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JP7156021B2 - 浸炭鋼部品用鋼材 - Google Patents

浸炭鋼部品用鋼材 Download PDF

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JP7156021B2 JP2018246479A JP2018246479A JP7156021B2 JP 7156021 B2 JP7156021 B2 JP 7156021B2 JP 2018246479 A JP2018246479 A JP 2018246479A JP 2018246479 A JP2018246479 A JP 2018246479A JP 7156021 B2 JP7156021 B2 JP 7156021B2
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Description

本発明は、浸炭鋼部品に用いられる鋼材である浸炭鋼部品用鋼材に関する。
機械構造用部品に使用される鋼には、一般に、Mn、Cr、Mo、及び、Ni等が含有される。上述の元素を含有する化学成分を有し、鋳造、鍛造、圧延等の工程を経て製造された浸炭鋼部品用鋼材は、鍛造、切削等の機械加工により成型され、さらに、浸炭処理等の熱処理を施されて、表層部の浸炭層と、浸炭層よりも内部の芯部とを備える浸炭鋼部品となる。
この浸炭鋼部品を製造するコストのうち、切削加工に関わるコストが非常に大きい。切削加工は切削の工具が高価であるだけでなく、切りくずを多量に生成するため、歩留の観点からも不利である。このため、切削加工を鍛造に置き換えることが試みられている。鍛造方法は熱間鍛造、温間鍛造、冷間鍛造に大別できる。温間鍛造はスケールの発生が少なく、熱間鍛造よりも寸法精度が改善されるという特徴がある。冷間鍛造はスケールの発生がなく、寸法精度が従前の切削後の状態に近いという特徴がある。したがって、熱間鍛造で大まかな加工を実施した後に冷間鍛造で仕上げ加工を実施する方法、温間鍛造を実施した後に仕上げとして軽度の切削を実施する方法、又は、冷間鍛造を実施した後に仕上げとして軽度の切削を実施する方法、等が検討されてきた。しかしながら、熱間鍛造を温間鍛造又は冷間鍛造に置き換えた場合、浸炭鋼部品用鋼材の変形抵抗が大きいと、鍛造機の金型にかかる面圧が増加し、金型寿命が低下する。この場合、切削量が低減しても、コストメリットがそれほど大きくならない。また、複雑な形状に成型する場合、大きな加工が加わる部位に割れが生じる場合がある。このため、温間鍛造又は冷間鍛造により浸炭鋼部品を製造する場合、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率の向上が求められる。
国際公開第2012/108480号(特許文献1)及び特開2012-207244号公報(特許文献2)は、冷間鍛造性(限界加工率)の向上を目的とした浸炭鋼部品用鋼材を提案する。
特許文献1に記載の浸炭用鋼は、化学成分が、質量%で、C:0.07%~0.13%、Si:0.0001%~0.50%、Mn:0.0001%~0.80%、S:0.0001%~0.100%、Cr:1.30%超~5.00%、B:0.0005%~0.0100%、Al:0.0001%~1.0%、Ti:0.010%~0.10%を含有し、N:0.0080%以下、P:0.050%以下、O:0.0030%以下に制限し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、化学成分中の各元素の質量%で示した含有量が、式(1)~式(3)を満たす。ここで、式(1)~式(3)は次のとおりである。0.10<C+0.194×Si+0.065×Mn+0.012×Cr+0.078×Al<0.235 式(1)、7.5<(0.7×Si+1)×(5.1×Mn+1)×(2.16×Cr+1)<44 式(2)、0.004<Ti-N×(48/14)<0.030 式(3)。この浸炭用鋼は、上述の化学組成を有することにより、冷間鍛造時の限界加工率を高めることができ、さらに、浸炭処理後において、従来鋼と同等の硬化層及び芯部硬さとが得られる、と特許文献1には記載されている。
特許文献2に記載された肌焼鋼は、質量%で、C:0.05~0.20%、Si:0.01~0.1%、Mn:0.3~0.6%、P:0.03%以下(0%を含まない)、S:0.001~0.02%、Cr:1.2~2.0%、Al:0.01~0.1%、Ti:0.010~0.10%、N:0.010%以下(0%を含まない)、B:0.0005~0.005%を含有し、残部が鉄及び不可避不純物からなり、円相当直径20nm未満のTi系析出物の密度が10~100個/μm2であり、且つ、円相当直径20nm以上のTi系析出物の密度が1.5~10個/μm2であり、ビッカース硬さが130HV以下であることを特徴とする。この肌焼鋼は上記構成により、冷間鍛造性に優れる、と特許文献2には記載されている。
国際公開第2012/108480号 特開2012-207244号公報
ところで、機械構造用部品のうち、自動車に適用されるものには、大型の浸炭鋼部品が複数利用されている。自動車に適用される大型の浸炭鋼部品はたとえば、無段階変速機(CVT)の可変プーリー等である。大型の浸炭鋼部品が重要保安部品である場合は特に、高い疲労強度が求められる。上述の特許文献1及び2に開示された鋼材を用いて大型の浸炭鋼部品を製造する場合、浸炭鋼部品の芯部の硬さを十分に高めることができず、高い疲労強度が得られない場合がある。
また、自動車又は産業機械のトランスミッション用シャフト等に浸炭鋼部品を適用する場合、浸炭鋼部品は、潤滑油と接触した(塗布された)状態で使用される。この場合、潤滑油に由来した水素に起因して、浸炭鋼部品に遅れ破壊が生じやすくなる。したがって、浸炭鋼部品には、高い芯部硬さとともに、優れた耐水素脆化特性も求められる。
本開示の目的は、冷間鍛造時の限界加工率が大きく、浸炭鋼部品となったときに高い疲労強度及び優れた耐水素脆化特性を有する、浸炭鋼部品用鋼材を提供することである。
本開示による浸炭鋼部品用鋼材は、化学組成が、質量%で、C:0.07~0.13%、Si:0.15~0.35%、Mn:0.60~0.80%、S:0.005~0.050%、Cr:1.90~2.50%未満、B:0.0005~0.0100%、Al:0.100~0.200%、Ca:0.0002~0.0030%、N:0.0080%以下、P:0.050%以下、O:0.0030%以下、Ti:0~0.020%未満、Nb:0~0.100%、Mo:0~0.500%、Ni:0~0.500%、Cu:0~0.500%、及び、残部はFe及び不純物からなり、式(1)~式(5)を満たす。
0.140<C+0.194×Si+0.065×Mn+0.012×Cr+0.033×Mo+0.067×Ni+0.097×Cu+0.078×Al<0.235 (1)
1.35<(1.33×C-0.1)+(0.23×Si+0.01)+(0.42×Mn+0.22)+(0.27×Cr+0.22)+(0.77×Mo+0.03)+(0.12×Ni+0.01)<1.55 (2)
0.0003<Al×(N-Ti×(14/48))<0.0011 (3)
0.03≦Ca/S≦0.15 (4)
Mn/(Si+Cr+Mo+Ni)<0.30 (5)
ここで、式(1)~(5)の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
本開示による浸炭鋼部品用鋼材は、冷間鍛造時の限界加工率が大きく、浸炭鋼部品となったときに高い疲労強度及び優れた耐水素脆化特性を有する。
図1は、各元素の含有量が本実施形態の範囲内である鋼材において、限界拡散性水素量比HRと、Mn/(Si+Cr+Mo+Ni)との関係を示す図である。 図2は、実施例におけるローラピッチング試験で使用した小ローラ試験片の側面図である。 図3は、実施例におけるローラピッチング試験で使用した大ローラ試験片の正面図である。 図4は、小ローラ試験片に実施した浸炭処理のヒートパターン図である。 図5は、面疲労試験に使用した、環状Vノッチ試験片の側面図である。
本発明者らは、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率の改善とともに、冷間鍛造及び浸炭処理を施して浸炭鋼部品となったときの疲労強度及び耐水素脆化特性を高めるための検討を行った。その結果、本発明者らは、次の(A)~(G)の知見を得た。
(A)C含有量が低いほど、冷間鍛造前の浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率は高まる。しかしながら、C含有量が低すぎれば、浸炭処理後の浸炭鋼部品の疲労強度を、C含有量が0.20%程度である従来の浸炭鋼部品用鋼材(たとえば、JIS-SCR420)と同等レベルにすることが困難となる。浸炭鋼部品用鋼材の化学組成を、質量%で、C:0.07~0.13%、Si:0.15~0.35%、Mn:0.60~0.80%、S:0.005~0.050%、Cr:1.90~2.50未満、B:0.0005~0.0100%、Al:0.100~0.200%、Ca:0.0002%~0.0030%、N:0.0080%以下、P:0.050%以下、O:0.0030%以下、Ti:0~0.020%未満、Nb:0~0.100%、Mo:0~0.500%、Ni:0~0.500%、Cu:0~0.500%、及び、残部がFe及び不純物からなる化学組成とすれば、C含有量が従来の浸炭鋼部品用鋼材よりも低くても、大型の浸炭鋼部品として必要な芯部硬さを得ることができ、十分な疲労強度が得られる可能性がある。
(B)上述の化学組成で、高い芯部硬さを得て、十分な疲労強度を得るためには、浸炭鋼部品の芯部のミクロ組織において、マルテンサイト分率を高めるのが好ましい。浸炭鋼部品の芯部のミクロ組織でのマルテンサイト分率を高めるためには、C、Si、Mn、Cr、Mo、Ni等の鋼の焼入れ性を向上する合金元素(焼入れ向上元素)の含有量を、式(2)を満たすように含有することが必要である。
1.35<(1.33×C-0.1)+(0.23×Si+0.01)+(0.42×Mn+0.22)+(0.27×Cr+0.22)+(0.77×Mo+0.03)+(0.12×Ni+0.01)<1.55 (2)
ここで、式(2)の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
(C)しかしながら、上述の焼入れ性向上元素の含有量が増加すれば、焼入れ性向上元素がフェライトを固溶強化する。そのため、浸炭鋼部品用鋼材の硬さが高まる。浸炭鋼部品用鋼材の硬さが高まれば、冷間鍛造性が低下し、限界加工率が低下する。
Bは鋼材の焼入れ性を高めるものの、フェライトを固溶強化しない元素である。そこで、上述のとおり、浸炭鋼部品用鋼材の上述の化学組成にBを0.0005~0.0100%含有させて、さらに、上述の焼入れ性向上元素の含有量が式(1)を満たすようにする。これにより、限界加工率の低下を抑制しつつ、浸炭処理後の浸炭鋼部品において、十分な芯部硬さ及び疲労強度を得ることができる。
0.140<C+0.194×Si+0.065×Mn+0.012×Cr+0.033×Mo+0.067×Ni+0.097×Cu+0.078×Al<0.235 (1)
ここで、式(1)の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
(D)AlNが微細に分散析出すれば、ピンニング効果により、浸炭処理の加熱時のオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制できる。したがって、上述の化学組成を満たしつつ、さらに、AlNによるピンニング効果を得るために、浸炭鋼部品用鋼材中のAl含有量、N含有量及びTi含有量が、式(3)を満たすようにする。
0.0003<Al×(N-Ti×(14/48))<0.0011 (3)
ここで、式(3)の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
浸炭鋼部品用鋼材の化学組成中のAl含有量、Ti含有量及びN含有量が式(3)を満たす場合、AlNが微細分散して、ピンニング効果により、浸炭処理の加熱時のオーステナイト結晶粒の異常粒成長を抑制する。そのため、浸炭鋼部品の芯部において、十分な硬さが得られる。
(E)Bは、浸炭鋼部品の芯部の焼入れ性を有効に高める。しかしながら、変成炉ガス方式のガス浸炭を行う場合、浸炭鋼部品の表層部である浸炭層では、B含有による焼入れ性向上効果が低い。これは、浸炭処理時において、鋼部品の表面から窒素が侵入して、固溶Bと結合してBNとして析出し、固溶B量を低減するためである。したがって、浸炭鋼部品の表層部である浸炭層で焼入れ性を確保するために、上述のとおり、浸炭鋼部品用鋼材の化学組成が、式(2)を満たすようにする。
(F)浸炭鋼部品用鋼材を用いて浸炭鋼部品を製造する場合、冷間鍛造後の鋼材に対して切削加工を実施する場合がある。本実施形態では、上述の化学組成に示すとおり、S含有量を0.005~0.050%として、MnSを形成して被削性を高める。しかしながら、MnSが延伸すれば、冷間鍛造性が低下する。そこで、Ca含有量を0.0002~0.0030%とした上で、式(4)を満たすようにする。この場合、鋼材中の硫化物が微細化及び球状化することにより、冷間鍛造性を高め、限界加工率を高めることができる。
0.03≦Ca/S≦0.15 (4)
ここで、式(4)の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
(G)C含有量が0.13%以下であり、Cr含有量が1.90%以上であり、かつ、B含有量が0.0005~0.0100%である鋼材において、Si、Cr、Mo及びNiの総含有量に対するMn含有量を低減すれば、外部からの水素の侵入を抑制することが可能となり、耐水素脆化特性が高まる。具体的には、各元素量が本実施形態の化学組成の範囲内であって、かつ、式(1)~式(4)を満たすことを前提として、さらに、式(5)を満たすようにする。この場合、上述の化学組成を有する鋼材を用いて製造された浸炭鋼備品に対して、優れた耐水素脆化特性を示す。
Mn/(Si+Cr+Mo+Ni)<0.30 (5)
ここで、式(5)の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
以上の知見に基づいて完成した本実施形態による浸炭鋼部品用鋼材は、化学組成が、質量%で、C:0.07~0.13%、Si:0.15~0.35%、Mn:0.60~0.80%、S:0.005~0.050%、Cr:1.90~2.50%未満、B:0.0005~0.0100%、Al:0.100~0.200%、Ca:0.0002~0.0030%、N:0.0080%以下、P:0.050%以下、O:0.0030%以下、Ti:0~0.020%未満、Nb:0~0.100%、Mo:0~0.500%、Ni:0~0.500%、Cu:0~0.500%、及び、残部はFe及び不純物からなり、式(1)~式(5)を満たす。
0.140<C+0.194×Si+0.065×Mn+0.012×Cr+0.033×Mo+0.067×Ni+0.097×Cu+0.078×Al<0.235 (1)
1.35<(1.33×C-0.1)+(0.23×Si+0.01)+(0.42×Mn+0.22)+(0.27×Cr+0.22)+(0.77×Mo+0.03)+(0.12×Ni+0.01)<1.55 (2)
0.0003<Al×(N-Ti×(14/48))<0.0011 (3)
0.03≦Ca/S≦0.15 (4)
Mn/(Si+Cr+Mo+Ni)<0.30 (5)
ここで、式(1)~(5)の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
上記浸炭鋼部品用鋼材の化学組成は、Ti:0.001~0.020%未満、Nb:0.002~0.100%、Mo:0.005~0.500%、Ni:0.005~0.500%、及び、Cu:0.005~0.500%、からなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有してもよい。
以下、本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材及び浸炭鋼部品の詳細を説明する。本明細書において、元素に関する「%」は、特に断りがない限り、質量%を意味する。
[浸炭鋼部品用鋼材の化学組成]
本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材の化学組成は、次の元素を含有する。
C:0.07%~0.13%
炭素(C)は、浸炭鋼部品の芯部の硬さを高め、疲労強度を高める。C含有量が0.07%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、浸炭鋼部品の芯部の硬さが低下して、疲労強度が低下する。一方、従前の浸炭鋼部品用鋼材のC含有量は0.20%程度であるが、本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材では、限界加工率を高めるために、C含有量を0.13%以下とする。したがって、C含有量は0.07~0.13%である。C含有量の好ましい下限は0.08%であり、さらに好ましくは0.09%である。C含有量の好ましい上限は0.12%であり、さらに好ましくは0.11%である。
Si:0.15%~0.35%
シリコン(Si)は、浸炭鋼部品の焼戻し軟化抵抗を高め、浸炭鋼部品の疲労強度を高める。Si含有量が0.15%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、この効果が十分に得られない。一方、Si含有量が0.35%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、冷間鍛造前の浸炭鋼部品用鋼材の硬さが過剰に高くなり、限界加工率が低下する。したがって、Si含有量は0.15~0.35%である。疲労強度をさらに高める観点では、Si含有量の好ましい下限は0.20%であり、さらに好ましくは0.25%である。限界加工率をさらに高める観点では、Si含有量の好ましい上限は0.30%であり、さらに好ましくは0.25%である。
Mn:0.60%~0.80%
マンガン(Mn)は、鋼の焼入性を高め、浸炭鋼部品の芯部硬さを高め、疲労強度を高める。Mn含有量が0.60%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、十分な焼入れ性が得られない。一方、Mn含有量が0.80%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、冷間鍛造前の浸炭鋼部品用鋼材の硬さが過剰に高くなり、限界加工率が低下する。したがって、Mn含有量は0.60~0.80%である。Mn含有の好ましい下限は0.62%であり、さらに好ましくは0.65%である。Mn含有量の好ましい上限は0.77%であり、さらに好ましくは0.75%である。
S:0.005%~0.050%
硫黄(S)は、鋼中のMnと結合してMnSを形成し、浸炭鋼部品用鋼材の被削性を高める。S含有量が0.005%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、S含有量が0.050%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、冷間鍛造時にMnSが割れの起点となり、限界加工率が低下する。したがって、S含有量は0.005~0.050%である。S含有量の好ましい下限は0.006%であり、さらに好ましくは0.008%であり、さらに好ましくは0.010%である。S含有量の好ましい上限は0.040%であり、さらに好ましくは0.030%であり、さらに好ましくは0.020%である。
Cr:1.90~2.50%未満
クロム(Cr)は、鋼の焼入性を高め、浸炭鋼部品の芯部硬さを高め、疲労強度を高める。Crは、焼入れ性を高めるMn、Mo、Niと比較して、浸炭鋼部品用鋼材の硬さ上昇を抑えつつ、焼入れ性を高めることができる。Cr含有量が1.90%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、十分な焼入れ性が得られない。一方、Cr含有量が2.50%以上になれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、冷間鍛造前の浸炭鋼部品用鋼材の硬さが過剰に高くなり、限界加工率が低下する。したがって、Cr含有量は1.90~2.50%未満である。Cr含有量の好ましい下限は1.94%であり、さらに好ましくは2.00%である。Cr含有量の好ましい上限は2.40%であり、さらに好ましくは2.30%である。
B:0.0005%~0.0100%
ホウ素(B)は、オーステナイトに固溶した場合、微量でも鋼の焼入性を大きく高める。そのため、浸炭鋼部品の芯部硬さを高め、疲労強度を高める。Bはさらに、微量の含有により上記効果を発揮するため、浸炭鋼部品用鋼材中のフェライトの硬さが上昇しにくい。つまり、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率を高く維持しつつ、焼入れ性を高めることができる。B含有量が0.0005%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。一方、B含有量が0.0100%を超えれば、上記効果が飽和する。したがって、B含有量は0.0005~0.0100%である。B含有量の好ましい下限は0.0007%であり、さらに好ましくは0.0010%である。B含有量の好ましい上限は0.0080%であり、さらに好ましくは0.0050%であり、さらに好ましくは0.0025%である。
Al:0.100~0.200%
アルミニウム(Al)は、鋼を脱酸する。Alはさらに、Nと結合して微細なAlNを微細分散する。微細AlNのピンニング効果により、浸炭処理の加熱時にオーステナイト結晶粒が粗大化するのを抑制する。Al含有量が0.100%未満であれば、これらの効果が十分に得られない。一方、Al含有量が0.200%を超えれば、鋼中に粗大な酸化物が形成して、浸炭鋼部品の疲労強度が低下する。したがって、Al含有量は0.100~0.200%である。Al含有量の好ましい下限は0.101%であり、さらに好ましくは0.110%であり、さらに好ましくは0.120%である。Al含有量の好ましい上限は0.190%であり、さらに好ましくは0.170%であり、さらに好ましくは0.150%である。
Ca:0.0002%~0.0030%
カルシウム(Ca)は、鋼中の硫化物に固溶して、硫化物を微細かつ球状化する。これにより、浸炭鋼部品用鋼材の冷間鍛造性は高まり、限界加工率が高まる。Ca含有量が0.0002%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、この効果が十分に得られない。一方、Ca含有量が0.0030%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、鋼中に粗大な酸化物が生成する。この場合、浸炭鋼部品用鋼材の冷間鍛造性及び限界加工率がかえって低下する。したがって、Ca含有量は0.0002~0.0030%である。Ca含有量の好ましい下限は0.0005%であり、さらに好ましくは0.0007%である。Ca含有量の好ましい上限は0.0025%であり、さらに好ましくは0.0020%である。
N:0.0080%以下
窒素(N)は不可避に含有される不純物である。つまり、N含有量は0%超である。NはBと結合してBNを形成し、固溶B量を低減する。N含有量が0.0080%を超えれば、浸炭鋼部品用鋼材中のTi含有量が上述の範囲内であっても、TiがNを十分に固定することができなくなり、BNが過剰に生成する。その結果、浸炭鋼部品用鋼材の焼入れ性が低下する。N含有量が0.0080%を超えればさらに、粗大なTiNが生成して、冷間鍛造時に粗大なTiNが割れの起点となる。そのため、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率が低下する。したがって、N含有量は0.0080%以下である。N含有量の好ましい上限は0.0075%であり、さらに好ましくは0.0070%であり、さらに好ましくは0.0065%である。N含有量はできるだけ低い方が好ましい。しかしながら、N含有量の過剰の低減は、製造コストを高める。したがって、通常の工業生産を考慮した場合、N含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%であり、さらに好ましくは0.0030%である。
P:0.050%以下
燐(P)は不可避に含有される不純物である。つまり、P含有量は0%超である。Pは鋼材の疲労強度及び熱間加工性を低下する。したがって、P含有量は0.050%以下である。P含有量の好ましい上限は0.035%であり、さらに好ましくは0.020%である。P含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、P含有量の過剰な低減は、製造コストを高める。したがって、通常の工業生産を考慮した場合、P含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0010%である。
O:0.0030%以下
酸素(O)は、は不可避に含有される不純物である。つまり、O含有量は0%超である。Oは、酸化物を形成し、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率を低下し、浸炭鋼部品の疲労強度を低下する。したがって、O含有量は0.0030%以下である。O含有量の好ましい上限は0.0020%であり、さらに好ましくは0.0015%である。O含有量はなるべく低い方が好ましい。しかしながら、O含有量の過剰な低減は製造コストを高める。したがって、通常の工業生産を考慮した場合、O含有量の好ましい下限は0.0001%であり、さらに好ましくは0.0005%であり、さらに好ましくは0.0007%である。
本実施の形態による浸炭鋼部品用鋼材の化学組成の残部は、Fe及び不純物からなる。ここで、不純物とは、浸炭鋼部品用鋼材を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、又は製造環境などから混入されるものであって、本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。上述のN、P、O以外の不純物はたとえば、Pb、Sn、Cd、Co、Znである。これらの不純物の含有量は、次のとおりである。Pb:0.05%以下、Sn:0.05%以下、Cd:0.05%以下、Co:0.05%以下、Zn:0.05%以下。
[任意元素(optional elements)について]
本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材の化学組成はさらに、Feの一部に代えて、Ti、Nb、Mo、Ni及びCuからなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有してもよい。TiはNと結合して、固溶B量をさらに確保する。Nbは、炭化物及び炭窒化物を生成して結晶粒を微細化する。Mo、Ni及びCuはいずれも鋼の焼入れ性を高める。
Ti:0~0.020%未満
チタン(Ti)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ti含有量は0%であってもよい。含有される場合、Tiは鋼中のNをTiNとして固定する。これにより、BNの形成がさらに抑制され、固溶Bをさらに確保することができる。電炉により浸炭鋼部品用鋼材を製造する場合、鋼中のN含有量の調整が困難となる場合がある。このような場合に、Tiを含有するのが好ましい。Tiが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。一方、Ti含有量が高すぎれば、製造コストが高くなる。したがって、Ti含有量は0~0.020%未満である。Ti含有量の好ましい下限は0%超であり、さらに好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。Ti含有量の好ましい上限は0.018%であり、さらに好ましくは0.016%である。
Nb:0~0.100%
ニオブ(Nb)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Nb含有量は0%であってもよい。含有される場合、NbはC及びNと結合して炭化物及び/又は炭窒化物を形成し、ピンニング効果により浸炭処理の加熱時のオーステナイト結晶粒の粗大化を抑制する。Nbが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Nb含有量が0.100%を超えれば、粗大な炭化物及び/又は炭窒化物が生成して、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率が低下する。したがって、Nb含有量は0~0.100%である。Nb含有量の好ましい下限は0.002%であり、さらに好ましくは0.004%であり、さらに好ましくは0.010%である。Nb含有量の好ましい上限は0.080%であり、さらに好ましくは0.060%であり、さらに好ましくは0.050%である。
Mo:0~0.500%
モリブデン(Mo)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Mo含有量は0%であってもよい。含有される場合、Moは鋼の焼入性を高め、浸炭鋼部品の芯部の硬さを高める。Moはさらに、ガス浸炭による浸炭処理を実施する場合、浸炭処理時において酸化物及び窒化物を生成しない。そのため、Moは、浸炭層中に酸化物層、窒化物層及び浸炭異常層が生成するのを抑制する。Moが少しでも含有されれば、これらの効果がある程度得られる。しかしながら、Mo含有量が0.500%を超えれば、浸炭鋼部品用鋼材の硬さが過剰に高まり、限界加工率が低下する。したがって、Mo含有量は0~0.500%である。Mo含有量の好ましい下限は0.005%であり、さらに好ましくは0.010%であり、さらに好ましくは0.020%であり、さらに好ましくは0.050%である。Mo含有量の好ましい上限は0.400%であり、さらに好ましくは0.300%であり、さらに好ましくは0.200%である。
Ni:0~0.500%
ニッケル(Ni)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Ni含有量は0%であってもよい。含有される場合、Niは鋼の焼入性を高め、浸炭鋼部品の芯部の硬さを高める。Niはさらに、ガス浸炭による浸炭処理を実施する場合、浸炭処理時において酸化物及び窒化物を生成しない。そのため、Niは、浸炭層中に酸化物層、窒化物層及び浸炭異常層が生成するのを抑制する。Niが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Ni含有量が0.500%を超えれば、浸炭鋼部品用鋼材の硬さが過剰に高まり、限界加工率が低下する。したがって、Ni含有量は0~0.500%である。Ni含有量の好ましい下限は0.005%であり、さらに好ましくは0.010%であり、さらに好ましくは0.020%であり、さらに好ましくは0.050%である。Ni含有量の好ましい上限は0.400%であり、さらに好ましくは0.300%であり、さらに好ましくは0.200%である。
Cu:0~0.500%
銅(Cu)は任意元素であり、含有されなくてもよい。つまり、Cu含有量は0%であってもよい。含有される場合、Cuは鋼の焼入性を高め、浸炭鋼部品の芯部の硬さを高める。Cuはさらに、ガス浸炭による浸炭処理を実施する場合、浸炭処理時において酸化物及び窒化物を生成しない。そのため、Cuは、浸炭層表面の酸化物層、窒化物層、浸炭異常層の形成を抑制する。Cuが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。しかしながら、Cu含有量が0.500%を超えれば、浸炭鋼部品用鋼材の硬さが過剰に高まり、限界加工率が低下する。したがって、Cu含有量は0~0.500%である。Cu含有量の好ましい下限は0.005%であり、さらに好ましくは0.010%であり、さらに好ましくは0.020%であり、さらに好ましくは0.050%である。Cu含有量の好ましい上限は0.400%であり、さらに好ましくは0.300%である。Cuを含有する場合、Ni含有量をCu含有量の1/2以上とすれば、浸炭鋼部品用鋼材の熱間加工性がさらに高まる。
[式(1)~式(5)について]
本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材の化学組成はさらに、式(1)~式(5)を満たす。
0.140<C+0.194×Si+0.065×Mn+0.012×Cr+0.033×Mo+0.067×Ni+0.097×Cu+0.078×Al<0.235 (1)
1.35<(1.33×C-0.1)+(0.23×Si+0.01)+(0.42×Mn+0.22)+(0.27×Cr+0.22)+(0.77×Mo+0.03)+(0.12×Ni+0.01)<1.55 (2)
0.0003<Al×(N-Ti×(14/48))<0.0011 (3)
0.03≦Ca/S≦0.15 (4)
Mn/(Si+Cr+Mo+Ni)<0.30 (5)
ここで、式(1)~式(5)中の元素記号は、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。対応する元素が任意元素であり、含有されていない場合、その元素記号には「0」が代入される。
以下、各式について説明する。
[式(1)について]
F1=C+0.194×Si+0.065×Mn+0.012×Cr+0.033×Mo+0.067×Ni+0.097×Cu+0.078×Alと定義する。F1は浸炭鋼部品用鋼材(及び、浸炭鋼部品用鋼材を用いて製造される浸炭鋼部品)の硬さの指標である。
C含有量が低い場合、冷間鍛造前の浸炭鋼部品用鋼材の組織は、上記した従来の浸炭鋼部品用鋼材(C含有量が0.20%程度)よりも、フェライト分率が大幅に増加している。この場合、浸炭鋼部品用鋼材の硬さは、C含有量(パーライト分率)のみならず、フェライトの硬さにも大きく影響を受ける。F1は、浸炭鋼部品用鋼材中のフェライトの固溶強化に及ぼす各合金元素の寄与を示す。
F1が0.235以上であれば、冷間鍛造前の浸炭鋼部品用鋼材の硬さが高すぎる。この場合、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率が低下する。一方、F1が0.140以下であれば、浸炭鋼部品としての芯部硬さが不足する。したがって、F1は、0.140超~0.235未満である。F1は、後述する焼入れ性指標(F2)を満たす範囲でなるべく低い方が好ましい。F1の好ましい上限は0.230未満であり、さらに好ましくは0.220であり、さらに好ましくは0.210である。なおF1値は、算出された値の小数第4位を四捨五入して得られた値である。
[式(2)について]
F2=(1.33×C-0.1)+(0.23×Si+0.01)+(0.42×Mn+0.22)+(0.27×Cr+0.22)+(0.77×Mo+0.03)+(0.12×Ni+0.01)と定義する。F2は浸炭鋼部品用鋼材の焼入れ性に関する指標である。
上述の通り、Bは、浸炭鋼部品の芯部の焼入れ性を高めるのに有効である。一方で、ガス浸炭(変成炉ガス方式)を行う場合、浸炭鋼部品の表層部である浸炭層では、B含有による焼入れ性向上効果が低い。これは、浸炭処理時に炉内雰囲気ガス中のNが浸炭鋼部品の表層部に侵入して、固溶BがBNとして析出し、焼入れ性向上に寄与する固溶B量が不足するためである。したがって、ガス浸炭処理を実施する場合、Bは浸炭鋼部品の芯部の硬さを高めることはできるものの、浸炭鋼部品の浸炭層の硬さの向上には寄与しにくい。したがって、浸炭鋼部品の表層部である浸炭層で焼入れ性を確保するには、B以外の焼入性向上元素を活用する必要がある。
F2はB以外の焼入れ性向上に特に寄与する元素で構成される。F2が1.35以下の場合、同一の浸炭処理条件で、上記した従来の浸炭鋼部品用鋼材(C含有量が0.20%程度)と比較して、同等以上の浸炭層の深さ(ビッカース硬さがHV550以上となる深さ)を十分に得ることができない。一方、F2が1.55以上であれば、冷間鍛造前の浸炭鋼部品用鋼材の硬さが上昇し、限界加工率が低下する。したがって、F2は、1.35超~1.55未満である。F2は、硬さ指標F1を満たす範囲内でできるだけ大きい方が好ましい。F2の好ましい下限は1.37であり、さらに好ましくは1.40である。なおF2値は、算出された値の小数第3位を四捨五入して得られた値である。
[式(3)について]
F3=Al×(N-Ti×(14/48))と定義する。F3は、AlN析出量に関する指標である。TiがNに対して化学量論的に過剰に含有された場合、Nは全てTiNとして固定される。つまり、F3中の(N-Ti×(14/48))は、Nが鋼中においてTiN以外の形態になっている量を示す。つまり、(N-Ti×(14/48))は、鋼中においてTiと結合されていないN量を示す。なお、F3中の「14」はNの原子量、「48」はTiの原子量を表す。
F3が0.0003以下であれば、Nと結合するAl量が不足している。この場合、微細AlNの分散が不足する。そのため、ピンニング効果が有効に作用せず、浸炭処理の加熱時においてオーステナイト結晶粒に粗粒が発生する。一方、F3が0.0011以上であれば、AlN析出物が微細分散せずに粗大化するため、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率が低下する。たがって、F3は0.0003超~0.0011未満である。F3の好ましい下限は0.0004であり、さらに好ましくは0.0005である。F3の好ましい上限は0.0010であり、さらに好ましくは0.0009である。なおF3値は、算出された値の小数第5位を四捨五入して得られた値である。
[式(4)について]
F4=Ca/Sと定義する。F4は硫化物の微細化及び球状化に関する指標である。上述のとおり、Caは硫化物に固溶して硫化物を微細化し、さらに、硫化物を球状化する。しかしながら、浸炭鋼部品用鋼材の化学組成のCaを含む各元素の含有量が上記範囲内であっても、S含有量に対するCa含有量が高すぎれば、Caの一部が硫化物に固溶せず、酸化物を形成してしまう。Ca酸化物は鋼材の限界加工率を低下する。F4(=Ca/S)を適切な範囲に設定できれば、硫化物の微細化及び球状化を促進しつつ、酸化物の生成を抑制することができ、その結果、浸炭鋼部品用鋼材の冷間鍛造性及び限界加工率を高めることができる。
F4が0.03未満であれば、化学組成中の各元素含有量が本実施形態の範囲内であって、かつ、F1~F3が式(1)~式(3)を満たし、F5が式(5)を満たしても、鋼中のS含有量に対するCa含有量が低すぎるため、硫化物の微細化及び球状化が不十分となる。この場合、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率が低くなる。一方、F4が0.15よりも高ければ、化学組成中の各元素含有量が上述の範囲内であって、かつ、F1~F3が式(1)~式(3)を満たし、F5が式(5)を満たしても、鋼中のS含有量に対するCa含有量が高すぎるため、酸化物が過剰に生成する。この場合、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率が低くなる。化学組成中の各元素含有量が本実施形態の範囲内であって、かつ、F1~F3が式(1)~式(3)を満たし、F5が式(5)を満たし、かつ、F4が0.03~0.15であれば、硫化物を十分に微細化及び球状化することができ、酸化物の過剰な生成も抑制できる。そのため、浸炭鋼部品用鋼材において、従来鋼よりも冷間鍛造時の限界加工率が大きくなる。F4の好ましい下限は0.05であり、さらに好ましくは0.06である。F4の好ましい上限は0.14であり、さらに好ましくは0.13である。なおF4値は、算出された値の小数第3位を四捨五入して得られた値である。
[式(5)について]
Mn量の制限に加えてさらに、式(5)を満たすことによって、本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材は、高強度であっても優れた耐水素脆化特性が得られる。
Mn/(Si+Cr+Mo+Ni)<0.30 (5)
ここで、式(5)中の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
F5=Mn/(Si+Cr+Mo+Ni)と定義する。F5は、耐水素脆化特性と相関を有する。以下に詳細を説明する。
図1は、限界拡散性水素量比HRと、F5との関係を示す図である。図1中の縦軸は、限界拡散性水素量比HRを示す。限界拡散性水素量比HRは、JIS G4053(2008)のSCR420に相当する化学組成を有する鋼材の限界拡散性水素量Hrefを基準として、次の式(A)で定義される。
限界拡散性水素量比HR=Hc/Href (A)
Hcは限界拡散性水素量である。限界拡散性水素量Hcは、種々の濃度の水素を導入した試験片に対して定荷重試験を実施した場合の、破断しなかった試験片の最大水素量を意味する。
図1を参照して、Si、Cr、Mo及びNiの総含有量に対するMn含有量の比であるF5が0.30以上の場合、F5が減少しても、限界拡散性水素量比HRはそれほど大きくならない。一方、F5が0.30未満になると、F5の減少とともに、限界拡散性水素量比が顕著に増大し、限界拡散性水素量比HRが1.10以上となる。つまり、限界拡散性水素量比HRとF5との関係は、F5=0.30付近に変曲点を有する。したがって、F5が0.30未満であれば、優れた耐水素脆化特性が得られる。なお、図1を参照して、F5が0.20以下になると、限界拡散性水素量比HRが1.30程度で一定となる。F5の好ましい上限は0.26であり、さらに好ましくは0.28である。なお、F5の下限は特に限定されないが、上述の化学組成であれば、F5の下限は0.16である。F5の好ましい下限は0.20であり、さらに好ましくは0.21である。
[浸炭鋼部品用鋼材のミクロ組織]
浸炭鋼部品用鋼材のミクロ組織のうち、介在物及び析出物を除く部分を母相(マトリックス)と定義する。好ましくは、浸炭鋼部品用鋼材のマトリックスは、主としてフェライト及びパーライトからなる。ここで、「主としてフェライト及びパーライトからなる」とは、ミクロ組織におけるフェライト及びパーライトの総面積率が85.0~100.0%であることを意味する。マトリックスにおいて、フェライト及びパーライト以外の相(Phase)はたとえば、ベイナイト、マルテンサイト、及び、セメンタイト等である。つまり、本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材のミクロ組織において、ベイナイト、マルテンサイト及びセメンタイトの総面積率は0~15.0%である。
[フェライト及びパーライト面積率の測定方法]
本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材のミクロ組織中のフェライト及びパーライトの総面積率(%)は、次の方法で測定される。浸炭鋼部品用鋼材が棒鋼又は線材である場合、浸炭鋼部品用鋼材の長手方向(軸方向)に垂直な断面(以下、横断面という)のうち、表面と中心軸とを結ぶ半径Rの中央位置(R/2位置)からサンプルを採取する。採取したサンプルの表面のうち、上記横断面に相当する表面を観察面とする。観察面を鏡面研磨した後、2%硝酸アルコール(ナイタール腐食液)を用いて観察面をエッチングする。エッチングされた観察面を、500倍の光学顕微鏡を用いて観察し、任意の20視野の写真画像を生成する。各視野のサイズは、100μm×100μmとする。
各視野において、フェライト、パーライト等の各相は、相ごとにコントラストが異なる。したがって、コントラストに基づいて、各相を特定する。特定された相のうち、各視野でのフェライトの総面積(μm2)、及び、パーライトの総面積(μm2)を求める。全ての視野の総面積に対する、全ての視野におけるフェライトの総面積とパーライトの総面積との合計面積の割合を、フェライト及びパーライトの総面積率(%)と定義する。なお、ミクロ組織の面積率の算出には、フェライト、パーライト、マルテンサイト(焼戻しマルテンサイトも含む)、ベイナイト(焼戻しベイナイトも含む)、セメンタイト(球状化セメンタイトも含む)を含める。一方で、上記面積率の算出には、セメンタイト以外の析出物、介在物、及び、残留オーステナイトを含めない。
以上の構成を有する浸炭鋼部品用鋼材は、高い限界加工率を有する。さらに、冷間鍛造、切削加工及び浸炭処理が施されて浸炭鋼部品となったとき、高い疲労強度及び優れた耐水素脆化特性を有する。
[浸炭鋼部品について]
本実施形態の浸炭鋼部品は、上述の本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材を用いて製造される。具体的には、冷間鍛造後の浸炭鋼部品用鋼材に対して浸炭処理を実施して、製造される。浸炭鋼部品の製造方法については後述する。
浸炭鋼部品は、浸炭層と、芯部とを備える。浸炭層は、浸炭鋼部品の表面からの深さが0.4mm~2.0mm未満である。つまり、浸炭層は浸炭鋼部品の表層に形成されている。本実施形態において、浸炭層は、JIS Z 2244(2009)に準拠したビッカース硬さが550HV以上となる領域を意味する。芯部は、浸炭鋼部品のうち、浸炭層よりも内部の領域に相当する。芯部の化学組成は、上述の浸炭鋼部品の化学組成と同じである。つまり、芯部の化学組成中の元素は上記数値範囲内であって、式(1)~式(5)を満たす。
浸炭鋼部品において、浸炭鋼部品の表面から50μm深さ位置は浸炭層に相当する。浸炭鋼部品の表面から50μm深さ位置でのJIS Z 2244(2009)に準拠したビッカース硬さは650~1000HVである。つまり、上記位置での浸炭層のビッカース硬さは650~1000HVである。
上記構成を有する浸炭鋼部品において、浸炭鋼部品の表面から10.0mm深さ位置は芯部に相当する。浸炭鋼部品の表面から10.0mm深さ位置でのJIS Z 2244(2009)に準拠したビッカース硬さは250~500HVである。つまり、上記位置での芯部のビッカース硬さは250~500HVである。
浸炭層は浸炭処理により形成され、浸炭層のビッカース硬さは、素材である浸炭鋼部品用鋼材よりも高くなる。
浸炭鋼部品のビッカース硬さは、次の方法で測定する。浸炭鋼部品の任意の表面に垂直な断面を測定面とする。測定面において、表面から50μm深さ位置のビッカース硬さと、表面から0.4mm深さ位置のビッカース硬さとを、マイクロビッカース硬度計を用いて、JIS Z 2244(2009)に準拠したビッカース硬さ試験により求める。試験時の荷重は0.49Nとする。50μm深さ位置10箇所のビッカース硬さHVを測定して、その平均値を、50μm深さ位置でのビッカース硬さHVとする。また、0.4mm深さ位置10箇所のビッカース硬さHVを測定して、その平均値を、0.4mm深さ位置でのビッカース硬さHVとする。0.4mm深さ位置でのビッカース硬さが550HV以上であれば、浸炭層深さが少なくとも0.4mm以上であると判断する。また、測定面において、表面から10.0mm深さ位置のビッカース硬さを、ビッカース硬度計を用いて、JIS Z 2244(2009)に準拠したビッカース硬さ試験により求める。試験時の荷重は49Nとする。10.0mm深さ位置10箇所のビッカース硬さHVを測定して、その平均値を、10.0mm深さ位置でのビッカース硬さHVとする。
浸炭鋼部品はたとえば、鉱山機械、建設機械、自動車等に利用される機械構造用部品として適用される。機械構造用部品はたとえば、歯車、シャフト、プーリー等である。
[浸炭鋼部品用鋼材の製造方法]
本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材の製造方法の一例を説明する。なお、本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材は、上記構成を有すれば、製造方法は以下の製造方法に限定されない。ただし、以下に説明する製造方法は、本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材を製造する好適な一例である。
本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材の製造方法の一例は、素材準備工程と、熱間加工工程とを含む。以下、各工程について説明する。
[素材準備工程]
素材準備工程では、上述の式(1)~式(5)を満たす化学組成を有する素材を準備する。素材はたとえば、次の方法により製造される。上述の式(1)~式(5)を満たす化学組成の溶鋼を製造する。上記溶鋼を用いて、鋳造法により素材(鋳片又はインゴット)を製造する。たとえば、上記溶鋼を用いて周知の連続鋳造法により鋳片(ブルーム)を製造する。又は、上記溶鋼を用いて周知の造塊法によりインゴットを製造する。
[熱間加工工程]
熱間加工工程では、素材準備工程にて準備された素材(ブルーム又はインゴット)に対して、熱間加工を実施して、浸炭鋼部品用鋼材を製造する。浸炭鋼部品用鋼材の形状は特に限定されないが、たとえば、棒鋼又は線材である。以下の説明では、一例として、浸炭鋼部品用鋼材が棒鋼である場合について説明する。しかしながら、浸炭鋼部品用鋼材が棒鋼以外の他の形状であっても同様の熱間加工工程で製造可能である。
熱間加工工程は、粗圧延工程と、仕上げ圧延工程とを含む。粗圧延工程では、素材を熱間加工してビレットを製造する。粗圧延工程はたとえば、分塊圧延機を用いる。分塊圧延機により素材に対して分塊圧延を実施して、ビレットを製造する。分塊圧延機の下流に連続圧延機が設置されている場合、分塊圧延後のビレットに対してさらに、連続圧延機を用いて熱間圧延を実施して、さらにサイズの小さいビレットを製造してもよい。連続圧延機では、一対の水平ロールを有する水平スタンドと、一対の垂直ロールを有する垂直スタンドとが交互に一列に配列される。以上の工程により、粗圧延工程では、素材をビレットに製造する。粗圧延工程での加熱炉での加熱温度は特に限定されないが、たとえば、1100~1300℃である。
仕上げ圧延工程では、始めに加熱炉を用いてビレットを加熱する。加熱後のビレットに対して、連続圧延機を用いて熱間圧延を実施して、浸炭鋼部品用鋼材である棒鋼を製造する。仕上げ圧延工程での加熱炉での加熱温度は特に限定されないが、たとえば、1000~1250℃である。また、仕上げ圧延において、最終の圧下を行った圧延スタンドの出側での鋼材温度を仕上げ温度と定義する。このとき、仕上げ温度はたとえば、800~1000℃である。仕上げ温度は、最終の圧下を行った圧延スタンドの出側に設置された測温計にて測定される。
仕上げ圧延後の鋼材に対して、放冷以下の冷却速度で冷却を行い、本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材を製造する。好ましくは、仕上げ圧延後の鋼材であって、鋼材温度が800℃~500℃となる温度範囲における平均冷却速度CRを、0超~1.3℃/秒とする。鋼材温度が800~500℃では、オーステナイトからフェライト又はパーライトへの相変態が生じる。鋼材温度が800℃~500℃となる温度範囲における平均冷却速度CRが0超~1.3℃/秒であれば、ミクロ組織中にベイナイト又はマルテンサイトが過剰に生成するのを抑制することができ、ミクロ組織中のフェライト及びパーライトの総面積率が85.0~100.0%となる。
なお、平均冷却速度CRは次の方法で測定する。仕上げ圧延後の鋼材は、搬送ラインで下流に搬送される。搬送ラインには、複数の測温計が搬送ラインに沿って配置されており、搬送ラインの各位置での鋼材温度を測定可能である。搬送ラインに沿って配置された複数の測温計に基づいて、鋼材温度が800℃~500℃となるまでの時間を求め、平均冷却速度CR(℃/秒)を求める。たとえば、搬送ラインに複数の徐冷カバーを間隔を開けて配置することにより、平均冷却速度CRを調整できる。
以上の製造工程により、上述の構成を有する本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材を製造できる。
[浸炭鋼部品の製造方法]
次に、本実施形態による浸炭鋼部品の製造方法の一例について説明する。本製造方法は、上述の浸炭鋼部品用鋼材に対して冷間鍛造を実施して中間部材を製造する冷間鍛造工程と、中間部材を切削する切削加工工程と、中間部材に対して浸炭処理又は浸炭窒化処理を実施する浸炭工程と、浸炭工程後の中間部材に対して焼入れ及び焼戻しを実施する仕上げ熱処理工程とを含む。
[冷間鍛造工程]
上述の製造方法で製造された浸炭鋼部品用鋼材に、冷間加工として、冷間鍛造を実施して形状を付与し、複数の中間部材を製造する。この冷間鍛造工程での、加工率、ひずみ速度などの塑性加工条件は、特に、限定されるものではなく、適宜、好適な条件を選択すればよい。
[切削加工工程]
切削加工工程は、必要に応じて実施する。冷間鍛造工程後であって後述の浸炭工程前の中間部材に対して、切削加工を実施して形状を付与する。切削加工を実施することにより、冷間加工工程だけでは困難な、精密形状を浸炭鋼部品に付与することができる。本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材を用いた場合、切削加工工程での切りくず処理性に優れる。
[浸炭工程]
切削加工工程後の中間部材に対して、浸炭工程として、浸炭処理又は浸炭窒化処理を実施する。上述のビッカース硬さを有する浸炭鋼部品を得るために、浸炭処理又は浸炭窒化処理の条件を、温度が830℃~1100℃、カーボンポテンシャルが0.5%~1.2%、浸炭時間が1時間以上とすることが好ましい。
[仕上げ熱処理工程]
浸炭工程後、必要に応じて、仕上げ熱処理工程を実施する。仕上げ熱処理工程では、焼入れ処理(焼戻し処理省略)、又は、焼入れ及び焼戻し処理を実施して、浸炭鋼部品を製造する。上述したビッカース硬さを有する浸炭鋼部品を製造するために、焼入れ処理のみ、又は、焼入れ及び焼戻し処理の条件として、焼入れ媒体の温度を室温~250℃とすることが好ましい。また、必要に応じて焼入れ後にサブゼロ処理を実施してもよい。
[その他の工程]
必要に応じて、仕上げ熱処理工程後の浸炭鋼部品に対してさらに、研削加工を実施したり、ショットピーニング処理を実施してもよい。研削加工を実施することにより、精密形状を浸炭鋼部品に付与することができる。また、ショットピーニング処理を実施することにより、浸炭鋼部品の表層部に圧縮残留応力が導入される。圧縮残留応力は疲労き裂の発生及び進展を抑制する。そのため、浸炭鋼部品の疲労強度を高める。たとえば、浸炭鋼部品が歯車である場合、浸炭鋼部品の歯元及び歯面の疲労強度を向上できる。ショットピーニング処理は、周知の方法で実施すればよい。ショットピーニング処理はたとえば、直径が0.7mm以下のショット粒を用い、アークハイトが0.4mm以上の条件で実施するのが好ましい。
実施例により本発明の一態様の効果をさらに具体的に説明する。以下の実施例での条件は、本実施形態の浸炭鋼部品用鋼材の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例である。したがって、本発明はこの一条件例に限定されない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限り、種々の条件を採用し得る。
表1に示す化学組成の溶鋼を準備した。
Figure 0007156021000001
表1中の空白部分は、対応する元素の含有量が検出限界未満であったことを意味する。上記溶鋼を用いて連続鋳造法により鋳片を製造した。この鋳片を加熱した後、粗圧延工程である分塊圧延及びその後の連続圧延機による圧延を実施して、長手方向に垂直な断面が162mm×162mmのビレットを製造した。分塊圧延での加熱温度は1200~1250℃であった。
製造されたビレットを用いて、仕上げ圧延工程を実施して、直径80mmの棒鋼(浸炭鋼部品用鋼材)を製造した。仕上げ圧延工程における各試験番号の加熱炉での加熱温度T1は表2に示すとおりであった。なお、加熱炉での保持時間はいずれの試験番号においても1.5~3.0時間であった。また、各試験番号の仕上げ温度T2、鋼材温度が800~500℃の範囲での平均冷却速度CRは表2に示すとおりであった。
Figure 0007156021000002
[評価試験]
[ミクロ組織観察試験]
各試験番号の棒鋼のR/2位置から、ミクロ組織観察用のサンプルを採取した。サンプルの表面のうち、棒鋼の長手方向に垂直な断面に相当する表面を観察面とした。観察面を鏡面研磨した後、2%硝酸アルコール(ナイタール腐食液)を用いて観察面をエッチングした。エッチングされた観察面を、500倍の光学顕微鏡を用いて観察し、任意の20視野の写真画像を生成した。各視野のサイズは、100μm×100μmとした。フェライト、パーライト等の各相は、相ごとにコントラストが異なる。したがって、コントラストに基づいて、各相を特定した。特定された相のうち、各視野でのフェライトの総面積(μm2)、及び、パーライトの総面積(μm2)を求めた。全ての視野の総面積に対する、全ての視野におけるフェライトの総面積とパーライトの総面積との合計面積の割合を、フェライト及びパーライトの総面積率(%)と定義した。測定の結果、各試験番号のフェライト及びパーライト面積率はいずれも、85.0%以上であった。
[限界圧縮試験]
各試験番号の棒鋼から、複数の限界圧縮率測定試験片を採取した。限界圧縮試験片の直径は6mmであり、長さは9mmであった。限界圧縮率測定試験片の長手方向は、各試験番号の棒鋼の長手方向と平行であった。また、限界圧縮試験片の中心軸は、各試験番号の棒鋼のR/2位置に相当した。試験片の長手方向の中央位置に、周方向に切欠きを形成した。切欠き角度は30度であり、切欠き深さは0.8mmであり、切欠き先端の曲率半径は0.15mmであった。
限界圧縮試験には、500ton油圧プレス機を用いた。作製された限界圧縮率測定試験片に対して、次の方法により限界圧縮試験を実施した。各試験片に対して、拘束ダイスを使用して10mm/分の速度で冷間圧縮を行った。切り欠き近傍に0.5mm以上の微小割れが生じたときに圧縮を停止し、その時の圧縮率(%)を算出した。この測定を合計10回行い、累積破損確率が50%となる圧縮率(%)を求めて、その圧縮率を限界圧縮率(%)とした。各試験番号の限界圧縮率(%)を表2に示す。従来の浸炭鋼部品用鋼材の限界圧縮率が、およそ65%であるので、この値よりも明らかに高い値と見なせる68%以上となる場合を、限界加工率が優れると判断した。なお、限界圧縮率が68%未満の試験番号に対しては、浸炭鋼部品の評価試験及び疲労試験を実施しなかった。
[浸炭鋼部品評価試験]
各試験番号の棒鋼から、直径26mm、長さ150mmの試験片を採取した。試験片の中心は、各試験番号の棒鋼の中心とほぼ一致した。採取した試験片に対して、変成炉ガス方式による浸炭処理(ガス浸炭処理)を実施した。ガス浸炭処理では、カーボンポテンシャルを0.8%として、950℃で5時間保持した。続いて、850℃で0.5時間保持した。以上の工程後、試験片を130℃への油槽に浸漬して油焼入れを実施した。焼入れ後の試験片に対して、150℃で90分の焼戻しを行って、浸炭鋼部品を製造した。
各試験番号の浸炭鋼部品の、浸炭層及び芯部について、次の測定を実施した。具体的には、各試験番号の浸炭鋼部品の長手方向に垂直な切断面において、表面から50μm深さ位置のビッカース硬さと、表面から0.4mm深さ位置のビッカース硬さとを、マイクロビッカース硬度計を用いて、JIS Z 2244(2009)に準拠したビッカース硬さ試験により求めた。試験時の荷重は0.49Nとした。50μm深さ位置10箇所のビッカース硬さHVを測定して、その平均値を、50μm深さ位置でのビッカース硬さHVとした。また、0.4mm深さ位置10箇所のビッカース硬さHVを測定して、その平均値を、0.4mm深さ位置でのビッカース硬さHVとした。
表面から深さ0.4mmの位置での硬さが550HV以上であれば、浸炭層が表面から少なくとも0.4mmまで存在すると判断した。また、表面から深さ50μmの位置でのビッカース硬さが650~1000HVの場合、浸炭鋼部品の浸炭層の硬さが十分であると判断した。測定結果を表2に示す。
上記浸炭鋼部品の芯部のビッカース硬さ及び化学組成を次の方法で測定した。浸炭鋼部品の長手方向に垂直な切断面において、表面から10.0mm深さ位置のビッカース硬さを、ビッカース硬度計を用いて、JIS Z 2244(2009)に準拠したビッカース硬さ試験により求めた。試験時の荷重は49Nとした。10.0mm深さ位置にて10回の測定を行い、その平均値を表面から10.0mm深さ位置でのビッカース硬さ(HV)とした。得られたビッカース硬さを表2に示す。10.0mm深さ位置でのビッカース硬さが、250~500HVである場合、芯部硬さが十分であり合格と判定した。
また、表面から10.0mm深さ位置での化学組成について、EPMA(電子線マイクロアナライザ、Electron Probe MicroAnalyser)を用いて、原子番号5番以上の元素に関して定量分析を行った。そして、浸炭鋼部品用鋼材の化学成分と、同じ化学組成である場合、化学組成が同等と判断した。判定結果を表2に示す。
[浸炭鋼部品の粗粒の有無]
上記浸炭鋼部品の鋼部について、表面から10.0mm深さ位置での、旧オーステナイト結晶粒の観察を行った。具体的には、浸炭鋼部品の長手方向に垂直な切断面を観察面とした。観察面を鏡面研磨した後、ピクリン酸飽和水溶液にてエッチングを行った。エッチングされた観察面の、表面から10.0mm深さ位置を含む視野(300μm×300μm)を光学顕微鏡(400倍)で観察して、旧オーステナイト結晶粒を特定した。特定された旧オーステナイト結晶粒に対して、JIS G 0551(2013)に準拠して、各旧―ステナイト粒の結晶粒度番号を求めた。結晶粒度番号でNo.4以下の結晶粒が一つでも存在している場合に「粗大粒発生あり」と判定した。
[面疲労強度試験]
各試験番号の直径80mmの棒鋼を機械加工して、図2に示す小ローラ試験片(図中の寸法の単位はmm)を作製した。図2に示す小ローラ試験片は、中央に試験部(直径26mm、幅28mmの円柱部)を備えた。
作成された各試験片に対して、ガス浸炭炉を用いて、図4に示す条件で浸炭処理及び焼入れ処理(浸炭焼入れ処理)を実施した。焼入れ処理後、150℃で1.5時間の焼戻し処理を実施した。
[面疲労強度試験]
ローラピッチング試験では、図2に示す形状の小ローラ試験片と、図3に示す形状の大ローラ(図中の寸法の単位はmm)とを組合せた。図4に示す大ローラは、JIS規格SCM420の規格を満たす鋼からなり、一般的な製造工程、つまり、焼きならし、試験片加工、ガス浸炭炉による共析浸炭、低温焼戻し及び研磨、の工程によって作製された。
小ローラ試験片と大ローラとを用いたローラピッチング試験を表3に示す条件で行った。
Figure 0007156021000003
表3に示すとおり、小ローラ試験片の回転数を1000rpmとし、すべり率を-40%、試験中の大ローラと小ローラ試験片との接触面圧を4000MPa、繰り返し数を2.0×107回とした。大ローラの回転速度をV1(m/sec)、小ローラ試験片の回転速度をV2(m/sec)としたとき、すべり率(%)は、以下の式により求めた。
すべり率=(V2-V1)/V2×100
試験中、潤滑剤(市販のオートマチックトランスミッション用オイル)を油温90℃の条件で、大ローラと小ローラ試験片との接触部分(試験部の表面)に回転方向と反対の方向から吹き付けた。以上の条件でローラピッチング試験を実施し、面疲労強度を評価した。
各鋼番号について、ローラピッチング試験における試験数は6とした。試験後、縦軸に面圧、横軸にピッチング発生までの繰り返し数をとったS-N線図を作成した。繰り返し数2.0×107回までピッチングが発生しなかったもののうち、最も高い面圧を、その鋼番号の面疲労強度と定義した。なお、小ローラ試験片の表面が損傷している箇所のうち、最大のものの面積が1mm2以上になった場合をピッチング発生と定義した。
表2に、試験により得られた面疲労強度を示す。表2中の面疲労強度では、汎用鋼種として一般的な、JIS G4053(2008)のSCR420の規格を満たす化学組成の鋼材を浸炭処理した鋼材(試験番号29)での面疲労強度を基準値(100%)とした。そして、各試験番号の面疲労強度を、基準値に対する比(%)で示した。面疲労強度が120%以上であれば、優れた面疲労強度が得られたと判断した。
[耐水素脆化特性評価試験]
各試験番号の直径80mmの棒鋼を機械加工して、図5に示す環状Vノッチ試験片を作製した。図5中の単位が示されていない数値は、試験片の対応する部位の寸法(単位はmm)を示す。図中の「φ数値」は、指定されている部位の直径(mm)を示す。「60°」は、Vノッチ角度が60°であることを示す。「0.175R」は、Vノッチ底半径が0.175mmであることを示す。環状Vノッチ試験片の長手方向は、棒鋼の長手方向と平行であった。また、環状Vノッチ試験片の中心軸は、棒鋼のR/2位置とほぼ一致した。
電解チャージ法を用いて、各試験番号ごとに、試験片に対して種々の濃度の水素を導入した。電解チャージ法は次のとおり実施した。チオシアン酸アンモニウム水溶液中に試験片を浸漬した。試験片を浸漬した状態で、試験片の表面にアノード電位を発生させて水素を試験片内に取り込んだ。
試験片内に水素を導入した後、試験片表面に亜鉛めっき被膜を形成し、試験片中の水素の散逸を防止した。続いて、試験片のVノッチ断面に対して公称応力1080MPa(引張強度の90%)の引張応力が負荷されるように一定加重を負荷する定荷重試験を実施した。試験中に破断した試験片、及び破断しなかった試験片に対して、ガスクロマトグラフ装置を用いた昇温分析法を実施して、試験片中の水素量を測定した。測定後、各試験番号において、破断しなかった試験片のうちの最大水素量を限界拡散性水素量Hcと定義した。
さらに、JIS G4053(2008)のSCR420の規格を満たす化学組成の鋼材を浸炭処理した鋼材(試験番号29)での限界拡散性水素量を、限界拡散性水素量比HRの基準(Href)とした。限界拡散性水素量Hrefを基準として、式(A)を用いて限界拡散性水素量比HRを求めた。
HR=Hc/Href (A)
比HRが1.10以上であれば、耐水素脆化特性に優れると判断した。
[試験結果]
表1及び表2を参照して、試験番号1~11及び28の鋼材の化学組成は、本実施形態の化学組成の範囲内であり、式(1)~式(5)を満たした。その結果、限界圧縮率は68%以上であり、十分な限界加工率を示した。さらに、浸炭処理後の鋼材における疲労強度比は120%以上であり、優れた疲労強度を有した。さらに、浸炭処理後の鋼材の限界拡散性水素量比HRは1.10以上であり、優れた耐水素脆化特性を示した。なお、浸炭鋼部品用鋼材において、浸炭層は少なくとも0.4mm以上の深さを有した。また、50μm深さ位置での浸炭層のビッカース硬さは650~1000HVであり、10.0mm深さ位置での芯部のビッカース硬さは250~500HVであり、浸炭層及び芯部ともに、十分な硬さを有した。
一方、試験番号12では、F1が式(1)の上限を超えた。そのため、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率が低かった。
試験番号13では、C含有量が低すぎた。そのため、浸炭鋼部品において、10mm深さ位置での硬さが低すぎた。
試験番号14では、C含有量が高すぎ、F1が式(1)の上限を超えた。そのため、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率が低かった。
試験番号15では、F2が式(2)の下限未満であった。そのため、浸炭鋼部品において、10mm深さ位置での硬さが低すぎた。
試験番号16では、F2が式(2)の上限を超えた。そのため、鍛造前の浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率が低すぎた。
試験番号17では、F3が式(3)の下限未満であった。そのため、浸炭部品の芯部において、旧オーステナイト粒の一部が粗粒となった。
試験番号18では、F3が式(3)の上限を超えた。そのため、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率が低かった。
試験番号19では、F4が式(4)の下限未満であった。そのため、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率が低かった。
試験番号20では、F4が式(4)の上限を超えた。そのため、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率が低かった。
試験番号21では、Al含有量が高すぎた。そのため、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率が低かった。
試験番号22では、Al含有量が低すぎた。そのため、浸炭部品の芯部において、旧オーステナイト粒の一部が粗粒となった。また、浸炭鋼部品において、10mm深さ位置での硬さが低すぎた。
試験番号23では、Ca含有量が高すぎた。そのため、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率が低かった。
試験番号24では、Ca含有量が低すぎた。そのため、浸炭鋼部品用鋼材の限界加工率が低かった。
試験番号25では、Si含有量が低すぎた。その結果、浸炭鋼部品の疲労強度が低かった。
試験番号26では、F5が式(5)を満たさなかった。その結果、限界拡散性水素量比HRが1.10以下となり、耐水素脆化特性が低かった。
試験番号27では、Mn含有量が低すぎた。そのため、浸炭鋼部品において、10mm深さ位置での硬さが低すぎ、疲労強度が低かった。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。

Claims (2)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.07~0.13%、
    Si:0.15~0.35%、
    Mn:0.60~0.80%、
    S:0.005~0.050%、
    Cr:1.90~2.50%未満、
    B:0.0005~0.0100%、
    Al:0.100~0.200%、
    Ca:0.0002~0.0030%、
    N:0.0080%以下、
    P:0.050%以下、
    O:0.0030%以下、
    Ti:0~0.020%未満、
    Nb:0~0.100%、
    Mo:0~0.500%、
    Ni:0~0.500%、
    Cu:0~0.500%、及び、
    残部はFe及び不純物からなり、式(1)~式(5)を満たす、
    浸炭鋼部品用鋼材。
    0.140<C+0.194×Si+0.065×Mn+0.012×Cr+0.033×Mo+0.067×Ni+0.097×Cu+0.078×Al<0.235 (1)
    1.35<(1.33×C-0.1)+(0.23×Si+0.01)+(0.42×Mn+0.22)+(0.27×Cr+0.22)+(0.77×Mo+0.03)+(0.12×Ni+0.01)<1.55 (2)
    0.0003<Al×(N-Ti×(14/48))<0.0011 (3)
    0.03≦Ca/S≦0.15 (4)
    Mn/(Si+Cr+Mo+Ni)<0.30 (5)
    ここで、式(1)~(5)の各元素記号には、対応する元素の含有量(質量%)が代入される。
  2. 請求項1に記載の浸炭鋼部品用鋼材であって、
    前記化学組成は、
    Ti:0.001~0.020%未満、
    Nb:0.002~0.100%、
    Mo:0.005~0.500%、
    Ni:0.005~0.500%、及び、
    Cu:0.005~0.500%、
    からなる群から選択される1元素又は2元素以上を含有する、
    浸炭鋼部品用鋼材。
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