JP7067337B2 - モータ制御装置及びこれを備えた電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
以下、図8に示す簡略化した回路構成にて説明すると、従来は、例えば、モータ制御装置の有するインバータ回路142の電源供給ラインの電圧(平滑用コンデンサCCの充電電圧に相当)であるモータ電源電圧VR1を監視する。そして、モータ電源電圧VR1が、所定時間以上、予め設定した所定電圧閾値未満になったことを検出することでバッテリー127とインバータ回路142との接続不良を検出している。なお、誤検出を回避するために所定時間以上の継続状態を判定している。
図8中のバツ印に示すように、バッテリー127との接続ラインに例えば断線が発生すると、バッテリー127からの電流が平滑用コンデンサCCに供給されなくなる。但し、バッテリー127からの電源供給は無くなるが、ゲート駆動回路141には、図示省略するが、イグニッションスイッチを介してバッテリー127から別経路で電力が供給されている。そのため、システムは停止せずに作動状態を維持する。しかし、この状態で電動モータ122に駆動電流を流そうとゲート駆動信号のデューティー比を大きくすると平滑用コンデンサCCの充電電力が放電され、モータ電源電圧VR1が低下する。
また、上記効果を有するモータ制御装置を含んで電動パワーステアリング装置を構成するので、より確実に、バッテリーとの接続不良を検出することが可能となり、大事に至らぬ前に、モータ駆動回路の電気的な遮断等の対処をすることが可能となる。このため、信頼性の比較的高い電動パワーステアリング装置を提供することが可能となる。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
本発明に係る電動パワーステアリング装置1が搭載された車両2は、図1に示すように、左右の転舵輪となる前輪3FR及び3FLと後輪3RR及び3RLとを備えている。そして、前輪3FR及び3FLは、電動パワーステアリング装置1によって転舵される。
この電動パワーステアリング装置1は、図1に示すように、ステアリングホイール11と、ステアリングシャフト12と、操舵トルクセンサ13と、第1のユニバーサルジョイント14と、ロアシャフト15と、第2のユニバーサルジョイント16とを備えている。
電動パワーステアリング装置1は、更に、ピニオンシャフト17と、ステアリングギヤ18と、を備えている。
そして、出力軸12bに伝達された操舵力は、第1のユニバーサルジョイント14を介してロアシャフト15に伝達され、更に、第2のユニバーサルジョイント16を介してピニオンシャフト17に伝達される。このピニオンシャフト17に伝達された操舵力はステアリングギヤ18を介してタイロッド19に伝達され、転舵輪としての前輪3FR及び3FLを転舵させる。ここで、ステアリングギヤ18は、ピニオンシャフト17に連結されたピニオン18aとこのピニオン18aに噛合するラック18bとを有するラックアンドピニオン形式に構成されている。従って、ステアリングギヤ18は、ピニオン18aに伝達された回転運動をラック18bで車幅方向の直進運動に変換している。
操舵トルクセンサ13は、ステアリングホイール11に付与されて入力軸12aに伝達された操舵トルクを検出する。この操舵トルクセンサ13は、例えば、操舵トルクを入力軸12a及び出力軸12b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を抵抗変化や磁気変化に変換して検出する構成とされている。
更に、3相電動モータ22は、図2に示すように、モータの回転位置を検出するレゾルバなどの回転位置センサ23aを備えている。この回転位置センサ23aからの検出値がモータ回転角検出回路23に供給されてこのモータ回転角検出回路23でモータ回転角θmを検出する。モータ回転角検出回路23は、検出したモータ回転角θmを制御演算装置31に出力する。
なお、バッテリー27を、IGスイッチ28を介さず接続するラインは、コモンモードやノーマルモードのEMC(electromagnetic compatibility)ノイズ対策としてノイズフィルタ43を介して接続している。
次に、モータ制御装置25の具体的構成を説明する。
モータ制御装置25は、図2に示すように、モータ電圧指令値を演算する制御演算装置31と、この制御演算装置31から出力される、後述する3相のモータ電圧指令値V*が入力されるモータ駆動回路32とを備えている。
具体的に、3相のモータ電圧指令値V*は、A相モータ電圧指令値Va*、B相モータ電圧指令値Vb*及びC相モータ電圧指令値Vc*から構成される。
なお更に、モータ制御装置25は、モータ駆動回路32とモータ電流遮断回路33との間に設けられたモータ電圧検出回路40を備えている。
モータ駆動回路32は、制御演算装置31から出力される3相のモータ電圧指令値V*が入力されてゲート駆動信号を形成するゲート駆動回路41と、このゲート駆動回路41から出力されるゲート駆動信号が入力されるインバータ回路42とを備えている。
以下、電流検出回路39A、39B及び39Cを「電流検出回路39A~39C」と略記する。
ゲート駆動回路41は、制御演算装置31からモータ電圧指令値V*が入力されると、このモータ電圧指令値V*と三角波のキャリア信号Scとをもとにパルス幅変調(PWM)した6つのゲート駆動信号を形成する。そして、これらゲート駆動信号をインバータ回路42に出力する。
インバータ回路42は、ノイズフィルタ43と、電源遮断回路44と、モータ電源電圧検出回路34とを介してバッテリー27のバッテリー電力が入力され、入力側に平滑用の電解コンデンサである平滑用コンデンサCAが接続されている。この平滑用コンデンサCAは、インバータ回路42に対するノイズ除去機能及び電源供給補助機能を備えている。
また、インバータ回路42は、第1の電源供給ラインVL1を介して、バッテリー27から直接、電源供給されて動作するように構成されている。但し、本実施形態では、ノイズ対策のためノイズフィルタ43を介挿している。
なお、モータ電源電圧VR1は、バッテリー27とモータ駆動回路32との接続部に断線等の異常が発生して、バッテリー27からの正常な電源供給を受けられない状態となった場合に、平滑用コンデンサCAの充電電圧の変化に応じて変化する電圧値となる。
電源遮断回路44は、2つの電界効果トランジスタ(FET)QC1及びQC2がソース同士を接続して寄生ダイオードが逆向きとなる直列回路構成を有する。そして、電界効果トランジスタQC1のドレインがノイズフィルタ43の出力側に接続され、電界効果トランジスタQC2のドレインがインバータ回路42の各電界効果トランジスタQ1、Q3及びQ5のドレインに接続されている。
モータ電圧検出回路40は、それぞれインバータ回路42の各上側アームと各下側アームとの接続点と、3相電動モータ22の3相モータ巻線La~Lcとの接続ラインの各電圧を検出する。
具体的に、モータ電圧検出回路40は、A相モータ巻き線Laとの接続ラインの電圧であるモータ相電圧VAと、B相モータ巻き線Lbとの接続ラインの電圧であるモータ相電圧VBと、C相モータ巻き線Lcとの接続ラインの電圧であるモータ相電圧VCとを検出する。
以下、モータ相電圧VA、VB及びVCを「モータ相電圧VA~VC」と略記する。
次に、制御演算装置31の具体的構成を説明する。
ここで、制御演算装置31には、図2に示すように、モータ電圧検出回路40で検出したモータ相電圧VA~VCと、モータ電源電圧検出回路34で検出したモータ電源電圧VR1とがA/D変換部31cを介して入力されている。
なお更に、制御演算装置31には、図2に示すように、電流検出回路39Uから出力される電流検出値IUと、電流検出回路39A~39Cから出力される電流検出値IA、IB及びICとがA/D変換部31cを介して入力されている。
以下、電流検出値IA、IB及びICを「電流検出値IA~IC」と略記する。
なお、本実施形態において、制御演算装置31は、バッテリー27から第2の電源供給ラインVL2を介して電源供給を受けて動作するように構成されている。
また、制御演算装置31は、図示省略するが、CPUと、所定領域に予めCPUで実行される制御プログラムや制御プログラムの実行時に使用するデータ等を格納しているROMと、ROMから読み出したデータやCPUの演算過程で必要な演算結果を格納するためのワークメモリとしてのRAMと、計時用のタイムカウンタとを有している。
更に、制御演算装置31は、モータ駆動回路32に対するモータ電圧指令値V*を算出する電圧指令値演算部38を備えている。
操舵補助電流指令値演算部45は、操舵トルクTs及び車速Vsをもとに操舵補助電流指令値算出マップ(図示略)を参照して電流指令値でなる操舵補助電流指令値I*を算出する。この操舵補助電流指令値算出マップは、横軸に操舵トルクTsをとり、縦軸に操舵補助電流指令値I*をとる放物線状の曲線で表される特性線図で構成されている。
d軸指令電流算出部37aは、補償後操舵補助電流指令値I*′とモータ角速度ωeとに基づいてd軸電流指令値Id*を算出する。
誘起電圧モデル算出部37bは、モータ回転角θm及びモータ角速度ωeに基づいてd-q軸誘起電圧モデルEMF(Electromotive Force)のd軸EMF成分ed(θ)及びq軸EMF成分eq(θ)を算出する。
2相/3相変換部37dは、d軸指令電流算出部37aから出力されるd軸電流指令値Id*とq軸指令電流算出部37cから出力されるq軸電流指令値Iq*とを3相電流指令値Ia*、Ib*及びIc*に変換する。
具体的に、電圧指令値演算部38は、電流検出回路39A~39Cで検出した電流検出値IA~ICからA相電流検出値Ia、B相電流検出値Ib及びC相電流検出値Icを算出する。そして、A相電流指令値Ia*、B相電流指令値Ib*及びC相電流指令値Ic*からA相電流検出値Ia、B相電流検出値Ib及びC相電流検出値Icを減算して電流偏差ΔIa、ΔIb及びΔIcを算出する。更に、これら電流偏差ΔIa、ΔIb及びΔIcについて例えばPI制御演算又はPID制御演算を行ってモータ駆動回路32に対する3相のモータ電圧指令値V*を算出する。そして、算出した3相のモータ電圧指令値V*を、ゲート駆動回路41に出力する。
本実施形態のVR電圧低下防止機能は、まず、モータ電源電圧VR1を判定用の電圧閾値と比較する。
ここで、Vth1及びVth2は、制御演算装置31の備えるROMに予め記憶されている。
引き続き、VR1がVth1未満で且つVth2以上である場合に、インバータ回路42に供給する電流の電流指令値が制限される様に、3相電動モータ22の駆動電流量の上限を制限する機能となる。即ち、駆動電流量を制限することでバッテリー27からの持ち出し電流量を制限している。
ここで、Vth1は、バッテリー27の公称電圧よりも低い電圧値に設定され、本実施形態では、バッテリー電圧Vbatを予め設定した所定電圧値以下に低下させない範囲で通常の操舵補助制御を実施可能な最低電圧値に設定されている。また、Vth2は、インバータ回路42のFETQ1~Q6を正常に制御可能な最低入力電圧値に設定される。
異常検出部31aは、電流検出値IU及びIA~ICに基づき、公知の検出方法(例えば、上記特許文献1を参照)にて、インバータ回路42を構成するスイッチング素子としてのFETQ1~Q6のオープン故障及びショート故障を検出する。
なお更に、異常検出部31aは、電圧検出値VA~VCと、電流検出値IA~ICとに基づき、公知の検出方法(例えば、上記特許文献1を参照)にて、モータ電流遮断回路33を構成する電流遮断用のFETQA1~QA3のショート故障を検出する。
更にまた、異常検出部31aは、VR1に基づき、バッテリー27とインバータ回路42との接続不良による故障(以下、「接続故障」と称す)を検出する。
なお、接続故障の状態としては、接続ラインの断線状態、コネクタ及びハーネスの接触抵抗が、操舵アシストが正常に機能する最大抵抗値を大きく越えた状態(以下、「接触不良状態」と称す)などが含まれる。
異常検出部31aは、故障が生じているモータ駆動回路32のゲート駆動回路41に対して論理値"1"の異常検出信号SAaを出力する。一方、異常検出部31aは、故障が検出されなかった場合、モータ駆動回路32のゲート駆動回路41に対して論理値"0"の異常検出信号SAaを出力する。
ゲート駆動回路41は、制御演算装置31から入力される異常検出信号SAaが論理値"0"(正常)であるときには、モータ電流遮断回路33に対してハイレベルの3つのゲート駆動信号を出力するとともに、電源遮断回路44に対してハイレベルの2つのゲート駆動信号を同時に出力する。これにより、インバータ回路42に対して、モータ電流を通電するとともに、バッテリー電力を通電する。
一方、ゲート駆動回路41は、制御演算装置31から入力される異常検出信号SAaが論理値"1"(異常)であるときにはモータ電流遮断回路33に対してローレベルの3つのゲート駆動信号を同時に出力するとともに、電源遮断回路44に対してローレベルの2つのゲート駆動信号を同時に出力する。加えて、インバータ回路42に対して、ローレベルの6つのゲート駆動信号を同時に出力することにより、モータ電流を遮断するとともに、バッテリー電力を遮断する。
次に、図5に基づき、電圧指令値演算部38にて実行されるVR電圧低下防止処理を含む電圧指令値算出処理の処理手順を説明する。
電圧指令値演算部38において処理が開始されると、図5に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、電圧指令値演算部38において、入力されたモータ電源電圧VR1をワークメモリに読み込んで、ステップS102に移行する。
ステップS104に移行した場合は、電圧指令値演算部38において、VR電圧低下防止機能を作動して、モータ電圧指令値V*を算出する。その後、算出したモータ電圧指令値V*をゲート駆動回路41に出力して、一連の処理を終了する。
一方、ステップS102においてVR1がVth1未満且つVth2以上ではなくステップS106に移行した場合は、電圧指令値演算部38において、VR電圧低下防止機能を作動させない通常の制御で3相のモータ電圧指令値V*を算出する。そして、算出した3相のモータ電圧指令値V*をゲート駆動回路41に出力する。その後、一連の処理を終了する。
即ち、VR1がVth1以上のときと、VR1がVth2未満のときとにおいて、VR電圧低下防止機能を停止し、通常の算出方法にて3相のモータ電圧指令値を算出する。
次に、図6に基づき、異常検出部31aにて実行される接続故障検出処理の処理手順について説明する。
異常検出部31aにおいて接続故障検出処理が開始されると、図6に示すように、まず、ステップS200に移行する。
ステップS200では、異常検出部31aにおいて、入力されたモータ電源電圧VR1をワークメモリに読み込んで、ステップS202に移行する。
ステップS204に移行した場合は、異常検出部31aにおいて、不図示のタイムカウンタによって、VR1がVth3未満となる状態の継続時間の計測を開始する。その後、ステップS206に移行する。
ここで、接続故障検出フラグFbは、接続故障が発生しているか否かを示すフラグであり、本実施形態では、接続故障が発生している場合に「1」に設定され、発生していない場合に「0」が設定される。
ステップS210では、異常検出部31aにおいて、接続故障検出フラグFbの設定値「1」に基づき、モータ駆動回路32のゲート駆動回路41に対して、論理値"1"の異常検出信号SAaを出力する。その後、一連の処理を終了する。
即ち、接続故障が検出された場合、インバータ回路42のFETを全てオフ状態にすると共に、バッテリー27及び3相電動モータ22から、インバータ回路42を電気的に切り離す。
ステップS214では、異常検出部31aにおいて、接続故障検出フラグFbの設定値「0」に基づきモータ駆動回路32のゲート駆動回路41に対して、論理値"0"の異常検出信号SAaを出力する。その後、一連の処理を終了する。
以下、図1~図6、図10を参照しつつ、図7に基づき本実施形態の動作を説明する。
IGスイッチ28がオフ状態であって車両が停止していると共に、操舵補助制御処理も停止している作動停止状態であるときには、モータ制御装置25の制御演算装置31が非作動状態となる。このため、制御演算装置31で実行される操舵補助制御処理及び異常検出処理は停止されている。従って、3相電動モータ22は作動を停止しており、操舵補助機構20への操舵補助力(操舵アシストトルク)の出力を停止している。
この作動停止状態からIGスイッチ28をオン状態とすると、制御演算装置31が作動状態となり、操舵補助制御処理及び異常検出処理を開始する。このとき、モータ駆動回路32に故障が発生していない正常状態であるものとする。加えて、VR1がVth1以上であって、VR電圧低下防止機能の作動範囲外であるとする。また、接続故障も発生していないものとする(接続故障検出フラグFbが「0」)。
そして、算出した操舵補助電流指令値I*とモータ回転角検出回路23から入力されたモータ電気角θeとに基づいてd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*を算出する。引き続き、算出したd軸電流指令値Id*及びq軸電流指令値Iq*に対してdq二相-三相変換処理を行ってA相電流指令値Ia*、B相電流指令値Ib*及びC相電流指令値Ic*を算出する。
そして、算出したモータ電圧指令値V*をゲート駆動回路41に出力する。また、制御演算装置31は、モータ駆動回路32が正常であるので、論理値"0"の異常検出信号SAaをゲート駆動回路41に出力する。
これと同時に、ゲート駆動回路41から電源遮断回路44に対してハイレベルのゲート駆動信号を出力する。このため、電源遮断回路44の電界効果トランジスタQC1~QC2及びQD1~QD2がオン状態となってバッテリー27からの直流電流がノイズフィルタ43を介してインバータ回路42に供給される。
なお、例えば、車両が停止状態で、ステアリングホイール11を操舵していない状態では、操舵トルクTsが"0"であり、車速Vsも"0"であるので、操舵補助電流指令値も"0"となって3相電動モータ22は停止状態を維持する。
一方、例えば、車両が走行状態で、ステアリングホイール11が操舵されている状態では、操舵トルクTs及び車速Vsが"0"ではなくなり、操舵補助電流指令値も"0"ではなくなる。そのため、操舵補助電流指令値の大きさに応じたモータ駆動電流によって3相電動モータ22が駆動されてステアリングホイール11に操舵アシストトルクが付加される。
その一方で、第2の電源供給ラインVL2を介した制御演算装置31及びゲート駆動回路41への電源供給は正常に行われているため、システムは停止せずに操舵補助制御処理が継続して行われる。従って、この状態で駆動電流を流して平滑用コンデンサCAに蓄積された電荷が放電されると、モータ電源電圧VR1が低下する。即ち、図7に示すように、時刻t1以降に、駆動電流が流れたことでVR1が急激に低下している。
この状態で、図7中の破線、一点鎖線、二点鎖線に示すように、時刻t3から操舵トルク、操舵角度、操舵速度が大幅に変化すると(ステアリングホイール11が操舵されると)、平滑用コンデンサCAの放電量が増大して、VR1が急激に減少する。そのため、図7中の時刻t4にてVR1がVth2未満となって、電圧指令値演算部38においてVR電圧低下防止機能が停止される。即ち、電流指令値の制限が解除される。
一方、制御演算装置31では、異常検出部31aにおいてVR1とVth3との比較処理が行われている。VR電圧低下防止機能が停止され、操舵時に、充電量に対して放電量の方が大きくなった状態では、図7中の時刻t5にてVR1がVth3(図7中の太実線)未満になると共に、この状態がt秒以上継続される。従って、図7中の時刻t6にて、異常検出部31aにおいて、接続故障が検出される。即ち、故障検出フラグFbが1となる。
このため、ゲート駆動回路41では、モータ電流遮断回路33に対してローレベルの3つのゲート駆動信号を出力する。従って、モータ電流遮断回路33の電界効果トランジスタQA1~QA3がオフ状態となって、インバータ回路42と3相電動モータ22の3相モータ巻線La、Lb及びLcとの間が遮断状態となって、3相電動モータ22に対する通電制御ができない状態となる。
これと同時に、ゲート駆動回路41から電源遮断回路44に対してローレベルのゲート駆動信号を出力する。このため、電源遮断回路44の電界効果トランジスタQC1~QC2がオフ状態となってバッテリー27からの直流電流が遮断される。
また、上記停止動作と共に、電動パワーステアリング用の異常ランプ(不図示)を点灯する。
ここで、上記実施形態において、3相電動モータ22が電動モータに対応し、ゲート駆動回路41が駆動回路に対応し、ROMが電圧閾値記憶部に対応し、電圧指令値演算部38が駆動電流制限部に対応し、モータ電圧指令値V*が駆動制御信号に対応する。
また、上記実施形態において、異常検出部31aが接続不良診断部に対応し、電界効果トランジスタQ1~Q6がトランジスタに対応する。
上記実施形態に係るモータ制御装置25は、バッテリー27との接続ラインである第1の電源供給ラインVL1を介して電源供給されて作動し、3相電動モータ22にモータ駆動電流を供給するインバータ回路42を備える。加えて、第1の電源供給ラインVL1とは独立したバッテリー27との接続ラインである第2の電源供給ラインVL2を介して電源供給されて作動し、インバータ回路42を構成する電界効果トランジスタQ1~Q6に駆動信号を供給するゲート駆動回路41を備える。更に、第2の電源供給ラインVL2を介して電源供給されて作動し、ゲート駆動回路41にモータ電圧指令値V*を供給する制御演算装置31と、インバータ回路42の第1の電源供給ラインVL1との接続ラインと接地ラインとの間に介挿された平滑用コンデンサCAとを備える。なお更に、平滑用コンデンサCAの充電電圧であるモータ電源電圧VR1を検出するモータ電源電圧検出回路34を備える。
この構成であれば、モータ電源電圧検出回路34で検出したモータ電源電圧VR1が第2の電圧閾値Vth2未満のときにモータ駆動電流の上限の制限を解除することが可能となる。これによって、ゲート駆動回路41経由で第2の電源供給ラインVL2から平滑用コンデンサCAに充電される充電量よりも放電量を大きくすることが可能となる。その結果、接続故障発生時の充電電圧を第3の電圧閾値Vth3未満とすることが可能となり、より確実に接続故障の有無を診断することが可能となる。
また、第3の電圧閾値Vth3を、VR電圧低下防止機能が作動時の最低電圧値よりも低い値に設定したので、より確実に接続不良を検出することが可能となる。
また、上記実施形態に係るモータ制御装置25は、更に、異常検出部31aが、モータ電源電圧検出回路34で検出したモータ電源電圧VR1が第3の電圧閾値Vth3未満となる状態が予め設定した継続時間t秒以上継続したときに接続不良が有ると診断する。
また、上記実施形態に係る電動パワーステアリング装置1は、ステアリング機構に操舵補助力を発生させる3相電動モータ22を駆動制御するモータ制御装置として、上記モータ制御装置25を備える。
この構成であれば、上記モータ制御装置25と同等の作用及び効果が得られる。
上記実施形態においては、VR電圧低下防止機能が作動時にゲート駆動回路41経由で平滑用コンデンサCAに電力(漏れ電流)が供給される回路構成としたが、この構成に限らない。例えば、漏れ電流が供給されない回路構成としてもよい。この構成とした場合、例えばバッテリー27とインバータ回路42とを接続するコネクタの接触抵抗が高抵抗となる等の接続抵抗が高抵抗となる場合に、漏れ電流のある断線時と同様の問題が生じる。この場合も、上記実施形態のVR電圧低下防止機能を適用して、VR1が第2の電圧閾値Vth2未満のときに、モータ駆動電流の上限の制限を解除することで、問題を解決することが可能である。
また、上記実施形態においては、タイムカウンタを用いて、VR1がVth3未満となる継続時間を計測する構成としたが、この構成に限らない。例えば、制御演算装置31のCPUにて、所定の周期(制御周期)毎にVR1がVth3未満となるときに計測時間をカウントアップし、Vth3以上となるときに計測時間をカウントダウンするようにして継続時間を計測する構成としてもよい。この構成とすることで、例えばVR1がVth3を境に上下に変動する状態が繰り返される場合の誤検知を防ぐことが可能となる。
また、上記実施形態においては、本発明によるモータ制御装置を車両に搭載した電動パワーステアリング装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動ブレーキ装置、ステアバイワイヤシステム、車両走行用のモータ駆動装置等の電動モータを使用する任意のシステムに本発明を適用することが可能である。
Claims (8)
- バッテリーとの接続ラインである第1の電源供給ラインを介して電源供給されて作動し、電動モータにモータ駆動電流を供給するインバータ回路と、
前記インバータ回路を構成するトランジスタに駆動信号を供給する駆動回路と、
前記インバータ回路の前記第1の電源供給ラインとの接続ラインと接地ラインとの間に介挿された平滑用コンデンサと、
前記平滑用コンデンサの充電電圧であるモータ電源電圧を検出するモータ電源電圧検出部と、
第1の電圧閾値と、該第1の電圧閾値よりも低い第2の電圧閾値と、該第2の電圧閾値よりも低い第3の電圧閾値とが記憶された電圧閾値記憶部と、
前記モータ電源電圧検出部で検出した前記モータ電源電圧が前記第1の電圧閾値未満で且つ前記第2の電圧閾値以上のときに前記モータ駆動電流の上限を制限し、前記モータ電源電圧が前記第1の電圧閾値以上のとき及び前記第2の電圧閾値未満のときに、前記制限を解除する駆動電流制限部と、
前記モータ電源電圧検出部で検出した前記モータ電源電圧と前記第3の電圧閾値とを比較し、該比較結果に基づき前記バッテリーと前記第1の電源供給ラインとの接続不良の有無を診断する接続不良診断部とを備えることを特徴とするモータ制御装置。 - 前記駆動回路は、前記第1の電源供給ラインとは独立した前記バッテリーとの接続ラインである第2の電源供給ラインを介して電源供給されて作動する請求項1に記載のモータ制御装置。
- 前記第1の電圧閾値は、前記バッテリーの電圧を予め設定した所定電圧値以下に低下させない範囲で前記電動モータを通常制御可能な最低電圧値に設定されている請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
- 前記第2の電圧閾値は、前記トランジスタを制御可能な最低電圧値に設定されている請求項1から3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
- 前記第3の電圧閾値は、前記モータ駆動電流の上限が制限されているときに、前記入力電圧が前記第2の電圧閾値のときに予め設定された最大電流が流れたときの前記モータ電源電圧の最低値よりも低い値に設定されている請求項1から4のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
- 前記接続不良診断部は、前記モータ電源電圧検出部で検出した前記モータ電源電圧が前記第3の電圧閾値未満となる状態が予め設定した継続時間以上継続したときに前記接続不良が有ると診断する請求項1から5のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
- 前記接続不良診断部は、所定周期毎に、前記モータ電源電圧が前記第3の電圧閾値未満となるときに前記継続時間をカウントアップし前記モータ電源電圧が前記第3の電圧閾値以上となるときに前記継続時間をカウントダウンして前記継続時間の計測を行う請求項6に記載のモータ制御装置。
- ステアリング機構に操舵補助力を発生させる電動モータを駆動制御するモータ制御装置として、請求項1から7のいずれか1項に記載のモータ制御装置を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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