JP7099077B2 - コンタクトレンズ用溶液 - Google Patents
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Description
一般に、良好な装用感を有するソフトコンタクトレンズを提供するには、ソフトコンタクトレンズに親水性と潤滑性を付与することが重要であるといわれている(非特許文献2~3)。そのため、ソフトコンタクトレンズを洗浄溶液で処理する際に、ソフトコンタクトレンズに親水性と潤滑性を付与できる洗浄溶液が開発されている(特許文献1)。しかしこれら洗浄溶液にはカチオン性殺菌剤が含まれており、このカチオン性殺菌剤は角膜上皮障害等の眼障害を引き起こす可能性がある。通常、洗浄溶液に含まれるカチオン性殺菌剤の濃度は非常に低いため、眼障害を引き起こす可能性は考えにくいが、利用者がより安心して使用するためには、カチオン性殺菌剤がソフトコンタクトレンズに吸着、蓄積することを防止することが必要となる。そのため特許文献2には、カチオン性殺菌剤の吸着を防止するコンタクトレンズ用溶液が開示されている。
本発明の課題は、コンタクトレンズ表面に対して簡便な処理で耐久性のある表面潤滑性、表面親水性、及びカチオン性殺菌剤の吸着抑制効果を付与するコンタクトレンズ用溶液を提供することにある。
すなわち、本発明は、次の[1]~[2]である。
[式(a)中、Xは(a1)に示すいずれかの基を表し、Yは(a2)に示すいずれかの基を表し、Zは(a3)に示すいずれかの基を表す。式(a)~式(c)中、R1、R2及びR5はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基であるか、あるいは互いに結合してモルホリノ基を形成しており、R6は炭素数12~24の炭化水素基である。]
[2]上記[1]に記載の共重合体(P)を0.001~2.0w/v%含有するソフトコンタクトレンズ用溶液。
[コンタクトレンズ用溶液]
本発明のコンタクトレンズ溶液は、式(a)~式(c)で表される構成単位を有し、各構成単位のモル比率na:nb:ncが100:10~400:2~50であり、重量平均分子量が5,000~5,000,000である共重合体(P)を0.001~2.0w/v%含有する。
また、本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、濃度や重量平均分子量の範囲)を段階的に記載した場合、各下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~100、より好ましくは20~90」という記載において「好ましい下限値:10」と「より好ましい上限値:90」とを組み合わせて、「10~90」とすることができる。
本発明のコンタクトレンズ用溶液に用いる共重合体(P)は、下記の式(a)~(c)で表される少なくとも3つの構成単位を有し、各構成単位のモル比率(構成比)na:nb:ncが100:10~400:2~50である。
本発明のコンタクトレンズ用溶液に用いる共重合体(P)は、下記式(a)で表される構成単位(以下、「親水性構成単位」と略記する)を有する。
共重合体(P)がこのような親水性構成単位を含むことにより、共重合体(P)は親水性を有する。これにより、該共重合体(P)を含むコンタクトレンズ用溶液は、コンタクトレンズ表面に表面潤滑性を付与することができる。
上記式(a’)においてR1、X、Y、Zはそれぞれ、上記式(a)のR1、X、Y、Zと同じである。
式(a’)で表される親水性単量体として、例えば、N,N,N-トリメチル-N-(2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロライド、N,N,N-トリメチル-N-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アンモニウムクロライドなどが挙げられる。
本発明のコンタクトレンズ用溶液に用いる共重合体(P)は、下記式(b)で表される構成単位(以下、「アミド構成単位」と略記することがある)を有する。
上記式(b)において、R2は水素原子またはメチル基を示し、R3及びR4はそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、又は、互いに結合してモルホリノ基を示す。
共重合体(P)がアミド構成単位を含むことにより、共重合体(P)を高分子量化することができる。これにより、該共重合体(P)は、コンタクトレンズへの密着性が高まる。
共重合体(P)中のアミド構成単位の割合については、親水性構成単位のモル数naを100としたときのモル数nbについて、nb/na=10/100~400/100であり、好ましくは30/100~250/100である。nbが大きすぎる場合にはコンタクトレンズ用溶液を製造する際に必要となる無菌ろ過が困難となるおそれがあり、小さすぎる場合にはコンタクトレンズへの密着性が高められず、潤滑性の向上効果が見込めない。
式(b’)におけるR2、R3及びR4は、それぞれ、式(b)におけるR2、R3及びR4と同じである。
上記式(b’)で表されるアミド基含有単量体は、(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリルアミド誘導体であり、例えば、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-アクリロイルモルホリン等が挙げられ、中でもN,N-ジメチル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
本発明のコンタクトレンズ用溶液に用いる共重合体(P)は、下記式(c)で表される構成単位(以下、「疎水性構成単位」と略記することがある)を有する。
上記式(c)において、R5は水素原子またはメチル基を示し、R6は炭素数12~24の一価の炭化水素基を示す。
R6は、直鎖、分岐鎖、飽和、不飽和の何れでもよく、例えば、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、イソパルミチル基、ステアリル基、イソステアリル基、オレイル基、オクチルドデシル基、ベヘニル基等が挙げられる。これらの中でも、R6は、ラウリル基、ステアリル基、ベヘニル基が好ましく、ラウリル基、ステアリル基がより好ましい。
共重合体(P)がこのような疎水性構成単位を含むことにより、共重合体(P)のコンタクトレンズへの吸着性を高め、コンタクトレンズの潤滑性が向上する。
式(c’)におけるR5及びR6はそれぞれ、式(c)におけるR5及びR6と同じである。式(c’)で表される疎水性単量体としては、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキル(メタ)アクリレートが好ましく、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートがより好ましい。
本発明に用いる共重合体(P)は、本発明の効果を損なわない範囲において、式(a)~(c)で表される構成単位以外の他の構成単位を含んでもよい。他の構成単位の量は、本発明の効果に影響を与えない範囲で適宜選択できるが、共重合体(P)において、式(a)で示すnaを100とした場合に、他の構成単位はモル比で50以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。
他の重合性単量体としては、例えば、直鎖または分岐鎖のアルキル(メタ)アクリレート、環状アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有(メタ)アクリレート、スチレン系単量体、ビニルエーテル単量体、ビニルエステル単量体、親水性の水酸基含有(メタ)アクリレートを挙げることができる。
環状アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
芳香族含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等が挙げられる。
ビニルエーテル単量体としては、例えば、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等が挙げられる。
ビニルエステル単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
親水性の水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明に用いる共重合体(P)の重量平均分子量は5,000~5,000,000であり、好ましくは5,000~2,000,000であり、より好ましくは100,000~1,500,000である。重量平均分子量が5,000未満の場合は、共重合体のコンタクトレンズ表面への吸着力が十分でないため潤滑性の向上効果が見込めないおそれがあり、5,000,000を超える場合は、コンタクトレンズ用溶液を製造する際に必要となる無菌ろ過が困難となるおそれがある。
共重合体(P)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による値をいい、実施例に記載の方法で測定できる。
本発明に用いる共重合体(P)は、上記各単量体の組成物をラジカル重合することによって得ることができる。共重合体(P)は、例えば、上記各単量体の組成物を、ラジカル重合開始剤の存在下、窒素、二酸化炭素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス置換または雰囲気下においてラジカル重合することにより合成できる。ラジカル重合方法は、例えば、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合などの公知の方法が挙げられ、精製などの観点から溶液重合が好ましい。共重合体(P)の精製は、再沈殿法、透析法、限外濾過法等の公知の精製方法により行うことができる。
アゾ系ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2-アゾビス(2-ジアミノプロピル)二塩酸塩、2,2-アゾビス(2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン)二塩酸塩、4,4-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)、2,2-アゾビスイソブチロニトリルアミド二水和物、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)が挙げられる。
過硫酸化物としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル等が挙げられる。
直鎖または環状のエーテル系溶媒としては、例えば、エチルセルソルブ、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
含窒素系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ニトロメタン、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
本発明のコンタクトレンズ用溶液中の共重合体(P)の濃度は0.001~2.0w/v%であり、好ましくは0.01~2.0w/v%である。
本発明のコンタクトレンズ用溶液は、共重合体(P)を、溶媒に、0.001~2.0w/v%、好ましくは0.01~2.0w/v%となるように溶解させることにより得ることができる。共重合体(P)の濃度が0.001w/v%未満ではコンタクトレンズに潤滑性を付与する効果が十分ではなく、2.0w/v%を超えるとコンタクトレンズ用溶液を製造する際に行う無菌ろ過が困難となるおそれがある。溶媒としては、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等のアルコールまたはこれらの混合溶媒を用いることができる。
本発明のコンタクトレンズ用溶液は、共重合体(P)以外にも必要に応じて一般のコンタクトレンズ用溶液などに使用できる、ビタミン類、アミノ酸類、糖類、粘稠化剤、清涼化剤、無機塩類、有機酸の塩、酸、塩基、酸化防止剤、安定化剤、防腐剤等のその他の成分を配合することができる。
ビタミン類としては、例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、パンテノール、パントテン酸ナトリウム、パントテン酸カルシウム等を挙げられる。
アミノ酸類としては、例えば、アスパラギン酸またはその塩、アミノエチルスルホン酸などが挙げられる。
糖類としては、例えば、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース等が挙げられる。
粘稠化剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロール、ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。
清涼化剤としては、例えば、メントール、カンフル等が挙げられる。
有機酸の塩としては、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
酸としては、例えば、リン酸、クエン酸、硫酸、酢酸、塩酸、ホウ酸などが挙げられる。
塩基としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ホウ砂、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、モノエタノールアミン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、酢酸トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、グリシン等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジングルコン酸塩、ソルビン酸カリウム、塩酸ポリヘキサニド等が挙げられる。
本発明のコンタクトレンズ用溶液は、一般的なコンタクトレンズ用溶液の製造方法により製造することができる。例えば、共重合体(P)、必要に応じて溶媒及びその他の成分を混合して攪拌することにより製造できる。なお、得られたコンタクトレンズ用溶液は必要に応じて無菌ろ過等の操作を行ってもよい。
下記の合成例1~5で得られた各共重合体5mgをメタノール/クロロホルム混液(80:20)に溶かし、さらに水で希釈したものを試料溶液とした。分析条件は以下を用いた。
カラム:PLgel-mixed-C
標準物質:ポリエチレングリコール
検出器:示差屈折計RI-8020(東ソー株式会社製)
重量平均分子量の算出法:分子量計算プログラム(SC-8020用GPCプログラム)
流量:毎分1mL
注入量:100μL
カラムオーブン:40℃付近の一定温度
得られた共重合体をメタノール/クロロホルム混液に溶かした溶液を、水で希釈して共重合体濃度が0.5質量%になるようにした。この液を0.45μmメンブランフィルターでろ過し、測定した。
[合成例1]
カチオンモノマー1(ブレンマーQA、日油株式会社製)55.3g、ステアリルメタクリレート(SMA、日油株式会社製)20.8gおよびN,N-ジメチルアクリルアミド(DMAA、KJケミカルズ株式会社製)7.9gを、4つ口フラスコへ入れ、n-プロパノール116.0gで溶解させ、30分間窒素ガスの吹き込みを行った。この後、重合開始剤(t-ブチルペルオキシネオデカネートであるパーブチル(日本登録商標)ND(PB-ND)、日油株式会社製)0.196gを加えて52℃、8時間重合反応を行った。重合反応後、重合液を3リットルのジエチルエーテル中にかき混ぜながら滴下し、析出した沈殿をろ過し、48時間室温で真空乾燥を行い、粉末を得た。収量は66.5gであった。これを共重合体1とした。共重合体1のGPC測定に基づく重量平均分子量は970,000であり、共重合体成分のモル比率はカチオンモノマー1 50モル%、DMAA 45モル%、SMA 5モル%である。
下表の表1に示す種類および量の成分を使用した以外は、合成例1と同様の手順に従って、共重合体2~5をそれぞれ合成した。併せて、共重合成分のモル比率、収量及び重量平均分子量を表1に示す。
カチオンモノマー2:ライトエステルDQ-100(N,N,N-トリメチル-N-(2-メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムクロライド)、共栄社化学株式会社製
DMAA:N,N-ジメチルアクリルアミド、KJケミカルズ株式会社製
LMA:ラウリルメタクリレート、日油株式会社製
SMA:ステアリルメタクリレート、日油株式会社製
エタノール:和光純薬工業株式会社製
n-プロパノール:和光純薬工業株式会社製
PB-ND:t-ブチルペルオキシネオデカネート、日油株式会社製
比較例に用いた重合体(共重合体(P)以外の重合体)は、次の通りである。
ホモポリマー(A):ジメチルアクリルアミドの重合体[数平均分子量:10,000]である、シグマアルドリッチジャパンの製品(製品名:Poly(N,N-dimethylacrylamide),DDMAT Terminated)を試験に用いた。
ホモポリマー(B):モノマーとして、ライトエステルDQ-100 84.0gを使用した以外は、合成例1と同様の手順に従って、ホモポリマー(B)を合成した。具体的には、ライトエステルDQ-100 84.0gをn-プロパノール116.0gで溶解させ、30分間窒素ガスの吹き込みを行った。この後、重合開始剤PB-ND 0.196gを加えて52℃、8時間重合反応を行った。重合反応後、重合液を3リットルのジエチルエーテル中にかき混ぜながら滴下し、析出した沈殿をろ過し、48時間室温で真空乾燥を行い、粉末であるホモポリマー(B)を得た。収量は64.9gであり、重量平均分子量は1,500,000であった。
ホモポリマー(C):ラウリルメタクリレートの重合体[重量平均分子量:470,000]である、シグマアルドリッチジャパンの製品(製品名:ポリメタクリル酸ラウリル)を試験に用いた。
以下の実施例1~7、比較例1~4に記載する方法で、コンタクトレンズ用出荷液を調製した。
精製水約80gを量り、これに共重合体1(1g)を加え、攪拌し、溶解させた。この後、これに全量100mLとなるように精製水を加えた(共重合体溶液とする)。この後、この液10mLを取り出し、生理食塩液を用いて全量100mLとし、無菌ろ過を行い、無菌のコンタクトレンズ用出荷液とした。このコンタクトレンズ用出荷液の外観・性状を表2に示す。
表2に示す種類及び量の成分を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って調製し、無菌のコンタクトレンズ用出荷液とした。各実施例の外観・性状を表2に示す。
表3に示す種類及び量の成分を使用した以外は、実施例1と同様の手順に従って調製し、無菌のコンタクトレンズ用出荷液とした。各比較例の外観・性状を表3に示す。
文献(ISO 18369-3:2006,Ophthalmic Optics-Contact Lenses Part3:Measurement Methods.)を参考に、生理食塩液を調製した。塩化ナトリウム8.3g、リン酸水素ナトリウム十二水和物5.993g、リン酸二水素ナトリウム二水和物0.528gを量り、水に溶かして1000mLとして、ろ過して生理食塩液とした。
実施例及び比較例のコンタクトレンズ用出荷液において、コンタクトレンズの潤滑性評価は以下の手順に従って行った。なお、コンタクトレンズの潤滑性評価には、コンタクトレンズとしてメダリストフレッシュフィットコンフォートモイスト(登録商標)(ボシュロム・ジャパン製)を用いた。
(手順)
1)実施例1のコンタクトレンズ用出荷液を用いた。
2)試験コンタクトレンズをブリスターパックから1枚取り出し、15mL遠心チューブへと入れた。
3)これに生理食塩液10mLを加え、終夜振とうした。
4)この後、生理食塩液を取り除き、1)で準備した溶液10mLを加え、終夜振とうした。
5)振とう後、コンタクトレンズを取り出し、人差し指に乗せて潤滑性評価を行った。該評価を、コンタクトレンズの装用開始を想定した潤滑性評価とした。
6)この後、一度、コンタクトレンズを1)で準備した溶液へと浸漬し、コンタクトレンズ表面の水膜をふき取り、人差し指に乗せて潤滑性評価を行った。該評価を、コンタクトレンズ装用中を想定した潤滑性評価とした。
潤滑性評価法は、ブリスターパックから取り出したばかりのメダリストフレッシュフィットコンフォートモイスト(登録商標)を基準(4点)として、潤滑性が向上すれば評価点数を高くなるようにし、潤滑性が低下すれば評価点数が低くなるようにした。なお、評価点数は1~10点の範囲内で付した。潤滑性評価を表4及び表5に示す。
実施例及び比較例において、コンタクトレンズの表面親水性評価は以下の手順に従って行った。なお、親水性評価で用いた生理食塩液は、上記潤滑性評価の場合と同様に調製した。
(1)コンタクトレンズ(メダリストフレッシュフィットコンフォートモイスト(登録商標))をブリスターパックから1枚取り出し、コンタクトレンズケースへ入れた。このとき、ブリスターパック中の出荷液はコンタクトレンズケースに入れなかった。
(2)コンタクトレンズケースに1mLの生理食塩液を入れ、上記コンタクトレンズと生理食塩液とがなじむように十分に浸漬した。
(3)生理食塩液を取り除き、再度、新しい生理食塩液を1mL入れ、コンタクトレンズと生理食塩液とがなじむよう十分に浸漬した。
(4)生理食塩液を取り除き、コンタクトレンズケースに実施例及び比較例の各溶液を1mL入れ、オートクレーブ処理(121℃、20分間)を行った。
(5)コンタクトレンズを取り出し、レンズ表面の水膜が切れるまでの時間(BUT)をストップウォッチで計測した。このBUTを「表面親水性」として表4及び表5に示す。BUTが10秒以上15秒未満のものを「表面親水性に優れる」とし、15秒以上のものを「表面親水性に特に優れる」とした。コンタクトレンズの表面親水性評価を表4及び表
5に示す。
実施例及び比較例において、コンタクトレンズの殺菌剤吸着抑制効果評価は以下の手順に従って行った。
(1)<コンタクトレンズの表面親水性評価>の(1)から(4)と同様な操作を行い、コンタクトレンズを処理した。
(2)1ppmの塩酸ポリヘキサニド(PHMB)溶液に(1)で処理したコンタクトレンズを一晩浸漬した。
(3)翌朝、コンタクトレンズを取り出した後のPHMB溶液について、吸光光度計237nmにおける吸光度を測定した。
(4)コンタクトレンズ浸漬前のPHMB溶液における237nmの吸光度を測定し、下記式を用いて吸着率を求めた。
コンタクトレンズへのPHMB吸着率(%)=(A-B)/A×100
A:コンタクトレンズ浸漬前PHMB溶液の吸光度
B:コンタクトレンズ浸漬後PHMB溶液の吸光度
コンタクトレンズへの殺菌剤吸着抑制効果評価結果を表4及び表5に示す。
また、実施例におけるコンタクトレンズの表面親水性評価(BUT)では、10~24であり、比較例におけるコンタクトレンズの表面親水性評価(BUT)では、4~6であった。
更に、実施例におけるコンタクトレンズへのPHMBの吸着率は、14~23%であり
、比較例におけるPHMBの吸着率は55~65%であった。
以上より、実施例のコンタクトレンズ用出荷液は、比較例と比較して、コンタクトレンズ表面に潤滑性、表面親水性及びカチオン性殺菌剤の吸着防止性を付与する効果に優れることが分かった。
表6に記載の実施例8~12の割合で配合して無菌ろ過を行い、本発明の共重合体を配合したコンタクトレンズ用出荷液とした。なお、表6における浸透圧の測定は、第17改正日本薬局方 一般試験法 2.47 浸透圧測定法(オスモル濃度測定法)に従い行った。
実施例8~12のコンタクトレンズ用出荷液を用いたコンタクトレンズは、潤滑性、表面親水性に優れており、コンタクトレンズの良好な装用感を得ることができ、かつ、カチオン性殺菌剤の吸着抑制効果に優れ、さらにコンタクトレンズの良好な装用感は持続することができる。
Claims (2)
- 下記式(a)~式(c)で表される構成単位を有し、各構成単位のモル比率na:nb:ncが100:10~400:2~50であり、重量平均分子量が5,000~5,000,000である共重合体(P)を0.001~2.0w/v%含有するコンタクトレンズ用溶液。
[式(a)中、Xは(a1)に示すいずれかの基を表し、Yは(a2)に示すいずれかの基を表し、Zは(a3)に示すいずれかの基を表す。式(a)~式(c)中、R1、R2及びR5はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はエチル基であるか、あるいは互いに結合してモルホリノ基を形成しており、R6は炭素数12~24の炭化水素基である。] - 請求項1に記載の共重合体(P)を0.001~2.0w/v%含有するソフトコンタクトレンズ用溶液。
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- 2018-06-22 JP JP2018119011A patent/JP7099077B2/ja active Active
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