JP7122771B2 - カーボンナノチューブの構造分離用水溶液及び該水溶液を用いたカーボンナノチューブの分離回収方法並びに該方法により得られるカーボンナノチューブ - Google Patents
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Description
一方、安価な市販の分散剤として、界面活性剤を用いた分離方法が、上述の問題点を解決する技術として注目されている。具体的には、密度勾配超遠心分離法、水性二相分離法、ゲルクロマトグラフィー法などである。これらの分離法では分散剤として、直鎖構造を持つドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ステロイド骨格を持つコール酸ナトリウム(SC)やデオキシコール酸ナトリウム(DOC)等、共通した界面活性剤が用いられる(非特許文献5)。また、全ての方法で、それらの界面活性剤の役割も共通しており、SDSではCNTの電気的特性・バンドギャップの違いによる分離、そこにSCやDOCを混合するとCNTの直径・カイラル角の違いにより分離される(非特許文献5)。近年では、このような界面活性剤の異なる役割(以下、選択性)を利用するために、異なる種類の界面活性剤を混合して用いる研究が行われており、特別な分散剤を用いなくても単一構造のCNTの高純度な分離に成功している(非特許文献6・7・8)。しかしながら、これらの分離方法においても、以下のとおり、問題点が未だいくつか残っている。
すなわち、SDS/SC/DOC混合界面活性剤水溶液におけるDOC濃度を高くしていくと、1nmよりも小さな直径を持つCNTと1nmよりも大きな直径を持つCNTが同じ濃度で溶出され、それぞれの純度が低下する。(9,4)と(10,3)の直径はちょうどそれらの中間の大きさである1nm程度の直径になっている。そのため、1nmよりも小さな直径を持つCNTと1nmよりも大きな直径を持つCNTをカラムから溶出させた後、カラムに残ったCNTとして分離できた。しかし、(9,4)と(10,3)よりも小さな直径もしくは大きな直径を持つ単一構造CNTを高純度に分離するためには、その両方を溶出するのではなく、どちらか一方の溶出に特化しそれらを分離できる界面活性剤であることが望ましい。
すなわち、SCおよびDOCどちらの場合においても、1nmよりも小さな直径を持つCNTの溶出と1nmよりも大きな直径を持つCNTの溶出が確認されたが、その直径分離の精度は、疎水性の低いSCと疎水性の高いDOCでは大きく異なり、疎水性の高いDOCの方がピークの種類が少なく高純度のCNTが得られた。さらに、疎水性の異なるSCとDOCとでは溶出され易いCNTも異なり、疎水性の低いSCでは1nmよりも大きな直径を持つCNTが溶出され易く、疎水性の高いDOCでは1nmよりも小さな直径を持つCNTが溶出され易かった。
このように、DOCより疎水性の高い界面活性剤は、分離の精度および選択性の点から非常に興味深い。しかしながら、DOCよりも疎水性の高いステロイド骨格を有する界面活性剤は、水への溶解性が極めて低いため、これまでCNTの分離や分散には用いられず、その調査は困難であった。
(1)1nmよりも小さな直径を持つCNTのみを溶出し、直径の小さい順に分離・回収可能な機能
(2)特定の界面活性剤条件下で、(9,1)、(10,0)、(8,3)、(9,2)を含む特定の構造を持つCNTのみを溶出し、直径の小さい順に分離・回収可能な機能
(3)1nmよりも大きな直径を持つCNTを溶出しないため、カラムに残留した1nmよりも大きな直径を持つCNTのみを、SDS/SC/DOC混合界面活性剤により溶出し、単一構造CNTを分離・回収可能とする機能
すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。
<1>可溶化されたリトコール酸及び可溶化されたリトコール酸異性体からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有するカーボンナノチューブの構造分離用水溶液。
<2>前記リトコール酸及び前記リトコール酸異性体が、他の界面活性剤により可溶化されている上記<1>に記載のカーボンナノチューブの構造分離用水溶液。
<3>前記他の界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム及び/又はコール酸ナトリウムである上記<2>に記載のカーボンナノチューブの構造分離用水溶液。
<4>上記<1>~<3>のいずれかに記載のカーボンナノチューブの分離用水溶液を用いることを特徴とするカーボンナノチューブの分離回収方法。
<5>上記<1>~<3>のいずれかに記載のカーボンナノチューブの分離用水溶液を用いて、カーボンナノチューブが吸着したゲルから、直径1nm以下のカーボンナノチューブを選択的に分離することを特徴とする請求項4に記載のカーボンナノチューブの分離回収方法。
<6>前記直径1nm以下のカーボンナノチューブを選択的に分離した後、ゲルに残存する直径1nmより大きいカーボンナノチューブを分離することを特徴とする上記<5>に記載のカーボンナノチューブの分離回収方法。
<7>上記<1>~<3>のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分離用水溶液を用いて、カーボンナノチューブが吸着したゲルから、カイラル指数が異なるカーボンナノチューブのそれぞれを選択的に分離することを特徴とする上記<4>に記載のカーボンナノチューブの分離回収方法。
<8>上記<1>~<3>のいずれかに記載のカーボンナノチューブ分離用水溶液を用いてカーボンナノチューブが吸着したゲルから分離されたカーボンナノチューブであって、そのカイラル指数が(9,1)、(10,0)、(8,3)、(9,2)からなる群から選ばれる1つのみであることを特徴とするカーボンナノチューブ。
上述のように、合成DNAを用いて単一構造のCNTを分離する手法では、個別の構造ごとに異なる塩基配列をもつ合成DNAを準備する必要があるが、本発明のCNTの分離回収方法では、いずれの構造の半導体型CNTを分離するにも、同一の試薬の濃度を変えるだけで良く、また、設備も安価なもので精度良く分離でき、カラムは繰り返し利用可能で、自動化による分離も可能であり、これらの長所から分離コストを大幅に縮小することが可能となる。
界面活性剤の中には単分子で水に不溶なものでも、複数の分子が会合したミセルを形成することで水に溶解できるようになるものもある。しかし、リトコール酸はミセル形成温度が65℃以上であり、室温ではミセルを形成できない。また、その塩であるリトコール酸塩に関しても、水に難溶でありCNTの分散には利用されていない(非特許文献12)。したがって、分離用の界面活性剤としても利用されてこなかった。
(1)1nmよりも小さな直径を持つCNTのみを溶出し、直径の小さい順に分離・回収可能な機能、
(2)特定の界面活性剤条件下で、(9,1)、(10,0)、(8,3)、(9,2)を含む特定の構造を持つCNTのみを溶出し、直径の小さい順に分離・回収可能な機能、
(3)1nmよりも大きな直径を持つCNTを溶出しないため、カラムに残留した1nmよりも大きな直径を持つCNTのみを、SDS/SC/DOC混合界面活性剤水溶液により溶出し、単一構造CNTを分離・回収可能とする機能、
が得られた。
本発明の可溶化したリトコール酸を含む構造分離用水溶液によって提供されるこれらの3つの機能は、以下のとおり、従来のSCもしくはDOCを含む構造分離用水溶液によって提供される機能とは全く異なる。
すなわち、従来のSCもしくはDOCを含む構造分離用水溶液は、1nmよりも小さな直径を持つCNTと1nmよりも大きな直径を持つCNTの両方に作用し、その不完全な直径選択性が分離の精度の向上の妨げとなっていた。これに対し、本発明の可溶化したリトコール酸又は可溶化したリトコール酸異性体を含む構造分離用水溶液は、1nmよりも小さな直径を持つCNTのみに作用する完全な直径選択性を有しており、それにより精度良い分離が可能となる。これまでの報告(非特許文献10)より、DOCよりも疎水性の高い界面活性剤では、1nmよりも小さな直径を持つCNTの分離に特化するだろうとの予想はあったが、1nmよりも小さな直径を持つCNTにのみ作用する完全な直径選択性は、既報からは予想できない機能である。また、リトコール酸及びその異性体は疎水性が極めて高く水にほとんど溶けないため、これまで、リトコール酸及びその異性体がCNTの分離用水溶液や分散用水溶液に用いられたことは無い。そのため、本発明の、リトコール酸又はその異性体を可溶化し、これまでに無い機能を提供する手法の独自性は極めて高く、本発明の可溶化したリトコール酸を含む分離用水溶液を用いたCNTの分離回収方法は、現存する全ての分離回収方法の中で、分離できる単一構造の種類が最も多い。
また、本発明に用いられるリトコール酸、可溶化に必要な界面活性剤、及び塩基は、安価で市販されている薬品である。また、ゲルを用いた分離法(非特許文献9等)と組み合わせることによって、安価な設備により、短時間で高純度に大量に自動分離可能であることから、工業的に単一構造CNTを大量生産する上で極めて有用である。また、上述したように、界面活性剤を用いたCNTの分離方法は、いずれも共通の界面活性剤を用いて類似の原理で分離を行っていることが知られており、ゲル分離のみならず、密度勾配超遠心分離法、液液二相分離法などの分離方法にも適用することも可能である。
本発明におけるリトコール酸は、ステロイド骨格を持つコラン酸の中でもヒドロキシ基が1つしかないものであり、3α-ヒドロキシ-5β-コラン酸およびそのエナンチオマーである。
またリトコール酸には、同じくヒドロキシ基が1つの異性体も存在し、本発明におけるリトコール酸異性体には、ヒドロキシル基が、3α位でなく3β位にあるジアステレオマーとそのエナンチオマー、または3α位でなく7α位にあるジアステレオマーとそのエナンチオマー、3α位でなく7β位にあるジアステレオマーとそのエナンチオマー、あるいは、水素が、5β位でなく5α位にあるジアステレオマーとそのエナンチオマー等の異性体が含まれる(非特許文献11参照)。
これらの異性体は、水への溶解度等の物理化学的性質は非常に似通っており、そのいずれも可溶化の対象となり得るが、コストの観点からは、市販されている3α-ヒドロキシ-5β-コラン酸が好ましい。
したがって、本発明において、可溶化されたリトコール酸及び可溶化されたリトコール酸異性体は、それらの塩を含む。
本発明においては、リトコール酸及びリトコール酸異性体の可溶化の1実施形態として、他の界面活性剤水溶液中での中和反応により可溶化し、リトコール酸及びリトコール酸塩を含む分離用水溶液を利用することを可能にする方法が挙げられる。
具体的には、単体では水に不要なリトコール酸及びその異性体を、他の界面活性剤水溶液に混合した後、pHをコントロールして可溶化する。
これらのリトコール酸及びその異性体の可溶化に用いる界面活性剤は、高分子ポリマー、DNA、タンパク質、アルコール、有機溶媒などの他の材料と併用することもできる。
本発明において、可溶化に用いる界面活性剤などの濃度については、使用するCNTの種類や濃度、使用する界面活性剤の種類、使用する分離法などによって異なるが、例えば、0.01%~25%とすることができる。
本発明の構造分離用水溶液中の、可溶化したリトコール酸および可溶化したリトコール酸異性体の濃度については、いずれの濃度も対象となる。好ましい濃度は、使用するCNTの種類や濃度、使用する界面活性剤の種類、使用する分離法などによって異なる。例えば、SC/SDSとの混合水溶液中で、HiPcoという種類のCNTを分離する場合は、0.005%~0.4%の範囲でほとんどのCNTを分離できる。
本発明においては、本発明の構造分離用水溶液を使用する分離法および手段を問わない。例えば、本発明の構造分離用水溶液にCNTと密度勾配剤を加え、密度の違いによるCNTの分離に使用しても良い。また、本発明の構造分離用水溶液を相分離する2種類の液に作用させ、構造分離用水溶液に含まれているCNTもしくは2種類の液中に分散しているCNTの分離に使用しても良い。また、本発明の構造分離用水溶液をゲルに作用させ、構造分離用水溶液に含まれているCNTもしくはゲルに吸着しているCNTの分離に使用しても良い。
使用するゲルは、従来公知の糖質系のゲルである、デキストラン系ゲル(セファクリル:アリルデキストランとN,N’-メチレンビスアクリルアミドのホモポリマー、GEヘルスケア社)、アガロースゲル、デンプンゲルなどや、アクリルアミドゲルなどである。また、これらゲルの混合物、あるいは、これらゲルの構成成分や他の物質の混合物や化合物からなるゲルであってもよい。
ゲル濃度については、例えば、終濃度で0.01%~25%とするのがよい。
本発明の異なる構造のCNTを分離する方法は、CNTを吸着させたカラムに、可溶化したリトコール酸もしくは可溶化したリトコール酸異性体を含む構造分離用水溶液を添加し、特定の直径・カイラル角を持つCNTを選択的に溶出する、もしくはその後にカラムに残ったCNTを用いるものである。
合成されたCNTは通常、金属型CNTと半導体型CNTの両方を含む数十から数百本の束(バンドル)になっている。金属型CNTと半導体型CNTの分離、あるいはCNTの構造による分離に先立って、一本ずつに孤立した状態のCNTとして分散可溶化して、長時間安定に存在させておくことが肝要である。
そこで、CNTの混合物を、分散剤として界面活性剤を添加した溶液に加え、十分に超音波処理を行うことにより、CNTを分散・孤立化させる。この分散処理を施した液には、分散・孤立化したCNTと、分散・孤立化できずにバンドルを形成したままのCNT、合成副産物であるアモルファスカーボンや金属触媒などが含まれる。
超音波処理後に得た分散液を遠心分離機より遠心分離することにより、バンドルのままのCNTやアモルファスカーボン、金属触媒は沈殿し、一方、界面活性剤とミセルをなした孤立CNTは上清として回収できる。得られた上清がCNTの分離に使用する試料となる。
また、CNT分散液の調製に用いる界面活性剤としては、CNTの構造分離に用いられるものであれば、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤のいずれも使用できる。これらの界面活性剤は、単体での使用も可能であり、混合して使用することもできる。
HiPco法で合成したCNT(HiPco-CNT、直径1.0±0.3nm)を用いた時の結果を例として説明する。M11と呼ばれる吸収波長帯(およそ450~650nm)は金属型CNTによるものである。S11(およそ900nm以上)、S22(およそ650~900nm)と、及びS33(およそ450nm以下)という3つ吸収波長帯は、半導体型CNTによるものである。測定するCNTの平均直径によって吸収波長帯(M11、S11、S22、S33)は変化する。平均直径が細くなるにつれて短波長側に、平均直径が太くなるにつれて長波長側にシフトしていく。
なお、以下の実施例においては、可溶化した3α-ヒドロキシ-5β-コラン酸を「LC」とし、「LC」は3α-ヒドロキシ-5β-コラン酸および3α-ヒドロキシ-5β-コラン酸ナトリウムを含む。
また、以下の実施例においては、「SDS/SC/LC混合界面活性剤水溶液」及び「SDS/SC/DOC混合界面活性剤水溶液」を、それぞれ「SDS/SC/LC」及び「SDS/SC/DOC」と表記し、「SDS/SC/LC混合界面活性剤水溶液を用いた溶出工程」及び「SDS/SC/DOC混合界面活性剤水溶液を用いた溶出工程」を、それぞれ「SDS/SC/LC溶出」及び「SDS/SC/DOC溶出」と表記することとする。
本実施例では、水に不溶なリトコール酸を用いてLCを含む構造分離用水溶液を作製した。
LCを含む構造分離用水溶液は、リトコール酸を可溶化することによって作製した。
リトコール酸として、本実施例では、コストの観点から、リトコール酸およびリトコール酸異性体の中で唯一市販されている3α-ヒドロキシ-5β-コラン酸を用いた。
また、リトコール酸を可溶化するために混合する界面活性剤および塩基を、次のようにして選択した。すなわち、後述する実施例では、構造分離用水溶液を、界面活性剤濃度の変更が容易で分離条件の探索に特化したゲルクロマトグラフィー(非特許文献9)に使用する。そこでは、CNTの吸着工程にドデシル硫酸ナトリウム(SDS)/コール酸ナトリウム(SC)水溶液が用いられており、CNTの溶出工程にも同じ界面活性剤を用いることが望ましい。そのため、本実施例では、混合する界面活性剤としてSDS/SC混合界面活性剤、塩基として水酸化ナトリウムを用いた。
まず、市販のリトコール酸(東京化成)に、リトコール酸の濃度が0.1%となるように、0.5%SDS/0.5%SC水溶液を添加した。その後、リトコール酸と水酸化ナトリウムのモル濃度が同じとなるように水酸化ナトリウム水溶液を添加し、十分に撹拌した。このときの界面活性剤の組成を、0.5%SDS/0.5%SC/0.1%LCとする。また、同様の実験をSDS濃度、SC濃度、LC濃度を変えて行った。
まず、0.1%に相当する量のリトコール酸に、0.5%SDS/0.5%SC水溶液を添加し、十分に撹拌を行ったところ、白濁した液が得られリトコール酸の残渣が見られた。ここへ、水酸化ナトリウム水溶液を添加し十分に撹拌すると、透明な水溶液が得られ、0.5%SDS/0.5%SC/0.1%LC水溶液の作製が確認できた。一方、比較として、SDS/SC水溶液の代わりに脱イオン水を添加し、同様の実験を行ったところ、透明な水溶液は得られなかった。そのため、LCを含む水溶液の作製には、水酸化ナトリウム等の塩基、SDS/SC等の界面活性剤の両方が必要であることが分かる。これは、単体では水に不溶なリトコール酸がリトコール酸塩に変わり、SDS/SCのミセルに取り込まれる、またはSDS/SCと混合ミセルを形成するなどの効果により、水に可溶となったと考えられる。
次に、混合するSDS/SC溶液の濃度を変えて同様の実験を行った。SDS濃度は0.3~0.9%まで、SC濃度は0.3~0.9%まで変化させた。いずれのSDS濃度およびSC濃度においても、LC濃度0.2%まで透明な水溶液が作製できることを確認した。このように作製した水溶液を、LCを含む構造分離用水溶液とする。
前記実施例1で得られたLCを含む構造分離用水溶液を用いて、CNTを分離した。本実施例では、詳細な分離条件探索を行うために、界面活性剤濃度の自在制御が可能なゲルカラムクロマトグラフィーを用いた。また、分離条件探索の効率化および分離精度の向上のために、LCを含む構造分離用水溶液はCNTの溶出工程で用いた。CNTを吸着させたカラムにLCを含む構造分離用水溶液を添加し、LC濃度を段階的に変えながら、各LC濃度で特定の構造を持つCNTを選択的に溶出した。
30mgのHipco-CNT(CNI社、化学気相成長法で合成されたCNT、直径1.0±0.3nm)に、0.5%SC水溶液(30ml)を加えた。その溶液をチップ型超音波破砕機(ソニファイアー、ブランソン社製、チップ先端径:0.5インチ)を用いて、冷水中で冷却しながら、出力20W/cm2で6時間超音波処理した。超音波処理よって得られた分散液を、超遠心分離(210,000×g、2時間)にかけた後、上清を80%回収した。その後、CNT分散液にSDSの粉末を添加し、SDS/SC界面活性剤のCNT分散液を作製した。SDSの粉末及び脱イオン水を用いてSDS/SC界面活性剤の濃度を調整した。実施例2では、カラムに添加するCNT分散液の界面活性剤濃度を0.5%SDS/0.5%SCとした。この界面活性剤濃度は、Hipco-CNTに含まれる半導体CNTをゲルに吸着させる条件としてよく用いられている(非特許文献9)。
ゲルビーズ(セファクリルS-200、GEヘルスケア社)をカラム担体に用いた。容量5mLのプラスチックカラム(テルモシリンジ、テルモ)に体積が約3mLとなるようにゲルビーズを充填し、脱イオン水を通した後、CNT分散液の界面活性剤濃度と同濃度の0.5%SDS/0.5%SC水溶液で平衡化した。そこへ、CNT分散液をゲルの体積の20%量添加し、CNTの吸着工程を行った。その後、0.5%SDS/0.5%SC水溶液を添加し、溶出された液が無色透明になるまでカラムを洗浄した。そこへ、LCを含む構造分離用水溶液を添加し、CNTの溶出工程を行った。本実施例では、吸着工程および溶出工程でSDS濃度およびSC濃度を変えないことによって、SDS濃度およびSC濃度の変化によるCNTの溶出を防ぎ、LC濃度の変化による寄与のみを調べた。まず、0.5%SDS/0.5%SC/0.01%LC水溶液を添加し、カラムから溶出したCNTを回収した。同様の操作を、SDS濃度およびSC濃度を変えずに、LC濃度を0.02%から0.10%まで0.01%間隔で変えて行った。このように、界面活性剤濃度を段階的に高くしながら、各界面活性剤濃度で溶出されたCNTを回収する操作を段階溶出とする。分離は20℃で行った。
単一構造からなるCNTの光吸収スペクトルは、半導体型であれば、長波長側から、S11、S22という吸収ピークが観測される。これらの吸収ピークは直径によってピークの波長が異なり、直径の大きなCNTであれば長波長側、直径の小さなCNTであれば短波長側へとシフトする。合成されたCNTは、様々な直径・カイラル角のCNTの混合物であり、光吸収スペクトルはこれら混合物のピークの重ねあわせとなって観測される。
SDS/SC/LC溶出で得られた溶出液の光吸収スペクトルを図1aに示す。カラムから溶出されたCNTは、S11、S22領域のピークがLC濃度で異なり、LC濃度が高くなるにつれて吸収ピークが短波長側から長波長側へシフトしており、直径の小さな順にCNTが溶出されていると示唆される。一方、LC濃度0.070%以降は、LC濃度を高くしてもCNTの溶出はほとんど確認できなかった。SDS/SC/LC添加後のカラムは着色しており、SDS/SC/LC溶出では溶出されないCNTが存在すると考えられる。
比較として、LCの代わりにDOCを用いた同様の実験で得られた溶出液の光吸収スペクトルを図1bに示す。図1bから明らかなように、SDS/SC/DOC溶出では、SDS/SC/LC溶出の結果と同様に短波長から長波長へのシフトが見られるが、SDS/SC/LC溶出の結果とは吸収ピークが若干異なる。また、SDS/SC/DOC添加後のカラムはほとんど着色していない。
これより、SDS/SC/LC溶出とSDS/SC/DOC溶出とでは、溶出されるCNTやカラムに残っているCNTが異なることが示唆される。
光吸収スペクトルでは別のCNTの吸収ピークが重なっていて判別できない可能性がある。そこで、半導体型CNTの個別のカイラリティを区別して検出することが可能な蛍光スペクトル測定を行った。
SDS/SC/LC溶出で得られた溶出液(図1aの試料と対応)の蛍光スペクトルを図1cに示す。縦軸に励起波長、横軸に蛍光波長、蛍光強度を色の濃さで示す等高線図で表示している。スポットして現れるのが、単一半導体CNTに由来する蛍光である。LC濃度の異なるそれぞれの試料のスペクトルには、異なるスポットが認められ、LC濃度で異なるカイラリティのCNTが分離されていることが分かる。
比較として、LCの代わりにDOCを用いた同様の実験で得られた溶出液(図1bの試料と対応)の蛍光スペクトルを図1dに示す。SDS/SC/DOC溶出で得られた試料には、SDS/SC/LC溶出で得られた試料には見られない(10,5)、(8,7)等のスポットが現れる。これらのCNTの溶出が、上述の図1aと図1bの吸収スペクトルの違いに該当すると考えられる。
光吸収スペクトルで見られるS11、S22という吸収ピークを用いて、それぞれのカイラリティ分布を決定できる。別のCNTの吸収ピークが重なっている等、光吸収スペクトルだけでは判別できない場合もあり、その場合は蛍光スペクトルで見られるスポットを用いてカイラリティ分布を決定した。まず、それぞれの溶出液に含まれる全てのカイラリティの吸光度もしくは発光強度を算出した。次に、特定のカイラリティの吸光度もしくは発光強度が最も高くなるLC濃度を全ての濃度範囲から求め、そのカイラリティが溶出されるLC濃度とした。同様の操作を全てのカイラリティについて行い、LC濃度に対するカイラリティの分離順を決定した。特定のカイラリティのCNTが溶出されるLC濃度とそのカイラリティの直径との関係を図1eに示す(図1cから算出)。LC濃度と溶出されるカイラリティの直径には相関があり、直径の小さな順の分離順が認められる。一方で、SDS/SC/LC溶出では1nmよりも大きな直径を持つCNTは溶出されないことが分かる。
比較として、LCの代わりにDOCを用いた場合の同様の関係を図1fに示す(図1dから算出)。図1fから明らかなように、SDS/SC/DOC溶出では、SDS/SC/LC溶出と同様に直径の小さな順の分離順が認められる一方で、SDS/SC/LC溶出では溶出されない1nmよりも大きな直径を持つCNTの溶出が見られる。これは上述の長波長ピークを持つCNTに相当すると考えられる。SDS/SC/DOC溶出では、それらの1nmよりも小さな直径を持つCNTと1nmよりも大きな直径を持つCNTが同濃度で溶出されるため、それらの純度の低下につながり、これまで問題となっていた(非特許文献9)。一方、SDS/SC/LC溶出では、1nmよりも小さな直径を持つCNTのみを取り出すことができ、その純度の向上が可能である。
実施例2と同様に、SDS/SC/LC溶出を行った後、SDS/SC/DOC溶出を行い、カラムに残留したCNTを選択的に溶出した。
SDS/SC/LC溶出の結果は、実施例2と同様に、LC濃度が高くなるにつれて吸収ピークが短波長側から長波長側へシフトしており、直径の小さな順の分離順が認められる。一方、SDS/SC/LC添加後のSDS/SC/DOC溶出の結果は、実施例2の通常のSDS/SC/DOC溶出の結果と比較して、短波長ピークの減少、長波長ピークの増大が見られる。
次に、SDS/SC/LC溶出で得られた溶出液の蛍光スペクトルを図2c、SDS/SC/LC添加後のSDS/SC/DOC溶出で得られた溶出液の蛍光スペクトル図2dに示す。図2c、図2dに現れるスポットはそれぞれ大きく異なる。
実施例3と同様の実験を、SC濃度を0.5%に固定して、SDS濃度を0.3%と0.7%の2種類に変えて行った。溶出工程だけでなく、吸着工程(分散液、平衡化、洗浄を含む)のSDS濃度およびSC濃度も変えている。ただし、SDS/SC/LC添加後のSDS/SC/DOC溶出の実験は行っていない。
実施例3と同様の実験を、SDS濃度を0.7%に固定して、SC濃度を0.7%と0.9%の2種類に変えて行った。溶出工程だけでなく、吸着工程(分散液、平衡化、洗浄を含む)のSDS濃度およびSC濃度も変えている。ただし、SDS/SC/LC添加後のSDS/SC/DOC溶出の実験は行っていない。
ここで、実施例4と同様の操作により求めたCNTが溶出されるLC濃度とSC濃度との関係を図4bに示す。SC濃度が低くなるにつれて、実施例4と同様に分離の精度が向上していることが認められる。例えば、0.7%SDS/0.5%SCでは、単一カイラリティに由来する吸収ピークも見られる。実施例4の結果と比較すると、CNTを溶出するのに必要なLC濃度と他の界面活性剤の濃度は、SDSとSCで全く逆の相関を示すことが分かる。
実施例3と同様の実験を、SDS濃度とSC濃度の比率を一定(1:1)にしたまま、濃度を0.3%と0.9%の2種類に変えて行った。溶出工程だけでなく、吸着工程(分散液、平衡化、洗浄を含む)のSDS濃度およびSC濃度も変えている。ただし、SDS/SC/LC添加後のSDS/SC/DOC溶出の実験は行っていない。
ゲルを用いた分離法では、CNTの分離は温度で変化する。そのため、実施例3と同様の実験を、温度を20℃から、25℃と30℃の2種類に変えて行った。溶出工程だけでなく吸着工程の温度も変えている。ただし、SDS/SC/LC添加後のSDS/SC/DOC溶出の実験は行っていない。
実施例3~5の結果を踏まえ、実施例3と同様の実験を、分離の精度が向上すると期待される高SDS濃度・低SC濃度の0.9SDS/0.3%SCに変えて行った。溶出工程だけでなく吸着工程(分散液、平衡化、洗浄を含む)のSDS濃度およびSC濃度も変えている。ただし、SDS/SC/LC添加後のSDS/SC/DOC溶出の実験は行っていない。
実施例8を踏まえ、3:1の条件では(9,1)、(10,0)、(8,3)、(9,2)を含む特定の構造を持つCNTが直径の小さな順に溶出され、1:1の条件ではより多い種類のCNTが直径の小さな順に溶出されることが分かった。これは、3:1の条件と1:1の条件でCNTの吸着が維持される場合、3:1の条件で(9,1)、(10,0)、(8,3)、(9,2)を含む特定の構造を持つCNTを分離・回収した後、1:1の条件でそれら以外のCNTを分離・回収できることを示唆する。ここでは、SDS濃度とSC濃度の比率を3:1から1:1まで段階的に変え分離を行った。具体的には、実施例3と同様の実験を、SDS濃度を0.9%にSC濃度を0.3%に変えて行い、その後、SDS濃度を0.9%に固定して、SC濃度を0.5%、0.7%、0.9%に段階的に変えて、SDS濃度とSC濃度の比率を調節しながら、各SC濃度においてSDS/SC/LC溶出を行った。ただし、SDS/SC/LC添加後のSDS/SC/DOC溶出の実験は行っていない。
これまでの実施例を踏まえ、LCを含む構造分離用水溶液には、3つの機能があることが分かった。これらの機能は以下のようにまとめることができる。
(1)実施例2~9で示された小さな直径を持つCNTのみを高純度に分離・回収する機能、
(2)実施例8~9で示されたSDS濃度とSC濃度の比率が3:1の条件における(9,1)、(10,0)、(8,3)、(9,2)を含む特定の構造を持つCNTのみを高純度に分離・回収する機能、
(3)実施例3で示されたゲルに吸着した大きな直径を持つCNTを溶出せず、その後のSDS/SC/DOC溶出により高純度に分離・回収できるようにする機能、
である。
これまでの実施例では、LCを含む構造分離用水溶液の機能を調べるために、吸着工程でほとんどの半導体型CNTを単一カラムに吸着させ、溶出工程でLCを含む構造分離用水溶液を添加する選択溶出を用いて分離を行ってきた。次の段階として、単一構造CNTの分離の精度を向上するための手段として、選択溶出だけでなく、非特許文献9のようにCNTの選択吸着も同時に行う方法が挙げられる。実施例4~6、実施例8でも、吸着工程におけるSDS濃度およびSC濃度は変えていたが、その範囲ではまだ多くの種類のCNTが吸着していた。本実施例では、非特許文献9を基に、CNTの吸着がより選択的になるSDS濃度およびSC濃度に調整し、複数カラムを用いて選択吸着を行った。SC濃度を0.5%に固定して、SDS濃度を高くすると、ゲルへの吸着力の強いCNTしか吸着できなくなる(ここでは、吸着力の強いCNTが吸着したカラムを第1カラムとする)。このとき未吸着となった吸着力の弱いCNTは、SDS濃度を低くすると、再度ゲルに吸着できるようになる。そのため、SDS濃度を低くし、新しいカラム(ここでは、第2カラム)に吸着させることによって、カラムに吸着するCNTを、ゲルへの吸着力の違いで分けることができる。このゲルへの吸着力の違いはCNTのカイラル角および直径に依存しており、小さいカイラル角または小さい直径を持つCNTが強い吸着を示す。このような吸着力の違いであらかじめ分離しておく操作を、第5カラムまで行った。さらに、それらの選択吸着を行った複数のカラムに対し、下記のように選択溶出を行った。まず、LCを含む構造分離用水溶液を用いて、1nmより小さな直径を持つCNTのみを高純度に分離・回収した後、他の構造分離用水溶液(ここでは、DOCを含む構造分離用水溶液)を用いて、カラムに残った1nmより大きな直径を持つCNTを分離・回収する。第1カラムには、選択吸着により小さなカイラル角を持つ(9,1)、(10,0)、(8,3)、(9,2)が吸着されているため、高SDS濃度・低SC濃度におけるSDS/SC/LC溶出によりそれらのCNTを分離・回収した後、通常のSDS/SC/LC溶出により残りの1nmより小さな直径を持つCNTを分離・回収し、その後、SDS/SC/DOC溶出により1nmより大きな直径を持つCNTを分離・回収する。このように、選択吸着、選択溶出を組み合わせることにより、多くの構造のCNTの高純度分離を行った。具体的な手順を以下に示す。
Claims (5)
- リトコール酸及びリトコール酸異性体からなる群から選ばれる少なくとも1つ、ドデシル硫酸ナトリウム、並びにコール酸ナトリウムを含有するカーボンナノチューブの構造分離用水溶液。
- リトコール酸及びリトコール酸異性体からなる群から選ばれる少なくとも1つ、ドデシル硫酸ナトリウム、並びにコール酸ナトリウムを含有する水溶液を用いるカーボンナノチューブの分離回収方法。
- カーボンナノチューブが吸着したゲルから、直径1nm以下のカーボンナノチューブを選択的に分離する、請求項2に記載のカーボンナノチューブの分離回収方法。
- 請求項3に記載の方法で直径1nm以下のカーボンナノチューブを選択的に分離した後、前記ゲルに残存する直径1nmより大きいカーボンナノチューブを分離する、カーボンナノチューブの分離回収方法。
- カーボンナノチューブが吸着したゲルから、カイラル指数が異なるカーボンナノチューブのそれぞれを選択的に分離する、請求項2に記載のカーボンナノチューブの分離回収方法。
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