以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態について説明する。なお、以下で説明する各実施形態について、同様の構成又は処理については同じ符号を付して説明を省略することがある。
[混注装置1]
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る混注装置1は、混注制御部100、薬品装填部200、混注処理部300、収容ユニット700、及び攪拌装置32を備える。前記混注装置1は、病院などの医療施設に設置される。そして、前記混注装置1では、前記混注制御部100により調製データに基づいて前記混注処理部300及び前記収容ユニット700の動作が制御されることによって、注射器で、調製データに示された抗がん剤などの薬品を既定量の薬品が収容された一又は複数のアンプル又はバイアル瓶などの第1容器から輸液バッグなどの第2容器に注入する混注処理が実行される。また、前記混注処理には、注射器でアンプル又はバイアル瓶などの第1容器から薬品を吸引して他のアンプル又はバイアル瓶などの第2容器に注入する処理なども含まれる。
[混注制御部100]
まず、図1を参照しつつ前記混注制御部100の概略構成について説明する。前記混注制御部100は、通信可能に接続された第1制御部400及び第2制御部500を備える。前記第1制御部400は、前記薬品装填部200側に設けられ、前記第2制御部500は、前記混注処理部300側に設けられている。
なお、本実施形態で説明する前記第1制御部400及び前記第2制御部500各々の処理分担は一例に過ぎず、前記混注処理などの各処理手順は前記第1制御部400及び前記第2制御部500のいずれかによって実行されればよい。また、前記混注制御部100が、一つの制御部のみ又は三つ以上の制御部を有することも他の実施形態として考えられる。さらに、前記第1制御部400及び前記第2制御部500で実行される処理の一部又は全部が、ASIC又はDSPなどの電子回路により実行されてもよい。
また、前記第1制御部400は、前記混注装置1に調製データを入力する電子カルテシステム又は調剤管理システムなどの上位システム600との間で通信可能である。前記調製データは、処方データに基づいて生成される調製用のデータ又は前記処方データそのものである。前記処方データには、例えば処方箋交付年月日、患者ID、患者名、患者生年月日、薬品情報(薬品コード、薬品名、用量など)、剤形情報(内服、外用など)、用法情報(1日3回毎食後など)、診療種別(外来、入院など)、診療科、病棟、及び病室などが含まれる。また、前記調製データには、例えば調製ID、患者情報(患者ID、患者名など)、医師情報、薬品情報、薬品の処方量、薬品容器の種類(薬液入りアンプル、薬液入りバイアル瓶、又は粉薬入りバイアル瓶など)、調製内容情報(混注処理に使用する薬品容器、注射器、注射針の種類及び本数等)、調製手順情報(作業内容、溶解薬、溶媒、溶解薬量、溶媒量、抜取量)、調製日、処方箋区分、投薬日、診療科、病棟、調製終了指定時期(又は開始予定時間)、所要時間などが含まれる。
前記第1制御部400は、CPU401、ROM402、RAM403、データ記憶部404、及び操作部405などを備えるパーソナルコンピュータである。また、前記第1制御部400には、前記薬品装填部200に設けられた後述のディスプレイ203、バーコードリーダ204、及び空気清浄装置205などの各種の電気部品が接続されている。
前記CPU401は、各種の制御プログラムに従って処理を実行するプロセッサーである。前記ROM402は、前記CPU401により実行されるBIOS等のプログラムが予め記憶された不揮発性メモリである。前記RAM403は、前記CPU401による各種の制御プログラムの展開及びデータの一時記憶に用いられる揮発性メモリ又は不揮発性メモリである。
前記データ記憶部404は、前記CPU401に各種の処理を実行させるための各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータを記憶するハードディスク等の不揮発性の記憶装置である。例えば、前記データ記憶部404には、前記上位システム600から入力される前記調製データが記憶される。
なお、前記第1制御部400は、前記上位システム600から入力された前記調製データと共に、前記調製データごとに対応する後述のトレイ101の識別情報を前記データ記憶部404に記憶する。例えば、前記調製データと前記トレイ101の識別情報との対応付けは、前記第1制御部400によって行われる。また、前記調製データと前記トレイ101の識別情報との対応関係を示す情報が、前記調製データと共に前記上位システム600から前記混注装置1に入力されることも考えられる。
また、前記データ記憶部404には、例えば注射針マスター、医薬品マスター、患者マスター、医師マスター、処方箋区分マスター、診療科マスター、及び病棟マスターなどの各種データベースが記憶されている。前記注射針マスターには、注射針の種類ごとに注射針の針先部の形状が記憶されている。前記注射針の針先部の形状には、前記注射針の針管の外径、尖端の角度、及びカット面(傾斜面)の長さ等が含まれる。また、前記医薬品マスターには、薬品コード、薬品名、JANコード(又はRSS)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬(粉薬)、錠剤、水剤、外用薬など)、比重、薬品種(普通薬、抗がん剤、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項、薬品容器の種別(アンプル、バイアル瓶)、薬品容器単位の薬品の収容量(既定量)、薬品容器の容器形状情報、及び薬品容器の重量などの情報が含まれる。前記薬品容器の容器形状情報には、前記薬品容器の外径、前記薬品容器のゴム栓の厚み、穿刺位置、前記薬品容器の深さ、前記薬品容器の外観画像、前記薬品容器のゴム栓の平面画像、容器形状情報の登録日などの各種の情報が含まれる。なお、前記医薬品マスターには、生理用食塩水又はブドウ糖などの輸液が収容される輸液バッグ12の情報として、例えば前記輸液バッグ12の容器種別(ソフトバッグ、ハードタイプ、ALタイプ)、前記輸液バッグ12に収容されている輸液量、及び前記輸液バッグ12に注入可能な液体量などの情報も含まれる。
さらに、前記データ記憶部404には、前記CPU401に各種の処理を実行させるための第1混注制御プログラムが予め記憶されている。なお、前記第1混注制御プログラムは、前記第1制御部400が備える不図示の読取装置によって、例えばCD、DVD、BD、フラッシュメモリなどの記録媒体から読み取られて前記データ記憶部404にインストールされてもよい。
前記操作部405は、前記第1制御部400における各種のユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス、又はタッチパネルなどの各種の操作部を含む。
前記第2制御部500は、CPU501、ROM502、RAM503、データ記憶部504、操作部505などを備えるパーソナルコンピュータである。前記第2制御部500には、前記混注処理部300に設けられた後述の第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22、トレイ搬送部110、タッチパネルモニタ14、ICリーダ101c、ICリーダ15a、トレイ確認カメラ41、注射器確認カメラ42などの各種の電気部品が接続されている。
前記CPU501は、各種の制御プログラムに従って処理を実行するプロセッサーである。前記ROM502は、前記CPU501により実行されるBIOS等のプログラムが予め記憶された不揮発性メモリである。前記RAM503は、前記CPU501による各種の制御プログラムの展開及びデータの一時記憶に用いられる揮発性メモリ又は不揮発性メモリである。
前記データ記憶部504は、前記CPU501に各種の処理を実行させるための各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータを記憶するハードディスク等である。具体的に、前記データ記憶部504には、前記CPU501に後述の混注処理などを実行させるための第2混注制御プログラムが予め記憶されている。なお、前記第2混注制御プログラムは、前記第2制御部500が備える不図示の読取装置によって、例えばCD、DVD、BD、フラッシュメモリなどの記録媒体から読み取られて前記データ記憶部504にインストールされてもよい。また、前記データ記憶部504にも、前記データ記憶部404と同様の前記医薬品マスターが記憶されており、前記第2制御部500は前記医薬品マスターを参照可能である。他の実施形態としては、前記第2制御部500が、前記第1制御部400を介して前記医薬品マスターの情報を取得可能な構成であってもよい。
なお、本発明は、前記混注制御部100において前記CPU401及び前記CPU501に各種の処理を実行させるための前記第1混注制御プログラム、前記第2混注制御プログラム、若しくは前記第1混注制御プログラム及び前記第2混注制御プログラムを統合した混注制御プログラムの発明として捉えてもよい。また、本発明は、前記第1混注制御プログラム、前記第2混注制御プログラム、若しくは前記第1混注制御プログラム及び前記第2混注制御プログラムを統合した混注制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体の発明として捉えてもよい。さらに、本発明は、前記混注装置1において実行される一又は複数の処理手順を含む混注方法の発明として捉えてもよい。
前記操作部505は、前記第2制御部500における各種のユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス、又はタッチパネルなどの各種の操作部を含む。
[薬品装填部200]
次に、図2及び図3を参照しつつ、前記薬品装填部200の概略構成について説明する。なお、図3は、前記薬品装填部200の内部構成の要部を示す図であり、前記収容ユニット700の記載は省略されている。
図2及び図3に示すように、前記薬品装填部200は、扉201、作業テーブル202、ディスプレイ203、バーコードリーダ204、及び空気清浄装置205を備えるクリーンベンチである。なお、前記薬品装填部200と前記混注処理部300とは、前記混注処理部300の側面に形成されたトレイ装填口114(図6参照)及びトレイ排出口701(図21参照)により連通されている。
前記作業テーブル202は、前記混注装置1により実行される混注処理の準備作業を行うために用いられ、前記作業テーブル202には、前記バーコードリーダ204及び前記トレイ101などが載置される。また、前記作業テーブル202の前面には、前記収容ユニット700から排出される前記トレイ101を取り出す際に開閉されるトレイ排出口206が設けられている。また、前記作業テーブル202内には、前記作業テーブル202に載置された前記トレイ101の前記ICタグ101bから情報を読み取ることが可能なICリーダ207(図21参照)が設けられている。なお、前記ICリーダ207による読取結果は前記第1制御部400に入力される。
前記ディスプレイ203は、前記第1制御部400からの制御指示に応じて各種の情報を表示させる液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部である。具体的に、前記ディスプレイ203には、前記混注装置1における混注対象の候補となる調製データなどが表示される。また、前記バーコードリーダ204は、処方箋又は調製指示書などに記載されたバーコードを読み取って、前記バーコードの内容を前記第1制御部400に入力する。前記空気清浄装置205は、前記薬品装填部200内に所定のフィルターを通じて空気を供給する。なお、前記ディスプレイ203は、例えば前記収容ユニット700が備える前面パネル700A(図18~図21参照)に支持されていてもよい。
前記扉201は、前記薬品装填部200の前面に設けられており、鉛直上下方向に開閉可能な透明な部材である。ユーザーは、図2に示すように、前記扉201を少し開いて手を前記薬品装填部200内に入れた状態で、前記混注装置1により実行される混注処理の準備作業を行う。具体的に、前記作業テーブル202上に載置されているトレイ101には、図5に示すように、前記混注装置1で実行される混注処理で使用する薬品容器10(第1容器の一例)、注射器11、及び輸液バッグ12(第2容器の一例)などが収容される。なお、前記輸液バッグ12には、前記輸液バッグ12の種別に対応する既定量の生理用食塩水、ブドウ糖、又は高カロリー輸液などの輸液が収容されている。また、前記薬品容器10に収容されている薬品は、例えば抗がん剤であるが、抗がん剤以外の薬品であってもよい。前記準備作業には、例えば前記トレイ101の所定の位置に前記薬品容器10、前記注射器11、及び前記輸液バッグ12を載置させ、前記トレイ101を前記収容ユニット700に装填する装填作業が含まれる。以下では、前記薬品容器10がアンプルである場合には、前記薬品容器10をアンプル10Aと称し、前記薬品容器10がバイアル瓶である場合には、前記薬品容器10をバイアル瓶10Bと称することがある。
図5に示すように、前記トレイ101は、患者名及び施用などが文字表示される電子ペーパー101aと、各種の情報が読み書き可能なRFID(Radio Frequency Identification)タグのようなICタグ101b(記録媒体の一例)とを有する。前記ICタグ101bは、前記トレイ101の底面に設けられており、前記ICタグ101bには、前記トレイ101を識別するための識別情報が記憶されている。
また、前記トレイ101は、前記薬品容器10及び前記注射器11(シリンジ11a、注射針11c、キャップ11d)が載置される器材載置部102(図9参照)と、前記輸液バッグ12を保持する輸液バッグ保持部103(図5参照)とを有する。前記器材載置部102及び前記輸液バッグ保持部103は前記トレイ101に対して個別に着脱可能である。
前記器材載置部102には、図5に示すように、前記アンプル10Aを傾斜した状態で支持する支持部102Aが設けられている。そして、前記アンプル10Aは、前記支持部102Aで斜めに立てられた状態でセットされる。これにより、前記アンプル10Aの首部に薬品が溜まらない。また、前記アンプル10Aの他、前記キャップ11dが装着された注射針11cなども前記支持部102Aに斜めに立てられた状態でセットされる。
前記注射針11cには、シリンジフィルター付きの注射針も含まれる。具体的に、前記アンプル10Aを使用する場合は、前記アンプル10Aの首が折られたときの破片が前記注射器11から前記輸液バッグ12に注入されること、又は前記破片が前記注射器11に流入することを防止するためにシリンジフィルター付きの注射針が使用される。前記シリンジフィルターは、一般にコマ型フィルターとも称されるフィルターであり、薬品以外の異物の通過を防止する機能を有する。例えば、一般には日本ポール社製のシリンジフィルターが知られている。
一方、前記バイアル瓶10B及び前記注射器11は、図5及び図9に示すように、前記器材載置部102に寝かせた状態でセットされる。なお、このとき前記注射器11は、シリンジ11a及び注射針11cが分離した状態である。もちろん、ここで説明する前記器材載置部102内の配置形態は例示であり、これに限定されるものではない。
前記輸液バッグ保持部103には、図5に示すように、前記輸液バッグ12の混注口(首部)を固定するためのチャック部140が設けられている。前記準備作業では、ユーザーが前記輸液バッグ12を前記チャック部140で保持させた状態で前記輸液バッグ保持部103にセットする。また、前記輸液バッグ保持部103には、前記輸液バッグ保持部103を昇降させる際に使用される係合穴部103aが設けられている。
そして、前記トレイ101は、ユーザーにより前記薬品容器10、前記注射器11及び前記輸液バッグ12がセットされた後、前記収容ユニット700に収容される。なお、後述するように、前記収容ユニット700には複数の前記トレイ101が収容可能である。これにより、後述するように、前記トレイ101は、必要に応じて前記収容ユニット700から前記トレイ排出口701及び前記トレイ装填口114を通じて前記混注処理部300に自動的に供給される。その後、前記トレイ101は、前記混注処理部300における前記混注処理の終了後、前記輸液バッグ12が収容された状態で、前記混注処理部300のトレイ排出口15(図3参照)から排出され、又は、前記収容ユニット700を介して前記薬品装填部200のトレイ排出口206(図3参照)から排出される。なお、前記混注処理部300には、ユーザーが前記薬品装填部200から前記混注処理部300に前記トレイ101を直接供給可能な搬入口が設けられていてもよい。
[混注処理部300]
続いて、前記混注処理部300の概略構成について説明する。
図2~図4に示すように、前記混注処理部300の前面には、主扉301、注射器取出扉302、ゴミ収容室扉13、タッチパネルモニタ14、及びトレイ排出口15などが設けられている。
前記主扉301は、例えば前記混注処理部300に設けられた混注処理室104内の清掃などの際に、前記混注処理室104内にアクセスするために開閉される。また、前記混注装置1では、薬品が注入された前記輸液バッグ12を払い出す他に、薬品が充填された状態で前記注射器11を払い出すことも可能である。前記注射器取出扉302は、前記混注処理室104から前記注射器11を取り出す際に開閉される。
前記ゴミ収容室扉13は、前記混注処理室104における混注処理で使用された後の前記薬品容器10及び前記注射器11などの廃棄物が収容されるゴミ収容室13aから前記廃棄物を除去するために開閉される。また、前記トレイ排出口15は、前記混注処理室104における混注処理により薬品が混注された後の前記輸液バッグ12が載置された前記トレイ101を取り出すために開閉される。
前記タッチパネルモニタ14は、前記第2制御部500からの制御指示に応じて各種の情報を表示させる液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部である。また、前記タッチパネルモニタ14は、ユーザーによるタッチ操作を受け付けるタッチパネルを有する。前記タッチパネルモニタ14には、例えば後述の各種カメラによって撮影される画像又は映像が表示可能である。
また、図4に示されるように、前記ゴミ収容室13aには、前記輸液バッグ12に収容された輸液などの液体を廃棄するための廃棄容器13bと、前記廃棄容器の重量を計測する秤量計13cとが設けられている。なお、前記廃棄容器13bは、前記ゴミ収容室扉13が開かれた状態で、前記ゴミ収容室13aに対して着脱可能である。また、前記混注処理室104内の底面には、前記廃棄容器13bの上方に、前記廃棄容器13bに連通する連通口(不図示)が形成されている。そして、後述の第2ロボットアーム22は、前記注射器11を操作して前記注射器11内の液体を前記連通口から前記廃棄容器13b内に廃棄することが可能である。前記秤量計13cは、例えば前記廃棄容器13bの重量に対応する電気信号を前記第2制御部500に入力するロードセルを有する。
これにより、前記第2制御部500は、前記廃棄容器13bへの液体の廃棄前後の前記秤量計13cによる前記廃棄容器13bの秤量結果に基づいて、液体の廃棄時にその液体の廃棄量を取得することが可能である。例えば、前記第2制御部500は、前記注射器11から廃棄される液体の量を、前記調製データ等に基づいて定まる廃棄量と照合し、照合結果が不一致である場合にエラーを前記タッチパネルモニタ14等に表示してユーザーに報知する。また、前記第2制御部500は、前記照合結果を前記混注処理の履歴情報として前記データ記憶部504に記録する。これにより、前記注射器11からの廃棄量の整合性チェック及び廃液量の管理を正確に行うことが可能である。
なお、前記注射器11を用いた液体の廃棄が行われるケースとしては、例えば前記混注処理において前記輸液バッグ12内の液体量が前記輸液バッグ12に対応して予め設定された最大許容量を超える場合に、予め前記輸液バッグ12から輸液を抜き取って廃棄する場合が考えられる。また、このような場合、前記第2制御部500は、前記注射器11により前記輸液バッグ12から抜き取られた液体量を、前記混注処理室104に設けられた秤量計35等を用いて秤量し、前記調製データと照合してもよい。さらに、前記第2制御部500は、前記秤量計35による秤量結果と前記秤量計13cによる秤量結果とを照合してもよい。
[混注処理室104]
図3及び図4に示すように、前記混注処理室104には、第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22、アンプルカッター31、前記攪拌装置32、載置棚33、薬品読取部34、秤量計35、針曲り検知部36、混注連通口37、針挿入確認透明窓38、及びゴミ蓋132aなどが設けられている。さらに、図6に示すように、前記混注処理室104の天井側には、トレイ確認カメラ41、注射器確認カメラ42、注射針着脱装置43、針挿入確認カメラ44、殺菌灯45などが設けられている。
[第1ロボットアーム21、第2ロボットアーム22]
前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22は、多関節構造を有する駆動部であり、前記混注処理室104の天井側に基端部を固定して垂下状に設けられている。例えば、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22の関節はそれぞれ5軸~8軸である。そして、前記混注装置1では、双腕型の前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により混注処理における各作業工程が実行される。
具体的に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22の各関節に設けられた駆動モーターを個別に駆動させ、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22に前記混注処理における各作業を実行させる。なお、前記混注処理部300は、前記混注処理を実行することができる構造であれば、例えば1本のロボットアームを有する構成、3本以上のロボットアームを含む構成、又はロボットアームを用いない構成であってもよい。
図6に示すように、前記第1ロボットアーム21は、前記薬品容器10及び前記注射器11などの器材を保持することが可能な保持部25を備え、前記保持部25を予め定められた可動範囲内において任意の位置に移動させることが可能である。前記第2ロボットアーム22は、前記薬品容器10及び前記注射器11などの器材を保持して任意の位置に移動させることが可能であると共に、前記注射器11による薬品の吸引及び注入の操作を実行することのできる保持部26を備える。また、前記第2ロボットアーム22は、前記薬品容器10及び前記注射器11などを予め定められた可動範囲内において任意の位置に移動させることが可能である。
図7に示すように、前記第1ロボットアーム21の前記保持部25は、一対の把持爪25aと、モーター251と、前記モーター251によって回転される2本のねじシャフト252、253と、前記ねじシャフト252、253に螺合されたナットブロック254、255とを備える。前記一対の把持爪25aは、前記ナットブロック254、255にそれぞれ固定されている。そして、前記ねじシャフト252、253の回転によって前記ナットブロック254、255が移動し、前記一対の把持爪25aが相互に近接及び離間して前記保持部25を保持及び解放する。
また、前記一対の把持爪25aは、前記バイアル瓶10Bの保持に適した凹部を有すると共に、先端側には前記アンプル10Aの保持に適した凹部を有する把持部である。図7では、前記アンプル10A及び前記バイアル瓶10Bの両方が保持されている様子を示しているが、実際には一つの前記アンプル10A又は前記バイアル瓶10Bを保持する。
また、前記保持部25は、前記一対の把持爪25aによって、キャップ11dが装着された注射針11c又は前記注射器11を保持することも可能である。ところで、前記第2制御部500は、前記保持部25の前記一対の把持爪25aで前記注射器11を保持した際の前記モーター251の駆動量に応じて、前記注射器11の直径を測定することが可能である。従って、前記第2制御部500は、前記注射器11が前記調製データの調製内容情報で指定された注射器であるかどうかを判断することができる。
図8に示すように、前記第2ロボットアーム22の前記保持部26は、注射器保持部261、プランジャ保持部262及び移動部263を備える。前記注射器保持部261は、前記注射器11のシリンジ11aを保持する一対の把持爪261aを備えている。前記一対の把持爪261aは、前記保持部25で用いられている駆動機構と同様の機構により、相互に近接及び離間して前記注射器11の前記シリンジ11aを保持及び解放する把持部である。また、前記一対の把持爪261aにおいては、互いに対向する対向面に、前記把持爪261aの上端面から前記対向面へ向けて下り傾斜する傾斜部261bが形成されている。
前記プランジャ保持部262は、前記注射器11のプランジャ11bの鍔部を保持する一対の把持爪262aを備えている。前記一対の把持爪262aは、前記保持部25で用いられている駆動機構と同様の機構により、相互に近接及び離間して前記注射器11の前記プランジャ11bの鍔部を保持及び解放する把持部である。前記把持爪262a各々の上面には把持爪262bが固定されている。前記把持爪262b各々は、前記一対の把持爪262aを近接及び離間させることで近接及び離間し、前記注射器11だけではなく前記薬品容器10などの他の器材を把持する把持部である。なお、前記一対の把持爪262aの対向側の上面には前記プランジャ11bの鍔部が入り込むための凹部が形成されている。また、前記一対の把持爪262bの先端は前記一対の把持爪262aよりも前方に突出しており、前記一対の把持爪262bによる前記アンプル10A及び前記バイアル瓶10Bなどの器材の把持が容易である。なお、前記把持爪262bは前記把持爪261aに設けられていてもよい。
前記移動部263は、前記プランジャ保持部262を前記注射器11のプランジャ11bの移動方向に移動させることが可能である。前記移動部263は、例えば、モーター、前記モーターによって回転されるねじシャフト、前記ねじシャフトに螺合されたナットブロック、ガイド等の駆動機構により前記プランジャ11bを移動させる。前記プランジャ保持部262は、前記ナットブロックに固定されており、前記ナットブロックの移動によって移動する。
なお、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21の前記保持部25又は前記第2ロボットアーム22の前記保持部26を制御して前記薬品容器10を保持する場合、前記医薬品マスターに記憶されている当該薬品容器10の容器形状情報に基づいて、前記保持部25の一対の把持爪25aの間隔などを制御する。
[トレイ搬送部110]
また、前記混注処理部300には、図6における右側端部の前記トレイ装填口114と左側端部のトレイ搬送終端部110aとの間で前記トレイ101を往復搬送可能なトレイ搬送部110が設けられている。
ここに、図9は、前記トレイ搬送部110における前記トレイ101の搬送経路の一例を示す平面模式図である。なお、前記トレイ搬送部110内は前記混注処理室104内よりも陽圧に設定されている。図9に示すように、前記トレイ搬送部110は、前記トレイ101を、前記混注処理室104の下方であって前記ゴミ蓋132aの下に位置する前記ゴミ収容室13aの後方側を通過させて搬送するように設けられている。これにより、前記混注装置1の正面側から前記ゴミ収容室13aにアクセスすることができる。図9では、前記トレイ搬送部110の搬送経路を示すために、前記トレイ搬送部110内を移動する前記トレイ101を二点鎖線で示しており、前記トレイ搬送部110内に同時に複数の前記トレイ101が存在するわけではない。なお、前記トレイ搬送部110が、前記トレイ搬送部110内において前記トレイ装填口114と前記トレイ搬送終端部110aとの間で、複数の前記トレイ101を同時に搬送可能な構成であってもよい。
前記トレイ搬送部110の前記トレイ搬送開始部110bには、前記トレイ装填口114から挿入される前記トレイ101を内部に引き込み、又は前記トレイ装填口114から前記トレイ101を排出することが可能な不図示のベルトコンベアーが設けられている。また、前記トレイ101の前記輸液バッグ保持部10に設けられた前記ICタグ101bから情報を読み取り可能なICリーダ101c及びICリーダ15aが設けられている。例えば、前記ICリーダ101c及び前記ICリーダ15aは、RFIDタグから情報を読み取るRFIDリーダである。前記ICリーダ101cは、前記トレイ装填口114から前記トレイ101が装填されるトレイ搬送開始部110bに設けられており、前記ICリーダ15aは、前記トレイ101が前記トレイ排出口15から排出される前記トレイ搬送終端部110aに設けられている。
そして、前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ装填口114から前記トレイ搬送開始部110bに挿入されたことを不図示のセンサ出力に基づいて判断すると、前記ICリーダ101cにより前記ICタグ101bから情報を読み取る。また、前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ搬送終端部110aに挿入されたことを不図示のセンサ出力に基づいて判断すると、前記ICリーダ15aにより前記ICタグ101bから情報を読み取る。同様に、前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ搬送開始部110bから前記トレイ装填口114を介して前記収容ユニット700に向けて搬送される際にも、前記ICリーダ101cにより前記ICタグ101bから情報を読み取ることが可能である。そして、前記第2制御部500は、前記ICリーダ101c及び前記ICリーダ15aによる読取結果に応じて前記トレイ101の適否などを判断するトレイ照合処理などを実行する。
また、前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ装填口114を通って前記トレイ搬送部110内の所定位置に達したことを、例えばセンサ(不図示)の出力に基づいて判断すると、前記トレイ搬送部110及び前記混注処理室104を連通及び遮蔽させるシャッター111を水平方向にスライドさせる。前記シャッター111が開けられると、前記器材載置部102が前記混注処理室104内に露出される。図9では、前記器材載置部102が前記混注処理室104内に露出された状態が示されている。
前記トレイ搬送部110には、図10に示されているように、前記トレイ装填口114を通って前記トレイ搬送部110内に移動された前記トレイ101における前記器材載置部102を昇降させるトレイ昇降部112が設けられている。前記トレイ昇降部112は、例えば昇降可能に設けられた4本のシャフト112aの上下方向の駆動により、前記器材載置部102を下から上方に持ち上げる。
そして、前記第2制御部500は、前記トレイ昇降部112によって前記器材載置部102を上昇させた後、前記トレイ確認カメラ41による撮影を行う。前記トレイ確認カメラ41は、予め定められた前記器材載置部102に載置された前記薬品容器10及び前記注射器11等を上方から撮影する。前記第2制御部500は、前記トレイ確認カメラ41の撮影画像を用いて画像認識処理を実行し、前記調製データで示されている数の前記薬品容器10及び前記注射器11(シリンジ11a及び注射針11c)などが前記器材載置部102上に存在しているかどうか等の判断を行う。
また、図10に示すように、前記混注処理室104の左側空間に位置する前記トレイ搬送終端部110aには、前記輸液バッグ保持部103を昇降させるバッグ昇降部113が設けられている。前記第2制御部500は、前記トレイ101を前記バッグ昇降部113の前まで搬送させた後、前記バッグ昇降部113のフック部113aを前記係合穴部103aに下から引っかける。そして、前記第2制御部500は、前記フック部113aが形成された円弧ギア部113bをモーター113cで回転駆動させることにより、前記輸液バッグ保持部103を上昇させ、前記輸液バッグ12の混注口を前記混注連通口37に位置させる。また、前記第2制御部500は、前記モーター113cを制御することにより、前記バッグ昇降部113を駆動させて前記輸液バッグ保持部103を傾斜させ、前記輸液バッグ12の混注口を上向き又は下向きにすることができる。
特に、前記第2制御部500は、前記モーター113cを制御して前記バッグ昇降部113の駆動量を調整することにより、前記輸液バッグ12の混注口の傾斜角度を予め設定される傾斜角度に調整することが可能である。
具体的に、前記医薬品マスターでは、前記輸液バッグ12の種別ごとに対応して、前記輸液バッグ12にエアー抜き無しで注入可能な上限注入量と、前記上限注入量を超える場合に設定される前記輸液バッグ12の混注口の傾斜角度である例外傾斜角度が記憶されている。そして、前記第2制御部500は、前記調製データに基づく前記混注処理において、前記輸液バッグ12に注入される液体量が前記上限注入量を超える場合には、事前に前記注射器11を用いて前記輸液バッグ12から空気を抜き取るエアー抜き工程を実行する。この場合、前記輸液バッグ12内の空気量が少なくなる。そのため、前記輸液バッグ12の傾きが大きくなると、前記輸液バッグ12内の液体が前記輸液バッグ12の混注口のゴム栓に接触することがあり、前記注射針11cを前記ゴム栓から抜き出す際に液体が漏れ出るおそれがある。
これに対し、前記混注装置1では、前記第2制御部500が、前記輸液バッグ12に注入される液体量が前記上限注入以下である場合には、前記輸液バッグ12の混注口の傾斜角度を予め設定された規定角度に設定する。前記規定角度は、例えば複数種類の前記輸液バッグ12に共通する前記混注口の傾斜角度として設定された値である。
一方、前記混注処理において前記輸液バッグ12に注入される液体量が前記上限注入量を超える場合、前記第2制御部500は、前記輸液バッグ12の混注口の傾斜角度を前記例外傾斜角度に設定する。前記例外傾斜角度は、前記輸液バッグ12の混注口の鉛直方向に対する傾斜角が少なくとも前記規定角度よりも小さい角度である。即ち、前記例外傾斜角度は、前記規定角度よりも前記輸液バッグ12が鉛直に近い状態となる角度である。これにより、前記輸液バッグ12の混注口の傾斜角度が前記例外傾斜角度に設定された場合には、前記輸液バッグ12内の液体が前記混注口のゴム栓に接触する可能性が低減され、前記注射針11cを前記ゴム栓から抜き出す際に液体が漏れ出る可能性が低減される。なお、前記例外傾斜角度は、例えば前記輸液バッグ12の種別が内部の空気量が少ない所謂ALタイプである場合に用いられることも考えられる。
また、図6に示すように、前記トレイ搬送終端部110aの上方には、前記トレイ搬送終端部110aに搬送された前記輸液バッグ12を照明するドーム型ライト120及び輸液用カメラ121が設けられている。前記輸液用カメラ121は、前記ドーム型ライト120内の中心部に設けられ、前記輸液バッグ12の表面に付されているバーコードを読み取る。これにより、前記第2制御部500では、前記輸液用カメラ121により読み取られた前記バーコードの情報に従って前記輸液バッグ12の適否を判断することが可能である。
[アンプルカッター31]
図11に示すように、前記アンプルカッター31には、ヤスリ部31a、屑トレイ31b、頭部差し込み部31c、駆動ボックス31f、屑ボックス31g、及び把持部31hが設けられている。
前記ヤスリ部31aは、前記アンプル10Aの首にノッチ加工をするための部材であり、前記屑トレイ31bには前記ヤスリ部31aにおけるノッチ加工で生じる屑が落下する。具体的に、前記混注装置1では、前記第1ロボットアーム21が前記アンプル10Aを保持し、前記アンプル10Aの首を前記ヤスリ部31aに当てた状態で摺動することにより前記アンプル10Aの首にノッチ加工が施される。
前記頭部差し込み部31cは、前記ノッチ加工が施された前記アンプル10Aの頭部が下方から差し込まれる孔31dと、前記孔31dから上方に突出された前記アンプル10Aの頭部の側方に位置するプッシャー31eとを有する。一方、前記駆動ボックス31fは、内部に設けられたカム及び前記カムを駆動する駆動モーターを有しており、前記駆動モーターにより前記カムが駆動されると、前記カムによって前記プッシャー31eが前記アンプル10Aの頭部に近接及び離間する方向に往復動作する。
そして、前記混注装置1では、前記第1ロボットアーム21が前記把持爪25aにより前記アンプル10Aを保持し、前記アンプル10Aの頭部を前記孔31dに下から差し込んで首部より上の頭部を上方に突出させる。その後、前記第2制御部500により、前記駆動ボックス31fの前記駆動モーターが駆動されて前記プッシャー31eが前記アンプル10Aの頭部を押す方向に移動されると、前記プッシャー31eにより前記頭部が押されて折れられる。このとき、前記プッシャー31eで折られた頭部は前記屑ボックス31g内に落ちる。なお、前記把持部31hは、前記アンプルカッター31を摺動可能に支持
するレール31i(図4参照)に沿って前記アンプルカッター31を摺動させる際にユーザーが把持するために用いられる。
[攪拌装置32]
前記攪拌装置32は、前記バイアル瓶10Bに粉薬(散薬)などの溶解が必要な薬品が収容されている場合に、前記バイアル瓶10B内に輸液又は薬品などを注入して前記薬品を溶解させ、混合薬品を生成するときに使用される。具体的に、前記攪拌装置32は、前記バイアル瓶10B内の薬品を攪拌する攪拌工程で用いられる。
前記攪拌装置32には、図12に示すように、ローラー32a、押さえ部32b、回動支持部32c、支持台32d、水平揺動機構32e、支持部32f、及び駆動モーター32gなどが設けられている。二つの前記ローラー32aは、所定の間隔だけ離間して対向配置されている。一方の前記ローラー32aは回動自在に支持され、他方の前記ローラー32aは前記駆動モーター32gに連結されている。なお、前記ローラー32a各々は軸方向に長尺状であり、前記攪拌装置32では、前記ローラー32aの軸方向の両端に載置される二つの前記バイアル瓶10Bを同時に攪拌することが可能である。
また、前記押さえ部32bは、前記ローラー32aに載置された前記バイアル瓶10Bを上から押さえるために用いられ、前記バイアル瓶10Bの回転に伴って回転する従動ローラーである。前記回動支持部32cは、不図示の駆動モーターによって前記押さえ部32bを前記バイアル瓶10Bに対して接触又は離間する方向に回動させる。
前記支持台32dは、前記ローラー32a、前記押さえ部32b、及び前記回動支持部32cなどを支持する。前記水平揺動機構32eは、例えばクランク機構を有しており、前記支持台32dを前記ローラー32aの軸方向に揺動させることが可能である。
前記支持部32fは、前記ローラー32aの軸方向の両端部に前記バイアル瓶10Bの首が嵌められるU字状の切り欠きを有する。前記ローラー32aに前記バイアル瓶10Bが載置される場合は、前記バイアル瓶10Bの首が前記切り欠きに係合される。これにより、前記支持台32dが前記水平揺動機構32eによって前記ローラー32aの軸方向に揺動される場合に、前記バイアル瓶10Bが前記ローラー32aの軸方向の揺動に追随して揺動し、前記バイアル瓶10B内の薬品が水平方向に攪拌される。
一方、二つの前記ローラー32aの間に、前記バイアル瓶10Bが載置され、前記駆動モーター32gが駆動されると、前記駆動モーター32gに連結された前記他方のローラー32aにより前記バイアル瓶10Bが回転され、前記バイアル瓶10B内の薬品が攪拌される。なお、このとき前記一方のローラー32aは、前記バイアル瓶10Bの回転により前記他方のローラー32aと同方向に回転する。また、前記ローラー32aの少なくとも一方が偏心駆動されるものであれば、前記ローラー32aに載置された前記バイアル瓶10Bを縦方向(上下方向)にも攪拌することが可能である。
[載置棚33]
図4に示すように、前記載置棚33は、前記混注装置1において実行される混注処理において前記薬品容器10及び前記注射器11などを仮置きするために用いられる。前記載置棚33は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22の双方がアクセス可能な位置に設けられている。前記載置棚33において、前記バイアル瓶10Bは予め定められた位置に立てた状態で載置される。一方、前記載置棚33には、前記アンプル10Aを傾斜した状態で保持するための傾斜保持部が設けられており、前記アンプル10Aは、前記傾斜保持部に傾斜した状態で載置される。また、前記載置棚33には、前記注射器11の首部が嵌る予め定められた所定径の首保持穴が形成されており、前記注射器11は、注射針11cが付けられていない状態で首部を下向きにして仮置きされる。なお、前記載置棚33のサイズは、前記収容ユニット700に収容可能な前記トレイ101の数によって予め定められることが望ましい。例えば、前記載置棚33のサイズは、前記収容ユニット700に収容可能な前記トレイ101の数に対応する前記混注処理で使用される前記薬品容器10及び前記注射器11などの器材が同時に載置可能なサイズであることが考えられる。
[薬品読取部34]
前記薬品読取部34は、前記アンプル10A及び前記バイアル瓶10Bなどの前記薬品容器10に貼付されたラベルに記載され、収容された薬品の薬品情報を示すバーコードを読み取る。具体的に、前記薬品読取部34は、図13に示すように、二つのローラー34a、及びバーコードリーダ34bを備える。前記ローラー34aは、所定の間隔だけ離間して対向配置されている。一方の前記ローラー34aは回動自在に支持され、他方の前記ローラー34aは不図示の駆動モーターに連結されている。二つの前記ローラー34aは、前記駆動モーターによって駆動されることにより、前記ローラー34aの間に載置された前記薬品容器10を周方向に回転させる。これにより、前記薬品容器10を周方向に1回転させることができるため、前記薬品容器10に貼付されたラベルの全域を前記バーコードリーダ34bに向けることができる。そして、前記バーコードリーダ34bは、前記ローラー34aにより回転される前記薬品容器10のラベルからバーコードを読み取る。
[秤量計35]
前記秤量計35は、前記混注装置1において実行される混注処理において前記注射器11の重量を測定するために用いられ、前記秤量計35による測定結果は前記第2制御部500に入力される。なお、前記秤量計35は、前記第2ロボットアーム22の可動範囲内に配置されており、前記第2ロボットアーム22により載置された前記注射器11の重量を測定する。また、前記秤量計35とは別に、前記薬品容器10又は前記注射器11などを秤量する秤量計が前記載置棚33に設けられていることも考えられる。
[針曲り検知部36]
図14に示すように、前記針曲り検知部36には、前記注射器11の前記注射針11cを挿入して移動させることが可能な長穴36aが形成されている。また、前記針曲り検知部36は、前記長穴36aを挟んで検出光を照射及び受光し、互いの検出光が非平行となるように配置された第1光センサ361及び第2光センサ362を備える。即ち、前記第1光センサ361及び前記第2光センサ362の検出光の照射方向は異なっている。前記第1光センサ361及び第2光センサ362による検知結果は前記第2制御部500に入力される。
そして、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11に装着されている前記注射針11cが前記長穴36aに挿入されて上下方向に移動される。このとき、前記第1光センサ361及び前記第2光センサ362各々の検出光が前記注射針11cによって遮られると、前記第1光センサ361及び前記第2光センサ362各々はオフする。
これにより、前記第2制御部500では、前記検出光を遮るときの前記注射針11cの位置情報を用いて前記注射針11cの曲りなどを検知することが可能である。なお、前記注射針11cをカメラで撮影し、この撮影した画像に対する画像認識で針曲りなどを検知することも他の実施形態として考えられる。そして、前記注射針11cに曲りが生じている場合、前記第2制御部500は、前記注射針11cの曲り量に基づいて、例えば前記第2ロボットアーム22により前記注射針11cで前記輸液バッグ12の混注口のゴム栓を穿刺する際の針先位置などを調整することが可能である。
[混注連通口37]
前記混注連通口37は、図3に示すように、前記混注処理室104の側壁における外側に突出するドーム状箇所に形成されており、且つ前記ドーム状箇所には上下方向に前記輸液バッグ12の混注口を通すための切欠きが形成されている。そのため、前記輸液バッグ保持部103が上昇すると、前記輸液バッグ12の混注口が前記混注処理室104内に位置することになる。これにより、前記第2ロボットアーム22で保持された前記注射器11の注射針11cが前記輸液バッグ12の混注口に挿通可能となる。
[針挿入確認透明窓38]
前記針挿入確認透明窓38は、前記トレイ搬送終端部110aの前記輸液バッグ12を前記混注処理部300から視認可能な窓であり、前記注射器11の注射針11cが前記輸液バッグ12に挿入された状態を確認するための画像撮影時に使用される。
[注射器確認カメラ42]
また、前記注射器確認カメラ42は、図6に示すように、前記混注処理部300の天井部に配置されている。そして、前記注射器確認カメラ42は、前記注射器11に吸引された薬品の有無及び量などを確認するために前記注射器11を撮影するために用いられる。前記注射器確認カメラ42は、予め固定された撮影範囲内の画像を撮影するものであってもよいが、前記第2制御部500によって制御されることにより前記撮影範囲の位置及びサイズを任意に変更可能なものであってもよい。また、後述するように、前記混注装置1では、前記注射器確認カメラ42により、前記注射器11及び前記薬品容器10が一度に撮影され、信憑性の高い鑑査画像が提供される。前記第2制御部500は、前記注射器確認カメラ42による前記撮影画像を、例えば前記混注装置1で実行される混注処理の適否を画像で鑑査するために、前記データ記憶部404、前記データ記憶部504、又は前記混注装置1の外部に設けられたハードディスク等の記憶部に記録させる。そして、前記第2制御部500は、ユーザーによる前記鑑査の際に、前記注射器確認カメラ42による撮影画像を前記タッチパネルモニタ14又は前記ディスプレイ203などの表示装置に表示させる。
[注射針着脱装置43]
前記注射針着脱装置43は、図15及び図16に示すように、切り込み部が形成されたチャック部43aの穴部43bにキャップ11dが装着された注射針11cの先端が上向きで差し込まれる。モーター43cが駆動されると、図示しないカム機構によって前記チャック部43aの穴部43bが拡がって、前記キャップ11dと共に前記注射針11cが差し込み可能となる。前記モーター43cの駆動が停止されると、バネ43dによって前記キャップ11d及び前記注射針11cの保持状態が維持される。針回しモーター43eが駆動されると、ギア43f及びギア43gが回転し、前記チャック部43aが回転して、前記キャップ11d及び前記注射針11cが回転される。
前記注射針11c及び前記キャップ11d各々には、前記キャップ11dが前記注射針11cに装着された状態で周方向に回転したときに接触するリブが設けられている。そのため、前記注射針11cは、前記チャック部43aによって前記注射針11cの前記キャップ11dが回転されたときに前記キャップ11dと共に回転し、前記シリンジ11aに対して着脱される。また、前記注射針着脱装置43では、前記チャック部43aによって前記キャップ11dが保持された状態で、前記第2ロボットアーム22によって前記注射器11を前記チャック部43aに接近又は離間させることにより前記注射針11cに対する前記キャップ11dの着脱を自動で行うことも可能である。なお、前記注射針着脱装置43では、前記注射針11cの先端が上に向くので、前記注射針11cが外された前記シリンジ11aの先端開口は上向きとなり、前記シリンジ11aの首部開口からの液垂れを防止することができる。
[針挿入確認カメラ44]
また、前記針挿入確認カメラ44は、前記混注処理室104外に位置する前記輸液バッグ12と、前記混注処理室104内の前記注射器11を1つの画像内に収まるように撮影する。前記第2制御部500は、前記輸液バッグ12の混注口のゴム栓を前記注射針11cで穿刺した際に、前記針挿入確認カメラ44によって前記針挿入確認透明窓38の方向を撮影する。そして、前記針挿入確認カメラ44による撮影画像は、例えば前記タッチパネルモニタ14に表示される。ここに、図17は、前記針挿入確認カメラ44による撮影画像の一例である。これにより、ユーザーは、前記注射針11cの先端側が前記輸液バッグ12内に位置しているか否かを前記撮影画像によって確認することができる。なお、前記撮影画像は、例えば最終鑑査のために前記混注装置1の内部又は外部に設けられたハードディスク等の記憶部に保存される。そして、前記撮影画像が表示されている前記タッチパネルモニタ14で、ユーザーによりOKボタンが操作されて適切に混注処理が終了したと判断されると、前記輸液バッグ12が前記バッグ昇降部113によって降下され、前記トレイ101に戻される。
[殺菌灯45]
前記殺菌灯45は、例えば前記混注処理の開始の3時間前から点灯される。図6に示すように、二つの前記殺菌灯45のうち1つは前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22の間の位置に設けられている。そのため、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22に遮られる殺菌光の量は少なくなり、前記混注処理室14内を満遍なく殺菌することができる。また、前記混注処理部300には、前記混注処理室104内の空気を当該混注処理室104の側壁の下部に形成されたスリット104b(図3、図4参照)から吸引して前記混注処理室104の上方に設けられた不図示の排気ファンから排出する排気システムが設けられている。また、前記混注処理室104の天井部に形成された吸気口から外気を清浄にして前記混注処理室104等に導く給気システムも設けられている。
続いて、図18~図21を参照しつつ、前記収容ユニット700について説明する。なお、図18は前記薬品装填部200及び前記収容ユニット700の正面図、図19は図18におけるI-I断面図、図20は図18におけるII-II断面図である。また、図21は、前記収容ユニット700の内部構成を示す模式図である。なお、以下では、図18~図21に示す上下左右及び前後の方向を用いて説明することがある。
前記収容ユニット700は、トレイ搬入部710、昇降ユニット800、及びトレイ搬送部900などを備え、前記混注制御装置100によって制御される。前記トレイ搬入部710及び前記昇降ユニット800は、前記作業テーブル202の後方に配置されており、前記トレイ搬送部900は、前記作業テーブル202の下方に配置されている。前記収容ユニット700には、複数の前記トレイ101が収容可能であり、前記混注制御装置100は、任意の前記トレイ101を前記収容ユニット700から搬出させることが可能である。なお、前記収容ユニット700の具体的構成については、同様の機能を達成することができれば、ここで説明する構成に限らない。
前記トレイ搬入部710は、前記収容ユニット700内に前記トレイ101を搬入するために用いられるトレイ装填口711を開閉するシャッター712と、前記シャッター712の開閉に用いられる駆動部713とを備える。前記駆動部713は、例えばモーター、ギア、張架ローラー、及びベルトを含むベルトコンベヤーであり、前記モーター及び前記ギアによって前記張架ローラーが回転された場合に、前記ベルトに連結された前記シャッター712が開閉される。前記シャッター712が開かれると、ユーザーは、前記作業テーブル202上で前記トレイ101を後方側にスライド移動させることにより、前記トレイ101を前記収容ユニット700の昇降ユニット800内に装填することが可能となる。なお、前記トレイ装填口711は、前記トレイ排出口206に対して上下方向に離間した位置に配置されており、具体的に、前記トレイ装填口711は前記トレイ排出口206よりも高い位置に配置されている。
前記昇降ユニット800は、上下方向に昇降可能に支持された移動筐体810と、前記移動筐体810内において上下方向に配置された複数段のトレイ収容部811と、前記トレイ収容部811に対する前記トレイ101の搬入及び搬出に用いられる駆動部812及び813と、前記移動筐体810を上下方向に昇降させる昇降機構820とを備える。なお、前記移動筐体810は、例えば前記収容ユニット700の筐体内面に形成されたレール部(不図示)によって上下方向にスライド可能に支持されている。前記移動筐体810は、少なくとも最上段の前記トレイ収容部811が前記トレイ装填口711よりも上方に位置する状態と、最下段の前記トレイ収容部811が前記トレイ装填口711よりも下方に位置する状態との間で昇降可能である。特に、前記移動筐体810は、前記トレイ収容部811各々を、前記トレイ収容部811及び前記トレイ搬入部710の間で前記トレイ101が移動可能な状態と、前記トレイ収容部811及び前記トレイ搬送部900の間で前記トレイ101が移動可能な状態とに位置させることが可能な範囲で昇降する。
前記トレイ収容部811は、前記トレイ101を支持可能な左右一対のベルト814と、前記ベルト814各々を走行可能に支持する複数の張架ローラー815と、前記張架ローラー815のいずれか一つに連結されたマグネットギア816とを含むベルトコンベヤーである。前記駆動部812及び前記駆動部813は、マグネットギア812a、813aを正転方向及び逆転方向に回転させることが可能なモーターである。前記マグネットギア812a、813aは、対向する位置に配置されている前記マグネットギア816を磁力によって同期回転させることが可能である。即ち、前記駆動部812、813の駆動力は、前記マグネットギア812a、813aから非接触で前記トレイ収容部811の前記マグネットギア816に伝達される。そして、前記マグネットギア816は、前記張架ローラー815及び前記ベルト814を走行させる。
従って、前記昇降ユニット800では、3段以上の前記トレイ収容部811を備える場合であっても、2つの前記駆動部812、813を用いて前記トレイ収容部811各々を駆動させることが可能である。そのため、前記混注装置1では、前記トレイ収容部811ごとにモーター等の駆動部を設ける場合に比べて、前記昇降ユニット800における発塵及びコストを抑制することができると共に、上下方向に移動する前記移動筐体810を軽量化することが可能である。
ここで、前記マグネットギア812a及び前記マグネットギア813aは、上下方向において異なる位置に配置されている。具体的に、前記マグネットギア812aは、前記作業テーブル202から前記トレイ装填口711を介して前記トレイ101が装填可能な位置に配置された前記トレイ収容部811の前記マグネットギア816に対向する位置に配置されている。また、前記マグネットギア813aは、前記マグネットギア812aの下方であって、前記トレイ収容部811と前記トレイ搬送部900との間で前記トレイ101が移動可能な位置に配置された前記トレイ収容部811の前記マグネットギア816に対向する位置に配置されている。
これにより、前記収容ユニット700では、前記作業テーブル202の下方の領域を有効に利用して、例えば前記トレイ収容部811と前記トレイ搬送部900との間で前記トレイ101を搬送することが可能である。以下、前記作業テーブル202から前記トレイ収容部811に前記トレイ101を搬入可能な前記トレイ収容部811の位置を第1移動位置と称し、前記トレイ収容部811と前記トレイ搬送部900との間で前記トレイ101が移動可能な前記トレイ収容部811の位置を第2移動位置と称することがある。
前記昇降機構820は、モーター821と、左右一対のベルト822と、複数の張架ローラー823とを備えるベルトコンベヤーである。前記モーター821は、前記張架ローラー823を駆動させることにより、前記ベルト822各々を上下方向に走行させる。前記ベルト822各々は、前記移動筐体810に連結されている。そして、前記昇降機構820は、前記モーター821の正回転又は逆回転によって前記ベルト822各々を上下方向に走行させることにより前記移動筐体810を上下方向に移動させる。
前記トレイ搬送部900は、第1搬送部910、第2搬送部920、ICリーダ930、及び第3搬送部940を備える。前記第1搬送部910は、前記トレイ101を前後方向に搬送可能であり、前記第2搬送部920は、前記トレイ101を左右方向に搬送可能である。例えば、前記第1搬送部910、前記第2搬送部920、及び前記第3搬送部940各々は、モーター、ギア、張架ローラー、ベルト等を備えるベルトコンベヤーであり、前記ベルトが前記モーター、前記ギア、及び前記張架ローラーによって駆動されることにより、前記ベルト上で保持されている前記トレイ101を搬送可能である。
より具体的に、前記第1搬送部910は、前記トレイ収容部811に収容されている前記トレイ101を前記トレイ排出口206に向けて搬送することが可能である。また、前記第1搬送部910は、前記トレイ101を前記トレイ収容部811に収容することが可能である。前記第2搬送部920は、上下方向に移動可能に構成されており、前記第1搬送部910上に載置された前記トレイ101を左右方向に搬送可能な使用可能状態と、前記使用可能状態から下方に退避した退避状態(図21参照)との間で移動可能である。前記第3搬送部940は、前記第2搬送部920が前記使用可能状態である場合に、前記第2搬送部920と前記トレイ排出口701との間で前記トレイ101を搬送可能である。
例えば、前記第2搬送部920は、前記退避状態から前記使用可能状態に移行する際、前記第1搬送部910上の予め定められた位置に載置されている前記トレイ101を保持しつつ上方に移動することにより、前記トレイ101を前記第3搬送部930との間で搬送可能な状態となる。また、前記第2搬送部920は、前記使用可能状態から前記退避状態に移行する際には、前記第2搬送部920に載置されている前記トレイ101を保持しつつ前記第1搬送部910よりも下方に移動して、前記トレイ101を前記第1搬送部910に受け渡す。
これにより、前記第2搬送部920は、前記使用可能状態において、前記トレイ収容部811から前記第1搬送部910上に排出された前記トレイ101を、前記第3搬送部940に搬送することが可能である。また、前記第2搬送部920は、前記使用可能状態において、前記混注処理部300から前記トレイ排出口701を介して供給される前記トレイ101を、前記第3搬送部940を介して受け取り、前記第1搬送部910に搬送することが可能である。
前記ICリーダ930は、前記トレイ搬送部900の前記第1搬送部910に載置されている前記トレイ101の前記ICタグ101bから情報を読み取ることが可能である。前記ICリーダ930により前記ICタグ101bから読み取られる前記トレイ101の識別情報は、前記第2制御部500に入力される。
なお、他の実施形態として、前記混注装置1が、複数の前記トレイ101を収容可能なストック棚を更に備えており、前記収容ユニット700が、前記ストック棚への前記トレイ101の搬入及び前記ストック棚からの前記トレイ101の搬出を任意に実行可能な構成も考えられる。これにより、多数の前記トレイ101を一時的に前記ストック棚にストックし、必要に応じて自動的に排出することが可能である。このような構成は、例えば前記混注装置1が後述の一括調製鑑査機能を備え、前記混注処理の終了後の鑑査が行われていない複数の前記トレイ101を一時的にストックする必要がある場合に好適である。
また、前記ストック棚には、前記トレイ101各々が個別に収容される個別収容部に対して前記収容ユニット700側とは異なる位置から前記トレイ101を取り出すために開閉される鍵付きの扉が設けられることが考えられる。これにより、例えばユーザーが前記ストック棚から必要に応じて前記トレイ101各々を取り出して纏めて鑑査することが可能であると共に、前記トレイ101を取り出し可能なユーザーを前記扉の鍵を保有する特定のユーザーに制限することが可能である。
[混注処理]
次に、前記混注装置1において、前記混注制御部100によって前記混注処理部300が制御されることによって実行される混注処理の基本的な処理手順の一例について説明する。前記混注処理では、以下に説明するように、前記第2制御部500が、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22などを制御することにより、前記調製データに基づいて一又は複数の前記薬品容器10から前記注射器11で薬品を吸引すると共に前記注射器11から前記輸液バッグ12などの他の容器に前記薬品を注入する。
[アンプル10Aを使用する混注処理]
まず、前記アンプル10Aに収容された薬品を前記輸液バッグ12に注入する際の混注処理の基本動作について説明する。
前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ搬送部110に供給されると、前記ICリーダ101cによって前記トレイ101の前記ICタグ101bから前記トレイ101の識別情報を読み取る。そして、前記第2制御部500は、前記トレイ101の識別情報が、当該混注処理の前記調製データに予め対応付けられた識別情報に一致する場合、前記シャッター111を開く。その後、前記第2制御部500は、前記トレイ101の前記器材載置部102を、前記トレイ搬送部110の前記トレイ昇降部112により上昇させて前記混注処理室104に露出させる。
次に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102を前記トレイ確認カメラ41により撮影する。そして、前記第2制御部500は、前記トレイ確認カメラ41による撮影画像に基づく画像認識処理によって、前記器材載置部102に載置された前記アンプル10A及び前記注射器11などの器材の位置や向きを把握する。特に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102から前記アンプル10A又は前記注射器11を取り出す度に、前記トレイ確認カメラ41で前記器材載置部102を撮影し、その撮影画像から最新の前記アンプル10A及び前記注射器11の位置や向きを把握する。
続いて、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記混注処理室104内に露出された前記器材載置部102に載置された前記注射器11を前記載置棚33に仮置きする。また、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記器材載置部102に載置された前記アンプル10Aを前記薬品読取部34にセットする。そして、前記第2制御部500は、前記薬品読取部34により、前記アンプル10Aに収容された薬品の種類などの情報を読み取る。
また、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、1本目の前記注射針11cを前記注射針着脱装置43にセットし、2本目の前記注射針11cを前記載置棚33に仮置きする。ここで、1本目の前記注射針11cは、シリンジフィルターなしの注射針であり、2本目の前記注射針11cは、シリンジフィルター付きの注射針である。なお、前記器材載置部102に載置されている前記注射針11cにはキャップ11dが付けられており、前記キャップ11dは前記注射針着脱装置43で着脱される。また、前記注射針11cが前記注射器11のシリンジ11aに装着された状態で前記トレイ101にセットされることも考えられる。この場合には、前記注射器11に前記注射針11cにセットする工程は省略される。
そして、前記第2制御部500は、前記器材載置部102上の全ての器材を取り出すと、前記トレイ搬送部110の前記トレイ昇降部112により前記器材載置部102を下降させて前記トレイ101に戻す。なお、前記第2制御部500は、前記器材載置部102上の器材が全て取り出されたか否かを前記トレイ確認カメラ41による撮影画像に基づく画像認識処理により確認する。
その後、前記第2制御部500は、前記シャッター111を閉めて、前記トレイ搬送部110により前記トレイ101を前記トレイ搬送終端部110aに搬送させる。次に、前記第2制御部500は、前記トレイ搬送部110の前記バッグ昇降部113により前記トレイ101の前記輸液バッグ保持部103で保持されている前記輸液バッグ12の混注口を前記混注処理室104に形成された混注連通口37に位置させる。
そして、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記薬品読取部34にセットされた前記アンプル10Aを前記載置棚33に移動させる。次に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記載置棚33から前記注射器11を取り出し、前記第2ロボットアーム22にセットする。続いて、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記注射針着脱装置43に移動させて前記注射器11に前記注射針11cをセットさせる。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記針曲り検知部36に移動させ、前記注射針11cの曲りの有無を検出する。なお、前記注射針11cが前記注射器11に装着された状態で前記トレイ101にセットされることも考えられる。この場合には、前記注射器11に前記注射針11cにセットする工程は省略される。
次に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記載置棚33から前記アンプル10Aを取り出し、前記アンプルカッター31を用いて前記アンプル10Aの頭部を折る。そして、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により、前記アンプル10Aと前記注射器11とを接近させて、前記注射器11の前記注射針11cを前記アンプル10A内に挿入する。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により前記プランジャ11bを操作して前記アンプル10Aから前記調製データにより予め定められた量の薬品を前記注射器11で吸引する。
このとき、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22は、前記アンプル10A及び前記注射器11の姿勢を徐々に斜めにする。例えば、前記アンプル10Aの口部が鉛直上方向、前記注射器11の前記注射針11cが鉛直下方向に向けられた状態で、前記アンプル10Aからある程度の薬品を吸い上げ、その後、前記アンプル10Aを、鉛直方向を基準に10度程度傾斜させて前記口部の側(首部)に薬品を移動させた状態を形成させる。これにより、前記注射器11の前記注射針11cの先端を前記アンプル10Aの底に着けないで薬品を極力残さずに吸い上げることが可能になる。
その後、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22のいずれか一方又は両方を制御して、前記薬品が吸引された後の前記アンプル10A及び前記薬品を吸引した状態の前記注射器11を前記注射器確認カメラ42の撮影範囲内に移動させる。そして、前記第2制御部500は、前記注射器確認カメラ42により前記アンプル10A及び前記注射器11を一度に撮影し、その撮影画像を鑑査画像として前記データ記憶部504に記録する。例えば、前記注射器確認カメラ42は、予め定められた前記撮影範囲を撮影するものである。一方、前記第2制御部500が、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により移動された後の前記アンプル10A及び前記注射器11が一度に撮影可能になるように前記注射器確認カメラ42の前記撮影範囲を変更可能であることも考えられる。
次に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11の前記注射針11cを交換する。具体的に、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記針曲り検知部36に移動させ、前記注射針11cの曲りの有無を検出する。そして、前記第2ロボットアーム22は、前記注射器11を前記注射針着脱装置43に移動させて、前記注射針11cに前記キャップ11dを装着させる。そして、前記第2制御部500は、前記注射針着脱装置43により前記キャップ11dを回転させて、前記注射器11から前記注射針11cを取り外す。なお、前記注射針11cの取り外しは、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22による前記キャップ11dの回転動作によって行われてもよい。
そして、前記第2制御部500は、前記ゴミ蓋132aを開き、前記第1ロボットアーム21により前記注射針着脱装置43が掴んでいる前記注射針11cを前記注射針11cに装着されている前記キャップ11dと共に前記ゴミ収容室13a内に落下させて廃棄する。その後、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記載置棚33から前記シリンジフィルター付きの前記注射針11cを前記注射針着脱装置43にセットさせる。そして、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により前記注射器11を前記注射針着脱装置43に移動させて、前記注射器11に前記注射針11cを装着させる。この場合も、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記針曲り検知部36に移動させ、前記注射針11cの曲りの有無を検出する。このように、前記混注装置1では、前記アンプル10Aから薬品を吸引するときと、前記輸液バッグ12に輸液を注入するときとで前記注射針11cが交換され、前記アンプル10Aの破片が前記輸液バッグ12に混入することが防止される。
そして、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記トレイ搬送終端部110aに搬送された前記輸液バッグ12の混注口のゴム栓に前記注射器11の前記注射針11cを穿刺して、前記注射器11内の混合薬を前記輸液バッグ12に注入する。一方、前記第2制御部500は、前記ゴミ蓋132aを開き、前記第1ロボットアーム21により前記アンプル10Aを前記ゴミ収容室13a内に落下させて廃棄する。また、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により前記注射器11を前記注射針着脱装置43に移動させて、前記注射器11の前記注射針11cに前記キャップ11dを装着させた後、前記注射器11を前記ゴミ収容室13a内に落下させて廃棄する。
その後、前記第2制御部500は、前記混注処理の終了後に前記混注処理の結果を鑑査するための調製鑑査処理を実行する。前記調製鑑査処理において、前記第2制御部500は、例えば前記混注処理で撮影された各種の撮影画像を前記タッチパネルモニタ14に表示させ、前記混注処理についての鑑査完了の操作を受け付ける。これにより、ユーザーは、前記タッチパネルモニタ14を見ながら前記混注処理の適否について鑑査を行うことができる。そして、前記第2制御部500は、前記鑑査完了の操作を受け付けると、前記トレイ101を前記トレイ排出口15に搬送して前記トレイ101を取り出し可能な状態にする。
[バイアル瓶10Bを使用する混注処理]
続いて、前記バイアル瓶10Bに収容された薬品が溶解の必要のある粉薬のような薬品である場合に、その薬品を輸液と混合してから前記輸液バッグ12に注入する際の混注処理の基本動作について説明する。
前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ搬送部110に供給されると、前記ICリーダ101cによって前記トレイ101の前記ICタグ101bから前記トレイ101の識別情報を読み取る。そして、前記第2制御部500は、前記トレイ101の識別情報が、当該混注処理の前記調製データに予め対応付けられた識別情報に一致する場合、前記シャッター111を開く。その後、前記第2制御部500は、前記トレイ101の前記器材載置部102を、前記トレイ搬送部110の前記トレイ昇降部112により上昇させて前記混注処理室104に露出させる。
次に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102を前記トレイ確認カメラ41により撮影する。そして、前記第2制御部500は、前記トレイ確認カメラ41による撮影画像に基づく画像認識処理によって、前記器材載置部102に載置された前記バイアル瓶10B及び前記注射器11などの器材の位置や向きを把握する。特に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102から前記バイアル瓶10B又は前記注射器11を取り出す度に、前記トレイ確認カメラ41で前記器材載置部102を撮影し、その撮影画像から最新の前記バイアル瓶10B及び前記注射器11の位置や向きを把握する。
続いて、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記混注処理室104内に露出された前記器材載置部102に載置された前記注射器11を前記載置棚33に仮置きする。また、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記器材載置部102に載置された前記バイアル瓶10Bを前記薬品読取部34にセットする。そして、前記第2制御部500は、前記薬品読取部34により、前記バイアル瓶10Bに収容された薬品の種類などの情報を読み取る。
次に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102上の全ての器材を取り出すと、前記トレイ搬送部110の前記トレイ昇降部112により前記器材載置部102を下降させて前記トレイ101に戻す。なお、前記第2制御部500は、前記器材載置部102上の器材が全て取り出されたか否かを前記トレイ確認カメラ41による撮影画像に基づく画像認識処理により確認する。
その後、前記第2制御部500は、前記シャッター111を閉めて、前記トレイ搬送部110により前記トレイ101を前記トレイ搬送終端部110aに搬送させる。次に、前記第2制御部500は、前記トレイ搬送部110の前記バッグ昇降部113により前記トレイ101の前記輸液バッグ保持部103で保持されている前記輸液バッグ12の混注口を前記混注処理室104に形成された混注連通口37に位置させる。
そして、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記薬品読取部34にセットされた前記バイアル瓶10Bを前記載置棚33に移動させる。一方、この移動処理と並行して、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記器材載置部102に載置された前記注射器11の前記注射針11cを前記キャップ11dが装着された状態のままで前記注射針着脱装置43にセットする。
次に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記載置棚33から前記注射器11を取り出し、前記第2ロボットアーム22にセットする。続いて、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記注射針着脱装置43に移動させて前記注射器11に前記注射針11cをセットさせる。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記針曲り検知部36に移動させ、前記注射針11cの曲りの有無を検出する。なお、前記注射針11cが前記注射器11のシリンジ11aに装着された状態で前記トレイ101にセットされることも考えられる。この場合には、前記注射器11に前記注射針11cにセットする工程は省略される。
続いて、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記トレイ搬送終端部110aに搬送された前記輸液バッグ12の混注口のゴム栓に前記注射器11の前記注射針11cを穿刺して、前記輸液バッグ12から前記調製データで示された溶解量の輸液を吸引する。一方、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記載置棚33に載置されている前記バイアル瓶10Bを取り出す。
そして、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により、前記バイアル瓶10Bと前記注射器11とをそれぞれ接近させて、前記注射器11の前記注射針11cを前記バイアル瓶10Bに穿刺する。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22によって前記プランジャ11bを操作することにより、前記注射器11内の前記輸液を前記バイアル瓶10B内に注入する。このように、前記薬品が粉薬である場合には、前記混注処理において、前記注射器11で前記輸液バッグ12から輸液を抜き取ると共に前記注射器11から前記バイアル瓶10Bに前記輸液を注入する溶解工程が実行される。これにより、前記バイアル瓶10B内の薬品が前記輸液で溶解される。このとき、前記注射器11及び前記バイアル瓶10Bの姿勢は、前記注射器11の前記注射針11cが鉛直下方向に向けられ、前記バイアル瓶10Bの口部が鉛直上方向に向けられた状態である。
次に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記輸液が注入された前記バイアル瓶10Bを前記攪拌装置32にセットする。これにより、前記攪拌装置32では、前記バイアル瓶10B内の薬品及び輸液が攪拌される攪拌工程が実行される。前記攪拌工程における攪拌時間は、例えば前記薬品の種別によって予め定められている。また、前記攪拌時間は、前記薬品及び前記輸液の組み合わせごとに予め定められていてもよく、前記バイアル瓶10B内の薬品量によって変更されてもよい。前記攪拌装置32による攪拌工程が終了すると、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記攪拌装置32から前記バイアル瓶10Bを取り出す。
ここで、前記第2制御部500は、前記攪拌工程の終了後に前記攪拌工程による攪拌結果を鑑査する攪拌鑑査処理を実行する。前記攪拌鑑査処理において、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21を制御して、前記バイアル瓶10Bの底部又は側面がユーザーによって視認可能な姿勢及び位置に前記バイアル瓶10Bを移動させ、前記タッチパネルモニタ14等に対するユーザーによる確認操作を待ち受ける。また、前記第2制御部500は、前記タッチパネルモニタ14に対する所定の操作に応じて、前記第1ロボットアーム21を制御し、ユーザーが前記バイアル瓶10Bの底部又は側面を異なる角度から視認可能となる複数の状態(姿勢及び位置)に前記バイアル瓶10Bを移動させる揺動処理を実行する。これにより、ユーザーは、前記バイアル瓶10B内の薬品の溶解度合いを異なる角度から確認することが可能である。
その後、前記第2制御部500は、前記確認操作が行われると、前記混注処理の処理工程を次に進める。一方、前記第2制御部500は、予め定められた再攪拌操作が行われると、前記混注処理の処理工程を次に進めることなく、前記バイアル瓶10Bを前記攪拌装置32に再度セットして前記攪拌工程を再実行する。なお、前記第2制御部500は、前記攪拌鑑査処理において、前記攪拌工程後に撮影された前記薬品容器10の底部又は側面などの撮影画像を前記タッチパネルモニタ14に表示してもよい。
そして、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により、前記バイアル瓶10Bと前記注射器11とをそれぞれ接近させて、前記注射器11の前記注射針11cを前記バイアル瓶10Bに穿刺する。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22によって前記プランジャ11bを操作することにより、前記バイアル瓶10B内の混合薬を前記注射器11で吸引する。このとき、前記注射器11及び前記バイアル瓶10Bの姿勢は、前記バイアル瓶10Bの口部が鉛直下方向に向けられ、前記注射器11の前記注射針11cが鉛直上方向に向けられた状態である。
その後、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22のいずれか一方又は両方を制御して、前記薬品が吸引された後の前記バイアル瓶10B及び前記薬品を吸引した状態の前記注射器11を前記注射器確認カメラ42の撮影範囲内に移動させる。そして、前記第2制御部500は、前記注射器確認カメラ42により前記バイアル瓶10B及び前記注射器11を一度に撮影し、その撮影画像を鑑査画像として前記データ記憶部504に記録する。例えば、前記注射器確認カメラ42は、予め定められた前記撮影範囲を撮影するものである。一方、前記第2制御部500が、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により移動された後の前記バイアル瓶10B及び前記注射器11が一度に撮影可能になるように前記注射器確認カメラ42の前記撮影範囲を変更可能であることも考えられる。
そして、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記トレイ搬送終端部110aに搬送された前記輸液バッグ12の混注口のゴム栓に前記注射器11の前記注射針11cを穿刺して、前記注射器11内の混合薬を前記輸液バッグ12に注入する。このように、前記混注処理では、前記バイアル瓶10Bから前記注射器11で前記薬品を吸引すると共に前記注射器11から前記輸液バッグ12に前記薬品を注入する注入工程が実行される。
一方、前記第2制御部500は、前記ゴミ蓋132aを開き、前記第1ロボットアーム21により前記バイアル瓶10Bを前記ゴミ収容室13a内に落下させて廃棄する。また、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により前記注射器11を前記注射針着脱装置43に移動させて、前記注射器11の前記注射針11cに前記キャップ11dを装着させた後、前記注射器11を前記ゴミ収容室13a内に落下させて廃棄する。
その後、前記第2制御部500は、前記混注処理の終了後に前記混注処理の結果を鑑査するための調製鑑査処理を実行する。前記調製鑑査処理において、前記第2制御部500は、例えば前記混注処理で撮影された各種の撮影画像を前記タッチパネル14に表示させ、前記混注処理についての鑑査完了の操作を受け付ける。これにより、ユーザーは、前記タッチパネルモニタ14を見ながら前記混注処理の適否について鑑査を行うことができる。そして、前記第2制御部500は、前記鑑査完了の操作を受け付けると、前記トレイ101を前記トレイ排出口15に搬送して前記トレイ101を取り出し可能な状態にする。
なお、前記バイアル瓶10Bに収容された薬品が溶解の必要のない薬液のような薬品であることも考えられる。この場合の前記混注処理は、前記攪拌工程が実行されない点を除いて、前記バイアル瓶10Bに収容された薬品が溶解の必要のある粉薬のような薬品である場合の前記混注処理と同様であるため説明を省略する。また、前記バイアル瓶10Bに収容された薬品が液体である場合でも前記薬品の種類によっては前記攪拌工程が実行されてもよい。
また、前記バイアル瓶10Bに収容された薬液をそのまま前記輸液バッグ12に注入する際の混注処理は、前記輸液バッグ12から前記輸液を吸引して前記バイアル瓶10Bに注入して攪拌する混合薬品を生成するための工程が実行されない点を除いて、前記バイアル瓶10Bに収容された散薬を前記輸液バッグ12に注入する際の混注処理と同様である。
以下、図22~図29を参照しつつ、前記混注装置1において、前記混注制御部100によって実行される混注管理処理、装填準備処理、混注開始処理、及び混注制御処理の手順の一例について説明する。
[混注管理処理]
まず、図22を参照しつつ、前記混注管理処理について説明する。
<ステップS10>
ステップS10において、前記第1制御部400は、前記混注装置1における前記混注処理の対象となる前記調製データの選択候補が配置された処方選択画面M1を生成し、前記ディスプレイ203に表示させる。ここで、前記混注装置1における混注処理の対象となる前記調製データの選択候補が複数存在する場合、前記処方選択画面M1では、選択候補の前記調製データが予め設定されたソート条件に従って並べられた状態で表示される。前記ソート条件は、例えば、前記混注装置1による調製日時、投薬日時、処方箋区分、及び調製データの発行日時のいずれか一つ又は複数の組み合わせによって定められたものである。そして、ユーザーは、前記処方選択画面M1を参照し、前記混注装置1で前記処方選択画面M1の最上位に表示された前記調製データで必要な数の前記薬品容器10及び前記注射器11などを前記トレイ101に載置し、前記トレイ101を前記混注処理部300に装填する。
ここに、図23は、前記処方選択画面M1の一例を示す図である。図23に示す前記処方選択画面M1には、前記選択候補を絞り込むための検索条件の入力欄が配置された検索条件表示部D1、及び前記選択候補の前記調製データが並べて配置された処方表示部D2などが含まれる。前記検索条件表示部D1には、前記検索条件に従って前記調製データの選択候補を絞り込む抽出処理を開始させるための抽出キーD11が配置されている。
また、前記処方表示部D2には、過去に実行された前記混注処理において前記薬品容器10内に残存した残薬と同種の薬品を処方薬に含む調製データであるか否かが表示される残薬有無表示部D21が含まれる。即ち、前記残薬有無表示部D21には、前記残薬を使用して前記混注処理を実行することが可能な調製データであるか否かが示される。例えば、前記残薬有無表示部D21には、文字、記号、図形、又はイラストなどの情報により、前記残薬が使用可能な調製データであるか否かが示される。
ところで、前記残薬を他の前記混注処理で使用するという運用が必要ない場合も考えられる。そのため、前記第1制御部400は、過去の混注処理で生じた残薬を他の混注処理で使用する残薬使用機能のON/OFFを初期設定などにおけるユーザー操作に応じて変更することが可能である。これにより、ユーザーは、前記残薬を他の前記混注処理で使用するための支援を受けるか否かを任意に切り替えることができる。なお、前記第1制御部400が、前記処方選択画面M1におけるユーザー操作に応じて前記残薬使用機能のON/OFFを切り替えることが可能な構成であってもよい。そして、前記第1制御部400は、前記残薬使用機能がONの場合には、後述のステップS16以後の処理を実行し、前記残薬使用機能がOFFの場合には、後述のステップS16以後の処理を実行しないことが考えられる。また、前記第1制御部400が、前記残薬使用機能がOFFの場合には、前記処方選択画面M1における前記残薬有無表示部D21を非表示にすることも考えられる。
なお、前記第1制御部400は、初期設定などにおける前記操作部405に対するユーザー操作に応じて前記ソート条件を設定するソート条件設定機能を有する。例えば、前記第1制御部400は、前記処方選択画面M1においても前記ソート条件を変更して前記調製データの表示順を変更することが可能である。即ち、前記第1制御部400は、前記処方表示部D2の各表示項目の記載箇所が前記操作部405のマウス又はタッチパネルなどによって操作された場合に、その操作された表示項目について昇順又は降順となるように前記調製データを並べ替えることが可能である。
<ステップS11>
ステップS11において、前記第1制御部400は、前記調製データが入力されたか否かを判断する。例えば前記調製データは、前記上位システム600から前記調製データを受信した場合、又は前記バーコードリーダ204により前記調製データを示すバーコードが読み取られた場合に前記第1制御部400に入力される。
ここで、前記第1制御部400は、前記調製データが入力されたと判断すると(S11のYes側)、処理をステップS12に移行させ、前記調製データが入力されていなければ(S11のNo側)、処理をステップS13に移行させる。
<ステップS12>
ステップS12において、前記第1制御部400は、前記ステップS11で入力されたと判断された前記調製データを前記データ記憶部404に記憶させる。また、前記第1制御部400は、前記処方選択画面M1が表示されている場合には、前記処方選択画面M1の表示内容を随時更新する。
<ステップS13>
そして、ステップS13において、前記第1制御部400は、選択候補の前記調製データから特定の調製データを抽出するための抽出開始操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記第1制御部400は、前記操作部405に対するユーザー操作により、前記検索条件表示部D1において前記検索条件が設定され、前記抽出キーD11が操作されたか否かに応じて前記抽出開始操作の有無を判断する。
ここで、前記第1制御部400は、前記抽出開始操作がなされたと判断すると(S13のYes側)、処理をステップS131に移行させ、前記抽出開始操作がなされていなければ(S13のNo側)、処理をステップS14に移行させる。
<ステップS131>
ステップS131において、前記第1制御部400は、選択候補となる前記調製データを前記検索条件に従って抽出する。例えば、図23に示す前記処方選択画面M1は、前記混注処理の実行予定日を示す調剤日の入力欄に「2012/07/12」が入力されて前記調製データの抽出が実行された結果が表示された例である。
<ステップS132>
ステップS132において、前記第1制御部400は、前記ステップS131で抽出された前記調製データを配置した前記処方選択画面M1を表示させ、処理を前記ステップS11に戻す。例えば、図23に示す前記処方選択画面M1は、前記投薬日が早い順に上位から並べて表示させる旨が予め設定されている場合に、前記ステップS131で抽出された複数の前記調製データが表示された例である。
<ステップS14>
一方、ステップS14において、前記第1制御部400は、前記操作部405に対して前記調製データのいずれかを選択するためのユーザー操作が行われたか否かを判断する。ここで、前記第1制御部400は、前記調製データの選択操作が行われたと判断すると(S14のYes側)、処理をステップS15に移行させ、前記調製データの選択操作が行われるまでの間は(S14のNo側)、処理を前記ステップS11に移行させる。
<ステップS15>
ステップS15において、前記第1制御部400は、前記ステップS14の選択操作により選択された前記調製データを前記第2制御部500に送信する。なお、前記第1制御部400は、前記調製データそのものに限らず、前記調製データに基づいて前記混注処理部300に混注処理を実行させるための混注制御データを生成し、前記混注制御データを前記第2制御部500に送信するものであってもよい。
<ステップS16>
次に、ステップS16において、前記第1制御部400は、前記ステップS14で選択された前記調製データを対象とする前記混注処理が行われた場合に使用される前記薬品容器10内に薬品が残存するか否かを判断する。具体的に、前記第1制御部400は、前記調製データに基づく前記薬品の払出量と、前記薬品容器10に収容された前記薬品の既定量とに基づいて、前記薬品容器10内に前記既定量未満の薬品が残存するか否かを前記混注処理の終了前に判断する。これにより、前記混注処理が終了する前であっても、後述のステップS181又はステップS19において次の前記混注処理の対象となる選択候補を表示する際に、前記残薬を使用可能な調整データを優先的に表示することが可能である。
例えば、前記薬品の払出量が20mlであり、前記薬品容器10の既定量が30mlである場合、前記第1制御部400は、1本の前記薬品容器10の既定量である30mlと前記払出量である40mlとの差分により、前記薬品容器10に10mlの薬品が残存すると判断する。また、前記薬品の払出量が40mlであり、前記薬品容器10の既定量が30mlである場合、前記第1制御部400は、2本の前記薬品容器10の合計量である60mlと前記払出量である40mlとの差分により、前記薬品容器10に20mlの薬品が残存すると判断する。
ここで、前記第1制御部400は、前記薬品容器10内に薬品が残存すると判断すると(S16のYes側)、処理をステップS17に移行させ、前記薬品容器10内に薬品が残存しないと判断すると(S16のNo側)、処理を前記ステップS11に移行させる。このように、前記第1制御部400は、前記混注処理が終了する前に、当該混注処理が終了したときに前記薬品容器10内に薬品が残存するか否かを判断する。従って、ユーザーが次の前記混注処理に必要な薬品及び器具などの準備を開始する前にステップS17以後の処理が実行される。なお、前記混注処理の終了後に前記薬品容器10内の薬品が残存しているか否かが判断されることも他の実施形態として考えられる。
<ステップS17>
ステップS17において、前記第1制御部400は、前記ステップS16で残存すると判断された残薬に関する残薬情報を前記データ記憶部404に記憶させる。具体的に、前記残薬情報には、例えば前記残薬の種類、残量、開封日時、及び使用期限などの各種の情報が含まれる。また、前記残薬が混合薬品である場合、前記残薬情報には、例えば前記混合薬品の成分(薬品名、溶媒名)、溶媒量、残量、開封日時、使用期限などの各種の情報が含まれる。なお、前記残薬情報には、前記残薬が収容された前記薬品容器10が載置される前記載置棚33における位置情報も含まれる。ここに、前記データ記憶部404が残量記憶手段の一例である。なお、前記混合薬品では、前記薬品名及び前記溶媒量に応じて前記混合薬品における混合比率が特定されるため、前記残存情報として前記溶媒量が記憶される場合を例に挙げて説明するが、前記混合比率が記憶されてもよい。
ところで、前記第1制御部400は、前記データ記憶部404に記憶された前記残薬情報各々を、前記残薬情報の前記使用期限が経過したことを条件に削除すると共に、その残薬情報に対応する前記薬品容器10を廃棄させるための制御信号を前記第2制御部500に入力することが考えられる。これにより、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21又は前記第2ロボットアーム22を制御し、前記使用期限が経過した前記薬品容器10を廃棄させる。なお、このとき前記第1制御部400は、前記処方選択画面M1に表示された前記処方表示部D2における前記調製データの表示順を、前記使用期限が経過した前記残薬が存在していない場合の表示順に更新する。
<ステップS18>
続いて、ステップS18において、前記第1制御部400は、前記薬品容器10内に残存する残薬が、複数の薬品又は溶媒が混合された混合薬品であるか否かを判断する。ここで、前記第1制御部400は、前記残薬が前記混合薬品であると判断すると(S18のYes側)、処理をステップS19に移行させ、前記残薬が前記混合薬品ではないと判断すると(S18のNo側)、処理をステップS181に移行させる。
<ステップS181>
ステップS181において、前記第1制御部400は、前記混注処理の対象となる前記調製データの選択候補のうち前記ステップS16により過去の前記混注処理で前記薬品容器10内に残存すると判断された残薬と同種の薬品が処方薬として含まれる調製データを優先的に表示させる。ここに、前記表示処理を実行するときの前記第1制御部400が表示制御手段に相当する。具体的に、前記第1制御部400は、前記薬品容器10内に残存する残薬と同種の薬品が処方薬として含まれる調製データの選択候補が上位となる表示順で前記調製データの選択候補を前記ディスプレイ403の前記処方選択画面M1に表示させる。また、前記第1制御部400は、前記薬品容器10内に残存する残薬と同種の薬品が処方薬として含まれる調製データに対応する前記残薬有無表示部D21に前記残薬を使用することが可能である旨を示す情報を表示させる。これにより、ユーザーは、前記残薬を使用することのできる前記調製データを容易に把握することができる。特に、前記混注装置1では、前の混注処理で残存した残薬を使用することが可能な調製データが次の混注処理の選択候補として優先的に表示されるため、ユーザーに前記残薬を使用することが可能な前記調製データを次の前記混注処理の対象として意識させることができ、前記薬品容器10内の薬品の効率的な使用を支援することができる。
例えば、前記ステップS181において、前記第1制御部400は、前記薬品容器10内に残存する残薬と同種の薬品が処方薬として含まれる調製データが存在するか否かを検索する。そして、前記調製データが一件以上検索結果として得られた場合、前記第1制御部400は、その調製データの表示位置が最上位になるように前記処方選択画面M1の表示内容を変更する。また、前記薬品容器10内に残存する残薬と同種の薬品が処方薬として含まれる調製データを優先的に表示させる手法としては、前記第1制御部400が、前記薬品容器10内に残存する残薬と同種の薬品が処方薬として含まれる調製データのみを前記表示装置26に表示させることも考えられる。これにより、ユーザーは、前記残薬の使用が可能な前記調製データのみを容易に確認することができる。
ここで、前記検索結果として抽出された調製データが複数存在する場合、前記第1制御部400は、前記ステップS12と同様に、複数の前記調製データの並び順を前記ソート条件に従って決定する。これにより、前記ソート条件に従って優先するべき前記調製データの候補を最上段に表示させることが可能である。前述したように、前記ソート条件は、例えば前記調製データの処方薬の投薬日時又は調製日時が早い方を上位とする条件である。また、前記ソート条件は、前記調製データの処方箋区分が入院である場合よりも前記調製データの処方箋区分が外来である場合の方を上位とする条件であることも考えられる。これにより、ユーザーは、前記投薬日時、前記調製日時、前記処方箋区分などに応じて優先すべき前記調剤データの順位を容易に把握することができる。
なお、前記薬品容器10内に残存する残薬と同種の薬品が処方薬として含まれる調製データが抽出されなかった場合、前記第1制御部400は、前記処方選択画面M1の表示内容を変更しないことが考えられる。この場合、前記第1制御部400は、前記残薬を使用することができないと判断し、前記薬品容器10を前記載置棚33に載置するのではなく、前記薬品容器10を前記ゴミ収容室13aに廃棄させるための制御信号を前記第2制御部500に送信することも考えられる。
<ステップS19>
一方、ステップS19において、前記第1制御部400は、前記薬品容器10内に残存する残薬である前記混合薬品と、成分及び混合比率が同じ処方薬が含まれる調製データを優先的に表示させる。ここに、前記表示処理を実行するときの前記第1制御部400が表示制御手段に相当する。このとき、前記第1制御部400は、例えば前記残存情報に記憶された薬品名及び溶媒量と前記調製データにおける薬品名及び溶媒量とに応じて前記混合比率が同一であるか否かを判断する。
具体的に、前記第1制御部400は、前記ステップS181と同様に、前記薬品容器10内に残存する残薬と成分及び混合比率が同じ薬品が処方薬として含まれる調製データが上位となる表示順で前記調製データの選択候補を前記ディスプレイ403の前記処方選択画面M1に表示させる。また、前記第1制御部400は、前記薬品容器10内に残存する残薬と成分及び混合比率が同じ薬品が処方薬として含まれる調製データに対応する前記残薬有無表示部D21に前記残薬を使用することが可能である旨を示す情報を表示させる。なお、前記ステップS19においても、前記ステップS181と同様に、前記調製データが複数存在する場合、前記第1制御部400は、複数の前記調製データの並び順を前記ソート条件に従って決定する。
[事前攪拌機能]
ところで、前記混注処理において実行されることのある前記攪拌工程には比較的長い時間を要することがあり、前記攪拌工程が終了するまでの待ち時間が前記混注処理の効率化を阻害することがある。これに対し、本実施形態に係る前記混注装置1は、前記混注処理における前記攪拌工程を前記混注処理の実行開始タイミングよりも前に予め実行可能な事前攪拌機能を有する。具体的に、前記混注制御部100は、前記第1制御部400又は前記第2制御部500を用いて前記第1混注制御プログラム又は前記第2混注制御プログラムに従って、後述の装填準備処理及び混注開始処理を実行することにより、前記事前攪拌機能を実現する。ここに、前記装填準備処理及び前記混注開始処理を実行するときの前記混注制御装置100が事前攪拌処理部の一例である。なお、前記第1制御部400及び前記第2制御部500は、前記薬品容器10が前記バイアル瓶10Bである場合に前記事前攪拌機能を有効に設定してもよい。
[装填準備処理]
まず、図24を参照しつつ、前記混注制御装置100の前記第1制御部400及び前記第2制御部500によって実行される前記装填準備処理の一例について説明する。
<ステップS21>
ステップS21において、前記第1制御部400は、ユーザーによる前記操作部405を用いた装填準備開始操作を待ち受ける(S21:No)。例えば、前記第1制御部400は、ユーザーにより装填対象となる前記調製データが選択された場合に、前記装填準備開始操作が行われたと判断する。そして、前記装填準備開始操作が行われると(S21:Yes)、処理がステップS22に移行する。
ところで、前記第1制御部400は、前記装填準備開始操作として、前記調製データに基づく前記混注処理を即時に実行する即時開始操作を受ける他、前記調製データについて前記混注処理の完了時刻又は完了時間帯などを示す完了予定時間を予約する予約混注操作を受け付けることが可能である。なお、前記完了時間帯が予約される場合には、前記混注処理が完了するべき時間的な範囲として、例えば11時~12時の間などのように1時間単位の予約が受け付けられる。例えば、前記第1制御部400は、前記トレイ収容部811の数と同じ予め設定された最大予約数以下の前記調製データの予約を設定可能である。なお、当該予約の処理は、当該装填準備処理の開始時に限らず、当該装填準備処理の終了時に実行されてもよい。
前記第1制御部400は、前記完了予定時間が設定された場合、前記調製データに基づいて前記混注処理の所要時間を自動的に推定し、前記完了予定時間から前記所要時間を引いた時期を前記混注処理の実行開始タイミングとして設定する。例えば、前記所要時間は、前記データ記憶部404に記憶された所要時間テーブル情報に基づいて算出される。前記所要時間テーブルには、前記混注処理の内容に応じて前記所要時間を算出するための情報として前記混注処理の各工程の所要時間などが前記混注処理の内容ごとに予め設定されている。
また、前記第1制御部400は、前記調製データについて、前記完了予定時間に限らず、前記混注処理の開始時刻又は完了時間帯などを示す開始予定時間の予約を受け付けることが可能であってもよい。なお、前記開始時間帯が予約される場合には、前記混注処理が開始されるべき時間的な範囲として、例えば11時~12時の間などのように1時間単位の予約が受け付けられる。例えば、前記調製データについて前記開始予定時間が設定された場合、前記第1制御部400は、前記開始予定時間を前記混注処理の実行開始タイミングとして設定する。さらに、前記混注処理の開始から完了までの時間的な範囲として、例えば11時~12時の間などのように1時間単位で実行時間帯の予約が受け付けられることも考えられる。前記調製データについて前記実行時間帯が設定された場合には、前記第1制御部400は、前記実行時間帯内で前記混注処理が完了するように前記混注処理の実行開始タイミングを設定する。なお、前記第1制御部400は、一つの前記調製データについての前記混注処理のみを予約可能であってもよい。また、予約対象は、前記混注処理の完了予定時間、開始予定時間、又は実行時間帯に限らず、前記混注処理のうち前記薬品容器10から採取した薬液を輸液バック12に注入する注入工程の完了予定時間、開始予定時間、実行時間帯が予約可能であってもよい。
<ステップS22>
ステップS22において、前記第1制御部400は、処理対象として選択された前記調製データと前記トレイ101とを対応付けて対応情報D31(第1対応情報の一例)に記憶する処理を実行する。ここに、係る記憶処理を実行するときの前記第1制御部400が第1記憶処理部の一例である。また、前記第1制御部400の前記データ記憶部404の前記対応情報D31は、前記第2制御部500によっても参照及び編集が可能である。これにより、前記第1制御部400及び前記第2制御部500は、前記対応情報D31に基づいて前記調製データ及び前記トレイ101の対応関係を認識することが可能である。
図25は、前記対応情報D31の一例を示す図である。図25に示されるように、前記対応情報D31では、前記調製データの識別情報「調製No.」と、前記トレイ101の識別情報「トレイID」とが対応付けられている。また、前記対応情報D31では、前記調製データ各々に、当該調製データに基づく混注処理で使用される薬品の薬品名、払出量、既定量などの情報も対応付けられている。
例えば、前記第1制御部400は、前記作業テーブル202に設けられた前記ICリーダ207を用いて、前記作業テーブル202に載置された前記トレイ101の前記ICタグ101bから前記トレイ101の識別情報を読み取る。そして、前記第1制御部400は、前記ICタグ101bから読み取られた前記識別情報を、処理対象として選択された前記調製データに対応する前記トレイ101の識別情報として前記データ記憶部404の前記対応情報D31に記憶する。
さらに、前記対応情報D31では、後述のステップS31において前記トレイ101各々に対応付けられる、前記収容ユニット700のトレイ収容部811の識別情報「収容部No.」も記憶される。これにより、前記第1制御部400及び前記第2制御部500は、前記対応情報D31に基づいて前記調製データ、前記トレイ101の識別情報、及び前記トレイ収容部811の対応関係を認識することが可能である。
また、前記対応情報D31では、前記調製データ各々に対応する前記トレイ101に当該調製データに基づく混注処理で使用される薬品の薬品容器10が収容されているか否かを示す薬品有無情報も記憶されている。前記薬品有無情報は、例えば前記トレイ101に前記薬品容器10が載置された場合(後述のステップS25)、前記トレイ101から前記薬品容器10が取り込まれた場合に、前記第1制御部400又は前記第2制御部500によって更新される。これにより、前記第1制御部400又は前記第2制御部500は、前記対応情報D31を用いて前記トレイ101における前記薬品容器10の有無が判断可能である。
なお、前記調製データと前記トレイ101との対応関係、前記調製データ又は前記トレイ101と前記トレイ収容部811との対応関係がそれぞれ個別のデータベースで管理されてもよい。また、前記調製データと前記トレイ101との対応関係が前記第1制御部400のデータ記憶部404に記憶され、前記調製データ又は前記トレイ101と前記トレイ収容部811との対応関係が前記第2制御部のデータ記憶部504に記憶されていてもよい。
<ステップS23>
その後、ステップS23~S28において、前記第1制御部400は、前記調製データに基づく前記混注処理に必要な前記薬品容器10、前記注射器11、前記輸液バッグ12などを前記トレイ101にセットする作業を支援するための処理を実行する。具体的に、まずステップS23において、前記第1制御部400は、前記輸液バッグ12に付されているGS21データバーなどの識別情報の読み取りを指示するためのメッセージ及び画像などを、前記調製データに含まれる前記輸液バッグ12の種別などを含む情報と共に前記ディスプレイ203に表示させる。そして、前記第1制御部400は、前記バーコードリーダ204によって前記輸液バッグ12の識別情報が読み取られ、前記調製データとの照合結果が一致すると、処理をステップS24に移行させる。なお、前記第1制御部400は、前記輸液バッグ12の識別情報と前記調製データとの照合結果が一致しない場合には、例えばエラーメッセージを表示させる。
<ステップS24>
ステップS24において、前記第1制御部400は、前記トレイ101における前記輸液バッグ12の配置を案内するためのメッセージ及び画像などを前記ディスプレイ203に表示させる。これにより、ユーザーは、前記輸液バッグ12を前記トレイ101内の所定の位置に容易に配置することが可能である。
<ステップS25>
ステップS25において、前記第1制御部400は、前記薬品容器10に付されているGS21データバーなどの識別情報の読み取りを指示するためのメッセージ及び画像などを、前記調製データに含まれる前記薬品容器10の種別などを含む情報と共に前記ディスプレイ203に表示させる。そして、前記第1制御部400は、前記バーコードリーダ204によって前記薬品容器10の識別情報(薬品コードなど)が読み取られ、前記調製データとの照合結果が一致すると、処理をステップS26に移行させる。また、前記第1制御部400は、前記調製データに対応する前記トレイ101に前記薬品容器10が載置された旨の情報を前記対応情報D31に記憶させる。なお、前記第1制御部400は、前記薬品容器10の識別情報と前記調製データとの照合結果が一致しない場合には、例えばエラーメッセージを表示させる。
また、前記ステップS21において、前記装填開始操作が行われた場合、前記第1制御部400は、前記薬品容器10に付されている識別情報の読み取りに代えて、既に前記混注装置1に装填された薬品容器10内の薬品を使用するための操作を受け付けることが可能である。なお、前述したように、前記装填準備開始操作には、前記調製データに基づく前記混注処理を即時に実行する即時開始操作、或いは、前記調製データについて前記混注処理の完了時刻又は完了時間帯などを示す完了予定時間を予約する予約混注操作が含まれる。
具体的に、前記第1制御部400は、処理対象の前記調製データに基づく混注処理で使用される当該薬品容器10内の薬品と同種の薬品について予め設定された基準時点において前記混注装置1内に残存する残液量が、当該調製データに基づく混注処理で必要な薬品量以上であるか否かを判断する。例えば、前記基準時点は、当該調製データに基づく混注処理の開始時又は当該調製データについての前記装填開始操作が行われたとき等である。そして、前記第1制御部400は、前記残液量が当該調製データに基づく混注処理で必要な薬品量以上である場合に、既に前記混注装置1内に存在する薬品の使用の有無を選択させるための後述の利用可能残液案内画面F1(図37参照)を前記ディスプレイ203に表示させる。例えば、前記利用可能残液案内画面F1は、前記薬品容器10に付されている識別情報の読み取りを指示するためのメッセージ等が表示される表示画面上又は当該表示画面が表示される前に表示される。例えば、前記第1制御部400は、前記ステップS25で前記バーコードリーダ204によって前記薬品容器10の識別情報が読み取られたと判断した場合に、前記利用可能残液案内画面F1を表示させてもよい。なお、前記混注装置1内に残存する残液量が、当該調製データに基づく混注処理で必要な薬品量以上であるか否かにかかわらず前記利用可能残液案内画面F1が表示されてもよい。また、ユーザー操作に応じて前記利用可能残液案内画面F1が表示されてもよい。ここで、前記第1制御部400は、前記残薬情報及び前記対応情報D31に基づいて、処理対象の前記調製データに基づく混注処理で使用される薬品が前記混注装置1内に存在するか否かを判断する。即ち、前記残薬情報及び前記対応情報D31は、既に前記混注装置1内に装填されている薬品のリストを示す在庫情報として利用可能である。
ここに、図37は、前記利用可能残液案内画面F1の一例を示す図である。図37に示されるように、前記利用可能残液案内画面F1では、領域A11~A13、操作キーK11、及び操作キーK12などが表示される。前記領域A11には、現在の処理対象となっている調製データ(以下、対象調製データと称する)に処方薬として含まれる薬品の薬品名などの薬品識別情報と、当該薬品識別情報に対応する薬品の残液量とが表示される。また、前記領域A11に、前記対象調製データにおける前記薬品識別情報に対応する薬品の処方量が表示されてもよい。前記領域A12には、前記対象調整データに処方薬として含まれる薬品が収容されている前記薬品容器10及び当該薬品容器10が収容される薬箱などの薬品の外観を示す画像が表示される。前記領域A13には、前記対象調製データに処方薬として含まれる薬品について残液利用が可能である旨のメッセージが表示される。なお、前記第1制御部400は、前記トレイ101に前記薬品容器10を載置する必要があるか否かをユーザーが判断するための指標となる情報を、前記利用可能残液案内画面F1への表示などによりユーザーに報知することが考えられる。例えば、前記第1制御部400は、前記残液量が前記対象調製データに示される前記薬品の処方量以上であることを示すメッセージを前記利用可能残液案内画面F1に表示することが考えられる。また、前記第1制御部400は、前記対象調製データに対応する前記トレイ101に前記薬品容器10を載置せずに前記残液量の薬品のみを使用して前記対象調製データに基づく混注処理が実行可能であることを示すメッセージを前記利用可能残液案内画面F1に表示してもよい。
前記領域A11に表示される前記残液量とは、前記対象調製データに基づく混注処理が実行される際に、前記混注装置1内に残存している前記薬品の量の合計量である。より具体的に、前記残液量は、前記対象調製データについて前記装填開始操作が行われた時点で前記載置棚33に載置されている前記薬品の残量と、前記対象調製データに基づく混注処理が実行されるまでの間に実行される一又は複数の他の混注処理に対応する他の調製データに付けて前記混注装置1内に装填された前記薬品の量との合計量から、前記対象調製データに基づく混注処理が実行されるまでの間に実行される一又は複数の他の混注処理で使用される前記薬品の合計量(処方量の合計)を引いた量である。特に、前記残液量は、前記対象調製データに基づく混注処理の開始時に消費期限が到来しない薬品の量であり、当該混注処理の開始時に消費期限が到来する前記薬品の量は引かれた値であることが考えらえる。なお、前記残液量の単位は重さ又は体積などであることが考えられるが、これらに限らず、例えば予め設定された特定の前記薬品容器10に収容される前記薬品の既定量に基づいて、当該薬品容器10の本数単位で前記残液量が表示されてもよい。
ここで、前記残液量について例を挙げて説明する。ここでは、図38(A)には、前記残薬情報の一例が示されており、図38(B)は、前記対応情報D31の一例が示されている。そして、この状態で前記対象調製データについての前記装填開始操作が行われ、当該対応情報D31に登録されている他の調製データに基づく混注処理の後に当該対象調製データに基づく混注処理が実行されるものとする。また、図38(A)に示すように、「5-FU注1000mg」が「8.00ml」だけ収容された前記薬品容器10と「3.50ml」だけ収容された前記薬品容器10とが前記載置棚33に載置されているものとする。
そして、図38(B)に示されるように、既に前記収容ユニット700に前記トレイ101が装填された三つの前記調製データに対応して、「5-FU注1000mg」が「20ml」収容された前記薬品容器10と、「5-FU注1000mg」が「20ml」収容された前記薬品容器10と、「5-FU注1000mg」が「20ml」収容された前記薬品容器10とが前記収容ユニット700内に装填されているものとする。図38(B)に示されるように、当該三つの調製データでは、それぞれ「15ml」、「20ml」、「8ml」の薬品が使用される。この場合、前記対象調製データについて前記装填開始操作が行われた時点で前記載置棚33に載置されている前記薬品の残量は、前記残薬情報に基づいて「8.00ml」+「3.50ml」により「11.50ml」と算出される。また、前記対象調製データに基づく混注処理が実行されるまでの間に実行される一又は複数の他の混注処理に対応する他の調製データに付けて前記混注装置1内に装填された前記薬品の量は、前記対応情報D31に基づいて、「20ml」+「20ml」+「20ml」により「60ml」と算出される。さらに、前記対象調製データに基づく混注処理が実行されるまでの間に実行される一又は複数の他の混注処理で使用される前記薬品の合計量は、「15ml」+「20ml」+「8ml」により「43ml」と算出される。そのため、前記対象調製データに基づく混注処理の実行時点における残液量は、「11.50ml」+「60ml」-「43ml」により、「28.50ml」となる。
さらに、前記第1制御部400は、前記対象調製データに基づく混注処理の実行時間が予約される場合には、当該実行時間に使用期限が切れている残薬を除外して残薬量を算出する。例えば、前記対象調製データに基づく混注処理の実行時間が「2013/2/15 14:00」である場合、図38(A)に示される前記残薬情報のうち調製データRp11の混注処理で生じた残薬は前記残薬量が除外され、前記対象調製データに基づく混注処理の実行時点における残液量は、「3.5ml」+「60ml」-「43ml」により、「20.5ml」となる。なお、前記対象調製データについて前記装填開始操作が行われた時点以降に実行される混注処理で生じる残薬についても同様に、当該混注処理の実行後、当該混注処理で生じた残薬の使用期限が当該対象調製データについての前記混注処理が開始するまでの間に経過する場合には、前記対象調製データに基づく混注処理の実行時点における残液量の算出から除外してもよい。
また、図38(C)は、前記対応情報D31の他の例を示す図である。図38(C)に示される前記対応情報D31は、調製データ「Rp23」については、前記薬品容器10が装填されていない点で、図38(B)に示される前記対応情報D31と異なる。そのため、前記収容ユニット700内には、既に前記収容ユニット700に前記トレイ101が装填された三つの前記調製データに対応して、「5-FU注1000mg」が「20ml」収容された前記薬品容器10と、「5-FU注1000mg」が「20ml」収容された前記薬品容器10とが装填されていることになる。この場合、前記対象調製データに基づく混注処理が実行されるまでの間に実行される一又は複数の他の混注処理に対応する他の調製データに付けて前記混注装置1内に装填された前記薬品の量は、前記対応情報D31に基づいて、「20ml」+「20ml」により「40ml」と算出される。前記対象調製データに基づく混注処理の実行時点における残液量は、「11.50ml」+「40ml」-「43ml」により、「8.50ml」となる。
また、前記操作キーK11及び前記操作キーK12は、前記利用可能残液案内画面F1では、前記調製データに処方薬として含まれる薬品について残液を利用するか否かの選択を受け付けるための操作部である。前記第1制御部400は、前記操作キーK11が操作された場合に、前記薬品識別情報に対応する薬品の残液を使用すると判断し、前記操作キーK12が操作された場合に、前記薬品識別情報に対応する薬品の残液を使用しないと判断する。そして、既に前記混注装置1内に存在する薬品を使用する旨が選択されると、前記第1制御部400は、前記ステップS25における前記識別情報の読み取りを省略し、処理をステップS26に進める。この場合、前記第1制御部400は、前記調製データに対応する前記トレイ101に前記薬品容器10が載置されていない旨の情報を前記対応情報D31に記憶させる。なお、前記第1制御部400は、処理対象の前記調製データに基づく混注処理で使用される薬品が前記混注装置1内に存在するか否かを判断することなく、既に前記混注装置1内に存在する薬品の使用の有無を選択させるための操作を受け付けることが可能であってもよい。また、本実施形態では、処理対象の前記調製データに基づく混注処理において、他の調製データに基づく混注処理後の残薬を使用可能である構成について説明するが、前記残薬が使用可能ではなく、他の調製データに対応付けて既に前記混注装置1内に装填されている薬品のみが使用可能な構成であってもよい。
<ステップS26>
ステップS26において、前記第1制御部400は、前記トレイ101における前記薬品容器10の配置を案内するためのメッセージ及び画像などを前記ディスプレイ203に表示させる。これにより、ユーザーは、前記薬品容器10を前記トレイ101内の所定の位置に容易に配置することが可能である。なお、複数の前記薬品容器10が必要な場合は、前記ステップS25~S26が繰り返し実行される。
<ステップS27>
ステップS27において、前記第1制御部400は、前記トレイ101における前記注射器11の配置を案内するためのメッセージ及び画像などを前記ディスプレイ203に表示させる。これにより、ユーザーは、前記注射器11を前記トレイ101内の所定の位置に容易に配置することが可能である。なお、複数の前記注射器11が必要な場合は、前記ステップS27が繰り返し実行される。
<ステップS28>
前記調製データに基づく前記混注処理に必要な器材の全ての案内が終了すると、続くステップS28において、前記第1制御部400は、前記調製データについての装填準備が完了した旨を表示すると共に、その旨の確認操作を受け付けるための操作キーなどを表示する。
<ステップS29>
ステップS29において、前記第1制御部400は、前記確認操作の有無を判断し、前記確認操作が行われた場合は(S29:Yes)、処理をステップS30に移行させ、前記確認操作が行われるまでの間は(S29:No)、処理をステップS29で待機させる。
<ステップS30>
ステップS30において、前記第1制御部400は、前記収容ユニット700の前記シャッター712を開放させる。具体的に、前記第1制御部400は、前記第2制御部500に対して、前記シャッター712の開放指示を送信する。これにより、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700を制御して前記シャッター712を開放させる。
なお、前記第2制御部500は、前記シャッター712を開放する前に、前記対応情報D31に基づいて、未使用の前記トレイ収容部811が前記第1移動位置に配置されるように前記移動筐体810の位置を制御する。具体的に、前記トレイ101に対応する前記トレイ収容部811として前記対応情報D31に記憶されていない前記トレイ収容部811が未使用であると判断される。なお、前記第2制御部500は、前記トレイ収容部811への前記トレイ101の装填時、及び前記トレイ収容部811からの前記トレイ101の排出時に、前記対応情報D31を更新する。
例えば、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700の待機中(非動作中)は、未使用の前記トレイ収容部811が前記第1移動位置に配置されるように前記収容ユニット700を制御することが考えられる。また、前記第2制御部500は、前記ステップS30で前記開放指示を受信した後に、前記移動筐体810を移動させて未使用の前記トレイ収容部811を前記第1移動位置に配置させてもよい。なお、前記第2制御部500は、未使用の前記トレイ収容部811が複数存在する場合には、その複数の前記トレイ収容部811のうち前記第1移動位置への移動に要する前記移動筐体810の移動量が最も少ない前記トレイ収容部811を選択して前記第1移動位置へ移動させることが考えられる。
<ステップS31>
そして、ステップS31において、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700の前記トレイ収容部811に前記トレイ101が収容されると、前記トレイ101の識別情報と前記トレイ収容部811とを対応付ける処理を実行する。具体的に、前記第2制御部500は、前記トレイ101の識別情報と前記トレイ収容部811との対応関係に基づいて、前記データ記憶部504に記憶されている前記対応情報D31を更新する。これにより、前記第2制御部500は、前記対応情報D31に基づいて前記トレイ101各々の収容先の前記トレイ収容部811を認識することが可能である。なお、前記トレイ101が前記トレイ収容部811に収容されたか否かは、前記トレイ収容部811に設けられる不図示の光学センサなどによって検知される。
<ステップS32>
次に、ステップS32において、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700を制御して、前記トレイ収容部811に収容された前記トレイ101と前記調製データとの対応関係を確認する確認動作を実行する。これにより、誤った前記トレイ101が前記トレイ収容部811に収容されることが防止される。
具体的に、前記第2制御部500は、前記ステップS31で前記トレイ101が収容されていると判断された前記トレイ収容部811が前記第2移動位置に配置されるように前記移動筐体810を下方に移動させる。その後、前記第2制御部500は、前記トレイ収容部811に収容されている前記トレイ101を前記トレイ搬送部900の前記第1搬送部910に排出し、前記第1搬送部910に設けられた前記ICリーダ930によって前記トレイ101のタグ101bから前記トレイ101の識別情報を読み取る。そして、前記第2制御部500は、前記ICリーダ930によって読み取られた前記トレイ101の識別情報と前記第1制御部400から受信した前記調製データに対応する前記トレイ101の識別情報とを照合する。ここで、照合結果が一致であると、前記第2制御部500は、前記トレイ101を前記トレイ収容部811に戻し、一連の当該装填準備処理を終了して処理を前記ステップS21に戻す。一方、照合結果が不一致である場合、前記第2制御部500は、前記第1制御部400を介して前記ディスプレイ203等にエラーを通知させて前記トレイ101を前記トレイ排出口206に向けて排出する。これにより、ユーザーは、前記トレイ101を前記トレイ排出口206から取り出すことが可能である。
[混注開始処理]
続いて、図26を参照しつつ、前記混注開始処理の一例について説明する。
<ステップS41>
ステップS41において、前記第2制御部500は、前記混注処理の実行開始タイミングが到来したか否かを判断する。具体的に、前記第2制御部500は、前記第1制御部400から実行開始要求を受信した場合に前記混注処理の実行開始タイミングが到来したと判断する。そして、前記実行開始タイミングが到来したと判断すると(S41:Yes)、処理がステップS411に移行し、前記実行開始タイミングが到来していなければ(S41:No)、処理がステップS42に移行する。
具体的に、前記第1制御部400は、ユーザーが、前記操作部405を用いて前記調製データの選択操作及び前記調製データに基づく前記混注処理の即時開始操作を行った場合に、前記調製データについての前記混注処理の実行開始要求を前記第2制御部500に送信する。また、前記第1制御部400は、前記予約混注操作によって前記調製データに基づく前記混注処理の実行開始タイミングが予約されていた場合、前記実行開始タイミングが到来した場合に、前記調製データについての前記混注処理の実行開始要求を前記第2制御部500に送信する。
なお、前記実行開始要求には、例えば前記調製データに基づく前記混注処理の実行手順などが含まれる。また、前記調製データに基づく前記混注処理の実行手順が予め前記第1制御部400から前記第2制御部500に送信されて前記データ記憶部504に記憶されており、前記実行開始要求には前記調製データの識別情報が含まれることも考えられる。
<ステップS42>
ステップS42において、前記第2制御部500は、前記第1制御部400で予約された前記調製データに、予め前記攪拌工程を実行する事前攪拌処理の対象となる調製データが存在するか否かを判断する。具体的に、前記医薬品マスターには、前記薬品ごとに対応付けて、前記事前攪拌処理の対象であるか否かを示す事前攪拌対象フラグが記憶されている。そして、前記第2制御部500は、前記事前攪拌対象フラグによって前記事前攪拌処理の対象として設定された薬品が前記調製データに含まれる場合に、当該調製データが前記事前攪拌処理の対象であると判断する。また、前記第2制御部500は、前記攪拌工程で攪拌される前記薬品容器10内の薬品と前記輸液バッグ12内の輸液との組み合わせに応じて前記事前攪拌処理の対象であるか否かを判断してもよい。なお、前記第2制御部500は、任意の前記調製データを前記事前攪拌処理の対象として選択するためのユーザー操作が事前に行われていた場合に、その選択された前記調製データが前記事前攪拌処理の対象であると判断することも考えられる。そして、前記事前攪拌処理の対象が存在すると判断された場合は(S42:Yes)、処理がステップS43に移行し、前記事前攪拌処理の対象が存在しないと判断されると(S42:No)、処理が前記ステップS41に戻される。
<ステップS43>
ステップS43において、前記第2制御部500は、前記事前攪拌処理が実行可能であるか否かを判断する。例えば、前記第2制御部500は、前記混注処理の実行中であるか否かを判断し、前記混注処理が実行されていない場合に前記事前攪拌処理が実行可能であると判断することが考えられる。さらに、前記第2制御部500は、予め設定された夜間又は深夜などの特定の時間帯において前記事前攪拌処理が実行可能であると判断することも考えられる。なお、前記事前攪拌処理が実行可能であるか否かの判断指標はここで説明するものに限らない。そして、前記事前攪拌処理が実行可能であると判断された場合は(S43:Yes)、処理がステップS44に移行し、前記事前攪拌処理が実行可能でないと判断されると(S43:No)、処理が前記ステップS41に戻される。なお、前記第2制御部500が、前記調製データを選択して前記事前攪拌処理を開始させるためのユーザー操作が行われた場合に、前記調製データについての前記事前攪拌処理を実行してもよい。
また、前記ステップS43において、前記第2制御部500が、前記医薬品マスターにおいて前記薬品容器10の薬品に対応付けられた前記攪拌工程の所要時間が予め定められた下限所要時間以上であることを条件に前記事前攪拌処理を実行すると判断することも考えられる。即ち、前記攪拌工程の所要時間が前記下限所要時間未満である場合には、前記事前攪拌処理の対象から除外される。これにより、前記攪拌工程に長時間を要する場合にのみ前記事前攪拌処理が実行されることになり、前記事前攪拌処理が不要に実行されることが抑制される。なお、前記第2制御部500は、前記下限所要時間はユーザー操作に応じて任意に設定可能である。一方、前記第2制御部500は、前記医薬品マスターにおいて前記薬品容器10の薬品に対応付けられた前記攪拌工程の所要時間が予め定められた上限所要時間未満であることを条件に前記事前攪拌処理を実行すると判断することも考えられる。即ち、前記攪拌工程の所要時間が前記上限所要時間以上である場合には、前記事前攪拌処理の対象から除外されることが考えられる。この場合、前記攪拌工程に長時間を要しない場合にのみ前記事前攪拌処理が実行されることになり、前記事前攪拌処理に起因して、他の前記調製データに基づく前記混注処理などが遅延することなどが抑制される。なお、前記第2制御部500は、前記上限所要時間はユーザー操作に応じて任意に設定可能である。
なお、前記混注装置1が設置される病院では、特定の時間帯、特定の曜日、又は特定の時期などに、前記混注装置1の使用頻度が高くなる繁忙期が存在することが考えられる。そこで、前記混注装置1において、前記第2制御部500は、前記混注開始処理のステップS43で前記事前攪拌処理が実行可能であるか否かを判断する際、例えば前記繁忙期のような予め設定された時期的条件を満たす場合には、前記事前攪拌処理が実行可能でないと判断することが考えられる。即ち、前記第2制御部500は、前記混注処理が実行中でない場合であっても、前記時期的条件を満たす場合には、前記事前攪拌処理が実行不可であると判断する。これにより、繁忙期などに前記事前攪拌処理が実行されて前記混注処理の開始が遅延する可能性が低減される。
<ステップS44>
ステップS44において、前記第2制御部500は、前記混注処理部300及び前記収容ユニット700を制御して前記事前攪拌処理を実行する。なお、前記事前攪拌処理の対象となる前記調製データが複数予約されている場合には、前記ステップS41~S44において、処理対象の前記調製データが順に選択されて前記事前攪拌処理が実行される。
なお、前記事前攪拌処理の処理対象として選択される前記調製データの順番は、前記調製データに対応して予め設定される前記完了予定時間又は前記実行開始タイミングなどの時間的要素に基づく順番に限らない。例えば、前記調製データが前記上位システム6からの受信順に選択されること、又は前記調製データがランダムに選択されることも他の実施形態として考えられる。また、予め設定された前記攪拌工程の所要時間が長い薬品を含む前記調製データが優先して選択されること、又は同一の薬品又は輸液を使用する前記調製データが連続するように前記調製データの順番が決定されることが考えられる。さらに、前記医薬品マスターに前記攪拌工程の実行後の凝固のしやすさを示す指標値が記憶されており、前記指標値に基づいて凝固しづらい薬品から順に前記調製データが選択されることも考えられる。
ここで、前記事前攪拌処理の具体的な処理例について説明する。
まず、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700を制御し、処理対象として選択された前記調製データに対応付けられている前記トレイ101を前記収容ユニット700の前記トレイ収容部811から前記混注処理部300の前記トレイ搬送部110に自動的に搬送する。なお、前記第2制御部500は、前記対応情報D31に基づいて、前記調製データに対応する前記トレイ101が収容されている前記トレイ収容部811を特定する。
その後、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21を制御し、前記トレイ101に載置された前記薬品容器10を前記攪拌装置32にセットして前記攪拌装置32で前記薬品容器10内の薬品を攪拌する前記攪拌工程を実行する。
具体的に、前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記トレイ搬送部110に供給されると、前記ICリーダ101cによって前記トレイ101の前記ICタグ101bから前記トレイ101の識別情報を読み取る。そして、前記第2制御部500は、前記トレイ101の識別情報が、当該混注処理の前記調製データに予め対応付けられた識別情報に一致する場合、前記シャッター111を開く。その後、前記第2制御部500は、前記トレイ101の前記器材載置部102を、前記トレイ搬送部110の前記トレイ昇降部112により上昇させて前記混注処理室104に露出させる。
次に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102を前記トレイ確認カメラ41により撮影する。そして、前記第2制御部500は、前記トレイ確認カメラ41による撮影画像に基づく画像認識処理によって、前記器材載置部102に載置された前記薬品容器10及び前記注射器11などの器材の位置や向きを把握する。特に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102から前記薬品容器10又は前記注射器11を取り出す度に、前記トレイ確認カメラ41で前記器材載置部102を撮影し、その撮影画像から最新の前記薬品容器10及び前記注射器11の位置や向きを把握する。
続いて、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記混注処理室104内に露出された前記器材載置部102に載置された前記注射器11を前記載置棚33に仮置きする。また、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記器材載置部102に載置された前記薬品容器10を前記薬品読取部34にセットする。そして、前記第2制御部500は、前記薬品読取部34により、前記薬品容器10に収容された薬品の種類などの情報を読み取る。
次に、前記第2制御部500は、前記器材載置部102上の全ての器材を取り出すと、前記トレイ搬送部110の前記トレイ昇降部112により前記器材載置部102を下降させて前記トレイ101に戻す。なお、前記第2制御部500は、前記器材載置部102上の器材が全て取り出されたか否かを前記トレイ確認カメラ41による撮影画像に基づく画像認識処理により確認する。
その後、前記第2制御部500は、前記シャッター111を閉めて、前記トレイ搬送部110により前記トレイ101を前記トレイ搬送終端部110aに搬送させる。次に、前記第2制御部500は、前記トレイ搬送部110の前記バッグ昇降部113により前記トレイ101の前記輸液バッグ保持部103で保持されている前記輸液バッグ12の混注口を前記混注処理室104に形成された混注連通口37に位置させる。
そして、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記薬品読取部34にセットされた前記薬品容器10を前記載置棚33に移動させる。一方、この移動処理と並行して、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記器材載置部102に載置された前記注射器11の前記注射針11cを前記注射針着脱装置43にセットする。
次に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記載置棚33から前記注射器11を取り出し、前記第2ロボットアーム22にセットする。続いて、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記注射針着脱装置43に移動させて前記注射器11に前記注射針11cをセットさせる。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記注射器11を前記針曲り検知部36に移動させ、前記注射針11cの曲りの有無を検出する。
続いて、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22により、前記トレイ搬送終端部110aに搬送された前記輸液バッグ12の混注口のゴム栓に前記注射器11の前記注射針11cを穿刺して、前記輸液バッグ12から前記調製データで示された溶解量の輸液を吸引する。一方、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記載置棚33に載置されている前記薬品容器10を取り出す。
そして、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22により、前記薬品容器10と前記注射器11とをそれぞれ接近させて、前記注射器11の前記注射針11cを前記薬品容器10に穿刺する。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22によって前記プランジャ11bを操作することにより、前記注射器11内の前記輸液を前記薬品容器10内に注入する。
なお、前記混注処理室104内に、前記事前攪拌処理で用いられる輸液が収容された専用容器が収容されており、前記事前攪拌処理では、前記専用容器内の輸液が前記薬品容器10に注入されてもよい。また、前記トレイ101に予め前記事前攪拌処理で用いられる輸液などが収容されたプラスチックアンプルがセットされ、前記事前攪拌処理において前記プラスチックアンプル内の輸液が用いられることも考えられる。
次に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記輸液が注入された前記薬品容器10を前記攪拌装置32にセットする。これにより、前記攪拌装置32では、前記薬品容器10内の薬品及び輸液が攪拌される攪拌工程が実行される。前記攪拌装置32による攪拌工程が終了すると、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21により、前記攪拌装置32から前記薬品容器10を取り出す。
そして、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21を制御し、前記薬品容器10を前記混注処理部300内の前記載置棚33に移動させて載置すると共に、前記調製データと前記載置棚33における各位置に載置された前記薬品容器10との対応関係を示す対応情報(第2対応情報の一例)を前記データ記憶部504に記憶する。ここに、係る記憶処理を実行するときの前記第1制御部400が第2記憶処理部の一例である。例えば、前記対応情報において、前記薬品容器10は、前記載置棚33における載置位置ごとに予め設定されたID等の容器識別情報が付されて識別可能に管理される。また、前記載置棚33における各位置に載置された前記薬品容器10と前記調製データの識別情報との対応関係は、前記対応情報D31に記憶されてもよい。なお、前記載置棚33は、一又は複数の前記薬品容器10と一又は複数の前記注射器11が載置可能な容器載置部及び注射器載置部の一例である。
また、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22を制御し、前記注射器11を前記混注処理部300内の前記載置棚33に移動させて載置すると共に、前記注射器11の前記載置棚33における位置を前記調製データの識別情報と対応付けて前記データ記憶部504に記憶する。これにより、前記第2制御部500は、前記調製データに基づく前記混注処理において使用する前記薬品容器10及び前記注射器11の位置を特定することが可能である。なお、前記事前攪拌処理で使用される前記注射器11は、前記事前攪拌処理で使用される専用注射器として前記輸液の種別ごとに前記載置棚33に予め設けられたものであってもよい。
一方、前記第2制御部500は、前記トレイ搬送部110を制御して、前記輸液バッグ12を前記トレイ101に戻し、前記トレイ101を前記トレイ搬送終端部110aから前記トレイ搬送開始部110bまで移動させる。その後、前記第2制御部500は、前記トレイ搬送部110の前記トレイ搬送開始部110bに設けられた前記ベルトコンベアー(不図示)を制御し、前記トレイ装填口114を介して前記収容ユニット700側に前記トレイ101を供給する。そして、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700を制御し、前記トレイ101を前記トレイ収容部811に収容させる。このとき使用される前記トレイ収容部811は、前記対応情報D31において前記トレイ101の識別情報に対応付けられたものである。なお、この場合にも、前記第2制御部500が、前記ICリーダ101c及び前記ICリーダ930を用いて前記トレイ101の識別情報と前記調製データとの対応関係を照合する。このように、前記事前攪拌処理では、前記トレイ101が前記収容ユニット700から前記混注処理部300側に移動するが、前記トレイ101は前記混注処理室104内に搬入されることなく前記収容ユニット700に戻されることになる。従って、前記事前攪拌処理における前記トレイ101の汚染が防止され、前記混注処理部300から戻った前記トレイ101が載置される前記トレイ収容部811の汚染が防止される。
前記混注装置1では、前記事前攪拌処理で使用する専用の前記注射器11及び前記プラスチックアンプルなどが前記載置棚33に載置可能であり、その専用の前記注射器11及び前記プラスチックアンプルなどを用いて前記事前攪拌処理が実行されてもよい。例えば、前記混注装置1において、前記第2制御部500は、前記事前攪拌処理で使用する専用の前記注射器11又は前記プラスチックアンプル等の補充要求操作が行われると共に、前記混注処理部300に前記事前攪拌処理で使用する専用の前記注射器11又は前記プラスチックアンプル等が載置されたトレイが装填された場合に、前記第2ロボットアーム22を制御して、前記注射器11又は前記プラスチックアンプルを前記載置棚33にセットさせる。また、前記事前攪拌処理で使用する専用の前記注射器11又は前記プラスチックアンプルは、ユーザーによって前記載置棚33の予め定められた位置に載置されてもよい。
ところで、現在予約中の前記調製データの中に、前記事前攪拌処理で攪拌される薬品と溶解液との組み合わせ及び濃度などが共通する前記調製データが複数存在する場合には、その調製データの合計数よりも少ない数の前記調製データのみについて前記事前攪拌処理が実行されることが考えられる。これにより、複数の前記調製データのいずれかに対応する前記混注処理について、前記事前攪拌処理後の前記薬品容器10を使用することが可能になる。具体的に、前記第2制御部500は、一の前記調製データに対応する前記薬品容器10を、他の前記調製データで使用する薬品容器10として再割り当てを実行することが考えられる。これにより、前記調製データのいずれかに基づく前記混注処理がキャンセルされた場合における前記薬品容器10の無駄が、全ての前記調製データについて前記事前攪拌処理が実行される場合に比べて抑制される。なお、前記第2制御部500は、前記薬品容器10と前記調製データとの再割り当てに際し、予め設定されたユーザーによる確認操作を要することが考えられる。例えば、前記第2制御部500は、前記調製データに基づく前記混注処理の開始時に、前記調製データに含まれる薬品と輸液との組み合わせ及び濃度が共通する前記薬品容器10が前記載置部33に既に載置されている場合に、前記調製データに基づく前記混注処理で前記薬品容器10を使用するか否かを選択させるための操作画面を表示させる。そして、前記第2制御部500は、前記操作画面に対して前記薬品容器10を使用する旨の操作が行われた場合に、前記混注処理において前記薬品容器10を使用する。
<ステップS411>
一方、前記混注処理の実行開始タイミングが到来した場合(S41:Yes)、前記第2制御部500は、続くステップS411において、前記第2制御部500は、前記調製データに基づく前記混注処理を含む混注制御処理を実行する。このように、前記第2制御部500は、前記ユーザーによる前記即時開始操作が行われた場合、又は、予約された前記実行開始タイミングが到来した場合に前記混注処理を実行する。即ち、前記混注処理の実行開始タイミングには、ユーザーによる前記即時開始操作が行われたとき、及び、予約された前記実行開始タイミングが到来したときが含まれる。なお、前記混注制御処理の詳細については後述する。
ところで、前記混注管理装置100において、前記第2制御部500が、前記ステップS16において、前記混注処理の実行後の前記薬品容器10の重量に基づいて前記薬品容器10に薬品が残存しているか否かを判断することが考えられる。具体的に、前記第2制御部500は、前記混注処理の終了後に前記第1ロボットアーム21又は前記第2ロボットアーム22を用いて前記薬品容器10を前記秤量計35に載置し、前記薬品容器10の重量を計測する。そして、前記第2制御部500は、前記医薬品マスターに記憶された前記薬品容器10の空状態の重量と前記混注処理の実行後の前記薬品容器10の重量との差分を算出することにより、前記混注処理の実行後の前記薬品容器10内の薬品の残量を検出することが可能である。ここに、係る検出処理を実行するときの前記第2制御部500が残量検出手段の一例である。これにより、前記第1制御部400は、前記混注処理後に実際に前記薬品容器10内に残存している前記残薬の残量に基づいて前記残薬を使用可能な調製データを優先的に表示することが可能である。なお、前記薬品容器10内の薬品の残量の検出手法はこれに限らず、例えばカメラを用いて前記薬品容器10を撮像し、その撮像された画像に基づいて前記薬品容器10内の薬品の残量を検出することも考えられる。その他、前記第2制御部500が、前記秤量計35で計測される前記注射器11の重量、又は前記注射器確認カメラ42で撮像された画像に基づいて取得される前記注射器11内の薬品量(薬品容器10からの抜取量)と、前記薬品容器10の前記既定量との差分を算出することにより前記薬品容器10内の薬品の残量を検出することも可能である。
[混注制御処理]
続いて、図27を参照しつつ、前記混注開始処理の前記ステップS411において前記第2制御部500によって実行される前記混注制御処理の手順の一例について説明する。
<ステップS51>
ステップS51において、前記第2制御部500は、前記調製データを対象とする前記混注処理において、過去に実行された前記混注処理で残存した残薬を使用することが可能であるか否かを判断する。具体的に、前記第2制御部500は、前記第1制御部400によって前記データ記憶部404に記憶されている前記残薬情報に基づいて、前記残薬と同種の薬品を処方薬に含む前記調剤データが前記混注処理の対象として選択されたか否かを判断する。さらに、前記第2制御部500は、前記残薬情報の内容が予め設定された使用条件を満たすか否かを判断する。前記使用条件は、例えば前記残薬情報に記憶された前記残薬の使用期限が経過していないこと、又は前記残薬の開封日時から所定時間が経過していないこと等である。これにより、例えば前記残薬の使用期限が経過していないことを前記使用条件として設定し、前記使用期限が経過していない前記残薬のみを使用対象とすることが可能となる。
即ち、前記第2制御部500は、前記残薬と同種の薬品を処方薬に含む前記調剤データが前記混注処理の対象として選択され、且つ、前記残薬情報の内容が予め設定された使用条件を満たす場合に、前記残薬を使用することが可能であると判断する。これにより、前記使用条件を満たさない場合に前記残薬の使用を自動的に排除することが可能となる。なお、前記第1制御部400により前記残薬が使用可能であるか否かが判断され、前記第2制御部500が、前記第1制御部400から前記残薬の使用が可能であるかを示す制御信号を受信してもよい。
また、前記使用条件が、前記調製データ及び前記薬品容器10の前記既定量に基づいて算出される前記薬品容器10内の前記残薬の残量と前記混注処理の実行後に前記第2制御部500により検出される前記薬品容器10内の前記残薬の残量との差が予め設定された範囲内であることを含むことも考えられる。これにより、実際に前記薬品容器10内に残存している前記残薬の残量と、前記調製データ及び前記薬品容器10の前記既定量に基づく残量の算出値(予測値)との差が所定の許容量を超える場合に、前記残薬の使用を防止することが可能である。例えば、前記注射器11によって前記薬品容器10から薬品を吸引する際に薬品が漏れて、実際に前記混注処理後に前記薬品容器10内に残存した前記残薬の残量が算出値より少なくなっている場合に、次の前記混注処理の開始前にその旨を判断することが可能であるため、前記混注処理の開始後に薬品の不足が判明するエラーを防止することが可能である。なお、前記使用条件が、前記調製データ及び前記薬品容器10の前記既定量に基づいて算出される前記薬品容器10内の前記残薬の残量と、前記混注処理の実行中に前記注射器確認カメラ42で撮像された前記注射器11内に吸い込まれた薬品量及び前記薬品容器10の前記既定量に基づいて算出される前記薬品容器10内の前記残薬の残量との差が予め設定された範囲内であることを含むことも考えられる。
ここで、前記第2制御部500は、前記残薬の使用が可能であると判断すると(S51のYes側)、処理をステップS53に移行させ、前記残薬を使用できないと判断すると(S51のNo側)、処理をステップS52に移行させる。
<ステップS52>
ステップS52において、前記第2制御部500は、今回の処理対象である調製データに基づく混注処理が前記即時開始操作によって実行されるものであるか否かを判断する。そして、前記即時開始操作によって実行されるものであると判断されると(S52:Yes)、処理がステップS521に移行し、前記即時開始操作によって実行されるものではないと判断されると(S52:No)、処理がステップS523に移行する。
<ステップS521>
ステップS521において、前記第2制御部500は、前記調製データを対象とする前記混注処理において、既に前記混注装置1に装填された薬品容器10内の薬品(以下、「装填済薬品」と称する)を使用可能であるか否かを判断する。具体的に、前記第2制御部500は、前記データ記憶部405に記憶されている前記対応情報D31に基づいて、前記装填済薬品と同種の薬品を処方薬に含む前記調剤データが前記混注処理の対象として選択されたか否かを判断する。ここで、前記装填済薬品が使用可能であると判断されると(S521:Yes)、処理がステップS522に移行し、前記装填済薬品が使用可能でないと判断されると(S521:No)、処理がステップS523に移行する。
具体的に、前記第2制御部500は、処理対象の調製データとは異なる他の調製データに対応する前記薬品容器10が前記収容ユニット700内のトレイ101に収容されている場合に、前記装填済薬品が使用可能であると判断することが考えられる。また、前記第2制御部500は、処理対象の調製データとは異なる他の調製データに対応する前記薬品容器10が、既に前記収容ユニット700内のトレイ101から前記混注処理室104内に取り込まれて前記載置棚33に載置されている場合に、前記装填済薬品が使用可能であると判断することが考えられる。さらに、前記第2制御部500は、処理対象の調製データとは異なる他の調製データに対応する前記薬品容器10が、前記事前撹拌処理において既に前記収容ユニット700内のトレイ101から前記混注処理室104内に取り込まれて前記載置棚33に載置されている場合に、前記装填済薬品が使用可能であると判断することが考えられる。
なお、前記第2制御部500は、前記調製データごとに前記装填済薬品の使用の有無のユーザー設定を受け付け可能であり、前記ユーザー設定により前記装填済薬品を使用しない旨の設定が行われている場合には、前記ステップS521において前記装填済薬品が使用可能ではないと判断することが考えられる。
<ステップS522>
ステップS522において、前記第2制御部500は、処理対象の調製データ(第1調製データの一例)とは異なる調製データ(第2調製データの一例)に対応して前記収容ユニット700に収容されていた前記薬品容器10内の薬品を用いて、処理対象の前記調製データに基づく前記混注処理を実行する。即ち、前記第2制御部500は、前記混注処理部300による、ある調製データに基づく前記混注処理において、当該調製データとは異なる他の調製データに対応付けて予め前記混注装置1に装填された前記薬品容器10内の薬品を使用することが可能である。
具体的に、前記第2制御部500は、前記ステップS522の実行時に、処理対象の調製データとは異なる他の調製データに対応する前記薬品容器10が前記収容ユニット700内のトレイ101に収容されている場合には、前記収容ユニット700を制御して当該トレイ101を前記収容ユニット700から前記混注処理室104に供給させる。そして、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21を制御して前記トレイ101に収容されている前記薬品容器10を載置棚33に載置させ、前記トレイ101を前記収容ユニット700に戻す。その後、処理対象の調製データに対応する前記トレイ101を前記収容ユニット700から前記混注処理室104に供給させ、前記載置棚33に載置された他の調製データに対応する前記薬品容器10を用いて前記混注処理を実行する。これにより、前記混注装置1では、例えば前記処理対象の調製データに含まれる薬品の取り揃えに時間を要する場合であっても、既に前記混注装置1内に存在する薬品を用いて当該調製データに基づく前記混注処理を実行することが可能である。
また、前記第2制御部500は、処理対象の調製データとは異なる他の調製データに対応する前記薬品容器10が、既に前記収容ユニット700内のトレイ101から前記混注処理室104内に取り込まれて前記載置棚33に載置されている場合、当該載置棚33に載置されている前記薬品容器10を使用して前記混注処理を実行する。同じく、前記第2制御部500は、処理対象の調製データとは異なる他の調製データに対応する前記薬品容器10が、前記事前撹拌処理において既に前記収容ユニット700内のトレイ101から前記混注処理室104内に取り込まれて前記載置棚33に載置されている場合には、当該載置棚33に載置されている前記薬品容器10を使用して前記混注処理を実行する。但し、前記第2制御部500は、処理対象の調製データにおける前記薬品容器10内の薬品の溶解後の濃度と、前記事前撹拌処理において既に前記収容ユニット700内のトレイ101から前記混注処理室104内に取り込まれて前記載置棚33に載置されている薬品の濃度とが同じであることを条件に当該載置棚33に載置されている薬品を使用する。これにより、前記混注装置1では、前記処理対象の調製データについて前記事前撹拌処理が実行される前であっても、当該調製データに基づく前記混注処理を迅速に実行することが可能である。
ところで、前記ステップS522において、処理対象の調製データとは異なる他の調製データに対応して前記収容ユニット700に収容されていた前記薬品容器10内の薬品を用いて、処理対象の前記調製データに基づく前記混注処理が実行された場合には、前記他の調製データに基づく混注処理が実行される場合に、前記薬品容器10が不足することになる。そのため、前記第2制御部500は、処理対象の調製データに対応する前記トレイ101に前記薬品容器10が載置されていた場合には、処理対象の調製データに基づく混注処理が終了した後、当該薬品容器10を前記他の調製データに基づく混注処理で使用する薬品容器10として前記載置棚33に載置させる。また、前記薬品容器10について前記事前撹拌処理が実行されていた場合、前記第2制御部500は、処理対象の調製データに基づく混注処理が終了した後、前記調製データに対応する前記トレイ101に収容されていた前記薬品容器10について前記事前撹拌処理を実行してから当該薬品容器10を前記載置棚33に載置させる。
なお、前記第2制御部500は、処理対象の調製データに対応する前記トレイ101が前記混注装置1に装填される際に、当該トレイ101に前記薬品容器10が載置されていなかった場合には、処理対象の調製データに基づく混注処理が終了した後、当該薬品容器10の補充を促す旨のメッセージ等を前記タッチパネルモニタ14に表示させることによってユーザーに報知する。また、そして、前記第2制御部500は、ユーザーによって補充される前記薬品容器10を前記他の調製データに基づく混注処理で使用する薬品容器10として前記載置棚33に載置させる。また、前記薬品容器10が前記事前撹拌処理を要するものである場合、前記第2制御部500は、処理対象の調製データに基づく混注処理が終了した後、ユーザーによって補充された前記薬品容器10について前記事前撹拌処理を実行してから当該薬品容器10を前記載置棚33に載置させる。
また、前記混注装置1では、処理対象の調製データに基づく混注処理の終了後に前記他の調製データに対応する前記薬品容器10が補充されていない場合でも、当該他の調製データに基づく混注処理が実行される際に前記混注装置1内に当該混注処理で使用する薬品が存在する場合には、その薬品を使用して前記混注処理が実行されることになる。即ち、前記混注装置1内には、全ての前記調製データに対応する薬品が全て装填されている必要がなく、全ての前記調製データに対応する薬品よりも少ない数の薬品が装填された状態で、その薬品を前記調製データ各々に基づく混注処理で有効に利用することが可能である。従って、例えば前記混注装置1に入力された調製データに基づく混注処理で使用される薬品容器10が前記混注装置1に装填された後に当該混注処理がキャンセルされた場合における薬品の無駄が抑制される。
なお、全ての前記調製データに対応する薬品よりも少ない数の薬品が装填される場合には、前記他の調製データに基づく混注処理が実行される際に、前記混注装置1内に当該混注処理で使用する薬品が存在しないことがある。そのため、前記第2制御部500は、処理対象の調製データに基づく混注処理を実行する際に、前記混注装置1内に当該混注処理で使用する薬品が存在しないことを条件に、前記タッチパネルモニタ14又は前記ディスプレイ203等の表示部に前記混注処理で使用する薬品に対応する前記薬品容器10を補充する旨を表示させてユーザーに報知することが考えられる。そして、前記第2制御部500は、補充された前記薬品容器10を用いて前記混注処理を実行する。
また、前記ステップS522において、前記第2制御部500は、前記調製データを対象とする前記混注処理において前記装填済薬品の使用の有無をユーザー選択に応じて切り替え可能であってもよい。例えば、前記第2制御部500は、ユーザーに、前記装填済薬品の使用の可否を選択させるための操作画面を前記タッチパネルモニタ14又は前記ディスプレイ203等の表示部に表示させ、ユーザー操作に応じて当該薬品容器10の使用の有無を切り替えることが考えられる。
なお、本実施の形態では、一の調製データに対応付けて前記混注装置1に装填された前記薬品容器10を他の調製データに基づく混注処理で使用可能な場合を例に挙げて説明したが、このような器材の流用は前記薬品容器10に限らない。例えば、前記混注制御部100は、一の調製データに対応付けて前記混注装置1に装填された前記トレイ101内に器材として載置される前記薬品容器10、前記注射器11、前記輸液バッグ12のいずれか一つ又は複数を他の調製データに基づく混注処理で使用可能であることも考えられる。なお、前記薬品容器10に代えて前記注射器11又は前記輸液バッグ12が流用される場合も前記薬品容器10と同様に処理されればよいため詳細な説明は省略する。
<ステップS523>
なお、ステップS523において、前記第2制御部500は、前記第1制御部400から入力された前記調製データに基づいて前記混注処理部300を制御することにより前記薬品容器10から前記輸液バッグ12に薬品を注入する通常の前記混注処理を実行する。
具体的に、ステップS523において、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700を制御し、前記実行開始タイミングが到来した前記調製データに対応付けられている前記トレイ101を前記収容ユニット700の前記トレイ収容部811から前記混注処理部300に自動的に供給する。そして、前記混注処理において、前記第2制御部500は、前記調製データに示された薬品を前記トレイ101に載置された一又は複数の前記薬品容器10から前記注射器11によって吸引し、前記注射器11から前記輸液バッグ12に注入する。
なお、前記第2制御部500は、前記トレイ収容部811から搬出されて前記第1搬送部910上に載置されている前記トレイ101のICタグ101bから読み取られる前記トレイ101の識別情報と、前記調製データに対応付けられている前記トレイ101の識別情報とを照合することが考えられる。そして、前記第2制御部500は、前記照合結果が一致である場合に、前記トレイ101を前記混注処理部300に供給し、前記照合結果が不一致である場合には、エラーを通知して前記トレイ101を前記トレイ排出口206に向けて排出する。これにより、前記トレイ101と前記調製データとの対応関係の正確性が担保される。
また、前記調製データが、前記事前攪拌処理により前記攪拌工程が既に実行されている調製データである場合には、前記事前攪拌処理によって攪拌された後の前記薬品容器10を用いて前記混注処理が実行され、前記攪拌工程が省略される。具体的に、前記混注処理において、前記事前攪拌処理の対象となっていた前記薬品容器10については、前記トレイ101から取り出す処理が実行されず、前記事前攪拌処理時に前記載置棚33に載置された攪拌工程後の前記薬品容器10が用いられる。同じく、前記混注処理においては、前記事前攪拌処理で用いられた前記注射器11についても、前記トレイ101から取り出す処理が実行されず、前記事前攪拌処理時に前記載置棚33に載置された前記注射器11が用いられる。そして、前記第2制御部500は、前記事前攪拌処理において前記攪拌工程が実行されて既に攪拌されている前記薬品容器10を用いる前記混注処理では、前記薬品容器10についての前記攪拌工程を省略する。これにより、前記混注処理の実行開始タイミング到来後の所要時間が短縮される。なお、前記第2制御部500は、前記事前攪拌処理において攪拌された前記薬品容器10については、前記混注処理における前記攪拌工程を、前記事前攪拌処理が実行されなかった場合に比べて実行時間を短縮して実行することも考えられる。
ところで、前記混注装置1では、ある調製データについて前記事前攪拌処理が実行された後、その調製データについての前記混注処理が連続して実行されない場合には、その調製データについての前記混注処理の実行開始タイミングの到来までの間に、他の調製データに基づく前記混注処理又は前記事前攪拌処理が実行されることがある。即ち、前記混注装置1では、一の前記調製データについて前記事前攪拌処理部によって実行される前記攪拌工程と当該調製データについて前記混注処理部によって実行される前記注入工程との間に、他の前記調製データについての前記攪拌工程及び前記注入工程の少なくとも一方が実行されることがある。従って、他の実施形態として、前記実行開始タイミングは、一の前記調製データに対応する前記攪拌工程の実行後、他の前記調製データに対応する前記攪拌工程及び前記注入工程の少なくとも一方が実行された後のタイミングであってもよい。例えば、夜間などに複数の前記調製データについて前記事前攪拌処理が順次実行された後、翌朝などにその複数の前記調製データについての前記混注処理が実行されることが考えられる。
<ステップS53>
一方、ステップS53において、前記第2制御部500は、前記第1制御部400から入力された前記調製データに基づいて前記混注処理部300を制御することにより、前記残薬を使用して前記輸液バッグ12に薬品を注入する例外的な前記混注処理を実行する。従って、例えば混注処理後に薬品が前記薬品容器10に残存する場合に当該薬品が有効に利用され、当該薬品の無駄が抑制される。特に、前記混注装置1では、処理対象の調製データに対応する薬品と同じ薬品が残薬として既に前記混注装置1内に存在する場合には、その残薬が、既に前記収容ユニット700に収容されている他の前記トレイ101に存在する薬品よりも優先して使用されて前記混注処理が実行される。
なお、前記第1制御部400又は前記第2制御部500は、前記調製データに基づく混注処理において残薬を使用しない場合に比べて残薬を使用することによって不要となった前記薬品容器10の数を残薬利用履歴として記憶し、前記ディスプレイ203又は前記タッチパネルモニタ14等の表示部に出力可能であることが考えられる。これにより、ユーザーは、前記残薬利用履歴を参照することによって残薬利用による効率を把握することが可能である。
<ステップS54>
前記混注処理が終了すると、ステップS54において、前記第2制御部500は、前記薬品容器10に薬品が残存したか否かを判断する。前記ステップS54における前記判断処理は、前記第1制御部400で実行される前記ステップS16と同様の処理であってもよいが、前記第1制御部400から前記残薬が生じるか否かを示す制御信号を受信してもよい。
ここで、前記第2制御部500は、前記薬品が残存したと判断すると(S54のYes側)、処理をステップS55に移行させ、前記薬品が残存しなかったと判断すると(S54のNo側)、処理をステップS541に移行させる。
<ステップS55>
前記薬品容器10に薬品が残存する場合、続くステップS55において、前記第2制御部500は、前記薬品容器10内の薬品を再度利用可能な状態で前記混注処理室104内に保存する。より具体的に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21を制御することにより、前記薬品容器10を再度利用可能な状態で前記載置棚33に載置させる。また、前記第2制御部500は、前記薬品の名称、前記薬品容器10内の薬品の残量、前記薬品容器10の載置位置、前記薬品容器10の開封日時、及び前記薬品容器10内の残薬の使用期限などの各種の情報を前記データ記憶部504に記憶させる。
<ステップS541>
一方、前記薬品容器10に薬品が残存しない場合、前記第2制御部500は、ステップS541において、前記第1ロボットアーム21により前記薬品容器10を前記ゴミ収容室13aに廃棄する。即ち、前記薬品容器10内の薬品を使い切っていない場合は前記薬品容器10が前記載置棚33に戻され、前記薬品容器10内の薬品が使い切られた場合は前記薬品容器10が廃棄される。
[混注装置1の動作例]
ここに、図28は、前記混注制御装置100により前記混注管理処理及び前記混注制御処理が実行された場合の実際の動作例を説明するための図である。図28(A)は調製データの一例、図28(B)は残薬情報の一例、図28(C)~(E)は前記処方表示部D2の一部分の表示例を示している。なお、図28で示す情報は説明の便宜上、本件に関わりの少ない情報の項目を省略している。
ここでは、図28(A)に示すように、前記混注処理の対象となる前記調剤データの選択候補として調製データRp1~Rp4が前記第1制御部400に入力されている場合を考える。例えば、前記調製データRp1では、調製する薬品名が「5ーFU注1000mg」、払出量が「15ml」、前記薬品名「5ーFU注1000mg」の薬品が収容された前記アンプル10Aの既定量は「20ml」であることが示されている。また、前記調製データRp2では、調製する薬品名が「キロサイドN(登録商標)注1g」、払出量が「50ml」、前記薬品名「キロサイドN注1g」の薬品が収容された前記アンプル10Aの既定量は「50ml」であることが示されている。なお、前記第1制御部400は、前記データ記憶部404に記憶された前記薬品マスターから前記薬品名「5ーFU注1000mg」、「キロサイドN注1g」などに対応する既定量を取得してもよい。さらに、前記第1制御部400は、前記バーコードリーダ34bにより前記薬品容器10のバーコードから前記既定量を取得してもよい。
そして、前記第1制御部400において、前記混注処理の対象として前記調製データRp1が選択されると、前記第1制御部400は、前記払出量と前記既定量との差分(5ml)を算出する。これにより、前記第1制御部400は、前記薬品名「5ーFU注1000mg」が前記アンプル10A内に「5ml」残存すると判断し、その旨を前記残薬情報(図28(B)参照)として前記データ記憶部404に記憶させる。図28(B)に示す前記残薬情報では、前記薬品名「5ーFU注1000mg」の薬品が残量「5ml」だけ前記アンプル10Aに残存しており、開封日時が「2013/02/15の11時」、使用期限が「2013/02/15の13時」である旨が示されている。
なお、ここでは説明の便宜上、処方量が前記アンプル10Aの既定量以下であり、使用される前記アンプル10Aが1本である場合を例に挙げて説明する。一方、処方量が前記アンプル10Aの既定量を超える場合には、複数の前記アンプル10Aが使用され、結果的に1本の前記アンプル10A内に薬品が残存することになる。例えば、前記調製データRp1の処方量が「30ml」である場合には、前記トレイ101に前記アンプル10Aが2本装填される。このとき、前記第1制御部400は、その2本の前記アンプル10Aの合計量である「40ml」と処方量の「30ml」との差分により2本目の前記アンプル10Aに「10ml」の薬品が残存すると判断する。
次に、前記第1制御部400は、前記調製データRp2~Rp4のうち、前記残薬情報に示された薬品名「5ーFU注1000mg」の残薬と同種の薬品を処方薬として含む前記調製データRp3及びRp4を対象とする前記混注処理であれば、前記残薬を使用することが可能であると判断する。
そして、前記第1制御部400は、図28(C)に示すように、前記調製データRp2~Rp4のうち前記調製データRp3及びRp4を前記調製データRp2よりも上位に並べ替えて前記処方選択画面M1(図29参照)に優先的に表示させる。また、前記第1制御部400は、図28(C)に示すように、前記処方選択画面M1における前記残薬有無表示部D21(図29参照)に「○」を表示させることにより、前記調製データRp3及びRp4について前記残薬を使用することが可能である旨を表示する。これにより、ユーザーは、前記処方選択画面M1において上位に表示された前記調製データRp3及びRp4を次の前記混注処理の対象とすることにより前記残薬を使用することが可能である旨を認識することができる。なお、図28(C)に示すように、前記残薬とは異なる種類の薬品が処方薬である前記調製データRp2については、前記残薬有無表示部D21に「○」が表示されないことにより、前記残薬を使用することができない旨が示される。
例えば、前記調製データRp3では、調製する薬品名が「5ーFU注1000mg」、払出量が「25ml」、前記薬品名「5ーFU注1000mg」の薬品が収容された前記アンプル10Aの既定量は「20ml」であることが示されている。そして、前記調製データRp3を対象とする前記混注処理では、2本の前記アンプル10Aが必要となる。しかしながら、前記残薬として薬品「5ーFU注1000mg」が「5ml」残存しており、その残薬を使用することができれば、前記調製データRp3を対象とする前記混注処理では、1本の前記アンプル10Aだけを新たに装填すればよいことになる。
一方、前記調製データRp4では、調製する薬品名が「5ーFU注1000mg」、払出量が「5ml」、前記薬品名「5ーFU注1000mg」の薬品が収容された前記アンプル10Aの既定量は「20ml」であることが示されている。そして、前記調製データRp4を対象とする前記混注処理では、1本の前記アンプル10Aが必要となる。しかしながら、前記残薬として薬品「5ーFU注1000mg」が「5ml」残存しており、その残薬を使用することができれば、前記調製データRp4を対象とする前記混注処理では、前記アンプル10Aを新たに装填する必要がないことになる。そこで、前記第1制御部400が、前記残薬の残量で払出量が足りる前記調製データ、即ち前記調製データRp4を優先的に上位に表示させることも他の実施形態として考えられる。
ところで、前記第1制御部400は、図28(D)に示すように、前記調製データRp2~Rp4のうち前記調製データRp3及びRp4を優先的に表示させるために、前記調製データRp3及びRp4のみを前記処方選択画面M1に表示させることも考えられる。また、前記第1制御部400は、図28(E)に示すように、前記調製データRp3及びRp4について患者に対する処方日が予め設定されている場合に、前記処方日が早い方、即ち前記調製データRp4を優先的に上位に表示させることも考えられる。
なお、一つの前記調製データに複数の混注処理を伴う複数種類の薬品が存在する場合、前記第1制御部400は、前記混注処理各々において前記残薬の有無を判断し、前記残薬の少なくとも一つと同種の薬品を処方薬として含む前記調製データを優先的に表示させることが考えられる。また、前記第1制御部400は、複数種類の前記残薬が存在する場合、処方薬として含む前記残薬と同種の薬品の数が多い調製データを上位に表示させることが考えられる。
[混注装置1の他の動作例]
ここに、図29は、前記混注制御装置100により前記混注管理処理及び前記混注制御処理が実行された場合の実際の他の動作例を説明するための図である。図29(A)は調製データの一例、図29(B)は残薬情報の一例、図29(C)は前記処方表示部D2の一部分の表示例を示している。なお、図29で示す情報は説明の便宜上、本件に関わりの少ない情報の項目を省略している。
ここでは、図29(A)に示すように、前記混注処理の対象となる前記調剤データの選択候補として調製データRp11~Rp15が前記第1制御部400に入力されている場合を考える。例えば、前記調製データRp11では、調製する薬品名が「ジェムザール(登録商標)注射用1g」、払出量が「25ml」、溶媒が「生理食塩液100ml」、溶媒量が「30ml」である。即ち、前記調製データRp11では、前記バイアル瓶10Bで生成される混合薬の成分は薬品「ジェムザール注射用1g」及び溶媒「生理食塩液100ml」である。同じく、前記調製データRp12では、調製する薬品名が「マイトマイシン(登録商標)注用2mg」、払出量が「5ml」、溶媒が「生理食塩液100ml」、溶媒量が「5ml」である。また、前記調製データRp15では、調製する薬品名が「ジェムザール注射用1g」、払出量が「25ml」、溶媒が「ブドウ糖注5%100ml」、溶媒量が「30ml」である。
そして、前記第1制御部400において、前記混注処理の対象として前記調製データRp11が選択されると、前記第1制御部400は、前記バイアル瓶10B内に混合薬品が残存するか否かを判断する。具体的に、前記第1制御部400は、前記溶媒量と前記払出量との差分に応じて前記バイアル瓶10B内に混合薬品が残存するか否かを判断する。即ち、前記混注処理において、前記薬品容器10内で混合薬品が生成される場合、前記第1制御部400は、前記薬品容器10内で生成された混合薬品の量を前記薬品容器10内に収容された薬品の既定量として捉える。そして、前記第1制御部400は、薬品「ジェムザール注射用1g」及び溶媒「生理食塩液100ml」の混合薬品が残存すると判断すると、その旨を前記残薬情報(図29(B)参照)として前記データ記憶部404に記憶させる。図29(B)に示す前記残薬情報では、薬品名「ジェムザール注射用1g」に溶媒「生理食塩液100ml」が「30ml」混合された混合薬品が「5ml」だけ前記バイアル瓶10Bに残存する旨が示されている。
この場合、前記第1制御部400は、前記調製データRp12~Rp15のうち、前記残薬情報に示された薬品「ジェムザール注射用1g」及び溶媒「生理食塩液100ml」の混合薬品と同じ成分及び混合比率の薬品を処方薬として含む前記調製データRp14を対象とする前記混注処理であれば、前記残薬を使用することが可能であると判断する。なお、前記混合薬品の混合比率については薬品名に含まれた成分量と溶媒の溶媒量とに応じて定まるため、前記第1制御部400は、薬品名と溶媒量とが同じである場合に前記混合薬品の混合比率が同じであると判断することが可能である。
そして、前記第1制御部400は、図29(C)に示すように、前記調製データRp12~Rp15のうち前記調製データRp14を前記調製データRp12及びRp13よりも上位に並べ替えて前記処方選択画面M1に優先的に表示させる。また、前記第1制御部400は、図29(C)に示すように、前記処方選択画面M1における前記残薬有無表示部D21(図29参照)に「○」を表示させることにより、前記調製データRp14については前記残薬を使用することが可能である旨を表示する。これにより、ユーザーは、前記処方選択画面M1において上位に表示された前記調製データRp14を次の前記混注処理の対象とすることにより前記残薬を使用することが可能である旨を認識することができる。
なお、図29(C)に示すように、前記残薬とは異なる種類の薬品が処方薬である前記調製データRp12については、前記残薬有無表示部D21に「○」が表示されないことにより、前記残薬を使用することができない旨が示される。また、図29(C)に示すように、前記残薬とは溶媒量が異なる前記調製データRp13については、前記残薬有無表示部D21に「○」が表示されないことにより、前記残薬を使用することができない旨が示される。さらに、図29(C)に示すように、前記残薬とは溶媒が異なる前記調製データRp15については、前記残薬有無表示部D21に「○」が表示されないことにより、前記残薬を使用することができない旨が示される。
ところで、前記混合薬品では、厳密に言えば薬品及び溶媒の混合により混合薬の容量は、薬品の質量分だけ溶媒量よりも増加する。そこで、前記第1制御部400が、前記薬品の質量分を考慮して前記残薬を管理する機能を有することも他の実施形態として考えられる。この場合、前記第1制御部400は、前記薬品の質量分を考慮する第1の運用モードと前記薬品の質量分を考慮しない第2の運用モードとを、前記操作部405のユーザー操作に応じて切り替え可能であることが考えられる。なお、この場合、前記第1制御部400の前記データ記憶部404では、例えば前記医薬品マスターに薬品ごとの単位体積あたりの質量、薬品ごとの単位質量あたりの体積、又は薬品名ごとの体積が記憶されている。例えば、前記医薬品マスターにおいて、薬品名「ジェムザール注射用1g」に対応する体積が記憶されていることが考えられる。そして、前記第1制御部400は、前記医薬品マスターに基づいて薬品の体積を取得し、前記混合薬品の実際の容量を導出することが考えられる。
[一括調製鑑査機能]
ところで、前述したように、前記混注装置1では、前記混注処理の終了後に前記混注処理の結果を鑑査するために前記調製鑑査処理が実行される。しかしながら、この場合には、前記混注処理の終了ごとに前記調製鑑査処理が実行され、ユーザーはその都度、前記調製結果を確認する必要がある。
これに対し、前記混注装置1は、前述したように複数の前記トレイ101が収容可能な前記収容ユニット700を備える。そこで、前記混注装置1は、前記混注処理の実行後の複数の前記トレイ101を前記収容ユニット700にストックしておき、前記トレイ101各々に対応する前記調製データについて纏めて前記調製鑑査処理を実行する一括調製鑑査機能を備えることが考えられる。具体的に、前記混注制御部100は、前記第1制御部400又は前記第2制御部500を用いて前記第1混注制御プログラム又は前記第2混注制御プログラムに従って、後述の一括調製鑑査処理を実行することにより、前記一括調製鑑査機能を実現する。なお、前記第2制御部500は、前記一括調製鑑査機能の有効及び無効をユーザー操作に応じて切り替え可能であり、前記混注装置1が備える他の機能についても同様である。ここに、前記一括調製鑑査処理を実行するときの前記混注制御部100が収容処理部及び調製鑑査処理部の一例である。
[一括調製鑑査処理]
以下、図30を参照しつつ、前記一括調製鑑査機能が有効である場合に前記混注装置1で実行される前記一括調製鑑査処理の一例について説明する。
<ステップS61>
まず、ステップS61において、前記第2制御部500は、前記混注処理が終了したか否かを判断し、前記混注処理が終了したと判断すると(S61:Yes)、処理をステップS62に移行させ、前記混注処理が終了していないと判断する(S61:No)、処理をステップS63に移行させる。
<ステップS62>
ステップS62において、前記第2制御部500は、前記混注処理後の前記輸液バッグ12が収容された前記トレイ101を前記収容ユニット700にストックするための処理を実行する。具体的に、前記第2制御部500は、前記トレイ搬送部110を制御して、前記輸液バッグ12を前記トレイ101に戻し、前記トレイ101を前記トレイ搬送終端部110aから前記トレイ搬送開始部110bまで移動させる。続いて、前記第2制御部500は、前記トレイ搬送部110を制御して、前記トレイ装填口114を介して前記収容ユニット700側に前記トレイ101を供給する。
その後、前記第2制御部500は、前記収容ユニット700を制御して、前記トレイ101を前記昇降ユニット800の前記トレイ収容部811に収容する。このとき、前記第2制御部500は、前記トレイ101の識別情報と前記トレイ収容部811との対応関係を示す前記対応情報D31を更新する。また、前記第2制御部500は、前記トレイ101が前記収容ユニット700の前記トレイ収容部811に収容される前に前記ICリーダ930で前記トレイ101の識別情報を読み取り、当該識別情報を前記調製データに対応付けられた前記トレイ101の識別情報と照合する。
<ステップS63>
ステップS63において、前記第2制御部500は、前記タッチパネルモニタ14などに対して、予め定められた調製鑑査開始操作が行われたか否かを判断する。例えば、前記第2制御部500は、ユーザー操作に応じて前記タッチパネルモニタ14に前記混注処理が実行済みの前記調製データの一覧を表示させ、一又は複数の前記調製データが選択された場合に、一又は複数の当該調製データについて前記調製鑑査開始操作が行われたと判断する。ここで、前記調製鑑査開始操作が行われたと判断すると(S63:Yes)、処理がステップS64に移行し、前記調製鑑査開始操作が行われていなければ(S63:No)、処理が前記ステップS61に戻される。
<ステップS64>
ステップS64において、前記第2制御部500は、一又は複数の前記調製データを対象に前記調製鑑査処理を実行する。具体的に、前記第2制御部500は、前記調製鑑査開始操作が行われる際に選択された一又は複数の前記調製データについて前記調製鑑査処理を順に実行する。
前記第2制御部500は、前記調製データに対応する前記調製鑑査処理において前記混注処理の結果が適正である旨を示す前記鑑査完了の操作が行われるごとに、当該調製データに対応する前記トレイ101を順に前記収容ユニット700から前記トレイ排出口206に向けて排出する。これにより、ユーザーは、前記トレイ101を前記トレイ排出口206から取り出すことが可能である。なお、前記鑑査完了の操作が行われるまでの間は、前記トレイ101が排出されない。即ち、前記第2制御部500は、前記調製鑑査処理において前記混注処理の結果が適正であると判断されるまでの間は、当該混注処理の実行後の前記トレイ101の取り出しを制限する。
このように、前記混注装置1では、前記一括調製鑑査機能により、前記調製データ各々について前記調製鑑査処理を纏めて順に実行することが可能である。従って、前記混注処理が終了するごとにユーザーが確認操作を行う必要がなく、ユーザー操作の負荷が軽減される。
[一括攪拌鑑査機能]
また、前記混注装置1では、前述したように、前記攪拌工程の終了後に前記攪拌工程による攪拌結果を鑑査するために前記攪拌鑑査処理が実行される。一方、前記混注装置1は、前述したように複数の前記トレイ101が収容可能な前記収容ユニット700を備え、複数の前記薬品容器10について前記事前攪拌処理を実行することがある。ここで、前記事前攪拌処理においても、前記攪拌工程の終了ごとに前記攪拌鑑査処理が実行されると、ユーザーはその都度、前記攪拌結果を確認する必要がある。
そこで、前記混注装置1は、複数の前記事前攪拌処理によって実行された前記攪拌工程で攪拌された後の複数の前記薬品容器10を前記載置棚33にストックしておき、複数の前記薬品容器10について纏めて前記攪拌鑑査処理を実行可能な一括攪拌鑑査機能を備えることが考えられる。具体的に、前記混注制御部100は、前記第1制御部400又は前記第2制御部500を用いて前記第1混注制御プログラム又は前記第2混注制御プログラムに従って、後述の一括攪拌鑑査処理を実行することにより、前記一括攪拌鑑査機能を実現する。
[一括攪拌鑑査処理]
以下、図31を参照しつつ、前記一括攪拌鑑査機能が有効である場合に前記混注装置1で実行される前記一括攪拌鑑査処理の一例について説明する。
<ステップS71>
まず、ステップS71において、前記第2制御部500は、前記攪拌工程が終了したか否かを判断し、前記攪拌工程が終了したと判断すると(S71:Yes)、処理をステップS72に移行させ、前記攪拌工程が終了していないと判断する(S71:No)、処理をステップS73に移行させる。
<ステップS72>
ステップS72において、前記第2制御部500は、前記攪拌工程後の前記薬品容器10を前記載置棚33にストックするための処理を実行する。ここで、係る処理を実行するときの前記第2制御部500が載置処理部の一例である。具体的に、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21を制御して、前記薬品容器10を前記載置棚33に移動させる。なお、前記データ記憶部504には、前記薬品容器10の識別情報と前記載置棚33における配置との対応関係を示す配置テーブル情報が記憶されており、前記第2制御部500は、当該ステップS72において前記配置テーブルを更新する。
<ステップS73>
ステップS73において、前記第2制御部500は、前記タッチパネルモニタ14などに対して、予め定められた攪拌鑑査開始操作が行われたか否かを判断する。例えば、前記第2制御部500は、ユーザー操作に応じて前記タッチパネルモニタ14に前記攪拌工程が実行済みの前記薬品容器10の一覧を表示させ、一又は複数の前記薬品容器10が選択された場合に、一又は複数の当該薬品容器10について前記攪拌鑑査開始操作が行われたと判断する。ここで、前記攪拌鑑査開始操作が行われたと判断すると(S73:Yes)、処理がステップS74に移行し、前記攪拌鑑査開始操作が行われていなければ(S73:No)、処理が前記ステップS71に戻される。
<ステップS74>
ステップS74において、前記第2制御部500は、前記載置棚33に載置されている前記攪拌行程後の一又は複数の前記薬品容器10を対象に前記攪拌鑑査処理を実行する。ここに、係る処理を実行するときの前記第2制御部500が攪拌鑑査処理部の一例である。具体的に、前記第2制御部500は、前記攪拌鑑査開始操作が行われる際に選択された一又は複数の前記薬品容器10について前記攪拌鑑査処理を順に実行する。
そして、前記第2制御部500は、前記薬品容器10に対応する前記攪拌鑑査処理において前記鑑査完了の操作が行われるごとに、当該薬品容器10の使用を許可する。即ち、前記第2制御部500は、前記攪拌鑑査処理が実行されるまでの間は、前記事前攪拌処理で攪拌された前記薬品容器10の使用を制限する。
このように、前記混注装置1では、前記一括攪拌鑑査機能により、前記事前攪拌処理の対象となっていた前記薬品容器10各々について前記攪拌鑑査処理を纏めて順に実行することが可能である。従って、前記攪拌工程が終了するごとにユーザーが確認操作を行う必要がなく、ユーザー操作の負荷が軽減される。
[一括全量採取鑑査機能]
ところで、前記混注処理では、前記薬品容器10内の薬品が全量採取される場合に、前記薬品容器10内に薬品が残存していないことがユーザーによって確認される全量採取鑑査が行われることがある。例えば、前記全量採取が終了するごとにユーザーに前記全量採取の終了が通知された後、そのユーザーによる確認操作が行われるまでの間、前記混注処理の進行が制限されることがある。この場合、前記調製データに基づく前記混注処理において複数の前記薬品容器10について薬品の全量採取が行われる場合には、前記薬品容器10各々について全量採取が実行される度に前記全量採取鑑査が実行されることになる。そのため、ユーザーが、前記薬品容器10各々の全量採取が終了する度に前記混注装置1に対する操作を行う必要がある。
これに対し、前記混注装置1は、複数の前記薬品容器10についての全量採取鑑査をまとめて実行する一括全量採取鑑査機能を備えることが考えられる。具体的に、前記混注制御部100は、前記第1制御部400又は前記第2制御部500を用いて前記第1混注制御プログラム又は前記第2混注制御プログラムに従って、後述の一括全量採取鑑査処理を実行することにより、前記一括全量採取鑑査機能を実現する。
[一括全量採取鑑査処理]
以下、図32を参照しつつ、前記一括全量採取鑑査機能が有効である場合に前記混注装置1で実行される前記一括全量採取鑑査処理の一例について説明する。なお、前記一括全量採取鑑査処理は、前記混注処理と共に実行される。
<ステップS81>
ステップS81において、前記第2制御部500は、前記調製データに基づく前記混注処理において全量採取の対象となる前記薬品容器10が複数存在するか否かを判断する。ここで、全量採取の対象となる前記薬品容器10が複数存在すると判断されると(S81:Yes)、処理がステップS82に移行し、全量採取の対象となる前記薬品容器10が複数存在しないと判断されると(S81:No)、当該一括全量採取処理は終了する。
<ステップS82>
ステップS82において、前記第2制御部500は、全量採取の対象の複数の前記薬品10のいずれかについての全量採取が終了したか否かを判断する。ここで、全量採取が終了したと判断されると(S82:Yes)、処理がステップS83に移行し、全量採取が終了していない場合(S82:No)、処理が当該ステップS82で待機する。
<ステップS83>
ステップS83において、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21を制御して、前記ステップS82で終了したと判断された全量採取の対象の前記薬品容器10を前記載置棚33に載置する。このとき、前記第2制御部500は、前記薬品容器10と前記載置棚33における配置とを対応付けて前記データ記憶部504に記憶させる。なお、前記載置棚33は、第2載置部の一例であり、前記全量採取の実行後の前記薬品容器10を前記載置棚33に載置させるための処理を実行するときの前記第2制御部500が第2載置処理部の一例である。なお、本実施形態では、前記載置棚33が前記第1載置部及び前記第2載置部の一例であるが、前記第1載置部及び前記第2載置部が個別に設けられていてもよい。
<ステップS84>
ステップS84において、前記第2制御部500は、前記調製データにおいて全量採取の対象である複数の前記薬品容器10の全てについて全量採取が終了したか否かを破断する。ここで、全ての全量採取が終了したと判断されると(S84:Yes)、処理がステップS85に移行し、全ての全量採取が終了していないと判断されると(S84:No)、処理が前記ステップS82に移行する。
<ステップS85>
ステップS85において、前記第2制御部500は、前記調製データにおいて全量採取の対象である複数の前記薬品容器10の全てについて全量採取が終了した旨を通知する。例えば、前記第2制御部500は、前記タッチパネルモニタ14に全量採取の終了を表示させる。また、前記第2制御部500は、前記第1制御部400を介して前記ディスプレイ203に全量採取の終了を表示させてもよい。
<ステップS86>
ステップS86において、前記第2制御部500は、前記タッチパネルモニタ14に対して全量採取鑑査の開始操作が行われたか否かを判断する。ここで、全量採取鑑査の開始操作が行われたと判断すると(S86:Yes)、処理がステップS87に移行し、全量採取鑑査の開始操作が行われるまでの間は(S86:No)、処理がステップS86で待機する。
<ステップS87>
ステップS87において、前記第2制御部500は、全量採取後の前記薬品容器10各々について、前記全量採取の結果を鑑査するための全量採取鑑査処理を順に実行する。ここに、係る処理を実行するときの前記第2制御部500が全量採取鑑査処理部の一例である。具体的に、前記全量採取鑑査処理において、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21を制御し、前記薬品容器10の底部又は側面がユーザーに視認可能な位置及び姿勢となるように前記薬品容器10を移動させる。その後、前記第2制御部500は、ユーザーによる前記薬品容器10の鑑査確認操作を受け付けると、次の前記薬品容器10についての全量採取鑑査処理を開始する。その後、全ての前記薬品容器10について全量採取鑑査処理が終了すると、その鑑査結果を前記データ記憶部504に記憶する。
なお、前記第2制御部500は、ユーザーからの操作に応じて、前記第1ロボットアーム21を制御し、前記薬品容器10の底部又は側面が複数の角度から確認可能な複数の姿勢に変異させることが考えられる。これにより、ユーザーは、前記薬品容器10を異なる角度から見て確認することが可能であり、前記薬品容器1についての全量採取が正常に行われたか否かを適正に判断することが可能である。また、前記第2制御部500は、前記薬品容器10を視認可能な位置及び姿勢に変異させることなく、前記薬品容器10の底部又は側面が予め撮影された一又は複数の画像を順に表示させることも考えられる。
また、ここでは前記混注処理に含まれる全ての前記全量採取の終了後に全量採取鑑査処理が実行される場合について説明したが、他の実施形態として、前記第2制御部500が、前記一括調製鑑査処理時に全量採取鑑査処理を実行することも考えられる。
[第2の実施形態]
ところで、前記第1の実施形態では、前記ステップS55(図27参照)において、前記残薬が収容された前記薬品容器10が前記混注処理室104内の前記載置棚33に保存される場合について説明した。一方、前記残薬の保存方法は、前記薬品容器10に収容された状態に限らない。
例えば、前記第2制御部500が、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアーム22を制御し、前記混注処理で使用された前記注射器11で前記薬品容器10内の残薬を吸引して、前記注射器11を前記載置棚33に載置することにより、前記残薬が前記混注処理室104内に保存されることが考えられる。この場合、前記残薬情報には、前記薬品容器10の位置情報に代えて前記注射器11の位置情報が記憶される。なお、前記残薬が収容された前記注射器11には、前記載置棚33に載置される前に、前記注射針着脱装置43を用いて前記注射針11cにキャップ11dが装着される。また、前記第2制御部500が、前記混注処理で使用された前記注射器11ではなく、前記載置棚33に予め載置される未使用の前記注射器11で前記薬品容器10内に残存した薬品を吸引して、前記注射器11を前記載置棚33に載置することも考えられる。
さらに、前記第2制御部500が、前記第1ロボットアーム及び前記第2ロボットアーム22を制御し、前記載置棚33に予め載置される未使用の複数の前記注射器11で前記薬品容器10内の薬品を分割して吸引して、前記注射器11各々を前記載置棚33に載置することも考えられる。このとき、前記注射器11各々に分配される薬品の量は、例えば予め設定された所定量であってもよく、今後に予定されている調製データにおいて使用される薬品の量であってもよい。
このように前記薬品容器10内に残存した薬品を吸引した前記注射器11が前記載置棚33に載置される構成によれば、前記第2制御部500は、その後の前記混注処理において、前記載置棚33にストックされた前記注射器11に収容されている薬品を前記ステップS53で使用することが可能である。これにより、残薬が使用される前記混注処理では、前記注射器11で前記薬品容器10から薬品を吸引する処理が省略可能である。
なお、前記第2制御部500は、ユーザー操作に応じて、薬品が残存した前記薬品容器10を前記載置棚33に載置するか、前記注射器11で吸引して前記載置棚33に載置するかを選択することも考えられる。また、前記第2制御部500は、薬品が残存した前記薬品容器10を前記載置棚33に載置するか、前記注射器11で吸引して前記載置棚33に載置するかを自動的に切り替えることも考えられる。例えば、前記第2制御部500は、前記混注処理で残存した薬品を使用する調製データについての混注処理をそのまま連続して実行可能である場合には、薬品を前記注射器11で吸引して前記載置棚33に載置させることが考えられる。一方、前記第2制御部500は、前記混注処理で残存した薬品を使用する調製データについての混注処理をそのまま連続して実行しない場合(他の混注処理が間に実行される場合等)には、薬品が残存している前記薬品容器10を前記載置棚33に載置させることが考えられる。
ところで、前記第2制御部500は、前記混注処理後に薬品が残存した前記薬品容器10又は当該薬品容器10から薬品を吸引した前記注射器11を前記載置棚33に載置するか否かを予め設定された条件に応じて切り替えてもよい。具体的に、前記第2制御部500は、前記ステップS54の前段において、前記医薬品マスター等において残薬利用対象の薬品として予め設定された種類の薬品であるか否かを判断することが考えられる。また、前記第2制御部500は、ユーザー操作に応じて前記調製データごと又は前記薬品ごとに残薬利用対象であるか否かを設定可能であってもよい。そして、前記第2制御部500は、残薬利用対象である場合に前記ステップS54を実行し、残薬利用対象でない場合は後述のステップS541を実行することが考えられる。
なお、本実施形態では、前記混注装置1において前記薬品容器10又は前記注射器11内に収容された薬品が再利用される場合について説明した。一方、前記ステップS55において、前記第2制御部500が、前記混注処理後に残存した薬品が収容された前記薬品容器10又は前記注射器11を、前記薬品容器10又は前記注射器11を取り出し可能な前記注射器取出扉302などの所定の注射器払出部に搬送させ、外部に取り出し可能な状態にすることも考えられる。これにより、前記混注処理で残存した薬品を薬品師などのユーザーが、前記注射器払出部から前記薬品容器10又は前記注射器11を取り出して他の混注作業で再利用することが可能である。なお、前記第2制御部500は、前記混注処理後に残存した薬品を前記混注装置1内に残すか、前記所定の取出部から取出し可能とするかをユーザー操作又は予め設定された再利用条件に基づいて切り替えることが考えられる。
[第3の実施形態]
前記第1の実施形態で説明したように、前記混注処理では、前記混注処理の適否を確認するユーザーの作業が要求されることがあり、ユーザーによる確認作業が行われるまでの間、前記混注処理が一時中断された状態になることがある。例えば、前述したように、前記混注処理における攪拌工程が実行される場合に、その攪拌工程後に前記薬品容器10内の薬品の溶解度合いを確認する確認操作が要求されることがある。さらに、前記薬品容器10内の薬品が全量採取される場合に、全量採取されか否かを確認する確認操作が要求されることがある。また、前述したように、前記混注処理の終了後に実行される前記前記調製鑑査処理において確認操作が要求されることがある。
しかしながら、このような確認操作は、前記混注装置1の近傍にユーザーが存在する場合には有効であるが、ユーザーが不在である場合には、前記混注処理の連続実行が阻害される。そこで、前記混注装置1では、前記混注処理の動作モードとして、ユーザーの確認操作を有効にする通常モードと、ユーザーの確認操作を省略する自動モードとが設けられ、前記第2制御部500が前記通常モードと前記自動モードとを切り替え可能であることが考えられる。
そして、前記第2制御部500は、前記自動モードにおいて、前記一括調製鑑査機能、前記一括攪拌鑑査機能、及び前記一括全量採取鑑査機能を有効に設定する。また、前記第2制御部500は、前記通常モードにおいて、前記一括調製鑑査機能、前記一括攪拌鑑査機能、及び前記一括全量採取鑑査機能を無効に設定する。これにより、前記自動モードである場合には、ユーザーが前記混注処理の連続実行に関与する必要がないため、前記混注処理を連続的に実行させることが可能となる。
例えば、前記第2制御部500は、前記操作部505に対する所定のユーザー操作に応じて任意に前記通常モードと前記自動モードとを切り替えることが考えられる。また、前記第2制御部500は、予め設定されたタイムスケジュールに基づいて自動的に前記通常モードと前記自動モードとを切り替えることも考えられる。例えば、薬品師が不在になる深夜時間帯などに自動的に前記自動モードに切り替えられ、前記深夜時間帯以外は前記通常モードに戻されることが考えられる。なお、前記自動モードの内容は単なる一例に過ぎず、例えば前記自動モードでは、前記混注処理1において発生し得るエラーのうち予め設定された特定のエラーについては無視されて前記混注処理の実行後にユーザーに報知されることが考えられる。
さらに、前記第2制御部500は、前記自動モードにおいては、前記攪拌工程における攪拌時間を前記通常モードよりも長い時間に設定することが考えられる。また、前記第2制御部500は、前記混注処理において前記薬品容器10内の薬品が全量採取される場合の前記プランジャ11bの引き量が前記通常モードよりも多く設定されることが考えられる。これにより、前記攪拌工程における攪拌が不足する可能性、又は前記薬品容器10に薬品が残存する可能性が低減される。
また、前記第1制御部400又は前記第2制御部500は、前記自動モードにおいて、予め設定された所定数又は全部の前記混注処理が終了した場合に、その旨を、ユーザーが有する携帯端末のメールアドレス又はSNSアカウントなどの予め設定された宛先に報知することも考えられる。これにより、ユーザーは、前記混注装置1における確認作業を効率的に行うことが可能となる。
[第4の実施形態]
前記混注装置1において、前記第2制御部500は、前記第1ロボットアーム21の又は前記第2ロボットアーム22を制御し、前記保持部25又は前記保持部26で前記薬品容器10を把持することがある。この場合、前記第2制御部500は、前記医薬品マスターに記憶されている当該薬品容器10の容器形状情報を参照し、前記第1ロボットアーム21又は前記第2ロボットアーム22の制御量を調整する。例えば、前記第2制御部500は、前記容器形状情報に基づいて、前記薬品容器10を前記保持部25又は前記保持部26で保持する際の把持爪25a又は把持爪261aの間隔、前記薬品容器10から薬液を前記注射器10で抜き取るときの前記薬品容器10の姿勢、又は前記注射針10cを前記バイアル瓶10Bのゴム栓に穿刺する際に前記注射針10cの移動速度、穿刺の深さ、穿刺の位置などが考えられる。
これに対し、前記薬品容器10のメーカーが、前記薬品容器10の形状を変更することがあり、この場合には、前記混注装置1に記憶されている前記医薬品マスターにおける前記薬品容器10の容器形状情報が更新されることになる。しかしながら、前記混注装置1が設置される病院などの医療施設では、形状変更前の前記薬品容器10の在庫も存在するため、形状の変更後の前記薬品容器10が実際に前記混注装置1に装填されて使用されるまでにはタイムラグが生じることがある。
そこで、前記混注装置1では、前記第1制御部400が、前記医薬品マスターにおいて各薬品に対応する薬品容器について容器形状情報を前記データ記憶部404に複数記憶可能であることが考えられる。より具体的に、前記医薬品マスターには、前記薬品容器10各々の最新の容器形状情報と1つ前の容器形状情報との二つの情報が登録されることが考えられる。そして、前記第1制御部400は、前記医薬品マスターにおいて前記薬品容器10の容器形状情報が複数存在する場合に、その複数の容器形状情報から任意に選択した容器形状情報を参照して、前記第1ロットアーム21又は前記第2ロボットアームを制御することが可能である。
例えば、前記第1制御部400は、図33に示す形状選択処理を実行することにより、前記混注処理の実行時に参照される前記容器形状情報を選択する。ここに、係る処理を実行するときの前記第1制御部400が形状選択処理部の一例である。なお、前記第1制御部400は、前記装填準備処理(図24参照)のステップS25において、前記薬品容器10に付されているGS1データバーから薬品コード等の識別情報が読み取られた場合に、当該形状選択処理を実行する。なお、前記形状選択処理は、前記第2制御部500が、例えば前記混注処理が実行される際に実行してもよい。
<ステップS91>
まず、前記バーコードリーダ204で読み取られた前記薬品容器10の識別情報に対応する薬品について、前記医薬品マスターに薬品容器の容器形状情報が複数登録されているか否かを判断する。ここで、前記薬品容器の容器形状情報が複数登録されていると判断されると(S91:Yes)、処理がステップS92に移行し、前記薬品容器の容器形状情報が複数登録されていないと判断されると(S91:No)、登録された一つの容器形状情報が採用されて当該形状選択処理が終了する。
<ステップS92>
ステップS92において、前記第1制御部400は、複数の前記容器形状情報をユーザーに選択させるための選択画面を前記ディスプレイ203に表示させる。例えば、前記選択画面には、前記容器形状情報各々について、薬品容器の外径、ゴム栓の厚み、穿刺位置、薬品容器の深さ、薬品容器の外観画像、ゴム栓の平面画像、容器形状情報の登録日などの各種の情報が前記容器形状情報を選択するための操作キーと共に表示される。
<ステップS93>
ステップS93において、前記第1制御部400は、前記容器形状情報の選択操作を待ち受ける(S93:No)。そして、前記容器形状情報が選択されたと判断されると(S93:Yes)、処理をステップS94に移行させる。
<ステップS94>
ステップS94において、前記第1制御部400は、前記ステップS93で選択されたと判断された前記容器形状情報を、前記調製データに基づく前記混注処理で参照される前記薬品容器10の容器形状情報として選択する。具体的に、前記第1制御部400は、前記調製データに基づく混注処理の実行要求を前記第2制御部500に送信する際に、選択された前記容器形状情報を前記第2制御部500に通知する。これにより、前記第2制御部500は、前記第1制御部400から通知された前記容器形状情報を前記医薬品マスターから読み出して前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22を制御することになる。
以上説明したように、本実施形態に係る前記混注装置1では、前記医薬品マスターに記憶された複数の容器形状情報のいずれかが選択されて前記第1ロボットアーム21及び前記第2ロボットアーム22が制御される。これにより、前記薬品容器10の形状が変更された場合であっても、その変更前後の容器形状情報を任意に選択することが可能であるため、形状変更前後の前記薬品容器10をいずれも使用することが可能である。
なお、前記第1制御部400は、前記医薬品マスターにおける薬品容器の容器形状情報が更新された後、予め設定された所定期間(1ヶ月又は2ヶ月など)の間だけ変更前後の前記容器形状情報の選択を可能とし、前記所定期間の経過後は変更前の前記容器形状情報の選択を不可とすることが考えられる。具体的に、前記第1制御部400は、前記ステップS91において、現在から起算して前記所定期間以内に登録された複数の容器形状情報が存在するか否かを判断することが考えられる。これにより、前記容器形状情報が登録されてから前記所定期間が経過した後は前記容器形状情報を選択するユーザーの手間が省略可能である。
[第5の実施形態]
前記混注装置1において、前記第2ロボットアーム22に対する前記保持部26の取り付け誤差が生じるおそれがある。例えば、前記第2ロボットアーム22の先端の関節の中心軸と前記保持部26の中心軸とにずれが生じるおそれがある。そして、このような取り付け誤差が生じると、前記第2ロボットアーム22の前記保持部26を用いた正確な制御が実行されない。
そのため、前記第2制御部500が、前記針曲り検知部36を用いて前記第2ロボットアーム22に対する前記保持部26の取り付け誤差を検出する誤差検出機能及び前記誤差検出機能によって検出された誤差に基づいて前記第2ロボットアーム22の動作を補正する誤差補正機能を備えることが考えられる。
例えば、図34に示すように、針状の先端部91を備える治具90が前記第2ロボットアーム22の前記保持部26の予め定められた位置に装着される。なお、前記治具90は前記把持部26で把持されてもよい。そして、前記第2制御部500は、前記先端部91を前記針曲り検知部36の検知領域に挿入する。その後、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22を制御して前記保持部26を前記針曲り検知部36の検知領域に対して予め設定された一又は複数の方向に移動させたときの前記治具90の検知位置を取得する。
具体的に、前記針曲り検知部36の長穴36aで第1光センサ361及び第2光センサ362各々から照射される光によって形成される検知面上において、上下方向をX軸、長穴36aに対する挿抜方向をY軸、X軸及びY軸に垂直な方向をZ軸とする。この場合、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム22の保持部26を前記Y軸方向に沿って移動させたときの前記治具90の先端部91の位置を検知する。そして、前記第2制御部500は、前記先端部91のX軸上における移動量をY軸上の移動量で割った値をX軸方向のずれ角度として検出し、前記先端部91のZ軸上における移動量をY軸上の移動量で割った値をZ軸方向のずれ角度として検出する。そして、その後、前記第2制御部500は、前記X軸上のずれ角度と前記Z軸上のずれ角度とに基づいて、前記第2ロボットアーム22の保持部26の制御量を補正する。これにより、前記混注装置1では、前記第2ロボットアーム22に対する前記保持部26の取り付け誤差を補正して正確な制御が実現される。
[第6の実施形態]
ここに、図35は、前記輸液バッグ12の混注口のゴム栓の平面図を示す図である。図35に示されるように、前記輸液バッグ12の混注口のゴム栓の表面12aには、前記注射器11の注射針11cの穿刺位置に一又は複数の凹部12bが形成されていることがある。ここで、前記混注処理において前記凹部12bに注射針11cが穿刺されて薬液の注入又は吸引が行われた場合、前記混注処理後に取り出される前記輸液バッグ12の前記凹部12bに付着した薬液が、綿球などを用いて拭き取られることがある。しかしながら、前記凹部12bは、前記ゴム栓の表面11aから窪んでいるため、綿球等の清掃部材を前記ゴム栓の表面に押し当てて薬液を吸着しても、前記凹部12bにおいて前記清掃部材が届かない位置に薬液が残存することがある。特に、凹部12bの深さが深い場合、又は凹部12bの面積が小さい場合に前記清掃部材で薬液を除去することが困難となる。
そのため、前記第2制御部500は、前記第2ロボットアーム52を制御して、前記注射器11の注射針11cを前記輸液バッグ12のゴム栓に穿刺する際、前記ゴム栓の表面12aのうち前記凹部12bを避けた平面部12cに前記注射針11cを穿刺させることが考えられる。例えば、前記第2ロボットアーム52の先端又は前記混注処理室104の内面などに、前記輸液バッグ12のゴム栓を撮影可能な位置などにカメラが設けられており、前記第2制御部500が、前記カメラで撮影される撮影画像に基づく画像解析によって前記凹部12bの位置を検出することが考えられる。このように、前記注射針11cが前記凹部12bを避けた平面部12cで前記ゴム栓に穿刺されることにより、前記注射針11cの穿刺箇所に薬液が付着した場合に、その薬液を綿球などの清掃部材で容易に清掃することが可能となる。
[第7の実施形態]
前記混注装置1では、前記注射器11を用いて前記バイアル瓶10Bから薬液を吸引する吸引工程において、前記注射器11のプランジャ11bが制御され、前記バイアル瓶10Bから薬液を吸引する工程とシリンジ11a内の空気を前記注射器11から前記バイアル瓶10Bに注入する工程とが複数回繰り返し実行されることがある。これにより、前記注射器11内が陽圧になり過ぎることが防止され、前記薬液容器10内が負圧になり過ぎることが防止される。
例えば、図36(A)に示されるように、初回は、前記シリンジ11a内に空気が入った状態で前記注射針11cが前記バイアル瓶10Bに穿刺され、前記プランジャ11bが引かれて前記バイアル瓶10Bから薬品が吸引される。これにより、図36(B)に示されるように、前記シリンジ11aに前記バイアル瓶10Bから薬品が吸引される。続いて、前記プランジャ11bが押されて前記シリンジ11a内の空気が前記バイアル瓶10B内に注入される。
そして、2回目も同様に、図36(C)に示されるように、前記注射針11cが前記バイアル瓶10Bに穿刺され、前記プランジャ11bが引かれて前記バイアル瓶10Bから薬品が吸引される。これにより、図36(D)に示されるように、前記シリンジ11aに前記バイアル瓶10Bから薬品が吸引される。続いて、前記プランジャ11bが押されて前記シリンジ11a内の空気が前記バイアル瓶10B内に注入される。
ところで、前記吸引工程において、前記注射器11のプランジャ11bを一度に引く量が多いほど一度に吸引可能な薬液量が多くなり、前記バイアル瓶10Bから薬液を吸引する工程と前記バイアル瓶10Bに空気を注入する工程との繰り返し回数が減るため、前記吸引工程の所要時間が短くなる。そのため、前記吸引工程では、前記薬液容器10内が負圧になり過ぎない程度に前記注射器11のプランジャ11bを一度に引く量が多く設定されることが望ましい。即ち、前記吸引工程では、一度に前記バイアル瓶10B内が負圧になり過ぎない範囲で極力多くの薬液を吸引することが望ましい。
ここで、前記吸引工程のうち初回の薬液の吸引直前時には、前記バイアル瓶10B内の気圧と前記バイアル瓶10B内の気層部分の体積とが既知である。しかしながら、薬液の吸引後に前記プランジャ11b内の空気を前記バイアル瓶10Bに注入する際に、前記プランジャ11b内の薬液が前記バイアル瓶10Bに戻ることがある。そのため、2回目以降の薬液の吸引後における前記バイアル瓶10B内の気圧を正確に算出することができない。
例えば、初回に前記プランジャ10bを引く前の前記バイアル瓶10B内の気層部分の体積をV1、初回に前記プランジャ10bを引いて前記プランジャ10bの引き量に対応する薬液(プランジャ10bを引いた距離とシリンジ10aの断面積の積)が前記シリンジ10aに吸引された後の前記バイアル瓶10B内の気層部分の体積をV2とする。また、初回に前記プランジャ10bを引く前の前記バイアル瓶10B内の気圧をP’としたとき、初回に前記プランジャ10bを引いた後の前記バイアル瓶10B内の気圧Pとする。この場合、前記気圧Pは、P=(V1/V2)×P’で表される。ここで、前記体積V1は、前記バイアル瓶10Bの容積から前記バイアル瓶10B内の薬液(バイアル瓶10B内に輸液が注入されて前記バイアル瓶10B内の粉状の薬品が溶解された場合は溶解後の液体)の体積を引いた値である。即ち、前記プランジャ10bの引き量が多いほど気層部分の体積が増加し、前記バイアル瓶10B内の気圧は低くなる。そして、初回は、前記バイアル瓶10Bに注入された輸液の体積が、前記輸液バッグ12から吸引されて前記バイアル瓶10Bに注入された輸液の量が明確であり、前記プランジャ10bを引く前の前記バイアル瓶10B内の気層部分の体積が算出可能である。
一方、初回に前記プランジャ10bが引かれて前記バイアル瓶10Bから薬液が吸引された後、前記シリンジ10a内の空気が前記バイアル瓶10Bに注入される際に薬液が前記バイアル瓶10Bに注入されるおそれがある。そのため、2回目に前記プランジャ10bを引く前の前記バイアル瓶10B内の気層部分の体積は不明であり、2回目以降は前記体積V1が正確に算出できない。
そこで、前記第2制御部500は、初回の吸引時における前記プランジャ10bの引き量を前記バイアル瓶10Bが耐えうる内圧の下限を気圧Pが下回らない範囲で最大限大きくする。一方、前記第2制御部500は、2回目以降の吸引時における前記プランジャ10bの引き量を、初回の吸引時における前記プランジャ10bの引き量よりも少なくすることが考えられる。より具体的に、前記第2制御部500は、初回の薬液の吸引時には、前記プランジャ11bの引き量を、前記バイアル瓶10B内の気圧に応じて予め設定された引き量に設定し、又は前記バイアル瓶10B内の気圧に基づいて予め設定された演算式に従って算出される引き量に設定する。一方、前記第2制御部500は、前記吸引工程において、2回目以降の薬液の吸引時には、前記プランジャ11bの引き量を初回の薬液の吸引時に対応する前記制御量よりも少ない引き量(初回の引き量に対する所定割合分の引き量)に設定する。
これにより、初回の薬品の吸引時には、前記バイアル瓶10B内が負圧になり過ぎない範囲で極力多くの薬液を吸引することができ、2回目以降の薬品の吸引時には、前記バイアル瓶10B内が負圧になり過ぎないように前記吸引工程を実行することが可能である。なお、前記吸引工程において、2回目以降は、直前の引き量の8割又は9割程度の引き量に設定されることも考えられる。