例示的な実施形態の以下の詳細な説明では、本開示の一部を形成する添付の図面を参照する。他の実施形態を使用することが可能であり、また、本開示の範囲から逸脱することなく、論理的、構造的、機械的、電気的および化学的な変更を加えることも可能である。さらに、以下の説明では、当業者に知られている特定の情報を省略することもある。したがって、以下の詳細な説明は限定的なものではなく、添付の特許請求の範囲が例示的な実施形態の範囲を規定する。さらに、本開示全体を通して使用される「または」は、相互排他性を必要とするものではない。
図面を参照すると、図1は、患者の組織部位104を治療するためのシステム102の例示的な一実施形態を示している。組織部位104は、表皮106、真皮108および皮下組織110を通って延在するものであっても、あるいはそれらを含むようにしてもよい。組織部位104は、表皮106の表面の下に延びる図1に示すような表面下組織部位であることもある。さらに、組織部位104は、例えば切開部など、表皮106の表面に主に存在する表面組織部位(図示省略)の場合もある。システム102は、システム102の位置または組織部位の種類に関係なく、例えば、表皮106、真皮108および皮下組織110に対する治療を提供することができる。また、システム102は、他の組織部位においても、制限なく使用することができる。
組織部位104は、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、真皮組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、靭帯または他の任意の組織を含む、任意のヒト、動物または他の生物の体組織であってもよい。組織部位104の治療は、滲出液または腹水などの体液の除去を含むことができる。
図1に示すように、システム102は、界面マニホールド120などの任意の組織インターフェースを含むことができる。さらに、システム102は、ドレッシング124および減圧源128を含むことができる。減圧源128は、任意の治療ユニット130の一構成要素とすることができる。いくつかの実施形態では、減圧源128および治療ユニット130が別々の構成要素であってもよい。さらに、いくつかの実施形態では、異なるタイプの組織部位、または異なるタイプの治療、例えば、上皮形成などについては、界面マニホールド120を省略することができる。界面マニホールド120は、具備する場合、例えば、組織部位104に適合するように任意の適切な方法で界面マニホールド120を切断または成形することによって、組織部位104に近接または隣接して配置されるように構成されるものであってもよい。後述するように、界面マニホールド120は組織部位104と流体連通するように配置されて、減圧を組織部位104に分配するように構成されるものであってもよい。いくつかの実施形態では、界面マニホールド120が組織部位104と直接接触して配置されるようにしてもよい。
組織インターフェースまたは界面マニホールド120は、真空空間または治療空間を提供する任意のマニホールド材料または可撓性ボルスタ材料、例えば、多孔質で透過性の発泡体または発泡様材料、経路を有するように形成された部材、移植片またはガーゼから形成することができる。いくつかの実施形態では、界面マニホールド120が、減圧下において流体透過性である網目状の連続気泡ポリウレタンまたはポリエーテル発泡体であってもよい。そのような発泡体材料の一つは、テキサス州サンアントニオのKinetic Concepts,Inc.(KCI)から入手可能なVAC(登録商標)GranuFoam(登録商標)材料である。さらに、いくつかの実施形態では、マニホールド材料が流体を分配または収集するように動作可能であるという条件で、界面マニホールド120のためのマニホールド材料として、任意の材料または材料の組合せを使用することができる。例えば、本明細書において、マニホールドという用語は、複数の孔、経路または流路を介して組織部位に流体を送達するように、または組織部位から流体を除去するように構成された物質または構造体を指すことができる。複数の孔、経路または流路は、マニホールドの周囲の領域に提供される流体や、そこから除去される流体の流通を改善するために、相互接続されるものであってもよい。マニホールドの例には、流路を形成するように配置された構造要素を有するデバイス、連続気泡発泡体などの気泡発泡体、多孔質組織収集体、および流路を含むか又は含むように硬化する液体、ゲルおよび発泡体が含まれるが、それらに限定されるものではない。
いくつかの実施形態では、界面マニホールド120には、用途に応じて、GranuFoam(登録商標)材料よりも高いまたは低い密度を有する材料が望ましい場合もある。多くの可能性のある材料の中で、GranuFoam(登録商標)材料、Foamex(登録商標)テクニカルフォーム(www.foamex.com)、ネイル構造の成形ベッド、Sercol Industrial Fabricsによって製造されるようなパターン化グリッド材料、英国のBaltex of Derbyによって製造されるような3D繊維製品、ガーゼ、可撓性流路含有部材または移植片を使用することができるが、それらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、例えば、マイクロボンディングプロセスによって、イオン銀が界面マニホールド120に追加されるようにしてもよい。抗菌剤などの他の物質も同様に界面マニホールド120に添加することができる。
いくつかの実施形態では、界面マニホールド120が多孔質の疎水性材料を含むことができる。界面マニホールド120の疎水性特性は、界面マニホールド120が組織部位104からの滲出液などの流体を直接吸収するのを妨げるが、流体が通過することを可能にする。
いくつかの実施形態では、ドレッシング124が、ベース層132、接着剤136、シール部材140、流体管理アセンブリ144および導管インターフェース148を含むことができる。ドレッシング124の構成要素は、具体的な用途に適合するように追加または除去することができる。いくつかの実施形態では、ドレッシング124が、減圧源128から界面マニホールド120へと減圧を提供し、界面マニホールド120を介して組織部位104から流体を抽出するように構成されるようにしてもよい。
図1~図4Bを参照すると、ベース層132は、中央部156を取り囲む周縁部152と、周縁部152および中央部156を貫通して配置された複数の開口部160とを有することができる。ベース層132は、コーナ158およびエッジ159も有することができる。コーナ158およびエッジ159は、周縁部152の一部である。エッジ159の一つは、別のエッジ159と交わって、コーナ158の一つを規定することができる。さらに、ベース層132は、中央部156を実質的に取り囲み、中央部156と周縁部152の間に位置する境界部161を有することができる。いくつかの実施形態では、境界層161に開口部160がないようにすることができる。いくつかの実施形態では、ベース層132の中央部156が界面マニホールド120に隣接または近接して配置され、ベース層132の周縁部152が組織部位104周囲の組織に隣接または近接して配置されるように、ベース層132が、界面マニホールド120および組織部位104周囲の組織を覆うように適合させることができる。そのような実施形態では、ベース層132の周縁部152が、界面マニホールド120を取り囲むことができる。さらに、ベース層132の開口部160は、界面マニホールド120および組織部位104周囲の組織と流体連通することができる。
ベース層132の開口部160は、例えば、円形、正方形、星形、楕円形、多角形、スリット、複雑な曲線、直線形、三角形または他の形状など、任意の形状を有することができる。開口部160は、切削、局所的なRFエネルギーの印加、または開口部を形成するための他の適切な技術によって、形成することができる。複数の開口部160の各開口部160は、直径および面積を有する、実質的に円形の形状であってもよい。本明細書の例示的な実施形態に記載されている開口部160の面積は、円形ではない形状を有する開口部160についての他の実施形態における面積と実質的に同様とすることができる。さらに、各開口部160の面積は実質的に同じであってもよく、または各面積が、例えばベース層132における開口部160の位置に基づいて変化するようにしてもよい。例えば、ベース層132の周縁部152における開口部160の面積は、ベース層132の中央部156における開口部160の面積よりも大きくてもよい。開口部160は、ベース層132において均一なパターンを有するようにしても、あるいはランダムに分布するようにしてもよい。開口部160のサイズおよび構成は、後述するように、表皮106へのドレッシング124の付着性を制御するように設計されるものであってもよい。
いくつかの実施形態では、周縁部152に配置された開口部160が開口部160aであり、周縁部152のコーナ158に配置された開口部160が開口部160bであり、中央部156に配置された開口部160が開口部160cである。いくつかの実施形態では、開口部160aの面積が開口部160bの面積よりも大きい。さらに、いくつかの実施形態では、開口部160bの面積が開口部160cよりも大きい。ベース層132の寸法は、特定の用途に適合するように、例えば、実質的に互いに比例して増加または減少させることができる。さらに、ベース層132の中央部156、境界部161および周縁部152は、実質的に正方形の形状を有するように示されているが、ベース層132のそれら構成要素および他の構成要素は、特定の用途に適した任意の形状を有することができる。
ベース層132は、本明細書に記載されるように組織部位104との流体シールを提供するのに適した柔らかい柔軟な材料とすることができる。例えば、ベース層132は、シリコーンゲル、軟質シリコーン、ヒドロコロイド、ヒドロゲル、ポリウレタンゲル、ポリオレフィンゲル、水素化スチレンコポリマーゲル、発泡ゲル、後述するように接着剤でコーティングされたポリオレフィンおよびポリウレタンのような軟質独立気泡発泡体、ポリウレタン、ポリオレフィンまたは水素化スチレンコポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、ベース層132が、Scapa Soft-Pro(登録商標)のようなシリコーンを含むことができる。ベース層132は、約500ミクロン(μm)から約1000ミクロン(μm)の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、ベース層132が、約5ショアOO~約80ショアOOの剛性を有することができる。さらに、いくつかの実施形態では、疎水性または親水性材料からベース層132を構成することができる。
いくつかの実施形態(図示省略)では、ベース層132が疎水性コーティングされた材料であってもよい。例えば、ベース層132は、織布、不織布、成形物、または押出しメッシュなどの間隔の空いた材料を疎水性材料でコーティングすることによって形成することができる。コーティング用の疎水性材料は、例えば、軟質シリコーンであってもよい。このようにして、接着剤136は、開口部160と同様に、間隔をあけた材料の開口部を通って延在することができる。
いくつかの実施形態では、接着剤136が、ベース層132の少なくとも周縁部152の開口部160に曝されるようにしてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、接着剤136が、ベース層132の少なくとも周縁部152の開口部160に隣接して配置されるか、または流体連通すべく配置されるようにしてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、接着剤136が、ベース層132の開口部160を介して組織部位104周囲の組織に曝されるか、または流体連通することができる。以下でさらに述べるように、かつ図3に示すように、接着剤136は、例えば組織部位104周囲の組織にドレッシング124を固定するために表皮106に接触するように、延在するか、変形するか、または複数の開口部160を介して押し込まれるようにしてもよい。開口部160は、組織部位104の周りにドレッシング124を固定するために、表皮106に対する接着剤136の十分な接触を提供することができる。しかしながら、後述する開口部160および接着剤136の構成は、ドレッシング124を解放して組織部位104の周りに再配置することを可能にすることができる。
いくつかの実施形態では、周縁部152のコーナ158の開口部160bが、周縁部152の他の部分の開口部160aよりも小さくてもよい。所与の幾何学的形状のコーナ158については、開口部160aと比べて開口部160bのサイズを小さくすることにより、コーナ158で開口部160bと、開口部160bを介して組織とに曝される接着剤136の表面積を増大または増加させることができる。コーナ158の開口部160bのサイズおよび数は、コーナ158の選択された幾何学的形状に応じて、必要に応じて調整され、それにより、上述したように接着剤136の露出表面積を増大または増加させることができる。
コーナ158の開口部160bと同様に、開口部160は何れも、特定の用途またはベース層132の幾何学的形状に応じて、開口部160に曝される又は流体連通する接着剤136の表面積を増大させるために、サイズおよび数を調整することができる。例えば、いくつかの実施形態(図示省略)では、開口部160bまたは別のサイズの開口部が、周縁部152および境界部161に配置されるようにしてもよい。同様に、開口部160bまたは別のサイズの開口部は、上述したように、複雑な幾何学形状または形状を有するベース層132の他の位置に配置することができる。
接着剤136は、医薬的に許容し得る接着剤とすることができる。いくつかの実施形態では、接着剤136が変形可能または流動可能である。例えば、接着剤136は、アクリル接着剤、ゴム系接着剤、高粘着性シリコーン接着剤、ポリウレタンまたは他の接着物質を含むことができる。いくつかの実施形態では、接着剤136がアクリル接着剤を含む感圧接着剤である。接着剤136は、ベース層132の周縁部152と実質的に同じ形状を有する層とすることができる。いくつかの実施形態では、接着剤136が連続的または不連続的である。接着剤136の不連続性は、接着剤136における開口部(図示省略)によって提供されるものであってもよい。接着剤136における開口部は、接着剤136の塗布後に、またはキャリア層、例えば、表皮106に向くように適合されたシール部材140の面の上に、接着層136をパターンでコーティングすることによって、形成されるものであってもよい。さらに、接着剤136における開口部は、ベース層132の開口部160を通って表皮106に達する接着剤136の量を制御するようにサイズ設定されるものであってもよい。また、接着剤136における開口部は、以下でさらに述べるように、ドレッシング124の水蒸気透過率(MVTR)を向上させるような大きさとすることができる。
ドレッシング124の接着強度を制御するために利用することができる要素としては、ベース層132における開口部160の直径、面積および数、ベース層132の厚さ、接着剤136の厚さおよび量、および接着剤136の粘着性を含むことができる。開口部160を通って延在する接着剤136の量の増加は、ドレッシング124の接着強度の増加に対応することができる。ベース層132の厚さの減少は、開口部160を通って延在する接着剤136の量の増加に対応することができる。したがって、開口部160の直径、面積および構成、ベース層132の厚さ、並びに、利用される接着剤の量および粘着性は、ドレッシング124に所望の接着強度を提供するために、変えることができる。
いくつかの実施形態では、接着剤136の粘着性が、ベース層132の異なる位置で変わるようにしてもよい。例えば、開口部160aのように開口部160が比較的大きいベース層132の位置では、接着剤136が、開口部160bおよび160cのように開口部160がより小さい他のベース層132の位置よりも低い粘着性を有することができる。このようにして、より大きな開口部160およびより低い粘着性の接着剤136を有するベース層132の位置は、より小さな開口部160およびより高い粘着性の接着剤136を有する位置に匹敵する接着強度を有することができる。
組織部位104にドレッシング124を貼り付ける前に、接着剤136を保護するために、剥離ライナ162をベース層132に取り付けるか、またはベース層に隣接して配置することができる。組織部位104にドレッシング124を貼り付ける前に、ベース層132をシール部材140と剥離ライナ162との間に配置することができる。剥離ライナ162を除去すると、ドレッシング124を組織部位104に貼付するために、ベース層132および接着剤136を露出させることができる。剥離ライナ162は、例えば、ドレッシング124の配置を補助するための剛性も提供することができる。剥離ライナ162は、例えば、キャスティングペーパ、フィルムまたはポリエチレンとすることができる。さらに、剥離ライナ162は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル材料、または同様の極性半結晶性ポリマーとすることができる。剥離ライナ162に極性半結晶性ポリマーを使用すると、ドレッシング124のしわや他の変形を実質的に排除することができる。例えば、極性半結晶性ポリマーは、高度に配向されており、ドレッシング124の構成要素と接触したとき、または温度もしくは環境の変動に曝されたとき、または滅菌したときに発生する可能性がある、軟化、膨潤または他の変形に抵抗することができる。さらに、剥離剤は、ベース層132と接触するように構成された剥離ライナ162の面に配置されるようにしてもよい。例えば、剥離剤はシリコーンコーティングであってもよく、ドレッシング124を損傷または変形させることなく、剥離ライナ162を手で容易に除去するのに適した剥離係数を有することができる。いくつかの実施形態では、剥離剤がフルオロシリコーンであってもよい。他の実施形態では、剥離ライナ162がコーティングされていなくてもよく、あるいは剥離剤なしで他の方法で使用されるものであってもよい。
図1~図4Bに示すように、シール部材140は、ドレッシングシール部材140とも呼ばれる。シール部材140は、周縁部164および中央部168を有することができる。シール部材140は、開口部170をさらに含むことができる。シール部材140の周縁部164は、シール部材140の中央部168およびベース層132の中央部156が包囲空間172を規定するように、ベース層132の周縁部152に近接して配置されるものであってもよい。接着剤136は、少なくともシール部材140の周縁部164とベース層132の周縁部152との間に配置されるようにしてもよい。シール部材140は、組織部位104および界面マニホールド120を覆って、組織部位104とドレッシング124のシール部材140との間に流体シールおよび密閉空間174を提供することができる。さらに、シール部材140は、シール部材140と組織部位104との間に流体シールを提供するために、組織部位104を囲む表皮106の一部などの他の組織を覆うようにしてもよい。いくつかの実施形態では、シール部材140の周縁部164の一部が、ベース層132の周縁部152を越えて延び、組織部位104周囲の組織と直接接触するようしてもよい。他の実施形態では、シール部材140の周縁部164が、例えば、組織部位104の周囲の組織と接触して配置されて、ベース層132なしで密閉空間174を提供するものであってもよい。このため、接着剤136は、少なくともシール部材140の周縁部164と、組織部位104周囲の表皮106などの組織との間にも配置されるようにしてもよい。接着剤136は、組織部位104およびベース層132を向くように適合されたシール部材140の表面上に配置されるものであってもよい。
シール部材140は、流体シールを可能にする任意の材料から形成することができる。流体シールは、付随する特定の減圧源またはシステムを考慮して、所望の部位で減圧を維持するのに適切なシールとすることができる。シール部材140は、例えば、親水性ポリウレタン、セルロース系、親水性ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、親水性アクリル、親水性シリコーンエラストマー、例えば14400g/m2/24時間のMVTR(逆カップ法)および約30ミクロンの厚さを有する英国レクサムのExpopack Advanced Coatings製のINSPIRE 2301材料、薄いコーティングされていないポリマードレープ、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリスルフィドゴム、ポリウレタン(PU)、EVAフィルム、コポリエステル、シリコーン、シリコーンドレープ、3Mテガダーム(登録商標)ドレープ、カリフォルニア州パサデナのAvery Dennison Corporationなどから入手できるポリウレタン(PU)ドレープ、Scapa Bioflex 130ポリウレタンフィルム(登録商標)のようなポリウレタン(PU)フィルム、例えばフランスのArkema製のポリエーテルブロックポリアミドコポリマー(PEBAX)、Expopack 2327、または他の適切な材料のうちの1または複数を含むことができる。
シール部材140は、蒸気透過性および液体不透過性であり、それによって、ドレッシング124によって提供される密閉空間174から蒸気が出ることを許容し、液体が出ることを阻止する。いくつかの実施形態では、シール部材140を、例えば24時間あたり少なくとも約300g/m2の高いMVTRを有する、可撓性の通気性フィルム、膜またはシートとすることができる。他の実施形態では、蒸気移動量の少ないまたは全くないドレープを使用することができる。シール部材140は、約15ミクロン(μm)から約50ミクロン(μm)の厚さを有する一連の医学的に適切なフィルムを含むことができる。
流体管理アセンブリ144は、包囲空間172内に配置することができる。いくつかの実施形態では、流体管理アセンブリ144が、第1のドレッシングウィッキング層176、第2のドレッシングウィッキング層180および吸収剤層184を含むことができる。吸収剤層184は、ドレッシング吸収剤184と称することもある。吸収剤層184は、第1のドレッシングウィッキング層176と第2のドレッシングウィッキング層180との間で流体連通するように配置させることができる。第1のドレッシングウィッキング層176は、第1のドレッシングウィッキング層176の表面に沿って流体を運ぶように適合された粒構造を有することができる。同様に、第2のドレッシングウィッキング層180は、第2のドレッシングウィッキング層180の表面に沿って流体を運ぶように適合された粒構造を有することができる。例えば、第1のドレッシングウィッキング層176および第2のドレッシングウィッキング層180は、それぞれ第1のドレッシングウィッキング層176および第2のドレッシングウィッキング層180の表面に沿って横方向に、流体を運ぶか、または他の方法で移送することができる。第1のドレッシングウィッキング層176の表面は、第1のドレッシングウィッキング層176の厚さ方向に対して垂直であり、第2のドレッシングウィッキング層180の表面は、第2のドレッシングウィッキング層180の厚さ方向に対して垂直である。第1のドレッシングウィッキング層176および第2のドレッシングウィッキング層180に沿った流体の移送は、吸収剤層184の表面領域にわたる流体の分配を向上させることができ、それにより吸収効率を高め、流体の閉塞に抵抗することができる。流体の閉塞は、吸収剤層184にわたってより均一に分布されずに、例えば、吸収剤層184の特定の位置に流体が溜まることによって生じ得る。第1のドレッシングウィッキング層176、第2のドレッシングウィッキング層180および吸収剤層184の積層コンビネーションは、例えば、組織部位104との流体連通を維持することができる、閉塞に抵抗力のある開放構造を維持するために、上述したように適合させることができる。
図1、図2、図5および図6に示す流体管理アセンブリ144の実施形態を参照すると、第1のドレッシングウィッキング層176の周縁部186が第2のドレッシングウィッキング層180の周縁部187に結合されて、第1のドレッシングウィッキング層176と第2のドレッシングウィッキング層180との間にウィッキング層包囲空間188が規定されている。いくつかの実施形態では、ウィッキング層包囲空間188が、第1のドレッシングウィッキング層176と第2のドレッシングウィッキング層180との間に吸収剤層184を取り囲むか、または他の方法で封入することができる。
図5および図6を参照すると、いくつかの実施形態では、流体管理アセンブリ144が、特定の組織部位を治療するのに望ましい任意の数のウィッキング層および吸収剤層を含むことができるが、それに限定されるものではない。例えば、吸収剤層184は、第1のドレッシングウィッキング層176と第2のドレッシングウィッキング層180との間で流体連通するように配置された複数の吸収剤層184とすることができる。さらに、図6に示すように、いくつかの実施形態では、少なくとも1の中間ウィッキング層189を複数の吸収剤層184間で流体連通するように配置することができる。吸収剤層184と同様に、複数の吸収剤層184および少なくとも1の中間ウィッキング層189をウィッキング層包囲空間188内に配置することができる。いくつかの実施形態では、吸収剤層184を、シール部材140と界面マニホールド120との間に配置することができ、第1のドレッシングウィッキング層176および第2のドレッシングウィッキング層180を省略することができる。
図5および図6に示すように、効率を高めるために吸収剤層184の側面184aを互いに流体連通したままとすることができる。同様に、図6に示す少なくとも1の中間ウィッキング層189の側面189aも互いに、かつ吸収剤層184の側面184aと流体連通したままとすることができる。さらに、追加の吸収剤層184を含むことで、流体管理アセンブリ144の吸収剤質量を増加させることができ、通常、より大きな流体容量を提供することができる。しかしながら、所与の吸収剤質量に対して、吸収効率をさらに向上させるために、単一の厚いコート重量吸収剤層184ではなく、複数の薄いコート重量吸収剤層184を利用して、より大きな吸収表面積を提供するようにしてもよい。
いくつかの実施形態では、吸収剤層184を、例えば組織部位104から流体を吸収するように構成された親水性材料とすることができる。吸収剤層184に適した材料には、超吸収性ポリマーおよび類似の吸収材料、Luquafleece(登録商標)材料、TEXSUS FP2326、BASF 402C、英国リンカンシャーのTechnical Absorbents、Ltd.から入手できるTechnical Absorbents 2317、ポリアクリル酸ナトリウム超吸収剤、セルロース系物質(ナトリウムCMCのようなカルボキシメチルセルロースおよび塩)、Gelok(登録商標)30040-76 S/S/S 300gsm吸収剤、またはアルギン酸塩が含まれるが、それらに限定されるものではない。第1のドレッシングウィッキング層176および第2のドレッシングウィッキング層180に適した材料には、例えば、LIBELTEX TDL2,80gsm、または同様の材料(不織布でもよい)など、本明細書に記載のように流体を運ぶことができる粒構造を有する任意の材料が含まれるが、それらに限定されるものではない。
流体管理アセンブリ144は、予め積層された構造として製造されてもよく、または上述したように、互いに積み重ねることができる個々の材料層として供給されるものであってもよい。流体管理アセンブリ144の個々の層は、例えば溶媒または非溶媒接着剤を利用することにより、または熱溶着により、流体管理に悪影響を及ぼすことなく互いに結合されるか、または他の方法で互いに固定される。さらに、流体管理アセンブリ144は、例えば溶着または接着剤などの任意の適切な方法で、ベース層132の境界部161に接合することができる。上述したように、開口部160のない境界部161は、快適性を向上させるために流体管理アセンブリ144と組織部位104との間に柔軟なバリアを提供することができる。
ドレッシング124は、特定の用途に適するように様々な実施形態において変更することができる。いくつかの実施形態では、吸収剤層184を流体管理アセンブリ144から省略することができ、それは、オフサイトまたは遠隔地保管のためにドレッシング124および組織部位104の外部に、またはそれらから離れて流体を送るのに有益であるが、必須ではない。そのような実施形態では、第1のドレッシングウィッキング層176および第2のドレッシングウィッキング層180が、ドレッシング124の外側の場所へ移送するために、組織部位104から流体を運ぶか又は吸い出すことができる。さらに、本明細書に記載の第1のドレッシングウィッキング層176および第2のドレッシングウィッキング層180の構成は、例えば減圧の適用によって、組織部位104から流体を離し、ドレッシング124から流体を除去する前に組織部位104に流体が戻るのを防止することができる。ウィッキング層包囲空間188は、この能力を増強して、組織部位104から流体を離し、そして流体が組織部位104に戻るのを防ぐことができる。
ドレッシング124は、組織部位104からドレッシング124の外部に流体を伝達するいくつかの用途に適した様々な実施形態においてさらに変更することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1のドレッシングウィッキング層176または第2のドレッシングウィッキング層180を、吸収剤層184およびベース層132とともに省略することができる。そのような実施形態では、シール材140と組織部位104の間の密閉空間174に配置するために、ドレッシング124が、シール部材140と、第1のドレッシングウィッキング層176または第2のドレッシングウィッキング層180のうちの一方とを含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、流体管理アセンブリ144をドレッシング124から省くことができ、流体管理アセンブリ144の代わりに、ドレッシングマニホールド(図示省略)を包囲空間172内に配置することができる。ドレッシングマニホールドは、層として構成することができ、本明細書に記載の複数の孔、経路または流路を介して、組織部位から流体を除去するのに適した任意の材料から構成することができ、それには、発泡体、織布、注型シリコーン、ポリウレタン材料、または界面マニホールド120について上述した材料のうちの何れかが含まれるが、それらに限定されるものではない。さらに、いくつかの実施形態では、ベース層132を省略して、流体管理アセンブリ144を上述したドレッシングマニホールドと交換することにより、ドレッシング124を変更することも可能である。そのような実施形態では、ドレッシング124が、シール部材140と、シール部材140と組織部位104との間の密閉空間174内に配置するためのドレッシングマニホールドとを含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、第1のドレッシングウィッキング層176と第2のドレッシングウィッキング層180との間にドレッシングマニホールドが配置されるように、吸収剤層184を省いてドレッシングマニホールドと交換することも可能である。
図1および図2を参照すると、いくつかの実施形態では、ベース層132およびシール部材140によって規定される包囲空間172が、任意の抗菌層190を含むことができる。抗菌層190の追加は、ドレッシング124内での過剰な細菌増殖の可能性を減少させることができ、それによりドレッシング124が長期間その場に留まることを可能にする。抗菌層190は、例えば、流体管理アセンブリ144の一部として含まれる追加の層、またはドレッシング124内の任意の適切な位置に配置された抗菌剤のコーティングとすることができる。抗菌層190は、例えば、元素銀または類似の化合物から構成することができる。いくつかの実施形態では、抗菌剤を任意の適切な方法で配合することができ、ドレッシング124の他の構成要素と関連付けることができる。
図1、図2および図7を参照すると、導管インターフェース148は、シール部材140に近接して、ドレッシング124の包囲空間172と流体連通するように配置されている。例えば、導管インターフェース148は、シール部材140の開口部170を介してドレッシング124と流体連通することができる。導管インターフェース148は、減圧源128からドレッシング124に減圧を提供することができる。また、導管インターフェース148は、任意の界面マニホールド120と流体連通するように配置される構成であってもよい。任意選択の液体トラップ192を、ドレッシング124と減圧源128との間で流体連通するように配置することができる。液体トラップ192は、凝縮液または他の液体などの液体を保持することができる密閉内容積を有する任意の適切な封じ込めデバイスとすることができる。
導管インターフェース148は、医療グレードの軟質ポリマーまたは他の柔軟な材料を含むことができる。非限定的な例として、導管インターフェース148は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、フルオロシリコーンまたはエチレン-プロピレンから形成することができる。いくつかの例示的で非限定的な実施形態では、導管インターフェース148が、DEHPフリーのPVCから成形することができる。導管インターフェース148は、成形、鋳造、機械加工または押出し成形などの任意の適切な方法で形成することができる。さらに、導管インターフェース148は、一体ユニットとして、または個々の構成要素として形成されるようにしてもよく、また、例えば接着剤または溶着によってドレッシング124に結合されるようにしてもよい。
いくつかの実施形態では、導管インターフェース148を、吸収特性および蒸発特性を有する吸収材料で形成することができる。吸収材料は、蒸気透過性および液体不透過性とすることができ、それにより、液体の透過を抑制しながら、蒸気が材料内に吸収されること、および透過によって材料から蒸気が蒸発することを許容するように構成されるものであってもよい。吸収材料は、例えば、親水性ポリウレタンなどの親水性ポリマーとすることができる。以下の例示的な実施形態では、親水性ポリマーという用語を使用することがあるが、本明細書に記載の特性を有する任意の吸収材料がシステム102での使用に適している。さらに、吸収材料または親水性ポリマーは、本明細書に記載されるようにシステム102の様々な構成要素における使用に適している。
導管インターフェース148のためのそのような親水性ポリマーの使用は、導管インターフェース148内の液体が作動中に蒸発すること、または他の方法で消散することを可能にすることができる。例えば、親水性ポリマーは、液体が気相の蒸気として導管インターフェース148を透過または通過し、導管インターフェース148の外部の大気中に蒸発することを可能にすることができる。そのような液体は、例えば凝縮物または他の液体であってもよい。凝縮物は、例えば、組織部位104における温度に対する導管インターフェース148またはシステム102の他の構成要素内の温度の低下の結果として生じる場合がある。導管インターフェース148からの液体の除去または消散は、視覚的な魅力を高め、臭いを防ぐことができる。さらに、そのような液体の除去は、閉塞およびシステム102の構成要素との他の干渉を減らすことによって、効率および信頼性を高めることができる。
導管インターフェース148と同様に、液体トラップ192およびシステム102の他の構成要素もまた、吸収材料または親水性ポリマーで形成することができる。親水性ポリマーの吸収特性および蒸発特性は、蒸発によって、液体トラップ192およびシステム102の他の構成要素内に存在する液体の除去および消散も促進することができる。そのような蒸発は、実質的に固体またはゲル状の廃棄物を後に残すことがある。実質的に固体またはゲル状の廃棄物は、液体よりも安価に処分することができ、システム102の動作費用を節減することができる。親水性ポリマーは、液体の管理が有益であるシステム102内の他の構成要素に使用することができる。
いくつかの実施形態では、吸収材料または親水性ポリマーが、不飽和状態の親水性ポリマーの質量と実質的に等しい、飽和状態における吸収能力を有することができる。親水性ポリマーは、飽和状態において蒸気で完全に飽和し、不飽和状態において蒸気を実質的に含まない。親水性ポリマーは、飽和状態および不飽和状態の両方において、実質的に同じ物理的、機械的および構造的性質を保持することができる。例えば、親水性ポリマーは、飽和状態における親水性ポリマーの硬度と実質的に同じ硬度を不飽和状態において有することができる。また、親水性ポリマーおよび親水性ポリマーを組み込んだシステム102の構成要素は、不飽和状態および飽和状態の両方において実質的に同じサイズを有することもできる。さらに、親水性ポリマーは、飽和状態および不飽和状態において、乾燥し、手触りが冷たく、空気圧でシールされたままとすることができる。また、親水性ポリマーは、飽和状態および不飽和状態において実質的に同じ色のままとすることができる。このように、この親水性ポリマーは、システム102での使用に依然として適した十分な強度および他の物理的特性を保持することができる。そのような親水性ポリマーの一例は、米国オハイオ州のウィックリフのThe Lubrizol Corporationから入手可能なTechophilic HP-93A-100の商品名で提供されている。Techophilic HP-93A-100は、水中で100%の不飽和質量のポリウレタンを吸収することができ、約83ショアAのショア硬度またはデュロメータを有する吸収性親水性熱可塑性ポリウレタンである。
導管インターフェース148は、組織部位104から密閉空間174の外部への臭気の通過を実質的に排除するように構成された臭気フィルタ194を備えることができる。さらに、導管インターフェース148は、一次疎水性フィルタ195を介した液体の通過を実質的に排除するように構成された一次疎水性フィルタ195を備えることができる。臭気フィルタ194および一次疎水性フィルタ195は、減圧源128または任意選択の治療ユニット130とドレッシング124との間の流体連通が臭気フィルタ194および一次疎水性フィルタ195を通じて提供されるように、導管インターフェース148または他の適切な場所に配置することができる。いくつかの実施形態では、接着剤または溶着などの任意の適切な方法で導管インターフェース148内に臭気フィルタ194および一次疎水性フィルタ195を固定することができる。他の実施形態では、臭気フィルタ194または一次疎水性フィルタ195を省くことができ、あるいは、大気、減圧源128または任意選択の治療ユニット130と流体連通するシステム102またはドレッシング124の何れかの出口位置の近傍に配置することができる。
臭気フィルタ194は、層または粒子の形態の炭素材料から構成することができる。例えば、臭気フィルタ194は、英国ランカシャーのChemviron Carbon,Ltd.によって製造されているもののような織り炭素布フィルタを含むことができる。一次疎水性フィルタ195は、液体不透過性で蒸気透過性の材料から構成することができる。例えば、一次疎水性フィルタ195は、米国デラウェア州ニューアークのW.L.Gore & Associates,Inc.により称号MMT-314で製造された材料またはそれと類似の材料を含むことができる。一次疎水性フィルタ195は、膜または層の形態で提供されるものであってもよい。
図1、図2および図7に示すように、減圧源128は、ドレッシング124および密閉空間174に減圧を提供することができる。減圧源128は、例えば、真空ポンプ、壁面吸い込み、ハンドポンプ、手動ポンプまたは他のソースなど、減圧を提供する任意の適切なデバイスとすることができる。いくつかの実施形態では、減圧源128が治療ユニット130の一構成要素である。治療ユニット130は、組織部位104における減圧を監視するように構成された、制御回路および圧力センサなどのセンサを含むことができる。治療ユニット130は、ユーザ入力および組織部位104から受信した減圧フィードバック信号に従って、減圧源128から組織部位104に印加される減圧の量を制御するように構成することができる。いくつかの実施形態では、減圧源128(例えば、手動ポンプ、ハンドポンプなど)が容器を含むことができ、または組織部位104から収集した流体を受け入れる容器に流体的に接続されるようにしてもよい。このため、減圧源128が減圧を発生させると、流体が組織部位からドレッシング、ブリッジを通って伝達されて、減圧源128の容器内または減圧源128に流体的に接続された容器内に受け入れられて蓄えられる。
本明細書では、「減圧」は、治療を受けている組織部位における周囲圧力より低い圧力を指すことができる。いくつかの実施形態では、減圧が大気圧よりも低い。さらに、いくつかの実施形態では、減圧が組織部位における静水圧も下回る。他に指定のない限り、本明細書に記載の圧力の値はゲージ圧である。組織部位に適用される減圧の量および性質は用途に応じて変わり得るが、いくつかの実施形態では、減圧が-5mmHgから-500mmHgである。いくつかの実施形態では、減圧が-100mmHgから-200mmHgである。
送達される減圧は、例えば、一定であり、あるいは変化し、あるいはパターンがあり、またはランダムである。さらに、減圧は、連続的にまたは断続的に送達することができる。「真空」および「負圧」という用語は、組織部位に加えられる圧力を説明するために使用されることがあるが、組織部位に加えられる実際の圧力は、完全な真空に通常付随する圧力よりも高い場合がある。本明細書における使用と一致して、減圧または真空圧の上昇は、絶対圧力の相対的な減少を指すことがある。さらに、減圧の上昇は圧力の低下(周囲圧力に対してより負)に対応し、減圧の低下は圧力の上昇(周囲圧力に対してより負ではない)に対応する。
図1および図7を参照すると、内部ルーメン197を有する導管196が減圧源128とドレッシング124との間で流体連通するように結合されている。内部ルーメン197は、約0.5ミリメートル~約3.0ミリメートルの内径を有することができる。いくつかの実施形態では、内部ルーメン197の内径が約1ミリメートル~約2ミリメートルである。導管インターフェース148は、ドレッシング124と流体連通するように結合されるとともに、減圧源128との流体連通を提供するために導管196とドレッシング124との間を接続するように構成されている。導管インターフェース148は、例えば、接着剤、溶媒または非溶媒の結合、溶着または締まり嵌めなどの任意の適切な方法で、導管196に流体結合することができる。シール部材140の開口部170は、ドレッシング124と導管インターフェース148との間の流体連通を提供することができる。例えば、導管インターフェース148は、シール部材140の開口部170を介して包囲空間172または密閉空間174と流体連通することができる。いくつかの実施形態では、導管インターフェース148を使用せずに減圧源128との流体連通を提供するために、シール部材140の開口部170を介してドレッシング124内に導管196を挿入するようにしてもよい。また、減圧源128は、導管196を使用せずにドレッシング124またはシール部材140と流体連通するように直接結合されるものであってもよい。いくつかの実施形態では、導管196が、例えば可撓性ポリマーチューブである。導管196の遠位端は、減圧源128に取り付けるためのカップリング198を含むことができる。
導管196は、減圧源128とドレッシング124との間の流体連通が二次疎水性フィルタ199を介して提供されるように、内部ルーメン197内に配置された二次疎水性フィルタ199を有することができる。二次疎水性フィルタ199は、例えば、多孔質焼結ポリマーシリンダであり、液体がシリンダを迂回するのを実質的に妨げるように内部ルーメン197の寸法に適合する大きさとされる。二次疎水性フィルタ199は、液体と接触すると膨潤して液体の流れを遮断するように構成された吸収材料で処理されるものであってもよい。二次疎水性フィルタ199は、内部ルーメン197内の任意の位置に配置することができる。しかしながら、二次疎水性フィルタ199をドレッシング124よりも減圧源128の近くで内部ルーメン197内に配置することにより、ユーザが内部ルーメン197内の液体の存在を検出することが可能となる。
いくつかの実施形態では、導管196およびカップリング198を、導管インターフェース148について述べたように、吸収材料または親水性ポリマーで形成することができる。このようにして、導管196およびカップリング198は、導管196およびカップリング198内の液体が、導管インターフェース148について述べたように、蒸発するか、または他の方法で消散することを可能にする。導管196およびカップリング198は、例えば、親水性ポリマーから別々に、個々の構成要素として成形することができ、あるいは一体構成要素として一緒に成形することができる。さらに、内部ルーメン197を規定する導管196の壁は、親水性ポリマーから押し出し成形されるものであってもよい。導管196は、長さを約1メートル未満とすることができるが、特定の用途に適した任意の長さを有することができる。
図8を参照すると、ドレッシング124およびシステム102とともに使用するのに適した流体管理アセンブリ244の別の実施形態が示されている。流体管理アセンブリ244は、流体管理アセンブリ144に関して述べたものと実質的に同じ材料および特性からなる、第1のドレッシングウィッキング層276と、第2のドレッシングウィッキング層280と、吸収剤層284とを含むことができる。このため、第1のドレッシングウィッキング層276、第2のドレッシングウィッキング層280および吸収剤層284はそれぞれ、第1のドレッシングウィッキング層176、第2のドレッシングウィッキング層180および吸収剤層184に類似するものであってもよい。
流体管理アセンブリ244において、第2のドレッシングウィッキング層280は、周縁部287を有することができる。第2のドレッシングウィッキング層280および第2のドレッシングウィッキング層280の周縁部287は、シール部材140と接触して配置されるようにしてもよい。吸収剤層284は、第2のドレッシングウィッキング層280の周縁部287を越えて延びる周縁部285を有することができる。吸収剤層284は、吸収剤層284の周縁部285が第2のドレッシングウィッキング層280の周縁部287を取り囲むシール部材140と接触するように、第2のドレッシングウィッキング層280に隣接または近接して配置することができる。同様に、第1のドレッシングウィッキング層276は、吸収剤層284の周縁部285を越えて延びる周縁部286を有することができる。第1のドレッシングウィッキング層276は、第1のドレッシングウィッキング層276の周縁部286が吸収剤層284の周縁部285を取り囲むシール部材140と接触するように、吸収剤層284に隣接または近接して配置することができる。さらに、第1のドレッシングウィッキング層276は、ベース層132に隣接または近接して配置されるようにしてもよい。このため、少なくとも周縁部287、周縁部285および周縁部286は、例えばベース層132を向くシール部材140の表面に配置された接着剤コーティングによって、シール部材140に結合されるようにしてもよい。接着剤コーティングは、ベース層132を向くシール部材140の表面全体に塗布される接着剤136に類似するものであってもよい。第2のドレッシングウィッキング層280、吸収剤層284および第1のドレッシングウィッキング層276はそれぞれ、上述した接着剤コーティングとの接触を強化するために、表面積を増大させることができる。他の実施形態では、流体管理アセンブリ244が、特定の組織部位を治療するための任意の数の吸収剤層およびウィッキング層を含むことができる。
動作中、いくつかの例示的な実施形態によれば、界面マニホールド120は、組織部位104に接触してまたはその近傍に配置されるようにしてもよい。ドレッシング124は、界面マニホールド120および組織部位104の上にまたはそれらを覆うように適用されて、密閉空間174を形成することができる。例えば、ベース層132は、界面マニホールド120および組織部位104周囲の組織を覆うように適用することができる。ベース層132について上述した材料は、最初にドレッシング124を定位置に保持できる粘着性を有することができる。粘着性は、調整が望ましい場合にドレッシング124を除去して再適用し得るような粘着性とすることができる。ドレッシング124が所望の位置に配置されたら、組織部位104の反対側または外側を向くシール部材140の面に、手の圧力などの力を加えることができる。シール部材140に加えられる力によって、接着剤136の少なくとも一部が複数の開口部160を通って延在して、表皮106などの組織部位104周囲の組織と接触し、それにより、組織部位104の周りにドレッシング124を取り外し可能に付着させることができる。このようにして、上述したドレッシング124の構成は、肘または踵などの困難な解剖学的表面に対して、組織部位104およびその周囲に、効果的かつ信頼性の高いシールを提供することができる。さらに、ドレッシング124は、例えば、ドレッシング124および組織部位104におけるしわや他の不連続性によって引き起こされる空気漏れをなくすために、再適用または再位置決めを可能とすることができる。漏れを直す能力は、治療の信頼性を高め、電力消費を減らすことができる。
ドレッシング124が組織部位104からの流体と接触すると、流体は開口部160を通って流体管理アセンブリ144,244に向かって移動することができる。流体管理アセンブリ144,244は、組織部位104から、界面マニホールド120がある場合には、そこを通して、流体を運び、または他の方法で移動させることができる。上述したように、界面マニホールド120は、流体を貯蔵するのではなく、組織部位104からの流体を伝えるように適合させることができる。このため、流体管理アセンブリ144,244は、界面マニホールド120を介して組織部位104から流体を運び、引っ張り、引き出し、または他の方法で引き寄せるように構成することができる。流体管理アセンブリ144,244では、流体が最初に第1のドレッシングウィッキング層176,276に接触し得る。第1のドレッシングウィッキング層176,276は、第1のドレッシングウィッキング層176,276の表面に沿って横方向に流体を分配して、ドレッシング124から吸収または除去することができる。同様に、流体は、第2のドレッシングウィッキング層180,280と接触し、第2のドレッシングウィッキング層180,280の表面に沿って横方向に分配されて、ドレッシング124から吸収または除去されるものとなる。
図9~図11を参照すると、いくつかの実施形態では、ブリッジアセンブリ310が、組織部位104と減圧源128との間に流体通路を規定するために組織部位104およびドレッシング124から離れるように延在するものであってもよい。例えば、ブリッジアセンブリ310は、ドレッシング124と減圧源128との間で流体連通するように結合されるようにしてもよい。しかしながら、ブリッジアセンブリ310の他の応用も可能である。いくつかの実施形態では、ブリッジアセンブリ310が、貯蔵ブリッジ320、シール具330および導管インターフェース148を含むことができる。なお、図9~図11を参照してドレッシング124を説明したが、本明細書に記載のドレッシング324またはドレッシング424が、図9~図11を参照して追加的または代替的に使用されるものであってもよい。
貯蔵ブリッジ320は、送り出し端部338から長さ340だけ離れた又は間隔を空けて配置された受け入れ端部334を含むことができる。受け入れ端部334は、受け入れ端部開口342を有することができ、送り出し端部338は、送り出し端部開口346を有することができる。受け入れ端部334および受け入れ端部開口342は、貯蔵ブリッジ320の長さ340を介して送り出し端部338および送り出し端部開口346と流体連通することができる。
導管インターフェース148は、例えば受け入れ端部開口342を介して、貯蔵ブリッジ320の受け入れ端部334に流体的に結合されるように構成されるものであってもよい。このため、導管インターフェース148は、貯蔵ブリッジ320の長さ340を介して送り出し端部338と流体連通されるようにしてもよい。シール具330は、送り出し端部338をドレッシング124に結合し、送り出し端部開口部346を介してドレッシング124と流体連通させるために、送り出し端部開口346の周りに、かつ送り出し端部338とドレッシング124との間に配置されるものであってもよい。このため、導管インターフェース148は、貯蔵ブリッジ320を介してドレッシング124と流体連通するように位置決めすることができる。シール具330は、非限定的な例として接着リングや溶着など、上述した接続を行うための任意の適切なデバイスとすることができる。
いくつかの実施形態では、貯蔵ブリッジ320が、ブリッジエンベロープ350、ブリッジ吸収剤354およびブリッジシール部材358を含むことができる。ブリッジエンベロープ350は、貯蔵ブリッジ320の長さ340に沿って延びることができる。さらに、ブリッジエンベロープ350は、内部ボリューム360を規定することができる。ブリッジ吸収剤354は、ブリッジエンベロープ350の内部ボリューム360内に配置されるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、ブリッジ吸収剤354が、不飽和状態で、ブリッジエンベロープ350の内部ボリューム360よりも小さい体積362を有することができる。いくつかの実施形態では、ブリッジ吸収剤354が、不飽和状態で、ブリッジエンベロープ350の内部ボリューム360より少なくとも5パーセント小さい体積362を有することができる。いくつかの実施形態では、ブリッジ吸収剤354が、不飽和状態で、ブリッジエンベロープ350の内部ボリューム360より少なくとも10パーセント小さい体積362を有することができる。いくつかの実施形態では、ブリッジ吸収剤354が、不飽和状態で、ブリッジエンベロープ350の内部ボリューム360の20パーセント~約90パーセントの体積362を有することができる。いくつかの実施形態では、ブリッジ吸収剤354の断面積364を、ブリッジエンベロープ350の断面積366よりも小さくすることができる。ブリッジエンベロープ350の内部ボリューム360または断面積366よりも小さい体積362または断面積364を有するブリッジ吸収剤354は、ブリッジエンベロープ350の内部ボリューム360内に配置されたときに、流体の自由な移動およびブリッジ吸収剤354の周りの圧力の分配を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ブリッジエンベロープ350がブリッジ吸収剤354を完全に取り囲むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、ブリッジエンベロープ350がブリッジ吸収剤354を封入することができる。さらに、いくつかの実施形態では、ブリッジ吸収剤354が、ブリッジエンベロープ350の内部ボリューム360内で移動可能、拡張可能または膨潤可能である。例えば、ブリッジ吸収剤354が液体で完全にまたは部分的に飽和状態になると、ブリッジ吸収剤354が移動、拡張または膨張するように構成されるようにしてもよい。
さらに、ブリッジエンベロープ350は内面368を含むことができ、ブリッジ吸収剤354は外面370を含むことができる。いくつかの実施形態では、ブリッジ吸収剤354の外面370の少なくとも一部を、ブリッジエンベロープ350の内面368から間隔を空けて、または離して配置させることができる。さらに、いくつかの実施形態では、ブリッジ吸収剤354の外面370全体を、ブリッジエンベロープ350の内面368から間隔を空けて、または離して配置させることができる。ブリッジ吸収剤354の外面370とブリッジエンベロープ350の内面368との間の分離または空間は、例えば、動作中に外面370と内面368との間に位置する流体によって生じ得る。
いくつかの実施形態では、ブリッジエンベロープ350が、流体捕捉面372および流体分配面374を含むことができる。流体分配面374は、流体捕捉面372の反対側に配置することができる。流体分配面374は、ブリッジエンベロープ350の内部ボリューム360およびブリッジ吸収剤354を向くようにしてもよい。いくつかの実施形態では、ブリッジ吸収剤354の少なくとも一部が、ブリッジエンベロープ350の流体分配面374から間隔を空けて配置されるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、流体分配面374が、貯蔵ブリッジ320の長さ340に沿って長手方向に実質的に向けられた複数の長手方向繊維391を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、流体捕捉面372が、長手方向繊維391に対して実質的に垂直に向けられた複数の垂直方向繊維393を含むことができる。
いくつかの実施形態では、ブリッジエンベロープ350が、第1のブリッジウィッキング層380および第2のブリッジウィッキング層382を含むことができる。第1のブリッジウィッキング層380および第2のブリッジウィッキング層382はそれぞれ、貯蔵ブリッジ320の長さ340に沿って延びることができ、かつブリッジシール部材358によって規定される内部通路384内に配置させることができる。第1のブリッジウィッキング層380の周縁部またはエッジは、例えば溶着386などの任意の適切な方法で、第2のブリッジウィッキング層382の周縁部またはエッジに結合され、それによりブリッジエンベロープ350の内部ボリューム360が規定されるようにしてもよい。ブリッジ吸収剤354は、第1のブリッジウィッキング層380と第2のブリッジウィッキング層382との間に配置することができる。第1のブリッジウィッキング層380および第2のブリッジウィッキング層382はそれぞれ、流体捕捉面372および流体分配面374を含むことができる。流体分配面374は、第1のブリッジウィッキング層380および第2のブリッジウィッキング層382の流体捕捉面372の反対側に配置することができる。さらに、第1のブリッジウィッキング層380および第2のブリッジウィッキング層382の流体分配面374は、ブリッジ吸収剤354を向くようにしてもよい。いくつかの実施形態では、ブリッジ吸収剤354の少なくとも一部を、第1のブリッジウィッキング層380および第2のブリッジウィッキング層382の流体分配面374から間隔を空けて、または離して配置することができる。
いくつかの実施形態では、ブリッジエンベロープ350が、不織材料または構造を含むことができ、それには、ポリエステル、コポリエステル、ポリオレフィン、セルロース系繊維、およびそれら材料の組合せまたはブレンドなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、ブリッジエンベロープ350が、LIBELTEX TDL4またはLIBELTEX TDL2、または第1のドレッシングウィッキング層176および第2のドレッシングウィッキング層180について前述した材料のうちの何れかを含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、ブリッジエンベロープ350が、繊維または発泡体構造を有する積層体を含むことができる。第1のブリッジウィッキング層380および第2のブリッジウィッキング層382はそれぞれ、ブリッジエンベロープ350について上述したものと同じ材料から構成されるものであってもよい。いくつかの実施形態では、ブリッジ吸収剤354が、超吸収ポリマーまたは同様の吸収材料を含むことができ、それには、TEXSUS FP2325、またはGelok(登録商標)30040-76 S/S/S 300gsmの吸収剤が挙げられるが、それらに限定されるものではない。さらに、いくつかの実施形態では、ブリッジ吸収剤354が、ドレッシング吸収剤184について先に述べた材料のうちの何れかを含むことができる。
ブリッジシール部材358は、ブリッジエンベロープ350を封入し、内部通路384を規定することができる。内部通路384は、貯蔵ブリッジ320の受け入れ端部334と送り出し端部338との間で流体連通することができる。いくつかの実施形態では、ブリッジシール部材358がブリッジエンベロープ350を完全に取り囲むことができる。いくつかの実施形態では、ブリッジシール部材358によって規定された内部通路384内にブリッジエンベロープ350を配置することができる。いくつかの実施形態では、ブリッジシール部材358が、貯蔵ブリッジ320の受け入れ端部334と送り出し端部338との間に、ブリッジエンベロープ350を密封状態で収容することができる。
ブリッジシール部材358は、ドレッシングシール部材140について述べたものと同様の材料から構成されるものであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ブリッジシール部材358が実質的に液体不透過性のフィルムを含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、ブリッジシール部材358が蒸気透過性フィルムを含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、ブリッジシール部材358が通気性フィルムを含むことができる。ブリッジシール部材358に適した材料の更なる例としては、Scapa Bioflex 130ポリウレタンフィルム(登録商標)などのポリウレタンドレープまたはフィルム、ポリエステルおよびコポリエステルなどのポリマーから形成されたフィルム、ポリアミド、ポリアミド/ブロックポリエーテル、アクリル、ビニルエステル、ポリビニルアルコールコポリマー、接着剤を含む又は含まないフィルム、例えば、INSPIRE 2305ポリウレタンドレープのような高水蒸気透過率(MVTR)フィルムが含まれるが、それらに限定されるものではない。高MVTRフィルムは、凝縮物の蒸発をもたらすことができ、それが貯蔵ブリッジ320の外面全体の周りで生じ得る。このように、貯蔵ブリッジ320の容量、流体処理および蒸発特性は、少なくとも、貯蔵ブリッジ320の外面のすべての側および部分の周りに提供される空気移動および表面積の増加により、向上させ、または改善することができる。
いくつかの実施形態では、ブリッジシール部材358が、第1のシール層388および第2のシール層390を含むことができる。第1のシール層388の第1の周縁部またはエッジは、例えば溶着392のような任意の適切な方法により、ブリッジエンベロープ350の周りで、第2のシール部390の第2の周縁部またはエッジに結合され、それにより、ブリッジシール部材358を形成し、その中にブリッジエンベロープ350を封入することができる。他の実施形態では、ブリッジシール部材358を単層の材料から形成することができる。
ブリッジアセンブリ310は、貯蔵ブリッジ320内に保持されている流体のレベルを示すための特徴部を含むことができる。例えば、貯蔵ブリッジ320は、貯蔵ブリッジ320の長さ340に沿って配置された流体容量インジケータ394または複数の流体容量インジケータ394を含むことができる。いくつかの実施形態では、流体容量インジケータ394が、貯蔵ブリッジ320に存在する流体の量または残っている流体容量を示すために、貯蔵ブリッジ320の長さ340に沿って連続的に配置されるものであってもよい。流体容量インジケータ394はそれぞれ、貯蔵ブリッジ320の全流体容量の比率または割合を識別することができる。さらに、いくつかの実施形態では、例えばコーティング、層または粒子など、任意の適切な方法で、液体変化染料(図示省略)を、ブリッジシール部材358によって規定された内部通路384内に配置することができる。液体変化染料は、貯蔵ブリッジ320内に保持されている流体のレベルを示すこともできる。液体変化染料としての使用に適した材料は、ポリビニルアルコールおよびコポリマーのような水溶性または膨潤性ポリマー、アクリル、ポリウレタン、並びに、アクリル酸ナトリウム、カリウムおよびナトリウムなどの可溶性塩が含まれるが、それらに限定されるものではない。例えばインジゴカルミンまたはファストグリーンFCFのような水溶性染料を上記の水溶性ポリマーに混合するようにしてもよい。そのような化合物は、流体に曝されると膨潤または溶解することができ、それにより染料を放出して、貯蔵ブリッジ320内の流体レベルを示すことができる。
動作中、減圧源128は貯蔵ブリッジ320の受け入れ端部334に流体的に結合されるようにしてもよい。例えば、導管インターフェース148が受け入れ端部334に流体的に結合され、導管196が、前述した実施形態と同様に、導管インターフェース148と減圧源128との間に流体的に結合されるようにしてもよい。貯蔵ブリッジ320の送り出し端部338は、上述したように、ドレッシング124に流体的に連結されるようにしてもよい。減圧源128は、貯蔵ブリッジ320を介してドレッシング124に減圧を提供するように作動させることができ、それにより、組織部位104およびドレッシング124から貯蔵ブリッジ320内に流体を引き込み、移動させ、または引っ張ることができる。
貯蔵ブリッジ320の構造は、ドレッシング124よりも親水性または吸収性であるように構成されるようにしてもよい。例えば、前述したいくつかの実施形態では、ドレッシング124が吸収剤なしで構成され、一方、貯蔵ブリッジ320がブリッジ吸収剤354を有するように構成されるものであってもよい。他の実施形態では、ドレッシング124が、いくらかの吸収性を有するが、貯蔵ブリッジ320よりも低い吸収性を有する構成要素を含むことができる。このため、システム102は、例えばドレッシング124から減圧源128に向かってなど、組織部位104からの距離が離れるに連れて吸収性または親水性が増大する吸収勾配を有するように構成することができる。したがって、減圧の印加により、さらには吸収勾配によって流体に加わる吸引力の作用によって、流体が組織部位104から貯蔵ブリッジ320内に引き込まれる。
流体が貯蔵ブリッジ320に入ると、流体は最初に貯蔵ブリッジ320の送り出し端部338付近のブリッジ吸収剤354の部分と接触し、それが流体で飽和するか、または閉鎖されることがある。貯蔵ブリッジ320の送り出し端部338付近のそのような流体飽和または閉鎖は、貯蔵ブリッジ320の受け入れ端部334に向かって、貯蔵ブリッジ320の外面370とブリッジエンベロープ350の内面368との間で、貯蔵ブリッジ320の長さ340に沿って流体を吸収のために移動させることができる。ブリッジエンベロープ350の内面368は、ブリッジエンベロープ350の流体分配面374であってもよく、それにより、ブリッジエンベロープ350の内部ボリューム360およびブリッジ吸収剤354内の流体の移動および分配を向上させることができる。また、流体は、貯留ブリッジ320の長さ340に沿って流体捕捉面372に沿って進み又は移動し、ブリッジエンベロープ350を通り抜けて流体分配面374に達し、ブリッジ吸収剤354に分配される。このようにして、貯蔵ブリッジ320が最大流体容量に達するまで、流体が貯蔵ブリッジ320の長さ340に沿って送り出し端部338から受け入れ端部334へと移動し続けることができる。流体で飽和または閉鎖された貯蔵ブリッジ320の部分は、膨潤して、貯蔵ブリッジ320に含まれる流体のレベルの指標として機能することができる。流体容量インジケータ394および液体変化染料は、上述したように、流体容量の指標を提供することもできる。
図12を参照すると、性能試験の結果として、ドレッシング124内の圧力対流体体積のグラフプロットが示されている。試験では、貯蔵ブリッジ320を本開示に係るドレッシング124と組み合わせた。貯蔵ブリッジ320を垂直姿勢で保持し、貯蔵ブリッジ320を介して125mmHgの減圧をドレッシング124に加えた。図9に示すように、1時間当たり0.83ccの速度でドレッシング124に生理食塩水が供給される間に、ドレッシング124のエッジYおよび中央Xにおいて、ドレッシング124の圧力測定が行われた。図12に示すように、測定圧力は約115mmHgから約125mmHgの間で安定したままであり、試験中の食塩水の添加中にシステム102内または貯蔵ブリッジ320にわたって有意な減圧低下が生じなかったことを示している。
上述した他の利点の中でも、貯蔵ブリッジ320は、電力消費、漏れを低減し、かつ、ドレッシングと減圧源との間の流体連通を提供する従来のチューブまたは同様の構造に存在する静止液体柱によって生じる水頭圧に付随する他の課題を低減することができる。さらに、組織部位から除去された大量の流体を組織部位の表面から遠ざけることができる。貯蔵ブリッジ320は、組織部位との流体連通を提供するための薄型で適合性のある解決策を提供することができ、それにより患者の快適性を向上させることができる。
図面を参照すると、図13は、患者の組織部位104を治療するためのシステム302の例示的な一実施形態を示している。組織部位104は、表皮106、真皮108および皮下組織110を通って延在するものであっても、あるいはそれらを含むようにしてもよい。組織部位104は、表皮106の表面の下に延びる図13に示すような表面下組織部位であることもある。さらに、組織部位104は、例えば切開部など、表皮106の表面に主に存在する表面組織部位(図示省略)の場合もある。システム302は、システム302の位置または組織部位の種類に関係なく、例えば、表皮106、真皮108および皮下組織110に対する治療を提供することができる。システム302は、静脈性下肢潰瘍(VLU)などの患者の創傷および浅い創傷を治療するために使用することができる。また、システムは、創傷の上または近傍で患者に取り付けられ、包帯および/または圧迫帯(疎水性コーティングを有する圧迫帯など)を使用して創傷またはその近傍の組織に対して圧迫される。圧迫帯(疎水性コーティングを有する圧迫帯など)は、蒸発した流体がシステム302のドレッシング内に溜まるのを防ぎ、感染の可能性や、臭気による患者の健康に対する悪影響を低減することができる。いくつかの実施形態では、圧迫帯が、臭気を軽減するための活性炭成分を含むことができる。活性炭成分は、流体分子がコーティングされた圧迫帯に引き寄せられるため、システム302のドレッシングからの蒸発速度を増大させる可能性がある。組織に対して圧迫されているシステム302は、患者の上の薄い形状を提供することができる。また、システム302は、他の組織部位においても、制限なく使用することができる。
組織部位104は、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、真皮組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、靭帯または他の任意の組織を含む、任意のヒト、動物または他の生物の体組織であってもよい。組織部位104の治療は、滲出液または腹水などの体液の除去を含むことができる。
図13に示すように、システム302は、界面マニホールド120などの任意の組織インターフェースを含むことができる。さらに、システム302は、ドレッシング324および減圧源128を含むことができる。減圧源128は、任意の治療ユニット130の一構成要素とすることができる。いくつかの実施形態では、減圧源128および治療ユニット130が別々の構成要素であってもよい。さらに、いくつかの実施形態では、異なるタイプの組織部位、または異なるタイプの治療、例えば、上皮形成などについては、界面マニホールド120を省略することができる。界面マニホールド120は、具備する場合、例えば、組織部位104に適合するように任意の適切な方法で界面マニホールド120を切断または他の方法で成形することによって、組織部位104に近接または隣接して配置されるように構成されるものであってもよい。後述するように、界面マニホールド120は組織部位104と流体連通するように配置されて、減圧を組織部位104に分配するように構成されるものであってもよい。いくつかの実施形態では、界面マニホールド120が組織部位104と直接接触して配置されるようにしてもよい。
組織インターフェースまたは界面マニホールド120は、真空空間または治療空間を提供する任意のマニホールド材料または可撓性ボルスタ材料、例えば、多孔質で透過性の発泡体または発泡様材料、経路を有するように形成された部材、移植片、非粘着性材料、非粘着性コポリマーメッシュ、またはガーゼから形成することができる。いくつかの実施形態では、界面マニホールド120が、減圧下において流体透過性である網目状の連続気泡ポリウレタンまたはポリエーテル発泡体であってもよい。そのような発泡体材料の一つは、テキサス州サンアントニオのKinetic Concepts,Inc.(KCI)から入手可能なVAC(登録商標)GranuFoam(登録商標)材料である。さらに、いくつかの実施形態では、マニホールド材料が流体を分配または収集するように動作可能であるという条件で、界面マニホールド120のためのマニホールド材料として、任意の材料または材料の組合せを使用することができる。例えば、本明細書において、マニホールドという用語は、複数の孔、経路または流路を介して組織部位に流体を送達するように、または組織部位から流体を除去するように構成された物質または構造体を指すことができる。複数の孔、経路または流路は、マニホールドの周囲の領域に提供される流体や、そこから除去される流体の流通を改善するために、相互接続されるものであってもよい。マニホールドの例には、流路を形成するように配置された構造要素を有するデバイス、連続気泡発泡体などの気泡発泡体、多孔質組織収集体、および流路を含むか又は含むように硬化する液体、ゲルおよび発泡体が含まれるが、それらに限定されるものではない。
いくつかの実施形態では、界面マニホールド120には、用途に応じて、GranuFoam(登録商標)材料よりも高いまたは低い密度を有する材料が望ましい場合もある。多くの可能性のある材料の中で、GranuFoam(登録商標)材料、Foamex(登録商標)テクニカルフォーム(www.foamex.com)、ネイル構造の成形ベッド、Sercol Industrial Fabricsによって製造されるようなパターン化グリッド材料、英国のBaltex of Derbyによって製造されるような3D繊維製品、ガーゼ、可撓性流路含有部材または移植片を使用することができるが、それらに限定されるものではない。さらに、いくつかの実施形態では、例えば、マイクロボンディングプロセスによって、イオン銀が界面マニホールド120に追加されるようにしてもよい。抗菌剤などの他の物質も同様に界面マニホールド120に添加することができる。
いくつかの実施形態では、界面マニホールド120が多孔質の疎水性材料を含むことができる。界面マニホールド120の疎水性特性は、界面マニホールド120が組織部位104からの滲出液などの流体を直接吸収するのを妨げるが、流体が通過することを可能にする。
いくつかの実施形態では、ドレッシング324が、ベース層132、接着剤136、シール部材140、流体管理アセンブリ344および導管インターフェース148を含むことができる。ドレッシング324の構成要素は、具体的な用途に適合するように追加または除去することができる。いくつかの実施形態では、ドレッシング324が、減圧源128から界面マニホールド120へと減圧を提供し、界面マニホールド120を介して組織部位104から流体を抽出するように構成されるようにしてもよい。
図13~図16Bを参照すると、ベース層132は、中央部156を取り囲む周縁部152と、周縁部152および中央部156を貫通して配置された複数の開口部160とを有することができる。ベース層132は、コーナ158およびエッジ159も有することができる。コーナ158およびエッジ159は、周縁部152の一部である。エッジ159の一つは、別のエッジ159と交わって、コーナ158の一つを規定することができる。さらに、ベース層132は、中央部156を実質的に取り囲み、中央部156と周縁部152の間に位置する境界部161を有することができる。いくつかの実施形態では、境界層161に開口部160がないようにすることができる。いくつかの実施形態では、ベース層132の中央部156が界面マニホールド120に隣接または近接して配置され、ベース層132の周縁部152が組織部位104周囲の組織に隣接または近接して配置されるように、ベース層132が、界面マニホールド120および組織部位104周囲の組織を覆うように適合させることができる。そのような実施形態では、ベース層132の周縁部152が、界面マニホールド120を取り囲むことができる。さらに、ベース層132の開口部160は、界面マニホールド120および組織部位104周囲の組織と流体連通することができる。
ベース層132の開口部160は、例えば、円形、正方形、星形、楕円形、多角形、スリット、複雑な曲線、直線形、三角形または他の形状など、任意の形状を有することができる。開口部160は、切削、局所的なRFエネルギーの印加、または開口部を形成するための他の適切な技術によって、形成することができる。複数の開口部160の各開口部160は、直径および面積を有する、実質的に円形の形状であってもよい。本明細書の例示的な実施形態に記載されている開口部160の面積は、円形ではない形状を有する開口部160についての他の実施形態における面積と実質的に同様とすることができる。さらに、各開口部160の面積は実質的に同じであってもよく、または各面積が、例えばベース層132における開口部160の位置に基づいて変化するようにしてもよい。例えば、ベース層132の周縁部152における開口部160の面積は、ベース層132の中央部156における開口部160の面積よりも大きくてもよい。開口部160は、ベース層132において均一なパターンを有するようにしても、あるいはランダムに分布するようにしてもよい。開口部160のサイズおよび構成は、後述するように、表皮106へのドレッシング124の付着性を制御するように設計されるものであってもよい。
いくつかの実施形態では、周縁部152に配置された開口部160が開口部160aであり、周縁部152のコーナ158に配置された開口部160が開口部160bであり、中央部156に配置された開口部160が開口部160cである。いくつかの実施形態では、開口部160aの面積が開口部160bの面積よりも大きい。さらに、いくつかの実施形態では、開口部160bの面積が開口部160cよりも大きい。ベース層132の寸法は、特定の用途に適合するように、例えば、実質的に互いに比例して増加または減少させることができる。さらに、ベース層132の中央部156、境界部161および周縁部152は、実質的に正方形の形状を有するように示されているが、ベース層132のそれら構成要素および他の構成要素は、特定の用途に適した任意の形状を有することができる。
ベース層132は、本明細書に記載されるように組織部位104との流体シールを提供するのに適した柔らかい柔軟な材料とすることができる。例えば、ベース層132は、シリコーンゲル、軟質シリコーン、ヒドロコロイド、ヒドロゲル、ポリウレタンゲル、ポリオレフィンゲル、水素化スチレンコポリマーゲル、発泡ゲル、後述するように接着剤でコーティングされたポリオレフィンおよびポリウレタンのような軟質独立気泡発泡体、ポリウレタン、ポリオレフィンまたは水素化スチレンコポリマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、ベース層132が、Scapa Soft-Pro(登録商標)のようなシリコーンを含むことができる。ベース層132は、約500ミクロン(μm)から約1000ミクロン(μm)の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、ベース層132が、約5ショアOOから約80ショアOOの剛性を有することができる。さらに、いくつかの実施形態では、疎水性または親水性材料からベース層132を構成することができる。
いくつかの実施形態(図示省略)では、ベース層132が疎水性コーティングされた材料であってもよい。例えば、ベース層132は、織布、不織布、成形物、または押出しメッシュなどの間隔の空いた材料を疎水性材料でコーティングすることによって形成することができる。コーティング用の疎水性材料は、例えば、軟質シリコーンであってもよい。ベース層132は、追加的または代替的には、非粘着性コポリマーメッシュであってもよい。このようにして、接着剤136は、開口部160と同様に、間隔をあけた材料の開口部を通って延在することができる。
いくつかの実施形態では、接着剤136が、ベース層132の少なくとも周縁部152の開口部160に曝されるようにしてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、接着剤136が、ベース層132の少なくとも周縁部152の開口部160に隣接して配置されるか、または流体連通すべく配置されるようにしてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、接着剤136が、ベース層132の開口部160を介して組織部位104周囲の組織に曝されるか、または流体連通することができる。本明細書に記載のように、かつ図15に示すように、接着剤136は、例えば組織部位104周囲の組織にドレッシング324を固定するために表皮106に接触するように、延在するか、変形するか、または複数の開口部160を介して押し込まれるようにしてもよい。開口部160は、組織部位104の周りにドレッシング124を固定するために、表皮106に対する接着剤136の十分な接触を提供することができる。しかしながら、本明細書に記載の開口部160および接着剤136の構成は、ドレッシング324を解放して組織部位104の周りに再配置することを可能にすることができる。
いくつかの実施形態では、周縁部152のコーナ158の開口部160bが、周縁部152の他の部分の開口部160aよりも小さくてもよい。所与の幾何学的形状のコーナ158については、開口部160aと比べて開口部160bのサイズを小さくすることにより、コーナ158で開口部160bと、開口部160bを介して組織とに曝される接着剤136の表面積を増大または増加させることができる。コーナ158の開口部160bのサイズおよび数は、コーナ158の選択された幾何学的形状に応じて、必要に応じて調整され、それにより、上述したように接着剤136の露出表面積を増大または増加させることができる。
コーナ158の開口部160bと同様に、開口部160は何れも、特定の用途またはベース層132の幾何学的形状に応じて、開口部160に曝される又は流体連通する接着剤136の表面積を増大させるために、サイズおよび数を調整することができる。例えば、いくつかの実施形態(図示省略)では、開口部160bまたは別のサイズの開口部が、周縁部152および境界部161に配置されるようにしてもよい。同様に、開口部160bまたは別のサイズの開口部は、上述したように、複雑な幾何学形状または形状を有するベース層132の他の位置に配置することができる。
接着剤136は、医薬的に許容し得る接着剤とすることができる。いくつかの実施形態では、接着剤136が変形可能または流動可能である。例えば、接着剤136は、アクリル接着剤、ゴム系接着剤、高粘着性シリコーン接着剤、ポリウレタンまたは他の接着物質を含むことができる。いくつかの実施形態では、接着剤136がアクリル接着剤を含む感圧接着剤である。接着剤136は、ベース層132の周縁部152と実質的に同じ形状を有する層とすることができる。いくつかの実施形態では、接着剤136が連続的または不連続的である。接着剤136の不連続性は、接着剤136における開口部(図示省略)によって提供されるものであってもよい。接着剤136における開口部は、接着剤136の塗布後に、またはキャリア層、例えば、表皮106に向くように適合されたシール部材140の面の上に、接着層136をパターンでコーティングすることによって、形成されるものであってもよい。さらに、接着剤136における開口部は、ベース層132の開口部160を通って表皮106に達する接着剤136の量を制御するようにサイズ設定されるものであってもよい。また、接着剤136における開口部は、以下でさらに述べるように、ドレッシング124の水蒸気透過率(MVTR)を向上させるような大きさとすることができる。
ドレッシング324の接着強度を制御するために利用することができる要素としては、ベース層132における開口部160の直径、面積および数、ベース層132の厚さ、接着剤136の厚さおよび量、および接着剤136の粘着性を含むことができる。開口部160を通って延在する接着剤136の量の増加は、ドレッシング324の接着強度の増加に対応することができる。ベース層132の厚さの減少は、開口部160を通って延在する接着剤136の量の増加に対応することができる。したがって、開口部160の直径、面積および構成、ベース層132の厚さ、並びに、利用される接着剤の量および粘着性は、ドレッシング324に所望の接着強度を提供するために、変えることができる。
いくつかの実施形態では、接着剤136の粘着性が、ベース層132の異なる位置で変わるようにしてもよい。例えば、開口部160aのように開口部160が比較的大きいベース層132の位置では、接着剤136が、開口部160bおよび160cのように開口部160がより小さい他のベース層132の位置よりも低い粘着性を有することができる。このようにして、より大きな開口部160およびより低い粘着性の接着剤136を有するベース層132の位置は、より小さな開口部160およびより高い粘着性の接着剤136を有する位置に匹敵する接着強度を有することができる。
組織部位104にドレッシング324を貼り付ける前に、接着剤136を保護するために、剥離ライナ162をベース層132に取り付けるか、またはベース層に隣接して配置することができる。組織部位104にドレッシング324を貼り付ける前に、ベース層132をシール部材140と剥離ライナ162との間に配置することができる。剥離ライナ162を除去すると、ドレッシング324を組織部位104に貼付するために、ベース層132および接着剤136を露出させることができる。剥離ライナ162は、例えば、ドレッシング324の配置を補助するための剛性も提供することができる。剥離ライナ162は、例えば、キャスティングペーパ、フィルムまたはポリエチレンとすることができる。さらに、剥離ライナ162は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル材料、または同様の極性半結晶性ポリマーとすることができる。剥離ライナ162に極性半結晶性ポリマーを使用すると、ドレッシング324のしわや他の変形を実質的に排除することができる。例えば、極性半結晶性ポリマーは、高度に配向されており、ドレッシング324の構成要素と接触したとき、または温度もしくは環境の変動に曝されたとき、または滅菌したときに発生する可能性がある、軟化、膨潤または他の変形に抵抗することができる。さらに、剥離剤は、ベース層132と接触するように構成された剥離ライナ162の面に配置されるようにしてもよい。例えば、剥離剤はシリコーンコーティングであってもよく、ドレッシング324を損傷または変形させることなく、剥離ライナ162を手で容易に除去するのに適した剥離係数を有するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、剥離剤がフルオロシリコーンであってもよい。他の実施形態では、剥離ライナ162がコーティングされていなくてもよく、あるいは剥離剤なしで他の方法で使用されるものであってもよい。いくつかの実施形態では、ベース層132が、組織部位104と直接接触すべく配置されるように構成されるものであってもよい。いくつかの実施形態では、ベース層132が、非粘着性メッシュを含むことができ、本明細書に記載のドレッシングの1または複数のウィッキング層が、本明細書で述べたように、ベース層132とドレッシングシール部材との間に配置されるものであってもよい。
図13~図16Bに示すように、シール部材140は、ドレッシングシール部材140とも呼ばれる。シール部材140は、周縁部164および中央部168を有することができる。シール部材140は、開口部170をさらに含むことができる。シール部材140の周縁部164は、シール部材140の中央部168およびベース層132の中央部156が包囲空間172を規定するように、ベース層132の周縁部152に近接して配置されるものであってもよい。接着剤136は、少なくともシール部材140の周縁部164とベース層132の周縁部152との間に配置されるようにしてもよい。シール部材140は、組織部位104および界面マニホールド120を覆って、組織部位104とドレッシング324のシール部材140との間に流体シールおよび密閉空間174を提供することができる。さらに、シール部材140は、シール部材140と組織部位104との間に流体シールを提供するために、組織部位104を囲む表皮106の一部などの他の組織を覆うようにしてもよい。いくつかの実施形態では、シール部材140の周縁部164の一部が、ベース層132の周縁部152を越えて延び、組織部位104周囲の組織と直接接触するようしてもよい。他の実施形態では、シール部材140の周縁部164が、例えば、組織部位104の周囲の組織と接触して配置されて、ベース層132なしで密閉空間174を提供するものであってもよい。このため、接着剤136は、少なくともシール部材140の周縁部164と、組織部位104周囲の表皮106などの組織との間にも配置されるようにしてもよい。接着剤136は、組織部位104およびベース層132を向くように適合されたシール部材140の表面上に配置されるものであってもよい。
シール部材140は、流体シールを可能にする任意の材料から形成することができる。流体シールは、付随する特定の減圧源またはシステムを考慮して、所望の部位で減圧を維持するのに適切なシールとすることができる。シール部材140は、例えば、親水性ポリウレタン、セルロース系、親水性ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、親水性アクリル、親水性シリコーンエラストマー、例えば14400g/m2/24時間のMVTR(逆カップ法)および約30ミクロンの厚さを有する英国レクサムのExpopack Advanced Coatings製のINSPIRE 2301材料、薄いコーティングされていないポリマードレープ、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリスルフィドゴム、ポリウレタン(PU)、EVAフィルム、コポリエステル、シリコーン、シリコーンドレープ、3Mテガダーム(登録商標)ドレープ、カリフォルニア州パサデナのAvery Dennison Corporationなどから入手できるポリウレタン(PU)ドレープ、Scapa Bioflex 130ポリウレタンフィルム(登録商標)のようなポリウレタン(PU)フィルム、例えばフランスのArkema製のポリエーテルブロックポリアミドコポリマー(PEBAX)、Expopack 2327、または他の適切な材料のうちの1または複数を含むことができる。
シール部材140は、蒸気透過性および液体不透過性であり、それによって、ドレッシング324によって提供される密閉空間174から蒸気が出ることを許容し、液体が出ることを阻止する。いくつかの実施形態では、シール部材140を、例えば24時間あたり少なくとも約300g/m2の高いMVTRを有する、可撓性の通気性フィルム、膜またはシートとすることができる。他の実施形態では、蒸気移動量の少ないまたは全くないドレープを使用することができる。シール部材140は、約15ミクロン(μm)から約50ミクロン(μm)の厚さを有する一連の医学的に適切なフィルムを含むことができる。
流体管理アセンブリ344は、包囲空間172内に配置することができる。いくつかの実施形態では、流体管理アセンブリ344が、1または複数のドレッシングウィッキング層345を含むことができる。例えば、第1のドレッシングウィッキング層376、第2のドレッシングウィッキング層378および第3のドレッシングウィッキング層381である。1または複数のドレッシングウィッキング層345は、第1のドレッシングウィッキング層376、第2のドレッシングウィッキング層378および第3のドレッシングウィッキング層381のうちの1または複数の表面に沿って流体を運ぶことができる。例えば、1または複数のドレッシングウィッキング層345は、第1のドレッシングウィッキング層376、第2のドレッシングウィッキング層378または第3のドレッシングウィッキング層381のうちの1つの表面に沿って横方向に流体を運び、または他の方法で移送することができる。第1のドレッシングウィッキング層376の表面は、第1のドレッシングウィッキング層176の厚さ方向に対して垂直である。第2のドレッシングウィッキング層378の表面は、第2のドレッシングウィッキング層378の厚さ方向に対して垂直である。第3のドレッシングウィッキング層381の表面は、第3のドレッシングウィッキング層381の厚さ方向に対して垂直である。1または複数のドレッシングウィッキング層345に沿った流体の移送は、流体の分配を向上させることができる。第1のドレッシングウィッキング層376、第2のドレッシングウィッキング層378および第3のドレッシングウィッキング層381の積層コンビネーションは、例えば、組織部位104との流体連通を維持することができる、閉塞に抵抗力のある開放構造を維持するために、本明細書に記載のように適合させることができる。
図13、図14および図17に示す流体管理アセンブリ344の実施形態を参照すると、第1のドレッシングウィッキング層376の周縁部186が第3のドレッシングウィッキング層381の周縁部187に結合されて、第1のドレッシングウィッキング層376と第3のドレッシングウィッキング層381との間にウィッキング層包囲空間389が規定されている。いくつかの実施形態では、ウィッキング層包囲空間389が、第1のドレッシングウィッキング層376と第3のドレッシングウィッキング層381との間に第2のドレッシングウィッキング層378を取り囲むか、または他の方法で封入することができる。第1のドレッシングウィッキング層376、第2のドレッシングウィッキング層378および第3のドレッシングウィッキング層381に適した材料には、例えば、LIBELTEX TDL2,80gsm、または同様の材料(不織布でもよい)など、本明細書に記載のように流体を運ぶことができる粒構造を有する任意の材料が含まれるが、それらに限定されるものではない。
流体管理アセンブリ344は、予め積層された構造として製造されてもよく、または上述したように、互いに積み重ねることができる個々の材料層として供給されるものであってもよい。流体管理アセンブリ344の個々の層は、例えば溶媒または非溶媒接着剤を利用することにより、または熱溶着により、流体管理に悪影響を及ぼすことなく互いに結合されるか、または他の方法で互いに固定される。さらに、流体管理アセンブリ344は、例えば溶着または接着剤などの任意の適切な方法で、ベース層132の境界部161に接合することができる。上述したように、開口部160のない境界部161は、快適性を向上させるために流体管理アセンブリ344と組織部位104との間に柔軟なバリアを提供することができる。いくつかの実施形態では、ベース層132が非粘着性インターフェースを含むことができる。非粘着性インターフェースは、敏感な組織部位なおよび/または傷のある組織部位を受け入れるためにVLUとともに使用されるものであってもよい。非粘着性インターフェースは、コポリマーメッシュを含むことができる。
ドレッシング324は、特定の用途に適するように様々な実施形態において変更することができる。第1のドレッシングウィッキング層376、第2のドレッシングウィッキング層378および第3のドレッシングウィッキング層381は、ドレッシング324の外側の場所へ移送するために、組織部位104から流体を運ぶか又は吸い出すことができる。さらに、本明細書に記載の第1のドレッシングウィッキング層376、第2のドレッシングウィッキング層378および第3のドレッシングウィッキング層381の構成は、例えば減圧の適用によって、組織部位104から流体を離し、ドレッシング324から流体を除去する前に組織部位104に流体が戻るのを防止することができる。ウィッキング層包囲空間389は、この能力を増強して、組織部位104から流体を離し、そして流体が組織部位104に戻るのを防ぐことができる。いくつかの実施形態では、ドレッシング324が、例えばドレッシング324と脚または腕との間のより大きな接着を可能にするために、翼状の外形を備えることができる。
ドレッシング324は、組織部位104からドレッシング324の外部に流体を伝達するいくつかの用途に適した様々な実施形態においてさらに変更することができる。例えば、流体管理アセンブリ344をドレッシング324から省くことができ、流体管理アセンブリ344の代わりに、ドレッシングマニホールド(図示省略)を包囲空間172内に配置することができる。ドレッシングマニホールドは、層として構成することができ、本明細書に記載の複数の孔、経路または流路を介して、組織部位から流体を除去するのに適した任意の材料から構成することができ、それには、発泡体、織布、注型シリコーン、ポリウレタン材料、または界面マニホールド120について上述した材料のうちの何れかが含まれるが、それらに限定されるものではない。さらに、いくつかの実施形態では、ベース層132を省略して、流体管理アセンブリ344を上述したドレッシングマニホールドと交換することにより、ドレッシング324を変更することも可能である。そのような実施形態では、ドレッシング324が、シール部材140と、シール部材140と組織部位104との間の密閉空間174内に配置するためのドレッシングマニホールドとを含むことができる。
いくつかの実施形態では、流体管理アセンブリ344が、フィルム、第1のウィッキング層および第2のウィッキング層を含むことができる。フィルムは、接着剤被覆ポリウレタン(PU)フィルムのベース層であってもよい。フィルム上にコーティングされた接着剤は、第1のウィッキング層を流体管理アセンブリの内面(すなわち、ウィッキング層包囲空間188を形成し、ウィッキング層包囲空間188に露出している表面)に接着することができる。第1のウィッキング層は、流体(滲出液などの流体)が第1のウィッキング層から第2のウィッキング層に伝わって導管インターフェース148の外に出るように、第2のウィッキング層の下または下方に積層または配置されている。第1のウィッキング層は、第2のウィッキング層よりも広いベースおよび高い密度を有することができる。第1のウィッキング層は、第2のウィッキング層の表面積よりも大きい表面積を有することができる。第1のウィッキング層は、第2のウィッキング層の厚さ(20mmなど)と比較して、より大きい厚さ(50mmなど)を有するようにしてもよい。第1のウィッキング層は、蒸発を増大させるために、第1のウィッキング層の表面全体にわたって流体を広げるための外形を含むことができる。第2のウィッキング層は、創傷から導管インターフェース148に向けて流体を引っ張るために使用されるものであってもよい。いくつかの実施形態では、第2のウィッキング層が、代替的または追加的に、第2のウィッキング層の表面全体にわたって流体を広げるために、第1のウィッキング層の外形と同様の外形を含むことができる。第2のウィッキング層の外形は、蒸発を増大させるために使用されるものであってもよい。いくつかの実施形態では、流体管理アセンブリ344が、第1のウィッキング層とは反対側の第2のウィッキング層の表面上に、第2のウィッキング層に接着するように配置されたフィルムを含むことができる。第2のウィッキング層に接着するように配置されたフィルムは、本明細書に記載の第1のウィッキング層に接着し得るフィルムと同じ特性のうちの1または複数を含むことができる。
図13、図14および図18を参照すると、導管インターフェース148は、シール部材140に近接して、ドレッシング324の包囲空間172と流体連通するように配置されている。例えば、導管インターフェース148は、シール部材140の開口部170を介してドレッシング324と流体連通することができる。導管インターフェース148は、減圧源128からドレッシング324に減圧を提供することができる。また、導管インターフェース148は、任意の界面マニホールド120と流体連通するように配置される構成であってもよい。任意選択の液体トラップ192を、ドレッシング324と減圧源128との間で流体連通するように配置することができる。液体トラップ192は、凝縮液または他の液体などの液体を保持することができる密閉内容積を有する任意の適切な封じ込めデバイスとすることができる。
導管インターフェース148は、医療グレードの軟質ポリマーまたは他の柔軟な材料を含むことができる。非限定的な例として、導管インターフェース148は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、フルオロシリコーンまたはエチレン-プロピレンから形成することができる。いくつかの例示的で非限定的な実施形態では、導管インターフェース148が、DEHPフリーのPVCから成形することができる。導管インターフェース148は、成形、鋳造、機械加工または押出し成形などの任意の適切な方法で形成することができる。さらに、導管インターフェース148は、一体ユニットとして、または個々の構成要素として形成されるようにしてもよく、また、例えば接着剤または溶着によってドレッシング324に結合されるようにしてもよい。
いくつかの実施形態では、導管インターフェース148を、吸収特性および蒸発特性を有する吸収材料で形成することができる。吸収材料は、蒸気透過性および液体不透過性とすることができ、それにより、液体の透過を抑制しながら、蒸気が材料内に吸収されること、および透過によって材料から蒸気が蒸発することを許容するように構成されるものであってもよい。吸収材料は、例えば、親水性ポリウレタンなどの親水性ポリマーとすることができる。以下の例示的な実施形態では、親水性ポリマーという用語を使用することがあるが、本明細書に記載の特性を有する任意の吸収材料がシステム302での使用に適している。さらに、吸収材料または親水性ポリマーは、本明細書に記載のシステム302の様々な構成要素における使用に適している。
導管インターフェース148のためのそのような親水性ポリマーの使用は、導管インターフェース148内の液体が作動中に蒸発すること、または他の方法で消散することを可能にすることができる。例えば、親水性ポリマーは、液体が気相の蒸気として導管インターフェース148を透過または通過し、導管インターフェース148の外部の大気中に蒸発することを可能にすることができる。そのような液体は、例えば凝縮物または他の液体であってもよい。凝縮物は、例えば、組織部位104における温度に対する導管インターフェース148またはシステム302の他の構成要素内の温度の低下の結果として生じる場合がある。導管インターフェース148からの液体の除去または消散は、視覚的な魅力を高め、臭いを防ぐことができる。さらに、そのような液体の除去は、閉塞およびシステム302の構成要素との他の干渉を減らすことによって、効率および信頼性を高めることができる。
導管インターフェース148と同様に、液体トラップ192およびシステム302の他の構成要素もまた、吸収材料または親水性ポリマーで形成することができる。親水性ポリマーの吸収特性および蒸発特性は、蒸発によって、液体トラップ192およびシステム302の他の構成要素内に存在する液体の除去および消散も促進することができる。そのような蒸発は、実質的に固体またはゲル状の廃棄物を後に残すことがある。実質的に固体またはゲル状の廃棄物は、液体よりも安価に処分することができ、システム302の動作費用を節減することができる。親水性ポリマーは、液体の管理が有益であるシステム302内の他の構成要素に使用することができる。
いくつかの実施形態では、吸収材料または親水性ポリマーが、不飽和状態の親水性ポリマーの質量と実質的に等しい、飽和状態における吸収能力を有することができる。親水性ポリマーは、飽和状態において蒸気で完全に飽和し、不飽和状態において蒸気を実質的に含まない。親水性ポリマーは、飽和状態および不飽和状態の両方において、実質的に同じ物理的、機械的および構造的性質を保持することができる。例えば、親水性ポリマーは、飽和状態における親水性ポリマーの硬度と実質的に同じ硬度を不飽和状態において有することができる。また、親水性ポリマーおよび親水性ポリマーを組み込んだシステム302の構成要素は、不飽和状態および飽和状態の両方において実質的に同じサイズを有することもできる。さらに、親水性ポリマーは、飽和状態および不飽和状態において、乾燥し、手触りが冷たく、空気圧でシールされたままとすることができる。また、親水性ポリマーは、飽和状態および不飽和状態において実質的に同じ色のままとすることができる。このように、この親水性ポリマーは、システム302での使用に依然として適した十分な強度および他の物理的特性を保持することができる。そのような親水性ポリマーの一例は、米国オハイオ州のウィックリフのThe Lubrizol Corporationから入手可能なTechophilic HP-93A-100の商品名で提供されている。Techophilic HP-93A-100は、水中で100%の不飽和質量のポリウレタンを吸収することができ、約83ショアAのショア硬度またはデュロメータを有する吸収性親水性熱可塑性ポリウレタンである。
導管インターフェース148は、組織部位104から密閉空間174の外部への臭気の通過を実質的に排除するように構成された臭気フィルタ194を備えることができる。さらに、導管インターフェース148は、一次疎水性フィルタ195を介した液体の通過を実質的に排除するように構成された一次疎水性フィルタ195を備えることができる。臭気フィルタ194および一次疎水性フィルタ195は、減圧源128または任意選択の治療ユニット130とドレッシング324との間の流体連通が臭気フィルタ194および一次疎水性フィルタ195を通じて提供されるように、導管インターフェース148または他の適切な場所に配置することができる。いくつかの実施形態では、接着剤または溶着などの任意の適切な方法で導管インターフェース148内に臭気フィルタ194および一次疎水性フィルタ195を固定することができる。他の実施形態では、臭気フィルタ194または一次疎水性フィルタ195を省くことができ、あるいは、大気、減圧源128または任意選択の治療ユニット130と流体連通するシステム302またはドレッシング324の何れかの出口位置の近傍に配置することができる。
臭気フィルタ194は、層または粒子の形態の炭素材料から構成することができる。例えば、臭気フィルタ194は、英国ランカシャーのChemviron Carbon,Ltd.によって製造されているもののような織り炭素布フィルタを含むことができる。一次疎水性フィルタ195は、液体不透過性で蒸気透過性の材料から構成することができる。例えば、一次疎水性フィルタ195は、米国デラウェア州ニューアークのW.L.Gore & Associates,Inc.により称号MMT-314で製造された材料またはそれと類似の材料を含むことができる。一次疎水性フィルタ195は、膜または層の形態で提供されるものであってもよい。
図13、図14および図18に示すように、減圧源128は、ドレッシング324および密閉空間174に減圧を提供することができる。減圧源128は、例えば、真空ポンプ、壁面吸い込み、ハンドポンプ、手動ポンプまたは他のソースなど、減圧を提供する任意の適切なデバイスとすることができる。いくつかの実施形態では、減圧源128が治療ユニット130の一構成要素である。治療ユニット130は、組織部位104における減圧を監視するように構成された、制御回路および圧力センサなどのセンサを含むことができる。治療ユニット130は、ユーザ入力および組織部位104から受信した減圧フィードバック信号に従って、減圧源128から組織部位104に印加される減圧の量を制御するように構成することができる。いくつかの実施形態では、減圧源128(例えば、手動ポンプ、ハンドポンプなど)が容器を含むことができ、または組織部位104から収集した流体を受け入れる容器に流体的に接続されるようにしてもよい。このため、減圧源128が減圧を発生させると、流体が組織部位からドレッシング、ブリッジを通って伝達されて、減圧源128の容器内または減圧源128に流体的に接続された容器内に受け入れられて蓄えられる。
本明細書では、「減圧」は、治療を受けている組織部位における周囲圧力より低い圧力を指すことができる。いくつかの実施形態では、減圧が大気圧よりも低い。さらに、いくつかの実施形態では、減圧が組織部位における静水圧も下回る。他に指定のない限り、本明細書に記載の圧力の値はゲージ圧である。組織部位に適用される減圧の量および性質は用途に応じて変わり得るが、いくつかの実施形態では、減圧が-5mmHgから-500mmHgである。いくつかの実施形態では、減圧が-100mmHgから-200mmHgである。
送達される減圧は、例えば、一定であり、あるいは変化し、あるいはパターンがあり、またはランダムである。さらに、減圧は、連続的にまたは断続的に送達することができる。「真空」および「負圧」という用語は、組織部位に加えられる圧力を説明するために使用されることがあるが、組織部位に加えられる実際の圧力は、完全な真空に通常付随する圧力よりも高い場合がある。本明細書における使用と一致して、減圧または真空圧の上昇は、絶対圧力の相対的な減少を指すことがある。さらに、減圧の上昇は圧力の低下(周囲圧力に対してより負)に対応し、減圧の低下は圧力の上昇(周囲圧力に対してより負ではない)に対応する。
図13および図18を参照すると、内部ルーメン197を有する導管196が減圧源128とドレッシング324との間で流体連通するように結合されている。内部ルーメン197は、約0.5ミリメートル~約3.0ミリメートルの内径を有することができる。いくつかの実施形態では、内部ルーメン197の内径が約1ミリメートル~約2ミリメートルである。導管インターフェース148は、ドレッシング324と流体連通するように結合されるとともに、減圧源128との流体連通を提供するために導管196とドレッシング324との間を接続するように構成されている。導管インターフェース148は、例えば、接着剤、溶媒または非溶媒の結合、溶着または締まり嵌めなどの任意の適切な方法で、導管196に流体結合することができる。シール部材140の開口部170は、ドレッシング324と導管インターフェース148との間の流体連通を提供することができる。例えば、導管インターフェース148は、シール部材140の開口部170を介して包囲空間172または密閉空間174と流体連通することができる。いくつかの実施形態では、導管インターフェース148を使用せずに減圧源128との流体連通を提供するために、シール部材140の開口部170を介してドレッシング324内に導管196を挿入するようにしてもよい。また、減圧源128は、導管196を使用せずにドレッシング324またはシール部材140と流体連通するように直接結合されるものであってもよい。いくつかの実施形態では、導管196が、例えば可撓性ポリマーチューブである。導管196の遠位端は、減圧源128に取り付けるためのカップリング198を含むことができる。
導管196は、減圧源128とドレッシング324との間の流体連通が二次疎水性フィルタ199を介して提供されるように、内部ルーメン197内に配置された二次疎水性フィルタ199を有することができる。二次疎水性フィルタ199は、例えば、多孔質焼結ポリマーシリンダであり、液体がシリンダを迂回するのを実質的に妨げるように内部ルーメン197の寸法に適合する大きさとされる。二次疎水性フィルタ199は、液体と接触すると膨潤して液体の流れを遮断するように構成された吸収材料で処理されるものであってもよい。二次疎水性フィルタ199は、内部ルーメン197内の任意の位置に配置することができる。しかしながら、二次疎水性フィルタ199をドレッシング324よりも減圧源128の近くで内部ルーメン197内に配置することにより、ユーザが内部ルーメン197内の液体の存在を検出することが可能となる。
いくつかの実施形態では、導管196およびカップリング198を、導管インターフェース148について述べたように、吸収材料または親水性ポリマーで形成することができる。このようにして、導管196およびカップリング198は、導管196およびカップリング198内の液体が、導管インターフェース148について述べたように、蒸発するか、または他の方法で消散することを可能にする。導管196およびカップリング198は、例えば、親水性ポリマーから別々に、個々の構成要素として成形することができ、あるいは一体構成要素として一緒に成形することができる。さらに、内部ルーメン197を規定する導管196の壁は、親水性ポリマーから押し出し成形されるものであってもよい。導管196は、長さを約1メートル未満とすることができるが、特定の用途に適した任意の長さを有することができる。
図19を参照すると、ドレッシング424およびシステム402とともに使用するのに適した流体管理アセンブリ444の別の実施形態が示されている。流体管理アセンブリ444は、流体管理アセンブリ144に関して述べたものと実質的に同じ材料および特性からなる1または複数のドレッシングウィッキング層484、例えば、第1のドレッシングウィッキング層476、第2のドレッシングウィッキング層478および第3のドレッシングウィッキング層480を含むことができる。このため、第1のドレッシングウィッキング層476、第2のドレッシングウィッキング層478および第3のドレッシングウィッキング層480はそれぞれ、第1のドレッシングウィッキング層376、第2のドレッシングウィッキング層378および第3のドレッシングウィッキング層381に類似するものであってもよい。
流体管理アセンブリ444において、第3のドレッシングウィッキング層480は、周縁部287を有することができる。第3のドレッシングウィッキング層480および第1のドレッシングウィッキング層476の周縁部287は、シール部材140と接触して配置されるようにしてもよい。第2のドレッシングウィッキング層478は、第3のドレッシングウィッキング層480の周縁部287を越えて延びる周縁部285を有することができる。第2のドレッシングウィッキング層478は、第2のドレッシングウィッキング層478の周縁部285が第3のドレッシングウィッキング層480の周縁部287を取り囲むシール部材140と接触するように、第1のドレッシングウィッキング層280に隣接または近接して配置することができる。同様に、第1のドレッシングウィッキング層476は、第2のドレッシングウィッキング層478の周縁部285を越えて延びる周縁部286を有することができる。第1のドレッシングウィッキング層476は、第1のドレッシングウィッキング層476の周縁部286が第2のドレッシングウィッキング層478の周縁部285を取り囲むシール部材140と接触するように、第2のドレッシングウィッキング層478に隣接または近接して配置することができる。さらに、第1のドレッシングウィッキング層476は、ベース層132に隣接または近接して配置されるようにしてもよい。このため、少なくとも周縁部287、周縁部285および周縁部286は、例えばベース層132を向くシール部材140の表面に配置された接着剤コーティングによって、シール部材140に結合されるようにしてもよい。接着剤コーティングは、ベース層132を向くシール部材140の表面全体に塗布される接着剤136に類似するものであってもよい。第3のドレッシングウィッキング層480、第2のドレッシングウィッキング層478および第1のドレッシングウィッキング層476はそれぞれ、上述した接着剤コーティングとの接触を強化するために、表面積を増大させることができる。他の実施形態では、流体管理アセンブリ444が、特定の組織部位を治療するための任意の数の吸収剤層およびウィッキング層を含むことができる。
動作中、いくつかの例示的な実施形態によれば、界面マニホールド120は、組織部位104に接触してまたはその近傍に配置されるようにしてもよい。ドレッシング324,424は、界面マニホールド120および組織部位104の上にまたはそれらを覆うように適用されて、密閉空間174を形成することができる。例えば、ベース層132は、界面マニホールド120および組織部位104周囲の組織を覆うように適用することができる。ベース層132について上述した材料は、最初にドレッシング324または424を定位置に保持できる粘着性を有することができる。粘着性は、調整が望ましい場合にドレッシング324,424を除去して再適用し得るような粘着性とすることができる。ドレッシング324,424が所望の位置に配置されたら、組織部位104の反対側または外側を向くシール部材140の面に、手の圧力などの力を加えることができる。シール部材140に加えられる力によって、接着剤136の少なくとも一部が複数の開口部160を通って延在して、表皮106などの組織部位104周囲の組織と接触し、それにより、組織部位104の周りにドレッシング324,424を取り外し可能に付着させることができる。このようにして、上述したドレッシング324,424の構成は、肘または踵などの困難な解剖学的表面に対して、組織部位104およびその周囲に、効果的かつ信頼性の高いシールを提供することができる。さらに、ドレッシング324,424は、例えば、ドレッシング324,424および組織部位104におけるしわや他の不連続性によって引き起こされる空気漏れをなくすために、再適用または再位置決めを可能とすることができる。漏れを直す能力は、治療の信頼性を高め、電力消費を減らすことができる。
ドレッシング324,424が組織部位104からの流体と接触すると、流体は開口部160を通って流体管理アセンブリ344,444に向かって移動することができる。流体管理アセンブリ344,444は、組織部位104から、界面マニホールド120がある場合には、そこを通して、流体を運び、または他の方法で移動させることができる。上述したように、界面マニホールド120は、流体を貯蔵するのではなく、組織部位104からの流体を伝えるように適合させることができる。このため、流体管理アセンブリ344,444は、界面マニホールド120を介して組織部位104から流体を運び、引っ張り、引き出し、または他の方法で引き寄せるように構成することができる。流体管理アセンブリ344,444では、流体が最初に第1のドレッシングウィッキング層376,476に接触し得る。第1のドレッシングウィッキング層376,476は、第1のドレッシングウィッキング層376,476の表面に沿って横方向に流体を分配して、ドレッシング324,424から吸収または除去することができる。同様に、流体は、第3のドレッシングウィッキング層381,480と接触し、第3のドレッシングウィッキング層381,480の表面に沿って横方向に分配されて、ドレッシング324,424から吸収または除去されるものとなる。
図21~図23を参照すると、いくつかの実施形態では、ブリッジアセンブリ710が、組織部位104と減圧源128との間に流体通路を規定するために組織部位104およびドレッシング124,324,424から離れるように延在するものであってもよい。例えば、ブリッジアセンブリ710は、ドレッシング124,324,424と減圧源128との間で流体連通するように結合されるようにしてもよい。しかしながら、ブリッジアセンブリ710の他の応用も可能である。いくつかの実施形態では、ブリッジアセンブリ710が、貯蔵ブリッジ720、シール具730および導管インターフェース148を含むことができる。
貯蔵ブリッジ720は、送り出し端部738から長さ740だけ離れた又は間隔を空けて配置された受け入れ端部734を含むことができる。受け入れ端部734は、受け入れ端部開口742を有することができ、送り出し端部738は、送り出し端部開口746を有することができる。受け入れ端部734および受け入れ端部開口742は、貯蔵ブリッジ720の長さ740を介して送り出し端部738および送り出し端部開口746と流体連通することができる。
導管インターフェース148は、例えば受け入れ端部開口742を介して、貯蔵ブリッジ720の受け入れ端部734に流体的に結合されるように構成されるものであってもよい。このため、導管インターフェース148は、貯蔵ブリッジ720の長さ740を介して送り出し端部738と流体連通されるようにしてもよい。シール具730は、送り出し端部738をドレッシング124,324,424に結合し、送り出し端部開口部746を介してドレッシング124と流体連通させるために、送り出し端部開口746の周りに、かつ送り出し端部738とドレッシング124,324,424との間に配置されるものであってもよい。このため、導管インターフェース148は、貯蔵ブリッジ720を介してドレッシング124,324,424と流体連通するように位置決めすることができる。シール具730は、非限定的な例として接着リングや溶着など、上述した接続を行うための任意の適切なデバイスとすることができる。
いくつかの実施形態では、ブリッジ720が、1または複数のウィッキング層754およびブリッジシール部材758を含むことができる。ブリッジシール部材758は、ブリッジ720の長さ740に沿って延びるものであってもよい。さらに、ブリッジシール部材758は、内部通路784を規定することができる。1または複数のウィッキング層754は、ブリッジシール部材758の内部通路784内に配置されるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、ブリッジシール部材758が、1または複数のウィッキング層754を完全に取り囲むようにしてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、ブリッジシール部材758が1または複数のウィッキング層754を封入することができる。
いくつかの実施形態では、1または複数のウィッキング層754が、第1のウィッキング層780、第2のウィッキング層781または第3のウィッキング層782のうちの少なくとも1つを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のウィッキング層780、第2のウィッキング層781および第3のウィッキング層782はそれぞれ、第1のブリッジウィッキング層、第2のブリッジウィッキング層および第3のブリッジウィッキング層と称することがある。1または複数のウィッキング層754のそれぞれは、ブリッジ720の長さ740に沿って延在することができ、かつブリッジシール部材758によって規定される内部通路784内に配置させることができる。第1のウィッキング層780、第2のウィッキング層781または第3のウィッキング層782はそれぞれ、第1のドレッシングウィッキング層176および第2のドレッシングウィッキング層180について先に述べたものと同じ材料から構成することができる。
第1のブリッジウィッキング層780の周縁部またはエッジは、例えば溶着786などの任意の適切な方法で、第2のブリッジウィッキング層781の周縁部またはエッジに結合され、それによりブリッジエンベロープ750の内部通路784が規定されるようにしてもよい。第2のブリッジウィッキング層781の周縁部またはエッジは、例えば溶着786などの任意の適切な方法で、第3のブリッジウィッキング層782の周縁部またはエッジに結合され、それによりブリッジシール部材758の内部通路784が規定されるようにしてもよい。第2のウィッキング層781は、第1のウィッキング層780と第3のウィッキング層782との間に配置されるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、1または複数のウィッキング層754(第1のウィッキング層780、第2のウィッキング層781および第3のウィッキング層782など)が、1または複数のウィッキング層754を結合する溶着部(溶着部786など)無しで、第1のシール層788と第2のシール層790との間に配置およびシールされるものであってもよい。いくつかの実施形態では、1または複数のウィッキング層754が互いに離して配置されるか、または一緒に保持されるようにしてもよい。
第1のウィッキング層780、第2のウィッキング層781および第3のウィッキング層782はそれぞれ、流体捕捉面772および流体分配面774を含むことができる。流体分配面774は、第1のウィッキング層780、第2のウィッキング層781および第3のウィッキング層782の流体捕捉面772の反対側に配置することができる。第1のウィッキング層780、第2のウィッキング層781および第3のウィッキング層782の各々の流体捕捉面772は、第1のシール層788の方向を向くことができる。さらに、第1のウィッキング層780、第2のウィッキング層781および第3のウィッキング層782の各々の流体分配面774は、第2のシール層790の方向を向くことができる。第1のウィッキング層780、第2のウィッキング層781および第3のウィッキング層782の各々の流体捕捉面772は、第2のシール層790の方向を向くことができる。第1のウィッキング層780、第2のウィッキング層781および第3のウィッキング層782の各々の流体分配面774は、第1のシール層788の方向を向くことができる。いくつかの実施形態では、第1のウィッキング層780の流体捕捉面772が、第2のウィッキング層781の流体捕捉面772と対向するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、第2のウィッキング層781の流体捕捉面772が、第3のウィッキング層782の流体捕捉面772と対向するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、第1のウィッキング層780の流体分配面774が、第2のウィッキング層781の流体分配面774と対向するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、第2のウィッキング層781の流体分配面774が、第3のウィッキング層781の流体分配面774と対向するようにしてもよい。
いくつかの実施形態では、第1のウィッキング層780の少なくとも一部分が、第2のウィッキング層781の少なくとも一部分と直接接触するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、第1のウィッキング層780の少なくとも一部分が、内部ボリューム760によって第2のウィッキング層781から間隔を空けて、または離して配置されるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、第2のウィッキング層781の少なくとも一部分が、第3のウィッキング層782の少なくとも一部分と直接接触するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、第2のウィッキング層781の少なくとも一部分が、内部ボリューム706によって第3のウィッキング層782から間隔を空けて、または離して配置されるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、流体分配面774が、ブリッジ720の長さ740に沿って実質的に長手方向に向けられた複数の長手方向繊維791を含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、流体捕捉面772が、長手方向繊維791に対して実質的に垂直に向けられた複数の垂直方向繊維793を含むことができる。
いくつかの実施形態では、1または複数のウィッキング層754が、1または複数のブリッジウィッキング層の第1のセットと、1または複数のブリッジウィッキング層の第2のセットとを含むことができる。1または複数のブリッジウィッキング層の第1のセットおよび1または複数のブリッジウィッキング層の第2のセットはそれぞれ、貯蔵ブリッジ720の長さ740に沿って延びることができ、かつブリッジシール部材758により規定される内部通路784内に配置させることができる。1または複数のブリッジウィッキング層の第1のセットのうちの少なくとも1のブリッジウィッキング層の周縁部またはエッジは、例えば溶着786などの任意の適切な方法で、1または複数のブリッジウィッキング層の第2のセットのうちの少なくとも1のブリッジウィッキング層の周縁部またはエッジに結合され、それによりブリッジエンベロープ750の内部ボリューム760が規定されるようにしてもよい。ブリッジ吸収剤(ブリッジ吸収剤354など)は、1または複数のブリッジウィッキング層の第1のセットと1または複数のブリッジウィッキング層の第2のセットとの間に配置することができる。1または複数のブリッジウィッキング層の第1のセットのうちの少なくとも1のブリッジウィッキング層および1または複数のブリッジウィッキング層の第2のセットのうちの少なくとも1のブリッジウィッキング層はそれぞれ、流体捕捉面772および流体分配面774を含むことができる。流体分配面774は、1または複数のブリッジウィッキング層の第1のセットのうちの少なくとも1のブリッジウィッキング層および1または複数のブリッジウィッキング層の第2のセットのうちの少なくとも1のブリッジウィッキング層の流体捕捉面772の反対側に配置することができる。さらに、1または複数のブリッジウィッキング層の第1のセットのうちの少なくとも1のブリッジウィッキング層および1または複数のブリッジウィッキング層の第2のセットのうちの少なくとも1のブリッジウィッキング層の流体分配面774は、ブリッジ吸収剤(ブリッジ吸収剤354など)を向くようにしてもよい。いくつかの実施形態では、ブリッジ吸収剤の少なくとも一部を、1または複数のブリッジウィッキング層の第1のセットのうちの少なくとも1のブリッジウィッキング層および1または複数のブリッジウィッキング層の第2のセットのうちの少なくとも1のブリッジウィッキング層の流体分配面774から間隔を空けて、または離して配置することができる。
いくつかの実施形態では、内部通路784が、フィルム、第1のウィッキング層、第2のウィッキング層を収容することができる。フィルムは、接着剤被覆ポリウレタン(PU)フィルムのベース層であってもよい。フィルム上にコーティングされた接着剤は、第1のウィッキング層をブリッジシール部材758の内面に接着することができる。第1のウィッキング層は、流体(滲出液などの流体)が第1のウィッキング層から第2のウィッキング層に伝わって導管インターフェース148の外に出るように、第2のウィッキング層の下または下方に積層または配置されている。第1のウィッキング層は、第2のウィッキング層よりも広いベースおよび高い密度を有することができる。第1のウィッキング層は、第2のウィッキング層の厚さ(20mmなど)と比較して、より大きい厚さ(50mmなど)を有するようにしてもよい。第1のウィッキング層は、蒸発を増大させるために、第1のウィッキング層の表面全体にわたって流体を広げるための外形を含むことができる。第2のウィッキング層は、創傷から導管インターフェース148に向けて流体を引っ張るために使用されるものであってもよい。いくつかの実施形態では、第2のウィッキング層が、代替的または追加的に、第2のウィッキング層の表面全体にわたって流体を広げるために、第1のウィッキング層の外形と同様の外形を含むことができる。第2のウィッキング層の外形は、蒸発を増大させるために使用されるものであってもよい。
ブリッジシール部材758は、内部通路784を規定することができる。内部通路784は、貯蔵ブリッジ720の受け入れ端部734と送り出し端部738との間で流体連通することができる。いくつかの実施形態では、ブリッジシール部材758が、1または複数のウィッキング層754を完全に取り囲むことができる。いくつかの実施形態では、ブリッジシール部材758が、ブリッジ720の受け入れ端部734と送り出し端部738との間に、1または複数のウィッキング層754を密封状態で収容することができる。
ブリッジシール部材758は、ドレッシングシール部材140について述べたものと同様の材料から構成されるものであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ブリッジシール部材758が実質的に液体不透過性のフィルムを含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、ブリッジシール部材758が蒸気透過性フィルムを含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、ブリッジシール部材758が通気性フィルムを含むことができる。ブリッジシール部材758に適した材料の更なる例としては、Scapa Bioflex 130ポリウレタンフィルム(登録商標)などのポリウレタ(PU)ンドレープまたはフィルム、ポリエステルおよびコポリエステルなどのポリマーから形成されたフィルム、ポリアミド、ポリアミド/ブロックポリエーテル、アクリル、ビニルエステル、ポリビニルアルコールコポリマー、接着剤を含む又は含まないフィルム、例えば、INSPIRE 2305ポリウレタンドレープのような高水蒸気透過率(MVTR)フィルムが含まれるが、それらに限定されるものではない。高MVTRフィルムは、凝縮物の蒸発をもたらすことができ、それが貯蔵ブリッジ720の外面全体の周りで生じ得る。このように、貯蔵ブリッジ720の容量、流体処理および蒸発特性は、少なくとも、貯蔵ブリッジ720の外面のすべての側および部分の周りに提供される空気移動および表面積の増加により、向上させ、または改善することができる。
ブリッジシール部材758は、不織材料または構造を含むことができ、それには、ポリエステル、コポリエステル、ポリオレフィン、セルロース系繊維、およびそれら材料の組合せまたはブレンドなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、ブリッジシール部材758が、LIBELTEX TDL4またはLIBELTEX TDL2、または第1のドレッシングウィッキング層176および第2のドレッシングウィッキング層180について前述した材料のうちの何れかを含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、ブリッジブリッジシール部材758が、繊維または発泡体構造を有する積層体を含むことができる。
いくつかの実施形態では、ブリッジシール部材758が、第1のシール層788および第2のシール層790を含むことができる。第1のシール層788の第1の周縁部またはエッジは、例えば溶着792などの任意の適切な方法により、ブリッジエンベロープ750の周りで、第2のシール層790の第2の周縁部またはエッジに結合され、それにより、ブリッジシール部材758を形成し、その中にブリッジエンベロープ750を封入することができる。他の実施形態では、ブリッジシール部材758を単層の材料から形成することができる。
動作中、減圧源128は貯蔵ブリッジ720の受け入れ端部734に流体的に結合されるようにしてもよい。例えば、導管インターフェース148が受け入れ端部734に流体的に結合され、導管196が、前述した実施形態と同様に、導管インターフェース148と減圧源128との間に流体的に結合されるようにしてもよい。ブリッジ720の送り出し端部738は、上述したように、ドレッシング124に流体的に連結されるようにしてもよい。減圧源128は、ブリッジ720を介してドレッシング124に減圧を提供するように作動させることができ、それにより、組織部位104およびドレッシング124からブリッジ720内に流体を引き込み、移動させ、または引っ張ることができる。
流体が送り出し端部738を通ってブリッジ720に入ると、流体は内部通路784を通って伝わり、第1のウィッキング層780の流体捕捉面772と接触することができる。第1のウィッキング層780の流体捕捉面772は、流体が第1のウィッキング層780を通って移送されるように、流体を受け入れることができる。続いて、第1のウィッキング層780の流体分配面774は、第1のウィッキング層780からの流体を伝達することができる。いくつかの実施形態では、第1のウィッキング層780の流体分配面774が、流体を受け入れ端部734に直接伝達することができる。いくつかの実施形態では、第1のウィッキング層780の流体分配面774が、流体を内部ボリューム760内に伝達することができる。いくつかの実施形態では、第1のウィッキング層780の流体分配面774が、内部ボリューム760を介して流体を受け入れ端部734に伝達することができる。いくつかの実施形態では、第1のウィッキング層780の流体分配面774が、第2のウィッキング層781の流体捕捉面772に流体を伝達することができる。
流体が第1のウィッキング層780の流体分配面774から伝達されると、流体は第2のウィッキング層781の流体捕捉面772に接触することができる。第2のウィッキング層781の流体捕捉面772は、流体が第2のウィッキング層781を通って移送されるように、流体を受け入れることができる。続いて、第2のウィッキング層781の流体分配面774は、第2のウィッキング層781からの流体を伝達することができる。いくつかの実施形態では、第2のウィッキング層781の流体分配面774が、流体を受け入れ端部734に直接伝達することができる。いくつかの実施形態では、第2のウィッキング層781の流体分配面774が、流体を内部ボリューム760内に伝達することができる。いくつかの実施形態では、第2のウィッキング層781の流体分配面774が、内部ボリューム760を介して流体を受け入れ端部734に伝達することができる。いくつかの実施形態では、第2のウィッキング層781の流体分配面774が、第3のウィッキング層782の流体捕捉面772に流体を伝達することができる。
流体が第2のウィッキング層781の流体分配面774から伝達されると、流体は第3のウィッキング層782の流体捕捉面772に接触することができる。第3のウィッキング層782の流体捕捉面772は、流体が第3のウィッキング層782を通って移送されるように、流体を受け入れることができる。続いて、第3のウィッキング層782の流体分配面774は、第3のウィッキング層782からの流体を伝達することができる。いくつかの実施形態では、第3のウィッキング層782の流体分配面774が、流体を受け入れ端部734に直接伝達することができる。
本開示の主題を特定の例示的で非限定的な実施形態において例として提供したが、特許請求の範囲によって規定される本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更、置き換え、置換および改変を行うことができる。任意の一実施形態に関連して述べた任意の特徴は、他の任意の実施形態にも適用可能である。例えば、本明細書に記載の吸収剤層184などの吸収剤層をブリッジアセンブリ710内に含めるようにしてもよい。このため、上述した利益および利点は一実施形態に関連してもよく、またはいくつかの実施形態に関連してもよい。さらに、本明細書に記載の方法のステップは、任意の適切な順序で、または適切な場合には同時に実行することができる。
なお、本明細書に記載のドレッシングは、1または複数のウィッキング層のみ(すなわち、吸収剤層のないドレッシング)を含むことができ、そのようなドレッシングと流体連通する本明細書に記載のブリッジは、1または複数のウィッキング層のみ(すなわち、吸収剤層のないブリッジ)を含むことができることを理解されたい。また、本明細書に記載のドレッシングは、1または複数のウィッキング層のみ(すなわち、吸収剤層のないドレッシング)を含むことができ、そのようなドレッシングと流体連通する本明細書に記載のブリッジは、1または複数のウィッキング層と、吸収剤層とを含むことができることを理解されたい。さらに、本明細書に記載のドレッシングは、1または複数のウィッキング層と、吸収剤層とを含むことができ、そのようなドレッシングと流体連通する本明細書に記載のブリッジは、1または複数のウィッキング層のみ(すなわち、吸収剤層のないブリッジ)を含むことができることを理解されたい。
上述した他の利点の中でも、貯蔵ブリッジ320は、電力消費、漏れを低減し、かつ、ドレッシングと減圧源との間の流体連通を提供する従来のチューブまたは同様の構造に存在する静止液体柱によって生じる水頭圧に付随する他の課題を低減することができる。さらに、組織部位から除去された大量の流体を組織部位の表面から遠ざけることができる。貯蔵ブリッジ320は、組織部位との流体連通を提供するための薄型で適合性のある解決策を提供することができ、それにより患者の快適性を向上させることができる。
さらに、1または複数のウィッキング層を有するが吸収剤を含まないドレッシングおよび/またはブリッジを有するシステムは、薄型のドレッシングおよびブリッジを提供することができ、患者は、例えば、それらを1または複数の包帯で組織部位に固定することにより、そのようなシステムを個々に装着することができる。さらに、1または複数のウィッキング層を有するが吸収剤を含まないドレッシングおよび/またはブリッジを有するシステムは、手動ポンプまたはハンドポンプのキャニスタまたはそれらポンプと連通するキャニスタに取り込まれる空気が比較的少ないことから、組織部位から流体を除去するために、手動ポンプまたはハンドポンプとともに使用することができる。これは、少なくとも部分的には、1または複数のウィッキング層によってもたらされる薄い形状によるものである。さらに、1または複数のウィッキング層を有するが吸収剤を含まないドレッシングおよび/またはブリッジを有するシステムは、手動ポンプまたはハンドポンプによって減圧が加えられるときに、比較的低い水頭圧を有するものとなる。また、1または複数のウィッキング層を有するが吸収剤を含まないドレッシングおよび/またはブリッジを有するシステムは、システムの寿命を延ばし、患者による移動性を高めることもできる。