JP7055547B2 - モータ制御装置 - Google Patents
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Description
図1は、電動モータ1を駆動するモータ制御装置10の構成図である。
電動モータ1は、互いに星形結線された第1固定子巻線(U相コイル)Lu、第2固定子巻線(V相コイル)Lv、および第3固定子巻線(W相コイル)Lwを備えた固定子1aと、該固定子の中央部に形成した空間に回転可能に設けられた永久磁石回転子1bとを有する、3相の永久磁石同期電動機である。
なお、電動モータ1は、永久磁石同期電動機に限定されず、回転子位置に対する磁気飽和特性が得られる他の交流電動機とすることができる。
直流電源3は、インバータ回路2に電力を供給する直流電源である。
直流母線電流センサ4は、インバータ回路2への供給電流IDCを検出して、モータ制御手段5に出力する電流検出器である。
モータ制御手段5は、電動モータ1の回転子1bの位置に基づき、インバータ回路2の複数のスイッチング素子のそれぞれのオン、オフ状態の組み合わせに対応する複数の通電モードを切り換えることで、インバータ回路2を駆動制御するインバータ制御部である。
固定子巻線Lu、Lv、Lwのインダクタンスが等しい場合、中性点電圧Vn0は零になるが、実際には回転子1bの磁石磁束が巻線に影響することで、インダクタンスは回転子位置に応じた変化を示す。このため、一定の電圧ベクトルを電動モータ1に印加した状態で中性点電圧Vn0を観測すると、中性点電圧Vn0は、回転子位置に応じた変化を示すことになる。
回転子位置推定手段6は、仮想中性点回路7の中性点の電位である仮想中性点電位Vncと、電動モータ1の3相巻線接続点電位Vn(固定子1aの中性点の電位である固定子中性点電位)との差として固定子1aの中性点電圧Vn0を求め、中性点電圧Vn0に基づいて電動モータ1の回転子位置(位相角)θdest(deg)を推定演算して、モータ制御手段5に出力する。
ここで、抵抗Ruは電動モータ1のU相の駆動ラインに一端が接続され、抵抗Rvは電動モータ1のV相の駆動ラインに一端が接続され、抵抗Rwは電動モータ1のW相の駆動ラインに一端が接続され、抵抗Ruの他端、抵抗Rvの他端、及び抵抗Rwの他端が星形結線される。
つまり、抵抗Ruは、第1固定子巻線(U相コイル)Luと同じ電位を有する第1固定子電位出力部であり、抵抗Rvは、第2固定子巻線(V相コイル)Lvと同じ電位を有する第2固定子電位出力部であり、抵抗Rwは、第3固定子巻線(W相コイル)Lwと同じ電位を有する第3固定子電位出力部である。
ここで、仮想中性点回路7は、回転子1bの磁石磁束が影響しないように配され、基準となる電位を回転子位置推定手段6に出力する。
モータ制御手段5は、ベクトル制御器20、dq/3相座標変換器21、パルス幅変調器22、3相/dq座標変換器23、電流再現器24、速度演算器25を有する。
ベクトル制御器20は、トルク指令値、q軸電流Iqc、d軸電流Idc、電動モータ1の回転速度ωrのデータを入力し、トルク指令値に相当するトルクを電動モータ1が発生するようにdq軸上の電圧指令Vd*、Vq*を演算し、演算した電圧指令Vd*、Vq*をdq/3相座標変換器21に出力する。
パルス幅変調器22は、3相交流電圧指令Vu*、Vv*、Vw*に基づき、インバータ回路2の複数のスイッチング素子をオン/オフさせるためのPWM信号を生成し、インバータ回路2に出力する。
電流再現器24は、直流母線電流センサ4が検出したインバータ回路2への供給電流IDCに基づき、U相、V相、W相の各相電流Iuc、Ivc、Iwcを再現し、再現した各相の相電流Iuc、Ivc、Iwcを3相/dq座標変換器23に出力する。
速度演算器25は、推定回転子位相θdestに基づき電動モータ1の回転速度ωr(モータ回転数rpm)を演算し、ベクトル制御器20に出力する。
モータ制御手段5は、電動モータ1のトルクを線形化する手法である公知のベクトル制御によって電動モータ1を駆動制御する。
ただし、電流指令Id*は、電動モータ1が非突極型の永久磁石同期電動機であれば、通常ゼロに設定される。一方、電動モータ1が突極構造の永久磁石同期電動機である場合や、弱め界磁制御、効率最大化制御が実施される場合、電流指令Id*はゼロ以外に設定される。
ベクトル制御器20は、トルクに寄与する電流指令Iq*と磁束に寄与する電流指令Id*にそれぞれの電流検出値が一致するように電流制御を行うことで、回転座標軸であるdq軸上の電圧指令Vd*、Vq*を演算する。
なお、ベクトル制御器20は、dq軸上の電圧指令Vd*、Vq*を、電流制御の結果とdq軸の干渉項を補償する非干渉制御の結果を組み合わせて演算することができる。
そして、モータ制御手段5は、電動モータ1の各相への通電を順次切り換えることで各相に電流を供給して、電動モータ1を回転駆動する。
なお、直流母線電流の検出を行わずに3相交流電流をそれぞれに検出するシステムとすることができる。
インバータ回路2の出力電圧は、3相のスイッチング素子のそれぞれのスイッチ状態に応じて全部で8通りのパターンになる。
各ベクトルは例えばV(1、0、0)のように表記され、カッコ内の数字の並びは「U相、V相、W相」の順番にスイッチング状態を表し、インバータ回路2の上側スイッチング素子(上アーム)がオンの状態を「1」、下側スイッチング素子(下アーム)がオンの状態を「0」として表現している。
そして、電圧ベクトルは、V0=V(0、0、0)、VA=V(1、0、0)、VB=V(1、1、0)、Vc=V(0、1、0)、VD=V(0、1、1)、VE=V(0、0、1)、VF=V(1、0、1)、V7=V(1、1、1)の8通りになる。
例えば、図3に示す電圧指令V*が与えられた場合、モータ制御手段5は、電圧指令V*を囲む電圧ベクトルVA=V(1、0、0)、VB=V(1、1、0)、並びに零ベクトルV0=V(0、0、0)、V7=V(1、1、1)を組み合わせて、電圧指令V*に相当する電圧を作成する。
つまり、モータ制御手段5は、回転子1bが60deg回転する毎に、電圧ベクトルの組み合わせパターンである通電モードを切り換えて、電圧指令V*に相当する電圧を作成する。
図4に示すように、零ベクトルV0=V(0、0、0)、V7=V(1、1、1)を除く電圧ベクトルVA-VFが印加されているときに、それぞれで中性点電圧VnA-VnFの検出が可能であり、また、回転子位置に応じた中性点電圧Vn0の変化特性は電圧ベクトル毎に異なる。
したがって、回転子位置推定手段6は、電圧ベクトルVA-VFが電動モータ1に印加されているときに中性点電圧VnA-VnFを検出し、検出した中性点電圧VnA-VnFがどの回転子位置での値であるかによって回転子位置を推定することができる。
また、図4は、回転子位置推定手段6が、PWM周期の後半で中性点電圧Vn0のサンプリングを行う場合を例示するが、回転子位置推定手段6は、PWM周期の前半で中性点電圧Vn0のサンプリングを行うことができる。
ここで、図5に示す中性点電圧Vnn1、Vnn2は、ノイズ除去のためのローパスフィルタ処理後の値である。
以下同様に、回転子位置が30degから90degの間では、電圧ベクトルVB=V(1、1、0)での中性点電圧VnBがVnn1として検出され、電圧ベクトルVc=V(0、1、0)での中性点電圧VnCがVnn2として検出される。
また、回転子位置が150degから210degの間では、電圧ベクトルVD=V(0、1、1)での中性点電圧VnDがVnn1として検出され、電圧ベクトルVE=V(0、0、1)での中性点電圧VnEがVnn2として検出される。
更に、回転子位置が270degから330degの間では、電圧ベクトルVF=V(1、0、1)での中性点電圧VnFがVnn1として検出され、電圧ベクトルVA=V(1、0、0)での中性点電圧VnAがVnn2として検出される。
「第1実施形態」
図6は、回転子位置推定手段6の第1実施形態を示す構成ブロック図である。
図6に示す回転子位置推定手段6は、中性点電圧演算部300、LPF処理部301、位相推定部302を有する。
中性点電圧演算部300は、V0=V(0、0、0)、V7=V(1、1、1)を除く電圧ベクトルVA-VFが電動モータ1に印加されているときを中性点電圧Vn0のサンプリングタイミングとし、係るサンプリングタイミングにおいて中性点電圧VnA-VnFを検出し、時間軸上の検出順に中性点電圧Vnn1、Vnn2として出力する。
中性点電圧演算部300から出力される中性点電圧Vnn1の信号及び中性点電圧Vnn2の信号は、それぞれ、LPF処理部301において、特定の閾値よりも高い周波数信号を減衰させて遮断し、低域周波数のみを信号として通過させるローパスフィルタ(Low-pass filter)処理が施される。
第1LPF部31及び第2LPF部32は、それぞれ、中性点電圧演算部300から出力される中性点電圧Vnn1の信号及び中性点電圧Vnn2の信号を入力し、中性点電圧Vnn1、Vnn2の信号にローパスフィルタ処理を施す。
一方、第2LPF部32は、第1LPF部31とは異なる遮断周波数(第2時定数τ)に設定される。
第2LPF部32の遮断周波数(Hz)は第1LPF部31の遮断周波数(Hz)よりも高く、第2LPF部32の時定数τ(sec)が第1LPF部31の時定数τ(sec)よりも短くなるように、第1LPF部31及び第2LPF部32のフィルタ特性が設定されている。
中性点電圧データメモリ34は、中性点電圧Vnn1、Vnn2の回転子位置に応じた変化特性を記憶するメモリである。
なお、中性点電圧データメモリ34は、中性点電圧Vnn1、Vnn2の回転子位置に応じた変化特性として、回転子位置を変数として中性点電圧VnA-VnFの値を導出する関数を記憶することができ、また、回転子位置毎の中性点電圧VnA-VnFの値を記憶することができる。
中性点電圧データメモリ34は、回転子1bが60deg回転する毎に、中性点電圧Vnn1、Vnn2のいずれか一方を位置推定に用いる電圧データとして切り換え指定し、中性点電圧Vnn1を用いる設定の位置範囲では中性点電圧Vnn1として検出される中性点電圧VnA-VnFの回転子位置に応じた変化特性を記憶し、中性点電圧Vnn2を用いる設定の位置範囲では中性点電圧Vnn2として検出される中性点電圧VnA-VnFの回転子位置に応じた変化特性を記憶する。
ただし、位相推定部302は、回転子1bの位置推定に用いる中性点電圧VnA-VnFを、60deg毎、換言すれば、通電モード毎に切り換える構成に限定されない。
また、位相推定部302は、回転子1bの位置推定を、PWMの1周期毎あるいはPWMの複数周期当たり1回の割合で実施することができる。
例えば、位相推定部302は、回転子位置330degを推定してから回転子位置30degを推定するまでの間は、LPF処理部301を通過した中性点電圧Vnn1(VnB)と、中性点電圧データメモリ34に330degから30degまでの間に対応して記憶されている中性点電圧Vnn1(VnB)の変化特性(図7参照)とを比較して、そのときの回転子1bの位置を推定する。
ここで、中性点電圧データメモリ34が、回転子位置に対する中性点電圧VnA-VnFの変化を関数化して記憶する場合、位相推定演算部35は、その逆関数を用いることで、中性点電圧Vnn1、Vnn2から回転子位置を演算することができる。
図5に示す中性点電圧Vnn1、Vnn2の特性で、図7に示したように通電モード毎に中性点電圧Vnn1、Vnn2のいずれかが位置推定に用いるデータとして指定されるときに、例えば、回転子位置が0deg-30degの範囲内であると仮定すると、位相推定演算部35は、中性点電圧Vnn1(中性点電圧VnB)と中性点電圧データメモリ34の該当範囲に記憶されている中性点電圧VnB(図7参照)とを比較し、そのときの回転子位置を推定演算することになる。
ここで、図5に示したように、例えば、通電モードが切り換わる回転子位置30degで中性点電圧Vnn2は中性点電圧VnAから中性点電圧VnCに切り換わり、回転子位置30degにおける中性点電圧VnAと中性点電圧VnCとの乖離によって、ローパスフィルタ処理前(ローパスフィルタ通過前)の中性点電圧Vnn2はステップ的に変化する。
一方、図7に示した中性点電圧データメモリ34は、回転子位置に応じた中性点電圧VnA-VnFの定常的な値を記憶するものであり、回転子位置30degを境に中性点電圧VnBから中性点電圧VnCまでステップ的に変化することになる。
このようなローパスフィルタ処理による応答遅れを要因とする推定精度の低下は、図5に示した特性例では、中性点電圧Vnn2が急峻に変化する回転子位置270deg、更に、中性点電圧Vnn1が急峻に変化する回転子位置90deg、210degでも発生することになる。
つまり、位相推定演算部35は、通電モードの切り換えから所定期間において第2LPF部32を通過したVnn1信号、Vnn2信号に基づき回転子位置の推定を行い、それ以外では、第1LPF部31を通過したVnn1信号、Vnn2信号に基づき回転子位置の推定を行う。
このため、通電モードの切り換えから所定期間において第1LPF部31の出力に代えて第2LPF部32の出力が位相推定演算部35に入力されれば、ローパスフィルタ処理による応答遅れを要因とする推定精度の低下が抑制される。
そして、回転子位置30degが推定されて通電モードが切り換えられると、位相推定演算部35は、第2LPF部32から出力されるVnn1信号及びVnn2信号を入力する状態に切り換わり、これらのうちのVnn2信号(中性点電圧VnC)に基づき回転子位置の推定を行う。
そして、通電モードの切り換えから所定期間が経過すると、位相推定演算部35は、第1LPF部31から出力されるVnn1信号及びVnn2信号を入力する状態に戻り、ノイズの影響を十分に抑止した推定処理を行える。
ただし、Vnn1、Vnn2信号の急峻な変化を伴う通電モードの切り換えであるか否かを判断することなく、通電モードが切り換わるときにLPF出力切換部33が切り換え動作を行う構成とすれば、制御を簡略化できる。
図8は、第2実施形態におけるLPF処理部301Aの構成を示すブロック図である。
なお、第2実施形態は、図6に示した回転子位置推定手段6の構成のうちのLPF処理部301を、図8に示したLPF処理部301Aに変更するものであり、中性点電圧演算部300、位相推定部302は第1実施形態と同様に備える。したがって、中性点電圧演算部300、位相推定部302についての詳細な説明は省略する。
第1LPF部41は、中性点電圧Vnn1、Vnn2の信号のノイズ成分を十分に除去できる遮断周波数(時定数τ)に設定される。
かかる構成によると、第1LPF部41を通過した後(ローパスフィルタ処理後)の中性点電圧Vnn1、Vnn2の信号が、通電モードの切り換えられたときに、上記の初期値設定を行わない場合に比べて、切り換え後のローパスフィルタ処理前の値に近づくことになる。
また、第1実施形態のように、第1LPF部31の出力と第2LPF部32の出力とを切り換える構成では、十分な応答性とノイズ除去性能とを両立させるように第2LPF部32における遮断周波数の調整を行う必要があるが、上記第2実施形態では、係る遮断周波数の調整が不要となり、開発コスト、調整工数を低減できる。
なお、初期値設定部42は、通電モードの切り換え前後の値の平均値を求めて第1LPF部41の初期値とするが、通電モードの切り換え直後のローパスフィルタ処理前の値を第1LPF部41の初期値とすることができる。
また、初期値設定部42は、通電モードが切り換えられるときに、第1LPF部41よりも遮断周波数の高い(時定数τの短い)ローパスフィルタを通過した中性点電圧Vnn1、Vnn2を、第1LPF部41の初期値とすることができる。
そして、位相推定部302は、通電モードが切り換えられるときに、ローパスフィルタを通過していない中性点電圧Vnn1、Vnn2を使用することで、ローパスフィルタを通過した中性点電圧Vnn1、Vnn2を使用する場合よりも、通電モードの切り換えに伴う中性点電圧Vnn1、Vnn2変化の追従性を向上させることができる。また、位相推定部302は、通電モードの切り換え後にはローパスフィルタを通過した中性点電圧Vnn1、Vnn2を使用する状態に戻るので、ノイズ低減効果を得ることができる。
図9は、第3実施形態における回転子位置推定手段6Aの構成を示すブロック図である。
図9の回転子位置推定手段6Aは、中性点電圧演算部401、LPF処理部402、位相推定部403を有する。ここで、図9の中性点電圧演算部401は、図6の中性点電圧演算部300と同じ機能のものであり、詳細な説明は省略する。
第1LPF部51は、中性点電圧Vnn1、Vnn2の信号のノイズ成分を除去できる遮断周波数(時定数τ)に設定される。
位相推定部403は、中性点電圧データメモリ52、位相推定演算部53を有する。
そして、位相推定演算部53は、第1LPF部51を通過した中性点電圧Vnn1、Vnn2と、中性点電圧データメモリ34が記憶する中性点電圧Vnn1、Vnn2と回転子位置との相関(マップ)とを比較し、回転子位置の推定演算を行う。
第1LPF部51を通過した中性点電圧Vnn1、Vnn2は通過前の中性点電圧Vnn1、Vnn2に対して応答遅れを生じるが、中性点電圧データメモリ52が、第1LPF部51を通過することで応答遅れを生じる中性点電圧Vnn1、Vnn2の変化特性を予め記憶すれば、応答遅れの影響を抑制した回転子位置の推定を行わせることができる。
換言すれば、中性点電圧データメモリ52のマップデータは、第1LPF部51を通過する前の中性点電圧Vnn1、Vnn2の変化よりも第1LPF部51を通過した中性点電圧Vnn1、Vnn2の変化に近づくように作成されている。
そこで、中性点電圧データメモリ52は、モータ回転速度ωrに応じて第1LPF部51を通過した中性点電圧Vnn1、Vnn2がどれだけの応答遅れを生じるかに応じて、回転子位置の変化に対する中性点電圧Vnn1、Vnn2の変化特性のデータを調整できるよう構成されている。
例えば、中性点電圧データメモリ52は、所定のモータ回転速度ωrにおける第1LPF部51の応答遅れ(時定数τ)に対応する特性で中性点電圧Vnn1、Vnn2の変化の記憶するマップを、異なるモータ回転速度ωr毎に複数備え、そのときのモータ回転速度ωrに近い回転速度条件のマップを選択し、選択したマップの変化特性を位相推定演算部53に出力することができる。
これにより、第1LPF部51を通過した中性点電圧Vnn1、Vnn2の応答遅れの特性が、モータ回転速度ωrに応じて変化しても、推定誤差を安定して低減することができる。
図10は、第4実施形態における回転子位置推定手段6Bの構成を示すブロック図である。
図10の回転子位置推定手段6Bは、中性点電圧演算部501、LPF処理部502、位相推定部503を有し、位相推定部503で推定された推定回転子位置θdestは、モータ制御手段5に出力される。
中性点電圧演算部501、位相推定部503は、図6の中性点電圧演算部300、位相推定部302と同じ構成、機能のものであり、位相推定部503は、中性点電圧データメモリ61、及び位相推定演算部62を有する。
一方、図10のLPF処理部502は、第1LPF部63(第1ローパスフィルタ)とともに、第1LPF部63の時定数τ(遮断周波数)を変更する時定数変更部64を有する点が、図6のLPF処理部301と異なる。
時定数変更部64は、第1LPF部63の時定数τを標準値である第1時定数τ1と、第1時定数τ1よりも短い第2時定数τ2とに切り換える機能を備える。換言すれば、第1LPF部63は、マイクロプロセッサ510内において、第1時定数τ1よりも短い時定数である第2時定数τ2に調整可能に構成されている。
つまり、図10の位相推定部503は、通電モードが切り換えから所定期間は、第2時定数τ2に設定された第1LPF部63を通過した中性点電圧Vnn1、Vnn2を使用して回転子位置を推定し、それ以外の期間では、第1時定数τ1に設定された第1LPF部63を通過した中性点電圧Vnn1、Vnn2を使用して回転子位置を推定する。
したがって、通電モードの切り換えられるときに、位相推定演算部62は、応答遅れが抑制された中性点電圧Vnn1、Vnn2に基づき回転子位置を推定でき、第1時定数τ1に設定された第1LPF部63を通過した中性点電圧Vnn1、Vnn2に基づき回転子位置を推定する場合よりも、回転子位置の推定誤差を小さくできる。
また、第1LPF部63及び時定数変更部64はデジタル回路で構成されるから、第1LPF部63の時定数τを容易に変更できる。
図11は、車両用の電動パワーステアリング装置200のシステム構成図である。
この電動パワーステアリング装置200は、前述の第1-第4実施形態に示した回転子位置推定手段6、6A、6Bによる回転子位置の推定結果を用い、モータ制御手段5で駆動制御される電動モータ1の適用例である。
この操舵機構210においては、車両の運転者がステアリングホイール201を左右に回転させると、ステアリングシャフト202を介してピニオン軸203に操舵トルクが伝達され、ピニオン軸203の回転運動がラック軸204の直線運動に変換されて、ラック軸204の両端に連結された操舵輪(図示省略)の操舵を行う。
減速機構205は、電動モータ1が発生するトルクを操舵輪に伝達して、運転者の操舵を補助する。
直流電源3は、バッテリなどで構成され、モータ制御装置10に接続される。
モータ制御装置10は、中性点電圧に基づき回転子位置を推定演算するので、電動モータ1のベクトル制御を実現するのに必要な磁極位置センサをなくした所謂センサレス制御で、電動パワーステアリング装置200の電動モータ1を駆動制御できる。
例えば、上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
さらに、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
例えば、回転子位置推定手段6は、直流電源3のグランドレベルを基準電位としたり、直流電源3の電源電圧を等分圧した電位を基準としたりして、係る基準電位と電動モータ1の3相巻線接続点電位Vnとの差を中性点電圧Vn0として求めることができる。
また、図6のLPF処理部301は、例えば、入力信号に並列するコンデンサと、入力信号と直列する抵抗器とで構成されるアナログフィルタを、第1LPF部31及び第2LPF部32として備えることができ、更に、デジタルフィルタとしての第1LPF部31及び第2LPF部32を備えることができる。
上記構成において、推定結果切換部は、通電モードが切り換えられるときに第2位相推定演算部による推定結果をモータ制御手段5に出力し、その後、第1位相推定演算部による推定結果をモータ制御手段5に出力することで、結果的に、通電モードが切り換えられるときに第1LPF部31を通過した中性点電圧Vnn1、Vnn2を使用せず、第2LPF部32を通過した中性点電圧Vnn1、Vnn2を使用して回転子位置を推定したことになる。
また、モータ制御装置10によって駆動制御される電動モータ1を動力源とするシステムは、電動パワーステアリング装置200に限定されず、電動モータ1を、例えば、車両用のポンプや内燃機関の電動式可変動弁機構の動力源とすることができる。
Claims (7)
- 電動モータであって、回転子と、固定子を備え、前記固定子は、互いに星形結線された第1固定子巻線、第2固定子巻線、および第3固定子巻線を有している、前記電動モータを制御するためのモータ制御装置において、
複数のスイッチング素子を有するインバータ回路と、
インバータ制御部であって、前記回転子の位置に基づき、前記複数のスイッチング素子の夫々のオン、オフ状態の組み合わせに対応する複数の通電モードを切り換えることで前記インバータ回路を駆動制御する前記インバータ制御部と、
第1時定数を有する第1ローパスフィルタと、
回転子位置推定部であって、前記固定子の中性点電圧と前記複数の通電モードの切り換え状態とに基づき、前記回転子の位置を推定し、
前記複数の通電モードの間での前記通電モードの切り換えから所定期間は、前記第1ローパスフィルタを通過した前記中性点電圧を使用せずに前記回転子の位置を推定し、前記所定期間以外の期間は、前記第1ローパスフィルタを通過した前記中性点電圧を使用して前記回転子の位置を推定する、
前記回転子位置推定部と、
を有することを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項1に記載のモータ制御装置は、前記第1時定数よりも時定数の短い第2時定数を有する第2ローパスフィルタを有し、
前記回転子位置推定部は、前記所定期間において、前記第2ローパスフィルタを通過した前記中性点電圧を使用し、前記回転子の位置を推定することを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項1に記載のモータ制御装置は、マイクロプロセッサを備え、
前記インバータ制御部、前記回転子位置推定部、前記第1ローパスフィルタの夫々は、前記マイクロプロセッサ内に設けられたデジタル回路であって、
前記第1ローパスフィルタは、前記マイクロプロセッサ内において、前記第1時定数よりも短い時定数である第2時定数に調整可能であって、
前記回転子位置推定部は、前記所定期間において、前記第1ローパスフィルタの前記時定数が前記第1時定数から前記第2時定数に調整された前記第1ローパスフィルタを通過した前記中性点電圧を使用し、前記回転子の位置を推定することを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項1に記載のモータ制御装置において、前記回転子位置推定部は、前記所定期間において、任意のフィルタを通過していない前記中性点電圧を使用し、前記回転子の位置を推定することを特徴とするモータ制御装置。
- 電動モータであって、回転子と、固定子を備え、前記固定子は、互いに星形結線された第1固定子巻線、第2固定子巻線、および第3固定子巻線を有している、前記電動モータを制御するためのモータ制御装置において、
複数のスイッチング素子を有するインバータ回路と、
インバータ制御部であって、前記回転子の位置に基づき、前記複数のスイッチング素子の夫々のオン、オフ状態の組み合わせに対応する複数の通電モードを切り換えることで前記インバータ回路を駆動制御する前記インバータ制御部と、
第1時定数を有する第1ローパスフィルタと、
回転子位置推定部であって、前記固定子の中性点電圧と前記複数の通電モードの切り換え状態とに基づき、前記回転子の位置を推定し、
前記複数の通電モードのうち1つの前記通電モードの間において、前記第1ローパスフィルタを通過した前記中性点電圧を使用して前記回転子の位置を推定し、
前記複数の通電モードの間で前記通電モードが切り換えられるとき、任意のフィルタを通過していない前記中性点電圧の前記通電モードの切り換えタイミングの前の値と前記通電モードの切り換えタイミングの後の値との平均値を使用し、前記回転子の位置を推定する、
前記回転子位置推定部と、
を有することを特徴とするモータ制御装置。 - 請求項5に記載のモータ制御装置において、前記回転子位置推定部は、前記平均値を使用して前記回転子の位置を推定した後、前記第1ローパスフィルタを通過した前記中性点電圧を使用して前記回転子の位置を推定することを特徴とするモータ制御装置。
- 請求項1に記載のモータ制御装置は、
仮想中性点回路であって、互いに星形結線された第1固定子電位出力部と、第2固定子電位出力部と、第3固定子電位出力部を備え、
前記第1固定子電位出力部は、前記第1固定子巻線と同じ電位を有しており、
前記第2固定子電位出力部は、前記第2固定子巻線と同じ電位を有しており、
前記第3固定子電位出力部は、前記第3固定子巻線と同じ電位を有している、
前記仮想中性点回路を備え、
前記中性点電圧は、前記固定子の中性点の電位である固定子中性点電位と前記仮想中性点回路の中性点の電位である仮想中性点電位との差であることを特徴とするモータ制御装置。
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