコンICdの足部とペダルアイコンICpとが重なって表示される。加えて、ペダルアイコンICpの視認性が低下される。レッグオフが許可されるレッグオフ許可状態の場合、ドライバアイコンICdの足部とペダルアイコンICpとが離れて表示される。さらに、アイズオフが禁止されるアイズオフ禁止状態の場合、視線アイコンICvが表示され、アイズオフが許可されるアイズオフ許可状態の場合、視線アイコンICvの視認性が低下される。
提示情報調整部140は、各身体部位に関して、中断禁止状態(ハンズオフ禁止状態、レッグオフ禁止状態、アイズオフ禁止状態)と中断許可状態(ハンズオフ許可状態、レッグオフ許可状態、アイズオフ許可状態)との間の状態移行を、上述したドライバステータスSTDを利用して通知する(移行通知)。このとき、提示情報調整部140は、ドライバステータスSTDをアニメーション表示により態様変更させる。具体的には、提示情報調整部140は、ドライバアイコンICdのうち状態が遷移する身体部位に対応する表示部位について、アニメーション表示により状態の遷移を提示する。加えて、提示情報調整部140は、状態が移行する身体部位に相当するドライバアイコンICdの表示部位の輝度を向上させ、状態が移行する身体部位を強調する。
アニメーション表示は、対応するドライバの身体部位が実際に状態に対応する状態に移行したと推定された際に、停止される。また、提示情報調整部140は、所定期間内に、対応するドライバの身体部位が中断状態(ハンズオフ、レッグオフ、アイズオフ)へと遷移しなかった場合にも、アニメーションを停止させる。この場合、提示情報調整部140は、アニメーション停止後の態様を中断禁止状態の表示態様、すなわち現在の身体部位の状態と対応する態様とすればよい。
例えば、提示情報調整部140は、ハンズオフ禁止状態からハンズオフ許可状態へと移行する場合、ドライバアイコンICdの手部がハンズオフ禁止状態における位置からハンズオフ許可状態における位置へと移動するアニメーションを表示する(図11参照)。提示情報調整部140は、以上のアニメーションを繰り返し表示する。提示情報調整部140は、ドライバがハンズオフ状態へと実際に遷移すると、アニメーションを停止させ、ハンズオフ状態の表示態様とする(図12参照)。
加えて、提示情報調整部140は、ハンズオフ禁止状態からハンズオフ許可状態へと遷移した場合、輝度を低下させる等により、ステアアイコンICsの視認性を低下させる。提示情報調整部140は、ステアアイコンICsの視認性低下を、ドライバアイコンICdのアニメーション表示と同期させて繰り返し実行してもよく、ドライバアイコンICdのアニメーション停止後に実行してもよい。
また、提示情報調整部140は、レッグオフ禁止状態からレッグオフ許可状態へと遷移した場合も同様に、ドライバアイコンICdの足部がレッグオフ禁止状態における位置からレッグオフ許可状態における位置へと移動するアニメーションを表示する。加えて、提示情報調整部140は、ペダルアイコンICpの視認性を低下させる。
なお、提示情報調整部140は、中断許可状態から中断禁止状態へと遷移した場合にも、同様にアニメーション表示にて状態の遷移を提示する。この場合、提示情報調整部140は、対応するドライバの身体部位が運転関与状態へと実際に遷移するまで、アニメーション表示を継続すればよい。
また、ドライバステータスSTDは、レベル3実行状態において、レベル2以下の状態の場合と異なる態様で表示される。例えば、レベル3実行状態におけるドライバステータスSTDは、ドライバアイコンICdが椅子アイコンICcに着座している表示態様にて表示される。このとき、ドライバアイコンICdは、レベル2以下の場合よりも後方にリクライニングしたような姿勢の人型として表示される。ステアアイコンICsおよびペダルアイコンICpは、非表示とされる。
なお、視線アイコンICv、ステアアイコンICs、ペダルアイコンICpは、視認性を低下させるとは別に、非表示とするようにしてもよい。視線アイコンICv、ステアアイコンICs、ペダルアイコンICpは、ドライバアイコンICdと共に表示する必要がある運転動作の変化があった場合に表示するようにしてもよい。
また、レベル3の自動運転状態から、ハンズオンのレベル2の自動運転状態へと遷移する場合、アイズオンと、ハンズオンとを促すべく、視線アイコンICvとステアアイコンICsとは、非表示から表示、または、表示から強調表示される。このとき、視線アイコンICvとステアアイコンICsとを同時に表示させてもよいし、順番に表示させてもよい。
視線アイコンICvとステアアイコンICsとを同時に表示させることで、運転動作に関してドライバに許可される状態を、ドライバに素早く伝えることができる。
一方、レベル3の自動運転状態から、ハンズオンのレベル2の自動運転状態へと遷移する場合、ドライバが多くの運転操作をする必要となるため、ドライバにとってはするべきタスクが増えてしまい、混乱を招く可能性がある。そこで、視線アイコンICvとステアアイコンICsとを順番に表示させることで、ドライバに一つずつするべきタスクをさせることができるため、安全に運転操作を行うことができる。
次に、機能ブロックの共同により、HCU100が実行する提示制御方法のフローを、図2~18を参照しつつ、図19~24に従って以下に説明する。図19~24において、メータディスプレイ22は、「MD」と表記されている。なお、後述するフローにおいて「S」とは、提示制御プログラムに含まれた複数命令によって実行される、フローの複数ステップを意味する。
まず、MDエリアからADエリアへと進入するシーンにおけるフローを説明する(図19~21参照)。図19のS101では、周辺状態把握部110が、ADエリアに接近しているか否かを判定する。ADエリアに接近していないと判定した場合、ADエリアに接近している状態となるまで待機する。ADエリアに接近していると判定すると、S102にて、周辺状態把握部110が、ADエリア進入後にレベル3自動運転が可能であるか否かを判定する。レベル3自動運転が不可能である、すなわちレベル2以下の自動運転のみ可能であると判定した場合には、S103へと進む。
S103では、提示情報調整部140が、ADエリア接近通知を実行する。具体的には、HUD21およびメータディスプレイ22にてADエリア接近メッセージN1h,N1mが表示される。
S103の後、図22のS110に移る。S100では、周辺状態把握部110が、ADエリアに進入したか否かを判定する。ADエリアに進入したと判定されると、S111へと進み、ADエリア進入通知を実行する。
次に、S112では、運転状態判断部120が、ドライバがレベル2自動運転を許可したか否かを判定する。許可していないと判定されると、S113にて、提示情報調整部140が、ADエリア進入から許容時間経過したか否かを判定する。許容時間経過していないと判定すると、S112へと戻る。一方で、許容時間経過したと判定すると、S114にて、提示情報調整部140が、HUD21およびメータディスプレイ22でのADエリア進入通知を停止し、且つCID23でのADエリア進入通知を継続させた状態とし、S112へと戻る。
S112にてドライバがレベル2自動運転を許可したと判定した場合には、S115へと進む。S115では、提示情報調整部140が、レベル2開始通知を実行する。S115の処理を実行すると、一連の処理を終了する。
一方、図21のS102にて、周辺状態把握部110が、ADエリア進入後にレベル3自動運転が可能であると判定した場合には、図23のS116へと進む。S116では、周辺状態把握部110が、ADエリアに進入したか否かを判定する。ADエリアに進入したと判定されると、S117へと進み、提示情報調整部140が、ADエリア進入通知およびレベル3可能通知を実行する。次に、S118では、運転状態判断部120が、ドライバからレベル3の開始指示を取得したか否かを判定する。開始指示を取得したと判定すると、S119にて、提示情報調整部140が、レベル3開始通知を実行する。S119の処理を実行すると、一連の処理を終了する。
次に、レベル2の自動走行におけるドライバ状態の提示制御方法のフローについて図22に従って説明する。まず、S120では、運転状態判断部120が、ドライバの身体部位に関する状態(中断許可状態および中断禁止状態)が変化したか否かを判定する。変化していないと判定されると、S122にて、現在の状態の表示を維持する。一方、状態が移行したと判定されると、S121にて、提示情報調整部140が、状態の移行通知を開始する。
その後、S123にて、ドライバ状態推定部130が、ドライバの実際の動作状態が該当状態と対応する状態へと移行したか否かを判定する。移行していない場合には、S124にて、移行通知開始から所定時間経過したか否かを判定し、経過していない場合にはS123へと戻る。所定時間経過したと判定した場合には、S125にて、提示情報調整部140が移行通知を中断し、一連の処理を終了する。一方で、S123にて移行したと判定された場合には、移行後の状態を表示し、一連の処理を終了する。
次に、レベル2の自動走行からレベル3の自動走行へと遷移する場合の提示制御方法について、図23のフローを参照しながら説明する。
まず、S130では、周辺状態把握部110が、ST区間に接近しているか否かを判定する。ST区間に接近していないと判定した場合、ST区間に接近している状態となるまで待機する。ST区間に接近していると判定すると、S131にて、提示情報調整部140が、レベル3接近通知およびドライバ準備通知を実行する。なお、ドライバ準備通知が不要である場合には、ドライバ準備通知を中断してよい。
S131の後、S132に移る。S132では、周辺状態把握部110が、ST区間に進入したか否かを判定する。ST区間に進入したと判定されると、S133へと進み、運転状態判断部120が、ハンズオン状態でST区間に進入したか否かを判定する。
S133にて、ハンズオン状態でST区間に進入したと判定した場合には、S134へと進む。S134では、提示情報調整部140が、レベル3可能通知を実行する。次に、S135では、運転状態判断部120が、ドライバがレベル3自動走行制御を指示したか否かを判定する。指示したと判定すると、S136にて、提示情報調整部140が、レベル3開始通知を実行する。S136の処理を実行すると、一連の処理を終了する。
一方で、S133にて、ハンズオフ状態でST区間に進入したと判定された場合には、S137へと進む。S137では、レベル3可能通知およびレベル3開始通知を同時に実行し、一連の処理を終了する。
次に、レベル3の自動走行が終了する場合の提示制御方法について、図24のフローを参照しながら説明する。
S140では、運転状態判断部120が、レベル2以下の走行制御に移行するか否かを判定する。移行すると判定すると、S141へと進み、運転状態判断部120が、レベル2のハンズオフ許可状態へと移行するか否かを判定する。レベル2のハンズオフ許可状態へと移行すると判定すると、S142へと進み、提示情報調整部140が、レベル3終了通知を実行する。具体的には、表示デバイスにてレベル3終了メッセージN7mの表示が実行される。S142の処理の実行の後、一連の処理が終了される。
一方で、S141にて、レベル2のハンズオフ以外の状態、すなわち、レベル2ハンズオン、レベル1およびレベル0(手動運転)のいずれかに移行すると判定すると、S143へと進む。S143では、提示情報調整部140が、レベル3終了通知を実行する。具体的には、表示デバイスでのレベル3終了メッセージN7mに加え、オーディオ装置24でのレベル3終了通知音出力が実行される。
なお、上述のS116,S132,S133,S134,S135,S136,S137が「判断プロセス」、S117,S119,S134,S136,S137が「提示制御プロセス」の一例である。
以上の第1実施形態によれば、両禁止状態から特定行為許可状態へと遷移した場合には、レベル3可能通知がレベル3開始通知に先立って提示され、手放し許可状態から特定行為許可状態へと遷移した場合には、レベル3可能通知およびレベル3開始通知が同時に提示される。故に、予め手放しを実行済みの可能性が高い手放し許可状態から特定行為許可状態への遷移の場合に、レベル3可能通知およびレベル3開始通知を、同時にドライバに認識させることができる。以上により、利便性の高い情報提示が可能となり得る。
また、第1実施形態によれば、自動運転禁止状態から特定行為許可状態へと遷移した場合には、レベル3可能通知がレベル3開始通知に先立って提示され、手放し許可状態から特定行為許可状態へと遷移した場合には、レベル3可能通知およびレベル3開始通知が同時に提示される。故に、予め手放しを実行済みの可能性が高い手放し許可状態から特定行為許可状態への遷移の場合に、レベル3可能通知およびレベル3開始通知を、同時にドライバに認識させることができる。以上により、利便性の高い情報提示が可能となり得る。
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態におけるHCU100の変形例について説明する。第2実施形態において、提示情報調整部140は、レベル3許可状態からレベル2許可状態に移行する場合、ハンズオフ許可状態への移行においてもオーディオ装置24にて移行通知音の出力を実行する。すなわち、提示情報調整部140は、レベル2許可状態からレベル3許可状態へと遷移する場合には、表示デバイスによる通知を行い、レベル3許可状態からレベル2許可状態へと移行する場合には、表示デバイスによる通知に加えてオーディオ装置24による通知を行う。
これにより、提示情報調整部140は、セカンドタスクを禁止された状態からセカンドタスクを許可された状態へと遷移(許可遷移)する場合と、セカンドタスクを許可された状態からセカンドタスクを禁止された状態へと遷移(禁止遷移)する場合とで、異なる提示態様にて各遷移に関する情報を提示する。特に、本実施形態では、禁止遷移に関する情報が、許可遷移に関する情報よりも強調されて提示されることになる。
第2実施形態において、HCU100が実行する提示制御方法のフローを、図25に従って以下に説明する。S240の処理は、第1実施形態におけるS140の処理と同様である。S240にてレベル2以下の走行へと移行すると判定された場合には、S241にて、提示情報調整部140がレベル3終了通知を実行する。具体的には、各表示デバイスによるレベル3終了メッセージの表示に加えて、オーディオ装置24によるレベル3終了音出力が実行される。S241の処理を実行すると、一連の処理を終了する。
第2実施形態において、上述のS132,S240が「判別プロセス」、S134,S137,S241が「提示制御プロセス」の一例である。
以上の第2実施形態によれば、特定行為許可状態から特定行為禁止状態への遷移に関する禁止遷移情報が、特定行為禁止状態から特定行為許可状態への遷移に関する許可遷移情報よりも強調した提示態様により提示される。故に、ドライバは、より注意が必要な特定行為許可状態から特定行為禁止状態への遷移を、より確実に認識し得る。以上により、利便性の高い情報提示が可能となり得る。
なお、提示情報調整部140は、レベル3終了音出力に代えて、または加えて、禁止遷移におけるレベル3終了メッセージを、許可遷移におけるレベル3終了メッセージよりも強調した表示態様で表示させてもよい。例えば、提示情報調整部140は、レベル3終了メッセージの表示色、大きさ等を変更することで、レベル3終了メッセージを許可遷移よりも強調すればよい。
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態におけるHCU100の変形例について説明する。第3実施形態において、第2自動運転ECU70は、レベル2のハンズオフが許可された状態で、且つドライバによるオーバーライドが無い、すなわち実際にハンズオフ状態である場合に、レベル3以上の自動走行へと移行する。
この場合、提示情報調整部140は、ハンズオフ許可状態において、ドライバ状態がハンズオン状態であると判断される場合、レベル3以上の自動走行へと移行できないことを通知する移行不能通知を実行する。移行不能通知では、例えば、HUD21およびメータディスプレイ22にメッセージ画像が表示される。メッセージ画像は、移行不能の旨を直接記述したものであってもよいし、ハンズオフになればレベル3に移行できる旨を記述することで、間接的に移行不能であることを提示するものであってもよい。
なお、レベル2のハンズオフ状態であるときに、ドライバがハンドル操作を行ったとしても、所定のトルク量まではレベル2のハンズオフ状態が維持される。一方、所定のトルク量以上である場合、オーバーライド状態となる。
第3実施形態において、HCU100が実行する提示制御方法のフローを、図26に従って以下に説明する。S330の処理は、第1実施形態におけるS130の処理と同様である。S330にてST区間の接近が判定された場合には、S331にて、ドライバ状態推定部130が、現在のドライバ状態がハンズオフ状態であるか否かを判定する。ハンズオフ状態ではない(ハンズオン状態である)と判定すると、S332にて、提示情報調整部140が移行不能通知を実行する。
一方で、S331にてハンズオフ状態であると判定すると、S333にて、周辺状態把握部110が、ハンズオフ状態となった段階でST区間に進入前であるか否かを判定する。ST区間に進入前であると判定されると、S334へと進む。S334は、S131の処理と同様である。S335では、周辺状態把握部110が、ST区間に進入したか否かを判定する。ST区間に進入したと判定すると、S336へと進む。S336は、S137の処理と同様である。一方で、S333にて、ハンズオフ状態となった段階で既にST区間に進入していると判定すると、S334およびS335をスキップしてS336へと進む。S336の処理を実行すると、一連の処理を終了する。
なお、本実施形態において、提示情報調整部140は、ST区間の進入前から移行不能通知を提示するとしたが、ST区間の進入後に提示する構成であってもよい。また、本実施形態において、提示情報調整部140は、ST区間に接近した状態でハンズオフ状態になっていなければ移行不能通知を提示するとした。これに代えて、提示情報調整部140は、ハンズオフ許可状態においてドライバ状態がハンズオンであれば、ST区間に接近しているか否かに関わらず移行不能通知を提示する構成であってもよい。
(第4実施形態)
上述の実施形態のレベル3終了通知において、提示情報調整部140は、第1遷移が発生する場合に、レベル3可能通知音をオーディオ装置24に提示させることで、第1遷移に関する情報を、第2遷移に関する情報よりも強調してドライバに提示するとした。これに代えて、提示情報調整部140は、第1遷移において表示デバイスに表示させるレベル3可能メッセージN5h,N5mを、第2遷移よりも強調した表示態様とすることで、第1遷移に関する情報を第2遷移に関する情報よりも強調してもよい。例えば、提示情報調整部140は、レベル3可能メッセージN5h,N5mの表示色、大きさ等を変更することで、レベル3可能メッセージN5h,N5mを第2遷移よりも強調すればよい。
(第5実施形態)
第5実施形態では、第1実施形態におけるHCU100の変形例について説明する。図27,28において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
第5実施形態において、提示情報調整部140は、ドライバにレベル3を実施するためのドライバ条件が成立しており、且つ自動運転レベル3の可能なADエリアに進入するまでにドライバが自動運転レベル3の開始操作を実行済みであるか否かを判定する。提示情報調整部140は、ドライバ状態推定部130からのドライバ条件についての判定結果の情報と、運転状態判断部120からの操作デバイス26の入力情報に基づいて、判定を実施すればよい。提示情報調整部140は、ドライバ条件が成立し且つ開始操作が実行済みであると判定した場合、レベル3開始通知とレベル3可能通知とを同時に実行する。一方で、ドライバ条件の成立および開始操作の実行の少なくとも一方について否定判定した場合、提示情報調整部140は、レベル3可能通知をレベル3開始通知に先立って提示する。なお、レベル3開始通知とレベル3可能通知とは、1つの通知として同時に提示されてもよいし、別の通知として同時に提示されてもよい。
第5実施形態においてHCU100の実行する処理について、図27,28のフローを参照して説明する。まず、図27のS116にてADエリアに進入したと判定された場合には、本フローがS116aへと移行する。S116aでは、提示情報調整部140が、ドライバ条件が成立しており、且つ自動運転レベル3の開始操作を実行済みであるか否かを判定する。ドライバ条件の成立および開始操作の実行のいずれか一方について否定判定が下されると、本フローはS117へと移行する。
一方で、ドライバ条件が成立し且つ開始操作が実行済みであると判定されると、本フローがS117aへと移行する。S117aでは、提示情報調整部140が、ADエリア進入通知に加え、レベル3可能通知とレベル3開始通知とを同時に提示する。S117aの処理が実行されると、本フローは終了する。
図28のS133にて、ハンズオフ状態でST区間に進入したと判定された場合には、本フローはS133aへと移行する。S133aでは、提示情報調整部140が、ドライバ条件が成立しており、且つ自動運転レベル3の開始操作を実行済みであるか否かを判定する。ドライバ条件の成立および開始操作の実行のいずれか一方について否定判定が下されると、本フローはS134へと移行する。
一方で、ドライバ条件が成立し且つ開始操作が実行済みであると判定されると、本フローがS137aへと移行する。S137aでは、提示情報調整部140が、レベル3可能通知とレベル3開始通知とを同時に提示する。S137aの処理が実行されると、本フローは終了する。なお、本フローにおいて、上述のS116a,S133aが「判断プロセス」の一例であり、S117,S117a,S119,S134,S136,S137が「提示制御プロセス」の一例である。
以上の第5実施形態によれば、ドライバ条件が成立し且つ開始操作が実行済みであると判定されると、レベル3開始通知とレベル3可能通知とが同時に実行される。故に、自動運転レベル3を直ちに実行できる状況にて、レベル3開始通知がレベル3可能通知とともにドライバに認識され得る。したがって、利便性の高い情報提示が可能となり得る。
(第6実施形態)
第6実施形態では、第1実施形態におけるHCU100の変形例について説明する。図29,30において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
第6実施形態において、提示情報調整部140は、レベル3開始通知の実行タイミングを、直前の自動運転レベルに応じて変更する。例えば、提示情報調整部140は、直前の自動運転レベルが低いほど、自動運転レベル3の実行が許可されてからレベル3開始通知を実行するまでの時間差を大きくする。また、提示情報調整部140は、直前の自動運転レベルが自動運転レベル2で且つハンズオン状態であった場合に、レベル2で且つハンズオフ状態であった場合よりも、自動運転レベル3の実行が許可されてからレベル3開始通知を実行するまでの時間差を大きくする。
具体的には、提示情報調整部140は、直前の自動運転レベルがレベル0、すなわち手動運転であった場合、自動運転レベル3の実行が許可されてから第1所定時間(例えば10秒程度)待機したのち、レベル3開始通知を実行する。そして、提示情報調整部140は、直前の自動運転レベルがレベル2で、且つハンズオン状態であった場合、自動運転レベル3の実行が許可されてから、第1所定時間よりも短い第2所定時間(例えば5秒程度)待機したのち、レベル3開始通知を実行する。提示情報調整部140は、直前の自動運転レベルがレベル2で、且つハンズオフ状態であった場合、第1実施形態と同様にST区間に進入した時点でレベル3開始通知を実行すればよい。
第6実施形態においてHCU100の実行する処理について、図29,30のフローを参照して説明する。まず、図29のS118では、運転状態判断部120が、ドライバからレベル3の開始指示を取得したと判定すると、本フローがS118aへと移行する。S118aでは、提示情報調整部140が、レベル3開始通知の実行を第1所定時間待機する。その後、本フローがS119に移行し、レベル3開始通知が実行される。
図30のS135にて、運転状態判断部120が、ドライバがレベル3自動走行制御を指示した、すなわち自動運転レベル3の開始操作を実行したと判定すると、本フローがS135bへと移行する。S133aでは、提示情報調整部140が、レベル3開始通知の実行を第2所定時間待機する。その後、本フローがS136に移行し、レベル3開始通知が実行される。なお、本フローにおいて、第1実施形態のステップに加えて、S118a,S135bが「提示制御プロセス」の一例に含まれる。
以上の第6実施形態によれば、レベル3開始通知の実行タイミングが、直前の自動運転レベルに応じて変更される。故に、直前の自動運転レベルから想定されるドライバの状態に適したタイミングにて、レベル3可能通知がドライバに認識され得る。したがって、利便性の高い情報提示が可能となり得る。
(第7実施形態)
第7実施形態では、第1実施形態におけるHCU100の変形例について説明する。図31において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
第7実施形態において、運転状態判断部120は、自動運転レベル2のハンズオフ状態であっても、ドライバの許可操作があったと判定した場合に、自動運転レベル3へと遷移を許可するものとする。また、第7実施形態において、提示情報調整部140は、第6実施形態と同様に、レベル3開始通知の実行タイミングを、直前の自動運転レベルに応じて変更する。この場合、提示情報調整部140は、自動運転レベル3が許可される直前の状態が自動運転レベル2で且つハンズオフ状態であった場合、自動運転レベル3の許可操作と実質同時に、レベル3開始通知を実行すればよい。これにより、直前の状態が自動運転レベル2のハンズオン状態であった場合よりも、レベル3開始通知が早く実行される。なお、自動運転レベル3が許可される直前の状態が自動運転レベル2で且つハンズオフ状態であるか否かの判定は、運転状態判断部120にて実行されればよい。
第7実施形態においてHCU100の実行する処理について、図31のフローを参照して説明する。図31では、S132にて、周辺状態把握部110が、ST区間に進入したと判定すると、本フローがS134へと移行する。その後、S135にて、運転状態判断部120が、ドライバがレベル3自動走行制御を指示したと判定すると、本フローがS135aへと移行する。
S135aでは、運転状態判断部120が、許可操作の直前の状態がハンズオン状態であったか否かを判定する。ハンズオン状態であったと判定されると、本フローがS135bを経由したのちに、S136へと移行する。一方で、許可操作の直前の状態がハンズオフ状態であったと判定すると、本フローがS135bをスキップしてS136aへと移行する。なお、本フローにおいて、第1実施形態のステップに加えて、S118a,S135bが「提示制御プロセス」の一例に含まれる。
(第8実施形態)
第8実施形態では、第1実施形態におけるHCU100の変形例について説明する。図32,33において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。
第8実施形態において、提示情報調整部140は、ドライバの各身体部位に関して、中断禁止状態と中断許可状態との間の状態移行の提示方法が、第1実施形態と異なる。具体的には、提示情報調整部140は、ドライバアイコンICdのうち状態が遷移する身体部位に対応する表示部位の強調表示に代えて、当該身体部位が操作する車両部材に対応するアイコンの強調表示により、状態移行を提示する。
例えば、提示情報調整部140は、ハンズオフ禁止状態からハンズオフ許可状態へと遷移した場合、ステアアイコンICsを強調表示する(図32参照)。また、提示情報調整部140は、レッグオフ禁止状態からレッグオフ許可状態へと遷移した場合、ペダルアイコンICpを強調表示する(図33参照)。
(他の実施形態)
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
上述の実施形態において、提示情報調整部140は、オーディオ装置24による聴覚情報を、視覚情報と異なる特定態様の情報として提示するとしたが、特定態様の情報はこれに限定されない。例えば、提示情報調整部140は、触覚情報を提示する構成であってもよい。具体的には、提示情報調整部140は、ドライバの着座する座席、ステアリングホイール、またはシートベルト装置等に設けられた振動部材を振動させることで、触覚情報を提示する。なお、提示情報調整部140は、聴覚情報および触覚情報の両方を提示することで情報提示を強調してもよい。また、提示情報調整部140は、強調された表示態様の視覚情報と、聴覚情報および/または触覚情報を組み合わせてもよい。
上述の実施形態の変形例として、提示情報調整部140は、アイズオフが禁止され、且つハンズオフとレッグオフとが許可された状態を、手腕部と足部に対応するドライバアイコンICdの表示部位を強調表示することなく提示してもよい(図34参照)。この場合、提示情報調整部140は、ドライバアイコンICdを、ステアリングハンドルおよびペダルの操作をしていない着座姿勢とすればよい。また、提示情報調整部140は、ステアアイコンICsおよびペダルアイコンICpを非表示とすればよい。
上述の実施形態の変形例として、提示情報調整部140は、アイズオフが禁止され、且つハンズオフとレッグオフとが許可された状態を、ドライバステータスSTDではなく周辺監視アイコンICmにより提示してよい。周辺監視アイコンICmは、周辺を監視する様子を模式的に表現したアイコンである。周辺監視アイコンICmは、例えば、図35に示すように、周辺を見る人の顔を模したアイコンであればよい。
上述の実施形態の変形例として、提示情報調整部140は、アイズオフ、ハンズオフおよびレッグオフが許可された状態(レベル3実行状態)において、ドライバステータスSTDにおける椅子アイコンICcを省略してもよい(図36参照)。また、提示情報調整部140は、図17等に示す音符状のアイコンを省略してもよい。また、提示情報調整部140は、図37に示すように、人の全身を表すドライバアイコンICdを含んだドライバステータスSTDではなく、アイズオフ、ハンズオフおよびレッグオフが許可された状態を模式的に示すレベル3状態アイコンIClvを表示してもよい。レベル3状態アイコンIClvは、例えば、図37に示すように、ドライバが運転動作を行わず、休憩している状態を表すアイコンとすればよい。
上述の実施形態の変形例として、提示情報調整部140は、ドライバに要求される運転動作が変化する場合には、ドライバステータスSTDの表示角度を変化させるように回転させてもよい。例えば、提示情報調整部140は、レベル3実行状態において、ドライバステータスSTDの表示角度を回転させ、ドライバアイコンICdの人型を後ろから見たような形状に変更してもよい。
上述の実施形態において、特定行為許可状態について主に自動運転レベル3を許可された状態として説明したが、自動運転レベル4以上を許可された状態であってもよい。また、特定行為禁止状態について、自動運転レベル2を許可された状態として説明したが、自動運転レベル1を許可された状態であってもよい。
HCU100は、デジタル回路およびアナログ回路のうち少なくとも一方をプロセッサとして含んで構成される、専用のコンピュータであってもよい。ここで特にデジタル回路とは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SOC(System on a Chip)、PGA(Programmable Gate Array)、およびCPLD(Complex Programmable Logic Device)等のうち、少なくとも一種類である。またこうしたデジタル回路は、プログラムを格納したメモリを、備えていてもよい。
HCU100は、1つのコンピュータ、またはデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供され得る。例えば、上述の実施形態におけるHCU100の提供する機能の一部は、他のECUによって実現されてもよい。
次に、上述の実施形態から把握できる技術思想を以下に追記する。
(付記1)
自動運転を実行可能な車両(A)のドライバに対する情報の提示を制御する提示制御装置であって、
前記ドライバにおける複数種類の身体部位の各々に対して、運転動作の中断を許可する中断許可状態および前記運転動作の中断を禁止する中断禁止状態のいずれであるかを判別する判別部(120)と、
各前記身体部位について判別された状態を、特定の表示器における同一の表示領域内にて表示する提示制御部(140)と、
を備える提示制御装置。
(付記2)
自動運転を実行可能な車両(A)のドライバに対する情報の提示を制御するために、記憶媒体(101)に格納され、プロセッサ(102)に実行させる命令を含む提示制御プログラムであって、
前記命令は、
前記ドライバにおける複数種類の身体部位の各々に対して、運転動作の中断を許可する中断許可状態および前記運転動作の中断を禁止する中断禁止状態のいずれであるかを判別させる判別プロセス(S120,S123)と、
各前記身体部位について判別された状態を、特定の表示器における同一の表示領域内にて表示させる提示制御プロセス(S121,S122,S126)と、
を含む提示制御プログラム。
自動運転において、ドライバの複数の身体部位について、運転動作の中断を許可される場合と、運転動作の中断を禁止される場合とが発生する可能性が生じてきている。複数の身体部位の状態を、ドライバに分かり易く表示する技術は、これまで開示されていなかった。
付記1および付記2の態様によれば、各前記身体部位が中断許可状態および中断禁止状態のいずれの状態であるかが、特定の表示器における同一の表示領域内にて表示される。故に、ドライバは、複数の身体部位それぞれの状態を、同一の表示領域内を視認することで把握し得る。したがって、分かり易い表示が可能な提示制御装置および提示制御プログラムを提供できる。
(付記3)
自動運転を実行可能な車両(A)のドライバに対する情報の提示を制御する提示制御装置であって、
前記自動運転を許可する自動運転許可状態と、前記自動運転を禁止する自動運転禁止状態とを判別するとともに、前記ドライバから前記自動運転の開始指示を取得する判別部(120)と、
前記自動運転許可状態に関する自動運転許可情報を特定の表示器に表示させる提示制御部(140)と、
を備え、
前記提示制御部は、前記開始指示が許容時間内に取得されなかったと判断した場合に、前記自動運転許可情報の表示を中断させる提示制御装置。
(付記4)
自動運転を実行可能な車両(A)のドライバに対する情報の提示を制御するために、記憶媒体(101)に格納され、プロセッサ(102)に実行させる命令を含む提示制御プログラムであって、
前記命令は、
前記自動運転を許可する自動運転許可状態と、前記自動運転を禁止する自動運転禁止状態とを判別させ、前記ドライバから前記自動運転の開始指示を取得する判別プロセス(S、110,S112,S113)と、
前記自動運転許可状態に関する自動運転許可情報を特定の表示器に表示させる提示制御プロセス(S111,S114)と、
を含み、
前記提示制御プロセスでは、前記開始指示が許容時間内に取得されなかったと判断した場合に、前記自動運転許可情報の表示を中断させる提示制御プログラム。
近年、自動運転が可能であることを表示したうえで、ドライバの開始指示に基づいて自動運転を開始することが求められている。しかし、ドライバが自動運転の開始指示を行わなかった場合、自動運転が可能であることが表示され続け、煩雑な表示となり得た。この煩雑な表示を回避する技術は、これまで開示されていなかった。
付記3および付記4の態様によれば、自動運転の開始指示が許容時間内に取得されなかったと判断された場合に、自動運転許可情報の表示が中断される。故に、ドライバが自動運転の開始指示を行わなかった場合に、自動運転許可情報が継続して表示され続けることを回避できる。したがって、煩わしさを回避し、分かり易い表示が可能な提示制御装置および提示制御プログラムを提供できる。