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JP7197290B2 - アンカー素子定着方法及びそれに用いられる水硬性組成物 - Google Patents

アンカー素子定着方法及びそれに用いられる水硬性組成物 Download PDF

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JP7197290B2 JP2018121667A JP2018121667A JP7197290B2 JP 7197290 B2 JP7197290 B2 JP 7197290B2 JP 2018121667 A JP2018121667 A JP 2018121667A JP 2018121667 A JP2018121667 A JP 2018121667A JP 7197290 B2 JP7197290 B2 JP 7197290B2
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Description

本発明は、例えばカルバート、ダム堤体、建物のようなコンクリート躯体や岩盤に、鉄筋やアンカーボルトのようなアンカー素子を定着させるためのアンカー素子定着方法及びれに用いられる水硬性組成物に関する。
カルバート、ダム堤体、トンネル、建物のような既存のコンクリート製人工構造物の耐震強度や耐久性を高めるために、せん断耐力を向上させる補強工事が行われている。また、法面を覆ってそれの崩落を防止するという所謂張コンクリートに、必要に応じて落石防護網や雪崩防止柵のような工作物を取り付ける工事が行われている。これらの工事は、コンクリート構造物を形成しているコンクリート躯体や岩盤に、ドリルやコアボーリングマシンのような回転工具で円筒形の削孔を形成し、そこへ硬化性の定着剤を入れ、さらに鉄筋やアンカーボルトのようなアンカー素子を打ち込んで定着させるというものである。
このようなアンカー素子定着工事に用いられる定着剤として、セメントを含む水硬性組成物が採用されている。アンカー素子定着工事においては、この水硬性組成物を水と混合して硬化性ペーストを調製し、これをアンカー素子と削孔の内壁面との間に充填し、養生を経て硬化性ペーストを硬化させて硬化物とする。硬化物が所望の強度を発揮するように、水硬性組成物に対する水の量は予め決められており、さらに両者を均一に混合することを要する。この硬化性ペーストの調製方法として、袋のようなパウチ容器に収容された水硬性組成と水とを、パウチ容器内で混合する方法が知られている。
例えば特許文献1に、仕切具で二つに区画されたパウチ容器の上側収納部に水硬性組成物を収容し、下側収納部に水を収容しているパウチ容器の上端部と下端部とを引っ張ることによって仕切具を外し、水硬性組成物を水に落下させた後、パウチ容器を手で揉んだり振ったり、また機械で振動を付与したりして両者を混合し、硬化性ペーストを調製するというパウチ容器の使用方法が記載されている。この方法によれば、大掛かりな混練装置が不要であるので、アンカー素子定着工事へ手軽に適用できる。
しかし、このパウチ容器の使用方法は、水硬性組成物の重量に仕切部が耐えうる程度の量しか収容できず、パウチ容器内の水硬性組成物が少量に限られるので、調製可能な硬化性ペーストの量も少量に限られる。そのため、例えば施工箇所が二~三箇所から十箇所程度の小規模なアンカー素子定着工事に適している。しかしながら、このパウチ容器を用いて二十箇所を超えるような中規模以上のアンカー素子定着工事を行う場合、何度も硬化性ペーストを調製する必要がある。また水硬性組成物と水との混合時、パウチ容器を手で揉んだり振ったりする方法によれば、作業者の技量に依存し調製される硬化性ペーストの品質を一定に保つのが困難である。一方、特許文献1には機械で振動を付与して水硬性組成物と水とを混合する旨が記載されているものの、具体的な混合方法が開示されていない。
特開2011-25424号公報
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、小規模だけでなく中規模のアンカー素子定着工事にも適用でき、かつ水硬性組成物と水とを簡便な方法によって短時間で均一に混合及び混練できることにより、常に同じ品質の硬化性ペーストを調製できるアンカー素子定着方法及びそれに用いられる水硬性組成物を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた、本発明のアンカー素子定着方法は、水硬性組成物を収容している袋体と、外界と前記袋体の内空とをそれの上端辺部で連通させているポートとを有するパックに、水が入ったボトルに取り付けられ鱗状環部を有するコネクタに接続された接続チューブを介して鱗状環部を有する前記ポートから、又は水が入ったボトルに取り付けられテーパーを有する注水ノズルを介して前記ポートから、液密に前記水を入れる工程と、前記水硬性組成物及び前記水を遺漏させないキャップを前記ポートに取り付け、前記パックに外力を加えることにより、前記水硬性組成物と前記水とを混合して硬化性ペーストを調製する工程と、前記キャップを除去した後、前記袋体を潰すことによって、前記硬化性ペーストを前記ポートから押し出してコンクリート躯体に開けられた削孔へ注入する工程と、前記硬化性ペーストに突き刺しながら前記削孔にアンカー素子を挿入し、前記硬化性ペーストを硬化させる工程とを、有するものであって、
前記水硬性組成物が、
ポルトランドセメント、アルミナセメント、及び急結剤を含有する水硬成分と、
シリカ微粒子、及び/又はカオリンを含んでいる強度増進剤と、
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸、及びこれらの塩から選ばれるスルホン酸系流動化剤と、ポリカルボン酸、下記化学式(1)
Figure 0007197290000001
(化学式(1)中、R は水素原子又はメチル基であり、R は炭素数2~4のアルキレン基であり、R は炭素数2~5のアルキル基であり、nは1~100の正数である。)で表される単量体(1)及び下記化学式(2)
Figure 0007197290000002
(化学式(2)中、R 、R 、及びR は水素原子又はメチル基であり、Mは水素原子、ナトリウム、リチウム、及びカリウムから選ばれるアルカリ金属、又はマグネシウム、カルシウム、及びバリウムから選ばれるアルカリ土類金属である。)で表される単量体(2)との共重合体であるポリカルボン酸エーテル、及びこれらの塩から選ばれるカルボン酸系流動化剤との少なくとも何れかである遅延型流動化剤と、
クエン酸、クエン酸ナトリウム、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、サリチル酸、m-オキシ安息香酸、及びp-オキシ安息香酸から選ばれるオキシカルボン酸と、リグニンスルホン酸と、ソルビトール、ペンチトール、及びヘキシトールから選ばれる糖アルコールと、オキシカルボン酸及び/又はリグニンスルホン酸のリチウム塩、カリウム塩、及びナトリウム塩から選ばれるそのアルカリ金属塩、そのマグネシウム塩、及びそのカルシウム塩から選ばれるアルカリ土類金属塩との少なくとも何れかである凝結時間調整剤と、
JIS G5901(2016)に準拠した粒度区分を4~8号としている細骨材と
を含んでいる
アンカー素子定着方法は、前記外力が器具の押圧力及び/又は人力であってもよい。
アンカー素子定着方法は、前記器具が、円柱形をなしそれの側面で前記パックを押圧する回転体と前記回転体の中心軸を貫通してそれを軸支している回転軸とを有している押圧ローラーであってもよい。
アンカー素子定着方法は、例えば、前記人力が、前記パックを踏む力、揉む力、及び/又は振る力であるものが挙げられる。
アンカー素子定着方法は、例えば、前記水を入れる工程の直後に、前記パックを押して、前記パック内の空気を前記ポートから排出するものが挙げられる。
アンカー素子定着方法は、注入量指示マークを付した注入チューブを先端部に嵌めているノズルが前記ポートに取り付けられており、前記注入チューブを前記削孔に挿し込んで前記硬化性ペーストを注入しつつ前記注入チューブを前記削孔から抜去する方向に前記パックを移動させ、前記注入量指示マークが前記削孔から出没したときに、前記硬化性ペーストの注入を完了するものであってもよい。
アンカー素子定着方法は、前記袋体が最大で3000gの前記水硬性組成物を収容しているものであってもよい。
アンカー素子定着方法は、例えば、記水硬性組成物の100質量部当たりに、前記水の25~37質量部を入れるものが挙げられる。
アンカー素子定着方法は、前記水硬性組成物、ポルトランドセメント、アルミナセメント、及び急結剤を含有する水硬成分と、強度増進剤と、遅延型流動化剤と、凝結時間調整剤と、JIS G5901(2016)に準拠した粒度区分を4~8号としている細骨材とを含んでいるものである。
アンカー素子定着方法は、前記水硬性組成物が前記ポルトランドセメントを20~50質量部、前記アルミナセメントを30~60質量部、前記急結剤を10~40質量部、前記強度増進剤を1~10質量部、前記遅延型流動化剤を0.1~2質量部、前記凝結時間調整剤を1~10質量部、及び前記細骨材を10~40質量部とするものであってもよい。
アンカー素子定着方法は、例えば、前記遅延型流動化剤が、スルホン酸系流動化剤及び/又はカルボン酸系流動化剤を含んでいるものが挙げられる。
アンカー素子定着方法は、前記強度増進剤が、シリカ微粒子及び/又はカオリンを含んでいてもよい。
アンカー素子定着方法は、例えば、前記遅延型流動化剤が、前記ポリカルボン酸エーテルである前記カルボン酸系流動化剤であって、前記ポリカルボン酸エーテルが、前記単量体(1):単量体(2)を10~95質量%:5~90%質量%とするというものである。
アンカー素子定着方法は、例えば、前記遅延型流動化剤が、前記単量体(1)を、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びエトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも何れかとし、前記単量体(2)を、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、及びこれらの金属塩から選ばれる少なくとも何れかとするというものである。
アンカー素子定着方法は、例えば、前記シリカ微粒子が、シリカフュームであるものが挙げられる。
アンカー素子定着方法に用いられる水硬性組成物は、ポルトランドセメント、アルミナセメント、及び急結剤を含有する水硬成分と、強度増進剤と、遅延型流動化剤と、凝結時間調整剤と、JIS G5901(2016)に準拠した粒度区分を4~8号としている細骨材とを含んでいる。
本発明のアンカー素子定着方法によれば、水は予めパックに収容されておらず用時に所要量をパックに入れるため、仕切具で水と水硬性組成物とを区画することを要しないから、パックの構成を簡素にできるとともに、輸送時や保管時に仕切具が外れたり緩んだりして両者が接触してしまう不具合を生じない。また、仕切具が外れないよう慎重にパックを取り扱うことを要しないから、簡便に輸送したり保管したりできる。さらに仕切具の耐荷重を考慮することなく、小規模から中規模まで施工規模に応じた量の水硬性組成物をパックに収容しておき、適当な量の硬化性ペーストを調製できる。
アンカー素子定着方法において、外力を加えるための器具が回転体と回転軸とを有する押圧ローラーであると、作業者は回転軸を握って袋体上で押圧ローラーを往復させるだけで水硬性組成物と水とを混合及び混練できるので、特段の要領が不要で作業者が有する作業の習熟度に依存せず、速やかに硬化性ペーストを調製できる。またアンカー素子定着方法によれば、パックを踏んだり、揉んだり、振ったりするという極めて簡便な方法で、水硬性組成物と水とを混合できる。
アンカー素子定着方法において、注入量指示マークが付された注入チューブを用いると、作業者がコンクリート躯体に開けられた削孔から注入チューブを抜去する方向へとパックを移動させながら硬化性ペーストを注入し、注入量指示マークが削孔の開口から出没した時点で注入を完了するだけという簡素な作業で、過不足なしで規定量の硬化性ペーストを削孔内に注入できる。それにより、硬化性ペーストが注入された削孔へアンカー素子を挿入する工程において、過剰量の硬化性ペーストが削孔の開口から溢れないので、経済的であり、廃棄物を削減できる。さらに硬化性ペーストの注入量不足が生じず、後の工程で不足分の硬化性ペーストを追加注入することを要さないから、アンカー素子定着工事を速やかに進めることができる。
上記のアンカー素子定着方法に用いられる水硬性組成物によれば、高い流動性を有する硬化性ペーストを調製できるので、打込機材を用いることなく硬化性ペーストが注入された削孔にアンカー素子を手で打込むことができる。また、多数の削孔へ流れ作業で次々と硬化性ペーストを注入できるので、短時間に多数箇所の施工が可能である。
水硬性組成物が、強度増進剤としてポゾラン活性に富むシリカ微粒子やカオリンを含んでいると、凝結開始後に緻密な水和物の結晶を生成するので、極めて高い圧縮強度を有する硬化体を得ることができる。
本発明を適用するアンカー素子定着方法の前半工程を説明する斜視図である。 本発明を適用するアンカー素子定着方法の前半工程中、パックに水を入れる工程の別な態様を説明する斜視図である。 本発明を適用するアンカー素子定着方法の前半工程中、パックに水を入れる工程の別な態様を説明する斜視図である。 本発明を適用するアンカー素子定着方法の後半工程を説明する模式部分断面側面図である。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明のアンカー素子定着方法の一例を図1~4を参照しつつ説明する。図1は、アンカー素子定着方法の前半工程を示している。図1(a)に示すように、アンカー素子定着方法に用いられるパック10は、角丸の矩形をなしているフィルム同士がそれらの周縁で一定幅の帯状に溶着された溶着帯11aを有している袋体11と、この袋体11の上端辺部11aで溶着帯11aとともに溶着して固定されたポート12とを、有している。ポート12は筒形をなしており、袋体11の内空と外界とを連通させている。ポート12の上部の外面にキャップ13(図1(b)参照)の内面に形成された雌ねじと螺合する雄ねじが設けられている。袋体11に、内容物として粉体である水硬性組成物Cのみが収容されている。水硬性組成物Cは、水Wと接触することによって硬化性ペーストに変化し、さらに水和反応を生じて硬化して硬化体を生成する。
袋体11において、ポート12を有する上端辺部11a及びこれに対向している下端辺部11aの長さは、袋体11の側辺部11aの長さよりも短いことが好ましい。具体的に、袋体11の外寸は、上端辺部11a及び下端辺部11aの長さ(横の長さ)は、100~300mmであることが好ましく、100~250mmであることがより好ましく、100~200mmであることがより一層好ましい。また、側辺部11aの長さ(縦の長さ)は、200~500mmであることが好ましく、250~500mmであることが好ましく、250~400mmであることがさらに好ましく、300~400mmであることがより一層好ましい。袋体11の外寸は、これらの範囲内において、収容する水硬性組成物Cの量(質量及び体積)と袋体11に注入される水Wの量(質量及び体積)に応じて決定される。
また、袋体11に収容されている水硬性組成物Cの質量は、100~3000gである。収容量はこの間であればよく、例えば500g、1000g、1500g、2000g、及び2500gのように施工箇所数や定着させるべきアンカー素子の太さ及び長さに応じて適宜選択できる。袋体11に収容されている水硬性組成物Cの質量が3000gを超えると、後述するように、水硬性組成物Cに水Wを加えて調製された硬化性ペーストC(図1(d)参照)が重くなりすぎて人の手による作業性が低下する。
まず、袋体11の上端辺部11aを右手31で挟むように支えつつ、パック10が直立するように適当な平台(不図示)に載せる。ポート12に螺合されてそれを覆っているキャップ13(図1(b)参照)を外す。次いで、下方に向かって漸次窄んだ円錐形をなしている円錐部21aとこの円錐部21aの頂部に接続し下方へ向かって緩やかに縮径している管部21bとを有する漏斗21の管部21bを、それの下方先端部からポート12へ挿し込む。管部21bは下方先端部に向かって緩やかに縮径したテーパーを有しており、それの下方先端部の外径はポート12の開口径よりもわずかに小さく、かつそれの中程の外径はポート12の開口径よりも大きい。そのため、漏斗21の管部21bはポート12と篏合して、漏斗21がポート12から脱落しない。
パック10が平台上で直立するように右手31でパック10を支えつつ、水Wが入れられたビーカー41を左手32で持つ。ビーカー41内に、水硬性組成物Cの質量に対応する規定量の水Wが、予め計量されて入れられている。作業者は、ビーカー41をゆっくりと傾けて、水Wを漏斗21の円錐部21aへ注ぐ。それにより、水Wが袋体11内に流入する。水Wは、袋体11の内側面を伝って水硬性組成物Cに到達し、それに吸収される。作業者は、ビーカー41内の水Wの全量を、袋体11に入れる。それにより、規定量の水Wが水硬性組成物Cに吸収される。
水硬性組成物Cの100質量部当たり水W量は、20~37質量部であることが好ましく、25~35質量部であることがより好ましく、25~30質量部であることがより一層好ましい。水Wの量がこの下限値未満であると、水Wの量が不足して均質な硬化性ペーストCを調製できず、所期の強度を有する硬化体C(図4(f)参照)が得られない。一方水Wの量がこの上限値を超えると、硬化性ペーストCが硬化し難い上、必要な強度を有する硬化体Cを形成できない。また、水の温度は、5~40℃であることが好ましく、10~20℃であることがより好ましい。
次いでポート12から漏斗21を取り外し、図1(b)に示すようにポート12にキャップ13を螺合して取り付ける。それによりキャップ13が、ポート12の開口を覆って液密に塞いでいるので、袋体11内の水硬性組成物Cと水Wとが遺漏しない。作業者は、両手31,32でパック10を掴んで袋体11を揉む。それにより袋体11が変形し、水硬性組成物Cと水Wとが予備混合される。このとき、必要に応じて上端辺部11aを下に、かつ下端辺部11a上に向けるようにパック10を天地逆転させたり、パック10を水平又は垂直方向へ揺するように往復させたり、袋体11を折り曲げたりしてもよい。なお、水硬性組成物C及び水Wとともに、空気Aが袋体11の内空の体積の一部を占めていてもよい。この工程において、水硬性組成物Cの上方から注入された水Wが下端辺部11a付近に到達するほど強い力でかつ長時間、袋体11を揉むことを要しない。後に押圧用器具を用いてそれらを十分に混合できることに加え、作業者の負担が増大し、水硬性組成物Cと水Wとの混合物が凝結始発に到達し硬化を開始する恐れがあるからである。
図1(c)に示すように、再びパック10が平台上で直立するように右手31でパック10を支える。キャップ13を左手32で緩め、さらに右手31で袋体11を掴んだり押したりすることにより、袋体11を変形させる。それにより、袋体11の内側面の少なくとも一部が面接触して、袋体11内の空気Aがポート12から排出される。このとき、袋体11上方の空気滞留部を右手31で挟み、そのまま右手31を上端辺部11aに向かってスライドさせると、空気Aを速やかに排出できる。空気Aの大部分が排出されたところで、作業者はキャップ13を再度締める。
図1(d)に、パック10を押圧用器具で押圧することにより、硬化性ペーストCを調製する工程を示す。同図に示す押圧用器具は、円柱形をなしている回転体51と、棒状の回転軸52とを有している押圧ローラー50である。回転体51は、平行に向かい合った合同な二つの円形の底面51a,51aと、底面51a,51aとの円周同士を繋いでいる側面51bとを有している。回転軸52は回転体51の中心軸を貫通し、回転体51を回転自在に軸支している。また回転軸52は、回転体51の両底面51a,51aで夫々突き出ている。回転軸52の突き出た箇所は、押圧ローラー50を操作するのに作業者が握ることができるグリップ52aである。
ポート12が水平となる向きで、適当な平台の上にパック10を載置し、さらに回転体51の側面51bとパック10の外側面とが接触するように押圧ローラー50を袋体11上に載せる。回転体51の両底面51a,51aで夫々突き出たグリップ52aを、右手31及び左手32で夫々握って押圧ローラー50を支える。グリップ52aを平台方向へ押し付けながら、回転軸52を上端辺部11a方向、及び下端辺部11a方向へ交互に動かす。図1(d)の二点鎖線矢印に示すように、回転体51がこの動きに追従し、回転しながら袋体11上を往復する。また、押圧ローラー50を、一方の側辺部11aと他方の側辺部11aとの間で往復させながら、上端辺部11a方向及び下端辺部11a方向へ交互に動かしてもよく、袋体11の対角線上で動かしてもよい。このように押圧ローラー50を動かすことにより、袋体11内に平台方向(垂直方向)への押圧力に加えて、水平方向への押圧力をも加えることができる。それにより水硬性組成物C及び水Wを袋体11内でランダムに循環させて、撹拌することができる。
押圧ローラー50の動きは、水硬性組成物C及び水Wの体積や袋体11の寸法に依るが、1~5秒/往復とすることが好ましく、2~4秒/往復とすることがより好ましく、2~3秒/往復とすることがより一層好ましい。また、押圧ローラー50による混合撹拌工程を、20~60秒行うことが好ましく、20~50秒行うことがより好ましく、30~50秒行うことがより一層好ましい。
このとき、水硬性組成物C及び水Wは、回転体51の動き及び押圧力によって混合及び撹拌されながら、パック10内を循環するように流動する。それにより、袋体11の角部(上下端辺部11a,11aと側辺部11aとの接続部)のように、水硬性組成物Cが流動し難かったり、水Wが到達し難かったりする箇所にまで移動する。それにより袋体11の角部で、水硬性組成物Cや水Wが滞留せず、押圧ローラー50を用いた混合・撹拌工程中、常に流動する。その結果、硬性組成物Cと水Wとを満遍なく均質に混合できるので、それらが偏在していない硬化性ペーストを調製できる。
この硬化性ペーストの調製工程において、押圧ローラー50は回転体51及び回転軸52というたった二つの部品で構成されているので、製造し易く安価である上、それの操作方法は簡素であり、電力のような動力源を要する上に高価で煩雑な操作を要する振動発生装置を不要としている。さらに、この押圧ローラー50を用いた硬化性ペーストの調製工程によれば、押圧ローラー50をパック10に押し付けながら往復させるという単純な操作を行うだけで、水硬性組成物Cと水Wとの混合及び混練に作業者の技量に依存せずに、均質な硬化性ペーストを簡便に調製できる。
なお、図1(d)に示す硬化性ペーストの調製工程前に、同図(c)に示す空気の排出工程を経ることにより、パック10内に残存する空気に起因して回転体51の回転が妨げられたり、袋体11を構成するフィルムに生じた皺と回転体51との摩擦によって袋体11が破れたりすることが防止されている。
硬化性ペーストCを調製するのに、パック10を踏んだり、揉んだり、振ったりするという人力により外力を加えて、硬化性ペーストCを袋体11内で撹拌してもよい。これらの方法を採用する場合、手、肘、膝、及び足のような人の体の一部をパック10に接触させたり、手で掴んだりして、パック10に押圧力や振盪を加えることにより硬化性ペーストCを撹拌することができる。人力を加える時間は、30~120秒が好ましく、30~90秒がより好ましく、30~60秒がより一層好ましい。なお硬化性ペーストの調製工程においてパック10に加える外力は、押圧ローラー50の押圧力及び人力のいずれか一方であっても、両方であってもよい。それらの両方を用いる場合、その順は特に限定されない。
袋体11は、それに収容される水硬性組成物Cが外界の水との接触によって不意にペースト化及び硬化しないように、また回転体51との摩擦によって破損しないように、水を透過し難く、高い強度を有するフィルムで形成されていることが好ましい。このフィルムの厚さは、100~250μmであることが好ましく、100~180μmであることがより好ましく、100~150μmであることがより一層好ましい。また、袋体11内の水硬性組成物C、硬化性ペーストC、及び水Wを、袋体11を通して視認できるように、フィルムは透明又は半透明であることが好ましい。
またフィルムは軟質で可撓性を有していることが好ましい。このフィルムの材料として、熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的に例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸、環状ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、及びポリ塩化ビニルからなる群の少なくとも1つを含む単独重合体及び/又は共重合体及び/又はポリマーブレンドが挙げられる。
フィルムの構造は、上記の熱可塑性樹脂の一種で形成された単層であってもよく、互いに同一又は異なる熱可塑性樹脂で形成された複数枚のフィルムが接着された多層であってもよい。フィルムが多層構造を有している場合、例えば、内層から外層へ向かって、ポリアミド(ナイロン)層(PA;15μm厚)/バリアポリアミド(ナイロン)層(バリアPA;15μm厚)/リニア低密度ポリエチレン層(LLDPE;130μm厚)の順に積層した多層構造が挙げられる。この多層構造は、内層から外層へ向かって、ポリエチレンテレフタラート層(PET;12μm厚)/バリアポリアミド(ナイロン)層(バリアPA;15μm厚)/リニア低密度ポリエチレン層(LLDPE;130μm厚)の順であってもよい。特に最外層であるLLDPE層は少なくとも100μmの厚さを有していることが好ましい。それにより、押圧ローラー50や足との摩擦やそれらによる押圧に起因する袋体11の内圧上昇が生じても、フィルムが破れたり裂けたりしない。一方、LLDPE層の厚さが150μmを超えると、フィルムが外圧によって変形し難いので、水硬性組成物Cと水Wとを十分に混合及び混練できず、均質な硬化性ペーストCが得られない。また溶着帯11aは、熱溶着、超音波溶着、又は誘導溶着によって形成することができる。
上記の熱硬化性樹脂は、ポート12、回転体51、及び回転軸52の材料としても採用することができる。なお、作業者が握りやすいように、グリップ52aが上記の材料で形成されたスポンジで覆われていてもよい。
図1(a)に示した水Wの注入工程の別な態様を図2に示す。まず図2(a)に示すように、コネクタ22を用意する。コネクタ22は筒体をなしており、それの上端で円形の開口部を有している。またコネクタ22は、基端部の内壁面にポート12の雄ねじに螺合可能な雌ねじを有し、中ほどから先端部の外面に複数の鱗状環部22aを有している。各鱗状環部22aは、円形の開口部と同心に形成されており、基端部に向かって漸次広がった截頭形をなしている。それによりコネクタ22の外面に複数の段差が形成されている。このような外形を有するコネクタは、タケノコと呼ばれている。このコネクタ22をポート12に螺合して取り付ける。
次いで、図2(b)に示すように、接続チューブ23の一端をコネクタ22に嵌める。コネクタ22は、鱗状環部22aによる複数の段差を有しているので、一旦コネクタ22に嵌められた接続チューブ23は、容易にそこから外れない。
図2(c)に示すように、ボトル42の筒口42aに、別なコネクタ22を螺合して取り付け、さらに接続チューブ23の他端をそこへ嵌める。それにより、パック10とボトル42とが、接続チューブ23を介して液密に連結される。ボトル42に、水硬性組成物Cの質量に対応する規定量の水Wが入れられている。水W入りのボトル42として、例えば、アイザーピュアウォーター(250mL入り、株式会社アクシス製、商品名)が市販されている。作業者は、右手31でパック10を支えつつ、左手32でボトル42を持ち、筒口42aが下方へ向くようにボトル42を傾ける。それにより、ボトル42内の水Wが接続チューブ23内を通って、袋体11内に注がれる。
図1(a)に示した水Wの注入工程の更に別な態様を図3に示す。まず図3(a)に示すように、注水ノズル24を準備する。注水ノズル24は基端部から先端部に向かって漸次縮径している。それにより、注水ノズル24はテーパーを有する截頭円錐形の筒体をなしている。注水ノズル24は基端部の内壁面に、ボトル42の筒口42aの外面に形成された雄ねじと螺合する雌ねじを有している。注水ノズル24の基端部を筒口42aに螺合させて、注水ノズル24をボトル42に液密に取り付ける。このような注水ノズル24として、例えば、サナダ精工株式会社製の自動給水ノズル3P(型式MYS024)が市販されている。必要に応じ、この自動給水ノズル3Pの先端を切断してもよい。それによれば、注水ノズル24の先端開口が拡径するのでボトル42内の水Wを短時間でパック10に注入できる(図3(c)参照)。
次いで、図3(b)に示すように、ポート12の開口がやや下を向くようにそこをつまんで袋体11を折り曲げる。ポート12の開口に注水ノズル24をそれの先端部から挿し込む。注水ノズル24はテーパーを有しているので、ポート12の開口に食い込んで篏合して容易に脱落しない。それにより、パック10とボトル42とを液密に接続できる。このように、袋体11を折り曲げつつポート12の開口を下に向けることによって、水硬性組成物Cが袋体11から遺漏しない。また注水ノズル24の先端部をボトル42の底部よりも上側に位置させなければ、注水ノズル24をポート12に挿し込めないので、パック10とボトル42との接続時に水Wが注水ノズル24の先端開口から遺漏しない。
図3(c)に示すように、ボトル42の底部を上側に、注水ノズル24を下側に、それぞれ位置するようにボトル42を逆転させる。それにより、ボトル42内の水Wが注水ノズル24内を通って、袋体11内に注がれる。
図2及び3に示す態様によれば、パック10とボトル42とが、接続チューブ23や注水ノズル24を介して液密に連結されているので、予め計量された規定量の水Wを一切こぼすことなく、確実に、しかも簡便に袋体11に注ぐことができる。
本発明のアンカー素子定着方法の後半工程を図4に示す。同図は落石防護網を固定する支柱を張コンクリートに取り付ける工程を示している。
図4(a)に示す張コンクリート61は、法面62へのコンクリート張工によって形成され、法面62を略均一な厚さで覆っている。そのため、張コンクリート61の表面61aは、傾斜している。作業者は、表面61aにコアボーリングマシン71をセットし、それの先端に取り付けられたコアドリル71aを回転させて円筒形状の削孔61bを、二十から三十箇所形成する。
削孔61bの奥行(長さ)及び直径は、張コンクリート61の厚さや、定着させるアンカー素子の長さ及び径に応じて決定される。特に削孔61bの奥行は、アンカー素子の直径の少なくとも5~10倍であることが好ましい。例えば、アンカー素子がD25鉄筋(JIS G3112(2010)に規定された異形棒鋼の呼び名:公称直径25.4mm)である場合、削孔61bの奥行を125~250mm、具体的には175~200mm、さらに具体的には175~180mmとし、直径を30~38mm、具体的には30~35mm、さらに具体的には30~33mmとする削孔61bが挙げられる。
図4(b)に示すように、パック10のポート12に、ノズル14を螺合して取り付ける。ノズル14は、基端部にキャップ13と同一の雌ねじを、先端に開口した吐出口を、夫々有している。ノズル14は先端部に向かって漸次窄まっている。この先端部に注入チューブ15が接続されている。注入チューブ15は留め具16によってノズル14に締付け固定されている。注入チューブ15の中ほどに、注入量指示マーク15aであるビニルテープが巻かれてそこへ貼付されている。この注入量指示マーク15aは、削孔61bの体積とそこに挿入されるアンカー素子の挿入部の体積との差分を満たす量の硬化性ペーストCが削孔61bに注入された際に、削孔61bの開口から露出する位置に付されている(図4(d)参照)。
図4(b)に示すように、作業者は注入チューブ15の先端が削孔61bの底面61bに接触する位置まで注入チューブ15を削孔61bに挿し込む。次いで作業者は同図(c)に示すように、袋体11を、例えば左手32で握ることによって、袋体11の内側面同士が接するように、袋体11の両面で対抗する方向に圧力を掛けて圧縮する。それにより袋体11内の硬化性ペーストCが注入チューブ15から吐出されて削孔61b内に流れ込む。このとき、下端辺部11aからノズル14に向かって手31,32で扱きながら硬化性ペーストCを吐出させることが好ましい。また下端辺部11aからポート12に向かって袋体11を手31,32で徐々に巻き取ることにより、袋体11内の硬化性ペーストCに圧力を掛けてノズル14及び注入チューブ15からこれを吐出させてもよい。
図1(c)に示すように作業者は、硬化性ペーストCを削孔61bに注入しながら、削孔61bの開口から離反する方向Xへ、パック10を少しずつ移動させる。このとき、作業者は注入チューブ15の先端部と硬化性ペーストCの液面とを接触させながら硬化性ペーストCの注入を継続する。それにより、硬化性ペーストCの注入量が削孔61b内で増加することに応じて、注入チューブ15が削孔61bから抜去される方向へと移動する。また作業者は、硬化性ペーストCの液面が削孔61bの開口へ向かって移動する際に生じる硬化性ペーストCの圧力を感知できる。それによって作業者は、硬化性ペーストCの順調な注入を認識できる。
作業者がこの作業を継続すると、図4(d)に示すように、注入量指示マーク15aが削孔61bの開口で出没する。作業者は、この注入量指示マーク15aが、削孔61bの開口で出没したことを目視にて確認した時点で、一つの削孔61bに対する硬化性ペーストCの注入作業を終了する。このように作業者は、硬化性ペーストCの注入工程において、パック10を移動させながら削孔61bの開口を注視するという簡便で簡素な作業を行うだけで、アンカー素子のうち削孔61bに挿入される部分の体積だけを削孔61b内に残して、硬化性ペーストCの注入を終えることができる。その結果、アンカー素子を削孔61bへ挿入した際に、硬化性ペーストCが削孔61bの開口から多量に溢れ出るという不経済を防止できる。
図4(e)にアンカー素子の打込工程を示す。アンカー素子であるアンカーボルト81は、長尺の略円柱形をなしており、それの中心軸に対して略垂直な面をなしている基端(同図(f)参照)と、この基端の面に対して傾斜していることによって楕円形の面を有している先端とを、有している。それによりアンカーボルト81の先端は鋭く尖っているため、硬化性ペーストCで満たされた削孔61bへ挿入し易い。アンカーボルト81の先端から中程まで、複数のリブ81aが出っ張っている。アンカーボルト81の基端部の表面に雄ねじ81bが設けられている。この雄ねじ81bに、落石防護網の支柱を固定するナット83が螺合される(同図(f)参照)。アンカーボルト81の全長は、規格に示されているアンカーボルトの定着長を満足し、かつ削孔61bに打ち込まれた際に雄ねじ81bが削孔61bの開口から突き出るように、削孔61bの削孔長(奥行)よりも長い。なお、アンカーボルト81の先端は、尖っていなくてもよく、略円形の端面を有する、所謂寸切り品であってもよい。
アンカーボルト81の寸法について、特に限定されないが、例えばJIS G3112(2010)に規定されている異形棒鋼の呼び名D4~D51のものを用いることができる。また、アンカーボルト81は、M6~M100の呼び径を有する全ねじボルトであってもよい。
作業者は、アンカーボルト81の基端部を右手31(若しくは左手32、又は両手)で握って、硬化性ペーストCに空気が混入しないようにアンカーボルト81の中心軸周りに回転させながら、削孔61b内の硬化性ペーストCに挿し込む。適度な流動性を有する硬化性ペーストCと、アンカーボルト81の鋭利な先端とによって、作業者は然程、力を要さずとも、アンカーボルト81を硬化性ペーストCで満たされた削孔61bに打込むことができる。作業者は、硬化性ペーストCの調製完了時から硬化性ペーストCの凝結始発までの時間である可使時間内にこの工程を行う。可使時間を徒過すると、凝結始発に達した硬化性ペーストCの流動性が、徐々に失われて、アンカーボルト81の打込抵抗が上昇し、これを右手31(及び/又は左手32)による人力で打込むことが困難になってしまう。
作業者は、削孔61b内でアンカーボルト81を所定の角度となるように手31,32で支持する。凝結終結に達した硬化性ペーストCは硬化を開始するので、アンカーボルト81は作業者の支持を要さず所定の角度を保ったまま、削孔61b内に定着する。作業者は必要に応じて、削孔61bからわずかに溢れた硬化性ペーストCを取り除く。作業者は引き続き、別な削孔61bの前に移動して図4(b)~(e)の作業を繰り返す。
パック10内に100~3000gの水硬性組成物Cから調製された十分な量の硬化性ペーストCが収容されているので、作業者は逐一別なパック10を用いて新たな硬化性ペーストCの調製作業を要しない。そのためこのアンカー素子定着方法は、数十箇所の削孔61bにアンカー素子を定着させるような中規模の工事において、硬化性ペーストCの注入作業とアンカー素子の挿入作業とを、中断することなく連続的な流れ作業として行うことができるので、作業者の負担を軽減できるとともに作業時間の短縮に資する。
図4(a)~(e)に示す工程を経た張コンクリート61を同図(f)に示す。硬化性ペーストCの硬化により生じた硬化体Cが削孔61bの開口を塞いでいるとともに、削孔61bの内壁面とアンカーボルト81との間に密に充填されている。アンカーボルト81は、張コンクリート61に定着し、その基端部の雄ねじ81bにナット83が螺合して支柱82が固定されている。リブ81aのアンカー効果によってアンカーボルト81は、硬化体Cからの引抜強度を向上させている。
袋体11に収容されている水硬性組成物Cについて説明する。
水硬性組成物Cは、ポルトランドセメント、アルミナセメント、及び急結剤を含有する水硬成分と、細骨材と、遅延型流動化剤と、強度増進剤と、凝結時間調整剤とを、含んでいる。
細骨材は、硬化性ペーストCが凝結後に硬化する際に生じる収縮を低減し、これの硬化体Cへのクラック発生を防止する。また、水硬成分の水和反応に伴う発熱を緩和し、硬化性ペーストCの温度上昇を抑えて過度な流動性増大や、凝結時間の延長を防止する。珪砂、川砂、海砂、及び砕砂のような砂類;アルミナクリンカー、シリカ粉、及び石灰石のような無機材;ウレタン砕、EVA(ethylene vinyl acetate)フォーム、発泡樹脂の粉砕物から選ばれる少なくとも一種であり、なかでも珪砂が好ましい。
細骨材は、1mm以上の粗粒子を含んでいないことが好ましい。具体的に、JIS G5901(2016)の表3に準拠した粒度区分を、4~8号とすることが好ましく、5.5~8号とすることがより好ましく、7~8号とすることが一層好ましい。細骨材の粒度区分がこの範囲であることにより、1mm以上の粗粒子を排除することができる。この粒度区分にける具体的な粒度分布は、4号で600~1180μm、4.5号で425~850μm、5号で300~600μm、5.5号で212~425μm、6号で150~300μm、6.5号で106~212μm、7号で75~150μm、7.5号で53~106μm、8号で38~75μmである。
粒度区分は、3種の公称目開きを有する網目ふるいによって求められる。細骨材の測定試料全質量に対する各網目ふるいの面上の細骨材の質量比は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが一層好ましい。
また水硬性組成物C中、細骨材は、10~40質量部、好ましくは10~30質量部、より好ましくは20~30質量部含まれている。この範囲の含有量である細骨材は、水硬性組成物C全体に対し、下限値を8~38質量%、好ましくは8~25質量%とし、上限値を27~67質量%、好ましくは27~33質量%としている。このように、細骨材が、粒径1.2mm未満の細粒で、かつ水硬性組成物C中に最大でも67質量%という低含有率であることによって、水硬性組成物Cの凝集が阻害されない。細骨材の粒径、含有量、及び含有率が上記の上限値を超えると、硬化性ペーストC中を複数の削孔に注入している間に水硬成分と細骨材とが分離し、硬化体Cが所期の強度を発揮できない。
遅延型流動化剤は、硬化性ペーストCの流動性を向上させるとともに、硬化性ペーストCの凝結始発に達する時間を遅延させるものである。遅延型流動化剤として、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸、及びこれらの塩のようなスルホン酸系流動化剤;ポリカルボン酸、ポリカルボン酸エーテル、及びこれらの塩のようなカルボン酸系流動化剤が挙げられる。遅延型流動化剤として、これらの少なくとも一種を用いることができる。遅延型流動化剤は、硬化性ペーストC中に極めて微細な気泡を生成する。この気泡が硬化性ペーストC中で、水硬性分の再凝集と水和反応の進行とを阻害して流動性を向上させるとともに、凝結始発を遅延させていると考えられる。遅延型流動化剤として、なかでもポリカルボン酸エーテルが好ましい。
ポリカルボン酸エーテルは、具体的に、下記化学式(1)
Figure 0007197290000003
(化学式(1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2~4のアルキレン基であり、Rは炭素数2~5のアルキル基であり、nは1~100の正数である。)で表される単量体(1)と、下記化学式(2)
Figure 0007197290000004
(化学式(2)中、R、R、R及びは水素原子又はメチル基であり、Mは水素原子、ナトリウム、リチウム、及びカリウムから選ばれるアルカリ金属、又はマグネシウム、カルシウム、及びバリウムから選ばれるアルカリ土類金属である。)で表される単量体(2)との共重合体、及びこれの塩が挙げられる。ポリカルボン酸エーテルは、単量体(1)と単量体(2)とを(1):(2)=10~95質量%:5~90%質量としていることが好ましい。
単量体(1)は、炭素数2~5のアルキル基を有する脂肪族又は脂環族アルコール化合物と炭素数2~4のアルキレンオキサイドとの付加重合体であるアルコキシポリアルキレングリコール化合物と、(メタ)アクリル酸とのエステル化合物である。単量体(1)として具体的に、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びエトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは一種であっても複数種の混合物であってもよい。
単量体(2)として具体的に、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、及びこれらの金属塩が挙げられ、これらの一種又は複数種を用いることができる。
遅延型流動化剤は、水硬性組成物Cの吸水開始から硬化性ペーストCの凝結始発までの時間を、例えば気温20℃の雰囲気下、水温20℃の水Wと水硬性組成物Cとを混錬した場合、少なくとも10分間、好ましくは15~25分間、より好ましくは15~40分間のように比較的長くするものである。遅延型流動化剤を用いることによって、所期の流動性を硬化性ペーストCに付与するのに要する水の量を、上記のように低減することができる。
水硬性組成物C中、遅延型流動化剤は、0.1~2質量部、好ましくは0.1~1.5質量部、より好ましくは0.1~1.0質量部含まれている。遅延型流動化剤の含有量が上記の下限値未満であると、硬化性ペーストCが十分に流動しない上、アンカー素子の打設前に凝結始発に達してしまうので、硬化性ペーストCのパック10からの押し出し抵抗が増大したり、凝結した硬化性ペーストCがアンカー素子に纏わりついてそれの挿入抵抗が増大したりして、手作業によるアンカー素子の打ち込みが困難となりワーカビリティを損なってしまう。またコンクリート躯体や張コンクリートに開けられた削孔の内壁とアンカーボルトとの隙間の充填不良を生じアンカーボルトの引抜き強度低下を招来してしまう。一方、遅延型流動化剤の含有量が上限値を超えると、水硬成分の水和反応が過度に阻害されるので、硬化性ペーストCの凝結及び硬化が過剰に遅延して硬化体Cの早強性が損なわれる上、長期強度が低下してしまう。
凝結時間調整剤は、硬化性ペーストCが流動性を失う凝結始発から硬化を開始する凝結終結までの凝結時間の長短を調整する。凝結時間調整剤は、硬化性ペーストC中の水硬成分の粒子に吸着してそれの表面を被覆し、水硬成分と水との接触を抑制する。それにより、水硬成分の水和反応を徐々に進行させて硬化性ペーストCの瞬結を防止できる。凝結時間調整剤として、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、サリチル酸、m-オキシ安息香酸、及びp-オキシ安息香酸のようなオキシカルボン酸;リグニンスルホン酸;ソルビトール、ペンチトール、及びヘキシトールのような糖アルコールが挙げられ、これらの一種又は複数種を用いることができる。凝結時間調整剤は、オキシカルボン酸やリグニンスルホン酸のリチウム塩、カリウム塩、及びナトリウム塩のようなアルカリ金属塩、並びにマグネシウム塩、及びカルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩であってもよく、なかでもクエン酸ナトリウムが好ましく、クエン酸三ナトリウムがより好ましい。
水硬性組成物C中、凝結時間調整剤は、1~10質量部、好ましくは1~8質量部、より好ましくは1~5質量部含まれている。含有量がこの上限値を超えると、凝結時間が過度に長くなって凝結終結に達するまでの間に、例えば水硬成分と細骨材との分離を生じてしまう。一方含有量がこの下限値未満であると、水硬成分の水和反応が急激に進行し、硬化性ペーストCが凝結始発後に直ちに終結に達して硬化するので、硬化体Cにクラックが生じてアンカー素子の引抜荷重が低下してしまう。
水硬性組成物Cの水硬成分は、ポルトランドセメント、アルミナセメント、及び急結剤を必須として含むM型の膨張系セメントである。ポルトランドセメントは、シリカ(SiO)、及びカルシア(CaO)を主成分とし、例えば、シリカを20~25質量%、及びカルシアを60~70質量%を含んでいるものが挙げられる。その他にアルミナ(Al)、マグネシア(MgO)、及び酸化鉄(Fe)が、夫々1~6質量%含まれている。これらの成分は、例えばケイ酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、及びカルシウムアルミノフェライトとして存在している。
ポルトランドセメントとして、具体的に普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、及び白色ポルトランドセメントが挙げられる。なかでも早強ポルトランドセメントが好ましい。これらのポルトランドセメントの一種のみを用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。水硬性組成物C中、ポルトランドセメントは、20~50質量部、好ましくは20~40質量部、より好ましくは20~30質量部含まれている。
アルミナセメントは、アルミン酸カルシウム(CaO・Al)を主成分とする特殊セメントであり、例えばカルシアを20~40質量%、アルミナを40~80質量%、夫々含んでいるものが挙げられる。水硬性組成物C中、アルミナセメントは、30~60質量部、好ましくは30~50質量部、より好ましくは30~40質量部含まれている。
ポルトランドセメント及びアルミナセメントは、微粉末状のセメント粉体であり、その平均粒子径を、10~50μmとするものであることが好ましく、20~40μmとするものであることがより好ましく、20~30μmとするものであることがより一層好ましい。なお平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法による体積基準分布をいう。このような平均粒子径の測定装置として、例えば、島津レーザー回折式粒度分布測定装置SALD-3100-WJA1:V1.00(株式会社島津製作所製)が挙げられる。セメント粉体がこのような微粉末であることによって、吸水に起因するセメント粉体の水和による化学的凝集及びセメント粉体の表面電位による物理的凝集が生じ易くなる。その結果、化学的凝集若しくは物理的凝集、又は両者の相乗効果によって、例えばコンクリート製ボックスカルバートの天井や壁面に開けられた削孔に注入された硬化性ペーストCが、削孔の開口から遺漏し難い。
急結剤は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、及び硫酸カルシウムのような硫酸塩が挙げられ、これらの一種又は複数種を用いることができる。硫酸カルシウムとして、無水石膏(CaSO)、半水石膏(CaSO・1/2HO)、二水石膏(CaSO・2HO)のような石膏が、後述するエトリンガイトの生成量を増大させる観点から好ましい。これらの急結剤は、一種のみを用いても複数種を混合して用いてもよい。水硬性組成物C中、急結剤は、10~40質量部、好ましくは20~40質量部、より好ましくは20~30質量部含まれている。
強度増進剤は、シリカ微粒子であるシリカフューム、及び/又はカオリンを主成分として含んでいる。シリカフュームは、硬化性ペーストCの粘度を向上させるという増粘効果を発現するとともに、後述するポゾラン活性に富んでいるので、硬化体Cに高い圧縮強度を付与することができる。シリカフュームは、フェロシリコン(FeSi)を電気炉で製造する過程で蒸気化したシリコン酸化物(SiO)をフィルターで捕集することにより得られる。シリカフュームは、0.1~0.2μmの平均粒径、及び0.3~0.8g/cmのかさ密度を有している。水硬性組成物C中、強度増進剤は、1~10質量部、好ましくは1~8質量部、より好ましくは1~5質量部含まれている。
カオリンはシリカ及びアルミナを含んでいる。カオリンは具体的に焼成カオリン(2SiO・Al)が挙げられる。焼成カオリンは、天然粘土鉱物であるカオリン(2SiO・Al・2HO)を、例えばロータリーキルンのような窯に投入し、700~750℃で、20~25分の滞留時間でか焼することによって得られる。強度増進剤は、焼成カオリンに加えて、高炉スラグ粉末及び/又はフライアッシュのようなシリカ質粉末を含んでいてもよい。
硬化性ペーストCは時間の経過に伴って、水硬性分が水和反応を生じて凝結し、その後硬化する。具体的にアルミナセメント中のアルミン酸カルシウム、石膏、及び水の反応が進行し、アルミン酸硫酸カルシウム水和物であるエトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)を生成する。さらに急結剤である石膏が消費されると、エトリンガイトはアルミナセメント中のアルミン酸カルシウム(アルミネート相)と反応してモノサルフェート水和物を生成する。エトリンガイトやモノサルフェート水和物のようなカルシウムサルフォアルミネート水和物は、かさ高く水に不溶な針状結晶であり、これの成長に伴って、硬化性ペーストCが膨張しながら凝結して徐々に硬化する。しかも急結剤である石膏が、硫酸カルシウムの供給源となってエトリンガイトの生成量を増大させ、高強度の硬化体Cを形成する。
硬化性ペーストCは、アルミナセメント中のカルシアが水に溶解した水酸化カルシウム(Ca(OH))を含んでいる。強度増進剤に含まれるシリカフュームやカオリンは、この水酸化カルシウムと、水に不溶な水和物を生成するという所謂ポゾラン反応を生じる。それにより、例えば、ケイ酸カルシウム水和物(3CaO・2SiO・3HO)や、アルミン酸カルシウム水和物(3CaO・Al・6HO)の微細で密な結晶が生成し、硬化性ペーストを高強度に硬化させる。特に、粉砕により粉末化される高炉スラグや、石炭灰であることにより比較的大きな球形をなしているフライアッシュに比べて、焼成カオリンの粒子は細かいので、単位質量当りに大きな表面積を有している。そのため、シリカフューム及び焼成カオリンは他のシリカ質粉末に比べて、遥かに高いポゾラン活性を有するので、緻密な水和物の結晶を生成し、硬化体Cにより高い圧縮強度を付与する。
このように水硬性組成物Cは、アルミナセメント、石膏のような急結剤、及びカオリンを主成分とする強度増進剤を含んでいることにより、それの硬化体Cは、打設後数時間~1日程度で高い強度を発現するという早強性を発現する。
エトリンガイトの生成及びポゾラン反応に並行して、ポルトランドセメント中のケイ酸カルシウムの水和反応が進行し、トバモライト結晶のようなケイ酸カルシウム水和物の硬化体Cが生成する。それにより、ケイ酸カルシウムの水和反応は、アルミン酸カルシウムのそれに比較して遅いので、ポルトランドセメントは、打設後、例えば7日~数か月後以降の長期にわたる高強度維持に優れている。
このように水硬性組成物Cが、ポルトランドセメント、アルミナセメント、急結剤、強度増進剤、細骨材、凝結時間調整剤、及び遅延型流動化剤を含んでおり、かつこれらが一定範囲の組成比で組み合わされていることによって、凝結始発までの時間を長くして、施工に要する十分な時間を作業者に付与することができる。その結果、不慣れな作業者であっても、アンカー素子定着方法の各工程を、余裕をもって確実に行うことができる。
この水硬性組成物Cから得られる硬化体Cの圧縮強度(JIS A1108(2006)に準拠)は、養生温度20~25℃で、打設後わずか1日後に60~80N/mmに達し、28日後に100~120N/mmにまで向上する。さらに、硬化性ペーストCは、40~90秒の流下値(コンクリート標準示方書に規定するJSCE-F 541-2013充填モルタルの流動性試験方法(J14ロート試験)に準拠)、及び150~280mmのフロー試験値(JIS R5201(2015)に準拠)という高い流動性を示す。このため作業者は、然程力を要さずともパック10から硬化性ペーストCを手31,32で押し出すことができたり、手31,32や腕の力だけでアンカー素子を硬化性ペーストCに打ち込んだりすることができる。
水硬性組成物Cは、増粘効果を発現するシリカ微粒子のような強度増進剤に加えて、増粘剤をさらに含んでいてもよい。増粘剤は、水硬成分の粒子同士を粘結させるバインダーのような増粘効果を発現する。さらに、硬化性ペーストCに適度の粘度を付与して、硬化性ペーストC中の水硬成分同士の比重差による分離や水硬成分の沈降による水との分離を防止する。それにより硬化性ペーストC中、粒子同士の均一な分散を促進し、パック10からの押し出し抵抗を低減する。さらに、増粘剤によって硬化性ペーストCがチキソトロピーを発現するので、外力が除かれるとそれの粘度が向上して流動性を低減させる。その結果、例えば、ボックスカルバートに例示される暗渠の天井に開けられるような垂直方向の奥行を有する削孔に、上方へ向かって硬化性ペーストCを注入したとしても、硬化性ペーストCは削孔の開口から遺漏せず、削孔内にとどまる。
増粘剤は、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。増粘剤として、これらの一種又は複数種を用いることができる。
水硬性組成物C中、増粘剤は、0.1~1質量部、好ましくは0.2~0.8質量部、より好ましくは0.3~0.6質量部含まれている。含有量がこの上限値を超えると、硬化性ペーストCパック10からの押し出し抵抗が著しく増大する上、十分な強度を有する硬化体Cを得ることができない。一方、含有量が下限値未満であると、硬化性ペーストCの粘度が不足する。そのため、天井や壁面に開けられた削孔へ注入した硬化性ペーストCがそれの開口から遺漏してしまい、これらの削孔へアンカー素子を定着できない。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例)
原材料である早強ポルトランドセメント(宇部三菱セメント株式会社製)、アルミナセメント(デンカ株式会社製、アルミナセメント1号溶融品)、急結剤(株式会社ノリタケカンパニーリミテッド製、二水石膏+半水石膏)、強度増進剤(シリカフューム、BASFジャパン株式会社製、製品名:SILICA FUME SILICIUM)、細骨材(珪砂7号、日瓢礦業株式会社製、製品名:N70号)、凝結時間調整剤(クエン酸三ナトリウム)、及びJIS A6204(2011)に準拠した遅延型流動化剤(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、製品名:レオパック(登録商標)G-100)を、表1に示した質量比で量りとり、ミキサーに投入して撹拌し、調製実施例の水硬性組成物を調製した。
15μm厚ナイロンフィルムと、15μm厚バリアナイロンフィルムと、130μ厚LLDPEフィルムとがこの順で積層された矩形の多層フィルム(160μm厚)の2枚を、袋体を形成するために準備した。開口をキャップによって塞いだポートを、15μm厚ナイロンフィルム同士の周縁の一部で挟んで熱溶着し、ポートを固定した。ポートが固定された箇所を上端辺部とし、下端辺部を残して側辺部を熱溶着した。それにより下端辺部が開口したポート付の袋体を作製した。この袋体の開口した下端辺部から、2000gの水硬性組成物を入れた。その後下端辺部を熱溶着して袋体に水硬性組成物を収容し、実施例のパックを複数袋作製した。
(比較例1)
水硬性分(住友大阪セメント株式会社製、製品名:ライオンシスイ#115)、及び珪砂6号を、表1に示した質量比で量りとり、ミキサーに投入して撹拌し、調製比較例1の水硬性組成物を調製した。次いで、低密度ポリエチレン製で向かい合う二辺で開口した筒状のフィルム(0.15mm厚)を準備した。特開2011-25424に開示されたパウチ容器に準じ、このフィルムの中央部を、開口した二辺と平行になるように仕切部で挟んで二分した。この仕切具を下方に向けて一方の開口から調製比較例1の水硬性組成物を400g入れたところで、それの荷重により仕切具が外れてしまった。そのため、水硬性組成物を300gに減じ、これを筒状フィルム入れた後、それの一方の開口を熱溶着して閉じた。次いで筒状フィルムの他方の開口から水100gをそこへ入れてこの他方の開口も熱溶着により閉じた。それにより水硬性組成物を収容した第1収容部と水を収容した第2収容部とが仕切具によって区切られた比較例のパックを複数袋作製した。
(比較例2)
調製実施例の水硬性組成物に含まれる各成分の質量比のみを、表1に示すように変更して調製比較例2の水硬性組成物を調製した。この水硬性組成物の500gを坪量40g/mでヒートロン紙からなる不織シート製透水性筒状容器に封入して、300mmの長さと34mmの径とを有する比較例2の水硬性組成物入りカプセルを複数本作製した。
Figure 0007197290000005
(硬化性ペーストの調製)
実施例のパックを準備した。パックのキャップを取り外して、水比(水硬性組成物の質量に対する水の質量)が27%となるように、ポートから540gの水を袋体内へ注いだ。キャップをポートに嵌めて両手で袋体を30秒間揉んでから、キャップを緩めてゆっくりと袋体を押して空気をポートから排出した。キャップを締めた後、押圧ローラーを袋体上で押圧しながら2~3秒/往復にて往復させて水硬性組成物と水とを混合した。その結果、押圧ローラーによる混合開始から30秒で、ダマを視認できなくなった。袋体内の水硬性組成物と水とが、均質に混錬された実施例の硬化性ペーストの2540gが得られた。
比較例1のパックを準備した。仕切具を一気に外して、パック内で水硬性組成物を水に落下させることにより予備混合した後、袋体を手で揉んだり、パックを上下左右に振ったりして水硬性組成物と水とを混合した。その結果、袋体の手揉みの開始から35秒後に、混錬された比較例1の硬化性ペーストの400gが得られた。
比較例2の水硬性組成物入りカプセルの重量を測定した。次いで、水を溜めたトレイを用意した。この水へ比較例2の定着材カプセルを180秒間浸した後、水から取り出して、それの重量を測定した。調製比較例2の水硬性組成物の吸水量は、135gであり、水比は27%であった。ヒートロン紙を破いて取り除いたところ、吸水した水硬性組成物が凝集し、手で持つことができた。先端にキャップでふさがれた筒先を、基端に開口を、夫々有する筒状のカートリッジに凝集した水硬性組成物を基端の開口から入れた。先端部に撹拌羽を有する撹拌ロッドの基端部を電動ドリルの回転部に接続し、撹拌ロッドの先端部をカートリッジの開口から入れて電動ドリルを動作させ、撹拌ロッドを回転させた。撹拌羽によって凝集した水硬性組成物を撹拌することにより、水硬性ペーストを調製した。
実施例のパックについて、水を注いだ後に押圧ローラーによって水硬性組成物と水とを混合することにより、比較例1の6倍以上、比較例2の約4倍の重さの硬化性ペーストを、比較例1とほぼ同等、比較例2の1/6の時間で調製できた。
(振動試験)
実施例及び比較例2の水硬性組成物入りカプセルを、貨物自動車に積んだ。貨物自動車で片道約500kmの距離を往復走行した。目視にて観察したところ、実施例及び比較例2のパックは、三往復(約3000km)しても、何ら変化を生じなかった。
(加速劣化試験)
保存温度20℃における保存安定性を簡便に確認するため、まずは加速劣化試験の条件を設定した。試験温度を60℃、加速係数を10℃毎に2とした。保存温度と試験温度との差は40℃である。そのため、加速劣化試験における加速度は2=16倍である。また、60℃における飽和水蒸気量は、51.12g/mである。40℃におけるこの飽和水蒸気量の相対湿度は39%RHである。以上の条件設定に従い、実施例のパック、並びに比較例2の水硬性組成物入りカプセルを、温度60℃で湿度39%RHの恒温恒湿槽に夫々複数入れ、それらの外観を継続的に観察した。試験開始から12日後に、実施例並びに比較例2を恒温恒湿槽から取り出してから硬化性ペーストを調製した。実施例及び比較例2の硬化性ペーストにブリージングは見られなかった。そのため実施例及び比較例2について試験を継続した。46日経過後、実施例及び比較例2について再度硬化性ペーストを調製した。これらの硬化性ペーストは、12日経過後に調製した硬化性ペーストと同様にブリージングを生じないものであった。これらの20℃保存における保存可能期間を計算したところ、16×46=736日、すなわち短くとも約2年は保存可能であることが分かった。
(圧縮試験)
実施例のパック及び所要量の水を、20℃の恒温槽に入れた。24時間経過後、20℃の雰囲気下、上記と同一の操作によって、実施例の硬化性ペーストを調製した。パックの袋体を潰して硬化性ペーストをノズルから型枠に流し入れ、JIS A1108(2006)に準拠して実施例の硬化体を作製した。この硬化体について同規格に準拠して圧縮強度試験を行い、養生1日後、7日後、及び28日後の圧縮強度(N/mm)を測定した。なお、すべての養生条件を20℃、相対湿度90%、とした。結果を表2に示す。
調製実施例で用いたものと同じ早強ポルトランドセメントのみからなる水硬性粉体を、比較例3として用いた。これを調製比較例1の水硬性組成物に代えたこと以外は、比較例1と同様に操作して比較例3のパックを作製し、さらに仕切具を外して水硬性粉体と水とを混合して比較例3の硬化性ペーストを調製した。次いで、実施例と同様に操作して比較例3の硬化体を作製し、圧縮強度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0007197290000006
実施例のパック及び押圧ローラーを用いて調製した硬化性ペーストを硬化させた硬化体は、わずか1日の養生で78N/mmの圧縮強度を示し、7日後には28日間養生を行った硬化体のおよそ90%の圧縮強度にまで達した。実施例は、短期間の養生であっても極めて高い圧縮強度を示すことが分かった。一方、比較例3の硬化体は、実施例のものと比較して、著しく低い圧縮強度しか示さなかった。
(アンカーボルトの引張試験)
1000×1000×3000mmのコンクリート塊に、ハンマードリルを用いて直径18mmで長さ95mmの削孔を形成した。このコンクリート塊に定着させるアンカーボルト(JIS G3112(2010)に規定するSD345異形棒鋼、呼び名D13、公称直径12.7mm;規格降伏点43.7kN(=SD345異形棒鋼の断面積126.7mm×345);長さ1000mm、先端寸切り)を用意した。圧縮試験における操作と同様にして、実施例の硬化性ペーストを調製した。ポートからキャップを取り外し、これに代えてノズルをポートに螺合させた。さらにこのノズルの先端部に注入量指示マークを付した注入チューブを嵌めた。手で袋体を絞って硬化性ペーストを削孔に注入した。注入量指示マークが削孔の開口から出没した時点で注入を止めた。
その後アンカーボルトを、削孔に手で回転させながら挿し入れ、アンカーボルトをコンクリート塊に定着させ、引張試験用サンプルを作製した。このときのアンカーボルトの定着長を95mmとした。気温20℃で24時間養生を行って実施例の硬化体を生成させた後、油圧ポンプと、これにつながっており油圧ポンプで発生させた油圧によってコンクリート塊からアンカーボルトを引き抜く方向へ引っ張る油圧ジャッキと、油圧ジャッキで生じた荷重を計測するロードセルと、アンカーボルトの変位量を計測する変位計とを、有する引張試験機を用い、JIS G3112(2010)に準拠して引張試験を行った。なお、サンプル数をN=3とした。その結果、引張荷重が規格降伏点を超える50kNに達してもアンカーボルトがコンクリート塊から抜けず、アンカーボルトが破断する危険があったため、試験を中止した。さらに、アンカーボルトの呼び名又は呼び径を表3に示すように変更して、上記と同様に試験用サンプルを作製した。作製したサンプル数は18体であった。これらのサンプルを作製するのに、硬化性ペーストの調製工程を繰り返す必要がなく、すべてのサンプルの作製を終了した時点で袋体内に硬化性ペーストが残存していた。
上記の圧縮試験と同様に操作して比較例3の硬化性ペーストを調製した。さらに実施例と同様に操作して引張試験用サンプルを作製した。18体のサンプルを作製するのに、途中で硬化性ペーストが不足したので、さらに二度、硬化性ペーストを調製した。作製したサンプルについて、引張試験を行った。その結果、アンカーボルトの規格降伏点付近で、比較例3の硬化体がアンカーボルトごと削孔から抜けてしまった。
Figure 0007197290000007
表3から分かるように実施例の硬化体によれば、径や長さアンカーボルトをそれの降伏点を超える荷重で引っ張っても、コンクリート塊から抜けなかった。一方、比較例3の硬化体によれば、すべてのサンプルにおいて規格降伏点付近の引張荷重で、アンカーボルトが硬化体とともにコンクリート塊から抜けてしまった。
(曲げ強さ試験)
上記の「硬化性ペーストの調製」と同様に操作して実施例の硬化性ペーストを調製した。これを縦40mm、横160mm、高さ40mmの型枠に流し込み、20℃で相対湿度90%の条件下、7日間養生して実施例の曲げ強さ試験用硬化体サンプルを3体作製した。この硬化体サンプルについて、JIS R5201(2015)の「11.2.5曲げ強さ試験機」及び「11.7.2曲げ強さ」に準拠し、50N/秒の載荷速度にて曲げ強さ試験を行った。比較例3についても実施例と同様に操作して硬化体サンプルを作製し、曲げ強さ試験を行った。これらの結果を表4に示す。
Figure 0007197290000008
表4の平均値から分かるように、実施例の硬化体は比較例3のそれに比較して2倍以上の曲げ強度を有していた。
本発明のアンカー素子定着方法は、既存のコンクリート製人工構造物のせん断耐力を高めたり、それに工作物を取り付けたりする際、アンカーボルトや鉄筋のようなアンカー素子を定着させるのに用いられる。
10はパック、11は袋体、11aは溶着帯、11aは上端辺部、11aは側辺部、11aは下端辺部、12はポート、13はキャップ、14はノズル、15は注入チューブ、15aは注入量指示マーク、16は留め具、21は漏斗、21aは円錐部、21bは管部、22はコネクタ、22aは鱗状環部、23は接続チューブ、24は注水ノズル、31は右手、32は左手、41はビーカー、42はボトル、42aは筒口、50は押圧ローラー、51は回転体、51a,51aは底面、51bは側面、52は回転軸、52aはグリップ、61は張コンクリート、61aは表面、61bは削孔、61bは底面、62は法面、71はコアボーリングマシン、71aはコアドリル、81はアンカーボルト、81aはリブ、81bは雄ねじ、82は支柱、83はナット、Aは空気、Cは水硬性組成物、Cは硬化性ペースト、Cは硬化体、Wは水である。

Claims (12)

  1. 水硬性組成物を収容している袋体と、外界と前記袋体の内空とをそれの上端辺部で連通させているポートとを有するパックに、水が入ったボトルに取り付けられ鱗状環部を有するコネクタに接続された接続チューブを介して鱗状環部を有する前記ポートから、又は水が入ったボトルに取り付けられテーパーを有する注水ノズルを介して前記ポートから、液密に前記水を入れる工程と、
    前記水硬性組成物及び前記水を遺漏させないキャップを前記ポートに取り付け、前記パックに外力を加えることにより、前記水硬性組成物と前記水とを混合して硬化性ペーストを調製する工程と、
    前記キャップを除去した後、前記袋体を潰すことによって、前記硬化性ペーストを前記ポートから押し出してコンクリート躯体に開けられた削孔へ注入する工程と、
    前記硬化性ペーストに突き刺しながら前記削孔にアンカー素子を挿入し、前記硬化性ペーストを硬化させる工程とを、
    有するものであって、
    前記水硬性組成物が、
    ポルトランドセメント、アルミナセメント、及び急結剤を含有する水硬成分と、
    シリカ微粒子、及び/又はカオリンを含んでいる強度増進剤と、
    ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸、及びこれらの塩から選ばれるスルホン酸系流動化剤と、ポリカルボン酸、下記化学式(1)
    Figure 0007197290000009
    (化学式(1)中、R は水素原子又はメチル基であり、R は炭素数2~4のアルキレン基であり、R は炭素数2~5のアルキル基であり、nは1~100の正数である。)で表される単量体(1)及び下記化学式(2)
    Figure 0007197290000010
    (化学式(2)中、R 、R 、及びR は水素原子又はメチル基であり、Mは水素原子、ナトリウム、リチウム、及びカリウムから選ばれるアルカリ金属、又はマグネシウム、カルシウム、及びバリウムから選ばれるアルカリ土類金属である。)で表される単量体(2)との共重合体であるポリカルボン酸エーテル、及びこれらの塩から選ばれるカルボン酸系流動化剤との少なくとも何れかである遅延型流動化剤と、
    クエン酸、クエン酸ナトリウム、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、サリチル酸、m-オキシ安息香酸、及びp-オキシ安息香酸から選ばれるオキシカルボン酸と、リグニンスルホン酸と、ソルビトール、ペンチトール、及びヘキシトールから選ばれる糖アルコールと、オキシカルボン酸及び/又はリグニンスルホン酸のリチウム塩、カリウム塩、及びナトリウム塩から選ばれるそのアルカリ金属塩、そのマグネシウム塩、及びそのカルシウム塩から選ばれるアルカリ土類金属塩との少なくとも何れかである凝結時間調整剤と、
    JIS G5901(2016)に準拠した粒度区分を4~8号としている細骨材と
    を含んでいることを特徴とするアンカー素子定着方法。
  2. 前記外力が、器具の押圧力及び/又は人力であることを特徴とする請求項1に記載のアンカー素子定着方法。
  3. 前記器具が、円柱形をなしそれの側面で前記パックを押圧する回転体と前記回転体の中心軸を貫通してそれを軸支している回転軸とを有している押圧ローラーであることを特徴とする請求項2に記載のアンカー素子定着方法。
  4. 前記人力が、前記パックを踏む力、揉む力、及び/又は振る力であることを特徴とする請求項2に記載のアンカー素子定着方法。
  5. 前記水を入れる工程の直後に、前記パックを押して、前記パック内の空気を前記ポートから排出することを特徴とする請求項1に記載のアンカー素子定着方法。
  6. 注入量指示マークを付した注入チューブを先端部に嵌めているノズルが前記ポートに取り付けられており、前記注入チューブを前記削孔に挿し込んで前記硬化性ペーストを注入しつつ前記注入チューブを前記削孔から抜去する方向に前記パックを移動させ、前記注入量指示マークが前記削孔から出没したときに、前記硬化性ペーストの注入を完了することを特徴とする請求項1に記載のアンカー素子定着方法。
  7. 前記袋体が最大で3000gの前記水硬性組成物を収容していることを特徴とする請求項1に記載のアンカー素子定着方法。
  8. 前記水硬性組成物の100質量部当たりに、前記水の20~37質量部を入れることを特徴とする請求項1に記載のアンカー素子定着方法。
  9. 前記水硬性組成物が、前記ポルトランドセメントを20~50質量部、前記アルミナセメントを30~60質量部、前記急結剤を10~40質量部、前記強度増進剤を1~10質量部、前記遅延型流動化剤を0.1~2質量部、前記凝結時間調整剤を1~10質量部、及び前記細骨材を10~40質量部とすることを特徴とする請求項に記載のアンカー素子定着方法
  10. 前記遅延型流動化剤が、前記ポリカルボン酸エーテルである前記カルボン酸系流動化剤であって、前記ポリカルボン酸エーテルが、前記単量体(1):単量体(2)を10~95質量%:5~90%質量%とすることを特徴とする請求項に記載のアンカー素子定着方法
  11. 前記遅延型流動化剤が、前記単量体(1)を、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びエトキシポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも何れかとし、前記単量体(2)を、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、及びこれらの金属塩から選ばれる少なくとも何れかとすることを特徴とする請求項1に記載のアンカー素子定着方法。
  12. 前記シリカ微粒子が、シリカフュームであることを特徴とする請求項に記載のアンカー素子定着方法
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