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JP7102245B2 - 太陽電池モジュールの診断方法及び診断装置 - Google Patents

太陽電池モジュールの診断方法及び診断装置 Download PDF

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JP7102245B2 JP2018117587A JP2018117587A JP7102245B2 JP 7102245 B2 JP7102245 B2 JP 7102245B2 JP 2018117587 A JP2018117587 A JP 2018117587A JP 2018117587 A JP2018117587 A JP 2018117587A JP 7102245 B2 JP7102245 B2 JP 7102245B2
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Description

本発明は太陽光発電に用いられる太陽電池モジュールの診断方法及び診断装置に関する。
太陽光発電は太陽電池モジュールや架台、配線、パワーコンディショナー、トランスなど多くの部品から構成される。太陽光発電サイトは通常20年以上の長期間にわたる設備使用が想定されるため、使用期間を通して安定した設備稼動状況を確保する必要がある。このため設備の適切な保全は重要であり、その中でも太陽電池モジュールは直射日光や風雨に晒される過酷な環境に置かれるため、長期的な信頼性の確保が最も重要な部品である。従って、発電サイトの設備保守には太陽電池モジュールの劣化状態を正しく把握する技術が必要である。
シリコン系太陽電池モジュールは、PN接合を有するシリコンセルが平面的に配置され、それらがバスバーと言われる配線によって直列に接続された構造を持つ。配線により接続されたセルは樹脂に埋め込まれ、強化ガラスと裏面シートに挟まれ、端部をアルミ製のフレームにより保護されている。図1に太陽電池モジュールの等価回路を示す。11はセルが光を吸収して電流を発生させる電流源、12はセルのPN接合に相当するダイオード、13は端子間のリーク電流の経路に相当するシャント抵抗Rsh、14はモジュール内配線の直列抵抗Rである。
太陽電池モジュールの劣化や故障は、ガラス割れからジャンクションボックスといわれるセル直列回路から外部へ電気を取り出すための配線取り出し部の故障まで多岐にわたる。見た目や電気出力に大きな変化を伴う異常は容易に検出できるが、ゆっくりと進行するような異常は検出が難しい。こうした異常の多くは太陽電池モジュール内部に原因を持ち、太陽電池モジュールの等価回路に反映される。例えばセルを封止する樹脂の劣化は、劣化に伴う樹脂の着色により光の透過率が低下することで、電流源11からの電流の減少として現れる。また、部材の伸縮に起因するはんだ剥がれなどの配線劣化は直列抵抗Rの増加として現れる。シャント抵抗Rshは太陽電池モジュールの端子間の漏れ電流経路に対応する素子で、その値はPN接合内部や樹脂など複数の要因の影響を受ける。
直列抵抗Rは太陽電池モジュールの劣化に伴い増加するが、直列抵抗Rの増加量と太陽電池モジュール出力の低下量とは概ね線形関係にあり、劣化の初期段階から太陽電池モジュール出力への影響が大きい。これに対して、シャント抵抗Rshは太陽電池モジュールの劣化により低下するが、シャント抵抗Rshの劣化が大分進まないと太陽電池モジュール出力への影響が見えず、さらにはいったん太陽電池モジュール出力が低下し始めると急激に減少する特徴がある。シャント抵抗Rshの劣化で最も顕著なものはPID(Potential Induced Degradation)現象として知られている。PIDはガラス起因のイオンが電場(ポテンシャル)の影響を受けて移動し、セル界面に蓄積することによりPN接合のダイオード特性が劣化する現象である。PIDは短期間で急激に劣化が進行し、出力も急激に低下するものであったため、検出も比較的容易であった。しかし、シャント抵抗Rshの劣化をもたらすものはPID現象のみとは限らないため、太陽光発電の保守においてシャント抵抗Rshは継続的にモニタされる必要のあるパラメータである。
太陽電池モジュールの保守に用いられる検査方法としては、目視検査、IV(電流-電圧)特性検査、赤外線画像検査などが代表的といえる。この中でもIV特性検査は比較的容易で、劣化の定量化も可能であるという利点がある。IV特性検査であれば目視検査や赤外線画像検査では困難な、直列抵抗Rやシャント抵抗Rshそれぞれの劣化を切り分けることも可能である。直列抵抗Rの劣化とモジュール出力の減少は概ね比例関係にあるので、劣化の原因が直列抵抗Rにあると特定できれば、その後の出力低下の進行も概ね推測でき、対策の必要性の有無やその時期を見通すことができる。劣化の原因がシャント抵抗Rshであれば、PID現象によるものであれば出力低下が急激に進行するおそれがあるため、重点的に経過監視を行うといった対応が取れる。
ただし、シャント抵抗Rshの劣化の場合、その劣化原因にはPID現象を引き起こすセルのPN接合の他にも、セルを封止する樹脂など複数の要因が考えられる。このため、太陽電池モジュール保守の観点からは更にシャント抵抗Rshの劣化原因を切り分けることが望ましい。セルのPN接合の劣化であればその進行は比較的早く、対応を急ぐ必要があるのに対し、樹脂の劣化であれば光照射による経時変化が原因であるため、その進行は比較的緩やかであると予想でき、とるべき対策が異なるためである。しかし、IV特性検査では原因がPN接合であろうと、樹脂であろうと等価回路上では同一の素子(シャント抵抗13)で表されるため、原因切り分けを行うことは困難であった。
シャント抵抗Rshの劣化原因切り分け方法には、EL(Electroluminescence)検査や絶縁抵抗測定、インピーダンス計測方法などが知られている。EL検査は太陽電池モジュールの端子間に電流を流すことにより生じるシリコンセル内でのバンド間遷移による発光をカメラでとらえる方法である。セルのPN接合に劣化が生じると非発光遷移の増加によって発光輝度が低下するため、セルの劣化を可視化できる。しかし、セルを経由しない漏れ電流も発光輝度の低下原因となるため、定量的な劣化の把握は難しい。また、端子間に電流を流すために比較的容量の大きな電源を必要とするため、通常屋内での検査に用いられることが多く、実際の発電サイトでの検査は難しい。
絶縁抵抗測定は太陽電池モジュールの一方の端子、若しくは短絡した両端子とフレームとの間の絶縁抵抗を計測することで樹脂の絶縁性を検査する方法である。樹脂が劣化し、絶縁性が低下すると端子間の漏れ電流が多くなるため、セル以外の電流経路に起因するシャント抵抗Rshの変化を把握することができる。しかし、絶縁抵抗の測定は温度や湿度、モジュール表面の汚れの状態などに大きく影響されるため、定量的な劣化の把握は難しい。
インピーダンス計測は太陽電池モジュール端子間に微小な交流信号を印加してインピーダンスの周波数特性を調べる方法である。特許文献1には太陽電池モジュールの両端子間及び端子とフレーム間のインピーダンス周波数特性を用いて太陽電池モジュールの診断を行う方法が開示されている。それによると、まずは端子間、若しくは端子-フレーム間のインピーダンスの周波数スペクトルを取得する。得られた周波数特性から測定対象の等価回路を構成する素子の値(等価回路定数)をフィッティングにより求める。フィッティングでは周波数スペクトル全体を最もよく再現するように等価回路定数が選定される。従って、計測した全周波数領域で等価回路の各素子の定数は一つの値を持つことになる。次に、それらの値を劣化していない状態において取得した等価回路定数にて規格化する。その規格化した値を予め設定した閾値と比較して劣化判定を行う。
国際公開2015/163329号
S. M. Sze & KWOK K. NG, "Physics of semiconductor devices (Third Edition)" John Wiley & Sons, Inc., Publication、米国、2006年4月10日、p.119
太陽電池モジュールの劣化は、その原因によっては、急激な出力低下をもたらす潜在的な危険が潜んでいる。このため、劣化を検出し、その原因を切り分けできる検査技術が必要である。IV特性検査は劣化を検出できるが、シャント抵抗Rshが劣化していた場合の原因切り分けが出来ない。また、特許文献1に開示されるインピーダンス計測によればシャント抵抗Rshの劣化原因を切り分けることができるものの、この過程で劣化していない状態における回路定数で規格化している。このため、劣化していない状態における回路定数の情報が必要であり、この値が不明の場合、劣化の診断が出来ないことになる。太陽光発電サイトの保守管理事業を中途から引き受けるような場合に、太陽電池モジュールの初期状態での情報が存在していないことは容易に生じうることである。
したがって、モジュールが劣化していない状態におけるデータなど過去のデータを用いることなく、太陽電池モジュールのシャント抵抗Rshの劣化を検出し、原因切り分けを可能とする方法を開発する必要がある。
本発明の一実施の形態である太陽電池モジュールの診断方法は、太陽電池モジュールを遮光状態として、入力する交流信号の周波数を連続的に変化させて太陽電池モジュールのインピーダンス及び位相角θの周波数スペクトルを取得し、取得した太陽電池モジュールのインピーダンス及び位相角θの周波数スペクトルから、遮光状態における太陽電池モジュールの等価回路を構成する静電容量 の周波数スペクトルを算出し、太陽電池モジュールの静電容量 の周波数スペクトルにおいて、カットオフ周波数よりも低周波側の静電容量値とカットオフ周波数よりも高周波側の静電容量値とを比較することにより太陽電池モジュールの診断を行い、交流信号の周波数fは、等価回路における、太陽電池モジュールの配線に起因する変数を無視できる周波数範囲とし、太陽電池モジュールの静電容量C は、-sinθ/2πf|Z|として算出する
太陽電池モジュールを構成するセルの劣化を、劣化していない状態におけるデータなど過去のデータを用いずに検出できるようになる。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
太陽電池モジュールの等価回路図である。 太陽光発電システムの構成例である。 非発電状態における太陽電池モジュールの等価回路図である。 太陽電池モジュールのインピーダンス測定を行う測定回路例である。 インピーダンスZの周波数スペクトルの計測例である。 位相角θの周波数スペクトルの計測例である。 非発電状態の太陽電池等価回路のインピーダンス、位相角と回路定数の関係式である。 周波数領域を限定して簡略化した太陽電池モジュールの等価回路図である。 計測値から算出した並列抵抗の周波数スペクトルである。 計測値から算出した静電容量の周波数スペクトルである。 インピーダンスZの周波数スペクトルの計測例である。 位相角θの周波数スペクトルの計測例である。 計測値から算出した並列抵抗の周波数スペクトルである。 計測値から算出した静電容量の周波数スペクトルである。 正常モジュールと劣化モジュールとにおける並列抵抗の温度依存性を示す図である。 正常モジュールと劣化モジュールとにおけるC_high及びC_lowのバイアス電圧Vdc依存性を示す図である。 静電容量Cの周波数スペクトルの温度依存性を示す図である。 太陽電池モジュール診断システムのハードウェア構成例である。 太陽電池モジュールの劣化の有無を判定するフローチャートである。 太陽電池モジュールの劣化の有無を判定するフローチャートである。 理論的に求めたPN接合の順方向抵抗Rの温度依存性を示す図である。 太陽電池モジュールの劣化の有無を判定するフローチャートである。
本実施例ではインピーダンス計測によって太陽電池モジュールのセルの劣化を検出する。
図2に比較的大規模な太陽光発電システムの構成例を示す。21で示す太陽電池モジュールを直列に接続した単位をストリング22といい、接続箱24内で複数のストリング22が並列に接続される。ストリング22を並列に接続した回路をアレイ23と呼ぶ。複数のアレイ23はさらに集電箱内で接続され、そこからパワーコンディショナー(PCS)25に入力される。PCS25は太陽電池から出力される直流電力を交流に変換し、系統27に送り出す。PCS25は絶縁トランス26を介して系統27に接続される場合もある。
太陽電池モジュールの等価回路10は図1に示した通りであり、太陽電池モジュール内のセルに太陽光が入射することにより電流が発生するが、これは等価回路上では日射強度に応じた電流を供給する理想定電流源11から電流が供給されることで表される。供給された電流の一部はダイオード12を経由し、残りが直列抵抗14を経由してP端子15から負荷へ供給される。負荷からへ供給された電流はN端子16を通して電流源11へと戻る。太陽電池モジュール内で生じる漏れ電流はシャント抵抗13の経路を流れる。太陽電池モジュールのインピーダンス特性は、原理的には発電状態でも計測できるが、非発電状態での計測の方が計測回路や計測精度向上の面から容易である。
そこで、発電サイトの太陽電池モジュールのインピーダンス計測を行うにあたり、太陽電池モジュールの表面(太陽光が入射するガラス面側)を遮光した状態で計測を行う。遮光状態、即ち太陽電池モジュールが発電を行わない状態で交流信号をP・N端子間に印加する場合の太陽電池モジュールの等価回路30を図3に示す。非発電状態であるため、電流源11はなくなり、PN接合に対応するダイオード12は静電容量C31と並列抵抗R32で表される。発電状態の等価回路におけるシャント抵抗Rshは、PN接合を経由する電流に対する抵抗やセル内やセル周囲の樹脂を経由する漏れ電流の経路に対応する抵抗成分全てを表していたが、非発電状態の等価回路における並列抵抗R32はPN接合経路の電流に対する抵抗成分とセル起因の漏れ電流経路の抵抗成分を表す抵抗となる。ただし、PN接合経路とそれ以外の漏れ電流経路の抵抗は並列に接続された関係であるが、PN接合経路以外の漏れ電流経路の抵抗は、PN接合経路の抵抗に比べきわめて小さいため、並列抵抗RはほぼPN接合経路の抵抗に対応する。このため、静電容量C31と並列抵抗R32とを併せた部分33がPN接合に対応する。配線に起因する素子は、直列抵抗R14に、交流成分によってみえてくるインダクタンスL34が新たに加わる。
太陽電池モジュールのインピーダンス特性の計測にあたり、PCS停止、計測対象モジュールを含むストリング回路の断路など必要な安全対策を実施する。その後、段ボールを用いて測定対象のモジュールの受光面全体を覆うように被せる。これにより太陽電池は遮光状態に置かれることにより発電を停止する。遮光状態を作り出すために用いる方法はこれに限られない。段ボールに代えて遮光カーテンやブルーシートを多重に折りたたんで作った遮光シートやゴムで覆ってもよいし、夜間に計測してもよい。
しばらくその状態で放置してセル温度が安定するのを待った後、太陽電池モジュールのインピーダンスの周波数スペクトルを取得する。計測には、LCRメータ、インピーダンスアナライザといった計測機器が使用でき、特に太陽電池モジュールに入力する入力信号(交流信号)の周波数を連続的に変化させることができるものを使用する。図4に太陽電池モジュールのインピーダンスを測定する計測回路例を示す。計測回路の主要な構成要素として、正弦波発振器41、電流-電圧変換器42、ベクトル電圧比測定部43とを有し、正弦波発振器41からの発生される交流信号が太陽電池モジュール40の一方の端子(P端子15)から入力され、他方の端子(N端子16)から出力される出力信号が電流-電圧変換器42に入力される。正弦波発振器41は、バイアス電源51と、発振器52と、バイアス電源51からのDCバイアスVdcと発振器52からの発振信号とを合成して交流信号を出力する合成回路53とを有する。電流-電圧変換器42は、太陽電池モジュール40から出力される出力信号(電流信号)を電圧に変換する基準抵抗54と、太陽電池モジュール40と基準抵抗54との接続点Lの電位を基準電位に制御する制御アンプ55とを有する。ベクトル電圧比測定部43は、太陽電池モジュール40のP・N端子間の交流電圧を測定する第1の電圧計56と、基準抵抗54の両端の交流電圧を測定する第2の電圧計57と、第1の電圧計56と第2の電圧計57との比率を求める比率計58とを有する。
図4に示した計測回路により、太陽電池モジュール40のインピーダンスZ、位相角θを測定する。インピーダンスZは、第1の電圧計56で計測される太陽電池モジュール40の交流電圧の大きさと制御アンプ55の制御量から求められる太陽電池モジュール40の交流電流の大きさの比として算出される。また、位相角θは、比率計58により、第1の電圧計56により求められる太陽電池モジュール40の交流電圧と第2の電圧計57により求められる太陽電池モジュール40の交流電流との位相差から算出される。
図4に示した計測回路を用いて、産業用に市販されている60セルからなる多結晶シリコン製の太陽電池モジュールについて、測定電圧レベルを0.1V(入力信号(交流信号)の実効値)、DCバイアスVdcを0V、入力信号の周波数を1Hzから100kHzまで変化させて、インピーダンスZと位相角θの周波数スペクトルを取得する。さらに、DCバイアスVdcの設定を0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5Vに変え、夫々の設定で周波数スペクトルを取得する。これは、太陽電池モジュールにはバイパスダイオードが具備されているため、PN端子に逆バイアスを印加すると比較的小さな電圧範囲でバイパスダイオードがオンしてしまい、所望の特性を取得できない。このため、入力する交流信号にDCバイアスVdcを重畳し、交流信号の振幅を十分小さくしておくことにより、印加する電圧を全て正の値に留めバイアスダイオードがオンになるのを防止し、DC-IV特性の傾きも、太陽電池モジュールのダイオード特性が概ね一定と見なせる領域で計測するものである。測定された太陽電池モジュールのインピーダンスZの周波数スペクトルを図5Aに、位相角θの周波数スペクトルを図5Bに示す。
これらの結果から等価回路定数を求めるが、従来技術においては等価回路から求めたインピーダンスの表式を用いて、得られたスペクトルをフィッティングして求めていた。図6に非発電状態の太陽電池モジュールの等価回路のインピーダンス、位相角と回路定数の関係式を示す。具体的には、インピーダンスZは複素数で表示され、Zの絶対値|Z|と位相角θはそれぞれ、Zの実部(Re(Z))と虚部(Im(Z))を用いて(式1)で表される。また、Re(Z)とIm(Z)は、図3に示した等価回路30の回路定数を用いると(式2)で表される。等価回路30が、静電容量C、並列抵抗R、直列抵抗R、インダクタンスLの4つの変数を含むのに対し、それを解くための方程式は(式1)に示されるインピーダンスZの絶対値|Z|と位相角θの表式との2つであるため、解析的には解くことができず、フィッティングで回路定数を求める必要があった。なお、インピーダンスZの絶対値|Z|という表記は、ここではインピーダンスの複素表現と関係して使用し、計測回路で計測されるインピーダンスZの値である。
本実施例では、回路定数を求めるためにフィッティングを用いない。元々太陽電池モジュールにおいて直列抵抗Rは高々数mΩから数Ω程度であり、シャント抵抗Rshもしくは並列抵抗Rの数kΩから数10kΩに比べて無視できる大きさである。また、インダクタンスLに関しても数μH程度の大きさである。この程度の大きさであれば、インピーダンスZの周波数スペクトルにその影響が出てくるのは、シャント抵抗Rshもしくは並列抵抗Rに比べて静電容量Cのインピーダンスが十分小さくなる高周波領域においてである。太陽電池モジュールの場合、その領域はおよそ100kHz以上の周波数領域となる。このことは周波数スペクトルを従来の方法でフィッティングしてみると、直列抵抗RやインダクタンスLの値が影響するのが100kHz程度より高周波側であることや、後述する直列抵抗RとインダクタンスLを無視した等価回路に対してインピーダンスZの実部と虚部とを計算し、従来方法であるフィッティングで求めた実部と虚部と比較することで確認できる。
このため、図5A,Bに示した周波数スペクトル計測では、入力信号の周波数を100kHzまでに留めている。この周波数範囲であれば直列抵抗RとインダクタンスLとを無視しても問題はない。これらを無視して簡略化した等価回路図を図7に示す。この等価回路70に対するインピーダンスZの実部と虚部は図6に示す(式3)で表される。この表式を(式1)に代入することによりインピーダンスZの絶対値|Z|と位相角θとを求めることができる。(式3)の特徴は、(式2)が4つの変数で表されていたのに対し、2つの変数(並列抵抗R、静電容量C)で表されるということである。2変数に対して、(式1)として示すインピーダンスZの絶対値|Z|と位相角θに対する2方程式が与えられているため、変数を解析的に求めることが可能になる。具体的には、(式3)を(式1)に代入して変数R、Cを求めたものが(式4)である。ここで、ω=2πf(fは入力信号の周波数)である。(式4)に計測で得られたインピーダンスZと位相角θを代入することにより、等価回路定数(R,C)を求めることができる。表式から分かる様にR、Cは周波数依存性を持つ。
等価回路から無視した直列抵抗R、インダクタンスLは求められないが、フィッティングを用いずに等価回路定数を求めることができるのは大きな利点である。フィッティングで求める場合、フィッティング関数による実験値の再現性が不十分なケースや、ある周波数領域の関数値と実験値との一致度を上げると他の周波数領域での一致度が下がる、といったことが生じる。フィッティングの任意性を低減するため、実験データとフィッティング関数から得られる値の残差二乗和を最小にするなど一定の指針は存在するものの、手順としての統一性はともかく、結果として満足いくフィッティングを与えてくれることを保証しない。
また、周波数スペクトルを計測する周波数範囲が比較的低周波領域に限定されることにより、計測系が簡便に済むのも本実施例の計測方法の利点である。例えば、MHzオーダーまでの周波数範囲を計測するには装置も高価なものが必要で、一般に大型の装置となり、電気的な接続にも注意を払う必要がある。特に、屋外の発電サイトで計測する場合、ノイズの影響も大きくなり精度面でも不利となる。これに対して100kHz程度以下の周波数範囲であれば比較的簡便な装置で計測でき、接続やノイズが計測結果に与える影響も小さい。
図5A,Bに示した周波数スペクトル計測から、(式4)に基づき算出した等価回路定数(R,C)を図8A、図8Bに示す。図8Aが並列抵抗Rの周波数スペクトル、図8Bが静電容量Cの周波数スペクトルである。
ここで、図6の(式4)の表式から、位相角θが0°近傍では、並列抵抗R~|Z|であり、インピーダンスZの絶対値|Z|の殆どを並列抵抗Rが担っており、静電容量Cには分母の|Z|を通して並列抵抗Rの影響が繰り込まれることがわかる。一方、位相角θが-90°近傍ではインピーダンスZの絶対値|Z|~1/(ωC)の関係が成り立つ。したがって、θが-90°近傍でのインピーダンスZの絶対値|Z|は静電容量Cが担っており、並列抵抗Rには分子の|Z|を通して静電容量Cの影響が繰り込まれることがわかる。
図5Bに示した位相角θの測定結果より、位相角θが0°近傍となる周波数領域でのR値を図8Aに「R_low」として、位相角θが-90°近傍となる周波数領域でのC値を図8Bに「C_high」として表す。ここで、R_lowとC_highとは、等価回路のインピーダンスZの絶対値|Z|に対し、夫々の素子の寄与が大半を占めている。位相角θが0°近傍では、インピーダンスZの絶対値|Z|はもっぱらR_lowで決定されており、Cの寄与はほぼない。位相角θが-90°近傍では、インピーダンスZの絶対値|Z|はもっぱらC_highで決定されており、Rの寄与はほぼない。すなわち、R_low及びC_highが従来、フィッティングで算出しようとしていた周波数に依存しない回路定数R,Cであると考えられる。このことは、C_highに関してはMott-Schottkyプロットによってモジュールを構成する直列接続されたセルの接合容量が求められることからも確認できる。
次に、同じ方法をセルが劣化したモジュールに適用する。セルが劣化したモジュールとして、ポテンシャル誘起劣化(PID)により出力が15%程度劣化したモジュールをテストモジュールとして用いた。測定結果を図9A、Bに示す。図9Aが劣化した太陽電池モジュールのインピーダンスZの周波数スペクトルであり、図9Bが劣化した太陽電池モジュールの位相角θの周波数スペクトルである。図9A,Bに示した周波数スペクトル計測から、(式4)に基づき算出した等価回路定数(R,C)を図10A、図10Bに示す。図10Aが並列抵抗Rの周波数スペクトル、図10Bが静電容量Cの周波数スペクトルである。図8Aと図10Aとを比較するとR_lowの値が大きく低下していることが分かるのに対して、図8Bと図10Bとを比較するとC_highの値は殆ど変化していない。このことから、R_lowにより太陽電池モジュールの劣化が検出できるのではないかと期待される。しかしながら、図11に示すように、並列抵抗Rは温度依存性が極めて大きく、モジュール温度が高いと正常モジュールと劣化モジュールとの間での並列抵抗Rの差が殆どなくなってしまう。屋外の直射日光が照射している環境であればセル温度が70℃程度には上昇することは珍しくなく、単純にR_lowを比較することで劣化を検出することが困難である。しかも、R_lowの差は太陽電池モジュールの劣化の程度が小さくなればなるほど正常モジュールとの差が無くなるため、劣化検出が一層難しくなる。その一方で、C_highは正常モジュールと劣化モジュールとの差が小さいため、劣化検出に用いるには高い計測精度を求められ、困難である。
そこで、本実施例では低周波数側の静電容量(「C_low」と表す)に着目する。C_lowは図8Bや図10Bに示す静電容量Cの周波数スペクトルの低周波数側で見られる静電容量値である。C_lowは、C_highに比べて大きな値を持ち、ある周波数範囲で概ね一定値を示す。また、C_highとは以下に説明するカットオフ周波数fcによって区分けすることができる。
カットオフ周波数fcは次のように定義する。図7に示す等価回路において、交流信号を端子に入力すると、信号周波数が低い場合、静電容量Cのインピーダンス(1/(ωC))が大きいため、信号は優先的に並列抵抗Rを通過する。一方、信号周波数が高い場合は逆に静電容量Cのインピーダンスが小さくなるため、信号は優先的に静電容量Cを通過する。その中間の周波数領域において静電容量Cのインピーダンス1/(ωC)と並列容量RのインピーダンスRが等しくなる周波数が存在し、この周波数をカットオフ周波数fcと定義する。図6の(式1)及び(式3)から容易にθ=tan-1(-ωC)が導け、カットオフ周波数fcの条件R=1/(ωC)を代入すると位相角θが-45°となる周波数がカットオフ周波数fcに対応することが分かる。
このカットオフ周波数fcより低周波数側で静電容量が概ね一定となる静電容量Cの値をC_low、カットオフ周波数fcより高周波数側で概ね一定となる静電容量の値をC_highと定義する。例えば、図5Bに示す位相角θの周波数スペクトルでは、-45°の位相角になる周波数は数10Hz程度である。それに対し、図8Bに示す静電容量Cの周波数スペクトルで数10Hz付近はちょうど静電容量Cが変化している領域に対応し、高周波数側ではおおよそ150nF、低周波数側では200nFで概ね一定の値を示している。このため、この太陽電池モジュールのC_lowはおおよそ200nF、C_highはおおよそ150nFとなる。このように、カットオフ周波数fcで区分けして求めたC_lowとC_highとを、正常モジュールと劣化モジュールについてバイアス電圧Vdcを変えて計測した結果を図12に示す。劣化前後でのC_highの変化に比べ、C_lowの変化が大きいことが分かる。C_highはC_highにほぼ等しく、先に説明したようにC_highはセルの接合容量Cとみなしうる。セルの接合容量Cは、基本的には太陽電池モジュールのPN接合のドーピングプロファイルで定まっている。このため、この値が大きく変化するためにはPN接合のドーピングプロファイルが変化する必要があるが、このような変化には極めて高いエネルギーを必要とし、太陽電池としての使用で発生するようなエネルギーでこうした変化は生じない。これに対して、低周波数側においては位相角θ≒0であるため、図6の(式4)よりC~1/|Z|、|Z|~RであるからCp~1/Rであり、劣化によってRが小さくなることによってCは大きくなる関係にある。すなわち、太陽モジュールの劣化によってR_lowが大幅に小さくなることを反映して、C_lowは大きくなる。
図11に示したように並列抵抗Rの温度依存性は非常に大きく、数10度の温度変化でRの大きさは桁で変わったため、発電サイトでの使用中にセルが到達する温度範囲においても正常モジュールと劣化モジュールの並列抵抗Rの大きさは殆ど同程度となってしまった。一方、静電容量Cは、図13に示すように同じ温度範囲(T=0~80℃)で殆ど変化しない。図6の(式4)よりR~1/ωCであり、温度変化に伴って並列抵抗Rが大きく変動しているにもかかわらず、静電容量Cがあまり変化しないのは、温度変化に伴ってω(=2πf)、したがってカットオフ周波数fcが並列抵抗Rの変化を打ち消すように変化するためである。
図12に示すようにC_highは正常モジュールと劣化モジュールとで殆ど同じ値を示している。さらに、正常モジュールについてはC_highとC_lowとが概ね同程度の大きさである。このことは正常モジュールでは、図6の(式4)の方程式によりCを求めても対象とした周波数範囲では概ね本来の接合容量値が求まることを反映している。
このように、C_highは正常モジュールと劣化モジュールとでほぼ同じ値を示すのに対し、正常モジュールではC_lowはC_highとほぼ同じであったものが、劣化すると大きく変化する。また、C_high、C_lowともに温度依存性は小さい。そこで、実施例1においては、C_highの値とC_lowの値とを比較することにより、太陽電池モジュールの劣化の程度を判断する。これにより、評価対象の太陽電池モジュールについて、正常時の計測値を保有していなくても、劣化の程度を判断することが可能になる。
本実施例による太陽電池モジュールの劣化を診断する太陽電池モジュール診断システムのハードウェア構成例を図14に示す。太陽電池評価装置100は、プロセッサ101、主記憶102、補助記憶103、入出力インタフェース104、表示インタフェース105、I/Oポート106、ネットワークインタフェース107を含み、これらはバス108により結合されている。入出力インタフェース104は、キーボードやマウス等の入力装置109と接続され、表示インタフェース105は、ディスプレイ110に接続され、GUIを実現する。ネットワークインタフェース107はネットワークと接続するためのインタフェースである。補助記憶103は通常、HDDやROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリで構成され、太陽電池評価装置100が実行するプログラムやプログラムが処理対象とするデータ等を記憶する。主記憶102はRAMで構成され、プロセッサ101の命令により、プログラムやプログラムの実行に必要なデータ等を一時的に記憶する。プロセッサ101は、補助記憶103から主記憶102にロードしたプログラムを実行する。太陽電池評価装置100は例えば、PC(Personal Computer)やサーバにより実現できる。
補助記憶103には、計測データ120、その他のデータ及び太陽電池モジュール診断プログラム122、その他のプログラムが記憶されている。太陽電池モジュール診断プログラム122はその主要部としてインピーダンス計測部122a、劣化評価部122bを含んでいる。
計測機器130は、I/Oポート106を介して太陽電池評価装置100に接続される。計測機器130は図4に示した計測回路を備え、計測機器130には診断対象である太陽電池モジュール131が接続される。計測機器130は太陽電池モジュール131のインピーダンスZ及び位相角θの周波数スペクトルを取得する。
太陽電池モジュール診断プログラム122が実行する、太陽電池モジュールの劣化の有無を判定するフローチャートを図15に示す。インピーダンス計測部122aは、周波数の計測範囲やバイアス電圧Vdcなど必要な計測パラメータを設定し、計測機器130により太陽電池モジュール131のインピーダンスZ、位相角θの周波数スペクトルを取得し、計測データ120として記憶する(S01)。また、インピーダンスZ、位相角θの周波数スペクトルから、並列抵抗R、静電容量Cの周波数スペクトルに変換し、これらも計測データ120として記憶する(S02)。劣化評価部122bは、これらの計測データ120を用いて太陽電池モジュールの診断を行う。なお、劣化評価部122bにおいて、静電容量Cに基づき診断を行う場合には、並列抵抗Rの周波数スペクトルへの変換は省略してもよい。
劣化モジュールの計測例として図9A、図9Bを示したが、劣化が更に進行すると、100kHz以下の周波数範囲における位相角θの周波数スペクトルにおいて、位相角θが-90°に到達せず大幅に離れた値で正の値に向けて増加してしまう場合やカットオフ周波数fcが当該周波数範囲に存在しない場合がある。このような場合は、PN接合部の静電容量Cが大幅に劣化していることを意味しているため、本実施例の診断を行うまでもなく、太陽電池モジュールが劣化していると判定できる。
そこで、位相角θの最小値であるθminを検出し(S03)、θminがあらかじめ定めた-90°近傍以内の値であるかを評価する(S04)。また、カットオフ周波数fcを検出する(S05)。θminが-90°に所定のしきい値以上未達である(S04でN)あるいはカットオフ周波数fcが計測範囲にない(S06でN)の場合は、太陽電池モジュール131に劣化ありと診断する(S10)。一方、これらに該当しない場合には、本実施例で説明した判定を行う。まず、カットオフ周波数fcを用いてC_highとC_lowとを検出し(S07)、検出したC_highとC_lowとを比較する(S08)。C_highとC_lowの比較は差(|C_high-C_low|)をとってもよいし、比(C_low/C_high)を計算して用いてもよい。計測誤差や検出したい劣化の程度に応じて閾値をあらかじめ定めておき、C_highとC_lowとの差(比)が閾値よりも小さい場合には、劣化なしと診断し(S09)、C_highとC_lowとの差(比)が閾値以上の場合には、劣化ありと診断する(S10)。得られた診断結果は例えば、ディスプレイ110に表示する(S11)。このように太陽電池モジュールの劣化を、正常時の計測値がなくとも診断することができる。
太陽電池モジュールの劣化の有無を判定する別のフローチャートを図16に示す。図16のフローチャートでは太陽電池モジュール劣化の判定をC_lowだけで行うものである。安価な製造プロセスで発電効率を極限まで上げることが求められる太陽電池では、PN接合プロファイルを大きく変えることはできず、シリコン系太陽電池であれば接合容量Cの違いはそれほど大きくないと考えられる。つまり、セルメーカーを問わず、C_highの値は概ね似通った値になることが期待できる。図16のフローでは、C_highはシリコン系太陽電池に所定の値を仮定し、C_lowが仮定されたC_highに基づき予め定められた範囲内であるかどうかによって劣化判定を行う。図16のフローチャートにおいて、図15のフローチャートと共通する処理を行うステップについては同じ符号で示し、重複する説明は省略する。本変形例においては、計測データからC_lowを検出し(S17)、C_lowが所定の閾値より小さいかどうかにより、劣化の有無を判断する(S18)。この方法によれば、ステップS01において取得する周波数範囲をより狭めることができる利点がある。
実施例2として、並列抵抗Rを用いて太陽電池モジュールの劣化判定を行う方法について説明する。この方法は、並列抵抗Rの理論値と実測値とを比較することにより劣化の判定を行うものである。
まず、並列抵抗Rの理論値を求める。並列抵抗Rは太陽電池モジュールのPN接合のDC-IV特性の傾きから求まる抵抗値に相当する。ただし、太陽電池モジュールにはバイパスダイオードが具備されているため、太陽電池モジュールのインピーダンス計測を行う場合、PN端子に逆バイアスを印加すると比較的小さな電圧範囲でバイパスダイオードがオンしてしまい、所望の特性を取得できない。このため、実施例1で述べたように、太陽電池モジュールのインピーダンス計測にあたっては、入力する交流信号にDCバイアスVdcを重畳する。さらに交流信号の振幅を十分小さくしておくことにより、印加する電圧を全て正の値に留めバイアスダイオードがオンになるのを防止し、DC-IV特性の傾きも、太陽電池モジュールのダイオード特性が概ね一定と見なせる領域で計測することができる。このような工夫により、インピーダンス計測から求まる並列抵抗RをPN接合の順方向抵抗Rに相当するものと見なすことができる。
例えば、非特許文献1のp.119には、順方向抵抗Rの求め方に関する理論的な方法が記載されている。この方法に従い、DCバイアスVdcに対する任意温度での順方向抵抗Rを算出することができる。理論によって求めた値は実測値を十分な精度で再現するほどの正確性はないが、温度依存性は概ね再現する。そこで、本実施例では理論値から求まる温度依存性を太陽電池モジュールの劣化判定に用いることとした。図17はT=0℃における順方向抵抗R値(R(0))を基準として、理論的に求めた順方向抵抗R値(R(T))の温度依存性を示す図である。具体的には、標準的なリンドープのp型基板によるSi太陽電池セルを想定し、物性値としてドナー濃度1×1021(1/cm)、アクセプタ濃度1×1016(1/cm)、伝導帯の有効状態密度2.8×1019(1/cm)、価電子帯の有効状態密度2.65×1019(1/cm)、電子移動度120(cm/Vs)、電子及び正孔の寿命を共に1msとし、真性半導体キャリア密度、電子拡散係数、正孔拡散係数、バンドギャップ、正孔移動度の温度依存性を考慮して計算したものである。他の物理定数は良く知られている代表的な値を用いている。
次に並列抵抗Rを実測する。計測対象モジュールを遮光して適宜時間をおいた後、太陽電池モジュールの温度を計測する。本実施例では非接触式の赤外線レーザー温度計を用いたが、熱電対などによる接触式計測でもよい。その後、実施例1と同様に検査対象の太陽電池モジュールに対してインピーダンスZ及び位相角θの周波数スペクトルを計測する。計測データを並列抵抗Rの周波数スペクトルに変換し、最低周波数のR値(R_low)を求める。実施例1において説明したように、R_lowは周波数に依存しない回路定数Rの値である。そこで、求めたR値を、計測した温度T(℃)と図17に示した順方向抵抗R理論値の温度依存性から、求めたR値を、劣化判定を行う特定の温度におけるR値に変換する。図17に示したように0~80℃程度の比較的狭い温度範囲であれば縦軸を対数プロットすることにより温度依存性は概ね直線と見なしうる。例えば計測温度がT(℃)、得られたRをR(T)であったとすると、温度T(℃)でのR値(R(T))は次式により求められる。
log[R(T)]=A×(T-T)+log[R(T)]
ここで、Aは図17に示した温度依存性の平均的な傾きである。このようにして任意の温度で計測したデータから求めたR値を特定の温度でのR値へ換算することができる。
実施例1に示したように、正常モジュールと劣化モジュールの温度依存性を比較すると、図11に示すように50℃以上の温度範囲では両者の差は小さくなり、劣化の有無を判断することが難しくなる。また、モジュールの劣化の程度に応じて並列抵抗Rの値も変化するため、図11に示す正常モジュール・劣化モジュールの位置関係も変化する。より劣化程度が小さくなるほど、劣化モジュールの線は正常モジュールの線に近づいていくため、劣化判定が可能な温度範囲は狭まっていく。最終的には検出したい劣化量との兼ね合いで温度範囲は決まるが、計測は概ね40℃以下の温度で行うことが無難である。
劣化の判定は実験的に得られたR値を特定の温度、例えば25℃におけるR値に変換し、その値をあらかじめ定めた閾値と比較することにより行う。閾値は検出したい劣化の程度や計測誤差などから適宜決定すればよい。
実施例2を実行するシステム構成は実施例1と同様である。太陽電池モジュール診断プログラムにおける劣化評価部122bが、上述のように実測したR値を所定の温度におけるR値に変換して劣化判定を行うよう構成する。
ただし、実施例2では劣化判定を大幅に簡素化することが可能である。図18に太陽電池モジュールの劣化の有無を判定するフローチャートを示す。実施例2では最低周波数のインピーダンスZから求めた並列抵抗R値を劣化判定に用いている。このため、実施例1のように、インピーダンスZの周波数スペクトルを取得する必要がなく、実施例1に比べて計測を著しく簡素化できる。たとえば、ハンドヘルド式の簡易LCRメータは入力信号の周波数を連続的に変化させながらインピーダンス計測することはできないため、実施例1の方法には使用できなかった。これに対して、実施例2では位相角θが0とみなせる特定の周波数でのインピーダンス計測が行えればよいので、こうした簡易LCRメータを用いて低周波数でのR値を求め、特定の温度の値に変換することにより、太陽電池モジュールの劣化診断が可能となる。すなわち、電池駆動の簡易LCRメータにより簡便になる太陽電池モジュールの診断を行うことができる。
まず、太陽電池モジュールを遮光状態として、位相角θが0とみなせる所定の周波数を有する交流信号を入力して太陽電池モジュールのインピーダンスを計測する(S21)。また、太陽電池モジュールのインピーダンスを取得したときの温度を計測する(S22)。
取得した前記太陽電池モジュールのインピーダンスを用いて、遮光状態における太陽電池モジュールの等価回路を構成する並列抵抗R’を算出する(S23)。このとき、位相角θ=0とみなしうるため、図6の(式4)にしたがい、R’=|Z|として算出できる。並列抵抗R’は上述のように温度依存性が大きいため、ステップS23で求めた並列抵抗値を所定温度の並列抵抗値に変換する。このため、実施例2の太陽電池評価装置100は並列抵抗R’を所定温度の並列抵抗Rに変換するため、太陽電池モジュールのPN接合の順方向抵抗の温度依存性情報をあらかじめ保持している。この温度依存性情報は上述のように、太陽電池セルの物理パラメータに基づき理論的に算出することができる。この温度依存性情報を用いて、並列抵抗R’を所定温度の並列抵抗Rに変換し(S24)、並列抵抗Rに基づき、太陽電池モジュールの劣化の判定を行う(S25~S28)。例えば、並列抵抗Rが閾値R_refを超えている場合には劣化なしと判断し、並列抵抗Rが閾値R_ref以下の場合には劣化ありと判断する。図11に示されるように、モジュール温度が低いほど、正常モジュールと劣化モジュールの差は広がるため、抵抗値を比較する温度はインピーダンス計測を行うときの温度よりも低い温度とすることが望ましい。
なお、実施例1で説明したように、並列抵抗Rの温度依存性とカットオフ周波数fcの温度依存性は相関性が高い。従って、並列抵抗Rによる劣化判定と同様に、カットオフ周波数fcによる劣化判定を行うことも可能である。
10,30,70…等価回路、11…電流源、12…ダイオード、13…シャント抵抗、14…直列抵抗、15…P端子、16…N端子、21,40,131…太陽電池モジュール、22…ストリング、23…アレイ、24…接続箱、25…パワーコンディショナー、26…絶縁トランス、27…系統、31,71…静電容量、32,72…並列抵抗、34…インダクタンス、41…正弦波発振器、42…電流-電圧変換器、43…ベクトル電圧比測定部、51…バイアス電源、52…発振器、53…合成回路、54…基準抵抗、55…制御アンプ、56,57…電圧計、58…比率計、100…太陽電池評価装置、101…プロセッサ、102…主記憶、103…補助記憶、104…入出力インタフェース、105…表示インタフェース、106…I/Oポート、107…ネットワークインタフェース、108…バス、109…入力装置、110…ディスプレイ、120…計測データ、122…太陽電池モジュール診断プログラム、130…計測機器。

Claims (10)

  1. 太陽電池モジュールを遮光状態として、入力する交流信号の周波数を連続的に変化させて前記太陽電池モジュールのインピーダンス及び位相角θの周波数スペクトルを取得し、
    取得した前記太陽電池モジュールのインピーダンス及び位相角θの周波数スペクトルから、遮光状態における太陽電池モジュールの等価回路を構成する静電容量 の周波数スペクトルを算出し、
    前記太陽電池モジュールの静電容量 の周波数スペクトルにおいて、カットオフ周波数よりも低周波側の静電容量値と前記カットオフ周波数よりも高周波側の静電容量値とを比較することにより前記太陽電池モジュールの診断を行い、
    前記交流信号の周波数fは、前記等価回路における、前記太陽電池モジュールの配線に起因する変数を無視できる周波数範囲とし、前記太陽電池モジュールの静電容量C は、-sinθ/2πf|Z|として算出する太陽電池モジュールの診断方法。
  2. 請求項1において、
    前記カットオフ周波数は、前記太陽電池モジュールの位相角θが-45°となる周波数である太陽電池モジュールの診断方法。
  3. 請求項2において、
    前記高周波側の静電容量値を与える周波数は100kHz以下の周波数である太陽電池モジュールの診断方法。
  4. 請求項3において、
    前記太陽電池モジュールの位相角θの周波数スペクトルが100kHz以下の周波数範囲において-90°に所定のしきい値以上未達である場合または、前記カットオフ周波数が100kHz以下の周波数範囲に存在しない場合には、前記太陽電池モジュールは劣化していると判定する太陽電池モジュールの診断方法。
  5. 請求項において、
    前記カットオフ周波数よりも高周波側の静電容量値として、あらかじめ所定値を仮定しておき、
    前記カットオフ周波数よりも低周波側の静電容量値と前記所定値とを比較することにより前記太陽電池モジュールの診断を行う太陽電池モジュールの診断方法。
  6. 太陽電池モジュールの診断装置であって、
    プロセッサと、
    メモリと、
    前記太陽電池モジュールを遮光状態として、入力する交流信号の周波数を連続的に変化させて取得した前記太陽電池モジュールのインピーダンス及び位相角θの周波数スペクトルと、前記メモリに読み込まれ、前記プロセッサにより実行される太陽電池モジュール診断プログラムを格納する補助記憶とを有し、
    前記太陽電池モジュール診断プログラムは劣化評価部を有し、
    前記劣化評価部は、前記太陽電池モジュールのインピーダンス及び位相角θの周波数スペクトルから算出される、遮光状態における太陽電池モジュールの等価回路を構成する静電容量 の周波数スペクトルにおいて、カットオフ周波数よりも低周波側の静電容量値と前記カットオフ周波数よりも高周波側の静電容量値とを比較することにより前記太陽電池モジュールの診断を行い、
    前記交流信号の周波数fは、前記等価回路における、前記太陽電池モジュールの配線に起因する変数を無視できる周波数範囲とし、前記太陽電池モジュールの静電容量C は、-sinθ/2πf|Z|として算出する太陽電池モジュールの診断装置。
  7. 請求項において、
    前記カットオフ周波数は、前記太陽電池モジュールの位相角θが-45°となる周波数である太陽電池モジュールの診断装置。
  8. 請求項において、
    前記診断装置には遮光状態とされた前記太陽電池モジュールが接続された計測機器が接続され、
    前記太陽電池モジュール診断プログラムは、インピーダンス計測部を有し、
    前記インピーダンス計測部は、前記計測機器に対して計測パラメータを設定し、前記計測機器が計測した前記太陽電池モジュールのインピーダンス及び位相角θの周波数スペクトルを取得する太陽電池モジュールの診断装置。
  9. 請求項において、
    前記劣化評価部は、前記カットオフ周波数よりも高周波側の静電容量値として、あらかじめ所定値を仮定しておき、前記カットオフ周波数よりも低周波側の静電容量値と前記所定値とを比較することにより前記太陽電池モジュールの診断を行う太陽電池モジュールの診断装置。
  10. 請求項7において、
    前記高周波側の静電容量値を与える周波数は100kHz以下の周波数である太陽電池モジュールの診断装置。
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