JP7137371B2 - 有害生物防除剤 - Google Patents
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また農園芸分野においても、ポリグリセリン脂肪酸エステルを利用することが検討されており、例えば、特許文献1には、ポリグリセリン脂肪酸エステルからなる農薬用展着剤が提案され、浸透力や農薬との相溶性に優れることが示されている。特許文献2には、ポリグリセリンの誘導体を必須成分とする農薬用効力増強剤が提案されており、ポリグリセリン脂肪酸エステルが、種々の農薬に対して効力増強作用を有することが示されている。また、特許文献3には、ポリグリセリンモノC8~10脂肪酸エステルを有効成分とする植物病害虫用防除剤が提案されており、特定のエステル化度のものにおいて病害虫防除効果が得られることが示されている。特許文献4には、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルとノニオン系界面活性剤との組み合わせからなる殺虫殺ダニ組成物が開示されている。
そこで、本発明は、単独で用いても優れた有害生物防除活性を有する、ポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分とした防除剤を提供することを目的としている。
また、本発明の特定のポリグリセリン脂肪酸(C12~14)エステルを特定量含有する有害生物防除剤は、種々の農薬成分と併用する際に、農薬成分の含有量を大きく減らしても、優れた防除効果が得られることを見出した。
1.炭素数12~14の脂肪酸から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸と、グリセリンが重合した少なくとも1種のポリグリセリンとのエステルである、ポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分として含有し、かつ、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、1分子中、ポリグリセリン残基に少なくとも1個の環状構造を有する環状ポリグリセリン脂肪酸エステルを25重量%以上含有することを特徴とする、有害生物防除剤。
2.1.に記載の有害生物防除剤および農薬成分を含有する有害生物防除組成物。
3.1.に記載の有害生物防除剤または2.に記載の有害生物防除組成物を、有害生物または育成植物に施用することを特徴とする、有害生物防除方法。
また、本発明の有害生物防除剤を育成植物に施用しても、薬害の恐れがなく、繰り返し使用することができるため、有用である。
さらに本発明の有害生物防除剤は、上述のポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分とするものであるため、種々の農薬成分との相溶性もよく、展着剤としての機能も発揮しながら、少量の農薬成分であっても併用することにより優れた有害生物防除効果を得ることができる。
本発明の有害生物防除剤は、炭素数12~14の脂肪酸から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸と、グリセリンが重合した少なくとも1種のポリグリセリンとのエステルである、ポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分として含有し、かつ、1分子中、ポリグリセリン残基に少なくとも1個の環状構造を有する環状ポリグリセリン脂肪酸エステルを25重量%以上含有するものである。
なお、本発明における有害生物とは、本発明の有害生物防除剤や有害生物防除組成物が防除活性を示す病害虫、雑草等を意味する。
<ポリグリセリン脂肪酸(C12~14)エステルについて>
炭素数12~14の脂肪酸は、直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルケニル基を有するものや、これらの混合物であってもよいが、直鎖のアルキル基のものが好ましい。具体的には、炭素数12のラウリン酸や炭素数14のミリスチン酸等が挙げられ、これらの混合物であってもよい。
ポリグリセリンの平均縮合度は2~16であり、3~15が好ましく、4~14がより好ましく、5~13がさらに好ましい。
ポリグリセリン残基に少なくとも1個の環状構造を有する環状ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、文献公知の分析方法(例えば、国際公開第2004/048304号パンフレット等)により導き出される、ポリグリセリン脂肪酸エステルの全量に対する、ポリグリセリン残基に少なくとも1個の環状構造を有する環状ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有割合(%)を意味する。分析方法が、ガスクロマトグラフィー(GC)や液体クロマトグラフィー(LC)であれば、分析データの面積比率により算出された値であり、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)や液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)では、相対強度比により算出された値である。
ここで、ポリグリセリンの平均縮合度が大きくなるにつれて、ポリグリセリン残基に少なくとも1個の環状構造を有する環状ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が、徐々に増加する傾向にある。
ポリグリセリン脂肪酸(C12~14)エステルに対する、環状ポリグリセリン脂肪酸(C12~14)エステルの含有量を高めるためには、製造原料として、グリセリンの脱水縮合により得られるポリグリセリンを選択することが好ましい。また、得られたポリグリセリンを減圧下蒸留分画することにより、未反応のグリセリンを取り除くと共に、環状ポリグリセリン脂肪酸(C12~14)エステルの含有量を高めることもできる。一方、ポリグリセリンの製造方法としては、グリシドール開環重合法やジグリセリン架橋法が公知であるが、これらの製造方法は、環状構造を有する環状ポリグリセリンの含有量の低いポリグリセリンが得られるため、本発明のポリグリセリン脂肪酸(C12~14)エステルの原料の製造方法としては適さない。
脱水エステル化による方法は、例えばアルカリ触媒下、酸触媒下、または無触媒下にて、常圧または減圧下に脱水エステル化することができる。環状構造高含有ポリグリセリンと脂肪酸の仕込み量は、目的とする有害生物防除活性に応じて適宜選択すればよい。中でも、ポリグリセリンモノ脂肪酸(C12~14)エステルの含有量が高いものが、良好な有害生物防除活性を得るために好ましい。
本発明の有害生物防除剤は、種々の農薬成分と併用して組成物とすることができる。これら農薬成分としては、公知の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤および植物成長調節剤などが挙げられ、例えば、農薬ハンドブック2016年度版(社団法人 日本植物防疫協会)に記載されたものを用いることができる。さらに、有害生物防除効果が知られている植物油、植物精油、食品由来のものなど安全性の高いものが好適に併用できる。
殺菌剤としては、硫黄系のジネブ、マンネブ、ベンズイミダゾール系のベノミル、ジカルボキシイミド系のビンクロゾリン、イプロジオン、プロシミドン、他にトリアジン、トリフミゾール、メタラキシル、ペンチオピラド、有機銅、水酸化第二銅、抗生物質系殺菌剤(ストレプトマイシン系、テトラサイクリン系、ポリオキシ系、ブラストサイジンS、カスガマイシン系、バリダマイシン系)等が挙げられる。
殺虫剤としては、ピレスロイド系のペルメトリン、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、リン系のCYAP、スミチオン、DDVP、カーバメート系のバッサ、メソミル、カルタップ、ネオニコチノイド系のジノテフラン、イミダクロプリド、アセタミプリド、クロチアニジン等が挙げられる。更に、天然系殺虫剤として、除虫菊由来のピレトリン剤、ピペロニルブトキシド剤、マメ科のかん木デリス由来のロテノン剤、ニコチン剤等が挙げられる。昆虫成長制御剤(IGR剤)のジフルベンズロン等も使用することができる。
殺ダニ剤としては、CPCBS、フェニソブロモレート、ヘキシチアゾクス、テトラジホン、フェノチオカルブ、フェンピロキシメート、アミトラズ等が挙げられる。
除草剤としては、酸アミド系のスタム、尿素系のDCMU、リニュロン、ビピリジニウム系のパラコート、ジクワット、ダイアジン系のブロマシル、S-トリアジン系のシマジン、シメトリン、ニトリル系のDBN、ジニトロアニリン系のトリフルラリン、カーバメート系のベンチオカーブ、MCC、ジフェニルエーテル系除のNIP、フェノール系のPCP、安息香酸系のMDBA、フェノキシ系の2,4-Dナトリウム塩、マピカ、アミノ酸系のグリホサート、ビアラホス、グルホシネート、脂肪族系のTCAナトリウム塩等が挙げられる。
植物成長調節剤としては、インドール酪酸、エチクロゼート、ベンジルアミノプリン、ホルクロルフェニュロン、ジベレリン、デシルアルコール、エテホン等が挙げられる。
本発明の有害生物防除組成物は、本発明の有害生物防除剤に対して、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤および植物成長調節剤を重量基準で好ましくは10ppm以上、より好ましくは20ppm以上、さらに好ましくは40ppm以上であり、好ましくは10000ppm以下、より好ましくは5000ppm以下、さらに好ましくは3000ppm以下で併用するとよい。
本発明の有害生物防除剤または有害生物防除組成物は、各種製剤とすることで容易に使用することができる。例えば、油剤、乳剤、水和剤、フロアブル剤(水中懸濁剤、水中乳濁剤等)、マイクロカプセル剤、粉剤、粒剤、錠剤、液剤、スプレー剤、エアゾール剤などが挙げられる。
これらの中でも、スプレー剤やエアゾール剤などの噴霧用製剤、ジョウロヘッドを備えた容器に充填した液剤などが、本発明の有害生物防除剤または有害生物防除組成物を、簡便に使用できる製剤型として好適である。
凍結防止剤としては、例えば、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチルセロソルブ、ブチルカルビトール、3-メチル-メトキシブタノール等が挙げられる。
消泡剤としては、例えばアンチフォームE-20(シリコーンエマルジョン、花王(株)、商品名)、アンチフォームC(東レ・ダウコーニング社、商品名)、アンチフォームCエマルション(東レ・ダウコーニング社、商品名)、ロードシル454(ソルベイ社、商品名)、ロードシルアンチフォム432(ソルベイ社、商品名)、TSA730(タナック社、商品名)、TSA731(タナック社、商品名)、TSA732(タナック社、商品名)、YMA6509(タナック社、商品名)等のシリコーン系消泡剤、フルオウェットPL80(クラリアント社、商品名)等のフッ素系消泡剤が挙げられる。
防腐剤としては、例えばバイオホープ及びバイオホープL(化学名:有機窒素硫黄系複合物、有機臭素系化合物、ケイ・アイ化成(株)、商品名)、ベストサイド-750(化学名:イソチアゾリン系化合物、2.5~6.0%、日本曹達(株)、商品名)、プリベントールD2(化学名:ベンジルアルコールモノ(ポリ)ヘミホルマル、ランクセス社、商品名)、PROXEL GXL(S)(化学名:1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、20%、ロンザ社、商品名)、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム等が挙げられる。
酸化防止剤としては、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(トミノックスTT、(株)エーピーアイコーポレーション、商品名/IRGANOX1010またはIRGANOX1010EDS、チバ・ジャパン(株)、商品名)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシ・アニソール(BHA)、没食子酸プロピル、及びビタミンE、混合トコフェロール、α-トコフェロール、エトキシキン及びアスコルビン酸等が挙げられる。
増粘剤としてはPVP K-15(化学名:ポリビニルピロリドン、東京化成工業(株)、商品名)、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、グアーガム、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。
本発明の対象である有害生物について、以下に説明する。
害虫としては、例えば、半翅目(ウンカ類、ヨコバイ類、アブラムシ類、コナジラミ類など)、鱗翅目(ヨトウムシ類、コナガ、ハマキムシ類、メイガ類、シンクイムシ類、モンシロチョウなど)、鞘翅目(ゴミムシダマシ類、ゾウムシ類、ハムシ類、コガネムシ類など)、ダニ目(ハダニ科のミカンハダニ、ナミハダニなど、フシダニ科のミカンサビダニなど)等を挙げることができる。また、線虫(ネコブセンチュウ、シストセンチュウ、ネグサレセンチュウ、シンガレセンチュウ、マツノザイセンチュウなど)、ネダニ、衛生害虫(例えば、ハエ、カ、ゴキブリなど)、貯蔵害虫(例えば、コクヌストモドキ類、マメゾウムシ類など)、木材害虫(例えば、イエシロアリ、ヤマトシロアリ、ダイコクシロアリなどのシロアリ類、ヒラタキクイムシ類、シバンムシ類、シンクイムシ類、カミキリムシ類、キクイムシ類など)を挙げることができる。
病原菌としては、例えば、コムギ赤さび病、大麦うどんこ病、キュウリべと病、イネいもち病、トマト疫病など)を挙げることができる。
有害生物は雑草も含む。広葉雑草としては、例えばアサガオ、ベルベットリーフ、ヒルガオ、シロツメクサ、タンポポ、ツボスミレ、チドメグサ、メドハギ、ヤブガラシ、セイタカアワダチソウ、アレチノギク、アメリカセンダングサ、イタドリ、イヌガラシ、イヌタデ、イヌビユ、オオイヌノフグリ、オオバコ、オナモミ、カキドオシ、カタバミ、カナムグラ、カヤツリグサ、カラスノエンドウ、ギシギシ、コニシキソウ、ジシバリ、シロザ、スカシタゴボウ、スギナ、スベリヒユ、セイヨウタンポポ、タケニグサ、ツユクサ、ドクダミ、ナズナ、ノゲシ、ノボロギク、ノミノフスマ、ハコベ、ハハコグサ、ハマスゲ、ハルジオン、ヒメジョオン、ヒメムカシヨモギ、ブタクサ、ホトケノザ、ヤエムグラ、ヨモギ、ワルナスビ等が挙げられる。また、イネ科雑草としては、例えばイヌビエ、エノコログサ、キンエノコロ、ムラサキエノコロ、スズメノカタビラ、スズメノテッポウ、ニワホコリ、アキメヒシバ、メヒシバ、カゼクサ、カモガヤ(オーチャードグラス)、ススキ、スズメノヒエ、チガヤ、チカラシバ、ヨシ、ササ類が挙げられる。
本発明の有害生物防除方法は、これらの有害生物に対して、本発明の有害生物防除剤または有害生物防除組成物を、噴霧や塗布等により適用することにより行う。また、有害生物が生息し得る場所、例えば、農作物や観葉植物等の育成植物、栽培畑、果樹園、一般家庭内、倉庫、厨房、家具、押入れ、玄関、洗面所等に、噴霧、塗布等により適用することにより行う。
また、農薬成分を併用する本発明の有害生物防除組成物は、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルが農薬成分に対する可溶化力が非常に強いため、農薬成分が微粒子化し、有害生物の表面あるいは有害生物体内への浸透を強力に推進するため、優れた防除効果が得られるものと推察される。
まず、本発明の有害生物防除剤の試験検体例を示す。なお、実施例において、特に明記しない限り、部は重量部を意味する。
(1)処方検体
表1に示す試験検体Aと試験検体aを使用して、下記表2に示す組成に基づき処方1-1~1-5の処方検体を調製した。
(2)試験方法
ADVANTEC製の円形定性ろ紙(グレード2)直径70mmを1/4にカットし、その上に供試虫(ハスモンヨトウの若齢幼虫、体長5mm)5匹を載せ、下記表2に示す処方検体(100mL)に、供試虫をろ紙ごと10秒間浸漬し、浸漬1時間経過後の供試虫の致死数を調べた。試験は2回行い、その平均から致死率(%)を算出した。試験の結果は表2に示した。
(1)処方検体
表1に示す試験検体Bと試験検体b、c-1、c-2を使用して、下記表3に示す組成に基づき処方2-1~2-4の処方検体を調製し、使用した。さらに、実施例1の処方1-1と処方1-5を使用した。
(2)試験方法
上記「実施例1:環状ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量に関する評価試験」と同じ試験方法により、平均致死率(%)を算出した。試験の結果は表3に示した。
(1)処方検体
表1に示す試験検体Aと試験検体aを使用して、下記表4に示す組成に基づき処方3-1~3-6の処方検体を調製した。
(2)試験方法
供試虫としてアブラムシを使用し、ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量に関する評価試験を行った。下記図1に試験概要模式図を示す。
直径100mm、高さ45mmのプラスチックカップ(以下KPカップともいう。品番:KP-200M、鴻池プラスチック株式会社製)に水を230mL入れ、蓋に切り込みをいれて脱脂綿(85mm×85mm)を差し込み、その上にキャベツ片(直径3cm)を載置した。その上に、供試虫(アブラムシ、約20頭)をのせ、逃亡しないように別のカップで上部を覆い(図1中には図示されていない)、一晩放置し順化させた後、死虫を取り除き、葉片に定着している供試虫数を計測した。
処方検体2mL(1mL×2回)を、15cmの距離から供試虫に噴霧した。24時間後の供試虫の生死を確認し、以下の式により補正致死率を算出した、この補正致死率をまとめ表4に示す。試験は、処方3-6以外の処方3-1~3-5は2回行った。
補正致死率(%)={(無処理区の生存率-処理区の生存率)÷無処理区の生存率}×100
(1)処方検体
表1に示す試験検体A、Bと試験検体c-1を使用して、下記表5に示す組成に基づき処方4-1~4-4の処方検体を調製した。
表中のアーリーセーフは、住友化学園芸(株)より販売されている、ヤシ油由来の脂肪酸グリセリドを有効成分とする、野菜類の病害虫に有効な農薬成分である。
(2)試験方法
上記「実施例1:環状ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量に関する評価試験」と同じ試験方法により、平均致死率(%)を算出した。試験の結果は表5に示した。
すなわち、本発明の有害生物防除組成物は、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルと種々の農薬成分とを併用することにより、相乗効果に相当する有害生物防除効果が得られることが、この評価試験結果より明らかとなった。
(1)処方検体
表1に示す試験検体Aと試験検体aを使用して、下記表6に示す組成に基づき処方5-1~5-3の処方検体を調製した。
表中のクロチアニジンは、住友化学(株)より販売されているネオニコチノイド系殺虫剤である。
(2)試験方法1(チャバネゴキブリ)
処方検体1.5mL(0.5mL×3噴射)を、供試虫であるチャバネゴキブリ(雌雄各5頭、合計10頭)に対して20cmの距離から噴射した。噴射直後から経時的に供試虫のノックダウン数(行動停止した頭数)を記録し、KT50(供試虫の50%がノックダウンする時間:分)とKT90(供試虫の90%がノックダウンする時間:分)をプロビット法にて算出した。試験は2回行い、KT50とKT90の平均結果を表6に示す。
(3)試験方法2(ハスモンヨトウ)
ADVANTEC製の円形定性ろ紙(グレード2)直径70mmを1/4にカットしたものの上に供試虫(ハスモンヨトウの中齢幼虫、体長20mm)3匹を載せ、下記表6に示す処方検体(100mL)にろ紙ごと10秒間浸漬し、浸漬3時間経過後の供試虫の致死数を調べた。試験は3回行い、その平均から致死率(%)を算出した。試験の結果として平均致死率(%)を表6に示した。
また、表6の試験方法2のハスモンヨトウに対する結果(平均致死率)からも、本発明の有害生物防除組成物(処方5-1)は、環状ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が10%である比較例である処方5-2とクロチアニジン単体の比較例である処方5-3の結果と比べると、特定のポリグリセリン脂肪酸エステルと公知の農薬成分とを併用することにより、相加効果以上の相乗的な有害生物防除効果が得られることが確認された。
(1)処方検体
表1に示す試験検体Aと試験検体aを使用して、下記表7に示す組成に基づき処方6-1~6-3の処方検体を調製した。
表中のフェンプロパトリンは、住友化学(株)より販売されているピレスロイド系殺虫剤である。
(2)試験方法
処方検体1.5mL(0.5mL×3噴射)を、供試虫であるチャバネゴキブリ(雌雄各5頭、合計10頭)に対して20cmの距離から噴射した。噴射直後から全供試虫が致死するまでの時間(分)を測定した。試験は2回行い、その平均結果を表7に示す。
(1)処方検体
表1に示す試験検体Aと試験検体c-1を使用して、下記表8に示す組成に基づき処方7-1~7-3の処方検体を調製した。
表中のトレボン乳剤は、三井化学アグロ(株)より販売されている、ピレスロイド系殺虫剤であるエトフェンプロックスを有効量20重量%含有する農薬製剤である。
(2)試験方法
ADVANTEC製の円形定性ろ紙(グレード2)直径110mmの上に供試虫(ハスモンヨトウの中齢幼虫、体長20mm)5匹を載せ、処方検体3mL(0.3mL×10噴射)を、供試虫に対して20cmの距離から噴射した。噴射直後から全供試虫が致死するまでの時間(分)を測定した。試験は2回行い、その平均結果を表8に示す。
(1)処方検体
表1に示す試験検体A、Bと試験検体c-1を使用して、下記表9に示す組成に基づき処方8-1~8-4の処方検体を調製した。
表中のスタークルは、三井化学アグロ(株)より販売されているスタークル顆粒水溶剤であり、ネオニコチノイド系殺虫剤であるジノテフランを有効量20重量%含有する農薬製剤である。同じく、アフェットは、三井化学アグロ(株)より販売されているアフェットフロアブルであり、ピラゾール系殺菌剤であるペンチオピラドを有効量20重量%含有する農薬製剤である。
(2)試験方法
KPカップに供試虫(クロゴキブリ、7頭)に対して、処方検体3mL(1mL×3噴射)を20cmの距離から噴射した。噴射直後から経時的に供試虫のノックダウン数(行動停止した頭数)を記録し、KT50(供試虫の50%がノックダウンする時間:分)とKT90(供試虫の90%がノックダウンする時間:分)をプロビット法にて算出した。試験は2回行い、その平均結果を表9に示す。
さらに、本発明の有害生物防除剤は、農園芸分野におけるノニオン系界面活性剤として汎用されるポリグリセリン脂肪酸エステルを有効成分とするものであるため、公知の農薬成分との相溶性も良好で、展着剤としての機能も発揮しながら、少量の農薬成分との併用により優れた有害生物防除効果を得ることができるのみならず、相加効果以上の相乗的な有害生物防除効果を得ることもできる。
Claims (3)
- 炭素数12~14の脂肪酸から選ばれる少なくとも1種の脂肪酸と、グリセリンが重合した少なくとも1種のポリグリセリンとのエステルである、ポリグリセリン脂肪酸エステルのみを有害生物防除剤の有効成分として含有し、かつ、
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、1分子中、ポリグリセリン残基に少なくとも1個の環状構造を有する環状ポリグリセリン脂肪酸エステルを25重量%以上含有することを特徴とする、有害生物防除剤。 - 請求項1に記載の有害生物防除剤および農薬成分を含有する有害生物防除組成物。
- 請求項1に記載の有害生物防除剤または請求項2に記載の有害生物防除組成物を、有害生物または育成植物に施用することを特徴とする、有害生物防除方法。
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