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JP6967473B2 - 非水電解液蓄電素子 - Google Patents

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JP6967473B2 JP2018042726A JP2018042726A JP6967473B2 JP 6967473 B2 JP6967473 B2 JP 6967473B2 JP 2018042726 A JP2018042726 A JP 2018042726A JP 2018042726 A JP2018042726 A JP 2018042726A JP 6967473 B2 JP6967473 B2 JP 6967473B2
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Description

本発明は、非水電解液蓄電素子に関する。
近年、携帯機器の小型化、高性能化に伴い、高いエネルギー密度を持つ非水電解液蓄電素子の特性が向上し、普及している。より大容量で安全性に優れた非水電解液蓄電素子の開発も進められ、電気自動車等への搭載も始まっている。
このような状況下、エネルギー密度が高く、高速充放電に適した蓄電素子として、いわゆるデュアルインターカレーションタイプの非水電解液蓄電素子の実用化が期待されている。前記デュアルインターカレーションタイプの蓄電素子は、正極に炭素質材料を用いているため、高電圧下においても、正極から元素等の溶出なく、安定に動作させることが可能であるが、充放電サイクルに伴って、多量のガスが発生するという問題がある。これは、電極と電解液界面において、電解液の分解が起こるためと考えられる。
このような電解液の分解を抑制するため、高電圧領域において高い酸化性をもつ電解液の開発が検討されている。
例えば、電解液の耐酸化性能を向上させるために、リチウム二次電池系において、電解液にマロン酸ジメチルを用いる二次電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、電池容量を向上させるために、正極にリチウムコバルト酸化物を用いたリチウム二次電池の電解液中にジニトリル化合物、S=O基含有化合物を添加し、上限電圧4.2Vで動作させるリチウム二次電池用非水電解液が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
更に、電池容量及びサイクル特性の向上のために、正極にリチウムコバルト酸化物を用いたリチウム二次電池の電解液中に、環状スルホン酸エステル、ジスルホン酸エステル、ニトリル化合物の少なくとも1種以上を含み、更にフッ素化エチレンカーボネートを添加した電池系において、上限電圧4.35Vで動作させる高電圧二次電池に使用される非水系電解液が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
より高い電圧で動作させることができるようになると、エネルギー密度が向上するだけでなく、大型機械などへの適用時のような大電圧が求められる際でも直列接続数を減らすことができるなど多くの利点がある。更に、自動車用途への適用を考えると、エネルギー密度の向上だけでなく、入出力特性の向上も必要となる。入出力特性を向上させるために、電極を薄膜化することで素子抵抗を低減させた二次電池が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
本発明は、蓄電素子特性を低下させることなく、ガス発生を抑制できると共に、エネルギー密度を低下させることなく、入出力特性を向上可能な非水電解液蓄電素子を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の非水電解液蓄電素子は、アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解液と、前記正極と前記負極との間に配置され、前記非水電解液を保持するセパレータと、を有し、前記非水電解液が、ジニトリル化合物を含有し、前記ジニトリル化合物の含有量が、前記非水電解液に対して、33質量%以下である。
本発明によると、蓄電素子特性を低下させることなく、ガス発生を抑制できると共に、エネルギー密度を低下させることなく、入出力特性を向上可能な非水電解液蓄電素子を提供することができる。
図1は、本発明の非水電解液蓄電素子の一例を示す概略断面図である。 図2は、非水電解液蓄電素子における三次元網目構造の基本構成の一例を示す模式図である。 図3は、実施例1及び比較例1の非水電解液蓄電素子のサイクリックボルタンメトリー測定結果を示す図である。
(非水電解液蓄電素子)
本発明の非水電解液蓄電素子は、アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解液と、前記正極と前記負極との間に配置され、前記非水電解液を保持するセパレータと、を有し、前記非水電解液が、ジニトリル化合物を含有し、前記ジニトリル化合物の含有量が、前記非水電解液に対して、33質量%以下であり、更に必要に応じてその他の部材を有する。
本発明の非水電解液蓄電素子は、従来の技術では、リチウムコバルト酸化物を代表とする、従来のリチウム二次電池用正極活物質を用いており、前記リチウム二次電池用正極活物質を用いて作製した系にジニトリル化合物を添加すると、充放電初期段階から容量が低下し、サイクル特性が著しく低下するという問題があるという知見に基づくものである。これは、正極活物質中の遷移金属とジニトリル化合物が反応しているためと考えられる。このため、従来の技術では、安全性や長期サイクル性において、未だ満足しうるものではないという知見に基づくものである。
本発明者らが、前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、デュアルインターカレーションタイプの非水電解液蓄電素子において、耐高電圧性を有する電解液を用いることで、高電圧領域での使用においても、遷移金属溶出による電池特性の低下や、電解液分解によるガス発生を起こすことなく、安全性の高い蓄電素子を提供することができることを知見した。
以下、本発明の非水電解液蓄電素子の構成部材毎に詳細に説明する。
<正極>
前記正極は、正極蓄電物質(正極活物質等)を含んでいれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、正極集電体上に正極活物質を有する正極材を備えた正極などが挙げられる。
前記正極の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状などが挙げられる。
−正極材−
前記正極材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、正極活物質を少なくとも含み、更に必要に応じて導電助剤、バインダ、増粘剤などを含む。
−−正極活物質−−
正極活物質としては、アニオンを挿入乃至脱離可能な物質であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素材料などが挙げられる。
−−−炭素材料−−−
前記炭素材料としては、例えば、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物などが挙げられる。これらの中でも、アニオンを挿入乃至脱離する際の電極断面の膨張又は収縮が抑制できる三次元網目構造の連通した細孔(メソ孔)を有する多孔質炭素を用いることが好ましい。
前記多孔質炭素が、三次元網目構造である場合、イオンが円滑に移動でき、且つ表面積が拡大するので、高速充放電特性を向上させることができる。
前記三次元網目構造の連通したメソ孔を有する正極活物質は、メソ孔(空洞部)と炭素材料部とが接する面の両側に亘り正負の電解質イオンが対をなして存在することにより電荷二重層が形成されるキャパシタである。このため、対をなして存在する電解質イオンの移動の方が、極活物質と順次化学反応した後、発生した電解質イオンが次に移動するよりも速いこと、電力供給能は、空洞部の容積の大きさもさることながら、正負の電解質イオン対を存在させるメソ孔の表面積の大きさに依存することが理解される。
前記メソ孔は、三次元網目構造を成すことが好ましい。前記メソ孔が三次元網目構造を成していれば、イオンが円滑に移動する。
前記メソ孔としては、開気孔であることが好ましい。
前記開気孔としては、気孔部分が連続するような構成となっていることが好ましい。前記構成であれば、イオンが円滑に移動する。
前記炭素材料のBET比表面積としては、50m/g以上が好ましく、50m/g以上2,000m/g以下がより好ましく、800m/g以上1,800m/g以下が更に好ましい。
前記BET比表面積が、50m/g以上であると、気孔が十分な量形成され、イオンの挿入が十分に行われるため、高容量化することができる。また、前記BET比表面積が、2,000m/g以下であると、メソ孔が十分に形成され、イオンの挿入を阻害することがないため、高容量化することができる。
前記BET比表面積は、例えば、自動比表面積/細孔分布測定装置(TriStarII3020、株式会社島津製作所製)による吸着等温線の測定結果から、BET(Brunauer、Emmett、Teller)法を用いて求めることができる。
前記炭素材料の細孔容積としては、0.2mL/g以上2.3mL/g以下が好ましい。前記細孔容積が0.2mL/g以上であると、メソ孔が独立した細孔になることが稀になり、アニオンの移動が阻害されることもなく大きい放電容量を得ることができる。一方、前記炭素材料の細孔容積が2.3mL/g以下であれば、炭素構造が嵩高くならずに電極としてエネルギー密度が高められ、単位体積当たりの放電容量を増大させることができる。また、前記細孔を形成している炭素質壁が薄くならずに、アニオンの吸蔵及び放出を繰り返しても炭素質壁の形状が保つことができ、充放電特性が向上する点で有利である。
前記炭素材料の細孔容積は、例えば、自動比表面積/細孔分布測定装置(TriStarII3020、株式会社島津製作所製)による吸着等温線の測定結果から、BJH(Barrett、Joyner、Hallender)法を用いて求めることができる。
前記炭素材料としては、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、クノーベル(登録商標)(東洋炭素株式会社製)などが挙げられる。
−−バインダ及び増粘剤−−
前記バインダ及び増粘剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、印加される電位に対して安定な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アルギン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
−−導電助剤−−
前記導電助剤としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−正極集電体−
前記正極集電体の材質、形状、大きさ、及び構造としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたもので、印加される電位に対して安定であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、チタン、タンタルなどが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチール、アルミニウムが好ましい。
前記正極集電体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極集電体の大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<正極の作製方法>
前記正極は、前記正極活物質に、必要に応じて前記バインダ、前記増粘剤、前記導電助剤、溶媒等を加えてスラリー状とした正極材を、前記正極集電体上に塗布し、乾燥することで製造することができる。前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水系溶媒、有機系溶媒などが挙げられる。前記水系溶媒としては、例えば、水、アルコールなどが挙げられる。前記有機系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエンなどが挙げられる。
なお、前記正極活物質をそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としたりすることもできる。
<負極>
前記負極は、負極蓄電物質(負極活物質等)を含んでいれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、負極集電体上に負極活物質を有する負極材を備えた負極、などが挙げられる。
前記負極の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状、などが挙げられる。
−負極材−
前記負極材としては、負極活物質を少なくとも含み、更に必要に応じて導電助剤、バインダ、増粘剤などを含む。
−負極活物質−
前記負極活物質としては、非水溶媒系でカチオンを吸蔵及び放出可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カチオンとしてのリチウムイオンを吸蔵、放出可能な炭素材料、金属酸化物、リチウムと合金化可能な金属又は金属合金、リチウムと合金化可能な金属とリチウムとを含む合金とリチウムとの複合合金化合物、チッ化金属リチウムなどが挙げられる。
前記炭素材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒鉛(グラファイト)、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物などが挙げられる。
前記黒鉛(グラファイト)としては、例えば、コークス、人造黒鉛、天然黒鉛などが挙げられる。これらの中でも、人造黒鉛、天然黒鉛が好ましい。
前記金属酸化物としては、例えば、酸化アンチモン錫、一酸化珪素などが挙げられる。
前記金属又は金属合金としては、例えば、リチウム、アルミニウム、錫、珪素、亜鉛などが挙げられる。
前記リチウムとの複合合金化合物としては、例えば、チタン酸リチウムなどが挙げられる。
前記チッ化金属リチウムとしては、例えば、チッ化コバルトリチウムなどが挙げられる。
前記負極活物質としては、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、安全性とコストの点から、炭素材料及びチタン酸リチウムの少なくともいずれかが好ましい。
−−バインダ及び増粘剤−−
前記バインダ及び増粘剤としては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、印加される電位に対して安定な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、アクリレート系ラテックス、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、アルギン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼインなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)が好ましい。
−−導電助剤−−
前記導電助剤としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−負極集電体−
前記負極集電体の材質、形状、大きさ、及び構造としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極集電体の材質としては、導電性材料で形成されたもので、印加される電位に対して安定であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、銅、などが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチール、銅、アルミニウムが好ましい。
前記負極集電体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極集電体の大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<負極の作製方法>
前記負極は、前記負極活物質に、必要に応じて、前記バインダ及び増粘剤、前記導電助剤、溶媒等を加えてスラリー状とした負極材を、前記負極集電体上に塗布し、乾燥することで製造することができる。前記溶媒としては、前記正極の作製方法と同様の溶媒を用いることができる。
また、前記負極活物質に前記バインダ及び増粘剤、前記導電助剤等を加えたものをそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としたり、蒸着、スパッタ、メッキ等の手法で前記負極集電体上に前記負極活物質の薄膜を形成することもできる。
<非水電解液>
前記非水電解液は、ジニトリル化合物を含有し、非水溶媒に電解質塩を含有することが好ましく、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
−ジニトリル化合物−
前記ジニトリル化合物としては、例えば、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,5−ジシアノペンタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,7−ジシアノヘプタン、1,8−ジシアノオクタン、1,9−ジシアノノナン、1,10−ジシアノデカン、1,12−ジシアノドデカン、テトラメチルスクシノニトリル、2−メチルグルタロニトリル、2,4−ジメチルグルタロニトリル、2,2,4,4−テトラメチルグルタロニトリル、1,4−ジシアノペンタン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジカルボニトリル、2,6−ジシアノヘプタン、2,7−ジシアノオクタン、2,8−ジシアノノナン、1,6−ジシアノデカンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ジニトリル化合物は、芳香族系であってもよく、耐高電圧性、及びサイクル性の点から、グルタロニトリル、アジポニトリル、2−メチルグルタロニトリルが好ましい。
前記ジニトリル化合物の含有量としては、前記非水電解液に対して、33質量%以下であり、1質量%以下が特に好ましい。前記含有量が、33質量%以下であると、蓄電素子特性を低下させることなく、ガス発生を抑制することができる。前記含有量が、1質量%以下であると、高電圧領域においても蓄電素子特性を低下させることなく、ガス発生を抑制することができる。
−非水溶媒−
前記非水溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非プロトン性有機溶媒が好適である。
前記非プロトン性有機溶媒としては、鎖状カーボネート、環状カーボネート等のカーボネート系有機溶媒が用いられ、低粘度な溶媒が好ましい。これらの中でも、電解質塩の溶解力が高い点から、鎖状カーボネートが好ましい。
前記鎖状カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(EMC)などが挙げられる。これらの中でも、ジメチルカーボネート(DMC)が好ましい。
前記環状カーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)などが挙げられる。
前記環状カーボネートとしてエチレンカーボネート(EC)と、前記鎖状カーボネートとしてジメチルカーボネート(DMC)とを組み合わせた混合溶媒を用いる場合には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合割合は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記非水溶媒としては、必要に応じて、環状エステル、鎖状エステル等のエステル系有機溶媒、環状エーテル、鎖状エーテル等のエーテル系有機溶媒などを用いることができる。
前記環状エステルとしては、例えば、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどが挙げられる。
前記鎖状エステルとしては、例えば、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル(酢酸メチル(MA)、酢酸エチル等)、ギ酸アルキルエステル(ギ酸メチル(MF)、ギ酸エチル等)などが挙げられる。
前記環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソランなどが挙げられる。
前記鎖状エーテルとしては、例えば、1,2−ジメトシキエタン(DME)、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテルなどが挙げられる。
−電解質塩−
前記電解質塩としては、リチウム塩を使用することが好ましい。
前記リチウム塩としては、非水溶媒に溶解し、高いイオン伝導度を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、塩化リチウム(LiCl)、ホウ弗化リチウム(LiBF)、六弗化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド(LiN(CFSO)、リチウムビスペンタフルオロエチルスルホニルイミド(LiN(CSO)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、炭素電極中へのアニオンの吸蔵量の大きさの観点から、LiPF及びLiBFの少なくともいずれかが好ましい。
前記電解質塩の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記非水溶媒中に、0.5mol/L以上6mol/L以下が好ましく、蓄電素子容量と出力の両立の点から、2mol/L以上4mol/L以下がより好ましい。
<セパレータ>
前記セパレータは、正極と負極の短絡を防ぐために前記正極と前記負極との間に設けられる。
前記セパレータの材質、形状、大きさ、及び構造としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの材質としては、例えば、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙等の紙、セロハン、ポリエチレングラフト膜、ポリプロピレンメルトブロー不織布等のポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布、マイクロポア膜などが挙げられる。これらの中でも、電解液保持の観点から、気孔率50%以上のものが好ましい。
前記セパレータの形状としては、微多孔(マイクロポア)を有する薄膜タイプよりも、気孔率が高い不織布系の方が好ましい。
前記セパレータの平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm以上が好ましく、20μm以上100μm以下がより好ましい。前記平均厚みが、20μm未満であると、電解液の保持量が少なくなることがある。
前記セパレータの大きさとしては、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの構造は、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
<非水電解液蓄電素子の製造方法>
本発明の非水電解液蓄電素子は、前記正極、前記負極、前記非水電解液、及び前記セパレータを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に必要に応じて外装缶等の他の構成部材を用いることも可能である。前記非水電解液蓄電素子を組み立てる方法としては、特に制限はなく、通常採用されている方法の中から適宜選択することができる。
本発明の非水電解液蓄電素子の形状については、特に制限はなく、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。前記形状としては、例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプなどが挙げられる。
ここで、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に基づいて、本発明の非水電解液蓄電素子10の構成の概要を説明する。この図1に示した非水電解液蓄電素子10は、正極11と、負極12と、非水電解液を保持したセパレータ13と、外装缶14と、正極引き出し線15と、負極引き出し線16とを有し、必要に応じて他の部材を有する。非水電解液蓄電素子10の具体例としては、例えば、非水電解液二次電池、非水電解液キャパシタなどが挙げられる。
図2は、非水電解液蓄電素子における三次元網目構造の基本構成の一例を示す模式図である。
正極11は、例えば、アルミニウム製の正極集電体20と、正極集電体20上に固定された正極活物質としての炭素21と、炭素21同士を繋ぎとめるバインダ22と、炭素21間に導電パスを付与する黒丸表示の導電助剤23等を有している。
負極12は、例えば、銅製の負極集電体24と、負極集電体24上に固定された炭素材料などからなる負極活物質25と、負極活物質25同士を繋ぎとめるバインダ22と、負極活物質25間に導電パスを付与する黒丸表示の導電助剤23等を有している。
正極11と負極12との間にはセパレータ13が配置されているとともに、非水電解液26が配置されている。符号27はイオンを示している。イオンが炭素層間に挿入乃至脱離することで充放電が行われる。
デュアルインターカレーションタイプの非水電解液蓄電素子の充放電反応は、例えば、電解質にLiPFを使用した場合には、非水電解液中から正極にPF が挿入され、負極にLiが挿入されることにより充電が行われ、正極からPF が、負極からLiが非水電解液へ脱離することにより放電が行われる。
<用途>
本発明の非水電解液蓄電素子の用途としては、特に制限はなく、各種用途に用いることができ、例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ、電動自転車、電動工具等の電源、バックアップ電源などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<正極の作製>
正極活物質として多孔質炭素(クノーベル(登録商標)、東洋炭素株式会社製)を用い、導電助剤としてアセチレンブラック(デンカブラック粉状、デンカ株式会社製)、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(ダイセル2200、株式会社ダイセル製)、及びバインダとしてアクリレート系ラテックス(TRD202A、JSR株式会社製)を、各々、固形分の質量比で85.0:6.2:6.3:2.5になるように混合し、水を加えて適切な粘度に調整したスラリーを、厚み20μmのアルミニウム箔にドクターブレードを用いて片面に塗布した。
乾燥後の目付け量(塗工された正極中の炭素活物質粉末の質量)の平均は3mg/cmであった。これを直径16mmに打ち抜いて正極とした。
前記多孔質炭素(東洋炭素株式会社製、クノーベル)は、三次元網目構造を形成する複数の細孔を有し、BET比表面積が1,730m/g、細孔容積が2.27mL/gである。
<負極の作製>
負極活物質として人造黒鉛(MAGD、日立化成工業株式会社製)を用い、導電助剤としてアセチレンブラック(デンカブラック粉状、デンカ株式会社製)、バインダとしてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)系(EX1215、デンカ株式会社製)、及び増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(ダイセル2200、株式会社ダイセル製)を、各々、固形分の質量比で90.9:4.5:2.7:1.8になるように混合し、水を加えて適切な粘度に調整したスラリーを、厚み18μmの銅箔にドクターブレードを用いて片面に塗布した。
乾燥後の目付け量(塗工された正極中の炭素活物質粉末の質量)の平均は10mg/cmであった。これを直径16mmに打ち抜いて負極とした。
<セパレータ>
セパレータは、ガラス濾紙(GA100、ADVANTEC社製)を直径16mmに打ち抜いたものを2枚用意した。
<非水電解液>
非水電解液として、エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(EMC)との体積比1:3の混合溶媒を用いて、2mol/LのLiBF溶液を調製した。調製したLiBF溶液に、33質量%の濃度になるように、2−メチルグルタロニトリルを添加し、非水電解液を調整した。
<非水電解液蓄電素子の作製>
前記正極、前記負極、及び前記セパレータを150℃で4時間真空乾燥後、乾燥アルゴングローブボックス中で、2032型コインセルを組み立て、非水電解液蓄電素子を得た。
得られた非水電解液蓄電素子を用いて、以下のようにして、「サイクリックボルタンメトリー(CV)」を測定した。
<サイクリックボルタンメトリー(CV)評価>
電気化学アナライザーALS660C(BAS(Bioanalytical Systems)社製)及び分光器USB4000(オーシャンオプティクス社製)を用いて、23℃で5.5Vまで掃引したサイクリックボルタンメトリー(CV)を測定した。
(比較例1)
実施例1において、LiBF溶液に2−メチルグルタロニトリルを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。
得られた非水電解液蓄電素子を用いて、実施例1と同様にして、「サイクリックボルタンメトリー(CV)」を測定した。
実施例1及び比較例1について、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定の結果を図3に示す。
図3に示すように、ジニトリル化合物を添加していない比較例1の非水電解液蓄電素子では、5.0V付近から電流値の増大が始まり、この電圧付近から電解液の分解が起こっていることが分かる。一方、ジニトリル化合物を添加した実施例1の非水電解液蓄電素子では、電流値の増大が5.3V付近まで起こっておらず、耐電圧性が向上していることが分かる。この理由として、ジニトリル化合物の高い酸化電位による影響が考えられる。ジニトリル化合物は、電解質溶媒分子である環状カーボネート類や鎖上カーボネート類よりも著しく高い酸化電位を有する。また、ニトリル基は電子求引性が極めて大きいため、ニトリル基を二つ有するジニトリル化合物は、電子を極めて離し辛い構造となっている。そのため、炭酸エステル類にジニトリル化合物を加えることで、電解質全体の酸化電位が向上し、図3に示すように、耐電圧性が向上したものと考えられる。
この結果から、デュアルインターカレーションタイプの非水電解液蓄電素子にニトリル化合物を添加することにより、高電圧において電解液の分解、及び正極活物質の溶出もなく、充放電可能なリチウム二次電池が得られることが分かる。
(実施例2)
実施例1において、2−メチルグルタロニトリルの添加濃度33質量%を、1質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。次に、以下のようにして、「容量」、「放電容量維持率」、及び「ガス発生量」を測定した。
<容量及び放電容量維持率の測定>
充放電試験には1024B―7V0.1A―4(エレクトロフィールド社製)の自動電池評価装置を使用した。
得られた非水電解液蓄電素子を、23℃にて、10Cレートにて4.4Vまで充電した後、5分間休止し、2.0Vまで放電する操作を200回繰り返した。10回目における放電容量を容量値(「容量」)とし、初期容量に対する200回目での「放電容量維持率」を算出した。
<ガス発生量の測定>
得られた非水電解液蓄電素子を放出ガス圧力測定用セル(装置名:ECC−Press−DL、EL−CELL社製)を用いて、23℃にて、10Cレートにて4.4Vまで充電した後、5分間休止し、2.0Vまで放電する操作を200回繰り返した後の圧力を体積に換算したものをガス発生量として測定した。
(実施例3)
実施例1において、2−メチルグルタロニトリルの添加濃度33質量%を、5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。次に、実施例2と同様にして、「容量」、「放電容量維持率」、及び「ガス発生量」を測定した。
(実施例4)
実施例1において、2−メチルグルタロニトリルの添加濃度33質量%を、10質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。次に、実施例2と同様にして、「容量」、「放電容量維持率」、及び「ガス発生量」を測定した。
(実施例5)
実施例1において、2−メチルグルタロニトリルの添加濃度33質量%を、20質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。次に、実施例2と同様にして、「容量」、「放電容量維持率」、及び「ガス発生量」を測定した。
(実施例6)
実施例1と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。次に、実施例2と同様にして、「容量」、「放電容量維持率」、及び「ガス発生量」を測定した。
(実施例7)
実施例1において、添加濃度33質量%の2−メチルグルタロニトリルを、添加濃度10質量%のグルタロニトリルに変更した以外は、実施例1と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。次に、実施例2と同様にして、「容量」、「放電容量維持率」、及び「ガス発生量」を測定した。
(実施例8)
実施例1において、添加濃度33質量%の2−メチルグルタロニトリルを、添加濃度10質量%のアジポニトリルに変更した以外は、実施例1と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。次に、実施例2と同様にして、「容量」、「放電容量維持率」、及び「ガス発生量」を測定した。
(比較例2)
比較例1と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。次に、実施例2と同様にして、「容量」、「放電容量維持率」、及び「ガス発生量」を測定した。
(比較例3)
実施例1において、2−メチルグルタロニトリルの添加濃度33質量%を、50質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。次に、実施例2と同様にして、「容量」、「放電容量維持率」、及び「ガス発生量」を測定した。
(比較例4)
実施例1において、2−メチルグルタロニトリルの添加濃度33質量%を、34質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。次に、実施例2と同様にして、「容量」、「放電容量維持率」、及び「ガス発生量」を測定した。
実施例2〜8及び比較例2〜4における「容量」、「放電容量維持率」、及び「ガス発生量」の結果を下記表1に示す。
Figure 0006967473
表1に示すように、実施例2〜8は、比較例2と比べ、ガス発生量を著しく低下させていることが分かる。この結果は、ジニトリル化合物の添加により、高電圧領域における電解液の分解が抑制されたことを示している。また、容量を確認すると、ジニトリル化合物の未添加の比較例2と同程度の容量が得られている。更に、放電容量維持率を確認すると、実施例6で多少の低下が見られるものの、いずれにおいても10C充放電200サイクル目においても、60%以上の維持率を有することが分かる。これらの結果は、所定量のジニトリル化合物の添加は、充放電過程の阻害とならないことを示している。
一方、ジニトリル化合物を50質量%添加した比較例3、及び34質量%添加した比較例4では、容量維持率の低下が見られる。これは、電解液中に一定量以上のジニトリル化合物を添加することにより、アニオンの正極層間へのインターカレート、又はカチオンであるリチウムの負極へのインターカレートが阻害されたことによるものと考えられる。
また、ジニトリル化合物の種類として、グルタロニトリルやアジポニトリルを用いた実施例7、及び実施例8においても、同様にガス発生量の著しい低下が見られたことから、ジニトリル化合物の添加によって電解液溶媒の耐電圧性が向上し、分解反応が抑制できることが分かる。
(実施例9)
実施例2と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。
(実施例10)
実施例6と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。
(比較例5)
比較例2と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。
得られた非水電解液蓄電素子を用いて、以下のようにして、「レート特性」を評価した。
<レート特性>
作製した非水電解液蓄電素子を、23℃にて、1Cレートにて4.4Vまで充電した後、5分間休止し、2.0Vまで放電する操作を20回繰り返した。次に、5Cレートにて4.4Vまで充電した後、5分間休止し、2.0Vまで放電する操作を50回繰り返した。更に、10Cレートにて4.4Vまで充電した後、5分間休止し、2.0Vまで放電する操作を100回繰り返した。各レートでの10回目における放電容量を容量値とし、1Cレートでの容量に対する、10Cレートでの容量の出現率を「レート特性」として算出した。結果を下記表2に示す。
Figure 0006967473
前記表2の結果から、ジニトリル化合物を添加した実施例9及び10は、未添加の系である比較例5と比較して、各充放電レートにおいて同等の容量を出現しており、レート特性を比較しても同程度であった。このことから、ジニトリル化合物の添加によって、電池抵抗を増大させるような分解生成物を形成する反応が起きることはなく、電池の低抵抗性を維持しながら、電解液の分解を抑制可能であることが明らかとなった。
(実施例11)
実施例1と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。
(実施例12)
実施例4と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。
(実施例13)
実施例2と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。
(実施例14)
実施例1において、2−メチルグルタロニトリルの添加濃度33質量%を0.5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。
(実施例15)
実施例1において、2−メチルグルタロニトリルの添加濃度33質量%を0.2質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。
(比較例6)
比較例2と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。
(比較例7)
比較例3と同様にして、非水電解液蓄電素子を得た。
<高電圧領域での容量、放電容量維持率及びガス発生量の測定>
作製した蓄電素子を用いて、上限電圧を4.5Vとした以外は、実施例2と同様に「容量」、「放電容量維持率」、及び「ガス発生量」を測定した。結果を表3に示した。
<入出力特性の測定>
作製した蓄電素子を、23℃にて、0.2Cレートにて4.5Vまで充電した後、5分間休止し、2.0Vまで放電する操作を10回繰り返した。次に、1Cレートにて4.5Vまで充電した後、5分間休止し、2.0Vまで放電する操作を20回繰り返した。充放電を行ったラミネートセルを1kHzの交流四端子法を用いて抵抗測定を行い、この値を「入出力特性」として評価を行った。抵抗値が小さいことで入出力の低下を抑制することができる。結果を表3に示した。
Figure 0006967473
表3の結果から、上限電圧を4.4Vから4.5Vに上げることで、いずれの蓄電素子系においても、容量の向上がみられる。しかし、ジニトリル化合物を添加していない比較例6では、容量は向上しているものの、ガス発生量が非常に多いことに加えて、放電容量維持率が非常に低い。これは、4.5Vという高電圧領域では電解液の分解が促進されてしまうことを示しており、高電圧では電池としての特性を著しく損なってしまうことがわかった。
一方で、ジニトリル化合物を添加した実施例11から15では、いずれにおいてもガス発生量が抑制されている。これは、ジニトリル化合物が電解液構成成分である炭酸エステル類と相互作用することで酸化電位が向上し、耐電圧性が向上したためと考えられる。特に1質量%以下で添加した実施例13から15では、特に高い放電容量維持率を維持しながらも、ガス発生量が抑制されている。
一方、ジニトリル化合物を50質量%添加した比較例7では、容量維持率の低下が見られる。これは、上限電圧4.4Vで使用した比較例3と同様に、電解液中に一定量以上のジニトリル化合物を添加することにより、アニオンの正極層間へのインターカレート、又はカチオンであるリチウムの負極へのインターカレートが阻害されたことによるものと考えられる。
上限電圧4.5Vの高電圧領域においても、ジニトリル化合物を33質量%以下添加することで、電池特性を損なうことなく、ガス発生量を抑制することが可能になる。
(実施例16)
<ラミネートセルの作製>
実施例1に記載の正極にアルミニウム製の正極端子を、負極にニッケル製の負極端子を超音波溶接で取り付けた。各端子を取り付けた正極と負極とをセルロース製のセパレータを介して積層し、150℃で4時間真空乾燥させた。この積層体を乾燥アルゴングローブボックス中で、アルミラミネートに封入した。次に、実施例1と同様に調製した電解液を注入し、減圧下にてアルミラミネートの熱融着を行い、ラミネートセルを得た。
(実施例17)
実施例16において、電解液を実施例4と同様のものを用いた以外は、実施例16と同様にしてラミネートセルを作製した。
(実施例18)
実施例16において、電解液を実施例2と同様のものを用いた以外は、実施例16と同様にしてラミネートセルを作製した。
(実施例19)
実施例16において、電解液を実施例14と同様のものを用いた以外は、実施例16と同様にしてラミネートセルを作製した。
(実施例20)
実施例16において、電解液を実施例15と同様のものを用いた以外は、実施例16と同様にしてラミネートセルを作製した。
(比較例8)
実施例16において、電解液を比較例2と同様のものを用いた以外は、実施例16と同様にしてラミネートセルを作製した。
(比較例9)
実施例16において、電解液を比較例3と同様のものを用いた以外は、実施例16と同様にしてラミネートセルを作製した。
<入出力特性の測定>
作製したラミネートセルを、23℃にて、0.2Cレートにて4.5Vまで充電した後、5分間休止し、2.0Vまで放電する操作を10回繰り返した。次に、1Cレートにて4.5Vまで充電した後、5分間休止し、2.0Vまで放電する操作を20回繰り返した。充放電を行ったラミネートセルを1kHzの交流四端子法を用いて抵抗測定を行い、この値を「入出力特性」として評価を行った。抵抗値が小さいことで入出力の低下を抑制することができる。結果を表4に示した。
Figure 0006967473
表4の結果から、ジニトリル化合物を添加した実施例16から20は、未添加の系である比較例8と比較して、入出力特性として記載した抵抗値が低下していることがわかった。特に添加量が少ない実施例18、19及び20では、著しく低下していることが分かった。この理由として、少量のジニトリル化合物の添加により、電解液中に存在するジニトリル化合物がアニオン及びカチオンの移動を阻害することなく、電解液の分解が抑制されたことで、充放電に伴う被膜の形成が緩和され、ジニトリル化合物を未添加の系よりもより緻密で薄い被膜となり、蓄電素子としての抵抗が低下したものと考えられる。
高電圧領域でのガス発生量抑制効果、放電容量維持率及び入出力特性の結果を鑑みると、ジニトリル化合物の添加量は、1質量%以下が特に好ましい。
以上の結果から、デュアルインターカレーションタイプの非水電解液蓄電素子において、耐高電圧性を有する電解液を用いることにより、高電圧領域での使用においても、遷移金属溶出による電池特性の低下や、電解液分解によるガス発生を起こすことなく、安全性の高い蓄電素子を提供できることがわかった。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解液と、前記正極と前記負極との間に配置され、前記非水電解液を保持するセパレータと、を有し、
前記非水電解液が、ジニトリル化合物を含有し、
前記ジニトリル化合物の含有量が、前記非水電解液に対して、33質量%以下であることを特徴とする非水電解液蓄電素子である。
<2> 前記ジニトリル化合物の含有量が、前記非水電解液に対して、1質量%以下である前記<1>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<3> 前記ジニトリル化合物が、2−メチルグルタロニトニルである前記<1>から<2>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<4> 前記正極活物質が、炭素材料を含有し、
前記炭素材料のBET比表面積が50m/g以上であり、かつ前記炭素材料の細孔容積が0.2mL/g以上2.3mL/g以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<5> 前記炭素材料が、黒鉛、及び有機物の熱分解物の少なくともいずれかである前記<4>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<6> 前記黒鉛が、多孔質炭素である前記<5>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<7> 前記多孔質炭素が、三次元網目構造の連通した細孔を有する前記<6>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<8> 前記非水電解液が、LiBFを含有する前記<1>から<7>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<9> 前記負極活物質が、炭素材料である前記<1>から<8>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<10> 前記正極が、バインダを更に含む前記<1>から<9>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<11> 前記バインダが、アクリレート系ラテックスである前記<10>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<12> 前記正極が、増粘剤を更に含む前記<1>から<11>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<13> 前記増粘剤が、カルボキシメチルセルロースである前記<12>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<14> 前記正極が、導電助剤を更に含む前記<1>から<13>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<15> 前記導電助剤が、アセチレンブラックである前記<14>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<16> 前記負極が、バインダを更に含む前記<1>から<15>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<17> 前記バインダが、スチレン−ブタジエンゴムである前記<16>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<18> 前記負極が、増粘剤を更に含む前記<1>から<17>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<19> 前記増粘剤が、カルボキシメチルセルロースである前記<18>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<20> 前記負極が、導電助剤を更に含む前記<1>から<19>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<21> 前記導電助剤が、アセチレンブラックである前記<20>に記載の非水電解液蓄電素子である。
前記<1>から<21>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
10 非水電解液蓄電素子
11 正極
12 負極
13 セパレータ
特開平8−162154号公報 特許第5645144号公報 特許第5896010号公報 特許第5097415号公報

Claims (6)

  1. アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水電解液と、前記正極と前記負極との間に配置され、前記非水電解液を保持するセパレータと、を有し、
    前記非水電解液が、ジニトリル化合物を含有し、
    前記ジニトリル化合物の含有量が、前記非水電解液に対して、33質量%以下であることを特徴とする非水電解液蓄電素子。
  2. 前記ジニトリル化合物の含有量が、前記非水電解液に対して、1質量%以下である請求項1に記載の非水電解液蓄電素子。
  3. 前記ジニトリル化合物が、2−メチルグルタロニトニルである請求項1から2のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
  4. 前記正極活物質が、炭素材料を含有し、
    前記炭素材料のBET比表面積が50m/g以上であり、かつ前記炭素材料の細孔容積が0.2mL/g以上2.3mL/g以下である請求項1から3のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
  5. 前記非水電解液が、LiBFを含有する請求項1から4のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
  6. 前記負極活物質が、炭素材料である請求項1から5のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。

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