実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明の一態様は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
また、図面などにおいて示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、発明の理解を容易とするため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面などに開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチングなどの処理により層やレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするために省略して示すことがある。
また、特に上面図(「平面図」ともいう。)や斜視図などにおいて、発明の理解を容易とするため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記載を省略する場合がある。
本明細書等における「第1」、「第2」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、工程順または積層順など、なんらかの順番や順位を示すものではない。また、本明細書等において序数詞が付されていない用語であっても、構成要素の混同を避けるため、特許請求の範囲において序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲において異なる序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲などにおいて序数詞を省略する場合がある。
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
なお、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上または直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
また、ソースおよびドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合など、動作条件などによって互いに入れ替わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。このため、本明細書においては、ソースおよびドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。よって、「電気的に接続する」と表現される場合であっても、現実の回路においては、物理的な接続部分がなく、配線が延在しているだけの場合もある。
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう。)と、が異なる場合がある。例えば、ゲート電極が半導体の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつゲート電極が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
そこで、本明細書では、見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを解析することなどによって、値を決定することができる。
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。不純物が含まれることにより、例えば、半導体のDOS(Density of States)が高くなることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、および酸化物半導体の主成分以外の遷移金属などがあり、例えば、水素、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、水も不純物として機能する場合がある。また、酸化物半導体の場合、例えば不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
また、本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」および「直交」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
なお、本明細書等において、計数値および計量値に関して「同一」、「同じ」、「等しい」または「均一」(これらの同意語を含む)などと言う場合は、明示されている場合を除き、プラスマイナス20%の誤差を含むものとする。
また、本明細書等において、フォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成し、その後にエッチング工程(除去工程)を行う場合は、特段の説明がない限り、当該レジストマスクは、エッチング工程終了後に除去するものとする。
また、本明細書等において、高電源電位VDD(「VDD」または「H電位」ともいう。)とは、低電源電位VSSよりも高い電位の電源電位を示す。また、低電源電位VSS(「VSS」または「L電位」ともいう。)とは、高電源電位VDDよりも低い電位の電源電位を示す。また、接地電位(「GND」または「GND電位」ともいう。)をVDDまたはVSSとして用いることもできる。例えばVDDが接地電位の場合には、VSSは接地電位より低い電位であり、VSSが接地電位の場合には、VDDは接地電位より高い電位である。
なお、「膜」という言葉と、「層」という言葉とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、エンハンスメント型(ノーマリーオフ型)の電界効果トランジスタとする。また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、nチャネル型のトランジスタとする。よって、そのしきい値電圧(「Vth」ともいう。)は、明示されている場合を除き、0Vよりも大きいものとする。
(実施の形態1)
本実施の形態では、図1乃至図16を用いて、本発明の一態様のトランジスタについて説明する。
<トランジスタ100の構造>
図1を用いて、本発明の一態様の基本の形態であるトランジスタ100について説明する。図1(A)には、トランジスタ100を有する半導体装置の上面図を示す。図1(A)に示す一点鎖線A−Bにおける当該半導体装置の断面を図1(B)に示す。また、図1(A)に示す一点鎖線C−Dにおける当該半導体装置の断面を図1(C)に示す。なお、トランジスタ100において、一点鎖線C−Dで示す点Cから点Dに向かう方向が、チャネル幅方向であり、一点鎖線A−Bで示す点Aから点Bに向かう方向が、チャネル長方向である。
トランジスタ100は、基板101上の絶縁層102上に配置される。トランジスタ100は、導電層104と、絶縁層106と、半導体層108と、導電層110aと、導電層110bと、絶縁層112と、絶縁層114aと、絶縁層114bと、導電層116と、導電層118と、を有する。また、トランジスタ100上には、絶縁層120と、絶縁層122と、絶縁層124と、導電層126a乃至導電層126dと、導電層130a乃至導電層130dが、配置される。
トランジスタ100において、導電層104は、絶縁層102および絶縁層106に挟まれる位置に配置される。絶縁層106は、島状の凸部を有し、当該凸部上に半導体層108が配置される。導電層110a及び導電層110bは、半導体層108の上面の一部に接して配置される。
絶縁層114aは、半導体層108の上面の他の一部および半導体層108の側面の一部に接して配置される。また、絶縁層114aは、トランジスタ100の作製工程において、導電層104および絶縁層106の一部を露出したあとに形成される。したがって、絶縁層114aは、導電層104および絶縁層106と接している。
導電層116は、絶縁層114aを介して導電層104と重なる領域と、絶縁層114a、半導体層108および絶縁層106を介して導電層104と重なる領域とを有する。
絶縁層114bは、導電層104上であって、半導体層108に重ならない位置に配置される。導電層118は、絶縁層114bを介して導電層104に重ねて配置される。また、絶縁層112は、絶縁層106上に配置される。
絶縁層114aおよび絶縁層114bは、トランジスタ100の作製工程において同時に形成される。絶縁層114aおよび絶縁層114bの厚さは、絶縁層106の厚さよりも小さいと好ましい。具体的には、絶縁層114aおよび絶縁層114bの厚さは、1nm以上20nm以下であると好ましく、8nm以上10nm以下とあるとより好ましい。図1(C)では、絶縁層114aと、絶縁層114bとはそれぞれ分離されているが、絶縁層114aと、絶縁層114bは互いに接続されていてもよい。
トランジスタ100上には、絶縁層120、絶縁層122および絶縁層124がこの順に重ねて配置される。
導電層130a乃至導電層130dは、絶縁層124上に配置される。導電層130aは、導電層126aを介して導電層110aと電気的に接続され、導電層130bは、導電層126bを介して導電層110bと電気的に接続され、導電層130cは、導電層126cを介して導電層116と電気的に接続され、導電層130dは、導電層126dを介して導電層118と電気的に接続される。なお、トランジスタ100において、導電層130cから導電層130dに向かう方向が、チャネル幅方向であり、導電層130aから導電層130bに向かう方向が、チャネル長方向であるということもできる。
トランジスタ100において、導電層110aおよび導電層110bは、それぞれソース電極およびドレイン電極のいずれか一方として機能する。また、導電層104は、電気的にフローティング状態にあり、電荷を保持する機能を有する。
導電層116は、ゲート電極としての機能を有する。また、導電層116は、絶縁層114aを介して導電層104と重なる領域を有する。また、絶縁層114aの厚さは上記のように薄い。これらの理由により、導電層116は、導電層104に電荷を注入することができる。
導電層118は、絶縁層114bを介して導電層104と重なる領域を有する。また、絶縁層114bの厚さは上記したように薄い。これらの理由により、導電層118は、導電層104に電荷を注入することができる。
次に、導電層104、導電層116および導電層118を用いて、トランジスタ100のしきい値を制御する方法について説明する。以下では便宜上、導電層104をフローティングゲート、導電層116をトップゲート、導電層118をコントロールゲートとも呼ぶ。
コントロールゲートからフローティングゲートへの電荷の注入は、一般的な不揮発性メモリの一種であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)の動作における、フローティングゲートへの電子注入と同様の方式で行われる。例えば、一定時間、トップゲートとコントロールゲートとの電位差を大きくすると、トップゲートとフローティングゲートとの電位差およびコントロールゲートとフローティングゲートとの電位差が大きくなる。したがって、トップゲートとコントロールゲートとの電位差を十分に大きくすることにより、トップゲートまたはコントロールゲートから、F−N(Fowler−Nordheim)トンネリングによるトンネル電流により、絶縁層を介して、フローティングゲートに電荷が注入される。フローティングゲートに電荷が注入された後、トップゲートとコントロールゲートとの電位差を小さくしても、フローティングゲートは、電気的にフローティング状態であるため、注入された電荷を保持する。さらに、保持された電荷によってフローティングゲートの電位を制御することができ、また、フローティングゲートの電位により半導体層の電位を変化させることができる。したがって、コントロールゲートおよびフローティングゲートを使用して、トランジスタ100のしきい値を変化させることができる。
トランジスタ100は、一度、導電層116(トップゲート)と導電層118(コントロールゲート)との間に高電圧を印加して、しきい値を変化させると、その後は導電層116および導電層118間の電位差を小さくしても、しきい値を一定に保持し続けることができる。例えば、導電層118の電位を0Vとした場合であっても、しきい値を一定に保持し続けることができる。すなわち、導電層116と導電層118との間への高電圧の印加は、連続的に行う必要はなく、例えば、トランジスタ100を有する半導体装置の工場出荷前に一度行うか、またはトランジスタ100を有する半導体装置を使用している際の必要なときにのみ行えばよい。したがって、導電層104および導電層118を設けることによってトランジスタ100のしきい値の制御に要する電力を小さくすることができる。
また、導電層116と導電層118との間に高電圧を印加してしきい値を変化させる際に流れるトンネル電流は微細であるため、トランジスタ100のしきい値の制御に要する電力を小さくすることができる。
また、トランジスタ100の作製において、絶縁層114a、114b、導電層104、導電層116および導電層118の形成は容易であり、均一な質の絶縁層114a、114b、導電層104、導電層116、および導電層118を得ることができるため、安定してしきい値の制御を行うことができる。
フローティングゲートに蓄えられた電荷をQFG、フローティングゲートとトップゲートとの間の容量をCFGTG、フローティングゲートとコントロールゲートとの間の容量をCFGCG、フローティングゲートと半導体層との間の容量をCFGOSとし、トップゲートの電位を0、ソース電極及びドレイン電極の電位を0、コントロールゲートの電位をVCとする場合、フローティングゲートの電位VFGは、式(1)で表される。
式(1)より、フローティングゲートに蓄えられた電荷QFGの量により、フローティングゲートにおける電位VFGが制御されることがわかる。また、式(1)より、VFGはCFGCG/(CFGTG+CFGOS+CFGCG)に比例していることがわかる。なお、CFGCG/(CFGTG+CFGOS+CFGCG)は、カップリング比と呼ばれることがある。
CFGCGは、導電層104(フローティングゲート)と導電層118(コントロールゲート)とが重なる領域の面積(以下、SFGCGと呼ぶ)に比例する。また、CFGTGは、導電層104(フローティングゲート)と導電層116(トップゲート)とが絶縁層114aを介して重なる領域であって、かつ、半導体層108と導電層116(トップゲート)は重ならない領域の面積(以下、SFGTGと呼ぶ)に比例する。また、CFGOSは、導電層104(フローティングゲート)と半導体層108とが重なる領域の面積(以下、SFGOSと呼ぶ)に比例する。したがって、トランジスタ100の設計において、SFGCG、SFGTGおよびSFGOSを変化させることにより、所望のカップリング比CFGCG/(CFGTG+CFGOS+CFGCG)の値とすることができる。
例えば、SFGCGを大きくし、SFGTGおよびSFGOSを小さくすることにより、CFGCGを増加させ、CFGTGおよびCFGOSを減少させることで、カップリング比CFGCG/(CFGTG+CFGOS+CFGCG)を増大させることができる。式(1)より、CFGCG/(CFGTG+CFGOS+CFGCG)を増大させることで、導電層104にQFGを注入するのに必要なVCを小さくすることができる。
また、CFGTGを減少させることにより、不要な寄生容量の増加を抑制でき、トランジスタ100の周数特性を向上させることができる。
また、CFGCGは、絶縁層114bの厚さ(以下、dFGCGと呼ぶ)に反比例する。また、CFGTGは、絶縁層114aの厚さ(以下、dFGTGと呼ぶ)に反比例する。また、CFGOSは、導電層104(フローティングゲート)と半導体層108とが重なる領域における絶縁層106の厚さ(以下、dFGOSと呼ぶ)に反比例する。したがって、トランジスタ100の作製工程において、所望のCFGCG/(CFGTG+CFGOS+CFGCG)となるようにdFGCG、dFGTGおよびdFGOSを調節することができる。
例えば、絶縁層114aの厚さdFGTGおよび導電層104(フローティングゲート)と半導体層108とが重なる領域における絶縁層106の厚さdFGOSを大きくすることによっても、CFGTGおよびCFGOSを減少させ、カップリング比を増大させることができる。しかし、dFGTGを大きくすると、トンネル効果によってトップゲートからフローティングゲートに電荷を注入することが困難になる。したがって、dFGTGは小さいままで、dFGOSを大きくすると好ましい。すなわち、絶縁層114aの厚さは、導電層104(フローティングゲート)と半導体層108とが重なる領域における絶縁層106の厚さより小さいと好ましい。また例えば、絶縁層114aの厚さは、1nm以上20nm以下とすると好ましく、8nm以上10nm以下とするとより好ましい。
例として、CFGCG/(CFGTG+CFGOS+CFGCG)が0.8になるようにトランジスタ100を設計した場合のVFGについて説明する。dFGTGおよびdFGCGが8nm、dFGOSが20nmであるトランジスタ100において、初期状態のQFGが0Cであり、コントロールゲートに12V、トップゲートに0Vを印加するときを想定すると、式(1)より、VFGは9.6Vとなることがわかる。したがって、トップゲートとフローティングゲートとの電位差が9.6Vとなり、フローティングゲートとコントロールゲートとの電位差は2.4Vとなる。このとき、トップゲートとフローティングゲートとの電位差は、フローティングゲートとコントロールゲートとの電位差よりも十分大きく、また、F−Nトンネリングによるトンネル電流が流れるのに必要な大きさである。したがって、トップゲートとフローティングゲートとの間にF−Nトンネリングによるトンネル電流が流れ、フローティングゲートとコントロールゲートとの間にはほとんどトンネル電流は流れない。このような方法で、フローティングゲートに電荷QFGを注入することができる、また、その量を制御することができる。
従って、トランジスタ100の構成とすると、フローティングゲートに電荷を保持させることができ、保持された電荷によってフローティングゲートの電位を制御することができ、また、フローティングゲートの電位により半導体層の電位を変化させることができるため、トランジスタの消費電力を低減させ、また、安定なしきい値制御を行うことが可能である。
〔成膜方法〕
絶縁層を形成するための絶縁性材料、電極を形成するための導電性材料、または半導体層を形成するための半導体材料は、スパッタリング法、スピンコート法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法(熱CVD法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、PECVD(Plasma Enhanced CVD)法、高密度プラズマCVD(High density plasma CVD)法、LPCVD(low pressure CVD)法、APCVD(atmospheric pressure CVD)法等を含む)、ALD(Atomic Layer Deposition)法、または、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、または、PLD(Pulsed Laser Deposition)法を用いて形成することができる。
なお、平行平板型のスパッタリング装置を用いたスパッタリング法を、PESP(Parallel Electrode Sputtering)と呼ぶこともできる。また、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いたスパッタリング法を、VDSP(Vapor Deposition Sputtering)と呼ぶこともできる。
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。MOCVD法、ALD法、または熱CVD法などの、成膜時にプラズマを用いない成膜方法を用いると、被形成面にダメージが生じにくく、また、欠陥の少ない膜が得られる。
なお、ALD法により成膜する場合は、材料ガスとして塩素を含まないガスを用いることが好ましい。
〔基板〕
基板101として用いる材料に大きな制限はないが、少なくとも後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば、基板101としてシリコンや炭化シリコンなどを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどを材料とした化合物半導体基板等を用いることができる。また、SOI基板や、半導体基板上に歪トランジスタやFIN型トランジスタなどの半導体素子が設けられたものなどを用いることもできる。または、高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)に適用可能なヒ化ガリウム、ヒ化アルミニウムガリウム、ヒ化インジウムガリウム、窒化ガリウム、リン化インジウム、シリコンゲルマニウムなどを用いてもよい。すなわち、基板101は、単なる支持基板に限らず、他のトランジスタなどのデバイスが形成された基板であってもよい。この場合、トランジスタ100のゲート、ソース、またはドレインの少なくとも一つは、上記他のデバイスと電気的に接続されていてもよい。
また、基板101として、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などを用いることもできる。なお、基板101として、可撓性基板(フレキシブル基板)を用いてもよい。可撓性基板を用いる場合、可撓性基板上に、トランジスタや容量素子などを直接作製してもよいし、他の作製基板上にトランジスタや容量素子などを作製し、その後可撓性基板に剥離、転置してもよい。なお、作製基板から可撓性基板に剥離、転置するために、作製基板とトランジスタや容量素子などとの間に剥離層を設けるとよい。
可撓性基板としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、またはそれらの繊維などを用いることができる。基板101に用いる可撓性基板は、線膨張率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。基板101に用いる可撓性基板は、例えば、線膨張率が1×10−3/K以下、5×10−5/K以下、または1×10−5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリルなどがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可撓性基板として好適である。
〔絶縁層〕
絶縁層102、絶縁層106、絶縁層112、絶縁層114a、絶縁層114b、絶縁層120、絶縁層122および絶縁層124は、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化シリコン、酸化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、アルミニウムシリケートなどから選ばれた材料を、単層でまたは積層して用いる。また、酸化物材料、窒化物材料、酸化窒化物材料、窒化酸化物材料のうち、複数の材料を混合した材料を用いてもよい。
なお、本明細書中において、窒化酸化物とは、酸素よりも窒素の含有量が多い化合物をいう。また、酸化窒化物とは、窒素よりも酸素の含有量が多い化合物をいう。なお、各元素の含有量は、例えば、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)等を用いて測定することができる。
また、半導体層108として酸化物半導体を用いる場合は、絶縁層106、絶縁層112、絶縁層114aおよび絶縁層114bは、加熱により酸素が放出される絶縁層(以下、「過剰酸素を含む絶縁層」ともいう。)を用いて形成することが好ましい。具体的には、TDS分析にて、酸素の脱離量が1.0×1015molecules/cm2以上、好ましくは3.0×1015molecules/cm2以上である絶縁層を用いることが好ましい。
また、過剰酸素を含む絶縁層は、絶縁層に酸素を添加する処理を行って形成することもできる。酸素を添加する処理は、酸素雰囲気下による熱処理や、イオン注入法、イオンドーピング法、またはプラズマイマージョンイオン注入法、ならびに、プラズマ処理、酸素雰囲気下での加熱処理、または逆スパッタリング処理などを用いて行うことができる。酸素を添加するためのガスとしては、16O2もしくは18O2などの酸素ガス、亜酸化窒素ガスまたはオゾンガスなどを用いることができる。なお、本明細書では酸素を添加する処理を「酸素ドープ処理」ともいう。
また、絶縁層124として、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁層を複数積層させることで、絶縁層124を形成してもよい。
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアルキル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有していても良い。
絶縁層124の形成方法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法など)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷など)などを用いればよい。絶縁層124の焼成工程と他の熱処理工程を兼ねることで、効率よくトランジスタを作製することが可能となる。
〔導電層〕
導電層104、導電層110a、導電層110b、導電層116、導電層118、導電層126a乃至導電層126d、導電層130a乃至導電層130dは、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いて形成することができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
また、前述した金属元素と酸素を含む導電性材料を用いてもよい。また、前述した金属元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料、酸素を含む導電性材料、および窒素を含む導電性材料を組み合わせた積層構造としてもよい。
なお、導電層126a、導電層126b、導電層126cおよび導電層126dとしては、例えば、タングステン、ポリシリコン等の埋め込み性の高い導電性材料を用いればよい。また、埋め込み性の高い導電性材料と、チタン層、窒化チタン層、窒化タンタル層などのバリア層(拡散防止層)を組み合わせて用いてもよい。なお、導電層126a、導電層126b、導電層126cおよび導電層126dを「コンタクトプラグ」という場合がある。
また、導電層104、導電層126a、導電層126b、導電層126cおよび導電層126dに、不純物が透過しにくい導電性材料を用いることが好ましい。不純物が透過しにくい導電性材料として、例えば窒化タンタルが挙げられる。
〔半導体層〕
半導体層108として、単結晶半導体、多結晶半導体、微結晶半導体、または非晶質半導体などを、単体でまたは組み合わせて用いることができる。半導体材料としては、例えば、シリコンや、ゲルマニウムなどを用いることができる。また、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、酸化物半導体(Oxide Semiconductor(OS)とも呼ぶ。)、窒化物半導体などの化合物半導体や、有機半導体などを用いることができる。
また、半導体層108として有機物半導体を用いる場合は、芳香環をもつ低分子有機材料やπ電子共役系導電性高分子などを用いることができる。例えば、ルブレン、テトラセン、ペンタセン、ペリレンジイミド、テトラシアノキノジメタン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレンビニレンなどを用いることができる。
また、酸化物半導体のバンドギャップは2eV以上あるため、半導体層108に酸化物半導体を用いるトランジスタ(OSトランジスタとも呼ぶ。)を作製すると、オフ電流を極めて少なくすることができる。また、OSトランジスタは、ソースとドレイン間の絶縁耐圧が高い。よって、信頼性の良好なトランジスタを提供できる。また、出力電圧が大きく高耐圧なトランジスタを提供できる。また、信頼性の良好な半導体装置などを提供できる。また、出力電圧が大きく高耐圧な半導体装置を提供することができる。
また、例えば、チャネルが形成される半導体層に結晶性を有するシリコンを用いたトランジスタ(「結晶性Siトランジスタ」ともいう。)は、OSトランジスタよりも比較的高い移動度を得やすい。一方で、結晶性Siトランジスタは、OSトランジスタのように極めて少ないオフ電流の実現が困難である。よって、半導体層に用いる半導体材料は、目的や用途に応じて適宜使い分けることが肝要である。例えば、目的や用途に応じて、OSトランジスタと結晶性Siトランジスタなどを組み合わせて用いてもよい。
[酸化物半導体]
以下に、本発明に係る酸化物半導体について詳細に説明する。
酸化物半導体は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
ここでは、酸化物半導体が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するIn−M−Zn酸化物半導体である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
<構造>
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC−OS(c−axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
CAAC−OSは、c軸配向性を有し、かつa−b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC−OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC−OSが、a−b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
また、CAAC−OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a−like OSは、鬆または低密度領域を有する。即ち、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて、結晶性が低い。
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有していてもよい。
<CAC−OSの構成>
次に、半導体層108として用いることのできる酸化物半導体の一種である、CAC(Cloud−Aligned Composite)−OSの構成について説明する。
CAC−OSとは、例えば、酸化物半導体を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、酸化物半導体において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
なお、酸化物半導体は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OS(CAC−OSの中でもIn−Ga−Zn酸化物を、特にCAC−IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸化物(以下、InX2ZnY2OZ2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4OZ4(X4、Y4、およびZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInOX1、またはInX2ZnY2OZ2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
つまり、CAC−OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合酸化物半導体である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn(1+x0)Ga(1−x0)O3(ZnO)m0(−1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa−b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
一方、CAC−OSは、酸化物半導体の材料構成に関する。CAC−OSとは、In、Ga、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。従って、CAC−OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
なお、CAC−OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC−OSは、一部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
CAC−OSは、例えば基板を加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC−OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
CAC−OSは、X線回折(XRD:X−ray diffraction)測定法のひとつであるOut−of−plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折から、測定領域のa−b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
またCAC−OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域と、該リング領域に複数の輝点が観測される。従って、電子線回折パターンから、CAC−OSの結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nano−crystal)構造を有することがわかる。
また例えば、In−Ga−Zn酸化物におけるCAC−OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X−ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
CAC−OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC−OSは、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
ここで、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、酸化物半導体としての導電性が発現する。従って、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域が、酸化物半導体中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが主成分である領域が、酸化物半導体中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
従って、CAC−OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(Ion)、および高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
また、CAC−OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。従って、CAC−OSは、ディスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
<原子数比>
次に、図2(A)、図2(B)、および図2(C)を用いて、本発明に係る酸化物半導体が有するインジウム、元素Mおよび亜鉛の原子数比の好ましい範囲について説明する。なお、図2(A)、図2(B)、および図2(C)には、酸素の原子数比については記載しない。また、酸化物半導体が有するインジウム、元素M、および亜鉛の原子数比のそれぞれの項を[In]、[M]、および[Zn]とする。
図2(A)、図2(B)、および図2(C)において、破線は、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):1の原子数比(−1≦α≦1)となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):2の原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):3の原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):4の原子数比となるライン、および[In]:[M]:[Zn]=(1+α):(1−α):5の原子数比となるラインを表す。
また、一点鎖線は、[In]:[M]:[Zn]=5:1:βの原子数比(β≧0)となるライン、[In]:[M]:[Zn]=2:1:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:1:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:2:βの原子数比となるライン、[In]:[M]:[Zn]=1:3:βの原子数比となるライン、および[In]:[M]:[Zn]=1:4:βの原子数比となるラインを表す。
また、図2(A)、図2(B)、および図2(C)に示す、[In]:[M]:[Zn]=0:2:1の原子数比、およびその近傍値の酸化物半導体は、スピネル型の結晶構造をとりやすい。
また、酸化物半導体中に複数の相が共存する場合がある(二相共存、三相共存など)。例えば、原子数比が[In]:[M]:[Zn]=0:2:1の近傍値である場合、スピネル型の結晶構造と層状の結晶構造との二相が共存しやすい。また、原子数比が[In]:[M]:[Zn]=1:0:0の近傍値である場合、ビックスバイト型の結晶構造と層状の結晶構造との二相が共存しやすい。酸化物半導体中に複数の相が共存する場合、異なる結晶構造の間において、結晶粒界が形成される場合がある。
図2(A)に示す領域Aは、酸化物半導体が有する、インジウム、元素M、および亜鉛の原子数比の好ましい範囲の一例について示している。
酸化物半導体は、インジウムの含有率を高くすることで、酸化物半導体のキャリア移動度(電子移動度)を高くすることができる。従って、インジウムの含有率が高い酸化物半導体はインジウムの含有率が低い酸化物半導体と比較してキャリア移動度が高くなる。
一方、酸化物半導体中のインジウムおよび亜鉛の含有率が低くなると、キャリア移動度が低くなる。従って、原子数比が[In]:[M]:[Zn]=0:1:0、およびその近傍値である場合(例えば図2(C)に示す領域C)は、絶縁性が高くなる。
従って、本発明の一態様の酸化物半導体は、キャリア移動度が高く、かつ、結晶粒界が少ない層状構造となりやすい、図2(A)の領域Aで示される原子数比を有することが好ましい。
特に、図2(B)に示す領域Bでは、領域Aの中でも、CAAC−OSとなりやすく、キャリア移動度も高い優れた酸化物半導体が得られる。
CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。一方、CAAC−OSは、明確な結晶粒界を確認することはできないため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC−OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC−OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。
なお、領域Bは、[In]:[M]:[Zn]=4:2:3から4.1、およびその近傍値を含む。近傍値には、例えば、[In]:[M]:[Zn]=5:3:4が含まれる。また、領域Bは、[In]:[M]:[Zn]=5:1:6、およびその近傍値、および[In]:[M]:[Zn]=5:1:7、およびその近傍値を含む。
なお、酸化物半導体が有する性質は、原子数比によって一義的に定まらない。同じ原子数比であっても、形成条件により、酸化物半導体の性質が異なる場合がある。例えば、酸化物半導体をスパッタリング装置にて成膜する場合、ターゲットの原子数比からずれた原子数比の膜が形成される。また、成膜時の基板温度によっては、ターゲットの[Zn]よりも、膜の[Zn]が小さくなる場合がある。従って、図示する領域は、酸化物半導体が特定の特性を有する傾向がある原子数比を示す領域であり、領域A乃至領域Cの境界は厳密ではない。
[酸化物半導体を有するトランジスタ]
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
なお、上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、結晶粒界におけるキャリア散乱等を減少させることができるため、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
また、トランジスタには、キャリア密度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。酸化物半導体膜のキャリア密度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。例えば、酸化物半導体は、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10−9/cm3以上とすればよい。
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
<不純物>
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物半導体において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、酸化物半導体中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
<バンド図>
続いて、該酸化物半導体を2層構造、または3層構造とした場合について述べる。酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、および酸化物半導体S3の積層構造、および積層構造に接する絶縁層のバンド図と、酸化物半導体S2および酸化物半導体S3の積層構造、および積層構造に接する絶縁層のバンド図と、酸化物半導体S1および酸化物半導体S2の積層構造、および積層構造に接する絶縁層のバンド図と、について、図3を用いて説明する。
図3(A)は、絶縁層I1、酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、酸化物半導体S3、および絶縁層I2を有する積層構造の膜厚方向のバンド図の一例である。また、図3(B)は、絶縁層I1、酸化物半導体S2、酸化物半導体S3、および絶縁層I2を有する積層構造の膜厚方向のバンド図の一例である。また、図3(C)は、絶縁層I1、酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、および絶縁層I2を有する積層構造の膜厚方向のバンド図の一例である。なお、バンド図は、理解を容易にするため絶縁層I1、酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、酸化物半導体S3、および絶縁層I2の伝導帯下端のエネルギー準位(Ec)を示す。
酸化物半導体S1、酸化物半導体S3は、酸化物半導体S2よりも伝導帯下端のエネルギー準位が真空準位に近く、代表的には、酸化物半導体S2の伝導帯下端のエネルギー準位と、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3の伝導帯下端のエネルギー準位との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下であることが好ましい。すなわち、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3の電子親和力と、酸化物半導体S2の電子親和力との差が、0.15eV以上、または0.5eV以上、かつ2eV以下、または1eV以下であることが好ましい。
図3(A)、図3(B)、および図3(C)に示すように、酸化物半導体S1、酸化物半導体S2、酸化物半導体S3において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようなバンド図を有するためには、酸化物半導体S1と酸化物半導体S2との界面、または酸化物半導体S2と酸化物半導体S3との界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
具体的には、酸化物半導体S1と酸化物半導体S2、酸化物半導体S2と酸化物半導体S3が、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物半導体S2がIn−Ga−Zn酸化物半導体の場合、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3として、In−Ga−Zn酸化物半導体、Ga−Zn酸化物半導体、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物半導体S2となる。酸化物半導体S1と酸化物半導体S2との界面、および酸化物半導体S2と酸化物半導体S3との界面における欠陥準位密度を低くすることができるため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さく、高いオン電流が得られる。
トラップ準位に電子が捕獲されることで、捕獲された電子は固定電荷のように振る舞うため、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。酸化物半導体S1、酸化物半導体S3を設けることにより、トラップ準位を酸化物半導体S2より遠ざけることができる。当該構成とすることで、トランジスタのしきい値電圧がプラス方向にシフトすることを防止することができる。
酸化物半導体S1、および酸化物半導体S3は、酸化物半導体S2と比較して、導電率が十分に低い材料を用いる。このとき、酸化物半導体S2、酸化物半導体S2と酸化物半導体S1との界面、および酸化物半導体S2と酸化物半導体S3との界面が、主にチャネル領域として機能する。例えば、酸化物半導体S1、酸化物半導体S3には、図2(C)において、絶縁性が高くなる領域Cで示す原子数比の酸化物半導体を用いればよい。なお、図2(C)に示す領域Cは、[In]:[M]:[Zn]=0:1:0、およびその近傍値、[In]:[M]:[Zn]=1:3:2およびその近傍値、および[In]:[M]:[Zn]=1:3:4、およびその近傍値である原子数比を示している。
特に、酸化物半導体S2に領域Aで示される原子数比の酸化物半導体を用いる場合、酸化物半導体S1および酸化物半導体S3には、[M]/[In]が1以上、好ましくは2以上である酸化物半導体を用いることが好ましい。また、酸化物半導体S3として、十分に高い絶縁性を得ることができる[M]/([Zn]+[In])が1以上である酸化物半導体を用いることが好適である。
<トランジスタの作製方法>
次に、図4乃至図6を用いて、図1に示すトランジスタ100を有する半導体装置の作製方法の一例について説明する。
図4乃至図6中のA−B断面は、図1(A)にA−Bの一点鎖線で示す部位の断面に相当する。また、図4乃至図6中のC−D断面は、図1(A)にC−Dの一点鎖線で示す部位の断面に相当する。
[工程1]
まず、基板101上に絶縁層102および導電層154を順に形成する(図4(A)参照。)。本実施の形態では、基板101として単結晶シリコン基板(p型の半導体基板、またはn型の半導体基板を含む)を用い、絶縁層102として、CVD法により酸化窒化シリコン膜を形成する。
[工程2]
次に、試料表面上にレジストマスクを形成する(図示せず。)。レジストマスクの形成は、フォトリソグラフィ法、印刷法、インクジェット法等を適宜用いて行うことができる。レジストマスクを印刷法やインクジェット法などで形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
フォトリソグラフィ法によるレジストマスクの形成は、感光性レジストにフォトマスクを介して光を照射し、現像液を用いて感光した部分(または感光していない部分)のレジストを除去して行なうことができる。感光性レジストに照射する光は、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などがある。また、基板と投影レンズとの間に液体(例えば水)を満たして露光する液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを用いる場合には、フォトマスクは不要となる。なお、レジストマスクの除去は、アッシングなどのドライエッチング法または専用の剥離液などを用いたウェットエッチング法で行うことができる。ドライエッチング法とウェットエッチング法の両方を用いてもよい。
当該レジストマスクをマスクとして用いて、導電層154の一部を選択的に除去して導電層104を形成する(図4(B)参照。)。その後、レジストマスクを除去する。なお、導電層104の形成時に、絶縁層102の一部も除去される場合がある。
[工程3]
次に、試料表面上に絶縁層106を形成する。本実施の形態では、絶縁層106としてCVD法により酸化窒化シリコン膜を形成する。次に、試料表面に化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)処理(「CMP処理」ともいう。)を行なう。CMP処理を行うことで試料表面の凹凸が低減し、この後形成される絶縁層や導電層の被覆性を高めることができる。
[工程4]
次に、試料表面上に半導体層158および導電層160を順に形成する(図4(C)参照。)。本実施の形態では、半導体層158を組成がIn:Ga:Zn=1:1:1のターゲットを用いてスパッタリング法で形成する。このとき成膜温度を、室温以上200℃以下とし、成膜ガスにおける酸素の割合を0%以上30%以下とすると好ましい。また、導電層185としてスパッタリング法によりタングステン膜を形成する。
[工程5]
次に、試料表面上にフォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成する(図示せず。)。次に、当該レジストマスクをマスクとして用いて、導電層160の一部を選択的に除去して、導電層110を形成する。次に、レジストを除去した後、導電層110をマスクとして半導体層158をエッチングして、半導体層108を形成する(図4(D)参照。)。
[工程6]
次に、試料表面上に絶縁層162を形成する(図4(E)参照。)。本実施の形態では、絶縁層162としてCVD法により酸化窒化シリコン膜を形成する。次に、試料表面にCMP処理を行なう。
次に、試料表面上にフォトリソグラフィ法によりレジストマスク190を形成する(図5(A)参照。)。次に、レジストマスク190をマスクとして用いて、絶縁層162の一部を選択的に除去して、半導体層108の表面の一部と、導電層104の表面の一部を露出させ、絶縁層112を形成する(図5(B)参照。)。また、導電層110の一部を選択的に除去して、導電層110aおよび導電層110bを形成する。この時、半導体層108の表面の一部も除去される場合がある。
[工程7]
次に、レジストマスク190を除去した後、試料表面上に絶縁層114および導電層166を順に形成する。本実施の形態では、絶縁層114としてCVD法により酸化窒化シリコン膜を形成し、導電層166としてタングステン膜を形成する(図5(C)参照。)。絶縁層114の厚さは、1nm以上20nm以下とすると好ましく、8nm以上10nm以下とするとより好ましい。導電層104の表面の一部を露出させてから、絶縁層114を形成するため、導電層104の表面上に直接薄い絶縁層114を形成することができる。これによって、作製されるトランジスタ100において、フローティングゲートへの電荷の注入が可能となる。
[工程8]
次に、試料表面にCMP処理を行なう。CMP処理によって、導電層166の一部が除去されることにより、導電層116及び導電層118が同時に形成される(図6(A)参照。)。このとき、絶縁層112および絶縁層114の一部も除去され、絶縁層114aおよび絶縁層114bが同時に形成される。ただし、絶縁層114の一部が除去されなくてもよく、絶縁層114aおよび絶縁層114bが互いに接続されていてもよい。
[工程9]
次に、試料表面上に絶縁層120および絶縁層122を順に形成する。本実施の形態では、絶縁層120としてCVD法により酸化窒化シリコン膜を形成し、絶縁層122としてスパッタリング法により酸化アルミニウム膜を形成する。絶縁層122の形成のとき、スパッタリングガスとして用いる酸素の一部が絶縁層120、絶縁層112および絶縁層114aに導入される。
[工程10]
絶縁層122を形成した後、加熱処理を行う。絶縁層122の形成後に加熱処理を行うことで、絶縁層120、絶縁層112および絶縁層114aに含まれている酸素を酸化物半導体層に導入することができる。
[工程11]
次に、試料表面上に絶縁層124を形成する(図6(B)参照。)。本実施の形態では、絶縁層124として、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコンなどのLow−k材料を形成する。
[工程12]
次に、試料表面上にフォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成する(図示せず。)。当該レジストマスクをマスクとして用いて、絶縁層112、絶縁層120、絶縁層122および絶縁層124それぞれの一部を除去して開口を形成する。
[工程13]
次に、試料表面上に導電層を形成したあと、CMP処理を行うことで、導電層126a、導電層126b、導電層126cおよび導電層126dを形成する(図6(C)参照。)。本実施の形態では、導電層126a、導電層126b、導電層126cおよび導電層126dとしてCVD法によりタングステン膜を形成する。なお、CMP処理を行うとき、絶縁層124の表面の一部も除去される場合がある。
[工程14]
次に、試料表面上に導電層を形成したあと、フォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成する。当該レジストマスクをマスクとして用いて当該導電層の一部を選択的に除去し、導電層130a、導電層130b、導電層130cおよび導電層130dを形成する(図6(C)参照。)。本実施の形態では、導電層130a、導電層130b、導電層130cおよび導電層130dとしてスパッタリング法によりタングステン膜を形成する。なお、導電層130a、導電層130b、導電層130cおよび導電層130dの形成時に、絶縁層124の一部も除去される場合がある。
<トランジスタの変形例>
次に、図7乃至図16を用いて、トランジスタ100の変形例であるトランジスタ100b、トランジスタ100c、トランジスタ100d、トランジスタ100eおよびトランジスタ100fについて説明する。なお、変形例の説明において記載のない事項は、トランジスタ100の説明を参照することができる。
なお、トランジスタ100b、トランジスタ100c、トランジスタ100d、トランジスタ100eおよびトランジスタ100fにおいて、一点鎖線C−Dで示す点Cから点Dに向かう方向が、チャネル幅方向であり、一点鎖線A−Bで示す点Aから点Bに向かう方向が、チャネル長方向である。また、トランジスタ100b、トランジスタ100c、トランジスタ100d、トランジスタ100eおよびトランジスタ100fにおいて、導電層130cから導電層130dに向かう方向が、チャネル幅方向であり、導電層130aから導電層130bに向かう方向が、チャネル長方向であるということもできる。
まず、図7を用いてトランジスタ100bについて説明する。トランジスタ100bは、トランジスタ100と同様の構造に、第2のコントロールゲートを加えた例である。図7(A)には、トランジスタ100bを有する半導体装置の上面図を示す。図7(A)に示す一点鎖線A−Bにおける当該半導体装置の断面を図7(B)に示す。また、図7(A)に示す一点鎖線C−Dにおける当該半導体装置の断面を図7(C)に示す。
トランジスタ100bは、トランジスタ100と同様の構成に加えて、絶縁層114cと、導電層119とを有する。導電層119は、導電層118と同様に、絶縁層114cを介して導電層104に重ねて配置される。また、トランジスタ100b上には、導電層126a乃至導電層126dおよび導電層130a乃至導電層130dに加えて、導電層130eおよび導電層126eが配置される。導電層130eは、導電層126eを介して導電層119と電気的に接続される。
トランジスタ100bにおいて、導電層118および導電層119は、いずれも導電層104に電荷を注入する機能を有する。以下では便宜上、導電層104をフローティングゲート、導電層118を第1のコントロールゲート、導電層119を第2のコントロールゲートとも呼ぶ。
トランジスタ100bにおいてフローティングゲートへの電荷の注入を行うとき、トランジスタ100bの第1のコントロールゲートおよび第2のコントロールゲートは、トランジスタ100のトップゲートおよびコントロールゲートと同様に機能する。すなわち、第1のコントロールゲートと、第2のコントロールゲートとの両方を使用してフローティングゲートとして機能する導電層104への電荷の注入を行うことができる。
具体的には、一定時間、第1のコントロールゲートと第2のコントロールゲートとの電位差を大きくすると、第1のコントロールゲートとフローティングゲートとの電位差および第2のコントロールゲートとフローティングゲートとの電位差が大きくなる。このとき、例えば第2のコントロールゲートとフローティングゲートとの間の電位差を、第1のコントロールゲートとフローティングゲートとの間の電位差よりも大きくしたい場合には、図7(A)に示すように、導電層119(第2のコントロールゲート)と導電層104(フローティングゲート)とが重なる領域の面積を、導電層118(第1のコントロールゲート)と導電層104(フローティングゲート)とが重なる領域の面積よりも小さくなるように、トランジスタ100bを設計すればよい。このような設計とすると、第1のコントロールゲートと第2のコントロールゲートとの電位差を十分に大きくすることにより、第2のコントロールゲートから、F−Nトンネリングによるトンネル電流により、絶縁層を介して、フローティングゲートに電荷が注入される。
絶縁層114bおよび絶縁層114cの厚さは、導電層104と半導体層108とが重なる領域における絶縁層106の厚さより小さいと、フローティングゲートと第1のコントロールゲートまたは第2のコントロールゲートとの間にF−Nトンネリングによるトンネル電流が流れやすくなるため、好ましい。
より詳細な設計方法は、トランジスタ100の説明を参酌することができる。なお、トランジスタ100bの設計の際に式(1)を使用する場合には、式(1)中のCFGTGをフローティングゲートと第2のコントロールゲートとの間の容量と読み替え、式(1)中のCFGCGをフローティングゲートと第1のコントロールゲートとの間の容量と読み替え、式(1)中のCFGOSには0を代入するとよい。
フローティングゲートに電荷が注入された後は、第1のコントロールゲートと第2のコントロールゲートとの電位差を小さくしても、フローティングゲートは電気的にフローティング状態であるため、注入された電荷を保持することができる。さらに保持された電荷によって、半導体層の電位を変化させることができるため、トランジスタ100bのしきい値を変化させることができる。
トランジスタ100bの作製方法において、導電層119の形成は、トランジスタ100の作製方法において示した導電層118の形成と同様に行えばよい。これによって、導電層119は、導電層116および導電層118と同時に形成される。
導電層119には、導電層118と同様の材料を使用することができる。絶縁層114cには、絶縁層114aおよび絶縁層114bと同様の材料を使用することができる。また、導電層126eには、導電層126a乃至導電層126dと同様の材料を使用することができる。また、導電層130eには、導電層130a乃至導電層130dと同様の材料を使用することができる。
次に、図8を用いて、トランジスタ100cについて説明する。トランジスタ100cは、半導体層を酸化物半導体層108a、酸化物半導体層108bおよび酸化物半導体層108cの三層構造で構成する場合の具体例である。図8(A)には、トランジスタ100cを有する半導体装置の上面図を示す。図8(A)に示す一点鎖線A−Bにおける当該半導体装置の断面を図8(B)に示す。また、図8(A)に示す一点鎖線C−Dにおける当該半導体装置の断面を図8(C)に示す。
トランジスタ100cは、絶縁層106の凸部上に、酸化物半導体層108aを有し、酸化物半導体層108a上に、酸化物半導体層108bを有する。導電層110a及び導電層110bは、酸化物半導体層108bの上面の一部に接して配置される。また、酸化物半導体層108cは、酸化物半導体層108bの上面の他の一部および酸化物半導体層108aおよび酸化物半導体層108bの側面の一部に接して配置される。
絶縁層114aは、酸化物半導体層108cと接する。また、トランジスタ100cは、導電層104と導電層116との間に、絶縁層114a及び酸化物半導体層108cを有する第1の領域と、導電層104と導電層116との間に、絶縁層106、酸化物半導体層108a乃至108c、及び絶縁層114aを有する第2の領域とを有する。
絶縁層114aと、酸化物半導体層108cとが薄いため、第1の領域において導電層116から導電層104に電荷を注入することができる。酸化物半導体層108cの厚さは、例えば、1nm以上20nm以下とすると好ましく、8nm以上10nm以下とするとより好ましい。
酸化物半導体層108a、酸化物半導体層108bおよび酸化物半導体層108cと、絶縁層との界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位が形成され得る。トランジスタ100cは、酸化物半導体層108aおよび酸化物半導体層108cを有することにより、チャネルとして機能する酸化物半導体層108bと当該トラップ準位とを遠ざけることができる。したがって、トランジスタ100cの構成により当該トラップ準位の影響を抑えることができるため、トランジスタの信頼性を改善することができる。
次に、図9を用いてトランジスタ100fについて説明する。トランジスタ100fは、図7にて説明したトランジスタ100bおよび図8にて説明したトランジスタ100cを組み合わせた構造に類似する。図9(A)には、トランジスタ100fを有する半導体装置の上面図を示す。図9(A)に示す一点鎖線A−Bにおける当該半導体装置の断面を図9(B)に示す。また、図9(A)に示す一点鎖線C−Dにおける当該半導体装置の断面を図9(C)に示す。
トランジスタ100fは、トランジスタ100と同様の構成に加えて、絶縁層114cと、導電層119とを有する。導電層119は、導電層118と同様に、絶縁層114cを介して導電層104に重ねて配置される。また、トランジスタ100f上には、導電層126a乃至導電層126dおよび導電層130a乃至導電層130dに加えて、導電層130eおよび導電層126eが配置される。導電層130eは、導電層126eを介して導電層119と電気的に接続される。
また、トランジスタ100fは、絶縁層106の凸部上に、酸化物半導体層108aを有し、酸化物半導体層108a上に、酸化物半導体層108bを有する。導電層110a及び導電層110bは、酸化物半導体層108bの上面の一部に接して配置される。また、酸化物半導体層108cは、酸化物半導体層108bの上面の他の一部および酸化物半導体層108aおよび酸化物半導体層108bの側面の一部に接して配置される。
また、トランジスタ100fは、トランジスタ100bとは異なり、導電層118および導電層119の形成の後に導電層116を形成することにより、製造することができる。
その他、トランジスタ100fの説明において記載のない事項は、トランジスタ100bおよびトランジスタ100cの説明を参照することができる。
トランジスタ100fの作製方法について、図10乃至図12を用いて説明する。図10乃至図12中のC−D断面は、図9(A)にC−Dの一点鎖線で示す部位の断面に相当する。
まず、トランジスタ100の作製方法の工程1乃至工程6と同様の形成方法(図4参照。)により、基板101および絶縁層102上に、導電層104、絶縁層106、酸化物半導体層108a、酸化物半導体層108bおよび絶縁層162を形成する(図10(A)参照。)。
次に、試料表面上にマスク191を形成する(図10(B)参照。)。次に、マスク191を用いて、絶縁層162の一部を選択的に除去して、導電層104の表面の一部を露出させ、絶縁層163を形成する(図10(C)参照。)。このとき、本作製方法は、酸化物半導体層108aおよび酸化物半導体層108bと重なる領域に位置する絶縁層162を除去しない点で、トランジスタ100の作製方法とは異なる。
マスク191としては、フォトリソグラフィ法により形成したレジストマスク、もしくは、金属層と絶縁膜を積層し、パターニングすることにより形成したハードマスク、または、その両方の積層構造等を用いることができる。
次に、マスク191を除去した後、試料表面上に絶縁層115aおよび導電層167aを順に形成する(図11(A)参照。)。絶縁層115aは、絶縁層114と同様の方法により形成すればよい。また、導電層167aは、導電層166と同様の方法により形成すればよい。
次に、試料表面にCMP処理を行なう。CMP処理によって、導電層167aの一部が除去されることにより、導電層118及び導電層119が同時に形成される(図11(B)参照。)。このとき、絶縁層163および絶縁層115aの一部も除去され、絶縁層114bおよび絶縁層114cが同時に形成される。ただし、絶縁層115aの一部が除去されなくてもよく、絶縁層114bおよび絶縁層114cが互いに接続されていてもよい。
次に、試料表面上にフォトリソグラフィ法によりレジストマスク192を形成する(図11(C)参照。)。次に、レジストマスク192をマスクとして用いて、絶縁層163の一部を選択的に除去して、酸化物半導体層108aおよび酸化物半導体層108bの表面の一部を露出させ、絶縁層112を形成する(図12(A)参照。)。
次に、レジストマスク192を除去した後、試料表面上に酸化物半導体層158c、絶縁層115bおよび導電層167bを順に形成する(図12(B)参照。)。絶縁層115bは、絶縁層114と同様の方法により形成すればよい。また、導電層167bは、導電層166と同様の方法により形成すればよい。
次に、試料表面にCMP処理を行なう。CMP処理によって、導電層167bの一部が除去されることにより、導電層116が形成される(図12(C)参照。)。またこのとき、酸化物半導体層158cの一部が除去されることにより、酸化物半導体層108cが形成される。
その後、トランジスタ100を有する半導体装置の作製方法と同様にして、導電層126a、導電層126b、導電層126cおよび導電層126d、並びに導電層130a、導電層130b、導電層130cおよび導電層130dを形成することで、図9に示すトランジスタ100fを有する半導体装置を作製することができる。
次に、図13を用いて、トランジスタ100dについて説明する。トランジスタ100dは、トランジスタ100とは作製方法が異なる。図13(A)には、トランジスタ100dを有する半導体装置の上面図を示す。図13(A)に示す一点鎖線A−Bにおける当該半導体装置の断面を図13(B)に示す。また、図13(A)に示す一点鎖線C−Dにおける当該半導体装置の断面を図13(C)に示す。
トランジスタ100dは、トランジスタ100と同様に、基板101と、絶縁層102上に配置される。また、トランジスタ100dは、トランジスタ100と同様に、導電層104と、絶縁層106と、半導体層108と、導電層110aと、導電層110bと、絶縁層114aと、絶縁層114bと、導電層116と、導電層118と、を有する。また、トランジスタ100d上には、絶縁層120と、絶縁層122と、絶縁層124と、導電層126a乃至導電層126dと、導電層130a乃至導電層130dと、が配置される。ただし、トランジスタ100dが有する絶縁層114a、絶縁層114b、導電層116および導電層118の形状並びにトランジスタ100d上の絶縁層120の形状は、トランジスタ100の有する絶縁層114a、絶縁層114b、導電層116、導電層118並びにトランジスタ100上の絶縁層120の形状とは異なっている。
トランジスタ100dの作製方法について、図14および図15を用いて説明する。なお、トランジスタ100dの作製方法において記載のない事項は、トランジスタ100の作製方法を参照することができる。
図14および図15中のA−B断面は、図13(A)にA−Bの一点鎖線で示す部位の断面に相当する。また、図14および図15中のC−D断面は、図13(A)にC−Dの一点鎖線で示す部位の断面に相当する。
まず、基板101上に、導電層104、絶縁層106、半導体層158、導電層160を形成する(図14(A)、(B)、(C)参照。)。
次に、試料表面上にフォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成する(図示せず。)。次に、当該レジストマスクをマスクとして用いて、導電層160の一部を選択的に除去して、導電層161を形成する(図14(D)参照。)。このとき、半導体層108の表面の一部も除去される場合がある。
次に、試料表面上にフォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成する(図示せず。)。次に、当該レジストマスクをマスクとして用いて、導電層161および半導体層158それぞれの一部を選択的に除去して、導電層110a、導電層110bおよび半導体層108を形成する。またこの時、絶縁層106の一部もエッチングされて、絶縁層106に凸部が形成され、導電層104の一部の領域の上面が露出される(図14(E)参照。)。
次に、試料表面上に絶縁層114および導電層166を順に形成する(図15(A)参照)。
次に、試料表面上にフォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成する(図示せず。)。次に、当該レジストマスクをマスクとして用いて、導電層166の一部を選択的に除去して、導電層116および導電層118を形成する。また、絶縁層114の一部を選択的に除去して、絶縁層114aおよび絶縁層114bを形成する(図15(B)参照。)。ただし、絶縁層114の一部が除去されなくてもよく、絶縁層114aおよび絶縁層114bが互いに接続されていてもよい。
次に、試料表面上に絶縁層120を形成した後、試料表面にCMP処理を行なう(図示せず。)。
次に、試料表面上に絶縁層122および絶縁層124を形成する(図15(C)参照。)。絶縁層122を形成した後、加熱処理を行ってもよい。
その後、トランジスタ100の作製方法と同様にして、導電層126a、導電層126b、導電層126cおよび導電層126d、並びに導電層130a、導電層130b、導電層130cおよび導電層130dを形成することで、図13に示すトランジスタ100dを有する半導体装置を作製することができる。
トランジスタ100、トランジスタ100b、トランジスタ100cおよびトランジスタ100fの導電層116,118を形成するためには、埋め込み性の高い材料を用いることが好ましいが、トランジスタ100dの作製方法では、埋め込み性のよい材料を用いなくても、導電層116、導電層118を形成することができる。したがって、トランジスタ100dの作製方法を使用すると、導電層の材料の選択肢が増加するため好ましい。
次に、図16を用いて、トランジスタ100eについて説明する。トランジスタ100eは、トランジスタ100dに構成要素を追加したトランジスタである。図16(A)には、トランジスタ100eを有する半導体装置の上面図を示す。図16(A)に示す一点鎖線A−Bにおける当該半導体装置の断面を図16(B)に示す。また、図16(A)に示す一点鎖線C−Dにおける当該半導体装置の断面を図16(C)に示す。
トランジスタ100eは、トランジスタ100dと異なり、基板101、絶縁層102、絶縁層103aおよび絶縁層103b上に配置される。また、トランジスタ100eは、トランジスタ100dと異なり、絶縁層106aと、絶縁層106bと、導電層104aと、導電層104bと、保護層105と、保護層111aと、保護層111bと、保護層117aと、保護層117bと、絶縁層121aと、絶縁層121bと、を有する。また、トランジスタ100eでは、半導体層を酸化物半導体層108a、酸化物半導体層108bおよび酸化物半導体層108cの三層構造で構成する。
絶縁層102、絶縁層103aおよび絶縁層103bは、基板101上に配置される。絶縁層103b上には絶縁層102が位置し、絶縁層103bおよび絶縁層106aの一部を除去して導電層104aおよび導電層104bが配置される。さらに、導電層104aおよび導電層104b上に保護層105が配置され、保護層105および絶縁層102上に絶縁層106bが配置されている。また、絶縁層106b上に、酸化物半導体層108aが設けられ、酸化物半導体層108a上に、酸化物半導体層108bが設けられている。
また、トランジスタ100eは、酸化物半導体層108bの上面の一部に接する酸化物半導体層108cを有し、酸化物半導体層108c上に絶縁層114aを有し、絶縁層114a上に導電層116を有する。導電層116は、ゲート電極としての機能を有する。また、トランジスタ100eは、酸化物半導体層108bの上面の他の一部に接する導電層110aおよび導電層110bを有する。
また、トランジスタ100eは、絶縁層106上に設けられた酸化物半導体層108cを有し、当該酸化物半導体層108c上に、導電層118を有する。
また、トランジスタ100eにおいて、導電層116上に保護層117aが配置され、導電層110a上に保護層111aが配置され、導電層110b上に保護層111bが配置され、導電層118上に保護層117bが配置される。
また、トランジスタ100eにおいて、絶縁層121aおよび絶縁層121bが、絶縁層106、保護層117a、保護層111a、保護層111bおよび保護層117b上に配置される。絶縁層121b上には、絶縁層120、絶縁層122および絶縁層124が配置される。
また、導電層130a乃至導電層130dは、絶縁層124上に配置される。導電層130aは、導電層126aを介して導電層110aと電気的に接続され、導電層130bは、導電層126bを介して導電層110bと電気的に接続され、導電層130cは、導電層126cを介して導電層116と電気的に接続され、導電層130dは、導電層126dを介して導電層118と電気的に接続される。
特に、絶縁層103a、絶縁層103b、絶縁層121a、絶縁層121bおよび絶縁層122は、不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いて形成することが好ましい。例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁材料を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料として、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、窒化シリコンなどを挙げることができる。
絶縁層103aおよび絶縁層103bに不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いることで、基板101側から半導体層108への不純物の拡散を抑制し、トランジスタの信頼性を高めることができる。絶縁層122に、不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いることで、絶縁層122よりも上層から半導体層108への不純物の拡散を抑制し、トランジスタの信頼性を高めることができる。
ここで、不純物とは、水素、および水に代表される不純物のことである。
保護層105、保護層111a、保護層111b、保護層117aおよび保護層117bには、酸素を放出しにくいおよび/または吸収しにくい材料を用いることで、導電層104a、導電層104b、導電層110a、導電層110b、導電層116および導電層118の酸化を抑制することができ、導電層104a、導電層104b、導電層110a、導電層110b、導電層116および導電層118が酸化されることにより起こりうるトランジスタ特性の劣化を抑制することができる。
保護層105、保護層111a、保護層111b、保護層117aおよび保護層117bには、絶縁性材料を用いてもよく、導電性材料を用いてもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態や実施例などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
<半導体装置の構成>
本実施の形態では、本明細書等に開示したトランジスタを用いた半導体装置の一例について説明する。
図17は半導体装置530の断面図である。半導体装置530はトランジスタ100、トランジスタ281および容量素子240を有する。
半導体装置530は、基板501としてn型半導体を用いる。トランジスタ281は、チャネル形成領域283、高濃度p型不純物領域285、絶縁層286、導電層287、側壁288を有する。また、絶縁層286を介して側壁288と重なる領域に低濃度p型不純物領域284を有する。絶縁層286はゲート絶縁層として機能できる。導電層287はゲートとして機能できる。トランジスタ281は、チャネル形成領域283が基板501の一部に形成される。
低濃度p型不純物領域284は、導電層287形成後、側壁288形成前に、導電層287をマスクとして用いて不純物元素を導入することにより形成することができる。すなわち、低濃度p型不純物領域284は、自己整合によって形成することができる。側壁288の形成後、高濃度p型不純物領域285を形成する。なお、低濃度p型不純物領域284は高濃度p型不純物領域285と同じ導電型を有し、導電型を付与する不純物の濃度が高濃度p型不純物領域285よりも低い。また、低濃度p型不純物領域284は、状況に応じて設けなくてもよい。
トランジスタ281は、素子分離層514によって他のトランジスタと電気的に分離される。素子分離領域の形成は、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法や、STI(Shallow Trench Isolation)法などを用いることができる。
また、半導体装置530は、トランジスタ281を覆う絶縁層505上に絶縁層531、絶縁層532、絶縁層533、絶縁層534、絶縁層535、および絶縁層536、を有する。また、半導体装置530は、絶縁層505上に導電層522、および導電層524を有する。
導電層522は、絶縁層531および絶縁層532に埋め込むように設けられている。また、導電層522は、絶縁層503、絶縁層504、および絶縁層505に設けられた導電層521を介してトランジスタ281と電気的に接続されている。
導電層524は、絶縁層535に埋め込むように設けられている。また、導電層524は、絶縁層533および絶縁層534に設けられた導電層523を介して導電層522と電気的に接続されている。
また、半導体装置530は、絶縁層536上に絶縁層103a、絶縁層103bを介してトランジスタ100を有する。また、トランジスタ100上に絶縁層120、絶縁層122および絶縁層539を有し、絶縁層539上に導電層527および導電層241を有する。また、導電層527および導電層241を覆う絶縁層242を有する。また、絶縁層242上に、導電層241を覆う導電層243を有する。
導電層241、絶縁層242、および導電層243が重なる領域が、容量素子240として機能する。導電層241を覆って導電層243を設けることで、導電層241の上面だけでなく側面も容量素子として機能することができる。
導電層527は、絶縁層539、絶縁層122、絶縁層120および絶縁層112の一部に設けられた導電層526を介してトランジスタ100のソースまたはドレインと電気的に接続されている。
また、導電層243および絶縁層242上に絶縁層537を有し、絶縁層537上に導電層529を有し、導電層529上に絶縁層538を有する。導電層529は、絶縁層537の一部に設けられた導電層528を介して導電層527と電気的に接続されている。
絶縁層531、絶縁層532、絶縁層533、絶縁層534、絶縁層535、絶縁層536、絶縁層539、絶縁層242、絶縁層537、および絶縁層538は、上記実施の形態などに示した絶縁層と同様の材料および方法で形成することができる。また、導電層521、導電層522、導電層523、導電層524、導電層525、導電層526、導電層527、導電層241、導電層243、導電層528、および導電層529は、上記実施の形態などに示した導電層と同様の材料および方法で形成することができる。
また、導電層521、導電層522、導電層523、導電層524、導電層525、導電層526、導電層527、導電層528、および導電層529は、ダマシン法や、デュアルダマシン法などを用いて形成してもよい。
本実施の形態は、他の実施の形態や実施例などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
<記憶素子の一例その1>
図18(A)に示す半導体回路は、トランジスタ262のソースまたはドレインの一方を、トランジスタ263のゲートおよび容量素子258の一方の電極に接続した記憶素子251aの構成例を示している。また、図18(B)に示す回路は、トランジスタ262のソースまたはドレインの一方を、容量素子258の一方の電極に接続した記憶素子261aの構成例を示している。
記憶素子251aおよび記憶素子261aは、配線254およびトランジスタ262を介して入力された電荷を、ノード257に保持することができる。トランジスタ262にOSトランジスタを用いることで、長期間に渡ってノード257の電荷を保持することができる。
記憶素子251aはトランジスタ263を有する。図18(A)ではトランジスタ263としてpチャネル型のトランジスタを示しているが、nチャネル型のトランジスタを用いてもよい。例えば、トランジスタ263として、トランジスタ281またはトランジスタ282を用いてもよい。また、トランジスタ263としてOSトランジスタを用いてもよい。
ここで、図18(A)に示す記憶素子251aおよび図18(B)に示す記憶素子261aについて、詳細に説明しておく。
記憶素子251aは、第1の半導体を用いたトランジスタ263と第2の半導体を用いたトランジスタ262、および容量素子258を有している。
トランジスタ262は、上記実施の形態に開示したOSトランジスタを用いることができる。トランジスタ262にオフ電流が小さいトランジスタを用いることにより、ノード257に長期にわたり情報を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、またはリフレッシュ動作の頻度が極めて少なくすることが可能となるため、消費電力の低い記憶素子となる。
図18(A)において、配線252がトランジスタ263のソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、配線253がトランジスタ263のソースまたはドレインの他方と電気的に接続される。また、配線254がトランジスタ262のソースまたはドレインの一方と電気的に接続され、配線255がトランジスタ262のゲートと電気的に接続されている。そして、トランジスタ263のゲート、トランジスタ262のソースまたはドレインの他方、および容量素子258の電極の一方は、ノード257と電気的に接続されている。また、配線256が容量素子258の電極の他方と電気的に接続されている。また、コントロールゲートが配線259と電気的に接続されている。配線259に供給する電位を制御することで、トランジスタ262のしきい値電圧を任意に変化させることができる。
図18(A)に示す記憶素子251aは、ノード257に与えられた電荷を保持可能という特性を有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
〔書き込み動作、保持動作〕
記憶素子251aの、情報の書き込み動作および保持動作について説明する。まず、配線255の電位を、トランジスタ262がオン状態となる電位にする。これにより、配線254の電位がノード257に与えられる。即ち、ノード257に所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下、「Lowレベル電荷」、「Highレベル電荷」ともいう。)のどちらかが与えられるものとする。その後、配線255の電位を、トランジスタ262がオフ状態となる電位とすることで、ノード257に電荷が保持される(保持動作)。
なお、Highレベル電荷は、Lowレベル電荷よりもノード257に高い電位を与える電荷とする。また、トランジスタ263にpチャネル型のトランジスタを用いる場合、Highレベル電荷およびLowレベル電荷は、どちらもトランジスタ263のしきい値電圧よりも高い電位を与える電荷とする。また、トランジスタ263にnチャネル型のトランジスタを用いる場合、Highレベル電荷およびLowレベル電荷は、どちらもトランジスタ263のしきい値電圧よりも低い電位とする。すなわち、Highレベル電荷とLowレベル電荷は、どちらもトランジスタ263がオフ状態となる電位を与える電荷である。
〔読み出し動作・1〕
次に情報の読み出し動作について説明する。配線252に配線253の電位と異なる所定の電位(定電位)を与えた状態で、配線256に読み出し電位VRを与えると、ノード257に保持されている情報を読み出すことができる。
Highレベル電荷により与えられる電位をVH、Lowレベル電荷により与えられる電位をVLとすると、読み出し電位VRは、{(Vth−VH)+(Vth+VL)}/2とすればよい。なお、情報の読み出しをしないときの配線256の電位は、トランジスタ263にpチャネル型のトランジスタを用いる場合はVHより高い電位とし、トランジスタ263にnチャネル型のトランジスタを用いる場合はVLより低い電位とすればよい。
例えば、トランジスタ263にpチャネル型のトランジスタを用いる場合、トランジスタ263のVthが−2Vであり、VHを1V、VLを−1Vとすると、VRを−2Vとすればよい。ノード257に書き込まれた電位がVHのとき、配線256にVRが与えられると、トランジスタ263のゲートにVR+VH、すなわち−1Vが印加される。−1VはVthよりも高いため、トランジスタ263はオン状態にならない。よって、配線253の電位は変化しない。また、ノード257に書き込まれた電位がVLのとき、配線256にVRが与えられると、トランジスタ263のゲートにVR+VL、すなわち−3Vが印加される。−3VはVthよりも低いため、トランジスタ263がオン状態になる。よって、配線253の電位が変化する。
また、トランジスタ263にnチャネル型のトランジスタを用いる場合、トランジスタ263のVthが2Vであり、VHを1V、VLを−1Vとすると、VRを2Vとすればよい。ノード257に書き込まれた電位がVHのとき、配線256にVRが与えられると、トランジスタ263のゲートにVR+VH、すなわち3Vが印加される。3VはVthよりも高いため、トランジスタ263はオン状態になる。よって、配線253の電位が変化する。また、ノード257に書き込まれた電位がVLのとき、配線256にVRが与えられると、トランジスタ263のゲートにVR+VL、すなわち1Vが印加される。1VはVthよりも低いため、トランジスタ263はオン状態にならない。よって、配線253の電位は変化しない。
配線253の電位を判別することで、ノード257に保持されている情報を読み出すことができる。
図18(B)に示す記憶素子261aは、トランジスタ263を有さない点が記憶素子251aと異なる。また、容量素子258の他方の電極が、配線264と電気的に接続される。配線264の電位は固定電位であればどのような電位でもよい。例えば、配線264をGNDとすればよい。記憶素子261aも、記憶素子251aと同様の動作により情報の書き込みが可能である。
〔読み出し動作・2〕
記憶素子261aの、情報の読み出し動作について説明する。配線255にトランジスタ262がオン状態になる電位が与えられると、浮遊状態である配線254と容量素子258とが導通し、配線254と容量素子258の間で電荷が再分配される。その結果、配線254の電位が変化する。配線254の電位の変化量は、ノード257の電位(またはノード257に蓄積された電荷)によって、異なる値をとる。
例えば、ノード257の電位をV、容量素子258の容量をC、配線254が有する容量成分をCB、電荷が再分配される前の配線254の電位をVB0とすると、電荷が再分配された後の配線254の電位は、(CB×VB0+C×V)/(CB+C)となる。したがって、メモリセルの状態として、ノード257の電位がV1とV0(V1>V0)の2つの状態をとるとすると、電位V1を保持している場合の配線254の電位(=(CB×VB0+C×V1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合の配線254の電位(=(CB×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
そして、配線254の電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すことができる。
以上に示した記憶素子は、酸化物半導体を用いたオフ電流の極めて小さいトランジスタを適用することで、長期にわたって記憶内容を保持することが可能となる。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、またはリフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力の低い半導体装置を実現することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが好ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
本実施の形態は、他の実施の形態や実施例などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
<電子機器>
本発明の一態様に係る半導体装置は、様々な電子機器に用いることができる。図19に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いた電子機器の具体例を示す。
図19(A)に示す携帯型ゲーム機2900は、筐体2901、筐体2902、表示部2903、表示部2904、マイクロホン2905、スピーカ2906、操作スイッチ2907等を有する。また、携帯型ゲーム機2900は、筐体2901の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。なお、図19(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部2903と表示部2904とを有しているが、表示部の数は、これに限定されない。表示部2903は、入力装置としてタッチスクリーンが設けられており、スタイラス2908等により操作可能となっている。
携帯型ゲーム機2900に実施の形態1に記載の半導体装置を用いることにより携帯型ゲーム機2900全体の消費電力を低減させることができる。また、当該半導体装置を用いた記憶装置は、携帯型ゲーム機2900の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。
図19(B)に示す情報端末2910は、筐体2911に、表示部2912、マイク2917、スピーカ部2914、カメラ2913、外部接続部2916、および操作スイッチ2915等を有する。表示部2912には、可撓性基板が用いられた表示パネルおよびタッチスクリーンを備える。また、情報端末2910は、筐体2911の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。情報端末2910は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット型情報端末、タブレット型パーソナルコンピュータ、電子書籍端末等として用いることができる。
情報端末2910に実施の形態1に記載の半導体装置を用いることにより情報端末2910全体の消費電力を低減させることができる。また、当該半導体装置を用いた記憶装置は、情報端末2910の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。
図19(C)に示すノート型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921、表示部2922、キーボード2923、およびポインティングデバイス2924等を有する。また、ノート型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。
ノート型パーソナルコンピュータ2920に実施の形態1に記載の半導体装置を用いることによりノート型パーソナルコンピュータ2920全体の消費電力を低減させることができる。また、当該半導体装置を用いた記憶装置は、ノート型パーソナルコンピュータ2920の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。
図19(D)に示すビデオカメラ2940は、筐体2941、筐体2942、表示部2943、操作スイッチ2944、レンズ2945、および接続部2946等を有する。操作スイッチ2944およびレンズ2945は筐体2941に設けられており、表示部2943は筐体2942に設けられている。また、ビデオカメラ2940は、筐体2941の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。そして、筐体2941と筐体2942は、接続部2946により接続されており、筐体2941と筐体2942の間の角度は、接続部2946により変えることが可能な構造となっている。筐体2941に対する筐体2942の角度によって、表示部2943に表示される画像の向きの変更や、画像の表示/非表示の切り換えを行うことができる。
ビデオカメラ2940に実施の形態1に記載の半導体装置を用いることによりビデオカメラ2940全体の消費電力を低減させることができる。また、当該半導体装置を用いた記憶装置は、ビデオカメラ2940の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。
図19(E)にバングル型の情報端末の一例を示す。情報端末2950は、筐体2951、および表示部2952等を有する。また、情報端末2950、筐体2951の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。表示部2952は、曲面を有する筐体2951に支持されている。表示部2952には、可撓性基板を用いた表示パネルを備えているため、フレキシブルかつ軽くて使い勝手の良い情報端末2950を提供することができる。
情報端末2950に実施の形態1に記載の半導体装置を用いることにより情報端末2950全体の消費電力を低減させることができる。また、当該半導体装置を用いた記憶装置は、情報端末2950の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。
図19(F)に腕時計型の情報端末の一例を示す。情報端末2960は、筐体2961、表示部2962、バンド2963、バックル2964、操作スイッチ2965、入出力端子2966などを備える。また、情報端末2960、筐体2961の内側にアンテナ、バッテリなどを備える。情報端末2960は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
表示部2962の表示面は湾曲しており、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示部2962はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部2962に表示されたアイコン2967に触れることで、アプリケーションを起動することができる。操作スイッチ2965は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、情報端末2960に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作スイッチ2965の機能を設定することもできる。
また、情報端末2960は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、情報端末2960は入出力端子2966を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子2966を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子2966を介さずに無線給電により行ってもよい。
情報端末2960に実施の形態1に記載の半導体装置を用いることにより情報端末2960全体の消費電力を低減させることができる。また、当該半導体装置を用いた記憶装置は、情報端末2960の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。
図19(G)は、自動車の一例を示す外観図である。自動車2980は、車体2981、車輪2982、ダッシュボード2983、およびライト2984等を有する。また、自動車2980は、アンテナ、バッテリなどを備える。
自動車2980に実施の形態1に記載の半導体装置を用いることにより自動車2980全体の消費電力を低減させることができる。また、当該半導体装置を用いた記憶装置は、自動車2980の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態や実施例などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
実施の形態1にて説明したトランジスタを作製し、その断面を観察した結果およびその電気的特性の測定を行った結果について説明する。
実施例は、実施の形態1において説明した方法により、図9にて説明したトランジスタ100fと同様の構造となるように作製した。すなわち、実施例は、トランジスタ100bと同様に、第2のコントロールゲートを有し、また、トランジスタ100cと同様に、半導体層が酸化物半導体層108a、酸化物半導体層108bおよび酸化物半導体層108cの三層構造で構成される。
導電層104となる導電層154には、スパッタリング法により25nm成膜した窒化タンタル膜を用いた(図4(A)参照。)。当該窒化タンタル膜の成膜条件は、成膜時のチャンバー内圧力を0.6Paとし、成膜時のパワーはDC電源を用いて1kWとし、スパッタリング用のガス流量をArガス50sccm、窒素ガス10sccmとし、基板ーターゲット間の距離を60mmとし、成膜時の基板加熱温度を室温とした。
当該窒化タンタル膜上に有機樹脂、およびレジストを塗布し、EB(Electron−Beam)露光機を用いたリソグラフィによりレジストマスクを形成した。当該有機樹脂および当該窒化タンタル膜は、レジストマスクを介してICPドライエッチング法により加工処理を行った。処理条件は、エッチングガス流量として塩素60sccm、四フッ化メタン40sccm、ICPを2000W、Biasを50W、基板温度を40℃、圧力を0.67Paとして、22sec処理を行った。
絶縁層106には、プラズマCVD法で40nm成膜した酸化窒化シリコン膜を用いた(図4(C)参照。)。当該酸化窒化シリコン膜の成膜条件は、成膜用ガス流量をシラン5sccm、一酸化二窒素1000sccmとし、成膜時のチャンバー内圧力を隔膜式バラトロンセンサーおよびAPCバルブ制御により133.30Paとし、RF電源周波数を13.56MHzとし、成膜時のパワーは45Wとし、電極間の距離を20mmとし、成膜時の基板加熱温度を325℃とした。
当該酸化窒化シリコン膜を成膜後、CMP法により平坦化処理を行い、当該窒化タンタル膜上の膜厚を40nmとした。
酸化物半導体層108aとなる第1の酸化物半導体層には、スパッタリング法を用いてIn:Ga:Zn=1:3:4(原子数比)の組成のターゲットを用いて5nmを成膜したものを用いた(図示せず。)。酸化物半導体層108aの成膜条件は、成膜時のチャンバー内圧力を0.7Paとし、成膜時のパワーはDC電源を用いて0.5kWとし、スパッタリング用のガス流量を酸素ガス45sccmとし、サンプルーターゲット間の距離を60mmとし、成膜時の基板加熱温度を200℃とした。
酸化物半導体層108bとなる第2の酸化物半導体層には、スパッタリング法を用いてIn:Ga:Zn=4:2:3の組成のターゲットを用いて15nmを成膜したものを用いた(図示せず。)。酸化物半導体層108bの成膜条件は、成膜時のチャンバー内圧力を0.7Paとし、成膜時のパワーはDC電源を用いて0.5kWとし、スパッタリング用のガス流量をArガス30sccm、酸素ガス15sccmとし、サンプルーターゲット間の距離を60mmとし、成膜時の基板加熱温度を200℃とした。
導電層160には、スパッタリング法により20nm成膜したタングステン膜を用いた(図4(C)参照。)。当該タングステン膜の成膜条件は、成膜時のチャンバー内圧力を0.4Paとし、成膜時のパワーはDC電源を用いて1kWとし、スパッタリング用のガス流量をArガス50sccm、加熱したArガス10sccmとし、基板ーターゲット間の距離を60mmとし、成膜時の基板加熱温度を130℃とした。
当該タングステン膜上に有機樹脂、およびレジストを塗布し、EB露光機を用いたリソグラフィによりレジストマスクを形成した。当該有機樹脂および当該タングステン膜は、レジストマスクを介してICPドライエッチング法により加工処理を行った。処理条件は、エッチングガス流量として塩素60sccm、四フッ化メタン40sccm、ICPを2000W、Biasを50W、基板温度をー10℃、圧力を0.67Paとして、16sec処理を行った。
続いて、酸化物半導体層108aとなる第1の酸化物半導体層および酸化物半導体層108bとなる第2の酸化物半導体層に対してドライエッチング法を用いて、エッチングガス流量はメタン16sccm、Arガス32sccmとし、ICPを600W、Biasを50W、基板加熱温度を70℃として、エンドポイント検出を用いて処理を行った。
絶縁層162は、プラズマCVD法で成膜した酸化窒化シリコン膜を用いた(図4(E)参照。)。当該酸化窒化シリコン膜の成膜条件は、成膜用ガス流量をシラン5sccm、一酸化二窒素1000sccmとし、成膜時のチャンバー内圧力を隔膜式バラトロンセンサーおよびAPCバルブ制御により133.30Paとし、RF電源周波数を13.56MHzとし、成膜時のパワーは45Wとし、電極間の距離を20mmとし、成膜時の基板加熱温度を325℃とし、酸化窒化シリコン膜を350nm成膜した。
当該酸化窒化シリコン膜を成膜後、CMP法により平坦化処理を行った。
続いて、平坦化処理後、当該酸化窒化シリコン膜上にハードマスクとしてタングステン膜と酸化窒化シリコン膜の積層膜を成膜した。その後、有機樹脂膜、および化学増幅型レジストを塗布し、EB露光機を用いたリソグラフィによりレジストマスクを形成してハードマスクをパターニングし、マスク191を形成した(図10(B)参照。)。次に、当該酸化窒化シリコン膜に対して、該レジストマスクおよび該ハードマスクからなるマスク191を介して、ICPドライエッチング法により加工処理を行った(図10(C)参照。)。
ICPドライエッチング法の処理条件は、エッチングガス流量としてアルゴン800sccm、酸素30sccm、ヘキサフルオロ−1,3−ブタジエン22sccm、RF電源の電力を上側500W、下側1150W、基板温度を20℃、圧力を3.3Paとして、42sec処理を行った。
絶縁層115aには、プラズマCVD法で成膜した酸化窒化シリコン膜を用いた。当該酸化窒化シリコン膜の成膜条件は、成膜用ガス流量をシラン1sccm、一酸化二窒素800sccmとし、成膜時のチャンバー内圧力を隔膜式バラトロンセンサーおよびAPCバルブ制御により40Paとし、RF電源周波数を60MHzとし、成膜時のパワーは150Wとし、電極間の距離を28mmとし、成膜時の基板加熱温度を400℃とし、当該酸化窒化シリコン膜を10nm成膜した。
導電層167aとして、ALD法により5nm成膜した窒化チタン膜と、メタルCVD法により250nm成膜したタングステン膜を用いた(図11(A)参照。)。
当該窒化チタン膜の成膜条件は、四塩化チタン50sccmで0.05sec導入して絶縁層上に吸着後、窒素ガスを4500sccmで0.2sec導入してパージ処理を行い、次いでアンモニアガスを2700sccmで0.3sec導入し絶縁層に吸着後、窒素ガスを4000sccmで0.3sec導入し、これを一つのサイクルとして、サイクル数により膜厚制御した。また、基板ステージ設定温度を412℃、圧力を667Pa、基板ステージーガス射出ステージ間距離を3mmとした。
当該タングステン膜の成膜条件は、成膜用ガス流量を6フッ化タングステン250sccm、水素2200sccm、および1700sccm(ガスラインを2系統に分けて使用)、アルゴン2000sccm、窒素200sccm、ステージ裏側用アルゴン4000sccmとし、成膜時のチャンバー内圧力を10666Paとし、基板ステージの設定温度を390℃とし、15secで41nm成膜した。
当該窒化チタン膜、当該タングステン膜を成膜後、CMP法により当該酸化窒化シリコン膜が露出するまで平坦化処理を行った(図11(B)参照。)。
続いて、平坦化処理後、当該酸化窒化シリコン膜上に有機樹脂膜、および化学増幅型レジストを塗布し、EB露光機を用いたリソグラフィによりレジストマスク192を形成した(図11(C)参照。)。当該酸化窒化シリコン膜に対して、レジストマスク192を介して、ICPドライエッチング法により加工処理を行った。
続いて、上記処理により露出したタングステン膜に対してICPドライエッチング法により加工処理を行った。エッチング条件は、圧力を2.0Pa、RF電源の電力を上部側1000W、下側を25W、エッチングガス流量として塩素40sccm、四フッ化メタン40sccm、基板温度をー10℃として、20sec処理を行った(図12(A)参照。)。
酸化物半導体層108cとなる酸化物半導体層158cには、スパッタリング法を用いてIn:Ga:Zn=1:3:2の組成のターゲットを用いて5nmを成膜したものを用いた(図12(B)参照。)。酸化物半導体層108cの成膜条件は、成膜時のチャンバー内圧力を0.7Paとし、成膜時のパワーはDC電源を用いて0.5kWとし、スパッタリング用のガス流量を酸素ガス45sccmとし、サンプルーターゲット間の距離を60mmとし、成膜時の基板加熱温度を130℃とした。
絶縁層114となる絶縁層115bには、プラズマCVD法で成膜した酸化窒化シリコン膜を用いた。当該酸化窒化シリコン膜の成膜条件は、成膜用ガス流量をシラン1sccm、一酸化二窒素800sccmとし、成膜時のチャンバー内圧力を隔膜式バラトロンセンサーおよびAPCバルブ制御により200Paとし、RF電源周波数を60MHzとし、成膜時のパワーは150Wとし、電極間の距離を28mmとし、成膜時の基板加熱温度を350℃とし、当該酸化窒化シリコン膜を10nm成膜した。
導電層116となる導電層167bとして、ALD法により5nm成膜した窒化チタン膜と、メタルCVD法により250nm成膜したタングステン膜を用いた。
当該窒化チタン膜の成膜条件は、四塩化チタン50sccmで0.05sec導入してゲート絶縁層上に吸着後、窒素ガスを4500sccmで0.2sec導入してパージ処理を行い、次いでアンモニアガスを2700sccmで0.3sec導入しゲート絶縁層に吸着後、窒素ガスを4000sccmで0.3sec導入し、これを一つのサイクルとして、サイクル数により膜厚制御した。また、基板ステージ設定温度を412℃、圧力を667Pa、基板ステージーガス射出ステージ間距離を3mmとした。
当該タングステン膜の成膜条件は、成膜用ガス流量を6フッ化タングステン250sccm、水素2200sccm、および1700sccm(ガスラインを2系統に分けて使用)、アルゴン2000sccm、窒素200sccm、ステージ裏側用アルゴン4000sccmとし、成膜時のチャンバー内圧力を10666Paとし、基板ステージの設定温度を390℃とし、15secで41nm成膜した。
当該窒化チタン膜、当該タングステン膜を成膜後、CMP法により当該酸化窒化シリコン膜が露出するまで平坦化処理を行った(図12(C)参照。)。
次に、絶縁層120、絶縁層122、絶縁層124を形成した後、導電層126a、導電層126b、導電層126c、導電層126d、導電層130a、導電層130b、導電層130cおよび導電層130dを形成した。以上が、実施例の作製方法である。
作製後、実施例の観察は、走査型透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmittance Electron scope)により行い、装置は日立ハイテクノロジーズ社製HD−2300を用いた。図20および図21に実施例の断面STEM観察結果を示す。図20(A)は、例えば図9(B)に示す断面図に相当する方向の断面STEM観察結果であり、図20(B)、図21(A)および図21(B)は、例えば図9(C)に示す断面図に相当する方向の断面STEM観察結果である。
図20及び図21より、実施例は、導電層104と、絶縁層106と、酸化物半導体層108aと、酸化物半導体層108bと、酸化物半導体層108cと、導電層110aと、導電層110bと、絶縁層112と、絶縁層114aと、絶縁層114bと、絶縁層114cと、導電層116と、導電層118と、導電層119と、を有することが示された。
なお、本実施例は、導電層119(第2のコントロールゲート)と導電層104(フローティングゲート)とが重なる領域の面積が、導電層118(第1のコントロールゲート)と導電層104(フローティングゲート)とが重なる領域の面積の約10分の1の大きさとなるように作製したトランジスタである。
以下、導電層118における電位をVC1、導電層119における電位をVC2、導電層116における電位をVg、導電層110aまたは導電層110bのいずれか一方における電位をVs、他方における電位をVdと呼ぶ。また、導電層110aまたは導電層110bのいずれか一方と、導電層116との間に流れる電流をIds、また、導電層110aまたは導電層110bのいずれか一方と、導電層116との間の電位差をVdsと呼ぶ。
図22に、条件A乃至条件Fに設定して測定した、実施例のIds−Vgs特性を示す。
条件Aにおいては、VC1=0V,VC2=0V、Vds=1.2Vとして、測定を行った。
条件Bにおいては、条件Aの測定を行った後、VC1=16V、VC2=0V、Vs=0V、Vd=0V、Vg=0Vの状態を500μs保った後に、VC1=0V,VC2=0V、Vds=1.2Vとして、測定を行った。
条件Cにおいては、条件Bの測定を行った後、VC1=18V、VC2=0V、Vs=0V、Vd=0V、Vg=0Vの状態を500μs保った後に、VC1=0V,VC2=0V、Vds=1.2Vとして、測定を行った。
条件Dにおいては、条件Cの測定を行った後、VC1=20V、VC2=0V、Vs=0V、Vd=0V、Vg=0Vの状態を500μs保った後に、VC1=0V,VC2=0V、Vds=1.2Vとして、測定を行った。
条件Eにおいては、条件Dの測定を行った後、VC1=22V、VC2=0V、Vs=0V、Vd=0V、Vg=0Vの状態を500μs保った後に、VC1=0V,VC2=0V、Vds=1.2Vとして、測定を行った。
条件Fにおいては、条件Eの測定を行った後、VC1=24V、VC2=0V、Vs=0V、Vd=0V、Vg=0Vの状態を500μs保った後に、VC1=0V,VC2=0V、Vds=1.2Vとして、測定を行った。
図22より、条件A、条件B、条件C、条件D、条件E、条件Fの順に、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトするということが示された。したがって、導電層118(第1のコントロールゲート)に電圧を印加することにより、トランジスタのしきい値電圧を変化させることができると示された。