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JP7226054B2 - 乗物用シート - Google Patents

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Description

本発明は、シートの外観を構成するシートカバーが、第一表皮ピースと、第二表皮ピースと、第一表皮ピースと第二表皮ピースの縁同士を掛着する線ファスナとを備えている乗物用シートに関する。
この種のシートカバーは、典型的に複数の表皮ピースで構成され、隣り合う表皮ピースの縁同士は、縫合されて一体化されていたり、線ファスナで着脱可能に掛着されていたりする。例えば背凭れとなるシートバックでは、袋状のシートカバーが、シート側面となるカマチ面側の表皮ピースと、背裏面側の表皮ピースとを有し、シートフレームやシートパッドなどの内部部材を被覆している。そしてこれら表皮ピースの縁同士は、シートカバー配設時の利便性等を考慮して、上下に延びる線ファスナによって着脱可能に掛着されていることがある。すなわちシートカバーの配設作業に際しては、線ファスナを開き状態として両表皮ピースの間を拡開しておくことで、シートカバーを、シートバックの内部部材にスムーズに被せていくことができる。そして被覆作業後のシートカバーを再び袋状とすべく、線ファスナを下側の末端部まで閉じて両表皮ピースの縁同士を掛着しておく。
ここで掛着後の線ファスナの末端部は、シートの見栄えを確保する観点等から、そのままの状態で外部に露出させておかない方がよいといえる。例えば特許文献1に開示の自動車用のシートバックは、本発明のシートカバーに相当するシート表皮と、本発明の線ファスナに相当するスライドファスナとを有している。そしてシート表皮は、隣り合う一対の表皮ピースを有し、一対の表皮ピースの間にスライドファスナが配設されている。このスライドファスナは、一方の表皮ピースの縁に縫合された布テープと、他方の表皮ピースの縁に縫合された別の布テープと、両布テープを掛着するスライダーとを有している。そして公知技術では、各布テープが末端近くまで対応する表皮ピースに縫合されることで、シート表皮に対するスライドファスナの位置決め性が確保されている。さらに筒状とされた布製の収納部が布テープの末端に取付けられており、この収納部内に、掛着後のスライドファスナの末端部を収納しておく。すなわちスライダーを末端部までスライドさせてスライドファスナを閉じたのち、掛着後のスライドファスナの末端部を外部に露出しないように収納部内に収納することで、シートの見栄えの悪化をある程度回避することができる。
特許第5477641号明細書
ところで公知技術では、収納部自体が外部に露出して、掛着後のスライドファスナ(線ファスナ)の末端部の位置がわかってしまうため、シートの優れた見栄えを維持するにはやや不向きの構成であった。もっとも掛着後の線ファスナを折り曲げて、その末端部を、例えばカマチ面側の表皮ピースの裏側に差し込んで収納しておくこともできる。しかしこのような構成では、末端部の差し込みによって表皮ピースが変形等して位置ずれが生じることがあり、このような事態はシートカバーの見栄えを維持する観点から好ましくない。例えば背裏面側の表皮ピースが末端部に追従して凹むように変形することで、シートカバーに皺が生じたり、カマチ面側の表皮ピースとの合わせ箇所に隙(三角隙等)が生じたりすることがある。そして両表皮ピースの間に隙が生じた場合、この隙からシート内部の構造が露出するおそれがあり、またシートを着座面側から見た際に上述の隙から意図しない光漏れが発生することも懸念される。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、線ファスナの位置決め性を確保しつつ、掛着後の線ファスナの末端部を、シートカバーの裏側により見栄え良く収納しておくことにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の乗物用シートは、シートの外観を構成するシートカバーが、第一表皮ピースと、第一表皮ピースに隣り合って配置される第二表皮ピースと、第一表皮ピースと第二表皮ピースの縁同士を掛着する線ファスナとを備えている。そして第一表皮ピースと第二表皮ピースの縁同士は、線ファスナが末端部まで閉じられることで掛着状態となるとともに、掛着後の線ファスナの末端部を、第一表皮ピースと第二表皮ピースのいずれかの裏側に差込んで収納可能である。この種の構成では、線ファスナの位置決め性を確保しつつ、掛着後の線ファスナの末端部を、シートカバーの裏側により見栄え良く収納しておくことが望まれる。
そこで本発明の乗物用シートでは、第一表皮ピースの裏面に、面状に展開した当て材が配置されているとともに、第一表皮ピースと当て材の一部とを固定しているカバー側固定部と、線ファスナの末端部と当て材だけを固定しているファスナ側固定部とが設けられている。そして一部を除く当て材部分は、第一表皮ピースに対して相対移動して掛着後の線ファスナの末端部に追従可能とされている。本発明の線ファスナの末端部には、ファスナ側固定部によって当て材だけが固定されており、第一表皮ピースは固定されていない状態となっている。このため掛着後の線ファスナの末端部を収納する際には、第一表皮ピースを、末端部の差し込みに極力追従させることなく所定の位置で維持しておくことができ、シートカバーの優れた見栄えの確保に資する構成となっている。そして本発明では、第一表皮ピースの裏側にカバー側固定部にて当て材の一部が固定された状態で、この当て材に、ファスナ側固定部にて線ファスナの末端部が固定されている。このため掛着前の線ファスナを、第一表皮ピースに固定されていない状態においても、当て材を介して第一表皮ピースの適宜の位置に位置決めして配置しておくことができる。
第2発明の乗物用シートは、第1発明の乗物用シートにおいて、当て材は、第一表皮ピースの裏面に沿うように面方向に展開して、第一表皮ピースと、第一表皮ピースで被覆されているシート内の内部部材とに挟み込まれた状態となっている。本発明では、展開状態の当て材を第一表皮ピースと内部部材で挟み込んでおくことで、線ファスナを、当て材を介してより安定的に位置決めして配置しておくことができる。
第3発明の乗物用シートは、第2発明の乗物用シートにおいて、シート骨格をなすシートフレームを内部部材として有しているとともに、シートフレームの乗物床面側の縁部には、乗物床面への締結用の締結孔が設けられている。そして線ファスナの末端部は、乗物床面側に配置されているとともに、カバー側固定部は、締結孔よりも乗物床面から離れた位置に設けられている。本発明では、掛着後の線ファスナの末端部を、締結孔を目印として、対応する表皮ピースの裏側に差込みつつ収納しておくことができる。このときカバー側固定部を、締結孔よりも乗物床面から離れた位置に設けたことで、このカバー側固定部にて線ファスナに固定されている第一表皮ピース部分が末端部の差し込みに追従するといった事態をより確実に回避することができる。
第4発明の乗物用シートは、第1発明~第3発明のいずれかの乗物用シートにおいて、カバー側固定部とファスナ側固定部とは、線ファスナの延びる方向に隣接して設けられているとともに、当て材は、カバー側固定部によって、末端部に隣接する線ファスナ部分と、線ファスナ部分に重ねて配置された第一表皮ピース部分とに固定されている。本発明では、ファスナ側固定部とカバー側固定部とを線ファスナの延びる方向に並べて設け、さらに当て材を、カバー側固定部によって線ファスナと第一表皮ピースの双方に固定している。こうすることで線ファスナを、当て材を介してさらに確実に位置決めして配置しておくことが可能となる。
第5発明の乗物用シートは、第1発明~第4発明のいずれかの乗物用シートにおいて、当て材は、末端部側に配置されている縁部の長さ寸法が反対の縁部よりも大きくなっている。本発明では、相対的に大寸な末端部側の縁部を持ち手として、当て材を適切に面状に展開させておくことが可能となる。
第6発明の乗物用シートは、第1発明~第5発明のいずれかの乗物用シートにおいて、当て材は、第一表皮ピースよりも薄い面材で構成されている。本発明では、第一表皮ピースの裏側に配置する当て材が相対的に薄いため、この当て材が原因となって第一表皮ピースに不自然な凹凸が生じることを極力回避することができる。
第7発明の乗物用シートは、第1発明~第6発明の乗物用シートにおいて、第一表皮ピースと第二表皮ピースとが互いに異なる外観を有しているとともに、当て材は、第二表皮ピースではなく第一表皮ピースに似通った外観を有している。本発明では、第一表皮ピースと当て材が似通った外観を有しているため、これら両部材によって、シート内の内部部材をより見栄え良く覆っておくことが可能となる。
本発明に係る第1発明によれば、線ファスナの位置決め性を確保しつつ、掛着後の線ファスナの末端部を、シートカバーの裏側により見栄え良く収納しておくことができる。また第2発明によれば、線ファスナの末端部を、より安定的に位置決めしておくことができる。また第3発明によれば、掛着後の線ファスナの末端部を、シートカバーの裏側により確実に見栄え良く収納しておくことができる。また第4発明によれば、線ファスナの末端部を、更に安定的に位置決めしておくことができる。また第5発明によれば、当て材の適切な配置状態を確保しつつ、掛着後の線ファスナの末端部を、シートカバーの裏側により見栄え良く収納しておくことができる。また第6発明によれば、掛着後の線ファスナの末端部を、シートカバーの裏側により適切に見栄え良く収納しておくことができる。そして第7発明によれば、掛着後の線ファスナの末端部を、シートカバーの裏側に更に適切に見栄え良く収納しておくことができる。
乗物用シートの斜視図である。 各シートバックを着座側から見た斜視図である。 各シートバックを背裏面側から見た裏面図である。 収納時の線ファスナを示す右側シートバックの拡大斜視図である。 各シートバック下部の各部材の配置関係を示す概略裏面図である。 右側シートバックの各表皮ピースと線ファスナの展開図である。 第一表皮ピース形成時の各部材の斜視図である。 第一表皮ピース形成後の各部材の透視裏面図である。 第二表皮ピース形成後の各部材の裏面図である。 左側シートバックの各表皮ピースと線ファスナの展開図である。 シートバック形成後の各部材の配置関係を示す概略拡大裏面図である。 掛着後の線ファスナを示す右側シートバックの拡大斜視図である。 図5のXIII-XIII線における各シートバックの断面図である。 図5のXIV-XIV線における各シートバックの断面図である。 図5のXV-XV線における各シートバックの断面図である。 図15に相当する位置の右側シートバックの拡大断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1~図16を参照して説明する。各図には、便宜上、乗物用シートの前後方向と左右方向と上下方向を示す矢線を適宜図示する。なお図1に示す左右のシートバック(6,7)は、ほとんど隙のないように隣り合って配設されるが、図5及び図13~図15では、便宜上、左右のシートバック(6,7)を離間させて図示している。
図1に示す乗物用シート2は、複数の乗員が着座可能なシートであり、シートクッション4と、複数人用の右側シートバック6と、一人用の左側シートバック7とを有している。ここでシートクッション4は、乗員の座部となる部材であり、左右一対のシートバック6,7を網羅するようにシート幅方向に長尺とされている。また後述する左右一対のシートバック6,7は、図2に示すようにシート幅方向である左右方向に隣り合った状態(隙Cがほとんどない状態)で、シートクッション4の後方に配置されている。そして右側に配置されている右側シートバック6はシート幅方向に長尺とされており、左側に配置されている左側シートバック7はシート幅方向に短尺とされている。なお右側シートバック6の右方は通常のシートバック部分であるが、左方には、アームレスト6Cが起倒可能な状態で配設されている。このアームレスト6Cは、起立させておくことで通常のシートバック部分として使用することができ、シートクッション4に向けて倒すことで肘掛けとして使用することもできる。
[シートバック]
図1~図3に示す左右一対のシートバック6,7は、いずれも乗員の背凭れとなる部材であり、左右の寸法が異なる以外は概ね同一の基本構成を有している。例えば図2に示す右側シートバック6は、基本構成として、シート骨格をなすシートフレーム6Fと、シート外形をなして乗員を弾性的に支持するシートパッド6Pと、シートの外観を構成するシートカバー6Sを有している。そしてシートカバー6Sは、後述するように複数の表皮ピースで構成されており、図3及び図4に示す特定の表皮ピース(SP1,SP2)の縁同士は、後述する線ファスナ10で着脱可能に掛着されている。また図2に示す左側シートバック7も、別のシートフレーム7Fと、別のシートパッド7Pと、別のシートカバー7Sとを有している。そして別のシートカバー7Sも、図3に示す特定の表皮ピース(SP11,SP12)が別の線ファスナ100で掛着されている。
そして右側シートバック6では、図3及び図4を参照して、後述するシートカバー6Sの被覆作業後に、線ファスナ10を末端部10Eまで閉じ状態として、特定の表皮ピース(SP1,SP2)の縁同士を掛着しておく。この掛着後の線ファスナ10の末端部10Eは、シートの見栄え等を考慮して、シートカバー6Sの裏側に差し込まれて収納される。また同様に図3に示す左側シートバック7においても、掛着後の別の線ファスナ100の末端部(図示省略)が、別のシートカバー7Sの裏側に差し込まれて収納される。この種の構成では、線ファスナ10等の位置決め性を確保しつつ、掛着後の線ファスナ10等の末端部10Eを、シートカバー6S等の裏側により見栄え良く収納しておくことが望まれる。そこで本実施例では、後述する構成(当て材20等)によって、線ファスナ10等の位置決め性を確保しつつ、掛着後の線ファスナ10等の末端部10Eを、シートカバー6S等の裏側により見栄え良く収納しておくこととした。ここで右側シートバック6と左側シートバック7とは、概ね同一の基本構成を有しているため、以下に、専ら右側シートバック6を一例にその詳細を説明する。
[シートパッド、シートフレーム(内部部材)]
ここでシートパッド6Pは、図13等を参照して、シート外形をなす正面視で略矩形の部材であり、例えばポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3~60kg/m3)等の発泡樹脂で形成できる。またシートフレーム6Fは、典型的にパイプ状又は板状の部材であり、剛性に優れる金属や硬質樹脂などの素材にて形成できる。このシートフレーム6Fは、シートパッド6Pを背裏側(各図の後側)から支持した状態で、後述するシートカバー6Sに被覆される。そして図3及び図5を参照して、シートフレーム6Fの乗物床面側である下縁側には、乗物床面FS(ブラケットBR)への締結用の締結孔6FHが設けられている。すなわちシートフレーム6Fは、締結孔6FHに挿通された締結具(図示省略)を介して、乗物床面FSに配設されたブラケットBRに締結固定されている。そして右側シートバック6は、シートフレーム6Fの左右の下端部に丸穴形状の締結孔6FH(貫通孔)がそれぞれ設けられることで、左右のブラケットBRに締結固定しておくことができる(図5では、便宜上、シートフレームの一部と左側の締結孔のみ図示する)。そして本実施例では、シートフレーム6Fが、本発明のシート内の内部部材に相当し、後述するシートカバー6Sによって被覆されることとなる。
[シートカバー]
また図2~図4及び図13に示す右側シートバック6のシートカバー6Sは、複数の表皮ピースで形成されているとともに、後述の線ファスナ10と当て材20とを有している(各図では、便宜上、特定の表皮ピースに特定の符号SP1,SP2を付し、その他の表皮ピースに共通の符号SPを付す)。そしてシートカバー6Sは、下方が解放された袋状に形成されており、後述するようにシートパッド6P及びシートフレーム6Fに上側から被せることができる。なおシートカバー6Sの下縁には、断面J字状のJフック(図示省略)が取付けられており、このJフックを介してシートフレーム6F等に係止しておくことができる。
[第一表皮ピース・第二表皮ピース]
そしてシートカバー6Sには、図3及び図4に示すように、シートの背裏面6A側の第一表皮ピースSP1と、シートの左側面(左カマチ面6B)の第二表皮ピースSP2とが隣り合って配置されている。第一表皮ピースSP1は、右側シートバック6の背裏面6Aに倣った概ね左右に長尺な矩形状に形成されており、その裏側には、後述する当て材20が配置されている。この第一表皮ピースSP1の左縁E1は、図5を参照して、概ね上下に直線的に延びているが、左縁E1の下端側には、右方に向けて段差状に凹んでいる折り返し部位6SSが形成される。この折り返し部位6SSは、図6及び図7を参照して、左縁E1下部に設けられて左方に突出する部分(X)を、内折りして第一表皮ピースSP1の裏側に縫合線SEWにて縫合しておくことで形成されている。このため折り返し部位6SSで構成された左縁E1部分は、その他の部分よりも厚みが増して剛性が高められており、仕上がり性良く上下に直線的に配置されることとなる。また図4及び図6に示す第二表皮ピースSP2は、左カマチ面6Bに倣って上下に長尺な概ね矩形状に形成されているとともに、その上端部と下端部とは相対的に幅広とされて前方に突出している。そして第二表皮ピースSP2の上端部と下端部の間の部分は幅狭とされて相対的に後方に凹み状とされており、この凹み状の部分には、図2に示すアームレスト6Cが配置される。
[各表皮ピースの素材(外観)]
ここで図6に示す各表皮ピース(SP1,SP2等)の素材は特に限定しないが、シートの外観を構成可能な布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)などの表材で形成できる。また表材の裏側には、パッド材(ウレタンラミ等)や裏基布などの裏材を適宜一体化しておくことも可能である。なお図7を参照して、各表皮ピース(SP1等)の厚み寸法T1は、典型的に表材と裏材の合計厚みで規定することができ、裏材を省略する場合には表材の厚みのみで規定することができる。そして第一表皮ピースSP1(表材)と第二表皮ピースSP2(表材)は、概ね同一の外観を有していてもよく、互いに異なった外観を有していてもよい。これら両表皮ピース(SP1,SP2)の外観の違いは、典型的に色の三要素(色相,明度,彩度)の少なくとも一つで判別することができ、とりわけ色相(色の種類)にて判別することが望ましい。例えば本実施例では、図4に示す第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2とが異なる外観を呈するように異なる色相の素材で形成されている。すなわち第一表皮ピースSP1は、背裏面6A側に配置される関係から黒色系の着色がなされている。また第二表皮ピースSP2は、相対的に明るい色(例えば白色系)に着色されており、第一表皮ピースSP1との違いが目視にて判別できる状態となっている。
[線ファスナ]
そして図2に示すシートカバー6Sでは、図4~図6を参照して、第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2とが線ファスナ10で掛着可能とされ、その他の表皮ピースは縫合により一体化される(線ファスナの取付け手法は後述)。この線ファスナ10は、図4及び図6を参照して、第一表皮ピースSP1の左縁E1に取付けられる第一ファスナ片11と、第二表皮ピースSP2の後縁E2に取付けられる第二ファスナ片12と、スライダー13とを有している。第一ファスナ片11と第二ファスナ片12とは、上下方向に長尺な帯状の部材である。これら各ファスナ片11,12の内縁側ISは、対応する表皮ピースに縫合され、各ファスナ片11,12の向かい合う外縁側OSには、互いに噛合い可能な噛合歯がそれぞれ設けられている。またスライダー13は、両ファスナ片11,12の間に取付けられている板片であり、両ファスナ片11,12の噛合い歯同士を噛合わせながら上から下にスライド移動することができる。そして後述するシートカバー6Sの被覆作業においては、スライダー13を上方に引き上げてファスナ片11,12同士を非掛着状態とすることにより、線ファスナ10を開き状態としておく。またシートカバー6Sの縫合後には、スライダー13を下方に引き下げてファスナ片11,12同士を掛着状態とすることにより、線ファスナ10を閉じ状態としておく。そして閉じ状態の線ファスナ10では、線ファスナ10の下端側にスライダー13が位置し、このスライダー13の位置された部分が末端部10E(詳細後述)となって、第二表皮ピースSP2の裏側に収納可能に配置される。
[当て材]
図3~図6に示す当て材20は、第一表皮ピースSP1の左下側に配置されている面材であり、第一表皮ピースSP1の裏面に沿うように面状に展開している。この当て材20は、図6に示す面状に展開された状態において、右角が切欠かれた矩形状に形成されており、この切欠かれた部分は、右方に向かうにつれて次第に下方に傾斜する傾斜縁部20eとなっている。そして当て材20の傾斜縁部20eを除く周縁は、左端の左縁部20aと、右端の右縁部20bと、上端の上縁部20cと、下端の下縁部20dとで形成されている。左縁部20aは、第一表皮ピースSP1の左縁E1に沿うように上下に延びる縁であり、同じく上下に延びる右縁部20bに比して長尺とされている。また上縁部20cは、左縁部20aの上端から左方に延びる縁であり、下縁部20dは、左縁部20aの下縁から左方に延びる縁である。また傾斜縁部20eは、上縁部20cと右縁部20bとの間に形成されており、この傾斜縁部20eによって上縁部20cの右側が切欠かれた状態となっている。そして下縁部20dは、後述する被覆後において線ファスナ10の末端部10E側に配置される縁であり、右側が切欠かれている上縁部20cよりも左右方向の長さ寸法が大きくなっている。すなわち本実施例では、下縁部20dが、本発明の末端部側に配置されている縁部に相当し、上縁部20cが、本発明の反対側の縁部に相当する。
[当て材の素材(外観と厚み寸法)]
ここで当て材20の素材として、適度な剛性と可撓性を備えた素材を用いることができ、この種の素材として、シートカバー6Sで例示の素材を用いることができる。そして当て材20の外観は、図4を参照して、第二表皮ピースSP2(表材)ではなく第一表皮ピースSP1(表材)に似通っていることが望ましい。ここで外観が似通っているとは、色相(色の種類)が同系統であることを意味し、彩度や明度は異なっていてもよい。例えば本実施例の当て材20は、第一表皮ピースSP1と同様の外観を有する黒色系に着色されており、第一表皮ピースSP1の外観と似通っていることが目視で確認できる。また図7を参照して、当て材20の厚み寸法T2は、第一表皮ピースSP1の厚み寸法T1よりも小さいことが望ましく、本実施例では第一表皮ピースSP1よりも薄手の面材で構成されている。なお当て材20の厚み寸法T2は、第一表皮ピースSP1が表材と裏材とで構成されている場合には、表材と裏材の合計厚みよりも小さくなるように設定することができる。また当て材20の厚み寸法T2は、第一表皮ピースSP1が表材のみで構成されている場合には、この表材よりも小さくなるように設定することができる。
[第一ファスナ片と当て材の取付け作業]
線ファスナ10の取付け作業においては、図6に示す第一ファスナ片11を、図7及び図8に示すように第一表皮ピースSP1の表側にあてがっておく(図8では、便宜上、各部材の左右の位置を若干ずらして図示する)。このとき第一ファスナ片11は、第一表皮ピースSP1の表側から左縁E1側に重複(ラップ)しつつ、第一表皮ピースSP1の上部から折り返し部位6SSに向けて配置される。そして第一ファスナ片11の下部は、凹んでいる折り返し部位6SSから下方では第一表皮ピースSP1の左縁E1側にラップしていない状態となり、さらに第一表皮ピースSP1の下縁から若干突出して配置される。また同時に、展開状態の当て材20を第一表皮ピースSP1の裏側にあてがっておく。このとき当て材20の左縁部20aを、第一表皮ピースSP1の裏側から左縁E1に位置合わせしつつ、当て材20の上部を、折り返し部位6SSよりも上側の第一表皮ピースSP1部分に重複させておく。この当て材20の左縁部20aの下部は、凹み状の折り返し部位6SSから下方においては第一表皮ピースSP1とはラップせず、第一ファスナ片11と直接重複した状態で配置される。こうして本実施例では、図8に示す折り返し部位6SSの上方で、第一表皮ピースSP1と第一ファスナ片11と当て材20とがラップした三枚重ねの部分が形成される。また折り返し部位6SSの下方では、第一ファスナ片11と当て材20が直接ラップした二枚重ねの部分が形成される。
[カバー側固定部の形成]
そこで図8を参照して、第一ファスナ片11を、第一縫合線SEW1によって、上から下に向けて第一表皮ピースSP1の左縁E1側に縫合していく。このとき本実施例では、折り返し部位6SSの上方に、第一表皮ピースSP1と第一ファスナ片11と当て材20とがラップした三枚重ねの部分が形成されている。このため三枚重ねの部分を縫合する第一縫合線SEW1によって、第一表皮ピースSP1に対して当て材20の左縁部20a上部(一部)を固定しているカバー側固定部31が形成される。そしてカバー側固定部31は、線ファスナ10の延びる上下方向を向いた状態で、折り返し部位6SSの上側に形成されることとなる。本実施例では、三枚重ね部分を形成する第一ファスナ片11が、本発明の末端部に隣接する線ファスナ部分に相当し、三枚重ね部分を形成する第一表皮ピースSP1が、本発明の線ファスナ部分に重ねて配置された第一表皮ピース部分に相当する。
[ファスナ側固定部の形成]
つづいて第一縫合線SEW1を、図8に示すように第一表皮ピースSP1の折り返し部位6SSから下方に配置されている第一ファスナ片11部分に形成していく。そして折り返し部位6SSから下方の部分では、第一ファスナ片11と当て材20が直接ラップした二枚重ねの部分が形成されている。このため二枚重ねの部分を縫合する第一縫合線SEW1によって、第一ファスナ片11と当て材20の下部だけを固定しているファスナ側固定部32が形成されることとなる。こうしてファスナ側固定部32が、線ファスナ10の延びる上下方向を向いた状態で形成され、カバー側固定部31の下方に隣接して配置された状態となる。また第一ファスナ片11の下部は、折り返し部位6SSから下方に配置されることで第一表皮ピースSP1に固定されていない状態となり、線ファスナ10の末端部10Eの一部を形成する箇所となる。そして本実施例では、ファスナ側固定部32とカバー側固定部31とを線ファスナ10の延びる上下方向に並べて設け、さらに当て材20を、カバー側固定部31によって第一ファスナ片11と第一表皮ピースSP1の双方に固定している。こうすることで第一ファスナ片11の下部を、第一表皮ピースSP1に直接固定しなくとも、当て材20を介して第一表皮ピースSP1に対して位置決めして配置しておくことが可能となる。
[第二ファスナ片の取付け作業]
また上述の作業に前後して、図9に示すように、第二表皮ピースSP2の表側に線ファスナ10の第二ファスナ片12を第二縫合線SEW2にて縫合して、第一ファスナ片11と平行となるように配置しておく。このとき第二ファスナ片12は、第二表皮ピースSP2の表側から後縁E2側に重複(ラップ)しつつ、第二表皮ピースSP2の上部から下方に延長し、さらに第一表皮ピースSP1の下縁から若干突出して配置される。この状態で第二ファスナ片12を、第二縫合線SEW2によって、上から下に向けて第二表皮ピースSP2の後縁E2側に縫合し、第二表皮ピースSP2の下端まで縫合していく。そして第二ファスナ片12の下部は、後述する線ファスナ10の末端部10Eの他部を形成する箇所となっており、第一ファスナ片11の下部に掛着可能な位置に配置される。
[左側シートバック]
また図3に示す左側シートバック7は、背裏面7A側の別の第一表皮ピースSP11と、右カマチ面7B側の別の第二表皮ピースSP12と、別の線ファスナ100と、別の当て材200とを有している。これら各別の表皮ピースSP1,SP2と別の線ファスナ100と別の当て材200とは、右側シートバック6の対応する部材と概ね同一の基本構成を有している。そして左側シートバック7においても、右側シートバック6と左右対称となるように、図10に示す別の第一表皮ピースSP11に別の第一ファスナ片111と別の当て材200を固定することができる。すなわち左側シートバック7においても、別の折り返し部位7SSの上方に、別の第一表皮ピースSP11と別の第一ファスナ片111と別の当て材200とがラップした三枚重ねの部分を形成する。そして三枚重ねの部分を縫合する別の第一縫合線(図示省略)によって、別の第一表皮ピースSP11に対して別の当て材200の上部を固定しているカバー側固定部(図示省略)を形成することができる。また別の折り返し部位7SSから下方に、別の第一ファスナ片111と別の当て材200が直接ラップした二枚重ねの部分を形成する。そして二枚重ねの部分を縫合する別の第一縫合線によって、別の第一ファスナ片111と別の当て材200だけを固定しているファスナ側固定部(符号省略)を形成することができる。また上述の作業に前後して、別の第二表皮ピースSP12の表側に別の第二ファスナ片112を縫合して、別の第一ファスナ片111と平行となるように配置する。そしてこれら別の両ファスナ片111,112の下部が、後別の線ファスナ100の末端部を形成する箇所となる。
[シートバックの形成作業]
ここで図1~図3に示す右側シートバック6と左側シートバック7は、概ね同一の基本構成を有し、形成作業も概ね同一となっている。そこで以下に、右側シートバック6を一例にその形成作業の詳細を説明する。この右側シートバック6では、図3及び図11を参照して、シートフレーム6Fの左右の下端部が、それぞれ後方視において概ね逆L字をなすブラケットBRに締結固定されて乗物床面FSから起立している(図11では、便宜上、シートフレームの一部と左側の締結孔のみ図示する)。そこでシートパッド6Pの裏側をシートフレーム6Fで支持した状態で、これらに袋状のシートカバー6Sを被せていく。このとき図12に示すシートカバー6Sでは、スライダー13を上方に移動させて線ファスナ10を開き状態としておく(図13の破線で示すスライダーを参照)。こうして第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2の間を拡開しておくことで、シートカバー6Sを、シートパッド6Pとシートフレーム6Fにスムーズに被せていくことができる。そしてシートカバー6Sを被せ終えたのちに、スライダー13を下方に移動させて線ファスナ10を末端部10Eまで閉じ状態とし、第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2の縁同士を掛着しておく(図13の実践で示すスライダーを参照)。そして掛着後の線ファスナ10の末端部10Eは、第一表皮ピースSP1の折り返し部位6SSから下方に位置する第一ファスナ片11部分と第二ファスナ片12部分とで形成されている。
こうして図12に示す各表皮ピースSP1,SP2を掛着してシートカバー6Sを袋状とすることにより、図13~図15に示すようにシートパッド6Pとシートフレーム6Fとが被覆された状態となる。ところで本実施例では、図14の丸で囲った部分を参照して、カバー側固定部31の形成箇所では、第一表皮ピースSP1と第一ファスナ片11と当て材20とが重ねられて縫合されている。このカバー側固定部31の形成されたシートカバー部分は、それよりも上側の部分(図13の丸で囲った第一表皮ピースSP1と第一ファスナ片11だけの部分)に比して厚みが増して意図しない凹凸ができやすい箇所といえる。そこで本実施例では、図7に示すように第一表皮ピースSP1の裏側に配置する当て材20の厚みを意図的に小さくしている。このため図14に示すカバー側固定部31の形成されたシートカバー部分では、当て材20が原因となる不自然な凹凸の発生を極力回避することができ、シートカバー6Sの優れた見栄えの確保に資する構成となっている。
また上述の掛着作業に前後して、図4に示すシートカバー6Sの下端を、各Jフックを介してシートカバー6Sに係止しておくことができる。そしてこの係止作業の際に、当て材20を、第一表皮ピースSP1の裏側に沿うように面方向(上下左右方向)に展開させておく。このとき本実施例では、当て材20の相対的に大寸な下縁部20dが下方に配置されているため、この下縁部20dを持ち手として、当て材20を適切に面状に展開させることが可能となる。更に展開状態の当て材20を、図11に示すように第一表皮ピースSP1とシートフレーム6Fで挟み込んでおくことで、第一ファスナ片11の下部を、当て材20を介してより安定的に位置決めして配置しておくことができる。
[掛着後の線ファスナの末端部の収納]
そして本実施例では、図4及び図12を参照して、掛着後の線ファスナ10を途中で折り返して、その末端部10Eを、第二表皮ピースSP2の裏側に差し込んで収納しておく。この種の構成では、掛着後の線ファスナ10の末端部10Eを、シートカバー6Sの裏側により見栄え良く収納しておくことが望まれる。すなわち末端部10Eの差し込みによって、第一表皮ピースSP1が末端部10Eに追従して右前方に向けて凹むように変形するといった事態は、シートカバー6Sの見栄えを維持する観点から好ましいものではない。例えば図15及び図16を参照して、第一表皮ピースSP1の凹みによって左縁下部(折り返し部位6SS)の位置P1が前方且つ右方にズレた場合を想定する。このような場合には、第一表皮ピースSP1と第二表皮ピースSP2との間に隙(三角隙等)が生じ、この隙からシートフレーム6Fなどが露出することがある。また図2を参照して、各シートバック6,7を着座面側から見た場合に、上記表皮ピースの間の隙(三角隙等)が原因となって、両シートバック6,7の間の隙Cから、意図しない光漏れが発生することも懸念される。
そこで本実施例では、図4を参照して、第一表皮ピースSP1の裏面に、面状に展開した当て材20が配置されているとともに、第一表皮ピースSP1と当て材20の一部とを固定しているカバー側固定部31と、線ファスナ10の末端部10Eと当て材20だけを固定しているファスナ側固定部32とが設けられている。そして一部(左縁部20aの上部)を除く当て材20部分は、第一表皮ピースSP1に対して相対移動して掛着後の線ファスナ10の末端部10Eに追従可能とされている。すなわち線ファスナ10の末端部10Eには、ファスナ側固定部32にて当て材20だけが固定されており、第一表皮ピースSP1は固定されていない状態となっている。そして掛着後の線ファスナ10の末端部10Eを収納する際には、第一表皮ピースSP1を、末端部10Eの差し込みに極力追従させることなく所定の位置P1で維持しておく。そこで以下に、上述の当て材20と各固定部31,32の作用を、右側シートバック6を一例により詳しく説明する。
図12を参照して、線ファスナ10を末端部10Eまで閉じた状態では、この掛着後の線ファスナ10の末端部10Eが、上下方向においてシートフレームの締結孔6FHを横切るように配置されている。そこで図4及び図12を参照して、掛着後の線ファスナ10を前方に折り返して、その末端部10Eを、締結孔6FHを目印(高さ位置を基準)として第二表皮ピースSP2の裏側に差し込んでいくことができる。このとき線ファスナ10の末端部10Eには、ファスナ側固定部32によって当て材20だけが固定されており、第一表皮ピースSP1の左縁下部(折り返し部位6SS)は固定されていない状態となっている。このため末端部10Eを収納する際には、第一表皮ピースSP1の左縁下部(折り返し部位6SS)を、末端部10Eの差し込みに極力追従させることなく所定の位置P1で維持しておくことができる。そして第一表皮ピースSP1を所定の位置P1で維持しておくことで、シートカバー6Sに皺が生じたり、第二表皮ピースSP2との間に隙(三角隙)が生じたりすることを極力回避することが可能となる。また本実施例では、図4及び図11を参照して、カバー側固定部31を、締結孔6FHよりも乗物床面FSから離れた位置に設けている。こうすることでカバー側固定部31にて線ファスナ10に固定された第一表皮ピースSP1部分が、末端部10Eに過度に張引されることを極力阻止でき、シートカバー6Sに意図しない皺が生じることを極力回避できる。
そして図4に示すように掛着後の線ファスナ10の末端部10Eを第二表皮ピースSP2の裏側に差し込んで収納することにより、末端部10Eの外部露出を極力回避することができる。さらに本実施例では、当て材20が、線ファスナ10の末端部10Eにファスナ側固定部32を介して固定されている。このため当て材20が、第一表皮ピースSP1の裏側から引き出されるように相対移動しつつ、末端部10Eの差し込みに追従して前側に移動することにより、シートフレーム6Fを左側から覆うように配置される。このように当て材20をシートフレーム6Fの左側を覆うように配置しておくことで、シートフレーム6Fの外部露出をより確実に回避することができる。そして本実施例では、第一表皮ピースSP1と当て材20が似通った外観を有しているため、これら両部材によって、シートフレーム6Fをより見栄え良く覆っておくことが可能となる。
以上説明した通り本実施例の線ファスナ10の末端部10Eには、ファスナ側固定部32によって当て材20だけが固定されており、第一表皮ピースSP1は固定されていない状態となっている。このため掛着後の線ファスナ10の末端部10Eを収納する際には、第一表皮ピースSP1を、末端部10Eの差し込みに極力追従させることなく所定の位置で維持しておくことができ、シートカバー6Sの優れた見栄えの確保に資する構成となっている。そして本実施例では、第一表皮ピースSP1の裏側にカバー側固定部31にて当て材20の一部が固定された状態で、この当て材20に、ファスナ側固定部32にて線ファスナ10の末端部10Eが固定されている。このため掛着前の線ファスナ10を、第一表皮ピースSP1に固定されていない状態においても、当て材20を介して第一表皮ピースSP1の適宜の位置に位置決めして配置しておくことができる。このため本実施例によれば、線ファスナ10の位置決め性を確保しつつ、掛着後の線ファスナ10の末端部10Eを、シートカバー6Sの裏側により見栄え良く収納しておくことができる。また同様に左側シートバック7においても、掛着後の別の線ファスナ100の末端部を、別のシートカバー7Sの裏側により見栄え良く収納しておくことができる。
また本実施例では、展開状態の当て材20を第一表皮ピースSP1とシートフレーム6F(内部部材)で挟み込んでおくことで、線ファスナ10を、当て材20を介してより安定的に位置決めして配置しておくことができる。また本実施例では、掛着後の線ファスナ10の末端部10Eを、締結孔6FHを目印として、対応する表皮ピースの裏側に差込みつつ収納しておくことができる。このときカバー側固定部31を、締結孔6FHよりも乗物床面から離れた位置に設けたことで、このカバー側固定部31で線ファスナ10に固定されている第一表皮ピースSP1部分が末端部10Eの差し込みに追従するといった事態をより確実に回避することができる。また本実施例では、ファスナ側固定部32とカバー側固定部31とを線ファスナ10の延びる方向に並べて設け、さらに当て材20を、カバー側固定部31によって線ファスナ10と第一表皮ピースSP1の双方に固定している。こうすることで線ファスナ10を、当て材20を介してさらに確実に位置決めして配置しておくことが可能となる。また本実施例では、相対的に大寸な末端部10E側の縁部(下縁部20d)を持ち手として、当て材20を適切に面状に展開させておくことが可能となる。また本実施例では、第一表皮ピースSP1の裏側に配置する当て材20が相対的に薄いため、この当て材20が原因となって第一表皮ピースSP1に不自然な凹凸(ハイライト)が生じることを極力回避することができる。そして本実施例では、第一表皮ピースSP1と当て材20が似通った外観を有しているため、これら両部材によって、シートフレーム6Fやシートパッド6P(内部部材の別例)をより見栄え良く覆っておくことが可能となる。また同様に左側シートバック7においても、その構成部材(SP11,12,100,200等)が、右側シートバック6と同様の効果を奏することとなる。
本実施形態の乗物用シート2は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、シートカバー6Sの構成(形状、寸法,配置位置,構成部材など)を例示したが、これら各部材の構成を限定する趣旨ではない。例えば第一表皮ピースは、シートの着座面やカマチ面や背裏面等のいずれかに配置しておくことができ、第二表皮ピースも、第一表皮ピースに対応して適宜の位置に配置しておくことができる。またシートカバーは、線ファスナを複数又は単数有することができ、例えば図3に示す第一表皮ピースの左右の縁を、左右のカマチ面側の第二表皮ピースに掛着することができる。また線ファスナは、掛着すべき表皮ピースの構成に応じて、上下方向やシート幅方向などの適宜の向きに配設しておくことが可能である。またシートカバーには、折り返し部位の代わりに切欠き部位を設けることができ、また縫合の際に第一表皮ピースの左縁を押し退けて当て材と第一ファスナ片を縫合することも可能である。
また本実施形態では、掛着後の線ファスナの末端部を第二表皮ピースの裏側に収納する例を説明した。これとは反対に、掛着後の線ファスナの末端部を第一表皮ピースの裏側に収納することも可能であり、この場合には当て材が内折り状に撓むことで、第一表皮ピースの縁を所定位置に維持しておくことが可能である。なお線ファスナの末端部の収納高さ位置は、締結孔を基準としてもよく、締結孔とは無関係に設定することも可能である。
また本実施形態では、当て材と各固定部の構成を例示したが、当て材と各固定部の構成を限定する趣旨ではない。例えば当て材の形状として、各種の多角形状や半円形状などの幾何学形状を採用できるが、当て材の末端部側の縁部は相対的に幅広となっていることが望ましい。また当て材は、第一表皮ピースとの間で生じる摩擦力を利用して、第一表皮ピースの裏側に配置しておくこともできる。なお摩擦力を利用した当て材の配置手法では、この当て材を、第一表皮ピースと内部部材との間に差し込んでもよく、差し込まない状態としておくこともできる。また当て材の厚み寸法や外観は、第一表皮ピースとは独立に設定することもできる。また各固定部は、縫合線のほか、接着剤や接合部材(ファスナ等)などによって形成しておくことが可能であり、両固定部を異なる縫合線等で形成することもできる。またカバー側固定部は、ファスナ側固定部とは異なる位置で、第一表皮ピースと当て材を固定しておくことができる。例えばカバー側固定部は、当て材の適宜の位置に設けることができ、線ファスナに当て材の一部が追従可能である限り、上縁部側や右縁部側などの適宜の位置に設けることができる。
また本実施形態では、シートバックを一例に説明したが、本実施例の構成は、シートクッションなどの他のシート構成部材にも適用することができる。また乗物用シートの構成も適宜変更可能であり、例えば着座の想定される乗員数に応じて、シートクッションやシートバックの形状や寸法や配設数を適宜変更することができる。なおシートバックは、乗物床面にブラケットを介して固定されていてもよく、リクライナ等を介してシートクッションの後部に連結されていてもよい。そして本実施形態の構成は、車両や航空機や電車や船舶などの乗物用シート全般に適用できる。
FS 乗物床面
BR ブラケット
2 乗物用シート
4 シートクッション
6 右側シートバック
6A 右側シートバックの背裏面
6B 右側シートバックの左カマチ面
6C アームレスト
6S シートカバー
6SS 折り返し部位
SP1 第一表皮ピース
E1 第一表皮ピースの左縁
SP2 第二表皮ピース
E2 第二表皮ピースの後縁
SEW1 第一縫合線
SEW2 第二縫合線
6P シートパッド
6F シートフレーム(本発明の内部部材)
6FH 締結孔
10 線ファスナ
10E 線ファスナの末端部
11 第一ファスナ片
12 第二ファスナ片
13 スライダー
20 当て材
20a 左縁部
20b 右縁部
20c 上縁部(本発明の反対の縁部)
20d 下縁部(本発明の末端部側に配置されている縁部)
20e 傾斜縁部
31 カバー側固定部
32 ファスナ側固定部
7 左側シートバック
7A 左側シートバックの背裏面
7B 左側シートバックの右カマチ面
7S 別のシートカバー
7SS 別の折り返し部位
7P 別のシートパッド
7F 別のシートフレーム
100 別の線ファスナ
111 別の第一ファスナ片
112 別の第二ファスナ片
200 別の当て材
SP11 別の第一表皮ピース
SP12 別の第二表皮ピース

Claims (7)

  1. シートの外観を構成するシートカバーが、第一表皮ピースと、前記第一表皮ピースに隣り合って配置される第二表皮ピースと、前記第一表皮ピースと前記第二表皮ピースの縁同士を掛着する線ファスナとを備え、
    前記第一表皮ピースと前記第二表皮ピースの縁同士は、前記線ファスナが末端部まで閉じられることで掛着状態となるとともに、掛着後の線ファスナの末端部を、前記第一表皮ピースと前記第二表皮ピースのいずれかの裏側に差込んで収納可能である乗物用シートにおいて、
    前記第一表皮ピースの裏面に、面状に展開した当て材が配置されているとともに、前記第一表皮ピースに対して前記当て材の一部を固定しているカバー側固定部と、前記線ファスナの末端部と前記当て材だけを固定しているファスナ側固定部とが設けられ、
    前記一部を除く当て材部分は、前記第一表皮ピースに対して相対移動して前記掛着後の線ファスナの末端部に追従可能とされている乗物用シート。
  2. 前記当て材は、前記第一表皮ピースの裏面に沿うように面方向に展開して、前記第一表皮ピースと、前記第一表皮ピースで被覆されているシート内の内部部材とに挟み込まれた状態となっている請求項1に記載の乗物用シート。
  3. シート骨格をなすシートフレームを前記内部部材として有しているとともに、前記シートフレームの乗物床面側の縁部には、乗物床面への締結用の締結孔が設けられ、
    前記線ファスナの末端部は、前記乗物床面側に配置されているとともに、前記カバー側固定部は、前記締結孔よりも前記乗物床面から離れた位置に設けられている請求項2に記載の乗物用シート。
  4. 前記カバー側固定部と前記ファスナ側固定部とは、前記線ファスナの延びる方向に隣接して設けられているとともに、前記当て材は、前記カバー側固定部によって、前記末端部に隣接する線ファスナ部分と、前記線ファスナ部分に重ねて配置された第一表皮ピース部分とに固定されている請求項1~3のいずれか一項に記載の乗物用シート。
  5. 前記当て材は、末端部側に配置されている縁部の長さ寸法が反対の縁部よりも大きくなっている請求項1~4のいずれか一項に記載の乗物用シート。
  6. 前記当て材は、前記第一表皮ピースよりも薄い面材で構成されている請求項1~5のいずれか一項に記載の乗物用シート。
  7. 前記第一表皮ピースと前記第二表皮ピースとが互いに異なる外観を有しているとともに、前記当て材は、前記第二表皮ピースではなく前記第一表皮ピースに似通った外観を有している請求項1~6のいずれか一項に記載の乗物用シート。
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