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JP6994194B2 - すべり軸受装置及びこれを備えたポンプ - Google Patents

すべり軸受装置及びこれを備えたポンプ Download PDF

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Description

本発明は、樹脂材料を用いたすべり軸受装置及びこれを備えたポンプに係り、特にポンプ等の回転機械のラジアル軸受として好適に使用されるすべり軸受装置及びこれを備えたポンプに関する。
近年、都市化の進展により、緑地の減少及び路面のコンクリート化、アスファルト化の拡大が進むことでヒートアイランド現象が発生し、いわゆるゲリラ豪雨と呼ばれる局所的な集中豪雨が都市部で頻発している。局所的な大量の降雨は、コンクリート化、アスファルト化した路面では、地中に吸収されることなくそのまま水路に導かれる。その結果、大量の雨水が、短時間のうちに排水機場に流入する。
頻発するこのような集中豪雨によってもたらされる大量の雨水の速やかな排水に備えるために排水機場に設置する排水ポンプでは、始動遅れによる浸水被害が生じないよう、雨水が排水機場に到達する前に予め始動させておく先行待機運転が行われている。
図1は、先行待機運転を行う立軸ポンプの部分概略図である。排水機場の水槽100には、立軸ポンプ3が配置される。立軸ポンプ3は、縦方向に配置された回転軸10の先端にインペラ22を備え、インペラ22に水と共に空気を吸い込ませる。これにより、立軸ポンプ3は、水槽100の水位が最低運転水位LWL以下であっても運転(先行待機運転)を継続することができる。この立軸ポンプ3には、インペラ22の入口側の吸い込みベル27の側面部に貫通孔5が設けられており、この貫通孔5には、外気に接する開口6aを備えた空気管6が取付けられている。これにより、この立軸ポンプ3では貫通孔5を介して立軸ポンプ3内に供給する空気の供給量を水位に応じて変化させ、最低運転水位LWL以下で立軸ポンプ3の排水量がコントロールされる。
図2は、先行待機運転の運転状態を説明する図である。例えば大都市の雨水排水用として、吸込水位に関係なく降雨情報等により予め立軸ポンプを始動しておく(A:気中運転)。低水位の状態から水位が上昇するに従って、インペラの位置まで水位が達し、立軸ポンプは空運転(気中運転)からインペラで水を撹拌する運転(B:気水撹拌運転)、さらに貫通孔を経て供給される空気を水と共に吸い込ませつつ水量を徐々に増やす運転(C:気水混合運転)を経て100%水の排出を行う全量運転(D:定常運転)へ移行する。また、高水位から水位が低下するときは、全量運転から貫通孔を経て供給する空気を水と共に吸い込ませつつ水量を徐々に減らす運転(C:気水混合運転)へ移行する。水位がLLWL近くに至ると、水を吸い込まず排水もしない運転(E:エアロック運転)へ移行する。これら5つの特徴ある運転を総称して先行待機運転という。なお、ポンプ始動は、ケーシング下端よりも低い水位LLLWLから開始する。
図3は、図1に示した先行待機運転を行う立軸ポンプ3の全体を示す断面図である。なお、図2に示した貫通孔5及び空気管6は図示省略されている。図3に示すように、立軸ポンプ3は、ポンプ設置床に設置固定される吐出エルボ30と、この吐出エルボ30の下端に接続されるケーシング29と、ケーシング29の下端に接続されるとともにインペラ22を内部に格納する吐出ボウル28と、吐出ボウル28の下端に接続されるとともに水を吸い込むための吸い込みベル27とを備えている。
立軸ポンプ3のケーシング29、吐出ボウル28、及び吸い込みベル27の径方向略中心部には、上下二本の軸が軸継手26によって互いに接続されることにより形成された一
本の回転軸10が配置されている。回転軸10は、支持部材を介してケーシング29に固定されている上部軸受32と、支持部材を介して吐出ボウル28に固定されている下部軸受33によって支持されている。回転軸10の一端側(吸い込みベル27側)には、水をポンプ内に吸い込むためのインペラ22が接続されている。回転軸10の他端側は、吐出エルボ30に設けられた孔を通って立軸ポンプ3の外部へ延び、インペラ22を回転させる図示しないエンジンやモータ等の駆動機へ接続される。回転軸10と吐出エルボ30に設けられた孔との間には、フローティングシール、グランドパッキンまたはメカニカルシール等の軸シール34が設けられており、軸シール34により立軸ポンプ3が扱う水が立軸ポンプ3の外部に流出することを防止する。
駆動機は、保守点検を容易に行うことができるように陸上に設けられる。駆動機の回転は回転軸10に伝達され、インペラ22を回転させることができる。インペラ22の回転によって水は吸込みベル27から吸い込まれ、吐出ボウル28、ケーシング29を通過して吐出エルボ30から吐出される。
図4は、図3に示した軸受32,33に適用される従来の軸受装置の拡大図である。図5は、図4に示す軸受装置に設置されたすべり軸受の斜視図である。図4に示すように、従来の軸受装置は、回転軸10の外周に、ステンレス鋼、セラミックス、焼結金属又は表面改質された金属からなるスリーブ11を有している。スリーブ11は、ビッカース硬さ(Hv)が800以上2500以下である。スリーブ11の外周側には、中空円筒の樹脂材料からなるすべり軸受1が設けられている。スリーブ11の外周面は、すべり軸受1の内周面(すべり面)1aと非常に狭いクリアランスを介して対面し、すべり軸受1に対して摺動するように構成されている。すべり軸受1は、金属又は樹脂からなる軸受ケース12によりつば部12aを介してポンプのケーシング29(図3参照)等へ繋がる支持部材13に固定されている。図5に示すように、すべり軸受1は中空円筒状の形状を有しており、内周面(すべり面)1aがスリーブ11の外周面1bと対面し、外周面1bが軸受ケース12に嵌合される。
図3に示した立軸ポンプ3は、ポンプ起動時には大気中で運転される。すなわち、軸受32,33は液体の潤滑のないドライ摺動条件で運転される。ここでドライ摺動条件とは、ポンプ運転中の軸受32,33の雰囲気が、液体の潤滑がない大気中である条件をいい、ドライ運転とはその条件で運転することをいう。また、図4に示した軸受32,33は軸受に通水した排水条件でも運転される。ここで、排水条件とは、ポンプ運転中の軸受32,33の雰囲気が、土砂等の異物(スラリー)が混入した水中である条件をいい、排水運転とはその条件で運転すること、例えば気水混合運転、全量運転、エアロック運転等をいう。このような条件で軸受32,33が使用される。尚、図3に示した立軸ポンプ3では、回転軸10に対して2つの軸受32,33が配置されているが、回転軸10の長さが長くなれば、それに応じてより多くの軸受が配置される。
樹脂材料を用いたすべり軸受を有するすべり軸受装置は、樹脂が良好な潤滑性能を有するので、ターボ機械等の回転機械や事務機械に広く使用されている(特許文献1~4)。
樹脂軸受の評価方法として、円盤状に成形した樹脂の円盤面を平板に押し付けた状態で円盤状の樹脂を回転させることで、樹脂の摩擦係数や摩耗量を評価することが行われている。また、シール部分に樹脂を用いたピストンをシリンダ内で往復させて、シール部分とシリンダとを摺動させることで、樹脂の摩擦係数や摩耗量を評価することも行われている。このような評価方法においては、具体的な使用条件を反映させたものは少なく、例えば、軸受の摺動中に異物が混入することを想定したものはあまり見られない。
ターボ機械等の回転機械では、回転軸の軸方向に直角な方向に作用する荷重を受けるラ
ジアル軸受用のすべり軸受に樹脂材料を用いたものがある。水ポンプに使用されるラジアル軸受用のすべり軸受は、回転体とすべり軸受との隙間(摺動部)に、潤滑油は用いず、ポンプ揚水を侵入させて使用される。このため、水ポンプが土砂等の異物混入水(異物混入水)を扱う場合、異物混入水がすべり軸受の摺動面(軸受のすべり面)に侵入してくることがある。この場合、遠心力がすべり軸受の径方向に向かって働くので、回転体とすべり軸受の隙間に侵入した異物を軸方向へ排出することは困難である。
土砂(異物)の主成分であるSiOは、樹脂材料と比較して硬度が高いので、回転体とすべり軸受の隙間に異物が侵入すると、樹脂材料が摩耗する。従って、異物混入水を扱う水ポンプの運転においては、すべり軸受の摩耗量が増大し、すべり軸受の寿命が短くなるという問題がある。
したがって、これまでの多くの樹脂軸受の評価方法では、実条件における耐摩耗性の評価は不十分である。また、これまでの多くの樹脂軸受の評価方法において、仮に異物の混入を想定した条件を採用しても、これらの評価方法はラジアル軸受としてのすべり軸受を評価するものではない。したがって、これらの評価方法では、異物が摺動面から外部に放出されやすく、異物の摺動面での滞留の影響は少ないと考えられる。このため、これらの評価方法は、ラジアル軸受としてのすべり軸受の耐摩耗性能の評価に適さない。
また、立軸ポンプは、先行待機運転のように、軸受のすべり面が水中にある状態で運転される場合だけでなく、軸受のすべり面が大気中に露出した状態で運転される場合もある。このようにすべり軸受のすべり面が大気中に露出するドライ潤滑条件で立軸ポンプが運転される場合には、ドライ潤滑条件で低摩擦なすべり軸受装置が求められる。
一方、従来の樹脂材料からなるすべり軸受を用いた立軸ポンプにおいて、ドライ運転時に軸受温度が急上昇し運転不能になる場合があり、この軸受温度の上昇が問題となっている。図6A及び図6Bは、ポンプ運転時における回転軸10、スリーブ11、及びすべり軸受1の状態を示す模式的断面図である。ドライ運転においては、回転数または軸受荷重が高いほど、図3に示した軸受32,33に使用されるすべり軸受1と、回転軸10に取り付けたスリーブ11とが摺動する際に、その接触部で発生する摩擦熱が大きくなる。その摩擦力により、すべり軸受1、回転軸10、及びスリーブ11が局所的に高温となる虞がある。図6A及び図6Bに示される斜線部は、すべり軸受1、回転軸10、及びスリーブ11の高温になる部分である。
回転軸10に取り付けたスリーブ11の局所的な高温化により、図6Aに示すように、回転軸10が局所的に膨張し、回転軸10がわずかに曲がる虞がある。それにより、立軸ポンプの回転体(回転軸10及びスリーブ11)と固定体(すべり軸受1)との干渉による振動や、軸受荷重の増加が起こりやすくなる。即ち、回転体のアンバランス方向において回転体と固定体とが接触し、この接触部分が発熱することにより回転軸10の軸断面に温度分布が生じ、部分的な熱膨張により回転軸10が曲がる。この際、回転軸10の曲がりにより回転体の重心がずれるので、回転体全体のアンバランスが徐々に大きくなっていく。また、回転軸10の曲がりにより、回転体とすべり軸受1との接触態様が変化し、すべり軸受1の温度勾配が変化する場合もある。
さらに、回転軸10の曲がりによる変位が、スリーブ11とすべり軸受1との隙間より大きくなると、図6Bに示すように、スリーブ11とすべり軸受1とが逆位相の2点において接触する状態となり、曲げ変位が拘束される。この状態で回転軸10が回転し続けると、さらに熱膨張が続き、すべり軸受1に対する押付荷重が上昇する。すべり軸受1に加わる押付荷重が上昇すると、発熱量が増加する。発熱量の増加により回転軸10の熱曲がりが加速し、その結果すべり軸受1に加わる押付荷重がさらに上昇する。このような悪循
環に陥り、加速度的に回転軸10、スリーブ11、及びすべり軸受1の温度が上昇する。
回転体のアンバランス量が許容値内であっても、それが大きい場合には、すべり軸受1の面圧が大きくなり、すべり軸受1の回転体との接触部の発熱が大きくなる。そのため、回転軸10の曲がりが促進され、加速度的にすべり軸受1の温度が上昇する場合がある。発熱を小さくするには、すべり軸受1の摩擦係数を低減させることが有効である。このため、従来より、低摩擦係数で耐摩耗性を実現できるすべり軸受用の樹脂材料として、炭素繊維やタルクを含有するPEEK系プラスチックを基材が開発されてきた。
ところで、近年、ドライ運転を行うポンプは多種に及んでおり、すべり軸受が支える回転軸の回転速度(V)や、摺動面圧(P)の条件の範囲、およびPV値(回転軸の回転速度×摺動面圧)の範囲がより高い値の方に広がっている。一方で、PEEK系の樹脂材料は高価であり、また、これまでは、要求されるPV値に応じて樹脂材料を設計する必要があったため、管理が煩雑であった。また、平均的な摩擦係数を低く抑えることはできても、運転中にはパルス的に高い摩擦係数となることがあり、それが頻繁におこる場合もあった。
特開平09-264327 特開2013-194769 特開2015-21551 特開2016-205545
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、水ポンプに使用されるラジアル軸受用のすべり軸受装置において、土砂等の異物(スラリー)を含む水中での運転では、従来の通り耐摩耗性を維持しつつ、大気中で摺動するドライ潤滑条件では、比較的高いPV値の範囲であっても摩擦係数が低い状態で安定的に維持されるすべり軸受を備えたすべり軸受装置、およびこれを備えたポンプを提供することを目的とする。
炭素繊維はすべり軸受の強度を上げ、線膨張係数を小さくでき、結果としてすべり軸受の形状変化を低く抑えることになり、長く安定した性能を維持するというプラスの効果が望まれる。
炭素繊維をより多く含有することにより、摩擦係数をより低く抑えることが可能である。特に、運転中に摩擦係数は急激に上昇下降を繰り返すことがあり、必ずしも安定しないが、その時の最大摩擦係数を小さく抑えるには、炭素繊維を多量に含有させることが有効である。
しかし、一方で炭素繊維を多量に含有させると、スラリー中で摩耗による炭素繊維の排出の機会が増え、排出された炭素繊維自体による摩耗が促進されやすくなるので、耐スラリー摩耗性にはマイナス効果となる。このため、炭素繊維の含有量にある一定の上限値を設ける必要がある。すなわち、最大摩擦係数を小さく抑え、かつ良好な耐スラリー摩耗性を得るためには、炭素繊維の含有量は特定の狭い数値範囲内とする必要があった。
また、タルクは、すべり軸受材料に含有させることにより、摩擦係数を下げる効果がある。しかし、タルク単体での効果は限定的である。
本発明では、適切な炭素繊維とタルクの範囲を見出し、それらの相乗効果により、炭素繊維の含有量が比較的少なくても、タルクの効果により、最大摩擦係数を安定化させることができ、また、炭素繊維の量が比較的多くても、耐摩耗性を維持できる範囲を定めるこ
とができた。
本発明者らは、低摩擦性と耐摩耗性に影響を与える重要な要素として、軸受のすべり面における炭素繊維の面積率、及びすべり軸受に対するタルクの含有率に着目し、検討を行った。その結果、本発明者らは、炭素繊維の面積率とタルクの含有率がそれぞれ所定の数値範囲内であるときに、すべり軸受は摩擦係数が低く、限界PV値が高く、耐摩耗性が良好であることを見出した。
本発明の一形態によれば、すべり軸受装置が提供される。このすべり軸受装置は、すべり軸受を備えたすべり軸受装置であって、前記すべり軸受は、芳香族ポリエーテルケトン、タルク、炭素繊維、及び不可避不純物を含み、前記すべり軸受に対する前記タルクの含有率は7質量%以上18質量%以下であり、前記すべり軸受のすべり面における前記炭素繊維の面積率は27%以上35%以下である。
本発明の他の一形態によれば、前記すべり軸受のすべり面が、大気と接触した状態及び土砂が混入した水と接触した状態のいずれでも運転可能に構成されている。
本発明の他の一形態によれば、前記芳香族ポリエーテルケトンは、PEK、PEEK、PEKKまたはPEEKKである。
本発明の他の一形態によれば、前記炭素繊維は、直径が5μm以上10μm以下である。
本発明の他の一形態によれば、前記タルクは、鱗片状であり、短軸径が0.1μm以上、長軸径が15μm以下であり、前記短軸径に対して前記長軸径が1倍より大きく15倍以下である。
本発明の他の一形態によれば、ポンプが提供される。このポンプは、上記すべり軸受装置を備える。
本発明によれば、水ポンプのラジアル軸受用のすべり軸受装置で使用される軸受であって、スラリーを含む水中運転、及び大気中で摺動するドライ潤滑条件のいずれにおいても使用される場合に、比較的高いPV値の範囲であっても耐摩耗性を損なわず、かつ摩擦係数が低い状態で安定的に維持されるすべり軸受を備えたすべり軸受装置、およびこれを備えたポンプを提供することができる。
先行待機運転を行う立軸ポンプの部分概略図である。 先行待機運転の運転状態を説明する図である。 図1に示した先行待機運転を行う立軸ポンプの全体を示す断面図である。 図3に示した軸受に適用される従来の軸受装置の拡大図である。 図4に示す軸受装置に設置されたすべり軸受の斜視図である。 ポンプ運転時における回転軸、スリーブ、及びすべり軸受の状態を示す模式的断面図である。 ポンプ運転時における回転軸、スリーブ、及びすべり軸受の状態を示す模式的断面図である。 本発明例のNo.5のすべり軸受についてのドライ試験における軸受温度と摩擦係数の時間変化を示す図である。 比較例のNo.7のすべり軸受についてのドライ試験における軸受温度と摩擦係数の時間変化を示す図である。 本発明及び比較例のすべり軸受についてのPV値と最大摩擦係数との関係を示す図である。
本実施形態に係るすべり軸受装置は、例えば、図4に示したすべり軸受装置と同様の構造を有する。即ち、本実施形態に係るすべり軸受装置は、回転体である回転軸10及びスリーブ11と、固定体であるすべり軸受1とを有する。また、本実施形態に係るすべり軸受装置に用いられるすべり軸受1は、図5に示したすべり軸受1と同様の構造を有する。
本実施形態に係るすべり軸受1は、芳香族ポリエーテルケトン、タルク、炭素繊維、及び不可避不純物の複合材料から構成される。円筒形状のすべり軸受1の内周面は、スリーブ11の外周面と接触する軸受の内周面(すべり面)1aを構成している。即ち、すべり軸受1は、低摩擦性、高強度、耐摩耗性を与える芳香族ポリエーテルケトン、タルク、及び炭素繊維を有する材料から構成される。
本発明において、タルクが固体潤滑材として摩擦係数を下げ、また、炭素繊維が耐摩耗性及び低い摩擦係数をもたらす。
すべり軸受が炭素繊維を含まない場合、摺動開始後にすべり面の摩擦により軸受部の熱膨張による変形が多くなり、相手材であるスリーブに接触するすべり面の面積が小さくなりやすい。このようにスリーブに接触するすべり面の面積が小さくなると、接触したすべり面の部分にかかる面圧が増加し、これにより材料の限界PV値を超えてしまう。限界PV値を超えると、すべり軸受のすべり面のスリーブへの焼き付きが発生し、摩擦係数の急上昇、軸受の破損が起こってしまう。一方、本発明においては、すべり軸受のすべり面に炭素繊維が含まれるため、すべり面の熱膨張による変形を防ぐことができ、すべり軸受の耐焼き付き性が向上する。
芳香族ポリエーテルケトンは、PEK(ポリエーテルケトン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEKK(ポリエーテルケトンケトン)、PEEKK(ポリエーテルエーテルケトンケトン)、のうち少なくとも1種類を含むことが好ましい。
タルクは固体潤滑剤であり、多量である程、摩擦係数低減の効果がある。すべり軸受に対するタルクの含有率は、7質量%以上18質量%以下であり、10質量%以上17質量%以下が好ましく、12質量%以上15質量%以下がより好ましい。すべり軸受に対するタルクの含有率が上記範囲内であると、潤滑性が向上し、すべり軸受のすべり面の摩擦係数を低減させることができる。
すべり軸受のすべり面における炭素繊維の面積率は、27%以上35%以下であり、30%以上34%以下が好ましく、31%以上33%以下がより好ましい。すべり軸受のすべり面における炭素繊維の面積率が上記範囲内であると、潤滑性が向上し、すべり軸受のすべり面の摩擦係数を低減させることができる。
タルクと炭素繊維の両者を含む場合、すべり軸受に対するタルクの含有率は、7質量%以上18質量%以下であり、かつすべり軸受のすべり面における炭素繊維の面積率は、27%以上35%以下である。また、上記タルクの含有率は、9質量%以上15質量%以下であり、かつ上記炭素繊維の面積率は、30%以上33%以下であることが好ましく、上記タルクの含有率は、10質量%以上12質量%以下であり、かつ上記炭素繊維の面積率は、31%以上32%以下であることがより好ましい。上記タルクの含有率及び上記炭素繊維の面積率が上記範囲内であると、水中での運転時に耐摩耗性に優れ、大気中での運転時に摩擦係数が低い状態で安定的に維持される。
タルクの含有率は、以下の方法により測定することができる。すなわち、成形したすべり軸受を100g測り取り、800℃において焼成を行い、炭素繊維、芳香族ポリエーテルケトンなどの成分を分解・揮発させ、タルクを灰分として回収し、灰分の重量を測定する。そして、すべり軸受の重量(100g)に対する灰分(タルク)の重量の割合を算出し、タルクの含有率とする。
タルクの形状としては、鱗片状、楕円等が好ましい。
軸受のすべり面1aにおいて観察されるタルクの直径について、短軸径は、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上13μm以下がより好ましく、5μm以上11μm以下が最も好ましく、また、長軸径は、15μm以下が好ましく、1μm以上14μm以下がより好ましく、6μm以上12μm以下が最も好ましい。また、短軸径に対する長軸径の倍率は、1倍より大きく15倍以下が好ましく、1倍以上10倍以下がより好ましく、1倍以上5倍以下が最も好ましい。タルクの短軸径、長軸径、及び/又は短軸径に対する長軸径の倍率が上記範囲内であると、タルクが固体潤滑材として機能して潤滑性が向上し、すべり軸受のすべり面の摩擦係数を低減させることができる。タルクの短軸径及び長軸径は、SEM(HITACHI社製、観察視野:縦95μm×横125μm、印加電圧:15.0kV、倍率:1000倍)を用いて、2次電子像撮影を行うことにより測定することができ、観察部分の画像解析は、画像解析プログラム:AxioVision(ZEISS社製)を用いて行うことができる。
炭素繊維の面積率は、以下の方法により測定することができる。すなわち、成形したすべり軸受に平滑な表面を設け、平滑な表面においてランダムに10箇所を選定し、それぞれの箇所について光学顕微鏡(Keyence社製、対物レンズ50~100倍)を用いて縦214μm×横285μmの平面の撮影を行う。撮影した縦214μm×横285μmの平面を観察部分とし、画像解析により炭素繊維の部分の同定を行う。観察部分の面積全体に対する炭素繊維の面積の占める割合を算出し、10箇所における算出値の平均を求め炭素繊維の面積率とする。ここで、すべり軸受表面の観察部分の画像解析は、タルクの画像解析において用いた上述の画像解析プログラムと同様のものを使用して、炭素繊維の画素特性(明るさ、色)と同じ画素特性を有する部分を抽出することにより行う。
炭素繊維は短繊維から構成されていることが好ましい。
軸受のすべり面1aにおいて観察される炭素繊維の直径は、5μm以上10μm以下が好ましく、5.5μm以上9μm以下がより好ましく、6μm以上8μm以下が最も好ましい。炭素繊維の直径は、光学顕微鏡(Keyence社製、対物レンズ50~100倍)を用いて、タルクの画像解析において用いた上述の画像解析プログラムと同様のものを使用して画像解析を行うことより測定することができる。
また、軸受のすべり面1aにおいて観察される炭素繊維の長さは、5μm以上1000μm以下が好ましく、6μm以上500μm以下がより好ましく、7μm以上200μm以下が最も好ましい。炭素繊維の長さは、光学顕微鏡(Keyence社製、対物レンズ50~100倍)を用いて、タルクの画像解析において用いた上述の画像解析プログラムと同様のものを使用して画像解析を行うことより測定することができる。
本発明においては、タルク、芳香族ポリエーテルケトン、及び炭素繊維を、二軸混練機により加熱混合して樹脂組成物を調製し、この樹脂組成物を圧縮成形した後、表面加工を施すことによりすべり軸受を製造することができる。また、このすべり軸受を使用してすべり軸受装置を製造することができ、さらに、このすべり軸受装置を使用してポンプを製造することができる。
以下、本発明について実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例に記載の内容に限定されるものではない。
実施例1では、まず、炭素繊維の面積率及びタルクの含有率のそれぞれが表1に示す値となるように、二軸混練機を用いて炭素繊維、タルク、及び芳香族ポリエーテルケトンを混合してペレットを製造した。得られたペレットを金型に入れ、加圧、加熱し、1次加工の成形を行った後、2次加工の機械加工により詳細な形状を付与し、すべり軸受を製造した。そして、得られたすべり軸受について、耐スラリー摩耗特性、摩擦係数及び限界PV値の評価を行った。
ここで、炭素繊維の面積率及びタルクの含有率は、上述の方法により測定を行い、炭素繊維の面積率を算出する際の画像解析条件は以下のように設定した。
・測定プログラムウィザードにおいて、
画素「明るさ -0.66、コントラスト 2.65、ガンマ 1.00」に設定
クリック「許容範囲 3、エッジサイズ 1」に設定
なお、表1には炭素繊維の面積率と、タルクの含有率のみが記載されているが、残部は芳香族ポリエーテルケトン及び不可避不純物が占めている。
Figure 0006994194000001
ここで、表1における各すべり軸受の評価は以下のように行った。
(摩耗速度)
まず、平均粒径が約5μmのケイ砂(主成分:Si0)と平均粒径が約30μmのケイ砂とが1:1の割合で含まれている砂粒子を3000mg/Lの濃度となるように水中に投入し、スラリーを含む水を作成した。得られたスラリーを含む水の中に上記すべり軸受を含む軸受装置を沈め、8時間にわたって25℃で維持されている水の中でPV値0.6MPa・m/sの条件においてWC基超硬合金の初期表面粗さ(Ra)が3.2の平面に対して摺動させ、すべり軸受の摩耗速度(μm/h)を算出した。そして、すべり軸受の摩耗速度が30μm/h以下である場合を耐スラリー摩耗性があり、一方、30μm/hを超える場合を耐スラリー摩耗性に劣るとした。
(摩擦係数、最大摩擦係数)
上記すべり軸受を含む軸受装置を、大気中において、図4に示す装置を用いて、PV値:1.0MPa・m/sで2時間、WC基超硬合金の初期表面粗さ(Ra)が3.2の面に対して潤滑油を用いずに摺動させ、2時間の間、0.5秒間隔で連続的に摩擦係数の測定を行った。
そして、2時間の運転中のうちの後半の1時間における摩擦係数の平均値を算出し、すべり軸受の摩擦係数としたすべり軸受の摩擦係数が0.1以下である場合を摩擦が小さく良好であり、一方、0.1を超える場合を摩擦が大きく不良であるとした。
また、2時間の運転中に測定した摩擦係数のうちで最大のものを、すべり軸受の最大摩擦係数とした。すべり軸受の最大摩擦係数が0.1以下である場合を運転中の全期間において摩擦係数を低く維持できていて良好(○)であるとし、一方、0.1を超える場合を運転中において摩擦係数が高くなってしまうことがあり不良(×)であるとした。
(限界PV値)
図4に示した装置を用いたドライ試験においてPV値1.5MPa・m/sで2時間運転した場合でも、すべり軸受のすべり面から深さ5mmの位置の温度が120℃以下である
ものを良好(〇)とし、一方、120℃を超えるものを不良(×)とした。
また、総合評価として、摩耗速度、摩擦係数、最大摩擦係数及び限界PV値の全ての評価において優れているものを良好(○)とし、それ以外のものを不良(×)とした。
表1に示すように、本発明例No.1~6のすべり軸受は、摩耗速度が30μm/h以下であり耐スラリー摩耗性に優れていた。一方、比較例No.3、4、及び6~9のすべり軸受は、摩耗速度が30μm/h以下であり耐スラリー摩耗性に優れているものの、比較例No.1、2、及び5のすべり軸受は、摩耗速度が30μm/hを超え耐スラリー摩耗性が劣っていた。表1の結果からわかるように、耐スラリー摩耗性は、炭素繊維の面積率、及び/又はタルクの含有量が多くなるにつれて悪化する傾向にあった。
また、本発明例No.1~6のすべり軸受は、摩擦係数が0.1以下であり良好な結果であった。一方、比較例No.1~7のすべり軸受は、摩擦係数が0.1以下であり良好な結果であるものの、比較例No.8及び9のすべり軸受は、摩擦係数が0.1を超えており結果に劣るものであった。表1の結果からわかるように、摩擦係数は炭素繊維の面積率により変動し、炭素繊維の面積率が小さくなると摩擦係数が増加し、炭素繊維の面積率が大きくなると摩擦係数が減少する傾向にあった。
さらに、本発明例No.1~6のすべり軸受は、最大摩擦係数が0.1以下であり良好な結果であった。一方、比較例No.1及び2のすべり軸受は、最大摩擦係数が0.1以下であり良好な結果であるものの、比較例No.3~9のすべり軸受は、最大摩擦係数が0.1を超えており結果に劣るものであった。表1の結果からわかるように、最大摩擦係数は炭素繊維の面積率及びタルクの含有率により変動し、炭素繊維の面積率が27%以上、及び/又はタルクの含有率が7質量%以上の場合に、最大摩擦係数が0.1以下となり良好な結果が得られた。
加えて、本発明例No.1~6及び比較例No.1~4のすべり軸受は、すべり軸受のすべり面から深さ5mmの位置の温度が120℃以下であり、限界PV値の評価が良好であった。一方、比較例No.5~9のすべり軸受は、いずれもすべり軸受のすべり面から深さ5mmの位置の温度が120℃を超え、限界PV値の評価が不良となった。表1の結果からわかるように、限界PV値の評価は炭素繊維の面積率により変動し、炭素繊維の面積率が小さくなると悪化し、炭素繊維の面積率が大きくなると改善する傾向にあった。
そして、炭素繊維の面積率が27%以上35%以下であり、タルクの含有率が7質量%以上18質量%以下である本発明例No.1~6のすべり軸受は、総合評価が良好となり、一方、炭素繊維の面積率及びタルクの含有率の少なくとも一つが前記数値範囲を満たさない比較例No.1~9のすべり軸受は、総合評価が不良となった。
実施例1の本発明例No.3のすべり軸受、及び比較例のすべり軸受(PEEK樹脂及び連続繊維の炭素繊維で構成されており、タルクを含まないすべり軸受)をそれぞれ、図
3に示した立形斜流ポンプのラジアル軸受である軸受32、33として使用し、実際の異物(土砂)を含む水の排水運転及びドライ運転を繰り返した。
排水運転及びドライ運転を繰り返した結果、実施例1の本発明例No.3のすべり軸受の摩耗速度は25.3μm/hであり、比較例の従来のPEEK樹脂を用いたすべり軸受の摩耗速度:84.8μm/hに比べて3分の1程度まで摩耗速度が低下した。比較例の従来のPEEK樹脂を用いたすべり軸受ではドライ運転時に短時間で急激な軸受温度上昇が発生し、ポンプの運転を中止する必要があった。一方で、実施例1の本発明例No.3のすべり軸受では、急激な温度上昇は発生せず、安定してポンプを運転することができた。即ち、排水運転及びドライ運転が繰り返し行われるような過酷な条件で使用される軸受32,33に本発明のすべり軸受を使用することにより、大気中と異物混入水中の両方において優れた軸受特性を発揮できた。
表1の本発明例のNo.5及び比較例のNo.7のすべり軸受それぞれを、図4に示す装置に装着して、PV値:0.5MPa・m/sの運転条件で2時間運転し、0.5秒間隔で連続的に測定し、摩擦係数と軸受温度の時間変化を示すグラフ(図7A及び図7B)を作成した。ここで、すべり軸受の摺動する相手面の回転軸10に装着されたスリーブ11は、WC基超硬合金で、初期面粗度(Ra):3.2の面であった。
図7A及び図7Bは、それぞれ本発明例のNo.5及び比較例のNo.7に関する測定結果である。
図7A及び図7Bの測定結果について、摩擦係数及び温度上昇量は平均的には大差がないが、図7Bでは、摩擦係数及び温度のいずれについても、所々でパルス状の急上昇・急降下が見られ、摩擦係数の上昇に連動した温度上昇も見られた。この結果より、すべり軸受の運転状態が非常に不安定であることがわかった。
一方で図7Aでは、図7Bと比べて摩擦係数及び温度のいずれについても、パルス状の急上昇・急降下がほとんど見られず、急上昇・急降下がある場合でも非常に上昇・下降の幅が小さかった。この結果より、すべり軸受の運転状態が非常に安定していることがわかった。
また、表1の本発明例のNo.5及び比較例のNo.7のすべり軸受それぞれを、図4に示す装置に装着して、PV値:0.4、0.5、0.75、又は1.0MPa・m/sのそれぞれの運転条件で2時間運転し、0.5秒間隔で連続的に測定し、2時間の運転中に測定した摩擦係数のうちで最大のものをすべり軸受の最大摩擦係数とし、本発明例のNo.5及び比較例のNo.7についてのPV値と最大摩擦係数との関係を示すグラフ(図8)を作成した。
図8からわかるように、本発明例のNo.5のすべり軸受の方が、最大摩擦係数が低く、その値は、0.4~1.0MPa・m/sのPV値の範囲内において大きな変化はなく安定していた。この結果より、本発明のすべり軸受は、様々なPV値の条件下において、運転中の全期間において摩擦係数を低く維持できており安定な運転を行えているとわかった。一方、比較例のNo.7のすべり軸受は、0.4~1.0MPa・m/sのPV値の範囲内において、最大摩擦係数が比較的大きな値を示し、PV値によってその値は大きく変動していた。この結果より、比較例のすべり軸受は、運転中に摩擦係数が高くなってしまうことがあり、また、PV値によって最大摩擦係数が変動し運転が不安定であるとわかった。
以上で説明したように、本実施形態に係るすべり軸受装置のすべり軸受をラジアル軸受として備えたポンプであれば、異物混入水を処理する排水機場において、水中運転と大気中運転とが繰り返されても、すべり軸受の摩耗を抑制し、且つすべり軸受の低摩擦性(潤滑性)を維持することができる。
本実施形態に係るすべり軸受装置は、大気運転において運転するラジアル軸受としてのすべり軸受装置や、異物の混入した水中で運転するラジアル軸受としてのすべり軸受装置に利用することができる。また、異物の混入している水中での運転と、大気中での運転とが繰り返されるラジアル軸受としてのすべり軸受装置にも、本実施形態に係るすべり軸受装置を利用することができる。
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本発明の作用・効果を奏する以上、本発明の技術的思想の範囲内である。
1…すべり軸受
1a…内周面(すべり面)
3…立軸ポンプ
10…回転軸
11…スリーブ

Claims (6)

  1. すべり軸受を備えたすべり軸受装置であって、
    前記すべり軸受は、芳香族ポリエーテルケトン、タルク、炭素繊維、及び不可避不純物を含み、
    前記すべり軸受に対する前記タルクの含有率は7質量%以上18質量%以下であり、
    前記すべり軸受のすべり面における前記炭素繊維の面積率は31%以上35%以下である、すべり軸受装置。
  2. 前記すべり軸受のすべり面が、大気と接触した状態及び土砂が混入した水と接触した状態のいずれでも運転可能に構成されている、請求項1に記載されたすべり軸受装置。
  3. 前記芳香族ポリエーテルケトンは、PEK、PEEK、PEKK、又はPEEKKである、請求項1又は2に記載されたすべり軸受装置。
  4. 前記炭素繊維は、直径が5μm以上10μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載されたすべり軸受装置。
  5. 前記タルクは、鱗片状であり、短軸径が0.1μm以上、長軸径が15μm以下であり、前記短軸径に対して前記長軸径が1倍より大きく15倍以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載されたすべり軸受装置。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載されたすべり軸受装置を備えたポンプ。
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