本発明の吸収性物品は、吸収体が配された本体部と本体部から幅方向の外方に延出したウィング部とを有するものであり、このウィング部を利用して吸収性物品をパンツやショーツ等の下着に取り付けて使用することができるものである。本発明の吸収性物品としては、尿パッド(軽失禁パッドを含む)や生理用ナプキン等が挙げられる。以下、本発明の吸収性物品について、図面を参照して具体的に説明するが、本発明は図面に示された実施態様に限定されるものではない。
図1~図3には、本発明の吸収性物品の一例を示した。図1は、吸収性物品を肌面側から見た平面図を表し、図2は、図1に示した吸収性物品を外面側から見た平面図を表し、図3は、図1と図2に示した吸収性物品のIII-III断面図を表す。なお図面では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。
吸収性物品において、前後方向yは、吸収性物品を装着した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当し、幅方向xは、吸収性物品と同一面上にあり前後方向と直交する方向を意味し、吸収性物品を装着した際の着用者の左右方向に相当する。吸収性物品はまた、厚み方向zに対して肌面側と外面側を有する。肌面側とは、吸収性物品を装着した際の着用者の肌に向く側を意味し、外面側とは、吸収性物品を装着した際の着用者とは反対に向く側を意味する。吸収性物品の外面側は、吸収性物品を使用する際にパンツやショーツ等の下着に対向する面(衣類対向面)となり、例えば、バックシートの外面側が衣類対向面に相当する。
吸収性物品1は、吸収体6が配された本体部2と、本体部2から幅方向xの外方に延出したウィング部3とを有する。本体部2は、吸収性物品1を装着した際に着用者の股間に当てられる部分であり、着用者から排泄された尿等を吸収するように機能する。本体部2は、前後方向yに長い形状で形成されることが好ましく、例えば、略長方形、長円形、砂時計形、羽子板形等に形成される。ウィング部3は、本体部2から幅方向xの外方に延出した部分であり、吸収性物品1を装着する際に、ウィング部3を吸収性物品1の外面側に折り返してパンツやショーツ等の下着に固定するために使用される。ウィング部3は、本体部2から延出し、本体部2の幅方向xの一方側と他方側にそれぞれ設けられる。吸収性物品1は、ウィング部3で最も幅広に形成されることが好ましい。図面では、本体部2とウィング部3の境が一点鎖線で表されている。
本体部2は、前後方向yに前側領域Fと後側領域Rとこれらの間に位置する中間領域Mとを有する。前側領域Fは、本体部2の前側端を含み、前後方向yに所定の長さを有するように形成され、後側領域Rは、本体部2の後側端を含み、前後方向yに所定の長さを有するように形成される。中間領域Mは、前側領域Fと後側領域Rの間に位置し、前側領域Fと後側領域Rに隣接して形成される。中間領域Mは、本体部2からウィング部3が延在する前後方向yの範囲の領域に相当する。中間領域Mは、吸収性物品1の前後方向yの相対位置として前側端を0%とし後側端を100%としたときに、20%~80%の範囲内にあることが好ましい。
ウィング部3は、吸収性物品1の外縁形状に基づき、例えば次のように規定される。ウィング部3が幅方向xの最も外方に延出した箇所よりも前側において、吸収性物品1の外縁が最も幅方向xの内方に位置する最も後方の箇所が、ウィング部3の基部前側端(すなわち本体部2とウィング部3の境の前側端)に相当し、ウィング部3が幅方向xの最も外方に延出した箇所よりも後側において、吸収性物品1の外縁が最も幅方向xの内方に位置する最も前方の箇所が、ウィング部3の基部後側端(すなわち本体部2とウィング部3の境の後側端)に相当する。ただし、ウィング部3の基部前側端は吸収性物品1の前側縁には位置せず、ウィング部3の基部後側端は吸収性物品1の後側縁には位置しない。本体部2とウィング部3は、ウィング部3の基部前側端と基部後側端とを結ぶ直線により区分される。ウィング部3の基部前側端の近傍と基部後側端の近傍では、吸収性物品1の外縁が前後方向yに平行に延びるか、吸収性物品1の外縁が幅方向xの内方に凸となるように形成されることが好ましい。
ウィング部3は、吸収性物品1の前後方向yの相対位置として前側端を0%とし後側端を100%としたときに、基部前側端と基部後側端が20%~80%の範囲内に位置することが好ましい。ウィング部3の前後方向yの長さは、吸収性物品1の前後方向yの長さの10%以上であることが好ましく、15%以上がより好ましく、また50%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。
吸収性物品1は、ウィング部3が幅方向xの最も外方に延在した箇所で、各ウィング部3の幅方向xの長さが、本体部2の幅方向xの長さの20%以上60%以下となるように形成されることが好ましく、30%以上50%以下がより好ましい。各ウィング部3の幅方向xの長さは、例えば25mm以上が好ましく、30mm以上がより好ましく、また60mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましい。なお、ウィング部3の幅方向xの長さとは、ウィング部3が本体部2から延出する長さを意味する。また、ウィング部3において、ウィング部3が幅方向xの最も外方に延在した箇所を含む部分を先端部と称し、本体部2とウィング部3の境を含む部分を付け根部と称する。先端部と付け根部はウィング部3を幅方向xに区分することにより規定され、ウィング部3の付け根部は、ウィング部3において後述する第1接着部が形成される部分と見なすことができ、ウィング部3の先端部は後述する第2接着部が形成される部分と見なすことができる。
本体部2は、トップシート4とバックシート5を有し、これらの間に吸収体6が配されている。トップシート4は吸収性物品を使用の際に着用者側に位置するシートであり、吸収体6の肌面側に配される。トップシート4は液透過性であることが好ましい。バックシート5は、吸収性物品を使用の際に着用者とは反対側に位置するシートであり、吸収体6の外面側に配される。バックシート5は液不透過性であることが好ましい。着用者から排泄された尿等はトップシート4を透過して吸収体6により収容され、バックシート5は排泄物が外部へ漏れるのを防ぐ。
液透過性のトップシート4としては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシート4として、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
液不透過性のバックシート5としては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。バックシート5は2以上のシートの積層体から構成されていてもよく、例えば、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。この場合、積層体を構成する少なくとも1つのシートが液不透過性であればよく、また積層体を構成する各シートは同じ大きさであっても異なる大きさであってもよい。液不透過性には撥水性の意味も含まれる。
吸収体6は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体6としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができ、当該成形体は、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等の被覆シートで覆われてもよい。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。吸収性材料は、吸収容量を高める点から、少なくとも吸水性樹脂を含むことが好ましい。
吸収体6はシート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布シート間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は、不織布シート間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できるとともに、不織布シート間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
シート状吸収体は、吸収性材料として吸水性繊維を用いたものであってもよい。この場合もまた、シート状吸収体が嵩張らず薄型に形成される。吸水性繊維としては、プロトン化または塩形成したカルボキシル基を含有する繊維が挙げられる。例えば、アクリル繊維を加水分解して、アクリル繊維に含まれるニトリル基をカルボキシル基に変換することにより、吸水性繊維を得ることができる。このとき、吸水性繊維に含まれるカルボキシル基は、アルカリ金属塩またはアンモニア塩を形成していることが好ましい。また吸水性繊維は、親水性繊維をアクリル酸に浸漬し、繊維表面でアクリル酸を析出させることにより製造することができる。
吸収体6の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収体6の形状としては、例えば、略長方形、長円形、砂時計形、羽子板形等が挙げられる。
本体部2には、トップシート4の幅方向xの両側にサイドシート8が設けられることが好ましい。サイドシート8によって本体部2の肌面側の幅方向xの両側に防漏フラップ9を形成することができ、トップシート4上に排泄された尿等の横漏れを防止することができる(図3を参照)。この場合、サイドシート8は、サイド接合部11でトップシート4の肌面側に接合され、サイド接合部11よりも幅方向xの内方部分が防漏フラップ9として機能する。サイドシート8のサイド接合部11よりも内方部分には起立用弾性部材10が設けられることが好ましく、起立用弾性部材10の収縮力によりサイドシート8の幅方向xの内方部分が着用者の肌に向かって立ち上がりやすくなる。サイドシート8は、トップシート4よりも幅方向xの外方に延在するように設けられることが好ましい。サイドシート8は液不透過性であることが好ましく、バックシート5に使用可能なシート材料から構成することができる。
一方、サイドシート8は防漏フラップ9を形成しないものであってもよく、サイドシート8のサイド接合部11よりも内方部分が折り返されずに、サイド接合部11から幅方向xの内方に平面状に延在するものであってもよい。この場合、サイド接合部11は、サイドシート8の幅方向xの内方端から10mm以内(好ましくは7mm)以内に形成されることが好ましい。また、サイドシート8には起立用弾性部材10が設けられないことが好ましい。
本体部2には、バックシート5と吸収体6との間に台紙7が設けられていることが好ましい。台紙7は、吸収性物品1(特に本体部2)の形崩れを防止するために設けられる。台紙7は、不織布や紙(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)等から構成することができ、液透過性であっても液不透過性であってもよい。
台紙7は、その外縁の全体が、本体部2の外縁よりも内側に位置することが好ましい。従って、ウィング部3には台紙7が存在しないことが好ましい。また、台紙7の外縁は本体部2の外縁の近傍に位置することが好ましく、例えば本体部2の外縁から25mm以内にあることが好ましく、20mm以内にあることがより好ましく、15mm以内にあることがさらに好ましい。
台紙7は、吸収体6の前側縁よりも前方に延在するとともに、吸収体6の後側縁よりも後方に延在することが好ましい。このように本体部2が形成されていれば、本体部2の前後方向yの両端部での保形性が確保されるとともに、本体部2の前側縁近傍や後側縁近傍に吸収体6の非存在部分が形成されることによって、吸収性物品1を着用者の下着から取り外す際に、吸収体6の存在部分に触れずに吸収性物品1を下着から取り外すことが可能となる。吸収体6の前後方向yの長さは、例えば、台紙7の前後方向yの長さの60%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、また95%以下が好ましく、90%以下がより好ましく、85%以下がさらに好ましい。台紙7はまた、吸収体6の幅方向xの外縁よりも外方に延在することが好ましい。これにより、吸収体6の幅方向xの端部が歪んだり折れたりしにくくなり、吸収体6の吸収性能が安定して発揮されやすくなる。
ウィング部3は、本体部2を構成するシートが本体部2から幅方向xの外方に延在して形成される。図面に示した吸収性物品1では、ウィング部3は、サイドシート8とバックシート5が本体部2から幅方向xの外方に延出して形成されているが、本体部2にサイドシート8が設けられない場合は、ウィング部3はトップシート4とバックシート5が本体部2から幅方向xの外方に延出して形成することができる。なお、ウィング部3には吸収体6は配されないことが好ましい。
吸収性物品1の外面側には粘着部12が設けられることが好ましい(図2を参照)。粘着部12は、ウィング部3の外面側に設けられることが好ましく、本体部2の外面側にも設けられてもよい。吸収性物品1の外面側に粘着部12を設けることにより、吸収性物品1をパンツやショーツ等の下着に安定して固定することができる。
ウィング部3を構成するシート部材(図面に示した吸収性物品1ではサイドシート8とバックシート5)は、所定のパターンで塗工された接着剤により形成された接着部によって互いに接合されている。これについて図4を参照して説明する。図4には、ウィング部を構成するシート部材どうしを接着する接着部の形成パターンの一例が示されている。なお、接着部は吸収性物品を外から見て直接視認できないが、図4では、接着部の形成パターンの理解を容易にするため、接着部を実線で表している。
図4に示すように、サイドシート8とバックシート5は、本体部2とウィング部3に跨がって前後方向yにらせん状または蛇行状に延びる第1接着部16と、ウィング部3の先端部14に第1接着部16から幅方向xに離隔して前後方向yにらせん状または蛇行状に延びる第2接着部17とで互いに接合されている。図面に示した吸収性物品1では、第1接着部16と第2接着部17はらせん状に形成されている。
吸収性物品1は、このようにサイドシート8とバックシート5が第1接着部16と第2接着部17で接着されることにより、ウィング部3の付け根部13と先端部14に適度な剛性が付与され、ウィング部3の取り扱い性が良好となる。すなわち、第1接着部16と第2接着部17は線状に塗工された接着剤によって形成されるため、第1接着部16または第2接着部17が形成されたウィング部3の付け根部13と先端部14は、接着剤によって過度に硬く形成されない。一方、第1接着部16と第2接着部17はらせん状または蛇行状に延びるように形成されるため、サイドシート8とバックシート5の第1接着部16または第2接着部17が形成された部分は、前後方向yや幅方向xやそれらの斜め方向に適度な剛性を有するものとなる。そのため、本体部2を持って吸収性物品1を扱う際など、第1接着部16によって本体部2とウィング部3の境でウィング部3が折れ曲がりにくくなるとともに、ウィング部3の先端部14の保形性が確保される。従って、吸収性物品1を扱う際、本体部2を一方の手で持った状態で、もう一方の手でウィング部3の先端部14を掴むことが容易になる。一方、吸収性物品をパンツやショーツ等の下着に取り付ける際は、本体部2とウィング部3の境でウィング部3を吸収性物品1の外面側に容易に折り返すことができるとともに、第1接着部16によって適度に剛性が付与されることにより、ウィング部3を折り返した状態を安定して保持することができる。
ウィング部3はまた、上記のようにサイドシート8とバックシート5が第1接着部16と第2接着部17とで接着されることにより、ウィング部3を安定してパンツやショーツの下着に取り付けることができるとともに、着用感が良好なものとなる。すなわち、ウィング部3は上記に説明したように第1接着部16と第2接着部17によって付け根部13と先端部14が過度に硬く形成されないとともに、第1接着部16と第2接着部17が幅方向xに離隔して設けられることにより、ウィング部3は付け根部13と先端部14の間の中間部15が柔軟に形成される。そのため、ウィング部3を吸収性物品1の外面側に折り返して下着に固定させた際に、下着の動きや歪みに対する追従性が高まる。そのため、ウィング部3の下着への取り付け状態が好適に維持されやすくなる。また、ウィング部3の剛性が低くなると、ウィング部3が下着に固定された部分で着用者が違和感を覚えにくくなり、着用感が良好なものとなる。
らせん状または蛇行状に形成される第1接着部16と第2接着部17は、全体として前後方向yに延びるように形成されればよい。すなわち、らせん状または蛇行状の曲線の繰り返しパターンの延在方向が、前後方向yと略一致していればよい。らせん状の接着部は、例えばスパイラルコーティング法により接着剤を塗工することにより形成することができ、蛇行状の接着部は、例えばオメガコーティング法により接着剤を塗工することにより形成することができる。蛇行状には、例えば、正弦波状やΩ状の繰り返しパターン等が含まれる。らせん状や蛇行状の接着剤塗工パターンの振れ幅は5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましく、また20mm以下が好ましく、18mm以下がより好ましい。
第1接着部16と第2接着部17は、らせん状または蛇行状に接着剤が塗工された接着部の一部から形成されてもよい。すなわち、らせん状または蛇行状に接着剤が塗工された接着部は、らせん状または蛇行状の振れ幅方向の端部が一部欠けていてもよい。このように第1接着部16と第2接着部17が形成される場合も、第1接着部16と第2接着部17はらせん状または蛇行状に形成されていると見なす。例えば、台紙7や吸収体6が、本体部2とウィング部3に跨って前後方向yに延びるらせん状または蛇行状に塗工された接着剤の一部と重なって設けられることにより、サイドシート8とバックシート5がらせん状または蛇行状の一部から形成された第1接着部16で互いに接合されてもよい。また、らせん状または蛇行状に接着剤が塗工された接着部の一部が切除されることにより、サイドシート8とバックシート5がらせん状または蛇行状の一部から形成された第1接着部16または第2接着部17で互いに接合されてもよい。なお、第1接着部16と第2接着部17は、らせん状または蛇行状に接着剤が塗工された接着部に対し、振れ幅方向の半分以上の部分から形成されることが好ましく、2/3以上の部分から形成されることがより好ましい。
第1接着部16は本体部2とウィング部3にある程度均等に形成されることが好ましい。例えば、第1接着部16の本体部2における幅方向xの長さW1と第1接着部16のウィング部3における幅方向xの長さW2の比W1/W2は、3/7以上が好ましく、4/6以上がより好ましく、また7/3以下が好ましく、6/4以下がより好ましい。このように第1接着部16が形成されれば、第1接着部16よって本体部2からウィング部3にかけて適度に剛性が付与され、本体部2を持って吸収性物品1を扱う際に本体部2とウィング部3の境でウィング部3が折れ曲がりにくくなる。
第1接着部16はまた、ウィング部3においてある程度の幅で形成されることが好ましい。例えば、第1接着部16のウィング部3における幅方向xの長さは、ウィング部3の幅方向xの長さ(すなわちウィング部3が本体部2から延出した長さ)の10%以上であることが好ましく、15%以上がより好ましく、また30%以下が好ましく、25%以下がより好ましい。このように第1接着部16が形成されれば、ウィング部3の付け根部13に適度に剛性を付与することができる。
第2接着部17はウィング部3の先端部14に形成される。第2接着部17の幅方向xの長さは、ウィング部3の幅方向xの長さの25%以上であることが好ましく、30%以上がより好ましく、また50%以下が好ましく、45%以下がより好ましい。このように第2接着部17が形成されれば、ウィング部3の先端部14に適度に剛性を付与することができる。
第1接着部16と第2接着部17の幅方向xに対する離隔長さは、ウィング部3の幅方向xの長さの25%以上であることが好ましく、30%以上がより好ましく、また50%以下が好ましく、45%以下がより好ましい。このように第1接着部16と第2接着部17が形成されれば、ウィング部3を柔軟に形成することができる。
ウィング部3に粘着部12が設けられる場合は、粘着部12は、第1接着部16と第2接着部17の間に幅方向xに断続的に設けられることが好ましい(図2および図3を参照)。このように粘着部12が設けられれば、ウィング部3が中間部15でへたりにくくなるとともに、中間部15における柔軟性が確保され、ウィング部3の取り扱い性が良好となる。この場合、粘着部12の一部は、第1接着部16および/または第2接着部17と重なって設けられてもよい。
サイドシート8とバックシート5は、上記に説明した第1接着部16と第2接着部17以外の接着部でさらに互いに接合されていてもよい。なお、第1接着部16と第2接着部17以外の接着部は、らせん状または蛇行状に延びるように形成されたものではないことが好ましい。
図5には、ウィング部を構成するシート部材どうしを接着する接着部の形成パターンの他の一例を示したが、サイドシート8とバックシート5は、例えば、本体部2に設けられ、本体部2とウィング部3の境に沿って前後方向yに直線状に延び幅方向xに複数列配置された第3接着部18で互いに接合されていることが好ましい。サイドシート8とバックシート5が第3接着部18で接合されることにより、吸収性物品1をパンツやショーツ等の下着に取り付ける際に、ウィング部3を、本体部2とウィング部3の境に沿って吸収性物品1の外面側に折り返しやすくなる。この場合、第3接着部18は、本体部2とウィング部3の境から幅方向xの内方に5.0mm以内の領域(好ましくは4.0mm以内の領域)に少なくとも設けられることが好ましく、当該領域よりもさらに幅方向xの内方、すなわち本体部2とウィング部3の境から幅方向xの内方に5.0mmを超えた領域にさらに設けられてもよい。第3接着部18はまた、第1接着部16と重なって設けられることが好ましい。
なお、ウィング部3の付け根部13の本体部2とウィング部3の境の近傍には、前後方向yに直線状に延びる接着部は設けられないことが好ましい。具体的には、ウィング部3であって、本体部2とウィング部3の境から幅方向xの外方に5.0mm以内の領域(好ましくは6.0mm以内の領域)には、前後方向yに直線状に延びる接着部は設けられないことが好ましい。これにより、ウィング部3を、本体部2とウィング部3の境に沿って吸収性物品1の外面側に折り返すことが容易になる。
第3接着部18は、吸収性物品1の前後方向yに対して、ウィング部3と重なる位置からウィング部3よりも前方および/または後方に延在するように設けられることが好ましい。この場合、第3接着部18は、ウィング部3よりも前方および/後方において、本体部2の幅方向xの外縁に沿って延びることとなる。そのため吸収性物品1は、本体部2の幅方向xの両端部の前後方向yに対する剛性が高まり、吸収性物品1の取り扱い性が良好となる。
第3接着部18はある程度狭いピッチで幅方向xに複数列配置されて形成されていることが好ましい。すなわち、第3接着部18を構成する前後方向yに直線状に延びる複数の接合部は、ある程度狭いピッチで幅方向xに配置されていることが好ましく、具体的には、5.0mm以下のピッチで幅方向xに配置されていることが好ましく、4.5mm以下がより好ましく、また1.5mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましい。第3接着部18のピッチは、直線状に延びる複数の接合部の中心間距離を測ることにより求めることができる。下記に述べる第4接着部19および第5接着部20のピッチも同様にして求める。
第3接着部18の線幅、すなわち第3接着部18において前後方向yに延びる直線状に塗工された接着剤の線幅は、第1接着部16の線幅、すなわち第1接着部16においてらせん状または蛇行状に塗工された接着剤の線幅よりも広く形成されていることが好ましい。このように第1接着部16と第3接着部18が形成されていれば、ウィング部3の付け根部13において幅方向xに対する剛性が過度に高まらず、ウィング部3を、本体部2とウィング部3の境に沿って吸収性物品1の外面側に折り返しやすくなる。なお、第1接着部16の線幅と第3接着部18の線幅は、それぞれの線幅の平均値を求めて、その大小を比較する。
サイドシート8とバックシート5は、図5に示すように、第1接着部16と第2接着部17の間で、前後方向yに直線状に延び幅方向xに複数列配置された第4接着部19で互いに接合されていることが好ましい。このようにサイドシート8とバックシート5が第4接着部19で接合されることにより、第1接着部16と第2接着部17の間の部分である中間部15が歪んだり前後方向yに折れ曲がったりしにくくなり、ウィング部3の取り扱い性が向上する。一方、第4接着部19は前後方向yに直線状に延びるように形成されるため、ウィング部3を中間部15で幅方向xに折り曲げることが容易になる。そのため、吸収性物品1をパンツやショーツ等の下着に取り付ける際に、ウィング部3を吸収性物品1の外面側に折り返しやすくなる。
第4接着部19はある程度狭いピッチで幅方向xに複数列配置されて形成されていることが好ましい。すなわち、第4接着部19を構成する前後方向yに直線状に延びる複数の接合部は、ある程度狭いピッチで幅方向xに配置されていることが好ましく、具体的には、5.0mm以下のピッチで幅方向xに配置されていることが好ましく、4.5mm以下がより好ましく、また1.5mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましい。
サイドシート8とバックシート5は、図5に示すように、第2接着部17と重なって、前後方向yに直線状に延び幅方向xに複数列配置された第5接着部20で互いに接合されていてもよい。第2接着部17と重なって、前後方向yに直線状に延び幅方向xに複数列配置された第5接着部20をさらに設けることにより、ウィング部3の先端部14が前後方向yに折れ曲がりにくくなる。そのため、ウィング部3の先端部14の保形性が高まり、ウィング部3の取り扱い性がさらに良好となる。
第5接着部20はある程度広いピッチで幅方向xに複数列配置されていることが好ましい。具体的には、第5接着部20を構成する前後方向yに直線状に延びる複数の接合部は、5.0mm超のピッチで幅方向xに配置されていることが好ましく、5.5mm以上がより好ましく、また8.0mm以下が好ましく、7.5mm以下がより好ましい。第5接着部20のピッチ(平均値)は、第4接着部19のピッチ(平均値)よりも広いことが好ましい。
第4接着部19および/または第5接着部20の線幅(すなわち、前後方向yに延びる直線状に塗工された接着剤の線幅)は、第1接着部16と第2接着部17の線幅(すなわち、らせん状または蛇行状に塗工された接着剤の線幅)よりも広いことが好ましい。このように各接着部が形成されることにより、ウィング部3は前後方向yに対する剛性が高まり、ウィング部3の取り扱い性が良好となる。なお、第1接着部16の線幅と第2接着部17の線幅と第4接着部19の線幅と第5接着部20の線幅は、それぞれの線幅の平均値を求めて、その大小を比較する。
ウィング部3は、らせん状または蛇行状に形成された接着部(すなわち、第1接着部16と第2接着部17)のみでサイドシート8とバックシート5が互いに接合されるか、らせん状または蛇行状に形成された接着部(すなわち、第1接着部16と第2接着部17)と前後方向yに直線状に延びる接着部(すなわち、第4接着部19および/または第5接着部20)のみでサイドシート8とバックシート5が互いに接合されることが好ましい。また、本体部2においては、上記に説明したように、サイドシート8とバックシート5が第3接着部18で互いに接合されることが好ましい。
各接着部の形状や線幅は次のように確認することができる。すなわち、サイドシート8とバックシート5を剥がして、サイドシート8またはバックシート5にトナー(炭素粉末)を散布し、トナーが付着して黒く可視化された部分を接着部として、その形状や線幅を求めることができる。各接着部の線幅は、トナーで黒く可視化された接着部を画像化し、それを画像処理することにより求めることが簡便である。
第1接着部16~第5接着部20の各接着部を形成する接着剤の種類は特に限定されないが、ホットメルト接着剤を用いることが製造上簡便である。接着剤は、例えば、天然ゴム系、ブチルゴム系、ポリイソプレン等のゴム系接着剤や;スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)等のスチレン系エラストマーをベースポリマーとして含むことが好ましい。また、ベースポリマーとして、エチレン・酢酸ビニルコポリマー(EVA);ポリエステル;アクリル系エラストマー;ポリオレフィン系エラストマー等を用いてもよい。接着剤には、粘着付与剤、軟化剤、ワックス、安定剤等が含まれていてもよい。
ウィング部3の単位面積当たりの接着剤塗布量は、1g/m2~30g/m2の間で適宜設定することが好ましい。当該接着剤塗布量は、3g/m2以上がより好ましく、5g/m2以上がさらに好ましく、また25g/m2以下がより好ましく、20g/m2以下がさらに好ましい。
図1および図2に示すように、吸収体6は、前後方向yに対してウィング部3と重なる部分において、幅方向xの両側縁が直線状に形成されていることが好ましい。吸収体6がこのような形状に形成されていれば、直線状に形成された吸収体6の幅方向xの両側縁に沿ってウィング部3を吸収性物品1の外面側に折り返しやすくなる。そのため、ウィング部3の下着への取り付け作業が容易になる。同様の観点から、台紙7は、前後方向yに対してウィング部3と重なる部分において、幅方向xの両側縁が直線状に形成されていることが好ましい。
以上、本発明の吸収性物品について、図面を参照して説明したが、本発明の吸収性物品1は、トップシート4の幅方向xの両側にサイドシート9が設けられず、ウィング部3が、トップシート4とバックシート5が本体部2から幅方向xの外方に延出して形成されたものであってもよい。この場合、トップシート4とバックシート5が上記に説明した第1接着部16と第2接着部17で互いに接合されるものとなり、さらに第3接着部18、第4接着部19または第5接着部20でトップシート4とバックシート5が互いに接合されてもよい。このようにウィング部3がトップシート4とバックシート5から形成された吸収性物品1における第1接着部16~第5接着部20の詳細は、上記のこれらの説明が参照される。