本発明の疎水性無機粒子および粒子含有樹脂組成物を順に説明する。
疎水性無機粒子は、無機粒子と、無機粒子を被覆する被覆層とを含む。
無機粒子は、機能を発現できる機能性粒子である。機能として、例えば、消臭(抑臭、防臭、脱臭などを含む)、ガス吸着、例えば、機能成分の担持などが挙げられる。機能成分は、後で詳述する。
無機粒子としては、例えば、消臭性無機粒子(抑臭性無機粒子、防臭性無機粒子、脱臭性無機粒子などを含む)、ガス吸着性無機粒子、担持用無機粒子(担体粒子)などが挙げられる。なお、担持用無機粒子は、例えば、特開2017-160450号公報などに開示される。
無機粒子の材料としては、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの酸化物、例えば、窒化ホウ素などの窒化物、例えば、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、例えば、それらの複合物(例えば、複合酸化物(具体的には、シリカ、アルミナおよび酸化亜鉛の複合酸化物、シリカおよびアルミナの複合酸化物(シリカアルミナ))、例えば、セリサイト、アルミノケイ酸塩(ゼオライト)、タルクなどが挙げられる。好ましくは、第1オリゴマーにおけるRO基に由来するOH基との高い反応性を確保するために、酸化物が挙げられる。
また、無機粒子が消臭性無機粒子である場合には、高い消臭機能を確保するために、より好ましくは、複合物、より好ましくは、複合酸化物、具体的には、シリカ、アルミナおよび酸化亜鉛の複合酸化物が挙げられる。
また、無機粒子が担持用無機粒子である場合には、高い担持機能を確保するために、より好ましくは、酸化物、さらに好ましくは、シリカが挙げられる。
無機粒子の形状は、略球状である。略球状は、真球状、および、球形度が1に近い(具体的には、特開2009-263155号公報に記載される球形度が0.9以上)形状を含む。また、無機粒子は、例えば、多孔質である。
一方、無機粒子の形状が、板状であれば、疎水性無機粒子の浮き上がり性(偏在性)が低い。そのため、板状の無機粒子は、本発明では不適である。
無機粒子の最大長さの平均(真球状であれば、メジアン径として算出される平均粒子径)は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、1,000μm以下、好ましくは、100μm以下、より好ましくは、20μm以下である。
無機粒子の吸油量は、50mL/100g以上であり、また、好ましくは、100mL/100g以上であり、また、例えば、1,000mL/100g以下、好ましくは、500mL/100g以下である。無機粒子の吸油量が50mL/100g未満であれば、無機粒子は、細孔(後述)の容積が十分でないため、自身が有する機能を十分に発現できない。無機粒子の吸油量が上記した1,000mL/100g以下であれば、樹脂に配合するときの作業性に優れる。無機粒子の吸油量は、JIS K5101-13-2(2004年)に従って測定される。
この無機粒子は、50mL/100g以上の吸油量を有するので、十分な広さの細孔を内部に有する。無機粒子は、細孔に基づいて、種々の機能を発現できる。例えば、無機粒子が消臭性無機粒子であれば、細孔において臭い成分を吸着できる。また、例えば、無機粒子が担持用無機粒子であれば、機能成分を細孔において確実に担持できるので、かかる機能成分の機能を十分に発現させることができる。
無機粒子は、市販品を用いることができる。例えば、消臭性無機粒子として、セブントールシリーズ(シリカ、アルミナおよび酸化亜鉛の複合酸化物、大阪ガスケミカル社製)、例えば、担持用担体として、サイリシアシリーズ(シリカ、富士シリシア社製)などが用いられる。
被覆層は、無機粒子を被覆する。被覆層は、第1オリゴマーを含有するシリコーン組成物の硬化物である。
第1オリゴマーは、シリコーン組成物における硬化成分である。具体的には、第1オリゴマーは、-SiR2O-(2つのRは、互いに同一または相異なってもよく、それぞれ、1価の飽和炭化水素基および1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の炭化水素基を示す。)で示されるシロキサンユニットと、RO基(Rは、1価の飽和炭化水素基を示す。)を含有するRO基含有シロキサンユニットとを含有する。
1価の飽和炭化水素基としては、例えば、アルキル基が挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、iso-ペンチル、n-ヘキシル、iso-ヘキシルなどの炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。好ましくは、メチルである。
1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、アリール基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチルなどの炭素数6~10のアリール基が挙げられる。好ましくは、フェニルである。
また、1価の炭化水素基としては、好ましくは、メチルおよび/またはフェニルが挙げられ、より好ましくは、メチルである。
-SiR2O-で示されるシロキサンユニットは、反応時に、直鎖シロキサン結合を硬化体に導入するための直鎖シロキシユニットである。-SiR2O-で示されるシロキサンユニットとして、好ましくは、ジアルキルシロキサンユニット、アルキルアリールシロキサンユニットが挙げられる。
ジアルキルシロキサンユニットとしては、好ましくは、ジメチルシロキサンユニットが挙げられる。
アルキルアリールシロキサンユニットとしては、好ましくは、メチルフェニルシロキサンユニットが挙げられる。
RO基として、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基が挙げられ、好ましくは、アルコキシ基が挙げられ、より好ましくは、メトキシである。
具体的には、第1オリゴマーは、下記式(1)で示されるユニットI~Vを構成単位として含有するシロキサンオリゴマーである。
(式中、R
1~R
6は、互いに同一または相異なってもよく、1価の飽和炭化水素基および1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の炭化水素基を示す。式中、R
7~R
9は、互いに同一または相異なってもよく、1価の飽和炭化水素基を示す。Xは、シロキサンユニットである。)
R1~R6で示され、1価の飽和炭化水素基および1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の炭化水素基としては、上記Rと同様の1価の炭化水素基が挙げられる。R7~R9で示される1価の炭化水素基としては、上記ROで例示した、1価の飽和炭化水素基が挙げられる。
第1オリゴマーにおいて、ユニットIは、RO基含有シロキサンユニットである。aは、ユニットIにおいて、ケイ素原子に結合するR7O基の数を意味し、例えば、1または2、好ましくは、2である。その場合には、ユニットIにおいて、ケイ素原子に結合するRlで示される1価の炭化水素基の数(3-a)は、好ましくは、1(=3-2)である。
ユニットIにおいて、Si-O-における酸素原子は、次に説明するユニットII~ユニットIVのうち、いずれかのケイ素原子に結合している。これにより、このユニットIのSi-O-は、第1オリゴマーにおいて、シロキサン結合を構成する。また、ユニットIは、第1オリゴマーにおける分子末端ユニットである。
ユニットIIは、RO基含有シロキサンユニットである。また、ユニットIIは、反応時に3次元化の起点となる分岐シロキシユニットである。ユニットIIの数は、特に限定されず、例えば、2以上、好ましくは、3以上であり、また、例えば、20以下、好ましくは、13以下の整数である。
ユニットIIIは、ケイ素原子に結合する2つの酸素原子を有するシロキサンユニットである。ユニットIIIは、分岐シロキシユニットである。また、ユニットIIIは、RO基を含有してもよい。
Xで示されるシロキサンユニットとしては、例えば、下記式(2)で示されるユニットVI単独、ユニットIIおよびユニットIの組合せ(ユニットIIを介して末端にユニットIを有する場合)、ユニットIIおよびユニットVの組合せ(ユニットIIを介して末端にユニットVを有する場合)、ユニットIIおよびユニットVI(ユニットIIを介して末端にユニットVIを有する場合)の組合せが挙げられる。
ユニットVIとしては、下記式(2)で示される環状シロキサンユニットが挙げられる。
(式中、cは、2以上の整数である。Z
1は、上記したRで示される1価の炭化水素基またはRO基である。)
Z1で示される1価の炭化水素基およびRO基は、上記と同様である。
ユニットIIIの数は、特に限定されず、例えば、2以上であり、また、例えば、10以下、好ましくは、6以下の整数である。
ユニットIVは、上記-SiR2O-で示されるシロキサンユニットである。ユニットIVは、直鎖シロキシユニットである。ユニットIVの数は、例えば、1以上、好ましくは、2以上であり、また、20以下、好ましくは、6以下の整数である。
ユニットVは、RO基含有シロキサンユニットである。ユニットVにおけるケイ素原子は、ユニットII~ユニットIVのうち、いずれかの酸素原子に結合する。これにより、ユニットVにおけるケイ素原子は、第1オリゴマーにおいてシロキサン結合を構成する。また、ユニットVは、第1オリゴマーにおける分子末端ユニットである。
bは、ユニットVにおいて、ケイ素原子に結合するOR9基の数を意味し、例えば、1または2、好ましくは、2である。その場合には、ユニットVにおいてケイ素原子に結合するR6で示されるl価の炭化水素基の数(3-e)は、好ましくは、1(=3-2)である。
上記した各ユニットおよびその数は、1H-NMRおよび29Si-NMRによって特定される。
また、第1オリゴマーを、下記の平均組成式(A)で示すこともできる。
平均組成式(A):
Rp
αSi(ORq)βO(4-α-β) (A)
(式中、RpおよびRqは、互いに同一または相異なっていてもよい。Rpは、1価の飽和炭化水素基および1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の炭化水素基を示す。Rqは、1価の飽和炭化水素基を示す。αは、その平均値が0.40~1.70の範囲内にある値を示す。βは、平均組成式(A)中におけるケイ素原子に結合したORqの比率が5質量%以上40質量%未満になる値を示す。)
平均組成式(A)中、Rpとしては、上記した一般式(1)中のRl~R6と同様の1価の炭化水素基が挙げられ、Rqとしては、上記した一般式(1)中のR7~R9と同様の1価の飽和炭化水素基が挙げられる。
また、平均組成式(A)中のβは、平均組成式(A)中におけるケイ素原子に結合したORqの比率が、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、また、例えば、35質量%以下、好ましくは、30質量%以下になる値である。
第1オリゴマーとしては、例えば、式(1)におけるR1~R9がアルキルであり、ジアルキルシロキサンユニットを含有する、ジアルキルシロキサンユニット含有オリゴマー、例えば、式(1)におけるR1~R6がアルキルおよびアリールであり、R7~R9がアルキルであるアルキルアリールシロキサンユニットを含有する、アルキルアリールシロキサンユニット含有オリゴマーが挙げられる。ジアルキルシロキサンユニット含有オリゴマーは、アルキルアリールシロキサンユニットを含有しない。一方、アルキルアリールシロキサンユニット含有オリゴマーは、ジアルキルシロキサンユニットをさらに含有してもよい。
より具体的には、ジアルキルシロキサンユニット含有オリゴマーとしては、好ましくは、式(1)におけるR1~R9がメチルであり、ジメチルシロキサンユニットを含有する、ジメチルシロキサンユニット含有オリゴマーが挙げられる。ジメチルシロキサンユニット含有オリゴマーは、例えば、メチルトリメトキシシランおよびジメチルジメトキシシランから生成される。
アルキルアリールシロキサンユニット含有オリゴマーとしては、好ましくは、式(1)におけるR1~R6がメチルおよびフェニルであり、R7~R9がメチルであり、メチルフェニルシロキサンユニットを含有する、メチルフェニルシロキサンユニット含有オリゴマーが挙げられる。メチルフェニルシロキサンユニット含有オリゴマーは、ジメチルシロキサンユニットをさらに含有してもよい。メチルフェニルシロキサンユニット含有オリゴマーは、例えば、メチルフェニルジメトキシシランおよびメチルトリメトキシシランから生成される。
第1オリゴマーの分子量は、例えば、500以上、好ましくは、1000以上であり、また、例えば、3000以下、好ましくは、2000以下である。
第1オリゴマーは、市販品が用いられる。例えば、X-40-9250(式(1)中、ユニットIIの数が8、ユニットIIIの数が4、ユニットIVの数が4であり、R1~R9がメチルであるジメチルシロキサンユニット含有オリゴマー、信越化学工業社製)などが例示される。
シリコーン組成物における第1オリゴマーの割合は、例えば、1質量%以上、好ましくは、2質量%以上、より好ましくは、3質量%以上、さらに好ましくは、5質量%以上、とりわけ好ましくは、6質量%以上であり、また、例えば、50質量%未満、好ましくは、45質量%以下、より好ましくは、40質量%以下、さらに好ましくは、30質量%以下、とりわけ好ましくは、20質量%以下、もっとも好ましくは、15質量%以下である。
シリコーン組成物は、好ましくは、第2オリゴマーをさらに含有する。
第2オリゴマーは、被覆層において、第1オリゴマーとともに強固なシロキサンマトリックスを形成する。第2オリゴマーは、シリコーン組成物における硬化成分である。第2オリゴマーは、-SiR2O-(2つのRは、互いに同一または相異なってもよく、それぞれ、1価の飽和炭化水素基および1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の炭化水素基を示す。)で示されるシロキサンユニットを含有せず、RO基(Rは、1価の飽和炭化水素基を示す。)を含有するRO基含有シロキサンユニットを含有する。
1価の炭化水素基およびRO基は、上記した第1オリゴマーと同様の1価の炭化水素基およびRO基が挙げられる。
第2オリゴマーに含有されず、-SiR2O-で示されるシロキサンユニットは、第1オリゴマーに含有される直鎖シロキシユニットである。
具体的には、第2オリゴマーは、下記式(3)で示されるユニットXI~XIVを構成単位として含有するシロキサンオリゴマーである。
(式中、R
ll~R
14は、互いに同一または相異なってもよく、1価の飽和炭化水素基および1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の炭化水素基を示す。R
15~R
17は、1価の飽和炭化水素基を示す。Yは、シロキサンユニットである。)
Rll~R14で示される1価の炭化水素基としては、上記Rと同様の1価の炭化水素基が挙げられる。R15~R17で示される1価の飽和炭化水素基としては、上記Rと同様の1価の飽和炭化水素基が挙げられる。
第2オリゴマーにおいて、ユニットXIは、RO基含有シロキサンユニットである。dは、ユニットXIにおいてケイ素原子に結合するR15O基の数を意味し、好ましくは、2である。その場合には、ユニットXIにおいてケイ素原子に結合するRllで示される1価の炭化水素基の数(3-d)は、好ましくは、1(=3-2)である。
ユニットXIにおける酸素原子は、次に説明するユニットXIIまたはユニットXIIIのケイ素原子に結合している。これにより、このユニットXIのSi-O-は、第2オリゴマーにおいて、シロキサン結合を構成する。また、ユニットXIは、第2オリゴマーにおける分子末端ユニットである。
ユニットXIIは、RO基含有シロキサンユニットである。ユニットXIIは、分岐シロキシユニットである。ユニットXIIの数は、特に限定されず、例えば、2以上、好ましくは、3以上であり、また、例えば、20以下、好ましくは、17以下の整数である。
ユニットXIIIは、ケイ素原子に結合する2つの酸素原子を有するシロキサンユニットである。ユニットXIIIは、分岐シロキシユニットである。また、ユニットXIIIはRO基を含有してもよい。
Yで示されるシロキサンユニットとしては、例えば、下記式(3)で示されるユニットXV単独、ユニットXIIおよびユニットXIの組合せ(ユニットXIIを介して末端にユニットXIを有する場合)、ユニットXIIおよびユニットXIVの組合せ(ユニットXIIを介して末端にユニットXIVを有する場合)、ユニットXIIおよびユニットXV(ユニットXIIを介して末端にユニットXVを有する場合)の組合せが挙げられる。
ユニットXVとしては、下記式(4)で示される環状シロキサンユニットが挙げられる。
(式中、fは、2以上の整数である。Z
2は、上記した1価の炭化水素基またはRO基である。)
Z2で示される1価の炭化水素基およびRO基は、上記と同様である。
ユニットXIIIの数は、特に限定されず、例えば、2以上、好ましくは、3以上であり、また、例えば、18以下、好ましくは、15以下の整数である。
ユニットXIVにおけるケイ素原子は、ユニットXIIまたはユニットXIIIにおける酸素原子に結合する。これにより、ユニットXIVにおけるケイ素原子は第2オリゴマーにおいて、シロキサン結合を構成する。また、ユニットXIVは第2オリゴマーにおける分子末端ユニットである。
ユニットXIVにおいて、ケイ素原子に結合するOR17基の数は、例えば、1または2、好ましくは、2である。その場合には、ユニットXIVにおいて、ケイ素原子に結合するR14で示される1価の炭化水素基の数(3―e)は、好ましくは、1(=3-2)である。
上記した各ユニットおよびその数は、lH-NMRおよび29Si-NMRによって、特定される。
また、第2オリゴマーを、下記の平均組成式(B)で示すこともできる。
平均組成式(B):
Rt
γSi(ORs)δO(4-γ-δ) (B)
(式中、RtおよびRsは、互いに同一または相異なっていてもよい。Rtは、1価の飽和炭化水素基および1価の芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる少なくとも1つの1価の炭化水素基を示す。Rsは、1価の飽和炭化水素基を示す。γは、その平均値が0.40~1.70の範囲内にある値を示す。δは、平均組成式(B)中におけるケイ素原子に結合したORsの比率が5質量%以上40質量%未満になる値を示す。)
平均組成式(B)中、Rtとしては、上記した一般式(3)中のR11~R14と同一の1価の炭化水素基が挙げられ、Rsとしては上記した一般式(3)中のR15~R17と同一の1価の飽和炭化水素基が挙げられる。
また、平均組成式(B)中のδは平均組成式(B)中におけるケイ素原子に結合したORSの比率が、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、また、例えば、35質量%以下になる値である。
具体的には、第2オリゴマーは、例えば、-SiR2O-で示される直鎖シロキシユニットを含有せず、式(3)におけるR11~R17がアルキルである、直鎖シロキシユニット不含-アルキル系オリゴマー、例えば、-SiR2O-で示される直鎖シロキシユニットを含有せず、R11~R14がアルキルおよびアリールであり、式(3)におけるR15~R17がアルキルである直鎖シロキシユニット不含-アルキルアリール系オリゴマーなどが挙げられる。直鎖シロキシユニット不含-アルキル系オリゴマーは、アルキルアリールシロキサンユニットを含有しない。
より具体的には、直鎖シロキシユニット不含-アルキル系オリゴマーとしては、好ましくは、式(3)におけるR11~R17がメチルである、直鎖シロキシユニット不含-メチル系オリゴマーが挙げられる。直鎖シロキシユニット不含-メチル系オリゴマーは、例えば、メチルトリメトキシシランから生成される。
直鎖シロキシユニット不含-アルキルアリール系オリゴマーとしては、式(3)におけるR11~R14がメチルおよびフェニルであって、R15~R17がメチルである、直鎖シロキシユニット不含-メチルフェニル系オリゴマーなどが挙げられる。直鎖シロキシユニット不含-メチルフェニル系オリゴマーは、例えば、フェニルトリメトキシシランとメチルトリメトキシシランとから生成される。
第2オリゴマーの分子量は、例えば、500以上、好ましくは、1000以上であり、また、例えば、4000以下、好ましくは、3000以下である。
第2オリゴマーは市販品が用いられる。例えば、KC-89(信越化学工業社製)、KR-515(信越化学工業社製)、KR-500(式(3)中、ユニットXIIの数が10、ユニットXIIIの数が4である直鎖シロキシユニット不含-メチル系オリゴマー、信越化学工業社製)、X-40-9225(式(3)中、ユニットXIIの数が12、ユニットXIIIが10である直鎖シロキシユニット不含-メチル系オリゴマー、信越化学工業社製)、US-SG2403(東レ・ダウコーニング社製)、KR-401N(式(3)中、R11~R14がメチルおよびフェニル、R15~R17がメチルである直鎖シロキシユニット不含-メチルフェニル系オリゴマー)などが例示できる。
シリコーン組成物における第2オリゴマーの割合は、例えば、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上、より好ましくは、20質量%以上、さらに好ましくは、25質量%以上、とりわけ好ましくは、30質量%以上であり、また、例えば、50質量%未満、好ましくは、45質量%以下である。
第2オリゴマーに対する第1オリゴマーの割合(第1オリゴマー/第2オリゴマー:質量比)は、例えば、0.15以上、好ましくは、0.16以上、より好ましくは、0.18以上、さらに好ましくは、0.20以上、より好ましくは、0.22以上である。また、第2オリゴマーに対する第1オリゴマーの割合(第1オリゴマー/第2オリゴマー:質量比)は、例えば、10以下、好ましくは、9以下、より好ましくは、7以下、さらに好ましくは、5以下、とりわけ好ましくは、2以下、さらには、1.0以下、さらには、0.5以下である。
シリコーン組成物における第1オリゴマーおよび第2オリゴマー(硬化成分)の総量の割合は、例えば、20質量%以上、好ましくは、25質量%以上、より好ましくは、30質量%以上、さらに好ましくは、35質量%以上、とりわけ好ましくは、40質量%以上、最も好ましくは、45質量%以上である。シリコーン組成物における第1オリゴマーおよび第2オリゴマー(硬化成分)の総量の割合は、例えば、60質量%以下、好ましくは、55質量%以下である。第1オリゴマーおよび/または第2オリゴマーの割合が上記範囲にあれば、疎水性無機粒子が機能を十分に発現できる。
シリコーン組成物は、より好ましくは、シリコーンオイルをさらに含有する。
シリコーンオイルは、疎水性無機粒子を含有する粒子含有樹脂組成物から成形体を成形する際の疎水性無機粒子の浮き上がり性(偏在性)を向上させる。シリコーンオイルは、直鎖状の主鎖を有し、例えば、ポリシロキサンの繰り返し構造(-(SiO)n-)を有する。シリコーンオイルとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンなどのストレートシリコーンオイル(未変性シリコーンオイル)などが挙げられる。また、シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイル以外に、主鎖の末端および/または側鎖が水素原子、アルキル基、アルケニル基(ビニル基を含む)、アルキニル基、フェニル基、イオン性基などで変性された変性シリコーンオイルも挙げられる。イオン性基としては、例えば、メルカプト基などのアニオン性基、例えば、アミノ基などのカチオン性基などが挙げられる。これらシリコーンオイルは、単独使用または2種以上併用することができる。シリコーンオイルとして、好ましくは、ストレートシリコーンオイル、より好ましくは、ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
シリコーンオイルの25℃における動粘度は、例えば、100mm2/s以上、好ましくは、200mm2/s以上、より好ましくは、500mm2/s以上、さらに好ましくは、1000mm2/s以上である。また、シリコーンオイルの25℃における動粘度は、例えば、100万mm2/s以下、好ましくは、50万mm2/s以下、より好ましくは、10万mm2/s以下、さらに好ましくは、1万mm2/s以下である。シリコーンオイルの動粘度が上記した上限以下であれば、シリコーンオイルを簡便に取り扱って、シリコーン組成物を簡便に調製することができる。
シリコーンオイルとしては、市販品が用いられ、例えば、KF-96シリーズ(信越化学工業社製)、KF-965シリーズ(信越化学工業社製)、SH200シリーズ(東レ・ダウコーニング社製)、TSF451シリーズ(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル・ジャパン社製)、YF-33シリーズ(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル・ジャパン社製)などが用いられる。
シリコーンオイルの割合は、シリコーン組成物に対して、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上、より好ましくは、1.0質量%以上、さらに好ましくは、1.5質量%以上であり、また、例えば、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下、より好ましくは、3質量%以下である。第1オリゴマーおよび第2オリゴマーの総量100質量部に対するシリコーンオイルの質量部数は、例えば、1質量部以上、好ましくは、3質量部以上、より好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下、より好ましくは、7質量部以下である。シリコーンオイルの質量部数が上記した範囲であれば、疎水性無機粒子の浮き上がり性(偏在性)を向上できる。
シリコーン組成物に対する第1オリゴマーと第2オリゴマーとシリコーンオイルとの総量の割合は、例えば、21質量%以上、好ましくは、26質量%以上、より好ましくは、31質量%以上、さらに好ましくは、36質量%以上である。シリコーン組成物に対する第1オリゴマーと第2オリゴマーとシリコーンオイルとの総量の割合は、例えば、70質量%以下、好ましくは、60質量%以下、より好ましくは、55質量%以下である。上記した総量の割合が上記した下限以上であれば、硬化成分の割合が過度に少なくなることを防止して、被覆層を疎水性無機粒子の表面に確実に形成することができる。上記した総量の割合が上記した上限以下であれば、歩留まりの過度の低下を抑制することができる。
シリコーン組成物は、触媒、有機溶剤をさらに含有することができる。
触媒は、シリコーン組成物が硬化するときに、空気中の水分と反応して加水分解して、第1オリゴマー(および第2オリゴマー)を縮合反応させる硬化触媒である。
触媒としては、例えば、金属アルコキシド、金属キレート化合物(例えば、トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウムなど)、金属カルボン酸塩(例えば、ビス(2-エチルヘキサン酸)、酸(リン酸など)などが挙げられる。触媒は、単独使用または併用することができる。好ましくは、金属アルコキシド、金属キレート化合物、金属カルボン酸塩が挙げられ、より好ましくは、金属アルコキシドが挙げられる。
金属アルコキシドとしては、例えば、チタンアルコキシド、アルミニウムアルコキシド(例えば、アルミニウムテトラn-ブトキシド、アルミニウムテトラn-プロポキシド)、ジルコニウムアルコキシド(例えば、ジルコニウムテトラn-ブトキシド、ジルコニウムテトラn-プロポキシド)、ゲルマニウムアルコキシド(例えば、ゲルマニウムテトラエトキシド)、スズアルコキシド(例えば、スズテトラn-ブトキシド、スズテトラtert-ブトキシド)、ハフニウムアルコキシド(例えば、ハフニウムテトラ2-プロポキシド、ハフニウムテトラtert-ブトキシド)、ニオブアルコキシド(例えば、ニオブペンタエトキシド)、タンタルアルコキシド(例えば、タンタルペンタn-ブトキシド、タンタルペンタエトキシド)などが挙げられる。好ましくは、チタンアルコキシドが挙げられる。
チタンアルコキシドとしては、例えば、チタントリアルコキシド、チタンテトラアルコキシドなどが挙げられ、好ましくは、チタンテトラアルコキシドが挙げられる。チタンテトラアルコキシドとしては、例えば、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド(例えば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn-プロポキシドなど)、チタンテトラブトキシド(例えば、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラn-ブトキシドなど)、チタンテトラペントキシド、チタンテトラヘキソキシド、チタンテトラ(2-エチルヘキソキシド)などが挙げられる。
なお、金属アルコキシドにおける3つまたは4つのRO基のそれぞれは、その炭素数や分岐の有無により反応性が異なる。一方、加水分解が過度に早く進行すると、取扱性(安定性)が低下することがある。そのため、反応性および安定性を考慮すれば、チタンアルコキシドのうち、好ましくは、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラn-ブトキシドが挙げられる。
触媒としては、市販品が用いられ、例えば、D-25(チタンテトラn-ブトキシド、信越化学工業社製)などが用いられる。
シリコーン組成物における触媒の割合は、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、2質量%以上であり、また、例えば、25質量%以下、好ましくは、15質量%以下、より好ましくは、10質量%以下である。第1オリゴマー100質量部に対する触媒の質量部数は、例えば、1質量部以上、好ましくは、10質量部以上、より好ましくは、20質量部以上であり、また、例えば、250質量部以下、好ましくは、100質量部以下、より好ましくは、50質量部以下である。
有機溶剤は、無機粒子との混合後に過度に急速に乾燥が進行することに起因する被覆層の厚みムラを抑制するために、粒子含有樹脂組成物に配合される。
有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール(2-プロパノール)などのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、パラフィン系溶剤、ナフテン系溶剤、芳香族系溶剤などから選択される。有機溶剤は、単独が選択され、あるいは、2種以上が選択されて、使用される。有機溶剤として、好ましくは、アルコール系溶剤が選択される。
シリコーン組成物に対する有機溶剤の割合は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、より好ましくは、30質量%以上、さらに好ましくは、40質量%以上であり、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下、より好ましくは、60質量%以下、さらに好ましくは、50質量%以下である。第1オリゴマーと第2オリゴマーとシリコーンオイルとの総量100質量部に対する有機溶剤の割合は、例えば、40質量部以上、好ましくは、80質量部以上であり、また、例えば、300質量部以下、好ましくは、200質量部以下、より好ましくは、160質量部以下、さらに好ましくは、100質量部以下である。
有機溶剤の割合が上記した下限以上であれば、シリコーン組成物の取扱性に優れるとともに、無機粒子との混合後に過度に急速に乾燥が進行することに起因する被覆層の厚みムラを抑制することができる。一方、有機溶剤の割合が上記した上限以下であれば、歩留まりの過度の低下を抑制することができる。
なお、硬化前のシリコーン組成物に対するシリコーン組成物における硬化物の質量の割合が、例えば、15質量%以上、好ましくは、20質量%以上、より好ましくは、30質量%以上となり、また、例えば、60質量%以下、好ましくは、50質量%以下となるように、上記した各成分の割合が設定される。硬化物(および硬化物中に取り込まれる成分(具体的には、シリコーンオイル、触媒など))の質量は、各成分の総量から、有機溶剤および加水分解生成物を差し引いた質量である。なお、硬化物の質量は、硬化前後におけるシリコーン組成物の質量減少量からも算出される。
また、シリコーン組成物における硬化物における、第1オリゴマーに由来するユニットの割合は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは、20質量%以上、さらに好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、100質量%以下、好ましくは、75質量%以下、より好ましくは、50質量%以下、さらに好ましくは、40質量%以下である。
次に、疎水性無機粒子の製造方法を説明する。
この疎水性無機粒子の製造方法は、無機粒子と、シリコーン組成物とを混合する第1工程と、シリコーン組成物を硬化させて、シリコーン組成物の硬化物により、無機粒子の表面を被覆する第2工程とを備える。
第1工程では、無機粒子と、シリコーン組成物とを配合して、それらを攪拌混合する。これにより、混合物を調製する。シリコーン組成物を調製するには、上記各成分を配合する。また、無機粒子を、ディスパーなどの攪拌機で攪拌しながら、これに対して、シリコーン組成物を滴下する。
無機粒子100質量部に対するシリコーン組成物の硬化物(硬化後の固形分)の割合は、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上、より好ましくは、10質量部以上であり、また、例えば、250質量部以下、好ましくは、100質量部以下、より好ましくは、50質量部以下である。疎水性無機粒子における、シリコーン組成物の硬化物(硬化後の固形分)の割合は、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、10質量%以上であり、または、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、30質量%以下、さらに好ましくは、25質量%以下、とりわけ好ましくは、15質量%以下である。
硬化物の割合が上記した下限以上であれば、粒子含有樹脂組成物から成形体を成形するときに、さらに詳しくは、粒子含有樹脂組成物が、ゲル化、乾燥固化などにより、液状の組成物が固体の成形体となる間に、疎水性無機粒子を成形体の内部から表面に向かって確実に浮き出し、成形体の表面に偏在させることができる。
一方、硬化物の割合が上記した上限以下であれば、無機粒子の細孔を過度に閉塞することを抑制し、無機粒子の機能の発現阻害を抑制できる。
続いて、第2工程では、混合物を、例えば、加熱する。
放置する時間は、例えば、10分以上、好ましくは、30分以上であり、また、例えば、10時間以下、好ましくは、2時間以下である。
これによって、第1オリゴマー(および第2オリゴマー)では、RO基の縮合反応によって、硬化反応が進行する。
同時に、無機粒子の材料が酸化物(とりわけ、シリカ)であれば、無機粒子の表面に存在するヒドロキシル基含有基(具体的には、シラノール基[Si-OH])と縮合反応して、無機粒子と、第1オリゴマー(および第2オリゴマー)とが、化学結合を形成する。
なお、第1オリゴマー(および第2オリゴマー)のRO基の硬化反応の際の副生成物であるアルコールは、有機溶剤とともに除去(留去)される。
これにより、シリコーン組成物を硬化させて、シリコーン組成物の硬化物を調製する。この硬化物によって、無機粒子の表面を被覆する。つまり、被覆層を、無機粒子の表面に形成する。なお、必要により、隣り合う無機粒子を連結する硬化物を、ジェットミルなどで解砕して、個々の疎水性無機粒子を製造する。
これにより、無機粒子と被覆層とを含む疎水性無機粒子を製造する。
被覆層は、無機粒子の表面を被覆し、さらに、内面(細孔の内部表面)を被覆する態様、無機粒子の表面を一部を被覆する態様などを含む。換言すれば、被覆層は、無機粒子の表面の少なくとも一部を被覆すればよい。
次に、無機粒子が機能成分を担持している態様を説明する。
機能成分の機能としては、無機粒子が元々有する機能であってもよく、また、それとは、別の機能でもよい。具体的には、機能成分としては、例えば、抗生物活性化合物、難燃剤、硬化剤、色素、香料、酵素、鳥獣忌避などが挙げられる。また、機能成分は、水溶性および水不溶性のいずれであってもよい。耐水性が求められる用途に使用される場合には、水不溶性の機能成分が好適である。
抗生物活性化合物は、殺菌、抗菌、防腐、防藻、防かび、除草、殺虫、誘引および忌避などの抗生物活性を有する、殺菌剤、抗菌剤、防腐剤、防藻剤、防かび剤、除草剤、殺虫剤、誘引剤および忌避剤などから選択される。
殺菌防腐防藻防かび剤(防腐防かび剤を含む)としては、例えば、有機ヨード系化合物、トリアゾール系化合物、カルバモイルイミダゾール系化合物、ジチオール系化合物、イソチアゾリン系化合物、ニトロアルコール系化合物、パラオキシ安息香酸エステル、ベンズイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、ピリチオン系化合物などが挙げられる。
有機ヨード系化合物としては、例えば、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート(IPBC)、1-[[(3-ヨード-2-プロピニル)オキシ]メトキシ]-4-メトキシベンゼン、3-ブロモ-2,3-ジヨード-2-プロペニルエチルカーボネートなどが挙げられる。
トリアゾール系化合物としては、例えば、1-[2-(2,4-ジクロロフェニル)-4-n-プロピル-1,3-ジオキソラン-2-イルメチル]-1H-1,2,4-トリアゾール(プロピコナゾール)、ビス(4-フルオロフェニル)メチル(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチルシラン(別称:フルシラゾール、1-[[ビス(4-フルオロフェニル)メチルシリル]メチル]-1H-1,2,4-トリアゾール)などが挙げられる。
カルバモイルイミダゾール系化合物としては、例えば、N-プロピル-N-[2-(2,4,6-トリクロロ-フェノキシ)エチル]イミダゾール-1-カルボキサミド(プロクロラズ)などが挙げられる。
ジチオール系化合物としては、例えば、4,5-ジクロロ-1,2-ジチオール-3-オンなどが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、例えば、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン(OIT)、4,5-ジクロロ-2-n-オクチルイソチアゾリル-3-オン(DCOIT)、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(Cl-MIT)や2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(H-MIT)などが挙げられる。
ニトロアルコール系化合物としては、例えば、2,2-ジブロモ-2-ニトロ-1-エタノール(DBNE)、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール(ブロノポール)などが挙げられる。
パラオキシ安息香酸エステルとしては、例えば、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどが挙げられる。
ベンズイミダゾール系化合物としては、メチル1H-ベンゾイミダゾール-2-イルカルバマート塩酸塩(カルベンダジム塩酸塩)などが挙げられる。
トリアジン系化合物としては、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。
ピリチオン系化合物としては、2-ピリジンチオール-1-オキシドナトリウム(NaPt)などが挙げられる。
また、防蟻剤(殺蟻剤)としては、例えば、ピレスロイド系化合物、ネオニコチノイド系化合物、有機塩素系化合物、有機リン系化合物、カーバメート系化合物、オキサジアジン系化合物などが挙げられる。
ピレスロイド系化合物としては、例えば、シロバナムシヨケギクより得られるピレトリン、シネリン、ジャスモリンなどのピレスロイド系殺虫剤が挙げられ、これらから誘導されるアレスリン、ビフェントリン、アクリナトリン、アルファシペルメトリン、トラロメトリン、シフルトリン、シフェノトリン、プラレトリン、エトフェンプロックス(2-(4-エトキシフェニル)-2-メチルプロピル-3-フェノキシベンジルエーテル)、シラフルオフェン、フェンバレレートなどのピレスロイド系殺虫剤も挙げられる。
ネオニコチノイド系化合物としては、例えば、(E)-N1-[(6-クロロ-3-ピリジル)メチル]-N2-シアノ-N1-メチルアセトアミジン(アセタミプリド)などが挙げられる。
有機塩素系化合物としては、例えば、ケルセンなどが挙げられる。
有機リン系化合物としては、例えば、ホキシム、ピリダフェンチオン、フェニトロチオン、テトラクロルビンホス、ジクロフェンチオン、プロペタンホスなどが挙げられる。
カーバメート系化合物としては、例えば、フェノブカルブ、プロポクスルなどが挙げられる。
オキサジアジン系化合物としては、例えば、インドキサカルブなどが挙げられる。
さらに、除草剤としては、例えば、ピラクロニル、ペンディメタリン、インダノファンなどが挙げられる。
殺虫剤としては、例えば、ピリプロキシフェンなどが挙げられる。
忌避剤としては、例えば、ディート、カプサイシン類(辛味成分)などが挙げられる。好ましくは、カプサイシン類が挙げられる。
カプサイシン類としては、例えば、カプサイシン(N-[(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチル]-8-メチル-6-ノネンアミド)、および、カプサイシン誘導体が挙げられる。カプサイシン誘導体としては、例えば、N-バニリルノナンアミド(ノニリックアシドバニリルアミド)、デシリックアシドバニリルアミド、ノルジヒドロカプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシンなどが挙げられる。
抗生物活性化合物として、好ましくは、防腐防かび剤が挙げられ、より好ましくは、有機ヨード系化合物、さらに好ましくは、IPBCが挙げられる。
無機粒子に機能成分を担持させる場合には、機能成分が、25℃で液状であれば、機能成分および無機粒子を配合する。
一方、機能成分が、25℃で半固体状または固体状であれば、有機溶剤に機能成分を溶解させて、機能成分の溶液を調製し、その溶液および無機粒子を配合し、その後、有機溶剤を除去する。有機溶剤としては、シリコーン組成物に任意的に含有される有機溶剤が例示され、好ましくは、ケトン系溶剤が挙げられる。機能成分の配合割合が、有機溶剤および機能成分の総量に対して、例えば、30質量%以上、好ましくは、50質量%以上、また、例えば、80質量%以下となるように、有機溶剤および機能成分の配合割合を調整する。
無機粒子100質量部に対する機能成分の質量部数は、例えば、10質量部以上、好ましくは、40質量部以上、より好ましくは、75質量部以上であり、また、例えば、500質量部以下、好ましくは、250質量部以下、より好ましくは、125質量部以下である。
また、機能成分の溶液の容積は、例えば、無機粒子の吸油容積(無機粒子の吸油量に無機粒子の配合質量を乗じた値)より小さい。具体的には、無機粒子の吸油容積100容積部に対する機能成分の溶液の容積部数は、例えば、100容積部未満、好ましくは、75容積部以下、より好ましくは、50容積部以下、さらに好ましくは、30容積部以下であり、また、例えば、10容積部以上である。
これにより、機能成分を無機粒子に担持させる。
その後、この無機粒子を被覆層で被覆する。無機粒子を被覆層で被覆する方法は、上記と同様である。
これにより、機能成分担持型疎水性無機粒子を得る。
機能成分100質量部に対する被覆層の質量部数は、例えば、10質量部以上、好ましくは、40質量部以上、より好ましくは、75質量部以上であり、また、例えば、500質量部以下、好ましくは、250質量部以下、より好ましくは、125質量部以下である。
無機粒子および機能成分の総量100質量部に対する被覆層の質量部数は、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、2質量部以上、より好ましくは、5質量部以上、さらに好ましくは、10質量部以上であり、また、例えば、500質量部以下、好ましくは、250質量部以下、より好ましくは、100質量部以下、さらに好ましくは、50質量部以下である。
疎水性無機粒子(機能成分担持型疎水性無機粒子を含む)は、例えば、各種樹脂に配合(添加)されて、粒子含有樹脂組成物を調製するための添加剤として用いられる。
但し、疎水性無機粒子は、化粧料に添加される化粧料添加剤として用いられず、つまり、化粧料添加剤ではない。
続いて、疎水性無機粒子を含有する粒子含有樹脂組成物を説明する。
粒子含有樹脂組成物は、上記した疎水性無機粒子と、樹脂とを含む。
樹脂としては、例えば、塗膜や成形体となるときに、その表面に疎水性無機粒子が偏在できる樹脂であれば、特に限定されない。樹脂としては、例えば、水性樹脂が挙げられる。水性樹脂としては、例えば、水に対して分散または溶解した樹脂が挙げられ、そのような樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル-スチレン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂として、ガラス転移温度が室温(25℃)以下の軟質樹脂(エラストマー)も挙げられる。
水性樹脂以外に、上記の樹脂を溶剤に対して分散または溶解した樹脂も挙げられる。そのような樹脂として、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、アルキド樹脂などの液状の熱硬化性樹脂が挙げられる。さらには、射出成形、押出成形、金型、押出機のダイス、シリンダー、スクリューをシリコーンオイルなどにより疎水性にしておくことにより、上記の樹脂を含む熱可塑性樹脂を溶融して成形する場合にも、本発明の疎水性無機粒子を表面に偏在化させることができる。
樹脂としては、好ましくは、水性樹脂が挙げられる。水性樹脂であれば、疎水性無機粒子が成形体の表面により偏在し易い。
水性樹脂の形態としては、特に限定されず、例えば、ラテックスなどが挙げられる。
樹脂(固形分)および疎水性無機粒子の総量に対する、疎水性無機粒子の割合は、例えば、0.01質量%以上、好ましくは、0.1質量%以上、より好ましくは、1質量%以上であり、また、例えば、25質量%以下、好ましくは、5質量%以下である。樹脂(固形分)100質量部に対する疎水性無機粒子の質量部数は、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上、より好ましくは、1質量部以上であり、また、例えば、25質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
粒子含有樹脂組成物を調製するには、上記した疎水性無機粒子と、樹脂とを配合する。その後、それらを攪拌する。
なお、樹脂が水を含有する形態で調製されている場合には、粒子含有樹脂組成物は、かかる水を含有してもよい。粒子含有樹脂組成物における固形分割合は、例えば、5質量%以上、好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、75質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。
なお、粒子含有樹脂組成物には、公知の添加剤を適宜の割合で添加することができる。
その後、粒子含有樹脂組成物から成形体を成形する。成形方法としては、例えば、注型(感熱ゲル化法を含む)、スプレーアップ成形、ハンドレイアップ成形、スラッシュ成形、押出成形、含浸成形、浸漬法(塩凝固法を含む)などが挙げられる。
これにより、粒子含有樹脂組成物からなる成形体を得る。
成形体としては、例えば、壁紙、床材、天井材、シーリング材などの建材などが挙げられる。
本発明の疎水性無機粒子が塗料用添加剤として使用され、粒子含有樹脂組成物から塗膜を形成するときには、疎水性無機粒子が塗膜の表面に偏在して、疎水性無機粒子の効果を有効に発揮できる。
本発明の疎水性無機粒子が熱可塑性樹脂に配合される場合(疎水性無機粒子を少量の樹脂で分散してマスターバッチを調製し、これを残余の樹脂に配合した組成物を含む)、疎水性無機粒子が成形品の表面に偏在して、疎水性無機粒子の効果を有効に発揮できる。
(作用効果)
この疎水性無機粒子では、無機粒子は、50mL/100g以上の吸油量を有するので、無機粒子は、細孔の容積が十分である。そのため、無機粒子が有する多孔質の機能を十分に発現できる。
また、被覆層は、-SiR2O-で示されるシロキサンユニットを含有する第1オリゴマーを含有するシリコーン組成物の硬化物であるので、疎水性無機粒子を成形体の表面に偏在させることができる。
さらに、無機粒子は、略球形状であるので、上記した疎水性無機粒子を迅速に偏在させることができる。
従って、疎水性無機粒子を含有する粒子含有樹脂組成物から成形された成形体は、疎水性無機粒子が成形体の表面に偏在することから、高い機能を発現できる。
また、無機粒子が消臭性粒子である場合には、疎水性無機粒子と、樹脂とを含有する粒子含有樹脂組成物を消臭成形体用組成物として調製でき、続いて、消臭成形体を成形できる。この消臭成形体では、疎水性無機粒子が消臭成形体の表面に偏在することから、高い消臭性を発現できる。
無機粒子が、機能成分を担持している場合には、機能成分担持型疎水性無機粒子と、樹脂とを含有する粒子含有樹脂組成物を、機能発現成形体用組成物として調製でき、続いて、機能発現成形体を成形できる。この機能発現成形体では、機能成分を担持する疎水性無機粒子が機能発現成形体の表面に偏在することから、機能成分に基づく、より高い機能を発現できる。
具体的には、機能成分が防腐防かび剤を担持している場合には、疎水性無機粒子と、樹脂とを含有する粒子含有樹脂組成物を、防腐防かび成形体用組成物として調製でき、続いて、防腐防かび成形体を成形できる。この防腐防かび成形体では、防腐防かび剤を担持する疎水性無機粒子が防腐防かび成形体の表面に偏在することから、高い防腐防かび効果を発現できる。
また、シリコーン組成物が、第1オリゴマーに加え、第2オリゴマーを含有する場合には、被覆層において第1オリゴマーとともに強固なシロキサンマトリックスを形成できる。
さらに、シリコーン組成物が、第1オリゴマー(および第2オリゴマー)に加え、シリコーンオイルを含有する場合には、疎水性無機粒子の浮き上がり性(偏在性)を向上させることができる。そのため、疎水性無機粒子が成形体の内部から表面に向かって確実に浮き出し、成形体の表面に偏在させることができる。
変形例
以下の変形例において、上記した説明と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、変形例は、特記する以外、上記説明と同様の作用効果を奏することができる。
変形例では、無機粒子は、複数の機能を有することができ、例えば、消臭性無機粒子でありながら、担持用無機粒子であってもよい。この無機粒子は、別の機能成分を担持する。
以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
まず、原料等の詳細を記載する。
・X-40-9250:式(1)中、ユニットIIの数が8、ユニットIIIの数が4、ユニットIVの数が4であり、R1~R9がメチルであるジメチルシロキサンユニット含有オリゴマー(第1オリゴマー)、信越化学工業社製
・KR-500:式(3)中、ユニットXIIの数が10、ユニットXIIIの数が4であり、R11~R17がメチルである直鎖シロキシユニット不含-メチル系オリゴマー(第2オリゴマー)、信越化学工業社製
・KR-401N:式(3)中、R11~R14がメチルおよびフェニル、R15~R17がメチルである直鎖シロキシユニット不含-メチルフェニル系オリゴマー(第2オリゴマー)、信越化学工業社製
・KF-96-1000cs:ポリジメチルシロキサン、動粘度(25℃):1,000mm2/s、信越化学工業社製
・D-25:チタン(IV)テトラn-ブトキシド、信越化学工業社製
・IPA:イソプロピルアルコール
・IPBC:商品名「ファンギトロール400」、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、水不溶性の防腐防かび剤、インターナショナル・スペシャリティ・プロダクツ社製
・セブントールOM-1:シリカ、アルミナおよび酸化亜鉛の複合物を含む。平均粒子径5μm、吸油量120mL/100g、消臭性粒子、大阪ガスケミカル社製
・サイリシア310P:シリカ。平均粒子径2.7μm、吸油量330mL/100g、担持用担体、富士シリシア社製
調製例1~調製例3
(シリコーン組成物の調製)
表1の記載の各成分を配合して、調製例1のシリコーン組成物(1)、および、調製例2のシリコーン組成物(2)、および、調製例3のシリコーン組成物(3)のそれぞれを調製した。
比較例1
セブントールOM-1をそのまま比較例1の無機粒子として準備した。
実施例1~実施例7
(疎水性無機粒子の調製)
表2の記載に従って、比較例1の無機粒子をディスパーで攪拌しながら、シリコーン組成物(調製例1、調製例2または調製例3)を滴下した。24時間静置後、100℃で1時間加熱して、シリコーン組成物を硬化させて、被覆層を形成した。その後、それらをジェットミルで解砕して、無機粒子および被覆層を含む、実施例1~実施例7の疎水性無機粒子を調製した。
実施例8~実施例14
(消臭成形体の作製)
水性樹脂として、アクリル-スチレン樹脂のラテックス『ウルトラゾールC-63』(アイカ工業社製)に、実施例1~実施例7の疎水性無機粒子のそれぞれを添加して攪拌した。水性樹脂(固形分)および疎水性無機粒子の総量に対する、疎水性無機粒子の割合は、3質量%であった。
次いで、消臭成形体用組成物を四方を仕切ったガラス板に、乾燥時の厚みが3mmとなるように注入し、水平の状態で風乾して、実施例8~実施例14の消臭成形板を成形(注型)した。実施例8~実施例14の消臭成形板では、いずれも、疎水性無機粒子が消臭成形板の内部から浮き出して、消臭成形板の表面に偏在した状態であった。
比較例2
実施例1の疎水性無機粒子に代えて、比較例1の無機粒子を用いた以外は、実施例7と同様に処理して、消臭成形板を成形(注型)した。比較例2の消臭成形板では、無機粒子が水性樹脂に対して沈降していた。
比較例3
実施例1の疎水性無機粒子を配合しなかった以外は、実施例7と同様に処理して、成形板を成形(注型)した。
<評価>
下記の消臭試験を実施して、消臭性を評価した
[アンモニア消臭試験]
実施例8~実施例14および比較例2の消臭成形板のそれぞれを正方形に切り出して、サンプルを作製した。サンプルをアルミニウム製のシャーレに計り取り、これらを1Lテドラーバッグに封入した。この際、無機粒子(OM-1)の質量が10mgとなるように、調整した。その後、濃度100ppmのアンモニア含有ガス1Lを1Lテドラーバッグ内に注入した。ガス注入から2時間後、および、24時間後のそれぞれのアンモニアのガス濃度をアンモニア検知管で測定した。また、比較例3の成形板についても、上記と同様に測定した。それらの結果を、表3に記載する。
[硫化水素消臭試験]
実施例8~実施例14および比較例2の消臭成形板のそれぞれを正方形に切り出して、サンプルを作製した。サンプルをアルミニウム製のシャーレに計り取り、これらを1Lテドラーバッグに封入した。この際、無機粒子(OM-1)の質量が10mgとなるように、調整した。その後、濃度40ppmの硫化水素含有ガス1Lを1Lテドラーバッグ内に注入した。ガス注入から2時間後、および、24時間後のそれぞれの硫化水素のガス濃度を硫化水素検知管で測定した。また、比較例3の成形板についても、上記と同様に測定した。それらの結果を、表4に記載する。
比較例4
(IPBC担持型無機粒子の調製)
担持用無機粒子(サイリシア310P)に、IPBCの60%アセトン溶液を、ディスパー攪拌しながら添加した。その後、60℃で、3時間真空乾燥することにより、IPBCを担持するIPBC担持型無機粒子を調製した。
実施例15~実施例21
(IPBC担持型疎水性無機粒子の調製)
比較例4のIPBC担持型無機粒子をディスパー攪拌しながら、シリコーン組成物を滴下した。24時間静置後、100℃で1時間加熱して、シリコーン組成物を硬化させて、被覆層を形成した。その後、それらをジェットミルで解砕して、IPBC担持型疎水性無機粒子を調製した。
比較例5
(IPBCの水分散液の調製)
IPBCの水分散液(フロアブル剤)を調製した。具体的には、脱イオン水88.0g、IPBC(富士フイルム和光純薬(株)製)10.0gおよびペレックスSS-L(花王製)2.0gを配合し、それらを、ビールミル(ビーズサイズ:1mm)により回転数2,000rpmで10分間攪拌した。これにより、IPBCが水に分散するフロアブル剤を調製した。フロアブル剤のメジアン径を、レーザー回析散乱式粒子径分布測定装置LA-920(堀場製作所社製)により測定したところ、6.9μmであった。
実施例22~実施例28
アクリル-スチレン樹脂のラテックス『ウルトラゾールC-63』(アイカ工業社製)に、実施例15~実施例21のIPBC担持型疎水性無機粒子のそれぞれを、防腐防かび成形体用組成物におけるIPBC濃度が500ppmとなるように配合して攪拌した。これにより、実施例22~実施例28の防腐防かび成形体用組成物を調製した。次いで、防腐防かび成形体用組成物を、四方を仕切ったガラス板に、乾燥時の厚みが3mmとなるように注入し、水平の状態で風乾して、実施例22~実施例28の防腐防かび成形板を成形(注型)した。実施例22~実施例28の防腐防かび成形板では、いずれも、IPBC担持疎水性無機粒子が防腐防かび成形板の内部から浮き出して、表面に浮き出した偏析した状態であった。
比較例6
実施例15のIPBC担持型疎水性無機粒子に代えて、比較例4のIPBC担持無機粒子を用いた以外は、実施例19と同様に処理して、防腐防かび成形板を成形(注型)した。比較例6の防腐防かび成形板では、IPBC担持無機粒子が水性樹脂に対して沈降していた。
比較例7
実施例15のIPBC担持型疎水性無機粒子に代えて、比較例5におけるIPBCのフロアブル剤を用いた以外は、実施例19と同様に処理して、防腐防かび成形板を成形(注型)した。
[防カビ試験]
JIS Z 2911(2010年)のかび抵抗性試験法に従って、実施例22~実施例28および比較例6~比較例7のかび抵抗性を評価した。評価基準を以下に示す。
0:かびの発育が認められなかった。
1:かびの発育が認められ、発育部分の面積は繊維の全面積の1/3以下であった。
2:かびの発育が認められ、発育部分の面積は繊維の全面積の1/3を超えた。