JP6987651B2 - 熱間加工性に優れ、サブゼロ処理を要しない高硬度析出硬化型ステンレス鋼 - Google Patents
熱間加工性に優れ、サブゼロ処理を要しない高硬度析出硬化型ステンレス鋼 Download PDFInfo
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Description
この特許文献1は、所定の元素を含む鋼中に、Cuを添加すると、固溶化熱処理および時効処理によりε−Cu相およびG相を析出させることにより硬度を増し、さらに質量比でSi/Mo比を最適化することにより熱間加工性を向上させようとしている。もっとも、この特許は、鋼の成分としてCoが必須元素とされている。またSi/Mo≦0.7を満足させることにより、熱間加工性を改善しようとしているが、さらに一層の熱間加工性の向上を図った析出硬化型ステンレス鋼の開発や、またCoやMoなどの高価な元素の使用をできるだけ減らすことが求められている。
5.00≦Nieq≦<9.50・・・式(1)
Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・式(2)
ただし、Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%N])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]であり、Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb]である。
なお、上記の[%M]には、いずれも対応する元素の含有量の数値(質量%)が代入される。
5.00≦Nieq≦9.50・・・式(1)
Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・式(2)
ただし、Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%N])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]であり、Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb]である。
なお、上記の[%M]には、いずれも対応する元素の含有量の数値(質量%)が代入される。
5.00≦Nieq≦9.50・・・式(1)
Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・式(2)
ただし、Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%N])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]であり、Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb]である。
なお、上記の[%M]には、いずれも対応する元素の含有量の数値(質量%)が代入される。
5.00≦Nieq≦9.50・・・式(1)
Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・式(2)
ただし、Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%N])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]であり、Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb]である。
なお、上記の[%M]には、いずれも対応する元素の含有量の数値(質量%)が代入される。
Cは、鋼の強度および耐食性を維持するために必要な元素である。Cが0.01%より少ないと強度不足となる。一方、Cが0.10%より多いと耐食性が低下する。そこで、Cは0.01〜0.10%とする。
Siは、鋼の製錬時の脱酸材であり、かつ鋼の析出強化に寄与するために必要な元素である。Siが0.30%より少ないと製錬時に脱酸剤として不足し、かつ鋼の析出強化元素として不足となる。一方、Siが2.00%より多いと、鋼の熱間加工性が低下する。そこで、Siは0.30〜2.00%とする。
Mnは、鋼の製錬時の脱酸材として必要な元素である。Mnが0.01%より少ないと製錬時に脱酸剤として不足する。一方、Mnが1.00%より多いと、鋼の熱間加工性が低下する。そこで、Mnは0.01〜1.00%とする。
Niは、鋼の析出強化に寄与する元素である。Niが4.00%より少ないと鋼の析出強化元素として不足する。一方、Niは高価な元素であるので、9.00%より多いとコストの増加となる。そこで、Niは4.00〜9.00%とする。
Crは、鋼の耐食性に寄与する元素である。Crが8.00%より少ないと耐食性が低下する。一方、Crが14.50%より多いと、熱間加工性が低下し、かつCrは高価な元素であるのでコストの増加となる。そこで、Crは8.00〜14.50%とし、好ましくは8.00〜13.00未満とする。
Moは、鋼の耐食性に寄与する元素である。Moが0.10%より少ないと耐食性が低下する。一方、Moが2.00より多いと熱間加工性が低下しかつ高価な元素であるのでコストの増加となる。そこで、Moは0.10〜2.00%とする。
Cuは、鋼の耐食性に寄与し、かつ析出強化に寄与する元素である。Cuが0.50%より少ないと鋼の耐食性が低下し、析出強化に寄与する元素として不足する。一方、Cuが4.00%より多いと熱間加工性が低下する。そこで、Cuは0.50〜4.00%とする。
Tiは、鋼の析出強化に寄与する元素である。Tiが0.50%より少ないと鋼の析出強化元素として不足する。一方、Tiが3.50%より多いと熱間加工性が低下しかつコストの増加となる。そこで、Tiは0.50〜3.50%とする。
Alは、鋼の耐食性を低下させ、また、熱間加工性も低下させる成分である。そこで、0.150%を上限とする。他方、Alを無理に低減しようとすると、かえってコスト高を招くため、経済的観点から0.001%以上としてもよい。
Nbは、鋼の結晶粒粗大化を抑制する成分として添加しうる。もっとも、0.01%より少ないと、結晶粒粗大化抑制の効果が得られない。他方、2.00%を超えると、熱間加工性が低下し、コストが増加することとなる。そこで、Nbは、0.01〜2.00%とする。
Nは、鋼の熱間加工性を低下させる成分である。また、0.050%を超えると、フェライトが不安定となる。そこで、0.050%を上限とする。他方、Nを無理に低減しようとすると、かえってコスト高を招くため、経済的観点から0.002%以上としてもよい。
Sは、鋼の被削性向上のために添加しうる化学成分である。もっとも、0.001%未満であると、少なすぎてその効果が得られない。他方、0.100%を超えると、熱間加工性が低下する。そこで、Sは、0.001〜0.100%とする。
Mgは、鋼の熱間加工性に寄与するために添加しうる化学成分である。もっとも、0.0001%未満では、熱間加工性への寄与がみられない。他方、0.0250%を超えて過剰であると、かえって熱間加工性が低下する。そこで、0.0001〜0.0250%とする。
Caは、鋼の熱間加工性に寄与するために添加しうる化学成分である。もっとも、0.0001%未満では、熱間加工性への寄与がみられない。他方、0.0250%を超えて過剰であると、かえって熱間加工性が低下する。そこで、0.0001〜0.0250%とする。
Bは、鋼の熱間加工性に寄与するために添加しうる化学成分である。もっとも、0.0001%未満では、熱間加工性への寄与がみられない。他方、0.0250%を超えて過剰であると、かえって熱間加工性が低下する。そこで、0.0001〜0.0250%とする。
式(1)のNieqの値は、5.00以上の大きさ、かつ9.50以下であることが必要である。式(1)が上記の条件を満足しないときは、鋼の熱間加工性が低下する。そこで、式(1)は、5.00≦Nieq≦9.50とする。
ただし、上記式(1)におけるNieq=[%Ni]+30×([%C]+[%N])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]である。
式(2)に示すように、Nieqの値は、−0.83×Creq+25.5の値以下であることが必要である。式(2)が上記の条件を満足しないときは、残留オーステナイト量が大きくなるからである。そこで、式(2)は、Nieq≦−0.83×Creq+25.5とする。
ただし、Nieqは、Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%N])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]であり、さらに、Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb]である。
なお、(1)式および(2)式における[%M](「M」は化学成分を示す。)の値はいずれも、質量%の数値の大きさ、すなわち、対応する元素の含有量の数値(質量%)が代入される。
これらのインゴットを1150℃で径20mmの棒鋼に鍛伸した。さらに、これらの棒鋼を900〜1200℃に1時間保持した後、水冷して固溶化熱処理を行った。さらに、これらの固溶化熱処理した棒鋼を300〜800℃で1時間保持した後、空冷して時効熱処理を行った。
なお、各特性としては、(1)式、(2)式を満足するものは○、満足しないものは×とし、表1、表2、および表3、並びに表4および表5に表記した。また、耐候性試験では発銹したものを×、発銹しなかったものを○とし、表1、表2、および表3、並びに表4および表5に表記した。なお、表4および表5の下線部は本発明の範囲外であることを示している。
なお、式(1)とは、5.00≦Nieq≦9.50である。
さらに、表中の式(2)の列には、式(2)を満足する場合を○として評価した。
式(2)とは、Nieq≦−0.83×Creq+25.5である。
なお、Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%N])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]であり、Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb]である。
表1、表2、および表3における、Nieqの値はいずれも5.00以上9.50以下である。さらに、Creqの値は、Nieqの値に応じて変動し、9.4〜15.7である。
また、Ms点(マルテンサイト変態開始温度)は106〜262℃である。さらに、式(1)および、式(2)を満足するものは○と表示しているとおり、いずれも双方の式を満足する値となっている。
No.1は、マルテンサイト開始温度であるMs点が61℃と100℃未満の低さであるので、残留オーステナイト量(すなわち表1の残留γ量)が2.4%で、本願発明の規定の1.0%より多く、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度の下限値の100℃に満たず、25℃と極めて低い。
No.2は、Cの含有量が0.12%と本願発明の範囲より多く、Nieqが本願発明の9.50より高い10.58で、Ms点が69℃と100℃未満の低さで、式(1)を満たしていないので×で、耐候性も×で、残留オーステナイト量(残留γ量)が2.8%で本願発明に規定の1.0%より多く、熱間加工性の絞りRAが60%以上となる温度範囲が100℃未満の75℃と低い。
No.3は、Siの含有量が0.20%と本願発明の範囲より少なく、時効処理のピーク硬さが53.8HRCと本願発明の55HRCより低い。
No.4は、Siの含有量が2.16%と本願発明の範囲より多く、Nieqが本願発明の9.50より高い10.34で、式(1)を満たしておらず×で、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値の100℃に満たず50℃と低い。
No.5は、Mnの含有量が1.17%と本願発明の範囲より多く、Nieqが本願発明における9.50より高く9.80であり、式(1)を満たしておらず×で、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず50℃と低い。
No.6は、Niの含有量が3.61%と本願発明の範囲の4.00%より少なく、時効処理のピーク硬さが52.6HRCと本願発明における55HRCより低い。
No.7は、Niの含有量が9.52%と本願発明の範囲の9.00%より多く、Nieqが本願発明における9.50より高く、12.10で、Ms点が52℃と100℃未満の低さで、式(1)を満たして織らず×で、残留オーステナイト量(残留γ量)が5.2%で本願発明の規定の1.0%より多く、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値の100℃に満たず75℃と低い。
No.8は、Crの含有量が4.03%と本願発明の範囲の8.00%より少なく、耐候性が×である。
No.9は、Crの含有量が14.88%と本願発明の範囲の14.50%より多く、熱間加工性が低く、コスト増となる。
No.10は、Moの含有量が0.04%と本願発明の範囲の0.10%より少なく、Nieqが9.51と、本願発明の9.50よりやや高い値で式(1)を満たしておらず×で、耐候性も×で、熱間加工性の絞りRAが60%以上となる温度範囲が100℃未満で75℃と低い。
No.11は、Moの含有量が2.19%と本願発明の2.00%より多く、コスト高で、Nieqが11.01と本願発明の9.50より高く、式(1)を満たしていないので×であり、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず、50℃と低い。
No.12は、Cuの含有量が0.32%と本願発明の0.50%より少なく、時効処理のピーク硬さが53.2HRCと本願発明における55HRCより低い。
No.13は、Cuの含有量が0.43%と本願発明の4.00%より多く、Nieqが9.85と本願発明の9.50より高く、式(1)を満たしておらず×で、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度の下限値である100℃に満たず、75℃と低い。
No.14は、Tiの含有量が0.12%と本願発明の下限値の0.50%より少なく、Nieqが10.31と本願発明の9.50より高く、式(1)を満たしておらず×で、時効処理のピーク硬さが52.9HRCと本願発明における55HRCより低く、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず50℃と低い。
No.15は、Tiの含有量が3.80%と本願発明の上限値の3.50%より多く、Nieqが10.00と本願発明における9.50より高く、式(1)を満たしておらず×で、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず、75℃と低い。
No.16は、Alの含有量が0.186%と本願発明の上限値の0.150%より多い。しかしながら、Al以外の元素は規定の範囲内であるので、Nieq、Creq、Ms点、式(1)、式(2)、時効硬さ(ピーク硬さ)、耐候性、残留オ−ステナイト量(残留γ量)、および熱間加工性の絞りRAに格別に影響は見られない。
No.17は、Nbの含有量が2.09%と本願発明の上限値の2.00%より多い。そこで、Nieqが9.52で本願発明の9.50よりやや高い値であり、式(1)を満たしておらず×で、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず、75℃と低い。
No.18は、Nの含有量が0.084%と本願発明の上限の0.050%より多い。そこで、Nieqが10.25と本願発明における9.50より高く、式(1)を満たしておらず×で、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず、75℃と低い。
No.19は、Sの含有量が0.145%と本願の上限の0.100%より多い。そこで、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず、25℃と極めて低い。
No.20は、Nbの含有量が2.14%と本願発明の上限値の2.00%より多い。一方、Nを含有しているが、その含有量は本願発明の上限の0.050%以下の範囲内である。そこで、Nieqが9.67と本願発明の9.50より高く、式(1)を満たしておらず×で、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず、75℃と低い。
No.21は、Sの含有量が0.122%と本願発明の上限の0.100%より多く、Nbを含有しているが、その含有量は1.69%と本願発明の0.01〜2.00%の範囲内で、さらにNを含有しているが、その含有量は本願の上限の0.050%より多い。そこで、Nieqは9.80と本願発明の9.50より高く、式(1)を満たしておらず×であり、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず、25℃と極めて低い。
No.22は、Caの含有量が0.0312%と本願発明の上限値の0.0250%より多く、Bの含有量が0.0340%と本願発明の上限の0.0250%より多い。そこで、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず、75℃と低い。
No.23は、Mgの含有量が0.0289%と本願発明の上限値の0.0250%より多い。そこで、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず、75℃と低い。
No.24は、Mgの含有量が0.0274%と本願発明の上限値の0.0250%より多く、さらにBの含有量が0.0340%と本願発明の上限値の0.0250%より多い。そこで、Nieqは11.39と本願発明の上限値の9.50より高く、Ms点が106℃よりも低い92℃の低さであり、式(1)を満たしておらず×であり、残留オーステナイト量(残留γ量)が2.7%で本願発明の規定の1.0%を超えており、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず、50℃と低い。
No.25は、Alの含有量が0.099%と本願発明の上限値の0.150%以下の範囲内で、Nbの含有量が0.92%と本願発明の上限値の2.00%以下の範囲内で、Bの含有量が、0.0401%と本願発明の上限値の0.0250%を超えており、Nieqは12.12と本願発明の上限値の9.50より高く、式(1)を満たしておらず×で、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず、75℃と低い。
No.26は、Alを含有しておらず、Caは0.0052%と本願発明の0.0001〜0.0250%の範囲内であるが、Mgは0.0290%と本願発明の上限値の0.0250%より多く、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず、75℃と低い。
No.27は、Alの含有量が0.083%と本願発明の上限値の0.150%の範囲内で、Nは0.041%と本願発明の0.002〜0.050%の範囲内であるが、Mgは0.0267%で本願発明の上限値の0.0250%より多いので、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず、50℃と低い。
No.28は、S含有量は0.089%と本願発明の0.001〜0.100%の範囲内で、Alの含有量は0.041%と本願発明の0.001〜0.150%の範囲内であるが、Caは0.0361%と本願発明の上限値の0.0250%より多い。したがって、Nieqは11.21と本願発明の上限値の9.50より高く、式(1)を満たしておらず×で、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず、50℃と低い。
No.29は、S含有量は0.026%と本願発明の0.001〜0.100%の範囲内で、Alの含有量は無く、Nbの含有量は0.20%と本願発明の0.01〜2.00%の範囲内で、さらにMgは0.0213%と本願発明の0.01〜2.00%の範囲内で、Bは0.0274%で本願発明の上限値の0.0250%より多い。そこで、Nieqは11.90と本願発明の上限値の9.50より高く、式(1)を満たしておらず×で、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず、75℃と低い。
No.30は、S含有量は0.047%と本願発明の0.001〜0.100%で、Alは0.186%と本願発明の0.001〜0.150%で、Caは0.0284%で本願発明の上限値の0.0250%より多く、さらに、Mgは0.0316%と本願発明の上限値の2.00%より多いが、Bは0.0034%と本願発明の0.0001〜0.0250%の範囲内である。そこで、熱間加工性の絞りRAは60%以上となる温度範囲の下限値である100℃に満たず、25℃と極めて低い。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:0.30〜2.00%、Mn:0.01〜1.00%、Ni:4.00〜9.00%、Cr:8.00〜14.50%、Mo:0.10〜2.00%、Cu:0.50〜4.00%、Ti:0.50〜3.50%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、下記の式(1)および式(2)を満足し、硬さが55HRC以上、残留オーステナイト量が1%以下、熱間引張試験(グリーブル試験)における絞り60%以上となる温度が100℃以上であることを特徴とする製造性に優れた高硬度析出硬化型ステンレス鋼。
5.00≦Nieq≦9.50・・・式(1)
Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・式(2)
ただし、Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%N])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]で、Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb]でる。
なお、上記の[%M]には、いずれも対応する元素の含有量の数値(質量%)が代入される。 - 請求項1の化学成分に加えて、質量%で、Al:0.001〜0.150%、Nb:0.01〜2.00%、N:0.002〜0.050%、およびS:0.001〜0.100%から選択したいずれか1種または2種以上を含有し、ただし、請求項1の化学成分の中のCrについては、Cr:8.00〜13.00%未満とし、残部Feおよび不可避不純物からなり、下記の式(1)および式(2)を満足し、硬さが55HRC以上、残留オーステナイト量が1%以下、熱間引張試験(グリーブル試験)における絞り60%以上となる温度が100℃以上であることを特徴とする製造性に優れた高硬度析出硬化型ステンレス鋼。
5.00≦Nieq≦9.50・・・式(1)
Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・式(2)
ただし、Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%N])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]で、Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb]である。
なお、上記の[%M]には、いずれも対応する元素の含有量の数値(質量%)が代入される。 - 請求項1の化学成分に加えて、質量%で、Ca:0.0001〜0.0250%、Mg:0.0001〜0.0250%、B:0.0001〜0.0250%から選択したいずれか1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、下記の式(1)および式(2)を満足し、硬さが55HRC以上、残留オーステナイト量が1%以下、熱間引張試験(グリーブル試験)における絞り60%以上となる温度が100℃以上であることを特徴とする製造性に優れた高硬度析出硬化型ステンレス鋼。
5.00≦Nieq≦9.50・・・式(1)
Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・式(2)
ただし、Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%N])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]で、Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb]である。
なお、上記の[%M]には、いずれも対応する元素の含有量の数値(質量%)が代入される。 - 請求項1の化学成分に加えて、質量%で、Al:0.001〜0.150%、Nb:0.01〜2.00%、N:0.002〜0.050%、S:0.001〜0.100%から選択したいずれか1種または2種以上を含有し、さらに、Ca:0.0001〜0.0250%、Mg:0.0001〜0.0250%、B:0.0001〜0.0250%から選択したいずれか1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、下記に記載の式(1)および式(2)を満足し、硬さが55HRC以上、残留オーステナイト量が1%以下、熱間引張試験(グリーブル試験)における絞り60%以上となる温度が100℃以上であることを特徴とする製造性に優れた高硬度析出硬化型ステンレス鋼。
5.00≦Nieq≦9.50・・・式(1)
Nieq≦−0.83×Creq+25.5・・・式(2)
ただし、Nieq=[%Ni]+30×([%C]+[%N])+0.5×[%Mn]+0.3×[%Cu]で、Creq=[%Cr]+[%Mo]+1.5×[%Si]+0.5×[%Nb]である。
なお、上記の[%M]には、対応する元素の含有量の数値(質量%)が代入される。
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