JP7089384B2 - 酸素透過性包装材料、包装体及びその製造方法 - Google Patents

Description

本発明は、酸素透過性包装材料、包装体及びその製造方法に関する。

加工食品の腐敗、変質、劣化などを防止するために、脱酸素剤や乾燥剤などが多く用いられている。この種の脱酸素剤や乾燥剤は、酸素透過性を有する小袋に包装されて、食品とともに外装袋に収納されて用いられる。また、食品以外に、酸化や吸湿などによって品質が変化する内容物の包装においても同様のことが行われている。脱酸素剤や乾燥剤を包装するのに用いられる包装材料としては、従来、紙などの通気性を有する基材を表層に用いたものが用いられてきた。しかし、このような表層では毛羽立ちや紙粉の発生が避けられないため、近年ではナイロンやポリプロピレンなどを表層に用いた有孔フィルムが用いられている（例えば、特許文献１～３参照）。特許文献１及び２には、機械的強度と包装材料全体としての通気性の確保のために、基材の裏面に不織布からなる強化材層を積層し、さらに強化材層の下に透過性フィルムを積層した３層構成の酸素透過性包装材料が開示されている。特許文献３には、有孔ナイロン層と、強化材層と、有孔直鎖状低密度ポリエチレン層とがこの順に積層されて形成されている酸素透過性包装材料が開示されている。

特開２００４－２１６７０１号公報 特開２００３－３４０９５０号公報 特開２０１６－０４３５１４号公報

しかしながら、上述の酸素透過性包装材料は、いずれも外層に有孔フィルムを設けるため、各層を熱ラミネート後に孔開け工程を行う必要がある。
また、上述の酸素透過性包装材料は、いずれも外層に有孔フィルムを設けるため、脱酸素剤や乾燥剤等の包装されている内容物が漏れるおそれがあった。

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、紙粉や毛羽立ちの発生がなく、内容物等の漏れがない酸素透過性包装材料、包装体及びその製造方法を提供することを課題とする。

本発明の第一の態様は、ポリプロピレン及びポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも１種より構成される無孔ポリオレフィン層と、互いに同一の方向に配列した複数の第１の繊維からなる第１の繊維層と、前記第１の繊維とは異なる方向にかつ互いに同一の方向に配列した複数の第２ の繊維からなる第２ の繊維層とが、積層されもしくは織成されてなる網状構造体を含む網状補強層とを有し、前記無孔ポリオレフィン層の厚さが３μｍ～１８μｍである酸素透過性包装材料である。

本発明の第二の態様は、前記第一の態様の酸素透過性包装材料を少なくとも一部に用い、前記無孔ポリオレフィン層を外側にして、脱酸素剤、乾燥剤、脱臭剤、防虫剤または芳香剤を収納した包装体である。

本発明の第三の態様は、前記第一の態様の酸素透過性包装材料を少なくとも一部に用い、前記網状補強層の両端が対向接触するように前記網状補強層を内側にして酸素透過性包装材料を袋状にする工程と、
前記袋状の酸素透過性包装材料に、脱酸素剤、乾燥剤、脱臭剤、防虫剤または芳香剤を収納する工程と、
前記袋状の酸素透過性包装材料の周縁部を熱プレス法によりヒートシールする工程と
を含む、包装体の製造方法である。

本発明によれば、紙粉や毛羽立ちの発生がなく、内容物等の漏れがない酸素透過性包装材料、包装体及びその製造方法が提供出来る。

本発明の第１の態様に係る酸素透過性包装材料の一例を示す断面模式図である。 網状構造体を構成する一軸延伸網状フィルム（スプリットウェブ）の一例を示す図である。 網状構造体を構成する一軸延伸網状フィルム（スリットウェブ）の他の例を示す図である。 網状構造体の一例を示す図である。 網状構造体の他の一例を示す図である。 網状構造体の他の一例を示す図である。 本発明の第１の態様に係る酸素透過性包装材料の変更例を示す断面模式図である。 本発明の第１の態様に係る酸素透過性包装材料の他の変更例を示す断面模式図である。 本発明の第２の態様に係る包装体の一例を示す断面模式図である。

（第１実施形態）
図１は、本実施形態における酸素透過性包装材料の一例を示す断面模式図である。本実施形態における酸素透過性包装材料１は、脱酸素剤や乾燥剤などの内容物を包装し、食品とともに外装袋に収容される包装体に使用され、無孔ポリオレフィン層２と、網状補強層３とを有する。
酸素透過性包装材料１は、後述するように構成材料に紙を用いていないため、紙粉や毛羽立ちの発生がなく、防塵性が良好（リントフリー）である。
以下に、酸素透過性包装材料１を構成する各層について詳細に説明する。

（無孔ポリオレフィン層）
無孔ポリオレフィン層２は、酸素透過性包装材料１において、一方の最表面層を構成し、通常、外装袋内で食品と接触する層として機能する。無孔ポリオレフィン層２には、ポリプロピレンフィルム及び／又はポリエチレンフィルムを用いることができ、またフィルムは縦または横方向、もしくは両方に延伸したフィルムでも良い。
本実施形態において、無孔ポリオレフィン層２の厚さは、３μｍ～１８μｍであることが好ましく、５μｍ～１６μｍであることがより好ましい。無孔ポリオレフィン層２の厚さが上記範囲の上限値以下であることにより、十分な酸素透過性が得られる。また、無孔ポリオレフィン層２の厚さが上記範囲の下限値以上であることにより、十分な強度が得られ、フィルムを成形することができる。

無孔ポリオレフィン層２を構成するポリプロピレンフィルム及び／又はポリエチレンフィルムは、当業者であれば適宜製造することもできるが、市販品の具体的な例としては、東洋紡製パイレン（登録商標）フィルム、フタムラ化学製のポリプロピレンフィルム及び／又はポリエチレンフィルムなどが挙げられる。

また、ポリエチレンフィルムとしては、酸素透過性をより高める観点から、直鎖状低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）及び／又は高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）が好ましく、直鎖状低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）がより好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレンは、例えば、メタロセン触媒の存在下で、気相重合法、スラリー重合法、溶液重合法等の製造プロセスにより、エチレン及びα－オレフィンを、共重合させることにより得ることができる。共重合体においては、炭素数４～１２までのα－オレフインを使用するのが好ましい。具体的には、ブテン、ペンテン、ヘキセン、へプテン、オクテン、ノネン、デセンなどが挙げられる。

また、必要に応じて、無孔ポリオレフィン層２の最表面に、所望の機能を付与する表面処理を施したものを用いることもできる。

無孔ポリオレフィン層２は、通常、内包物には接触しない最表面層に使用されることで、無孔ポリオレフィン層２自体が通気度を持つため孔を設ける必要がない、網状補強層３との熱圧着が可能であるといった利点がある。

無孔ポリオレフィン層２の網状補強層３に接する面には、印刷を施すことができる。無孔ポリオレフィン層２には、鮮明な印刷が可能であり、また、表面側からでも印刷情報を鮮明に見ることができる。印刷は無孔ポリオレフィン層２の裏面に行われるため、印刷部
は包装体の表面に露出せず、包装体を食品とともに収納しても、印刷用のインキが食品と接触することはない。従って、印刷には、印刷インキ工業連合会の制定する「食品包装材料印刷インキに関する自主規制」ＮＬ規制に適合する、包装材料への印刷に一般に使用されているインキを使用することができる。
また、本実施形態において、無孔ポリオレフィン層２は、酸素透過性包装材料１において、通常、食品と接触する最表面層を構成する。そのため、酸素透過性包装材料１を用いて包装体を形成する場合には、内包物が漏れるおそれがない。

（網状補強層）
網状補強層３は、無孔ポリオレフィン層２とは反対側の最表面層を構成し、通常、内包物と接触する面として機能する。網状補強層３は、酸素透過性包装材料１に機械的強度を付与するとともに、必要な酸素透過性を確保する。
網状補強層３は、網状構造体とともに、不織布を組み合わせて使用することもできる。
不織布としては、例えば、乾式不織布、湿式法不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布、ステッチボンド不織布、スチームジェット不織布等が挙げられる。
網状補強層３ の材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、レーヨン、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、アクリル繊維、ビニロン、アラミド繊維、ガラス繊維、ゼルロース繊維等が挙げられる。

本発明において、網状補強層３は、互いに同一の方向（以下、「第１方向」という場合がある）に配列した複数の第１の繊維からなる第１の繊維層と、前記第１の繊維とは異なる方向（以下、「第２方向」という場合がある）にかつ互いに同一の方向に配列した複数の第２の繊維からなる第２の繊維層とが、積層されもしくは織成されてなる網状構造体を含有する。ここで、第１の繊維層と第２の繊維層という用語は、区別されることなく、互換的に使用され得る。特徴の異なる繊維層を、第１の繊維層、第２の繊維層として積層する場合、いずれの繊維層が無孔ポリオレフィン層２に接するかについては、特に限定されない。このような網状構造体としては、種々の態様が挙げられ、特に限定されるものではないが、一定の強度と、網状構造に由来する酸素透過性とを備えるものが好ましい。
網状補強層３が前記網状構造体を含有する場合、酸素透過性包装材料１の引張強度や突き刺し強度が向上するので好ましい。

前記網状構造体を構成する前記複数の第１繊維は、前記第１方向に一軸延伸された第１の一軸延伸網状フィルムを構成する複数の繊維（すなわち、前記第１の一軸延伸網状フィルムの構成繊維）であるか又はそれぞれが軸方向に延伸されると共に前記第１方向に沿って配列された複数の延伸繊維（延伸繊維群）であり得る。同様に、前記網状構造体を構成する前記複数の第２繊維は、前記第２方向に一軸延伸された第２の一軸延伸網状フィルムを構成する複数の繊維（すなわち、前記第２の一軸延伸網状フィルムの構成繊維）であるか又はそれぞれが軸方向に延伸されると共に前記第２方向に沿って配列された複数の延伸繊維（延伸繊維群）であり得る。

前記一軸延伸網状フィルムは、一軸延伸された網状構造を有するフィルムであり、一軸延伸され且つ複数箇所で、割織された多層フィルムがその延伸方向と直交する方向に拡げられた割繊維フィルム（以下「スプリットウェブ」という）と、複数のスリットを有する多層フィルムが一軸延伸された網状フィルム（以下「スリットウェブ」という）とを含む。前記多層フィルムは、第１熱可塑性樹脂層の少なくとも一方の面に、第２熱可塑性樹脂層（接着層）が積層された多層構造を有するものが好ましく、第１熱可塑性樹脂層の両面に、第２熱可塑性樹脂層（接着層）が積層された三層構造を有するものがより好ましい。

第１熱可塑性樹脂層及び第２熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂層である。熱可塑性樹脂としては、例えば、割繊性の良好な、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンおよびこれらの共重合体が挙げられる。また、第１熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂（以下、「第１熱可塑性樹脂」という）と、第２熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂（以下、「第２熱可塑性樹脂」という）との融点の差は、製造上の理由から、５℃以上であることが必要であり、好ましくは１０～５０℃である。
前記第１の繊維及び前記第２の繊維は、前記第２熱可塑性樹脂層を接着層として互いに接着されていることが好ましい。

以下、前記網状構造体のいくつかの実施形態について説明する。
（第１の網状構造体）
第１の網状構造体は、前記一軸延伸網状フィルムとしてのスプリットウェブと前記一軸延伸網状フィルムとしてのスリットウェブとが互いの延伸方向が略直交するように積層接着された積層不織布である。図２は、前記スプリットウェブを示し、図３は、前記スリットウェブを示し、図４は、前記第１の網状構造体を示している。

スプリットウェブ３１は、多層フィルムを長さ方向（縦方向）に一軸延伸し、延伸方向である縦方向に沿って複数箇所で割繊（例えば千鳥状に割繊）し、その後、延伸方向に直交する横方向（幅方向）に拡げる（拡幅する）ことによって形成され得る。ここで、前記多層フィルムは、上述のように、前記第１熱可塑性樹脂の両面に前記第２熱可塑性樹脂層が積層された三層構造を有するものであることが好ましい。スプリットウェブ３１は、図２に示されるように、網目状構造を有しており、その構成繊維として延伸方向に延びる互いにほぼ平行な複数の幹繊維３１ａと、隣接する幹繊維３１ａ同士を繋ぐ枝繊維３１ｂとを有する。前記多層フィルムを一軸延伸することによって前記多層フィルムを構成する分子が延伸方向に配向する。その結果、スプリットウェブ３１は、延伸方向（構成分子の配向方向）である長さ方向（縦方向）において比較的強い強度を有する。

スリットウェブ３２は、多層フィルムに幅方向（横方向）に延びる複数のスリットを形成（例えば千鳥状に形成）し、その後、幅方向（横方向）に延伸することによって形成され得る。前記多層フィルムは、上述のように、前記第１熱可塑性樹脂の両面に前記第２熱可塑性樹脂層が積層された三層構造を有するものである。スリットウェブ３２は、図３に示されるように、ひし形の網目状構造を有することが好ましい。前記多層フィルムを一軸延伸することによって前記多層フィルムを構成する分子が延伸方向に配向し、その結果、スリットウェブ３２は、延伸方向（構成分子の配向方向）である幅方向（横方向）において比較的強い強度を有する。

前記第１の網状構造体３０は、図４に示されるように、図２に示すスプリットウェブ３１と図３に示すスリットウェブ３２とを互いの延伸方向が略直交するように積層し、その後、熱圧着によって接着することによって形成される。第１の網状構造体の目付、構成繊維サイズ（厚さや幅）、引張強度などの各種の特性は、前記多層フィルムの前記第１熱可塑性樹脂層の厚さ、延伸の倍率、スプリットウェブ３１における割繊箇所、スリットウェブ３２におけるスリットの形成箇所などを適宜調整することで制御可能である。なお、前記第１の網状構造体においては、スプリットウェブ３１の構成する繊維群、主に幹繊維３１ａ群が前記複数の第１繊維に相当し、スリットウェブ３２を構成する繊維群が前記複数の第２繊維に相当する。

（第２の網状構造体）
第２の網状構造体３００は、図５に示されるように、図２に示すスプリットウェブ３１同士を互いの延伸方向が略直交するように積層接着した網状基材１３からなる積層不織布である。第２の網状構造体の目付、構成繊維のサイズ（厚さや幅）、引張強度などの各種の特性は、前記多層フィルムの前記第１熱可塑性樹脂層の厚さ、延伸の倍率、スプリットウェブ３１における割繊箇所などを適宜調整することで制御可能である。なお、前記第２の網状構造体においては、一方のスプリットウェブ３１を構成する繊維群、主に幹繊維３１ａ群が前記複数の第１繊維に相当し、他方のスプリットウェブ３１を構成する繊維群、主に幹繊維３１ａ群が前記複数の第２繊維に相当する。

（第３の網状構造体）
第３の網状構造体は、それぞれが軸方向に延伸されると共に前記第１方向に沿って配列された複数の延伸繊維からなる第１の延伸繊維群と、それぞれが軸方向に延伸されると共に前記第２方向に沿って配列された複数の延伸繊維からなる第２の延伸繊維群とが積層接着された積層不織布である。前記延伸繊維は、例えば前記多層フィルムと同様の構成の多層テープを長さ方向（縦方向）に一軸延伸することによって形成され得る。なお、前記第３の網状構造体においては、前記第１の延伸繊維群を構成する複数の延伸繊維が前記複数の第１繊維に相当し、前記第２の延伸繊維群を構成する複数の延伸繊維が前記複数の第２繊維に相当する。

（第４の網状構造体）
第４の網状構造体は、前記第１の延伸繊維群を構成する複数の延伸繊維が経糸に、前記第２の延伸繊維群を構成する複数の延伸繊維が緯糸になるように、任意の織り方で織成され、その後、前記第１の延伸繊維群と前記第２の延伸繊維群とが接着等によって一体化された織布である。なお、前記第４の網状構造体においては、経糸に相当する前記第１の延伸繊維群を構成する複数の延伸繊維が前記複数の第１繊維に相当し、緯糸に相当する前記第２の延伸繊維群を構成する複数の延伸繊維が前記複数の第２繊維に相当する。

（第５の網状構造体）
第５の網状構造体は、例えば、図２に示すスプリットウェブ３１と複数の延伸繊維からなる延伸繊維群とが積層接着された積層不織布である。前記第５の網状構造体は、例えばスプリットウェブ３１と前記第２の延伸繊維群とが積層接着された三層構成、又は、スプリットウェブ３１の両面に前記第２の延伸繊維群が積層接着された三層構成を有し得る。なお、前記第５の網状構造体においては、スプリットウェブ３１を構成する繊維群、主に幹繊維３１ａ群が前記複数の第１繊維に相当し、前記第２の延伸繊維群を構成する複数の延伸繊維が前記複数の第２繊維に相当する。

（第６の網状構造体）
更に別の実施形態においては、網状構造体は、縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンテープを経緯積層してなる不織布もしくは織成してなる織布である。すなわち、第１の繊維層、第２の繊維層とも、複数の縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンテープ群から構成される。そして、不織布の場合には、複数の縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンテープ群が、延伸方向が概ね直交するように経緯積層され、溶着もしくは接着されている。織布の場合には、複数の縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンテープ群が経糸、複数の縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンテープ群が緯糸になるように（緯糸になるように配置した結果、ポリオレフィンテープの配向方向は、経糸に対して直角の方向になっている）、任意の織り方で織成され、溶着もしくは接着されている。

縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンテープは、多層インフレーション法あるいは多層Ｔダイ法などの押出成形により３層構造の原反フィルムを製造し、縦方向に、１．１～１５倍、好ましくは３～１０倍に一軸延伸した後、延伸方向に沿って、例えば、２ｍｍ～７ｍｍの幅で裁断することにより製造することができる。あるいは、同様に、３層構造の原反フィルムを製造し、機械方向に沿って、同様の幅で裁断した後に、縦方向に、１．１～１５倍、好ましくは３～１０倍に一軸延伸することにより製造することができる。

不織布から構成される網状構造体の一例を図６に示す。図６において、網状構造体４０は、経糸に該当する複数の一軸延伸多層テープを第１の繊維層４０２として一定の間隔をあけて平行に並べ、それに対し一軸延伸多層テープの長手方向が略直交するように、緯糸に該当する別の複数の一軸延伸多層テープを第２の繊維層４０３として積層したものである。そして、経糸と緯糸との接触面を加熱溶着することにより、網状構造体が得られる。この場合、熱溶着もしくは接着の態様は、前述の実施形態と同様である。織布については、複数の一軸延伸多層テープを、積層することに替えて、織成したこと以外は、同様にして製造することができる。

このような不織布の市販品の例としては、積水フィルム（株）製のソフ（商品名）ＨＮ５５、ＨＮ６６が利用できる。織布の市販品の例としては、萩原工業（株）製のメルタック（商品名）なども利用できる。

［第７の網状構造体：各種積層体］
また、網状補強層３は、前述の割繊維フィルム（縦ウェブ）、または網状フィルム（横ウェブ）と、縦方向一軸延伸多層ポリオレフィンテープとを延伸方向が略直交、あるいは斜交するように積層した積層体や、熱可塑性樹脂から紡糸され延伸されたフィラメントを延伸方向が略直交するように組み合わせた織布や不織布を用いることもできる。要するに、複数の網状体層が、延伸方向が概ね直交し、あるいは斜交し、且つ酸素透過性を有するように一体化された構成であればよい。

（酸素透過性包装材料の変更例）
図７は、本実施形態に係る酸素透過性包装材料の変更例を示す断面模式図である。図７に示す変更例において、酸素透過性包装材料１Ａは、無孔ポリオレフィン層２と、網状補強層３Ａとを有する。網状補強層３Ａは、網状構造体以外の不織布３４（以下、「不織布３４という」）と、網状構造体からなる層３３（以下、「網状構造体層３３」という）とを有する。図７に示す変更例では、無孔ポリオレフィン層２と、不織布３４と、網状構造体層３３とが上からこの順に積層されている。
図８は、本実施形態に係る酸素透過性包装材料の他の変更例を示す断面模式図である。図８に示す変更例において、酸素透過性包装材料１Ｂは、無孔ポリオレフィン層２と、網状補強層３Ｂとを有する。網状補強層３Ｂは、網状構造体層３３と、不織布３４とを有する。図８に示す変更例では、無孔ポリオレフィン層２と、網状構造体層３３と、不織布３４とが上からこの順に積層されている。
図７及び８に示す変更例では、網状構造体層３３の目を粗くして、不織布３４で補強することができる。
なお、図７及び８に示す変更例では、不織布３４に替えて有孔フィルム３４’を積層してもよい。有孔フィルム３４’を用いることにより、酸素透過性包装材料の酸素透過性をより高めることができる。

（酸素透過性包装材料の製造方法）
次に、本実施形態に係る酸素透過性包装材料を、製造方法の観点から説明する。酸素透過性包装材料の製造方法は、無孔ポリオレフィン層２と、網状補強層３とを、熱圧着法によって接合する工程を含む。これらの層の接合は、それぞれの層を個別に製造した後、熱圧着法によって一気に行うことができ、かかる工程により、本発明に係る酸素透過性包装材料１を得ることができる。この場合、熱圧着の条件は、例えば、１２０～１４０℃、好ましくは、１２５～１４０℃の温度条件で、例えば線圧１５０～２６０Ｎ／ｃｍ、好ましくは、線圧２００～２５０Ｎ／ｃｍの圧力条件とすることができる。具体的な熱圧着の方法は、スチーム加熱ロールや誘電加熱ロールにより実施することができるが、これらの方法には限定されない。

なお、本実施形態では、無孔ポリオレフィン層２と、網状補強層３とを線ラミ加工により接合してもよい。この場合、例えば、押出ラミネーションのＴダイに、例えば２ｍｍφの孔を１ｍｍ毎に配置したリップを取り付け、その孔から溶融した樹脂をストライプ状に押出して、異素材を貼り合せることができる。無孔ポリオレフィン層２と、網状補強層３とを線ラミ加工により接合する場合、網状補強層３の表面がストライプ状となっているため、酸素透過性を損なわず、結合できる。

本実施形態により得られる酸素透過性包装材料は、通常、１００～３００μｍ程度、好ましくは、１００～２００μｍ程度の膜厚を有する可撓性を有するフィルムの形態である。
本実施形態に係る酸素透過性包装材料１は、構成材料に紙を用いていないため、紙粉や毛羽立ちの発生がなく、防塵性が良好（リントフリー）である。
また、本実施形態に係る酸素透過性包装材料１は、無孔ポリオレフィン層２の網状補強層３に接する面に印刷を施すことができる。その場合、印刷は無孔ポリオレフィン層２の裏面に行われるため、印刷部は包装体の表面に露出せず、包装体に食品等の内包物を収納しても、印刷用のインキが内包物と接触することはない。また、印刷用のインキの欠落、転写等を防止することができる。
また、本実施形態に係る酸素透過性包装材料１は、上記のような網状補強層３を備える。そのため、従来技術と同様の引張強度などの機械強度に優れた酸素透過性包装材料１とすることができる。さらに、網状補強層３が網状構造体を含有する場合、縦方向と横方向での強度バランスにも優れ、しかも引張強度、突き刺し強度及び通気度をより向上させることができる。
さらに、網状補強層３の第２熱可塑性樹脂層（接着層）は、ヒートシール層として機能する。そのため、本実施形態に係る酸素透過性包装材料１は、別途ヒートシール層を設ける必要がなく、工程を削減できるために製造コストの面からも有利である。
また、本実施形態に係る酸素透過性包装材料１は、無孔ポリオレフィン層２自体が通気度を持つため孔を設ける必要がない。そのため、本実施形態に係る酸素透過性包装材料１は、内包物が漏れるおそれがない。

また、本実施形態に係る酸素透過性包装材料１は、上記の層構成を備えることで、食品衛生法に基づく、食品、添加物等の規格基準（Ｓ３４厚生省告示第３７０号）における、４％酢酸溶出残渣試験に適合している。具体的には、本実施形態による酸素透過性包装材料１は、上記規格基準が定める、蒸発残留物「３０μｇ／ｍｌ以下」を満たしている。本実施形態による酸素透過性包装材料１の蒸発残留物量は、より好ましくは１０μｇ／ｍｌ以下であり、さらに好ましくは、５μｇ／ｍｌ以下である。この基準に適合することにより、例えば、食品包装に内包される乾燥剤等の包材に用いることができる。

（第２実施形態）
本発明にかかる第２の実施形態を図９に示す。
図９は、本実施形態における包装体の一例を示す断面模式図である。本実施形態における包装体６は、第１実施形態による酸素透過性包装材料１を、網状補強層３が内側になるように袋状に成形し、その中に乾燥剤、脱臭剤、防虫剤、または芳香剤などの機能性物品５を収容したものである。

酸素透過性包装材料１から包装体６を作る際には、網状補強層３の第２熱可塑性樹脂層（接着層）がヒートシール層として機能する。そのため、酸素透過性包装材料１に別途シール層を設ける必要がない。具体的には、網状補強層３の両端が対向接触するように網状補強層３を内側にして酸素透過性包装材料１を袋状に折り曲げ、機能性物品５を包み、周縁部を熱プレス法によりヒートシールする。これにより、機能性物品５が包装体の外部に放出されることがないように密封する。

本実施形態において、網状補強層３に接する機能性物品５は、粒径が、６００μｍ以上であることが好ましく、１０００μｍ以上であることが特に好ましい。一例として、本実施形態による酸素透過性包装材料が好ましく用いられる包装対象であるシリカゲルの大きさは、通常、７～１２メッシュ（粒径２．８３～１．４０ｍｍ）、あるいは、５～８メッシュ（粒径４．００～２．３６ｍｍ）であるが、これらの大きさには限定されない。網状補強層３の孔から外部へ放出されることを防止するためである。具体的な機能性物品５としては、シリカ、ゼオライト、活性炭が挙げられ、特には乾燥剤としてのシリカが好ましいがこれらには限定されない。

以上説明したように、酸素透過性包装材料１は、外層に無孔ポリオレフィン層２を設けている。したがって、酸素透過性包装材料１を用いて包装体６を形成したとき、包装体６の表層は無孔ポリオレフィン層２となるので、従来のように紙粉は発生せず衛生的である。また、包装体６の表層は無孔であることから、内部に収納された機能性物品５の粉末等の内包物が漏れるおそれがない。また、包装体６の表層は無孔ポリオレフィン層２となるので、酸素透過性包装材料１は耐油性に優れる。
また、酸素透過性包装材料１は、網状補強層３を備える。上記のように、特に網状補強層３が網状構造体を含有する場合、縦方向と横方向での強度バランスにも優れ、しかも引張強度、突き刺し強度及び通気度をより向上させることができる。そのため、酸素透過性包装材料１を用いて包装体６を形成したとき、内部に収納された機能性物品５による損傷も生じにくく、乾燥剤以外に、活性炭や木炭など重量の大きな機能性物品５を収納する大型の包装材料としても有効に利用できる。
また、包装体６を形成する際に、網状補強層３の第２熱可塑性樹脂層は、ヒートシール層として機能するので、比較的低温で融着する。そのため、ヒートシール時間を短縮することができ、これに伴って機能性物品５の充填速度を上げることができるので、包装体６の生産性を向上させることができる。また、本実施形態に係る包装体６は、別途ヒートシール層を設ける必要がなく、工程を削減できるために製造コストの面からも有利である。
また、本実施形態に係る包装体６は、無孔ポリオレフィン層２の網状補強層３に接する面に印刷を施すことができる。その場合、印刷は無孔ポリオレフィン層２の裏面に行われるため、印刷部は包装体の表面に露出せず、包装体６に食品等の内包物を収納しても、印刷用のインキが食品と接触することはない。また、印刷用のインキの欠落、転写等を防止することができる。

本発明の酸素透過性包装材料は、乾燥剤の包装に好適に利用できるが、芳香剤、消臭剤、防虫剤などの機能性物品５の包装にも好適に利用できる。これらの機能性物品５を収納する包装体は、機能性物品５が機能すればどのような形態でもよい。包装体が袋の形態である場合には、酸素透過性包装材料は、その袋の一部分、片面、または全体に使用される。包装体を形成するための、酸素透過性包装材料のヒートシール方法には、加熱シールバーによる熱プレス法が一般に用いられる。従って、包装体が袋の形態である場合には、シート材から袋を形成する一般的な製袋包装機を用いることができる。また、本発明の酸素透過性包装材料は、前述したように、引張強度に優れているので、大型の包装体やシート状の包装体としても利用することができる。

次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。また、実施例及び比較例中における各値は下記の方法で求めた。

（網状構造体の製造例１）
スプリットウェブ３１とスプリットウェブ３１とが互いの延伸方向が略直交するように積層接着された網状構造体（第２の網状構造体３００）を製造した。スプリットウェブ３１において、前記多層フィルムの主層で、ある第１熱可塑性樹脂層には樹脂Ａを用い、前記第１熱可塑樹脂層の両面に前記第２熱可塑性樹脂層（接着層）として樹脂Ｂを水冷インプレーション法により積層した。そして、スプリットウェブ３１とスプリットウェブ３１とを熱溶着によって接着して網状構造体（３－１）を得た。

樹脂Ａ及びＢは以下のとおりである。
樹脂Ａ：ポリプロピレンＰＬ４００Ａ（サンアロマー社製）
樹脂Ｂ：ポリプロピレンＦＸ４ＥＴ（日本ポリプロ社製）

（網状構造体の製造例２）
樹脂Ａに替えて下記樹脂Ｃを用い、樹脂Ｂに替えて下記樹脂Ｄを用いたことは製造例１と同様にして網状構造体（３－２）を得た。
樹脂Ｃ：高密度ポリエチレンＨＹ４４４（日本ポリエチレン製）
樹脂Ｄ：低密度ポリエチレンＬＥ５４１Ｈ（日本ポリエチレン製）

（実施例１）
本発明の第１実施形態に係る酸素透過性包装材料を製造した。無孔ポリプロピレン層として、層厚が６μｍの二軸延伸無孔ポリプロピレンフィルムを用いた。この無孔ポリプロピレンフィルムの片面に、グラビア印刷によって商品ロゴなど必要な印刷を施した。網状補強層としては、前記網状構造体（３－１）を用いた。
無孔ポリプロピレン層の印刷層を内側にして、網状補強層にコロナ処理を施しながら、印刷層と接触するように、２層を同時に熱ロールに通過させ、酸素透過性包装材料を作製した。積層条件は、熱ロールの温度が１３５℃、線圧が２００Ｎ／ｃｍ、送り速度が２０ｍ／ｍｉｎ.とした。熱ロールに接触するのは、無孔ポリプロピレン層側とした。コロナ処理は、１００Ｗ／（ｍ２・ｍｉｎ.）の出力にて行った。

（実施例２）
本発明の第１実施形態に係る酸素透過性包装材料を製造した。無孔ポリプロピレン層として、層厚が１２μｍの二軸延伸無孔ポリプロピレンフィルムを用いた。この無孔ポリプロピレンフィルムの片面に、グラビア印刷によって商品ロゴなど必要な印刷を施した。網状補強層としては、前記網状構造体（３－１）及び芯鞘不織布（芯：ＰＥＴ、鞘：ＰＥ製の２０ｇ／ｍ２の不織布）を用いた。
無孔ポリプロピレン層の印刷層を内側にして、網状構造体（３－１）にコロナ処理を施しながら、芯鞘不織布が印刷層と接触するように、さらに芯鞘不織布を同時に繰り出し、３層を同時に熱ロールに通過させ、酸素透過性包装材料を作製した。積層条件は、熱ロールの温度が１３５℃、線圧が２００Ｎ／ｃｍ、送り速度が２０ｍ／ｍｉｎ.とした。熱ロールに接触するのは、無孔ポリプロピレン層側とした。コロナ処理は、１００Ｗ／（ｍ２・ｍｉｎ.）の出力にて行った。

（実施例３）
本発明の第１実施形態に係る酸素透過性包装材料を製造した。無孔ポリエチレン層として、層厚が１５μｍの無孔直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを用いた。この無孔直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの片面に、グラビア印刷によって商品ロゴなど必要な印刷を施した。網状補強層としては、前記網状構造体（３－２）及び芯鞘不織布（芯：ＰＥＴ、鞘：ＰＥ製の２０ｇ／ｍ２の不織布）を用いた。
無孔ポリエチレン層の印刷層を内側にして、網状構造体（３－２）にコロナ処理を施しながら、芯鞘不織布が印刷層と接触するように、さらに芯鞘不織布を同時に繰り出し、３層を同時に熱ロールに通過させ、酸素透過性包装材料を作製した。積層条件は、熱ロールの温度が１２５℃、線圧が２００Ｎ／ｃｍ、送り速度が２０ｍ／ｍｉｎ.とした。熱ロールに接触するのは、無孔ポリエチレン層側とした。コロナ処理は、１００Ｗ／（ｍ２・ｍｉｎ.）の出力にて行った。

（比較例１）
比較用の酸素透過性包装材料を製造した。最外層として、層厚が１２μｍの有孔ＰＥＴフィルムを用いた。この有孔ＰＥＴフィルムは、ＰＥＴフィルムの片面に、グラビア印刷によって商品ロゴなど必要な印刷を施し、押出ラミネーションにてＬＤＰＥを塗布して得られた積層フィルムに孔を開けたものである。網状補強層としては、前記網状構造体（３－２）及び微多孔質フィルム（４０ｇ／ｍ２）を用いた。
有孔ＰＥＴ層の印刷層を内側にして、網状構造体（３－２）にコロナ処理を施しながら、無孔ＭＰＦが印刷層と接触するように、さらに微多孔質フィルムを同時に繰り出し、３層を同時に熱ロールに通過させ、酸素透過性包装材料を作製した。積層条件は、熱ロールの温度が１２５℃、線圧が２００Ｎ／ｃｍ、送り速度が２０ｍ／ｍｉｎ.とした。熱ロールに接触するのは、有孔ＰＥＴ層側とした。コロナ処理は、１００Ｗ／（ｍ２・ｍｉｎ.）の出力にて行った。

（比較例２）
比較用の酸素透過性包装材料を製造した。最外層として、層厚が１２μｍの有孔ＰＥＴフィルムを用いた。この有孔ＰＥＴフィルムの片面に、グラビア印刷によって商品ロゴなど必要な印刷を施した。網状補強層としては、前記網状構造体（３－２）及び層厚が２０μｍの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを用いた。
有孔ＰＥＴ層の印刷層を内側にして、網状構造体（３－２）にコロナ処理を施しながら、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムが印刷層と接触するように、さらに直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを同時に繰り出し、３層を同時に熱ロールに通過させ、酸素透過性包装材料を作製した。積層条件は、熱ロールの温度が１２５℃、線圧が２００Ｎ／ｃｍ、送り速度が２０ｍ／ｍｉｎ.とした。熱ロールに接触するのは、有孔ＰＥＴ層側とした。コロナ処理は、１００Ｗ／（ｍ２・ｍｉｎ.）の出力にて行った。

（比較例３）
比較用の酸素透過性包装材料を製造した。無孔ポリエチレン層として、層厚が２０μｍの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを用いた。この直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの片面に、グラビア印刷によって商品ロゴなど必要な印刷を施した。網状補強層としては、前記網状構造体（３－２）及び芯鞘不織布（芯：ＰＥＴ、鞘：ＰＥ製の２０ｇ／ｍ２の不織布）を用いた。
無孔ポリエチレン層の印刷層を内側にして、網状構造体（３－２）にコロナ処理を施しながら、芯鞘不織布が印刷層と接触するように、さらに芯鞘不織布を同時に繰り出し、３層を同時に熱ロールに通過させ、酸素透過性包装材料を作製した。積層条件は、熱ロールの温度が１２５℃、線圧が２００Ｎ／ｃｍ、送り速度が２０ｍ／ｍｉｎ.とした。熱ロールに接触するのは、無孔ポリエチレン層側とした。コロナ処理は、１００Ｗ／（ｍ２・ｍｉｎ.）の出力にて行った。

（比較例４）
比較用の酸素透過性包装材料を製造した。無孔ポリプロピレン層として、層厚が４０μｍの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた。このポリプロピレンフィルムの片面に、グラビア印刷によって商品ロゴなど必要な印刷を施した。網状補強層としては、前記網状構造体（３－１）及び芯鞘不織布（芯：ＰＥＴ、鞘：ＰＥ製の２０ｇ／ｍ２の不織布）を用いた。
無孔ポリプロピレン層の印刷層を内側にして、網状構造体（３－１）にコロナ処理を施しながら、芯鞘不織布が印刷層と接触するように、さらに芯鞘不織布を同時に繰り出し、３層を同時に熱ロールに通過させ、酸素透過性包装材料を作製した。積層条件は、熱ロールの温度が１３５℃、線圧が２００Ｎ／ｃｍ、送り速度が２０ｍ／ｍｉｎ.とした。熱ロールに接触するのは、無孔ポリプロピレン層側とした。コロナ処理は、１００Ｗ／（ｍ２・ｍｉｎ.）の出力にて行った。

酸素透過の評価）
実施例１～３及び比較例１～４で得られた各酸素透過性包装材料に脱酸素剤（５ｇ）を充填した。脱酸素剤を充填した各酸素透過性包装材料をバリア袋内に入れ、空気５００ｍｌといっしょに密封し、時間毎の酸素濃度を測定し、以下の基準に従って酸素透過を評価した。
（評価基準）
○：１５日以内に酸素濃度が０％になった。
×：１５日以内に酸素濃度が０％にはならなかった。

（耐油性の評価）
実施例１～３及び比較例１～４で得られた各酸素透過性包装材料の上に、油分が多いドーナツを置き、下には市販の油取り紙の敷いて３０℃恒温器の中に２週間保管した。２週間保管後、恒温器から取出し油取り紙の状態について、以下の基準に従って耐油性を評価した。
（評価基準）
○：油取り紙にシミが出なかった。
×：油取り紙にシミが出た。

表１中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。
ＯＰＰ：二軸延伸ポリプロピレンフィルム
ＬＬＤＰＥ：直鎖状低密度ポリエチレンフィルム
ＰＥＴ：ポリエチレンテレフタレートフィルム

表１に示される結果から、本願発明を適用した実施例１～３の酸素透過性包装材料は、酸素透過及び耐油性が良好であることが確認された。

１…酸素透過性包装材料、２…無孔ポリオレフィン層、３…網状補強層、３１…スプリットウェブ、３２…スリットウェブ、３３…網状構造体からなる層（網状構造体層）、３４…不織布、５…機能性物品、６…包装体

Claims (6)

1. ポリプロピレン及びポリエチレンからなる群より選ばれる少なくとも１種より構成される無孔ポリオレフィン層と、
   （ｉ）フィルムを長さ方向（縦方向）に一軸延伸し、延伸方向である縦方向に沿って複数箇所で割繊し、その後、延伸方向に直交する横方向に拡幅することによって形成され得るスプリットウェブと、（ｉｉ）複数のスリットを有するフィルムが一軸延伸されたスリットウェブの一方を２つまたは双方１つずつが互いの延伸方向が略直交するように積層接着された積層不織布からなる網状構造体を含む網状補強層とを有し、
   前記無孔ポリオレフィン層の厚さが３μｍ～１８μｍである酸素透過性包装材料。
2. 無孔ポリオレフィン層がポリエチレンより構成され、前記ポリエチレンが、直鎖状低密度ポリエチレンである、請求項１に記載の酸素透過性包装材料。
3. 前記第１の繊維及び前記第２の繊維は、第１熱可塑性樹脂からなる第１熱可塑性樹脂層と、第２熱可塑性樹脂からなるからなる第２熱可塑性樹脂層とを含み、
   前記第１熱可塑性樹脂と前記第２熱可塑性樹脂との融点の差は５℃以上であり、
   前記第１の繊維及び前記第２の繊維は、前記第２熱可塑性樹脂層を接着層として互いに接着されている、請求項１又は２に記載の酸素透過性包装材料。
4. 前記網状補強層が、前記網状構造体からなる層と、前記網状構造体以外の不織布からなる層とを有する請求項１～３のいずれか一項に記載の酸素透過性包装材料。
5. 請求項１～４のいずれか一項に記載の酸素透過性包装材料を少なくとも一部に用い、前記無孔ポリオレフィン層を外側にして、脱酸素剤を収納した包装体。
6. 請求項１～４のいずれか一項に記載の酸素透過性包装材料を少なくとも一部に用い、前記網状補強層の両端が対向接触するように前記網状補強層を内側にして酸素透過性包装材料を袋状にする工程と、
   前記袋状の酸素透過性包装材料に、脱酸素剤、乾燥剤、脱臭剤、防虫剤または芳香剤を収納する工程と、
   前記袋状の酸素透過性包装材料の周縁部を熱プレス法によりヒートシールする工程と
   を含む、包装体の製造方法。

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