JP7279550B2 - 電子デバイスの製造方法 - Google Patents
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k=(Y-X)/a・・・(1)
で示されるkの値が0超2未満であることを特徴とする。このように、同一平面上に配置された第1の熱伝導シートおよび第2の熱伝導シートを発熱体と放熱体との間に挟着する挟着工程を含み、挟着前における第1の熱伝導シートの厚みおよび第2の熱伝導シートの厚みと、挟着後の発熱体の被着面の凹凸の値とが所定の関係を満たす電子デバイスの製造方法によれば、高い放熱性を実現し得る電子デバイスを製造することができる。
なお、本発明において、挟着工程の挟着前における第1の熱伝導シートの厚みYおよび第2の熱伝導シートの厚みX、並びに、挟着工程の挟着後における発熱体の被着面の凹凸の値aは、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本発明において、「発熱体の被着面」とは、発熱体の放熱体と対向している側の面(対向面)全体のうち、発熱体が放熱体と対向する範囲(実際に熱伝導シートを介して密着しているかどうかにかかわらず、発熱体が熱伝導シートを介して放熱体と密着し得る最大範囲)の面を指す。
さらに、本発明では、挟着工程において、第1の熱伝導シートおよび第2の熱伝導シートを発熱体の被着面上に配置する場合、発熱体の被着面が歪みおよび/または凹凸を有していたとしても、第1の熱伝導シートと第2の熱伝導シートとは同一平面上に配置されているものとする。
圧縮率P2={1-(T2(0.9)/T2(0.1))}×100(%)・・・(2)
で示される前記第2の熱伝導シートの圧縮率P2が1%以上50%以下であることが好ましい。このように、第2の熱伝導シートの圧縮率P2が上記所定の範囲内であれば、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めつつ、電子デバイスからの熱伝導シートのはみ出しを抑制することができる。
なお、本発明において、厚み方向に0.9MPaで加圧した状態における第2の熱伝導シートの厚みT2(0.9)、および、厚み方向に0.1MPaで加圧した状態における第2の熱伝導シートの厚みT2(0.1)は、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、本発明において、「体積平均粒子径」は、JIS Z8825に準拠して測定することができ、レーザー回折法で測定された粒度分布(体積基準)において、小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径を表す。
圧縮率P1={1-(T1(0.9)/T1(0.1))}×100(%)・・・(3)
で示される前記第1の熱伝導シートの圧縮率P1が前記第2の熱伝導シートの圧縮率P2よりも小さいことが好ましい。このように、第1の熱伝導シートの圧縮率P1が第2の熱伝導シートの圧縮率P2よりも小さければ、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めることができる。
なお、本発明において、厚み方向に0.9MPaで加圧した状態における第1の熱伝導シートの厚みT1(0.9)、および、厚み方向に0.1MPaで加圧した状態における第1の熱伝導シートの厚みT1(0.1)は、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、ネジを用いた固定の際の締め付けトルクは、ネジを用いた固定の際に使用するトルクドライバーの入力値によって調整することができる。
本発明の電子デバイスの製造方法は、同一平面上に配置された第1の熱伝導シートおよび第2の熱伝導シートを発熱体と放熱体との間に挟着する挟着工程を含み、挟着前における第1の熱伝導シートの厚みおよび第2の熱伝導シートの厚みと、挟着後の発熱体の被着面の凹凸の値とが所定の関係を満たすことを特徴とする。本発明の電子デバイスの製造方法によれば、高い放熱性を実現し得る電子デバイスを製造することができる。
なお、本発明の電子デバイスの製造方法は、任意で、上述した挟着工程以外のその他の工程を更に含んでいてもよい。
挟着工程では、同一平面上に配置された第1の熱伝導シートおよび第2の熱伝導シートを発熱体と放熱体との間に挟着する。そして、挟着工程の挟着前における第1の熱伝導シートの厚みをYとし、第2の熱伝導シートの厚みをXとし、挟着工程の挟着後における発熱体の被着面の凹凸の値をaとしたときの下記式(1):
k=(Y-X)/a・・・(1)
で示されるkの値が0超2未満である。
ここで、本発明の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイスが高い放熱性を実現し得る理由は、明らかではないが、以下のように推察される。
即ち、挟着後における発熱体の被着面に凹凸が生じる場合に、均一な厚みを有する1枚の熱伝導シートを発熱体と放熱体との間に挟着させると、発熱体の被着面と熱伝導シートとが十分に密着しない箇所が生じて、発熱体から放熱体への伝熱の効率性が低下し、製造される電子デバイスの高い放熱性の実現が困難となる。
しかしながら、本発明の電子デバイスの製造方法の挟着工程では、挟着後における発熱体の被着面の凹凸の値に対して上記所定の関係を満たすような異なる厚みを有する第1の熱伝導シートおよび第2の熱伝導シートを、同一平面上に配置させて挟着を行なうことにより、挟着後における発熱体の被着面に凹凸が生じている場合であっても、発熱体の被着面と熱伝導シートとを良好に密着させることができ、熱伝導シートを介して発熱体から放熱体へと効率的に伝熱できるため、高い放熱性を実現し得る電子デバイスを製造できるものと推察される。
また、図2は、上記図1に示した各部材の位置関係を上方(即ち、発熱体3側)から観察した場合の図(上面図)である。
なお、図1および2は、挟着前における各部材の位置関係を示しているが、上述した第1の熱伝導シート1および第2の熱伝導シート2が発熱体3と放熱体4との間に挟着され、発熱体3の四隅にて後述するネジ5による固定がなされても(挟着後においても)、各部材の位置関係は挟着前における各部材の位置関係と変わらないものとする。
上記配置とすることで、挟着後に、一方の第2の熱伝導シート2と、発熱体3の長手方向の一方の端部側の被着面とが接着し、他方の第2の熱伝導シート2と、発熱体3の長手方向の他方の端部側の被着面とが接着する。このように、第2の熱伝導シート2と、発熱体3の長手方向の少なくとも一方の端部側の被着面とが接着していれば、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めることができる。
また、上記配置とすることで、挟着後に、発熱体3の被着面のうち、第1の熱伝導シート1と接着する箇所が、第2の熱伝導シート2と接着する箇所よりも、発熱体3の長手方向の中央部の近くに位置する。このように、発熱体3の被着面のうち、第1の熱伝導シート1と接着する箇所が、第2の熱伝導シート2と接着する箇所よりも、発熱体3の長手方向の中央部の近くに位置していれば、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めることができる。
そして、一方の第2の熱伝導シート2の発熱体3の長手方向に沿った長さと、他方の熱伝導シート2の発熱体3の長手方向に沿った長さとが同じである場合、一方の第2の熱伝導シート2の発熱体3の長手方向に沿った長さと、第1の熱伝導シート1の発熱体3の長手方向に沿った長さと、他方の第2の熱伝導シート2の発熱体3の長手方向に沿った長さとの比(第2の熱伝導シート2:第1の熱伝導シート1:第2の熱伝導シート2)は、5:90:5~30:40:30であることが好ましく、5:90:5~20:60:20であることがより好ましく、5:90:5~15:70:15であることが更に好ましい。各熱伝導シートの発熱体3の長手方向に沿った長さの比(第2の熱伝導シート2:第1の熱伝導シート1:第2の熱伝導シート2)が上記所定の範囲内であれば、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めることができる。
さらに、第1の熱伝導シート1と第2の熱伝導シート2とが互いに接触している場合、第1の熱伝導シート1と第2の熱伝導シート2とが一体となって形成する形状が、発熱体3の被着面(主面)の形状と一致することが好ましい。例えば、図2では、互いに接触する1枚の第1の熱伝導シート1と2枚の第2の熱伝導シート2とが一体となって形成する略四角形が、発熱体3の被着面(主面)の略四角形と一致している。このように、第1の熱伝導シート1と第2の熱伝導シート2とが一体となって形成する形状が、発熱体3の被着面(主面)の形状と一致すれば、製造される電子デバイスから熱伝導シートがはみ出ることを抑制しつつ、電子デバイスの放熱性を高めることができる。
なお、上記操作において、発明体3の被着面および3/または放熱体4の被着面が歪みおよび/または凹凸を有している場合であっても、第1の熱伝導シート1と第2の熱伝導シート2とは同一平面上に配置されているものとする。
なお、図示例では、発熱体3の四隅(4箇所)においてネジ5を用いた固定がなされているが、本発明の電子デバイスの製造方法はこれに限定されることはなく、ネジ5等の固定部材を用いて発熱体3と放熱体4とを固定する箇所の個数は、発熱体3の形状および大きさなどに応じて適宜設定することができる。
さらに、発熱体3と放熱体4との間に第2の熱伝導シート2が介在している場合、第2の熱伝導シート2のうち、ネジ5が貫通する部分をあらかじめ除去しておいてもよい。
第1の熱伝導シート1は、製造される電子デバイスにおいて、発熱体3と放熱体4との間に介在して配置され、発熱体3から生じた熱を放熱体4へと良好に伝熱する部材である。
ここで、挟着工程の挟着前における第1の熱伝導シート1の厚みYは、kの値が上述した所定の範囲内である限り、特に限定されないが、100μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましく、700μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましい。挟着工程の挟着前における第1の熱伝導シートの厚みYが上記所定の範囲内であれば、製造される熱伝導シートから熱伝導シートがはみ出すことを抑制することができる。
また、第1の熱伝導シート1は、25℃におけるアスカーC硬度が30以上であることが好ましく、40以上であることがより好ましく、50以上であることが更に好ましく、60以上であることが一層好ましく、150以下であることが好ましく、120以下であることがより好ましく、90以下であることが更に好ましく、85以下であることが一層好ましい。第1の熱伝導シート1のアスカーC硬度が上記下限以上であれば、第1の熱伝導シート1に十分な物理的強度を与えると共に、発熱体と放熱体との間の熱抵抗を更に効率的に低下させ、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めることができる。一方、第1の熱伝導シート1のアスカーC硬度が上記上限以下であれば、第1の熱伝導シート1が過度に硬くなることなく、第1の熱伝導シート1を介した発熱体および放熱体の良好な密着性を確保することができ、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めることができる。
なお、熱伝導シートのアスカーC硬度は、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
さらに、第1の熱伝導シート1は、厚み方向の熱伝導率が、50℃において、15W/m・K以上であることが好ましく、20W/m・K以上であることがより好ましく、25W/m・K以上であることが更に好ましい。第1の熱伝導シート1の厚み方向の熱伝導率が上記所定の値以上であれば、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めることができる。
なお、熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率は、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
〔〔熱抵抗〕〕
第1の熱伝導シート1を厚み方向に加圧した状態における熱抵抗は、特に限定されないが、例えば、厚み方向に0.1MPaで加圧した状態における熱抵抗は、0.40℃/W以下であることが好ましく、0.38℃/W以下であることがより好ましく、0.17℃/W以下であることが更に好ましい。第1の熱伝導シート1を厚み方向に0.1MPaで加圧した状態における熱抵抗が上記所定の値以下であれば、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めることができる。
また、第1の熱伝導シート1を厚み方向に0.9MPaで加圧した状態における熱抵抗は、0.25℃/W以下であることが好ましく、0.23℃/W以下であることがより好ましく、0.10℃/W以下であることが更に好ましい。第1の熱伝導シート1を厚み方向に0.9MPaで加圧した状態における熱抵抗が上記所定の値以下であれば、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めることができる。
なお、熱伝導シートを厚み方向に加圧した状態における熱抵抗は、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
さらに、厚み方向に0.9MPaで加圧した状態における第1の熱伝導シート1の厚みをT1(0.9)とし、厚み方向に0.1MPaで加圧した状態における第1の熱伝導シート1の厚みをT1(0.1)としたときの下記式(3):
圧縮率P1={1-(T1(0.9)/T1(0.1))}×100(%)・・・(3)
で示される第1の熱伝導シート1の圧縮率P1は、1%以上であることが好ましく、2%以上であることがより好ましく、5%以上であることが更に好ましく、50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることが更に好ましい。第1の熱伝導シート1の圧縮率P1が上記下限以上であれば、加圧の力が弱くても躯体に対して容易に追従することで、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めることができる。一方、第1の熱伝導シート1の圧縮率P1が上記上限以下であれば、過度な加圧が生じた際に製造される電子デバイスから熱伝導シートがはみ出ることを抑制することができる。
ここで、第1の熱伝導シート1は、例えば、銀、銅、アルミ等の金属材料からなるシートであってもよいが、樹脂と熱伝導性充填材とを含むことが好ましい。第1の熱伝導シート1が樹脂と熱伝導性充填材とを含めば、高い熱伝導性を発揮し得るため、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めることができる。なお、第1の熱伝導シート1は、樹脂および熱伝導性充填材以外の添加剤を含んでいてもよいものとする。
ここで、樹脂としては、常温常圧下で液体の樹脂と、常温常圧下で固体の樹脂との少なくとも一方を用いることができる。なお、本明細書において、「常温」とは23℃を指し、「常圧」とは、1atm(絶対圧)を指す。
そして、常温常圧下で液体の熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
また、常温常圧下で液体の熱硬化性樹脂としては、例えば、天然ゴム;ブタジエンゴム;イソプレンゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;クロロプレンゴム;エチレンプロピレンゴム;塩素化ポリエチレン;クロロスルホン化ポリエチレン;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ポリイソブチレンゴム;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂;ビスマレイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂;フェノール樹脂;不飽和ポリエステル;ジアリルフタレート樹脂;ポリイミドシリコーン樹脂;ポリウレタン;熱硬化型ポリフェニレンエーテル;熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル;などが挙げられる。
そして、常温常圧下で固体の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ(アクリル酸2-エチルヘキシル)、アクリル酸とアクリル酸2-エチルヘキシルとの共重合体、ポリメタクリル酸またはそのエステル、ポリアクリル酸またはそのエステルなどのアクリル樹脂;シリコン樹脂;フッ素樹脂;ポリエチレン;ポリプロピレン;エチレン-プロピレン共重合体;ポリメチルペンテン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリ酢酸ビニル;エチレン-酢酸ビニル共重合体;ポリビニルアルコール;ポリアセタール;ポリエチレンテレフタレート;ポリブチレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート;ポリスチレン;ポリアクリロニトリル;スチレン-アクリロニトリル共重合体;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂);スチレン-ブタジエンブロック共重合体またはその水素添加物;スチレン-イソプレンブロック共重合体またはその水素添加物;ポリフェニレンエーテル;変性ポリフェニレンエーテル;脂肪族ポリアミド類;芳香族ポリアミド類;ポリアミドイミド;ポリカーボネート;ポリフェニレンスルフィド;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリエーテルニトリル;ポリエーテルケトン;ポリケトン;ポリウレタン;液晶ポリマー;アイオノマー;などが挙げられる。
また、常温常圧下で固体の熱硬化性樹脂としては、例えば、天然ゴム;ブタジエンゴム;イソプレンゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;クロロプレンゴム;エチレンプロピレンゴム;塩素化ポリエチレン;クロロスルホン化ポリエチレン;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ポリイソブチレンゴム;エポキシ樹脂;ポリイミド樹脂;ビスマレイミド樹脂;ベンゾシクロブテン樹脂;フェノール樹脂;不飽和ポリエステル;ジアリルフタレート樹脂;ポリイミドシリコーン樹脂;ポリウレタン;熱硬化型ポリフェニレンエーテル;熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル;などが挙げられる。
なお、上述した樹脂は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱伝導性充填材としては、特に限定されることなく、例えば、アルミナ粒子、酸化亜鉛粒子、窒化ホウ素粒子、窒化アルミニウム粒子、窒化ケイ素粒子、炭化ケイ素粒子、酸化マグネシウム粒子および粒子状炭素材料などの粒子状材料、並びに、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維、有機繊維を炭化して得られる炭素繊維、およびそれらの切断物などの繊維状材料が挙げられる。中でも、熱伝導性充填材としては、窒化ホウ素粒子;黒鉛(例えば、人造黒鉛、鱗片状黒鉛、薄片化黒鉛、天然黒鉛、酸処理黒鉛、膨張性黒鉛、膨張化黒鉛等)およびカーボンブラックなどの粒子状炭素材料;並びに、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と称することがある。)などの繊維状炭素ナノ材料;からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、粒子状炭素材料を用いることがより好ましく、膨張化黒鉛を用いることが更に好ましい。これらの熱伝導性充填材を用いれば、第1の熱伝導シート1の熱伝導性を高めて、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めることができる。
なお、熱伝導性充填材は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
第1の熱伝導シート1に任意に含有させ得る添加剤としては、特に限定されることなく、例えば、難燃剤、可塑剤、靭性改良剤、吸湿剤、接着力向上剤、濡れ性向上剤、イオントラップ剤などが挙げられる。
第1の熱伝導シート1の製造方法は、特に制限されず、例えば、上述した樹脂と熱伝導性充填材とを含む第1の熱伝導シート1は、例えば、一次シート成形工程、積層工程、スライス工程などを経て製造することができる。
一次シート成形工程では、樹脂、および熱伝導性充填材を含み、任意に、添加剤を更に含む組成物を加圧してシート状に成形し、一次シートを得る。
ここで、組成物は、樹脂と、熱伝導性充填材と、任意成分(添加剤)とを混合して調製することができる。そして、樹脂、熱伝導性充填材および任意の添加剤としては、第1の熱伝導シート1に含まれ得る樹脂、熱伝導性充填材、および添加剤として上述したものを用いることができる。また、組成物中の各成分の含有量も上述した範囲内で適宜変更することができる。
そして、上述のようにして調製した組成物は、任意に脱泡および解砕した後に、加圧(一次加圧)してシート状に成形することができる。
ここで、組成物は、圧力が負荷される成形方法であれば特に限定されることなく、プレス成形、圧延成形または押出し成形などの既知の成形方法を用いてシート状に成形することができる。中でも、組成物は、圧延成形によりシート状に形成することが好ましく、保護フィルムに挟んだ状態でロール間を通過させてシート状に成形することがより好ましい。なお、保護フィルムとしては、特に限定されることなく、サンドブラスト処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等を用いることができる。また、ロール温度は5℃以上150℃以下とすることができる。
そして、組成物を加圧してシート状に成形してなる一次シートでは、粒子状炭素材料などの熱伝導性充填材が主として面内方向に配列し、特に面内方向の熱伝導性が向上すると推察される。
ここで、一次シートの厚みは、特に限定されることなく、例えば0.05mm以上2mm以下とすることができる。
なお、一次シート成形工程で得られた一次シートを、後述する積層工程およびスライス工程を経ることなく、そのまま第1の熱伝導シート1として使用することもできる。
積層工程では、一次シート成形工程で得られた一次シートを厚み方向に複数枚積層して、或いは、一次シートを折畳または捲回して、積層体を得る。
ここで、積層工程で得られる積層体において、一次シートの表面同士の接着力をより高めて、積層体の層間剥離を十分に抑制する場合には、一次シートの表面を溶剤で若干溶解させた状態で積層工程を行ってもよいし、一次シートの表面に接着剤を塗布した状態または一次シートの表面に接着層を設けた状態で積層工程を行ってもよいし、一次シートを積層させた積層体を積層方向に更にプレス(二次加圧)してもよい。
そして、一次シートを積層、折畳または捲回して得られる積層体では、粒子状炭素材料などの熱伝導性充填材が積層方向に略直交する方向に配列していると推察される。
スライス工程では、積層工程で得られた積層体を、積層方向に対して45°以下の角度でスライスし、積層体のスライス片よりなる二次シートとしての熱伝導シートを得る。
ここで、積層体をスライスする方法としては、特に限定されることなく、例えば、マルチブレード法、レーザー加工法、ウォータージェット法、ナイフ加工法等が挙げられる。中でも、熱伝導シートの厚みを均一にし易い点で、ナイフ加工法が好ましい。また、積層体をスライスする際の切断具としては、特に限定されることなく、例えば、積層体を積層方向に押圧して固定するための金属板等の固定具と、両刃の切断刃を有するスライス部材と、を備え、固定具により積層体を押圧状態としつつ切断刃を動かすことで積層体をスライスする、スライサーを用いることができる。
第2の熱伝導シート2は、第1の熱伝導シート1と同様、製造される電子デバイスにおいて、発熱体3と放熱体4との間に介在して配置され、発熱体3から生じた熱を放熱体4へと良好に伝熱する部材である。
挟着前における第2の熱伝導シート2は、挟着前における第1の熱伝導シート1とは厚みが異なる。そして、挟着前における第2の熱伝導シート2の厚みXは、上述したkの値が所定の範囲内である限り、特に限定されないが、挟着前における第1の熱伝導シート1の厚みYよりも小さいものとする。
また、第1の熱伝導シート1の厚みYに対する第2の熱伝導シート2の厚みXの比率(X/Y)は、0.10以上であることが好ましく、0.20以上であることがより好ましく、0.40以上であることが更に好ましく、0.98以下であることが好ましく、0.80以下であることがより好ましく、0.70以下であることが更に好ましい。第1の熱伝導シート1の厚みYに対する第2の熱伝導シート2の厚みXの比率(X/Y)が上記所定の範囲内であれば、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めることができる。
さらに、厚み方向に0.9MPaで加圧した状態における第2の熱伝導シート2の厚みをT2(0.9)とし、厚み方向に0.1MPaで加圧した状態における第2の熱伝導シート2の厚みをT2(0.1)としたときの下記式(2):
圧縮率P2={1-(T2(0.9)/T2(0.1))}×100(%)・・・(2)
で示される第2の熱伝導シート2の圧縮率P2は、1%以上であることが好ましく、2%以上であることがより好ましく、5%以上であることが更に好ましく、50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることが更に好ましい。第2の熱伝導シート2の圧縮率P2が上記下限以上であれば、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めることができる。一方、第2の熱伝導シート2の圧縮率P2が上記上限以下であれば、製造される電子デバイスから熱伝導シートがはみ出ることを抑制することができる。
第1の熱伝導シート1の圧縮率P1と、第2の熱伝導シートの圧縮率P2とは、同じであってもよいし、異なっていてもよいが、第1の熱伝導シート1の圧縮率P1と第2の熱伝導シートの圧縮率P2とが異なることが好ましく、第1の熱伝導シート1の圧縮率P1が第2の熱伝導シートの圧縮率P2よりも小さいことがより好ましい。第1の熱伝導シート1の圧縮率P1と第2の熱伝導シートの圧縮率P2とが異なれば、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めることができ、第1の熱伝導シート1の圧縮率P1が第2の熱伝導シートの圧縮率P2よりも小さければ、製造される電子デバイスの放熱性を一層高めることができる。
なお、第2の熱伝導シート2のアスカーC硬度、厚み方向の熱伝導率、厚み方向に加圧した状態における熱抵抗等の性状は、特に限定されず、「第1の熱伝導シート」の項で上述した範囲内であることが好ましい。
そして、第2の熱伝導シート2の組成は、特に限定されず、例えば、「第1の熱伝導シート」の項で上述した組成と同様とすることができる。また、第2の熱伝導シート2の組成に含まれ得る好ましい成分、および、粒子状炭素材料等の各成分の含有割合なども、同項で上述したものと同様とすることができる。
また、第2の熱伝導シート2は、kの値が上述した所定の範囲内になるように、スライス工程におけるスライス幅等の条件を変更し、挟着前における第2の熱伝導シート2の厚みYを調整すること以外は、「第1の熱伝導シート」の項で上述した製造方法と同様にして製造することができる。
発熱体3は、製造される電子デバイスを構成する一構成部材であり、電子デバイスにおいて、後述する放熱体4とともに、同一平面上に配置された第1の熱伝導シート1および第2の熱伝導シート2を挟着する。換言すれば、発熱体3は、製造される電子デバイスにおいて、第1の熱伝導シート1および第2の熱伝導シート2と接着する被着体の一種である。
ここで、発熱体3は、例えば、電子デバイスにおいて熱を発すれば特に制限されない。発熱体の種類としては、例えば、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ、有機EL、無機EL等の半導体素子;および当該半導体素子を備えたメモリ、中央演算処理装置(CPU)等の集積回路(IC、LSI)およびICチップ、半導体パッケージ、半導体封止ケース、半導体ダイボンディング、パワーモジュール、パワートランジスタ、パワートランジスタケース等の半導体関連部品;リジッド配線板、フレキシブル配線板、セラミック配線板、ビルドアップ配線板、多層基板等の配線基板(配線板にはプリント配線板なども含まれる);等が挙げられる。
また、上記トランジスタとしては、例えば、電界効果トランジスタ(FET)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等が挙げられる。
更に、上記ダイオードとしては、例えば、発光ダイオード(LED)、フォト・ダイオード等が挙げられる。
ここで、発熱体3は、上述した放熱体4と互いに対向している被着面を有する。そして、製造される電子デバイスにおいては、一般的に、発熱体3から生じた熱の大部分は、発熱体3の被着面を介して放熱体4へと伝熱し、放散される。
なお、「発熱体3の被着面」とは、発熱体3の放熱体4と対向している側の面(対向面)全体のうち、発熱体3が放熱体4と対向する範囲(実際に熱伝導シートを介して密着させるかどうかにかかわらず、発熱体3が熱伝導シートを介して放熱体4と密着し得る最大範囲)の面を指す。ここで、発熱体3の対向面のほうが放熱体4の発熱体3と対向している側の面(対向面)よりも大きく、発熱体3の対向面の一部のみが放熱体と対向することで、発熱体3の対向面の一部のみが発熱体3の被着面となってよいが、発熱体3の対向面よりも放熱体4の対向面のほうが大きく、発熱体3の対向面の全範囲が放熱体4と対向することで、発熱体3の対向面全体が発熱体3の被着面となることが好ましい。
なお、発熱体3を被着面が下向きになるように配置した状態で、発熱体3を短手方向から(即ち、長手方向に対して垂直方向に)観察した際(図1の側面図参照)に、被着面の外縁全体により形成される曲線が上向きに突出している場合、被着面の歪み形状が「上に凸」であるものとし、被着面の外縁全体により形成される曲線が下向きに突出している場合、被着面の歪み形状が「下に凸」であるものとし、上記のいずれにも該当しない場合、被着面の歪み形状は「歪み無し(平坦)」であるものとする。
-被着面の歪み形状-
ここで、図1では、挟着前における発熱体3の被着面の歪み形状は下に凸であるが、本発明の電子デバイスの製造方法はこれに限定されず、挟着前における発熱体の被着面の歪み形状は上に凸であってもよいし、歪み無し(平坦)であってもよい。
なお、挟着前における発熱体3の被着面の歪み形状が上記のいずれに該当するかは、本明細書の実施例に記載の方法により判定することができる。
また、挟着前における発熱体3の被着面の凹凸の値a´は、20μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましく、150μm以下であることが好ましく、120μm以下であることがより好ましい。挟着前における発熱体3の被着面の歪み形状が下に凸である場合、挟着前における発熱体3の被着面の凹凸の値a´が上記下限以上であれば、ネジ5等を用いた固定の際に発熱体3が過度に反ることを抑制できる。一方、挟着前における発熱体3の被着面の凹凸の値a´が上記下限以上であれば、挟着の際に熱伝導シートを過度に潰すことを抑制できる。
なお、「挟着前における発熱体3の被着面の凹凸の値a´」は、以下に示す方法で測定することができる。
即ち、まず、挟着前における発熱体3の被着面上の略中心に位置する中心点を基準とした水平方向の広がりを基準面と設定する。ここで、上記中心点は目視で設定することができるが、例えば、被着面が多角形である場合は各頂点から略等距離にある点または対角線の交点とすることができ;被着面が円形である場合は円の中心或いは長軸および短軸の交点とすることができる。次に、三次元形状測定機等のレーザー顕微鏡を用いて、被着面における所定の線上における厚み方向についての表面凹凸形状状態を表したグラフを得る。ここで、上記所定の線上とは、被着面の面内において厚み方向に最も高い点と最も低い点とを通る直線上である。そして、得られたグラフの厚み方向における、基準面の高さと最大高さ(最高値)との高低差の絶対値、および、基準面の高さと最小高さ(最低値)との高低差の絶対値のうち、大きいほうを挟着前における発熱体3の被着面の凹凸の値a´とする。
-被着面の歪み形状-
また、図示しないが、挟着後における発熱体3の被着面の歪み形状は、特に限定されないが、通常は、上に凸であるものとする。これは、例えば、発熱体3の長手方向の両端部において発熱体3と放熱体4とがネジ5等の固定部材によって固定されていることによる。ここで、挟着前における発熱体3の被着面の歪み形状が下に凸または歪み無し(平坦)であったとしても、上記ネジ5等を用いた固定の影響により、挟着後における発熱体3の被着面の歪み形状は、通常、上に凸になるものとする。
なお、挟着後における発熱体3の被着面の歪み形状が上記のいずれに該当するかは、本明細書の実施例に記載の方法により判定することができる。
挟着後における発熱体3の被着面の凹凸の値aは、kの値が上述した所定の範囲内である限り、特に限定されないが、20μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、1000μm以下であることが好ましく、500μm以下であることがより好ましい。挟着後における発熱体3の被着面の凹凸の値aが上記下限以上であれば、製造される電子デバイスからの熱伝導シートのはみ出しを抑制することができる。一方、挟着後における発熱体3の被着面の凹凸の値aが上記上限以下であれば、熱伝導シートと発熱体との密着度合いが高まり、より効率的に伝熱することで、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めることができる。
ここで、挟着後における発熱体3の被着面の凹凸の値aは、例えば、上述したネジ5のネジ止めの際の締め付けトルクの値によって調節することができる。
なお、挟着後における発熱体3の被着面の凹凸の値aは、本明細書の実施例に記載の方法により測定することができる。
放熱体4は、製造される電子デバイスを構成する一構成部材であり、電子デバイスにおいて、上述した発熱体3とともに、同一平面上に配置された第1の熱伝導シート1および第2の熱伝導シート2を挟着する。換言すれば、放熱体4は、電子デバイスにおいて、第1の熱伝導シート1および第2の熱伝導シート2と接着する被着体の一種である。
ここで、放熱体4の種類としては、例えば、板、フィン等の形状部分を有するヒートシンク;ヒートパイプに接続されているブロック;冷却液体をポンプで循環させている構造を内部に有するブロック;ペルチェ素子;ペルチェ素子を備えたヒートシンク;および、ペルチェ素子を備えたブロック;等が挙げられる。ここで、良好に放熱する観点からは、上記ヒートシンクおよびブロックは、例えば、アルミニウム、銅等の金属製であることが通常である。
上述した中でも、本発明の電子デバイスの製造方法に用いる放熱体4は、ハンドリング性および放熱性の観点から、アルミニウム、銅等の金属製ヒートシンクであることが好ましく、ペルチェ素子を備えた、アルミニウム、銅等の金属製のヒートシンクであることがより好ましい。
また、放熱体4は、上述した発熱体3と互いに対向している被着面を有する。そして、一般的に、発熱体3から生じた熱の大部分は、放熱体4の被着面を介して放熱体4へと伝熱し、放散される。
なお、「放熱体4の被着面」とは、挟着時に実際に熱伝導シートを介して発熱体3と密着させるかどうかにかかわらず、放熱体4の発熱体3と対向している側の面(対向面)全体を指すものとする。また、放熱体4の被着面の面積は、通常、発熱体3の放熱体4と対向する側の面(対向面)の面積よりも大きい。さらに、放熱体4の被着面は、通常、発熱体3の対向面を完全に包含し得る形状を有する。
放熱体4の被着面の凹凸の値は、特に制限されることなく、50μm以下であることが好ましく、35μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが更に好ましい。放熱体の被着面の凹凸の値が上記上限以下であれば、放熱体4と熱伝導シートとの密着性を良好に保てる。そのため、発熱体3と放熱体4との間の熱抵抗を低下させ、製造される電子デバイスの放熱性を更に高めることができる。
そして、挟着工程の挟着前における第1の熱伝導シート1の厚みをYとし、第2の熱伝導シート2の厚みをXとし、挟着工程の挟着後における前記発熱体の被着面の凹凸の値をaとしたときの下記式(1):
k=(Y-X)/a・・・(1)
で示されるkの値は、0超であることが必要であり、0.1超であることが好ましく、0.5超であることがより好ましく、2未満であることが必要であり、1.5未満であることが好ましく、1.2未満であることがより好ましい。上記式(1)で示されるkの値が上記所定の範囲内であると、製造される電子デバイスの高い放熱性を実現することができる。
本発明の電子デバイスの製造方法により製造された電子デバイスは、例えば、電子素子を内部に有する電子機器において、当該電子素子を含む電子部材として使用することができる。ここで、本発明の電子デバイスにより製造された電子デバイスは、上記電子機器などの各種機器の内部に完全に組み込まれていてもよいし、機器の外部に一部または全部が備えられていてもよい。
そして、実施例および比較例において、熱伝導シート中の粒子状炭素材料の含有割合(体積分率);熱伝導シートの初期の(挟着前における)厚み、アスカーC硬度、厚み方向の熱伝導率;厚み方向に加圧した状態における熱伝導シートの熱抵抗、厚み、圧縮率;挟着前における発熱体の被着面の凹凸;放熱体の被着面の凹凸;挟着後における発熱体の被着面の凹凸;kの値;電子デバイスの初期の熱抵抗、サイクル試験後の熱抵抗;電子デバイスにおける熱伝導シートのはみ出しは、それぞれ以下の方法を使用して測定した。
熱伝導シート製造時に使用した各材料の重量を当該材料の比重で除した値を当該材料の体積とすることで、熱伝導シート中の粒子状炭素材料の含有割合(体積分率)を算出した。なお、樹脂の比重は、常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂および常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂のいずれも1.77、粒子状炭素材料(膨張化黒鉛)の比重は2.25として計算を行った。
膜厚計(ミツトヨ製、製品名「デジマチックインジケーター ID-C112XBS」)を用いて、熱伝導シートの略中心点および四隅(四角)の計五点における厚みを測定し、測定した厚みの平均値(μm)を、熱伝導シートの初期の(挟着前における)厚みとした。
熱伝導シートのアスカーC硬度は、日本ゴム協会規格(SRIS)のアスカーC法に準拠し、硬度計を使用して、温度25℃の環境下で行った。
具体的には、各製造例で得られた熱伝導シートを縦25mm×横50mmのサイズに切り取り、90枚重ね合わせることにより試験片を得た。そして、得られた試験片を温度25℃に保たれた恒温室内に48時間以上静置することにより試験体としての熱伝導シート層を得た。次に、指針が95~98となるようにダンパー高さを調整し、熱伝導シート層とダンパーとを衝突させた。そして、当該衝突から60秒後の熱伝導シート層のアスカーC硬度を、硬度計(高分子計器社製、製品名「ASKER CL-150LJ」)を用いて2回測定し、測定結果の平均値を採用した。アスカーC硬度が小さいほど、熱伝導シートの可撓性が高いことを示す。
熱伝導シートについて、厚み方向の熱拡散率α(m2/s)、定圧比熱Cp(J/g・K)、および比重ρ(g/m3)を、それぞれ、以下の方法で測定した。
[厚み方向の熱拡散率α]
熱物性測定装置(株式会社ベテル製、製品名「サーモウェーブアナライザTA35」)を使用して測定した。
[定圧比熱Cp]
示差走査熱量計(Rigaku製、製品名「DSC8230」)を使用し、10℃/分の昇温条件下、25℃における比熱を測定した。
[比重ρ(密度)]
自動比重計(東洋精機社製、商品名「DENSIMETER-H」)を用いて測定した。
そして、各測定値を、下記式(I):
λ=α×Cp×ρ・・・(I)
に代入し、25℃における熱伝導シートの厚み方向の熱伝導率λ(W/m・K)を求めた。
厚み方向に加圧した状態における熱伝導シートの熱抵抗、および厚みは、熱抵抗試験器(株式会社日立テクノロジーアンドサービス製、製品名「樹脂材料熱抵抗測定装置」)を用いて測定した。ここで、1cm角の略正方形に切り出した熱伝導シートを試料とし、試料温度50℃において、0.1MPaおよび0.9MPaの圧力を加えた状態における熱伝導シートの厚みおよび熱抵抗(℃/W)を測定した。熱抵抗の値が小さいほど、熱伝導シートが熱伝導性に優れ、例えば、発熱体と放熱体との間に介在させた際の放熱特性に優れていることを示す。
また、厚み方向に0.9MPaで加圧した状態における熱伝導シートの厚みをT(0.9)、厚み方向に0.1MPaで加圧した状態における熱伝導シートの厚みをT(0.1)としたときの下記式:
P={1-(T(0.9)/T(0.1))}×100(%)
で示されるPを熱伝導シートの圧縮率(%)として算出した。
各実施例および比較例で使用した発熱体の被着面の凹凸は、三次元形状測定機(キーエンス製、製品名「VR-3100ワンショット3D形状測定機」)を用いて測定した。なお、後述する電子デバイスの製造方法における挟着工程では、発熱体の放熱体と対向する側の面全体が熱伝導シートを介して放熱体と対向するため、発熱体の「被着面」は、発熱体の放熱体と対向する側の面全体を指すものとする。そして、当該被着面の短辺方向をX軸、長辺方向をY軸、X軸およびY軸に直交する方向(厚み方向)をZ軸、対角線同士が交わる点を中心点とし、当該中心点を中心にX軸、Y軸に平行に10mm×10mmの範囲を基準面(測定範囲)と設定した。次に、上記三次元形状測定機を用いて、被着面全体を測定した。続いて上記測定した被測定面のうち、中心点からX軸方向に0.6mm移動した点(中心X点)を通り、かつY軸に平行な線(平行Y線)上における、Z軸方向についての表面凹凸形状状態を表したグラフを得た。なお、上記平行Y線上には、被着面の面内において厚み方向に最も高い点と最も低い点とが通っていた。つまり、横軸を上記平行Y線とし、縦軸をZ軸とした、被着面の断面状態を表したグラフを得た。なお、上記測定において、発熱体を被着面が上向きになるように配置していたものとする。
そして、得られたグラフにおいて、Z軸方向(厚み方向)における、基準面の高さと最大高さ(最高値)との高低差の絶対値、および、基準面の高さと最小高さ(最低値)との高低差の絶対値のうち、大きいほうを挟着前における発熱体の被着面の凹凸の値a´(μm)とした。
各実施例および比較例で使用した発熱体および放熱体を用意した。型取り用の樹脂(武藤商事製「型取くん」)を約1.5g量り、90℃に加熱して、柔らかくした。次に、高温状態の型取り用樹脂を1mm程度の厚みに平たく伸ばした後、発熱体と放熱体の間に挟みこんだ。さらに、90℃に加熱しつつ、発熱体の四隅に設けられたネジ穴にM5ネジを装着し、トルクドライバーを使用して、各実施例および比較例における挟着時の締め付けトルクと同じ値の締め付けトルクにてM5ネジを締めた。このとき、型取り用樹脂の弾性によって発熱体に加わる圧力が偏ることを防止するため、発熱体の長手方向の一方の端部側のネジと他方の端部側のネジとを交互に少しずつ締めていった。ネジで固定した後90℃のままで更に1時間放置した後、十分時間をおいて、30℃以下まで温度を下げてからネジを緩めて解放した。型取り用樹脂を丁寧に取り出して、型取り用樹脂同士の自着を防ぐため、表面にダスティング材としてのタルクをまぶした。取り出した型取り用樹脂を長手方向3列×短手方向3列で9分割したときの各区分の中心部の厚みを厚み計で測定し、9点の厚みのうちの最大値と最小値との差を、挟着後における発熱体の被着面の凹凸の値a(μm)とした。
即ち、上記挟着後における発熱体の被着面の凹凸の値aの測定において得た9点の厚みのうちの最大値が、長手方向2列目に位置する区分のいずれかの中心部の厚みの値である場合は、挟着後における発熱体の被着面の歪み形状が「上に凸」であるものとし、それ以外の場合は、挟着後における発熱体の被着面の歪み形状が「下に凸」であるものとした。
各実施例および比較例で使用した第1の熱伝導シートの初期の厚みを挟着前における第1の熱伝導シートの厚みYとし、第2の熱伝導シートの初期の厚みを挟着前における第2の熱伝導シートの厚みXとし、さらに、上記で求めた挟着後における発熱体の被着面の凹凸の値aを用いて、下記式(1):
k=(Y-X)/a・・・(1)
で示されるkの値を求めた。
各実施例および比較例で製造した電子デバイスの熱抵抗の値は、製造された電子デバイスに対して、過度熱抵抗測定装置(Mentor Graphics製、製品名「T3Ster」)、および加圧冶具(キーナスデザイン製)を用いて、以下の通り測定した。
まず、各実施例および比較例で製造した電子デバイスについて、放熱体の初期温度を25℃とした。次に、当該電子デバイスが備える半導体素子(発熱体)に、加熱電流:70A、加熱時間:150秒の条件で電流を通じさせ、定常温度となるように発熱体を加熱した。続いて、加熱電流を切り、同半導体素子(発熱体)に測定電流:50mA、測定時間:150秒の条件で電流を流し、連続的に電圧を計測した。ここから、予め測定しておいた半導体素子(発熱体)の温度と電圧との関係式を用いて、25℃への冷却過程の時間と温度との関係を得た。さらに、時定数を用いた数学的手法(JEDEC規格:JESD51-14)を用いて、時間と温度との関係を構造関数(熱抵抗と熱容量の関係)に変換することで、電子デバイスの初期の熱抵抗(熱伝導シートを介した発熱体および放熱体間の初期の熱抵抗)の値を得た。初期の熱抵抗の値が小さいほど、電子デバイスが放熱性に優れることを示す。
上述した方法により、電子デバイスの初期の熱抵抗を測定した後、加熱電流として150Aで電流を通じさせた状態で、4秒オン、16秒オフのサイクルを5000サイクル繰り返すサイクル試験を行なうことで電子デバイス全体に負荷を与えた。5000サイクル後の熱抵抗を上述した方法と同じ方法で測定し、評価を行なった。なお、150Aの加熱電流を与えることで、電子デバイスが備える熱伝導シート自体が加熱される。
上述したサイクル試験終了後の電子デバイスを真上から見て、熱伝導シートのはみ出し具合の評価を以下の基準で行なった。なお、加圧された状態で温冷のサイクルが繰り返されると、耐久性の悪い熱伝導シートにおいては、特に強い圧力が加わっている部分から熱伝導シートが千切れ、電子デバイスの外側にはみ出すことが見られる。
A:真上から見て、全く熱伝導シートのはみ出しが無い。
B:少なくとも1辺が0mm超2mm未満の辺をもつ熱伝導シートがはみ出している。
C:少なくとも1辺が2mm以上6mm未満の辺をもつ熱伝導シートがはみ出している。
D:少なくとも1辺が6mm以上の辺をもつ熱伝導シートがはみ出している。
<組成物の調製>
樹脂としての常温常圧下で液体の熱可塑性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製、製品名「ダイエルG-101」)70部および常温常圧下で固体の熱可塑性フッ素樹脂(スリーエムジャパン株式会社製、製品名「ダイニオンFC2211」)30部、並びに、粒子状炭素材料としての膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、製品名「EC300」、体積平均粒子径:50μm)90部を、加圧ニーダー(日本スピンドル製)を用いて、温度150℃にて20分間撹拌混合した。次に、得られた混合物を解砕機(大阪ケミカル社製、製品名「ワンダークラッシュミルD3V-10」)に投入して、10秒間解砕することにより、組成物を得た。
得られた組成物50gを、サンドブラスト処理を施した厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(保護フィルム)で挟み、ロール間隙1000μm、ロール温度50℃、ロール線圧50kg/cm、ロール速度1m/分の条件にて圧延成形(一次加圧)することにより、厚みが0.8mmの一次シートを得た。
得られた一次シートを縦150mm×横150mm×厚み0.8mmに裁断し、一次シートの厚み方向に188枚積層し、更に、温度120℃、圧力0.1MPaで3分間、積層方向にプレス(二次加圧)することにより、高さ約150mmの積層体を得た。
その後、スライスに必要な長さを残して、得られた積層体の上面の全体を金属板で押え、積層方向に(即ち、上から)0.1MPaの圧力をかけて、積層体を固定した。なお、積層体の側面、背面の固定は行わなかった。このとき、積層体の温度は25℃であった。
次いで、サーボプレス機(放電精密加工研究所製)のプレス部分に、図3に示す形状の刃10(両刃、刃角2θ:20°、刃部の最大厚み:3.5mm、材質:超鋼、ロックウェル硬度:91.5、刃面のシリコン加工:なし、全長:200mm)を取り付け、スライス幅:300.0μm、スライス速度:25mm/秒の条件で積層体の積層方向(換言すれば、積層された一次シートの主面の法線に一致する方向に)にスライスして、縦150mm×横150mmの主面を有する二次シートとしての熱伝導シートを得た。なお、スライス時の刃の姿勢は、図3に示す角度αが10°になり、刃面11の延在方向が積層体20のスライス面21と平行な方向になる姿勢とした。
そして、得られた熱伝導シート中の粒子状炭素材料の含有割合(体積分率);熱伝導シートの初期の(挟着前における)厚み、アスカーC硬度、熱伝導率;厚み方向に加圧した状態における熱伝導シートの熱抵抗値、厚み、圧縮率を測定した。結果を表1に示す。
製造例1のスライス工程において、スライス幅を調整して、初期の厚みが287μmである熱伝導シートを得たこと以外は、製造例1と同様にして、熱伝導シートを製造し、各種の測定を行なった。結果を表1に示す。
製造例1のスライス工程において、スライス幅を調整して、初期の厚みが277μmである熱伝導シートを得たこと以外は、製造例1と同様にして、熱伝導シートを製造し、各種の測定を行なった。結果を表1に示す。
製造例1のスライス工程において、スライス幅を調整して、初期の厚みが168.0μmである熱伝導シートを得たこと以外は、製造例1と同様にして、熱伝導シートを製造し、各種の測定を行なった。結果を表1に示す。
製造例1のスライス工程において、スライス幅を調整して、初期の厚みが100μmである熱伝導シートを得たこと以外は、製造例1と同様にして、熱伝導シートを製造し、各種の測定を行なった。結果を表1に示す。
製造例1のスライス工程において、スライス幅を調整して、初期の厚みが700μmである熱伝導シートを得たこと以外は、製造例1と同様にして、熱伝導シートを製造し、各種の測定を行なった。結果を表1に示す。
製造例1のスライス工程において、スライス幅を調整して、初期の厚みが23μmである熱伝導シートを得たこと以外は、製造例1と同様にして、熱伝導シートを製造し、各種の測定を行なった。結果を表1に示す。
製造例1の組成物の調製において、体積平均粒子径が50μmである膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、製品名「EC300」)90部に代えて、体積平均粒子径が200μmである膨張化黒鉛(伊藤黒鉛工業株式会社製、製品名「EC100」)50部を使用し、スライス工程において、スライス幅を調整して、初期の厚みが168μmである熱伝導シートを得たこと以外は、製造例1と同様にして、熱伝導シートを製造し、各種の測定を行なった。結果を表1に示す。
製造例8の一次シート成形工程において、ロール間隔を調整して、初期の厚みが168μmである一次シートを得て、積層工程およびスライス工程を実施しなかったこと以外は製造例8と同様にして、得られた一次シートをそのまま熱伝導シートとして、各種の測定を行なった。結果を表1に示す。
<電子デバイスの製造>
<<部材の準備>>
発熱体として、IGBT搭載パワーモジュール(富士電機製、型番「2MBI150U4B-120」)を用意した。ここで、上記発熱体の被着面(放熱体と対向する側の面)は、横90mm×縦40mmの四角形(即ち、長手方向の長さb=90000μm)であった。また、挟着前における発熱体の被着面の凹凸の値a´は、40μmであった。さらに、挟着前における発熱体の被着面の歪み形状は、下に凸であった。
また、放熱体として、アルミニウム製のヒートシンク(キーナスデザイン製、製品名「PDS-100」、ペルチェ素子冷却)を準備した。ここで、上記放熱体の被着面(発熱体と対向する側の面)は、横100mm×縦100mmの四角形であった。また、上記放熱体の被着面の凹凸は、5μm以下であった。
さらに、第1の熱伝導シートとして、製造例1で製造した熱伝導シート(挟着前における厚み300μm、圧縮率9%)を横72mm×縦40mmのサイズに切断したものを1枚準備した。
また、第2の熱伝導シートとして、製造例4で製造した熱伝導シート(挟着前における厚み168μm、圧縮率20%)を横9mm×縦40mmのサイズに切断したものを2枚準備した。
発熱体の長手方向に沿って、第2の熱伝導シート、第1の熱伝導シート、第2の熱伝導シートの順に並ぶように、同一平面上に配置された第1の熱伝導シート1枚および第2の熱伝導シート2枚を発熱体の被着面に過不足無く貼り付けた。
このとき、第1の熱伝導シートの一方の短辺(長さ40mmの辺)と一方の第2の熱伝導シートの長辺(長さ40mmの辺)とが接触し、第1の熱伝導シートの他方の短辺(長さ40mmの辺)と他方の第2の熱伝導シートの長辺(長さ40mmの辺)とが接触するように配置した。即ち、平面視した場合、2枚の第2の熱伝導シートの間に第1の熱伝導シートが介在するように配置した。そして、第1の熱伝導シート1枚と第2の熱伝導シートとが、横90mm×縦40mmの四角形を形成していた。また、発熱体の長手方向に沿った各熱伝導シートの長さの比は、第2の熱伝導シート:第1の熱伝導シート:第2の熱伝導シート=1:8:1であった。そして、一方の第2の熱伝導シートが発熱体の長手方向の一方の端部側の被着面と接着し、他方の第2の熱伝導シートが発熱体の長手方向の他方の端部側の被着面と接着していた。なお、発熱体の被着面の四隅のネジ穴の上にも熱伝導シート(第2の熱伝導シート)を貼るが、当該熱伝導シートのうちネジ穴を覆う部分は切り取ることで除去した。
その後、上記のように同一平面上に配置された第1の熱伝導シートおよび第2の熱伝導シートを介して、発熱体の被着面と放熱体の被着面とを貼り合わせた。そして、発熱体の四隅のネジ穴にM5ネジを装着し、トルクドライバーを用いて締め付けトルク2.0N・mにてネジ止め(固定)をすることで、第1の熱伝導シートおよび第2の熱伝導シートを発熱体と放熱体との間に挟着して、電子デバイスを製造した。
そして、得られた電子デバイスの初期の熱抵抗、サイクル試験後の熱抵抗、熱伝導シートのはみ出しを測定または評価した。また、挟着後における発熱体の被着面の凹凸およびkの値も測定した。結果を表2に示す。
実施例1の電子デバイスの製造時の部材の準備において、第2の熱伝導シートとして、製造例4で製造した熱伝導シート(挟着前における厚み168μm、圧縮率8%)に代えて、製造例2で製造した熱伝導シート(挟着前における厚み287μm、圧縮率9%)を横9mm×縦40mmのサイズに切断したものを2枚準備したこと以外は、実施例1と同様にして、電子デバイスを製造し、各種の測定および評価を行なった。結果を表2に示す。
実施例1の電子デバイスの製造時の部材の準備において、第2の熱伝導シートとして、製造例4で製造した熱伝導シート(挟着前における厚み168μm、圧縮率8%)に代えて、製造例5で製造した熱伝導シート(挟着前における厚み100μm、圧縮率8%)を横9mm×縦40mmのサイズに切断したものを2枚準備したこと以外は、実施例1と同様にして、電子デバイスを製造し、各種の測定および評価を行なった。結果を表2に示す。
実施例1の電子デバイスの製造時の部材の準備において、第1の熱伝導シートのサイズを横72mm×縦40mmから横36mm×縦40mmに変更し、第2の熱伝導シートのサイズを横9mm×縦40mmから横27mm×縦40mmに変更することで、発熱体の長手方向に沿った各熱伝導シートの長さの比を、第2の熱伝導シート:第1の熱伝導シート:第2の熱伝導シート=1:8:1から第2の熱伝導シート:第1の熱伝導シート:第2の熱伝導シート=3:4:3に変えたこと以外は、実施例1と同様にして、電子デバイスを製造し、各種の測定および評価を行なった。結果を表2に示す。
実施例1の電子デバイスの製造時の部材の準備において、第2の熱伝導シートとして、製造例4で製造した熱伝導シート(厚み168μm、圧縮率20%)に代えて、製造例3で製造した熱伝導シート(厚み277μm、圧縮率11%)を横9mm×縦40mmのサイズに切断したものを2枚準備し、挟着工程において、ネジ止めの際の締め付けトルクを2.0N・mから1.0N・mに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電子デバイスを製造し、各種の測定および評価を行なった。結果を表2に示す。
実施例1の部材の準備において、横90mm×縦40mmの四角形のIGBT搭載パワーモジュール(挟着前における発熱体の被着面の凹凸の値a´=40μm、長手方向の長さb=90,000μm)に代えて、横120mm×縦80mmの四角形のIGBT搭載パワーモジュール(Infinion社製、製品名「EconoPack」、挟着前における発熱体の被着面の凹凸の値a´=120μm、長手方向の長さb=120,000μm)を準備し、第1の熱伝導シートとして、横72mm×縦40mmのサイズに切断した製造例1の熱伝導シート(厚み300μm、圧縮率9%)1枚に代えて、横96mm×縦80mmのサイズに切断した製造例6の熱伝導シート(厚み700μm、圧縮率11%)1枚を準備し、第2の熱伝導シートとして、横9mm×縦40mmのサイズに切断した製造例4の熱伝導シート(厚み168μm、圧縮率20%)2枚に代えて、横12mm×縦80mmのサイズに切断した製造例5の熱伝導シート(厚み100μm、圧縮率8%)2枚を準備し、挟着工程において、ネジ止めの締め付けトルクを2.0N・mから4.0N・mに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、電子デバイスを製造し、各種の測定および評価を行なった。結果を表2に示す。
実施例1の電子デバイスの製造時の部材の準備において、第2の熱伝導シートとして、製造例4で製造した熱伝導シート(厚み168μm、圧縮率20%)に代えて、製造例8で製造した熱伝導シート(厚み168μm、圧縮率44%)を横9mm×縦40mmのサイズに切断したものを2枚準備したこと以外は、実施例1と同様にして、電子デバイスを製造し、各種の測定および評価を行なった。結果を表2に示す。
実施例1の電子デバイスの製造時の部材の準備において、第2の熱伝導シートとして、製造例4で製造した熱伝導シート(厚み168μm、圧縮率20%)に代えて、製造例9で製造した熱伝導シート(厚み168μm、圧縮率69%)を横9mm×縦40mmのサイズに切断したものを2枚準備したこと以外は、実施例1と同様にして、電子デバイスを製造し、各種の測定および評価を行なった。結果を表2に示す。
実施例1の電子デバイスの製造時の部材の準備において、第2の熱伝導シートとして、製造例4で製造した熱伝導シート(厚み168μm、圧縮率20%)に代えて、金属シート(寺岡製作所社製、製品名「熱伝導性アルミ箔両面テープ」、材質:アルミニウムおよび導電性アクリル樹脂、厚み168μm)を横9mm×縦40mmのサイズに切断したものを2枚準備したこと以外は、実施例1と同様にして、電子デバイスを製造し、各種の測定および評価を行なった。結果を表2に示す。なお、上述した熱伝導シートの圧縮率の測定と同様の方法により、金属シートの圧縮率を測定したところ、0%であった。
実施例1の電子デバイスの製造時の挟着工程において、発熱体の長手方向に沿って、第2の熱伝導シート、第1の熱伝導シート、第2の熱伝導シートの順に並ぶように、第1の熱伝導シート1枚および第2の熱伝導シート2枚を発熱体の被着面に過不足無く貼り付ける代わりに、第1の熱伝導シート1枚のみを発熱体の被着面の同じ位置に貼り付け、第2の熱伝導シート2枚は発熱体の被着面に貼り付けなかったこと以外は、実施例1と同様にして、電子デバイスを製造し、各種の測定および評価を行なった。結果を表2に示す。
比較例1の電子デバイスの製造時の挟着工程において、ネジ止めの締め付けトルクを2.0N・mから1.0N・mに変更したこと以外は、比較例1と同様にして、電子デバイスを製造し、各種の測定および評価を行なった。結果を表2に示す。
実施例6の電子デバイスの製造時の挟着工程において、発熱体の長手方向に沿って、第2の熱伝導シート、第1の熱伝導シート、第2の熱伝導シートの順に並ぶように、第1の熱伝導シート1枚および第2の熱伝導シート2枚を発熱体の被着面に過不足無く貼り付ける代わりに、第1の熱伝導シート1枚のみを発熱体の被着面の同じ位置に貼り付け、第2の熱伝導シート2枚は発熱体の被着面に貼り付けなかったこと以外は、実施例6と同様にして、電子デバイスを製造し、各種の測定および評価を行なった。結果を表2に示す。
実施例1の電子デバイスの製造時の部材の準備において、第2の熱伝導シートとして、製造例4で製造した熱伝導シート(厚み168.0μm、圧縮率20%)に代えて、製造例7で製造した熱伝導シート(厚み23μm、圧縮率9%)を横9mm×縦40mmのサイズに切断したものを2枚準備したこと以外は、実施例1と同様にして、電子デバイスを製造し、各種の測定および評価を行なった。結果を表2に示す。
k=(Y-X)/a・・・(1)
で示されるkの値が所定の範囲内である実施例1~9の電子デバイスの製造方法によれば、高い放熱性を実現し得る電子デバイスを製造することができることがわかる。
一方、第2の熱伝導シートを用いなかった比較例1~3では、製造される電子デバイスは放熱性に劣ることがわかる。なお、比較例3の初期およびサイクル試験後の熱抵抗の測定結果は、同じサイズの発熱体を使用した実施例6の初期およびサイクル試験後の熱抵抗のみと比較できるものとする。
また、上述したkの値が所定の範囲外である比較例4においても、製造される電子デバイスは放熱性に劣ることがわかる。
2 第2の熱伝導シート
3 発熱体
4 放熱体
5 ネジ
10 切断刃
11 刃面
20 積層体
21 スライス面
30 熱伝導シート
Claims (11)
- 同一平面上に配置された第1の熱伝導シートおよび第2の熱伝導シートを発熱体と放熱体との間に挟着する挟着工程を含み、
前記挟着工程の挟着前における前記第1の熱伝導シートの厚みをYとし、前記第2の熱伝導シートの厚みをXとし、
前記挟着工程の挟着後における前記発熱体の被着面の凹凸の値をaとしたときの下記式(1):
k=(Y-X)/a・・・(1)
で示されるkの値が0超2未満である、電子デバイスの製造方法。 - 厚み方向に0.9MPaで加圧した状態における前記第2の熱伝導シートの厚みをT2(0.9)とし、
厚み方向に0.1MPaで加圧した状態における前記第2の熱伝導シートの厚みをT2(0.1)としたときの下記式(2):
圧縮率P2={1-(T2(0.9)/T2(0.1))}×100(%)・・・(2)
で示される前記第2の熱伝導シートの圧縮率P2が1%以上50%以下である、請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。 - 前記発熱体の長手方向の長さをbとしたときのb/aの値が100以上4000以下である、請求項1または2に記載の電子デバイスの製造方法。
- 前記第1の熱伝導シートおよび前記第2の熱伝導シートの主面の面積の合計に対する前記第1の熱伝導シートの主面の面積の割合が40%以上90%以下である、請求項1~3のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
- 前記第1の熱伝導シートの厚みYが300μm以下である、請求項1~4のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
- 前記第2の熱伝導シートが粒子状炭素材料を含み、
前記粒子状炭素材料の体積平均粒子径が100μm以下である、請求項1~5のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。 - 前記第2の熱伝導シートが粒子状炭素材料を含み、
前記第2の熱伝導シート中の前記粒子状炭素材料の含有割合が20体積%以上である、請求項1~6のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。 - 前記kの値が0超1.5未満である、請求項1~7のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
- 厚み方向に0.9MPaで加圧した状態における前記第1の熱伝導シートの厚みをT1(0.9)とし、
厚み方向に0.1MPaで加圧した状態における前記第1の熱伝導シートの厚みをT1(0.1)としたときの下記式(3):
(圧縮率P1)={1-(T1(0.9)/T1(0.1))}×100(%)・・・(3)
で示される前記第1の熱伝導シートの圧縮率P1が前記第2の熱伝導シートの圧縮率P2よりも小さい、請求項2~8のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。 - 前記第2の熱伝導シートと、前記発熱体の長手方向の少なくとも一方の端部側の被着面とが接着する、請求項1~9のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
- 前記発熱体の長手方向の両端部において、ネジを用いて前記発熱体と前記放熱体とを固定し、
前記ネジを用いた固定の際の締め付けトルクが、0.1N・m以上10N・m以下である、請求項1~10のいずれかに記載の電子デバイスの製造方法。
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