以下、図面を参照しながら、本発明に係る遊技機の好ましい実施形態について詳細に説明する。なお、以下に述べる実施形態では、本発明に係る遊技機として、パチンコ遊技機を例にとって説明する。
<1.構成の概要:図1および図2>
図1および図2を参照して、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の構成の概要を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の外観を示す正面側の斜視図を、図2は遊技盤の正面側を示した図である。
図1に示すパチンコ遊技機1(以下、「遊技機1」と略す)は、木製の外枠4の前面に額縁状の前枠2を開閉可能に取り付け、前枠2の裏面に取り付けた遊技盤収納フレーム(図示せず)内に遊技盤3(図2参照)を装着し、この遊技盤3の表面に形成した遊技領域3aを前枠2の開口部に臨ませた構成を有する。この遊技領域3aの前側には、透明ガラスを支持したガラス扉6が設けられている。また遊技盤3の背面側には、遊技動作を制御するための各種制御基板(図3参照)が配設されている。
ガラス扉6の前側には扉ロック解除用のキーシリンダ(図示せず)が設けられており、このキーシリンダにキーを差し込んで一方側に操作すれば前枠2に対するガラス扉6のロック状態を、他方側に操作すれば外枠4に対する前枠2のロック状態をそれぞれ解除して前側に開放できるようになっている。
ガラス扉6の下側には、ヒンジ(図示せず)により前枠2に開閉自在に枢支された前面操作パネル7が配置されている。前面操作パネル7には、上受け皿ユニット8が設けられ、この上受け皿ユニット8には、排出された遊技球を貯留する上受け皿9が形成されている。
また上受け皿ユニット8には、上受け皿9に貯留された遊技球を遊技機1の下方に抜くための球抜きボタン14と、島設備側の遊技球貸出装置(図示せず)に対して遊技球の払い出しを要求するための球貸しボタン11と、遊技球貸出装置に挿入した有価価値媒体の返却を要求するためのカード返却ボタン12とが設けられている。
また上受け皿ユニット8には、押しボタン式の演出ボタン13(第1の操作手段(後述の爽快ボタン70(ローリングボタン)としても機能する)と、上方向を指し示すボタン75a、右方向を指し示すボタン75b、下方向を指し示すボタン75c、左方向を指し示すボタン75dから構成され、上下左右方向に操作可能な十字形の方向キー75(第2の操作手段)とが設けられている。演出ボタン13または方向キー75は、遊技者が操作可能な操作手段として機能し、特定の予告演出(たとえば、いわゆる「遊技者参加型演出」など)における所定の操作有効受付期間中に操作入力の受付が有効化され、この有効期間中に所定の操作(たとえば、1回押し、長押し、連打など)がなされると、その操作の前後で演出に変化をもたらすことができるようになっている。また、これらの操作手段は、後述の「デモ開始待ち演出」や「客待ち演出(デモ画面)」中に係る「遊技設定画面(音量の設定、光量の設定、演出モードの設定などが可能なメニュー画面)」において、遊技者が好みの遊技設定を行う際にも利用される。なお、演出ボタン13には、その内部に内蔵ランプ(ボタンLED13b)が設けられており、ボタンLED13bの発光態様の違いにより、操作受付有効期間(たとえば、所定色で点灯または点滅中)と、操作受付無効期間(たとえば、消灯中)とが報知可能となっている。
また前面操作パネル7の右端部側には、発射装置32(図3参照)を作動させるための発射操作ハンドル15が設けられている。
また前枠2の上部の両側と発射操作ハンドル15の上側とには、音響により音演出効果(効果音)を発揮するスピーカ46が設けられている。また、遊技機の適所、たとえば、ガラス扉6の前枠周縁に周方向や後述のセンター飾り体48の内部に、光の装飾により光演出効果を発揮する装飾ランプ45(演出用LED)が複数設けられている。
(遊技盤:図2)
次に図2を参照して、遊技盤3の構成について説明する。遊技盤3には、図示のように、発射された遊技球を案内する球誘導レール5が盤面区画部材として環状に装着されており、この球誘導レール5に取り囲まれた略円形状の領域が遊技領域3a、四隅は非遊技領域となっている。
この遊技領域3aの略中央部には、液晶表示装置(LCD)36が設けられている。この液晶表示装置36は、後述する演出制御部24の制御の下、所定の表示領域(図柄変動表示領域)において、独立して数字やキャラクタや記号などによる複数種類の装飾図柄(たとえば、左図柄、中図柄、右図柄の3つの装飾図柄(図5参照))の変動表示動作(変動表示および停止表示)を含む、種々の演出を画像により表示する。
また遊技領域3a内には、液晶表示装置36の表示面の周りを遠巻きに囲繞する形でセンター飾り体48が設けられている。センター飾り体48は、遊技盤3の前面側に沿って設けられ、遊技盤3に固定される前面装着板48aと、センター飾り体48の外周囲を形成し液晶表示装置36の表示画面を取り囲む鎧枠部48bとを一体に備えており、周囲の遊技球から液晶表示装置36の表示面を保護するとともに、遊技球の打ち出しの強さまたはストローク長により、遊技球の流路を左右に振り分けることを可能とする流路振分手段として働く。本実施形態では、センター飾り体48の上面と球誘導レール5との間に遊技球が通過可能な遊動領域が形成されており、発射装置32により遊技領域3aの上部側に打ち込まれた遊技球は、鎧枠部48bの上部側で左右に振り分けられ、センター飾り体48の左側の左流下経路3bと右側の右流下経路3cとのいずれかを流下する。
また遊技盤3の右上縁付近(右上隅)の非遊技領域は各種機能表示部となっており、7セグメント表示器(ドット付)を上始動口34(第1の特別図柄用)と、下始動口35(第2の特別図柄用)に対応させて横に並べて構成される特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置:第1の特別図柄表示手段)と特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置:第2の特別図柄表示手段)とが設けられている。特別図柄表示装置38a、38bでは、7セグにより表現される「特別図柄」の変動表示動作(変動表示および停止表示)による‘特別図柄変動表示ゲーム’が実行されるようになっている。そして上記の液晶表示装置36では、この特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、画像による装飾図柄を変動表示するもので、種々の予告演出(演出画像)とともに‘装飾図柄変動表示ゲーム’が実行されるようになっている。なお、特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲームについての詳細は追って説明する。
また各種機能表示部には、特別図柄表示装置38a、38bの隣に、7セグメント表示器(ドット付)からなる複合表示装置(保留複合表示用LED表示器)38cが配設されている。複合と称したのは、特別図柄1、特別図柄2、普通図柄の各作動保留球数の表示、変動時間短縮機能作動中(時短中)と高確率状態中(高確中)の状態報知という、5つの表示機能を有する保留・時短・高確複合表示装置(以下、「複合表示装置」と称する)であるからである。
また各種機能表示部には、複合表示装置38cの隣りに、複数個(この実施形態では2個)のLEDを配置してなる普通図柄表示装置39a(普通図柄表示手段)が設けられている。本実施形態に係る普通図柄表示装置39aでは、2個のLEDにより表現される普通図柄の変動表示動作により普通図柄変動表示ゲームが実行される。たとえば、変動表示動作として、LEDによる普通図柄がシーソー的に交互に点灯と消灯を繰り返し、いずれかの側が点灯した状態で停止することで、普通図柄変動表示ゲームの当否が判明するようになっている。
また普通図柄表示装置39aに隣接して、右打ち表示装置39bが設けられている。この右打ち表示装置39bは、LEDの点灯・消灯状態の組合せにより、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」が有利であるのか、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」が有利であるのかを報知する。たとえば、LEDの発光状態が、点灯した状態であれば右打ち有利、消灯状態であれば左打ち有利であることが報知される。
また、右打ち表示装置39bに隣接して2個のLED(ラウンド表示LED)を配置してなるラウンド数表示装置39cが設けられている。このラウンド数表示装置39cは、複数個のLEDの点灯・消灯状態の組合せにより、大当りに係る規定ラウンド数(最大ラウンド数)を報知する。
センター飾り体48の下方には、上始動口34(第1の特別図柄始動口:第1の始動手段)と、下始動口35(第2の特別図柄始動口:第2の始動手段)を備える普通変動入賞装置41とが上下に設けられ、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する検出センサ34a、35a(上始動口センサ34a、下始動口センサ35a:図3参照)が形成されている。
第1の特別図柄始動口である上始動口34は、特別図柄表示装置38a(第1の特別図柄表示装置)における第1の特別図柄(以下、第1の特別図柄を「特別図柄1」と称し、場合により「特図1」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、始動口を開放または拡大可能にする‘始動口開閉手段’を有しない「入賞率固定型の入賞装置」として構成されている。本実施形態では、遊技領域3a内の遊技球落下方向変換部材(たとえば、遊技くぎ(図示せず)、風車44、センター飾り体48など)の作用により、上始動口34へは、左流下経路3bを流下してきた遊技球については入球(入賞)容易な構成であるのに対し、右流下経路3cを流下してきた遊技球については入球困難または入球不可能な構成となっている。
普通変動入賞装置41は、始動口開閉手段により始動口の遊技球の入賞率を変動可能な「入賞率変動型の入賞装置」として構成されている。本実施形態では、始動口開閉手段として左右一対の可動翼片(可動部材)47を備え、この可動翼片47が開閉動作を行うことで、第2の特別図柄始動口である下始動口35を開放または拡大可能となっている。
また、普通変動入賞装置41の下始動口35は、特別図柄表示装置38b(第2の特別図柄表示装置)における第2の特別図柄(以下、第2の特別図柄を「特別図柄2」と称し、場合により「特図2」と略す)の変動表示動作の始動条件に係る入賞口であり、この下始動口35の入賞領域は、可動翼片47の作動状態(作動または非作動)に応じて、入賞を容易とする開状態(入賞容易状態)と、その開状態よりも入賞を困難にし、または入賞を不可能にする閉状態(入賞困難状態)とに変換される。本実施形態では、可動翼片47が非作動の場合、下始動口35への入賞が不可能とする閉状態(入賞不可能状態)を保持している。
また普通変動入賞装置41の両側には、一般入賞口43が左側に3つ、右側に1つ、計4つ配設されており、それぞれの内部には、遊技球の通過を検出する一般入賞口センサ43a(図3参照)が形成されている。
また普通変動入賞装置41の右斜め上方、つまり右流下経路3cの中間部より上部側には、遊技球が通過可能な通過ゲート(特定通過領域)からなる普通図柄始動口37(第3の特別図柄始動口:第3の始動手段)が設けられている。この普通図柄始動口37は、普通図柄表示装置39aにおける普通図柄の変動表示動作に係る入賞口であり、その内部には、通過する遊技球を検出する普通図柄始動口センサ37a(図3参照)が形成されている。なお本実施形態では、普通図柄始動口37は右流下経路3c側にのみに形成され、左流下経路3b側には形成されていないが、これに限らず、両流下経路に形成してもよい。
右流下経路3c内の普通図柄始動口37から普通変動入賞装置41へかけての経路途中には、突没式の開放扉52bにより大入賞口50を開放または拡大可能に構成された特別変動入賞装置52(特別電動役物)が設けられており、その内部には大入賞口50に入球した遊技球を検出する大入賞口センサ52a(図3参照)が形成されている。
大入賞口50の周囲は、遊技盤3の表面から膨出した膨出部(装飾部材)55となっており、この膨出部55の上辺55aが右流下経路3cの下流案内部を形作っている。そして開放扉52bにより大入賞口50が閉鎖状態(大入賞口閉状態)であれば、この膨出部55の上辺55aと連続する面を形成することによって、右流下経路3cの下流案内部(上辺55a)の一部を形作るようになっている。また右流下経路3cの下流域には、膨出部55の上辺55aの上方の領域、正確には大入賞口50の上方の遊技領域において、遊技球の流下方向にほぼ平行に流路修正板51dが突設されており、流下する遊技球を大入賞口50の方向に寄せる働きをするようになっている。
大入賞口50への遊技球の入球過程は次のようになる。センター飾り体48の上面と球誘導レール5との間の遊動領域を通過した遊技球は、遊技盤3より突出していて遊技球のガイドとして機能する膨出部55の頂面(上辺)55a上に沿って流下して来る。そして、その遊技球が遊技盤3面から突出している流路修正板51dの右端に接触し、これにより、遊技球の流下方向は大入賞口50の方向(下方向)に修正される。このとき、突没式の開放扉52bにより大入賞口50が蓋をされている状態(大入賞口閉状態)であれば、この上を遊技球が転動して、さらに不図示のゲージ構成(遊技くぎの配列)により、チューリップ式の普通変動入賞装置41(下始動口35)の方向に導かれる。このとき、下始動口35が入賞可能状態(始動口開状態)であれば、下始動口35に遊技球が入賞しうるが、開放扉52bが遊技盤面内に後退していて大入賞口50が開いている状態(大入賞口開状態)であれば、遊技球が大入賞口50内に導かれるようになっている。
(特定条件下における右打ち有利の構成)
本実施形態の遊技機1では、遊技者が特別変動入賞装置52側に発射位置を狙い定めた場合(遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定めた場合)、普通図柄始動口37に遊技球は入賞し易いが、上始動口34側には遊技球が誘導され難い、または誘導されない構成となっている。したがって「大入賞口閉状態」であれば、普通変動入賞装置41の可動翼片47が作動しない限り、各始動口34、35への入賞が困難または不可能とされる。しかし、この可動翼片47は、後述の「電サポ有り状態」を伴う遊技状態になると、少なくとも通常状態よりも有利な開閉パターンで動作するようになっている。したがって、この電サポ有り状態の場合には、遊技球が左流下経路3bを通過するように狙いを定める「左打ち」ではなく、遊技球が右流下経路3cを通過するように狙いを定める「右打ち」が有利とされる。すなわち、「左打ち」か「右打ち」のいずれの打ち方をすれば遊技者にとり有利な状況になるかについては、遊技状態に応じて変化し、電サポ無し状態下(たとえば、通常状態や後述の潜確状態)では「左打ち」が、電サポ有り状態下(たとえば、時短状態や確変状態)では「右打ち」が有利とされる。
上記の上始動口34、下始動口35、普通図柄始動口37、大入賞口50、または一般入賞口43などの各入賞口は、遊技領域3a内に配置された入賞手段として機能し、また、上始動口センサ34a、下始動口センサ35a、普通図柄始動口センサ37a、大入賞口センサ52a、または一般入賞口センサ43aなどの検出スイッチ(入賞検出スイッチ)は、入賞手段に入球した遊技球を検出する入賞検出手段として機能する。上記入賞検出スイッチは、フォトスイッチや近接スイッチなどの無接点スイッチや、マイクロスイッチなどの有接点スイッチで構成することができる。なお上記した各入賞手段については、遊技性に応じて、その個数、形状、形成位置などを適宜変更することができる。また、各入賞手段について、左流下経路3bおよび/または右流下経路3cのいずれを流下する遊技球を、入賞困難または入賞不可能、あるいは入賞可能とするかについても遊技性に応じて適宜変更することができる。
各入賞口に遊技球が入賞した場合、各入賞口別に約束づけられた入賞球1個当りの賞球数が、遊技球払出装置19(図5参照)から払い出されるようになっている。たとえば、上始動口34は3個、下始動口35は1個、普通図柄始動口37は0個(賞球なし))、大入賞口50は15個、一般入賞口43は6個が払い出される。上記の各入賞口に入賞しなかった遊技球は、アウト口49を介して遊技領域3aから排出される。ここで「入賞」とは、入賞口がその内部に遊技球を取り込んだり、または入賞口が遊技球を内部に取り込む構造ではなく、通過型のゲートからなる入賞口(たとえば、普通図柄始動口37)である場合は、そのゲートを遊技球が通過したりすることをいい、実際には入賞口ごとに形成された各入賞検出スイッチにより遊技球が検出された場合、その入賞口に「入賞」が発生したものとして扱われる。この入賞に係る遊技球を「入賞球」とも称する。
<可動体役物>
また遊技領域3a内には、遊技球の流下を妨害しない位置に複数の可動体役物が配設されている。本実施形態では、センター飾り体48内の右上側に第1の可動体役物(時計型役物)80が配設され、その右斜め下側に第2の可動体役物(花型役物)90が配設されている。第1の可動体役物である時計型役物80は、数字セクター(I」からXII)に区画された数字表示部からなる時計盤部81と、この時計盤部81上を回動可能に形成された短針および長針からなる時計針82とを有し、全体として時計型役物80として構成されている。また第2の可動体役物である花型役物90は、花心A1の周りに複数枚の花弁からなる花冠A2を配し、花心A1および花冠A2を上下方向(落下移動)または左右方向に移動可能(突出移動)に構成した第1可動体91と、その花冠A2の外側周囲に位置する萼B1を茎部B2の先端に取り付け、萼B1および茎部B2を上下方向(落下移動)可能に構成した第2可動体92とから構成される。時計型役物80(時計針82)や花型役物90(第1可動体91、第2可動体92)は、その動作態様により、当りへの期待度(当選期待度)を示す働きをしたり、後述の設定示唆演出を現出する際にも利用される(後述の第3の可動体役物についても同様)。
<通常ボタン13A、回転灯ボタン66、爽快ボタン70:図2>
また第3の可動体役物(回転灯62および発光装置を納めた半透明の球状の可動体73)が、演出ボタン13内に揺動および回転可能に一体的に組み込まれている。演出ボタン13は、この内蔵する可動体73の静止時の向き(遊技者から見える面の位置)によって、通常ボタン13A(第1演出ボタン:チャンスボタン)または回転灯ボタン66(第2演出ボタン)として機能し、可動体73が前方に回転している状態にある場合には爽快ボタン70(第3演出ボタン:ローリングボタン)として機能するようになっている。
図2に概略を示すように、演出ボタン13は、受け皿ユニット8と表面が一体をなすように構成された透明枠71内に、比較的大きな表面積を持つ透明な押圧ボタン型筒体72を上下動可能に組み込み、この押圧ボタン型筒体72内またはその下方(以下、単に押圧ボタン型筒体72内と略す)において、第3の可動体役物としての可動体73をローリング可能につまり回転可能かつ複数方向に揺動可能に組み込んだ構造となっている。
可動体73は、押圧ボタン型筒体72内に配置され、遊技者から見て横軸を中心に回転可能かつ左右方向に揺動できるように装置した半透明の球状の空枠と、この空枠内に納めた回転灯62および発光装置から構成されている。押圧ボタン型筒体72を押したとき、またはその前後の所定のタイミングにおいて、可動体73がローリング動作(回転および揺動運動)し、その動作の様を空枠内部または周囲から有色光で照明して、遊技者が外部から視認できる構造となっている。
上記構造の演出ボタン13は、その操作時の可動体73の動作態様が「通常静止中」、「回転灯待機中」、「ローリング動作中」のいずれにあるかの違いにより、「通常ボタン13A(第1演出ボタン)」、「回転灯ボタン66(第2演出ボタン)」、「爽快ボタン70(第3演出ボタン:ローリングボタン)」として使い分けされる。ここに「通常静止中」とは、静止状態にある可動体73の回転角度位置が0度で、回転灯62の発光状体(包囲体64の頂面)が押圧ボタン型筒体72を通して上から見ない位置(遊技者から隠た位置)に在る状態をいい、この状態下で押圧ボタン型筒体72を押すと、演出ボタン13は、通常ボタン13A(第1演出ボタン)として働く。本明細書中で「通常ボタン13A」と記した場合、この「通常静止中」に操作する場合の演出ボタン13を指す。
また「回転灯待機中」とは、静止状態にある可動体73の回転角度位置が、上記の通常静止中の位置(0度)から手前に90度回転した位置(90度)に切り替わり、回転灯62の発光状態(包囲体64の頂面)が押圧ボタン型筒体72を通して上から見える位置(遊技者から見える位置)に在る状態をいい、この状態下で押圧ボタン型筒体72を押すと、演出ボタン13は、回転灯ボタン66(第2演出ボタン)として働く。回転灯ボタン66(第2演出ボタン)として働く場合、回転灯62が押圧ボタン型筒体72を通して上から見えるので、操作することを催促することができるとともに、たとえば操作した瞬間に回転灯62が作動する様を押圧ボタン型筒体72を通して視認することができる。したがって、一発告知的な予告演出を現出させるのに適し、非常に緊迫した瞬間を現出させることができる。なお「回転灯待機中」の期間を経過すると、可動体73は奥側に90度回転して、「通常静止中」の位置(0度)に戻る。
また「ローリング動作中」とは、可動体73が前方に回転し続けている状態をいい、つまり図2に示すように横軸を回転中心軸として可動体73が回転している状態をいい、この可動体73が回転している状態下で押圧ボタン型筒体72を押すと、演出ボタン13は、爽快ボタン70(第3演出ボタン)として働く。爽快ボタン70として働く場合、球状の可動体73がローリング動作(高速回転)する様が、透明枠71および押圧ボタン型筒体72を通して外部から見えることから、遊技者はこのローリングボタン70を操作したとき、通常ボタン13Aや回転灯ボタン66を押したときとは異なる、非常に満足の行く快感を得ることができる。なお「ローリング動作中」の期間を経過すると、可動体73は静止して「通常静止中」の位置に戻る。
図2の下部に、上記のように使い分けされる3種のボタン機能のうち、回転灯ボタン66と、爽快ボタン70の機能部分を分けて示す。ここでは理解を容易にするために、回転灯ボタン66専用のスイッチ65や、爽快ボタン70専用のスイッチ74が存在するものの如く描いているが、実際には1のスイッチが使い分けされるだけである。
回転灯ボタン66は、赤色半透明の包囲体64中に、光源としてのランプ(またはLED)62aと、このランプ62aからの光を反射させる反射体としての反射鏡62bとを備えた回転灯62からなり、反射鏡62bを回転させることで、光源から発光された光の進行方向を変化させるように構成されている。
また、図2の左側図では、回転灯62が押しボタン式の回転灯ボタン66として作用する場合の回転灯スイッチ65を有するものとして描かれており、所定のタイミングで回転灯62の包囲体64を押圧操作すると、回転灯スイッチ65がONし、当り告知音が発生して回転灯62が作動する構成となっている。しかし、実際には、回転灯62は図2の右側図の空枠(可動体73の殻部分)内に納められているため、回転灯62の操作部として機能するのは包囲体64ではなく押圧ボタン型筒体72であり、この押圧ボタン型筒体72を「回転灯待機中」に押圧操作することでスイッチ74がオンし、回転灯スイッチ65がONしたのと同じ結果となって回転灯62が作動する。「通常静止中」に作用する通常ボタン13Aは、必ずしも全ての演出手段が作動するとは限らない使用頻度の高い演出ボタンである。これに対し、この回転灯ボタン66は一発告知用である。
爽快ボタン70として機能する場合は、図2の右側図に概略を示すように、可動体73が押圧ボタン型筒体72内で高速に連続回転する「ローリング動作中」となり、その動作する様を内部または周囲から、当選期待度に応じた有色光で照明し(たとえば、青、緑、赤、デンジャー柄(D柄)、虹色(当確)で発色し、この順で当選期待度が高い)、この様子を遊技者が押圧ボタン型筒体72を通して外部から視認できる状態が生起する。この状態の出現を前提として爽快ボタン70が操作されるため、大当り時に爽快ボタン70を操作したときには、その操作後に発生する大当り抽選結果に関連した演出(操作時演出)との相乗効果より、非常に大きな快感を遊技者に与えることができる。爽快ボタン70は、押圧ボタン型筒体72内またはその下方に、可動体73を回転可能かつローリング可能に組み込んだ構造となっているので、ボタンLEDとして、また可動体役物としても機能する。
<2.制御装置:図3>
次に図3を参照して、本実施形態に係る遊技機1の遊技動作制御を司る制御装置について説明する。図3は、その制御装置の概要を示す制御ブロック図である。
本実施形態に係る遊技機1の制御装置は、遊技動作全般に係る制御(遊技動作制御)を統括的に司る主制御基板(主制御手段)20(以下、「主制御部20」と称する)と、主制御部20から演出制御コマンドを受けて、演出手段による演出の実行制御(現出制御)を統括的に司る演出制御基板(演出制御手段)24(以下、「演出制御部24」と称する)と、遊技球払出装置19による賞球の払い出し制御を行う払出制御基板(払出制御手段)29と、外部電源から遊技機の各基板に対して必要な電源(バックアップ電源を含む)を生成し供給する電源基板(電源制御手段(図示せず))と、を中心に構成される。また演出制御部24には、画像表示装置としての液晶表示装置36が接続されている。なお、図3において電源供給ルートは省略してある。
(2-1.主制御部20)
主制御部20は、CPU201(主制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、遊技動作制御手順を記述した制御プログラムの他、遊技動作制御に必要な種々のデータを格納するROM202(主制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM203(主制御RAM)とを搭載し、全体としてマイクロコンピュータ(Z80システム相当品)を構成している。
また図示はしていないが、主制御部20は、Z80システムに周期的割込みや一定周期のパルス出力作成機能(ビットレートジェネレータ)や時間計測の機能を付与するCTC、CPUに割込み信号を付与するタイマ割込みなどの割込許可/割込禁止機能を発揮する割込みコントローラ回路、電源投入時や遮断時や電源異常などを検知し、システムリセット信号を出力してCPUをリセット可能なリセット回路、制御プログラムの動作異常を監視するウォッチドッグタイマ(WDT)回路、あらかじめ設定したアドレス範囲内でプログラムが正しく実行されているか否かを監視する指定エリア外走行禁止(IAT)回路、ハードウェア的に一定範囲の乱数を生成するためのカウンタ回路なども備えている。なお、少なくとも主制御部(主制御基板)20と払出制御基板29は、不図示の電源基板から受ける電圧降下信号を受けることによって、電源遮断に先立ち、必要なバックアップ処理の実行を開始し、電源遮断前の遊技動作を電源復帰後に再開できるようになっている(バックアップ機能)。この遊技機1では少なくとも数日は、各RAMの記憶内容を保持することが可能となっている。
上記カウンタ回路は、乱数を生成する乱数生成回路と、その乱数生成回路から所定のタイミングで乱数値をサンプリングするサンプリング回路とを含んで構成され、全体として16ビットカウンタとして働く。CPU201は、処理状態に応じて上記サンプリング回路に指示を送ることで、上記乱数生成回路が示している数値を内部抽選用乱数値(大当り判定用乱数(乱数の大きさ:65536))として取得し、その乱数値を大当り抽選に利用する。なお、内部抽選用乱数は、当り狙い打ちなどのゴト行為を防ぐために、適宜なソフトウェア処理で生成しているソフト乱数値と、ハード乱数値とを加算したものを取得している。
<メモリアドレスマップ:図24>
ここで本発明の理解を容易なものとするために、図24に、主制御部20が用いるメモリ空間(RAM203、ROM202)に関するアドレスマップの概要を示す。図24に示すメモリ空間は、16ビットアドレスでアクセスするメモリ空間と、8ビットアドレスでアクセスするI/O空間の2つの空間を中心に構成される。
主制御部20が用いるメモリ空間は、図示の通り、メモリアドレスマップとして、0000H番地~FFFFH番地まで備えている。具体的には、0000H番地~01FFH番地までがRAM203のメモリ空間(512バイト)、0200H番地~0FFFH番地までがアクセスが禁止される未使用領域(以下、「アクセス禁止領域」と称する)、1000H番地~1072H番地が内部機能レジスタ(主制御部20に搭載されている各機能を制御するためのレジスタ群)のメモリ空間、1073H番地~7FFFH番地がアクセス禁止領域、8000H番地~A7FFH番地がROM202のメモリ空間、A800H番地~FFFFH番地がアクセス禁止領域に割り当てられている。
ROM202の領域は、図示のように、8000H番地~A7FFH番地のメモリ空間(10240バイト)のうち、8000H番地~A6FFH番地までが一連の遊技制御手順を記述した「プログラム/データ領域」、A700H番地~A77FH番地までが‘ROMコメント格納領域’、A780H番地~A79FH番地が「CALLV命令ベクタ領域」、A7A0H番地~A7A7H番地までが「割込み処理ベクタ領域」、A7A8H番地~A7FFHが「HWパラメータ領域」に割り当てられている。
ROM202の「プログラム/データ領域」は、図柄変動表示ゲームや当り遊技など、通常の遊技進行に関する遊技動作処理を実行するための「遊技制御プログラム(領域内プログラム)」や、後述のベース表示など、当該遊技進行に直接関連しない‘性能情報表示’に関する情報表示処理(ベース表示処理)を実行するための「情報表示制御プログラム(領域外プログラム)」や、プログラムに関する各種の固定データなどを格納する領域である。CPU201は、リセット後、8000H番地からプログラムの実行を開始するようになっている。なお、RAM203には、図示のように、領域内プログラムと領域外プログラムにそれぞれ対応するワーク領域(0000H番地~00FFH番地の領域内RAM領域と、0100H番地~01FFH番地の領域外RAM領域)が設けられている。
また「ROMコメント領域」は、プログラムタイトル、メーカー名、製品バージョンなどの任意のデータが設定可能な領域である。また「CALLV命令ベクタ領域」は、後述のCALLV命令のサブルーチンの上位アドレスを設定する領域であり(CALLV命令ベクタテーブル)、「割込み処理ベクタ領域」は、タイマ割込処理(メイン)の先頭アドレスを設定する領域(割込み処理ベクタテーブル)である。また「HWパラメータ領域」は、CPU内部機能をハードウェア的に設定するためのパラメータの設定可能領域である。HWパラメータ領域に設定されるパラメータには、たとえば、定期リセット設定、システムクロック設定、INT/NMI設定、プログラム/データ領域で使用するプログラムエンドアドレス(HPRGEND)、アクセス禁止領域のスタートアドレス(HRAMSTAT)およびエンドアドレス(HRAMEND)、セキュリティコード、メーカーコード、製品コードなどに関するデータが含まれる。なお、プログラムエンドアドレス(HPRGEND)で設定されたアドレスの次のアドレス以降のプログラム/データ領域(HPRGEND+1~A6FFH番地の領域(プログラムやデータが格納されていない領域))へのアクセス、ROMコメント領域(A700H~A77FH番地)へのアクセス、スタートアドレス(HRAMSTAT)からエンドアドレス(HRAMEND)の間の領域(アクセス禁止領域)へのアクセス、ROM領域への書き込み動作などの事象を検出した場合には、不正アクセスが発生したとみなして、CPUコアだけをリセットするイリーガルリセットを発生させる。イリーガルリセットが発生した場合、エラー状態に制御され、遊技の進行を停止し、新たな設定値が設定されるまで(後述の設定変更管理処理が実行されるまで)、エラー解除できないようになっている。
図3の説明に戻る。主制御部20には、上始動口34への入賞を検出する上始動口センサ34a、下始動口35への入賞を検出する下始動口センサ35aと、普通図柄始動口37への遊技球の通過を検出する普通図柄始動口センサ37aと、大入賞口50への入賞を検出する大入賞口センサ52aと、一般入賞口43への入賞を検出する一般入賞口センサ43aとが接続され、主制御部20はこれらからの検出信号を受信可能となっている。主制御部20は、これらセンサからの検出信号に基づき、いずれの入賞口に遊技球が入賞(入球)したのかを把握する。
また主制御部20には、アウト口49および各入賞口を通じて遊技機から排出される遊技球(いわゆる、アウト球)を検出するOUT監視スイッチ49aが接続され、主制御部20は、OUT監視スイッチ49aからの検出信号を受信可能となっている。主制御部20は、OUT監視スイッチ49aからの検出信号に基づき、アウト球数を計数する計数手段を備えている。アウト球数は、遊技者が発射装置32から遊技球を発射し続ければ、始動口34、35に入賞したか否か、つまり、図柄変動表示ゲームが実行されるか否かによらず、増加していく。発射装置32の発射性能は、毎分100発であるから、たとえば、本日の累計アウト球数が30000発であれば、遊技機1が通じて300分稼働していたということになる。したがって、アウト球数(累計アウト球数)は、特定値で規定される遊技実績情報の一つであるといえる。このアウト球数情報は、後述のベース値の算出に利用される。また主制御部20は、所定の送信条件に基づき、この計数手段による計数結果を特定可能な情報を含む演出制御コマンド(アウト球数コマンド)を演出制御部24に送信可能となっている。このアウト球数コマンドは、演出制御部24側にて、後述の可変抽選モード(図56)の移行制御に利用される(これについての詳細は後述する)。
また主制御部20には、パチンコ遊技機1に対する不正行為を検出するための不正検出センサ(振動センサ、電波センサ、磁気センサ:不図示)が接続され、主制御部20は不正検出センサからの検出信号に基づき、遊技機に対する不正行為を監視する。
また主制御部20には、下始動口35の可動翼片47を開閉制御するための普通電動役物ソレノイド41cと、大入賞口50の開放扉52bを開閉制御するための大入賞口ソレノイド52cとが接続され、主制御部20はこれらを駆動制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、特別図柄表示装置38aと、特別図柄表示装置38bとが接続され、主制御部20は、特別図柄1、2を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。また主制御部20には、普通図柄表示装置39aが接続され、普通図柄を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、複合表示装置38cと、右打ち表示装置39bと、ラウンド数表示装置39cとが接続され、主制御部20は、これらに表示される各種情報を表示制御するための制御信号を送信可能となっている。
また主制御部20には、枠用外部端子基板21が接続され、主制御部20は、この枠用外部端子基板21を介して、所定の遊技情報を含む信号(外端信号)遊技機の外部に出力可能となっている。この枠用外部端子基板21は、遊技機外部に設けられた、いわゆる「データカウンタDT」や「ホールコンピュータHC」に接続可能に構成となっており、枠用外部端子基板21から出力された外端信号は「データカウンタDT」や「ホールコンピュータHC」に送られる。主制御部20は、上記外端信号として、たとえば、当り遊技開始情報、始動口への入賞情報(特別図柄の変動開始情報)、賞球数情報、セキュリティ情報(たとえば、振動センサエラー、電波センサエラー、磁気センサエラー、RAMクリア、設定変更などの発生情報)などを含む1または複数の外端信号を出力可能となっている。なお、データカウンタDTとは、遊技機に関する特定の遊技情報(たとえば、大当り回数、回転数(特別図柄の変動回数)、特別図柄の変動開始・停止情報、入賞情報など)を報知可能な遊技情報報知装置であり、通常、遊技機の上部に設置される。また、ホールコンピュータHCとは、枠用外部端子基板21から出力される外端信号に基づき、遊技機の遊技情報を監視・収集し、パチンコホールに設置された遊技機の稼働状況を統括的に管理する遊技店専用の管理コンピュータである。
また主制御部20には、払出制御基板(払出制御部)29が接続され、賞球の払い出しの必要がある場合には、払出制御基板29に対して、払い出しに関する制御コマンド(賞球数を指定する払出制御コマンド)を送信可能となっている。
この払出制御基板29には、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置(遊技球払出手段)19が接続されている。この払出制御基板29の主な役割は、主制御部20からの払出制御コマンドの受信、払出制御コマンドに基づく遊技球払出装置19の賞球払い出し制御、主制御部20への状態信号の送信などである。
遊技球払出装置19には、遊技球の供給不足を検出する補給切れ検出センサ19aや払い出される遊技球(賞球)を検出する球計数センサ19bなどが設けられており、払出制御基板29は、これらセンサからの各検出信号を受信可能となっている。また遊技球払出装置19には、遊技球を払い出すための球払出機構部(図示せず)を駆動する払出モータ19cが設けられており、払出制御基板29は、払出モータ19cを制御するための制御信号を送信可能となっている。
また払出制御基板29には、上受け皿9に貯留される遊技球の貯留状態(上受け皿9が満杯状態であるか否か)を検出する満杯検出センサ60と、前枠2および/または前面操作パネル7の開放状態を検出する扉開放センサ61が接続されている。本実施形態に係る扉開放センサ61は、扉開放検出手段として機能し、たとえば、前枠2が外枠4に対して前側に開放したときにON状態(開放状態検出)、閉鎖したときにOFF状態(閉鎖状態検出)となるように構成されている。
また払出制御基板29は、上記の満杯検出センサ60、扉開放センサ61、補給切れ検出センサ19a、球計数センサ19bなどからの検出信号に基づいて、主制御部20に対して、上記状態信号として、満杯状態を示す「球詰り信号」、前枠2・前面操作パネル7が開放されていることを示す「扉開放信号」、遊技球払出装置19からの遊技球の供給不足を示す「補給切れ信号」、賞球の払出不足や賞球数に異常が発生したこと示す「計数エラー信号」、払い出し動作が完了したことを示す「払出完了信号」などの様々な状態信号を送信可能な構成となっている。主制御部20は、これら状態信号に基づいて、前枠2・前面操作パネル7が開放状態であるか否か(扉開放エラー)や、遊技球払出装置19の払出動作が正常か否か(補給切れエラー)や、上受け皿9の満杯状態であるか否か(球詰りエラー)などを監視する。なお上記では、扉開放センサ61からの検出信号(扉開放信号)は、払出制御基板29を介して主制御部20に入力されると説明したが、払出制御基板29を介さずに主制御部20に直接的に入力される構成としてもよい。
また払出制御基板29には発射制御基板28が接続され、払出制御基板29は発射制御基板28に対して発射動作を許可する発射許可信号ESを送信可能となっている。発射制御基板28は、払出制御基板29からの発射許可信号ESが出力されていることに基づき、発射装置32に設けられた発射ソレノイドへの通電を制御し、発射操作ハンドル操作による遊技球の発射動作を実現している。具体的には、払出制御基板29から発射許可信号ESが出力されていること、発射操作ハンドル15に設けられたタッチセンサ(図示せず)により遊技者がハンドルに触れていることが検出されていること、発射操作ハンドル15に設けられた発射停止スイッチ(図示せず)が操作されていないことなどを条件に、遊技球の発射動作が許容される。したがって、発射許可信号ESが出力されていない場合には、発射操作ハンドル15を操作しても発射動作は実行されず、遊技球が発射されることはない。また、遊技球の打ち出しの強さは、発射操作ハンドル15の操作量に応じて変化可能となっている。なお、発射装置32の発射性能は、毎分100発のものを採用している。なお、払出制御基板29が上記「球詰りエラー」を検出した場合、主制御部20に対して球詰り信号を送信し、これを受けた主制御部20は、発射制御基板28に対する発射許可信号ESの出力を停止する。これにより、上受け皿9の満杯状態が解消されるまで、遊技球の発射動作を停止するようになっている。
また主制御部20には、RAM203の所定領域を初期化するためのRAMクリアスイッチ98と、設定値の変更操作が可能な設定変更許容状態に切り替えるための設定キースイッチ94と、その設定変更許容状態において、設定値を変更するための設定変更スイッチ95と、設定変更スイッチ95により選択された設定値を確定させるための設定変更完了スイッチ96とが接続され、主制御部20はこれらスイッチからの検出信号を受信可能となっている。本実施形態の場合、RAMクリアスイッチ98、設定変更スイッチ95、および設定変更完了スイッチ96は、いずれも操作者が操作可能な押しボタン式スイッチとなっており、設定キースイッチ94は、設定鍵を挿入してON/OFF操作することにより、設定変更許容状態(ON)と設定変更禁止状態(OFF)とに切り替え可能なキースイッチとなっている。なお、これらのスイッチは、設定値不正操作などの不正行為防止の観点から、遊技機内部の適所に形成されており、前枠2を開放しない限り、遊技機外部からのON/OFF操作が不可能となっている。
また主制御部20には、設定値に関する情報を表示する設定表示器97(設定表示手段)が接続され、主制御部20は、これを表示制御するための制御信号を送信可能となっている。本実施形態に係る設定表示器97は、1個の7セグメント表示器から構成されており、主制御部(主制御基板)20上に装着されている。なお設定表示器97は、主制御基板に限らず、払出制御基板28、発射制御基板29、中継基板(各種表示装置やスイッチ類などと制御基板との接続を中継する中継用基板:図示せず)、または演出制御部(演出制御基板(液晶制御基板を含む))24など、遊技機内部の適所に設けることができる。
(設定値について)
上記「設定値」とは、段階的に出玉率(所謂、機械割(PAYOUT率))に変化をもたらすものであり、本実施形態では、設定1~6の6段階の設定値が設けられている。この「設定値」は、少なくとも大当り(後述の条件装置が作動することとなる当り種別)の抽選確率(当選確率)を設定1~6の段階別(6段階)に規定するもので、設定値が高くなるほど、大当りの抽選確率(大当り当選確率)が高く設定され、遊技者に有利に作用するようになっている。たとえば、低確率時において、設定1で1/410、設定2で1/390、設定3で1/370、設定4で1/350、設定5で1/330、設定6で1/320などである。すなわち、設定値が高くなるほど、大当りに当選し易くなり(機械割が高くなる)、遊技者に有利に作用することになる。このように、設定値とは、主として、機械割に影響する事象を段階別に規定する値であり、大当りなどの特定事象の発生し易さに関連する等級についての値を意味する。斯様な「設定値」は、専ら、パチンコホール(遊技店)の営業戦略に基づき決定される。なお、大当り抽選確率が高確率状態の場合には(後述の特別図柄確変機能が作動する場合)、その確率が、10倍を超えない値まで上昇し、かつ設定値ごとに、その上昇率(比率)が異なるものでないようになっている。上記の例で言えば、低確率時の大当り抽選確率が設定1~6=1/410~1/320、上昇率が10倍とした場合、高確率時の大当り抽選確率は、設定1~6=1/41~1/32となる。
なお、大当りを複数種類設けている場合には、設定値に応じて、1または複数種類の大当りの当選確率を変化させることができる。たとえば、大当り1~4という4種類の大当りがある場合、設定値が相対的に高くなるほど、大当り1~4のすべての当選確率を高くなるように構成してもよいし、一部の大当りである大当り1~3の当選確率だけを高くなるように構成してもよいし(この場合、大当り4については全設定値で共通の当選確率となる)、特定の大当りのみ(たとえば、大当り1のみ)の当選確率だけを高くなるように構成してもよい(この場合、大当り2~4については全設定値で共通の当選確率となる)。また、設定値が相対的に高くなるほど、大当り1~4の合算当選確率を高くなるように構成してもよい。また、条件装置の作動契機とならない小当り種別の当選確率を、前述の大当りのケースと同様に、設定値に応じて変化させてもよい。
(設定値の変更操作について)
本実施形態では、電源投入時に、少なくとも設定キースイッチ94とRAMクリアスイッチ98とがON状態の場合に設定変更許容状態に制御され、それ以外のスイッチ操作にて、電源を投入した場合には、設定変更禁止状態に制御されるようになっている。この設定変更許容状態中において、設定変更スイッチ95をON操作すると、設定表示器97の現在の表示値が「1→2→3→4→5→6→1→2→3→・・・」のように1~6の範囲で循環するように切り替え表示される。そして希望する設定値が表示された際に、設定変更完了スイッチ96をON操作すると(設定確定操作)、現在の表示値が今回の設定値として確定され、その設定値データがRAM203の所定領域(設定値格納領域)に記憶される。そして、設定キースイッチ94が現在のON状態からOFF状態に操作すると、設定変更許容状態が終了され、以後、確定された設定値の下で遊技が開始されることになる。本実施形態の主制御部20は、所定の操作手段の操作に基づいて、遊技者に対する有利度が異なる複数種類の設定値のうちから、いずれかの設定値を選択する設定値選択手段と、設定値選択手段により選択された設定値を設定する設定値設定手段とを備えている。
また主制御部20は、処理状態に応じて、特別図柄変動表示ゲームに関する情報や、エラー情報などの各種遊技処理情報を、演出制御コマンドにより、演出制御部24に対して送信可能となっている。ただし、外部からのゴト行為を防止するために、主制御部20は演出制御部24に対して信号を送信するのみで、演出制御部24からの信号を受信不可能な片方向通信の構成となっている。
(性能表示器99について)
また主制御部20には、所定期間(特定遊技期間)の遊技結果に係る情報(以下、「性能情報」と称する)を表示(報知)する性能表示器99(情報表示手段)が接続され、主制御部20は、これを表示制御するための制御信号を送信可能となっている。本実施形態の性能表示器99は、複数個の7セグメントLEDからなり、具体的には、表示部と回路部がユニット化された7セグメントLED(7セグ表示器99a~99d)を4個横に並べ、これをたとえば、主制御基板20上に搭載して、4桁の数字を表示可能な表示器を構成する。また各7セグメントLEDには、7セグメント数字の下にデシマルポイントDP(ドット)を有している。
本実施形態では、上記性能情報として、通常状態(大当り抽選確率が低確率(通常確率)、かつ後述の電サポ無し状態)中の総払出個数(通常時払出個数)と、通常状態中の累計アウト球数(通常時アウト個数)とをリアルタイムで計測し、通常時払出個数を通常時アウト個数で除した値に百を乗じた値(通常時払出個数÷通常時アウト個数×100で算出される値。以下、「ベース値」とも称する)を採用し、これを性能表示器99により所定態様にて表示する。なお、表示値については、小数点第1位を四捨五入した値が所定の表示態様でされる。ただし、単に永続的に計測してベース値(性能情報)を表示するのではなく、累計アウト球数が所定の規定個数(たとえば、60000個)に達した場合、一旦、計測を終了し、その計測終了時点のベース値を、履歴情報として、RAM203の所定領域(性能表示格納領域)に格納する(今回のベース値を記憶する)。上記の計測終了契機となる「規定個数」とは、本実施形態の場合、通常時アウト個数ではなく、全遊技状態中(当り遊技中を含む)の累計アウト球数(以下、「全状態アウト個数」と称する)を採用している。この全状態アウト個数もリアルタイムに計測される。したがって、上記ベース値を算出するための、通常時払出個数、通常時アウト個数、およびベース値の各データと、全状態アウト個数のデータは、RAM203の該当領域(通常時払出個数格納領域、通常時アウト個数格納領域、特定比率情報格納領域、全状態アウト個数格納領域)にそれぞれ格納され、必要に応じて利用されるようになっている。以下では、説明の便宜のため、特に必要のない限り、ベース値算出に利用される各種データ(上記した通常時払出個数格納領域、通常時アウト個数格納領域、特定比率情報格納領域、全状態アウト個数格納領域)の格納領域を纏めて「計測情報格納領域」と称する。
なお、上記履歴情報として、今回のベース値を記憶した後は、今回の計測で使用した計測情報格納領域をゼロクリアし、次回の通常時払出個数、通常時アウト個数、ベース値、全状態アウト球数の計測を開始し、新たなベース値をリアルタイムに計測する。
本実施形態の性能表示器99には、上述した履歴情報としての前回のベース値(履歴ベース値)と、現在リアルタイムで計測中のベース値(リアルタイムベース値)とが、所定時間ごとに交互に切り替え表示されるようになっている(同時表示可能に構成してもよい)。本実施形態の場合、性能表示器99の4個の7セグメントLEDのうち、正面左側半分の2つの7セグ表示器99a、99bについては、現在表示中の表示値がリアルタイムベース値であるか履歴ベース値であるかを識別するための識別情報(識別子)を表示する「識別表示部(識別セグ)」として機能させ、他方、正面右側半分の2つの7セグ表示器99c、99dについては、ベース値を表示する「ベース表示部(比率セグ)」として機能させるようになっている。たとえば、ベース表示部(比率セグ)に‘リアルタイムベース値’を表示する場合には、識別表示部に「bL.」を表示し、‘履歴ベース値’を表示する場合には、「b6.」を表示して(識別子表示)、現在表示中のベース値が、リアルタイムベース値であるか、履歴ベース値であるかを識別可能に報知される。したがって、性能表示器99(7セグ表示器99a~99d)の全体表示(「識別表示部(識別セグ)+ベース表示部(比率セグ)」)は、たとえば、リアルタイムベース値が31であれば「bL.31」と表示され、履歴ベース値が29であれば「b6.29」と表示される。また、ベース値は小数点第1位を四捨五入した上で数値表示部に表示するが、四捨五入後の値が3桁以上の場合には、ベース表示部にオーバーフローを示す「99.」を表示する。
上記した「性能情報」は、主に、パチンコホール店や関係各庁が確認・調査等のために利用する情報であり、たとえば、遊技くぎの不正調整やゴト行為などにより出玉性能に異常が生じていないか、遊技機本来の出玉性能(設計上の出玉性能)が正当に発揮されているかなどを調査するための情報、換言すれば「遊技実績に関する情報」である。したがって、性能情報自体については、遊技者が遊技に興じる際の遊技進行それ自体には直接的に関係の無い情報である。このため性能表示器99は、遊技者に視認可能な箇所に設置するのではなく、遊技機内部の視認し易い箇所、たとえば、制御基板上またはこれを保護する基板ケース上などに搭載される。
(2-2.演出制御部24)
演出制御部24は、CPU241(演出制御CPU)を内蔵したマイクロプロセッサを搭載するとともに、演出制御処理に要する演出データを格納したROM242(演出制御ROM)と、ワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM243(演出制御RAM)とを搭載したマイクロコンピュータを中心に構成され、その他、音響制御部(音源LSI)、RTC機能部(Real Time Clock)、演出抽選乱数用のカウンタ回路、割込みコントローラ回路、リセット回路、WDT回路などが設けられ、演出動作全般を制御する。また、RTC機能部は、時を刻む時計ICであり、現在の時刻(「現在が何時何分何秒である」)という実時間上の時間情報および/または日付(月、日、曜日)に関する暦情報を提供する時計手段として働く。なお、RTC機能部は、二次電池を備えており、電源基板から供給される電源電圧を二次電池に充電することで永続的に動作可能となっているため、遊技機1の電源が切られている場合であっても、現在の日時を計時し続けている。ただしRTC機能部は、内部の発信器の周波数のずれなどにより、時間経過とともに計時する時刻にずれが生じうる。そこで、遊技機外部から時刻調整手段により提供される正確な時間情報に基づき、RTC機能部の時刻調整を行うことで、正確な時間情報を提供することができるようになっている。
演出制御部24の主な役割は、主制御部20からの演出制御コマンドの受信、演出制御コマンドに基づく演出の選択決定、演出手段である液晶表示装置36の画像表示制御、スピーカ46の音制御、各種の演出用LED(装飾ランプ45、ボタンLED13b、その他の演出用LED)の発光制御、各種の可動体役物の動作制御などである。
また演出制御部24は、液晶表示装置36の表示制御を司る表示制御部(図示せず)を備えている。この表示制御部は、画像展開処理や画像の描画などの映像出力処理全般の制御を司るVDPと、VDPが画像展開処理を行う画像データ(演出画像データ)を格納した画像ROMと、VDPが展開した画像データを一時的に記憶するVRAM(Video RAM)と、VDPが表示制御を行うために必要な制御データを出力する液晶制御CPUと、液晶制御CPUの表示制御動作手順を記述したプログラムやその表示制御に必要な種々のデータを格納する液晶制御ROMと、ワークエリアやバッファメモリとして機能する液晶制御RAMと、を中心に構成されている。
また演出制御部24は、種々の演出(光演出や音演出や可動体役物による可動体演出)を現出させるために、装飾ランプ45、ボタンLED13b、62aなどの各種の演出用LEDを含む光表示装置45aに対する光表示制御部、スピーカ46を含む音響発生装置46aに対する音響制御部(音源LSI)、第1~第3の可動体役物を動作させる可動体役物モータ80c、62c、73cに対する駆動制御部(モータ駆動回路)などを備えている。演出制御部24は、これらの制御部に対し、演出手段に関する制御信号を送信可能となっている。
また演出制御部24には、可動体役物の動作を監視する位置検出センサ82aが接続され、演出制御部24は、位置検出センサ82aからの検出情報に基づき、可動体役物の現在の動作位置(たとえば、原点位置からの移動量)を監視しながらその動作態様を制御する。また位置検出センサ82aからの検出情報に基づき、可動体役物の動作の不具合を監視し、不具合が生じれば、所定のエラー報知を行う。
また演出制御部24には、演出ボタン13の操作を検出する演出ボタンスイッチ13aと、方向キー75(75a~75d)の操作を検出する方向キースイッチ75a’~75d’とが接続され、演出制御部24は、これら演出ボタン13(13A、66、70)や方向キー75からの操作検出信号を受信可能となっている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドを受信した場合、そのコマンドに含まれる情報に基づき、あらかじめ用意された複数種類の演出パターンの中から抽選によりあるいは一意に決定し、必要なタイミングで各種の演出手段を制御して、目的の演出を現出させる。これにより、演出パターンに対応する液晶表示装置36による演出画像の表示、スピーカ46からの音の再生、装飾ランプ45やその他の演出用LEDの点灯点滅駆動が実現され、種々の演出パターン(装飾図柄変動表示動作や予告演出等)が時系列的に展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。また演出制御部24は、所定の操作受付有効期間中において、演出ボタンスイッチ13aや方向キースイッチ75a’~75d’からの操作検出信号に基づき、演出ボタン13および/または方向キー75に対してどのような操作が行われたか(たとえば、押圧、長押し、連打など)を識別可能な構成となっており(操作識別手段)、その操作態様に応じた演出を現出制御可能となっている。
なお演出制御コマンドは、1バイト長のモード(MODE)と、同じく1バイト長のイベント(EVENT)からなる2バイト構成により機能を定義し、MODEとEVENTの区別を行うために、MODEのBit7はON、EVENTのBit7をOFFとしている。これらの情報を有効なものとして送信する場合、モード(MODE)およびイベント(EVENT)の各々に対応してストローブ信号が出力される。すなわち、CPU201(主制御CPU)は、送信すべきコマンドがある場合、演出制御部24にコマンドを送信するためのモード(MODE)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に1回目のストローブ信号の送信を行う。さらに、このストローブ信号の送信から所定時間経過後にイベント(EVENT)情報の設定および出力を行い、この設定から所定時間経過後に2回目のストローブ信号の送信を行う。ストローブ信号は、CPU241(演出制御CPU)が確実にコマンドを受信可能とする所定期間、CPU201によりアクティブ状態に制御される。
また演出制御部24(CPU241)は、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させてコマンド受信割込処理用の制御プログラムを実行し、この割込処理において演出制御コマンドが取得されるようになっている。またCPU241は、CPU201とは異なり、ストローブ信号の入力に基づいて割込が発生した場合には、他の割込に基づく割込処理(定期的に実行されるタイマ割込処理)の実行中であっても、当該処理に割り込んでコマンド受信割込処理を行い、他の割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を優先的に行うようになっている。
<3.動作の概説>
次に、上記制御装置(図3)を用いた遊技機1に係る遊技動作について説明する。
(3-1.図柄変動表示ゲーム)
(3-1-1.特別図柄変動表示ゲーム、装飾図柄変動表示ゲーム)
本実施形態の遊技機1では、所定の始動条件、具体的には、遊技球が上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「大当り抽選」が行なわれる。主制御部20は、その抽選結果に基づき、特別図柄表示装置38a、38bに特別図柄1、2を変動表示して特別図柄変動表示ゲームを開始させ、所定時間経過後に、その結果を特別図柄表示装置に導出表示して、これにより特別図柄変動表示ゲームを終了させる。
ここで本実施形態では、上始動口34への入賞に基づく大当り抽選と、下始動口35への入賞に基づく大当り抽選とは別個独立して行われる。このため、上始動口34に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38a側で、下始動口35に関する大当り抽選結果は特別図柄表示装置38b側で導出されるようになっている。具体的には、特別図柄表示装置38a側においては、上始動口34に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄1を変動表示して第1の特別図柄変動表示ゲームが開始され、他方、特別図柄表示装置38b側においては、下始動口35に遊技球が入球したことを条件に、特別図柄2を変動表示して第2の特別図柄変動表示ゲームが開始されるようになっている。そして、特別図柄表示装置38a、または特別図柄表示装置38bにおける特別図柄変動表示ゲームが開始されると、所定の変動表示時間経過後に、大当り抽選結果が「大当り」の場合には所定の「大当り」態様で、大当り抽選結果が「小当り」の場合には所定の「小当り」態様で、それ以外の場合には所定の「ハズレ」態様で、変動表示中の特別図柄が停止表示され、これによりゲーム結果(大当り抽選結果)が導出されるようになっている。
なお本明細書中では、説明の便宜のために、特別図柄表示装置38a側の第1の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム1」と称し、特別図柄表示装置38b側の第2の特別図柄変動表示ゲームを「特別図柄変動表示ゲーム2」と称する。また特に必要のない限り、「特別図柄1」と「特別図柄2」を単に「特別図柄」と称し(場合により「特図」と略す)、また「特別図柄変動表示ゲーム1」と「特別図柄変動表示ゲーム2」を「特別図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
また上述の特別図柄変動表示ゲームが開始されると、これに伴って、液晶表示装置36に装飾図柄(演出的な遊技図柄)を変動表示して装飾図柄変動表示ゲームが開始され、これに付随して種々の演出が展開される。そして特別図柄変動表示ゲームが終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了し、特別図柄表示装置には大当り抽選結果を示す所定の特別図柄が、そして液晶表示装置36には当該大当り抽選結果を反映した装飾図柄が導出表示されるようになっている。すなわち、装飾図柄の変動表示動作を含む演出的な装飾図柄変動表示ゲームにより、特別図柄変動表示ゲームの結果を反映表示するようになっている。
したがってたとえば、特別図柄変動表示ゲームの結果(大当り抽選の結果)が「大当り」である場合、装飾図柄変動表示ゲームではその結果を反映させた演出が展開される。そして特別図柄表示装置において、特別図柄が大当りを示す表示態様(たとえば、7セグが「7」の表示状態)で停止表示されると、液晶表示装置36には、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、装飾図柄が「大当り」を反映させた表示態様(たとえば、「左」「中」「右」の各表示エリアにおいて、3個の装飾図柄が「7」「7」「7」の表示態様)で停止表示される。
この「大当り」となった場合、具体的には、特別図柄変動表示ゲームが終了して、これに伴い装飾図柄変動表示ゲームが終了し、その結果として「大当り」の図柄態様が導出表示された後、特別変動入賞装置52の大入賞口ソレノイド52c(図3参照)が作動して開放扉52bが所定のパターンで開閉動作を行い、これにより大入賞口50が開閉され、通常状態(通常遊技状態)よりも遊技者に有利な特別遊技状態(大当り遊技)が発生する。この大当り遊技では、開放扉52bによる大入賞口の開放時間が所定時間(最大開放時間:たとえば、29.8秒)経過するまでか、または大入賞口に入賞した遊技球数(大入賞口50への入賞球)が所定個数(役物の1回の作動によりその入口が開き、または拡大した入賞口に対して許容される入賞球数の上限個数(最大入賞数):たとえば、10個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件(ラウンド遊技終了条件)を満した場合に大入賞口が閉鎖される(閉鎖条件の成立)、といった「ラウンド遊技」が、あらかじめ定められた規定ラウンド数(たとえば、最大16ラウンド)繰り返される。つまり上記大入賞口の開放パターンは、単位開放期間を1または複数備え、当該単位開放期間は、大入賞口の開放により開始し、少なくとも大入賞口への入賞個数が所定個数(最大入賞数)に達することに基づいて開放中の大入賞口を閉鎖するように制御される。なお、単位開放期間が2以上連続的に実行される当り遊技は、役物連続作動装置が作動する大当り遊技の場合であり、単位開放期間が1回実行される当り遊技は、ラウンド遊技が実行されない小当り遊技の場合となる。
上記大当り遊技が開始すると、大当り開始インターバル時間を利用してオープニング演出が行われ、オープニング演出が終了した後、ラウンド遊技があらかじめ定められた規定ラウンド数を上限として複数回行われる。そして、規定ラウンド数が終了すると、大当り終了インターバル時間を利用してエンディング演出が行われる。これにより、大当り遊技が終了する。すなわち、大当り遊技は、大別すると、オープニング期間、最大ラウンド数を上限としたラウンド遊技期間、およびエンディング期間の各遊技期間から構成される。なお、ラウンド遊技中にはラウンド中演出、ラウンド遊技間にはラウンド間インターバル演出が現出される。
上記の装飾図柄変動表示ゲームの実行に必要な情報に関しては、まず主制御部20が、上始動口34または下始動口35に遊技球が入球(入賞)したことに基づき、具体的には、上始動口センサ34aまたは下始動口センサ35aにより遊技球が検出されて始動条件(特別図柄に関する始動条件)が成立したことを条件に、「大当り」、「小当り」、または「ハズレ」のいずれであるかを抽選する‘当落抽選’と、「大当り」であったならばその大当り種別を、「小当り」であったならばその小当り種別を、「ハズレ」であったならばそのハズレ種別を抽選する‘図柄抽選(当選種別抽選)’とを含む大当り抽選を行い(大当り、小当りまたはハズレが1種類の場合は、図柄抽選を行う必要がないため、その抽選を省略することができる)、その抽選結果情報に基づき、特別図柄の変動パターンや、最終的に停止表示させる特別図柄(特別停止図柄)を決定する。そして、処理状態を特定する演出制御コマンドとして、少なくとも特別図柄の変動パターン情報(たとえば、大当り抽選結果や、特別図柄の変動時間に関する情報など)を含む「変動パターン指定コマンド」を、演出制御部24側に送信する。これにより、装飾図柄変動表示ゲームに必要とされる基本情報が演出制御部24に送られる。なお本実施形態では、演出のバリエーションを豊富なものとするべく、特別停止図柄に関する情報(図柄抽選結果情報(当り種別に関する情報))を含む「装飾図柄指定コマンド」も演出制御部24に送信するようになっている。
上記特別図柄の変動パターン情報には、特定の予告演出(たとえば、後述のリーチ演出種別や、疑似連演出とその回数)の発生を指定する情報を含むことができる。詳しくは、特別図柄の変動パターンは、大当り抽選結果に応じて、当りの場合の「当り変動パターン」と、ハズレの場合の「ハズレ変動パターン」に大別され、これら変動パターンには、たとえば、リーチ演出(後述のNリーチ1~2、弱SPリーチ~強リーチ種別などの指定を含む)の発生を指定する‘リーチ変動パターン’、リーチ演出の発生を指定しない‘通常変動パターン’、疑似連演出とリーチ演出との発生を指定する‘疑似連有りリーチ変動パターン’、疑似連演出の発生を指定しリーチ演出の発生は指定しない‘疑似連有り通常変動パターン’など、複数種類の変動パターンが含まれる。また、リーチ変動パターンや疑似連有り変動パターンについては、その予告演出の演出時間を確保する関係上、基本的には、通常変動パターンの変動時間よりも長時間の変動時間が定められている。
演出制御部24は、主制御部20から送られてくる演出制御コマンド(ここでは、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンド)に含まれる情報に基づいて、装飾図柄変動表示ゲーム中に時系列的に展開させる演出内容(演出シナリオ)や、最終的に停止表示する装飾図柄(装飾停止図柄)などを決定し、特別図柄の変動パターンに基づくタイムスケジュールに従い、装飾図柄変動表示ゲーム中の予告演出や装飾図柄の変動表示演出を現出制御する。これにより、特別図柄表示装置38a、38bによる特別図柄の変動表示と時間的に同調して、液晶表示装置36による装飾図柄が変動表示され、特別図柄変動表示ゲームの期間と装飾図柄変動表示ゲーム中の期間とが、実質的に同じ時間幅となる。また演出制御部24は、演出シナリオに対応するように、液晶表示装置36または光表示装置45aあるいは音響発生装置46aをそれぞれ制御し、装飾図柄変動表示ゲームにおける各種演出を展開させる。これにより、液晶表示装置36での画像の再生(画像演出)と、効果音の再生(音演出)と、装飾ランプ45などの演出用LEDの点灯点滅駆動(光演出)とが実現される。
このように特別図柄変動表示ゲームと装飾図柄変動表示ゲームとは不可分的な関係を有し、特別図柄変動表示ゲームの表示結果を反映したものが装飾図柄変動表示ゲームにおいて表現されることとしているので、この2つの図柄変動表示ゲームを等価的な図柄遊技と捉えても良い。本明細書中では特に必要のない限り、上記2つの図柄変動表示ゲームを単に「図柄変動表示ゲーム」と称する場合がある。
(3-1-2.普通図柄変動表示ゲーム)
また遊技機1においては、普通図柄始動口37に遊技球が通過(入賞)したことに基づき、主制御部20において乱数抽選による「補助当り抽選」が行なわれる。この抽選結果に基づき、LEDにより表現される普通図柄を普通図柄表示装置39aに変動表示させて普通図柄変動表示ゲームを開始し、所定の変動時間経過後に、その結果をLEDの点灯と非点灯の組合せにて停止表示するようになっている。たとえば、普通図柄変動表示ゲームの結果が「補助当り」であった場合、普通図柄表示装置39aの表示部を特定の点灯状態(たとえば、2個のLED39が全て点灯状態)にて停止表示させる。
この「補助当り」となった場合には、普通電動役物ソレノイド41c(図3参照)が作動し、これにより可動翼片47が逆「ハ」の字状に開いて下始動口35が開放または拡大されて遊技球が流入し易い状態(始動口開状態)となり、通常状態よりも遊技者に有利な補助遊技状態(以下、「普電開放遊技」と称する)が発生する。この普電開放遊技では、普通変動入賞装置41の可動翼片47により、下始動口35の開放時間(可動翼片47により下始動口35が開状態となる作動時間)が所定時間(たとえば、0.2秒)経過するまでか、または下始動口35に入賞した遊技球数が所定個数(たとえば、4個)に達するまで、その入賞領域が開放または拡大され、これらいずれかの条件を満たした場合に下始動口35を閉鎖する、といった動作が所定回数(たとえば、最大2回)繰り返されるようになっている。
(3-1-3.作動保留球)
ここで本実施形態では、特別/装飾図柄変動表示ゲーム中、普通図柄変動表示ゲーム中、大当り遊技中、または普電開放遊技中に、各始動口34~35もしくは普通図柄始動口37に入賞が発生した場合、すなわち始動口センサ34a~35aもしくは普通図柄始動口センサ37aからの検出信号の入力があり、対応する始動条件(図柄遊技開始条件)が成立した場合、これを変動表示ゲームの始動権利に係るデータとして、変動表示中にかかわるものを除き、所定の上限値である最大保留記憶数(たとえば、最大4個)まで保留記憶されるようになっている。この図柄変動表示動作に供されていない保留中の保留データまたはその保留データに係る遊技球を、「作動保留球」とも称する。この作動保留球の数を遊技者に明らかにするため、遊技機1の適所に設けた専用の保留表示器(図示せず)、または液晶表示装置36による画面中にアイコン画像として設けた保留表示器を点灯表示させる。
また本実施形態では、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する作動保留球をそれぞれ最大4個までRAM203の該当記憶領域に保留記憶し、特別図柄または普通図柄の変動確定回数として保留する。なお、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄に関する各作動保留球数の最大記憶数(最大保留記憶数)は特に制限されない。また各図柄の最大保留記憶数の全部または一部が異なっていてもよく、その数は遊技性に応じて適宜定めることができる。なお以下では、特別図柄1、特別図柄2、および普通図柄の各作動保留球をそれぞれ、特図1作動保留球、特図2作動保留球、普図作動保留球とも称する。
(3-2.遊技状態)
次に、遊技状態について説明する。本実施形態に係る遊技機1では、特別遊技状態である上記大当りの他、複数種類の遊技状態を発生可能に構成されている。本発明の理解を容易なものとするために、先ず、種々の遊技状態の発生に関連する機能(手段)について説明する。
本実施形態の遊技機1は、主制御部20(CPU201)がその機能部を担う「確率変動機能(確変機能)」を備えている。これには特別図柄に係る確変機能(以下、「特別図柄確変機能」と称する)と普通図柄に係る確変機能(以下、「普通図柄確変機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄確変機能は、大当り抽選確率を所定確率(通常確率)の低確率(たとえば、320分の1)から高確率(たとえば、32分の1)に変動させて、通常状態よりも有利な「高確率状態(大当り高確率状態)」を発生させる機能である。この特別図柄確変機能が作動中の遊技状態(高確率状態)下では、大当り抽選確率が高確率となることから、大当りが生起され易くなる。
普通図柄確変機能は、補助当り抽選確率が所定確率(通常確率)である低確率(たとえば、256分の2)から高確率(たとえば、255分の255)に変動させて、通常状態よりも有利な「補助当り確変状態」を発生させる機能である。この普通図柄確変機能が作動中の遊技状態(補助当り確変状態)下では、補助当り抽選確率が高確率状態となることから補助当りが生起され易くなり、普電開放遊技が頻繁に発生して、通常状態よりも単位時間当りの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。
また本実施形態の遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「変動時間短縮機能(時短機能)」を備えている。これには特別図柄に係る時短機能(以下、「特別図柄時短機能」と称する)と普通図柄に係る時短機能(以下、「普通図柄時短機能」と称する)の2種類がある。
特別図柄時短機能は、1回の特別図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(特別図柄が変動を開始してから停止表示される迄の平均時間)を短縮する「特別図柄時短状態」を発生させる機能である。この特別図柄時短機能が作動中の遊技状態(特別図柄時短状態)下では、1回の特別図柄変動表示ゲームにおける特別図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、リーチなしハズレ変動に要する平均時間が8秒から2秒に短縮される)、通常状態よりも単位時間あたりの大当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。
普通図柄時短機能は、1回の普通図柄変動表示ゲームに要する平均的な時間(普通図柄が変動を開始してから停止表示される迄の平均時間)を短縮する「普通図柄時短状態」を発生させる機能である。普通図柄時短機能が作動中の遊技状態(普通図柄時短状態)下では、1回の普通図柄変動表示ゲームにおける普通図柄の平均的な変動時間が短縮され(たとえば、30秒から1秒に短縮される)、通常状態よりも単位時間あたりの補助当り抽選回数が向上する抽選回数向上状態となる。
さらにまた、本実施形態の遊技機1は、主制御部20がその機能部を担う「開放延長機能」を備えている。この開放延長機能は、普通変動入賞装置41の可動翼片47の開動作期間(可動翼片47の開放時間)を通常状態よりも延長した「開放延長状態」を発生させる機能である。開放延長状態下では、可動翼片47の開動作期間(始動口開状態時間)が、たとえば0.2秒から1.7秒に延長され、またその開閉回数が、たとえば1回(開放延長機能が非作動中のとき)から2回(開放延長機能が作動中のとき)に延長されて、通常状態よりも単位時間あたりの可動翼片47の作動率が向上する作動率向上状態となる。したがって、開放延長機能が作動すると、下始動口35への入賞頻度が上昇することから、遊技状態としては、大当りの抽選結果を導出する特別図柄変動表示ゲームの始動条件の成立頻度が通常状態より高まり、開放延長機能が作動しない(非作動)状態と比較して、遊技者にとって有利な遊技状態になるこの点で、上記開放延長状態は、「電チューサポート状態」とも称される。
以上のような各機能を1または複数種類作動させることにより、遊技機の内部的な遊技状態(内部遊技状態)に変化をもたらすことができる。以下では、説明の便宜上、特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が作動する遊技状態を「確変状態」と称し、これらの機能のうちから特別図柄確変機能を除去した遊技状態を「時短状態」と称し、少なくとも特別図柄確変機能が作動し、開放延長機能が作動しない遊技状態(本実施形態では、特別図柄確変機能のみが作動する遊技状態)を「潜確状態」と称し、全機能が作動中でない(非作動)状態を「通常状態」と称する。したがって、これらの遊技状態における大当り抽選確率に着目すれば、遊技状態が「時短状態」または「通常状態」である場合には大当り抽選確率が‘低確率状態(通常確率)’となり、遊技状態が「潜確状態」または「確変状態」の場合においては大当り抽選確率が‘高確率状態’となる。また条件装置作動に係る大当り中は大入賞口が開閉される当り遊技が発生するが、上記各機能については全ての機能が非作動とされ、基本的には、上記通常状態と同じ遊技状態下に置かれる。
上記した各遊技状態に関し、電チューサポート状態の有無に着目した場合、遊技状態が「通常状態」または「潜確状態」の場合には‘電チューサポート状態無し(以下、「電サポ無し状態」と称する)’となり、遊技状態が「時短状態」または「確変状態」である場合には‘電チューサポート状態有り(以下、「電サポ有り状態」と称する)’となる。本実施形態の場合、電チューサポート状態有りの確変状態や時短状態では、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能が同時に作動するため、普電開放遊技の発生が容易になり、可動翼片47の作動率が著しく向上する遊技状態とされる。
遊技状態を定める上記各機能(特別図柄確変機能、特別図柄時短機能、普通図柄確変機能、普通図柄時短機能、および開放延長機能)の作動状況については、主制御部20側において、これらの機能に対応したフラグのON/OFF状態により、その作動(5AH)/未作動(00H)が管理される。また、現在の遊技状態が如何なる遊技状態であるかについては、「遊技状態番号YJ」という識別子を用いて管理される。たとえば、遊技状態番号YJが「00H」の場合は‘通常状態’、「01H」の場合は‘時短状態’、「02H」の場合は‘潜確状態’、「03H」の場合は‘確変状態’を指定する。なお、当該各機能の作動状況に着目した遊技状態を「内部遊技状態」とも称する。
<4.当りについて>
次に図4を参照して、本実施形態に係る遊技機の「当り」について説明する。
(4-1.当り種別と当り遊技について)
本実施形態の遊技機1では、大当り抽選対象の当りの種別として、図示のように、大当り1~11」、小当り1などの複数種類の当り種別が設けられている。これらの当りのうち、大当り1~11は、条件装置の作動契機となる大当り種別に属する当りであり、小当り1は、条件装置の作動契機とならない小当り種別に属する当りである。ここで「条件装置」とは、その作動が、ラウンド遊技を行うための役物連続作動装置(特別電動役物を連続作動させる装置)作動に必要な条件とされている装置で、特定の特別図柄の組合せが表示され、または遊技球が大入賞口内の特定の領域を通過した場合(役物連続作動装置が作動中に大入賞口に入賞したものを除く)に作動するものをいう。
したがって、小当りに当選した場合には、役物連続作動装置が作動せず、大当りのようなラウンド遊技は実行されない。しかし、大当りによるラウンド遊技と同一または酷似あるいは全く異なる動作態様で、大入賞口の開閉動作を制御しうる。換言すれば、見た目上のラウンド遊技(疑似的なラウンド遊技)を実行することができる。斯様な小当りは、大当りと同様に、大入賞口の開閉動作を伴う当り遊技(特別遊技状態)への移行契機(発生契機)となる当選種別であるという点で、単なる「ハズレ」とは異なる。なお、小当り1は、「小当り種別」に属する当りではあるが、説明の便宜上特に必要がない限り、上記の大当りと区別することなく、大当り種別の一つとして同列に扱う。
図4の「当りの内容」の欄の大当り1~11における「16R」、「8R」、「4R」、「2R」の表記は、それぞれ、大当りに係る規定ラウンド数(最大ラウンド数)を示す。また同欄の「長開放」の表記は、1回のラウンド遊技における大入賞口の最大開放時間が、大入賞口への入賞数が最大入賞数(9個)に達する可能性が見込める「長開放時間(たとえば、29.8秒)」に設定される大当りであることを示し、「短開放」とは大入賞口の最大開放時間が「長開放」よりも短い「短開放時間(たとえば、1.8秒)」に設定される大当りであることを示す。
大入賞口の開放パターンについては、1または複数種類の開放パターンのいずれかに従って開放することができる(小当りの場合も同様)。また「確変」「時短」「潜確」の表記は、それぞれ、確変状態への移行契機となる確変大当り、時短状態への移行契機となる時短大当り、潜確状態への移行契機となる潜確大当りを示す。たとえば、大当り1の「12R長開放確変大当り」であれば、確変移行契機の大当りであって、最大ラウンド数が12R、各ラウンド遊技の大入賞口が長開放パターンで開閉動作される大当りであることを示す。大当り遊技中の利益状態については、最大ラウンド数が相対的に多いほど高くなり、また大入賞口の最大開放時間が短開放よりも長開放の方が高くなる。
(4-2.当り遊技後の移行先遊技状態について)
また図4には、各大当りに当選した場合、その当選時の遊技状態に応じた大当り遊技終了後の遊技状態の移行先を示してある。図4を参照して、大当り1、3、5、8、10に当選した場合には、その当選時の遊技状態がいずれの遊技状態であっても「確変状態(高確率・電サポ有り)」に移行される。すなわち、大当り1、3、5、8、10は、いずれも確変状態(高確率・電サポ有り)への移行契機となる大当りとなっている。また、大当り2、4、9に当選した場合には「時短A(時短回数100回)」に移行され、大当り6、11に当選した場合には「時短B(時短回数50回)」に移行されるようになっている。すなわち、大当り2、4、6、9、11は、いずれも時短状態(低確率、電サポ有り)への移行契機となる大当りとなっている。また、大当り7に当選した場合は、その当選時の遊技状態が通常状態であれば「潜確状態(高確率・電サポ無し)」に移行され、潜確・時短状態または確変状態であれば「確変状態」に移行されるようになっている。
本実施形態に係る「潜確状態」、「確変状態」、「時短状態」については、特別図柄変動表示ゲームの実行回数(特別図柄の変動回数)が、所定の規定回数終了するまで継続され、その規定回数内で大当り(ただし、内部遊技状態の移行契機とならない小当りを除く)に当選することなく特別図柄変動表示ゲームが終了したときには、次回ゲームから通常状態(通常遊技状態)に移行されるようになっている。本実施形態の場合、特別図柄変動表示ゲームの実行回数として、特別図柄変動表示ゲーム1および2の合計実行回数(特別図柄1および2の合計変動回数))がカウントされる。
上記所定の規定回数に関し、潜確状態または確変状態については、所定の規定回数(以下「ST回数」と称する)として、65536回が設定される。このST回数は、大当り当選確率(たとえば、確変中の大当り確率、設定1~6=1/41~1/32)との関係上、ほぼ確実に、次回大当りが当選するまで高確率状態を継続させることが可能な回数となっている。勿論、高確率状態の継続率を適度な連荘率(たとえば、継続率65%程度)とするために、ST回数を適宜な値(たとえば、ST回数=33回程度)に設定してもよいし、次回大当りが当選するまで高確率状態を100%継続させる構成としてもよい(ST回数を無限回数としてもよい)。
また、潜確状態または確変状態への移行条件を次のように定めてもよい。大入賞口50内に特定領域を設け、特定の大当り(たとえば、大当り1、大当り3)に当選した場合に、その特定領域に遊技球を通過可能に構成する(他の大当りでは、特定領域の通過を困難または不可能に構成する)。そして、この特定領域を遊技球が通過した場合に限り、特別図柄確変機能を作動させ、大当り種別に応じて、確変状態または潜確状態に移行させるいわゆる「V確変機タイプ」の機種としてもよい。また、確変状態中に、毎ゲーム、高確率から低確率への移行抽選(転落抽選)を行ういわゆる「転落抽選タイプ」の機種としてもよい。
また、時短状態については、時短Aの場合は、時短回数100回、時短Bの場合は、時短回数50回が設定される。なお、時短Aと時短Bとが同じ時短回数(たとえば、70回)であってもよい。
(小当りに当選した場合について)
次に小当り遊技後の遊技状態について説明する。小当りに当選した場合は、その小当り当選時の遊技状態(内部遊技状態)がそのまま継続されるようになっている。つまり、小当り当選に起因した内部遊技状態の移行制御は行われない。このため、小当り当選時の内部遊技状態とその小当り遊技後の内部遊技状態とは、いずれも同じ内部遊技状態となる。たとえば、通常状態中に小当り1に当選した場合、その当り遊技中および当り遊技後も通常状態が継続される。この点、内部遊技状態の移行制御が行われる上述の「大当り」とは性質を異にする。また、小当り遊技中に大入賞口50の閉鎖条件は、大当り時と同じく、大入賞口の開放時間が所定時間経過するまでか、最大入賞数に達するまでである。このような性質を利用し、本実施形態では、通常状態中において小当り1または大当り7(2R短開放潜確)に当選した場合に、次のような遊技動作制御を行う。小当り1による当り遊技(小当り遊技)を、大当り7(2R短開放潜確)による当り遊技と、実質的に同一の動作態様となるように制御し(疑似的な2R大当り遊技を実行する:疑似2R短開放)、また当り中の演出も実質的に同一の演出を現出し、さらに、これら当り遊技後には、同一の演出モード(後述のCZ演出モード)に移行させる。この結果、小当り1に当選した場合であっても、見た目上は、大当り7に当選したかの如く装う(当選した当り種別を秘匿する)ことが可能となる。これにより、小当り1に当選した場合であっても「潜確状態に移行したかも知れない」という高確率状態への突入期待感を遊技者に与えることができる。
本実施形態では、通常状態中において「小当り1」と「大当り7」に当選した場合の双方で、所定の遊技期間(たとえば、特別図柄の変動回数4回が終了するまで)、高確率状態への突入期待感を煽る演出モードとして、同じチャンス演出モード(CZ演出モード)に移行させる。このCZ演出モードは、高確率状態の期待感を煽る演出モードとして働く。なお、小当り1の当選を契機に移行されるCZ演出モードの実体は、遊技状態が‘通常状態’の「CZ(通常)」であり、大当り7の当選を契機に移行されるCZ演出モードの実体は、遊技状態が‘潜確状態’の「CZ(潜確)」である。
<5.演出について>
(5-1.演出モード)
次に、演出モード(演出状態)について説明する。本実施形態の遊技機1には、遊技状態に関連する演出をなす複数種類の演出モードが設けられており、遊技状態の移行に対応して、各演出モード間を移行制御可能に構成されている。上記演出モードには、「通常状態」に係る「通常演出モード」、「CZ」に係る「CZ演出モード」、「潜確状態」に係る「潜確演出モード」、「確変状態」に係る「確変演出モード」、「時短状態」に係る「時短演出モード」、「当り遊技状態」に係る「当り遊技演出モード」といった、各遊技状態に応じた複数種類の演出モードが設けられている。なお上記「CZ」に対応する「通常C演出モード」は、演出上、現在の大当り抽選確率状態(内部遊技状態)を秘匿状態とし、遊技者に高確率状態の期待感を煽る演出をなす「秘匿演出モード」としての役割を果たす。また、時短演出モードについては、時短Aと時短Bとで共通の時短演出モードを設けてもよいし、異なる演出モードであってもよい。
演出制御部24(CPU241)は、複数種類の演出モード間を移行制御する機能部(演出状態移行制御手段)を有する。演出制御部24は、主制御部20(CPU201)から送られてくる特定の演出制御コマンド、具体的には、現在の遊技状態を指定したり、遊技状態が移行される旨を指定したりする演出制御コマンドに基づいて、主制御部20側の遊技状態と整合性を保つ形で、複数種類の演出モード間を移行制御可能に構成されている。斯様な特定の演出制御コマンドには、変動パターン指定コマンド、遊技状態指定コマンド、客待ち中コマンド、スペック指定コマンド、当り中に送信されるコマンド(後述の大当り開始コマンドや、大当り終了コマンド)などがある。また演出制御部24は、遊技状態に関連した演出モードを管理する機能部(演出状態管理手段)を有し、現在の演出モードを管理する。
また各演出モードでは、遊技者がどのような遊技状態に対応した演出モード下に滞在しているのかを把握できるように、装飾図柄の変動表示画面のバックグラウンドとしての背景表示(以下、「背景演出」とも称する)が、たとえば「通常演出モード」下では季節‘春’を連想させる背景演出(たとえば、桜の木の背景画像を表示する背景演出)、「時短演出モード」下では季節‘夏’を連想させる背景演出(たとえば、海の背景画像を表示する背景演出)、「確変演出モード」下では季節‘秋’を連想させる背景演出(たとえば、紅葉の木の背景画像を表示する背景演出)、「潜確演出モード」下では季節‘冬’を連想させる背景演出(たとえば、雪山の背景画像を表示する背景演出)など、遊技状態に関連する背景表示にそれぞれ切り替え制御される。なお同じ演出モード下であっても、異なる背景演出を現出させることができる。たとえば、通常演出モードに、背景画像Aとする通常A演出モード、背景画像Bとする通常B演出モード、背景画像Cとする通常C演出モードといった、複数種類の通常演出モードを設け、これらの通常演出モードに対応した演出を現出させることができる。これを利用して、後述の朝一背景チェンジ予告を実現する。
(5-2.予告演出)
次に、予告演出について説明する。演出制御部24は、主制御部20からの演出制御コマンドの内容、具体的には、少なくとも変動パターン指定コマンドに含まれる変動パターン情報(本実施形態では、「変動パターン指定コマンド」および/または「装飾図柄指定コマンド」に含まれる情報)に基づき、大当り抽選結果に関連した様々な「予告演出」を現出制御可能に構成されている(予告演出制御手段)。斯様な予告演出は、当り種別に当選したか否かの期待度(周知の「当選期待度」)、および/または所定の事象(たとえば、当確、特定の当りの当確、他の予告演出の発生など)を示唆(予告)し、遊技者の当選期待感を煽るための「煽り演出」として働く。予告演出として代表的なものには、「リーチ演出」の他、後述の「疑似連演出」などがあり、これらの演出に付随してまたは単独的に発生する種々の予告演出が設けられている。以下、これら演出態様について説明する。
(5-2-1.リーチ演出)
「リーチ演出」とは、リーチ状態を伴う演出態様をいい、具体的には、リーチ状態を経由してゲーム結果を導出表示しうる演出態様をいう。この「リーチ状態」とは、装飾図柄変動表示ゲームの結果が導出される前段階において、当該装飾図柄変動表示ゲームの途中で導出表示される一部の装飾図柄が、当り当選を示す表示態様の一部を構成している状態で、未だ導出表示されていない装飾図柄の変動表示が行われている表示態様の、いわゆる「聴牌状態」を指す。たとえば、所定の当り有効ライン上において、装飾図柄の一部が当り図柄(たとえば、「777」などの図柄揃い」)の一部を仮停止表示し(たとえば、左図柄と右図柄とが「7」を表示している、といった「聴牌状態(リーチ図柄)」)、その他の装飾図柄(ここでは、聴牌状態(リーチ図柄)を形成していない中図柄)が、所定時間継続して停止、揺動、拡大縮小、または変形しながら、最終結果が表示される前段階で大当り発生の可能性が継続している状態などが、その代表例である。したがって、リーチ状態が形成されたからといって、装飾図柄変動表示ゲームの結果が必ずしも「大当り」になるとは限らず、最終的に導出された結果が当り図柄(たとえば、当り図柄の「777」)でない場合は、今回のゲーム結果は「ハズレ」となる。
リーチ状態は、上記ケースのように、左図柄・右図柄(「7↓7」)を用いた左右聴牌表示を伴うものに限られない。たとえば、左中右の装飾図柄が「77↓」の‘左中聴牌’や「↓77」の‘中右聴牌’などの表示状態も、リーチ状態として扱うことができる。また、当り図柄が図柄揃いでない場合、たとえば、「357」などのバラケ目の場合も同様に、左中右の装飾図柄が「3↓7」(左右聴牌)、「35↓」(左中聴牌)、「↓57」(中右聴牌)の変動表示状態を聴牌状態として扱うことができる。なお、装飾図柄が突発的に当り図柄を表示する「突発揃い」のような表示態様は、ここでのリーチ状態(聴牌状態)とは異なる。リーチ演出は、このようなリーチ状態の表示を伴うものであり、リーチ演出が現出(出現)すれば、通常変動よりも当選期待度が相対的に高まることになる。
リーチ演出には、当選期待度に関連付けられた複数種類のリーチ演出が含まれる。たとえば、Nリーチ(ノーマルリーチ)が出現した場合に比べて、当選期待度が相対的に高まるものがある。このようなリーチ演出を‘SPリーチ(スーパーリーチ)’という。この「SPリーチ」の多くは、遊技者の当選期待感を煽るべく、Nリーチよりも相対的に長い演出時間(変動時間)を持つ。本実施形態のNリーチには「Nリーチ1~2」などの複数種類のNリーチを含み、またSPリーチには「弱SPリーチ、中SPリーチ、強SPリーチ」などの複数種類のSPリーチが含まれる。なお、同種間の当選期待度の関係については、「Nリーチ1<Nリーチ2」、「弱SPリーチ<中SPリーチ<強SPリーチ」という関係を持たせてあり、異種間では、「Nリーチ1<Nリーチ2<弱SPリーチ<中SPリーチ<強SPリーチ」という関係を持たせてある。なお、実際の大当り当選期待度は、他の予告演出が現出するか否かに応じて変化する。このため、たとえば、弱SPリーチが出現した場合であっても、当選期待度の高い予告演出が絡めば、中SPリーチと同等もしくはそれ以上の当選期待度となりうる。またSPリーチには、一のSPリーチから他のSPリーチに発展する発展型SPリーチ(SPSPリーチ)が含まれる。このSPSPリーチは、SPリーチの中でも期待度が最も高く、強SPリーチ種別に属する。
本実施形態では、ゲーム結果が当りである場合、当り図柄が導出表示される過程において、原則として、上記リーチ演出を経由するようになっている。このため、遊技者にとっては、リーチ演出の発生の有無が、当選可能性を知る手がかりとなる。そこで、リーチ演出発生前段階において、リーチ演出の発生可能性(発生確定を含む)を予告(示唆)する様々な予告演出が設けられている。ただし、予告演出は、必ずしもリーチ演出の発生可能性を予告するものだけでなく、リーチ演出以外の他の予告演出(後述の設定示唆演出を含む)の発生可能性を示唆するものや、リーチ演出中に複合的に発生するものもある。斯様な予告演出は、大当り抽選結果に関連して、1の図柄変動表示ゲーム中(1変動中)に、1または複数種類の予告演出が複合的に発生する場合があり、予告演出が複合発生することで、より明確な当り当選期待度が示されるようになっている。たとえば、当選期待度が高い予告演出が複数種類発生すれば(重複的(同時的)に発生する場合や、異なるタイミングで発生する場合を含む)、当選期待度がより高まることになる。このような予告演出やリーチ演出が織り成すゲーム中の予告演出により、遊技の面白みを向上させることができる。
(5-2-2.疑似連演出(疑似連))
「疑似連」とは、装飾図柄の疑似的な連続変動表示状態(いわゆる「疑似変動」)を伴う演出態様をいう。この「疑似変動」とは、装飾図柄変動表示ゲーム中において、装飾図柄の一部または全部を一旦仮停止状態とし、その仮停止状態から装飾図柄の再変動表示動作を実行する、といった表示動作を1回または複数回繰り返す変動表示態様をいう。この仮停止状態中は、たとえば、装飾図柄が完全停止ではなく小刻みに装飾図柄が上下又は左右に変動表示するものがその代表例である。この点、複数回の図柄変動表示ゲームに跨って展開されうる後述の「先読み予告演出」とは異なる。斯様な「疑似連」は、基本的には、疑似変動回数が多くなるほど当り当選期待度が高まるようにその発生率が定められており、たとえば、疑似変動回数が相対的に多いほど、当選期待度の高い予告演出(たとえば、SPリーチ)の発生期待度が高まるようになっている。
したがって上記「疑似連」は、リーチ演出を含む演出シナリオの場合には、リーチ状態が形成される前段階(リーチ演出の前段階)に発生され、たとえば、リーチ演出の発生可能性がある旨や、特定のリーチ種別の発生可能性がある旨の予告として、1または複数回の疑似変動を行い、この疑似変動が終了した後、リーチ状態(リーチ演出)を経由して、最終的なゲーム結果が導出表示されることになる。またリーチ演出を含まない演出シナリオの場合には(疑似連有り通常変動パターンに基づく演出態様の場合)、上記疑似変動が終了した後、リーチ状態(リーチ演出)を経由せずに、つまり通常変動が実行されて最終的なゲーム結果が導出表示されることになる。ここで、上記疑似変動が終了した後に実行される変動表示動作を「本変動」とも称し、たとえば、リーチ状態を経由する場合には、この本変動にてリーチ演出が実行されて、最終的なゲーム結果が導出表示されることになる。またリーチ状態を経由しない場合には、この本変動にて通常変動が実行されて、最終的なゲーム結果が導出表示されることになる。本実施形態では「疑似N回(N=2、3、4)」と表記する場合、疑似連と本変動を含めた一連の変動表示動作回数を意味する。たとえば「疑似連2回+SPリーチ」と表記する場合は、「疑似変動1回+本変動のSPリーチ」(変動表示動作回数が2回)、つまり疑似変動1回後、SPリーチを実行することを意味する。なお、上記「SPSPリーチ」の場合、最終発展先のSPリーチに係るリーチ状態が形成される前段階で、疑似連が発生しうる。つまり、最初のSPリーチ後に疑似変動が実行される場合がある。いずれにしても疑似連の最大回数は、この実施形態では「3回」である(図43の「疑似連」の欄参照)。
(5-2-3.遊技者参加型演出)
「遊技者参加型演出」とは、いわゆる「ボタン予告演出」に属する演出態様であり、遊技者が演出ボタン13(操作手段)に対して所定の操作に基づき、演出の内容が変化し得る予告演出態様である。遊技者参加型演出では、所定のボタン有効期間中になると、操作手段(演出ボタン13および/または方向キー75)に対して所定の操作を指示する操作指示演出が現出され、ボタン有効期間中に操作手段が操作されたことに基づき、現出中の演出が他の演出(操作時演出)に変化し、操作前後の演出態様(演出内容)に応じて、当選期待度を予告する。たとえば、ボタン操作に応じて、特定のオブジェクト表示やキャラクタ表示が変化する、特殊な効果音や光演出が発生する、物語風の演出シナリオが進行する(いわゆる、会話演出など)がその代表例である。
(5-2-4.背景変化予告演出(背景チェンジ予告演出))
「背景変化予告演出」とは、所定の移行条件に基づいて、一の背景画像を他の背景画像へと変化(移行)させ、その変化後の背景画像種に応じて当選期待度が予告(示唆)されるといった予告演出態様である。ただし、この背景変化予告は、上記した演出モードに係る背景演出とは異なり、予告演出として背景表示が変化するという演出態様である。たとえば、現在表示中の背景画像の一部または背景画像全体が変化し、変化後の背景画像により、当選期待度が示唆される。具体的には、現在が通常演出モードである場合、背景画像の一部(特定のオブジェクト表示)である桜の木が、当選期待度に応じて、菜の花(期待度高)や蒲公英(期待度低)の画像に変化したり、通常の昼背景画像から、予告用の夜背景画像(期待度高)に変化する。本実施形態では、図柄変動表示ゲームの開始とともに、花(花冠(corolla))を表現したカットイン画像が発生し(特定の音演出または/および光演出を付随して発生させてもよい)、これにより背景表示の変化が起こるようになっている。また、背景変化予告演出の一つとして、背景演出種に応じて設定示唆をするという設定示唆演出の一態様として現出される場合もある。
(5-2-5.先読み予告演出)
「先読み予告演出」とは、未だ図柄変動表示ゲームの実行(特別図柄の変動表示動作)には供されていない作動保留球(未消化の作動保留球)について、主に、保留表示態様や時系列的に先に実行される図柄変動表示ゲーム中の演出を利用して、当該作動保留球に関する当選期待度を事前に報知しうる演出態様である。
図5を用いて、上記先読み予告演出を含め、本実施形態に係る液晶表示装置の画面表示の概要について説明する。図5は、本実施形態に係る液晶表示装置36の画面表示の説明に供する説明図である。
液晶表示装置36の画面内の一部に(図示では、装飾図柄の表示エリアの下方)、特別柄1作動保留球の個数を表示する保留表示領域76と、特図2作動保留球の個数を表示する保留表示領域77とが設けられており、作動保留球の有無に関して、その旨を点灯状態(作動保留球あり:図示の「○(白丸印)」)あるいは消灯状態(作動保留球なし:図示の破線の丸印)にて、現在の作動保留球数に関する情報が報知される。
この作動保留球の有無に関する表示(以下、「保留表示」と称する)は、その発生順(入賞順)に順次表示され、各保留表示領域76、77において、一番左側の作動保留球が、当該保留表示内の全作動保留球のうち時間軸上で一番先に生じた(つまり最も古い)作動保留球として表示される。本実施形態では、図示のように、液晶表示装置36の画面内の一部に、最大保留記憶数と同数(4個)だけ設けた保留アイコン(アイコン画像)からなる保留表示部a1~d1(特別図柄1側に対応)、a2~d2(特別図柄2側に対応)が設けられている。また、保留表示領域76、77の左側には、現に特別図柄変動表示ゲームに供されている作動保留球を示すための変動中表示領域78が設けられている。この実施形態の場合、変動中表示領域78は、受座Jのアイコン上に、現在ゲームに供されているゲーム実行中保留Kのアイコンが載る形の画像が現れるように構成されている。すなわち、特別図柄1または特別図柄2の変動表示が開始される際に、保留表示領域76、77に表示されていた最も古い保留a1またはa2のアイコン(アイコン画像)が、ゲーム実行中保留Kのアイコンとして、変動中表示領域78おける受座Jのアイコン上に移動し、その状態が所定の表示時間にわたり維持される。
作動保留球が発生した場合、演出制御コマンドとして、大当り抽選結果に関連する先読み判定情報と、先読み判定時の作動保留球数(今回発生した作動保留球を含む現存の作動保留球数)とを特定可能な「保留加算コマンド」が演出制御部24に対して送信される(後述の図20のステップS323参照)。
上記先読み判定情報とは、具体的には、主制御部20において、作動保留球が図柄変動表示ゲームに供される際に実行される大当り抽選結果(変動開始時の大当り抽選結果)や、変動開始時の変動パターンを先読み判定した際に得られる先読み変動パターンに関する遊技情報をいう。したがって、この先読み判定情報には、少なくとも変動開始時の当落抽選結果の先読み判定結果(先読み当落結果)情報が含まれ、その他に、図柄抽選結果の先読み判定結果(先読み図柄結果)情報や、変動開始時の変動パターンに関する先読み判定結果(先読み変動パターン)情報を含ませることができる。如何なる情報を含む保留加算コマンドを演出制御部24に送るかについては、報知する予告内容をどのようなものにするかに応じて適宜定めることができる。たとえば、作動保留球発生時の先読み判定により得られる「先読み変動パターン」は、必ずしも作動保留球が変動表示動作に供されるときに得られる「変動開始時の変動パターン」そのものではある必要はない。たとえば、変動開始時に「Nリーチ1」を指定する変動パターンのケースであれば、先読み変動パターンにより指定される内容は「Nリーチ1」というリーチの種類そのものではなく、その骨子である「Nリーチ種(Nリーチ1またはNリーチ2)」である旨を指定してもよい。
演出制御部24が保留加算コマンドを受信すると、これに含まれる先読み判定情報に基づき、上記保留表示に関連する表示制御処理の一環として、「先読み予告演出」に関する演出制御処理を行う。具体的には、保留加算コマンドに含まれる情報に基づいて、先読み予告演出の実行可否を抽選する先読み予告抽選を行い、これに当選した場合、先読み予告の演出シナリオが決定され、そのシナリオに従い、当選期待度に応じた先読み予告演出を現出させる。上記先読み予告抽選の当選確率は、「ハズレ」よりも「大当り」の方が、また当選期待度が相対的に高いリーチ種別の場合の方が高確率となっている。よって、先読み予告演出が発生するか否かにより、当り種別への当選期待度が示される。
この実施形態では、先読み予告抽選に当選した場合に、保留表示部a1~d1、a2~d2の保留アイコンのうちで、その先読み予告対象となった保留アイコンが、たとえば、通常の保留表示(通常保留表示態様)の白色から、予告表示の青色、緑色、赤色、D柄、虹色の特殊な保留色や色彩の保留表示(特別保留表示態様)に変化する「保留表示変化系」の先読み予告演出(保留変化予告)が行われる。図5では、ハッチングされた保留表示部b1の作動保留球が、特別保留表示に変化した例を示している。ここで、保留アイコンの青色、緑色、赤色、D柄、虹色の表示は、この色の順に、当選期待度が高いことを意味し、特に虹色の保留アイコンの表示は、大当り確定(当確)表示となるプレミアム的な保留アイコン(当確保留予告)となっている。したがって、この保留表示部が作動保留数を表示する保留表示手段として働くが、先読み予告演出を実行する場合は、保留表示部a1~d1、a2~d2のうちの該当する一の保留表示部の保留表示態様を所定の先読み予告表示態様(特別保留表示態様)に変更し、これにより先読み予告演出を現出制御する先読み予告制御手段として働く。
現存する作動保留球は、図柄変動表示ゲームの実行を契機に順次消化される。このとき、作動保留球が1つ消化したことを表現するべく、現存する作動保留球に対応した保留表示部の表示位置を繰り上げ移行し(順次左側にシフト)、その表示個数が減じられるといった表示制御(シフト表示)が行われるが、上記した特別保留表示は、この間も保留表示の表示位置を変えながら連続的に表示され続ける。またゲーム実行中保留Kが受座J上に載る際には、基本的には、保留表示領域76、77での保留表示態様と同じ表示態様が維持され、今回の図柄変動表示ゲームに係る作動保留球を対象とした先読み予告表示態様が当該ゲーム中においても遊技者に報知される。なお、液晶画面内の右下隅には、装飾図柄や予告演出などのメイン演出とは別のサブ的な演出(サブ演出)の表示領域として、特別図柄や普通図柄の変動表示動作に関するサブ表示領域79を設けてある。
(6.演出手段)
遊技機1における各種の演出は、遊技機に配設された演出手段により現出される。斯様な演出手段は、視覚、聴覚、触覚など、人間の知覚に訴えることにより演出効果を発揮し得る刺激伝達手段であれば良く、装飾ランプ45やLED装置などの光発生手段(光演出手段)、スピーカ46などの音響発生装置(音演出手段)、液晶表示装置36などの演出表示装置(表示手段)、操作者の体に接触圧を伝える加圧装置、遊技者の体に風圧を与える風圧装置、ないし、その動作により視覚的演出効果を発揮する可動体役物は、その代表例である。ここで演出表示装置は、画像表示装置(画像表示手段)と同じく視覚に訴える表示装置であるが、画像によらないもの(たとえば、7セグメント表示器)も含む点で画像表示装置と異なる。画像表示装置と称する場合は主として画像表示により演出(画像表示演出)を現出するタイプを指し、7セグメント表示器のように画像以外により演出を現出するものは、上記演出表示装置の概念の中に含まれる。
<主制御部側の処理:図6A~図29>
次に図6A~図29を参照して、本実施形態の主制御部20側における遊技動作処理について説明する。主制御部20側の処理は、無限ループ状のメイン処理(主制御側メイン処理:図6Aおよび図6B)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(主制御側タイマ割込処理:図16)とを含んで構成される。
<6.主制御側メイン処理:図6Aおよび図6B>
図6Aおよび図6Bを参照して、主制御部20側のメイン処理(主制御側メイン処理)について説明する。
図6Aおよび図6Bは、主制御側メイン処理の詳細を示すフローチャートである。以下では、主制御側メイン処理の説明に際し、本発明と関係の深い処理について、図26Aおよび図26Bに示すソースコード(場合により「プログラム」とも称する場合がある)を参照しながら説明する。ただし図26Aおよび図26Bは、主制御側メイン処理のソースコードの一部をメモリ上の記憶順序に沿って記載したものを例示したものであり、また、そのソースコードの記載欄の右側の矢印は、設定キースイッチ94、扉開放センサ61、RAMクリアスイッチ98(設定キースイッチ信号、扉開放信号、RAMクリアスイッチ信号)の入力状態(ON/OFF状態)の組合せに応じて実行される各種の処理ルート(後述の「設定変更処理ルート」、「RAMクリア処理ルート」、「設定確認処理ルート」、「バックアップ復帰処理ルート」、「再電源投入待ち処理(RAMエラー処理)ルート」)について、その処理ルートで実行される処理内容とその処理の実行順序とを、ソースコードに対応して示したものである。なお、いずれの処理ルートも、後述のステップS011~ステップS014の処理が共通して実行され、その後、設定キースイッチ94、扉開放センサ61、RAMクリアスイッチ98のON/OFF状態の組合せに応じて、処理が分岐(条件分岐)されるようになっている。
主制御側メイン処理の開始契機には、停電状態や電源異常からの復旧時におけるシステムリセットが生起した場合や、制御プログラムが暴走したことにより、ウォッチドッグタイマ(WDT)機能が発揮されてCPUが強制的にリセット(WDTリセット)された場合などがある。いずれの場合でも、主制御側メイン処理が開始されると、主制御部20(CPU201)は、まず、電源投入時処理の一環として、遊技動作開始に必要な初期設定処理を実行する(ステップS011)。
(7.初期設定処理:図7)
先ず、図7および図26Aの初期設定処理の欄(SPa1~SPa26)を参照して、上記ステップS011の初期設定処理について説明する。図7は、初期設定処理の詳細を示すフローチャートである。
図7において、システムリセットやWDTリセットが発生すると、CPU201は、起動時の初期設定として、まず自らを割込み禁止状態に設定する(ステップS051、SPa1)。
次いで、スタックポインタSPの設定を行う(ステップS052)。ここでは、スタックポインタSPに00FFHをセット(設定)する(SPa2)。これにより、RAM203内のアドレス00FEH番地以下が領域内プログラム用のスタック領域、01FEH番地以下が領域外プログラム用のスタック領域として設定される(図24参照)。
次いで、後述する第1電源異常チェック処理(_VDDCHK)でのスタック使用に備えて、RAMのプロテクトおよび禁止領域を無効にする(ステップS053、SPa3)。RAMプロテクトとは、誤作動や誤操作などによるRAMに対する書き換え防止機能である。RAMプロテクトの動作は、次のようになる。電源復旧時等のシステムリセットやWDTリセットが発生した後はRAMのプロテクトが有効(RAMプロテクト状態)となっている。RAMプロテクトが有効に設定されている場合にはRAMからデータを読み出すことができるが、RAMにデータを書き込むことができない。したがってRAMにデータを書き込む場合には、RAMのプロテクトを無効に設定する必要がある。本実施形態では、RAMプロテクトレジスタ(RAMPT)の値に応じて、RAMプロテクトとRAMアクセス禁止領域の有効/無効が制御される。RAMPT=00Hの場合は「RAMアクセス禁止領域無効、RAMプロテクト無効」、RAMPT=01Hの場合は「RAMアクセス禁止領域無効、RAMプロテクト有効」、RAMPT=80Hの場合は「RAMアクセス禁止領域有効、RAMプロテクト無効」、RAMPTが81Hの場合は「RAMアクセス禁止領域有効、RAMプロテクト有効」に制御される。
次いで、電源投入時の各種設定処理を実行する(ステップS054)。ここでは、設定変更中(たとえば、後述のステップS023の設定変更管理処理中)に電源のOFF/ONが行われた可能性を考慮して、まず、WAレジスタペア同士の排他的論理和(XOR)を求めた後(WA=0000H)(SPa4)、WAレジスタペアの値がゼロであることを利用して、枠用外部端子基板21のセキュリティ信号(外部出力用不正検出信号)出力用の情報端子に対応する外部端子ポート2(P_GAIBU2)をゼロクリアし、また設定表示器97に対するダイナミック点灯データおよび発射制御信号(払出制御基板28による発射許可信号ES)のON/OFFの設定等に利用されるLEDコモンポート(P_LEDCMN)とLEDコモンバッファ(W_LEDCMN)とを、それぞれゼロクリアする(SPa5~SPa7)。これにより、セキュリティ信号用出力ポートが一旦クリアされるとともに、設定表示器97が消灯状態に設定される。また、発射制御信号がOFF状態に設定され、不用意な発射制御信号が出力されてしまうことを防止する。
次いで、第1電源異常チェック処理(_VDDCHK)を実行する(ステップS055)。ここでは、CALLV命令により、サブルーチンの第1電源異常チェック処理(_VDDCHK)を呼び出し実行する(SPa8)。この‘CALLV’命令とは、CALL命令の一種であるが、通常のCALL命令とは異なり、ROM202のCALL命令ベクタ領域のベクタテーブル(CALLV命令ベクタテーブル)にあらかじめ定義されたサブルーチンを実行させる命令となっている。詳述するに、通常のCALL命令(CALL mn)では、上位アドレスと下位アドレスとにより指定されるアドレス(mn番地)から始まるサブルーチンを実行する命令であるのに対し、CALLV命令では、アドレスの一部を構成する上位アドレスが特定値としてベクタテーブルに定められているため、下位アドレスのみを指定することで、サブルーチンのアドレスが特定可能となっており、CALL命令よりも少ないデータ量でサブルーチンを呼び出して実行することができる(CALLV命令は1バイト、通常のCALL命令は3バイト)、という特殊なCALL命令となっている。このため、CALLV命令は、使用頻度の高いサブルーチンを実行する場合に好適である。
(8.第1電源異常チェック処理:図8)
図8を参照して、上記第1電源異常チェック処理(_VDDCHK)について説明する。図8は第1電源異常チェック処理の詳細を示すフローチャートである。
この第1電源異常チェック処理では、CPU201は、まずWDTをクリアし(ステップS701)、次いで、外部信号入力レジスタ(PINSTS)から、電断を示す電源異常信号の入力情報を取得する(ステップS702)。この外部信号入力レジスタ(PINSTS)の第0ビット~第7ビット(b0~b7)は、図示のように、第0ビット(b0)が上始動口センサ信号(上始動口センサ34a)のON/OFF状態を、第1ビット(b1)が下始動口センサ信号(下始動口センサ35a)のON/OFF状態を、第2ビット(b2)が電源異常信号(電圧降下信号)のON/OFF状態を示し、第3ビット(b3)~第7ビット(b7)は、それぞれ未使用となっている。
ステップS702において取得した電源異常信号がON状態(b2=1)である場合(ステップS703:YES)、図6Aに示す主制御部メイン処理の最初の処理(ステップS011)に移行し、電源投入時と同じく、ステップS011以降の処理を順次実行する。しかし、取得した電源異常信号がON状態でない場合(ステップS703:NO)、正常動作であるとして、この第1電源異常チェック処理を抜けて、図7の内部機能レジスタ初期設定処理(ステップS056)に移行する。
再び図7に戻り、電源異常信号がON状態でない場合には、内部機能レジスタ初期設定処理を実行する(ステップS056、SPa9~SPa13)。ここでは、マイクロコンピュータの各部を含めてCPUの内部機能レジスタ値に関する初期設定処理を行う。図26Aに示すD_REGINI1には、CPU内部の各種内部機能レジスタ値に関する初期値が定義されており、SPa9~SPa13により、たとえば、RAMプロテクトレジスタの他、CTC、WDT、送受信用シリアルポート、割込みモード(割込みモード2に設定)、割込み優先順位、内部ハード乱数および内部ソフト乱数などに関する内部機能レジスタが初期値に設定されるようになっている。
次いで、サブ制御基板(演出制御部24)の起動待ち時間を管理する処理として、ステップS057~S062の処理を実行する。具体的には、まず上述の起動待ち時間の設定処理として、Bレジスタにループ回数(たとえば、240)をセットし(ステップS057、SPa14)、WAレジスタペアに起動待ち用カウント値(たとえば、13880)をセットする(ステップS058、SPa15)。
そして、起動待ち時間の減算処理として、WAレジスタペアの値をデクリメントしながら(ステップS059、SPa16)、WAレジスタペアの値がゼロになるまで待つ(ステップS060:NO、SPa17)。そして、当該レジスタの値がゼロになったならば(ステップS060:YES、SPa17)、図8の第1電源異常チェック処理を実行する(ステップS061、SPa18)。このステップS059~S062の処理を、ループ回数がゼロになるまで繰り返す(ステップS063:NO、SPa19)。これにより、CPU201は、サブ制御基板が正常起動するまで、後続の処理の実行を待機させる。なお上記ステップS059~S063の一連の処理により確保される起動待ち時間は、SPa10~SPa15の各命令サイクル数、起動待ち用カウント値、ループ回数、CPU動作周波数を考慮して、約2000ms程度に設定される。
そこで本実施形態の場合、この段階では、主制御側タイマ割込処理が起動させていない(タイマ割込処理は、後述のステップS036で起動される)。したがって、タイマ割込処理によるタイマ値のカウントができないため、各命令サイクル数、起動待ち用カウント値、ループ回数、CPU動作周波数等を利用した起動待ち時間を設定するという工夫がなされている。
上記起動待ち時間が経過したならば(ステップS063:YES(B=0))、待機画面表示コマンドデータ(BA01H)を取得し(ステップS064、SPa20)、その取得したコマンドデータを、図9に示すコマンド送信処理(ステップS070)により演出制御部24に送信する(ステップS065、SPa21)。このステップS065のコマンド送信処理は、図26AのSPa21に示す通り、図9に示す通り、CALLV命令で呼び出されて実行されるサブルーチン(_CMDOUT)となっており、たとえば、所定のレジスタペア(たとえば、DEレジスタ)にセットされた2バイト長の演出制御コマンドデータを、演出制御部24側に送信する処理となっている(SPa20~SPa21、ステップS070)。なお、このコマンド送信処理(_CMDOUT)は、コマンドデータの送信が必要となる種々の処理で共通して利用されるサブルーチンである。本実施形態では、演出コマンドの送信が必要な場合、コマンドデータを取得した後に、図9のコマンド送信処理(_CMDOUT)をCALLV命令で呼び出し実行するようになっている。これにより、様々なタイミングにおいて演出制御コマンドを送信する際のコマンド送信制御処理を簡易化し、制御負担を軽減することができるようになっている。
演出制御部24が待機画面表示コマンドを受けると、演出手段を利用して、電源投入時待機演出を現出させる。たとえば、液晶表示装置36に「Please Wait」などの演出画像を表示させる。
次いで、図8の第1電源異常チェック処理を実行するとともに(ステップS066、SPa22)、払出制御基板29からの「電源投入時信号及び払出通信確認信号(以下「電源投入時信号」略す)」が送られてくるのを待つ(ステップS067~S069、SPa23~SPa26)。この電源投入時信号は、払出制御基板29が正常に立ち上がった場合に出力される信号であり、上記電源投入時信号のON/OFF情報は、後述の入力ポート1(P_INPT1)から取得される。CPU201は、払出制御基板29が正常起動するまで、初期設定処理を終了せずに待機し、これにより、何らかのトラブルによって払出制御基板29が正常に機能していない場合には、ステップS066~S069の処理を繰り返すだけで遊技動作は開始されない。そして、上記電源投入時信号がONになったならば(ステップS069:ON)、初期設定処理を抜けて、図6Aの主制御側メイン処理に戻り、ステップS013の分岐判定用情報取得処理を実行する。
上述のステップS066~S069の処理の流れを図26Aに示すソースコード(図示のSYSTEM_50)に従い詳述すれば、下記の処理内容となる。
図26AのSYSTEM_50において、CPU201は、まずCALLV命令により、サブルーチンの第1電源異常チェック処理(_VDDCHK:図8)を呼び出して実行し、電源異常信号がONであるか否かをチェックする(SPa22)。
次いで、入力ポート1(P_INPT1)の8ビットデータ(入力情報)をAレジスタに読み込み(SPa23)、その読み込んだデータをWレジスタに転送(COPY)する(SPa24)。このSPa23~SPa24は、ステップS067の処理の「入力ポート1データ取得処理」に相当するものであり、本処理で取得した入力ポート1の情報(Wレジスタにセットされた入力ポート1(P_INPT1)の入力情報)は、後述の図6Aに示す「分岐判定用情報取得処理(ステップS013)」においても利用される。
この入力ポート1(P_INPT1)の第0ビット~第7ビット(b0~b7)は、図示のように、第0ビット(b0)が設定キースイッチ信号(設定キースイッチ94)のON/OFF状態を、第1ビット(b1)が補給切れ信号のON/OFF状態を、第2ビット(b2)が球数エラー信号のON/OFF状態を、第3ビット(b3)が断線検出信号1を、第4ビット(b4)が断線検出信号2のON/OFF信号を、第5ビット(b5)が扉開放信号(扉開放センサ61)のON/OFF状態(扉(たとえば前枠2)の開放/閉鎖状態)を、第6ビット(b6)がRAMクリア信号(RAMクリアスイッチ98)のON/OFF状態を、第7ビット(b7)が電源投入時信号のON/OFF状態を示す。
上記「RAMクリア信号」は、RAMの所定領域を初期設定するか否かを決定する信号であって、通常、ホール店員が操作するRAMクリアスイッチ98のON/OFF状態(ON操作/OFF操作)に対応した値を有している。また「設定キースイッチ信号」とは、設定値を変更可能な設定変更モードに移行するか否かを決定する信号の一つであって、通常、ホール店員が操作する設定キースイッチ94のON/OFF状態(ON操作/OFF操作)に対応した値を有している。このため、RAMクリア信号や設定キースイッチ信号の取得タイミングが遅れると、ホール店員がスイッチから手を離すことで、ON操作を見逃すことになるが、本実施形態では、そのような事態を回避するために、電源復旧時に速やかにこれら信号を取得するようになっている。また「断線検出信号」とは、基板同士又は基板と各種センサを接続する配線(ハーネス)が断線またはショートしたときに検知された場合に生起するエラー信号である。たとえば、主制御部20(主基板)と払出制御基板29との配線が断線したり、主制御部20と上始動口センサ34aとの配線が断線したりすると、信号の送信や受信ができなくなるため、断線検出信号についても速やかに取得するようになっている。各ビット値については、ON状態を示す場合には「1」となり、OFF状態を示す場合には「0」となる。
SPa23~SPa24を終えると、次いで、Aレジスタの第7ビット(b7)の値、すなわち、入力ポート1(P_INPT1)の電源投入時信号のON/OFFデータをキャリーフラグCFにセットし(SPa25)、キャリーフラグCFが1でない場合(CF≠1)、すなわち電源投入時信号がONでなければ(b7≠1)、SYSTEM_50の先頭アドレスにジャンプ、つまり、処理状態がステップS066の第1電源異常チェック処理(_VDDCHK)に戻り、キャリーフラグCFが1(CF=1)、すなわち電源投入時信号がON(b7=1)となるまで、ステップS066~S069の処理を繰り返し実行する(SPa26)。そして、電源投入時信号がONとなったならば、この初期設定処理を抜けて、図6Aの主制御側メイン処理に戻り、次いで、ステップS013の分岐判定用情報取得処理を実行する。
図6Aおよび図6Bの説明に戻り、上記した初期設定処理(ステップS011)を終えると、図6Aの分岐判定用情報取得処理を実行する(ステップS013)。この分岐判定用情報取得処理では、Wレジスタの値、すなわち、図7の初期設定処理中の入力ポート1データ取得処理(ステップS067)でWレジスタに転送された入力ポート1(P_INPT1)の8ビットデータと、マスクデータ「01100001B」の論理積(AND)をとり、設定キースイッチ信号に対応する第0ビット、扉開放信号に対応する第5ビット、およびRAMクリア信号に対応する第6ビット以外のビットをマスクする(SPb1)。これにより、現在の設定キースイッチ信号、扉開放信号およびRAMクリア信号のON/OFF状態(信号の状態(入力状態))が、Wレジスタに取得される。たとえば、マスク後のWレジスタのビットパターンが、「01100001B(第0ビット、第5ビット、第6ビットがON)」であれば、設定キースイッチ信号、扉開放信号およびRAMクリア信号がそれぞれON状態であることを示し、「00000001B(第0ビットがON)」であれば、扉開放信号およびRAMクリア信号がOFF状態であり、設定キースイッチ信号だけがON状態であることを示す。
本実施形態では、設定キースイッチ信号(設定キースイッチ94)、扉開放信号(扉開放センサ61)、およびRAMクリア信号(RAMクリアスイッチ98)の3つの信号のON/OFF状態の組合せ、すなわち、ステップS013(SPb1)のマスク処理により得られたWレジスタの値(第0ビット、第5ビット、第6ビットの値の組合せ)に応じて、実行される処理内容(処理ルート)が異なるようになっている。
(条件分岐による移行先の処理内容について:図25)
本発明の理解を容易なものとするために、先ず図25を参照して、上述したWレジスタの値(第0ビット、第5ビット、第6ビットの値の組合せ)に応じて実行される処理ルートの概要について説明しておく。図25に、設定キースイッチ信号、扉開放信号およびRAMクリア信号のON/OFF状態の組合せ(Wレジスタの第0ビット、第5ビット、第6ビットの値の組合せ)に応じて、実行される処理ルート(移行先処理ルート)を示す。
図25に示す通り、設定キースイッチ信号、扉開放信号およびRAMクリア信号の3つの信号の入力状態を示すON/OFF状態の組合せは計8種類あり、これらの信号のON/OFF状態の組合せ、すなわち、分岐判定用情報取得処理(ステップS013)にて得られたWレジスタの値に応じて、下記の(イ)~(ニ)のいずれかの処理ルートに分岐(移行)されるようになっている。なお以下では、説明の便宜のために、Wレジスタの(第0ビット、第5ビット、第6ビット)の値の組合せを‘W(x、y、z)’(ただし「x、y、z」の各値は0または1)と表記する。
<(イ)設定変更処理ルート(設定変更モード)>
設定キースイッチ信号、扉開放信号およびRAMクリア信号の3つの信号の入力状態がいずれもON状態である場合(W(x、y、z)=W(1、1、1)の場合)、CPU201は、設定変更モード移行条件が成立したとして、処理状態を「設定変更処理ルート(ステップS021~S024、S030~S032)」に移行させる。この設定変更処理ルートは、設定変更可能状態に制御する‘設定変更管理処理(ステップS023)’およびRAMの所定領域をクリアする‘領域内RAMクリア処理(ステップS031)’などが実行される処理ルートとなっており、たとえば、ホール関係者などが「設定変更操作」を行った場合に移行される。詳細は後述するが、設定変更処理ルートに移行された場合、RAM203のワーク領域(記憶領域)のうち、少なくとも性能表示器99の表示制御に関する記憶領域(計測情報格納領域)を除く領域(領域外RAMを除く、領域内RAMの全領域)がクリア(リセット)されるようになっている。
本実施形態では、設定変更処理ルートに移行されない場合、Wレジスタの値に応じて、以下に述べる「RAMクリア処理ルート」、「設定確認処理ルート」、「バックアップ復帰処理ルート」のいずれかの処理ルートに移行される。
<(ロ)RAMクリア処理ルート(RAMクリアモード)>
設定キースイッチ信号および扉開放信号の少なくとも一方の信号がOFF状態であり、かつRAMクリア信号がON状態である場合(W(x、y、z)=W(1、0、1)、W(0、1、1)、W(0、0、1)のいずれかの場合)、CPU201は、RAMクリアモード移行条件が成立したとして、処理状態を「RAMクリア処理ルート(ステップS029~S032)」に移行させる。このRAMクリア処理ルートは、後述の設定変更管理処理(ステップS023)が実行されることなく、領域内RAMクリア処理(ステップS031)が実行される処理ルートとなっており、たとえば、ホール関係者が「設定変更操作」を行うことなく、「RAMクリア操作」によりRAMの特定領域をクリアする場合に移行される。なお詳細は後述するが、上記「特定領域」とは、RAM203の記憶領域のうち、少なくとも、上記設定値格納領域と領域外RAM領域とを除く記憶領域となっている。したがって、RAMクリア処理ルートが実行される場合は、上記設定変更処理ルートが実行される場合よりも、RAMクリアの範囲が限定的となる。
<(ハ)設定確認処理ルート(設定確認モード)>
設定キースイッチ信号および扉開放信号がON状態であり、かつRAMクリア信号がOFF状態の場合(W(x、y、z)=W(1、1、0)の場合)、CPU201は、設定確認モード移行条件が成立したとして、処理状態を「設定確認処理ルート(ステップS027~S028)」に移行させる。この設定確認処理ルートは、設定変更管理処理(ステップS023)および領域内RAMクリア処理(ステップS031)が実行されることなく、現在の設定値を確認可能な設定確認状態に制御する‘設定確認処理(ステップS027)’およびバックアップデータを復帰する‘バックアップ復帰処理(ステップS028)’などが実行される処理ルートとなっており、たとえば、ホール関係者が「設定確認操作」により、現在の設定値を確認する場合に移行される。
<(ニ)バックアップ復帰処理ルート(バックアップ復帰モード)>
設定キースイッチ信号および扉開放信号の少なくとも一方の信号がOFF状態であり、かつRAMクリア信号がOFF状態の場合(W(x、y、z)=W(1、0、0)、W(0、1、0)、W(0、0、0)のいずれかの場合)、CPU201は、バックアップ復帰モード移行条件が成立したとして、処理状態を「バックアップ復帰処理ルート(ステップS028)」に移行させる。このバックアップ復帰処理ルートは、設定変更管理処理(ステップS023)、領域内RAMクリア処理(ステップS031)、および設定確認処理(ステップS027)のいずれも実行されることなく、バックアップ復帰処理(ステップS028)が実行される処理ルートとなっており、たとえば、ホール関係者が、設定変更操作、RAMクリア操作および設定確認操作のいずれの操作も行うことなく、電源を復帰させた場合に移行される。
<(ヘ)電源再投入待ち処理ルート(RAMエラーモード)>
上記したように上記(イ)の「設定変更処理ルート」に移行されない場合には、上記(ロ)~(ニ)の「RAMクリア処理ルート」「設定確認処理ルート」「バックアップ復帰処理ルート」のいずれかの処理ルートに移行されることになるが、本実施形態では、これらの処理に先立って、RAM203の内容に異常(RAMエラー)が生じているか否かを判定する「RAMエラー判定処理(ステップS015~S016)」が実行されるようになっている。このRAMエラー判定処理にて、RAMエラーが生じていると判定された場合には、RAMエラーモード(電源再投入待ち処理モード)移行条件が成立したとして、処理状態が「電源再投入待ち処理ルート(ステップS017~S020)」に移行される。電源再投入待ち処理ルートに移行された場合、所定のエラー処理として、たとえば、遊技処理の進行が強制的に停止されるようになっている。
電源再投入待ち処理ルートは、上述したように、RAMの内容に異常が生じた場合に移行される処理ルートであるが、上記設定変更処理ルートに移行される場合には、RAMエラー判定処理が実行されず、したがって、電源再投入待ち処理ルートにも移行されない。詳細は後述するが、設定変更処理ルートに移行した場合、後述する設定変更管理処理(ステップS023)と領域内RAMクリア処理(ステップS031)とが実行されることにより、領域内RAMの全領域(設定値格納領域を含む通常の遊技に係るワーク領域)が実質的に初期化(クリア)されるようになっている。すなわち「設定変更処理ルート」に移行される場合は、たとえRAMのデータが破損していたとしても、その破損データが初期化されることになる。このため、設定変更を行った際には、その後、RAMエラーが生じることがなく、態々、RAMエラー判定処理を実行して、RAMの内容に異常が生じているか否かをチェックする必要がない。このような理由から、設定変更処理ルートに移行される場合には、RAMエラー判定処理が実行されないようにし、無闇にRAMの内容をチェックしないようにして、制御負担を軽減させている。
一方、領域内RAMの特定領域をクリア対象とする「RAMクリア処理ルート」、RAMクリア処理それ自体が実行されない「設定確認処理ルート」、および同処理が実行されない「バックアップ復帰処理ルート」のいずれかに移行される場合には、RAMのデータが破損していたとしても、破損データがクリアされずに残存してしまう可能性がある。その結果、プログラム処理が暴走したり、バックアップデータから正常復帰できないという不具合が生じうる。そこで本実施形態では、設定変更処理ルート以外の処理ルートに移行されるときは、その処理の実行に先立って、RAMの内容を事前にチェックし、RAMの内容に異常が生じている場合には、RAMエラーが生じたとして、処理状態を‘電源再投入待ち処理ルート’に移行させる。これにより、設定変更処理ルート以外の処理ルートに移行された場合であっても、データ破損等に起因した不具合を防止することができる。なお、RAMエラーが生じた場合、電源を再投入し、設定変更処理ルートによるRAMクリアが実行されない限り、RAMエラーが解除されないようになっている(後述の図6A、図8参照)。
図6Aの説明に戻り、上記分岐判定用情報取得処理(ステップS013)を実行した後、処理状態を‘設定変更処理ルート(設定変更処理モード)’に移行させるか否かを判定する(設定変更分岐判定処理:ステップS014)。
この設定変更分岐判定処理では、CP命令により、第1オペランドのWレジスタの値と、第2オペランドで指定する8ビットデータ‘01100001B’とを比較してこれらの差を算出し(SPb2)、その比較結果(減算結果)がゼロであるか否か、すなわち、設定キースイッチ信号、RAMクリア信号、および扉開放信号がすべてON状態であるか否かに応じて処理を分岐させる(SPb3)。なお、SPb2による演算結果がゼロの場合には、Wレジスタのビットパターンが‘01100001B’と同一値、すなわち、設定キースイッチ信号、RAMクリア信号、および扉開放信号がすべてON状態のW(1、1、1)の組合せとなる(W(x、y、z)=W(1、1、1))。一方、SPb2による比較結果がゼロでない場合には、それ以外の組合せとなる。(W(x、y、z)≠W(1、1、1))。
詳しくは、SPb2よる比較結果がゼロ、すなわち「W(x、y、z)=W(1、1、1)」である場合には、ゼロフラグZFに1がセットされ、比較結果がゼロでない、すなわち「W(x、y、z)≠W(1、1、1)」である場合には、ゼロフラグZFに0がセットされる。そして、SPb3のJR命令(「JR NZ,SYSTEM_300」)により、ゼロフラグZFが1である場合(ZF=1)、すなわち、W(1、1、1)である場合には、設定変更モード移行条件が成立したとして、処理状態を設定変更処理ルートに移行させ(後続のプログラム‘SPc1’を実行)、ゼロフラグZFが1でない場合(ZF=0)、すなわち、W(1、1、1)でない場合には、設定変更モード移行条件が成立していないとして、処理状態を後述のRAMエラー判定処理(ステップS015の判定処理)に移行させる(SYSTEM_300にジャンプする)。このように本実施形態では、設定変更処理ルートに移行される場合には、RAMエラー判定処理(ステップS015、S016)が実行されないようになっている。
なお、SPb3では、ジャンプ命令として、16ビット絶対ジャンプの「JP命令」ではなく、8ビット相対ジャンプの「JR命令」を採用している。JP命令では、ジャンプ先のアドレスを絶対アドレス(16ビット(2バイト))で指定するのに対し、JR命令では、ジャンプ先のアドレスを相対アドレス(8ビット(1バイト))で指定するため、JR命令の方が1バイト分プログラム容量を削減できるという利点がある。ただし、JR命令は、ジャンプ先の指定可能な範囲がプログラムカウンタ(PCレジスタ)の場所から-128~+127バイトの範囲となるため、絶対ジャンプのJP命令によりもその範囲が制限される。本実施形態では、プログラム容量を削減の観点から、図26Aおよび図26Bに示すソースコードで使用しているジャンプ命令はすべてJR命令を使用し、少ないメモリ容量を最大限に生かす工夫がなされている。
(イ.設定変更処理ルート(設定変更モード):S014→S021~S024→S030~S032)
図6A~図6B、図10、図26A~図26Bを参照して、上記設定変更処理ルートの処理内容について説明する。なお、図26Aおよび図26Bに示すソースコードにおいて、この設定変更処理ルートによる処理の実行順序を「設定変更時」の欄に係る太矢印と数字とで示してある。以下では、重複記載を避けるために、設定変更処理ルートのうち、ステップS021~S024、ステップS030~S032の処理を中心に説明する。
設定変更処理ルートに移行すると、まず、設定変更中コマンドデータ(BA5AH)を取得し(ステップS021、SPc1)、取得したコマンドデータを、上記コマンド送信処理(_CMDOUT)により演出制御部24に送信する(ステップS022、SPc2)。演出制御部24が設定変更中コマンドを受けると、演出手段を用いて、設定値変更中であること報知する「設定変更中演出」を実行する。たとえば、装飾ランプ45を青色全点灯させ、スピーカ46から「設定変更中です♪」の警報音を出力させ、液晶表示装置36に「設定変更中です」の演出画像を表示させる。なお、演出制御部24は、後述の設定完了コマンド(BA09H)の受信したことを契機に、実行中の設定変更中演出を終了させるようになっている。
次いで、設定変更管理処理(M_SETTI)を実行する(ステップS023)。ここでは、サブルーチンの設定変更管理処理(M_SETTEI)を呼び出して実行する(SPc3)。
(10.設定変更管理処理:図10)
上記ステップS023の設定変更管理処理(M_SETTEI)について説明する。図10は、設定変更管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図10において、CPU201は、まず、後述のバックアップフラグBFをクリアする(ステップS901)。
次いで、入力データ作成処理を実行する(ステップS902)。この入力データ作成処理では、RAMクリアスイッチ98、設定変更スイッチ95、設定キースイッチ96などの入力情報を取得するもので、たとえば、主制御側タイマ割込処理の入力管理処理(図16のS083)を呼び出し実行されるようになっている。
次いで、領域内RAMの設定値格納領域(W_SETTEI)に格納されている設定値Nc(設定値データ)が異常値(00H~05H以外の値)であるか否かを判定する(ステップS903)。本実施形態では、設定変更処理ルートが実行される場合、電源再投入待ち処理ルート(ステップS017~S020:RAMエラー処理)が実行されない。そこで、設定変更操作前に設定値Ncを事前にチェックし、異常が生じている場合には、設定値格納領域をクリアするようになっている(ステップS904)。以下に、ステップS903~S904の処理内容について詳述する。
正常な遊技動作であれば、設定値格納領域には、設定1~6に対応して‘00H~05H(正常値)’のいずれかの設定値データ(設定値Nc)が格納されているはずである。しかし、何らかの不具合により設定値データが破損して、設定1~6のいずれにも対応しない値が設定されている場合もありうる。したがって、設定値Ncが00H~05Hの範囲内にない場合、設定値Ncに何らかの不具合が生じたと判断することができる。
そこで本実施形態では、ステップS903の処理において、設定値Ncが00H~05Hの範囲内にあるか否かを判定する。具体的には、設定値NcをCレジスタに取得した後、CP命令により、Cレジスタの値(設定値Nc)と06Hとを比較してこれらの差を求め、その比較結果(減算結果)が「設定値Nc<06H(減算結果が負)」の場合には(ステップS903:YES)、設定値Ncが正常範囲内の値であるとして、後述のステップS905にジャンプし、一方「設定値Nc≧06H(減算結果が負でない)」の場合には(ステップS903:NO)、設定値Ncが異常値であるとして、設定値格納領域に、初期値の00H(設定1)をセットする(設定値Nc←00H)。なお、設定値の初期値は、設定1(00H)に限らず、設定2~設定6(01H~05H)のいずれの値であってもよい。
ステップS905の処理では、図8に示す第1電源異常チェック処理(_VDDCHK)を実行する(ステップS905)。
次いで、設定変更中(設定変更操作中)であることを示すセキュリティ信号(設定変更中信号および/または扉開放状態中信号)を枠用外部端子基板21から出力し(ステップS906)、続いて、チャタリング防止待ち時間(たとえば、0.12ms程度)をセットする(ステップS907)。そして、チャタリング防止待ち時間が経過するのを待つ(ステップS908、ステップS909:NO)。本実施形態では、設定完了変更スイッチ96がOFFになるまで(後述のステップS916:YES)、ステップS905~S916の処理が高速で繰り返され、その度に設定変更操作があったか否か、つまり、設定変更スイッチ95がOFF→ONに変化したか否かが判定されるが、ステップS907~S909によるチャタリング防止待ち時間を設けることにより、設定変更スイッチ95のチャタリングによる誤検出を防止することができる。
チャタリング防止待ち時間が0になったならば(ステップS909:YES)、上記入力データ作成処理を実行し(ステップS910)、設定変更スイッチ95がON状態であるか否か、つまり、設定変更操作の有無を判定する(ステップS911)。本実施形態では、設定変更スイッチ95のONエッジを検出した場合に設定変更操作が行われたものと判定するようになっている。なお本実施形態では、設定変更スイッチ95の入力情報を取得する入力データ作成処理を、ステップS911の直前のステップS910だけでなく、設定変更管理処理開始時のステップS902でも実行するようになっている。これは、設定変更スイッチ95が押下されたままの状態で設定変更処理が開始された場合に、いきなり設定変更スイッチ95のONエッジが立ってしまったとしても、それをステップS910で空検出することにより、ステップS911の判定処理に影響を与えないようにするためである。
設定変更スイッチ95がON状態でない場合(ステップS911:NO)、設定変更操作がなかったとして、ステップS915の処理に進む。一方、設定変更スイッチ95がON状態である場合(ステップS911:YES)、設定変更操作があったとして、現在の設定値Ncを変更(更新)する(ステップS912)。設定変更中(設定変更操作中)の設定値については、既に説明したように、設定変更スイッチ95を操作するごとに、設定1~6の範囲で循環するように切り替わるようになっている。
そして、ステップS912の処理を終えると、再度、現在の設定値Ncが正常値であるか否かを判定し(ステップS913)、正常値でない場合には(ステップS913:NO)、設定値Ncに設定1に対応する00H(設定1)を設定する(設定値Nc←00H)(ステップS914)。
次いで、現在の設定値Ncに基づいて、設定表示器97に表示する設定表示用データを作成し、出力する(ステップS915)。これにより、設定表示器97には、設定変更中における現在の設定値が表示される。ただし、ここで表示される設定値は、設定値が確定される前の「暫定的な設定値」である。
ステップS915の処理を終えると、設定変更完了スイッチ96がON状態であるか否か、つまり、設定変更操作(設定変更期間)が完了したか否かを判定する(ステップS916)。設定変更完了スイッチ96がON状態でない場合(ステップS916:NO)、設定変更操作が完了していないとして(設定変更操作終了条件未成立)、ステップS905の処理に進み、以後、設定変更完了スイッチ96がON状態となるまで(設定変更操作終了条件が成立するまで)、ステップS905~S916の処理を繰り返し実行する。
設定変更完了スイッチ96がON状態となったならば(ステップS916:YES)、設定値が確定されたとして、現在の設定値Nc(Cレジスタの設定作業値)をRAM203の設定値格納領域に格納する(ステップS917)。
次いで、設定値確定表示処理を実行する(ステップS918)。この設定値確定表示処理では、現在の設定表示用データをクリアするとともに、設定確定LEDの点灯表示用データを出力する。本実施形態の設定確定LEDは、7セグメントLEDである設定表示器97のDP部(デシマルポイント)がその機能を担い、設定変更完了スイッチ96がON状態になると、表示中の設定値が消えて、DP部のみが点灯し、設定値が確定されたことが報知される(設定確定表示)。なお本実施形態では、設定確定時にDP部のみを点灯させる表示態様について説明したが本発明はこれに限らず、設定値が確定したことを識別可能な表示態様であれば、特に限定されない。
次いで、セキュリティ信号(設定変更中信号)の出力を停止するとともに(ステップS920)、設定完了コマンドデータ(BA09H)を取得し(ステップS921)、その取得したコマンドデータを、コマンド送信処理(_CMDOUT)により演出制御部24に送信する(ステップS922)。演出制御部24が設定完了コマンドを受けると、実行中の設定変更中演出を終了させて、設定変更が終了した旨(設定値が確定した旨)を報知する「設定変更完了演出」を、所定期間(所定時間:たとえば、10秒)実行する。たとえば、装飾ランプ45を赤色全点灯させ、スピーカ46から「設定が変更されました♪」等の音声(設定変更完了音)を出力させ、液晶表示装置36に「設定が変更されました」の演出画像(設定変更完了画面)を表示させる。
なお、本実施形態では、設定変更管理処理(ステップS023)が終了した後、後述の領域内RAMクリア処理(ステップS031)によりRAMの所定領域がクリアされるため、RAMクリアコマンド(BA02H)を送信して(図29の設定変更の欄の破線枠参照)、RAMクリア報知演出を実行することが好ましい。このRAMクリア報知演出は、設定変更完了演出の一部として、または設定変更完了演出に付随する形で、あるいは設定変更完了演出が終了した後に報知可能な構成とすることができる。なお、設定変更完了演出を実行せずに、上記RAMクリア報知演出を実行してもよい。上記RAMクリア報知演出としては、たとえば、所定時間(たとえば、10秒)、装飾ランプ45を赤色全点灯させ、スピーカ16からのRAMクリア時の警報音を出力する。また液晶表示装置36には、通常状態時の背景画面(通常演出モード(通常状態)に対応する背景画像)を表示するとともに(低確画面表示)、装飾図柄については、RAMクリア時用の装飾図柄の組合せ(たとえば「731」:RAMクリア時装飾図柄)を表示することができる(第1電源投入時表示態様)。この場合、液晶表示装置36の表示状態については、装飾ランプ45やスピーカ16によるRAMクリア報知が終了した後も、その表示状態(第1電源投入時表示態様(RAMクリア時デモ開始待ち演出))を維持し(デモ開始待ち中)、遊技が開始されずに所定の待機時間(たとえば、180秒)が経過した場合に、デモモード(後述の「客待ち演出(デモ画面)」)に移行させることができる。
そして、設定キースイッチ94がOFF状態になるまで待ち(ステップS923:NO)、設定キースイッチ94のOFF状態が確認されたならば(ステップS923:YES)、設定表示器97の表示(ここでは、設定確定LED(DP部))を消灯させ、設定変更管理処理を抜ける。これにより、一連の設定変更操作が終了したことになる。なお本実施形態では、設定変更完了演出は、設定キースイッチ94がOFF状態であるか否かにかかわらず、所定時間、現出されるようになっている。その後は、図6Aの主制御側メイン処理に戻り、後述のステップS024の処理に進む。
なお、本実施形態では、制御負担を軽減するために、少なくとも遊技開始可能状態が整うまで(後述のステップS036のCTC設定処理が実行されるまで(図16の主制御側タイマ割込処理が開始される前)か、または、少なくともステップS040~S045のループ処理が実行されるまで)、扉開放センサ61がON状態(前枠2が開放状態)であっても、扉開放エラー報知が実行されないようになっている。ただし、セキュリティの観点から、扉開放センサ61がON状態の場合には、扉開放状態であることを示す情報が、セキュリティ信号を利用して、ホールコンピュータHCに送信されるようになっている。
(Ψ:扉開放エラーを報知する場合)
勿論、遊技開始可能状態が整う以前であっても「扉開放エラー報知」を実行可能に構成してもよい。たとえば、装飾ランプ45を赤色全点滅、スピーカ46から「扉が開いています♪」の扉開放警報音を出力し、液晶表示装置36に「扉が開いています」の演出画像を表示させる。ところで、設定変更を行う際には、通常、前枠2を開放してから、設定変更操作を行うことになるが、扉開放エラーを報知可能に構成している場合には、設定変更操作の開始から終了まで、扉開放エラーが生じていることになる。したがって、扉開放エラー報知と、設定変更中演出または設定変更完了演出のいずれを優先的に報知するかという問題が生じるが、処理状態を明確に報知すべく、扉開放エラー報知よりも、設定変更中演出や設定変更完了演出の報知優先順位を高く定めるか、あるいは、扉開放エラー報知は一の演出手段を利用して報知し(たとえば、装飾ランプ45、スピーカ46による音演出と光演出により報知する)、設定変更中演出または設定変更完了演出は他の演出手段を利用して報知する(たとえば、液晶表示装置36による画像表示演出により報知する)、という構成とすることができる。
(変形例1-1)
なお本実施形態では、設定変更用スイッチとして、専用の設定変更スイッチ95を設けた例について説明したが、本発明はこれに限られない。設定変更スイッチ95を設けずに、RAMクリアスイッチ98を設定変更用スイッチとして機能させる、すなわち、RAMクリアスイッチ98を、設定変更用スイッチとして兼用可能な構成としてもよい。この場合、RAMクリアスイッチ98の押圧操作により設定変更操作をすることができる。
(変形例1-2)
また本実施形態では、設定変更完了用スイッチとして、専用の設定変更完了スイッチ96を設けているが、本発明はこれに限られない。設定変更完了スイッチ96を設けずに、設定キースイッチ94を設定変更完了用スイッチとして機能させる、すなわち設定キースイッチ94を、設定変更用スイッチとして兼用可能な構成としてもよい。この場合、設定キースイッチ94のON/OFF操作により、設定変更終了操作をすることができる。本変形例の場合、ステップS916の設定変更完了スイッチ96のON/OFFの判定処理が、設定キースイッチ94のON/OFFの判定処理となる。また、ステップS923の判定処理は、不要になり(図示の破線部の処理を削除すればよい)、制御負担の軽減に繋がる。
(変形例1-3)
また、他のセンサ・スイッチ類、たとえば、遊技球を検出するセンサ(たとえば、センサ34a、35a、52a、43a、または49aなど)を、設定変更完了スイッチとして機能させてもよい。この場合、ステップS916の判定処理において、遊技球を入賞口に手入れするなどをして、当該センサが遊技球を検出したこと(ON状態)を以て、設定値が確定されたと判定すればよい。なお、上記した「変形例1-1」~「変形例1-3」のうち、一の変形例または複数の変形例の組合せを採用することができる。
以上により、設定変更管理処理を終えると、図6AのステップS024の処理に進み、設定変更時コマンド送信アドレステーブル(D_MKCADR2A)のアドレスを取得し(ステップS024)、送信コマンドテーブル選択処理(_MKCADR)を実行する(ステップS030)。このステップS024、S030の処理により、設定変更終了後に係る演出制御コマンド(図29の「設定変更」の欄参照)が送信される。
上記「ステップS024、S030」の処理の内容について、図26Aのソースコードに従い詳細に説明すれば、次のようになる。
設定変更時コマンド送信アドレステーブル(D_MKCADR2A)の先頭アドレスをHLレジスタペアにセットした後(SPd1)、SYSTEM_250にジャンプし(SPd2)、CALLV命令により、送信コマンドテーブル選択処理(_MKCADR)を呼び出し実行する(SPf2)。以下に、設定変更時コマンド送信アドレステーブル、送信コマンドテーブル選択処理について詳細に説明する。
(28A.設定変更時コマンド送信アドレステーブル(D_MKCADR2A):図28A(A))
図28Aを参照して、上記設定変更時コマンド送信アドレステーブルについて説明する。図28A(A)に、設定変更時コマンド送信アドレステーブルを示す。
本実施形態に係る設定変更時コマンド送信アドレステーブルには、設定変更時に送信される演出制御コマンドデータを作成するためデータとして、ループ数(指定対象となるテーブル数)データと、コマンド作成テーブルの先頭アドレスが定められている。本実施形態の場合、指定対象となるテーブルは、同図(B)に示す「スペック指定コマンド作成テーブル(D_SPEC)」と、同図(C)に示す「客待ち中コマンド作成テーブル(D_BA04)」の2種類であるので、ループ数は2である。
(コマンド作成テーブル:図28A(B)(C))
次に、スペック指定コマンド指定コマンド作成テーブル(D_SPEC)、「客待ち中コマンド作成テーブル(D_BA04)について説明する。
上記「スペック指定コマンド作成テーブル(D_SPEC)」と、上記「客待ち中コマンド作成テーブル(D_BA04)」とには、図示のように、加算値データ(ここでは、00H)と、送信すべきコマンドデータとが定められている。
この「加算値データ」とは、基準となるコマンドデータ(基準コマンドデータ)に変更を加える場合に利用されるオフセットデータである。したがって、加算値データが00Hである場合には、基準コマンドデータが実際に送信されるコマンドデータとして取得され、加算値が00Hでない場合には(たとえば、01Hの場合)、基準コマンドデータに加算値を加えたコマンドデータ(この例では、基準コマンドデータ+01H)が実際に送信されるコマンドデータとして取得される。
(11.送信コマンドテーブル選択処理:図11)
続いて図11を参照して、ステップS030の送信コマンドテーブル選択処理(_MKCADR)について説明する。図11は、送信コマンドテーブル選択処理を示すフローチャートである。
図11において、CPU201は、まず、ステップS024(SPd1)で取得した図28A(A)の「設定変更時コマンド送信アドレステーブル」を参照して、ループ数を設定する(ステップS071)。
次いで、設定変更時コマンド送信アドレステーブルを参照して、コマンド作成テーブルを選択する(ステップS072)。ここでは、2回のループにて、図28A(B)のスペック指定コマンド作成テーブルと、図28A(C)の客待中コマンド作成テーブルとが順次選択される。そして、図12に示す第1コマンドデータ作成処理を実行する。
(12.第1コマンドデータ作成処理:図12)
図12に、上記ステップS073の第1コマンドデータ作成処理のフローチャートを示す。第1コマンドデータ作成処理では、図12に示すように、まず、ステップS072で選択したコマンド作成テーブルを参照して、送信すべきコマンドデータを取得し(ステップS076)、続いて、サブルーチンのコマンド送信処理(_CMDOUT)を呼び出して実行し、取得したコマンドデータを演出制御部24に送信する(ステップS077)。ここでは、2回のループにて、スペック指定コマンド作成テーブルに基づく‘F611H(スペック指定コマンドデータ)’と、客待ち中コマンド作成テーブルに基づく‘BA04H(客待ち中コマンドデータ)’とが取得され、これらのコマンドデータが順次、演出制御部24に送信されることになる。すなわち、設定変更操作が完了する前には、設定変更中コマンド(BA5AH)が、設定変更操作が完了した後には、設定完了コマンド(BA09H)、スペック指定コマンド(F611H)、客待ち中コマンド(BA04H)がこの順で、演出制御部24に対して送信されることになる(図29の「設定変更」の記載参照)。なお、上記RAMクリア報知演出を実行する場合には、追加的にRAMクリアコマンド(BA02H)を送信する構成とすることができる。
上記図12の第1コマンドデータ作成処理(ステップS073)を実行した後は、ループ数をデクリメントし(ステップS074)、ループ数がゼロになるまで、ステップS072~S075の処理を繰り返す。そして、ループ数がゼロになったならば(ステップS075:=0)、この送信コマンドテーブル選択処理を抜ける。
なお、図11の送信コマンドテーブル選択処理(_MKCADR)は、後述のRAMクリア処理ルート(ステップS029~S032)が実行される際にも共通利用される。このRAMクリア処理ルートが実行される場合には、設定変更処理ルートで選択される図28Aに示す「設定変更時コマンド送信アドレステーブル」ではなく、後述の「RAMクリア時コマンド送信アドレステーブル(D_MKCADR2)」が選択される(図6BのステップS029、図28B参照)。そして、送信コマンドテーブル選択処理(_MKCADR)が実行され(ステップS030)、目的の演出制御コマンドが送信されるようになっている。
(客待ち演出、メニュー画面について:図43、図37)
演出制御部24が上記客待ち中コマンドを受信した場合、所定の実行条件に基づき、遊技機1に係る遊技の説明やその紹介(デモンストレーション)のためのデモムービーが流れる「客待ち演出(デモ画面)」を現出させる。具体的には、客待ち中コマンドを受信した後、遊技が開始されずに、つまり作動保留球が発生せずに(保留加算コマンドを受信することなく)、所定時間(たとえば、180秒)が経過した場合、客待ち演出を現出させる。通常の遊技中の場合には、上記180秒の待機時間が経過するまでは、今回の図柄変動表示ゲームの終了後に停止した装飾停止図柄の表示状態が引き続き表示され、装飾ランプ45は所定の発光パターンで発光し、スピーカ43は、消音状態(所定の音演出を実行していてもよい)とする「デモ開始待ち演出」が現出され、客待ち演出開始までこの状態が維持される。
一方、電源投入時の処理段階の場合、たとえば、設定変更操作が完了した後は、主制御部20から演出制御部24に対して、設定完了コマンド(ステップS921)に続いて、上記客待ち中コマンドが送信されることになるが、演出制御部24は、少なくとも設定変更完了演出が終了するまでは、客待ち演出を実行しないようになっている。この実施形態の場合、180秒の待機時間を設けているため、この待機時間内に、設定変更完了演出が終了することになるので、特に問題は生じない。なお、設定変更時において上記したRAMクリア報知演出を実行する場合には、このRAMクリア報知演出終了後に、客待ち演出を実行することが好ましい。また、設定変更操作完了後に客待ち中コマンドの受信した場合、上記180秒の待機時間の経過を待って客待ち演出を実行してもよいが、この段階は、専ら、パチンコホール店の開店前の作業中の段階のため、180秒の待ち時間の経過を待たずに、設定変更完了演出を現出する場合にはその演出終了後、設定変更完了演出に続いてRAMクリア報知演出を実行する場合には、RAMクリア報知演出終了後、直ちに、客待ち演出を実行してもよい。
また本実施形態では、デモ開始待ち演出中または客待ち演出中に、遊技履歴の表示や音量調整や光量調整などの遊技に関する設定などが可能な「メニュー画面」を表示制御可能に構成されている(遊技設定モード制御手段:図37~図40、図43参照)。具体的には、デモ開始待ち演出中または客待ち演出中である場合、遊技者からの「メニュー表示要求操作(演出ボタン13の押圧操作)」の有無を監視し、メニュー表示要求操作があった場合には、現在の表示画面から、図43に示す「メニュー画面100」に切り替え表示する。このメニュー画面への切り替え可能なタイミング、すなわち、演出ボタン13の操作受付有効期間は、ボタンLED13bにより、所定の発光態様にて報知される。
図43に、本実施形態に係るメニュー画面を示す。メニュー画面100には、遊技環境に関連する選択項目(メニュー項目)として、図43に示すように、「QRコード(登録商標)発行102a」~「メニュー画面終了102h」の8項目が碁盤目状に表示され、またその下側には、メニュー画面における操作方法を説明するための文字情報(選択、決定)とともに、方向キー75を模した方向キー画像104と、演出ボタン13を模したボタン画像106とが横並びに表示されている。各種のメニュー項目は、方向キー75により選択可能となっており、選択したメニュー項目は強調表示される。これにより、いずれのメニュー項目が選択中であるかを容易に識別することができるようになっている。図示の例では、「本日の出玉ランキング102f」が選択中の例を示してある。そして「QRコード(登録商標)発行102a」~「メニュー画面終了102h」のメニュー項目のいずれかが決定された場合、メニュー項目に応じた情報画面が表示され、所定の遊技設定が可能となっている。これらメニュー画面に関する表示制御は、演出制御部24がその機能部を備えている(遊技設定制御手段)。以下、本発明に関連の深いメニュー項目について説明する。
「音量調整102c」が決定された場合、スピーカ46の音量調整が可能な音量調整画面(図示せず)が表示され、遊技者が好みの音量に調整することが可能(段階的に調整可能)となっている。また「光量調整102g」が決定された場合、装飾ランプ45や液晶画面などの光量(明るさ)調整が可能な光量調整画面(図示せず)が表示され、遊技者が好みの光量に調整することが可能(段階的に調整可能)となっている。
また「本日の遊技履歴102d」が決定された場合、遊技機1に係る所定の遊技情報、たとえば、大当り回数、大当りに当選するまでの回転数、大当り種別、大当り確率などが表示される。遊技者は、「本日の遊技履歴102d」により表示される遊技情報(たとえば、大当り確率)に基づいて、遊技機1の設定値が如何なる設定値であるかの設定推測を行うことができる。
また「本日の出玉ランキング102f」が決定された場合、出玉ランキング表示(図44)が表示される。また「メニュー画面終了102h」が決定された場合、メニュー画面100が終了され、デモ開始待ち演出が表示される。
ここで、本発明に関連の深い、上記出玉ランキング表示について説明する。図44に、出玉ランキング表示の一例を示す。
(出玉ランキング表示:図44)
図44を参照して、本実施形態に係る出玉ランキング表示771には、その表示内容ないし表示項目として、電源投入時から現在までにおける連荘時の総出玉数のランキング上位3位までがランキング表示(ハイスコア画像771bが表示)される。ここで「連荘時の総出玉数」とは、本実施形態の場合、通常状態中の大当り(初当り)を1回目の大当りとカウントして、その大当り遊技中における総賞球数をカウントし、その後、潜確状態、確変状態、または時短状態中において、再度大当り(2回目の大当り)に当選した場合、その大当り遊技中における賞球数を加算していく。以後、確変状態中または時短状態中が連続的に継続していく限り、その期間中に当選した大当りにおける賞球数を累積し、これを連荘時の総出玉数としてカウントする。たとえば、初当りが時短大当りであり、その後の時短状態中に大当りに当選せずに時短状態を抜けた場合には「初当りの大当り遊技中で得られた賞球数」のみが、連荘時の総出玉数としてカウントされる。また、初当り後の潜確状態、確変状態、または時短状態中に、再度、大当り(2回目)に当選した場合は、「初当りの大当り遊技中の総賞球数」+「2回目の大当り遊技中の総賞球数」が、連荘時の総出玉数としてカウントされる。以後、確変状態または時短状態が継続し、その継続期間中に大当りに当選(N回目の大当り)した場合は、その大当り遊技中の賞球数を累積していく。すなわち、「初当りの大当り遊技中の総賞球数」+「2回目の大当り遊技中の総賞球数」+・・+「N回目の大当り遊技中の総賞球数」が、連荘時の総出玉数としてカウントされる。
大当り遊技中の賞球数については、主制御部20から大入賞口50に入賞した際に送信される大入賞口入賞コマンドや、一般入賞口43に入賞した際に送信される一般入賞口入賞コマンド(それぞれ賞球数情報を含むコマンド)により把握可能となっている。本実施形態では、総出玉数のカウント対象として、一般入賞口43および大入賞口50の賞球数対象としているが、少なくとも大入賞口50の賞球数を対象とすればよい。また賞球数ではなく、賞球数からアウト球数を減算した、いわゆる「純増個数」をカウント対象としてもよい。
演出制御部24は、今回の連荘時の総出玉数と、総出玉数の履歴とを比較して、今回の総出玉数が上位3位以内であれば、現在のランキング情報を更新し、これを新たな出玉ランキング表示として液晶画面に表示する。なお、ランキング情報を更新は、大当り遊技終了を契機に実行されるようになっている。演出制御部24は、所定の遊技期間における賞球数をカウントする出玉数カウント手段と、あらかじめ設定したランキング条件に基づき、出玉数カウント手段によりカウントされた賞球数に関する情報を、所定の表示期間(たとえば、出玉ランキング表示の表示期間中)において表示制御するランキング表示制御手段と、を含んで構成されている。
また、出玉ランキング表示771には、連荘時の総出玉数の他、上位3位までに入賞を果たした遊技者に対して、自己のイニシャルや好みの文字(以下、「ハイスコア名」と称する)などを、三文字まで入力可能となっている(図示の「AAA」参照)。この入力画面は、ランキング情報が更新された場合において、たとえば、「本日の出玉ランキング102f」を決定した際に、「ハイスコア更新おめでとう!好きな文字を入力してね」などの祝福画像を表示して、ハイスコア名を入力可能な画面を表示させる。ハイスコア名の入力手段としては、たとえば、英数字などの一覧画面を表示して、その文字群から任意の文字を操作手段(方向キー75や演出ボタン13)を利用して選択決定させるなどの、周知の入力機能を採用すればよい。この入力されたハイスコア名は、図示のように、ネーム画像771aとして表示される(図示は、デフォルトの「AAA」を示す)。なお詳細は後述するが、出玉ランキング表示771は、後述の設定変更示唆演出(終了インターバル画面変化:後述の図52、図53参照)を現出する際にも利用される。そこで、ハイスコア名として、特定の文字を入力した場合、この設定示唆演出(終了インターバル画面変化)を現出可能に構成してもよい。たとえば、「FUJ」と入力した場合、所定の抽選確率で(たとえば、後述の図52の抽選テーブルを用いる)、現在の設定値に関連した画像表示演出を現出させることができる。また、出玉ランキング表示は、本日(電源投入後はランキング表示がゼロから開始)のものであってもよいし、前日のランキング表示が引き継がれるものであってもよい。
(節電モードについて)
上記客待ち演出(デモ画面表示)の開始後、所定の移行条件(節電モード移行条件)を満たすと「節電モード」に移行されるようになっている。この節電モードには、たとえば、客待ち演出の開始後、作動保留球が発生せず、かつメニュー画面(遊技設定画面)に切り替わることなく、所定時間(たとえば、120秒)が経過した場合に移行させる。演出制御部24は、節電モード移行条件を満たした場合、デモモード中(客待ち演出)を終了し、節電モードに移行させるとともに、節電モード専用の演出(節電モード中演出)を現出させる。たとえば、液晶表示装置36に節電用画面(たとえば、液晶画面に「節電中です」の文字表示)を表示させ、装飾ランプ45やその他の演出用LEDの一部またはすべてを消灯させるように制御する(節電制御)。
(領域内RAMクリア処理:ステップS031)
図6Bの説明に戻り、上記した送信コマンドテーブル選択処理(ステップS030)を終えると、次いで、領域内RAMクリア処理を実行する(ステップS031、SPg1~SPg3)。この領域内RAMクリア処理では、通常の遊技処理(図柄変動表示ゲームにや当り遊技に係る処理)で使用するデータを格納するための領域内RAM領域のうち、少なくとも設定値格納領域を除く全領域(通常データ格納領域)を初期化(クリア)して遊技機の動作状態を初期状態に戻す。したがって、領域内RAMクリア処理が実行されても、ベース値(性能表示)に関する処理に利用される領域外RAM(図25参照)はクリアされない。なお、領域内RAMのデータであっても設定値格納領域(設定値データ)はクリア対象とされない。設定値データについての初期化・その変更については、既に説明した図10に示す設定変更管理処理(図6AのステップS023)にて実行されるようになっている。
上述した「通常データ格納領域」には、主として、後述の各種乱数更新処理(ステップS041)と、主制御部側タイマ割込処理(図16)で利用される各種のフラグや動作タイマやカウンタなど、これら遊技進行用データのそれぞれに対応する記憶領域が定められている。遊技進行用データとして代表的なものには、下記のようなデータがある。以下に、代表的な遊技進行用データとして、その一部を例示する。
(A)遊技状態を指定するための各種機能に係るフラグ(開放延長機能の作動状態を指定する「普電役物開放延長状態フラグ」、普通図柄時短機能の作動状態を指定する「普通図柄時短状態フラグ」、普通図柄確変機能の作動状態を指定する「普通図柄確変状態フラグ」、特別図柄時短機能の作動状態を指定する「特別図柄時短状態フラグ」、特別図柄確変機能の作動状態を指定する「特別図柄確変状態フラグ」:遊技状態指定フラグ)
(B)特別図柄時短機能の作動回数をカウントする「特別図柄時短回数カウンタ」、特別図柄確変機能の作動回数をカウントする「特別図柄確変回数カウンタ」、
(C)「大当り抽選や補助当り抽選に係る各種データ(大当り判定フラグ、小当り判定フラグ、普通図柄当り判定フラグ、特別図柄判定データ(当選種別データ)、普通図柄判定データ、特別停止図柄番号(特別停止図柄指定データ)、普通停止図柄番号、各抽選に利用される各種乱数等)」
(D)「特別図柄や普通図柄の変動表示動作状態に係るパラメータ(変動中フラグ、特別図柄動作ステータス、普通図柄動作ステータス、特別図柄動作確認データ、等)」、「現在の遊技状態を特定可能な遊技状態データ(遊技状態番号YJ)」、「作動保留球数(特図1作動保留球数、特図2作動保留球数、普図作動保留球数)」、
(E)「当り遊技の実行に係る各種データ(現在のラウンド数(特別電動役物作動回数)、規定ラウンド数、大入賞口入賞数、条件装置作動フラグ、小当り中フラグ、役物連続作動装置作動フラグ、特別電動役物動作ステータス、ラウンド表示LED番号等)」、「普電開放遊技の実行に係る各種データ(普通電動役物動作ステータス、普通電動役物作動中フラグ等)」
(F)「遊技進行を管理する各種動作タイマ(ベース値表示に関するタイマは除く)」、「入賞球数をカウントする入賞カウンタ」、
(G)「スイッチ・センサ類に係るON/OFFデータ(ベース値表示に係る入賞口等のセンサのON/OFFデータは除く)」、
(H)「各種のエラーフラグ」、「バックアップフラグBF」等である。
いずれにしても領域内RAMクリア処理(ステップS031)が実行されると、設定値格納領域や領域外RAMを除く、通常データ格納領域のすべてのデータが初期状態に設定される。
本実施形態では、図24のアドレスマップに示すように、RAM203における0~255バイトまでが領域内RAMとして規定され、256~511バイトまでが領域外RAMとして規定されている。また本実施形態の場合、領域内RAMの先頭アドレス(0000H番地)が設定値格納領域として1バイト分確保されている。また、領域内RAMのうち、設定値格納領域および通常データ格納領域以外の所定領域が、サブルーチンをコールした際の戻りアドレスを退避させるスタック領域として使用される。具体的には、図26AのSPg3に示す‘ゼロセット処理(_ZEROSET2)’をCALLV命令により呼び出し際の戻りアドレスを退避(PUSH)するためのスタック領域として2バイトが使用される。なお、前述のゼロセット処理(_ZEROSET2)とは、指定されたアドレスのデータをゼロクリアするための処理である。
したがって、領域内RAMのクリア対象領域を、設定値格納領域と、前述の戻りアドレス用のスタック領域として使用される領域分の合計3バイト分を除く必要がある。そこで、領域内RAMクリア処理では、まず、HLレジスタペアに、クリア対象領域の開始アドレスとして、設定値格納領域(W_SETTEI)の次のアドレスをHLレジスタペアにセットし(SPg1)、データをクリア処理するためのゼロセット処理(_ZEROSET2)の処理回数として、253をBレジスタにセットする(SPg2)。そして、CALLV命令により、サブルーチンのゼロセット処理(_ZEROSET2)を呼び出し実行する(SPg3)。これにより、領域内RAMの設定値格納領域と戻り番地退避用のスタック領域とを除く領域(253バイト分)がゼロクリアされる。
なお詳細は後述するが、領域外RAM、すなわち、性能情報に係るRAM領域(計測情報格納領域、性能表示格納領域等)については、領域内RAMクリア処理によるクリア対象とはせずに、主制御側タイマ割込処理中の性能表示モニタ処理(図16のステップS102)にて、領域外RAMの内容がチェックされ、その内容に異常がある場合にRAMクリア処理(領域外RAMクリア処理)が実行されるようになっている(図16のステップS102参照)。これにより、たとえば、当り遊技中や確変状態中で営業時間が終了して、遊技状態を通常状態(初期化)するために、あるいは設定値を変更するために、RAMクリア操作や設定変更操作を行った場合であっても、ベース値に関するデータについてはクリアされずに通常データ格納領域だけがクリアされる。したがって、RAMクリア操作や設定変更操作に左右されずに、電断を跨いで引き継ぐことが可能となっている。
図6Bの説明に戻り、ステップS031の領域内RAMクリア処理を終えると、次いで、領域内RAM(通常データ格納領域)の特定のデータに対して、RAMクリア時における初期値を設定する(電源投入時初期データ設定処理:ステップS032、SPg4~SPg6)。この電源投入時初期データ設定処理では、不図示の「作業領域初期設定テーブル(D_INSET)」の先頭アドレスをHLレジスタペアにセットし(SPg4)、CALLV命令により、指定先のワークエリアに対して、特定データをセットするための‘データセット処理(_DTSET)’を呼び出し実行する(SPg5)。
上記「作業領域初期設定テーブル(D_INSET)」には、領域内RAMの特定のアドレスを指定するアドレスデータと、そのアドレスが指定する格納領域にセットするための初期データとが定められている。「データセット処理(_DTSET)」が実行されることにより、指定先のRAM領域に対して、初期データがセットされる。
本実施形態では、指定先の格納領域として、エラー報知タイマ(W_SGTMER)、特図1停止図柄番号(W_T1STPNO)、および特図2停止図柄番号(W_T2STPNO)が指定され、エラー報知タイマ(W_SGTMER)には30000msがセットされ、特図1停止図柄番号(W_T1STPNO)と特図2停止図柄番号(W_T2STPNO)とには、それぞれ同一の特別停止図柄番号200(特定のハズレ図柄データ:たとえば、ハズレA対応停止図柄データ)がセットされるようになっている(本実施形態では、ハズレ種別として、複数種類のハズレA~Cが設けられている)。ここでのエラー報知タイマは、RAMクリアが実行されたことを示すRAMクリア信号(セキュリティ信号の一つ)の出力時間であり、このRAMクリア信号は、枠用外部端子基板21を通じて、ホールコンピュータHCに出力される。なお本実施形態では、初期データとして、特図1停止図柄番号と特図2停止図柄番号とに同一の特別停止図柄番号をセットしているが、それぞれ異なるハズレ図柄データをセットしてもよい。また、ハズレ図柄データ以外でもよく、たとえば、遊技中には表示することがない特定図柄(RAMクリア時専用図柄)に対応するデータをセットするようにしてもよい。また、非点灯(消灯)のデータ(消灯データ)を設定するようにしてもよい。また、普通図柄に関するデータ(普通停止図柄番号(W_FSTPNO))についても特別図柄と同様に、ハズレの図柄データまたは非点灯のデータなどをセットしてもよい。
そして、SPg5のデータセット処理(_DTSET)を終えると、後述のステップS033(SYSTEM_850)にジャンプする(SPg6)。これにより、設定変更処理ルートを終えて、処理状態は、合流ポイントのステップS033の処理に移行されることになる。
なお、設定変更分岐判定処理(ステップS014)において、設定変更移行モード移行条件が成立していると判定されるためには、前枠2を開放した後、設定キースイッチ94とRAMクリアスイッチ98の双方をONにしたまま、電源を投入することを要する。これは、前枠2を開放して、遊技機内部の電源スイッチ(不図示)をONした後、設定キースイッチ94またはRAMクリアスイッチ98をON操作した場合は、電源投入からそのON操作までに、通常、数秒程度の時間を要する。しかしそのON操作するまでの間に、図7の初期設定処理中のステップS067の処理が実行されて入力ポート1(P_INPT1)の入力情報が取得されてしまうので、少なくとも扉開放信号についてはON状態が検出されるが、設定キースイッチ信号やRAMクリアスイッチ信号についてはOFF状態が検出されてしまう。つまり、設定変更分岐判定処理が実行されるときには、W(1、1、1)以外の組合せが取得され、設定変更分岐判定処理において、設定変更移行モード移行条件が成立していないとして、設定変更処理ルートが実行されないからである。この場合は、図示の通り、ステップS015以降の処理が実行される処理ルートを辿ることになり、以後、設定変更操作が禁止状態に制御される。この場合には、一旦電源を落とした後、設定キースイッチ94およびRAMクリアスイッチ98をON操作したまま、電源を再投入すればよい。なお、設定変更移行モード移行条件が成立したと判断された場合は、その後、設定キースイッチ94およびRAMクリアスイッチ98をOFF状態としても設定変更操作の許容状態は維持される。ただし、設定変更完了スイッチ96に替えて設定キースイッチ94を設定変更完了スイッチに利用する形態の場合には、既に説明したように、設定変更移行モード移行条件成立後、設定キースイッチ94をOFF状態にすると、設定変更期間(設定変更操作)が終了される。
次に、RAMクリア処理ルート(RAMクリアモード)、設定確認処理ルート(設定確認モード)、およびバックアップ復帰処理ルート(バックアップ復帰モード)の各処理ルートについて順次説明していく。本発明の理解を容易なものとするために、まず、これらの処理ルートに先立って実行される「RAMエラー判定処理(ステップS015~S016)」ついて、詳細に説明する。
(RAMエラー判定処理:ステップS015~S016)
既に説明したように、図6AのステップS014の判定結果が、W(1、1、1)以外の組合せである場合、設定変更モード移行条件が成立していないとして、処理状態を、ステップS015~ステップS016の「RAMエラー判定処理」に移行させる(SPb3:ゼロフラグZF=1の場合、SYSTEM_300にジャンプ)。
このRAMエラー判定処理は、処理状態を、ステップS017~S020の‘電源再投入待ち処理ルート(RAMエラーモード)’に移行するか否かを判定する処理である。RAMエラー判定処理では、まず、RAM異常であるか否かを判定するが(ステップS015)、ここで判定対象となるRAM領域のデータは、設定値格納領域(W_SETTEI)の設定値データである。既に説明したように、設定値については、設定1~6の6段階の設定値が規定されており、正常であれば、設定値格納領域(W_SETTEI)には、6段階の設定値に対応する00H~05Hのうち、いずれかの値が格納されているはずである。しかし、何かしらの不具合により、00H~05H以外の異常値が格納されている場合もありうる。
そこで本処理では、CP命令により、設定値格納領域(W_SETTEI)の設定値データと06Hとを比較してこれらの差を算出し(SPh1)、その比較結果が負である場合には(「設定値Nc<06H」の場合)、設定値Ncが正常範囲内の値であるとして、ステップS016の判定処理に進み(SPh2:キャリーフラグCF=1の場合、SPh3の処理を実行)、一方、その比較結果が負でない場合には(設定値Nc≧06Hの場合)、設定値Ncが異常値であるとして、電源再投入待ち処理に係るステップS017~S020の電源再投入待ち処理ルートに移行する(SPh2:キャリーフラグCF≠1の場合、SYSTEM_400にジャンプ)。なお、上記電源再投入待ち処理ルートについての詳細は後述する。
ステップS015の判定処理において、RAM異常でないと判定した場合には(ステップS015:NO)、続いて、バックアップフラグBFが正常値(5AH)であるか否かを判定する(ステップS016、SPh3~SPh4)。このバックアップフラグBFは、後述する第2電源異常チェック処理(図16のステップS081)の処理にて、正常にバックアップ処理が実行された場合に「5AH(正常値)」が領域内RAMのバックアップフラグ格納領域(W_BACKFLG)に設定される。したがって、正常時であれば、バックアップフラグBFが5AHのはずである。しかし何らかの不具合が生じてバックアップフラグBFが正常値でない場合もありうる。そこで本処理では、CP命令により、バックアップフラグBF(W_BACKFLG)の値と、5AH(正常値)とを比較してこれらの差を算出し(SPh3)、その比較結果がゼロである場合には(BF=5AH)、バックアップフラグBFが正常値であるとして、ステップS025の判定処理に進み(SPh4:ゼロフラグZF=1の場合、SYSTEM_600にジャンプ)、一方、その比較結果がゼロでない場合には(BF≠5AH)、バックアップフラグBFが異常値であるとして、後述の電源再投入待ち処理ルートに移行する(SPh4:ゼロフラグZF=0の場合、次のアドレスのSYSTEM_400のSPi1を実行)。
RAM異常ではなく、バックアップフラグBFも正常値(5AH)である場合、図6Bに示すRAMクリア分岐判定処理に移行する(ステップS025、図26BのSYSTEM_600)。このRAMクリア分岐判定処理は、処理状態を‘RAMクリア処理ルート(RAMクリアモード)’に移行させるか否かを判定する処理である。
ここで、RAMクリア分岐判定処理が実行されるのは、Wレジスタの値がW(1、1、1)以外の組合せ、具体的には、図25に示す通り、設定キースイッチ信号(第0ビット)、扉開放信号(第5ビット)、RAMクリア信号(第6ビット)のうち、少なくともいずれか1つがOFF状態の場合(ステップS014の判定結果がNOの場合)である。これらのうち、RAMクリア処理ルート移行条件が成立するためには、少なくともRAMクリア信号がON状態であること、すなわち、第6ビットが1であればよい。
そこでRAMクリア分岐判定処理では、Wレジスタの第6ビットが1であるか否かを判定する。まず、Wレジスタの第6ビットの値をキャリーフラグCFにセットし(SPj1)、次いで、SPj2のJR命令により、キャリーフラグCFが1であれば(CF=1)、RAMクリア処理ルート移行条件が成立したとして、RAMクリア処理ルートの先頭処理であるステップS029の処理、つまり、図26Aに示す‘SYSTEM_200’にジャンプする。しかし、キャリーフラグCFが1でなければ(CF≠1)、RAMクリア処理ルート移行条件が成立していないとして、次の処理であるステップS026の設定確認分岐判定処理、すなわち、図26Bに示すSYSTEM_600のSPk1の処理を実行する。なお、設定確認分岐判定処理(ステップS026)についての詳細については、後述する。
(ロ.RAMクリア処理ルート(RAMクリアモード):S025→S029~S032)
上記RAMクリア処理ルートの処理内容について説明する。なお、図26Aおよび図26Bに示すソースコードにおいて、このRAMクリア処理ルートによる処理の実行順序を「RAMクリア時」の欄に係る太矢印と数字とで示してある。以下では、重複記載を避けるために、RAMクリア処理ルートのうち、ステップS029~S032の処理を中心に説明する。
RAMクリア処理ルートに移行すると、まず、図28BのRAMクリア時コマンド送信アドレステーブル(D_MKCADR2)のアドレスを取得し(ステップS029、SPe2)、次いで、図11の送信コマンドテーブル選択処理(_MKCADR)を実行する(ステップS030、SYSTEM_250のSPf2)。このステップS029のアドレス取得処理と、既に説明した、ステップS024のアドレス取得処理とは、取得するアドレステーブルが異なるだけで、処理内容は実質的に同じである(SPd1、SPe2参照)。
(28B.RAMクリア時コマンド送信アドレステーブル(D_MKCADR2):図28B)
図28Bに、上述のRAMクリア時コマンド送信アドレステーブルを示す。このRAMクリア時コマンド送信アドレステーブルの基本構成は、図28Aに示す設定変更時コマンド送信アドレステーブルと同じであるので、その詳細は適宜省略しながら説明する。
上記RAMクリア時コマンド送信アドレステーブルが参照される場合には、図28B(B)~(D)に示す通り、
(B)「RAMクリアコマンド作成テーブル(D_BA02)」、
(C)「スペック指定コマンド作成テーブル(D_SPEC)」、
(D)「客待ち中コマンド作成テーブル(D_BA04)」、
の3種類のコマンド作成テーブルが順次選択され(ループ数は3)、これらコマンド作成テーブルに定められているコマンドデータが、3回のループにて、順次、演出制御部24に送信される(図11の送信コマンドテーブル選択処理参照)。すなわち、RAMクリア処理ルートでは、演出制御部24に対して、RAMクリアコマンド(BA02H)、スペック指定コマンド(F611H)、客待ち中コマンド(BA04H)の3種類のコマンドがこの順で送信されることになる(図29の「RAMクリア」の記載欄参照)。
なお、演出制御部24が上記RAMクリアコマンド(BA02H)を受けると、演出モードを初期状態の「通常演出モード」に設定し、演出状態を初期状態に戻すとともに、演出手段を用いて、RAMクリア報知演出(RAMクリアに対応したエラー報知)を、所定時間(たとえば、10秒)実行する。たとえば、装飾ランプ45を赤色全点灯させ、スピーカ46からのRAMクリア時の警報音を出力させ、液晶表示装置36に「RAMクリア中です」などの演出画像を表示させる。また、ステップS029では、RAMクリアコマンドを送信するとともに、客待ち中コマンドを送信しているが、このタイミングでは客待ち演出を実行せず、少なくともRAMクリア報知演出を実行した後で、客待ち演出を実行する。たとえば、警報音をフェードアウトするとともに、液晶表示装置36に、デモ開始待ち演出(客待ち演出開始(デモ画面表示開始)までの待機時間180秒を待つ場合)、あるいはデモ画面(待機時間180秒を待たずに直ちに客待ち演出を開始する場合)を表示する。いずれにしてもRAMクリア報知演出が最優先で実行されるようになっている。
上記送信コマンドテーブル選択処理(ステップS030)を終えると、既に説明した設定変更処理ルートと同じく、領域内RAMクリア処理(ステップS031、SPg1~SPg3)、電源投入時初期データ設定処理(ステップS032、SPg4~SPg6)を実行する。これにより、RAMクリア処理ルートを終えて、処理状態は、合流ポイントのステップS033(SYSTEM_850)の処理に移行されることになる。
なお、本実施形態に係る領域内RAMクリア処理(ステップS031)において、領域内RAMのうち設定値格納領域(W_SETTEI)は初期化されない。したがって、RAMクリア処理ルートが実行される場合には、電源遮断時の設定値が変更されることなく、その他の遊技データ(通常データ格納領域に係るデータ)だけがクリアされる。たとえば、設定値は前回の電源遮断時の同一値のままであるが、遊技状態や保留データなどは初期化された状態(通常状態、かつ保留データ無しの初期状態)で遊技が開始されることとなる。これにより、たとえば、前日の営業から設定値だけを引き継ぎたい場合は、態々、作業工程の多い設定変更操作をしなくとも、RAMクリアスイッチ98のON/OFF操作という簡易操作でクリア作業が済む、という利点がある。
図6BのRAMクリア分岐判定処理(ステップS025)の説明に戻る。RAMクリア分岐判定処理にて、RAMクリア処理ルート移行条件が成立していない場合、すなわち、図26BのSPj1で得られたWレジスタの第6ビットの値が0である場合(キャリーフラグCF≠1)、ステップS026の設定確認分岐判定処理、すなわち、図26BのSPk1の処理を実行する。
この設定確認分岐判定処理は、処理状態を‘設定確認処理ルート(設定確認モード)’に移行させるか、‘バックアップ復帰処理ルート(バックアップ復帰モード)’に移行させるかを判定する処理である。具体的には、Wレジスタの値がW(1、1、0)の組合せ、つまり、設定キースイッチ信号(第0ビット)と扉開放信号(第5ビット)とがON状態であるか否かを判定する(ステップS026)。Wレジスタの値がW(1、1、0)の組合せである場合には(ステップS026:YES)、設定確認モード移行条件が成立したとして、ステップS027の「設定確認処理」を実行し、それ以外であれば(ステップS026:NO)、設定確認モード移行条件が成立せずにバックアップ復帰モード移行条件が成立したとして、後述のステップS028の「バックアップ復帰処理」を実行する。
上記設定確認分岐判定処理を図26Bに示すソースコードに従い説明すれば、CP命令により、第1オペランドのWレジスタの値と、第2オペランドで指定する8ビットデータ‘00100001B’とを比較してこれらの差を算出し、その比較結果(減算結果)がゼロである場合、すなわち、W(1、1、0)である場合には、ゼロフラグZFに1をセットし、ゼロでない場合、すなわち、W(1、1、0)でない場合には、ゼロフラグZFに0をセットする(SPk1)。そして、SPk2のJR命令により、ゼロフラグZFが1であれば、設定確認モード移行条件が成立したとして、次の処理であるSYSTEM_650(SPm1~SPm20)のプロラグム、すなわち、ステップS027の設定確認処理を実行する。しかし、ゼロフラグZFが1でなければ(ゼロフラグZF=0)、設定確認モード移行条件が成立していない、換言すれば、バックアップ復帰モード移行条件が成立したとして、処理状態を後述のバックアップ復帰処理(ステップS028)に移行させる(SYSTEM_800にジャンプ)。
(ハ.設定確認処理ルート(設定確認モード):S026→S027)
図6B、図13、図26A~図26Bを参照して、ステップS027の設定確認処理について説明する。図13は、設定確認処理の詳細を示すフローチャートである。なお、図26Aおよび図26Bに示すソースコードにおいて、この設定確認処理ルートによる処理の実行順序を「設定確認時」の欄に係る太矢印と数字とで示してある。以下では、重複記載を避けるために、設定確認処理ルートのうち、ステップS027の設定確認処理を中心に説明する。
図13において、CPU201は、まず、設定確認中コマンドデータ(E021H)を、DEレジスタペアにセットし(ステップS930、SPm1)、その取得したコマンドデータを、コマンド送信処理(_CMDOUT)により演出制御部24に送信する(ステップS931、SPm2)。演出制御部24が設定確認中コマンドを受けると、演出手段を利用して、設定確認中演出を実行する。たとえば、液晶表示装置36に「設定確認中です」などの演出画像を表示する。
(Ω:扉開放エラーを報知する場合)
ところで、扉開放エラーを報知可能に構成している場合、設定値を確認する際にも、既に説明した設定変更時と同様に、扉開放エラー報知と設定確認中演出のいずれを優先報知するかという問題が生じるが、処理状態を明確に報知すべく、既に説明した設定変更中演出や設定変更完了演出と同事象のように、扉開放エラー報知よりも設定確認中演出の報知優先順位を高く定めるか、あるいは扉開放エラー報知は一の演出手段を利用して報知し、設定変更完了演出は他の演出手段を利用して報知する、という構成とすることができる。
次いで、設定値格納領域(W_SETTEI)から設定値データをCレジスタに取得する(ステップS932、SPm3)。
次いで、CALLV命令により、サブルーチンの第1電源異常チェック処理(_VDDCHK)を呼び出し実行する(ステップS933、SPm4)。
次いで、設定キースイッチ信号(設定キースイッチ94)がON状態であるか否かを判定する(ステップS934~S936、SPm5~SPm7)。具体的には、入力ポート1(P_INPT1)のデータをAレジスタに転送し(SPm5)、Aレジスタに転送された入力ポート1(P_INPT1)の8ビットデータと、マスクデータ「00000001B」の論理積(AND)をとり、設定キースイッチ信号に対応する第0ビット以外のビットをマスクする(SPm6)。これにより、現在の設定キースイッチ信号のON/OFF状態が、Aレジスタに取得される。
設定キースイッチ信号がON状態であれば、上述のSPm6のマスク処理に得られたAレジスタの値が「00000001B」となり、ゼロフラグZFに0がセットされる(ZF=0)。この場合、SPm7のJR命令により、SPm8に移行し、Aレジスタに、第2オペランドで指定する8ビットデータ‘00000010B’をセットする(SPm8)。次いで、外部端子ポート2(P_GAIBU2)に対して、Aレジスタの「00000010B」を出力する(SPm9)。外部端子ポート2(P_GAIBU2)は、たとえば、第0ビットが設定変更中信号、第1ビットがセキュリティ信号(たとえば、設定確認中信号)出力用の情報端子となっている。したがって、SPm9により、枠用外部端子基板21からセキュリティ信号がホールコンピュータHCに出力されることになる(ステップS937参照)。
次いで、設定確認中に、設定表示器97に表示する設定表示用データを作成し(ステップS938)、そのデータを出力制御し、現在の設定値Ncを設定表示器97に表示する(ステップS939)。
上記ステップS938~S939の処理について、図27(A)を用いて、ソースコードに沿って説明する。図27(A)に、図26Bに示すソースコードから、ステップS932,S938~S939の処理に対応するソースコード(SPm3,SPm10~SPm14)をピックアップしたものを示す。
図27(A)を参照して、CPU201は、まず図27(B)に示す設定表示データテーブル(D_7SEGDATA)の先頭アドレスをHLレジスタペアにセットする(SPm10)。この設定表示データテーブルには、図27(B)に示すように、設定1~6に対応する7セグ用の表示パターンデータが定められている。
次いで、Cレジスタに格納されている設定値データ、つまり、SPm3(ステップS932参照)で取得した設定値データをAレジスタに転送する(SPm11)。次いで、上述のHLレジスタペアの値(設定表示データテーブルの先頭アドレス)とAレジスタの値(設定値データ)とを加算した値(HL+A)により指定されるアドレスの内容を、Wレジスタにセットする(SPm12)。すなわち、設定表示データテーブルの先頭アドレス(1のLED表示パターン)が基準アドレスであり、Aレジスタの設定値データ(設定1~6に対応する00H~05Hのいずれかの値)が基準アドレスに対するオフセット値として作用する。たとえば、現在の設定値が3であれば、Aレジスタ(オフセット値)が02Hであるので、設定表示データテーブルの先頭アドレスに02Hを加算して得られたアドレスが指定するLEDデータ「01001111B(‘3’のLED表示パターン)」がWレジスタにセットされる。そして、設定表示器97表示用のダイナミック点灯コモンC3をON状態に設定するためのビットデータ‘00010000B(b4-b7:ダイナミック点灯コモン0~3)’をAレジスタにセットする(SPm13)。
次いで、WレジスタのLED表示パターンデータをダイナミック点灯データ用のLEDデータポート(P_LED)に出力し、Aレジスタのダイナミック点灯コモンデータをLEDコモンポート(P_LEDCMN)に出力する(ステップS939、SPm14)。なお、SPm14に示すニモニック「OUTW (p)、WA」のオペレーションは「(p+1、p)←WA」(‘p’は、I/Oポートアドレスを示す)となっている。
上記のSPm10~SPm14により、現在の設定値Ncが設定表示器97に表示されることになる。なお、設定確認中の設定表示には、設定確定LED(DP部)は点灯や点滅表示をさせないことが好ましい。これは、設定確認中の設定表示は、既に確定された設定値を表示するものであり、設定確認中においてもDP部を点灯させると、設定変更操作により設定値が確定時の表示であるのか、設定確認中の表示であるのか、表示上の混同が生じる恐れがあるからである。
そして、SPm14を終えると、SYSTEM_700にジャンプし(SPm15)、以後、設定キースイッチ信号(設定キースイッチ94)のOFF状態が確認されるまで(ステップS936の判定がNOとなるまで)、SPm4~SPm15(ステップS933~S939の処理)を繰り返し実行する。すなわち、設定確認(設定確認期間)が終了するまで、ステップS933~S939の処理を繰り返し実行し、設定表示器97に現在の設定値を表示し続ける(設定確認表示)。
ステップS936の説明に戻り、設定キースイッチ94がOFF状態となった場合には(ステップS936:NO)、上述のSPm6のマスク処理に得られたAレジスタの値が「00000000B」となり、ゼロフラグZFに1がセットされる(ZF=1)。この場合、設定確認が終了したとして、SYSTEM_750にジャンプし(SPm7)、ステップS940~S943の設定確認終了処理を実行する。
ここでは、設定確認終了処理として、まず、WAレジスタペア同士の排他的論理和(XOR)を求めてWAレジスタペアの値を0000Hに更新した後、その更新値を用いて、LEDコモンポート(P_LEDCMN)と、外部端子ポート2(P_GAIBU2)とをゼロクリアする(SPm16~SPm18)。これにより、設定表示器97による設定確認表示が終了(消灯)されるとともに、セキュリティ信号が停止される(ステップS940、S941)。本実施形態では、設定確認後(設定キースイッチ信号(設定キースイッチ94)のOFF状態の確認後)、直ちに設定値の表示を終了させているが、これは、設定確認の場合、設定変更のように、設定値そのものが変更されることがなく、設定変更後のように最終的な設定値(確定した設定値)を報知する必要性に乏しいからである。そこで、設定確認が終了した場合には(設定キースイッチ信号(設定キースイッチ94)OFF状態の確認後)、設定変更後のように設定値を所定時間表示する処理(図10のステップS918)を行うことなく、直ちに設定値の表示を終了させるようになっている(ステップS936:NO→S940)。これにより、プログラム容量の削減、制御負担の軽減に寄与することができる。
次いで、Eレジスタをインクリメントする(SPm19)。このSPm19が実行されるときは、Eレジスタには、SPm1(ステップS930)にて取得した設定確認中コマンドデータ(E021H)の下位バイトの値「21H」がセットされているので、SPm19のINC命令により、Eレジスタの値が「22H」に更新されることになる。これにより、DEレジスタペアには、Dレジスタの値が「E0H(SPm1参照)」、Eレジスタの値が「22H」である「E022H」、すなわち、‘設定確認終了コマンド’データが取得される(ステップS942、SPm1、SPm19)。そして、このコマンドデータを上記コマンド送信処理(_CMDOUT)により、演出制御部24に送信し(ステップS943、SPm20)、これにより、一連の設定確認期間が終了したことになる。演出制御部24が設定確認終了コマンドを受けると、設定確認中演出を終了させる。これにより、一連の設定確認期間が終了したことになる。なお、演出制御部24が確認終了コマンドを受信した場合、単に、実行中の設定確認中演出を終了させるだけでもよいが、演出手段を利用して、「設定確認終了演出」を所定期間(所定時間:たとえば、5秒)行ってもよい。たとえば、装飾ランプ45を黄色全点灯させ、スピーカ46から「設定確認が終了しました♪」などの音声(設定確認完了音)を出力させ、液晶表示装置36に「設定確認が終了しました」などの演出画像(設定確認完了画面)を表示させることができる。
以上の設定確認処理を終えると、処理状態は、次に述べる「バックアップ復帰処理」に移行する(ステップS028)。
(ニ.バックアップ復帰処理ルート(バックアップ復帰モード):バックアップ復帰処理(ステップS028)実行ルート)
次に図6B、図14、図26A~図26Bを参照して、上記バックアップ復帰処理ルートの処理内容について説明する。図14は、バックアップ復帰処理を示すフローチャートである。なお、図26Aおよび図26Bに示すソースコードにおいて、このバックアップ復帰処理ルートによる処理の実行順序を「バックアップ復帰時」の欄に係る太矢印と数字とで示してある。以下では、重複記載を避けるため、バックアップ復帰処理ルートのうち、ステップS028のバックアップ復帰処理を中心に説明する。
ステップS028のバックアップ復帰処理が実行される処理ルートには、既に説明したように、(I)ステップS027の設定確認処理を経て、このバックアップ復帰処理が実行されるルートと、(II)設定変更処理ルートに係る設定変更管理処理(ステップS023)、RAMクリア処理ルートに係る領域内RAMクリア処理(ステップS031)、および設定確認処理ルートに係る設定確認処理(ステップS027)のいずれもが実行することなく、バックアップ復帰処理が単独で実行される処理ルートと、が存在するが、ここでのバックアップ復帰処理ルートとは、後者の単独でバックアップ復帰処理が実行される処理ルートを意味する。したがって、バックアップ復帰処理ルートは、図25に示すように、W(x、y、z)が、W(1、0、0)、W(0、1、0)、W(0、0、0)のいずれかの場合に実行される。
図26Bにおいて、CPU201は、まず、バックアップ復帰時に係る演出制御コマンドを送信するための「バックアップ復帰時コマンド処理(M_MKINFO)」を呼び出し実行する(SPn1)。このバックアップ復帰時コマンド処理(M_MKINFO)は、SPn1~SPn4を含んで構成され、これらプログラムにより、図14のステップS951~S957の処理を実現する。
図14を参照しながら、SPn1の「バックアップ復帰時コマンド処理(M_MKINFO)」について説明する。バックアップ復帰時コマンド処理(M_MKINFO)は、図14に示すステップS951~S956の処理を中心に構成される。
図14において、CPU201は、まず、図28Cに示すバックアップ復帰時コマンド送信アドレステーブル(D_MKCADR1)のアドレスを取得し(ステップS951)、次いで、既に説明した図11の送信コマンドテーブル選択処理(_MKCADR)を実行する(ステップS952)。このステップS951~S952の処理と、既に説明した、図6BのステップS029~S030の処理内容とは、取得するコマンド送信アドレステーブルが異なるだけで、実質的に同じである。
(28C.バックアップ復帰時コマンド送信アドレステーブル(D_MKCADR1):図28C)
図28Cに、上述のバックアップ復帰時コマンド送信アドレステーブルを示す。このバックアップ復帰時コマンド送信アドレステーブルの基本構成は、既に説明した図28Aの設定変更時コマンド送信アドレステーブルや、図28BのRAMクリア時コマンド送信アドレステーブルと同じであるので、その詳細は適宜省略しながら説明する。
上記送信コマンドテーブル選択処理(_MKCADR)において、バックアップ復帰時コマンド送信アドレステーブルが参照される場合には、図28C(A)に示す通り、
図28C(B)の「停電復帰表示コマンド作成テーブル(D_BA03)」、
図28C(C)の「特図1保留数指定コマンド作成テーブル(D_B0C0M)」、
図28C(D)の「特図2保留数指定コマンド作成テーブル(D_B1C0M)」、
の3種類のコマンド作成テーブルがこの順で選択され(ループ数は3)、これらコマンド作成テーブルに定められているコマンドデータが、3回のループにて、順次、演出制御部24に送信される(図11の送信コマンドテーブル選択処理参照)。すなわち、バックアップ復帰処理ルートでは、演出制御部24に対して、まず、停電復帰表示コマンド(BA03H)、特図1保留数指定コマンド(B0xxH)、特図2保留数指定コマンド(B1xxH)の3種類のコマンドがこの順で送信されることになる(図29の「バックアップ復帰」の記載欄参照)。
ここで、停電復帰表示コマンドについては、図28C(B)に示す通り、加算値データが0であるので、コマンドデータとして、基準コマンドデータのBA03Hが送信される。しかし、特図1保留数指定コマンドと、特図2保留数指定コマンドについては、図28C(C)(D)に示す通り、加算値データが‘W_T1GONUM’、‘W_T2GONUM’の値に応じて、基準コマンドデータのB001H、B101Hが変化する。これについて、以下に詳述する。
図28C(C)の特図1保留数指定コマンド作成テーブルの‘W_T1GONUM’は、領域内RAMの特図1保留数データ格納領域であり、図28C(D)の特図2保留数指定コマンド作成テーブルの‘W_T2GONUM’は、領域内RAMの特図2作動保留球数データ格納領域である。したがって、‘W_T1GONUM’と、‘W_T2GONUM’は、現存する作動保留球(0個~4個(最大保留記憶数))の個数に応じて、その値が変動する。
このため、特図1作動保留球指定コマンド作成テーブルが参照される場合には、電断時(バックアップ時)の特図1作動保留球数0~4個に対応する00H~04Hのいずれかの値が加算値データとして取得され、特図2作動保留球指定コマンド作成テーブルが参照される場合には、同様にして、特図2作動保留球数0~4個に対応する00H~04Hのいずれかの値が加算値データとして取得される。よって、特図1保留数指定コマンドは、B001H~B005Hのいずれかとなり、また、特図2保留数指定コマンドは、B101H~B105Hのいずれかとなり、この加算後のコマンドデータが演出制御部24に送信される。これにより、演出制御部24に対して電断時の作動保留球数が正しく通知され、演出制御部24は、特図1作動保留球指定コマンドと特図2作動保留球指定コマンドとに基づいて、図5に示す保留表示領域76の保留表示部a1~d1と、保留表示領域77の保留表示部a2~d2とに対して、作動保留球数に対応する保留アイコンを点灯表示させることができる。
また、演出制御部24が停電復帰表示コマンド(BA03H)を受けると、演出手段を利用して、復旧が完了した旨を報知する「復旧完了演出」を現出させる。たとえば、液晶表示装置36に「停電から復帰しました 遊技を再開してください」などの演出画像を所定時間表示する。
そして、ステップS952の送信コマンドテーブル選択処理を終えると、次いで、第2コマンドデータ作成処理を実行する(ステップS953)。
(15.第2コマンドデータ作成処理:図15)
図15に、第2コマンドデータ作成処理のフローチャートを示す。この第2コマンドデータ作成処理では、図15に示すように、まず、スペック指定コマンドデータ(F611H)を取得し(ステップS961)、取得したコマンドデータを、コマンド送信処理(_CMDOUT)により演出制御部24に送信する(ステップS962)。
次いで、復帰時遊技状態指定コマンドデータ(FAxxH~FExxH)を取得し(ステップS963)、取得したコマンドデータを、コマンド送信処理(_CMDOUT)により演出制御部24に送信する(ステップS964)。なお、復帰時遊技状態指定コマンド(FAxxH~FExxH)は、たとえば、バックアップ時の遊技状態番号YJを指定するコマンドであり、通常状態(低確率・電サポ無し)の場合は「FA01H」、確変状態(高確率・電サポ有り)の場合は「FB01H」、時短状態(低確率・電サポ有り)の場合は「FC01H」、潜確状態(高確率・電サポ無し)の場合は「FD01H」が送信される。演出制御部20は、この復帰時遊技状態指定コマンドデータに基づき遊技状態を把握して、液晶表示装置36に対して、その遊技状態に対応する演出モードの背景画像を表示させ、また装飾図柄については、バックアップ復帰時用の装飾図柄の組合せ(たとえば「315」:復帰時用装飾図柄)を表示させる(第2電源投入時表示態様(RAMクリア時デモ開始待ち演出))。バックアップ復帰後は、正常に遊技動作が開始されるため、バックアップ復帰後の処理状態に応じて、主制御部20から送られてくる演出制御コマンドに応じた演出制御処理が実行されることになる。なお、上述の第2電源投入時表示態様を、RAMクリア時の第1電源投入時表示態様と同じ表示態様とし、バックアップ復帰後の最初の図柄変動表示ゲームが開始されるまで、その表示態様を維持してもよい。この場合は、設定変更の有無が秘匿可能となる。そして、ゲームが開始されずに180秒経過したならば、客待ち演出を実行してもよい。
図14の説明に戻り、ステップS953の第2コマンドデータ作成処理を終えると、次いで、特別図柄(特図1、2の双方)が非変動中であるか否かを判定する(ステップS954)。
非変動中であるか否かを判定については、領域内RAMの特別図柄動作ステータス格納領域(W_TJOBST)の特別図柄動作ステータスを取得し、取得したステータス値が非変動中であることを指定するステータス値であるか否かを判定する。この「特別図柄動作ステータス」とは、特別図柄の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態(特別図柄の変動表示動作の処理状態)に応じて変更され、特別図柄動作ステータス格納領域(W_TJOBST)に格納される。特別図柄動作ステータスには、特別図柄の挙動が次回変動のための待機状態である旨を指定する「待機中(01H)」、特別図柄の挙動が変動(変動表示)中である旨を指定する「変動中(02H)」、特別図柄の変動が終了して停止(確定)表示中(特別図柄確認時間中)である旨を指定する「確認中(03H)」、特別図柄が待機中であり、かつ保留記憶無しの状態となった旨を指定する「客待ち(00H)」などがある(後述の図16の特別図柄管理処理参照)。特別図柄が非変動中である場合には、特別図柄動作ステータスが、待機中の01Hか、または客待ち中の00Hとなるが、本判定処理においては、客待ち中指定の「00H」であるか否かを判定する。
ステップS954の判定処理の説明に戻り、特別図柄が非変動中である場合、つまり特別図柄動作ステータスが客待ち中指定の「00H」である場合(ステップS954:YES)、客待ち中コマンドデータ(BA04H)を取得し(ステップS955)、その取得したコマンドデータを、コマンド送信処理(_CMDOUT)により演出制御部24に送信する(ステップS956)。
以上のように、バックアップ復帰時には、ステップS951~S953の処理により、まず、BA03H(停電復帰表示コマンド)、B0xxH(第1特別保留個数指定コマンド:‘xx=01H~05H’)、B1xxH(第2特別保留個数指定コマンド:‘xx=01H~05H’)、F611H(スペックコマンド)、FAxxH~FExxH(復帰時遊技状態指定コマンド)がこの順で順次送信され、特別図柄が変動中でなければ、BA04H(客待ち中コマンド)が追加的に送信されるようになっている(図29の「バックアップ復帰」の記載欄参照)。
ステップS956のコマンド送信処理を終えると、続いて、バックアップ復帰時RAMクリア処理を実行する(ステップS957、SYSTEM_800(SPn2~SPn4))。一方、特別図柄が非変動中でない場合、つまり特別図柄動作ステータスが客待ち中指定の「00H」でない場合(ステップS954:NO)、特別図柄が、変動中や次変動開始待ちの待機状態中であるとして、客待ち中コマンドは送信せずに、バックアップ復帰時RAMクリア処理を実行する(ステップS957)。
バックアップ復帰時RAMクリア処理では、バックアップ復帰時において、領域内RAMの特定領域をクリアする。本実施形態では、図示はしていないが、領域内RAMの先頭アドレス(0000H番地)が設定値格納領域(W_SETTEI)、0001H番地がバックアップフラグBFの格納領域(W_BACKFLG)、そして、0002H番地~特定の番地(たとえば、0021H番地)までが、バックアップ復帰時にクリアすべきエラー関連の特定のデータ格納領域となっている。たとえば、0002H番地~0021H番地は、W_PWRCNT(後述の図17に示す電源異常確認カウンタ)~W_SWFTMR3(入賞口エラー検出タイマ3)が割り当てられており、この範囲には、電波エラー、磁気エラー、振動エラーを検出するための検出タイマやエラー報知タイマなどの特定のエラーに係る格納領域などが定められている。
バックアップ復帰時RAMクリア処理では、図26BのSYSTEM_800のSPn2~SPn4に示すように、まず、W_BACKFLG(バックアップフラグBFの格納領域)のアドレスをHLレジスタペアにセットし(SPn2)、次いで、既に説明した「ゼロセット処理(_ZEROSET2)」における処理回数として、‘W_SWFTMR3(入賞口エラー検出タイマ3)のアドレス-W_BACKFLGのアドレス+1’をBレジスタにセットし(SPn3)、ゼロセット処理(_ZEROSET2)を呼び出して実行する(SPn4)。これにより、バックアップフラグBFの格納領域~上記エラー関連の特定の格納領域(ここでは、W_SWFTMR3)までがゼロクリアされる。
このように本実施形態では、バックアップ復帰時において、特定のエラー関連のワーク領域だけを初期化することにより、電断前の特定エラー情報(電波エラー情報など)を持ち越さないようになっている。これにより、特定のエラーに関しては、単に電源を再投入するだけで、つまりバックアップ復帰処理を実行されるだけで解消することができるようになっている。ただし、設定値データやバックアップフラグBFに異常がある場合には、ステップS015~S016のRAMエラー判定処理により、後述の電源再投入待ち処理(ステップS017~ステップS020)が実行され、電源を再投入して設定変更操作が実行されない限り、そのエラーを解除することができないようになっている。
以上により、バックアップ復帰時RAMクリア処理を終えると、処理状態は、合流ポイントのステップS033の処理に移行されることになる。
(ホ.電源再投入待ち処理ルート(RAMエラーモード):ステップS017~S020))
次に図6A、図26A~図26Bを参照して、上記電源再投入待ち処理ルートの処理内容について説明する。なお、図26Aおよび図26Bに示すソースコードにおいて、このRAMエラー処理ルートによる処理の実行順序を「RAMエラー時」の欄に係る太矢印と数字とで示してある。以下では、重複記載を避けるために、ステップS017~S020の処理を中心に説明する。
電源再投入待ち処理ルートに移行するケースは、既に説明したように、「ステップS015の判定処理においてRAM異常であると判定された場合か、またはステップS016の判定処理において、バックアップフラグBFが正常値(5AH)でないと判定された場合である。
電源再投入待ち処理ルートでは、まず、電源再投入コマンドデータ(BA07H)をDEレジスタに取得し(ステップS017、SPi1)、その取得したコマンドデータを、コマンド送信処理(_CMDOUT)により演出制御部24に送信する(ステップS018、SPi2)。演出制御部24が電源再投入コマンドを受けると、RAMエラー報知(電源再投入指示演出)として、液晶表示装置36に「RAMエラー 電源を再投入して設定値を1に決定してください」などの演出画像を表示し、演出用LEDを全消灯し、スピーカ46を消音状態にする。
次いで、バックアップフラグBF(W_BACKFLG)をゼロクリアし(ステップS019、SPi3)、図8の第1電源異常チェック処理(_VDDCHK)を呼び出して実行する(ステップS020、SPi4)。
ただし、図8の第1電源異常チェック処理を実行した後は、この第1電源異常チェック処理を無限に繰り返す電源再投入待ち状態下に置かれるようになっている(SPi5参照)。つまり、RAM203の記憶内容に異常(RAMエラー)が発生した場合には、WDTクリア処理(ステップS701)と電源異常確認処理(ステップS702~S703)とを無限に繰り返す電源再投入待ち状態下に置かれる。したがって、電源投入時にRAMエラーが発生した場合には、以後、遊技進行に係る処理が進行せず、電源が再投入されるまで(本実施形態の場合、ステップS023の設定変更管理処理が実行されるまで)遊技動作が停止することになる(遊技停止処理)。なお、RAMエラーが発生した場合には、電源異常信号が確認されるまでWDTクリア処理を実行し、無限ループ処理を繰返しているタイミングで、WDTリセットが生起しないようになっている。そのため仮に、設定値データやバックアップデータが破損状態のままであれば、そのまま電源を再投入しても、破損したデータが残存したままであり、電源投入の際に、設定変更処理ルートが実行されない限り、すなわち、電源再投入時において、W(1、1、1)に設定されない限り、再度、電源再投入待ち処理(ステップS017~S020)が実行されることになる。したがって、一度RAMエラーが生じると、単に電源を再投入してもRAMエラーが解消されず、ステップS023の設定変更管理処理が実行され、設定値格納領域を含むワークエリアがクリアされない限り、RAMエラーが解消されないようになっている。このため、ステップS017にて上記電源再投入コマンドを送信し、これを受けた演出制御部24がRAMエラー報知(電源再投入指示演出)として、液晶表示装置36に「RAMエラー 電源を再投入して設定値を1に決定してください」などの演出画像を表示して、RAMエラーの解消を、周囲に促すようになっている。
(∀:設定値に関する不正行為防止について)
ところで、設定キースイッチ94やRAMクリアスイッチ98は、遊技機内部に設けられているため、これらスイッチを操作する際には、常に前枠2(扉)を開放しなければならない。したがって、設定変更操作や設定確認操作が‘正規操作’の場合には、扉開放信号(扉開放センサ61)は、常にON状態のはずである。換言すれば、扉開放信号がOFF状態、つまり前枠2(扉)が閉鎖状態であるにもかかわらず、設定キースイッチ信号(設定キースイッチ94)やRAMクリア信号(RAMクリアスイッチ98)がON状態である場合には、‘不正操作(ゴト行為)’であると考えられる。特に、設定値の高低は、パチンコホールの利益や遊技者の利益に大きな影響を及ぼす遊技ファクターであることから、設定値に関連する事項の監視は厳重に行うことが必要である。そこで本実施形態では、少なくとも設定変更に係る「設定変更モード」への移行には、「扉開放状態であること(扉開放信号ON)」を条件としている(図25の「移行先処理ルート」の欄の‘設定変更’の欄参照)。
また、現在の設定値は、原則として、遊技者に対して秘匿状態とされているものであり、設定値が遊技者に知られてしまうと、パチンコホールの利益に重大な影響を及ぼしたり、遊技者間で遊技台の取り合いになるなどのトラブルが生じうる。たとえば、遊技者に、設定1、2などの低設定であることを悟られれば、その遊技機にて遊技を行う可能性が低下し、遊技機の稼働率だけでなく、ホールの評判や信頼性に重大な影響を及ぼしてしまう。また、設定5、6などの高設定であることが遊技者に悟られれば、遊技者間で遊技台の取り合いが発生し、大きなトラブルに発展し兼ねない。そこで本実施形態では、「設定変更モード」への移行だけでなく、「設定確認モード」への移行に対しても「扉開放状態であること(扉開放信号ON)」を条件としている(図25の「移行先処理ルート」の欄の‘設定確認’の欄参照)。すなわち、扉(前枠2)が閉鎖された状態であれば(扉開放信号OFF)、設定変更モードにも設定確認モードにも移行されず、したがって、設定変更も設定確認もできないようになっている。これにより、扉を閉鎖したまま不正器具を利用して、密かに設定変更や設定確認を狙うような巧妙なゴト行為をも無力化し、不正行為の防止効果を高めている。
一方、RAMクリアやバックアップ復帰については、設定変更に関係するものではなく、パチンコホールや遊技者の利益に与える影響度合いが小さいものと考えられる。そこで、RAMクリアモードまたはバックアップ復帰モードへの移行には、扉開放信号のON/OFF状態は条件としていない。ただし、RAMクリアが実行された場合は、遊技状態が初期状態(通常状態)に戻り、これに伴い演出モードが初期化されたり、その他、遊技に関連する履歴や遊技設定が変更されたりするなど、遊技進行に影響を与えうる操作といえる。この点を考慮して、RAMクリアモードへの移行においても「扉開放状態であること(扉開放信号ON)」を条件としてもよい。この場合、RAMクリアモードへの移行条件を「設定キースイッチ信号OFF、扉開放信号ON、およびRAMクリアON(W(x、y、z)=W(0、1、1))」のみとすればよく、バックアップ復帰モードへの移行のみが、扉開放信号のON/OFF状態を条件としない実施形態となる。
また本実施形態では、上記ステップS014、S025、S026の分岐判定処理に係る判定情報である‘設定キースイッチ信号、扉開放信号、RAMクリア信号’の3つの信号を特定の入力ポート(入力ポート1(P_INPT1))に入力されるように構成し、これら信号の状態(ON/OFF状態)を一括して取得すること(図7のステップS067、図26AのSPa23~SPa24参照)や、分岐判定処理にてこれら信号の状態を一緒くた(一遍に)に判定(同時判定)すること(図6AのステップS014、図26AのSPb1~SPb3、図6BのステップS026、図26BのSPk1~SPk2参照)などを実現している。これにより、プログラム容量を削減するとともに、分岐判定処理が簡易化されて制御負担を軽減することができる。
また本実施形態では、RAMクリア処理ルートへの移行について、扉開放信号の状態を移行条件としていないため(扉開放信号の信号の状態は無関係)、設定キースイッチ信号とRAMクリア信号の2つの信号の状態を判定する必要があるが、ステップS014の設定変更分岐判定処理にて、スイッチ信号の状態がW(1、1、1)以外であること、すなわち、W(x、y、z)の8種類の組合せのうち、残りの7種類の組合せであることが事前に判明しているので(ステップS014の判定結果がNO)、その移行の可否については、少なくともRAMクリア信号のON/OFF状態を判定するだけでよい(Wレジスタの第6ビットの値だけを判定すればよい)。また、バックアップ復帰処理ルートへの移行についても、扉開放信号の状態は移行条件としていないため(扉開放信号の信号の状態とは無関係)、設定キースイッチ信号とRAMクリア信号の2つの信号の状態を判定する必要があるが、事前に、ステップS014の設定変更分岐判定処理と、ステップS025のRAMクリア分岐判定処理とが実行され、ステップS026の設定変更分岐判定処理の段階において、W(x、y、z)がW(1、1、0)であるか否かを判定するだけでよい。これらの点によっても、判定処理が簡易になり制御負担を軽減させることができる。
<29.各処理ルートにおいて送信される演出制御コマンドのまとめ:図29>
図29は、以上に説明した「設定変更」「RAMクリア」「設定確認」「バックアップ復帰」「再電源投入待ち(RAMエラー)」の各処理ルートにおいて送信される演出制御コマンドの種別とその送信順序とを示した説明図である。
図29において、枠内がグレーに色付けされたコマンド種別は、各処理ルートにおける個別のコマンド種別、枠内が白色のコマンド種別は、共通して送信されうるコマンド種別として示してある。本実施形態では、図29に示す通り、設定変更処理ルートの「設定変更中コマンド(BA5AH)と設定完了コマンド(BA09H)」、RAMクリア処理ルートの「RAMクリアコマンド(BA02H)」、設定確認処理ルートの「設定確認中コマンド(E021H)と設定確認終了コマンド(E022H)」、電源投入待ち処理ルートの「電源再投入待ちコマンド(BA07H)」は、その処理ルート独自で送信されるコマンド種別となっている。
また、「停電復帰表示コマンド(BA03H)、保留数指定コマンド(B0xxH、B1xxH)、および復帰時遊技状態指定コマンド(FAxxH~FExxH)」は、設定確認処理ルートおよびバックアップ復帰処理ルートで共通して送信されるコマンド種別であり、また、「スペック指定コマンド(F611H)と客待ち中コマンド(BA04H)」は、再電源投入待ち処理ルート以外の処理ルートで共通して送信されるコマンド種別となっている。ただし、設定確認処理ルートおよびバックアップ復帰処理ルートに係る客待ち中コマンド(BA04H)については、非変動中に限り送信されるようになっている。
以上のように、設定キースイッチ94、RAMクリアスイッチ98、および扉開放センサ61のON/OFF状態の組合せに応じた処理を終えた後は、合流ポイントであるステップS033の処理に進む。
図6Bを参照して、ステップS033に進むと、全レジスタの内容を退避し、領域外プログラムの動作確認タイマ設定処理を実行して、退避していた全レジスタの内容を復帰する(ステップS033~S035)。ステップS034の動作確認タイマ設定処理では、性能表示器99が正常に動作しているか否かの確認動作を実行させるための必要な初期設定を行う。この確認動作は、4個の7セグ表示器99a~99dの表示態様を、所定時間(たとえば、5秒間)、全点灯と全消灯とを周期的に繰り返す「全点滅表示(動作確認表示)」態様に制御する。これにより、断線による消灯やセグメント欠けなどの不具合のチェックが可能となっている。なお、動作確認表示に関する処理は、後述の主制御側タイマ割込処理中の性能表示モニタ処理で、実行されるようになっている(後述の図16のステップS102)。
次いで、4ms毎に定期的にタイマ割込みを発生させるためのCTCの設定処理を実行する(ステップS036)。以後、割込コントローラへの割込要求信号が定期的に出力され、図16に示す主制御側タイマ割込処理(4ms割込み処理)が実行される。
次いで、遊技開始可能状態が整ったとして、発射装置32の発射動作を許可する発射制御信号(発射許可信号ES)をOFF状態(発射禁止状態)からON状態(発射許可状態)に設定する(ステップS037)。これにより、以後、発射動作が許容され、発射操作ハンドル15を操作すれば、遊技球の発射が可能になる。本実施形態では、図6Aおよび図6Bに示す通り、CTCの設定処理(ステップS036)が実行される前は、発射制御信号を禁止状態に制御される(図7のステップS054参照)。したがって、少なくとも設定変更、設定確認、領域内RAMクリア、およびバックアップ復帰処理ルートの各処理を終えるまでは、発射動作が禁止される。これにより、設定変更中や設定確認中において、不用意な発射動作が実行されてしまうことを防止することができる。
なお本実施形態では、主制御部20からの発射制御信号を払出制御基板29が受けて、発射制御基板28による発射動作を許容する構成、換言すれば、主制御部20が払出制御基板29を通じて間接的に発射制御基板28を制御する構成となっている。しかし本発明はこれに限らず、上記発射制御信号を直接的に発射制御基板28に対して出力し、発射動作を許容する構成としてもよい。
次いで、遊技開始コマンドデータ(BA77H)を取得し、既に説明したコマンド送信処理(_CMDOUT)により、その取得したコマンドデータを演出制御部24に送信する(ステップS038、S039)。演出制御部24が遊技開始コマンドを受けると、時計型役物80や花型役物90等の可動体役物に関する初期動作(イニシャライズ動作)を実行する。ただしイニシャライズ動作中は、液晶表示装置36の画像表示態様、装飾ランプ45の発光態様、スピーカ46からの音出力については変化しない。イニシャライズ動作は、専ら、可動体役物に関する電源投入時の動作チェックとして働く。
そして、一連の電源投入時処理(ステップS011~S039:遊技開始前処理)を終えると、通常の遊技進行に係る遊技処理のステップS040~S045の無限ループ処理を実行する。これにより、以後、遊技の進行が可能な状態(遊技開始可能状態)に制御されることになる。
(通常の遊技進行に係る遊技処理:S040~S045のループ処理)
ステップS039の処理を終えると、ステップS040~S045のループ処理に入る。ここでは、まずCPUを割込み禁止状態に設定した状態で(ステップS040)、各種乱数更新処理を実行する(ステップS041)。この各種乱数更新処理では、特別図柄変動表示ゲームや普通図柄変動表示ゲームに使用される各種のソフトウェア乱数(インクリメント処理によって所定数値範囲を循環している乱数)を更新する。たとえば、図柄抽選に利用される特別図柄判定用乱数や、補助当り抽選に係る乱数(補助当りの当落抽選に利用される補助当り判定用乱数、補助当りの図柄抽選に利用される普通図柄判定用乱数)の初期値(スタート値)変更のために使用する乱数(特別図柄判定用初期値乱数、補助当り判定用初期値乱数など)や、変動パターンの選択に利用される変動パターン用乱数などを更新する。
上記各種乱数更新処理(ステップS041)を終えると、次いで、全レジスタをスタック領域に退避し(ステップS042)、領域外プログラムのベース値の算出に要する処理性能表示モニタ集計除算処理を実行した後(ステップS043)、全レジスタを復帰させる(ステップS044)。
ここで、初回電源投入時(出荷時)または領域外RAMのオールクリア時(ベース値計数エラーによるRAMクリア時)から、全状態アウト個数が所定個数(たとえば、299個)に達するまでは、テスト区間として、全状態アウト個数だけをカウントし、ベース値等は計測しない。これは、パチンコホールに遊技機を初めて設置した際、動作テストを行うことを考慮したものである。このような動作テストによる賞球やアウト球を計測対象から排除する必要がある。したがって、初回(1回目)の計測は、上記テスト区間終了後から開始する。なお、上記テスト区間中では、現在の計測がテスト区間であることを報知すべく、リアルタイムベース値を表示する場合には、識別表示部に「bL.」を点滅表示し、ベース表示部に「--」を点灯表示する。また、履歴ベース値を表示する場合には、識別表示部に「b6.」を点滅表示し、ベース表示部に「--」を点灯表示する。
また初回(1回目)の計測を開始してから上記全状態アウト個数が所定の規定個数(ここでは60000個)に達した場合、この時点のベース値(初回のベース値)をRAM203の性能表示格納領域に格納し、2回目の計測のために、現在の通常時払出個数、通常時アウト個数および全状態アウト個数をそれぞれゼロクリアする。すなわち、規定個数の60000個がカウントされる毎に、今回のベース値を記憶し、次回のベース値の計測のために、計測中の通常時払出個数、通常時アウト個数および全状態アウト個数をゼロクリアする。初回の計測時は、履歴ベース値が保存されていないため、リアルタイムベース値を表示する場合には「bL.**」(‘**’は現在計測中のベース値)が表示され、履歴ベース値を表示する場合には「b6.--」が表示される。ただし、識別表示部「b6.」は、初回の計測時であることを報知すべく、点滅表示されるようになっている。
そして、上記性能表示モニタ集計除算処理を終えて、全レジスタを復帰させた後(ステップS044)、割込み許可状態に設定して(ステップS045)、ステップS040の処理に戻り、以後、ステップS040~S045の処理を繰り返す(メインループ処理)。CPU201は、間欠的に実行されるタイマ割込処理を行っている間を除いて、各種乱数更新処理と性能表示モニタ集計除算処理とを繰り返し実行するようになっている。
<16.主制御側タイマ割込処理:図16>
次に図16を参照して、主制御側のタイマ割込処理について説明する。図16は、主制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この主制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(4ms程度)ごとの割込みで起動され、主制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図16において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容を保存することなく、直ちに第2電源異常チェック処理を実行する(ステップS081)。この電源異常チェック処理では、後述の図17に示すように、電源基板から供給されている電源レベルを監視し、電源異常が生じた場合のバックアップ処理が行われる。したがって、第2電源異常チェック処理は、電源遮断後もRAM(ここでは、領域内RAM)の記憶内容を保持するバックアップ手段として働く。
次いで、タイマ管理処理を実行する(ステップS082)。遊技機1の遊技動作制御に用いる各種タイマのタイマ値はここで更新される。
次いで、入力管理処理を実行する(ステップS083)。遊技機1に設けられた各種のセンサやスイッチ類の検出情報や払出制御基板29からの状態信号の入力情報(ON/OFF信号に関する情報、立ち上がり状態(ONエッジ、OFFエッジ)に関する情報など)に基づき、入力データ作成したり、入賞カウンタを更新したりする。なお、アウト球数については、領域外プログラムの性能情報に関する処理(図6BのステップS043、後述のステップS102)で管理される。
次いで、設定異常チェック処理を実行する(ステップS084)。設定異常チェック処理では、設定値データ(W_SETTEI)が正常であるか否かを判定し、判定結果に基づき、設定値に係るエラー処理を実行する。なお、設定異常チェック処理の詳細は、図18にて後述する。
次いで、タイマ割込内乱数管理処理を実行する(ステップS085)。タイマ割込内乱数管理処理では、各変動表示ゲームに係る乱数を定期的に更新する。具体的には、乱数カウンタのカウント値をランダムなものとするために、特別図柄判定用乱数や補助当り判定用乱数などのソフト乱数に対し、乱数の更新(割込み毎に+1加算)と、乱数カウンタが一周するごとに、乱数カウンタのスタート値の変更処理を実行する。
次いで、エラー管理処理を実行する(ステップS089)。このエラー管理処理では、各種のスイッチやセンサ類に係る検出情報や、払出制御基板29からの状態信号等に基づき、遊技動作にエラー(異常)が生じたか否かを監視し、エラーが生じた場合には、エラー種別に応じたエラー処理を実行する。このエラー管理処理には、演出制御部24に対するエラー種別に応じたエラーコマンド(エラー種別情報を含むコマンド)の送信処理、エラーが解除されたときのエラー解除コマンドの送信処理、特定のエラーが生じた場合における遊技動作の強制停止制御処理などの処理が含まれる。
次いで、賞球管理処理を実行する(ステップS090)。この賞球管理処理では、上記入賞カウンタの確認を行い、入賞がある場合には、賞球数を指定する払出制御コマンドを払出制御基板29に送信する。払出制御基板29は、払出制御コマンドを受信した場合、これに含まれる賞球数情報に基づき、遊技球払出装置19を制御して、指定された賞球数分の払い出し動作を実行させる。
次いで、普通図柄管理処理を実行する(ステップS091)。この普通図柄管理処理では、普通図柄変動表示ゲーム(普通図柄の変動表示動作)に関して必要な処理を実行する。ここでは、普通図柄始動口センサ37aに遊技球が検出されたか否かを監視し、遊技球が検出された場合には補助当り抽選に必要な所定の遊技情報(補助当り判定用乱数等)を取得し(普図乱数取得処理)、その遊技情報を保留データ(普図作動保留球)として、最大保留記憶数(ここでは、4個)まで保留記憶する(普図保留記憶処理)。そして、所定の変動表示開始条件が成立した場合、普図作動保留球に基づく補助当り抽選を行い、その補助当り抽選結果に基づく普通図柄の変動パターンの選択および普通図柄の停止表示態様(普通停止図柄)を決定する。またここでは、普通図柄を変動表示動作させるために、変動中であれば変動表示用のLED表示用データを作成し、変動中でなければ、停止表示用のLED表示用データを作成する(普通図柄表示データ更新処理)。
次いで、普通電動役物管理処理を実行する(ステップS092)。この普通電動役物管理処理では、普電開放遊技の実行に必要な処理を実行する。ここでは、補助当り抽選の抽選結果が当りの場合に、普通電動役物ソレノイド41cに対するソレノイド制御用データの設定処理を実行する。ここで設定されたソレノイド制御用データに基づき、後述のステップS100のソレノイド管理処理にて、普通電動役物ソレノイド41cに対して励磁信号が出力され、これにより、可動翼片47の開閉動作パターンが制御される。
次いで、特別図柄管理処理を実行する(ステップS093)。この特別図柄管理処理では、主に、特別図柄変動表示ゲーム(特別図柄の変動表示動作)に関して必要な処理を実行する。この特別図柄管理処理の詳細は、図19にて後述する。
次いで、特別電動役物管理処理を実行する(ステップS095)。この特別電動役物管理処理では、当り遊技を実行制御するために必要な処理を実行する。この特別電動役物管理処理の詳細は、図23にて後述する。
次いで、右打ち報知情報管理処理を実行する(ステップS097)。この右打ち報知情報管理処理では、「右打ち有利」な遊技状態(本実施形態の場合、当り遊技中、時短状態、確変状態)下である場合には、右打ち表示装置39bを点灯させるためのLEDデータを作成し、「左打ち有利」な遊技状態下(通常状態)である場合には、右打ち表示装置39bを消灯させるためのLEDデータを作成する。
次いで、LED管理処理を実行する(ステップS098)。このLED管理処理では、普通図柄表示装置39a、特別図柄表示装置38a、38b、複合表示装置38c、右打ち表示装置39bのLED表示装置に対する制御信号(ダイナミック点灯データ)の出力制御を実行する。上述した普通図柄管理処理(ステップS091)や特別図柄管理処理(ステップS093)、右打ち報知情報管理処理(ステップS097)で作成されたLED表示用データに基づく制御信号は、このLED管理処理で出力される。
次いで、外部端子管理処理を実行する(ステップS099)。この外部端子管理処理では、枠用外部端子基板21を通して、各種の外端信号を作成して、データカウンタDTやホールコンピュータHCなどの外部装置に対して出力制御を実行する。
次いで、ソレノイド管理処理を実行する(ステップS100)。このソレノイド管理処理では、普通電動役物管理処理(ステップS092)や特別電動役物管理処理(ステップS094)で設定されたソレノイド制御データに基づき、普通電動役物ソレノイド41cや大入賞口ソレノイド52cに対して励磁信号の出力制御を実行する。これにより、下始動口35や大入賞口50の開閉動作を実現する。
次いで、領域外プログラムの性能表示モニタ処理を実行するために、全レジスタを退避して、性能表示モニタ処理を実行した後、全レジスタを復帰する(ステップS101~103)。性能表示モニタ処理では、性能表示器99の表示制御や、ベース値算出に関する異常の有無の監視、ステップS083で取得されるスイッチ入力データに基づき、性能表示に関する各入賞口に対する入賞の有無に関する入力データ作成など、ベース値算出に関する必要な処理を実行する。ここで作成されたデータは、既に説明した、主制御側メイン処理中の性能表示モニタ集計除算処理(図6BのステップS043)にて、通常時払出個数、通常時アウト個数、ベース値、全状態アウト個数のカウントに利用される。
次いで、WDTのカウント値をクリアする(ステップS104)。これにより、WDTがリセットされ、カウント値が初期値に戻される。
以上のステップS081~ステップS104の処理を終えると、タイマ割込処理を終了して、次のタイマ割込みが発生するまで主制御側メイン処理を実行する。
<17.第2電源異常チェック処理:図17>
次に図17を参照して、図16中の第2電源異常チェック処理(ステップS081)について説明する。図17は、第2電源異常チェック処理を示すフローチャートである。
図17において、CPU201は、まず外部信号入力レジスタ(PINSTS)から、電断を示す電源異常信号の入力情報を取得する(ステップS711)。そして、電源異常信号のレベルが2回連続して一致するか否かを判定し(ステップS712)、一致するまでステップS711~S712の処理を繰り返す。電源異常信号のレベルが一致した場合(ステップS712:YES)、電源異常信号が異常レベルか否かを判定する(ステップS713)。
電源異常信号が異常レベルでない場合(ステップS713:NO)、バックアップフラグBFをクリアするとともに(ステップS723)、電源異常確認カウンタの値をクリアし(ステップS724)、第2電源異常チェック処理を抜ける。
一方、電源異常信号が異常レベルである場合(ステップS713:YES)、電源異常確認カウンタの値に1加算し(ステップS714)、加算後の電源異常確認カウンタの値が上限値Yに達したか否かを判定する(ステップS715)。これは、外部信号入力レジスタ(PINSTS)からの取得データが、ノイズ等の影響でビット化けしている可能性があることを考慮したものであり、取得データが連続して異常レベルを維持して上限値Y(たとえば、Y=2)に達した場合に、交流電源が現に遮断されたと判定する。
電源異常確認カウンタの値が上限値Yに達している場合(ステップS715:YES)、電源異常が発生したとして、バックアップ処理を実行する。具体的には、電源異常確認カウンタをクリアし(ステップS716)、発射制御信号をOFF状態に設定し(ステップS717)、バックアップフラグBFをON状態(5AH)に設定する(ステップS718)。なお、バックアップフラグBFをON状態に設定するとともに、チェックサム値を算出するためのチェックサム演算を実行し、その演算結果をRAM203の所定領域(SUM記憶領域)に格納する構成としてもよい。ここで、チェックサム演算とは、RAM203のワーク領域を対象とする8ビット加算演算である。電遮時にSUM記憶領域に記憶されたチェックサム値は、RAM203の他のデータと共に、バックアップ電源によって維持される。このバックアップ時にチェックサムを記憶する実施形態とする場合、既に説明したRAMエラー判定処理(図6AのステップS015~S016参照)の一部に、またはステップS015~S016に替えて、「チェックサム判定処理」を設けることができる。この場合、チェックサム判定処理において、電源復旧時におけるチェックサムを算出し、その算出したチェックサム値と、電断時にSUM記憶領域に記憶されたチェックサム値と比較し、比較結果が一致しない場合には、ステップS017~S020の電源再投入待ち処理(RAMエラー処理)を実行し、比較結果が一致した場合には、処理を進めていく構成とすればよい。
なお、既に説明した設定変更管理中(図6AのステップS023)に電断が生じた場合、主制御側タイマ割込処理が起動前(図6BのステップS036の実行前)であるので、この第2電源異常チェック処理が実行されずバックアップ処理ができない。この場合において、設定変更管理中のステップS901でバックアップフラグBFがゼロクリアされた後に電断が生じた場合には、次回の電源復旧時には、RAMエラーが生じたと判定され(図6AのステップS016の判定結果がNO(BF≠5AH))、電源再投入待ち処理ルート(図6AのステップS017~S020)に移行し、電源再投入待ち状態下に制御されることになる。
図17の説明に戻り、ステップS718の処理を終えると、次いで、電源断コマンドデータ(BA33H)取得して、コマンド送信処理(_CMDOUT)により、その取得したコマンドデータを演出制御部24に送信する(ステップS719)。電源断コマンド(BA33H)は、電源異常が発生したことを指定する演出制御コマンドである。この電源断コマンドは、各16ビット長の電断Aコマンドと電断Bコマンドとで構成されており、この順番で、8ビット毎に連続的に送信される。このような構成を採るのは、ノイズ等の影響で、電断状況が他の制御部に誤って通知されることを防止するためである。
次いで、RAMプロテクトレジスタ(RAMPT)に01Hをセットし、‘RAMアクセス禁止領域無効、RAMプロテクト有効’として、以降の処理においてRAMへのデータ書込みを禁止する(ステップS720)。そして、すべての出力ポートの出力データをクリアする(ステップS721)。これにより、電圧降下に伴い、RAMの不正アドレスの読み出しなどが実行されてRAMが異常に書き換えられてしまうことを防止し、同種の電源異常チェック処理を主制御部20より遅れて開始する払出制御基板29に対して、不合理なデータ送信を防止することができる。
そして、CTCに対する設定処理によって割込み信号の生成を禁止するとともに、CPUを割込み禁止に設定して(ステップS722)、無限ループ処理を繰り返しつつ電源電圧が降下してCPUが非作動状態になるのを待つ。
<18.設定異常チェック処理:図18>
次に図18を参照して、図16中の設定異常チェック処理(ステップS084)について説明する。図18は、設定異常チェック処理を示すフローチャートである。
図18において、CPU201は、まず設定エラーフラグがON状態(=5AH)、ずなわち、RAMエラー(設定異常エラー)であるか否かを判定する(ステップS731)。設定エラーフラグがON状態である場合(ステップS731:=5AH)、何もせずに、設定異常チェック処理を抜ける。一方、設定エラーフラグがON状態でない場合(ステップS731:≠5AH)、領域内RAMの設定値格納領域(W_SETTEI)から設定値Ncを取得し、その値が正常値(設定値1~6に対応する00H~05Hのいずれかの値)であるか否かを判定する(ステップS732)。この判定処理は、図10の設定変更管理処理中のステップS903、S913の判定処理の内容と共通の処理である。
取得した設定値Ncが00H~05Hのいずれの値でもない場合(ステップS732:NO)、設定値データに異常が発生したとして、設定エラーフラグをON状態(5AH)に設定する(ステップS733)。そして、設定値異常コマンドデータ(0E33H)を取得し(ステップS734)、コマンド送信処理(_CMDOUT)により、取得したコマンドデータを演出制御部24に送信して(ステップS735)、設定異常チェック処理を抜ける。なお、演出制御部24が設定値異常コマンドを受けると、演出手段を利用して、設定異常エラー報知(RAMエラー報知)を実行する。たとえば、装飾ランプ45を赤色全点灯させ、液晶表示装置36に「RAM異常です 係員を呼んでください」などのエラー表示を行う。なおゲーム実行中である場合については、図18、図20、図21を用いて後述する。
<19.特別図柄管理処理:図19>
次に、図16中の特別図柄管理処理(ステップS093)について説明する。図19は、特別図柄管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図19において、CPU201は、まず特別図柄1側(上始動口34側)に関する「特図1始動口チェック処理」を行い(ステップS301)、続いて、特別図柄2側(下始動口35側)に関する「特図2始動口チェック処理」を実行する(ステップS302)。特図1始動口チェック処理と特図2始動口チェック処理の詳細は、図20にて後述する。
ステップS301~S302の始動口チェック処理を終えると、小当り中フラグの状態を判定する(ステップS303)。この「小当り中フラグ」とは、小当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には小当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には小当り遊技中ではない旨を示す。
上記小当り中フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS303:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS304)。この「条件装置作動フラグ」とは、大当り遊技中であるか否かを指定するためのフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には大当り遊技中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には大当り遊技中ではない旨を示す。
上記条件装置作動フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS304:≠5AH)、すなわち、小当り遊技中でもなく大当り遊技中でもない場合(ステップS303:≠5AH、かつステップS304:≠5AH)、特別図柄動作ステータス(00H~03H)に応じて、特別図柄の変動表示動作に関する処理を実行する(ステップS305:特別図柄動作ステータス分岐処理)。一方、小当り遊技中(ステップS303:=5AH)、または大当り遊技中である場合には(ステップS304:=5AH)、ステップS306~S308の特別図柄の変動表示動作に関する処理を行わずに、そのままステップS309の特別図柄表示データ更新処理に進む。したがって、小当り遊技中または大当り遊技中のいずれかである場合には、特別図柄の変動表示動作は行われない。つまり、当り遊技中は、特別図柄の停止表示態様が、小当り図柄または大当り図柄で確定表示されたまま保持される。
ステップS305の特別図柄動作ステータス分岐処理では、上記特別図柄動作ステータスが「待機中(00H、01H)」「変動中(02H)」「確認中(03H)」のいずれのステータス値であるかに応じて、それぞれに対応する、ステップS306~S308の処理を実行する。これらの処理により、特別図柄の変動開始および変動停止を一セットする変動表示動作が実現されることになる。なお本発明と関連の深い、特別図柄変動開始処理(ステップS306)と特別図柄確認時間中処理(ステップS308)についての詳細は、それぞれ図21、図22A~図22Bにて後述する。
上記ステップS306~S308のいずれかの処理を終えると、後述のステップS309の特別図柄表示データ更新処理を行う。この特別図柄表示データ更新処理では、特別図柄が変動中であるか否かを判定し、変動中であれば、所定時間毎に点滅を繰り返す特別図柄のデータ(変動中の7セグ点滅表示用データ)を作成し、特別図柄が変動中でなければ、停止表示用のデータ(停止表示中の7セグ点滅表示用データ)を作成する。ここで作成した特別図柄の表示データは、図16のLED管理処理(ステップS098)で出力され、特別図柄表示装置38a、38b上における特別図柄の変動表示および停止表示が実現される。特別図柄表示データ更新処理を終えると、特別図柄管理処理を抜けて、図16のステップS095の特別電動役物管理処理を実行する。
(20.特図1始動口チェック処理:図20)
図20を参照して、特図1始動口チェック処理(図19のステップS301)について説明する。図20は、特図1始動口チェック処理の詳細を示すフローチャートである。この特図1始動口チェック処理は、所定の始動条件の成立に基づいて実行される入賞時処理としての役割を果たし、主に、上始動口34に遊技球が入賞したときの保留記憶に関する処理や、先読み予告演出(保留加算コマンド)に関する処理を中心に構成される。なお、特図1始動口チェック処理と特図2始動口チェック処理とは、その処理内容が、特図1側に関するものであるか、それとも特図2側に関するものであるかの違いだけで、実質的には、同じ処理内容である。したがって、ここでは、重複記載を避けるために、特図1始動口チェック処理を中心に説明する。
図20において、CPU201は、まず上始動口34において入賞(入賞球)を検出したか否かを判定する(ステップS311)。
上始動口34(特図1始動口)の入賞を検出した場合(ステップS311:YES)、特図1作動保留球数が4以上であるか否か判定する(ステップS312)。すなわち、特図1作動保留球数が最大保留記憶数(ここでは、4個)未満であるか否かを判定する。なお、上始動口34の入賞検出がなかった場合は(ステップS311:NO)、何もしないで特図1始動口チェック処理を抜ける。
特図1作動保留球数が4以上である場合、つまり、最大保留記憶数を超えるオーバー入賞が発生した場合(ステップS312:YES)、オーバー入賞を指定するオーバー入賞コマンド(特図1の場合はB006H、特図2の場合はB106H)を演出制御部24に送信する(ステップS324)。一方、特図1作動保留球数が4以上でない場合、つまり4未満の場合は(ステップS312:NO)、特図1作動保留球数に1加算(+1)して(ステップS313)、ステップS314の処理に進む。
ステップS314の処理に進むと、今回発生した特図1作動保留球に係る特別図柄変動表示ゲーム1に利用される各種乱数を取得する(ステップS314)。具体的には、各種の乱数カウンタから大当り判定用乱数、特別図柄判定用乱数、変動パターン用乱数の現在値を取得し、その取得した乱数値を領域内RAMの保留記憶エリアに格納する。この保留記憶エリアは、図柄変動表示ゲームに係る所定の遊技情報を作動保留球(保留データ)として記憶する領域であり、この保留記憶エリアには、保留データとしての上記の各種乱数値が特別図柄1の変動表示動作に供されるまで(特別図柄変動表示ゲーム1実行時まで)、始動条件の成立順(入賞順)に保留記憶されていく。なお上記保留記憶エリアには、特別図柄1側と特別図柄2側とに対応した保留記憶エリア(特別図柄1に対応する特図1保留記憶エリア(第1の保留記憶エリア)と、特別図柄2に対応する特図2保留記憶エリア(第2の保留記憶エリア))とが設けられている。これら保留記憶エリアには、保留1記憶エリア~保留n記憶エリア(nは最大作動保留球数:本実施形態では、n=4)が設けられており、それぞれ最大作動保留球数分の保留データを格納可能となっている。
次いで、保留加算コマンド(詳細は後述する)を作成するための入賞コマンドデータ(保留加算コマンドの下位バイト側(EVENT)に相当するデータ)として、先読み判定を禁止する先読み禁止データ(EVENT:「9FH」)を取得し(ステップS315)、「特図1先読み禁止条件」が成立しているか否かを判定する(ステップS316)。上記「特図1先読み禁止条件」とは、特図1作動保留球を対象とした先読み判定を禁止(先読み予告を禁止)するための条件である。本実施形態では、特図1作動保留球よりも特図2作動保留球が高確率で発生しうる「電サポ有り状態下」であれば‘特図1先読み禁止中’とし、逆に、特図2作動保留球よりも特図1作動保留球が高確率で発生しうる「電サポ無し状態下」であれば‘特図2先読み禁止中’としている。ステップS316の判定処理では、現在の遊技状態が電サポ有り状態を伴う遊技状態(時短状態や確変状態)の場合には、特図1先読み禁止条件成立として、その判定結果が‘YES’となる。
上記特図1先読み禁止条件が成立している場合(ステップS316:YES)、先読み判定に関する処理(ステップS317~S321)をスキップし、後述のステップS322の処理に進む。この場合、今回の特図1作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず、先読み禁止データ(EVENT:「9FH」)を持つ保留加算コマンドが作成されることになる(後述のステップS322参照)。これにより、先読み予告演出の実行が禁止される(今回の作動保留球を対象とする先読み予告演出が実行されない)。
特図1先読み禁止条件が成立していない場合(ステップS316:NO)、次いで、設定エラーフラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS317)。設定エラーフラグがON状態である場合(ステップS317:=5AH)、すなわちRAMエラー(設定異常エラー)が生じている場合には、先読み判定に関する処理(ステップS317~S321)をスキップし、後述のステップS322の処理に進む。この場合も今回の特図1作動保留球を対象とした先読み判定が実行されず、先読み禁止データ(EVENT:「9FH」)を持つ保留加算コマンドが作成され、先読み予告演出も実行されない。換言すれば、上記先読み禁止データ(9FH)は、先読み判定に関する処理(ステップS318~S321)を実行していない旨を指定するデータといえる。
設定エラーフラグがON状態でない場合(ステップS317:≠5AH)、設定値コマンドを送信して、乱数判定処理(入賞時大当り乱数判定処理)を実行する(ステップS318)。この乱数判定処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球が変動表示動作に供される際に実行される「変動開始時の当落抽選(後述の図21のステップS410参照)」を事前に判定する‘先読み当落判定’を行う。
(設定値コマンド)
上記「設定値コマンド」は、現在の設定値を特定可能な情報が含まれ演出制御部24側にて、当該設定値に基づく予告演出(後述の設定示唆演出)を現出制御する際に利用される。この設定値コマンドは、始動口チェック処理にて、作動保留球が発生するごとに送信されるようになっている。これにより、演出制御部24側では、正しい設定値情報に基づき、作動保留球に係る予告演出(たとえば、先読み予告演出に関連する設定示唆演出)を現出制御可能となっている。
上記ステップS318の乱数判定処理では、まず、当り乱数判定テーブル(図示せず)を取得し、大当り判定用乱数値を取得する。そして、取得した大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づき、今回の作動保留球を対象とした当落抽選(先読み当落判定)を実行し、その抽選結果(先読み当落結果)を取得する。
上記当り乱数判定テーブルには、特図1作動保留球(特別図柄変動表示ゲーム1)、特図2作動保留球(特別図柄変動表示ゲーム2)のそれぞれに対応した当り乱数判定テーブルが設けられている。特図1始動口チェック処理中においては「特図1用当り乱数判定テーブル」が、特図2始動口チェック処理中においては「特図2用当り乱数判定テーブル」が参照される。この当り乱数判定テーブルは、後述の「特別電動役物作動判定用乱数判定処理(図21のステップS410)」において、当落抽選を行う際にも利用される。
これらの当り乱数判定テーブルには、大当り抽選確率状態(高確率状態(高確)と低確率状態(低確))別に、当落種別(大当りか、小当りか、ハズレかの別)を決定するための判定領域(判定値)と、大当り判定用乱数値(大当り判定用乱数の大きさ:65536)とが関連付けて定められており、具体的には、大当り判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、当落種別が決定されるようになっている。したがって、取得した大当り判定用乱数値が同じ判定値に属する場合であっても、現在の大当り抽選確率(条件装置の作動確率)が、高確率であるか低確率であるかにより、一方では「大当り」、他方では「ハズレ」といったように当落種別が異なる場合がある。
本実施形態の場合、上記当り乱数判定テーブルには、設定値(設定1~6)ごとに対応した当り判定テーブル(設定1~6に応じて、少なくとも大当りの抽選確率がそれぞれ異なるテーブル)が設けられている。また本実施形態の場合、低確率時の大当り抽選確率に対する高確率時の大当り抽選確率の割合は(確率変動割合:高確率/低確率)、各設定値において同一であり、その割合は10を超えない値に設定されている。たとえば、設定6「低確率時1/320、高確率時1/32」、設定5「低確率時1/330、高確率時1/33」、・・・、設定2「低確率時1/390、高確率時1/39」、設定1「低確率時1/410、高確率1/41」で、大当りに当選するようになっている。
また、設定値(設定1~6)ごとに対応した当り判定テーブルを設けるのではなく、各設定値の一部で共通の当り判定テーブルを設けてもよい。たとえば、設定1~2で共通の「低設定用当り乱数判定テーブル」、設定3は「設定3用当り乱数判定テーブル」、設定4は「設定4用当り乱数判定テーブル」、設定5~6で共通の「高設定用当り乱数判定テーブル」などである。この場合、一部の設定値(この例では、設定1と設定2、設定5と設定6)で共通の当り乱数判定テーブルが参照され、当該設定同士で利益度合(出玉率)が同一性能、換言すれば、設定が6段階ではなく、6段階未満のものとすることができる。この例では、実質的な設定を「4段階」とすることが可能となる。このように、一部の設定値で当り乱数判定テーブルを兼用することで、本実施形態のような6段階設定の機種であっても、実質的な設定を6段階よりも少なくすることができる。なお、共通の当り乱数判定テーブルが参照される場合であっても、各当り種別の図柄選択率を設定値ごとに異なる確率にすれば、本来の6段階設定とすることもできる。
上記したステップS318の乱数判定処理を終えると、次いで、特別停止図柄データ作成処理を実行する(ステップS319)。この特別停止図柄データ作成処理は、‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球が変動表示動作に供される際に実行される「変動開始時の図柄抽選(後述の図21のステップS411参照)」を事前に判定する‘先読み図柄判定’を行う。
上記特別停止図柄データ作成処理では、ステップS318で得られた先読み当落結果と、今回の処理対象の特別図柄種別(特図1、特図2の別)とに応じた「図柄テーブル(図示せず)」を選択する。そして、ステップS314で得られた特別図柄判定用乱数値を取得して、選択した図柄テーブルと、取得した特別図柄判定用乱数値とに基づき、今回の作動保留球を対象とした図柄抽選(先読み図柄判定)を実行し、その抽選結果(先読み図柄結果)を取得する。
上記「図柄テーブル」には、大当り種別、小当り種別、ハズレ種別を決定するための「大当り図柄テーブル」、「小当り図柄テーブル」、「ハズレ図柄テーブル」が含まれ、各図柄テーブルが特別図柄種別に対応して設けられている。これらの図柄テーブルは、後述の特別停止図柄作成処理(図21のステップS411)において、変動開始時の図柄抽選を行う際にも利用される。
図柄テーブルには、当り種別(図柄種別)を決定するための判定領域(判定値)と、特別図柄判定用乱数値(たとえば、特別図柄判定用乱数値の大きさ:200)とが関連付けて定められており、具体的には、特別図柄判定用乱数値がいずれの判定値に属するか否かにより、所定の図柄選択率に従い、当選種別が決定される。本実施形態では、その抽選結果を示すデータとして、特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号が取得される。
「特別図柄判定データ」とは、当選種別(当選の種類:大当り種別、小当り種別、およびハズレ種別)を識別するデータであり、具体的には、図4に示す大当り1~11、小当り1、図示しないハズレA~Cのいずれに当選したのかを識別するためのデータである。この特別図柄判定データは、当選種別情報が必要とされる処理(たとえば、後述の図21のステップS412の遊技状態移行準備処理、ステップS413の特別図柄変動パターン作成処理、大当り遊技の実行制御に関する処理(図23の特別電動役物管理処理)などにおいて利用されるデータである。また上記の「特別停止図柄番号」とは、特別図柄表示装置に停止表示する特別停止図柄態様を指定するデータであり、主制御部20側において特別図柄の停止図柄種を特定する際に利用される。なお、普通図柄についても特別図柄と同じように、図柄判定データとして普通図柄判定データが、停止図柄番号として普通停止図柄番号が設けられている。
なお、抽選対象となる当選種別が1種類しか存在しない場合には、図柄テーブルを設けなくてもよい。たとえば、ハズレの種類がハズレAの1種類である場合、ハズレ図柄テーブルを設けずに(図柄抽選を行うことなく)、当落結果がハズレであれば、当選種別として、ハズレAを決定すればよい。
また図4に示す通り、特図1側よりも特図2側の方が、相対的に高い利益を付与する大当り種別の選択率が高く、遊技者にとって有利な図柄抽選となっている。これにより、特別図柄変動表示ゲーム1よりも、特別図柄変動表示ゲーム2の抽選を受ける方が遊技者にとって有利なゲーム展開とされる。特に、電サポ有り状態下では、下始動口35側の入賞確率が飛躍的に向上して特別図柄変動表示ゲーム2の実行機会も増えるため、電サポ有り状態中は、高ベース遊技状態であるだけでなく、図柄抽選の観点からも遊技者にとって有利な遊技状態とされる。
なお、全設定で共通の図柄テーブルを定めてもよいが、設定に応じた図柄テーブルを定めてもよい。この場合、次のように構成することができる。
(A)各設定の一部または全部において、1または複数の当選種別の図柄選択率が異なる。たとえば、図4に示す大当り1~4の図柄抽選率について、設定1の場合には「7%、4%、35%、13%」とし、設定6の場合には「15%、5%、30%、12%」とすることができる。
(B)各設定の全部または一部において、確変突入率(確変および/または潜確への移行契機となる大当りの図柄選択率)が異なる。本実施形態では、図4に示すように、確変突入率が65%(潜確および確変大当りの割合が65%、時短大当りの割合が35%)となっているが、たとえば、設定1の場合は確変突入率を60%、設定6の場合は確変突入率を65%とすることができる。また時短突入率(時短への移行契機となる大当りの図柄選択率)についても同様である。
いずれにしても、設定が高くなるに従い、出玉性能が遊技者にとって有利となるように定めればよい。
上記したステップS319の特別停止図柄データ作成処理を終えると、次いで、始動口入賞時乱数判定処理を実行する(ステップS320)。この始動口入賞時乱数判定処理も‘先読み判定’処理の一環として行われるものであり、ここでは、今回の作動保留球が変動表示動作に供される際に実行される「変動開始時の変動パターン抽選(後述の図21のステップS413参照)」を事前に判定する‘先読み変動パターン判定’を行う。
上記始動口入賞時乱数判定処理に入ると、乱数判定処理(ステップS318)で得られた当落抽選結果と、特別停止図柄データ作成処理(ステップS319)で得られた先読み図柄判定の結果と、取得した変動パターン用乱数(ステップS314)とを少なくとも利用し、今回の作動保留球に係る変動開始時の変動パターン、つまり今回の作動保留球が変動表示動作に供されるときに実行される「特別図柄変動パターン作成処理(後述の図21のS413参照)」の結果を先読み判定する。そして、その先読み判定結果に基づいて、保留加算コマンドの作成に利用される入賞コマンドデータ1(2バイト目(EVENT):下位バイト)の作成し、更新する処理を実行する。これにより、本処理に入る前に先読み禁止データ「9FH」は(ステップS315参照)、本処理にて、先読み変動パターンの内容を特定するデータ値(保留球数情報は除く)に更新される。先読み変動パターンの内容には、たとえば、通常変動、Nリーチハズレ、弱SPリーチハズレ、中SPリーチハズレ、強SPリーチハズレ、Nリーチ大当り、弱SPリーチ大当り、中SPリーチ大当り、強SPリーチ大当り、および2R潜確・小当り指定などが含まれる。また先読み変動パターンに係る当選期待度は、この順で高く、当選期待度が高い先読み変動パターンほど、先読み予告抽選による当選確率が相対的に高まるようになっている。
以上のステップS318~S321の一連の先読み判定処理を終えると、続いて、現在の作動保留球数および特別図柄種別に基づき、上位バイト側の入賞コマンドデータ2(MODE)を取得し(特図1作動保留球1個~4個に応じて「B6H~B9H」、特図2作動保留球1個~4個に応じて「BBH~BEH」が取得される)の値を取得し、取得した入賞コマンドデータ2(MODE)と、下位バイト(EVENT)側の上記入賞コマンドデータ1(先読み変動パターン指定情報)とに基づいて、「保留加算コマンド」を作成し(ステップS322)、これをRAM203に格納することなく(以後、保留加算コマンドに関するデータは不必要のため)、演出制御部24に送信する(ステップS323)。したがって、この保留加算コマンドには、先読み判定に関する一連の処理(ステップS318~S320)において得られた先読み判定結果情報(先読み変動パターンを特定しうる情報)と、特図1作動保留球情報または特図2作動保留球情報とが含まれる。ただし、先読み禁止条件である場合や設定値データに異常が発生した場合は、先読み禁止データ「9FH」がそのまま維持されるため、先読み禁止データを持つ保留加算コマンドが演出制御部24に送信されることになる(ステップS315の判定結果がNO、S316の判定結果がNOの処理ルート参照)。
上記保留加算コマンドが主制御部20から送信されると、これを受けた演出制御部24は、その保留加算コマンドに含まれる情報が、先読み禁止指定以外であれば、先読み予告演出の実行可否に関する抽選(先読み予告抽選)を行い、当選した場合には、先読み予告演出の演出シナリオを作成し、そのシナリオに基づいて、今回の作動保留球を対象とする先読み予告演出(保留変化予告演出や変動開始時の連続予告演出)を現出させる。
また演出制御部24は、保留加算コマンドに含まれる情報が「先読み禁止指定」であれば、先読み予告抽選を実行せずに、あるいは、先読み予告抽選を強制的にハズレとして、先読み予告演出の発生を禁止する。なお本実施形態では、設定異常エラーが生じているか否かによらず、先読み禁止指定の保留加算コマンドを送信する構成となっているが、その理由は下記の通りである。
本実施形態の場合、設定異常エラーが生じても遊技動作を強制的に停止制御することはしない。その理由は第1に、設定異常エラーの解消は、既に説明したように、設定変更操作を行うことにより解消されるが、営業中の設定変更操作は、法的要請の観点から射幸心煽る事項として禁止事項に該当する可能性が高い。第2に、設定異常エラーが生じた際、直ちに遊技動作処理を強制的に停止させてしまうと、突然の遊技停止に、遊技者が不信感を抱いてしまう。たとえば、仕掛中の図柄変動表示ゲームが正常動作時に実行されたものである場合や、大当り遊技中の場合などに、偶々、設定異常エラーが発生して、直ちに遊技ができない状態に制御してしまうと、遊技者が本来得られるべき利益が消失してしまい、遊技者の不信感を招く。このような事情を考慮し、設定異常エラーが発生した場合はエラー報知を行うに止めて、遊技進行自体は条件付きであるが、そのまま進行させる。ここでいう「条件付きであるが」と表現したのは、設定異常エラーが発生すると、先読み予告を禁止したり、図柄変動表示ゲームの結果を強制的にハズレにしたりするためである(図20の始動口チェック処理中のステップS317、後述の図21の特別図柄変動開始処理中のステップS409参照)。このように「条件付き」で遊技をそのまま進行させる理由は、設定異常エラーが生じた際に、エラー報知を行うに止め、他に何ら対策をしなければ、不具合に起因して、演出制御処理や大当り抽選が正しく実行されない恐れがあるためである。
<21.特別図柄変動開始処理:図21>
次に、図19中の特別図柄変動開始処理(ステップS306)について説明する。図21は、特別図柄変動開始処理の詳細を示すフローチャートである。
図21において、CPU201は、まず特図2作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS401)、特図2作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS401:NO)は、特図2作動保留球数対象とした変動開始時の処理(ステップS403~S416)を実行する。一方、特図2作動保留球数がゼロの場合には(ステップS401:YES)、続いて特図1作動保留球数がゼロか否かを判定し(ステップS402)、特図1作動保留球数がゼロでない場合には(ステップS402:NO)は、特図1作動保留球数を対象とした変動開始時の処理(ステップS403~S416)を実行する。このステップS401とS402の処理により、特図1作動保留球と特図2作動保留球のどちらを優先的に変動表示動作に供するか(どちらの作動保留球を消化していくか)の「優先変動順位」が定まる。本実施形態では、特図1作動保留球と特図2作動保留球の双方に作動保留球が存在する場合、特図2作動保留球を優先的に消化させるようになっている。
なお、特図2作動保留球数と特図1作動保留球数の双方の作動保留球数がゼロである場合(ステップS401:YES、かつステップS402:YES)、「作動保留球なし」の状態となる。この「作動保留球なし」の状態は、特別図柄が待機中であり、かつ保留記憶無しの状態となった場合である。そこで「作動保留球なし」になった場合は、ステップS417に進み、特別図柄動作ステータスが上記「作動保留球なし」の状態を示す「待機中(00H)」であるか否かを判定する(ステップS417)。
上記「作動保留球なし」の状態となったときの特別図柄動作ステータスが「待機中(01H)」であった場合には(ステップS417:NO)(後述の図22Aの特別図柄確認時間中処理中のステップS472参照)、特別図柄動作ステータスを「待機中(00H)」に切り替える(ステップS418)。そして、演出制御コマンドとして、客待ち中コマンド(BA04H)を演出制御部24に送信して(ステップS419)、特別図柄変動開始処理を抜ける。既に説明したように、演出制御部24は、客待ち中コマンドを受信して遊技が開始されずに180秒経過した場合、デモ開始待ち演出を現出させた後、客待ち演出を現出する。
特図1作動保留球数または特図2作動保留球数がゼロでない場合(ステップS401:NOまたはS402:NO)、ステップS403~S416を順次実行していく。なお、以下に説明するステップS403~S416の処理の仕方については、特図1作動保留球を対象とするか、特図2作動保留球を対象とするかの違いだけで、その内容は実質的には同じである。したがって重複記載を避けるため、特に必要が無い限り、どちらの作動保留球を対象とした処理であるかを区別せずに説明していく。
ステップS403に進むと、今回の変動表示動作に供する特図側の作動保留球数を1減算し(ステップS403)、減算後の作動保留球数情報を含む「保留減算コマンド」を演出制御部24に送信する(ステップS404)。
次いで、特別図柄作動確認データを格納する(ステップS405)。この特別図柄作動確認データは、今回の変動開始側の特別図柄種別を指定する情報であり、特図1が変動開始側であるならば「00H」を、特図2が変動開始側であるならば「01H」を特別図柄作動確認データに格納する。
次いで、RAM203の保留記憶エリアに格納されている保留データをシフトして(ステップS406)、保留4記憶エリアをゼロクリアする(ステップS407)。このステップS406~S407の処理では、保留記憶数n=1に対応する保留記憶エリア(保留1記憶エリア)に格納されている保留データを読み出し、領域内RAMの判定用乱数記憶エリアに格納するとともに、保留n記憶エリア(n=2、3、4)に対応する保留記憶エリアに格納されている保留データを、それぞれ‘n-1’に対応する保留記憶エリアに格納し(ステップS406)、保留4記憶エリアをクリアして空き領域を設ける(ステップS407)。これにより、特別図柄変動表示ゲームの開始順番は、作動保留球数n(n=1、2、3、4)の順番と一致し、始動口入賞時に取得された作動保留球がいずれの保留記憶エリアに対応するものであるかが特定されるとともに、新たな作動保留球の保留記憶が可能になる。
次いで、遊技状態情報送信処理を実行する(ステップS408)。遊技状態情報送信処理では、状態コマンドを演出制御部24に送信する。この状態コマンドには、少なくとも現在の遊技状態を特定可能な遊技状態情報を含み、本実施形態では、特別図柄時短回数カウンタ情報(残り時短回数情報)も含まれる。この状態コマンドにより演出制御部24は、今回のゲームで遊技状態の移行が生じたか否かを把握し、演出モードの移行制御や、時短状態の残り時短回数を表示する残余時短回数表示演出の現出制御など、現在の遊技状態に応じた演出モード下での演出を現出制御する。
次いで、設定エラーフラグがON状態(5AH)であるか否かを判定する(ステップS409)。設定エラーフラグがON状態でない場合(ステップS409:≠5AH)、設定値コマンドを演出制御部24に送信し、次いで、特別電動役物作動判定用乱数判定処理を実行する(ステップS410)。この特別電動役物作動判定用乱数判定処理では、大当り判定用乱数値を利用し、今回の変動表示動作に供される作動保留球を対象とした‘変動開始時の当落抽選’を実行する。特別電動役物作動判定用乱数判定処理の処理手順は、既に説明したステップS318の乱数判定処理と実質的に同じ処理手順であるので、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データに基づき、今回の処理対象側の当り乱数判定テーブル(たとえば特図1側が処理対象であれば、特図1用の当り乱数テーブル)を取得する。次いで、上記判定用乱数記憶エリアに格納された大当り判定用乱数値を取得し、大当り判定用乱数値と当り乱数判定テーブルとに基づく当落抽選を実行する。そして、その抽選結果が「大当り」当選であれば大当り判定フラグを「5AH」に設定し、「小当り」当選であれば小当り判定フラグを「5AH」に設定し、「大当り」および「小当り」のいずれにも当選しなかった場合、つまり‘ハズレ’の場合には、大当り判定フラグと小当り判定フラグの双方に「00H」を設定する。
ステップS411の特別停止図柄作成処理では、ステップS410の特別電役物作動判定用乱数判定処理の当落抽選結果と特別図柄判定用乱数値を利用し、今回の特別図柄変動表示ゲームに係る「図柄抽選」を実行する。特別停止図柄作成処理の基本的な処理手順は、既に説明したステップS319の特別停止図柄データ作成処理と実質的に同じであるので、重複記載を避けるために適宜省略して説明する。
ここではまず、特別図柄作動確認データと、特別電役物作動判定用乱数判定処理の当落抽選結果とに応じた図柄テーブル(大当り図柄テーブル、小当り図柄テーブル、ハズレ図柄テーブルのいずれか)を選択する。たとえば、特別図柄作動確認データが00H、大当り判定フラグが5AHである場合、すなわち、今回の変動開始側が‘特図1側’であり、当落抽選結果が‘大当り’である場合には、特図1用大当り図柄テーブルが選択される。そして、判定用乱数記憶エリアに格納された特別図柄判定用乱数値を取得し、上記選択した図柄テーブルと特別図柄判定用乱数値とに基づき、図柄抽選を実行し、その抽選結果である特別図柄判定データおよび特別停止図柄番号を、領域内RAMの対応領域にそれぞれ格納する。
ステップS411の特別停止図柄作成処理を終えると、遊技状態移行準備処理を実行する(ステップS412)。この遊技状態移行準備処理では、大当りに当選した場合、現在の遊技状態と特別図柄判定データ(大当り種別)とに基づき、その大当り遊技後の遊技状態(図4参照)を指定するために必要な各種データを領域内RAMの対応領域(移行状態バッファ)にそれぞれ格納する。ここで設定されたデータは、後述の大当り終了処理(図23のステップS509)で利用される。
ステップS412の遊技状態移行準備処理を終えると、次いで、特別図柄変動パターン作成処理を実行する(ステップS413)。特別図柄変動パターン作成処理では、現在の遊技状態と、設定値と、特別停止図柄作成処理の図柄抽選結果(特別図柄判定データ)とに応じた変動パターン振分テーブル(図示せず)を取得する。
この変動パターン振分テーブルには、1または複数種類の変動パターンが、作動保留球数(今回変動表示動作に供される作動保留球を除く、現存する作動保留球数)、図柄抽選結果、および変動パターン用乱数値(乱数値の大きさ:10000)に関連付けて定められており、具体的には、変動パターン用乱数がいずれの判定値に属するか否かにより所定の選択率(変動パターン抽選確率)に従い、いずれか1つの変動パターンが決定されるようになっている。この実施形態の場合、変動パターンには、ハズレ変動パターンに属するものとして、通常変動種別(通常変動2s、通常変動8s、通常変動12sなど)、Nリーチ種別(Nリーチ1、2など)、SPリーチ種別(弱SPリーチ、SPリーチ、強SPリーチなど)などを指定するものが含まれ、当り変動パターンに属するものとして、通常変動種別を除く各種のリーチを指定するリーチ変動パターンが含まれる。また、通常変動種別、Nリーチ種別の場合には疑似連1~2回が指定され、SPリーチ種別では疑似連1~5回(5回は当確)を指定するものが含まれる。したがって、疑似連が3回発生すれば、SPリーチであることが確定する。
また変動パターン振分テーブルは、上述したように、設定値(設定1~6)に対応する変動パターン振分テーブルが設けられている。すなわち、設定値に応じて、1または複数の特定の変動パターンが抽選される確率が異なるようになっている。したがって、変動パターンの選択条件(作動保留球数、図柄抽選結果、変動パターン用乱数値)が同一であっても、同一の変動パターンが選択されるとは限らず、設定値に応じて選択される変動パターンが異なる場合がある(同一の変動パターンであっても、その選択率が設定値に応じて異なる)。たとえば、作動保留球数3、ハズレCの場合の強リーチの選択率が、設定1の場合は「290/10000」であるが、設定6の場合は「580/10000」などである。このような設定値に応じた変動パターン振分テーブルを設けることにより、高設定域(設定5~6)だけに選択されうる‘特殊変動パターン’を設けたり、特定の設定値(たとえば、偶数設定(設定2、4、6)や奇数設定(1、3、5))に応じて、異なる選択率を持つ1または複数種類の変動パターンを定めることができる。たとえば、上述の特殊変動パターンに対応する予告演出(たとえば、特殊なリーチ演出、特殊な変動表示演出)が現出された場合には、現在の設定値が高設定域であることが確定的に報知される。斯様な変動パターンは、後述の設定示唆演出(設定示唆演出12の「リーチ出現率変化」)の一態様であるといえる。
このようにして決定された変動パターンに関する情報には、少なくとも、当落抽選結果(本実施形態の場合、図柄抽選結果情報は、装飾図柄指定コマンドに含まれる)、現在の遊技状態、変動時間情報、特定の予告演出の実行指定情報(リーチ演出の有無およびその種別(通常変動、Nリーチ、SPリーチ(その種類を含む))、疑似連指定情報(疑似連回数を含む)など)、設定値関連情報などを含むことができる。主制御部20は、その内容を特定可能とする「変動パターン指定コマンド」を作成し、これを演出制御部24に送信する。変動パターン指定コマンドに含まれる情報は、今回の図柄変動表示ゲーム中のに現出すべき種々の演出(変動中の予告演出、変動中の設定示唆演出)を決定する際に利用される。また、変動パターンに対応した特別図柄の変動時間を領域内RAMのタイマ管理領域である「特別図柄役物動作タイマ」に設定し、今回の図柄変動表示ゲームの実行時間を確定する。
次いで、今回の変動開始側に対応する変動中フラグをON状態(5AH)に設定する(ステップS414)。上記「変動中フラグ」とは特別図柄1、2のどちらが変動中であるかを示すフラグで、当該フラグがON状態(=5AH)である場合には特別図柄が変動中である旨を示し、当該フラグがOFF状態(=00H)である場合には特別図柄が停止中である旨を示す。本実施形態では、特図1対応の「特別図柄1変動中フラグ」と、特図2対応の「特別図柄2変動中フラグ」を扱う。たとえば、特図1側が今回の処理対象(変動開始側)であれば、特別図柄1変動中フラグをON、特別図柄2変動中フラグをOFFに設定する。
次いで、ステップS411の特別停止図柄作成処理で得られた図柄抽選結果に対応する装飾図柄指定コマンドを取得し、これを演出制御部24に送信する(ステップS415)。装飾図柄指定コマンドは、変動側の特別図柄種別を指定する上位バイト(MODE)と、当選種別を指定する下位バイト(EVENT)の2バイトで構成される。したがって、装飾図柄指定コマンドには、変動側の特別図柄種別と当選種別(図柄抽選結果)とに関する情報が含まれる。装飾図柄指定コマンドは、主として、リーチ状態を形成する際の装飾図柄の組合せ(リーチ図柄を構成要素となる図柄種)や、最終的に停止表示させる装飾図柄(装飾停止図柄)の組合せや、図柄変動表示ゲームにおいて当選種別に対応する予告演出、後述の聴牌図柄による設定示唆演出を行う際にも利用される。演出制御部24は、変動パターン指定コマンド、装飾図柄指定コマンドを受信すると、これらのコマンドに含まれる情報に基づいて、今回の図柄変動表示ゲームの演出を現出制御する。
そして、変動開始時設定処理として、特別図柄動作ステータス「変動中(02H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに02Hを格納)、判定用乱数記憶エリアに00Hを格納する(ゼロクリアする)(ステップS416)。
以上により、この特別図柄変動開始処理を抜けると、図19の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、かくして特別図柄の変動表示が開始されることになる。これにより、特別図柄管理処理(ステップS093)を抜けて、図16の特別電動役物管理処理(ステップS095)に進む。
(設定異常エラーが生じたケースについて:S409→S411の処理ルート)
上記ステップS409の判定処理の説明に戻り、ステップS409において、設定エラーフラグがON状態(5AH)であると判定された場合、すなわち、設定異常エラーが発生したと判定された場合の処理内容について説明する。
本実施形態では、ステップS409の判定処理において、設定エラーフラグがON状態であると判定された場合、上記特別電動役物作動判定用乱数判定処理(当落抽選)はスキップし、ステップS411の特別停止図柄作成処理に進むようになっている。すなわち、設定異常エラーが発生した場合には、変動開始時の当落抽選を実行せず、今回の当落抽選結果は、常に「ハズレ」とされる(強制ハズレ制御)。
よって、設定異常エラーの場合、上記ステップS411の特別停止図柄作成処理では、当落抽選結果が「ハズレ」であることに基づき、図柄抽選が実行される。ここで、設定異常エラーの場合にも、通常通りに、ハズレ図柄テーブルを用いてハズレ種別(本実施形態の場合、ハズレA~Cのいずれか)を決定してもよいが、設定異常エラー時にのみ選択される(通常時には選択されない)ハズレ種別(たとえば、ハズレD)を設けて、これに決定するように構成してもよい。この場合、設定異常エラー時には、図柄抽選結果として、ハズレDに対応する特別図柄判定データと特別停止図柄番号とが決定され、特別図柄表示装置38a、38bには、正常動作時には表示されることのない特別停止図柄が停止表示されることになる。なお、エラー専用のハズレDを特図1と特図2とで兼用してもよいし、特別図柄種別に応じたエラー専用のハズレ(特図1対応のハズレD1、特図2対応のハズレD2)を設けてもよい。また、エラー専用のハズレを設けない場合、通常時に選択されるハズレA~Cのうち、特定のハズレ(たとえば、ハズレA)を選択してもよい。
(設定異常エラー時の変動パターンの選択について)
次いで、特別図柄変動パターン作成処理(ステップS411)を実行するが、設定異常エラー中は、正常時と同じ変動パターン抽選を行うのではなく、設定異常エラー時に限り選択される「設定エラー用の変動パターン振分テーブル(設定異常用変動パターン振分テーブル)」が参照されて、設定異常エラー時専用の変動パターンが選択されるようになっている。
本実施形態では、設定異常エラー中は、強制的に「ハズレ」が決定されることを考慮し、上記「設定異常用変動パターン振分テーブル」には、煽り度合いが低い予告演出が選択されるテーブル構成となっている。たとえば、下記(ワ)~(ソ)に示す変動パターンを選択可能なテーブル構成とすることができる。
構成(ワ):少なくともリーチ変動パターンを選択しない。
構成(カ):少なくとも特定のリーチを指定するリーチ変動パターンを選択しない。たとえば、通常変動およびNリーチ指定の変動パターンを選択対象とするが、高期待度のSPリーチを指定する変動パターンは選択対象としない。
構成(ヨ):少なくともリーチ変動パターンおよび疑似連有り変動パターンを選択しない。換言すれば、通常変動パターンだけを選択する。
この構成(ヨ)の場合、たとえば、正常動作時に選択可能な複数種類の通常変動パターン(本実施形態の場合、通常変動2s、通常変動8s、および通常変動12s)のうちからいずれかを選択可能に構成することができる。また、特定の通常変動(たとえば、通常変動8s)のみを選択してもよい。なお、設定異常エラー中は強制ハズレとされ、遊技者側が不利益を被ることを考慮すれば、作動保留球の消化時間を遅延させることが好ましい。すなわち、変動時間が最長の通常変動パターン(通常変動12s)のみを選択する構成が好適である。また、設定異常エラー時のみに選択される複数種類の設定異常エラー時専用の通常変動パターン(以下、「エラー用通常変動パターン」と略す)を設け、これらのうちからいずれかを選択してもよい。また、1のエラー用通常変動パターン(たとえば、通常変動5s)のみが選択される構成としてもよい。
(装飾図柄などの変動表示演出、図柄変動中の予告演出について)
また、設定異常エラー中である場合には、変動パターン指定コマンドを送信する際に、設定異常エラー中である旨を指定する設定異常エラー情報を含ませることが好ましい。ただし、エラー用通常変動パターンを選択する構成の場合は、その変動パターン自体に、設定異常エラー情報が含まれるため、設定異常エラー情報を含ませなくてもよい。
演出制御部24は、設定異常エラー情報を含む変動パターン指定コマンドを受信した場合、設定異常エラー中に選択された変動パターンであることを把握し、設定異常エラー中専用の装飾図柄変動表示ゲームに係る演出制御を行う。ここで、設定異常エラーが発生した場合、図18の設定異常チェック処理中のステップS734にて、主制御部20から「設定値異常コマンド」が送信されるため、演出制御部24は、これを受けて、設定異常エラーが発生したことを把握することができるが、このコマンドは、専ら、設定異常エラー報知に利用されるコマンドであるため、設定異常エラー中専用の装飾図柄変動表示ゲームを実行するには、別途、設定異常エラー情報を含む変動パターン指定コマンドを送信する構成とするようになっている。
上記の設定異常エラー中専用の装飾図柄変動表示ゲームとして、たとえば、下記(ウ)~(ヤ)のような演出制御系の構成とすることができる。いずれの場合も特別図柄変動表示ゲーム(特図の変動時間)が終了すると、装飾図柄変動表示ゲームも終了される。
演出(ウ):設定異常エラー中は、予告演出自体を現出させない。たとえば、画像表示演出として、当選期待度に関係しない背景画像表示(演出モードに対応した通常の背景画像、またはエラー用背景画像)と装飾図柄の変動表示だけを行う。
演出(ヰ):装飾図柄の変動表示を行わない。この場合、特別図柄の変動表示動作は実行されているが、装飾図柄は停止したままの状態となる。
演出(ノ):設定異常エラー中専用の変動表示(RAMエラー中変動表示)を行う。たとえば、通常の変動表示を開始せずに、装飾図柄を上下に搖動させる「揺れ変動(仮停止状態)」を行う。この場合、特定の図柄の組合せ(たとえば、「2」「4」「0」などのハズレ対応装飾図柄)のまま揺れ変動を行ってもよい。
演出(オ):通常の変動表示を行うが、停止表示した際には、特定の図柄の組合せ(たとえば、「2」「4」「0」などのハズレ対応装飾図柄)で停止表示させる、あるいは、通常の変動表示を行った後、特定の図柄の組合せで揺れ変動(仮停止状態)を所定時間行い、その後、停止表示させる。
演出(ク):通常の装飾図柄から設定異常エラー中専用の装飾図柄に変更する。たとえば、通常の装飾図柄は1~9の数字を表示した図柄であるが、設定異常エラー中専用の装飾図柄は、たとえば、左・中・右図柄を、「エ」「ラ」「-」などの文字を表示した特殊図柄に変更する。この場合、装飾停止図柄に特別な意味を持たせた図柄とすることが好適である。上述の演出(ウ)~(ク)において、装飾図柄が停止または仮停止した際に、「エ」「ラ」「-」という態様が表示されれば、遊技者や周囲の店員などに対して速やかに、RAMエラーが生じている旨を報知することができる。
演出(ヤ):少なくとも音演出を消音状態または遊技設定上の最低の音量とする。この場合、遊技者に違和感を与え、設定異常エラーであることをいち早く知らせる上で効果的である。また画像表示演出に係る光量を遊技設定上の最低の光量としてもよい。
なお、上述の演出(ウ)~(ヤ)において、少なくとも変動パターン指定コマンドに、設定異常エラー情報を含ませた例を説明したが、装飾図柄指定コマンドにも設定異常エラー情報を含ませてもよい。
<A.特別図柄変動中処理>
次に、特別図柄変動中処理(ステップS307)について説明する。
特別図柄変動中処理において、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマにセットされた特別図柄の変動時間Tが経過したか否かを判定する。変動時間Tが経過していないならば(変動時間T≠0)、特別図柄が変動中であるので、何もしないでこの特別図柄変動中処理を抜ける。特別図柄の変動時間Tが経過したならば(変動時間T=0)、演出制御コマンドとして、特別図柄の変動が終了したことを示す「変動停止コマンド(BF01H)」を演出制御部24に送信する。演出制御部24は、変動停止コマンドを受信すると、特別図柄の変動時間経過して特別図柄変動表示ゲームが終了したことを把握し、変動表示中の装飾図柄を停止表示(確定表示)させる。これにより、特別図柄変動表示ゲームの終了とともに、装飾図柄変動表示ゲームも終了される。
次いで、特別図柄の変動停止時の設定処理として、領域内RAMの該当領域に、特別図柄確定信号出力時間(たとえば、100ms)、確定表示時間(たとえば、500ms)を格納し、特別図柄動作ステータスを「確認中(03H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄変動中フラグにOFF状態を格納する。そして、特別図柄の変動停止時の設定処理を終えると、特別図柄変動中処理を抜ける。上記「特別図柄確定信号出力時間」とは、枠用外部端子基板21からホールコンピュータHCに対し、特別図柄が確定表示された旨を報知する特別図柄確定信号の出力時間を確保するための余裕時間である。また「確定表示時間」とは、特別図柄の変動表示が終了して特別図柄の停止表示した際、その停止表示を保持する時間(停止表示時間)である。
以上の特別図柄変動中処理を抜けると、図19の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、特別図柄管理処理を抜けて、図16のステップS095の特別電動役物管理処理に進む。
<22.特別図柄確認時間中処理(変動停止時処理):図22Aおよび図22B>
次に、特別図柄確認時間中処理(ステップS308)について説明する。図22Aおよび図22Bは、図19の特別図柄確認時間中処理(ステップS308)の詳細を示すフローチャートである。
図22Aおよび図22Bにおいて、CPU201は、まず特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する(ステップS471)。ここでの特別図柄役物動作タイマには、「確定表示時間」が設定されている(上記特別図柄変動中処理のステップS307参照)。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は(ステップS471:NO)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば(ステップS471:YES)、今回の特別図柄変動表示ゲームが終了したとして、特別図柄動作ステータスを「待機中(01H)」に切り替え(特別図柄動作ステータスに01Hを格納)(ステップS472)、現在の遊技状態に応じた遊技状態番号YJ(00H~03Hのいずれかの値)を遊技状態判定領域(W_YJTPTN)に格納する(ステップS473)。
次いで、大当り判定フラグを取得し、大当り判定フラグの状態を判定する(ステップS474)。
(大当り判定フラグがON状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS474:=5AH)、大当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS475)。ここでは、図示の通り、大当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、大当りに当選したとして条件装置作動フラグをONにし(5AHを格納し)、その他、大当り遊技中を低確率、電サポ状態無しの状態に設定する。
(大当り判定フラグがOFF状態の場合)
上記ステップS474の判定で、大当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS474:≠5AH)、次いで、小当り判定フラグを取得し、小当り判定フラグの状態を判定する(ステップS476)。小当り判定フラグがOFF状態(=00H)の場合(ステップS476:≠5AH)、すなわち、大当りでもなく小当りでもない「ハズレ」の場合には、ステップS478の処理に進む。
一方、小当り判定フラグがON状態(=5AH)の場合(ステップS476:=5AH)、小当り図柄停止時の各種設定処理を行う(ステップS477)。ここでは、小当り図柄停止時の各種設定処理(小当り遊技開始前処理)として、小当り判定フラグに00H(OFF状態)を格納し、小当り中フラグに5AH(ON状態)を格納する。上記小当り図柄停止時の各種設定処理を終えると、ステップS478の処理に進む。
ステップS478の処理に進むと、特別図柄時短回数カウンタ(残り時短回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS478)。特別図柄時短回数カウンタがゼロである場合(ステップS478:YES)、ステップS483の処理に進む。
一方、特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS478:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄時短回数カウンタを1減算し(ステップS479)、減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS480)。
減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロでない場合(ステップS480:NO)、特別図柄時短状態の終了回数に達していないので、何もしないでステップS483の処理に進む。一方、減算後の特別図柄時短回数カウンタがゼロの場合(ステップS480:YES)、特別図柄時短状態の終了回数に達したとして、時短終了時の設定処理を行う(ステップS481)。ここでは、時短終了時の設定処理として、電チューサポート機能をOFF状態に設定し、電サポ無し状態への移行、つまり、時短状態から通常状態への移行設定処理を実行する。これにより、次回の特別図柄変動表示ゲームでは、「通常状態」に基づく特別図柄の変動パターンが選択される。
ステップS481の時短終了時の設定処理を終えると、次いで、遊技状態情報送信処理を実行する(ステップS482)。ここでは、状態コマンドを演出制御部24に送信する。ここでの状態コマンドには、時短状態終了を指定する情報が含まれる。この状態コマンドにより演出制御部24は、今回のゲームで時短状態が終了した旨を把握し、次回のゲームから通常状態に移行される旨を把握する。
次いで、特別図柄確変回数カウンタ(残りST回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS483)。特別図柄確変回数カウンタがゼロである場合(ステップS483:YES)、ステップS488の処理に進む。一方、特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS483:NO)、今回の特別図柄の変動回数消化分として、特別図柄確変回数カウンタを1減算し(ステップS484)、その減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS485)。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロでない場合(ステップS485:NO)、ST回数が終了していないので、何もせずにステップS488の処理に進む。
減算後の特別図柄確変回数カウンタがゼロの場合(ステップS485:YES)、特別図柄の変動回数が規定のST回数(本実施形態では、65535回)に達したとして、確変終了時の設定処理を実行する(ステップS486)。ここでは、確変終了時の設定処理として、図示の通り、確変状態に関する機能をOFF状態に設定する。これにより、次回の特別図柄変動表示ゲームでは、「通常状態」に基づく特別図柄の変動パターンが選択される。なお、潜確状態の場合も確変状態の処理と同様に、ステップS483~S485にてST規定回数が監視され、この確変終了時の設定処理において潜確状態の終了タイミングが管理されている。
上記ステップS486の確変終了時の設定処理を終えると、次いで、遊技状態情報送信処理を実行する(ステップS487)。ここでは、上記ステップS482と同じく、状態コマンドを演出制御部24に送信するが、ここでの状態コマンドに含まれる情報には、高確率状態(確変状態または潜確状態)終了を指定する情報が含まれる。この状態コマンドにより演出制御部24は、今回のゲームで高確率状態(確変状態または潜確状態)が終了した旨を把握し、次回のゲームから通常状態に移行される旨を把握する。
ステップS487の遊技状態情報送信処理を終えると、次いで、特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否か、つまり遊技状態移行規定回数(本実施形態では、残余CZ回数)がゼロであるか否かを判定する(ステップS488)。ここでは、残余CZ回数を監視する。また本実施形態では、既に説明したように、遊技状態の「通常状態」では‘「通常状態」および「CZ」’が、また遊技状態の「潜確状態」では‘「潜確状態」および「CZ」’を扱っている。つまり、潜確状態と通常状態とは、共通の「CZ」を有する。そこで、「CZ」期間中は,それぞれ異なる内部遊技状態でありながらも、内部遊技状態によらずに同一の変動パターン振分テーブル(CZ用変動パターン振分テーブル)が選択可能に構成されている。このCZ用変動パターン振分テーブルを選択するか否かは、所定の識別子(変動パターン振分指定番号(Tcode))により管理される。
特別図柄変動回数カウンタがゼロである場合(ステップS488:YES)、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。一方、特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS488:NO)、今回の変動回数の消化分として、特別図柄変動回数カウンタを1減算し(ステップS489)、その減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロであるか否かを判定する(ステップS490)。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロでない場合(ステップS490:NO)、CZモードが終了していないとして、何もしないでこの特別図柄確認時間中処理を抜ける。
減算後の特別図柄変動回数カウンタがゼロの場合(ステップS489:YES)、CZモードが終了したとして、遊技状態の移行設定処理を実行する(ステップS491)。ここでは、残余CZ回数が終了した後の遊技状態の移行設定処理を実行する。本実施形態では、主制御部20がCZモードを管理するCZ管理手段を有し、CZ終了時の大当り抽選確率状態が低確率か高確率かに応じて、移行先の遊技状態を指定する。具体的には、現在のCZ(通常)であれば、通常状態に移行させ、CZ(潜確)であれば、潜確状態に移行させる。これにより、次回の特別図柄変動表示ゲームでは、「通常状態」または「潜確状態」に基づく特別図柄の変動パターンが選択される。
次いで、遊技状態情報送信処理を実行する(ステップS492)。ここでは、上記ステップS482と同じく、状態コマンドを演出制御部24に送信するが、ここでの状態コマンドに含まれる情報は、「CZ(通常)」または「CZ(潜確)」終了を指定する情報が含まれる。この状態コマンドにより演出制御部24は、今回のゲームでCZ(「CZ(通常)」または「CZ(潜確)」)が終了した旨を把握し、次回ゲームから、「通常状態」または「潜確状態」となる旨を把握する。
以上により、この特別図柄変動開始処理を抜けると、図19の特別図柄表示データ更新処理(ステップS309)を行い、特別図柄管理処理(ステップS093)を抜けて、図16の特別電動役物管理処理(ステップS095)に進む。
<23.特別電動役物管理処理:図23>
次に、図16中の特別電動役物管理処理(ステップS095)について説明する。図23は、ステップS095の特別電動役物管理処理の詳細を示すフローチャートである。
図23において、CPU201は、まず小当り中フラグの状態を判定する(ステップS501)。上記小当り中フラグがON状態の場合(ステップS501:=5AH)、小当り処理を行い(ステップS504)、この特別電動役物管理処理を抜ける。この小当り処理では、小当り遊技に係る特別変動入賞装置52(大入賞口50の開閉制御)の一連の動作を制御するための小当り遊技制御処理、小当り遊技開始時の小当り開始コマンドの送信、小当り遊技終了時小の当り終了コマンドの送信などを含むコマンド送信処理、CZモードに関する移行処理などを実行する。
上記小当り中フラグがOFF状態の場合(ステップS501:≠5AH)、次いで、条件装置作動フラグの状態を判定する(ステップS502)。条件装置作動フラグがOFF状態の場合(ステップS502:≠5AH)、この場合は、小当り遊技中ではなく(ステップS501:≠5AH)、大当り遊技中でもないので、何もしないでこの特別電動役物管理処理を抜ける。
条件装置作動フラグがON状態の場合(ステップS502:=5AH)、特別電動役物動作ステータス(00H~04H)に応じた処理を行う(ステップS503:特別電動役物ステータス分岐処理)。なお「特別電動役物動作ステータス」とは、特別変動入賞装置52の挙動を示すステータス値であり、このステータス値は処理状態に応じて変更され、領域内RAMの特別電動役物動作ステータス格納領域に格納される。特別電動役物動作ステータスには、大当り遊技開始前の待機状態である旨を指定する「開始処理中(00H)」、ラウンド遊技開始前の待機状態である旨を指定する「作動開始処理中(01H)」、ラウンド遊技が実行中である旨を指定する「作動中(02H)」、次回のラウンド遊技を継続させるか否かの判定中である旨を指定する「継続判定中(03H)」、大当り遊技終了時の終了処理中である旨を指定する「大当り終了処理中(04H)」が含まれる。
ステップS503の特別電動役物動作ステータス分岐処理では、特別電動役物動作ステータス値が「開始処理中(00H)」「作動開始処理中(01H)」「作動中(02H)」「継続判定中(03H)」「大当り終了処理中(04H)」のいずれかのステータス値であるかに応じて、それぞれに対応する、ステップS505~S509の処理を実行する。これらの処理により、各種当りに対応する当り遊技が実現されることになる。
<大当り遊技制御処理(ステップS505~S509)>
(9-1.大当り開始処理)
大当り開始処理(ステップS505)について説明する。大当り遊技開始時には、特別電動役物動作ステータスが、初期値の「開始処理中(00H)」に設定されている。したがって、大当りとなった場合には、まずこの大当り開始処理が実行される。
ここではまず、大当り遊技を開始する際に必要な大当り遊技開始時の設定処理として、領域内RAMの役物連続作動装置作動フラグに5AH(ON状態)を格納し、これにより特別電動役物の連続作動(ラウンド遊技)を許容状態に制御する。そして特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)、ラウンド遊技の連続実行回数を管理するための連続回数カウンタに1R目を指定する01Hを格納する。次いで、大当り開始設定テーブル(図示せず)参照し、特別図柄判定データ(大当り種別)に応じて、領域内RAMの該当領域に、今回の大当りに対応する「最大ラウンド数(規定ラウンド数)」、「ラウンド表示LED番号(ラウンド数表示装置39c用表示データ)」を格納し、また特別図柄役物動作タイマに「開始インターバル時間」を格納する。「開始インターバル時間」とは、特別図柄の確定表示時間が経過して大当りが確定した後(図22AのステップS471参照)、特別変動入賞装置52が作動するまでのインターバル区間であって、オープニング演出区間を定めた時間幅を指す。
次いで、「大当り開始コマンド」を演出制御部24に送信し、この大当り開始処理を抜ける。なお「大当り開始コマンド」には、オープニング演出の開始を指示する役割の他、今回の大当り種別とその大当り当選時の遊技状態とを特定可能な情報が含まれ、演出制御部24において、大当り遊技中に展開される一連の当り演出(大当り種別ごとに対応するオープニング演出、ラウンド中演出、ラウンド終了演出、およびエンディング演出など)を決定する際にも利用される。かくして、大当り遊技が開始される。
(9-2.特別電動役物作動開始処理)
次に、特別電動役物作動開始処理(ステップS506)について説明する。
ここではまず、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、ラウンド開始前インターバル時間が設定されている。このインターバル時間としては、初回のラウンド(1R目)では、上記大当り開始処理(ステップS505)で設定された「開始インターバル時間」が監視されるが、2R目以降で本処理(ステップS506)を通過するときは、「開放前インターバル時間(次回ラウンド遊技が開始されるまでのインターバル時間)」が監視される。この特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、今回のラウンド遊技が終了していないので、何もしないでこの特別電動役物作動開始処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ、つまり開放前インターバル時間(1R目の場合は、開始インターバル時間)が経過したならば、特別図柄判定データ(大当り種別)と現在のラウンド数とに応じた大入賞口50の開閉動作パターンを設定する(大入賞口開閉動作設定処理)。ここでは、大入賞口開閉動作時間(最大開放時間)を特別図柄役物動作タイマに格納し、大入賞口ソレノイド52cを制御するためのソレノイド用制御データ(ラウンド数に対応して実行される大入賞口開閉動作パターン用データ)を設定する。また大入賞口開放開始動作に伴い、大入賞口開放コマンドを演出制御部24に送信する。この「大入賞口開放コマンド」は、ラウンド遊技開始情報や現在のラウンド数情報を含み、演出制御部24において、ラウンド数に対応するラウンド中演出を現出させる際に利用される。そして、特別電動役物動作ステータスを「作動中(02H)」に切り替えて(特別電動役物動作ステータスに02Hを格納)、この特別電動役物管理処理を抜ける。これにより、大入賞口50が上記大入賞口開閉動作時間を上限に開放され、今回のラウンド遊技が開始される。
(9-3.特別電動役物作動中処理)
次に、特別電動役物作動中処理(ステップS507)について説明する。
ここではまず、大入賞口50への入賞球数が最大入賞数に達したか否かを監視し、最大入賞数に達した場合には特別図柄役物動作タイマをクリアする。これにより、上記特別電動役物作動開始処理(ステップS506)で設定されたタイマ値が強制的にゼロになり、最大入賞数に達したことをもって開放中の大入賞口50が閉鎖される。また、ここでは、大入賞口50に入賞があるごとに、大入賞口入賞コマンドを送信する。この大入賞口入賞コマンドは、大入賞口である旨および賞球数情報を含み(設定値情報も含ませてもよい)、大入賞口50に入賞した旨を報知する入賞演出に利用される他、後述の設定示唆演出の一態様である「大入賞口入賞音変化予告」や、上記出玉ランキング表示(総出玉数のカウント)などの現出制御にも利用される。なお、特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間、つまり、大入賞口開放動作時間(最大開放時間)が経過するか、または最大入賞数に達するまでの間は、何もしないで、そのまま特別電動役物作動中処理を抜ける。
特別図柄役物動作タイマがゼロになったならば、今回のラウンド遊技が終了したとして、特別電動役物動作ステータスを「継続判定中(03H)」に切り替え(特別電動役物動作ステータスに03Hを格納)、特別図柄役物動作タイマに残存球排出時間(1980ms)を格納する。上記「残存球排出時間」とは、大入賞口が閉鎖された後、大入賞口内部の残存球を排出するための余裕時間を指す。また大入賞口閉鎖(ラウンド遊技終了)に伴い、ラウンド間インターバルコマンドを演出制御部24に送信し、特別電動役物作動中処理を抜ける。この「ラウンド間インターバルコマンド」は、ラウンド遊技終了情報や現在のラウンド数情報を含み、演出制御部24において、次回ラウンドまでのラウンド間のインターバル演出(ラウンド間インターバル演出)を現出させる際に利用される。特別電動役物作動中処理を抜ける。
(9-4.特別電動役物作動継続判定処理)
次に、特別電動役物作動継続判定処理(ステップS508)について説明する。
ここではまず、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、大入賞口閉鎖後の残存球排出時間(1980ms)が設定されているので(ステップS507参照)、この残存球排出時間が経過したか否かが判定される。上記特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、何もしないでこの特別電動役物作動継続判定処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ(残存球排出時間経過)になったならば、連続回数カウンタを取得して現在のラウンド数が規定ラウンド数(最大ラウンド数)に達したか否かを判定する。最大ラウンド数に達していない場合には、ラウンド遊技継続時の処理として、連続回数カウンタに1加算(+1)し、「開放前インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納し、特別電動役物動作ステータスを「作動開始処理中(01H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに01Hを格納)。一方、現在のラウンド数が最大ラウンド数に達した場合には、規定ラウンド数終了時の各種設定処理として、「終了インターバル時間」を特別図柄役物動作タイマに格納し、特別電動役物動作ステータスを「終了処理中(04H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに04Hを格納)。なお、上記の「終了インターバル時間」とは、最終ラウンドのラウンド遊技が終了して残存球排出時間が経過した後、大当り遊技が終了するまでのインターバル区間であって、エンディング演出区間を定めた時間幅を指す。
そして、エンディング演出の開始を指示する「大当り終了コマンド」を演出制御部24に送信し、特別電動役物作動継続判定処理を抜ける。上記大当り終了コマンドには、今回の大当り種別とその当選時の遊技状態とに関する情報、つまり大当り遊技終了後の遊技状態を特定可能な情報が含まれ、演出制御部24において、大当り遊技後の演出モードを決定する際にも利用される。これにより、規定ラウンド数目のラウンド遊技が終了される。
(9-5.大当り終了処理)
次に、大当り終了処理(S509)について説明する。
ここではまず、特別図柄役物動作タイマがゼロであるか否かを判定する。ここでの特別図柄役物動作タイマには、上記終了インターバル時間が設定されているので、ここでは、この終了インターバル時間が経過したか否かが判定される。特別図柄役物動作タイマがゼロになるまでの間は、何もしないでこの大当り終了処理を抜ける。
一方、特別図柄役物動作タイマがゼロ(終了インターバル時間経過)になったならば、大当り終了時の各種設定処理として、大当り遊技後の遊技状態を指定するための移行設定処理を実行する。ここでは、既に説明した遊技状態移行準備処理(図21のステップS412)で設定した移行状態バッファの各々の値を、遊技状態を指定するための各種機能に対応するフラグ領域やカウンタにそれぞれ設定する。これにより、遊技状態を指定するための各種機能に係るフラグがONまたはOFFに設定され、大当り遊技後の遊技状態が特定される。たとえば、大当り遊技後、確変状態に移行する場合には、普電役物開放延長状態フラグON、普通図柄時短状態フラグON、普通図柄確変状態フラグON、特別図柄時短状態フラグON、特別図柄確変状態フラグON、特別図柄確変回数カウンタに65536が設定される。
次いで、大当り終了時の各種設定処理を行う。ここでは、大当り遊技制御処理中に利用した各種のデータ(ステップS505~S509で利用した各種フラグやカウンタ)をそれぞれクリアし、遊技状態報知LEDデータ(複合表示装置38cによる状態報知データ)を更新し、特別電動役物動作ステータスを「開始処理中(00H)」に切り替える(特別電動役物動作ステータスに00Hを格納)。
上記大当り終了処理を終えると、大当り遊技に関する一連の制御処理が終了し、今回の大当り遊技が終了される。
<30.演出制御部側の処理:図30~図31>
次に、図30~図31を参照して、本実施形態の演出制御部24側における演出制御処理について説明する。演出制御部24側の処理は、主に、所定のメイン処理(演出制御側メイン処理:図30)と、CTCからの定時割込みで起動されるタイマ割込処理(演出制御側タイマ割込処理:図31)とを中心に構成される。
<30.演出制御側メイン処理:図30>
図30は、演出制御部側のメイン処理(演出制御側メイン処理)を示すフローチャートである。演出制御部24(CPU241)は、遊技機本体に対して外部から電源が投入されると、図30に示す演出制御側のメイン処理を開始する。
この演出制御側のメイン処理において、CPU241は、まず遊技動作開始前における必要な初期設定処理を行う(ステップS1001)。ここでは、初期設定処理として、たとえば、コマンド受信割込み設定、可動体役物の起点復帰処理、CTCの初期設定、タイマ割込みの許可、マイクロコンピュータの各部を含めてCPU内部のレジスタ値の初期設定などを行う。
上記初期設定処理を終えると、正常動作時の処理として、所定時間ごと(16ms)にステップS1003~S1011のメインループ処理を行い、それ以外ではステップS01012の演出用ソフト乱数更新処理を繰り返し行う。
ステップS1002の処理において、CPU241は、メインループ更新カウンタを参照して、メインループ処理の実行契機となるメインループ更新周期(カウンタ値>15)が到来したか否かを判定する(ステップS1002)。上記メインループ更新カウンタは、1ms毎に実行される後述の演出制御側タイマ割込処理中でインクリメントされるカウンタである(図31のステップS1057参照)。本実施形態では、16ms程度ごとにメインループ処理を行うようになっており、ステップS1002の判定処理にて、メインループ更新カウンタ値を判定し、その値が「15」より大きい場合には(ステップS1002:YES)、メインループ処理の実行タイミングが到来したとして、ステップS1003~S1011の処理を実行し、それ以外の場合には、メインループ更新周期が到来するまで(ステップS1002:NO)、各種演出抽選用乱数の更新を行う(ステップS1012)。
上記メインループ更新周期が到来した場合(ステップS1002:YES)、メインループ更新カウンタをゼロクリアし(ステップS1003)、次いで、エラー処理を実行する(ステップS1004)。ここでは、エラー中におけるエラー報知用の演出シナリオの設定やエラーが解除された際のエラー解除処理などを実行する。なお、演出手段に関するエラー(可動体役物エラー、音声ICエラーなど)は、ここで監視される。
次いで、デモ・節電モード処理を実行する(ステップS1005)。このデモ・節電モード処理では、デモ開始待ち演出、客待ち演出、および節電モードに関する処理を実行する。デモ・節電モード処理の詳細は、図38にて後述する。
次いで、可変抽選モード管理処理を実行する(ステップS1006)。この可変抽選モード管理処理では、設定示唆演出に係る抽選確率(出現率、設定示唆度合)を高確率に変動させるための抽選モード(可変抽選モード)を管理する。この可変抽選モード管理処理の詳細は、図56、図57、図59、図60にて後述する。
次いで、演出スイッチ入力処理を実行する(ステップS1007)。この演出スイッチ入力処理では、操作手段(演出ボタン13、方向キー75)の操作状態を監視し、操作を検出した場合には、その操作に応じた演出制御処理を実行する。操作手段の入力状態は、後述の図31中のボタン入力状態更新処理(ステップS1052)にて監視される。
次いで、コマンド解析処理を行う(ステップS1008)。このコマンド解析処理では、コマンド受信バッファに演出制御コマンドが格納されているか否かを監視し、演出制御コマンドが格納されていればこのコマンドを読み出し、読み出した演出制御コマンドに対応した演出処理を実行する。なお、主制御部20側からのストローブ信号に基づく割込みが生じた際、図示しないコマンド受信割込処理が実行される。このコマンド受信割込処理により、演出制御コマンドが取得され、そのデータは、RAM243のコマンド受信バッファに格納される。
たとえば、少なくとも変動パターン指定コマンドが受信され、それが受信バッファに格納されている場合(本実施形態では、変動パターン指定コマンドと装飾図柄指定コマンドとが受信され、それらが受信バッファに格納されている場合)、コマンド解析処理において、そのコマンドに含まれる情報(変動パターン情報と当選情報(または当選種別情報))に基づいて、1または複数種類の演出パターンを決定する。ここで決定される演出パターンは、演出シナリオを構成する要素としての「パーツ演出」として働く。続いて、上記決定された演出パターン(パーツ演出)を、どのようなタイミングで、どれだけの演出時間幅をもって現出させるかについてのタイムスケジュールを決定し、これにより演出シナリオを構成して、その演出シナリオのデータをRAM243のシナリオ設定領域に格納する。この演出シナリオに組み込まれた種々の演出パターン(パーツ演出)が、次々に、あるいは複数同時展開されることにより、広義の意味での「演出シナリオ」が実現される。なお、本発明に関連の深いコマンドに関するコマンド解析処理についての詳細は、図32図33、図37、図50、図55、図58にて後述する。
上記コマンド解析処理を終えると、続いて、シナリオ更新処理を実行する(ステップS1009)。このシナリオ更新処理では、演出シナリオの実行に必要なタイマの内容を更新、当該タイマ値に基づいて演出シナリオを進行する処理を実行する。上記タイマの代表的なものは、演出の発生タイミングに関するタイムスケジュールを管理する演出シナリオタイマである。たとえば、特別図柄が変動表示されている変動期間(特別図柄変動期間)内と実質的に同一期間内である、装飾図柄が変動表示されている変動期間(装飾図柄変動期間)内において、その時間軸上で、どのような演出パターンを、どれだけの時間幅をもって、どのような演出手段で現出させるかについての時間的なスケジュールがこのタイマにより管理される。斯様な演出シナリオタイマは、後述のLED駆動データ更新処理(ステップS1011)や演出役物動作更新処理(ステップS1053)においても利用される。ここでは、この演出シナリオタイマを監視し、一の演出の発生時期が到来すると、スピーカ46用の音データと、画像表示制御用の液晶コマンドとを作成し、それぞれをRAM243の指定領域に格納する。なお、光表示装置用のLEDデータに関しては後述のLED駆動データ更新処理(ステップS1011)で、可動体役物用のモータ制御データに関しては後述の演出役物動作更新処理(ステップS1053)で作成される。
次いで、サウンド出力処理を行う(ステップS1010)。このサウンド出力処理では、ステップS1009のシナリオ更新処理で作成された音データを取得し、再生する音データが有る場合には、音チャネル毎に設定されている音データに基づき、フレーズやボリュームなどのデータを音響制御部(音源LSI)に出力し、音響制御部を通じてスピーカ46から音演出を現出させる。これにより、演出シナリオに沿った音演出が実現される。
次いで、LED駆動データ更新処理を実行する(ステップS1011)。このLED駆動データ更新処理では、演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、装飾ランプ13や各種演出用LEDなどの光表示装置用のLEDデータを作成し、光表示制御部を通じて装飾ランプ部45やLEDを点灯点滅させる。これにより、演出シナリオに沿った光演出が実現される。
以上により、メインループ処理を終了すると、次のメインループ更新周期が到来するまで、ステップS1012の演出用ソフト乱数更新処理を行う。
<31.演出制御側タイマ割込処理:図31>
次に図31を参照して、演出制御側のタイマ割込処理について説明する。図31は、演出制御側タイマ割込処理を示すフローチャートである。この演出制御側タイマ割込処理は、CTCからの一定時間(1ms)ごとの割込みで起動され、演出制御側メイン処理実行中に割り込んで実行される。
図31において、CPU201は、タイマ割込みが生じると、レジスタの内容をスタック領域に退避させた後(ステップS1051)、ボタン入力状態更新処理を実行する(ステップS1052)。このボタン入力状態更新処理では、操作手段(演出ボタン13、方向キー75)からの操作検出信号の入力状態を監視し、操作検出信号を受信したことを確認した場合、その検出情報をRAM243の所定領域に格納する。この操作検出情報は、図30のシナリオ更新処理(ステップS1009)にて、遊技者参加型演出やメニュー画面やメニュー項目に係る情報などを表示する際に利用される。本実施形態では、1回押し、長押し、連打などの検出も可能となっている。
次いで、演出役物動作更新処理を実行する(ステップS1053)。この演出役物動作更新処理では、演出シナリオデータと演出シナリオタイマとに基づき、可動体役物用のモータ制御データを作成する処理を行う。
次いで、SOL・MOT出力処理を行う(ステップS1054)。このSOL・MOT出力処理では、上記演出役物動作更新処理で作成された可動体役物用の制御データを駆動制御部に出力する。駆動制御部は、制御データに基づく制御信号を、動作対象とする可動体役物の可動体役物モータに出力しその動作を制御する。これにより、演出シナリオに沿った可動体役物(時計型役物80、花型役物90、回転灯62、可動体73)による可動体演出が実現される。
次いで、液晶コマンド送信処理を行う(ステップS1055)。この液晶コマンド送信処理では、図30のシナリオ更新処理(ステップS1009)で作成された液晶コマンドが有る場合には、表示制御部(液晶制御CPU)に液晶コマンドを送信し、液晶表示装置36に対する画像表示制御を実行させる。これにより、演出シナリオに沿った画像演出が実現される。
次いで、RTC情報取得処理を実行する(ステップS1056)。このRTC情報取得処理では、RTCにより計時される日時情報(RTC情報)を取得する。このRTC情報は、RTC情報に応じた演出を現出する際に利用したり、上記可変抽選モード管理処理(ステップS1006)における設定示唆演出抽選モードの移行などに利用される。
次いで、メインループ更新カウンタをインクリメントする(ステップS1057)。このメインループ更新カウンタは、上述の演出制御側のメイン処理中のステップS1003でリセットされ、本処理でインクリメントされる。したがって、ステップS1055が実行される際には、メインループ更新カウンタ値は0~15のいずれかとなっている。
上記ステップS1057の処理を終えると、退避していたレジスタの内容を復帰させ(ステップS1058)、タイマ割込処理を終了して、次のタイマ割込みが発生するまで演出制御側メイン処理を実行する。
<設定変更示唆演出、設定示唆演出>
(発明の位置付け1:目的・課題)
上記設定値は、パチンコホールの営業戦略に基づき、パチンコホール側により決定される。他方、遊技者にとっては、設定値が如何なる設定値であるかを、利益を得るための重要な要素である。したがって、上記の設定変更があったか否かは、大当りに当選しやすいか否かに直結するため、遊技者にとっては是非とも知りたい大関心事項である。
この遊技者の願望に応える措置として、一方においては、遊技機の設定値が変更されたか否かや、遊技機の設定値が1~6段階のうちの幾つの設定値になっているかを遊技
者に報知する構成とすることが考えられる。しかし、設定変更の有無や設定値を、無闇に遊技者に報知してしまっては、ホール内における遊技機相互間の優劣が明確に判明してしまい、パチンコホール側にとっては営業利益に多大な影響を及ぼし、また遊技者側にとっては、設定推測要素を喪失してしまい、設定変更の有無や設定値が判らないことから来る遊技の面白さを損なう。他方において、遊技機の設定値が変更されたか否かを遊技者に対して完全に隠し、あるいは、遊技機の設定値が1~6段階のうちの幾つの値になっているかを秘密扱いとして、遊技者に対して全く報知しない(その暗示ないし示唆すらも報知しない)構成とすることも、低設定の遊技機で遊技しているかも知れないという遊技者の不安感を煽り、遊技機に対する遊技意欲をそぐ結果となる。そのため、設定推測要素を遊技者に与えることは、遊技者の遊技意欲を向上させ、引いては、パチンコホールにおける遊技機の稼働率も向上して、ホール側の利益にも繋がりうる。
(発明の位置付け2:目的・課題)
また上記のように、設定値は如何なる設定値であるかは、遊技者の大関心事の一つである。そのため、演出を利用して設定示唆をし、遊技者に設定推測要素を与えることは、遊技者の遊技意欲を向上させ、演出を多彩なものとするために重要な要素といえる。したがって、演出等を利用せずに何ら設定値に関する情報を遊技者に提供しなければ、遊技者は、自己の遊技結果や、データカウンタDT等から導出される大当り確率に基づき、設定を推測するしかなく、面白みに欠け、遊技意欲の減退を招く。そこで、設定値に関連する演出(設定示唆演出)を現出させればよいことになるが、弾球遊技機の場合には、単純に、設定示唆演出を現出すればよい、ということにならない。その理由は下記の通りである。
一般的なスロットマシンの場合、始動レバー操作(遊技開始操作)、第1停止操作、第2停止操作、第3停止操作を遊技者が恣意的に操作して1ゲームを終えることができる。また次ゲームも遊技者の好きなタイミングから開始することができる。ところが、パチンコ遊技機の場合には、始動口への入賞で遊技が開始され、その遊技の進行を、スロットマシンのように遊技者が恣意的に決定することができない。また作動保留球が有る場合には、自動的にその保留が消化されて遊技が開始されてしまい、次ゲームの遊技の進行も遊技機側に支配される。したがって、遊技者が気になる演出が現出されてもゆっくりと確認できずに見逃してしまうことも多い。たとえば、「大当り終了画面で設定示唆をする」としても、スロットマシンは、次ゲームを開始せずにゆっくりと確認することができるが、パチンコ遊技機の場合には、作動保留球があれば、次ゲームが開始されてしまい、短ければ数秒で消えてしまうケースも多い。また、スロットマシンでは、機械的な回胴による遊技結果(リーチ目や、ボーナス役などの入賞役)を導出して遊技を楽しむもので、画像表示装置等は遊技のサポート的な役割が強いが、パチンコ遊技機の場合には、画像表示装置等で、大当りを予告したり、遊技結果を報知したりするため、専ら、画像表示装置等が主役である。また、大当りやその当選期待度を予告(示唆)する情報と、設定を示唆する情報は、その報知目的が大きく異なるが、演出上、それが予告演出であるのか、設定示唆演出であるのか遊技者が混同してしまい、正確に伝わらないケースも想定される。たとえば、設定を示唆する演出内容であるにもかかわらず、大当り予告と勘違いするケースである(その逆もありうる)。
そこで上記問題点に鑑み、設定に関連する演出を適切なタイミングで現出させる・設定に関連する演出のバリエーションを豊富化する、以て、遊技の面白みの向上させる・遊技者の遊技興趣の向上させる、などの点を考慮して、多種多様な設定に関連する演出(設定値を示唆する設定示唆演出、設定変更の有無を示唆する設定変更示唆演出)を現出可能に構成している。
<設定変更示唆演出の概要>
上記のように設定変更操作がなされると、既に説明したように、主制御部20側から「設定変更中コマンド」(設定変更モード移行時)や「設定完了コマンド」が送信され、演出制御部24に受信(記憶)される(図6A、図10、図29参照)。演出制御部24は、この「設定変更中コマンド」または「設定完了コマンド」を受信した場合、そのことを以て、設定変更がなされたこと(設定変更有り)を把握し、所定の発動条件が満たされるのを待って、設定変更示唆演出(ガックン予告、背景チェンジ予告、出玉ランキング中予告)を現出させる構成を具備する。なお、「設定変更中コマンド」または「設定完了コマンド」ではなく、スペック指定コマンド(図33B、図36参照)に設定変更情報を含ませて、これに基づき、設定変更有りであることを把握することもできる。以下では、代表的に「設定完了コマンド」を受信したこと基づいて演出制御部24が「ガックン予告」を現出させる場合を例にして説明する。
「設定変更示唆演出」は、遊技者の目視により予告の前後で可動体の姿態に変化があったことを分からしめることにより、設定変更有りであることを確定的に遊技者に報せる演出である。ここで、「設定変更」と言った場合、狭義には、現在の設定値から他の設定値に変更すること(たとえば、設定3から設定4への変更)の意味であるが、本明細書の場合は、変更後も変更前と同じ同一設定値にすること(たとえば、設定3から設定3への同一設定値の打ち替え)も含めて「設定変更」と称し、広義の意味で使用する。
設定変更示唆演出は、遊技者に、設定変更がされていること、つまり異なる設定値への変更または同一設定値への変更(打ち替え)があったことを報知するだけの演出であり、設定変更がなされた結果として「設定値」が幾つの数値になっているかまで報せるものではない。すなわち、設定示唆演出のように、現在の設定値を確定的に報知したり、設定値の推測要素を遊技者に与えるものではなく、あくまでも、「設定変更の有無」を報せる演出態様である。遊技者が設定値を把握するためには、他の要素(設定示唆演出)の出現を待たなければならない。
上記の設定変更示唆演出は「所定の発動条件」が満たされたときに発動される。考慮すべき所定の発動条件の一つは、(A)設定変更示唆演出を生起させるタイミング(発動契機)が到来したことであり、他の一つは、(B)設定変更示唆演出を現出させるか否かについての抽選(以下「設定変更示唆演出抽選」と称する)に当選したことである。この双方の条件が満たされたときに設定変更示唆演出を発動させる構成とするか、または、設定変更示唆演出を生起させるタイミングが到来しただけで設定変更示唆演出を発動させる構成とするかは自由である。本実施形態では、遊技機における「朝一番(朝イチ)の遊技上の挙動」があったこと、および設定変更示唆演出を現出させるか否かについての抽選に当選したこと、の双方の条件が満たされたことを発動契機として、設定変更示唆演出を生起させる構成にしている。一旦発動条件が満たされて設定変更示唆演出を現出可能となった場合、いつまで発動条件の成立を有効扱いにして設定変更示唆演出を現出可能としておくか、つまり一旦設定変更示唆演出が生起した場合でも再度生起させることのできる期間(終期)をいつにするか、については任意に定めることができる。
(朝一番の遊技上の挙動)
設定変更示唆演出の発動契機となる「朝一番の遊技上の挙動」には、大別して、次のものがある。
(a)遊技者が遊技球の打ち出しを開始して、「当日初めての入賞球」が発生したこと、または「当日初めての図柄遊技(図柄変動表示ゲーム)」が開始したこと(図42の(イ))。なお、設定変更後の電源ON状態で、上記イニシャライズ動作中(図6BのステップS038参照)に図柄変動を開始した場合は、ここにいう「朝一番の遊技上の挙動」に該当せず(特図1、2で共通)、設定変更示唆演出(ガックン予告など)も生じない。
(b)遊技者が遊技球の打ち出しを開始し、図柄遊技が1または複数回繰り返して行われて行く通常の遊技期間中において、最初(1回目)の背景演出の切り替わり(ステージチェンジ)が発生したこと(図42の(ロ))。
(c)遊技者の操作により、メニュー画面100において、メニュー項目の出玉ランキング表示102f(図43参照)が選択決定され、出玉ランキング表示(図44)への切り替わりが生じたこと(図42の(ニ)(ハ))。
(d)客待ち中(客待ち演出中)において、出玉ランキング表示の切り替わりが発生したこと(図42の(ホ))。たとえば、デモムービー中に、出玉ランキング表示の切り替わりが発生したこと。
本実施形態では、上記の朝一図柄変動1回目(図42(イ))と、朝一背景チェンジ予告1回目(図42(ロ))と、朝一1回目の大当りまでの間における出玉ランキング表示(図42(ハ))とを、朝一番の遊技上の挙動と考え、これを設定変更示唆演出の発動契機とする。出玉ランキング表示は、作動保留球が無い場合に(デモ開始待ち演出中または客待ち演出中あるいは節電モード中)、遊技者が遊技を中断して、図43に示すメニュー画面100を表示し、そこでメニュー項目として出玉ランキング表示項目102f(「本日の出玉ランキング」)を決定することで行われる。図42の時刻t2は、これに相当する時点を客待ち中の時点として示しているが、ランキング表示は、客待ち演出中のデモムービーなどの一環として、所定のタイミングにて表示されるようになっており、このタイミングも発動契機となりうる。この場合は、客待ち演出中の一部が、設定変更示唆演出として機能する。また節電モード中の演出において、デモムービーなどの画像表示演出を現出させる場合、その画像表示演出にランキング表示が含まれる場合には、当該画像表示演出の一部が、設定変更示唆演出として機能する。
(朝一ガックン予告)
本実施形態において扱う設定変更示唆演出は、「ガックン予告」、「背景チェンジ予告」、「出玉ランキング中予告」の3種類である。このうちガックン予告と背景チェンジ予告については、これらが遊技機に「朝一番(朝イチ)の遊技上の挙動」があったことを発動契機としていることから、それぞれに「朝一」を冠して、「朝一ガックン予告」、「朝一背景チェンジ予告」、「朝一出玉ランキング中予告」とも称する。なお「予告」と称しているが、これは説明の便宜のためにその文言(予告)を付したものであり、ここで扱う設定変更示唆演出は、特に当選期待度を予告する予告演出的な演出態様ではなく、設定変更の有無を、所定の演出態様によって、示唆(報知)する演出態様である。
「ガックン予告」は、可動体を寸動などの所定の動作パターンで動作させること、つまり可動体の全部または一部を変位(運動)させて、遊技者に予告の前後で可動体の姿態に変化があったことを分からしめる演出である。本実施形態の場合、演出ボタン13に組み込まれた爽快ボタン70の可動体73に、所定の回転角度範囲で1回または複数回だけ往復動作する回動変位を行わせ、この寸動動作を以て、ガックン予告があったとしている。この可動体73の動きは、爽快ボタンの作用として通常の遊技状態では生起しない動作態様のものであり、これにより遊技者は設定変更示唆演出があったと理解し得る。しかし、通常の遊技状態における爽快ボタンの動作の一部と同じ動作を、ガックン予告の寸動動作として採用することもできる。このように「ガックン予告」は、端的に言うならば、ボタンデバイスがガタガタと一瞬動く演出である。
図42において、(イ)は「朝一ガックン予告」のケースを示している。この「朝一ガックン予告」の発動契機となる「朝一番の遊技上の挙動」は、最初の図柄遊技(朝一1回目)が開始したことである。この挙動は、演出制御部24が、最初に「図柄変動に係るコマンド」を受信したこと、つまり保留加算コマンド、変動パターン指定コマンドおよび装飾図柄指定コマンドのいずれかのコマンドを受信したことで、把握することができる。図42の(イ)朝一ガックン予告では、客待ち中の状態にあった遊技機について遊技球の打ち出しがあり、時刻t3において遊技球の初回入賞が発生したことを発動契機として朝一ガックン予告が発生しうる。なお以下では、「客待ち中」と称する場合、特に断りの無い限り、デモ開始待ち演出中、客待ち演出中、および節電モード中の少なくとも1つ期間(すべての期間、または一部期間)であることを意味する。
ただし、電源ON時に設定変更されていないときは、設定変更示唆演出抽選(図35のS2331の朝一ガックン予告実行抽選)を行わず、設定変更されているときに、設定変更示唆演出抽選を行う。朝一ガックン予告が出現する割合(確定動作の割合)は、当該抽選により、たとえば約50%とされる。また、当該抽選確率は、各設定値で同一となっている。なお、各設定値で抽選確率が同一である点については、朝一背景チェンジ予告、出玉ランキング表示中予告も同様である。抽選確率が同一であるのは、設定変更示唆演出が、専ら、「設定変更の有無」を報知(示唆または暗示)するものだからである。
この朝一ガックン予告は、1回転目以外は出現しないので、‘出現期間の短い演出’となる。換言すれば、朝一番に、遊技に興じた遊技者だけに与えられる特典的な演出となっている。また、「ガックン予告」は、デモ開始待ち演出中、客待ち演出中、および節電モード中のいずれの演出中においても、発動契機(1回転目)が到来すれば、発生される。この「ガックン予告」の演出発生時に、遊技者参加型演出が複合した場合、演出ボタン13を押下できるように制御される。このとき、演出ボタン13の操作を促す操作指示演出(押下指示ランプ動作)も行われる。
(爽快ボタン70によるガックン予告)
爽快ボタン70は、その内部、正確には押圧ボタン型筒体72内に、前方に回転可能な可動体73を備えている。(a)「通常の遊技」が行われている状況下においては、押圧ボタン型筒体72を押したとき、またはその前後の所定のタイミングが到来したとき、可動体73が通常時の所定のローリング動作(回転および揺動運動)をする。この通常時におけるローリング動作の動作パターンと動作量は、表現しようとする演出内容によって異なるが、たとえば、一方向に所定角度θだけ回転してから初期位置に戻る「寸動」(通常時寸動)について、通常時の動作(デフォ動作、図35のS2335参照)が、たとえば運動量(角度θ1)が2mm(動き小)であるとすると、ガックン予告動作は、その運動量(角度θ2)が通常時のそれよりも大きく、たとえば5mm(動き大)で、1回または複数回ガタガタと繰り返す。θ2>θ1として、ガックン予告動作の運動量の方を大きくしたのは、通常の遊技中の予告演出に係る寸動動作と誤解されるのを避け、設定変更示唆演出であることを認識しやすくするためであるが、同じ運動量として定めてもよい。
(ガックン予告の具現手段の変形例)
本実施形態では、ガックン予告の演出を具現(表現)する演出手段として「可動体」を用いる。具体的には、演出ボタン13の機能(通常ボタン13A、回転灯ボタン66、爽快ボタン70)のうち可動体73が前方に回転可能に構成されている爽快ボタン70を用いる。しかし、演出ボタン13の通常ボタン13Aや回転灯ボタン66を、ガックン予告の具現手段として用いることもできる。また演出ボタン13以外にも、時計型役物80、花型役物90などの他の可動体を、ガックン予告の表現手段として利用することもできる。また、十字形の方向キー75も上下動可能な操作部を有するので、可動体として扱い、ガックン予告の表現手段として用いることができる。
ガックン予告を表現する手段(演出手段)は、視覚、聴覚、触覚等、人間の知覚に訴えることにより演出効果を発揮し得る刺激伝達手段であればよいので、上記の物理的な可動体に限られない。たとえば、
(A)操作ハンドルの内部に設置され、作動すると操作ハンドルを握っている操作者の手のひらに接触圧や風圧を伝える加圧装置や風圧装置を利用する。
(B)スピーカ46などの音響発生装置(音演出手段)を利用する。たとえば、ガックン予告専用音(たとえば、衝撃音など)を出力する。
(C)装飾ランプ45などの光発生手段(光演出手段)を利用する。たとえば、ガックン予告専用光(たとえば、閃光演出など)で発光する。
(D)液晶表示装置36などの演出表示装置(表示手段)を利用する。たとえば、ガックン予告専用画像表示(たとえば、ブラックアウト演出など)を表示する。
上記(A)~(D)の1または複数の演出手段を、専用にまたは付随的に用いることができる。表示手段を利用しうる点では、次に述べる朝一背景チェンジ予告もガックン予告の一種となる。
(朝一背景チェンジ予告)
図42において、(ロ)は「朝一背景チェンジ予告」のケースを示している。この「朝一背景チェンジ予告」の発動契機となる「朝一番の遊技上の挙動」は、遊技者が遊技球の打ち出しを開始し、図柄遊技が1または繰り返し行われる過程において、液晶画面において最初(1回目)の背景演出の切り替わり(ステージチェンジ)が発生したことである。図42の(ロ)朝一背景チェンジ予告では、遊技中の時刻t4の図柄遊技の切り替わりにおいて、1回目の背景チェンジが発生し、これを発動契機として朝一背景チェンジ予告が発生する。端的に言えば、この「朝一背景チェンジ予告」は、電源投入後の初回背景チェンジで、設定変更示唆演出としての特別モード背景(設定変更示報知背景)に移行することで、設定変更がされていることを報知する。
この「朝一背景チェンジ予告」は、1回転目に現出するとは限らないもので、たとえば背景チェンジの約33%で現出し、再度、背景チェンジするまで変化しない。したがって、‘出現期間が中程度の演出’になる。ただし、一度、朝一背景チェンジ予告が現出された場合は、再度、朝一背景チェンジ予告の発動契機は到来しない。
朝一背景チェンジ予告は、設定変更された状態で電源が立ち上がった場合のみ、通常の遊技(たとえば、1回転目の遊技)において抽選される設定変更示唆演出抽選(図36のS2353の朝一背景チェンジ予告抽選)」で当選した場合に現出される。朝一背景チェンジ予告は、朝一ガックン予告のような1回転目だけに現出されるといった短期間の演出ではなく、一度、背景チェンジ抽選に当選すれば、再度、背景チェンジがなされるまでは変化しない、という中期間の演出となっている。したがって、朝一ガックン予告のように、朝一番に遊技に興じた遊技者に与えられるといった特典的な意義は薄れるが、出現しさえすれば、それよりも長い遊技期間で、設定変更の有無を見抜くことができるといった点に利点がある。たとえば、朝一ガックン予告は、専ら、朝一番に遊技した遊技者1人が鑑賞することができるものであるが、朝一背景チェンジ予告は、朝一背景チェンジ予告抽選(S2353)に当選した遊技者が遊技を辞めた後も出現し続ける場合があるため、他の遊技者が鑑賞できる可能性がある。
朝一背景チェンジ予告に係る設定変更示唆演出抽選(朝一背景チェンジ予告抽選)に当選した場合には、特別モード背景(図示の特別背景)への移行率をアップさせることができる。この特別モード背景は、通常の遊技では現出されることのない背景画像が表示される背景演出となっている。すなわち、設定変更されていない限り、出現することがない背景画像である。上記特別モード背景への移行は、移行しない場合と移行する場合のいずれかになるが、その移行率は各設定値で同一(たとえば、33%)である。なお、通常の遊技でも出現しうるが、非常に稀に出現する背景画像が表示される特別モード背景としてもよい。たとえば、通常の遊技または設定変更無しの場合には1/1000で移行されるが、朝一背景チェンジ予告抽選では高確率の1/3で移行されるという特別モード背景であってもよい。また、設定(設定値1~6)毎のバリエーションとして、移行率に差をつけることができる。たとえば、設定値が高いほど、特別モード背景への移行率が高まるように定めることができる。
本例では、朝一背景チェンジ予告として、画像表示演出により特別モード背景へ移行させるようにしたが、画像表示演出だけでなく、この背景画像変化と同時に、可動体役物に所定の動きを行わせたり、或いは音響や光などを付随的に発生させて、設定変更示唆演出とすることもできる。
(出玉ランキング中予告)
図42において、(ハ)は「出玉ランキング中予告」のケースを示している。この「出玉ランキング中予告」の発動契機となる「朝一番の遊技上の挙動」は、遊技者が遊技球の打ち出しを開始して、図柄遊技を1または複数回繰り返し行っている過程において、最初(1回目)の大当りが発生するまでの間に、遊技が中断され、液晶画面において出玉ランキング表示への切り替わりが発生したことである。
図42の(ハ)出玉ランキング中予告では、最初の図柄遊技から最初の大当りが発生するまでの間(時刻t3~t7)の時刻t5において、遊技が中断され、方向キー75または演出ボタン13が操作されて、メニュー画面100(図43)からメニュー項目として出玉ランキング102fが選択決定され、表示された出玉ランキング表示画面771(図44)中に「特定の設定変更示唆画像(たとえばキャラクタ775、776)」が表示されることで、設定変更示唆がなされる。
この「特定の設定変更示唆画像(特定表示態様)」とは、たとえば液晶画面における出玉ランキングのキャラクタ775、776の画像配置が、図44(a)に示す通常配置(デフォルト)とは逆の配置(図44(b))になっている、あるいは、キャラクタ、背景画像全体、または背景の一部(特定のアイテム、キャラクタなどのオブジェクト表示)が、デフォルトの通常表示態様とは異なる特定表示態様になっていることで、「設定変更有り」であることを報知(示唆)するものである。
図42の(ニ)(ホ)は、この「出玉ランキング中予告」が他の区間でも発生しうることを示す例となっている。このケース(ニ)の場合の「朝一番の遊技上の挙動」は、遊技者が遊技球の打ち出しを開始して、図柄遊技を1または複数回繰り返し行っている過程において、初回(1回目)の大当りが発生するまでの間に、遊技者が遊技を中断して、遊技が中断され、液晶画面において出玉ランキング表示への切り替わりが発生したことである。またケース(ホ)の場合の「朝一番の遊技上の挙動」は、客待ち中のデモ中に、液晶画面において出玉ランキング表示の切り替わりが発生したことである。この「出玉ランキング中予告」は、設定変更示唆演出抽選(図37のS2102の出玉ランキング中予告実行抽選)に当選した場合(約5%)に現出される、つまり稀に現出するものであるが、一度当該抽選に当選しさえすれば、初回の大当りまで、出玉ランキング中予告(図44(b))の設定変更示唆画像が変化しないものあるため‘出現期間の長い演出’となる。この点で、この出玉ランキング中予告は、上記の朝一ガックン予告および朝一背景チェンジ予告よりも平均的な演出現出可能期間が長期間の演出となっている。したがって、朝一背景チェンジ予告より、より多くの遊技者が出玉ランキング中予告を鑑賞するチャンスがある。
出玉ランキング中予告については、その発動契機が有効な期間(発動契機有効期間)を、初回(1回目)の大当りが発生するまでの間(大当り遊技開始までの間)、つまり電源投入後の最初(1回目)の大当りの発生後は、出玉ランキング中予告の発動契機は到来しないようになっている。詳細は後述するが、上記出玉ランキング表示については、前回の大当り時のエンディング演出(大当り終了INT中の演出)で決定された背景画像(終了インターバル画面変化による画像)と、同じキャラ背景画像に更新表示されるようになっている(後述の図58のEDキャラ背景演出抽選処理(S2514)参照)。この点から、最初の大当りの発生までが、実質的な発動契機有効期間とされる。
(変形例A1)
本実施形態では、上記の朝一図柄変動1回目(図42(イ))と、朝一背景チェンジ予告1回目(図42(ロ))と、朝一1回目の大当りまでの間における出玉ランキング表示(図42(ニ)(ハ)(ホ))とを、朝一番の遊技上の挙動と考え、これを設定変更示唆演出の発動契機としている。しかし、朝一背景チェンジ予告や出玉ランキング表示については、その発動契機有効期間を次のように定めてもよい。特定事象が発生するまでの間、たとえば、特定の予告演出(強SPリーチや多回数の疑似連(疑似4回)などの高期待度予告)が発生するまでの間、初回のデモムービーに表示されるまでの間などを、朝一番の遊技上の挙動と考え、その発動可能期間とすることもできる。また「特定の遊技期間」を発動契機有効期間とすることができる。たとえば、ゲーム実行回数が所定回数に達するまでの間(たとえば、50回転まで)、リーチ(特定のリーチであってもよい)の発生回数が所定回数に達するまでの間(たとえば、リーチ回数が10回発生するまで)、所定のOUT球数に達するまでの間(たとえば、1000個に達するまで)を、朝一番の遊技上の挙動と考え、その発動契機有効期間としてもよい。
(変形例A2)
本実施形態において扱う設定変更示唆演出は、発動契機がそれぞれ異なる「朝一ガックン予告」、「朝一背景チェンジ予告」、「出玉ランキング中予告」の3種類を設けている。しかし、これら設定変更示唆演出のうち、少なくともいずれか1つの設定変更示唆演出を設けた構成としてもよい。また、複数種類の設定変更示唆演出を設けた場合に、すべての設定変更示唆演出を現出可能な構成とするのではなく、一部の設定変更示唆演出を現出させる構成としてもよい。たとえば、一の設定変更示唆演出(たとえば、朝一ガックン予告)が現出された場合、他の設定変更示唆演出(たとえば、朝一背景チェンジ予告と出玉ランキング中予告)を現出しない構成とすることができる。また、規定数の設定変更示唆演出が現出された場合(たとえば、朝一ガックン予告と朝一背景チェンジ予告の2種類)、他の(残りの)設定変更示唆演出(たとえば、出玉ランキング中予告)を現出しない構成とすることができる。また、いずれの設定変更示唆演出を現出させるかを、所定の選択抽選により決定してもよい。また、複数の設定変更示唆演出を同時に(重複的に)実行する場合、いずれの演出を優先して実行するかの優先順位に基づき実行してもよい。たとえば、1回転目に朝一ガックン予告と朝一背景チェンジ予告とが同時的に現出される場合、朝一ガックン予告を優先的に実行させる。また、2種類以上の設定変更示唆演出が同時に(重複的に)に現出可能な構成としてもよい。また設定変更示唆演出の種類数については特に制限はなく自由に定めることができる。
<制御例1:図42の朝一ガックン予告等>
(設定完了コマンド受信処理:図32)
図32を参照して、演出制御部24(CPU241)は、主制御部20から「設定完了コマンド」が送信されて来た場合、設定変更がなされたと把握し、設定変更情報(打ち替え情報)をRAM243に保存し、設定変更完了演出データを設定するとともに(ステップS2001)、設定変更示唆演出に応じた設定変更示唆演出実行許容フラグをONにする設定処理を行う(ステップS2002)。ここでは、設定変更示唆演出として、「朝一ガックン予告」、「朝一背景チェンジ予告」、「出玉ランキング中予告」の3種類を扱う。上記設定変更示唆演出実行許容フラグは、設定変更示唆演出の実行が許容状態であることを指定するものである。したがって、設定変更示唆演出実行許容フラグがONである場合には、設定変更示唆演出が実行許容状態下に置かれ、発動契機が到来した場合、設定変更示唆演出が実行される。ただし本実施形態では、後述のように、設定変更示唆演出抽選(図35のS2331、図36のS2353、図37のS2102)を経て、設定変更示唆演出が実行される。
ステップS2002の処理では、各予告に対応する設定変更示唆演出実行許容フラグとして、朝一ガックン予告用フラグをON(=5AH)、朝一背景チェンジ予告用フラグをON、出玉ランキング予告用フラグをONに設定する。なお、設定変更がされていない場合、いずれの設定変更示唆演出実行許容フラグもONとはならず、設定変更示唆演出の「非実行」が指定されるようになっている。
本実施形態では、設定変更示唆演出実行許容フラグをONとするか否かの抽選を経ずに、直ちに同フラグをONにして、その旨を予め演出制御部側のRAM243に記憶する。この段階では、電源投入後にまだ一度も遊技球が発射されていない「朝一」の状況下にある。かかる朝一の状況下において、演出制御部24は設定変更がなされたことを把握している。
(装飾図柄指定コマンド受信処理:図33)
図33を参照して、装飾図柄指定コマンド受信処理では、変動パターン指定コマンドを受信し、その情報を取得したことを確認するための変動パターン指定コマンド受信確認処理(S2301)、装飾図柄指定コマンドの情報を取得するための装飾図柄指定コマンド解析処理(S2302)を順次行った後、それらの情報に基づいて演出を決定するための、予告演出抽選処理(S2303)、装飾停止図柄抽選処理(S2304)を順次行う。この予告演出抽選処理(S2303)は、今回の図柄遊技中に係る全予告演出の抽選を行うものであり、装飾停止図柄抽選処理(S2304)は、リーチ図柄を構成するための図柄(リーチ構成図柄)や最終的に停止させる装飾図柄の組合せを決定するための処理であり、この予告演出抽選処理(S2303)の一部の抽選処理である。また上記装飾停止図柄抽選処理には、後述の設定示唆演出03(ノーマルリーチ図柄示唆)に係るリーチ図柄を決定する処理も含まれる。
次いで、連続予告演出管理処理(S2305)、つまり変動開始時系先読み予告実行管理処理を行って、客待ち動作ステータスを「00H」(遊技中)に設定し(S2306)、装飾図柄変動開始時の各種設定処理(S2307)を行って、装飾図柄指定コマンド受信処理を抜ける。客待ち動作ステータスは、図柄遊技(ここでは、装飾図柄変動表示ゲーム)の挙動を示すステータス値であり、端的に言えば、遊技中であるか否かを識別するためのステータス値である。このステータス値は処理状態に応じて変更され、RAM243の所定領域に格納される。客待ち動作ステータスには、ゲーム実行中などの遊技中を指定する「00H」、客待ち演出開始前のデモ開始待ち演出中(デモ開始待ち中)を指定する「01H」、客待ち演出中(デモモード中)を指定する「02H」、節電モード中であることを指定する「03H」がある。
(予告演出抽選処理:図34)
図34に上記の予告演出抽選処理(S2303)の詳細を示す。図34を参照して、この予告演出抽選処理では、朝一ガックン予告抽選処理(S2311)、背景チェンジ予告抽選処理(S2312)、ベースとなる基本演出シナリオを決定するための変動中演出シナリオ種別抽選処理(S2313)、その基本演出シナリオに基づき、具体的な演出シナリオを決定するための各種予告抽選処理(S2314)、今回のゲームで用いる演出シナリオデータを設定する演出シナリオデータ設定処理(S2315)を中心に構成される。これにより、今回の図柄遊技(装飾図柄変動表示ゲーム)中に現出する各種の演出(変動中演出(設定示唆演出を含む))が決定される。なお、図柄遊技中の設定示唆演出は、上記各種予告抽選処理(S2314)にて決定される。
(朝一ガックン予告抽選処理:図35)
図35に、朝一ガックン予告抽選処理(S2311)の詳細を示す。この朝一ガックン予告抽選処理では、まず、朝一ガックン予告用フラグ=5AH(ON状態)であるか否かを判定し(S2330)、この判定がNOであれば(S2330:NO)、朝一ガックン予告は実行されないとして、何もせずにリターンする。一方、判定がYESであれば(S2330:YES)、ステップS2331に進み、朝一ガックン予告実行抽選を行い(S2331)、その結果を判定する(S2332)。この抽選結果が当選(YES)ならば「朝一ガックン予告演出シナリオデータ」を設定し(S2333)、非当選(NO)ならば通常(デフォルト)の動作である「朝一デフォ動作演出シナリオデータ」を設定する(S2335)。そして、朝一ガックン予告用フラグを「00H(OFF状態(非実行))」に戻す(S2334)。
つまり、朝一ガックン予告については、電源投入後、1回転目の装飾図柄指定コマンド受信時に朝一ガックン予告実行抽選を行うが、その結果の当選・非当選によらず、ステップS2334で、朝一ガックン予告用フラグをクリアする。これにより、以後、次回の設定変更時まで朝一ガックン予告は実行されない。
本実施例の場合、朝一ガックン予告抽選での当選確率は50%である。しかし、遊技機における「朝一番(朝イチ)の遊技上の挙動」があったことだけで、または朝一ガックン予告抽選での当選確率を100%とすることにより、朝一ガックン予告を現出させる構成にすることもできる。また、この実施形態では、朝一ガックン予告実行抽選に非当選の場合に、ステップS2335でデフォ動作を行うが、非当選の場合はデフォ動作自体をやらなくてもよい。
(背景チェンジ予告抽選処理:図36)
図36は、背景チェンジ予告抽選処理(S2312)の詳細を示したものである。この背景チェンジ予告抽選処理では、まず、朝一背景チェンジ予告用フラグ=5AH(ON状態)であるか否かを判定する(S2351)。
この判定がYESならばステップS2352に進み、朝一背景チェンジ抽選テーブル(図示せず)を取得して、朝一背景チェンジ予告抽選を行う(S2352~S2353)。この朝一背景チェンジ抽選テーブルには、少なくとも特別モード背景への抽選確率(移行率)が定められており、当該抽選により、特別モード背景(設定変更示唆背景演出)への移行、つまり朝一背景チェンジ予告を現出させるか否かを決定する。その当選確率は、たとえば30%程度である。この朝一背景チェンジ予告抽選(S2353)では、上記朝一背景チェンジ抽選テーブルに基づき、移行先の背景演出を抽選し、特別モード背景への移行に当選した場合は(S2354=YES)、朝一背景チェンジ予告用フラグを00Hに戻し(S2355)、背景演出シナリオデータを設定する(S2356)。ステップS2354の判定として、特別モード背景(設定変更示唆背景演出)に非当選であった場合は(S2354=NO)、朝一背景チェンジ予告用フラグを「00H」に戻さずに、ステップS2356に進み、抽選結果に応じた背景演出シナリオデータを設定する。つまり、朝一背景チェンジ予告抽選は、1回転目に当選するとは限らない。当選後、次回、通常背景チェンジ予告抽選に当選した場合に終了する(ステップS2356、ステップS2351のNOの処理ルート参照)。この背景チェンジ予告は、端的に言えば、所定条件が成立する毎に、その演出態様の少なくとも一部(たとえば、背景表示の全部または一部)を順次変化させる演出態様である。
一方、ステップS2351の判定として、朝一背景チェンジ予告用フラグ=5AH(朝一背景チェンジ予告演出)でないときは(S2351:NO)、ステップS2357に進み、通常背景チェンジ抽選テーブルを取得して、通常背景チェンジ予告抽選を行う(S2357~S2358)。この通常背景チェンジ抽選テーブルには、特別背景モード以外の複数の背景演出のうちから、いずれの背景演出に移行させるか否かを抽選するための抽選データを定めたものである。
そして、ステップS2356へ進み、抽選結果に応じた背景演出シナリオデータを設定する。ただし、今回の変動パターンが、少なくともリーチ変動パターン(疑似連有り変動パターンを含んでもよい)である場合は、朝一背景チェンジ予告抽選(S2352)の抽選結果を実行しない。ここでは、リーチ変動パターンである場合には、この通常背景チェンジ予告抽選(S2358)の抽選結果の方を優先させる。換言すれば、リーチ変動パターン以外、つまり、通常変動パターンの場合に、朝一背景チェンジ予告抽選(S2352)が実行され、この抽選に当選して、初めて「設定変更有り」が報知される。これは、何ら実行条件を付すことなく、通常変動、リーチ変動、疑似連有り変動パターンなど変動パターンを問わずに、無闇に朝一背景チェンジ抽選を行って特別背景モードに移行させてしまうと、遊技者が「当選期待度が高いかも!?」と、予告演出と混同してしまい、当選期待感を過度に煽ってしまうからである。そこで本実施形態では、リーチ変動パターンである場合には、朝一背景チェンジ予告抽選を実行せずに、通常変動パターンの場合に、朝一背景チェンジ予告抽選を実行する。なお、疑似連有り通常変動パターンの場合にも、朝一背景チェンジ予告抽選を実行しないことが好ましい。疑似連も予告演出の一種であり、疑似連の発生の場合に特別背景モードに移行させてしまうと、上述のように、遊技者の当選期待感を過度に煽ってしまうからである。以上の通り、本実施形態では、変動パターンの内容に応じて、朝一背景チェンジ予告抽選(S2352)を実行するか否かを決定する構成、つまり、特定の変動パターン場合をその実行条件と、特定の変動パターンのみ、朝一背景チェンジ予告が現出可能な構成となっている。
(朝一背景チェンジ予告の変形例)
また、下記の所定の実行条件を満たした場合、朝一背景チェンジ予告抽選を実行する構成としてもよい。たとえば次の(チ)~(ヲ)のように構成することができる。(チ)朝一背景チェンジ予告抽選の実行を電源投入後の最初の1回転目だけとする。(リ)特定の回転数目に朝一背景チェンジ予告抽選を実行する。たとえば、電源投入後から10回転目に限り朝一背景チェンジ予告抽選を実行する(抽選回数が1回)、あるいは、電源投入後から10回転目と15回転目に実行する(複数回の抽選チャンスがあるが、その抽選回数に制限がある)。(ヌ)所定回数の図柄遊技(変動回数)に達するまで朝一背景チェンジ予告抽選は実行しない(所定回転数目に達した場合、抽選の実行が許容される)。(ル)通常背景チェンジ予告抽選が所定回数実行されるまで、朝一背景チェンジ予告抽選を実行しない。たとえば、通常背景チェンジ予告抽選が少なくとも1回実行されるまで、朝一背景チェンジ予告抽選を実行しない。(ヲ)所定回数の通常背景チェンジが現出されるまで、朝一背景チェンジ予告抽選を実行しない。たとえば、少なくとも1回の通常背景チェンジ予告されるまで、朝一背景チェンジ予告抽選を実行しない。上記(リ)~(ヲ)の場合、所定遊技期間(図柄遊技数、通常背景チェンジ予告抽選の抽選回数および/または当選回数などが実行条件となる)は、朝一背景チェンジ予告が一切現出されない形態とすることができる。この形態では、朝一背景チェンジ予告の現出禁止区間が存在するため、当該予告を見るためには、1または複数回の図柄遊技の実行を要する、という設定変更示唆演出の発動契機のバリエーションの自由度が増し、演出を多彩なものとすることができる。
(客待ちコマンド受信処理:図37)
次に図37を参照して、客待ちコマンド受信処理について説明する。朝一1回目の大当りまでの期間中において、ゲームが終了して作動保留球が無い場合や、遊技機を所定時間放置することで客待ち中(デモ開始待ち演出中、客待ち演出中、または節電モード中)となる。その客待ち中に、演出ボタン13や方向キー75を操作することで、メニュー表示およびメニュー操作が行われる。メニュー項目中から所望する項目として「本日の出玉ランキング(図43の102f)」を選択し、演出ボタン13を押すことで、当該項目が決定され、ランキング画像(ランキング演出)が表示される(たとえば、図42のt5)。
図37に、客待ちコマンド受信処理の詳細を示す。客待ちコマンド受信処理では、まず、出玉ランキング中予告用フラグ=5AHであるか否かを判定する(S2101)。S2101の判定がNOならばステップS2106に進んで、デモ開始タイマに180sを設定し、デモ開始待ち演出を開始させる(S2106~S2107)。そして客待ち動作ステータスを01H(デモ開始待ち中)に設定し、客待ちコマンド受信処理を抜ける(S2108)。
S2101の判定がYESならば、S2102の処理に進み、出玉ランキング中予告実行抽選を行い(S2102)、その結果を判定する(S2103)。この出玉ランキング中予告実行抽選の抽選結果が当選(S2103:YES)ならば「朝一特別出玉ランキング表示設定処理」を行って「朝一特別背景演出(図44(b)の特定画像)」に係る演出データを設定し(S2104)、出玉ランキング中予告用フラグを00Hに戻す(S2105)。一方、出玉ランキング中予告実行抽選の抽選結果が非当選ならば(S2103=NO)、「朝一通常出玉ランキング表示設定処理」を行って「朝一通常背景演出(図44(a)のデフォルト画像)」を設定する(S2109)。以後(ただし、大当り遊技開始まで)、ランキング表示の現出の際には、朝一特別背景演出(図44(b)の特定画像)または朝一通常背景演出(図44(a)のデフォルト画像)が表示される。
その後、ステップS2109からS2106に進み、デモ開始タイマに180sを設定し、デモ開始待ち演出を開始する(S2106~S2107)。ここでデモ開始待ち演出とは、デモムービー(デモ画面)に移行する前の待機画面(変動終了時の画面が引き続き表示され維持される画面)である。そして客待ち動作ステータスを01H(デモ開始待ち中)にして客待ちコマンド受信処理を抜ける(S2108)。
朝一通常出玉ランキング表示設定処理(S2109)で設定される「朝一通常背景演出」は、たとえば液晶画面における出玉ランキングのキャラクタ配置が「藤香ちゃん:藤丸くん」(画面の左側に藤香ちゃん、右側に藤丸くん)の関係になっているものである。これに対し、朝一特別出玉ランキング表示設定処理(S2104)で設定される「朝一特別背景演出」は、液晶画面における出玉ランキングのキャラクタ配置が上記とは“逆の関係”である「藤丸くん:藤香ちゃん」(画面の左側に藤丸くん、右側に藤香ちゃん)になっているものである。
この出玉ランキングのキャラクタ配置が通常とは逆の関係になっていること、つまり、通常表示態様(デフォルト表示)とは異なる特定表示態様(設定変更示唆表示)が現出することで、遊技者は設定変更があったと知ることができる。なおこの実施形態の場合、出玉ランキング中予告実行抽選(S2102)に当選しなかった場合、出玉ランキング中予告用フラグがクリア(00H)されずに、再度、客待ち中コマンドを受信した際に、出玉ランキング中予告実行抽選を実行可能となっており、複数回の抽選チャンスが与えられるようになっている。これにより、多くの遊技者に、出玉ランキング中予告の出現チャンスを与えることができる。しかし、下記のような弊害も想定される。
無闇に抽選チャンスを与えると、これを知る遊技者上級者が、1回ゲームを行った後に作動保留球を無しの状態に戻し(たとえば、1個の作動保留球が発生する度に遊技を中断し、始動口への入賞を回避する)、客待ち中コマンド受信による出玉ランキング中予告実行抽選を受ける、という遊技行為を繰り返し行い、出玉ランキング中予告の出現を待つ。そして、当該行為を何回も繰り返した結果、出玉ランキング中予告が出現しなければ「設定変更無し」という推測ができる、という技術介入性が生まれ、遊技者間の不平等を招来する。また、このような時間の掛かる行為は、遊技機の稼働率低下の要因にもなりうる。
そこで、たとえば、電源投入時に送られてくる客待ち中コマンドを受信したときに限り、あるいは、客待ち中コマンドの受信回数が所定回数(たとえば、3回)に達するまで出玉ランキング中予告実行抽選を実行し、その抽選結果(所定回数(3回)まで抽選を許容する場合は、その所定回数目の抽選結果)が当選・非当選にかかわらず、出玉ランキング中予告用フラグをクリアしてもよい。この場合は、ステップS2109の処理後、ステップS2105のクリア処理を実行する構成とすればよい。このようにすれば、電源投入時に限り出玉ランキング中予告の実行可否が抽選されることになり、上記問題が解消するとともに、当該抽選に当選しさえすれば、初回大当りまで出玉ランキング中予告が出現するという長期間の設定変更示唆演出が可能となり、多くの遊技者が出玉ランキング中予告に触れるチャンスが生まれる、という利点がある。
(デモ・節電モード処理:図38)
図38に、デモ・節電モード処理の詳細を示す。このデモ・節電モード処理では、まず客待ち動作ステータスをチェックする(S3001)。ステップS3001では、遊技中(00H)以外であるか否かを判定する。遊技中(00H)である場合は、何もせずにそのままデモ・節電モード処理を抜ける。
遊技中(00H)でない場合は、詳細を図39に示すメニュー管理処理(S3002)を行う。そして、客待ち動作ステータスが節電モード中(03H)であるか否かを判定し(S3003)、節電モード中(03H)であれば、デモ・節電モード処理を抜ける。
節電モード中(03H)でない場合は、デモ開始タイマ=0かどうか、つまりデモモード中(客待ち演出中)に移行するタイミングであるか否かをチェックする(S3004)。デモ開始タイマがゼロでないならば、まだデモモードに移行すべきでないので、そのままデモ・節電モード処理を抜ける。一方、デモ開始タイマがゼロであるならば、デモモードに移行すべきタイミングで来たので、客待ち動作ステータスが既にデモモード中(02H)であるか否かをチェックする(S3005)。
ステップS3005の判定において、デモモード中(02H)でない場合は、デモ開始待ち中(デモ開始待ち演出中)を終了したので、ステップS3006に進み、デモモード移行設定処理を行う。このデモモード移行設定処理では、節電モード開始タイマに120秒を設定し、客待ち演出(デモムービー等)を開始し、客待ち動作ステータスに02H(デモモード中)を設定し、デモ・節電モード処理を抜ける。
遊技中でなく節電モード中でもない場合、つまりデモモード中(02H)である場合には、S3007に進み、節電モード開始タイマが作動すべきタイミングであるか否かを判定する。まだ節電モード開始タイマがゼロでなければ(S3007:NO)、デモ・節電モード処理を抜ける。一方、節電モード開始タイマがゼロであるならば(S3007:YES)、節電モードに移行すべきタイミングが来たとして、節電モード移行設定処理を行う(S3008)。この節電モード移行設定処理では、節電モードを開始し、客待ち動作ステータスを03H(節電モード中)に設定し、デモ・節電モード処理を抜ける。
(メニュー管理処理:図39)
図39はメニュー管理処理(S3002、図38)の詳細を示したものである。本実施形態では、遊技中でない場合、つまり作動保留球が無い場合には、即座に、このメニュー管理処理に入り、メニュー項目の選択、たとえば音量等の調整ができる構成となっている。メニュー項目の選択には方向キー75が選択キーとして機能し、演出ボタン13(プッシュボタンの構成)が決定ボタンとして機能する。
図39のメニュー管理処理では、メニュー表示中であるか否かを判定する(S3101)。メニュー表示中でないならば(S3101:NO)、つまりまだメニュー表示がなされていなければ、演出ボタン13が押下されるのを待って(S3102:YES)、メニュー表示開始処理を行う(S3103)。これによりメニュー非表示中に演出ボタン(決定ボタン)を押すとメニュー画面が表示されることになる。次いで、デモ開始タイマに180秒を設定し(S3104)、無操作タイマに20秒を設定して(S3105)、メニュー管理処理を抜ける。無操作タイマとは、所定時間、ボタン操作を行わない場合に、デモ画面(客待ち演出中)に戻るためのタイマである。
上記の処理によりメニュー表示中となった場合(S3101:YES)、または演出ボタンの押下がない場合(S3102:NO)は、ステップS3106に進んで、図40に詳細を示す「メニュー表示中操作管理処理」を行う。これはメニュー画面中にボタンが押されたときの処理である。
(メニュー表示中操作管理処理:図40)
図40にメニュー表示中操作管理処理の詳細を示す。演出ボタン13が押下されたときは「演出ボタン操作時処理」を行い(S3201=YES、S3202)、方向キー75が押下されたときは「方向キー操作時処理」を行い(S3201=NO、S3207=YES、S3208)、演出ボタン13や方向キー75の操作に応じた演出処理を行う。
図40において、演出ボタン13や方向キー75が操作され、上記演出ボタン操作時処理または方向キー操作時処理を終えたならば、ステップS3203に進み、無操作タイマに20秒を設定し、デモ開始タイマに180秒を設定して(S3204)、ステップS3205に進む。そして、無操作タイマがゼロであるか否かを判定する。無操作タイマがゼロでないならば(S3205:NO)、そのままメニュー表示中操作管理処理を抜け、無操作タイマがゼロであるならば(S3205:YES)、メニュー表示終了処理(S3206)を行い、デモ画面(客待ち演出中)の開始処理を行う。
(出玉ランキング表示処理:図41)
この図41の出玉ランキング表示処理は、方向キー操作時処理の一つとして、図43に示すメニュー項目「本日の出玉ランキング102f」を決定したときの処理(出玉ランキング表示処理)を示す(S3301)。
出玉ランキング表示は、電源投入後から1回目の大当りまでの間における出玉ランキング画面である。ここで設定変更確定背景画像表示(S2104)の場合は設定変更確定キャラ背景画像が表示され、また、朝一通常背景画像表示(S2109)の場合は朝一通常キャラ背景画像が表示される。
しかし本実施形態では、大当り2回目以降の出玉ランキング画面(2回目の大当り時は、キャラ背景画像抽選により決定されたキャラ背景画像が表示される)は、前回のエンディング演出(大当り終了INT中の演出)で表示された背景画像と、同じキャラ背景画像を表示するようになっている。これについての詳細は、図58にて後述する。
以上に説明した設定変更示唆演出(朝一ガックン予告、朝一背景チェンジ予告、出玉ランキング中予告)では、通常とは異なる演出が現出した場合に、設定変更がなされたこと(設定変更有り)であることを確定的に報知するものとして説明した。しかし本発明はこれに限られない。たとえば、偽演出(ガセ演出)を含むものであってもよい。たとえば、可動体が動作して、朝一ガックン予告と同様の動作が発生したが、その信頼度が100%未満であるというものである。この形態の場合、上記朝一ガックン予告実行抽選(図35のS2331)において、たとえば、本物のガックン予告の当選を80%、ガセのガックン予告の当選を10%、ハズレ(デフォルト動作)を10%とすればよい。この場合、ガックン予告が発生しても、それが確定的報知ではないため、遊技者側には「設定変更有りの可能性が大である」という推測要素を与えることができる。このように、遊技者に「設定変更があったかもしれない」ということを知らせることで、新たに設定推測要素が生まれ、遊技の面白みを向上させることができる。
<設定示唆演出:図45~図47>
上記では、朝一番の演出の発動を契機に設定変更示唆演出を現出させたが、本実施形態では、さらに、設定変更がなされた結果として現在の設定値(内部的な設定値)が幾つの数値になっているかを推測させるのに役立つ要素(設定推測要素)を現出させる演出「設定示唆演出」も、現出可能な構成となっている。
図45は、「客待ち中」の状態から「図柄変動中」の状態を経て「大当り中」に至る一連の遊技経過と、その間に行われる設定示唆演出の種類とを、演出の出現時期に分けて示したものである。図46はその左側の拡大図、図47は右側の拡大図である。
(図45の上欄、図47)
遊技経過の各期間について説明すると、「客待ち中」では、枠役物と盤役物の「イニシャライズ(タイミング01~02)」→メニュー報知と音量・光量報知とを行う「操作報知(タイミング03~04)」→機種紹介、企業ロゴ、のめり込み注意喚起を行う「デモ(タイミング05~07)」→メニュー画面を第1階層と第2階層に分けて表示する「メニュー画面(タイミング05~07)」」の期間が遷移する。
図柄の「変動中」は、「リーチ前」、「リーチ後」、「リーチ終了後」の期間に分けてある。リーチ前の期間では、遊技球が入賞して図柄変動が開始した時点である「入賞(変動開始)(タイミング10)」→図柄が、低速変動や高速変動を経て、第1図柄が停止した期間である「低速変動、高速変動、第1図柄停止(タイミング11~13)」、疑似変動を1~3回行わせる「疑似連(タイミング14~16)」などの期間が遷移しうる。リーチ後の期間では、たとえば、リーチ状態を形成するための第2図柄が停止する「第2図柄停止(タイミング17)」→当落煽りとして発生する「ノーマルリーチ(タイミング18)」→SPリーチの場合には、ノーマルリーチからSPリーチへの発展を示唆する「発展煽り(リーチタイトル予告)」、「当落煽り」があり、高期待度の強SPリーチ種別に属する「SPSPリーチ」の場合には、SPSPリーチへの発展を示唆する「発展煽り」などの、各段階的期間(タイミング19~21)が含まれうる。
さらに強SPリーチ(SPSPリーチ)の場合には、SPSPリーチへの発展を示唆する「発展煽り(リーチタイトル予告)」→「当落煽り」の期間が遷移する(タイミング19~21)。また、「リーチ終了後」の期間では、特定のリーチ演出の場合に、一旦ハズレ図柄を表示するが、装飾図柄が再変動し、全図柄が当り図柄で停止するという「再抽選、全図柄停止(いわゆる「復活演出」)」の期間(タイミング24~25)が遷移する。
「大当り中(大当り遊技中)」は、既に説明したように、「オープニング期間」、「ラウンド遊技期間(最大ラウンド数まで)」、「エンディング期間」があり、図示ではこの期間に分けてある。なお「エンディング」には「Aパターン」と「Bパターン」があり、その一方が選択的に用いられる。ここでは、最大ラウンド数を7Rとした大当りを扱う。
「オープニング期間」では、「大当り報知、右打ち指示演出(タイミング26~27)」の期間が遷移する。次いで、「ラウンド遊技期間」では、1R~7Rまで続くラウンド遊技のうち1R~4Rにかけて物語風演出の「バトル演出(タイミング28~31)」が展開される。このバトル演出は、今回の大当り種別を秘匿する演出であり、具体的には、今回の大当りが確変大当りであるか時短大当りであるかを秘匿する。また特定ラウンド目のラウンド遊技中(ここでは、4R目)には、設定示唆演出の一つである後述の「大入賞口入賞音変化予告」が現出されうる期間となっている(タイミング31)」。そして、5Rにバトル演出の勝利・敗北、すなわち、確変大当りか時短大当りかを報知する「結果演出(タイミング32)」→6R~7Rにかけて「キャラ紹介演出(タイミング33~34)」の期間が遷移する。続いて「エンディングAパターン」で、モード表示やICカード抜き忘れの注意喚起の表示を含む「移行モード表示(タイミング35~36)」と「企業ロゴ(社名)の表示(タイミング37)」が行われる。「エンディングBパターン」では、モード表示やIC忘れ注意喚起の表示を含む「移行モード表示(タイミング38~39)」と、「モメリ込み注意喚起(タイミング40)」と、「企業ロゴ(社名)(タイミング41)」の表示が行われる。といった期間を遷移する。
(設定示唆演出の種類:図45の左欄)
図45の左欄は、上記遊技経過の間、つまり図柄遊技中に現出される設定示唆演出の種類を示しており、この実施形態の場合、次の14種類の設定示唆演出が用意されている。これら設定示唆演出には、図柄遊技中に現出される「変動中演出」に属するものがある。斯様な設定示唆演出は、変動中の予告演出として作用したり、特定の予告演出が発生する期待度を示唆したり、これら期待度を何ら示唆せずに、単純に、設定示唆を行うといったものがある(変動中設定示唆演出)。たとえば、変動中演出の出現率により設定値を示唆するものや、所定のタイミング(たとえば、変動中予告演出の実行後)に現出され、所定事象が発生(出現)する確率を設定値に応じて異ならせることにより設定値を示唆するものなどがある。他方、図柄遊技中に現出されるのではなく、当り遊技中や客待ち中などに現出される「非変動中演出」に属するものがある(非変動中設定示唆演出)。これら種々の設定示唆演出を設けることにより、設定推測要素の面白みが増し、遊技者の遊技興趣を向上させることができる。以下図45を用いて、設定示唆演出について詳述する。
(設定示唆演出01:「あみだくじ、おみくじポイント示唆」)
この設定示唆演出01(演出名:あみだくじ、おみくじポイント示唆)は、変動中の区間、具体的には、変動開始から第1図柄が停止するまでの期間(タイミング10~12)において、特定の設定示唆画像(たとえば特定ポイント数の獲得画像)、たとえば、「あみだくじ、おみくじにより50、100P(ポイント)が付与される演出」が出現した場合(通常は、10P~50P)高設定域の期待が高まるというものである。この「あみだくじ、おみくじポイント示唆」は、変動中演出に属するものであるが、当選期待度を示唆しない点で、変動中設定示唆非予告演出に属する。また「あみだくじ、おみくじポイント示唆」は、客待ち中の期間、つまりデモ中(タイミング05~07)においてメニュー報知(タイミング03)に移行することを現出条件とする特殊な設定示唆演出である。具体的には、メニュー画面に移行した場合に所定の抽選により当選(たとえば、1%で当選)したことを条件に現出され、一度現出されると、その後、再度メニュー画面に移行しない限り当該抽選を実行しない。なお、図45、図47では遊技経過の最初の区画として示しているが、この「あみだくじ、おみくじポイント示唆」は、大当り後の終了インターバル中にも現出されうる。
(設定示唆演出02:「ボタンガタガタ予告」)
この設定示唆演出02(演出名:ボタンガタガタ予告)はガックン予告に相当するもので、設定差「なし」と記載されているように、「設定示唆」を行うものではないが、比較のためにここに掲げてある。この設定示唆演出02は、朝イチのみ発生し得るガックン予告に相当するので、開店後の最初の入賞時(変動開始時)(タイミング10)に、演出ボタン13に組み込まれている可動体(通常ボタン13Aの押圧部または爽快ボタン70の可動体73)を小刻みに振動ないし揺動させ、その動きが発生したことを以て、設定変更(同一設定値への打ち直しを含む)が行われたと遊技者に報知する。
(設定示唆演出03:「ノーマルリーチ図柄示唆(聴牌図柄予告)」)
この設定示唆演出03(演出名:ノーマルリーチ図柄示唆)は、図48(a)に示すように、リーチ変動パターンのうち、「Nリーチ指定のリーチハズレ変動パターン」である場合(小当り当選時の変動を含んでもよい)に現出されうる設定示唆演出であり、リーチ変動に係る演出態様(予告演出)という点で、変動中設定示唆予告演出に属する。ノーマルリーチ図柄示唆では、第1図柄が停止し続いて第2図柄が停止してノーマルリーチとなる場合(タイミング17、18)、現在の設定値に関連した聴牌図柄(リーチ図柄)、または最終的に停止した装飾停止図柄(ここでは、Nリーチ後のハズレ図柄)を現出させることで、現在の設定値を示唆する演出である。たとえば「Nリーチ時のリーチ図柄(たとえばアラビア数字)が、高設定のときの方が大きい図柄になる」または「装飾停止図柄」が、高設定のときの方が大きい図柄になる、というものである。換言すれば、聴牌図柄(リーチ図柄)によって設定値の示唆を行う「聴牌図柄予告」である。
本例では、設定値毎に、図49に示す聴牌図柄抽選テーブルを設けてある。なお、図49の聴牌図柄の抽選テーブルは、本発明の理解を容易なものとするために、そのテーブル構成を簡素化したものである。実際には、Nリーチ1、2に対応する聴牌図柄の抽選テーブルが設けられており、同じNリーチであっても、図柄抽選結果や作動保留球数や特定の設定値の場合(たとえば、設定6)には、Nリーチ1とNリーチ2とで特定の図柄(たとえば、6図柄)の出現率が異なるなど、のように、Nリーチ種別に応じて、特定のリーチ図柄の出現率に関連する要素が多数ある。
この聴牌図柄抽選テーブルは、現在の設定値のランクを反映したものとなるように、聴牌図柄の種類を決定可能なテーブル構成となっている。すなわち、設定4の場合は4図柄の比率が高く、設定5の場合は5図柄の比率が高く、設定6の場合は6図柄の比率が高いという傾向を持たせてある。
本例では、1図柄と7図柄はどの設定値にも対応していない、つまり、1図柄、7図柄による聴牌の場合またはその聴牌状態で停止した場合(装飾停止図柄「101」の場合)、設定示唆を行わない「設定示唆無し」の聴牌図柄である。したがって、1図柄または7図柄が聴牌することに設定値との関連性はない。他の聴牌図柄2~6は、設定1、2、3、4、5、6に対応して、それぞれ2図柄、3図柄、4図柄、5図柄、6図柄が聴牌する比率が高くなっている。なお、リーチ状態を形成しうる図柄、本実施形態の場合、1図柄~7図柄は上記「リーチ構成図柄」として働く。
このノーマルリーチ図柄示唆の現出ルールは、通常状態(低確率・電サポ無し状態)中のみのルールであり、少なくとも電サポ有り状態を伴う時短状態中や高確率状態中では、このルールは適用されない。すなわち、通常状態中に限り、ノーマルリーチ図柄示唆が現出されうる。これは、電サポ有り状態中は、特図時短機能が作動し、図柄遊技が通常状態よりも高速消化されるためである。なお、潜確状態中は、電サポ無し状態であるため、通常状態と同じく、ノーマルリーチ図柄示唆を現出させてもよい。逆に、高確率中という高ベース状態であると考え、ノーマルリーチ図柄示唆を現出させなくてもよい。
なお、変動の途中でリーチ図柄が入れ替わるケース、たとえば、最初に2図柄で聴牌(2図柄のリーチ図柄)した後、4図柄の聴牌(4図柄のリーチ図柄)に変化して、その4図柄の聴牌でハズレ(たとえば「434」が最終停止図柄)となるようなケースでは、そのハズレで停止した装飾停止図柄(434)が、このノーマルリーチ図柄示唆とされる。上記した「ノーマルリーチ図柄示唆」は、遊技状態に応じて、または大当り抽選確率状態に応じて、あるいは遊技状態および大当り抽選確率状態に応じて、現出するか否かが決定される特殊な設定示唆演出ともいえる。
また、この実施形態では、Nリーチ種別を聴牌図柄予告の対象としているが、その理由は次に述べる通りである。NリーチはSPリーチよりも出現率が高く、それ故、当選期待度が相対的に低い予告演出(リーチ演出)である。したがって、通常、Nリーチが発生しただけでは、遊技者は大当り当選にほぼ当選期待感を抱くことが無く、単なるハズレ変動のように消化遊技的な印象を受け、遊技上級者にあっては、折角の変動中演出の一つであるのに煩わしさを受けるケースも少なくない。しかし、このノーマルリーチ図柄示唆では、Nリーチ時に設定示唆がなされる可能性があり、Nリーチ出現時には、遊技者はそのリーチ図柄、装飾停止図柄に大きな関心を抱くようになる。その結果、Nリーチ変動が消化遊技的な様相を呈することが軽減され、遊技者の遊技意欲・興趣を向上しうる。なお、1または複数種類のSPリーチ種別を聴牌図柄予告の対象とすることもできる。SPリーチを対象とする場合には次に述べるような効果がある。SPリーチはNリーチとは逆に、出現率が低く、当選期待度が相対的に高い。したがって、SPリーチが発生すれば、遊技者は大きな当選期待感を抱くことになる。しかしその結果が「ハズレ」となれば、期待感が大きいが故にその落胆度合も高い。しかしながら、ハズレ時に設定示唆がなされれば、遊技者は、SPリーチ時のハズレにも関心を抱くようになる。その結果、SPリーチハズレ時の落胆度合が軽減され、遊技者の遊技意欲・興趣を向上しうる。
(設定示唆演出04:「デンジャー柄タイトルハズレ」)
この設定示唆演出04(演出名:デンジャー柄タイトルハズレ)は、たとえば、SPリーチまたはSPSPリーチに係るタイトル予告演出(以下、「SPリーチタイトル予告」と称する)の一態様である(タイミング19、22)。このSPリーチタイトル予告は、たとえば、そのタイトル表示に係る背景画像が、青色、緑色、赤色、D柄(デンジャー柄)、虹色(当確)に変化することで当選期待度を示唆する。この点で、「デンジャー柄タイトルハズレ」は、変動中設定示唆予告演出に属する。特にデンジャー柄背景を伴うタイトル予告(以下、「D柄予告」と略す)は、当確の虹色背景を除き、タイトル予告中、最高の当選期待度を示唆するものとなっている。
このD柄予告が現出する場合、図48(b)に示すように、設定値が参照され、設定値に応じてD柄予告出現時の当選期待度を変える予告であり、設定値が高いほど、D柄予告出現時の当選期待度が低くなるというものである。詳しくは、D柄予告が出現して、今回のゲームがハズレとなった場合は「設定2以上確定」で、高設定域(設定5、6)ならばD柄予告の当選期待度が低下する、というものである。以下では、D柄予告出現時の当選期待度を「D柄期待度」と称する。
一般的に、高期待度予告が出現した場合は、遊技者は大当り当選に大きく期待を寄せるものである。しかし、その予告が出現したにもかかわらず、「ハズレ」となった場合には、期待感が大きい分、その落胆度合も大きく、遊技意欲が減退してしまい、「高信頼度のはずなのに、大当りしなかった」という印象が強く残り、遊技機に対する不信感が高まってしまう。しかし、このD柄予告は、設定値が高くなるほど当選期待度が低下するという予告演出であるため、たとえ、D柄予告が出現してハズレとなった場合であっても、「設定1が否定された!」「設定2以上が確定した!」ことを知ることができる。最低設定値でないことが分かれば、遊技者の落胆度合も軽減され、遊技意欲の向上にも繋がる。さらに、D柄予告が出現して複数回ハズレとなった場合、ますます高設定域である可能性が高まるため、D柄予告が出現して大当り当選を期待するが、ハズレであっても欲しいという矛盾的な期待感を生じさせうる特殊な設定示唆演出となっている。
上記D柄予告の出現率について、たとえば、強SPリーチハズレ時のD柄予告を出現させる場合、強SPリーチハズレ時のD柄予告出現率を「設定1は0%(出現せず)、他の設定2は5%、設定3は10%、設定4は15%、設定5は20%、設定6は50%」という具合に、設定値が高くなるほどハズレ時のD柄予告の出現率が高くなるという傾向を持たせ、かつ強SPリーチ大当り時のD柄予告出現率を「各設定値で同一または略同一の出現率」とする抽選形態とした場合には、下記のようになる。
(A)強SPリーチ時にD柄予告が出現した場合、設定1の場合は、その時点で当確となる(ハズレ時はD柄予告が出現しないため)。一方、設定2~6の場合は、当確とはならないが、設定が高いほど当選期待度が低下する。この意味で、設定値6よりも設定値1の方が、当選期待度は高くなる。また、設定1の場合は当確となるので、D柄予告は、設定示唆の機能と当確演出としての機能を併せ持つことになる。なお、複数の特定の設定値(たとえば、設定1~3)についてハズレ時出現率を0%にしてもよい。この場合、「D柄予告出現→ハズレ」で設定1~3が否定されるが(設定4以上が確定する)、設定1~3の場合には「D柄予告出現時点」で当確となる。
(B)また「強SPリーチD柄予告出現→ハズレ」となるケースでは、設定1が否定されるとともに(設定1のハズレ時はD柄予告が出現しない)、つまり設定2以上が確定するとともに、設定が高い可能性がある、という設定推測要素を与えることができる。そして、D柄予告が出現してハズレを繰り返すほど、高設定域の期待が高まる。
上述のように、D柄予告においては、ハズレ頻度が高いほど設定6である可能性が高くなる、つまり設定が高いほど、D柄期待度が低下する。しかし、高設定であるほどD柄期待度が低下すると言っても、実際には、D柄予告出現時の当選期待度は、65%程度の高期待度に定められているため、D柄予告出現時は当選期待感も大いに煽ることができる。
なお、本実施形態に係るD柄予告は、同一の図柄遊技中で、出現タイミングが異なるD柄予告が複合的に発生可能となっており、D柄を伴う予告演出が2回出現した場合には、その時点で「当確(大当り当選確定)」とされる。たとえば、「SPリーチタイトル予告時にD柄予告が出現(1回目のD柄予告)→SPSPリーチタイトル予告時にD柄予告(2回目のD柄予告)が出現」のケースでは、1回目のD柄予告は設定示唆演出として働くが、2回目のD柄予告出現時点で「当確」となるため、この2回目のD柄予告は設定示唆演出として機能しない。本例の場合、2回目のD柄予告は、予告演出(ここでは当確演出)として機能する。つまり、同種のD柄予告であっても、出現タイミングによっては、設定示唆演出として機能しないという特殊な設定示唆演出となっている。なお、時短状態または確変状態中にD柄予告が出現した場合は、当確としてあるため、設定示唆演出としてのD柄予告の抽選は行わない。
(設定示唆演出05:「当落変化」)
この設定示唆演出05(演出名:当落変化)は、SPSPリーチ後の当落煽り(タイミング23)において出現する遊技者参加型の設定示唆演出であり、通常(デフォルト)では「いっぺん押してみる?」の文言(会話演出)が画像表示とともに、演出ボタン13を押すことを促すボタン画像(操作指示演出)が表示されるが、その文言が、通常とは異なる特定文言である場合、その特定文言の種類に応じて設定示唆を行うものである。たとえば、特定文言が「いっぺん連打してみる?」であれば「設定2以上確定」、「いっぺん長押ししてみる?」であれば「設定4、5、6を示唆」、「いっぺん爽快ボタンを押してみる?」であれば「設定6確定」というものである。本実施形態では、この特定文言が発生した時は、さらに、特定の大当り種別(たとえば、確変大当り)が確定する。特に「いっぺん爽快ボタンを押してみる?」が出現する場合、可動体73がローリング動作し空枠内部が虹色に発光して、確変大当りとともに、設定6確定を祝福する演出内容となっている。この「当落変化」は、確変大当りを予告する点で、上記設定示唆演出04(デンジャー柄タイトルハズレ)と同じく、変動中設定示唆予告演出に属する。
(設定示唆演出06:「大入賞口入賞音変化」)
この設定示唆演出06(演出名:大入賞口入賞音変化)の概要を図48(c)に示す。本実施形態では、大当り遊技中のラウンド遊技において、大入賞口50に遊技球が入賞した場合には、音演出(大入賞口入賞音)が現出されるが、大当り中の特定R目(ここでは4R目)のラウンド遊技(タイミング31)における特定のカウント目(ここでは、5個目の入賞があった場合)に、通常の「デフォルト音(通常大入賞口入賞音)」と違う「特定音(特殊大入賞口入賞音)」が鳴ったとき、つまりデフォルト音「ピロ♪」から特定音「ププ~ン♪」への入賞音変化があったときは、そのことを以て設定示唆があったとする設定示唆演出(大入賞口入賞音変化予告)である。大入賞口入賞音変化は、大当り遊技中に現出されるものであり、また予告演出の機能は有さず、専ら設定示唆をする、かつ変動中演出ではないという点で「非変動中設定示唆非予告演出」に属する。この「特定音」の概念には、メッセージを持たない音響の他、特定の意味をもつ文言のボイスも含まれる。
<制御例:大入賞口入賞コマンド受信処理>
図50に、大入賞口入賞音変化の制御例を示す。演出制御部24(CPU241)は、主制御部20から大入賞口50入賞時における上記「大入賞口入賞コマンド」を受信した場合、大入賞口入賞コマンドを解析し、これに含まれる賞球数情報等を取得する(S2551)。この賞球数情報は、既に説明したように、ランキング表示(図44)に係る「連荘時の総出玉数」のカウントに利用される。
次いで、特定ラウンド目(4R目)であるか否か、特定カウント数(5個目の入賞)であるいか否かを判定し(S2552~S2553)、特定ラウンド目または特定カウント数でなければ(S2552=NO,S2553=NO)、デフォルト音(通常音)の演出データを設定する(S2558)。一方、特定ラウンド目、かつ特定カウント数である場合(S2552、S2553共にYES)、設定値情報を取得し(S2554)、大入賞口入賞音変化予告抽選処理を実行する(S2555)。ここでは、図51(a)に示す大入賞口入賞音選択テーブルを参照し、設定値に応じて、デフォルト音とするか特定音とするかを抽選により決定する。なお、図示のテーブル内の数値は振分値を示し、「振分値/抽選領域の大きさ」が、デフォルト音または特定音の抽選確率となっている。
この大入賞口入賞音選択テーブルには、図示の通り、設定値に応じた特定音の出現率が定めてある。図51(a)から分かる通り、設定1の場合には、特定音は発せられない。つまり、特定音が発生しさえすれば、「設定2以上確定」が示唆される。また、設定2~設定6に着目した場合、設定値が高くなるほど、特定音が発生する確率が高くなる。つまり、特定音の発生回数が多いほど、高設定域である可能性が高まることになる。
大入賞口入賞音変化予告抽選で当選した場合、つまり特定音に当選した場合には(S2556:YES)、特定音用の演出データを設定し(S2557)、ハズレとなった場合、つまりデフォルト音に当選した場合には(S2556:NO)、デフォルト音用の演出データを設定する(S2558)。そして、大入賞口入賞コマンド受信処理を抜ける。これにより、入賞音が出力される。このように演出制御部24は、当り遊技中において大入賞口(特定入賞口)に遊技球が入賞した場合、複数種類の音演出(たとえば、通常入賞音、設定示唆用の特定入賞音)のいずれかを現出制御する機能部を備える。そして、特定音の出現率により、設定値を示唆する設定示唆演出(大入賞口入賞音変化)を現出制御可能な設定演出制御手段を備えている。
本例では、4ラウンドの5カウント目に、「ププ~ン♪」という特定音が鳴ったならば、そのことで「設定2以上」であることが確定する。ただし「ププ~ン♪」という特定音が鳴らなかったといって、設定2以上である可能性を否定するものではない。たとえば、設定1=通常音(デフォルト)100%、設定2=通常音(デフォルト)98%、設定3=通常音(デフォルト)96%、設定4=通常音(デフォルト)94%に設定される。つまり設定値によって異なる抽選を行う。入賞音変化による設定示唆演出(特定音)は、設定1では出現せず、設定2~6において出現する。そしてこの設定示唆演出(特定音)は、全大当りを対象としており、各大当りにおいて4Rの5カウント目で発生する可能性がある。またこの設定示唆演出(特定音)は、大入賞口が複数設けられている場合には、複数の大入賞口に共通であってもよいし、異なっていてもよい。なお、本例では、4R目(バトル演出の結果演出の直前のラウンド)を大入賞口入賞音変化の対象としているが、5R目の結果演出(タイミング32)を対象とすることが好ましい。その理由は次の通りである。結果演出にて、仮に、敗北演出(時短大当り時に現出され、時短移行を報知する演出)が現出されるケースでは、確変期待感を持ってバトル演出結果に臨む遊技者の確変突入期待感が削がれて、遊技意欲の減退を惹起する。そこで結果演出がたとえ敗北演出であっても、大入賞口入賞音変化が発生すれば、設定示唆がなされ、遊技者の遊技意欲が向上しうるからである。また、演出結果に応じて、大入賞口入賞音変化の実行可否を決定してもよい。たとえば、勝利演出の場合が実行せず、敗北演出の場合には実行する。この場合、特定の演出(ここでは、予告演出以外の演出であり、当り中演出の一つ)が実行されるか否かに応じて、設定示唆演出が現出される、という特殊な設定示唆演出となる。換言すれば、当り種別に応じて(ここでは、確変大当りか時短大当りかに応じて)、現出されるか否かが決定される、という特殊な設定示唆演出である。
(大入賞口入賞音変化の変形例C1)
変形例C1として、特定ラウンド目において、入賞がある毎に、大入賞口入賞音変化予告抽選処理(S2555)を実行する構成としてもよい。すなわち、変形例C1の場合では、大入賞口に入賞するごとに、特定音が鳴るチャンスが生まれ、設定示唆の推測チャンスが増える。図51(b)は、変形例C1の大入賞口入賞音選択テーブルであり、図示の通り、図51(a)と同様に、設定値に応じた特定音の発生確率が定められている。この変形例C1とする場合には、S2553の処理を除けばよい。なお、特定のラウンド目は、1のラウンドでなくてもよく、全ラウンド(タイミング28~34)または複数のラウンド(連続的、間欠的のどちらでもよい)であってもよい。たとえば、5~7R間(タイミング32~34)、偶数ラウンド目(2、4、6R目(タイミング29、31、33))などである。
(大入賞口入賞音変化の変形例C2)
また変形例C2として、特定ラウンド目において、最大入賞数(10個)を超えた入賞(オーバー入賞)があった場合(入賞11個目以降)、大入賞口入賞音変化予告抽選処理を実行する構成としてもよい。すなわち、オーバー入賞時に、特定音(通常のオーバー入賞音とは異なる音)が鳴った場合に、設定示唆をする構成である。この変形例C2の大入賞口入賞音選択テーブルを図51(c)に示す。図51(c)の抽選テーブルも、図51(a)と同様に、設定値に応じた特定音の発生確率が定められている。この変形例C2とする場合には、S2553の処理を、オーバー入賞であるか否かを判定する処理に替えればよい。なお、オーバー入賞は、設計上、頻繁に発生するものではない。そこで、特定ラウンド目でだけでなく、大入賞口入賞音変化予告抽選を全ラウンド(たとえば、1~7R)または一部の複数のラウンド(たとえば、5R~7R目)で実行してもよい。
(大入賞口入賞音変化の変形例C3)
また上記では、大入賞口入賞音変化予告を、すべての大当りで実行する形態であるが、1または複数の特定の大当りのみ実行する構成としてもよい。たとえば、確変大当りのみで実行する、または時短大当りのみで実行する、あるいは、特定の最大ラウンド数(たとえば16R)を定めた大当りのみで実行する、電サポ有り状態への移行契機となる大当り(確変大当りおよび/または時短大当り)で実行する、高確率への移行契機となる大当り(確変大当りおよび/または潜確大当り)で実行する、などである。
(大入賞口入賞音変化の変形例C4)
本実施形態または上記変形例C1の特定音を、たとえば、オーバー入賞時のオーバー入賞音としてもよい。また上記変形例C3における特定音を通常音としてもよい。この場合、オーバー入賞であるにもよらず、通常音が現出して遊技者に違和感を与えることができるので、“違和感演出による設定示唆”を行うことができる。また本実施形態と変形例C1~C4とにおいては、特定音による設定示唆について説明したが、特定音を発するのではなく、無音による設定示唆をしてもよい。この場合も入賞したにもかかわらず、入賞音がならないという違和感演出を設定示唆演出として機能させることができる。また大入賞口入賞音変化では、入賞音(音演出)を対象としているが、他の演出(光演出、可動体演出、および画像表示演出のうち少なくともいずれか一つ)を利用して設定示唆を行うことができる。また通常音に付随的に、設定示唆専用の光演出、可動体演出、および画像表示演出のうち少なくともいずれか一つを現出可能な構成としてもよい。
(設定示唆演出07:「終了インターバル画面変化」)
この設定示唆演出07(演出名:終了インターバル画面変化)は、大当りの終了インターバル区間の「移行モード表示時(タイミング35または38)」、具体的には、エンディング演出中の所定のタイミングに、大当り終了画面(終了インターバル画面)として表示される「航空戦突入画面(確変状態移行画面)」(図53の“航空戦突入”画面)において、キャラクタ画像(たとえば、特定のオブジェクト表示)および/または示唆色画像(たとえば、背景画像色)を現出させ、その内容によって設定を示唆する設定示唆演出(エンディング画面変化予告)である。終了インターバル画面変化も、大入賞口入賞音変化と同じく、非変動中演出に属する。なお上記「航空戦突入画面」は、本例の場合、確変大当り(特定の大当り)の場合に表示されるものであるがこれに限らず、電サポ有り状態への移行契機となる大当り(確変大当りおよび/または時短大当り)の場合、または特定の最大ラウンド数(たとえば16R)を定めた大当りの場合、あるいは、高確率への移行契機となる大当り(確変大当りおよび/または潜確大当り)の場合に表示してもよい。
この設定示唆演出07(終了インターバル画面変化)では、航空戦突入画面に現れるキャラクタ画像および/または示唆色画像が、通常の「デフォルト画像」と違う「特定画像」になっていれば、つまり大当り終了画面が「デフォルトの大当り終了画面」から「特定の大当り終了画面」に変化したときは、そのことを以て設定示唆があったとする。設定示唆の内容は、航空戦突入画面中の特定画像の種類に応じて、設定示唆を行うというものである。
航空戦突入画面中に現れるキャラクタや示唆色などの画像は、大当りの度に差し替えられ、デフォルトでは連荘回数に応じて変化するが、出現する画像の種類または組合せは、基本パターンとして同じである。設定示唆演出を発動させるか否かの抽選(たとえば、後述の図58のEDキャラ背景演出抽選処理(S2514))に当選すると、デフォルトのキャラクタ画像と異なる特定のキャラクタ画像となる。この大当り終了インターバル画面で表示されたキャラは、デモ画面の出玉ランキング表示(図44)に同じバリエーション(たとえば組合せ)で表示され、出玉ランキング表示上のキャラクタ画像(図53の(A)~(F)参照)も書き換えられる。したがって、上記出玉ランキング中予告(図44(b))が実行されている場合は、一回目の大当り遊技後に、その朝一出玉ランキング中予告に係る出玉ランキング表示が更新され、大当り遊技開始とともに、朝一出玉ランキング中予告が終了されることになる。
図52は、航空戦突入画面(図53の“航空戦突入”画面)に現れるキャラクタ画像の組合せ、および/または示唆色画像の種類と、それらによる設定示唆の内容とを示したものである。図53にこれらの一部に対応するものを示す。なお、この実施形態では特定画像としてキャラクタ画像と示唆色画像の両者を扱っているが、一方のみ扱ってもよい。図52と図53とを用いて、終了インターバル画面変化に係る上記航空戦突入画面について説明する。
先ず、終了インターバル画面変化による設定示唆内容の概要を説明する。たとえば、下記(ア)~(シ)のような設定示唆をする演出態様とすることができる。
(ア)低設定域(設定1~3、1~2、2~3)を示唆する「低設定示唆演出」。
(サ)高設定域(設定4~6、4~5、5~6)を示唆する「高設定示唆演出」。
(キ)偶数設定(設定2、4、6)を示唆する「偶数設定示唆演出」。
(ユ)奇数設定(設定1、3、5)を示唆する「奇数設定示唆演出」。
(メ)特定の設定値(設定1~6のいずれでもよい)を確定的に報知する「特定設定確定演出」。たとえば「設定N」を確定的に報知する「設定N確定演出」。
(ミ)特定の設定値(設定1~6のいずれでもよい)でないことを確定的に報知する「特定設定否定演出」。
(シ)特定範囲の設定値を示唆する「特定範囲示唆演出」。たとえば、設定3~5(α≦設定値≦β)を示唆、設定4以上(α≦設定値)を示唆、「設定1、3、5、6」のランダム値を示唆する。
「航空戦突入画面(終了インターバル画面変化)」では、図52から分かる通り、上記(ア)~(シ)のすべてのタイプに属する設定示唆演出を現出可能となっている。これらの内容は、終了インターバル画面変化(設定示唆演出07)に限られない。他の設定示唆演出(設定示唆演出01~06、08~14)においても、上記(ア)~(シ)の少なくとも1つ(全部またはその一部)の示唆内容を報せる演出態様とすることができる。
図52において、基本パターンは画面上に主要キャラ二人が左右に表示される。たとえば、図53(A)は、ED用演出番号2の左キャラと右キャラの組合せが「戦闘機C、キャラなし+青色背景」を示し、デフォルト画像の一つである。このデフォルト画像は、設定1~設定6のいずれも出現する可能性があり(ED用演出番号1~2参照)、その選択率は、各設定値で同一である。すなわち、デフォルト画像が出現しただけでは、何ら設定示唆はされない(設定非示唆)。なお、図52において、設定1~設定6での選択率は右側に示す通りである。
また、図53(B)~図(F)は、図52における特定画像の一部をピックアップしたものである。たとえば、
図53(B)に示すED用演出番号6の「戦闘機D、戦闘機G+緑色背景」は上記(キ)の設定2、4、6を示唆するものであり上記(キ)の「偶数設定示唆演出」に属する。
図53(C)に示すED用演出番号10の「キャラなし、キャラなし+虹色背景」は、設定6を確定的に報知するものであり、上記(メ)の「特定設定確定演出」に属する。
図53(D)に示すED用演出番号13の「戦闘機E、戦闘機C+黒色背景」は、設定3否定を示唆するものであり上記(ミ)の「特定設定否定演出」に属する。
図53(E)に示すED用演出番号17の「戦闘機G、戦闘機E+金色背景」は、設定3以上を示唆するものであり上記(シ)の「特定範囲示唆演出」に属する。
図53(F)に示すED用演出番号11の「藤丸くん、キャラなし+金色背景」は、設定4以上(設定4、5、6確定)を示唆するものであり上記(シ)の「特定範囲示唆演出」に属する。
また本実施形態では、設定示唆に用いられているキャラクタを知らない遊技者や、設定示唆演出の内容自体をあまり知らない遊技初心者に対して、設定示唆をする際に、次のようなサポート的な設定示唆演出(準設定示唆演出)を現出可能させるようになっている。これについて、図52を参照して詳述する。
図52において、キャラクタ画像・背景色の観点からサポート的設定示唆内容は、下記(エ)~(セ)のような内容となっている。
(エ)原則、キャラクタ1つ出現=何も示唆していない(非設定示唆:デフォルト系)。ただし、キャラクタが1つしか出現しない場合であっても、出現率の高いキャラクタ画像(戦闘機、戦車などの兵器画像)とは、その観念(その画像から想起、連想される意味内容)が全く異なるキャラクタ画像(藤丸くん、藤香ちゃんなどのアニメキャラ画像)が出現した場合は、何かしらの設定示唆または確定がある(たとえば「高設定域の可能性が高い」などを示唆する)。
(ヒ)キャラクタが2つ出現=何かしらの設定示唆または確定がある。
(モ)キャラクタ出現せず=設定N確定である(図示の例では、最高設定6確定)。
(セ)背景色については、次のような示唆内容を持つ。「青色背景」=「何も示唆していない(非設定示唆)」、「緑色背景」=「偶数設定値である」または「奇数設定値である」あるいは「設定1を含む特定設定値である」(何かしらの設定を示唆している)、「黒色背景」=「特定の設定値ではない」、「金色背景」=「設定1以外の特定設定値以上である」、「虹色背景」=「最高設定6である」。
上記(エ)は、兵器の名称などを知らない遊技者や遊技初心者を対象とするものである。また「背景色」はその役割を分かり易くするものであり、これも複雑なキャラの組合せを含めた設定推測(判別難易度高)よりも、パッと見、分かり易い背景色を利用して、その色種別により、遊技初心者に対して何かしらの設定示唆があるということを報せるものである(判別難易度低)。これらの内容も終了インターバル画面変化(設定示唆演出07)に限らず、他の設定示唆演出(設定示唆演出01~06、08~14)においても、上記(エ)~(セ)の少なくとも1つ(全部またはその一部)の示唆内容を報せる演出態様とすることができる。また上記(ア)~(セ)の組合せも適宜定めることができる。
(設定示唆演出08:「祝福あいボイス」)
この設定示唆演出08(演出名:祝福あいボイス)は、大当りの終了インターバル区間の「ロゴ表示時(タイミング35から37、またはタイミング38~41)」、具体的には、確変大当りに係るエンディング演出中の所定のタイミング(上記移行モード表示後)で現出され、爽快ボタン70を利用した遊技者参加型設定示唆演出の一つであり、稀に現出される(たとえば、出現率は1%)設定示唆演出となっている。この祝福あいボイスも、上記した大入賞口入賞音変化や終了インターバル変化と同じく、非変動中演出に属する。祝福あいボイスでは、音演出として、確変移行を祝福するという特定キャラのボイス(音声)が流れるが(確変突入祝福演出)、そのボイスがデフォルトと違うと設定示唆をするものである。たとえば、ボイス1は「設定2以上確定」、ボイス2は「偶数設定」、ボイス3は「奇数設定」、ボイス4は「設定3以上」、ボイス5は「設定6確定」などである。いずれのボイスを出力させるか、つまりどのような示唆内容を報知する設定示唆演出態様とするかについては、図52に示す抽選形態のように、設定値と関連する演出態様を、所定の抽選により決定すればよい(後述の設定示唆演出09~11、14についても同様であり、以下、これに関する説明を省略する)。なお、祝福あいボイス(音演出)は、終了インターバル変化(画像表示演出)と同時的・重複的に現出しうるものであり、双方の設定示唆内容から、より明確な設定推測が可能になる。
(設定示唆演出09:「会話予告示唆」)
この設定示唆演出09(演出名:「会話予告示唆)は、リーチ前の入賞開始~第1図柄停止(タイミング10~13)の期間で出現しうる、いわゆる「ステップアップ予告演出」の一つとして設けられている。このステップアップ予告演出とは、1段階目(SU1)の演出から複数段階目の演出まで段階的に変化し、より先の段階に発展した場合に当選期待度が高まる(最終段階目まで発展した場合は当り当選期待度が最も高い)といった予告演出態様である。会話予告示唆は、会話演出の一つであるが、上記当落変化(設定示唆演出05)のような遊技者参加型ではなく、時間経過とともに演出シナリオがステップアップ的に進行する通常の会話演出である。この会話予告示唆は、特定段階目(たとえば、SU1)で表示されるキャラクタの台詞の違いにより設定示唆を行うもので、上述の祝福あいボイス(設定示唆演出08)と同事象のように(ここでは、画像表示演出)、1または複数種類の特定台詞画像の種類に応じて設定示唆を行うという演出態様となっている。
(設定示唆演出10:「一定回転数ランプ設定示唆」)
この設定示唆演出10(演出名:一定回転数ランプ設定示唆)は、図柄遊技の実行回数が所定回数に達したことを契機に出現しうるものであり、変動中設定示唆非予告演出に属する。一定回転数ランプ設定示唆は、たとえば、電源投入時から○○回転数目、前回の大当りからの○○回転数目など、図柄遊技が所定回数実行されたことを契機に、図柄遊技中の所定のタイミングで出現して(タイミング10~25)、装飾ランプ45などの演出用LEDを所定色で発光させ、その発光色の違いにより設定示唆を行うものである。たとえば、青色発光は「設定2以上確定」、黄色発光は「偶数設定」、緑色発光は「奇数設定」、赤色発光は「設定4以上確定」、虹色は「設定6確定」などである。なお、光演出に限らず、他の演出(音演出、画像表示演出および可動体演出の少なくともいずれか1つ)を利用して設定示唆を行う構成としてもよい。
(設定示唆演出11:「特定図柄示唆」)
この設定示唆演出11(演出名:特定図柄示唆)は、リーチ前の第1図柄停止~第2図柄停止(タイミング13~15、17)で現出しうるもので、たとえば、疑似連を実行する際に表示される疑似連図柄や、第1停止時の装飾図柄種別(第1停止図柄)や、第1停止時の装飾図柄と第2停止時の装飾図柄との図柄組合せ種別(以下「第1第2停止目」と略す)について、その出現率に設定差を設けることで設定示唆を行うというものである。特定図柄示唆は、疑似連や通常変動やリーチ変動に係る変動中演出に係るもので、変動中設定示唆予告演出に属する。特定図柄示唆の具体例としては、たとえば、通常変動において、「偶数図柄(2、4、6)が第1停止に出現しやすい場合には偶数設定の可能性が高く、奇数図柄(1、3、5)が第1停止に出現しやすい場合には奇数設定の可能性が高い」、「第1停止図柄に、1図柄が出現しやすい場合には設定2以上が濃厚になる」、「特殊な図柄が停止した場合には設定6確定である」、「第1第2停止目が特定の停止目である」などである。当該特定の停止目としては、連続目(たとえば、「12」「34」「56」など)、挟み目(たとえば、「13」「24」「35」など)、特定目(たとえば、最小図柄と最大図柄の組合せ「17」「71」など)である。また、疑似連の場合も同事象のように、どのような図柄種で疑似変動が実行されるかにより設定示唆を行うものとなっている。たとえば、仮停止の際に「1図柄」を含む仮停止目の出現率が高い場合は「設定2以上が濃厚になる」、「7図柄」を含む仮停止目で疑似変動が実行される場合には「高設定域が濃厚になる」、デフォルトではない特定図柄で疑似変動が実行される場合には「設定6確定」などである。なお、高回数の疑似変動を伴う疑似連では、特定図柄示唆は行わない。これは、高回数(ここでは、3回)の疑似連の場合には、当選期待度が高く、SPSPリーチの発生を示唆したり、他の予告演出が複合発生するなど、煽り演出としてのにぎやかしが高まり、設定示唆をしているのか、それとも当選期待度を示唆しているのかの判別がし難くなり、遊技者が混同して演出が却って煩わしいものになる恐れがあるからである。
(設定示唆演出12:「リーチ出現率変化」)
この設定示唆演出12(演出名:リーチ出現率変化)は、特定のリーチの出現率により設定示唆を行うというものであり、変動中設定示唆予告演出に属する。リーチ出現率変化では、特定の変動パターンの出現率の違いにより、設定示唆を行うというものである。たとえば、特定のSPリーチが出現した場合には「設定2以上確定」、特定のSPリーチの出現率が高確率である場合あるいは低確率である場合には「設定Nの可能性が高い(低い)」などである。リーチ出現率変化は、上記変動パターン振分テーブルにおいて、設定値に応じて、特定の変動パターンの選択率を異ならせる、つまり、特定の変動パターンの選択率に設定差を設けることで実現される(図21のS413参照)。特定の変動パターンの出現率をどのようにするかは、設定示唆内容に応じて適宜定めることができる。たとえば、設定値が高くなるに従い、特定のSPリーチ指定のリーチ変動パターンの選択率を相対的に高くする、あるいは、その逆に選択率を相対的に低くする、または、特定の設定値の場合は出現率0%にするなどである。この実施形態の場合、1または複数種類の特定のSPリーチを、リーチ出現率変化の対象としている(タイミング19~23)。
(設定示唆演出13:「停止時音ランプ設定示唆」)
この設定示唆演出13(演出名:停止時音ランプ設定示唆)は、リーチ終了後の装飾図柄が仮停止状態中(確定表示前の揺れ変動中)や装飾停止図柄表示時(タイミング25)において現出される「図柄停止時演出」を利用した設定変更示唆演出である。この停止時音ランプ設定示唆は、特に当選期待度を示唆するものではなく、この点で、変動中設定示唆非予告演出に属する。この停止時音ランプ設定示唆は、装飾図柄の停止表示時に(仮停止状態中、確定表示時のいずれを契機としてもよい)、その停止時の演出態様が通常とは異なる特定演出態様である場合に、設定示唆を行うというものである(演出態様は、音演出、光演出、画像表示演出、および可動体演出の少なくともいずれか1つ)を利用することができる)。たとえば、通常は確定常時時の停止音が「ポン♪」(無音でもよい)という効果音が現出されるが、その効果音が通常とは異なる特定停止音、たとえば、「ドカン!」の場合には「設定2以上確定」、「ダダダ!(機関銃音)」の場合には「設定4以上確定」などを示唆する。なお、停止時音ランプ設定示唆を、特定期間中に限り現出可能に構成してもよい。たとえば電源投入後からの図柄遊技の実行回数が所定回転数(たとえば、累計2000回転)に達した場合や、当該所定回数以降の特定回数目に達するまでの遊技期間(たとえば、累計2001回転目以降、または累計2001回転目以降の20回転毎)、RTC情報による特定の日や特定の時間内などである。
(設定示唆演出14:「再抽選示唆」)
この設定示唆演出14(演出名:再抽選示唆)は、リーチ終了後の再抽選時(タイミング24)において現出さうる設定示唆演出である。この「再抽選」とは、リーチ終了時に装飾図柄を大当り図柄で一旦仮停止状態した後、その仮停止状態から再変動表示させ(図柄を変換表示してもよい)、再度、大当り図柄(仮停止時と同一または異なる大当り図柄)を確定表示する、いわゆる「再抽選演出」を利用した演出態様である。再抽選示唆は、当確状態を報知したまま設定示唆を行うものであるが、正確には、図柄遊技終了まで大当りは確定しないため、この点で、変動中設定示唆予告演出に属するものであるといえる。ただし、上記再抽選演出は、装飾図柄の再変動表示を伴うものであるが当落が判明した遊技結果導出後の演出である点で、当落が判明していない状態で実行される「疑似連(疑似変動)」とは性質を異にする。再抽選示唆では、たとえば、仮停止時に表示される大当り図柄の出現率が設定値に応じて異なる、または再抽選後の確定表示時の大当り図柄が設定値に応じて異なる、などにより設定示唆を行う。たとえば、上記のノーマルリーチ図柄示唆(設定示唆演出03)と同事象のように、表示される装飾図柄(ここでは、仮停止時または再抽選後の大当り図柄)に設定差がつけられている。ただし、奇数図柄揃いが確変大当りであり(確変図柄)、偶数図柄が時短大当りである(時短図柄)などのように、大当り図柄に応じて大当り種別が報知される場合には、遊技者の成り下がり感を惹起させないために、仮停止時が確変図柄の場合は再抽選示唆を実行しない、または、たとえば“確変図柄「111」で仮停止→「111」よりも数字の大きい確変図柄(333、555など)で確定表示”した場合に、「設定2以上確定である」という設定示唆をすることが好ましい。
<設定示唆演出の抽選率変動:図54>
上記の設定示唆演出はその出現割合(出現率、現出率、実行率とも称する)が常に一定ではなく、図54に示すように、所定の変更タイミングにおいて、その出現率つまり抽選確率(設定示唆演出の出現率の基底)が変更(変動)されるという特徴がある(設定推測要素可変抽選形態)。端的に言えば、所定の条件を満たした場合、出現率が可変する、つまり、所定の低確率から高確率、または高確率から低確率に可変(変動)する。この変更条件には、所定の遊技期間の到来(開始)・経過(終了)や、特定事象の発生またはその発生回数や、時間情報などがある。
(変更タイミング(変更契機)について)
変更タイミングについて、その概要を図54に示す。変更タイミングには、たとえば、下記の(A)~(E)がある。
(A)RTCまたはソフトカウンタを利用して時刻(日時または日あるいは時を含む)、または電源ONからの経過時間に応じて可変する形態(図54(a)参照)。
(B)遊技実績情報に応じて可変する形態。具体的には、アウト球数(いわゆる「打ち込み量」)に応じて可変する形態(図54(b)参照)。
(C)大当り回数(大当り当選回数または大当り遊技実行回数)に応じて可変する形態たとえば、○○回~△△回の間または○○回以上などで可変する形態。
(D)前回の大当りからの回転数(前回の大当りからの図柄遊技の実行回数)に応じて可変する形態。たとえば、前回の大当りから○○回転~△△回転の間、または○○回転以上などで可変する形態。つまり、大当り間のハマリ回数を利用して可変する形態。図柄遊技の実行回数は、変動パターン指定コマンドおよび/または装飾図柄指定コマンドを受信することで、把握することができる。
(E)上記(A)~(D)の2以上を組み合わせた形態、などがある。
(変更内容)
変更内容としては、上記設定示唆演出01~08のうちの特定の設定示唆演出についてのみ、たとえば、図53の終了インターバル画面変化(設定示唆演出07)についてのみ、その出現率が可変し、それ以外の設定示唆演出については可変しない形態がある。この形態においては、出現率変更(変動)用の専用テーブル(たとえば、後述の図61~図62)を用意しておき、確変大当りに当選して、終了インターバル画面変化に係る「航空戦突入画面」(図53の“航空戦突入”画面)を現出させるなどの特定条件成立時において、この専用テーブルが参照されるようにして、これにより出現率を変更する。なお、特定の設定示唆演出だけを対象とするのではなく、複数種類の設定示唆演出を対象としてもよい。たとえば、終了インターバル画面変化(設定示唆演出07)および大入賞口入賞音変化(設定示唆演出06)を対象としてもよい。
設定示唆演出の出現率を変更させる仕方には、たとえば、次の変更パターン1と変更パターン2の2つがある。
(変更パターン1)
設定示唆演出の出現率(出現割合)を上昇させる傾向を、複数の抽選テーブルで作り出す。たとえば、下記の通常テーブルTBL1と専用テーブルTBL2を用意し、下記のように出現率(抽選確率)を定める。
TBL1:設定1(20%)~設定6(40%)
TBL2:設定1(40%)~設定6(60%)
所定の変更契機、たとえば、特定期間や特定事象に関する情報(特定期間の到来または経過、特定事象の発生またはその発生回数など)に基づき、通常テーブルTBL1から専用テーブルTBL2に切り替えることにより、設定示唆演出の出現率が上昇し、遊技者が設定示唆演出に遭遇する機会が増加する。
(変更パターン2)
設定示唆演出の出現率の設定間格差を顕著にすることを、複数の抽選テーブルで作り出す。たとえば、下記の通常テーブルTBL1と専用テーブルTBL2を用意し、下記のように出現率を定める。
TBL1:設定1(20%)~設定6(40%)
TBL2:設定1(0%)~設定6(99%)
通常テーブルTBL1から専用テーブルTBL2に切り替えることにより、特定の設定範囲(たとえば、偶数設定(2、4、6)、高設定域(設定5、6))または特定の設定値(たとえば、設定6)に関する設定示唆演出の出現率が上昇する。変更パターン2の場合、設定1と設定6の差が顕著になる。したがって、設定を推測しようとする遊技者にとって、確かな情報が増え、設定6と判定する上で有利になる。たとえば、大当り間ハマリ500回転以上で、専用テーブルTBL2を参照するケースでは、ハマリ500回転以降に、出現率の可変対象に係る設定示唆演出が出現すれば、そのことを以て設定1が否定されることになり、出現しない場合は、設定6がほぼ否定されることになる。
以下、所定の変更契機として、打ち込み量や、大当り回数や、時刻または電源ONからの時間などに関連する演出制御部24側の処理として、
(I)アウト球数コマンド受信処理(上記コマンド解析処理(S1008)の一つ)と抽選モード管理処理1(図55~図56)、
(II)大当り開始コマンド受信処理(上記コマンド解析処理(S1008)の一つ)と抽選モード管理処理2(図57~図58)、
(III)RTC情報による抽選モード管理処理3(図59)、
(IV)上述の「アウト球数情報と大当り回数情報」とによる抽選モード管理処理4(図60)について説明する。上記抽選モード管理処理1~4は、図50の可変抽選モード管理処理(S1006)の一形態であり、所定の変更契機が到来した場合、設定示唆演出に係る抽選モード(現在の出現率を定める抽選状態)の切替制御(移行制御)を行う処理となっている。
(アウト球数による抽選確率変動:図55~図56)
図55~図56は、上記アウト球数コマンド受信処理と抽選モード管理処理1のフローチャートであり、ここではアウト球数(累計アウト球数)情報に基づき、出現率を変動(変更)させるケースを示す。本例では、変更契機がアウト球数に依存するため、アウト球数情報を把握する必要がある。そのため、アウト球数については、主制御部20から送られて来る「アウト球数コマンド」を受信した際に、そのカウント処理(後述のS2401)を実行する。そして、後述の図56の可変抽選モード管理処理1において、そのカウント値に基づいて、抽選モードを移行制御するという形態である。
図55のアウト球数コマンド受信処理では、主制御部20から所定のタイミングで送られてくる上記「アウト球数コマンド」を受信すると、累計アウト球数カウント処理を行う(S2401)。ここでは、現在の累計アウト球Toutに、コマンド情報により得たアウト球数Poutを加算した結果を現在の累計アウト球数ToutとしてRAM243の所定領域に格納し保持する。ここでいう「累計アウト球数Tout」は、電源投入時からの累計アウト球数である。したがって、電源投入時は、累計アウト球数Toutはゼロ(Tout=0)となっている。しかし本発明はこれに限らず、電断あるいは電源投入時に累計アウト球数Toutをクリアせずに、前日からの累計アウト球数をそのまま引き継いでもよい。この場合、仮に、出荷時から一度もRAM243がクリアされない、あるいはRAM243のバックアップ用電源が切れなければ、累計アウト球数Toutの値はパチンコホール店で遊技機1が初稼働してから現在に至るまでの累計アウト球数となる。
主制御部20からの制御コマンドによるアウト球数のカウント制御には、いくつかの制御方法がある。その一つは、OUT監視スイッチ49aが遊技球を検出する毎に、アウト球数コマンドを送信する方法である。つまり、アウト球1個が発生する毎に、アウト球数コマンドを送信し、演出制御部24側にて1球ごとの管理をする方法である。この方法では、変更契機を1球単位とする場合に有効であるが、1個のアウト球が発生する毎にコマンドを送信することになり、制御負担が増してしまう恐れがある。そこで、他の方法として、たとえば所定個数(1000玉)ごとに、逐次上記アウト球数コマンドを送信し、演出制御部24側にて1000玉ごとの管理をする方法であり、この方法によれば、コマンド送信タイミングも減り、制御処理が簡易になる。また機種変更の際に汎用性を持たせることができる。他の方法として、1000、15000、16000、・・・などの不定期の長期間隔での変更契機毎に制御コマンドを送る方法であり、1000玉ごとに逐次制御コマンドを送る方法に比べ、さらに送信タイミングも減少するため、制御負担を軽減することが可能である。また性能情報に利用されるアウト球数情報を取得して、これに基づくコマンドを送信してもよい。いずれの方法を採用するかは、変更契機を如何なる契機とするかに応じて適宜採用すればよい。
図56の抽選モード管理処理1では、上記累計アウト球数Toutを取得し(S4001)、抽選モード変更契機であるか否かを判定する(S4002)。抽選モード変更契機でないならば(S4002:NO)、何もせずに抽選モード管理処理1を抜ける。一方、抽選モード変更契機であれば(S4002:YES)、抽選モードを変更するための可変抽選モード移行処理を行う(S4003)。ここでは、本発明の理解を容易なものとするために、出現率が異なる複数の抽選モードとして、「デフォルト(通常)」、「高確1」、「高確2」という3種類の抽選状態(可変抽選モード;以下、「抽選モード」と略す)を扱う(後述の図57の可変抽選モード管理処理2、3(一部の例)、4についても同様)。これら抽選モードにおける全体的な出現率の高低の関係は、「通常(デフォルト)<高確1<高確2」の関係とする。「全体的」と称したのは、特定の設定値の出現率は低下するが、他の設定値の出現率が上昇するケース(たとえば、図62の変更パターン2A(B)(C)の設定2のケース)、あるいは、各設定値において出現率の合算自体は変化しないが、設定推測要素となる特定の示唆色の出現率が高まり、その分他の示唆色の出現率が低くなるケース(たとえば、後述の図62の変更パターン2(B))、などが存在しているからである(後述の図61~図62参照)。したがって、本実施形態に係る高抽選モードには、設定示唆演出全体の出現率が、少なくともデフォルト(通常)時よりも単純に上昇する(高確率に変動する)ケースと(図61の(A)~(E)の関係)、設定示唆演出自体の出現率は変化しないが、特定の設定示唆要素を持つ設定示唆演出(たとえば、特定の設定示唆色)の出現率が上昇するが、その分、他の設定示唆要素を持つ設定示唆演出の出現率が低下するケース(示唆度合いが可変するケース)とが含まれる。
図示の「MODE0(可変抽選モード0)」、「MODE1(可変抽選モード1)」、「MODE2(可変抽選モード2)」は、それぞれ「デフォルト(通常)」、「高確1」、「高確2」という抽選モードに対応する。これらの抽選モードは、「可変抽選モードステータス」により管理される。この可変抽選モードステータスは、変更契機が到来するごとに更新され、そのステータスの値が参照されることにより、現在の可変抽選モードが把握可能となっている。上記可変抽選モードステータス値は、設定示唆演出の現出に関する抽選(たとえば、後述の図58に示すEDキャラ背景演出抽選処理など)を実行する際に利用され、後述の図61~図62の抽選テーブルを選択する際に利用される。
この実施形態の場合、可変抽選モードステータスに関し、高確1に移行する場合には「01H」を、高確2に移行する場合には「02H」がセットされる。それ以外の場合は、可変抽選モードステータスに「00H(通常)」をセットする。
ここでは、累計アウト球が0~6000球の場合は高確1、累計アウト球が24000球以上の場合は高確2、それ以外では、デフォルト(通常)に移行される。これにより、特定期間において、設定示唆演出の出現率(抽選の基底)を変動(可変)させることができる。ここでは、変更契機として、累計アウト球が0~6000球の場合には「MODE1」として可変抽選モードステータスに「01H(高確1)」をセットし、累計アウト球が24000球以上の場合には「MODE2」として可変抽選モードステータスに「02H(高確2)」をセットする(高確率抽選状態に移行)。それ以外の累計アウト球数の場合は、可変抽選モードステータスに「00H(通常)」をセットし、設定示唆演出の出現率(抽選の基底)を通常に戻す(低確率抽選状態に移行)。これにより、設定示唆演出の出現割合(出現率)を変動させることができる。
(大当り回数による抽選確率変動:図57~図58)
図57は抽選モード管理処理2を、図58は大当り開始コマンド受信処理を示すフローチャートであり、ここでは、大当り回数情報(本日の累計大当り回数)に基づき、出現率を変動させるケースを示す。本例では、発動契機が大当り回数に依存するため、大当り回数をカウントする必要がある。そのため、大当り回数のカウントについては、大当り開始コマンドを受信した際に、そのカウント処理(後述のS2516)を実行する。そして、図57の可変抽選モード管理処理2において、そのカウント値に基づいて、抽選モードを変更するという形態である。
図57の抽選モード管理処理2について説明する。この抽選モード管理処理2では、まず大当り回数カウンタから大当り回数情報を取得し(S4011)、抽選モード変更契機であるか否かを判定する(S4012)。抽選モード変更契機であれば(S4013:YES)、可変抽選モード移行処理を行う(S4013)。
この可変抽選モード移行処理の基本的な内容は、上記図56のS4003の処理内容と、基本的には同じである。ここでは、変更契機として、累計大当り回数5~10回の場合には「MODE1」として可変抽選モードステータスに「01H(高確1)」をセットし、20回以上の場合には「MODE2」として可変抽選モードステータスに「02H(高確2)」をセットする。これにより、設定示唆演出の出現率(抽選の基底)が高くなる。それ以外の大当り回数の場合は、可変抽選モードステータスに「00H(通常)」をセットし、抽選モードを通常に戻す。
(大当り開始コマンド受信処理:図58)
次に図58を参照して、大当り開始コマンド受信処理について説明する。図58に、大当り開始コマンド受信処理の詳細を示す。
この大当り開始コマンド受信処理では、大当り開始コマンドを受信すると、CPU241は、まず大当り演出シナリオ抽選処理を行う(S2511)。この処理では、大当り種別(特別図柄判定データ)に基づき、当り中演出シナリオを選択する。本例の場合、単なる当り中演出ではなく、設定示唆演出(設定示唆演出07の終了インターバル画面変化)を含む当り中演出シナリオであるところに特徴がある。次いで可変抽選モード取得をする(S2512)。この可変抽選モード取得処理では、現在の可変抽選モード(図57中のS4013参照)に応じた抽選テーブルが用意される。次いで、設定値情報を取得し(S2513)、EDキャラ背景演出抽選処理(S2514)に進む。
EDキャラ背景演出抽選処理(S2514)では、後述の図52に示す「エンディング用キャラ背景抽選テーブル」に基づき、終了インターバル画面変化に係る「航空戦突入画面(図53)」に表示するための、今回のキャラ背景画像(設定示唆オブジェクト表示)、背景色(設定示唆背景色)などを含むキャラクタ画像の組合せを抽選する。なお、図52のエンディング用キャラ背景抽選テーブルは、出現率変更(変動)用の専用テーブルの一例と示したものであり、ここでは、抽選モードがデフォルト中(抽選モード0(通常))に対応する抽選テーブル(可変抽選モード0用抽選テーブル)を例示してある。他の抽選モード1、2(高確1、2)に対応する抽選テーブルについては、図示はしていないが、説明の便宜ために、その概要については、後述の図61~図62の可変抽選モード用テーブルを用いて説明する。
ここで、設定示唆演出(キャラクタ画像の組合せ)を現出させないとする場合、(i)抽選自体は実行するが、その当選確率は0%に定める形態(抽選実行形態)でもいいし、(ii)抽選自体を実行しない(抽選を迂回する禁則処理をする)という形態(無抽選形態)でもよい。本例では(i)の形態となっている。
上記EDキャラ背景演出抽選処理で決定されたキャラクタ画像の組合せを含め、今回の当り中演出シナリオデータを設定する(S2515)。これにより、今回の一連の当り遊技中に現出する演出が決定される。したがって、同じ大当りであっても、決定された表示画像が異なる場合があり、その違いにより設定示唆を実現している。
その後、大当り回数をカウントする大当り回数カウンタを+1して、大当り開始コマンド受信処理を抜ける(S2516)。したがって、大当り遊技開始時に送信される大当り開始コマンドを受信する度に(大当り開始コマンド受信処理を経る度に)、大当り回数カウンタの値が増加し、大当り回数が累積的にカウントされて行く。この大当り回数カウンタの値は、上述した可変抽選モード管理処理2において、変更契機を判定する際に利用される(図57中のS4012参照)。
(特定日および/又は特定時刻情報に基づく抽選確率変更:図59)
図59は、RTC情報による抽選モード管理処理3を示すフローチャートであり、ここでは、RTC情報に基づき、出現率を変動させるケースを示す。本例では、図31のRTC情報取得処理(S1056)で取得されるRTC情報に基づいて、抽選モードを変更するケースである。
図59の抽選モード管理処理3では、まずRTC情報を取得し(S4031)、抽選モード変更契機であるか否かを判定する(S4032)。抽選モード変更契機であれば(S4033:YES)、可変抽選モード移行処理を行う(S4033)。この可変抽選モード移行処理の基本的な内容は、図56のS4003の処理内容と基本的には同じである。
本例の可変抽選モードステータスの種類には、特定時刻(RTC1)に係るもの(図59(a))と、特定日(RTC2)に係るもの(図59(b))と、その両者を合わせたもの(図59(c))の形態がある。
図59(a)の特定時刻(RTC1)に係る区分けでは、抽選モード0、1、2(高確1、高確2、通常)への変更契機として、「09:00-11:00」、「18:00-20:00」、これ以外の時刻に分かれている。
図59(b)の特定日時(RTC2)に係る区分けでは、抽選モード0、1、2(高確1、高確2、通常)への変更契機として、「特定日1(たとえば、4月29日)」、「特定日2(たとえば、12月8日)」、これ以外の日に分かれている。
図59(c)は、特定時刻と特定日の両者を合わせたもので(RTC1+RTC2)、抽選モードの種類が「高確1」「高確2」「高確3」「高確4」「通常」の5種類の抽選モード0~4を扱う形態であり、それぞれ「09:00-11:00」、「18:00-20:00」、「特定日1(4月29日)」、「特定日2(12月8日)」、これら以外の日時に分かれている。出現率の高低の関係は、「通常<高確1<高確2<高確3<高確4」としている。しかし特定日1、2である場合は「高確1、2」の変更契機と、「高確3、4」への変更契機が重複しうる。そこで、いずれの抽選モードを優先するかについての優先順位(後述の「抽選モード優先順位」を参照)に基づき移行先の抽選モードを決定する。本例では「通常<高確1<高確2<高確3<高確4」の順位としている。したがって、特定日1、2の場合、抽選モード3、4(高確3、4)が優先され、他の抽選モード0~3(通常、高確1~2)には移行されない。
また図59(d)は、電源投入時からの経過時間により変更契機を規定するもので(RTC4)、抽選モード0、1、2(高確1、高確2、通常)への変更契機として、「電源ONから2時間経過するまで」、「電源ONから9時間経過後、11時間が経過するまで」、これ以外の期間に分かれている。
(アウト球数情報+大当り回数情報よる抽選確率変動:図60)
図60は、「アウト球数情報+大当り回数情報」による抽選モード管理処理4を示すフローチャートである。ここでは、アウト球数情報と大当り回数情報の複数の情報に基づき、出現率を変動させるケースを示す。本例では、アウト球数情報は、本日の電源投入時からの累計アウト球情報であり、大当り回数情報は、本日の電源投入時からの累計大当り回数情報である。
この抽選モード管理処理4では、まず、累計アウト球情報と累計大当り回数情報とを取得し、抽選モード変更契機であるか否かを判定する(S4101~S4103)。抽選モード変更契機であれば(S4103:YES)、可変抽選モード移行処理を行う(S4104)。
この可変抽選モード移行処理の基本的な内容は、図56のS4003の処理内容と、基本的には同じである。ここでは、変更契機として、「累計大当り回数20回未満、かつ累計アウト球数0~6000球」の場合には「MODE1」として可変抽選モードステータスに「01H(高確1)」をセットし、「累計大当り回数20回以上、または累計アウト球数24000球以上」の場合には「MODE2」として可変抽選モードステータスに「02H(高確2)」をセットする。これにより、設定示唆演出の出現率(抽選の基底)が高くなる。それ以外の場合は、可変抽選モードステータスに「00H(通常)」をセットし、抽選モードを通常に戻す。
(抽選モード優先順位)
ところで、上記のようにRTC情報、累計アウト球数、累計大当り回数、電源ON経過時間など、2種類以上の情報に基づき、出現率を変動させる場合は、変更契機とするタイミングが重複発生し、いずれの抽選モードに移行させるべきかという問題がある。詳述すれば、たとえば、RTC情報が特定日1(4月29日)の場合には、抽選モード2(高確2)に移行させるが、累計アウト球数が0~6000個の場合には抽選モード1(高確1)に移行させる場合、何ら条件を付さなければ、本日が4月29日であれば、常に抽選モード2(高確2)に滞在するにもかかわらず、電源投入時には累計アウト球数が0個のため、抽選モード1(高確1)に移行されてしまうという問題が生じる。そこで、いずれの情報を優先変更契機とするか、いずれの抽選モードを優先するかなどについての優先順位を、次の(A)(B)いずれかの方法で定める。
(A)複数の情報のうち、優先順位を付ける形態。たとえば、RTC情報、アウト球数、大当り回数を採用する形態であれば、「アウト球数<大当り回数<RTC情報」の順で優先順位を付ける。この例では、RTC情報が最優先とされる。
(B)現在の抽選モードを参照して、遊技者に有利なモードを優先する形態。
上記ケースの場合、RTC情報に基づけば高確2に移行するが累計アウト球数に基づくと高確1に移行する遊技期間にあるので、遊技者に有利となる高確2の方に移行させる。
(変更パターン例1:図61)
図61~図62に上記したような特定条件による抽選確率変動の例を示す。図61の変更パターン1は、抽選モード0~6に対応する(A)~(G)の7種類の可変抽選テーブルを持つ。図61において、(A)~(G)の備考欄に変更契機を示し、図示では、説明の便宜のために「可変抽選モード○用抽選テーブル」と表記する。ここでは、上述した「アウト球数情報+大当り回数情報」に基づく抽選モードを管理する構成で利用される可変抽選テーブルを例示してあり、ここでは、7種類の抽選モードを扱う形態を例示してある。たとえば、抽選モード0~7=通常、高確1~6である。
個々のテーブルは、設定1~6のそれぞれに対して設定示唆色(銅、銀、金、D柄、虹)の出現割合(出現率)を以て、設定値を示唆する内容を示している。このテーブルの値は常に一定ではなく、上述のように、累計アウト球数や累計大当り回数が変わると、それに応じて抽選モードが変更されて、出現割合が変化するようになっている。
図示から分かる通り、図61(A)~(E)に示す抽選モード0~4(通常、高確1~高確4)に対応する抽選テーブルまでは、大当り回数を20回未満に固定して、累計アウト球数が1~1000個、1001~6000個、6001~12000個、12001~24000個、24001個以上、というように段階的に徐々に増えて行った場合に、設定2~6(本例では、設定1はデフォルト色のみ現出)における設定示唆色(銅、銀、金、D柄、虹)の出現する割合も、徐々に増えて行く関係にあることを示す。また図61(E)~(F)に示す抽選モード5~6(高確5~高確6)に対応する抽選テーブルは、アウト球数を不問とし、大当り回数が21~30回、31回以上と増えた場合に設定2~6における設定示唆色(銅、銀、金、D柄、虹)の出現する割合が増えて行く関係を示した内容となっている。この変更パターン例1の場合、端的言えば、設定示唆演出が出現する割合が、高い抽選モードになるに従い、増えていくという内容となっている。
ここで、抽選モード4(高確4)と抽選モード5(高確5)とを比較した場合、出現率の関係は「高確5<高確4」となっているが、これは、変更契機として、抽選モード0~5(通常~高確5)の移行は、累計アウト球数かつ累計大当り回数という2種類の情報に基づく変更契機により行われ、抽選モード5~6(高確5~高確6)は、累計アウト球数によらず、実質、累計大当り回数の1種類の情報に基づく変更契機により行われる。そこで、変更契機を定める要素が大きく異なることを考慮し、抽選モード4(高確4)と抽選モード5(高確5)とで、出現率が逆転している。いずれにしても、抽選モード1~6(高確1~高確6)のそれぞれは、少なくとも抽選モード0(通常)よりも出現率が上昇する傾向を持たせてある。なお、抽選モード0~6を通じて合計0(出現率0%)の位置が変わらない。
(変更パターン例2:図62左側)
図62の変更パターン2Aは、図62の左側に示す通り、抽選モード0~3(通常~高確2)に対応する可変抽選テーブル(可変抽選モード0~3用抽選テーブル)を持つ。抽選モード0用はデフォルト(通常)、抽選モード1用は「大当り回数20回未満かつアウト球6000個」、抽選モード2用は「大当り回数20回以上かつアウト球24000個以上」の期間に対応する抽選テーブルとなっている。抽選モード0(通常)、1(高確1)、2(高確2)の順序で0%(「-」の欄)の配置が増えており、設定値の推測がし易い内容となっている。たとえば、抽選モード2(高確2)に滞在中に、本抽選テーブル対象の設定示唆演出(銀色以上)が出現するだけで設定3以上が確定し(設定1、2は出現率0%)、設定示唆演出が出現しない場合には設定5をほぼ否定(いずれかの色が出現する割合が90%のため)、設定6を完全否定(いずれかの色が出現する割合が100%のため)となる。
(変更パターン例3:図62右側)
図62の変更パターン2Bは、図62の右側に示す通り、抽選モード0~3(通常~高確2)に対応する可変抽選テーブル(可変抽選モード0~3用抽選テーブル)を持つ。各テーブルは図62の変更パターン2Aと同じ変更契機のものであるが、合計の値が、抽選モード0(通常)、1(高確1)、2(高確2)の順序で大きくなっている。特徴的な点は、抽選モードが高モードになるほど、“設定推測がし易い示唆色が出現しうる(示唆度合が高まる)”という点である。
図62から分かる通り、抽選モード1(高確1)では、設定2は銅色、設定3は銀色、設定4は金色、設定5はD柄、設定6は虹色が出現し易くなるという傾向を持たせてある。たとえば、銅色について、抽選モード0(通常)では設定2~6で一律3.2%の出現率であるが、抽選モード1(高確1)では銅色の出現率が、設定2は3.2%、設定2~6はその出現率が0.1%~0.2%と著しく低下し、設定3以上は、銅色が出ないモードとなる。特に高設定域(本例では、設定6)の低下率が著しくなる。また特徴的な点は、抽選モード1(高確1)と抽選モード0(通常)とで、各設定値で“出現率の合算自体は変化しない”(設定示唆演出自体の出現率は変化せず、デフォルトのまま)が、“設定推測要素となる特定の示唆色の出現率が高まり、他の示唆色がその分低くなっている点である。すなわち、設定示唆演出による設定値の「示唆度合い」が変更されることにより、“設定推測がし易い”という特殊な抽選モードとなる。たとえば、設定3の場合には、銀色の出現率が上昇した分、銅色の出現率が低下し「銀色」が出現し易くなり、設定4の場合には、金色の出現率が上昇した分、銅色の出現率が低下し(本例では銀色の出現率は変化しない)「金色」が出現しやすくなる、また、設定2の場合には「銅色」の出現率は変化しないが他の設定値の「銅色」の出現率が低下し、設定2の場合には他の設定値よりも「銅色」が出現し易くなる、という“設定値の示唆度合いが変化する”傾向を、抽選モードに応じて作り出すことができる。
また抽選モード2(高確2)では、設定1および2はデフォルト色、設定3は銀色、設定4は金色、設定5はD柄色、設定6は虹柄が出現し易くなるという傾向を持つ。また抽選モード2(高確2)に滞在中に、本抽選テーブル対象の設定示唆演出(銀色以上)が出現すれば設定3以上(中間設定域以上)が確定する。
(設定示唆演出の具体例:図63)
図63に、上記図61~図62の抽選テーブルを適用した場合の設定示唆演出の一例を示す。図63の(A)~(C)は、リーチ前期間(たとえば図45中のタイミング10~16)で現出しうる設定示唆演出を例示したもの、図63(D)~(F)は、リーチ後期間(たとえば図45中のタイミング17~25)で現出しうる設定示唆演出を例示したものである。本例では、いずれも図柄遊技中の設定示唆演出(変動中演出)である。
ここで例示する設定示唆演出は、特定のオブジェクト表示(宇宙人キャラ)に付された色種別(宇宙人キャラの体色種別)により設定示唆を行う。ただし、設定6確定示唆を行う場合は、祝福的な意味合いで、虹色に付された他のオブジェクト表示(未確認飛行物体キャラ)を現出させている。勿論、未確認飛行物体キャラではなく、同じ宇宙人キャラに虹色を付したものであってもよい。この設定示唆演出は、互いに異なる色彩および/または模様による表示態様種別により、設定値の違いを報知可能な設定示唆要素画像(宇宙人の体色)を含む演出態様である。ここでは、体色がグレーの場合がデフォルト(設定示唆無し)、銅色が設定2以上や、設定3~5を、銀色が設定3以上を、金色が設定4以上を、虹色が設定6確定を示唆するものとなっている。なお図63では、図柄遊技中に現出される設定示唆演出の例を説明したが、図柄遊技中以外のタイミングで現出される設定示唆演出、たとえば、大当り遊技中に現出しうる設定示唆演出06~08(大入賞口入賞音変化予告、終了インターバル画面変化、祝福あいボイスなど)、客待ち中に現出しうる設定示唆演出(ランキング表示のキャラクタ画像など)のいずれにも適用可能である。
以上に説明した全ての実施形態(各実施形態で説明した構成、変形例のすべてを含む)の1または複数を組合せた構成としてもよく、各実施形態において記載した内容は個別の実施形態のみに限定されるものではない。
以上に説明した各実施形態では、遊技媒体として遊技球を利用したパチンコ遊技機について説明したが、本発明の目的を達成できる遊技機であれば特に制限されない。たとえば、遊技媒体として遊技メダルを利用する遊技機や、電磁気的記録を利用した遊技媒体を利用した遊技機(いわゆる「管理式遊技機」)や、回胴式遊技機などであってもよい。