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JP7056838B2 - 複合体及びその製造方法 - Google Patents

複合体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複合体及びその製造方法に関するものである。
カーボンナノチューブ(以下CNTという)は、導電性、熱伝導性等の特性が優れており、機能材料への応用が期待されている。このようなCNTを用いた機能材料として、母材の表面にCNTを付着させた複合体とその製造方法が各種提案されている。複合体では、CNTが母材の表面に均一に固定されていることが、導電性等の機能を発揮する上で望ましい。
上記のような複合体は、例えばCNTをナノレベルで分散させた分散液の中に母材を投入し、その母材にCNTが付着した後、分散液中から母材を取り出し乾燥させることで作製することができる。母材の表面にCNTを均一に付着するために、分散液中でCNTが分散している必要があるが、CNT同士は、ファンデルワールス力により分散液中で自己凝集する。このような凝集を防止するために、分散剤としての界面活性剤を添加した分散液を用いる方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。さらに、分散剤に加えて、母材の表面にCNTを接着させるために接着剤等の添加剤等も一般的に投入されている。
特開2010-059561号公報
ところで、上記のような、分散剤や接着材等の添加剤を加えた分散液を用いて作製された複合体では、CNTが母材に付着しているにもかかわらず、CNT由来の導電性、熱伝導性や、機械的強度が十分に得られない等の問題があった。これは、添加剤がCNTの表面を覆っているためであり、CNTと母材との間、CNT同士、あるいは複合体にCNTを介して接合される他部材との間に添加剤が介在することによって、電気抵抗、熱抵抗が増大するためである。
本発明は、CNT由来の機能を十分に発揮することができる複合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の複合体は、母材と、母材の表面に固定された複数のカーボンナノチューブを有し、カーボンナノチューブは、母材の表面に直接固定されているものである。
本発明の複合体の製造方法は、複数のカーボンナノチューブと分散媒とからなる分散液に母材を浸漬し、分散液に超音波照射やせん断力などの機械的エネルギーを付与することで、分散液中のカーボンナノチューブを母材の表面に付着させる付着ステップと、分散液から母材を取り出して乾燥させることによって、分散媒を除去する乾燥ステップとを有するものである。
本発明の複合体は、母材の表面に形成された複数のカーボンナノチューブが、母材の表面に直接固定されているので、カーボンナノチューブに由来する機能を発揮することができる。
また、本発明の複合体の製造方法によれば、カーボンナノチューブが母材の表面に直接固定されているから、カーボンナノチューブに由来する機能を発揮することができる複合体を作製できる。
第1実施形態に係る複合体の構成を示す斜視図である。 母材にカーボンナノチューブを付着するための装置を示す説明図である。 母材の内部で繋がった細孔の例を示す断面図である。 底部が尖った形状の細孔の例を示す断面図である。 母材の表面が凹凸形状に粗面となった例を示す断面図である。 第2実施形態に係る高分子膜が形成された複合体の構成を示す断面図である。
[第1実施形態]
図1に、第1実施形態に係るカーボンナノチューブ(以下、CNTという)を付着させた複合体10を示す。複合体10は、母材12と、この母材12の表面に設けられた複数のCNT15から構成される。
母材12は、表面が母材本来の凹凸による粗面で構成されている。本実施形態の場合、母材12の表面は、上記凹凸に加え、無数の細孔16を有している。母材12の材質は、例えばゴム・プラスチック等の高分子化合物、金属、ガラス、セラミックス等を用いることができる。また、母材12の形状についてもどのようなものでもよい。
母材12の表面は、ISO25178で規定される算術平均高さ(Sa)が1μm以下であることが好ましい。算術平均高さ(Sa)が1μmを越えると母材12の表面の凹凸や細孔16の奥へCNT15が侵入し付着することが困難であるため、CNT由来の機能を十分に発揮させることが困難になる。
本実施形態の場合、母材12は、一部または全部に細孔16が形成されていてもよい。母材12は、凹凸や細孔16の開口部が、表面に形成されている。CNT15は、母材12の表面、すなわち凹凸や細孔16の表面に沿って固定されており、一端が母材12の表面から突出する。このため、後述するように、粗面を有する他部材を接合する場合に、突出したCNT15を他部材に直接接触させることができるため、他部材との間での導電性、熱伝導性を高くする上で有利である。また、母材12の表面にプラスチック等の高分子膜を形成しても、高分子膜の表面にCNT15を部分的に露呈させることができる。このように被膜の表面にCNT15を部分的に露呈させることができる形態は、母材12の表面に他部材を接合する場合に、やはりCNT15を他部材に直接に接触させることができるため、他部材との間での導電性、熱伝導性を高くする上で有利である。また、CNT15の他の一部は、母材12の内部に固定されていてもよい。
母材12の表面は、粗面となっており、上記のような有利な形態をとり得る。この例では、母材表面12aと細孔16の内面16aとがCNT15が固定される母材12の表面である。なお、以下の説明では、CNT15を付着・固定する上で母材表面12a及び内面16aを特に区別する必要がない場合には、便宜上、これらを付着面と総称する。
複数の細孔16は、規則的に形成されていてもよく、また不規則に形成されていてもよい。各細孔16大きさや内部形状は、特に限定されない。各細孔16の形状や大きさが互いに異なっていてもよい。また、母材12の細孔16の直径は1μm以下で、かつ直径に対する深さの比(=深さ/直径)が1以上であることが好ましい。これはアスペクト比の高いナノ材料であるCNT15の特徴を十分に発揮するためである。なお、細孔16の開口が円形ではない場合には、その開口の面積と等しい円の直径(円相当径)をその細孔の直径とすればよい。したがって、細孔16の開口が円形の場合を含めて、細孔16は、その開口面積が約0.8μm以下であることが好ましい。
CNT15を固定する母材12の付着面には、CNT15との親和性を高めるための親和層(図示せず)を形成しておくことが好ましい。親和層は、例えば母材12が金属であれば酸化処理によって形成された酸化皮膜とすることができる。また、酸化皮膜を形成するこの他の処理としては、リン酸塩処理やフェルマイト処理等がある。このように、母材12の付着面に親和層を形成しておくことによって、母材12の付着面とCNT15と固定力を高めることができるとともに、製造時において母材12の付着面にCNT15を付着させ易くすることができる。
CNT15は、分散剤、界面活性剤、接着剤等で覆われておらず、表面が露呈されており、母材表面12aと細孔16の内面16aとのいずれかに直接固定されている。すなわち、CNT15は、母材12の付着面との間に、界面活性剤などの分散剤や接着剤等が介在せず、直接母材12の付着面に固定されている。ここでいう固定とは、ファンデルワールス力による結合をいう。
母材表面12aに固定されているCNT15は、母材表面12aに沿って配されている。内面16aに固定されているCNT15は、その一部または全部が細孔16内に入り込んでおり、入り込んだ部分の少なくとも一部が内面16aに直接固定されている。細孔16内に一部が入り込んだCNT15は、残りの部分が細孔16から出ており、細孔16から出た部分が、折り曲がって母材表面12aに固定されていたり、母材表面12aから突出するように延びていたり、様々な形態をとり得る。
図示のように、複数のCNT15の一部又は全部は、互いに直接接続された、ネットワーク構造を有する構造体14を形成していてもよい。すなわちCNT15は、分散剤などで覆われておらず、互いに絡み合った状態で直接接続されている。ここでいう接続とは、物理的な接続(単なる接触)と、化学的な接続とを含む。これにより、母材12の表面の面内における電気伝導性、熱伝導性といったCNT由来の特性が構造体14によって付与される。母材12の表面の形状は、特に限定されず、平面でも曲面でもよい。また、母材12の2面以上にCNT15を固定してもよい。
CNT15は、直径50nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは直径30nm以下である。CNT15は、その直径が大きくなると剛直性が増すため、面粗さが粗い母材12の表面に沿った変形がし難くなり、母材12に対するCNT15の付着・固定化が難しくなる。また、CNT15の直径が大きくなると、細孔16にCNT15の入り込みが困難となる。直径30nm以下のCNT15であれば、柔軟性に富み、母材12の表面に沿って変形することができ、100nm以下の細孔16にも入り込み易い。なお、CNT15の直径は、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)画像を用いて測定した平均直径とする。
CNT15は、単層CNT、及び多層CNTを用いることができる。また、CNT15は、CNT15同士が絡まり合って接続されるネットワーク構造を形成する観点からは、長さが0.2μm以上であることが好ましい。CNT15が導電性や熱伝導性などのCNT由来の特性を発揮する観点からは、CNT15は、長さが1μm以上であることが好ましい。さらに、CNT15は、均等に分散しやすくする観点からは、長さが15μm以下であることが好ましく、更に好ましくは、長さが10μm以下である。なお、CNT15は、長さが0.2μm未満であるとCNT15同士が絡まり難くなり、50μm超であるとCNT15が凝集したり、バンドル(束)状に集合したりした集合体を形成しやすい。このようなCNT15の集合体は、母材12への付着性が悪く、付着しても母材12から容易に脱落してしまう。
次に、上記複合体10の製造方法について説明する。複合体10は、分散液を調製する調製ステップと、CNT15を母材12の表面(付着面)に付着させる付着ステップと、母材12とCNT15とを乾燥させる乾燥ステップとにより製造される。なお、親和層を形成した母材12を用いる場合には、付着ステップよりも前に親和層形成ステップを実施して、母材12の付着面に親和層を形成しておく。
調製ステップでは、分散媒と予め作製されたCNT15とから分散液22(図2参照)を生成する。分散液22は、CNT15を分散媒中にナノ分散させた液である。本明細書において、「ナノ分散」とは、CNT15が1本ずつ物理的に分離して絡み合っていない状態で分散している状態をさし、2以上のCNT34が束状に集合した集合物の割合が10%以下である状態を意味する。
分散媒に投入するCNT15は、例えば、特開2007-126311号公報に記載されているような熱CVD法を用いて作製することができる。すなわち、シリコン基板上にアルミニウムと鉄との合金からなる触媒膜を成膜し、この後に触媒粒子を形成する。加熱雰囲気中で炭化水素ガスを触媒粒子に接触させることにより、この触媒粒子を核としてCNT15を成長させる。CNT15以外の不純物を極力含まないものを使用することが好ましい。このため、熱CVD法で作製されたCNT15については、例えば硝酸:硫酸=1:3(体積比)の混酸中に得られたCNT15を浸漬(例えば1時間の浸漬)の後、中和処理、洗浄処理、濾過処理をして乾燥処理することで、残留する触媒金属を除去したCNT15を使用することが好ましい。
なお、アーク放電法、レーザ蒸発法等その他の手法により得たCNT15を使用することも可能である。このような手法で作製されたCNTに対しては、不活性ガス中での高温アニールにより不純物を除去してもよい。
分散液22は、上記のようにして作製されたCNT15を分散媒に加えてナノレベルまで機械的エネルギーを付与して分散させる。この分散処理には、一般的なビーズミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル、超音波ホモジナイザー等の分散装置を用いることができる。また母材12との付着性を向上させるため化学的な処理方法(酸処理、官能基修飾)を併用しても良い。
分散媒としては、この例では、メチルエチルケトンを用いているが、この他にエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類やトルエン、アセトン、テトラヒドロフラン(THF:Tetrahydrofuran)、ヘキサン、ノルマルヘキサン、エチルエーテル、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル等の液体の有機化合物を用いることができる。さらに分散媒としては、液体の有機化合物の他に、水を用いることもできる。これらは、複数を組み合わせて分散媒とすることもできる。
付着ステップでは、上記調製ステップで生成された分散液22中のCNT15を母材12の付着面に付着させる。この付着ステップでは、図2に示すように、タンク25内に貯留された分散液22に機械的エネルギーを付与するため超音波振動子26から超音波(例えば40kHz)を分散液22に照射し、その分散液22に母材12を浸漬する。分散液22に超音波を照射すると、分散液22中では、CNT15が分散する状態と凝集する状態とが常時発生する可逆的反応状態が生じ、分散する状態から凝集する状態に移る際に、母材12の付着面にCNT15が付着する。また、超音波の振動により、CNT15が細孔16内にまで容易に入り込む。これにより、一部のCNT15は、母材表面12aに付着し、また他の一部のCNT15は、細孔16内に入り込んで内面16aに付着する。CNT15が凝集する際は、母材12とCNT15間にファンデルワールス力が作用しており、このファンデルワールス力により母材12の付着面にCNT15が付着する。なお、分散液22に照射する超音波の振動数は適宜決めることができる。また、超音波照射に代えて、せん断等の機械的エネルギーを分散液22に付与してもよい。
上記付着ステップでCNT15が付着面に付着した母材12は、分散液22から引き出され、続く乾燥ステップにより乾燥処理が施される。この乾燥処理で母材12を乾燥させることにより、母材12の付着面にCNT15が直接固定される。分散媒としてメチルエチルケトンを用いたこの実施形態では、乾燥処理の乾燥温度を60℃、乾燥時間を20分として、分散媒を除去しているが、乾燥温度、乾燥時間は、分散媒の種類等に応じて適宜に決めることができる。このようにして母材12の付着面にCNT15が直接固定された複合体10を得ることができる。
なお、上記構造体14を形成するステップを繰り返すことにより、母材12の付着面により多くのCNT15を直接固定することとしてもよい。こうすることで、互いに直接接続されたネットワーク構造を有する構造体14が母材12の表面に形成された複合体10を得ることができる。この場合、2回目以降において使用する分散液22は、その都度、CNT15を所定量追加してCNT15の濃度を調整すると共に、機械的エネルギーを付与しCNT15を分散させる。
上記のように分散液22は、CNT15と分散媒とから調製されて添加剤を含んでいない。したがって、各CNT15は、その表面に添加剤等が残留することはなく、CNT15の表面が露呈した状態となる。母材12の付着面にも添加剤等が残留することがないから、CNT15は、母材12の付着面に直接固定された状態になっている。
上記のように複合体10は、CNT15が母材12の付着面に直接固定された状態になっているので、CNT由来の機能を十分に発揮することができる。例えば、各CNT15が母材12の付着面に直接固定されているので、複合体10では、母材12の付着面からCNT15が剥離しにくい。また、複合体10は、母材12からの熱をCNT15に直接に伝えることができる。このため、効果的にCNT15を通して熱を拡散させたり、放熱させたり、他部材に熱を伝えたりすることができる。
またCNT15によって構造体14を形成した場合、当該構造体14は、添加剤が介在することなくCNT15同士が互いに直接接続されたネットワーク構造を形成しているため、構造体14内における熱伝導性はCNT15の熱伝導性に応じた良好なものとなる。したがって、この例では、さらに母材12からの熱が構造体14内で効果的に拡散され、例えば母材12の温度ムラが発生し難くなったり、広い面積で放熱させたり、他部材に熱を伝えたりすることができる。
また、導電性についても同様であり、例えば母材12が絶縁体である場合には、複合体10は、その母材12の表面にCNT15の有する高い導電性が付与されているとともに、高い熱伝導性も付与されている。また、母材12が導体である場合であっても、CNT15が有する高い導電性、熱伝導性によって母材12の表面における導電性の向上が見られる。
さらに、例えば、部材同士を接合するときに、一方の部材の接合面が多少の凹凸のある粗面である場合には、接合面同士の接触面積の低下によって電気的抵抗が大きくなる。しかしながら、複合体10にCNT15を挟むように他部材を接合した場合には、他部材の接合面が粗面であっても、多数のCNT15が他部材の接合面に接触するため、電気的抵抗が大きくならない。熱伝導についても同様である。このように接合される他部材との関係においては、母材12の表面が粗面である母材12または細孔16を形成した母材12を用いて、一端が母材12の表面から突出するように固定されたCNT15を有する複合体10が有利となる。
上述のように、細孔16の大きさや内部の形状は、特に限定されるものではない。図3は、細孔31同士が母材12の内部で連結している例を示しており、図4は、細孔32の内部の底部が尖った形状とした例を示している。この他にも、細孔は、母材12表面よりも内部の径が大きくなるように形成されていてもよい。
上記実施形態の場合、母材12は、細孔が形成されている場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、図5に示すように、母材表面12aが凹凸形状に粗面となった母材12を用いてもよい。この場合には、CNT15は、母材12の表面を構成する微細な斜面35に沿うように、その斜面35に付着して固定される。このようなCNT15には、斜面35上で様々な向きに固定されるが、一部のCNT15は母材12の表面(凸部の先端)から突出した状態で固定される。このような細孔の形状や母材12の表面の形状であっても、上記実施形態と同様な効果が得られる。
[第2実施形態]
複合体に高分子膜を形成した第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態に係る複合体は、高分子膜が形成されている他は、第1実施形態の複合体と同じであり、第1実施形態と同じ部材には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図6において、複合体40は、母材12とCNT15と、高分子膜41とを有している。高分子膜41は、母材12の表面に形成されており、母材表面12aを覆うとともに、細孔16内に入り込んでいる。この高分子膜41は、CNT15が突出する程度に薄くても、CNT15を覆うように厚くてもよいが、この例では、母材12の表面上のCNT15が突出する程度に薄く形成されている。
高分子膜41は、任意の弾性体で形成される。任意の弾性体としては、例えば、樹脂、ゴム等で形成することとしてもよい。熱可塑性エラストマーとしては、例えばオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、スチレン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー(TPC)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)、塩ビ系熱可塑性エラストマー(TPVC)等が挙げられ、樹脂としては、例えばAS樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ヘキサフルオロプロピレン・エチレン共重合体(EFEP)、ポリビニリデンフルオロライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメリレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメリレンドデカミド(ナイロン612)、ポリドデカンアミド(ナイロン12)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリウンデカンメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)、ポリデカメチレンデカンアミド(ナイロン1010)、ポリデカメチレンドデカンアミド(ナイロン1012)アミド系エラストマー(TPA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)ポリカーボネート(PC)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、架橋ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ブテンジオール・ビニルアルコール共重合体(BVOH)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリブテン(PB)、ウレタン系エラストマ(TPU)、エステル系エラストマ(TPC)、オレフィン系エラストマ(TPO)、スチレン系エラストマ(TPS)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)、液晶ポリマー(LCP)、シクロオレフィンコポリマ(COC)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリアリレート(PAR)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、フェノール樹脂(PF)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアセタール(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスチレン(PS)、ポリサルホン(PSU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)等が挙げられ、ゴムとしては、例えば天然ゴム(NR)、エチレン・プロピレンゴム(EPM、EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ポリウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(VMQ、FVMQ)、アクリルゴム(ACM)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、フッ素系ゴム(FKM、FEPM,FFKM)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H-NBR)、塩素化ポリエチレン(CPE)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。
複合体40を作製する場合には、付着ステップ、乾燥ステップの後に、高分子膜形成ステップを実施することによって、母材12の表面に例えば液体の高分子化合物を流し、この後にその高分子化合物を硬化させて高分子膜41を形成する。
なお、高分子膜41は、上記任意の弾性体そのもの以外に溶媒に上記弾性体となる材料を溶かした弾性材料含有溶液(ワニス)を用いてもよい。この場合においても、弾性材料含有溶液を母材表面12上に例えば塗布してから、乾燥させて溶媒を揮発させる。溶媒としては、分散剤として用いたメチルエチルケトン(MEK)等を用いることができるが、これらに限定されるものではなく、溶かす弾性材料に応じた溶媒を用いればよい。
この複合体40では、CNT15の一部が高分子膜41の膜面から突出しているから、高分子膜41を挟むように他部材を複合体40に接合したときに、高分子膜41の膜面から突出したCNT15を他部材の接合面に接触し、母材12と他部材との間でCNT15に由来する高い導電性、熱導電性が得られる。また、CNT15の一部が高分子膜41の膜面から突出するか否かにかかわらず、母材12と高分子膜41との界面付近にCNT15が存在することにより、高分子膜41の界面での剥離強度を向上させることができる。
10,40 複合体
12 母材
12a 母材表面
14 構造体
15 カーボンナノチューブ
16,31,32 細孔
16a 内面
22 分散液
35 斜面
41 高分子膜

Claims (4)

  1. 母材と、
    前記母材の表面に固定された複数のカーボンナノチューブを有し、
    前記母材の表面は細孔が形成されており粗面であり、前記細孔の直径は1μm以下でかつ前記直径に対する深さの比が1以上であり、
    前記複数のカーボンナノチューブは、前記母材の表面と前記細孔の内面とに直接固定されていることを特徴とする複合体。
  2. 前記母材の材質は、高分子化合物、金属、ガラス、またはセラミックスであることを特徴とする請求項1記載の複合体。
  3. 前記母材の表面に形成された高分子膜を備え、前記高分子膜は前記母材の表面を覆うとともに前記細孔内に入り込んでいることを特徴とする請求項1または2記載の複合体。
  4. 複数のカーボンナノチューブと分散媒とからなる分散液に、表面に直径が1μm以下でかつ前記直径に対する深さの比が1以上である細孔が形成された母材を浸漬し、前記分散液に超音波を照射することで、前記分散液中の前記カーボンナノチューブを前記超音波の振動により前記母材の前記細孔の内面まで付着させる付着ステップと、
    前記分散液から前記母材を取り出して乾燥させることによって前記分散媒を除去する乾燥ステップと、
    前記母材の前記表面と前記細孔の内面とに高分子膜を形成する高分子膜形成ステップと
    を有する複合体の製造方法。
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