JP7158377B2 - ガスバリア性フィルム、及び封止体 - Google Patents
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Description
有機EL素子に代表される経時的な性能劣化の問題は、近年注目される電子部材や光学部材全般に概して当てはまる問題である。この原因として、電子部材や光学部材の内部に酸素や水分等が浸入し、性能劣化を引き起こしていると考えられる。
そして、この原因への対処方法として、層構成を有するガスバリア性の封止材で、被封止物となる電子部材や光学部材等を封止する方法がいくつか提案されている。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[2]前記ポリオレフィン系樹脂(A)が、変性ポリオレフィン系樹脂(A1)を含む、前記[1]に記載のガスバリア性フィルム。
[3]前記熱硬化性成分(B)が、熱硬化性エポキシ樹脂(B1)を含む、前記[1]又は[2]に記載のガスバリア性フィルム。
[4]前記接着剤層が、前記ガスバリア層に直接積層してなる、前記[1]~[3]のいずれか一つに記載のガスバリア性フィルム。
[5]前記接着剤層が、密着性向上層を介して前記ガスバリア層に積層してなる、前記[1]~[4]のいずれか一つに記載のガスバリア性フィルム。
[6]前記下地層が、エネルギー線硬化性成分を含有する下地層用組成物から形成された層である、前記[1]~[5]のいずれか一つに記載のガスバリア性フィルム。
[7]前記下地層が、更に熱可塑性樹脂を含有する下地層用組成物から形成された層である、前記[1]~[6]のいずれか一つに記載のガスバリア性フィルム。
[8]前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)が140℃以上である、前記[7]に記載のガスバリア性フィルム。
[9]前記下地層の厚みが0.1~10μmである、前記[1]~[8]のいずれか一つに記載のガスバリア性フィルム。
[10]前記ガスバリア層が、ポリシラザン系化合物を含有し、改質処理して形成された層である、[1]~[9]のいずれか一つに記載のガスバリア性フィルム。
[11]有機EL素子、有機ELディスプレイ素子、無機EL素子、無機ELディスプレイ素子、電子ペーパー素子、液晶ディスプレイ素子、及び太陽電池素子からなる群より選択される少なくとも1種である被封止物が、前記[1]~[10]のいずれか一つに記載のガスバリア性フィルムで封止されてなる封止体。
[12]請求項1~10のいずれか一つに記載のガスバリア性フィルムが有する接着剤層を被封止物に接着させる工程と、前記ガスバリア性フィルムから前記剥離シートを剥離する工程とを備える封止体の製造方法。
本発明のガスバリア性フィルムは、剥離シート、下地層、ガスバリア層、及び接着剤層をこの順で積層してなる積層体を有し、前記接着剤層が、ポリオレフィン系樹脂(A)及び熱硬化性成分(B)を含有する接着剤組成物から形成された層である。
なお、ここで「ガスバリア性」とは、酸素や水蒸気等の気体の透過を防止する特性を指していう。
・第1剥離シート/下地層/ガスバリア層/接着剤層/第2剥離シート
・第1剥離シート/下地層/ガスバリア層/密着性向上層/接着剤層/第2剥離シート
前記した層構成の態様において、第1剥離シートと第2剥離シートとは、同一であっても異なるものであってもよい。
前記した層構成の態様は、ガスバリア性フィルムを封止材として使用する前の状態を表したもので、使用する際には、通常、第2剥離シートを剥離除去し、露出した接着剤層の面と、被封止物とを接着させて封止体を得るものである。
また、封止材の接着剤層の面と被封止物の面とを接着させた後には、通常、第1剥離シートを剥離除去し、樹脂層を露出させて以下に示す層構成とすることができる。
・下地層/ガスバリア層/接着剤層
・下地層/ガスバリア層/密着性向上層/接着剤層
本発明のガスバリア性フィルムは、基材を有しなくても、第1剥離シートが、剥離除去されるまでの間、ガスバリア性フィルムの支持体や保護部材として機能する。
本発明の積層体は、剥離シート、下地層、ガスバリア層、及び接着剤層をこの順で積層して構成し、接着剤層を、ポリオレフィン系樹脂(A)及び熱硬化性成分(B)を含有する接着剤組成物から形成する。
本発明のガスバリア性フィルムを構成する積層体の水蒸気透過率は、好ましくは5.0g/m2/day以下、より好ましくは0.5g/m2/day以下、更に好ましくは5×10-2(g/m2/day)以下、より更に好ましくは5×10-3(g/m2/day)以下である。
本発明においては、上記積層体の水蒸気透過率が、上記範囲にあることで、酸素や水蒸気等の気体の透過を防止する効果が高い優れたガスバリア性を有するガスバリア性フィルムが得られる。
ここで「水蒸気透過率」とは、水蒸気透過率測定装置を用い、40℃、相対湿度90%の高温高湿環境下で測定される値を指していうが、より具体的な測定方法は、後述の実施例の方法に基づく。なお、本発明のガスバリア性フィルムは、被封止物に適用された後、第1剥離シートは剥離除去することが好ましいが、通常、剥離シートの水蒸気透過率はガスバリア層の水蒸気透過率に比べて非常に高いため、第1剥離シートを残したまま測定した積層体の水蒸気透過率は、積層体から第1剥離シートが除去されて被封止物上に形成される膜状体のガスバリア性能を反映していると考えられる。そこで、本発明におけるガスバリア性フィルムの水蒸気透過率は、後述する実施例に示されるように、ガスバリア性フィルムの自立性を維持するため第1剥離シートを残したまま測定した数値とする。
本発明者らは、通常の接着剤層を有するガスバリア性フィルムを封止材として用い、当該封止材で被封止物を封止してなる封止体を、促進試験として、高温高湿の環境下で長時間暴露したところ、被封止物が有していた当初性能を劣化させてしまう知見を得た。
その理由は、封止材の接着剤層と被封止物との接着面の接着性が低下したことに起因し、封止材の接着剤層と被封止物との間に部分的な剥離が生じ、この部分的に剥離した隙間から酸素や水蒸気等の気体が侵入し、被封止物に悪影響が及ぼされると考えられた。
そこで、本発明者らは、長期に渡って、封止材の接着剤層と被封止物との接着面の接着性の低下が少ない、接着強度に優れる接着剤層の形成材料について検討を行った。
本発明者らは、検討を重ねた結果、接着剤層を、ポリオレフィン系樹脂(A)及び熱硬化性成分(B)を含有する接着剤組成物から形成することで、長期に渡って、封止材の接着剤層と被封止物との接着面において優れた接着性が維持されることを見出した。
上記接着剤層の厚みが、上記範囲にあることで、ガスバリア性フィルムを封止材として用いる際に、好適に用いることが容易となる。
本発明の接着剤層は、ポリオレフィン系樹脂(A)及び熱硬化性成分(B)を含有する接着剤組成物から形成される。
これにより、接着剤層の水蒸気遮断性が高まり、封止性能を向上させることができるとともに、封止材の接着剤層と被封止物との接着面において優れた接着強度が得られ、更に、封止材の接着剤層と被封止物との接着面において優れた接着性が長期間維持される。そのため、被封止物が有していた当初性能が好適に保持され、被封止物に対する封止性能に優れるガスバリア性フィルムが得られる。
以下、接着剤層の形成材料として好適な接着剤組成物に含まれる各成分について述べる。
本発明の接着剤組成物は、ポリオレフィン系樹脂(A)を含有させる。
これにより、接着剤層の水蒸気透過率が低くなり、ガスバリア性フィルムが水分遮断性に優れる。
ここで「ポリオレフィン系樹脂」とは、オレフィン系単量体由来の繰り返し単位を有する重合体を指していう。
なお、ポリオレフィン系樹脂は、2種以上のα-オレフィン由来の単位を有していてもよい。また、ポリオレフィン系樹脂は、オレフィン系単量体由来の繰り返し単位のみからなる重合体であってもよいし、オレフィン系単量体由来の繰り返し単位と、オレフィン系単量体と共重合可能な単量体由来の繰り返し単位とからなる重合体であってもよい。オレフィン系単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル、スチレン等が挙げられる。
ここで「変性ポリオレフィン系樹脂(A1)」とは、前駆体となるポリオレフィン系樹脂(A)が変性剤と反応し、主鎖となるポリオレフィン系樹脂(A)に変性剤が有する官能基が側鎖として導入された重合体を指していう。
なお、変性剤は、分子内に2種以上の官能基を有していてもよい。
これらの官能基の中でも、カルボキシル基、カルボン酸無水物に由来の基、カルボン酸エステル基、水酸基、アンモニウム基、アミノ基、イミド基、イソシアネート、アルコキシシリル基が好ましく、中でも、カルボン酸無水物に由来の基が好ましい。
変性ポリオレフィン系樹脂としては、酸変性ポリオレフィン系樹脂、シラン変性ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
これらの中でも、熱硬化性成分(B)との反応性が高いという観点から、酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
なお、主鎖となるポリオレフィン系樹脂(A)に、酸基を有する化合物の酸基を側鎖として導入する方法及び条件は、公知の側鎖の導入手法を採用することができる。
不飽和カルボン酸及びその無水物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸、アコニット酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物等が挙げられる。これらの不飽和カルボン酸及びその無水物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの不飽和カルボン酸及びその無水物の中でも、接着強度により優れる接着剤組成物が得られ易いことから、無水マレイン酸が好ましい。
市販品の酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、アドマー(登録商標)(三井化学社製)、ユニストール(登録商標)(三井化学社製)、BondyRam(Polyram社製)、orevac(登録商標)(ARKEMA社製)、モディック(登録商標)(三菱化学社製)等が挙げられる。
上記酸基を有する化合物の配合量が、上記範囲にあることで、接着剤組成物は、接着強度により優れる。
ここで「シラン変性ポリオレフィン系樹脂」とは、前駆体となるポリオレフィン系樹脂(A)がシラン基を有する化合物と反応し、主鎖となるポリオレフィン系樹脂(A)にシラン基が側鎖として導入された重合体を指していう。
なお、主鎖となるポリオレフィン系樹脂(A)に、シラン基を有する化合物のシラン基を側鎖として導入する方法及び条件は、公知の側鎖の導入手法を採用することができる。
不飽和シラン化合物としては、ビニルシラン化合物が好ましく、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシラン等が挙げられる。これらの不飽和シラン化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
市販品のシラン変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、リンクロン(登録商標)(三菱化学社製)等が挙げられるが、リンクロンの中でも、低密度ポリエチレン系のリンクロン、直鎖状低密度ポリエチレン系のリンクロン、超低密度ポリエチレン系のリンクロン、エチレン-酢酸ビニル共重合体系のリンクロンが好ましい。
上記シラン基を有する化合物の配合量が、上記範囲にあることで、得られるシラン変性ポリオレフィン系樹脂を含有する接着剤組成物は、接着強度により優れる。
上記重量平均分子量(Mw)が、上記範囲にあることで、接着剤組成物中のポリオレフィン系樹脂(A)の含有量が多い場合であっても、接着剤組成物から形成されるシートの形状を維持することが容易となる。
ここで「重量平均分子量(Mw)」とは、テトラヒドロフランを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、標準ポリエチレン換算して求められる値を指していう。
変性ポリオレフィン系樹脂(A1)の含有量は、前記したポリオレフィン系樹脂(A)の全量(100質量%)に対して、好ましくは50~100質量%、より好ましくは65~100質量%、更に好ましくは80~100質量%、より更に好ましくは90~100質量%である。
上記変性ポリオレフィン系樹脂(A1)の含有量が、上記範囲にあることで、接着剤組成物は、接着強度により優れる。
ここで「接着剤組成物の有効成分」とは、接着剤組成物中に含まれる溶媒を除いた成分を指していう。
上記ポリオレフィン系樹脂(A)の含有量が、上記範囲にあることで、接着剤組成物は、接着強度により優れる。
本発明の接着剤組成物は、熱硬化性成分(B)を含有させる。
これにより、封止材の接着剤層と被封止物との接着面において、優れた接着強度が得られ易い。
ここで「熱硬化性成分(B)」とは、加熱すると網状構造となって不溶不融の状態に硬化する成分を指していう。
前記した熱硬化性成分(B)として、熱硬化性エポキシ樹脂(B1)を含むことが好ましい。
ここで「熱硬化性エポキシ樹脂(B1)」とは、加熱すると網状構造となって不溶不融の状態に硬化するエポキシ化合物を指していう。
更に、前記した熱硬化性エポキシ樹脂(B1)として、多官能エポキシ樹脂(B2)を含むことが好ましい。
ここで「多官能エポキシ樹脂(B2)」とは、分子内に少なくともエポキシ基を2つ以上有する化合物を指していう。
2官能エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂(例えばフェノール・ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂)等の芳香族エポキシ化合物;水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル等の脂環式エポキシ化合物;ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、2,2-ビス(3-グリシジル-4-グリシジルオキシフェニル)プロパン、ジメチロールトリシクロデカンジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物;等が挙げられる。これらの2官能エポキシ樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで「接着剤組成物の有効成分」とは、接着剤組成物中に含まれる溶媒を除いた成分を指していう。
上記熱硬化性成分(B)の含有量が、上記範囲にあることで、封止材の接着剤層と被封止物との接着面において優れた接着性が維持され易くなる。
本発明の接着剤組成物は、より接着強度の高い接着剤層が得られ易くなる観点から、更に、硬化触媒(C)を含有させることが好ましい。
ここで「硬化触媒(C)」とは、熱硬化性成分(B)を硬化させる触媒を指していう。
イミダゾール系硬化触媒としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。これらのイミダゾール系硬化触媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのイミダゾール系硬化触媒の中でも、2-エチル-4-メチルイミダゾールが好ましい。
上記硬化触媒(C)の含有量が、上記範囲にあることで、接着剤層は高温時においても優れた接着性を有する。
本発明の接着剤組成物は、更に、シランカップリング剤(D)を含有させてもよい。
これにより、常温及び高温環境下における接着強度により優れたものとなる。
ここで「シランカップリング剤(D)」とは、分子内に2種以上の異なる反応基を有する有機ケイ素化合物を指していう。
このようなシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケイ素化合物;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケイ素化合物;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケイ素化合物;3-クロロプロピルトリメトキシシラン;3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン;等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記シランカップリング剤(D)の含有量が、上記範囲にあることで、高温高湿の環境下に長時間暴露された場合でも、封止材の接着剤層と被封止物との接着面において優れた接着性が維持され易くなる。
接着剤組成物は、溶媒を加えて溶液の形態とすることが、接着剤層を塗布により形成する際に、接着剤組成物を塗布に適した性状に調整し易くする観点から好ましい。
溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、ケトン系溶媒が好ましく、中でも、ジメチルエチルケトンが好ましい。
接着剤組成物は、前記したポリオレフィン系樹脂(A)、前記した熱硬化性成分(B)、前記した硬化触媒(C)、前記したシランカップリング剤(D)、前記した溶媒の他に、本発明の硬化を損なわない範囲で、更にその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、光安定剤、酸化防止剤、樹脂安定剤、充填剤、顔料、増量剤、軟化剤、粘着付与剤等が挙げられる。
本発明のガスバリア性フィルムは下地層を有することで、ガスバリア層の損傷や劣化を抑制すると共に、剥離シートを効率よく剥離除去することができる。
下地層は、剥離シート上に直接積層させることが好ましい。
また、下地層は、剥離シートとガスバリア層との間に介在させられるものである。
上記下地層の厚みが、上記範囲にあることで、ガスバリア層の損傷や劣化を抑制し易くすると共に、剥離シートを効率よく剥離除去し易くすることができる。下地層が0.1~10μm程度の薄いものであると、ガスバリア性フィルム全体の厚さも小さな範囲に調整することが容易となり、有機EL素子等の電子デバイス等の小型化が求められる用途に好適である。ガスバリア性フィルムを基材とガスバリア層から構成した場合に、基材をこのような薄い厚さとすると、ガスバリア性フィルムの取扱いが困難になる場合がある。本発明では、下地層のガスバリア層と積層する側と反対の側に剥離シートが存在するために、取り扱い性の問題が解消される。そして、剥離シートは通常被封止物にガスバリア性フィルムを適用した後に除去されるので、封止体に残るガスバリア性フィルムに由来する部材を薄いものとすることができる。
下地層を薄いものとする場合に、その用途によっては、下地層の厚みを1~20μmとすることが好ましいこともあり、また、その場合、より好ましくは下地層の厚みは3~15μmである。
下地層の最大断面高さ(Rt)は、光干渉顕微鏡を用いて、下地層の表面を観察することにより測定することができる。例えば、ガスバリア性フィルムの製造工程で、剥離シート上に下地層を形成させた際、露出している下地層の表面を測定対象とすることができる。
上記最大断面高さ(Rt)が、上記範囲にあることで、ガスバリア層を好適に保護しながら、剥離シートを効率よく剥離除去し易くすることができる。
なお、上記最大断面高さ(Rt)は、後述する無機フィラーの平均粒径や含有量を調整することにより、上記範囲にすることができる。
本発明の下地層は、エネルギー線硬化性成分を含有する下地層用組成物から形成されることが好ましい。また、下地層用組成物は熱可塑性樹脂を含んでいることも好ましい。
これにより、ガスバリア層の損傷や劣化を抑制し易くすると共に、剥離シートを効率よく剥離除去し易くすることができる。
以下、下地層の形成材料として好適な下地層用組成物中に含まれる各成分について述べる。
下地層用組成物は、熱可塑性樹脂を含有させることで、適度な柔軟性を有する下地層が得られ易くなる。
ここで「熱可塑性樹脂」とは、加熱により溶融又は軟化し、これを冷却すると固化する性質を有する樹脂を指していう。
芳香族環構造を有する樹脂としては、例えば、ポリスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、脂環式炭化水素系樹脂が好ましく、中でも、ポリスルホン系樹脂が好ましい。なお、ポリスルホン系樹脂は、変性ポリスルホン系樹脂であってもよい。
ここで「ポリスルホン系樹脂」とは、主鎖中にスルホン基(-SO2-)を有する高分子化合物からなる樹脂を指していう。
ポリスルホン系樹脂としては、下記の(a)~(h)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物からなる樹脂が挙げられる。
これらの中でも、ポリスルホン系樹脂としては、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂が好ましく、中でも、ポリスルホン樹脂がより好ましい。
ここで「ガラス転移温度(Tg)」とは、粘弾性測定(周波数11Hz、昇温速度3℃/分で0~250℃の範囲で引張モードによる測定)により得られたtanδ(損失弾性率/貯蔵弾性率)の最大点の温度を指していう。
上記ガラス転移温度(Tg)が、上記範囲にあることで、耐熱性に優れる下地層を形成することが容易となる。
また、熱可塑性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.0~5.0、より好ましくは2.0~4.5である。
ここで「重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値を指していう。
なお、ここで「下地層用組成物の有効成分」とは、下地層用組成物中に含まれる溶媒を除いた成分を指していう。
上記熱可塑性樹脂の含有量が、上記範囲にあることで、適度な柔軟性と強度とを備えた、ガスバリア性フィルムが得られ易くなる。
下地層がエネルギー線硬化性成分を含む下地層用組成物から形成されることにより、特に、透明性が高く、かつ、複屈折率が低く光学等方性の高いガスバリア性フィルムが得られるという利点がある。ガスバリア性フィルムを得る場合に、一般的なポリエステル系基材等を用いると、光学異方性が高く、ディスプレイ等に適用した場合の光取出し性に劣る。一方で、シクロオレフィンポリマー等の光学等方性の高い基材も存在するが、扱いが難しく、製造適性を改善することが困難な場合がある。エネルギー線硬化性成分を含む下地層用組成物から下地層を形成することにより、簡便に光学等方性の高いガスバリア性フィルムを得ることが可能である。そのほか、下地層用組成物は、エネルギー線硬化性成分を含有させることで、耐溶剤性に優れる下地層が得られ易くなるという利点も挙げられる。
また、当該重合性化合物とは、エネルギー線重合性官能基を有する化合物である。当該エネルギー線重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、スチリル基等のエチレン性不飽和基が例示される。
なお、ここで「下地層用組成物の有効成分」とは、下地層用組成物中に含まれる溶媒を除いた成分を指していう。
上記エネルギー線硬化性成分の含有量が、上記範囲にあることで、耐溶剤性に優れる下地層が得られ易くなる。
下地層用組成物は、無機フィラーを含んでいてもよい。無機フィラーを構成する無機物としては、シリカ、酸化アルミニウム、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物;フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等の金属フッ化物;等が挙げられる。無機フィラーは、その表面が有機化合物で修飾されたものであってよい。
無機フィラーの平均粒径は、粒度分布測定装置を使用して、動的光散乱法により測定することができる。
なお、ここで「下地層用組成物の有効成分」とは、下地層用組成物中に含まれる溶媒を除いた成分を指していう。
上記無機フィラーの含有量が、上記範囲にあることで、ガスバリア層を好適に保護しながら、剥離シートを効率よく剥離除去し易くすることができる。
なお、ここで「下地層用組成物の有効成分」とは、下地層用組成物中に含まれる溶媒を除いた成分を指していう。
下地層用組成物は、溶媒を加えて溶液の形態とすることが、塗布により下地層を形成する工程で、下地層用組成物を塗布に適した性状に調整し易くする観点から好ましい。
溶媒としては、例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、塩化エチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤;1,3-ジオキソラン等のエーテル系溶媒;等が挙げられる。
これらの中でも、ハロゲン化炭化水素系溶媒が好ましく、中でも、ジクロロメタンが好ましい。
下地層用組成物は、熱可塑性樹脂、エネルギー線硬化性成分、無機フィラー、溶媒の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、更にその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
下地層に積層される剥離シート(第1剥離シート)は、従来公知のものを使用することができる。
剥離フィルムとしては、従来公知のものを利用することができる。例えば、剥離シート用の基材上に、剥離剤により剥離処理された剥離層を有するものが挙げられる。前記剥離シート用基材としては、グラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材;これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のプラスチックフィルム;等が挙げられる。前記剥離剤としては、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。また、剥離シート用の基材として挙げた紙基材やプラスチックフィルムを、剥離層を設けずにそのまま用いてもよい。
第2剥離シートは、接着剤層との剥離性を良好にする観点から、剥離層を有することが好ましい。
剥離シートの厚さは、好ましくは10~300μm、より好ましくは20~125μm、更に好ましくは30~100μmである。
本発明のガスバリア性フィルムはガスバリア層を有することで、酸素や水蒸気等の気体の透過を防止する効果が高い優れたガスバリア性を発揮させることができる。
また、ガスバリア層は、下地層と接着剤層との間に介在させられるものである。
2層以上のガスバリア層は、同じ厚みであってもよいし、異なる厚みであってもよい。
ガスバリア層1層の厚みは、通常20nmから50μm、好ましくは30nmから1μm、より好ましくは40nmから500nmの範囲である。
上記ガスバリア層1層の厚みが、上記範囲にあることで、酸素や水蒸気等の気体の透過を防止する効果が高い一定の水準を満たすガスバリア性を有する、ガスバリア性フィルムが得られ易くなる。
2層以上のガスバリア層とした場合、各々のガスバリア層は、全て同じ組成物から形成された層であることが好ましい。
これにより、2層以上のガスバリア層間同士の層間密着性を向上させることができる。
これらの中でも、ガスバリア層のより好ましい態様としては、(i)無機蒸着膜からなるガスバリア層、及び(iii)高分子層の表面が改質されてなるガスバリア層からなる群より選択される少なくとも1種である。
無機蒸着膜としては、無機化合物や金属の蒸着膜が挙げられる。
無機化合物の蒸着膜の原料としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛スズ等の無機酸化物;窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン等の無機窒化物;無機炭化物;無機硫化物;酸化窒化ケイ素等の無機酸化窒化物;無機酸化炭化物;無機窒化炭化物;無機酸化窒化炭化物等が挙げられる。
金属の蒸着膜の原料としては、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、及びスズ等が挙げられる。
これらの無機化合物及び金属の蒸着膜の原料は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの無機蒸着膜の中でも、透明性の観点から、無機酸化物、及び無機窒化物からなる群より選択される少なくとも1種を原料とする無機蒸着膜がより好ましい。
また、無機蒸着膜は、単層でもよく、多層でもよい。
無機蒸着膜を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法;熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等のCVD法;原子層堆積法(ALD法);等が挙げられる。
ガスバリア性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールの部分ケン化物、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、及びポリクロロトリフルオロエチレン等の酸素や水蒸気等の気体を透過し難い樹脂が挙げられる。
ガスバリア性樹脂を含む溶液の塗布方法は特に限定されず、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等の公知の塗布方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、赤外線照射等の公知の乾燥方法が挙げられる。
高分子層の表面が改質されてなるガスバリア層において、用いる高分子化合物としては、ケイ素含有高分子化合物、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、脂環式炭化水素系樹脂、芳香族系重合体等が挙げられる。これらの高分子化合物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
高分子化合物の含有量は、前記した高分子層用組成物の有効成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。
なお、ここで「高分子層用組成物の有効成分」とは、高分子層用組成物中に含まれる溶媒を除いた成分を指していう。
上記高分子化合物の含有量が、上記範囲にあることで、ガスバリア性に優れるガスバリア層を形成し易くすることができる。
イオン注入処理は、後述するように、加速させたイオンを高分子層に注入して、高分子層を改質する方法である。
プラズマ処理は、高分子層をプラズマ中に晒して、高分子層を改質する方法である。例えば、特開2012-106421号公報に記載の方法に従って、プラズマ処理を行うことができる。
紫外線照射処理は、高分子層に紫外線を照射して高分子層を改質する方法である。例えば、特開2013-226757号公報に記載の方法に従って、紫外線改質処理を行うことができる。
ケイ素含有高分子化合物としては、ポリシラザン系化合物、ポリカルボシラン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリオルガノシロキサン系化合物、ポリ(ジシラニレンフェニレン)系化合物、及びポリ(ジシラニレンエチニレン)系化合物等が挙げられ、これらの中でも、ポリシラザン系化合物が好ましい。
無置換若しくは置換基を有するシクロアルキル基のシクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、及びシクロへプチル基等の炭素数3~10のシクロアルキル基が挙げられる。
無置換若しくは置換基を有するアルケニル基のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、及び3-ブテニル基等の炭素数2~10のアルケニル基が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」の記載は、「アクリロイル」及び/又は「メタクリロイル」を意味する。同様に、「(メタ)アクリル」の記載も「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味する。
一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリシラザン系化合物としては、Rx、Ry、Rzが全て水素原子である無機ポリシラザン、Rx、Ry、Rzの少なくとも1つが水素原子ではない有機ポリシラザンのいずれであってもよい。
これらの中でも、前記ポリシラザン系化合物としては、入手容易性、及び優れたガスバリア性を有するイオン注入層を形成できる観点から、一般式(1)中、Rx、Ry、Rzが全て水素原子であるペルヒドロポリシラザンが好ましい。
また、前記ポリシラザン系化合物としては、ガラスコーティング材等として市販されている市販品をそのまま使用することもできる。
前記ポリシラザン系化合物は、単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
当該数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを行い、標準ポリスチレン換算値として求めることができる。
これらのイオンは単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、より簡便にイオンを注入することができ、より優れたガスバリア性を有するガスバリア層を形成し得ることから、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガスのイオンが好ましい。
これらの方法の中でも、簡便に目的のガスバリア層を形成できることから、後者のプラズマイオンを注入する方法(プラズマイオン注入法)が好ましい。
イオン注入により、イオンが注入される領域の厚さは、イオンの種類や印加電圧、処理時間等の注入条件により制御することができ、高分子層の厚さやガスバリア性フィルムの使用目的等に応じて調整すればよいが、好ましくは10~400nmである。
前述した接着剤層が、ガスバリア層上に密着性向上層を介して積層する場合、密着性向上層と隣接する層が無機蒸着膜からなるガスバリア層であることが好ましい。
本発明のガスバリア性フィルムは、下地層、ガスバリア層、及び接着剤層をこの順で積層して構成されるものであれば、特に限定されないが、接着剤層は、密着性向上層を介してガスバリア層上に積層して構成されてもよい。
本発明のガスバリア性フィルムは密着性向上層を有することで、ガスバリア層と接着剤層との密着性を向上させることができる。
上記密着性向上層の厚みが、上記範囲にあることで、ガスバリア層と接着剤層との密着性を向上させる効果を好適に発揮させることができる。
密着性向上層は、好ましくは熱硬化性エポキシ樹脂を含有する硬化性組成物の硬化物からなる層である。熱硬化性エポキシ樹脂を含有する硬化性組成物を用いることで、ガスバリア層と接着剤層との密着性、特に高温高湿条件下で保管した後の当該密着性により優れる密着性向上層を形成することができる。
密着性向上層に用いることができる熱硬化性エポキシ樹脂としては、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミノ基又はグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂、レゾルシノールから誘導されたグリシジルオキシ基を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
これらの熱硬化性エポキシ樹脂中でも、分子内に芳香環を含むエポキシ樹脂が好ましい。
これらの熱硬化性エポキシ樹脂は、単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
なお、ここで「硬化性組成物の固形分」とは、硬化性組成物中に含まれる溶媒を除いた成分を指していう。
多官能アミン化合物としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン等が挙げられる。
これらの多官能アミン化合物は、単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
硬化性組成物中の多官能アミン化合物の含有量は、硬化性組成物の固形分全量に対して、好ましくは25~80質量%、より好ましくは35~75質量%である。
溶剤としては、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、塩化エチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤;1,3-ジオキソラン等のエーテル系溶媒;等が挙げられる。
これらの溶剤は、単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
塗付方法としては、通常の湿式コーティング方法を用いることができる。例えば、バーコート法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、ロールナイフコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法、スピンコート法、ブレードコート法等が挙げられる。
加熱温度は、好ましくは70~180℃、より好ましくは80~150℃である。
加熱時間は、好ましくは30秒~10分、より好ましくは1~7分である。
本発明の封止体は、被封止物を、本発明のガスバリア性フィルムを封止材として、封止されてなり、層間剥離等による欠損及び/又は水蒸気等の浸入に起因する不具合が発生し難いものとなる。そのため、封止体は、長期にわたって被封止物の性能維持が要求される用途で好適に用いることができる。すなわち、封止材の接着剤層と被封止物との接着面において優れた接着性が維持され、被封止物が有していた当初性能が好適に保持され得る。
被封止物としては、有機EL素子、有機ELディスプレイ素子、無機EL素子、無機ELディスプレイ素子、電子ペーパー素子、液晶ディスプレイ素子、及び太陽電池素子からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
本発明の封止体の製造方法は、特に限定されないが、ガスバリア性フィルムが有する接着剤層を被封止物に接着させる工程と、本発明のガスバリア性フィルムから剥離シートを剥離する工程とを備えることが好ましい。
例えば、封止材とする本発明のガスバリア性フィルムが、以下に示す態様であった場合には、先ず第2剥離シートを剥離除去する。
次に、露出した接着剤層の面と被封止物の面とを重ね合わせ、必要に応じて加圧し、所望の加熱条件で加熱し、接着剤層を硬化させて被封止物が封止材となるガスバリア性フィルムで封止されてなる、封止体を得るものである。
・第1剥離シート/下地層/ガスバリア層/接着剤層/第2剥離シート
なお、通常、第1剥離シートは、接着剤層の面と被封止物を形成した後、剥離除去されるものである。第1剥離シートの剥離除去は、ガスバリア性フィルムを加熱する工程の前であってもよいし、後であってもよい。
このような封止体の作製方法によれば、ガスバリア性フィルムが基材を有していなくても、第1剥離シートが剥離除去されるまでの間、第1剥離シートがガスバリア性フィルムの支持体として機能するため、ガスバリア性フィルムの破断や変形が防止され、取り扱い性に優れる。
[ガスバリア性フィルムの作製]
(1)下地層の形成工程
熱可塑性樹脂として、ポリスルホン系樹脂(PSF)のペレット(BASF社製、「ULTRASON S3010」、Tg=180℃)60部を、ジクロロメタンに溶解し、PSFの15%溶液を調製した。
この溶液に、エネルギー線硬化性成分として、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業社製、ADCP)40部、及び、重合開始剤として、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド(BASF社製、「Irgacure 819」)1部を添加、混合して、下地層用組成物を調製した。
次いで、この乾燥塗膜上に、工程シートとして、易接着処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡社製、「PET50A-4100」、厚み50μm)の非処理面を貼り合わせて積層した。
<高圧水銀ランプによる条件>
・紫外線ランプ高さ:100mm
・紫外線ランプ出力:3kW
<紫外線光量計による条件>
・光線波長365nmの照度:400mW/cm2
・光量:800mJ/cm2
<1層目>
その後、工程シートとして用いたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを剥離除去した。
そして、前記で形成した下地層上に、ガスバリア層用組成物として無機ポリシラザン系コーティング剤を、溶液法であるスピンコート法により塗布し、塗膜を形成した。
ここで、前記の「無機ポリシラザン系コーティング剤」は、メルクパフォーマンスマテリアルズ社製の「アクアミカNL110-20(主成分:ペルヒドロポリシラザン)」を、キシレンにて20%溶液に濃度調整したものである。
そして、得られた塗膜を120℃で1分間加熱することで、塗膜を乾燥させ、前記の下地層上に厚み100nmのポリシラザン系化合物層を形成した。
更に、前記で形成したポリシラザン系化合物層の表面に、プラズマイオン注入装置(RF電源:日本電子社製「RF56000」、高電圧パルス電源:栗田製作所社製「PV-3-HSHV-0835」)を用いて、下記に示す条件により、プラズマイオン注入による改質処理を施し、1層目のガスバリア層を形成した。
<プラズマイオン注入条件>
・チャンバー内圧:0.2Pa
・プラズマ生成ガス:アルゴン
・ガス流量:100sccm
・RF出力:1000W
・RF周波数:1000Hz
・RFパルス幅:50μ秒
・RF delay:25n秒
・DC電圧:-10kV
・DC周波数:1000Hz
・DCパルス幅:5μ秒
・DC delay:50μ秒
・Duty比:0.5%
・処理時間(イオン注入時間):200秒
<2層目>
次に、前記で改質処理を施した1層目のガスバリア層上に、前記した1層目のガスバリア層の形成と同様の方法で、厚み100nmのポリシラザン系化合物層を形成した。
更に、前記で形成したポリシラザン系化合物層の表面に、前記した1層目のガスバリア層の改質処理と同様の方法で、プラズマイオン注入による改質処理を施し、2層目のガスバリア層を形成した。
ポリオレフィン系樹脂(A)として、酸変性ポリオレフィン系樹脂(三井化学社製、「ユニストールH-200」、α-オレフィン重合体、重量平均分子量(Mw):52,000)100部、熱硬化性成分(B)として、多官能エポキシ樹脂(三菱化学社製、「YX8034」、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル)25部、及び、硬化触媒(C)として、イミダゾール系硬化触媒(四国化成社製、「キュアゾール2E4MZ」、2-エチル-4-メチルイミダゾール)0.25部を、メチルエチルケトンに溶解し、固形分濃度が18%溶液となるよう接着剤組成物を調製した。
次いで、この接着剤層上に、第3剥離シートとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(リンテック社製、「SP-PET381031」)の剥離処理面を貼り合わせて積層した。
その後、第3剥離シートとして用いたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを剥離除去した。
そして、露出した接着剤層の面と、前記で形成した2層目のガスバリア層の面とを重ね合わせ、ヒートラミネータを用いて60℃に加熱することで、接着剤層に第2剥離シートを残した状態で、2層目のガスバリア層上に厚み25μmの接着剤層を形成し、第1剥離シート/下地層/1層目のガスバリア層(改質あり)/2層目のガスバリア層(改質あり)/接着剤層/第2剥離シートの層構成を有する、実施例1のガスバリア性フィルムを作製した。
ガラス基板の表面に、酸化インジウムスズ(ITO)膜(厚さ:150nm、シート抵抗:30Ω/□)をスパッタリング法により形成し、次いで、溶媒洗浄とUV/オゾン処理を行うことで陽極を形成した。
前記で形成した陽極(ITO膜)上に、発光層の形成材料として、N,N’-ビス(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)-ベンジデン)(Luminescence Technology社製)60nm、トリス(8-ヒドロキシ-キノリネート)アルミニウム(Luminescence Technology社製)40nm、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(Luminescence Technology社製)10nm、及び(8-ヒドロキシ-キノリノレート)リチウム(Luminescence Technology社製)10nmを、0.1~0.2nm/sの速度で順次蒸着させ、発光層を形成した。
前記で形成した発光層上に、アルミニウム(Al)(高純度化学研究所社製)を、0.1nm/sの速度で100nm蒸着させて陰極を形成し、ガラス基板/陽極/発光層/陰極の層構成を有する、有機EL素子を作製した。
なお、有機EL素子の作製工程において、陽極(ITO膜)上に、前記した発光層の形成材料を順次蒸着させる際の真空度は1×10-4Pa以下とした。
次に、前記した実施例1で作製したガスバリア性フィルムから第2剥離シートを剥離除去し、封止材となるガスバリア性フィルムの接着剤層の面を露出させた。
次に、露出させた接着剤層の面と、前記で作製した被封止物となる有機EL素子の面とを重ね合わせ、窒素雰囲気下でヒートラミネータを用いて60℃に加熱し、接着剤層の面と、被封止物となる有機EL素子の面とを、加圧しながら接着させて、被封止物となる有機EL素子が封止材となるガスバリア性フィルムで封止されてなる、封止体を作製した。
更に、前記で作製した封止体を、100℃で2時間加熱することで接着剤層を硬化させて、実施例1の封止体を作製した。
実施例1の接着剤層の形成工程において、ゴム系接着剤(日本ブチル社製、「Exxon Butyl 268」、数平均分子量:260,000、イソブチレンとイソプレンの共重合体、イソプレンの含有率:1.7モル%)100部、及び、粘着付与剤(日本ゼオン社製、「クイントンA100」)20部を、トルエンに溶解し、固形分濃度が20%となるよう接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のガスバリア性フィルムを作製した。
更に、実施例1の封止体の作製において、接着剤層の硬化を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の封止体を作製した。
(1)ガスバリア性の評価
前記した実施例1及び比較例1で作製した各ガスバリア性フィルムについて、第2剥離シートを剥離除去し、第1剥離シートを残したものを、測定用試料とした。
測定用試料を対象として、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、「AQUATRAN」)を用いて、40℃、相対湿度90%の高温高湿環境下における、積層体の水蒸気透過率(g/m2/day)を測定した。なお、水蒸気透過率測定装置の検出下限値は、0.0005(g/m2/day)である。
このように測定した水蒸気透過率(g/m2/day)の結果から、下記に示す2段階の基準で、ガスバリア性フィルムのガスバリア性を評価した。
A:水蒸気透過率が5×10-3(g/m2/day)以下
B:水蒸気透過率が5×10-3(g/m2/day)を超える
前記した実施例1及び比較例1で作製した各封止体から第1剥離シートを剥離除去し、ガスバリア性フィルムの下地層の面を露出させたものを、測定用試料とした。
測定用試料を対象として、40℃、相対湿度90%の高温高湿環境下で100時間放置した後、有機EL素子を起動させ、非発光箇所(ダークスポット)の面積を測定し、放置前の初期の発光面積(100%)に対する非発光箇所の面積の割合(%)を算出した。
そして、下記に示す4段階の基準で、被封止物となる有機EL素子を封止した、封止材としてのガスバリア性フィルムの被封止物に対する封止性能を評価した。
A:非発光箇所の面積の割合が5%未満
B:非発光箇所の面積の割合が5%以上10%未満
C:非発光箇所の面積の割合が10%以上90%未満
D:非発光箇所の面積の割合が90%以上
表1に示した評価結果より、以下のことが分かる。
比較例1のガスバリア性フィルムの作製において、接着剤層を、ゴム系接着剤及び粘着付与剤を含有する接着剤組成物から形成したことに起因し、比較例1の封止体を高温高湿の環境下に長時間暴露した場合、封止材の接着剤層と被封止物との接着面において接着性が維持されず、比較例1のガスバリア性フィルムは、被封止物に対する封止性能に劣ることが分かった。
Claims (11)
- 剥離シート、下地層、ガスバリア層、及び接着剤層をこの順で積層してなる積層体を有するガスバリア性フィルムであって、
前記接着剤層が、ポリオレフィン系樹脂(A)及び熱硬化性成分(B)を含有する接着剤組成物から形成された層であり、
ポリオレフィン系樹脂(A)は、変性ポリオレフィン系樹脂(A1)を含み、該変性ポリオレフィン系樹脂(A1)が、炭素数2~8のα-オレフィンであるオレフィン系単量体由来の繰り返し単位のみからなる重合体の側鎖に官能基が導入されたものである、ガスバリア性フィルム。 - 前記熱硬化性成分(B)が、熱硬化性エポキシ樹脂(B1)を含む、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
- 前記接着剤層が、前記ガスバリア層に直接積層してなる、請求項1又は2に記載のガスバリア性フィルム。
- 前記接着剤層が、密着性向上層を介して前記ガスバリア層に積層してなる、請求項1~3のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
- 前記下地層が、エネルギー線硬化性成分を含有する下地層用組成物から形成された層である、請求項1~4のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
- 前記下地層が、更に熱可塑性樹脂を含有する下地層用組成物から形成された層である、請求項1~5のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
- 前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)が140℃以上である、請求項6に記載のガスバリア性フィルム。
- 前記下地層の厚みが0.1~10μmである、請求項1~7のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
- 前記ガスバリア層が、ポリシラザン系化合物を含有し、改質処理して形成された層である、請求項1~8のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルム。
- 有機EL素子、有機ELディスプレイ素子、無機EL素子、無機ELディスプレイ素子、電子ペーパー素子、液晶ディスプレイ素子、及び太陽電池素子からなる群より選択される少なくとも1種である被封止物が、請求項1~9のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルムで封止されてなる封止体。
- 請求項1~9のいずれか一項に記載のガスバリア性フィルムが有する接着剤層を被封止物に接着させる工程と、前記ガスバリア性フィルムから前記剥離シートを剥離する工程とを備える封止体の製造方法。
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