本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による無線通信システムの概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による無線通信システム10は、基地局1と、複数の端末装置2とを備える。
基地局1および複数の端末装置2は、無線通信空間に配置される。図1において、波源Sは、既に周波数帯域が割り当てられている1次利用者であり、例えば、レーダおよび放送局等からなる。基地局1および複数の端末装置2は、2次利用者である。端末装置2は、例えば、スマートフォン等の携帯端末である。
基地局1は、複数の端末装置2の各々における位置情報、周波数帯域、送信電力および受信電力を含むMeasurement Report(「端末情報」と言う。)を各端末装置2から受信する。
基地局1は、GPS(Global Positioning System)によって自己の位置を検出する。また、基地局1は、電波を送信したときの送信電力Ptbおよび送信アンテナ利得gbを検出する。更に、基地局1は、電波を受信したときの受信電力Rbを検出する。そして、基地局1は、自己の位置を示す位置情報(xb,yb)、送信電力Ptb、送信アンテナ利得gb、受信電力Rbおよび複数の端末情報に基づいて、後述する方法によって、1次利用者の無線通信と2次利用者の無線通信との干渉を回避するように2次利用者の無線通信の通信条件を調停し、その調停した無線通信の通信条件を複数の端末装置2へ送信する。
複数の端末装置2の各々は、定期的に、GPSによって自己の位置を示す位置情報[xi,yi](iは、正の整数)を検出し、電波を受信したときの受信電力RSSIiおよび電波を送信したときの送信電力Ptiを検出するとともに受信電力RSSIiおよび送信電力Ptiを検出したときの時刻tiを検出する。また、複数の端末装置2の各々は、1次利用者と共用する周波数帯域BWiを検出する。
位置情報[xi,yi]のxiは、経度を表し、yiは、緯度を表す。時刻tiは、YYYY/MM/DD/h/m/sによって表される。
複数の端末装置2の各々は、自己の識別情報IDi、位置情報[xi,yi]、受信電力RSSIi、送信電力Pti、周波数帯域BWiおよび時刻tiを含む端末情報INFO_i=[IDi/[xi,yi]/RSSIi/Pti/BWi/ti]を生成し、その生成した端末情報INFO_i=[IDi/[xi,yi]/RSSIi/Pti/BWi/ti]を基地局1へ送信する。
複数の端末装置2の各々は、基地局1によって調停された通信条件を基地局1から受信する。そして、複数の端末装置2の各々は、その受信した通信条件に基づいて、基地局1または他の端末装置と無線通信を行う。
図2は、図1に示す基地局1内に配置される通信調停装置の概略図である。基地局1は、図2に示す通信調停装置11を含む。図2を参照して、通信調停装置11は、受信手段111と、記憶手段112と、推定手段113と、決定手段114と、送信手段115とを含む。
受信手段111は、タイマーを内蔵している。受信手段111は、基地局1のホストシステムから端末情報INFO_i、基地局1の識別情報IDb、送信電力Ptb、送信アンテナ利得gb、受信電力Rbおよび位置情報(xb,yb)を受信し、これらを受信したときの時刻tbを検出する。
そして、受信手段111は、その受信した端末情報INFO_iを記憶手段112に格納する。また、受信手段111は、基地局1の識別情報IDb、送信電力Ptb、送信アンテナ利得gb、受信電力Rb、位置情報(xb,yb)および時刻tbを相互に対応付けた基地局情報INFO_b=[IDb/[xb,yb]/Ptb/gb/Rb/tb]を記憶手段112に格納する。
記憶手段112は、受信手段111から受けた端末情報INFO_iおよび基地局情報INFO_bを記憶する。
推定手段113は、記憶手段112に記憶された端末情報INFO_iおよび基地局情報INFO_bに基づいて、後述する方法によって、1次利用者から送信された電波の到達範囲COVG1、基地局1から送信された電波の到達範囲COVG2および1次利用者の位置を示す位置情報(xG,yG)を推定する。そして、推定手段113は、その推定した電波の到達範囲COVG1,COVG2を決定手段114へ出力し、位置情報(xG,yG)を記憶手段112に格納する。
決定手段114は、電波の到達範囲COVG1,COVG2を推定手段113から受ける。そして、決定手段114は、電波の到達範囲COVG1,COVG2、記憶手段112に記憶された端末情報INFO_iおよび位置情報(xb,yb),(xG,yG)に基づいて、後述する方法によって、端末送信許可領域TALWRGを決定する。この端末送信許可領域TALWRGは、端末装置2から送信される電波の到達範囲が基地局1の位置を含むとともに電波の到達範囲COVG1外または電波の到達範囲COVG2内になる領域であり、かつ、端末装置2が1次利用者および2次利用者(基地局1および複数の端末装置2)が共用する共用周波数で電波を送信することを許可された領域である。
決定手段114は、端末送信許可領域TALWRGを決定すると、その決定した端末送信許可領域TALWRGに基づいて複数の端末装置2の通信条件を生成して送信手段115へ出力する。
送信手段115は、複数の端末装置2の通信条件を決定手段114から受け、その受けた通信条件を複数の端末装置2へ送信する。
図3は、図1に示す端末装置2の概略図である。図3を参照して、端末装置2は、アンテナ21と、受信手段22と、記憶手段23と、GPS受信機24と、制御手段25と、送信手段26とを備える。
受信手段22は、アンテナ21を介して電波を受信し、電波を受信したときの受信電力RSSIiを検出する。また、受信手段22は、周波数帯域BWiを検出する。更に、受信手段22は、タイマーを内蔵しており、受信電力RSSIiおよび周波数帯域BWiを検出したときの時刻tiを検出する。そして、受信手段22は、時刻ti、受信電力RSSIiおよび周波数帯域BWiを相互に対応付けて記憶手段23に格納する。
受信手段22は、アンテナ21を介して通信条件を受信し、その受信した通信条件を記憶手段23に格納する。
記憶手段23は、時刻ti、受信電力RSSIiおよび周波数帯域BWiを受信手段22から受け、その受けた時刻ti、受信電力RSSIiおよび周波数帯域BWiを相互に対応付けて記憶する。また、記憶手段23は、通信条件を受信手段22から受け、その受けた通信条件を記憶する。
GPS受信機24は、GPS信号を受信し、その受信したGPS信号に基づいて、経度および緯度を検出する。そして、GPS受信機24は、その検出した経度および緯度を位置情報(xi,yi)として時刻ti、受信電力RSSIiおよび周波数帯域BWiに対応付けて記憶手段23に格納する。
制御手段25は、端末装置2の識別情報IDiを保持している。また、制御手段25は、端末装置2が電波を送信するときの送信電力Ptiを決定し、その決定した送信電力Ptiを送信手段26へ出力する。そして、制御手段25は、送信電力Ptiを送信手段26へ出力すると、送信電力Ptiを時刻ti、位置情報(xi,yi)、受信電力RSSIiおよび周波数帯域BWiに対応付けて記憶手段23に格納する。
制御手段25は、タイマーを内蔵しており、タイマーを参照して一定期間が経過したことを検知すると、時刻ti、位置情報(xi,yi)、送信電力Pti、受信電力RSSIiおよび周波数帯域BWiを記憶手段23から読み出す。そして、制御手段25は、時刻ti、位置情報(xi,yi)、送信電力Pti、受信電力RSSIiおよび周波数帯域BWiと、識別情報IDiとを含む端末情報INFO_i=[IDi/[xi,yi]/RSSIi/Pti/BWi/ti]を生成する。そして、制御手段25は、その生成した端末装置INFO_iを送信手段26へ出力する。
また、制御手段25は、アプリケーションから送信信号を受けると、通信条件を記憶手段23から読み出す。そして、制御手段25は、通信条件に基づいて、自己が搭載された端末装置2による電波の送信が停止されているか否かを判定する。
自己が搭載された端末装置2による電波の送信が停止されていないと判定したとき、制御手段25は、通信条件に含まれる通信許可内容に従って端末装置2の無線通信を制御する。
一方、自己が搭載された端末装置2による電波の送信が停止されていると判定したとき、制御手段25は、アプリケーションから受けた送信信号の送信を停止する。
送信手段26は、送信電力Ptiおよび送信信号を制御手段25から受ける。送信手段26は、送信信号を制御手段25から受けると、送信信号を送信電力Ptiでアンテナ21を介して基地局1(または他の端末装置)へ送信する。
また、送信手段26は、端末情報INFO_iを制御手段25から受けると、その受けた端末情報INFO_iを送信電力Ptiでアンテナ21を介して基地局1へ送信する。
通信調停装置11における1次利用者の電波の到達範囲COVG1および基地局1の電波の到達範囲COVG2を推定する方法について説明する。推定手段113は、複数の端末情報INFO_iを記憶手段112から読み出し、その読み出した複数の端末情報INFO_iに含まれる複数の位置情報[xi,yi]および複数の受信電力RSSIiに基づいて波源位置を推定する。
波源位置の推定方法について説明する。
推定手段113は、次式によって、複数の端末装置2の重心[xG,yG]を算出する。
式(1)において、wiは、i番目の端末装置(複数の端末装置2のいずれか)のウェイトを表し、i番目の端末装置における受信電力RSSIiからなる。
そして、推定手段113は、式(1)によって演算した重心(xG,yG)を波源位置として推定する。即ち、推定手段113は、受信電力RSSIiによって重み付けされた複数の端末装置2の重心[xG,yG]を波源位置(1次利用者Sの位置)として推定する。
図4は、受信電力と波源からの距離との関係を示す図である。図4において、縦軸は、受信電力を表し、横軸は、波源Sからの距離を表す。
図4を参照して、受信電力RSSIiは、波源Sからの距離に反比例して減衰する。その結果、受信電力RSSIiは、波源Sに近づくほど大きくなるので、波源Sの近傍の方が受信電力RSSIiによる重み付けの効果が大きい。従って、重心[xG,yG]を波源位置とする推定法によって推定された推定値は、波源近傍に近づく。
推定手段113は、波源位置[xG,yG]を推定すると、その推定した波源位置[xG,yG]を用いて1次利用者の電波の到達範囲COVG1を推定する。より具体的には、推定手段113は、1次利用者から送信された電波の受信電力がある値(設定値)以下となる最大半径を1次利用者の電波の到達範囲COVG1として推定する。設定値は、許容干渉電力および干渉マージン等を考慮して設定される。推定手段113は、記憶手段112に記憶された複数の端末情報INFO_iに含まれる複数の受信電力RSSIiのうち、設定値以下となる受信電力RSSIi_lowを検出し、その検出した受信電力RSSIi_lowを有する端末装置(複数の端末装置2のうちの少なくとも1つ)の位置と、波源位置[xG,yG]との距離を演算し、その演算した距離の最大値を1次利用者Sの電波の到達範囲COVG1として推定する。
また、推定手段113は、1次利用者の送信電力が既知である場合、電波の伝搬モデルを用いて1次利用者の電波の到達範囲COVG1を推定する。例えば、推定手段113は、電波の伝搬モデルとして自由空間伝搬モデルを用いる場合、次式に基づいて距離dprimaryを演算し、その演算した距離dprimaryを1次利用者の電波の到達範囲COVG1として推定する。
式(2)において、PTは、1次利用者の送信電力であり、PRは、端末装置(複数の端末装置2のいずれか)の受信電力RSSIiであり、λは、電波の波長である。なお、式(2)は、等方性アンテナを用いたときの関係式である。
推定手段113は、複数の端末情報INFO_iに含まれる複数の受信電力RSSIiと1次利用者の送信電力と波長とをそれぞれ式(2)のPR,PT,λに代入し、複数の距離dprimaryを演算し、その演算した複数の距離dprimaryのうちの最大の距離を1次利用者の電波の到達範囲COVG1として推定する。
図5は、1次利用者の電波の到達範囲COVG1の推定結果を示す表の概念図である。図5を参照して、表TBL-1は、1次利用者IDと、時刻と、帯域幅と、経度と、緯度と、半径とを含む。1次利用者ID、時刻、帯域幅、経度、緯度および半径は、相互に対応付けられる。
推定手段113は、1次利用者の電波の到達範囲COVG1の推定に用いた端末装置(複数の端末装置2のいずれか)の端末情報INFO_i=[IDi/[xi,yi]/RSSIi/Pti/BWi/ti]を記憶手段112から読み出し、その読み出した端末情報INFO_i=[IDi/[xi,yi]/RSSIi/Pti/BWi/ti]から時刻tiおよび帯域幅BWiを検出し、その検出した時刻tiおよび帯域幅BWiをそれぞれ表TBL-1の時刻および帯域幅に格納する。
また、推定手段113は、1次利用者IDを表TBL-1の1次利用者IDに格納し、推定した波源位置[xG,yG]を表TBL-1の経度および緯度に格納し、推定した1次利用者の電波の到達範囲COVG1(複数の距離dprimaryのうちの最大の距離)を表TBL-1の半径に格納する。
推定手段113は、全ての1次利用者について上記の処理を行い、表TBL-1を作成し、その作成した表TBL-1を記憶手段112に格納する。
推定手段113は、基地局情報INFO_b=[IDb/[xb,yb]/Ptb/gb/Rb/tb]を記憶手段112から読み出し、その読み出した基地局情報INFO_b=[IDb/[xb,yb]/Ptb/gb/Rb/tb]から送信電力Ptb、送信アンテナ利得gbおよび位置情報[xb,yb](=経度、緯度)を検出する。また、推定手段113は、端末情報INFO_i=[IDi/[xi,yi]/RSSIi/Pti/BWi/ti]を記憶手段112から読み出し、その読み出した端末情報INFO_i=[IDi/[xi,yi]/RSSIi/Pti/BWi/ti]から受信電力RSSIiを検出する。
そして、推定手段113は、送信電力Ptb、送信アンテナ利得gbおよび受信電力RSSIi(=Ri)を次式に代入して、基地局1から送信された電波の受信電力RSSIiが設定値になる距離rを演算する。
式(3)において、Ptbは、基地局1の送信電力を表し、gbは、基地局1の送信アンテナ利得を表し、rは、基地局1からの距離を表し、λは、電波の波長を表す。
そして、推定手段113は、その演算した距離rを2次利用者(基地局1)の電波の到達範囲COVG2を表す半径とする。
図6は、2次利用者(基地局1)の電波の到達範囲COVG2の推定結果を示す表の概略図である。図6を参照して、表TBL-2は、基地局情報と端末装置情報とを含む。基地局情報および端末装置情報は、相互に対応付けられる。
基地局情報は、識別情報と、半径と、経度と、緯度とを含む。半径、経度および緯度は、相互に対応付けられる。
端末装置情報は、識別情報と、帯域幅と、送信電力と、経度と、緯度とを含む。識別情報、帯域幅、送信電力、経度および緯度は、相互に対応付けられる。
推定手段113は、基地局情報INFO_b=[IDb/[xb,yb]/Ptb/gb/Rb/tb]を記憶手段112から読み出し、その読み出した基地局情報INFO_b=[IDb/[xb,yb]/Ptb/gb/Rb/tb]から識別情報IDbおよび位置情報[xb,yb]を検出する。そして、推定手段113は、識別情報IDbを基地局情報の識別情報に格納し、位置情報[xb,yb]のxb,ybを基地局情報のそれぞれ経度および緯度に格納する。また、推定手段113は、記憶手段112から電波の到達範囲COVG2を読み出し、その読み出した電波の到達範囲COVG2を基地局情報の半径に格納する。
更に、推定手段113は、端末情報INFO_i=[IDi/[xi,yi]/RSSIi/Pti/BWi/ti]を記憶手段112から読み出し、その読み出した端末情報INFO_i=[IDi/[xi,yi]/RSSIi/Pti/BWi/ti]から識別情報IDi、帯域幅BWi、送信電力Ptiおよび位置情報[xi,yi]を検出する。そして、推定手段113は、識別情報IDi、帯域幅BWiおよび送信電力Ptiをそれぞれ端末装置情報の識別情報、帯域幅および送信電力に格納し、位置情報[xi,yi]のxi,yiをそれぞれ端末装置情報の経度および緯度に格納する。
表TBL-2においては、識別情報IDi=11,12,・・・を有する複数の端末装置2が識別情報IDb=2を有する基地局に対応付けられており、識別情報IDi=21,22,・・・を有する複数の端末装置2が識別情報IDb=3を有する基地局に対応付けられている。そして、識別情報IDb=2を有する基地局に対応付けられた複数の端末装置2(識別情報IDi=11,12,・・・を有する複数の端末装置)は、識別情報IDb=2を有する基地局の電波の到達範囲COVG2内に存在する端末装置であり、識別情報IDb=3を有する基地局に対応付けられた複数の端末装置2(識別情報IDi=21,22,・・・を有する複数の端末装置)は、識別情報IDb=3を有する基地局の電波の到達範囲COVG2内に存在する端末装置である。
このように、表TBL-2においては、少なくとも1つの端末装置2が1つの基地局に対応付けられる。
なお、表TBL-2が複数の基地局情報を含むのは、基地局1が他の基地局から端末情報INFO_iを受信する場合であり、基地局1が他の基地局から端末情報INFO_iを受信しない場合、表TBL-2は、1つの基地局情報を含む。
推定手段113は、上述した方法によって表TBL-2を作成し、その作成した表TBL-2を記憶手段112に格納する。
端末送信許可領域TALWRGを決定する方法について説明する。図7は、端末送信許可領域TALWRGを決定する方法を説明するための図である。
図7を参照して、1次利用者Sの電波の到達範囲COVG1および2次利用者(基地局1)の電波の到達範囲COVG2は、例えば、円形形状を有する。そして、1次利用者Sの電波の到達範囲COVG1は、2次利用者(基地局1)の電波の到達範囲COVG2と離れている。即ち、電波の到達範囲COVG1の半径RCOVG1と2次利用者(基地局1)の電波の到達範囲COVG2の半径RCOVG2との和RCOVG1+RCOVG2は、1次利用者Sの位置と2次利用者(基地局1)の位置との距離dS-bよりも小さい。
このような状況においては、2次利用者(基地局1)の電波の到達範囲COVG2内に存在する端末装置2(2a),2(2b)は、1次利用者Sから送信された電波を受信できないので、2次利用者の基地局1は、1次利用者Sに関する情報を取得できない。即ち、2次利用者の基地局1は、1次利用者Sを認識できない。
そこで、通信調停装置1の決定手段114は、電波の到達範囲COVG2内に存在する端末装置2(2a),2(2b)が送信した電波の到達範囲が電波の到達範囲COVG2内になるように端末送信許可領域TALWRGを決定する。
より具体的には、決定手段114は、次の方法によって端末送信許可領域TALWRGを決定する。図8は、伝搬特性を示す図である。図8において、縦軸は、伝搬損失を表し、横軸は、電波の送信元からの距離を表す。
決定手段114は、基地局1の送信電力Ptbおよび位置情報[xb,yb]と、端末装置2の受信電力RSSIiおよび位置情報[xi,yi]とを記憶手段112から読み出す。
そして、決定手段14は、Ptb-RSSIi=LLOSを演算することによって伝搬損失LLOSを求める。その後、決定手段114は、その求めた伝搬損失LLOSに適合する伝搬モデルを決定する。より具体的には、決定手段114は、基地局1の送信電力Ptbおよび位置情報[xb,yb]と、複数の端末装置2の複数の受信電力RSSIiおよび複数の位置情報[xi,yi]とに基づいて、複数の伝搬損失LLOSと、基地局1と複数の端末装置2との複数の距離とを求め、複数の伝搬損失LLOSと複数の距離とを伝搬損失と距離との関係としてプロットする。そして、決定手段114は、そのプロットした点(図8の白丸参照)にフィッティングする伝搬特性k1(伝搬損失と距離との関係を示す特性)を求める。そうすると、決定手段114は、伝搬特性k1に対応する伝搬モデルを伝搬損失LLOSに適合する伝搬モデルとして決定する。
ここでは、決定手段114は、伝搬損失LLOSに適合する伝搬モデルとして、例えば、送信元からの距離が1000m以内のShort Rangeの伝搬モデルを決定するものとする。
Short Rangeの伝搬モデルにおいて、伝搬損失LLOSは、次式によって表される。
式(4)において、fは、周波数であり、dは、送信元からの距離[m]である。
その後、決定手段114は、1次利用者Sと共用する共用周波数を式(4)の周波数fに代入して伝搬特性k2を求める。
引き続いて、決定手段114は、端末装置2の送信電力Ptiと、電波の到達範囲COVG2を決定したときの受信電力RSSIiとの差Pti-RSSIiを伝搬損失LLOSとして求め、その求めた伝搬損失LLOSに対応する距離dARV_j(jは、1~Jの整数であり、Jは、送信電力の総数である)を伝搬特性k2に基づいて求める。この距離dARV_jは、端末装置2から送信された電波の到達距離である。
端末装置2の送信電力Ptiとして、14[dBm]、17[dBm]、20[dBm]および23[dBm]のいずれかを用いることによって、4個の距離dARV_1~dARV_4がそれぞれ14[dBm]、17[dBm]、20[dBm]および23[dBm]の送信電力Ptiに対応して求められる。
図9は、端末送信許可領域TALWRGを決定する方法を説明するための別の図である。図9を参照して、決定手段114は、位置情報[xb,yb],[xi,yi]に基づいて基地局1と端末装置2との距離db-t={(xb-xi)2+(yb-yi)2}1/2を求め、基地局1から端末装置2への方向において、端末装置2からの距離が距離dARV_jである点Pを求める。図9に示す円CIRは、端末装置2の位置(位置情報[xi,yi]によって表される位置)を中心とし、距離dARV_jを半径とする円であり、端末装置2から送信された電波の到達範囲を表す。
そして、決定手段114は、db-t≦dARV_jが成立するか否かを判定する。db-t≦dARV_jが成立しないとき、決定手段114は、距離dARV_jを破棄する。一方、db-t≦dARV_jが成立するとき、決定手段114は、db-t+dARV_j≦(電波の到達範囲COVG2の半径RCOVG2)が成立するか否かを更に判定する。
db-t+dARV_j≦(電波の到達範囲COVG2の半径RCOVG2)が成立するとき、決定手段114は、端末装置2の位置(位置情報[xi,yi]によって表される位置)を端末送信許可領域TALWRGを決定するための位置として距離dARV_jを保持する。一方、db-t+dARV_j≦(電波の到達範囲COVG2の半径RCOVG2)が成立しないとき、決定手段114は、端末装置2の位置(位置情報[xi,yi]によって表される位置)を端末送信許可領域TALWRGを決定するための位置ではないとして距離dARV_jを破棄する。
なお、db-t≦dARV_jであることが条件になるのは、db-t≦dARV_jが満たされないと、端末装置2から送信された電波が基地局1に到達しないからである。
決定手段114は、上記の処理を送信電力Ptiの全てについて実行し、db-t≦dARV_jおよびdb-t+dARV_j≦(電波の到達範囲COVG2の半径RCOVG2)の両方が成立する距離dARV_j’(j’は、1≦j’≦Jを満たす整数)を保持する。そして、決定手段114は、その保持した距離dARV_j’のうちの最大の距離dARV_j’_maxを求める。
端末装置2の総数をI(Iは、整数)個とした場合、決定手段114は、電波の到達範囲COVG2内に存在するI個の端末装置2_1~2_Iの全てについて最大の距離dARV_j’_max_2_1~dARV_j’_max_2_Iを求め、その求めた最大の距離dARV_j’_max_2_1~dARV_j’_max_2_Iのうちの最大値dARV_j’_MAXを求める。
そうすると、決定手段114は、基地局1の位置を中心とし、その求めた最大値dARV_j’_MAXを有する端末装置2と基地局1との距離を半径とする円によって囲まれた領域を端末送信許可領域TALWRGとして決定する(図7参照)。
このように、1次利用者Sに関する情報を取得できないとき、決定手段114は、電波の到達範囲COVG2内に存在する端末装置2(2a),2(2b)によって送信された電波の到達範囲が電波の到達範囲COVG2内になるように端末送信許可領域TALWRGを決定する。
そして、端末送信許可領域TALWRG内に存在する端末装置2(2b)は、共用周波数で基地局1と電波を送受信することができる。
一方、電波の到達範囲COVG2内のうち、端末送信許可領域TALWRG外に存在する端末装置2(2a)は、共用周波数で基地局1からの電波を受信できるが、共用周波数で基地局1へ電波を送信できない。端末装置2(2a)が共用周波数で電波を送信すると、基地局1が認識できない1次利用者Sと干渉する恐れがあるからである。
従って、端末送信許可領域TALWRGを決定することは、端末装置2が共用周波数で基地局1と電波を送受信できる領域(=端末送信許可領域TALWRG)と、端末装置2が共用周波数で基地局1からの電波を受信できるが基地局1へ電波を送信できない領域(電波の到達範囲COVG2内のうち、端末送信許可領域TALWRG外の領域)とを決定することに相当する。
図10は、端末送信許可領域TALWRGを決定する別の方法を説明するための図である。図10を参照して、基地局1は、他の基地局との連携によって1次利用者Sを認識している。即ち、基地局1は、1次利用者Sの位置(位置情報[xG,yG]によって表される位置)および電波の到達範囲COVG1を認識している。そして、領域REG1は、端末装置2から送信された電波の到達範囲である。また、電波の到達範囲COVG1を規定する円は、電波の到達範囲COVG2を規定する円と交差しておらず、接してもいないので、1次利用者Sと2次利用者(基地局1)とは、干渉していない。
このような状況においては、決定手段114は、端末装置2から送信された電波の到達範囲が1次利用者Sの電波の到達範囲COVG1外になるように端末送信距離許可領域TALWRGを決定する。
決定手段114は、図7から図9において説明した方法によって、距離dARV_jを求める。そして、決定手段114は、1次利用者Sと基地局1との距離dS-bを求める。
そして、決定手段114は、図7~図9において説明したようにdb-t≦dARV_jが成立するか否かを判定する。
db-t≦dARV_jが成立しないとき、決定手段114は、距離dARVを破棄する。一方、db-t≦dARV_jが成立するとき、決定手段114は、dS-b-RCOVG1>db-t+dARV_j>RCOVG2が成立するか否かを更に判定する。
1次利用者Sと基地局1とを結ぶ直線上において、半径RCOVG1は、1次利用者Sの位置と電波の到達範囲COVG1を規定する円との距離を表し、db-t+dARV_jは、基地局1の位置と端末装置2から送信された電波の到達範囲REG1を規定する円との距離を表す。その結果、距離dS-bから半径RCOVG1を減算した減算結果(=dS-b-RCOVG1)がdb-t+dARV_jよりも大きければ(即ち、dS-b-RCOVG1>db-t+dARV_jが成立すれば)、電波の到達範囲COVG1を規定する円は、電波の到達範囲REG1を規定する円と接することも交差することもない。また、1次利用者Sと2次利用者(基地局1)とが干渉しないとき、dS-b-RCOVG1>RCOVG2が成立する。その結果、端末装置2から送信された電波の到達範囲REG1は、1次利用者Sの電波の到達範囲COVG1外になる。従って、決定手段114は、dS-b-RCOVG1>db-t+dARV_j>RCOVG2が成立するか否かを判定する。
dS-b-RCOVG1>db-t+dARV_j>RCOVG2が成立するとき、決定手段114は、端末装置2の位置(位置情報[xi,yi]によって表される位置)を端末送信許可領域TALWRGを決定するための位置として距離dARV_jを保持する。一方、dS-b-RCOVG1>db-t+dARV_j>RCOVG2が成立しないとき、決定手段114は、端末装置2の位置(位置情報[xi,yi]によって表される位置)を端末送信許可領域TALWRGを決定するための位置ではないとして距離dARV_jを破棄する。
決定手段114は、上記の処理を送信電力Ptiの全てについて実行し、db-t≦dARV_jおよびdS-b-RCOVG1>db-t+dARV_j>RCOVG2の両方が成立する距離dARV_j’を保持する。そして、決定手段114は、その保持した距離dARV_j’のうちの最大の距離dARV_j’_maxを求める。
その後、決定手段114は、電波の到達範囲COVG2内に存在するI個の端末装置2_1~2_Iの全てについて最大の距離dARV_j’_max_2_1~dARV_j’_max_2_Iを求め、その求めた最大の距離dARV_j’_max_2_1~dARV_j’_max_2_Iのうちの最大値dARV_j’_MAXを求める。
そうすると、決定手段114は、基地局1の位置を中心とし、その求めた最大値dARV_j’_MAXを有する端末装置2と基地局1との距離を半径とする円によって囲まれた領域を端末送信許可領域TALWRGとして決定する(図10参照)。
このように、1次利用者Sを認識できるとき、決定手段114は、端末装置2から送信された電波の到達範囲が1次利用者Sの電波の到達範囲COVG1外になるように端末送信距離許可領域TALWRGを決定する。
端末送信許可領域TALWRG内においては、端末装置2は、共用周波数で基地局1と電波を送受信できる。
一方、電波の到達範囲COVG2内のうち、端末送信許可領域TALWRG外の領域(図10の斜線部分)に存在する端末装置2は、共用周波数で基地局1からの電波を受信できるが、共用周波数で基地局1へ電波を送信できない。端末装置2が共用周波数で電波を送信すると、1次利用者Sと干渉する恐れがあるからである。
従って、図10に示す方法によって端末送信許可領域TALWRGを決定することは、端末装置2が基地局1と共用周波数で電波を送受信できる領域(=端末送信許可領域TALWRG)と、端末装置2が共用周波数で基地局1からの電波を受信できるが基地局1へ電波を送信できない領域(電波の到達範囲COVG2内のうち、端末送信許可領域TALWRG外の領域)とを決定することに相当する。
なお、電波の到達範囲COVG2内のうち、端末送信許可領域TALWRG外の領域(図10の斜線部分)に存在する端末装置2は、共用周波数以外の周波数で電波を基地局1へ送信してもよく、基地局1の方向に指向性を有する電波を共用周波数で基地局1へ送信してもよい。
図11は、端末送信許可領域TALWRGを決定する更に別の方法を説明するための図である。図11を参照して、基地局1は、他の基地局との連携によって1次利用者Sの位置(位置情報[xG,yG]によって表される位置)および電波の到達範囲COVG1を認識している。そして、電波の到達範囲COVG2の一部は、電波の到達範囲COVG1の一部と重複し、1次利用者Sと2次利用者(基地局1)とが干渉している。
このような状況においては、決定手段114は、端末装置2から送信された電波の到達範囲が1次利用者Sの電波の到達範囲COVG1外になるように端末送信距離許可領域TALWRGを決定する。
より具体的には、決定手段114は、図7から図9において説明した方法によって、距離dARV_jを求める。そして、決定手段114は、1次利用者Sと基地局1との距離dS-bを求める。
そして、端末装置2から送信された電波の到達範囲が電波の到達範囲COVG1外になるには、上述したように、dS-b-RCOVG1>db-t+dARV_jが成立する必要がある。また、1次利用者Sと2次利用者(基地局1)とが干渉する場合には、dS-b-RCOVG1≦RCOVG2が成立する。
従って、決定手段114は、db-t+dARV_j<dS-b-RCOVG1≦RCOVG2、およびdb-t≦dARV_jの両方が成立するか否かを判定する。
決定手段114は、db-t+dARV_j<dS-b-RCOVG1≦RCOVG2、およびdb-t≦dARV_jの両方が成立すると判定したとき、端末装置2の位置(位置情報[xi,yi]によって表される位置)を端末送信許可領域TALWRGを決定するための位置として距離dARV_jを保持する。
一方、決定手段114は、db-t+dARV_j<dS-b-RCOVG1≦RCOVG2、およびdb-t≦dARV_jのうちの少なくとも一方が成立しないと判定したとき、端末装置2の位置(位置情報[xi,yi]によって表される位置)を端末送信許可領域TALWRGを決定するための位置ではないとして距離dARV_jを破棄する。
決定手段114は、この処理を送信電力Pti(14[dBm]、17[dBm]、20[dBm]および23[dBm])の全てについて実行し、db-t+dARV_j<dS-b-RCOVG1≦RCOVG2、およびdb-t≦dARV_jの両方が成立する最大の距離dARV_j’_maxを求める。
その後、決定手段114は、電波の到達範囲COVG2内に存在するI個の端末装置2について最大の距離dARV_j’_max_2_1~dARV_j’_max_2_Iを求め、その求めた最大の距離dARV_j’_max_2_1~dARV_j’_max_2_Iのうちの最大値dARV_j’_MAXを求める。
そうすると、決定手段114は、基地局1の位置を中心とし、その求めた最大値dARV_j’_MAXを有する端末装置2と基地局1との距離を半径とする円によって囲まれた領域を端末送信許可領域TALWRGとして決定する(図11参照)。
このように、1次利用者Sを認識でき、1次利用者Sと2次利用者(基地局1)が干渉するとき、決定手段114は、端末装置2から送信された電波の到達範囲が1次利用者Sの電波の到達範囲COVG1外になるように端末送信距離許可領域TALWRGを決定する。
端末送信許可領域TALWRG内においては、端末装置2は、共用周波数で基地局1および/または他の端末装置2へ電波を送信することができるが(図11の(a),(b)参照)、共用周波数で基地局1からの電波を受信できない。基地局1からの電波が端末送信許可領域TALWRG外へ到達する可能性があり、1次利用者Sと干渉するからである。
一方、電波の到達範囲COVG2内のうち、端末送信許可領域TALWRG外に存在する端末装置2は、共用周波数で基地局1および他の端末装置2と電波を送受信できない。1次利用者Sと干渉する恐れがあるからである。
従って、図11に示す方法によって端末送信許可領域TALWRGを決定することは、端末装置2が共用周波数で基地局1および/または他の端末装置2と電波を送受信できる領域(=端末送信許可領域TALWRG)と、端末装置2が共用周波数で基地局1および他の端末装置2と電波を送受信できない領域(電波の到達範囲COVG2内のうち、端末送信許可領域TALWRG外の領域)とを決定することに相当する。
図12は、端末装置2の通信許可内容と符号との対応関係を示す図である。なお、図12に示す通信許可内容は、共用周波数を用いるときの通信許可内容である。
図12を参照して、表TBL-3は、符号と通信許可内容とを含む。符号および通信許可内容は、相互に対応付けられる。“00”の符号は、「基地局と電波を送受信」の通信許可内容に対応付けられ、“01”の符号は、「基地局からの電波を受信」の通信許可内容に対応付けられ、“10”の符号は、「基地局へ電波を送信」の通信許可内容に対応付けられ、“11”の符号は、「他の端末装置と電波を送受信」の通信許可内容に対応付けられる。なお、端末装置2の記憶手段23は、表TBL-3を記憶している。
図13は、端末装置2の通信条件を示す図である。図13を参照して、通信条件CMCDは、識別情報IDと、停止信号と、通信許可内容と、送信電力とを含む。識別情報ID、停止信号、通信許可内容および送信電力は、相互に対応付けられる。識別情報IDは、端末装置2の識別情報を表す。停止信号は、電波の送信を停止するとき、“1”で表され、電波の送信を停止しないとき、“0”で表される。通信許可内容は、停止信号が“1”からなるとき、何も格納されない。また、通信許可内容は、停止信号が“0”からなるとき、“00”,“01”,“10”および“11”のいずれかからなる。送信電力は、停止信号が“1”からなるとき、何も格納されない。また、送信電力は、停止信号が“0”からなるとき、上述した距離dARV_j’_MAXが得られるときの送信電力が格納される。即ち、決定手段114は、端末送信許可領域TALWRGの決定に用いた端末装置2の送信電力を端末送信許可領域TALWRGにおける端末装置2の送信電力として決定し、通信条件CMCDの送信電力に格納する。
図13においては、識別情報ID=1を有する端末装置は、停止信号が“1”からなり、電波の送信を停止されている。識別情報ID=2の端末装置は、停止信号が“0”からなり、通信許可内容が“00”からなり、送信電力が17[dBm]からなる。その結果、識別情報ID=2の端末装置は、17[dBm]の送信電力で基地局へ電波を送信し、基地局から電波を受信することが許可されている。識別情報ID=3の端末装置は、停止信号が“0”からなり、通信許可内容が“10”からなり、送信電力が23[dBm]からなる。その結果、識別情報ID=3の端末装置は、23[dBm]の送信電力で基地局へ電波を送信することが許可されている。
通信調停装置11の決定手段114は、図7に示す端末送信許可領域TALWRGを決定すると、その決定した端末送信許可領域TALWRG内に存在する端末装置2(2b)に対しては、“00”からなる通信許可内容を付与し、電波の到達範囲COVG2内のうち、端末送信許可領域TALWRG外に存在する端末装置2(2a)に対しては、“01” からなる通信許可内容を付与する。
また、決定手段114は、図10に示す端末送信許可領域TALWRGを決定すると、その決定した端末送信許可領域TALWRG内に存在する端末装置2に対しては、“00”からなる通信許可内容を付与し、電波の到達範囲COVG2内のうち、端末送信許可領域TALWRG外の領域(図10の斜線の領域)に存在する端末装置2に対しては、“01” からなる通信許可内容を付与する。
更に、決定手段114は、図11に示す端末送信許可領域TALWRGを決定すると、その決定した端末送信許可領域TALWRG内に存在する端末装置2(2b)に対しては、“10”からなる通信許可内容を付与し、または端末送信許可領域TALWRG内に存在する2つの端末装置2(2a),2(2b)に対しては、“11”からなる通信許可内容を付与する。
更に、決定手段114は、図7、図10および図11に示す端末送信許可領域TALWRGを決定した場合、全ての送信電力に対して、db-t≦dARV_jが成立しないと判定された端末装置2に対しては、“1”からなる停止信号を付与する。
このように、決定手段114は、端末送信許可領域TALWRGに基づいて、複数の端末装置2の通信条件CMCDを生成する。
図14は、通信調停装置11の動作を説明するためのフローチャートである。図14を参照して、通信調停装置11の動作が開始されると、通信調停装置11は、複数の端末装置2の複数の端末情報INFO_iを収集する(ステップS1)。
そして、通信調停装置11の推定手段113は、上述した方法によって、1次利用者Sの電波の到達範囲COVG1と2次利用者(基地局1)の電波の到達範囲COVG2とを推定する(ステップS2)。
その後、決定手段114は、推定手段113から受けた電波の到達範囲COVG1,COVG2に基づいて、1次利用者Sと干渉しないように端末送信許可領域TALWRGを決定する(ステップS3)。
そうすると、決定手段114は、その決定した端末送信許可領域TALWRGに基づいて各端末装置2の通信条件CMCDを作成する(ステップS4)。
そして、送信手段115は、通信条件CMCDを決定手段114から受け、その受けた通信条件CMCDを複数の端末装置2へ送信する(ステップS5)。これによって、通信調停装置11の動作が終了する。
図15は、図14に示すステップS3の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図15を参照して、図14に示すステップS2の後、決定手段114は、上述した方法によって、基地局1と端末装置2との間の電波の伝搬特性1(図8に示す伝搬特性k1)を取得する(ステップS31)。
そして、決定手段14は、電波の伝搬特性1の周波数を共用周波数に変更した電波の伝搬特性2を取得する(ステップS32)。
そうすると、決定手段114は、1次利用者Sを認識しているか否かを判定する(ステップS33)。より具体的には、決定手段114は、記憶手段112に格納されている表TBL-1を参照して、1次利用者IDの欄に1次利用者の識別情報が格納されているとき、1次利用者Sを認識していると判定し、1次利用者IDの欄に1次利用者の識別情報が格納されていないとき、1次利用者Sを認識していないと判定する。ステップS33において、1次利用者Sを認識していないと判定されたとき、決定手段114は、上述した方法によって、端末装置2からの電波の到達距離dARV_j’_MAXが2次利用者(基地局1)の電波の到達範囲COVG2内になるように端末送信許可領域TALWRGを決定する(ステップS34)。
一方、ステップS33において、1次利用者Sを認識していると判定されたとき、決定手段114は、上述した方法によって、端末装置2からの電波の到達距離dARV_j’_MAXが1次利用者の電波の到達範囲COVG1外になるように端末送信許可領域TALWRGを決定する(ステップS35)。
そして、ステップS34またはステップS35の後、通信調停装置11の動作は、図14に示すステップS4へ移行する。
このように、決定手段114は、基地局1と端末装置2との通信環境に適合した電波の伝搬モデルにおける電波の伝搬特性1を取得し、その取得した電波の伝搬特性1に基づいて共用周波数における電波の伝搬特性2を取得する(ステップS31,S32参照)。そして、決定手段114は、電波の伝搬特性2に基づいて求めた電波の到達距離dARV_j’_MAXが2次利用者(基地局1)の電波の到達範囲COVG2内または1次利用者の電波の到達範囲COVG1外になるように端末送信許可領域TALWRGを決定する(ステップS34,S35参照)。従って、基地局1と端末装置2との通信環境に適合して端末送信許可領域TALWRGを決定できる。つまり、端末送信許可領域TALWRGを正確に決定できる。
図16は、図15に示すステップS34の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図16を参照して、図15のステップS33において、1次利用者Sを認識していないと判定されたとき、決定手段114は、i=1を設定し(ステップS341)、端末装置iの位置情報[xi,yi]および送信電力Ptiを記憶手段112から読み出す。また、決定手段114は、基地局1の位置情報[xG,yG]を記憶手段112から読み出す。
そして、決定手段114は、上述した方法によって、全ての送信電力Ptiについて、端末装置2_iから送信された電波の到達距離dARV_j(jは、1~Jを満たす整数であり、Jは、送信電力Ptiの総数である。)を取得する(ステップS342)。即ち、決定手段114は、電波の伝搬特性2を用いて電波の到達距離dARV_jを取得する。
その後、決定手段114は、位置情報[xi,yi],[xG,yG]に基づいて、基地局1と端末装置2_iとの距離db-tを演算する(ステップS343)。
引き続いて、決定手段114は、j=1を設定し(ステップS344)、dARV_j≧db-tであるか否か(即ち、端末装置2からの電波が基地局1に到達するか否か)を判定する(ステップS345)。
ステップS345において、dARV_j≧db-tでないと判定されたとき、決定手段14は、電波の到達距離dARV_jを破棄し(ステップS346)、j=Jであるか否かを判定する(ステップS347)。
ステップS347において、j=Jであると判定されたとき、決定手段114は、端末装置2_iの送信を停止し(ステップS348)、停止信号STOP_2_iを生成する。その後、一連の動作は、ステップS354へ移行する。
一方、ステップS347において、j=Jでないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS353へ移行する。
一方、ステップS345において、dARV_j≧db-tであると判定されたとき、決定手段114は、db-t+dARV_j≦RCOVG2であるか否か(即ち、端末装置2_iからの電波の到達範囲が基地局1の電波の到達範囲RCOVG2内であるか否か)を更に判定する(ステップS349)。
ステップS349において、db-t+dARV_j≦RCOVG2でないと判定されたとき、決定手段114は、電波の到達距離dARV_jを破棄する(ステップS350)。
一方、ステップS349において、db-t+dARV_j≦RCOVG2であると判定されたとき、決定手段114は、電波の到達距離dARV_jを保持する(ステップS351)。
そして、ステップS350またはステップS351の後、決定手段114は、j=Jであるか否かを判定する(ステップS352)。
ステップS347またはステップS352において、j=Jでないと判定されたとき、決定手段114は、j=j+1を設定する(ステップS353)。
その後、一連の動作は、ステップS345へ移行し、ステップS347またはステップS352において、j=Jであると判定されるまで、ステップS345~ステップS353が繰り返し実行される。
そして、ステップS348の後、またはステップS352においてj=Jであると判定されたとき、決定手段114は、i=I(iは、1~Iを満たす整数、Iは、端末装置2の総数)であるか否かを判定する(ステップS354)。
ステップS354において、i=Iでないと判定されたとき、決定手段114は、i=i+1を設定する(ステップS355)。
その後、一連の動作は、ステップS342へ移行し、ステップS354において、i=Iであると判定されるまで、ステップS342~ステップS355が繰り返し実行される。
そして、ステップS354において、i=Iであると判定されると、決定手段114は、保持した距離dARV_jのうちの最大の距離dARV_j’_max(j’は、1≦j’≦Jを満たす整数)を検出する処理をI個の端末装置2_1~2_Iの全てについて実行し、I個の端末装置2_1~2_Iに対するI個の距離dARV_j’_max_2_1~dARV_j’_max_2_Iのうちの最大値dARV_j’_MAXを検出する(ステップS356)。
その後、決定手段114は、基地局1の位置を中心とし、最大値dARV_j’_MAXを有する端末装置2と基地局1との距離を半径とする円によって囲まれた端末送信許可領域TALWRGを決定する(ステップS357)。そして、一連の動作は、図14に示すステップS4へ移行する。
なお、ステップS347においてj=Jであると判定されたとき、端末装置2_iの送信を停止する(ステップS348参照)のは、端末装置2_iの全ての送信電力Ptiについて端末装置2_iからの電波が基地局1へ到達しないと判定されたからである。
図17は、図15に示すステップS35の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図17に示すフローチャートは、図16に示すフローチャートのステップS349~ステップS351をステップS371~ステップS376に代えたものであり、その他は、図16に示すフローチャートと同じである。
図17を参照して、図15に示すステップS33において、1次利用者を認識したと判定されると、上述したステップS341~ステップS348が順次実行される。
そして、ステップS345において、dARV_j≧db-tであると判定されると、決定手段114は、1次利用者との干渉が有るか否かを判定する(ステップS371)。より具体的には、決定手段114は、1次利用者Sと基地局1との距離dS-bが、電波の到達範囲COVG1の半径RCOVG1と電波の到達範囲COVG2の半径RCOVG2との和よりも大きいとき、1次利用者との干渉が無いと判定し、距離dS-bが、電波の到達範囲COVG1の半径RCOVG1と電波の到達範囲COVG2の半径RCOVG2との和以下であるとき、1次利用者との干渉が有ると判定する。
ステップS371において、1次利用者との干渉が無いと判定されたとき、決定手段114は、(dS-b-RCOVG1)>(db-t+dARV_j)>RCOVG2が成立するか否かを判定する(ステップS372)。
ステップS372において、(dS-b-RCOVG1)>(db-t+dARV_j)>RCOVG2bが成立しないと判定されたとき、決定手段114は、距離dARV_jを破棄する(ステップS373)。
一方、ステップS372において、(dS-b-RCOVG1)>(db-t+dARV_j)>RCOVG2が成立すると判定されたとき、決定手段114は、距離dARV_jを保持する(ステップS374)。
一方、ステップS371において、1次利用者との干渉が有ると判定されたとき、決定手段114は、(db-t+dARV_j)<(dS-b-RCOVG1)<RCOVG2が成立するか否かを判定する(ステップS375)。
ステップS375において、(db-t+dARV_j)<(dS-b-RCOVG1)<RCOVG2が成立しないと判定されたとき、一連の動作は、ステップS373へ移行する。
一方、ステップS375において、(db-t+dARV_j)<(dS-b-RCOVG1)<RCOVG2が成立すると判定されたとき、決定手段114は、距離dARV_jを保持する(ステップS376)。
そして、ステップS373、ステップS374およびステップS376のいずれかの後、一連の動作は、ステップS352へ移行する。
その後、ステップS347またはステップS352において、j=Jであると判定されるまで、ステップS345~S347,S371~S376,S352,S353が繰り返し実行される。
そして、ステップS347またはステップS352において、j=Jであると判定されると、ステップS354において、i=Iであると判定されるまで、ステップS342~S348,S371~S376,S352~S355が繰り返し実行される。
その後、ステップS354において、i=Iであると判定されると、上述したステップS356,S357が順次実行され、一連の動作は、図14に示すステップS4へ移行する。
図18は、端末装置2の動作を説明するためのフローチャートである。図18を参照して、端末装置2の動作が開始されると、端末装置2の受信手段22は、基地局1(通信調停装置11)からアンテナ21を介して通信条件CMCDを受信し(ステップS21)、その受信した通信条件CMCDを記憶手段23に格納する。
制御手段25は、記憶手段23に記憶された通信条件CMCDを読み出し、その読み出した通信条件CMCDを参照して、自己が搭載された端末装置2に対して停止信号STOPが設定されているか否かを判定する(ステップS22)。
ステップS22において、停止信号STOPが設定されていると判定されたとき、制御手段25は、電波の送信を停止する(ステップS23)。
一方、ステップS22において、停止信号STOPが設定されていないと判定されたとき、制御手段25は、通信条件CMCDの通信許可内容に従って、共用周波数で基地局1および/または他の端末装置2と電波を送信および/または受信する(ステップS24)。
そして、ステップS23またはステップS24の後、端末装置2の動作は終了する。
このように、端末装置2は、通信調停装置11から通信条件CMCDを受信する。この通信条件CMCDは、端末送信許可領域TALWRGに基づいて決定されたものである(図14のステップS4参照)。そして、端末装置2は、その受信した通信条件CMCDの通信許可内容に従って電波を送信および/または受信する。この通信許可内容は、1次利用者に干渉を与えないように端末装置2の通信内容を“00”,“01”,“10”,“11”および“電波の送信を停止”のいずれかに制限している(図12および図13参照)。従って、端末装置2は、1次利用者Sとの干渉を回避して電波を送信および/または受信できる。
この発明の実施の形態においては、通信調停装置11の動作は、ソフトウェアによって実行されてもよい。この場合、通信調停装置11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。
ROMは、図14に示すフローチャート(図15から図17に示すフローチャートを含む)からなるプログラムProg_Aを格納する。そして、CPUは、プログラムProg_AをROMから読み出し、その読み出したプログラムProg_Aを実行して端末送信許可領域TALWRGを決定し、その決定した端末送信許可領域TALWRGに基づいて生成された通信条件CMCDを端末装置2へ送信する。RAMは、半径RCOVG1,RCOVG2、距離dS-b,db-t,dARV_j,dARV_j’,dARV_j’_max,dARV_j’_MAXおよび受信電力RSSIi等を一時的に記憶する。
また、プログラムProg_Aは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。この場合、CPUは、装着された記録媒体からプログラムProg_Aを読み出し、その読み出したプログラムProg_Aを実行して端末送信許可領域TALWRGを決定し、その決定した端末送信許可領域TALWRGに基づいて生成された通信条件CMCDを端末装置2へ送信する。従って、プログラムProg_Aを記録したCD,DVD等の記録媒体は、コンピュータ(CPU)が読み取り可能な記録媒体である。
また、この発明の実施の形態においては、端末装置2の動作は、ソフトウェアによって実行されてもよい。この場合、端末装置2は、CPU、ROMおよびRAMを備える。
ROMは、図18に示すフローチャートからなるプログラムProg_Bを格納する。そして、CPUは、プログラムProg_BをROMから読み出して実行し、通信許可内容に従って共用周波数で基地局および/または他の端末装置と電波を送信および/または受信し、または電波の送信を停止する。
また、プログラムProg_Bは、CD,DVD等の記録媒体に記録されて流通してもよい。この場合、CPUは、装着された記録媒体からプログラムProg_Bを読み出して実行し、通信許可内容に従って共用周波数で基地局および/または他の端末装置と電波を送信および/または受信し、または電波の送信を停止する。従って、プログラムProg_Bを記録したCD,DVD等の記録媒体は、コンピュータ(CPU)が読み取り可能な記録媒体である。
図19は、この発明の実施の形態によるデータ構造を示す概略図である。図19を参照して、この発明の実施の形態によるデータ構造D-STR1は、基地局IDと、基地局の位置情報と、基地局の送信アンテナ利得と、基地局の送信電力と、端末装置IDと、端末装置の位置情報と、端末装置の受信電力と、端末装置の送信電力とを含む。
基地局ID、基地局の位置情報、基地局の送信アンテナ利得、基地局の送信電力、端末装置ID、端末装置の位置情報、端末装置の受信電力および端末装置の送信電力は、相互に対応付けられる。
基地局IDは、IDbからなり、基地局の位置情報は、[xb,yb]からなり、基地局の送信アンテナ利得は、gbからなり、基地局の送信電力は、Ptbからなる。
端末装置IDは、ID2_1~ID2_Iからなり、端末装置の位置情報は、[x1,y1],[x2,y2],[x3,y3],・・・,[xI,yI]からなる。
端末装置の受信電力は、RSSI1~RSSIIからなり、端末装置の送信電力は、Pt1~PtIからなる。そして、Pt1~PtIの各々は、少なくとも1つの送信電力からなる。
通信調停装置11の決定手段114は、端末情報INFO_iおよび基地局情報INFO_bに基づいてデータ構造D-STR1を作成し、その作成したデータ構造D-STR1を記憶手段112に記憶する。
データ構造D-STR1において、端末装置の位置情報[xi,yi]および端末装置の受信電力RSSIiは、推定手段113が式(1)に従って1次利用者Sの位置(位置情報[xG,yG]によって示される位置)を推定するのに用いられる。そして、端末装置の受信電力RSSIiのうちの設定値以下の受信電力RSSIi_lowと、位置情報[xG,yG]とは、推定手段113が1次利用者の電波の到達範囲COVG1(=半径RCOVG1)を推定するのに用いられる。
また、基地局の送信電力Ptb、基地局の送信アンテナ利得gbおよび端末装置の受信電力RSSIiは、推定手段113が基地局1(2次利用者)の電波の到達範囲COVG2(=半径RCOVG2)を推定するのに用いられる。そして、端末装置の送信電力Pti、および電波の到達範囲COVG2を推定するのに用いられた受信電力RSSIiは、決定手段114が式(4)を用いて、端末装置2から送信された電波の到達距離dARV_jを求めるのに用いられる。
更に、端末装置の位置情報[xi,yi]および基地局の位置情報[xb,yb]は、決定手段114が基地局1と端末装置2との距離db-tを求めるのに用いられる。更に、位置情報[xG,yG]、および基地局の位置情報[xb,yb]は、決定手段114が1次利用者と、基地局1(2次利用者)との距離dS-bを求めるのに用いられる。
そして、電波の到達範囲COVG1,COVG2、電波の到達距離dARV_j、および距離dS-b,db-tは、決定手段114が端末送信許可領域TALWRGを決定するのに用いられ、端末送信許可領域TALWRGは、決定手段114が1次利用者Sと干渉しない端末装置2の通信条件を生成するのに用いられる。
図20は、この発明の実施の形態による別のデータ構造を示す概略図である。この発明の実施の形態によるデータ構造は、図20に示すデータ構造D-STR2であってもよい。図20を参照して、データ構造D-STR2は、1次利用者IDと、1次利用者の送信電力と、基地局IDと、基地局の位置情報と、基地局の送信アンテナ利得と、基地局の送信電力と、端末装置IDと、端末装置の位置情報と、端末装置の受信電力と、端末装置の送信電力とを含む。
1次利用者ID、1次利用者の送信電力、基地局ID、基地局の位置情報、基地局の送信アンテナ利得、基地局の送信電力、端末装置ID、端末装置の位置情報、端末装置の受信電力および端末装置の送信電力は、相互に対応付けられる。
1次利用者IDは、ID1_1~ID1_P(Pは正の整数)からなる。1次利用者の送信電力は、PT1_1~PT1_Pからなる。PT1_1~PT1_Pは、それぞれ、ID1_1~ID1_Pに対応付けられる。
基地局ID、基地局の位置情報、基地局の送信アンテナ利得、基地局の送信電力、端末装置ID、端末装置の位置情報、端末装置の受信電力および端末装置の送信電力については、図19において説明したとおりである。
データ構造D-STR2において、端末装置の位置情報[xi,yi]および端末装置の受信電力RSSIiは、推定手段113が式(1)に従って1次利用者Sの位置(位置情報[xG,yG]によって示される位置)を推定するのに用いられる。
1次利用者の送信電力PT1_p(pは、1≦p≦Pを満たす整数)および端末装置の受信電力RSSIiは、推定手段113が式(2)によって1次利用者の電波の到達範囲COVG1(dprimaryを半径とする範囲)を推定するのに用いられる。
また、基地局の送信電力Ptb、基地局の送信アンテナ利得gbおよび端末装置の受信電力RSSIiは、推定手段113が基地局1(2次利用者)の電波の到達範囲COVG2(=半径RCOVG2)を推定するのに用いられる。そして、端末装置の送信電力Pti、および電波の到達範囲COVG2を推定するのに用いられた受信電力RSSIiは、決定手段114が式(4)を用いて、端末装置2から送信された電波の到達距離dARV_jを求めるのに用いられる。
更に、端末装置の位置情報[xi,yi]および基地局の位置情報[xb,yb]は、決定手段114が基地局1と端末装置2との距離db-tを求めるのに用いられる。更に、位置情報[xG,yG]、および基地局の位置情報[xb,yb]は、決定手段114が1次利用者と、基地局1(2次利用者)との距離dS-bを求めるのに用いられる。
そして、電波の到達範囲COVG1,COVG2、電波の到達距離dARV_j、および距離dS-b,db-tは、決定手段114が端末送信許可領域TALWRGを決定するのに用いられ、端末送信許可領域TALWRGは、決定手段114が1次利用者Sと干渉しないように端末装置2の通信条件を生成するのに用いられる。
上記においては、通信調停装置11は、基地局1内に配置されると説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、通信調停装置11は、基地局1以外の場所に配置されてもよい。この場合、通信調停装置11は、基地局情報INFO_bおよび端末情報INFO_iを有線ケーブルを介して受信し、または基地局情報INFO_bおよび端末情報INFO_iを無線通信によって受信する。また、通信調停装置11は、上述した方法によって生成した通信条件を、有線ケーブルおよび基地局1を介して複数の端末装置2へ送信し、または基地局1を介して無線通信によって複数の端末装置2へ送信する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。