[go: up one dir, main page]

JP7218539B2 - 表面被覆層形成用塗工液及び多孔質ケイ素積層体 - Google Patents

表面被覆層形成用塗工液及び多孔質ケイ素積層体 Download PDF

Info

Publication number
JP7218539B2
JP7218539B2 JP2018197663A JP2018197663A JP7218539B2 JP 7218539 B2 JP7218539 B2 JP 7218539B2 JP 2018197663 A JP2018197663 A JP 2018197663A JP 2018197663 A JP2018197663 A JP 2018197663A JP 7218539 B2 JP7218539 B2 JP 7218539B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
porous silicon
coating layer
porous
surface coating
forming
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018197663A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020063180A (ja
Inventor
雄一 加藤
厚志 高木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2018197663A priority Critical patent/JP7218539B2/ja
Publication of JP2020063180A publication Critical patent/JP2020063180A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7218539B2 publication Critical patent/JP7218539B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Silicon Compounds (AREA)
  • Silicates, Zeolites, And Molecular Sieves (AREA)
  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)

Description

本発明は、多孔質体の表面に、該多孔質体の空孔を閉塞させることなく、無機層状化合物による表面被覆層を密着性よく形成することができる表面被覆層形成用塗工液及びその製造方法と、多孔質ケイ素体の表面にこの表面被覆層が形成された多孔質ケイ素積層体及びその製造方法に関する。
多孔質ケイ素膜は、低屈折率、透明性、電気絶縁性などの優れた特性を有していることから、産業上幅広い分野で利用されている。特に、その低屈折率性を利用して、反射防止膜、光導波路、レンズ等に適用されており、電子機器ディスプレイや自動車パネル、太陽光利用装置などの反射防止、光導波路のクラッド層への実用化が検討されている。
しかし、多孔質ケイ素膜に限らず、多孔質膜は空孔を持つため、その表面にウェットコーティング法等により他の機能性材料を塗工しようとすると、その塗工液に含まれる溶媒や機能性材料が空孔内に浸み込み、空孔が消失する問題がある。
また、多孔質膜と他の部材を光学接着剤や粘着剤などで貼りあわせて使用する場合、光学接着剤や粘着剤の低分子量化合物が空孔に浸み込み、空孔が消失する問題がある。
さらには、多孔質膜を部材の最表面に設けて使用する場合、使用環境において、多孔質膜の表面に、指紋、化粧品、薬液、汗などが付着して空孔に浸み込むことで、空孔が消失する問題もある。しかも浸み込んだものは容易に拭き取ることができず、汚染物質として空孔内に残留することとなる。
そこで、例えば、シリカエアロゲルなどの多孔質体の表面処理方法の分野において、無機層状化合物を溶媒に分散させた処理液に多孔質体を接触させることによって、多孔質体の表面に無機層状化合物を吸着させて無機層状化合物の吸着層を形成する方法が提案されている(特許文献1)。
特許文献1では、無機層状化合物として、モンモリロナイト、スメクタイト、ヘクトライトなどのフィロケイ酸塩鉱物が使用されており、それらを水に分散させることで厚みが数nm、面方向の径が数十~数百nmの板状物質を得、この分散液に多孔質体の表面を接触させた後、分散液から引き上げることで、無機層状化合物による吸着層を形成できるとの記述がなされている。
特許文献1のように、多孔質体の表面に無機層状化合物の吸着層を形成した場合、その吸着層は、接着成分がないために多孔質体に対する接着性が低く、その結果、その後の工程や使用環境において多孔質体から剥離してしまうという問題がある。特許文献1には、接着力を高めるために、イオン性ポリマーを使用することが提案されているが、イオン性ポリマーを使用した場合、溶媒の水と共に多孔質体の空孔に浸み込み、製膜後に残存するため、多孔質体の空孔率が変化し、屈折率に影響して光学部材として使用しようとした場合、光学特性の制御が困難となる問題がある。
また、特許文献1における無機層状化合物吸着層の形成方法は、多孔質体を無機層状化合物の分散液に浸漬する方法であり、この様な特殊な製法では製造コストが高くなる上に、製膜する基板の形状にも制約が多くなるため実用化しにくい問題もある。
なお、一般的な製膜法として、ウェットコーティング法があるが、特許文献1には、膜材料を溶媒に溶解した溶液を多孔質体の表面に塗布し、溶媒を蒸発除去することによって多孔質体の表面に膜を形成する場合は、多孔質の空孔内に溶液が染み込むために、表面を膜で被覆するように多孔質体に膜を形成することは困難であると記載されている。
また、特許文献1では、無機層状化合物の吸着層の形成で多孔質膜の表面が平滑化されたことの評価しか行われておらず、吸着層形成後の多孔質膜内の空孔の維持状態についての評価や吸着層の密着性の評価はなされていない。
特開2001-342016号公報
本発明は、多孔質体の表面に、該多孔質体の空孔を閉塞させることなく、無機層状化合物による表面被覆層を密着性よく形成することができる表面被覆層形成用塗工液及びその製造方法と、多孔質ケイ素体の表面にこの表面被覆層が形成された多孔質ケイ素積層体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、シリケートオリゴマーが吸着した無機層状化合物、好ましくはスメクタイト族粘土鉱物のナノシートを含む塗工液を多孔質体の表面に塗工することによって、多孔質体の空孔を閉塞させることなく、無機層状化合物の表面被覆層を密着性よく形成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の通りである。
[1] 多孔質体の表面に被覆層を形成するための塗工液であって、シリケートオリゴマーが吸着した無機層状化合物を含む表面被覆層形成用塗工液。
[2] 前記無機層状化合物が、スメクタイト族粘土鉱物であることを特徴とする[1]に記載の表面被覆層形成用塗工液。
[3] 多孔質体の表面に被覆層を形成するための塗工液を製造する方法であって、2官能の加水分解性シラン化合物と加水分解性シラン化合物の多量体とを含み且つ該加水分解シラン化合物の多量体を50質量%以上含む加水分解性シラン組成物が溶解した親水性溶媒溶液に、撹拌下、酸濃度が0.0001~0.01質量%である酸触媒水溶液を連続的に滴下して該加水分解性シラン組成物の加水分解および縮合反応を行い、得られた反応液を溶媒で希釈し、得られた希釈液と、無機層状化合物が分散媒体に分散した分散液とを混合することを特徴とする表面被覆層形成用塗工液の製造方法。
[4] 多孔質ケイ素体と、シリケートオリゴマーが吸着した無機層状化合物を含む表面被覆層とが積層されてなる多孔質ケイ素積層体。
[5] 前記多孔質ケイ素体の空孔サイズが50nm以下であることを特徴とする[4]に記載の多孔質ケイ素積層体。
[6] 前記表面被覆層側から前記多孔質ケイ素積層体に入射する光に対する最小反射率において、前記表面被覆層を形成する前と形成した後の最少反射率の差が1.0%未満であることを特徴とする[4]又は[5]に記載の多孔質ケイ素積層体。
[7] 前記表面被覆層の表面がシランカップリング剤で処理されている[4]ないし[6]のいずれかに記載の多孔質ケイ素積層体。
[8] [4]ないし[7]のいずれかに記載の多孔質ケイ素積層体を製造する方法であって、空孔サイズが50nm以下の多孔質ケイ素体の表面に、シリケートオリゴマーが吸着した無機層状化合物を含む表面被覆層形成用塗工液を塗工した後乾燥する工程を含むことを特徴とする多孔質ケイ素積層体の製造方法。
本発明によれば、多孔質体の表面に、該多孔質体の空孔を閉塞させることなく、無機層状化合物による表面被覆層を密着性よく形成することができる。
本発明によれば、多孔質ケイ素体本来の光学特性を損なうことなく、耐薬品性、耐擦傷性、耐浸み込み性、耐汚染性等に優れた表面被覆層を密着性よく形成することができ、形成された表面被覆層上にウェットコーティング法等により容易に機能性膜を形成したり、光学接着剤又は粘着剤を介してガラス基板や他の機能性膜を積層一体化したりすることができる。
本発明の多孔質ケイ素積層体の構成の一態様を示す模式図である。 本発明の多孔質ケイ素積層体の構成の別の態様を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施することができる。
[多孔質ケイ素体]
まず、本発明の表面被覆層形成用塗工液により表面被覆層を形成する多孔質体として好適な多孔質ケイ素体について説明する。
なお、本発明を適用する多孔質体は多孔質ケイ素体に限らず、多孔質金属、多孔質無機有機ハイブリット体等であってもよい。ただし、低屈折率、透明性、電気絶縁性などの優れた特性を有し、その適用範囲が広く実用性に優れることから、多孔質体としては多孔質ケイ素体が好ましい。
<形状>
多孔質ケイ素体の形状は特に制限されず、バルク基材にも利用できるが、膜状であることが好ましい。特に光学用途に用いる場合、一般的には透明基板の上に形成された膜(以下、「多孔質ケイ素層」ということがある。)として使用される。また、多孔質ケイ素層の表面は平滑であることが好ましく、凹凸段差が5nm以下であることが好ましく、3nm以下であることがより好ましく、2nm以下であることが最も好ましい。凹凸段差が大きい場合、表面被覆層による浸み込み防止効果が十分に発揮されない恐れがある。
<屈折率>
多孔質ケイ素体の屈折率は通常1.15以上1.40以下であり、用途に応じて適宜選択して用いられる。ガラスやプラスチックの基板の反射防止膜に用いる場合、屈折率は1.20以上1.35以下が好ましい。多孔質ケイ素層を単層で反射防止膜を形成する場合、基板の屈折率に応じて多孔質ケイ素層の屈折率を選択することで、最小反射率を限りなく0%に近づけることができる。全反射膜に用いる場合、屈折率は1.25以下が好ましく、1.20以下がより好ましく、1.18以下が特に好ましい。屈折率は低いほど、透明基板と多孔質ケイ素層の界面で全反射させる光の割合を増加させることができ好ましいが、一方で多孔質ケイ素層の空隙率が増加するため、多孔質ケイ素層の機械的強度が低下する可能性がある。
<構造>
多孔質ケイ素体の構造は特に制限はなく、その空孔は、通常、トンネル状や独立空孔がつながった連結孔であるが、詳細な空孔の構造にも特に制限はない。また、空孔サイズや空隙率を調整することで、屈折率、誘電率、密度を調整することができ、それらを調整することで、光学用途の他にも、様々な用途にも応用することができる。空孔サイズや空隙率は、後述の多孔質ケイ素層形成用の塗工液の組成および塗工方法により調整することができる。
多孔質ケイ素体の空孔サイズには特に制限はないが、空孔サイズは通常0.1~50nmが好ましく、1~20nmがより好ましく、2~10nmが最も好ましい。空孔サイズが大きすぎると、例えば100nm程度の薄膜で形成される反射防止膜には向いておらず、形成した多孔質ケイ素層の表面には欠陥が発生し、表面の凹凸が大きくなり、光の散乱等でヘーズが大きくなることがある。また、欠陥が多いことから多孔質ケイ素層の機械的強度が低くなる問題もある。
多孔質ケイ素体の空隙率には特に制限はないが、空隙率は10~70%が好ましく、20~70%がより好ましく、30~70%がさらに好ましい。空隙率が小さすぎると屈折率が低くならず、十分な光学特性が得られない恐れがある。一方、大きすぎると、機械的強度の低下、ヘーズの増加、表面平滑性の低下が生じる危険性がある。
多孔質ケイ素体の空孔サイズは、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)による観察像の解析により測定される。
また、多孔質ケイ素体の空隙率はローレンツ・ローレンツの式による空隙率及び屈折率の関係式により求めることができる。
多孔質ケイ素層の厚みは特に制限はないが、光学機能層として用いるためには、30~5000nmが好ましく、40~3000nmがより好ましく、50~2000nmが最も好ましい。
<多孔質ケイ素層の製造法>
以下に、本発明に好適な多孔質ケイ素層の製造方法の一例を説明するが、本発明に用いる多孔質ケイ素層の製造方法は、以下の方法に限定されるものではない。
多孔質ケイ素層を形成するには、多孔質ケイ素層を形成するための塗工液(以下、「多孔質形成用塗工液」ということがある)を基板に塗工後、得られたウェット膜を加熱乾燥して硬化させる。
多孔質形成用塗工液は、例えば、アルコキシシラン、水、有機溶媒を原料に触媒を添加して加水分解、縮合反応により得られるシロキサンオリゴマーに、シリカ微粒子を添加して製造される。
(シリカ微粒子)
シリカ微粒子としては、特に制限されず、凝集シリカ微粒子又は非凝集シリカ微粒子のいずれでもよいが、例えば、平均粒子径5~100nmの非凝集シリカ微粒子、平均粒子径10~100nmの中空状非凝集シリカ微粒子、平均一次粒径5~100nmの鎖状凝集シリカ微粒子の少なくとも一種からなるシリカ微粒子などが挙げられる。これらは、形成される多孔質ケイ素層の目的に応じて適宜選択される。
凝集シリカ微粒子の具体例としては、日産化学工業株式会社製の「スノーテックス(登録商標)-OUP」(平均長さ:40~100nm)、「スノーテックス(登録商標)-UP」(平均長さ:40~100nm)、「スノーテックス(登録商標)PS-M」(平均長さ:80~150nm)、「スノーテックス(登録商標)PS-MO」(平均長さ:80~150nm)、「スノーテックス(登録商標)PS-S」(平均長さ:80~120nm)、「スノーテックス(登録商標)PS-SO」(平均長さ:80~120nm)、「IPA-ST-UP」(平均長さ:40~100nm)、日本国触媒化成工業株式会社製の「ファインカタロイドF-120」等が挙げられる。球状非凝集シリカ微粒子の具体例としては、日産化学工業株式会社製の「スノーテックス(登録商標)-O」、「スノーテックス(登録商標)-O-40」、「スノーテックス(登録商標)-OL」、扶桑化学工業製の「クォートロン(登録商標)-PL-1」、「クォートロン(登録商標)-PL-3」、「クォートロン(登録商標)-PL-7」等が挙げられる。
(基板)
多孔質形成用塗工液を塗工する基板にはガラス、プラスチックスなどの透明基板が用いられる。透明基板はある特定波長において透光性が高く、紫外光、可視光、赤外光を利用する用途に応じて適宜選択される。該特定波長は、可視光の範囲に限定されないが、レンズや、ディスプレイ、太陽電池、太陽熱発電などの光デバイス、建材や自動車の内外装の用途においては、可視光領域の波長の光に対して高い透過性を有することが好ましい。通常は、全光線透過率が60%以上であるものが使用される。
基板の厚みや形状は特に制限なく、多孔質ケイ素層の性能に影響を及ぼさない限り、散乱やヘーズを有してもよく、基板表面に微細な凹凸形状を有してもよい。
基板を構成するプラスチックスとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィンポリマー(COP)等が挙げられる。
基材の表面は、表面改質処理したものでも、処理してないものでも、どちらにでも適用できる。
(塗工方法)
基板への多孔質形成用塗工液の塗工方法は、特に制限されず、ディップコート法、スピンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、カーテンコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法を挙げることができる。
(乾燥、硬化方法)
ウェット膜の乾燥は溶媒を除去するために行われ、乾燥温度は通常50~80℃であり、熱風乾燥機などが好適に使用される。乾燥時間は通常1~10分、好ましくは1~5分である。
透明基板がプラスチックスの場合、密着性を付与するため、硬化処理としては酸素の存在下に紫外線を照射して行う方法が推奨される。紫外線には、近紫外線(near UV、波長200~380nm)、遠紫外線(far UV、波長10~200nm)及び極端紫外線(extreme UV、波長1~10nm)が含まれるが、通常は遠紫外線が有効である。紫外線の線源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、エキシマ紫外線(エキシマUV)ランプ、ハライドランプ、レーザー等が挙げられる。紫外線の照射時間は通常1秒~3分である。
本発明に用いられる多孔質ケイ素層の製造方法は、上記の製造方法に限定されるものではなく、本発明の効果を著しく損なわない限り、その他の製造方法、例えば鋳型法、超臨界法などを用いることができる。
[表面被覆層]
次に、本発明の表面被覆層形成用塗工液を用いて、上記の多孔質ケイ素体等の多孔質体に表面被覆層を形成する方法について説明する。
本発明に係る表面被覆層(以下、「本発明の表面被覆層」と称す場合がある。)は、本発明の表面被覆層形成用塗工液を多孔質体の表面に塗工後、加熱乾燥して形成される層であり、多孔質体の表面に本発明の表面被覆層を形成することで、この表面被覆層上にコーティング液組成物や光学接着剤組成物などを付与しても、その組成物を多孔質体側に通しにくくし、多孔質体の空孔への浸み込みを防止して、多孔質体の空孔を維持することができる。このため、例えば、多孔質ケイ素層等の空孔を維持してその屈折率などの光学特性の変化を抑制することができる。
本発明の表面被覆層形成用塗工液は、シリケートオリゴマーが吸着した無機層状化合物を含むものであり、好ましくは、アルコキシシラン、水、及び有機溶媒を含む組成物を用いて製造されるシリケートオリゴマーと、スメクタイト族粘土鉱物である無機層状化合物を薄膜まで劈開させて得られる無機ナノシートを混合することで得られる。
無機ナノシートは多孔質体の表面に数層から数十層重なり多孔質体表面を覆うことで、多孔質体の空孔への各種材料の浸み込みを防止する役割があり、シリケートオリゴマーは、無機ナノシート同士の密着および無機ナノシートと多孔質体表面との密着を強化する役割がある。
<シリケートオリゴマー溶液の製造>
シリケートオリゴマーは、例えば、加水分解性シラン化合物、水、及び有機溶媒を含む組成物を用いて製造される。
加水分解性シラン化合物は、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アミノキシ基、アミド基、ケトオキシム基、イソシアネート基、ハロゲン原子等の加水分解性基を有するシラン化合物である。加水分解性シラン化合物としては、加水分解性基の数により、1~4官能のものが知られている。
本発明において、加水分解性シラン化合物としてはアルコキシシラン化合物が好適に使用される。アルコキシ基(-OR)のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が例示される。
アルコキシシラン化合物の代表例としては、ジメチルジメトキシシラン(DMDMS)、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、ジメチルジエトキシシラン(DMDES)、メチルトリエトキシシラン(MTES)、テトラエトキシシラン(TEOS)等が挙げられる。ジメチルジメトキシシラン(DMDMS)の市販品は、通常99質量%純度の溶液である。
加水分解性シラン化合物の多量体は上記のような単量体を縮合により多量化重合(オリゴマー化)したものである。この反応においては、先ず、アルコキシ基の加水分解によりシラノール基(-Si-OH)が形成される。同時にアルコール(R-OH)が生成する。次いで、シラノール基の(脱水)縮合によりシロキサン結合(-Si-O-Si-O-)が形成され、この縮合を繰り返してシロキサンオリゴマーが形成される。アルコキシシラン化合物の多量体としては、アルコキシ基の加水分解性、縮合性などの面から、Rがメチル基であるテトラメトキシシランの多量体またはRがエチル基であるテトラエトキシシランの多量体が好ましい。
多量体の構造には、直鎖状、分枝状、環状、網目状構造があるが、直鎖状構造を持つものとしてテトラアルコキシシランの多量体を示せば、次の一般式(I)で表される。
RO(Si(OR)O)R …(I)
一般式(I)中、Rはアルキル基であり、nは多量体の多量化度を表す。通常入手できる多量体はnが異なる多量体の組成物であり、従って、分子量分布を有する。なお、多量化度は平均したnで表される。
テトラアルコキシシラン等の4官能加水分解性シラン化合物またはその多量体の多量化度を「シリカ分」で表すこともある。「シリカ分」とは、その化合物から生成するシリカ(SiO)の質量割合であり、その化合物を安定に加水分解し、焼成して生成するシリカの量を測定することにより得られる。また、「シリカ分」はその化合物の1分子に対して生成するシリカの割合を示すものでもあり、次式(II)で計算される値である。
シリカ分(質量部)=多量化度×SiOの分子量/該化合物の分子量 …(II)
本発明においては、多量化度nが通常2~100、好ましくは2~70、更に好ましくは2~50の多量体が使用される。斯かる多量体は、既に市販されているのでそれを利用するのが簡便である。多量化度nが大きくなるに従い、生成するシリケートオリゴマーの分子量が大きくなり、かつ分子量分布が広くなり、粘度が高くなる。
加水分解性シラン化合物の多量体の市販品としては、三菱ケミカル社製のMKCシリケートMS51、MKCシリケートMS56、MKCシリケートMS57、MKCシリケートMS56S(いずれもテトラメトキシシランの多量体)、コルコート社製のメチルシリケート51(テトラメトキシシランの多量体)、メチルシリケート53A、エチルシリケート40、エチルシリケート48、多摩化学工業社製のエチルシリケート40、シリケート45(いずれもテトラエトキシシランの多量体)等が挙げられる。
本発明においては、2官能の加水分解性シラン化合物と加水分解性シラン化合物の多量体とを含み且つ該加水分解シラン化合物の多量体を50質量%以上含む加水分解性シラン組成物を使用する。この加水分解性シラン組成物中の多量体の割合は好ましくは70質量%以上である。
加水分解性シラン組成物中の多量体の割合が少な過ぎる場合は、本発明の目的を達成することは困難である。その理由は次のように推定される。
すなわち、単量体の受ける後述の加水分解および縮合反応により、OH基が減少することや、反応組成物中に分枝状、環状、網目状構造が増加することで、無機層状化合物への吸着性が低下し、表面被覆層の密着性向上効果が損なわれる傾向があるからである。
加水分解性シラン組成物中の多量体の割合は、90質量%以下であることが好ましい。この上限値以下では、ゲル化しにくく保存安定性が高い傾向がある。
加水分解性シラン組成物中の単量体である2官能の加水分解性シラン化合物の割合は、10質量%以上、30質量%以下が好ましい。
次に、加水分解および縮合反応の条件について説明する。
この反応は、上記の加水分解性シラン組成物を溶解した親水性溶媒溶液中に撹拌条件下で酸触媒水溶液を連続的に滴下して行う。
親水性溶媒としては、加水分解性シラン化合物の多量体を溶解し得る限り、特に制限されないが、一般的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピルセロソルブ類などのセロソルブ類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類が使用される。これらの溶媒は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
親水性溶媒の使用量は、特に制限されないが、加水分解性シラン組成物100質量部に対して、通常0.1~100000質量部、好ましくは100~10000質量部である。
酸触媒水溶液としては塩酸や酢酸などの水溶液が例示される。加水分解性シラン化合物の加水分解および縮合反応は、酸触媒を使用せず、水のみで行うことも不可能ではないが、その場合は、加水分解反応に長時間を要するのみではなく、本発明の目的を達成することは困難である。その理由は次のように推定される。
すなわち、触媒を使用しない場合、中性付近での反応となり加水分解反応は非常に遅いが縮合反応は速やかに進行する条件であるため、加水分解反応が十分に進行していない状態から並行して縮合反応が起こり生成物の分子量分布が広くなるからである。また、加水分解が不十分で、生成物には多くの未反応アルコキシ基が残るため、シリケートオリゴマー溶液の保存安定性が悪く、ゲル化に至ることがある。
酸触媒水溶液中の酸濃度は、通常0.0001~0.1質量%、好ましくは0.001~0.01質量%の範囲である。酸触媒をこのような低濃度の水溶液として使用すると、反応系内に多量の水が同伴されることとなり、反応系内のpH調整が容易となり、その結果、競争反応である縮合反応の反応速度を抑制することができる。そのため、傾向としては、加水分解で生じたOH基が適切な速度で消失し、OH基を多量に備えた直鎖構造に富む反応組成物が得られ易くなる。
酸触媒水溶液の酸濃度が上記下限よりも余りにも低い場合は、酸触媒を使用せずに反応を行った場合と同様に本発明の目的達成が困難となる傾向があり、逆に、酸触媒の濃度が上記上限よりも高過ぎる場合は、加水分解は速やかに進行するが縮合反応が遅いため、分子量の低い反応組成物しか得られず、基板密着性、耐擦傷性の効果が劇的に下がる傾向にある。
酸触媒の使用量は、親水性溶媒溶液中の加水分解性シラン組成物の加水分解性基(代表的にはアルコキシ基)の総量100モルに対して、通常0.001~10ミリモル、好ましくは0.01~10ミリモルである。
酸触媒水溶液は連続的に滴下されるが、その滴下速度は反応系内の温度が急上昇しないように適宜選択される。酸触媒水溶液の滴下速度は、親水性溶媒溶液100ml当たり、通常1~10ml/分、好ましくは3~5ml/分である。滴下された触媒水溶液は撹拌により直ちに均一に拡散され均一な加水分解が行われる。なお、撹拌方法は通常の化学反応で採用されている方法を採用することができる。
加水分解性シラン組成物中の加水分解性シラン化合物の加水分解および縮合反応は、実際には、逐次に且つ並行して行われる。本発明の好ましい実施態様においては、OH基を多量に備えた直鎖構造に富む反応組成物を得るとの観点から、可能な限り加水分解と縮合反応とが各別に行われるように、次の3段階に分けて行う。
(1)加水分解反応工程:
加水分解反応は、撹拌条件下に加水分解性シラン組成物の親水性溶媒溶液に酸触媒水溶液を滴下することによって行う。反応温度は、通常5~50℃、好ましく10~40℃である。反応温度が上記下限未満では加水分解反応が遅くなり過ぎ、上記上限超過では縮合反応の回避が困難となる。反応温度の制御は、反応器のジャケットに導通される冷媒の温度・循環量や酸触媒水溶液の滴下速度などによって行われる。親水性溶媒の沸点が低い場合は還流条件下に加水分解反応を行う。反応時間は、通常1~60分、好ましくは5~30分である。
加水分解反応は発熱反応であり、反応液は通常1~15℃温度上昇する。加水分解反応が実質的に完了したことを確認するため、酸触媒水溶液の滴下終了後に反応温度が5~10℃低下するまで撹拌を続行するのが好ましい。
(2)縮合反応工程:
前記工程に引き続き、必要に応じて反応温度を高め、撹拌条件下に縮合反応を行う。反応温度は、通常40~80℃、好ましく50~60℃である。反応温度が上記下限未満では縮合反応が遅くなり過ぎ、上記上限超過では過剰な縮合反応の回避が困難となる。昇温速度は、通常0.1~10℃/分とされる。反応時間は、通常1~120分、好ましくは5~60分である。
(3)縮合反応停止工程:
反応液を冷却して縮合反応を停止する。冷却温度は通常10~30℃である。この際、縮合反応組成物の濃度低減のために溶媒を添加する冷却希釈により縮合反応を停止するのが効果的である。なお、溶媒は反応溶媒と同一のものが好適であるが、液性調整のため別の溶媒を使用しても良い。
溶媒の添加量は、加水分解性シラン化合物、反応に供した溶媒および酸触媒水溶液の総量に対する溶媒の濃度として表した場合、通常50~150質量%の範囲である。
前記の冷却希釈による縮合反応停止工程によれば、得られるシリケートオリゴマー溶液の保存安定性が高くなり、また、各用途の要求に合う濃度に調整し得るシリケートオリゴマー溶液の製造が可能になる。
上記の縮合反応工程により、得られるシリケートオリゴマーの重量平均分子量が決定される。シリケートオリゴマーの重量平均分子量は、通常1000~5000、好ましくは2000~4000である。斯かる分子量は平均多量化度nが2~100の多量体に相当する。
上記の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により下記の条件で測定された値である。
溶媒:テトラヒドロフラン
装置名:TOSOH HLC-8220GPC
カラム:TOSOH TSKgel Super HM-N(2本)とHZ1000(1本)を接続して使用
カラム温度:40℃
試料濃度:0.01質量%
流速:0.6ml/min
較正曲線:PEG(分子量20000、4000、1000、200の4点3次式近似による較正曲線を使用
このようにして得られるシリケートオリゴマー溶液のシリケートオリゴマー濃度は、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が最も好ましい。シリケートオリゴマー濃度が高いと溶液の安定性が悪くなり、後述の無機ナノシートを含む分散液と混合した時の分散性が均一になりにくい。一方、表面被覆層の形状効率の面から、シリケートオリゴマー溶液のシリケートオリゴマー濃度は0.1質量%以上であることが好ましい。
<無機層状化合物>
本発明で用いる無機層状化合物は、多孔質体への浸み込み防止性の観点からスメクタイト族粘土鉱物であることが好ましく、スメクタイト族粘土鉱物は分散媒体中に分散させて用いることができる。
スメクタイト族粘土鉱物には、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、バイデライトなどがあり、これらの粘土鉱物を形成する単位結晶は厚さが1nm程度、面方向の幅が数十~1000nm程度の非常に薄い平板状の高アスペクト構造を持ち、比表面積が大きいナノ材料で、中でもモンモリロナイトが好適に用いられる。
スメクタイト族粘土鉱物は、分散媒体と混合することにより、膨張劈開し、1層から数層程度に分離された二次元のナノ物質(以下、「無機ナノシート」ということがある)の形状にしたものを用いることができる。
スメクタイト族粘土鉱物には、天然物と合成物があるが、天然物は含まれる成分から着色するものがあるため、光学材料向けに使用する場合は、着色が無く、透明性の高い合成物が好適である。合成物の市販品としては、クニミネ工業社製のスメクトンST、スメクトンSWN、スメクトンSAなどを用いることができる。
無機ナノシートの形状は限定されないが、塗工する多孔質体の空孔サイズよりも面方向の面積が大きい方が好ましい。面積の小さい形状のものは、塗工時に空孔に浸み込み、空孔を閉塞させてしまう問題がある。そのため、高負荷のかかる高圧分散装置や高速撹拌装置による分散は無機ナノシートを小さくするため向いていない。
分散媒体は水が好適に用いられ、水単独でも水と親水性溶媒の混合溶媒であってもよい。多孔質体への表面被覆層形成用塗工液の濡れ性改善のため、親水性溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類などが用いられる。無機ナノシートの分散を阻害しない限り、混合できる溶媒の種類は限定されない。ただし、水以外の溶媒を使用すると、その比率が上がるにつれ、塗工液の分散状態が不安定となるため、透明分散性を維持する程度に使用することが望ましい。
無機ナノシートを含む分散液は、水に無機層状化合物の粉体を添加し、撹拌することで得ることができる。この時、無機層状化合物は少量ずつ加え、加えた粉体を透明に分散させた後に残りの粉体を加えることが好ましい。粉体を一度に全量加えると、分散できずに粉体が残ることがある。
無機ナノシートの分散液の無機ナノシート濃度は、5質量%以下が好ましく、3質量%がより好ましく、2質量%がより好ましい。無機ナノシート濃度が5質量%を超えると、分散不良や粘度上昇が起こりやすく、薄膜で平滑性があり、浸み込み防止効果の高い表面被覆層が得られにくい。一方、表面被覆層の形成効率の面から、無機ナノシート分散液の無機ナノシート濃度は0.1質量%以上であることが好ましい。
<表面被覆層形成用塗工液の製造方法>
次に、本発明の実施形態に係る表面被覆層形成用塗工液の製造方法について説明する。
表面被覆層形成用塗工液は、無機層状化合物、好ましくは上記の無機ナノシートを含む分散液と、前述のシリケートオリゴマー溶液とを混合することで得られる。
この分散液とシリケートオリゴマー溶液との混合に際しては、必要に応じて、更にアルコール類などの親水性溶媒を添加してもよく、親水性溶媒を添加混合することで、表面被覆層形成用塗工液の固形分濃度を調整すると共に、多孔質体への塗工液の濡れ性を調整して製膜性を向上させることができる。
無機層状化合物の分散液とシリケートオリゴマー溶液とを混合する際の無機層状化合物とシリケートオリゴマーの混合比は、得られる表面被覆層形成用塗工液を用いて多孔質体に表面被覆層を形成した際に、多孔質体の空孔を閉塞しない限り特に限定されない。シリケートオリゴマーの割合が多過ぎると無機層状化合物に吸着していないシリケートオリゴマーが増え、塗工時の浸み込みが問題となる。一方、シリケートオリゴマーが少なすぎると、シリケートオリゴマーが吸着していない無機層状化合物が増え、無機層状化合物同士及び表面被覆層と多孔質体との密着性が低くなり、後工程や使用環境において表面被覆層が剥離する恐れがある。
このような観点から無機層状化合物とシリケートオリゴマーとの混合比は、無機層状化合物:シリケートオリゴマー=1:0.1~10(質量比)であることが好ましく、特に1:0.2~1(質量比)であることが好ましい。
アルコール類などの親水性溶媒は無機層状化合物が凝集しない程度の量を加えることができ、無機層状化合物の分散液に加えてもよく、シリケートオリゴマー溶液に加えてもよく、無機層状化合物の分散液とシリケートオリゴマー溶液との混合液や混合時に加えてもよい。
表面被覆層形成用塗工液は、固形分濃度(溶媒以外の成分濃度)が0.1~5質量%、特に0.1~3質量%となるように調整するのが好ましい。表面被覆層形成用塗工液の固形分濃度が上記上限以下であれば、塗工液がゲル化しにくい傾向があり、上記下限以上であれば膜厚が均一で表面平滑に成膜できる傾向があり、好ましい。
本発明の表面被覆層形成用塗工液を上記の通り、シリケートオリゴマー溶液と無機層状化合物分散液との混合により製造する理由は以下の通りである。
シリケートオリゴマーは、分子サイズが小さく、そのまま使用すると多孔質体の空孔に浸み込み、空孔を塞ぐ問題が起こるため、無機層状化合物にシリケートオリゴマーを吸着させて使用することが必須である。
前述の製造法により得られるシリケートオリゴマーは、OH基を多量に備えた直鎖構造に富む反応組成物で、親水性溶媒中に安定化されているが、濃縮などによる溶媒除去、酸性やアルカリ性の溶液に混合すると、OH基が縮合反応により減少する。一方で、無機層状化合物の分散液はアルカリ性であるので、シリケートオリゴマー溶液と無機層状化合物の分散液を混合することで速やかにOH基は縮合し、一部は無機層状化合物の表面に吸着し、一部はシリケートオリゴマー同士で縮合するものと推定される。ここで、吸着状態はシリケートオリゴマー溶液およびシリケートオリゴマー溶液に無機層状化合物を加えた分散液のH-NMRを測定し比較することで観察することができる。つまり、シリケートオリゴマー溶液のH-NMR測定によりOH基と推定される化学シフト値(δ値)が6~8ppmに観察され、この溶液に無機層状化合物を加えた分散液では6~8ppmのピークが消失することから、シリケートオリゴマーと無機層状化合物が吸着したものと推定している。
従って、上記の製造法により、無機層状化合物にシリケートオリゴマーを吸着させることができ、さらに溶媒中に透明かつ安定な状態で保管が可能になる。表面被覆層形成用塗工液をこの状態で多孔質体表面に塗工することにより、多孔質体の空孔を維持したまま表面に無機層状化合物の表面被覆層を密着性よく形成することができる。
尚、本発明における「吸着」とは、化学吸着又は物理吸着のいずれでもよく、水素結合、イオン性結合、共有結合、van der Walls力などの相互作用による結合が挙げられる。中でも、水素結合、イオン結合、共有結合による相互作用が好ましい。上記実施形態では、一部イオン性の相互作用、一部縮合反応で吸着していると思われる。
<表面被覆層の形成>
多孔質体の表面に表面被覆層形成用塗工液を塗工して、加熱、乾燥して溶媒を除去することにより、多孔質体上に本発明の表面被覆層を形成することができる。
表面被覆層形成用塗工液の塗工方法は、特に制限されず、ディップコート法、スピンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、カーテンコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法を挙げることができる。
上記の乾燥は溶媒を除去するために行われ、乾燥温度は通常70~120℃であり、熱風乾燥機などが好適に使用される。乾燥時間は通常1~10分、好ましくは1~5分である。
表面被覆層の膜厚は、1~30nmが好ましく、1~20nmがより好ましい。表面被覆層の膜厚が厚すぎると、反射防止性能における最小反射率の上昇、最小反射率波長のシフトが起こり、光学性能上に問題となるおそれがある。一方、表面被覆層の膜厚が薄すぎると、表面被覆層を形成したことによる浸み込み防止性能が不十分になるおそれがある。
[多孔質ケイ素積層体]
上記の通り、例えば、基板上に前述の多孔質ケイ素層の製造方法で形成した多孔質ケイ素層上に本発明の表面被覆層を形成することで、図1に示すように、基板1/多孔質ケイ素層2/表面被覆層3の多孔質ケイ素積層体を得ることができる。
多孔質体上に本発明の表面被覆層を形成した本発明の多孔質ケイ素積層体において、表面被覆層の形成により多孔質体の空孔が閉塞されていないことは、多孔質ケイ素積層体の最小反射率を測定することで確認することができる。
即ち、表面被覆層を形成することで、多孔質体の空孔が埋められてしまうと、屈折率が増加する結果、表面被覆層形成前の多孔質体に比べて最小反射率が大きくなる。
本発明の表面被覆層形成用塗工液により、多孔質ケイ素体の表面に表面被覆層を形成した場合、表面被覆層形成前の多孔質ケイ素体に比べて最小反射率の増加の程度は小さく、その増加の割合は好ましくは1.0%未満、より好ましくは0.8%以下である。
本発明の多孔質ケイ素積層体の最小反射率は好ましくは1.5%未満、より好ましくは1.0%以下である。
ここで、最小反射率とは200~1500nmの波長域での特定波長の反射率のうち、反射率が最小になる光の波長における反射率をさし、多孔質ケイ素積層体の表面被覆層側から光を入射させて測定した反射スペクトルから求めることができる。
なお、多孔質ケイ素層の最小反射率は、多孔質ケイ素層の屈折率(空隙率)および塗工する基板によっても異なり、屈折率1.52のガラス基板の表面に屈折率1.25の多孔質ケイ素層を形成したものでは最小反射率は0.05%、屈折率1.32の多孔質ケイ素層を形成したものでは最小反射率は0.5%程度である。
多孔質ケイ素積層体は、その用途において浸み込みなどが問題となる耐薬品性の他に、耐擦傷性、耐指紋性などが要求されるため、図2に示すように、多孔質ケイ素層2の表面被覆層3上にフッ素系シランカップリング剤やアルキル系シランカップリング剤により表面処理層4を形成することで表面を疎水化処理することができる。この場合、本発明の表面被覆層を形成していない多孔質ケイ素体では、多孔質ケイ素層の空孔にその材料が入り込み屈折率が高くなり、さらに多孔質ケイ素層の機械的強度を低下させる問題がある。これに対して、本発明の多孔質ケイ素積層体では、多孔質ケイ素層の表面に表面被覆層を設けているため、上記シランカップ剤等の表面処理剤の浸み込みによる問題を引き起こすことなく、表面処理することができる。ここで得られる表面処理された多孔質ケイ素積層体は、表面が平滑であり、かつ表面が疎水化されているため、耐擦傷性、耐汚染性が向上し、指紋のふき取りも可能になる。
このような本発明の多孔質ケイ素積層体は、例えばディスプレイなどの電子材料、太陽電池などの反射防止膜、導光板等として有効に用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
[多孔質ケイ素積層体の作製]
<シリケートオリゴマーの製造>
(1)加水分解反応工程:
500mLのジャケット付き反応器に、信越シリコーン社製の商品「KBM22」(ジメチルジメトキシシラン含量99質量%)5質量部、三菱ケミカル社製商品「シリケートMS51」(平均多量化度n:7、メチルシリケートオリゴマー含量99.8質量%)20質量部、エタノール50質量部を仕込み、反応上限温度を40℃に設定し、攪拌条件下、0.007質量%の塩酸水溶液33質量部を10分かけて滴下した。この時、発熱反応により5~10℃反応温度が上昇した。反応温度が5~10℃低下するまで撹拌を続行した。なお、2官能の加水分解性シラン化合物中の多量体の割合(「KBM22」と「シリケートMS51」の合計量に対する「シリケートMS51」の割合)は80質量%である。
(2)縮合反応工程:
塩酸水溶液滴下後、撹拌条件下、30分かけて60℃に昇温し、60℃で30分間保持した。その後、室温まで冷却した。
(3)縮合反応停止工程:
冷却後、エタノール110質量部を混合し、30分攪拌することにより、シリケートオリゴマー溶液(A)218質量部を得た。このシリケートオリゴマー溶液(A)のシリケートオリゴマー濃度は7質量%である。
<無機層状化合物分散液の調製>
純水99質量部の撹拌状態に、クニミネ工業社製の商品「スメクトンSWN」(合成スメクタイト)1質量部を数回に分けて仕込み、30分撹拌混合し、濃度1質量%の無機層状化合物分散液(B)100質量部を得た。
<表面被覆層形成用塗工液の製造>
上記で得られたシリケートオリゴマー溶液(A)218質量部に、上記で得られた無機層状化合物分散液(B)を3612質量部、エタノールを1335質量部加え、撹拌混合することで、表面被覆層形成用塗工液を5165質量部得た。この表面被覆層形成用塗工液に含まれる無機層状化合物とシリケートオリゴマーの割合は無機層状化合物:シリケートオリゴマー=1:0.43(質量比)であり、固形分濃度は1質量%である。
<多孔質ケイ素積層体の作製>
厚み1mmのスライドガラス板(松浪硝子社製「S9111」)に形成した屈折率1.32の多孔質ケイ素層(空隙率29%、厚み132nm)の表面に、上記で得られた表面被覆層形成用塗工液を滴下し、スピンコーター(ミカサ社製「MS-A150」)により1500rpmで30秒コートし、その後、溶媒を除去するために、定温恒温送風機(ヤマト科学社製)に入れ、120℃で1分乾燥することで、表面被覆層が積層された多孔質ケイ素積層体(C)を得た。
なお、上記の屈折率1.32の多孔質ケイ素層の空孔サイズを電子顕微鏡による観察像の解析により測定したところ、50nm以下であることが確認された。
[多孔質ケイ素積層体の評価]
<多孔質ケイ素層と表面被覆層との密着性評価>
上記で得た多孔質ケイ素積層体(C)の表面にニチバン(株)製の工業用24mmセロテープを貼付け、垂直方向に引き離して、多孔質ケイ素層と表面被覆層との密着性を下記基準で評価した。
(密着性の評価基準)
○:層間において剥離しないもの
×:層間において剥離するもの
<多孔質ケイ素積層体の浸み込み性の評価>
上記で得た多孔質ケイ素積層体(C)において、表面被覆層の形成前後の積層体に、表面被覆層側から光を入射させたときの反射率を測定することで、表面被覆層形成用塗工液の塗工による多孔質ケイ素層の空孔への浸み込み状態を評価した。評価する積層体サンプルは、ガラス基板の裏面からの反射を抑えるため、裏面にデンカ社製のビニテープ(黒)を貼りつけたものを準備し、フィルメトリクス社製干渉式膜厚測定装置F20により反射スペクトルの測定し、最小反射率を求めた。
なお、ガラス基板上に屈折率1.32の多孔質ケイ素層を形成した積層体の最小反射率は0.5%であった。多孔質ケイ素層の空孔に浸み込みが起きた場合、多孔質ケイ素層の屈折率は高くなるため、その結果、最小反射率は高くなる。
上記評価結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、シリケートオリゴマーを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様に多孔質ケイ素積層体を作製して評価を行なった。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
実施例1において、無機層状化合物を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして多孔質ケイ素積層体を作製して評価を行なった。結果を表1に示す。
Figure 0007218539000001
表1より次のことが分かる。
実施例1は、シリケートオリゴマーが吸着した無機層状化合物の表面被覆層と多孔質ケイ素層表面との密着性に優れ、多孔質ケイ素積層体の反射率も1.5%未満であった。
一方、比較例1は、無機層状化合物のみが積層されたことで、表面被覆層と多孔質ケイ素層との密着性がないことが分かる。このことから、多孔質体との密着性には、シリケートオリゴマー成分が必須であることが言える。
また、比較例2は、密着性は良好であるが、最小反射率が1.5%以上となり、シリケートオリゴマーの多孔質ケイ素層の空孔への浸み込みがあり、本来の多孔質ケイ素層の性能が低下したことが言える。
〔実施例2〕
[多孔質ケイ素体/ガラス基板積層体の作製]
52×76mmにカットした市販の離型層付のポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、離型PETフィルム)の離型層面に形成された屈折率1.32の多孔質ケイ素層の表面に、実施例1で得られた表面被覆層形成用塗工液を滴下し、スピンコーター(ミカサ社製の「MS-A150」)にて1500rpmで30秒コートし、その後、溶媒を除去するために、定温恒温送風機(ヤマト科学社製)に入れ、120℃で1分乾燥することで、表面被覆層が積層された多孔質ケイ素積層体を得た。
上記で得られた多孔質ケイ素積層体の表面被覆層表面に、市販の光学粘着剤シート(NITTO社「CS98641UA」)を貼り合せ、光学粘着剤シートを介して多孔質ケイ素積層体の表面被覆層面にスライドガラス板を貼り合せた。
次に、離型PETフィルムを剥がすことで、ガラス基板側から、ガラス基板/光学粘着シート/表面被覆層/多孔質ケイ素層の積層構造の積層体(D)を得た。
[多孔質ケイ素体/ガラス基板積層体の評価]
<多孔質ケイ素層と表面被覆層との密着性の評価>
上記積層体(D)の製造において、離型PETフィルムを剥がした後、離型PETフィルム側に多孔質ケイ素体が残っていないものを密着性良好「○」(多孔質ケイ素層が光学粘着剤側に転写できた)と評価し、離型PETフィルム側に多孔質ケイ素体が残っているものを密着性不良「×」(表面被覆層が光学粘着剤側に転写し、多孔質ケイ素層は離型PETフィルムに残った)と評価した。
<多孔質ケイ素体/ガラス基板積層体の浸み込み性の評価>
上記で得た積層体(D)に、ガラス基板側から光を入射させたときの反射率を測定することで、光学粘着剤の多孔質ケイ素層の空孔への浸み込み状態を評価した。評価する積層体(D)は、積層体(D)の裏面(多孔質ケイ素層側)からの反射を抑えるため、裏面にデンカ社製のビニテープ(黒)を貼りつけたものを準備し、フィルメトリクス社製干渉式膜厚測定装置F20により反射スペクトルの測定し、最小反射率を求めた。
なお、ガラス基板上に屈折率1.32の多孔質ケイ素層を形成した積層体の最小反射率は0.5%であった。多孔質ケイ素層の空孔に光学粘着剤の浸み込みが起きた場合、多孔質ケイ素層の屈折率は高くなるため、その結果、最小反射率は高くなる。
また、上記浸み込み性の評価を行ったサンプルを、70℃にて30分保存後に、再度同様に最小反射率を測定した。
上記評価結果を表2に示す。
〔比較例3〕
実施例2において、表面被覆層形成用塗工液を使用しなかったこと以外は、実施例2と同様にして多孔質ケイ素体/ガラス基板積層体を作製して同様に評価を行った。結果を表2に示す。
〔比較例4〕
実施例2において、シリケートオリゴマーを使用しなかったこと以外は、実施例2と同様にして多孔質ケイ素体/ガラス基板積層体を作製して評価を行った。なお、本比較例の積層体は密着性が悪かったで、浸み込み性の評価は行わなかった。結果を表2に示す。
Figure 0007218539000002
表2より次のことが分かる。
実施例2は、シリケートオリゴマー及び無機層状化合物を用いた表面被覆層と多孔質ケイ素層表面との密着性が良好であるとともに、積層体の反射率が1.0%以下で、70℃、30分保持においても、その変化はないものであった。
一方、比較例3は、積層体の反射率が1.0%以上で、70℃、30分保持すると、反射率の変化が見られた。これは、多孔質ケイ素層表面に表面被覆層がないため、光学粘着剤の成分が多孔質ケイ素層の空孔に浸み込むことで反射率が高くなったことによるものと言える。
また、比較例4は、離型PETフィルム側に多孔質ケイ素層が残っていた。つまり、多孔質ケイ素体と無機層状化合物との密着性がないために、無機層状化合物のみが光学粘着剤側に移行したことが言える。
1 基板
2 多孔質ケイ素層
3 表面被覆層
4 表面処理層

Claims (7)

  1. 多孔質ケイ素体、多孔質金属、多孔質無機有機ハイブリッド体のいずれかである多孔質体の表面に被覆層を形成するための塗工液であって、シリケートオリゴマーが吸着したスメクタイト族粘土鉱物を含み、スメクタイト族粘土鉱物とシリケートオリゴマーとの質量比が、スメクタイト族粘土鉱物:シリケートオリゴマー=1:0.2~1である表面被覆層形成用塗工液。
  2. 多孔質ケイ素体、多孔質金属、多孔質無機有機ハイブリッド体のいずれかである多孔質体の表面に被覆層を形成するための塗工液を製造する方法であって、
    2官能の加水分解性シラン化合物と加水分解性シラン化合物の多量体とを含み且つ該加水分解シラン化合物の多量体を50質量%以上含む加水分解性シラン組成物が溶解した親水性溶媒溶液に、撹拌下、酸濃度が0.0001~0.01質量%である酸触媒水溶液を連続的に滴下して該加水分解性シラン組成物の加水分解および縮合反応を行い、
    得られた反応液を溶媒で希釈してシリケートオリゴマー溶液を得、
    得られたシリケートオリゴマー溶液と、スメクタイト族粘土鉱物無機層状化合物が分散媒体に分散した分散液とを、スメクタイト族粘土鉱物とシリケートオリゴマーとの混合比が、スメクタイト族粘土鉱物:シリケートオリゴマー=1:0.2~1(質量比)となるように混合することを特徴とする表面被覆層形成用塗工液の製造方法。
  3. 多孔質ケイ素体と、シリケートオリゴマーが吸着したスメクタイト族粘土鉱物を含み、スメクタイト族粘土鉱物とシリケートオリゴマーとの質量比が、スメクタイト族粘土鉱物:シリケートオリゴマー=1:0.2~1である表面被覆層とが積層されてなる多孔質ケイ素積層体。
  4. 前記多孔質ケイ素体の空孔サイズが50nm以下であることを特徴とする請求項に記載の多孔質ケイ素積層体。
  5. 前記表面被覆層側から前記多孔質ケイ素積層体に入射する光に対する最小反射率において、前記表面被覆層を形成する前と形成した後の最少反射率の差が1.0%未満であることを特徴とする請求項又はに記載の多孔質ケイ素積層体。
  6. 前記表面被覆層の表面がシランカップリング剤で処理されている請求項ないしのいずれか1項に記載の多孔質ケイ素積層体。
  7. 請求項ないしのいずれか1項に記載の多孔質ケイ素積層体を製造する方法であって、空孔サイズが50nm以下の多孔質ケイ素体の表面に、シリケートオリゴマーが吸着したスメクタイト族粘土鉱物を含む表面被覆層形成用塗工液を塗工した後乾燥する工程を含むことを特徴とする多孔質ケイ素積層体の製造方法。
JP2018197663A 2018-10-19 2018-10-19 表面被覆層形成用塗工液及び多孔質ケイ素積層体 Active JP7218539B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018197663A JP7218539B2 (ja) 2018-10-19 2018-10-19 表面被覆層形成用塗工液及び多孔質ケイ素積層体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018197663A JP7218539B2 (ja) 2018-10-19 2018-10-19 表面被覆層形成用塗工液及び多孔質ケイ素積層体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020063180A JP2020063180A (ja) 2020-04-23
JP7218539B2 true JP7218539B2 (ja) 2023-02-07

Family

ID=70388083

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018197663A Active JP7218539B2 (ja) 2018-10-19 2018-10-19 表面被覆層形成用塗工液及び多孔質ケイ素積層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7218539B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2022155374A (ja) * 2021-03-30 2022-10-13 日東電工株式会社 光学積層体、光学積層体の製造方法、光学部材、光学装置、光学部材の製造方法、及び光学装置の製造方法
JP2022155373A (ja) * 2021-03-30 2022-10-13 日東電工株式会社 光学積層体、光学積層体の製造方法、光学部材、光学装置、光学部材の製造方法、及び光学装置の製造方法
CN115926508B (zh) * 2022-12-12 2023-09-19 浙江双金粉末涂料有限公司 一种降低热量传递且成膜致密的粉末涂料及成膜方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015021029A (ja) 2013-07-17 2015-02-02 東レ株式会社 組成物、これを用いた反射防止層およびその形成方法、ならびにそれを有するガラスおよび太陽電池モジュール
JP2016001200A (ja) 2012-10-15 2016-01-07 旭硝子株式会社 防汚性反射防止膜、物品およびその製造方法
JP6365751B1 (ja) 2017-07-24 2018-08-01 三菱ケミカル株式会社 酸化ケイ素薄膜形成用バインダー液および塗工液の製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016001200A (ja) 2012-10-15 2016-01-07 旭硝子株式会社 防汚性反射防止膜、物品およびその製造方法
JP2015021029A (ja) 2013-07-17 2015-02-02 東レ株式会社 組成物、これを用いた反射防止層およびその形成方法、ならびにそれを有するガラスおよび太陽電池モジュール
JP6365751B1 (ja) 2017-07-24 2018-08-01 三菱ケミカル株式会社 酸化ケイ素薄膜形成用バインダー液および塗工液の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020063180A (ja) 2020-04-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100671990B1 (ko) 복합박막 보유기판, 투명도전성막 보유기판 및 면발광체
JP3674585B2 (ja) エアロゲル基板及びその製造方法
CN1918002B (zh) 具有多层结构的塑料基板及其制备方法
US20090004462A1 (en) Inorganic-Organic Hybrid Nanocomposite Antiglare and Antireflection Coatings
JP7218539B2 (ja) 表面被覆層形成用塗工液及び多孔質ケイ素積層体
KR101553823B1 (ko) 반사방지 조성물, 이의 제조 방법 및 용도
CN111164140B (zh) 空隙层、层叠体、空隙层的制造方法、光学构件及光学装置
CN104813198A (zh) 包含硬涂层的光特性优秀的防反射膜
KR20080095251A (ko) 유리판의 코팅 방법
JP4279064B2 (ja) 多孔性シリカ膜、それを有する積層体
WO2010140714A1 (ja) 無機粒子複合体の製造方法
WO2014022368A2 (en) Anti-reflective hard coat and anti-reflective article
JP6365751B1 (ja) 酸化ケイ素薄膜形成用バインダー液および塗工液の製造方法
JP2010128309A (ja) 反射防止膜付基材および反射防止膜形成用塗布液
JP4279063B2 (ja) 多孔性シリカ膜、それを有する積層体
CN100463578C (zh) 电致发光元件
US20140272127A1 (en) Anti-Glare Coatings with Sacrificial Surface Roughening Agents and Methods for Forming the Same
KR20180119223A (ko) 실라잔계 코팅액을 이용한 코팅 조성물 및 이를 이용한 배리어 도막의 형성방법
KR101233936B1 (ko) 치수 안정성과 가스차단 특성이 우수한 투명 플라스틱 필름및 그 제조방법
GB2510211A (en) Composition containing oxide nanoparticles
WO2024001464A1 (zh) 中空二氧化硅溶胶、其制备方法、涂料组合物及制品
JP2021182134A (ja) 防曇性多孔質酸化ケイ素膜およびその製造方法
JP5742519B2 (ja) セラミックス多孔質体
JP2024098786A (ja) 積層体及びその製造方法
JP2009096696A (ja) 表面被覆六ホウ化物粒子前駆体の製造方法と表面被覆六ホウ化物粒子前駆体、表面被覆六ホウ化物粒子並びにその分散体、および、表面被覆六ホウ化物粒子が用いられた構造体と物品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210513

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220217

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220301

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220426

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220608

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220927

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221124

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20221227

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230109

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7218539

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151