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JP7237523B2 - トナー - Google Patents

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JP7237523B2
JP7237523B2 JP2018204933A JP2018204933A JP7237523B2 JP 7237523 B2 JP7237523 B2 JP 7237523B2 JP 2018204933 A JP2018204933 A JP 2018204933A JP 2018204933 A JP2018204933 A JP 2018204933A JP 7237523 B2 JP7237523 B2 JP 7237523B2
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Description

本発明は、電子写真法などの画像形成方法に使用されるトナーに関する。
電子写真技術は一様帯電した感光体に静電潜像を形成し、画像情報を帯電したトナーによって可視像化する技術であり、複写機、プリンターなどの装置で利用されている。近年、複写機やプリンターは新たな市場地域で利用され、様々な環境下での使用に対して、高い画像安定性が求められている。画像の安定化のために、複写機やプリンターにはトナーの静電的な搬送、機械的な搬送の安定化が望まれており、トナーには静電的な搬送に対して帯電分布の均一化、機械的な搬送に対して高流動性が望まれている。
特許文献1では、トナー粒子間の帯電分布を均一化するために、添加される二種の磁性粉の形状を規定したトナーが記載されている。高温高湿環境下で過剰な帯電量を持つトナーや逆帯電を持つトナーを減らすことで、粒子間の帯電分布のばらつきを抑えられる。
特許文献2では、トナー粒子内の帯電分布を同一極性にするために、結着樹脂の分子量を制御したトナーが記載されている。トナー表面のあらゆる点で表面電位を同一極性にすることで、トナー飛散やかぶりを抑えられる。
特許文献3では、高温高湿環境下のトナー流動性を向上するために、トナー間の二粒子間力を制御したトナーが記載されている。
特開2017-116792号公報 特開2016-126196号公報 特開2016-103005号公報
しかしながら、上記特許文献1は、低温低湿環境下では、トナーの含水率が低下し、電気伝導性が低下するため、トナー粒子の局在した電荷がトナー全体に拡散し難い。その結果、トナー粒子内の表面電位分布のばらつきが増加し、転写チリ(文字や線画像の周辺にトナーが散る現象)の発生や、ハーフトーン再現性の悪化という課題があった。
上記特許文献2は、低温低湿環境下では、特許文献1のトナーと同様に、トナー粒子の局在した電荷がトナー粒子全体に拡散し難く、トナー粒子内の表面電位分布のばらつきが増加するため、転写チリの発生や、ハーフトーン再現性の悪化という課題があった。また樹脂を用いてトナー表面の帯電性を制御するため、低温低湿環境下でトナーに高い圧力がかかると流動性が低下し、ベタ追従性が悪化するという課題があった。
上記特許文献3では、高温高湿環境下ではかぶりが抑制されるものの、低温低湿環境下では、トナーの帯電量が増加することで、静電引力によってトナーが凝集し、ベタ追従性が悪化するという課題があった。
以上の理由から低温低湿環境下においてもベタ追従性が良好で転写チリの発生が少なく、ハーフトーン再現性に優れたトナーが望まれている。
そこで、本発明の目的は、低温低湿環境下においてもベタ追従性が良好で転写チリの発生が少なく、ハーフトーン再現性に優れたトナーを提供するものである。
本発明は、着色剤、および結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記トナー粒子は、有機ケイ素重合体を含有する表層を有し、
78.5Nの荷重で前記トナーを圧縮して形成したトナーの圧密体を測定した際の二粒子間力が3.3nN以上14.8nN以下であり、
走査プローブ顕微鏡で測定される前記トナーの表面電位分布において、前記表面電位分布の変動係数が33%以下であることを特徴とするトナーである。
本発明によれば、低温低湿環境下においてもベタ追従性が良好で転写チリの発生が少なく、ハーフトーン再現性に優れたトナーを提供することができる。
(A)及び(B)は、二粒子間力の測定に用いられる装置の一例を示す図である。
本発明のトナーは、78.5Nの荷重で前記トナーを圧縮して形成したトナーの圧密体を測定した際の二粒子間力が1.0nN以上25.0nN以下であり、走査プローブ顕微鏡で測定される前記トナー粒子の表面電位分布において、前記表面電位分布の変動係数が50%以下であることを特徴とするものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
低温低湿環境下において、トナーはプリンターや複写機の中でチャージアップが起こり易く、トナー粒子間に強い静電斥力を生じる。その結果、トナー像に偏りが生じ、ハーフトーン再現性が悪化する場合がある。従来から、トナーのチャージアップを抑制する方法として、トナーに電荷をリークする材料を添加する手法が知られている。
電荷をリークする材料を添加することで、トナーの過度なチャージアップは抑制できた。しかしながら、ハーフトーン再現性は大きく改善しなかった。そのメカニズムは明確ではないが、ハーフトーン再現性が大きく改善しなかった理由はトナー粒子内の電荷が部分的にリークすることで、トナー粒子間の静電斥力にばらつきが生じ、トナー像に偏りが生じたためと考えられる。
そこで、本発明者らは、現像された感光体上のトナー粒子間に均一な静電斥力が働けば、低温低湿環境下におけるハーフトーン再現性の悪化という課題を解決できるのではないかと考えた。
本発明者らが鋭意検討した結果、高い圧力下におけるトナーの流動性が高く、トナー粒子内で表面電位分布のばらつき(変動係数)を低減すれば低温低湿環境下におけるハーフトーン再現性の悪化という課題を解決できることが分かった。
更なる検討の結果、高い圧力下におけるトナーの流動性向上の為に、トナーの二粒子間力を低減させることで、ハーフトーン再現性の悪化という課題を解決できることが分かった。
なお、ハーフトーン再現性に優れているかどうかの評価には、ハーフトーン画像に対する観察が必要であり、後述の実施例では、ベタ白からベタ黒までを256階調に分割した際のベタ白画像から数えて49番目の階調画像に対して行っている。
本発明のトナーは、78.5Nの荷重で前記トナーを圧縮して形成したトナーの圧密体における二粒子間力が1.0nN以上25.0nN以下である。測定方法の詳細は後述するが、上下二分割するセル内に収容されたトナーに対して、78.5Nの加重を加えた後、セルを破断させたときの最大引張破断力により、二粒子間力は測定される。78.5Nの圧縮条件はカートリッジ内の圧密したトナーが現像ローラー上で規制ブレードを通過する際にかかる負荷を想定した値である。
また本発明のトナーは、走査プローブ顕微鏡で測定される前記トナー粒子の表面電位分布の変動係数が50%以下である。算出方法の詳細は後述するが、トナー粒子の表面電位分布の変動係数は走査プローブ顕微鏡の一種であるKPFM(ケルビンプローブフォース顕微鏡)で測定された表面電位分布から算出される。まず、トナー粒子の表面電位分布はトナー表面に近接させたプローブが受ける静電気力をキャンセルするようにプローブに電圧を印加することで測定される。その表面電位分布の標準偏差を平均値で割ることで、表面電位分布の変動係数が算出される。
二粒子間力が前記範囲を満たし、表面電位分布の変動係数が前記範囲を満たさない場合、低温低湿環境下においてトナー粒子は現像ローラー上で規制ブレードによる高い圧力を受けても凝集することなく、孤立した状態でトナー粒子が現像される。しかしながら、トナー粒子間の静電斥力のばらつきのため、感光体上でトナーが偏り、ハーフトーン再現性は改善されなかった。また表面電位分布の変動係数が前記範囲を満たし、二粒子間力が前記範囲を満たさない場合、低温低湿環境下において感光体上のトナー粒子が孤立しておらず、トナー粒子凝集塊が存在するため、凝集塊周辺のトナー粒子は強い静電気力を受ける。その結果、トナーの偏りが増加し、ハーフトーン再現性は改善されなかった。
一方、二粒子間力と表面電位分布の変動係数の両方が前記範囲を満たした場合、孤立した状態でトナー粒子が現像され、さらに現像されたトナー粒子間に表面電位分布に応じた均一な静電斥力が生じる。その結果、初めて感光体上のトナーの偏りが著しく減少し、ハーフトーン再現性が良好となる。
また二粒子間力が前記範囲であることで、低温低湿環境下でも現像ローラー上のトナーが凝集することなく、ベタ追従性が良好となる。より好ましくは二粒子間力が1.0nN以上20.0nN以下である。
さらに表面電位分布の変動係数前記範囲であることで、低温低湿環境下においてもトナーと感光体に働く鏡像力と転写バイアスで生じる静電引力の比が各トナーで安定するため、トナー転写位置が一定になることで、転写チリが良好となる。より好ましくは表面電位分布の変動係数が33%以下である。
本発明のトナーは、表面電位分布の平均値の絶対値が1.0V以上15.0V以下であることが好ましい。表面電位分布の平均値の絶対値が前記範囲であることで、高温高湿環境下においても、トナー同士に安定した静電斥力が働き、ハーフトーン再現性が良好となる。より好ましくは、表面電位分布の平均値の絶対値が2.0V以上10.0Vである。
本発明の範囲に二粒子間力と表面電位分布の変動係数を調整するための1つの手段として、例えば有機ケイ素重合体を含有する表層を有することが挙げられる。有機ケイ素重合体を表層に含有させることで、トナー間の接触面積が減少し、二粒子間力を低減できる。さらに、有機ケイ素重合体は適度な電気伝導性を持つ。その結果、有機ケイ素重合体を表層に含有させることで、摩擦帯電によってトナーに生じた局在電荷をトナー全体に拡散し、表面電位分布の変動係数を低下できる。材料の選択として有機ケイ素重合体のケイ素原子に直接結合している炭素原子の数や炭素鎖長などによって二粒子間力と表面電位分布の変動係数を調整することが可能である。また、有機ケイ素重合体を含有する表層の凸凹形状や凸間を繋ぐネットワーク構造の調整などにより二粒子間力と表面電位分布の変動係数を制御することが可能である。これらの調整は、有機ケイ素重合体を添加するタイミングや形態、有機ケイ素重合体を前処理する際のpH、温度、時間などによって調整可能である。
本発明において特に好ましいのは以下の方法である。まず、トナー母体粒子を作製して水系媒体に分散しておく。更に母体粒子を分散した分散液のpHを有機ケイ素化合物の縮合が進み難いpHに調整しておく。次に有機ケイ素化合物を別容器で加水分解しておいて、前記母体粒子分散液に添加する。母体粒子分散液と有機ケイ素化合物の加水分解液を十分に撹拌混合した後、縮合に適したpHに調整して有機ケイ素重合体を一気に縮合させながらトナー表面に表層付けする。
別容器で行う加水分解反応は、任意のpHに調整した加水分解用水系媒体に有機ケイ素化合物を添加し、任意の温度で行うことができる。ただし、加水分解用水系媒体のpHを2.0以上7.0以下に調整し、温度を10℃以上60℃以下に制御して行うと、加水分解反応速度が速く、かつ加水分解反応中に縮合反応が進行しにくいことから好ましい。また、加水分解用水系媒体中の有機ケイ素化合物の濃度は1.0質量%以上70.0質量%以下であることが、同様の観点から好ましい。なお、加水分解用の水系媒体と有機ケイ素化合物が相分離する場合、既知の方法で撹拌を行いながら加水分解反応を行うことが、反応を促進させる観点から好ましい。
また、トナー母体粒子分散液中での縮合は、任意のpH及び温度で行うことができる。ただし、pHを6.0以上12.0以下に調整し、温度を30℃以上100℃以下に制御して行うと、縮合反応が速く進行するために好ましい。
上記方法により、有機ケイ素重合体を含有する表層は凹凸形状になり凸間においてもネットワークを形成されることから母体が露出しにくく二粒子間力を低減できると考えている。また形成された凸間のネットワーク構造により、トナーに生じた局在電荷をトナー全体に拡散することで、表面電位分布の変動係数を低下できると考えている。
有機ケイ素重合体を含有する表層を用いる場合には、トナー粒子中、有機ケイ素重合体の含有量が0.5質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。含有量が上記範囲にあることでトナーの機械的強度が向上し、トナーの割れや潰れが抑制できるため、現像スジの起点になる現像器内のトナー融着物の発生を抑えられる。低温低湿環境下において、トナーの帯電量が増加すると、このトナー融着物と割れや潰れの無いトナーとの間に強い静電引力が生じ、さらにトナーの二粒子間力が前記範囲にあることで、割れや潰れの無いトナーとトナー融着物との間にかかる圧力が低下する。その結果、トナーが次々にトナー融着物に付着することで起こる融着物の成長を抑制できるため、低温低湿環境下で発生する現像スジを大きく改善できる。有機ケイ素重合体の含有量は有機ケイ素重合体形成に用いる有機ケイ素化合物の種類及び量、有機ケイ素重合体形成時のトナー粒子の製造方法、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。有機ケイ素重合体の含有量の測定方法は後述する。
有機ケイ素重合体は、下記式(RaT3)で表される部分構造を有する重合体であることが好ましい。
a-SiO3/2 (RaT3)
(式中、Raは、炭素数が1以上6以下の炭化水素基、アリール基、又は下記式(i)あるいは式(ii)で表される構造を表す。
Figure 0007237523000001
(式(i)および(ii)において、*はRaT3構造中のSi元素との結合部位を表し、式(ii)におけるLは、アルキレン基またはアリーレン基を表す。)
上記式(RaT3)中のSi原子の4個の原子価について1個はRaと、残り3個はO原子と結合している。O原子は、原子価2個がいずれもSiと結合している状態、つまり、シロキサン結合(Si-O-Si)を構成する。有機ケイ素重合体としてのSi原子とO原子を考えると、Si原子2個でO原子3個を有することになるため、-SiO3/2と表現される。
式(RaT3)中の、シロキサン系重合体部-SiO3/2の存在は、トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の29Si-NMRの測定によって確認できる。また式(i)および式(ii)で表されるビニル系重合体部の存在は、トナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分の13C-NMRの測定によって確認できる。
本発明におけるトナーは、トナー粒子のテトラヒドロフラン(THF)不溶分の29Si-NMRの測定で得られるチャートにおいて、有機ケイ素重合体の全ピーク面積に対する式(RaT3)の構造に帰属されるピーク面積の割合が20%以上であることが好ましい。
詳細な測定法は後述するが、これはトナー粒子に含まれる有機ケイ素重合体の中でRa-SiO3/2で表される部分構造を、20%以上有していることを意味している。前述の通り、Si原子の4つの原子価のうち、3つが酸素原子と結合し、さらにそれら酸素原子が別のSi原子と結合することが、-SiO3/2の部分構造の意味である。もし、そのうち酸素1つがシラノール基であったとすると、その有機ケイ素重合体の部分構造はRa-SiO2/2-OHで表現される。さらに、酸素2つがシラノール基であれば、その部分構造はRa-SiO1/2(-OH)2となる。これら構造を比較すると、より多くの酸素原子がSi原子と架橋構造を形成するほうが、SiO2で表わされるシリカ構造に近い。そのため-SiO3/2骨格が多いほど、トナー粒子表面の表面自由エネルギーを低くすることができるため、環境安定性及び耐部材汚染に優れた効果がある。一方、-SiO3/2骨格が少ないほど負帯電性の強いシラノール基が増えることとなり、チャージアップを抑制しきれないことがある。帯電性、耐久性の観点からは100%以下であることが好ましく、40%以上80%以下であることがより好ましい。
前記部分構造のピーク面積の割合は、有機ケイ素重合体形成に用いる有機ケイ素化合物の種類及び量、並びに、有機ケイ素重合体形成時の加水分解、付加重合及び縮合重合の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
有機ケイ素重合体を含有する表層を用いる場合には、前記トナー粒子の表面の走査電子顕微鏡観察において、前記トナー粒子の表面1.5μm四方の反射電子像を取得し、前記反射電子像から256階調の輝度を横軸にとったピクセル数基準の輝度ヒストグラムを得たとき、前記ヒストグラムが二つの極大値P1及びP2と、前記P1及びP2間の極小値Vを持ち、前記P2は、前記有機ケイ素重合体由来の極大値であり、前記P1の輝度が20以上70以下であり、前記P2の輝度が130以上230以下であり、前記反射電子像の全ピクセル数に対するP1及びP2のピクセル数の割合が、それぞれ0.50%以上であり、前記Vの輝度Vlを基準とし、輝度0以上(Vl-30)以下の合計ピクセル数をA1、輝度(Vl-29)以上(Vl+29)以下の合計ピクセル数をAV、輝度(Vl+30)以上255以下の合計ピクセル数をA2としたとき、下記式(1)及び(2)を満たすことがより好ましい。
(A1/AV)≧1.50 (1)
(A2/AV)≧1.50 (2)
後述するが、本発明における反射電子像の取得条件は、トナー粒子の最表面を反映するように設定する。当該取得条件における、Kanaya-Okayamaの式から概算される各元素についての電子線の進入領域及びX線の発生領域は、およそ数十nmである。
本発明では、有機ケイ素重合体を含有する表層を有するトナー粒子の表面の走査電子顕微鏡観察において、前記トナー粒子の表面1.5μm四方の反射電子像を取得し、前記反射電子像から256階調の輝度を横軸にとったピクセル数基準の輝度ヒストグラムを得たとき、前記ヒストグラムが二つの極大値P1、及びP2と、前記P1、及びP2間の極小値Vを持つことが必須である。
当該輝度ヒストグラムにおいては、輝度の低い方が暗く(黒)、高い方が明るい(白)。走査電子顕微鏡から得られる反射電子像は“組成像”とも呼ばれており、原子番号の小さいものほど暗く、大きいものほど明るく検出される。トナー粒子は有機ケイ素重合体を表面に有するため、輝度の低い極大値P1はトナー粒子の母体由来、輝度の高い極大値P2は有機ケイ素重合体由来である。
ここでの母体とは、トナー粒子に含まれる結着樹脂や離型剤などの炭素主成分の組成物を指す。また、P2が有機ケイ素重合体由来であることは、走査電子顕微鏡観察で取得できるエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素マッピング像と、前記反射電子像を重ね合わせることで確認できる。このようなトナー粒子の母体由来のP1と、有機ケイ素重合体由来のP2と、P1及びP2間の極小値Vを持った双峰性ヒストグラムであることが本発明の要件の1つである。
また、P1の輝度が20以上70以下かつP2の輝度が130以上230以下であることも重要である。P1及びP2の輝度がある程度離れており、かつP1及びP2の輝度がそれぞれ一定の範囲内にあると、極大値P1をもつピーク1と、極大値P1をもつピーク2の重なりが少なく、分離が良好となる。
前述のように、P1はトナー粒子の母体由来、P2は有機ケイ素重合体由来である。ピーク1と2の分離が良好であると、トナー粒子表面にトナー粒子の母体と有機ケイ素重合体が効率的に局在化し、後述するそれぞれの機能がより効果的に発揮される。P1の輝度は20以上60以下、P2の輝度は140以上230以下であることが好ましい。
また、前記反射電子像の全ピクセル数に対するP1及びP2のピクセル数の割合が、それぞれ0.50%以上であることが必要である。さらに、極小値Vの輝度Vlを基準とし、輝度0以上(Vl-30)以下の合計ピクセル数をA1、輝度(Vl-29)以上(Vl+29)以下の合計ピクセル数をAV、輝度(Vl+30)以上255以下の合計ピクセル数をA2としたとき、下記式(1)及び(2)
(A1/AV)≧1.50 (1)
(A2/AV)≧1.50 (2)
を満たすことが、要件の1つである。ここで、輝度0以上(Vl-30)以下のピクセル数A1は、P1を極大値とするピーク1が主成分であり、輝度(Vl+30)以上255以下のピクセル数A2は、P2を極大値とするピーク2が主成分となる。前述のように、P1はトナー粒子の母体由来、P2は有機ケイ素重合体由来であるため、A1に含まれる各ピクセルはトナー粒子の母体に、A2に含まれる各ピクセルは有機ケイ素重合体に帰属される。
すなわち、P1が大きくA1が多いほど母体成分が、P2が大きくA2が多いほど有機ケイ素重合体成分が、それぞれ十分にトナー粒子表面に存在することを示す。それにより、二粒子間力と表面電位分布の変動係数が前記範囲になり、かつ低温定着性が良好となる。
特に好ましい条件は、前記反射電子像の全ピクセル数に対するP1とP2のピクセル数がそれぞれ0.70%以上5.00%以下であり、下記式(3)及び(4)
4.00≧(A1/AV)≧1.70 (3)
4.00≧(A2/AV)≧1.70 (4)
を満たすことである。
前記P1、P2の輝度及びピクセル数、極小値Vの輝度Vl、並びにピクセル数A1、A2、及びAVは、有機ケイ素重合体のモノマー種や、有機ケイ素重合体形成時の反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御が可能である。
本発明に用いることのできる有機ケイ素重合体の代表的な製造例としては、ゾルゲル法と呼ばれる方法が挙げられる。ゾルゲル法は液体原料を出発原料に用いて、加水分解及び縮合重合させ、ゾル状態を経て、ゲル化する方法であり、ガラス、セラミックス、有機-無機ハイブリット、ナノコンポジットを合成する方法に用いられる。この製造方法を用いれば、表層、繊維、バルク体、微粒子などの種々の形状の機能性材料を液相から低温で作製することができる。
トナー粒子の表層に存在する有機ケイ素重合体は、具体的には、アルコキシシランに代表されるケイ素化合物の加水分解及び縮重合によって生成されることが好ましい。
この有機ケイ素重合体を含有する表層をトナー粒子に設けることによって、環境安定性が向上し、かつ、長期使用時におけるトナーの性能低下が生じにくく、保存安定性に優れたトナーを得ることができる。
さらに、ゾルゲル法は、液体から出発し、その液体をゲル化することによって材料を形成しているため、様々な微細構造及び形状をつくることができる。特に、トナー粒子が水系媒体中で製造される場合には、有機ケイ素化合物のシラノール基のような親水基による親水性によってトナー粒子の表面に析出させやすくなる。上記微細構造及び形状は反応温度、反応時間、反応溶媒、pHや有機金属化合物の種類及び量などによって調整することができる。
本発明における前記有機ケイ素重合体は、下記式(Z)で表される構造を有する有機ケイ素化合物を縮重合させて得られる物であることが好ましい。
Figure 0007237523000002
(式(Z)中、R1は、炭素数が1以上6以下の炭化水素基、アリール基、又は下記式(i)あるいは式(ii)で表される構造を表し、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基を表す。)
Figure 0007237523000003
(式(i)および(ii)において、*はZ構造中のSi元素との結合部位を表し、式(ii)におけるLは、アルキレン基またはアリーレン基を表す。)
1の炭化水素基により疎水性を向上することができ、環境安定性に優れたトナー粒子を得ることができる。また、炭化水素基として芳香族炭化水素基であるアリール基、例えばフェニル基を用いることもできる。R1の疎水性が大きい場合、様々な環境において帯電量変動が大きくなる傾向を示すことから、環境安定性を鑑みてR1は炭素数1以上3以下の炭化水素基であることがより好ましい。
2、R3及びR4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基である(以下、反応基ともいう)。これらの反応基が加水分解、付加重合及び縮重合させて架橋構造を形成し、耐部材汚染及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。加水分解性が室温で穏やかであり、トナー粒子の表面への析出性と被覆性の観点から、アルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基やエトキシ基であることがより好ましい。また、R2、R3及びR4の加水分解、付加重合及び縮合重合は、反応温度、反応時間、反応溶媒及びpHによって制御することができる。
本発明に用いられる有機ケイ素重合体を得るには、上記に示す式(Z)中のR1を除く一分子中に3つの反応基(R2、R3及びR4)を有する有機ケイ素化合物(以下、三官能性シランともいう)を1種又は複数種を組み合わせて用いるとよい。
上記式(Z)としては以下のものが挙げられる。ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジエトキシメトキシシラン、ビニルエトキシジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメトキシジクロロシラン、ビニルエトキシジクロロシラン、ビニルジメトキシクロロシラン、ビニルメトキシエトキシクロロシラン、ビニルジエトキシクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジアセトキシメトキシシラン、ビニルジアセトキシエトキシシラン、ビニルアセトキシジメトキシシラン、ビニルアセトキシメトキシエトキシシラン、ビニルアセトキシジエトキシシラン、ビニルトリヒドロキシシラン、ビニルメトキシジヒドロキシシラン、ビニルエトキシジヒドロキシシラン、ビニルジメトキシヒドロキシシラン、ビニルエトキシメトキシヒドロキシシラン、ビニルジエトキシヒドロキシシラン、の如き三官能性のビニルシラン;アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルジエトキシメトキシシラン、アリルエトキシジメトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメトキシジクロロシラン、アリルエトキシジクロロシラン、アリルジメトキシクロロシラン、アリルメトキシエトキシクロロシラン、アリルジエトキシクロロシラン、アリルトリアセトキシシラン、アリルジアセトキシメトキシシラン、アリルジアセトキシエトキシシラン、アリルアセトキシジメトキシシラン、アリルアセトキシメトキシエトキシシラン、アリルアセトキシジエトキシシラン、アリルトリヒドロキシシラン、アリルメトキシジヒドロキシシラン、アリルエトキシジヒドロキシシラン、アリルジメトキシヒドロキシシラン、アリルエトキシメトキシヒドロキシシラン、アリルジエトキシヒドロキシシラン、の如き三官能性のアリルシラン;p-スチリルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルメトキシジクロロシラン、メチルエトキシジクロロシラン、メチルジメトキシクロロシラン、メチルメトキシエトキシクロロシラン、メチルジエトキシクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルジアセトキシメトキシシラン、メチルジアセトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジメトキシシラン、メチルアセトキシメトキシエトキシシラン、メチルアセトキシジエトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、メチルメトキシジヒドロキシシラン、メチルエトキシジヒドロキシシラン、メチルジメトキシヒドロキシシラン、メチルエトキシメトキシヒドロキシシラン、メチルジエトキシヒドロキシシラン、の如き三官能性のメチルシラン;エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチルトリヒドロキシシラン、の如き三官能性のエチルシラン;プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリアセトキシシラン、プロピルトリヒドロキシシラン、の如き三官能性のプロピルシラン;ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、ブチルトリアセトキシシラン、ブチルトリヒドロキシシラン、の如き三官能性のブチルシラン;ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロロシラン、ヘキシルトリアセトキシシラン、ヘキシルトリヒドロキシシラン、の如き三官能性のヘキシルシラン;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリヒドロキシシランの如き三官能性のフェニルシラン。有機ケイ素化合物は単独で用いても、或いは2種類以上を複合して用いてもよい。
加水分解重縮合の結果、前記式(Z)を満たす有機ケイ素化合物の含有量は、有機ケイ素重合体中の50モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上である。
また、加水分解重縮合の結果、前記式(Z)の構造を有する有機ケイ素化合物と共に、一分子中に4つの反応基を有する有機ケイ素化合物(四官能性シラン)、一分子中に3つの反応基を有する有機ケイ素化合物(三官能性シラン)、一分子中に2つの反応基を有する有機ケイ素化合物(二官能性シラン)または1つの反応基を有する有機ケイ素化合物(一官能性シラン)を併用して得られた有機ケイ素重合体を用いてもよい。併用してもよい有機ケイ素化合物としては以下のようなものが挙げられる。ジメチルジエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、トリメチルシリルクロライド、トリエチルシリルクロライド、トリイソプロピルシリルクロライド、t-ブチルジメチルシリルクロライド、N,N’-ビス(トリメチルシリル)ウレア、N,O-ビス(トリメチルシリル)トリフロロアセトアミド、トリメチルシリルトリフロロメタンスルホネート、1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン、トリメチルシリルアセチレン、ヘキサメチルジシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、テトライソシアネートシラン、メチルトリイソシアネートシラン、ビニルトリイソシアネートシラン。
本発明において、有機ケイ素重合体を含有する表層と母体の部分は、隙間なく接していることが好ましい。これにより、トナー粒子の表層よりも内部の樹脂成分や離型剤等によるブリードの発生が抑えられ、保存安定性、環境安定性及び現像耐久性に優れたトナーを得ることができる。
表層には上記の有機ケイ素重合体の他に、スチレン-アクリル系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などの樹脂や各種添加剤などが含有されていてもよい。
以下、トナーの具体的な製造方法について説明するが、これらに限定されるわけではない。
第一製法としては、トナー母体粒子を得てからトナー母体粒子を水系媒体中に分散し、トナー母体粒子分散液に有機ケイ素化合物を添加し縮合させた後に、水系媒体を除去してトナー粒子を得る方法である。
以下、トナー母体粒子の製造方法の一例を挙げる。
(1)懸濁重合法:結着樹脂を生成しうる重合性単量体、離型剤、及び必要に応じて着色剤などを含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、前記重合性単量体を重合することにより、トナー母体粒子を得る。
(2)粉砕法:結着樹脂、離型剤、及び必要に応じて着色剤などを溶融混練し、粉砕することにより、トナー母体粒子を得る。
(3)溶解懸濁法:結着樹脂、離型剤、及び必要に応じて着色剤などを、有機溶媒に溶解し製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁、造粒、重合した後に有機溶媒を除去することにより、トナー母体粒子を得る。
(4)乳化凝集重合法:結着樹脂粒子、離型剤粒子、及び必要に応じて着色剤などの粒子を、水系媒体中で凝集し、会合することにより、トナー母体粒子を得る。
第二製法としては、結着樹脂を生成しうる重合性単量体、有機ケイ素化合物、離型剤、及び必要に応じて着色剤などを含有する重合性単量体組成物を水系媒体中で造粒し、前記重合性単量体を重合することによってトナー粒子を得る方法である。
第三製法としては、結着樹脂、有機ケイ素化合物、離型剤、及び必要に応じて着色剤などを、有機溶媒に溶解/分散し製造された有機相分散液を、水系媒体中に懸濁、造粒、重合した後に有機溶媒を除去してトナー粒子を得る方法である。
第四製法としては、結着樹脂粒子、ゾル又はゲル状態の有機ケイ素化合物含有粒子、及び必要に応じて着色剤粒子を、水系媒体中で凝集し、会合してトナー粒子を形成する方法である。
なお、水系媒体としては、以下のものが挙げられる。水;水と、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類との混合溶媒;などが挙げられる。
トナー粒子の製造方法として、上述した製造方法の中でも、第一製法のうちトナー母体粒子を懸濁重合法で製造する方法が最も好ましい。懸濁重合法では有機ケイ素重合体がトナー粒子の表面に均一に析出し易く、トナー表面の局在した電荷が生じにくいことから、本発明の効果である転写チリが良好になる。以下、懸濁重合法についてさらに説明する。
上記重合性単量体組成物には、必要に応じてその他の樹脂を添加してもよい。また、重合工程終了後は、生成した粒子を洗浄、濾過により回収し、乾燥してトナー母体粒子を得る。なお、上記重合工程の後半に昇温してもよい。さらに、未反応の重合性単量体又は副生成物を除去する為に、重合工程後半又は重合工程終了後に一部分散媒体を反応系から留去することも可能である。なお、重合工程終了後に洗浄、濾過及び乾燥を行わずに、トナー母体粒子が分散された母体粒子分散液を用いて、有機ケイ素重合体を含む表層を形成させてもよい。
次いで、トナーが含有する成分について記載する。有機ケイ素重合体を表面に有するトナー粒子は、結着樹脂、離型剤、必要に応じて着色剤、及びその他の成分を含有する。
[結着樹脂]
結着樹脂は特段限定されず、従来公知のものを用いることができる。結着樹脂はビニル系樹脂、ポリエステル樹脂などが好ましく例示できる。ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂及びその他の結着樹脂として、以下の樹脂又は重合体が例示できる。
ポリスチレン、ポリビニルトルエンのようなスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体、スチレン-アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン-メタクリ酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体のようなスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂。これら結着樹脂は単独或いは混合して使用できる。
本発明においては結着樹脂がカルボキシル基を含有することが帯電性の観点で好ましく、カルボキシル基を含む重合性単量体を用いて製造された樹脂であることが好ましい。例えばα-エチルアクリル酸、クロトン酸などの(メタ)アクリル酸、およびα-アルキル誘導体あるいはβ-アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸;コハク酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、コハク酸モノアクリロイルオキシエチレンエステル、フタル酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、フタル酸モノメタクリロイルオキシエチルエステルなどの不飽和ジカルボン酸モノエステル誘導体など。
ポリエステル樹脂としては、下記に挙げるカルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させたものを用いることができる。カルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及び、トリメリット酸が挙げられる。アルコール成分としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、グリセリン、トリメチロールプロパン、及び、ペンタエリスリトールが挙げられる。
また、ポリエステル樹脂は、ウレア基を含有したポリエステル樹脂であってもよい。ポリエステル樹脂としては末端などのカルボキシル基はキャップしないことが好ましい。
本発明のトナーにおいては、高温時におけるトナーの粘度変化の改良を目的として樹脂が重合性官能基を有していてもよい。重合性官能基としては、ビニル基、イソシアナート基、エポキシ基、アミノ基、カルボンサンキシル基、ヒドロキシ基が挙げられる。
[架橋剤]
トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合性単量体の重合に際して、架橋剤を添加してもよい。
例えば、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタクリレートに変えたもの。
架橋剤の添加量としては、重合性単量体に対して0.001質量%以上15.000質量%以下であることが好ましい。
[離型剤]
本発明において、トナー粒子を構成する材料の1つとして、離型剤を含有することが好ましい。前記トナー粒子に使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスのような天然ワックス及びその誘導体、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸のような脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス、シリコ-ン樹脂が挙げられる。なお、誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。なお、離型剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して5.0質量部以上20.0質量部以下であることが好ましい。
[着色剤]
本発明のトナーは、着色剤を含有するものである。着色剤は特段限定されず、例えば以下に示す公知のものを使用することができる。
黄色顔料としては、黄色酸化鉄、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が用いられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、155、168、180。
橙色顔料としては以下のものが挙げられる。
パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料としては、ベンガラ、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドC、レーキッドD、ブリリアントカーミン6B、ブリラントカーミン3B、エオキシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキなどの縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254。
青色顔料としては、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBGなどの銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には以下のものが挙げられる。
C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。
緑色顔料としては、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛が挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、非磁性フェライト、マグネタイト、上記黄色系着色剤、赤色系着色剤及び青色系着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。これらの着色剤は、単独又は混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。
また、トナーの製造方法によっては、着色剤の持つ重合阻害性や分散媒体移行性に注意を払う必要がある。必要により、重合阻害のない物質による着色剤の表面処理を施して表面改質を行ってもよい。特に、染料やカーボンブラックは、重合阻害性を有しているものが多いので使用の際に注意を要する。
なお、着色剤の含有量は、結着樹脂又は重合性単量体100.0質量部に対して3.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましい。
[荷電制御剤]
本発明において、トナー粒子は荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては、公知のものが使用できる。特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を直接重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
荷電制御剤として、トナー粒子を負荷電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
有機金属化合物及びキレート化合物として、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、又はエステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類なども含まれる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーンが挙げられる。
一方、トナー粒子を正荷電性に制御する荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩のようなによるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム-1-ヒドロキシ-4-ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
これら荷電制御剤は単独で或いは2種類以上組み合わせて含有することができる。これらの荷電制御剤の添加量としては、結着樹脂100.00質量部に対して、0.01質量部以上10.00質量部以下であることが好ましい。
〔外添剤〕
本発明のトナー粒子は、外添せずに本発明のトナーを構成することもできるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、いわゆる外添剤である流動化剤、クリーニング助剤などを添加して本発明のトナーを構成してもよい。
外添剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、光沢処理が行われていることが好ましい。外添剤のBET比表面積は、10m2/g以上450m2/g以下であることが好ましい。
BET比表面積は、BET法(好ましくはBET多点法)に従って、動的定圧法による低温ガス吸着法により求めることができる。例えば、比表面積測定装置(商品名:ジェミニ2375 Ver.5.0、(株)島津製作所製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて測定することにより、BET比表面積(m2/g)を算出することができる。
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー100.0質量部に対して0.05質量部以上5.0質量部以下、好ましくは0.1質量部以上3.0質量部以下とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
〔現像剤〕
本発明のトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
キャリアとしては、例えば鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、これらの中ではフェライト粒子を用いることが好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。
キャリアとしては、体積平均粒径が15μm以上100μm以下のものが好ましく、25μm以上80μm以下のものがより好ましい。
[トナー粒子の製造方法について]
本発明のトナー粒子の製造方法は公知の手段を用いることができ、混練粉砕法や湿式製造法を用いることができる。粒子径の均一化や形状制御性の観点からは湿式製造法を好ましく用いることができる。更に湿式製造法には懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化重合凝集法、乳化凝集法などを挙げることができる。
ここでは懸濁重合法について説明する。懸濁重合法においてはまず、結着樹脂を合成するための重合性単量体、着色剤およびサリチル酸系樹脂をボールミル、超音波分散機の如き分散機を用いてこれらを均一に溶解あるいは分散させた重合性単量体組成物を調製する(重合性単量体組成物の調製工程)。このとき、必要に応じて多官能性単量体や連鎖移動剤、また、離型剤としてのワックスや荷電制御剤、可塑剤などを適宜加えることができる。懸濁重合法における重合性単量体として、以下に示すビニル系重合性単量体が好適に例示できる。スチレン;α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチル、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン、p-フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、iso-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2-ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、n-ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、蟻酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン。
次に、上記重合性単量体組成物を予め用意しておいた水系媒体中に投入し、高せん断力を有する撹拌機や分散機により、重合性単量体組成物からなる液滴を所望のトナー粒子のサイズに形成する(造粒工程)。
造粒工程における水系媒体は分散安定剤を含有していることが、トナー粒子の粒径制御、粒度分布のシャープ化、製造過程におけるトナー粒子の合一を抑制するために好ましい。分散安定剤としては、一般的に立体障害による反発力を発現させる高分子と、静電気的な反発力で分散安定化を図る難水溶性無機化合物とに大別される。難水溶性無機化合物の微粒子は、酸やアルカリにより溶解するため、重合後に酸やアルカリで洗浄することにより溶解させて容易に除去することができるため、好適に用いられる。
難水溶性無機化合物の分散安定剤としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、リンのいずれかが含まれているものが好ましく用いられる。より好ましくは、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、リンのいずれかが含まれていることが望まれる。具体的には、以下のものが挙げられる。
リン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ヒドロキシアパタイド。
上記分散安定剤に有機系化合物、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンを併用しても構わない。これら分散安定剤は、重合性単量体100.00質量部に対して、0.01質量部以上2.00質量部以下使用することが好ましい。さらに、これら分散安定剤の微細化のため0.001質量%以上0.1質量%以下の界面活性剤を併用してもよい。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用できる。例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムが好ましく用いられる。
造粒工程の後、若しくは造粒工程を行いながら、一般的には50℃以上90℃以下の温度に設定して重合を行い、トナー粒子分散液を得る(重合工程)。
重合工程では処理液の温度がトナー粒子の定着性能に大きな影響を与えるため、一般的には容器内の温度分布が均一になる様に撹拌操作を行う。重合開始剤を添加する場合、任意の時期と所要時間で行うことができる。また、所望の分子量分布を得る目的で重合反応後半に昇温してもよく、さらに、未反応の重合性単量体、副生成物などを系外に除去するために反応後半、または反応終了後に、一部水系媒体を蒸留操作により留去してもよい。蒸留操作は常圧もしくは減圧下で行うことができる。
懸濁重合法において使用する重合開始剤としては、一般的に油溶性開始剤が用いられる。例えば、以下のものが挙げられる。
2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリルのようなアゾ化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert-ブチルヒドロパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシピバレート、クメンヒドロパーオキサイドのようなパーオキサイド系開始剤。
重合開始剤は必要に応じて水溶性開始剤を併用しても良く、以下のものが挙げられる。
過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄または過酸化水素。
これらの重合開始剤は単独あるいは併用して使用でき、重合性単量体の重合度を制御するために、連鎖移動剤、重合禁止剤等をさらに添加し用いることも可能である。
本発明におけるトナー粒子の粒径は、高精細かつ高解像の画像を得るという観点から重量平均粒径が3.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。トナーの重量平均粒径は細孔電気抵抗法により測定することができる。例えば「コールター・カウンター Multisizer 3」(ベックマン・コールター(株)製)用いて測定することができる。こうして得られたトナー粒子分散液は、トナー粒子と水系媒体を固液分離する濾過工程へと送られる。
得られたトナー粒子分散液からトナー粒子を得るための固液分離は、一般的な濾過方法で行うことができ、その後トナー粒子表面から除去しきれなかった異物を除去するため、リスラリーや洗浄水のかけ洗いなどによって更に洗浄を行うことが好ましい。十分な洗浄が行なわれた後に、再び固液分離してトナーケーキを得る。その後、公知の乾燥手段により乾燥され、必要であれば分級により所定外の粒径を有する粒子群を分離してトナー粒子を得る。このとき分離された所定外の粒径を有する粒子群は最終的な収率を向上させるために再利用しても良い。
以下、本発明に関係する各種測定方法を述べる。なお、トナーに有機微粉体又は無機微粉体が外添されている場合は、下記方法等によって、有機微粉体又は無機微粉体を除去したものを試料として用いる。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160.0gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50ml)に、上記ショ糖濃厚液を31.0gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れる。ここにトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。遠心分離用チューブをシェイカー(AS-1N アズワン株式会社より販売)にて300spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R 株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。
この操作により、トナー粒子と外添剤とが分離される。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラ等で採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、測定用試料を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。
<二粒子間力の測定方法>
トナーの二粒子間力は、ホソカワミクロン社製アグロボット(Aggrobot)を用い、該装置の説明書に従い測定する。
具体的な測定方法及び測定条件は、以下の通りである。
(試料条件)
粉体仕込質量:(磁性トナーの場合)9.2(g)、(非磁性トナーの場合)7.7(g)
バインダー質量:0(g)
粉体の真密度:トナーの真密度(kg/m3
液体バインダーの密度:0(kg/m3
粉体の体面積平均径:トナーの重量平均粒径(D4)(μm)
比表面積形状係数:6(-)
乾燥粉体の最小空間率:0.26(-)
(測定条件)
環境温度:25℃
湿度:50%
セル内径:25mm(図1(A)参照)
セル内高さ:37.5mm(図1(A)参照)
セル温度:25℃
バネ線径:1.0mm
圧縮速度:1.0mm/sec
圧縮保持時間:0.0sec
圧縮応力:8kg/cm2
引張速度:0.40mm/sec
引張サンプリング開始時間:0.0sec
引張サンプリング時間:25sec
(1)磁性トナーの場合
25℃/50%環境下において、図1(A)に記載の上下二分割の円筒セル内にトナー9.2gを充填する。その後、1.0mm/secで圧縮棒を下ろすことで、78.5Nの垂直荷重をかけて、トナーの圧密体を形成する。
その後、図2(B)に記載の通り、上部セルをバネで0.40mm/secの速度で持ち上げてトナーの圧密体を引っ張り、トナーの圧密体が破断されたときに得られる最大引張破断力から二粒子間力(nN)を測定する。
(2)非磁性トナーの場合
25℃/50%環境下において、図1(A)に記載の上下二分割の円筒セル内にトナー7.7gを充填する。その後、1.0mm/secで圧縮棒を下ろすことで、78.5Nの垂直荷重をかけて、トナーの圧密体を形成する。
その後、図1(B)に記載の通り、上部セルをバネで0.40mm/secの速度で持ち上げてトナーの圧密体を引っ張り、トナーの圧密体が破断されたときに得られる最大引張破断力から二粒子間力(nN)を測定する。
<表面電位分布の変動係数の算出方法>
トナー内の表面電位分布の変動係数は、ケルビンプローブフォース顕微鏡(KPFM)により測定した表面電位分布より算出した。
KPFMの装置及び観察条件は、下記の通りである。
使用装置:ブルカージャパン株式会社製 Dimension Icon AFM
プローブ:SCM-PtSi
測定モード:ピークフォースタッピング
電位フィードバック方式:FM方式
スキャンサイズ:2.0μm×2.0μm
スキャンレート:0.5Hz
解像度:256×256
セットポイント:10nN
常温常湿環境下(25℃/50%RH)において、トナー1.0gと磁性キャリアN-01(日本画像学会製)19.0gを50mLの蓋付きプラスチックボトルに投入し、24時間放置する。その後振とう器(YS-LD:(株)ヤヨイ製)で、1秒間に4往復のスピードで5分間振とうし、二成分現像剤を準備した。
二成分現像剤を薬包紙に散布し、薬包紙の裏面から磁石を当て、二成分現像剤を薬包紙に固定する。ステンレス製試料台にカーボンテープを張り付け、カーボンテープに二成分現像剤からトナーを転写することで、KPFM用の測定サンプルを作製した。
測定エリアはトナー粒子の曲率が最も小さくなる頂点付近で、スキャンサイズ2.0μm×2.0μmで測定を行う。
測定モードはトナーに小さな力で接触し、測定によってトナーの表面電位に影響を与えないピークフォースタッピングモード(プローブをサイン波で走査し、一定の触圧になるとプローブを引き離す測定モード)を用いた。前記測定モードにより、トナーの高分解能な表面電位分布を測定した。
KPFMにより、256×256の解像度の各点において表面電位を測定した。表面電位平均値は、256×256の解像度の各点の電位の平均することで算出した。表面電位分布の変動係数は上記測定点の各点の表面電位から得られる標準偏差を平均値の絶対値で割ることで算出した。
上記手順を、10個のトナーについて行い、それぞれの平均値を表面電位分布から得られるトナーの物性値とした。
<トナー中の有機ケイ素重合体量の測定>
トナー中の有機ケイ素重合体量を以下の方法で測定した。
有機ケイ素重合体量の測定は、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。尚、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中にトナー粒子4gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ2mm、直径39mmに成型したペレットを用いる。
有機ケイ素重合体を含まないトナー粒子100.0質量部に対して、有機ケイ素重合体の代わりにシリカ(SiO2)微粉末を0.5質量部となるように添加し、コーヒーミルを用いて充分混合する。同様にして、シリカ微粉末を5.0質量部、10.0質量部となるようにトナー粒子とそれぞれ混合し、これらを検量線用の試料とする。
それぞれの試料について、錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにして検量線用の試料のペレットを作製し、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=109.08°に観測されるSi-Kα線の計数率(単位:cps)を測定する。この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、24kV、100mAとする。得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のSiO2添加量を横軸として、一次関数の検量線を得る。
次に、分析対象のトナーを錠剤成型圧縮機を用いて上記のようにしてペレットとし、そのSi-Kα線の計数率を測定する。そして、上記の検量線からトナー中の有機ケイ素重合体量を求める。
<式(RaT3)で表わされる部分構造の確認方法>
本発明において、下記式(RaT3)で表わされる部分構造のうち、ケイ素原子に結合する炭化水素基のユニットについては、13C-NMR(固体)測定により確認した。以下に測定条件及び試料調製方法を示す。
a-SiO3/2 (RaT3)
(式中、Raは、炭素数が1以上6以下の炭化水素基、アリール基、又は下記式(i)あるいは式(ii)で表される構造を表す。
Figure 0007237523000004
(式(i)および(ii)において、*はRaT3構造中のSi元素との結合部位を表し、式(ii)におけるLは、アルキレン基またはアリーレン基を表す。)
13C-NMR(固体)の測定条件」
装置:JEOL RESONANCE製 JNM-ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:NMR測定用のトナー粒子のテトラヒドロフラン不溶分(調製方法は以下)150mg
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:123.25MHz(13C)
基準物質:アダマンタン(外部標準:29.5ppm)
試料回転数:20kHz
コンタクト時間:2ms
遅延時間:2s
積算回数:1024回
「試料調製方法」
測定試料の調製:トナー粒子10.0gを秤量し、円筒濾紙(東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてテトラヒドロフラン200mlを用いて20時間抽出し、円筒濾紙中のろ物を40℃で数時間真空乾燥して得られたものをNMR測定用のサンプルとする。
なお、本発明において、トナーに上記有機微粉体又は無機微粉体が外添されている場合は、下記方法によって、該有機微粉体又は無機微粉体を除去し、トナー粒子を得る。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブに上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れ分散液を作製する。この分散液にトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカーにて350spm(strokes per min)、20minで振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて3500rpm、30minの条件で分離する。この操作により、トナー粒子と外れた外添剤が分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラ等で採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、トナー粒子を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。
上記式(RaT3)において、Raが、上記式(i)表される部分構造の場合、ケイ素原子に結合しているメチン基(>CH-Si)に起因するシグナルの有無により、上記式(RaT3)で表される部分構造の存在を確認した。
上記式(RaT3)において、Raが、上記式(ii)表される部分構造の場合、ケイ素原子に結合しているメチレン基(Si-CH2-)、エチレン基(Si-C24-)などのアルキレン基または又はアリーレン基、例えばフェニレン基(Si-C64-)などに起因するシグナルの有無により、上記式(RaT3)で表されるユニットの存在を確認した。
上記式(RaT3)において、Raが、炭素数が1以上6以下の炭化水素基、アリール基で表される部分構造の場合、ケイ素原子に結合しているメチル基(Si-CH3)、エチル基(Si-C25)、プロピル基(Si-C37)、ブチル基(Si-C49)、ペンチル基(Si-C511)、ヘキシル基(Si-C613)またはアリール基、例えばフェニル基(Si-C65-)などに起因するシグナルの有無により、上記式(RaT3)で表されるユニットの存在を確認した。
<トナー粒子の表面の反射電子像の取得方法>
トナー粒子の表面の反射電子像は、走査電子顕微鏡(SEM)により取得した。SEMの装置及び観察条件は、下記の通りである。
使用装置:カールツァイスマイクロスコピー株式会社製 ULTRA PLUS
加速電圧:1.0kV
WD:2.0mm
Aperture Size:30.0μm
検出信号:EsB(エネルギー選択式反射電子)
EsB Grid:800V
観察倍率:50,000倍
コントラスト:63.0±5.0%(参考値)
ブライトネス:38.0±5.0%(参考値)
解像度:1024×768
前処理:トナー粒子をカーボンテープに散布(蒸着は行わない)
以下の手順に従って、コントラスト及びブライトネスを決定する。まず、輝度ヒストグラム上で二つの極大値P1、P2がそれぞれ可能な限り大きなピクセル数をもち、P1、P2の輝度ができるだけ離れるようにコントラストを設定する。次に、P1、P2を極大値とする二つのピークの裾が輝度ヒストグラム内に収まるように、ブライトネスを設定する。これらコントラストおよびブライトネスは、使用装置の状態に合わせ、前記手順に沿って適宜設定する。また、本発明の加速電圧及びEsB Gridは、トナー粒子の最表面の構造情報の取得、未蒸着試料のチャージアップ防止、エネルギーの高い反射電子の選択的検出、といった項目を達成するように設定する。観察視野は、トナー粒子の曲率が最も小さくなる頂点付近を選択する。
<P2が有機ケイ素重合体由来であることの確認方法>
P2が有機ケイ素重合体由来であることは、走査電子顕微鏡(SEM)で取得できるエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素マッピング像と、前記反射電子像を重ね合わせることで確認した。
SEM/EDSの装置及び観察条件は、下記の通りである。
使用装置(SEM):カールツァイスマイクロスコピー株式会社製 ULTRA PLUS
使用装置(EDS):サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製 NORAN System 7、Ultra Dry EDS Detecter
加速電圧:5.0kV
WD:7.0mm
Aperture Size:30.0μm
検出信号:SE2(二次電子)
観察倍率:50,000倍
モード:Spectral Imaging
前処理:トナー粒子をカーボンテープに散布し、白金スパッタ
本手法で取得したケイ素元素のマッピング像と、前記反射電子像を重ね合わせ、マッピング像のケイ素原子部と反射電子像の明部とが一致することを確認する。
<輝度ヒストグラムの取得方法>
輝度ヒストグラムは、上記手法で得られたトナー粒子の表面の反射電子像を、画像処理ソフトImageJ(開発元 Wayne Rashand)を用いて解析することで取得する。以下に手順を示す。
まずImageメニューのTypeから、解析対象の反射電子像を8-bitに変換する。次に、ProcessメニューのFiltersから、Median径を2.0ピクセルに設定し、画像ノイズを低減させる。反射電子像下部に表示されている観察条件表示部を除いた上で画像中心を見積もり、ツールバーの長方形ツール(Rectangle Tool)を用いて反射電子像の画像中心から1.5μm四方の範囲を選択する。
次に、AnalyzeメニューのHistgramを選択し、輝度ヒストグラムを新規ウインドウに表示させる。前記ウインドウのListから、輝度ヒストグラムの数値を取得する。必要に応じて、輝度ヒストグラムのフィッティングを行ってもよい。ここから、極大値P1、P2の輝度及びピクセル数、極小値Vの輝度Vl、並びにピクセル数A1、A2、及びAVを算出する。
上記手順を、評価対象のトナー粒子につき10視野について行い、それぞれの平均値を輝度ヒストグラムから得られるトナー粒子の物性値とした。
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行なった。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetra150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例10~15は参考例である。なお、実施例中及び比較例中の各材料の「部」は特に断りがない場合、全て質量基準である。
〔実施例1〕
(水系媒体1の調製工程)
反応容器中のイオン交換水390.0部に、リン酸ナトリウム(ラサ工業社製・12水和物)14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。
T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。さらに、水系媒体に10質量%塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体1を得た。
(重合性単量体組成物の調製工程)
・スチレン: 60.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3: 6.5部
前記材料をアトライター(三井三池化工機株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5.0時間分散させて、顔料分散液を調製した。
前記顔料分散液に下記材料を加えた。
・スチレン: 15.0部
・n-ブチルアクリレート: 25.0部
・ジビニルベンゼン(架橋剤): 0.3部
・飽和ポリエステル樹脂: 4.0部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(モル比10:12)、ガラス転移温度(Tg)=68℃、重量平均分子量(Mw)=10000、分子量分布(Mw/Mn)=5.12)
・フィッシャートロプシュワックス(融点78℃): 9.0部
これらを65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
(有機ケイ素化合物水溶液の調製工程)
撹拌機、温度計を備えた反応容器に、イオン交換水60.0部を秤量し、10質量%の塩酸を用いてpHを3.0に調整した。これを撹拌しながら加熱し、温度を70℃にした。
その後、メチルトリエトキシシラン40.0部を添加して2時間撹拌して表層用有機ケイ素化合物の加水分解を行った。加水分解の終点は目視にて油水が分離せず1層になったことで確認を行い、冷却して有機ケイ素化合物水溶液1を得た。
(造粒工程)
水系媒体1の温度を70℃、T.K.ホモミクサーの回転数を12000rpmに保ちながら、水系媒体1中に重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤であるt-ブチルパーオキシピバレート9.0部を添加した。そのまま該撹拌装置にて12000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
(重合工程)
造粒工程の後、撹拌機をプロペラ撹拌羽根に換え、150rpmで撹拌しながら70℃を保持して5.0時間重合を行い、95℃に昇温して2.0時間加熱することで重合反応を行って母体粒子のスラリーを得た。
その後、スラリーの温度を60℃に冷却してpHを測定したところ、pH=5.0だった。60℃で撹拌を継続したまま、表層用有機ケイ素化合物の加水分解液1を20.0部添加してトナーの表層形成を開始した。そのまま30分間保持した後に、水酸化ナトリウム水溶液を用いてスラリーを縮合完結用にpH=9.0に調整してさらに300分保持し、表層を形成させた。
(洗浄、乾燥工程)
重合工程終了後、得られたトナーのスラリーを冷却し、トナーのスラリーに塩酸を加えpH=1.5以下に調整して1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。
これをイオン交換水でリスラリーして再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離した。リスラリーと固液分離とを、ろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで繰り返した後に、最終的に固液分離してトナーケーキを得た。
得られたトナーケーキは気流乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業製)にて乾燥を行い、さらにコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットしてトナー粒子1を得た。
乾燥の条件は、吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナーケーキの供給速度はトナーケーキの含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。
本実施例においては、得られたトナー粒子1は外添剤を添加せずにそのままトナー1として用いた。
トナー1が、有機ケイ素重合体を含有する表層を有することを前述の方法により確認した。得られたトナー1の物性を表2に示す。トナー1の評価方法について以下に述べる。また、結果は表3に示す。
<レーザービームプリンタを用いたトナーの現像性評価>
市販のキヤノン製レーザービームプリンタ「LBP7600C」の改造機を用いた。
改造点は、評価機本体のギア及びソフトウェアを変更することにより、現像ローラーの回転数をドラムに対して2倍の周速で回転するように設定した。LBP7600Cのトナーカートリッジに、トナー40gを装填した。
(1)低温低湿環境下の評価(ベタ追従性、転写チリ、ハーフトーン再現性、現像スジ)
低温低湿環境下(15℃/10%RH)にて、LETTERサイズのBusiness4200用紙(XEROX社製、75g/m2)に全ベタ画像を5枚出力した。
さらに、太さ100μm(静電潜像での太さ)のラインによる1cm間隔の格子パターンを出力した。
さらに、ハーフトーンの画像を1枚出力した。
その後、印字率1%の画像を2000枚出力した。
その後、ハーフトーン画像1枚を出力した。
得られた全ベタ画像、格子パターン画像及びハーフトーン画像に対して、ベタ追従性、転写チリ、ハーフトーン再現性、現像スジの評価を行った。
なお、画像濃度の測定は、「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて付属の取扱説明書に沿って、画像濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定することによって行い、得られた相対濃度を画像濃度の値とした。
[評価基準]
(ベタ追従性)
全ベタ画像1枚目先端部の画像濃度と全ベタ画像3枚目後端部の画像濃度との差で評価した。
A:全ベタ画像1枚目先端部の画像濃度と全ベタ画像3枚目後端部の画像濃度との差が0.10未満
B:全ベタ画像1枚目先端部の画像濃度と全ベタ画像3枚目後端部の画像濃度との差が0.10以上0.20未満
C:全ベタ画像1枚目先端部の画像濃度と全ベタ画像3枚目後端部の画像濃度との差が0.20以上0.30未満
D:全ベタ画像1枚目先端部の画像濃度と全ベタ画像3枚目後端部の画像濃度との差が0.30以上0.40未満
E:全ベタ画像1枚目先端部の画像濃度と全ベタ画像3枚目後端部の画像濃度との差が0.40以上
(転写チリ)
格子パターン画像を倍率25倍のルーペを用いて観察し、前記転写チリ(文字や線画像の周辺にトナーが散る現象)について以下の基準に基づき評価した。
A:ラインが非常にシャープで、転写チリはほとんどない
B:わずかにトナーが飛び散っている程度で、ラインはシャープ
C:トナーの飛び散りがやや多いが、ラインは比較的シャープ
D:トナーの飛び散りが多く、ラインがぼんやりした形状になる
(ハーフトーン再現性)
ハーフトーン画像(ベタ白からベタ黒までを256階調に分割した際のベタ白画像から数えて49番目の階調)を目視にて観察し、前記画像のハーフトーン再現性について以下の基準に基づき評価した。
A:全くガサツキを感じなく、なめらかである。
B:ガサツキを余り感じない。
C:ややガサツキ感がある。
D:明らかなガサツキ感がある。
(現像スジ)
現像ローラー上とハーフトーン画像上に現れた縦スジの本数で評価した。
A:現像ローラー上にも、画像上にも排紙方向の縦スジは見られない。
B:現像ローラーの両端に周方向の細いスジが5本以下見られる。又は、画像上に排紙方向の縦スジがほんの少し見られる。しかし、画像処理で消せるレベル。
C:現像ローラーの両端に周方向の細いスジが6本以上20本以下見られる。又は画像上にも細かいスジが数本見られる。画像処理でも消せないレベル。
D:現像ローラー上と画像上に21本以上のスジが見られ、画像処理でも消せないレベル。
(2)高温高湿環境下の評価(ハーフトーン再現性)
高温高湿環境下(35℃/80%RH)にて、トナーを充填したプロセスカートリッジを3日間保管した。その後、LETTERサイズのBusiness4200用紙(XEROX社製、75g/m2)に全ベタ画像を5枚出力した。
その後、ハーフトーン画像を1枚出力し、(1)と同じ評価基準でハーフトーン再現性の評価を行った。
(3)常温常湿環境下の評価(低温定着性)
定着温度が調整できるよう改造したLBP7600Cを用いて、プロセススピ-ド300mm/secで、常温常湿環境下(25℃/50%RH)にて定着温度を140℃から5℃刻みで変更した。評価対象のトナーについて、トナー載量0.40mg/cm2のベタ画像をLETTERサイズのBusiness4200用紙(XEROX社製、75g/m2)に作像し、オイルレスで加熱加圧して、定着画像を形成した。キムワイプ(S-200、株式会社クレシア製)を用い、7.35kPa(75g/cm2)の荷重をかけて定着画像を10回こすり、こすり前後の画像濃度低下率が5%未満になる温度を定着温度とし、以下の基準に基づいて評価した。
画像濃度の測定には、カラー反射濃度計X-RITE 404A(X-Rite Co.製)を用い、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定し、摺擦後の画像濃度の低下率を算出した。
A:150℃未満
B:150℃以上160℃未満
C:160℃以上170℃未満
D:170℃以上
〔実施例2、3、13、14〕
実施例1で作製されたトナー粒子1に対して、表1のように外添を行い、トナー2、3、13及び14を作製した。外添の方法は、トナー粒子100.0部に対し、表1に記載の部数の外添剤を、三井ヘンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社)を用い、3000rpmで15分間混合してトナーを得た。
表1中の酸化チタン微粒子には、3、3、3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(6質量%)、イソブチルトリメトキシシラン(6質量%)で処理され、BET比表面積:34m2/gのものを用いた。
また表1中のハイドロタルサイト微粒子には、共和化学工業(株)製のDHT-4Aを用いた。
得られたトナーの物性を表2に、評価結果を表3に示す。
〔実施例4~12、15〕
実施例1において、「有機ケイ素化合物水溶液の調整工程」で使用した有機ケイ素化合物の種類、及び、「重合工程」における有機ケイ素化合物水溶液1の添加部数を、表1のように変更した。上記以外は、実施例1と同様の方法でトナー4~12及びトナー15を作製した。
得られたトナーが、有機ケイ素重合体を含有する表層を有することを前述の方法により確認した。トナーの物性を表2に、評価結果を表3に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、「有機ケイ素化合物水溶液の調整工程」を実施しなかった代わりに、有機ケイ素化合物のメチルトリエトキシシラン15部をモノマーのまま「重合性単量体組成物の調製工程」で添加した。
また、「重合工程」では、母体粒子のスラリーを得た後に有機ケイ素化合物水溶液の添加を行わず、pH調整とその後の保持のみを実施した。
上記以外は実施例1と同様の方法でトナー粒子16を作製した。得られたトナー粒子16は外添せずにそのままトナー16として用いた。
得られたトナーが、有機ケイ素重合体を含有する表層を有することを前述の方法により確認した。得られたトナーの物性を表2に、評価結果を表3に示す。
〔比較例2〕
実施例1において、「有機ケイ素化合物水溶液の調整工程を実施しなかった代わりに、有機ケイ素化合物のメチルトリエトキシシラン8部をモノマーのまま「重合性単量体組成物の調製工程」で添加した。
また、「重合工程」では、母体粒子のスラリーを得た後に有機ケイ素化合物水溶液の添加を行わず、pH調整とその後の保持のみを実施した。
上記以外は実施例1と同様の方法でトナー粒子17を作製した。得られたトナー粒子17は外添せずにそのままトナー17として用いた。
得られたトナーが、有機ケイ素重合体を含有する表層を有することを前述の方法により確認した。得られたトナーの物性を表2に、評価結果を表3に示す。
〔比較例3〕
実施例1において、「有機ケイ素化合物水溶液の調整工程」を実施しなかった代わりに、有機ケイ素化合物のメチルトリエトキシシラン4部をモノマーのまま「重合性単量体組成物の調製工程」で添加した。
また、「重合工程」では、母体粒子のスラリーを得た後に有機ケイ素化合物水溶液の添加を行わず、pH調整とその後の保持のみを実施した。
上記以外は実施例1と同様の方法でトナー粒子18を作製した。得られたトナー粒子18は外添せずにそのままトナー18として用いた。
得られたトナーが、有機ケイ素重合体を含有する表層を有することを前述の方法により確認した。得られたトナーの物性を表2に、評価結果を表3に示す。
〔比較例4~6〕
比較例1で作製されたトナー粒子16に対して、表2のように外添を行い、トナー19~21を作製した。外添の方法は、トナー粒子100.0部に対し、表1に記載の部数の外添剤を、三井ヘンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社)を用い、3000rpmで15分間混合してトナーを得た。
表2中の疎水性シリカ微粒子には、シリコーンオイル(20質量%)で処理され、BET比表面積:170m2/gのものを用いた。
得られたトナーの物性を表2に、評価結果を表3に示す。
〔比較例7、8〕
実施例1において、「有機ケイ素化合物水溶液の調整工程」を実施しなかった。
また、「重合工程」では、母体粒子のスラリーを得た後に有機ケイ素化合物水溶液の添加を行わず、pH調整とその後の保持のみを実施した。上記以外は実施例1と同様の方法でトナー粒子22を作製した。
得られたトナー粒子に対し、表1のように外添を行い、トナー22、23を作製した。外添の方法は、トナー粒子100.0部に対し、表2に記載の部数の外添剤を、三井ヘンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社)を用い、3000rpmで15分間混合してトナーを得た。得られたトナーの物性を表2に、評価結果を表3に示す。
Figure 0007237523000005
Figure 0007237523000006
Figure 0007237523000007

Claims (6)

  1. 着色剤、および結着樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記トナー粒子は、有機ケイ素重合体を含有する表層を有し、
    78.5Nの荷重で前記トナーを圧縮して形成したトナーの圧密体を測定した際の二粒子間力が3.3nN以上14.8nN以下であり、
    走査プローブ顕微鏡で測定される前記トナーの表面電位分布において、前記表面電位分布の変動係数が33%以下であることを特徴とするトナー。
  2. 前記トナーは、表面電位分布の平均値の絶対値が1.0V以上15.0V以下である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナーは、二粒子間力が4.8nN以上5.4nN以下であり、表面電位分布の変動係数が18%以上20%以下である請求項1に記載のトナー。
  4. 前記トナーは、表面電位分布の平均値の絶対値が2.5V以上2.8V以下である請求項に記載のトナー。
  5. 前記トナー粒子中、前記有機ケイ素重合体の含有量が、0.5質量%以上5.0質量%以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記有機ケイ素重合体が、下記式(RaT3)で表される部分構造を有する重合体である請求項に記載のトナー。
    a-SiO3/2 (RaT3)
    (式中、Raは、炭素数が1以上6以下の炭化水素基、アリール基、又は下記式(i)あるいは式(ii)で表される構造を表す。
    Figure 0007237523000008
    式(i)および(ii)において、*はRaT3構造中のSi元素との結合部位を表し、式(ii)におけるLは、アルキレン基またはアリーレン基を表す。)
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