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JP6961481B2 - 脳血流改善用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、脳血流改善用組成物に関する。
日本では、「1億総半病人」という言葉に表されるように、多くの人が、不眠、頭痛、肩こり、腰痛、胃痛、吐き気、疲れやすい、やる気がでない、イライラする等の身体の軽度の不調を抱えている。さらに、高齢化社会を迎え、半病人は、今後も増加することが予想され、医療費の増加に繋がる大きな社会問題として捉えられている。これらの身体の不調の多くは、脳機能に関係している。中でも、大脳皮質は、人間の生活において重要な記憶、判断、感覚、運動、言語などを司る機能を持つ部位であり、日常生活と大きなかかわりを持っていることから、大脳皮質の活性が心身の健康に重要であると考えられている。
特許文献1には、ラクトバチルス・ガセリCP2305株の菌体を含有する脳血流改善剤が提案されている。そして、その作用としては、ラクトバチルス・ガセリCP2305株の菌体の摂取により、胃及び腸の迷走神経求心枝の活動が亢進し、脳血流(大脳皮質の血流上昇、基底核の血流低下、後頭葉第8領域の血流低下)が変化し、脳機能が改善されることが記載されている。
これらの脳血流変化は、てんかん発作リスクの回避、脳卒中リスクの低減、脳動脈瘤リスクの回避、行動を穏やかにするなど、いわゆるイライラ行動の抑制に効果があると考えられる。また、脳血流の部分的低下は、不眠症や睡眠の質改善に関与すると考えられている。
また、ラクトバチルス・ガセリCP2305株の菌体は、ヒト摂取試験で睡眠の質、寝付き、睡眠障害の緩和が確認されたことから、ラクトバチルス・ガセリCP2305株の摂取は、睡眠を改善しているとしている。
脳において、大脳皮質の前方にあたる前頭葉には、運動野・運動前野・前頭前野・前頭眼野・運動性言語野などが機能局在として知られている。その中でも中央部分に位置する前頭極という領域(ブロードマンの脳地図10野)は、情報の保持や目標の維持(課題の目的は何か)などに関わる領域であることが知られている。また、未来について考えることに関わり(非特許文献1)、過去に自分が行った決断を評価することに関わっている(非特許文献2)。特にうつ病患者や統合失調症患者では前頭極の血流量に低下が見られる(非特許文献3)。うつ病と統合失調症の患者数は現代社会において著しい増加が見られていることから、この脳領域の機能を高めることはうつ病や統合失調症の改善にも繋がる可能性が期待されている。しかし運動が前頭極の活動を促進することを示した先行研究はあったが、香りを用いた前頭極の活動の促進に関する先行技術はない。
一方で、香りや音楽などを用いた「癒し」の手法は一般化しており、中でも、香りを用いたアロマセラピーは多くの愛好家により日常的に取り入れられている心身の癒し療法である。また、アロマセラピーなどの香りによる疾患への影響については、いくつかの研究結果が報告されている。
また本発明者らが検討したところ、香り成分としてテルピネオールを用いたところ、脳血流改善効果が確認されている(非特許文献4)。しかしテルピネオール吸入時には、前頭極を含む前頭葉中央部分における血流量の増加は見られなかった。さらに、本発明者らが香りの好みについて確認したところテルピネオールの香りに対する好みにも特に問題はなかった。
また、本発明者らが検討したところ、香り成分としてカンファーを用いたところ顕著な脳血流改善効果が確認されている(特許文献2参照)。この検討では、前頭極を含む前頭葉中央部分において血流量の増加が見られた。しかし、本発明者らが香りの好みについて確認したところ、カンファーの香りに対しては嫌いと回答した人が半数近くいた。従って、カンファーを常用的に吸入し、前頭極の血流増加を試みることは困難であると考えられる。
さらに本発明者らが検討したところ1,8シネオール吸入時には、前頭極を含む前頭葉中央部分における血流量の増加は見られなかった(非特許文献4)。しかし、香りの好みについて確認したところ、1,8シネオールに対しては好ましいと回答した人が9割近くいた。従って、他の香りと組み合わせることによって嗜好性を高める成分として優れた香り成分であると考えられた。
上述したように、特定の香り成分が脳血流に影響することは公知であるが、前頭極の血流改善を促す香りとして嗜好性も高く常用的な使用に適した香りは存在しないと考えられる。
特開2015−096542号公報 特開2017−171609号公報
Jiro O, et. al., NeuroImage 2003 19:1369-1380 Satoshi T, et. al., Nature Neuroscience 2010 13:120-126 Shenghong Pu et al., Psychiatry and Clinical Neurosciences 2008; 62: 728-737 今須寿晃他、AROMA RESEARCH. 17(2), 54-59 (2016)
本発明は、嗅覚刺激によって大脳皮質血流を増加させることのできる新たな組成物を提供することを課題とする。
本発明の主な構成は、次のとおりである。
1.テルピネオール、1,8−シネオール及びカンファーを含有することを特徴とする嗅覚刺激による脳血流改善用組成物。
2.テルピネオールと1,8−シネオールとカンファーを質量比で15〜18:12〜6:3〜6の比率で含有する1に記載の脳血流改善用組成物。
3.脳血流改善部位が大脳皮質である1又は2に記載の脳血流改善用組成物。
本発明により新たな脳血流改善用組成物が提供される。本発明の脳血流改善用組成物は大脳皮質の血流量を増加させる。本発明の脳血流改善剤は、大脳皮質中の前頭葉の血流を特異的に増加させ、運動能力・運動性言語能力・行動計画・意思決定・認知処理などの機能を改善する。本発明の脳血流改善用組成物は嗜好性が高く常用できる。特に前頭極の脳血流改善のための組成物として有用である。
ヒト試験を行うために用いる光トポグラフィ用のプローブの模式図である。図中の各番号が測定チャンネル(ch)を示している。
本発明は、テルピネオール、1,8−シネオール及びカンファーを含有することを特徴とする嗅覚刺激による脳血流改善用組成物に関する。
本発明の元となる大脳機能と血流の関係性について説明する。
大脳皮質は人間の生活において重要な記憶、判断、感覚、運動、言語などを司る機能を持つ部位であり、日常生活と大きなかかわりを持っていることから、この部位の活性が心身の健康においては、重要であると考えられる。
大脳皮質、とりわけ前頭葉は、運動野・運動前野・前頭前野・前頭眼野・運動性言語野などが機能局在として知られている。
前頭葉の前頭前野は、認知・実行機能と情動・動機づけ機能を担っている。前頭前野は全体として「定型的反応様式では対応できないような状況において、認知的、動機づけ状況を把握し、それに対して適切な判断を行い、行動を適応的に組織化する」役割を果たしている。前頭葉の前頭前野は、ワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プランニング、推論などの認知・実行機能、意思決定過程に重要な役割を果たす情動・動機づけ機能、社会的行動を支えるとともに、葛藤の解決や報酬に基づく選択等の機能を担っている。
前頭前野は知性と衝動のバランスを取ることや、将来の計画に関わることが示されている(Harlow JM, Boston Medical and surgical Journal 1848 39:389-393)。
前頭前野に損傷を受けると、順序だった行動の組立をする、つまり段取りをうまくとる事ができなくなる(Penfield W and Evans J, The frontal lobe in man: A clinical study of maximum removals, Brain 1935 58:115-133)。
前頭前野損傷患者には、計画の立案や遂行において障害が見られ、「順序だった計画を立てたり」、「計画を完成させたり」、「重要な項目と些細な項目を区別したり」、あるいは「目標と無関係なことがらを持ち込まないようにしたり」することに障害をきたす(Boller F, Grafman J(Eds.) Handbook of Neuropsychology, 2ndEdition: The Frontal Lobes Elsevier 2002)。
前頭葉の前頭前野の前頭極(ブロードマンの脳地図10野)は、情報の保持や目標の維持(課題の目的は何か)などに関わる領域でもあることが知られている。また、未来について考えることに関わり(非特許文献1)、過去に自分が行った決断を評価することに関わっている(非特許文献2)。
前頭葉の前頭前野の眼窩前頭皮質(ブロードマンの脳地図11野)は、感情価の表現、意思決定や期待に関連しており、主観的な快楽性の経験を仲介する役割を持っている(Kringelbach ML, Nature Reviews Neuroscience, 2005 6:691-702)。また、報酬と罰に対する感受性に関連した行動計画を制御している(Kringelbach ML and Rolls ET, Progress in Neurobiology, 2004 72:341-372)。
前頭葉の下前頭回にはブローカ野(ブロードマンの脳地図44野、45野)が存在し、運動言語中枢とも呼ばれ、言語処理、及び音声言語、手話の産出と理解に関わっている(Horwitz B, Amunts K, Bhattacharyya R, Patkin D, Jeffries K, Zilles K, Braun AR, Neuropsychologia 2003 41:1868-76)。
前頭葉の下前頭回には三角部(ブロードマンの脳地図45野)が存在し、音とスペルとの関係が不規則な例外的語を読むときに強く活動する(Andrea M, Jennifer TC, Steven L, Karl JF, Matthew ALR, Karalyn P, James LM, and Cathy JP, Journal of Cognitive Neuroscience 2005 17:11:1753-1765)。また、単語の意味を解読する役割を持っている(Cortical dynamics of word recognition. Human Brain Mapping Aug 2007. ISSN:1097-0193)。
このような機能を有する脳の司令塔と言われる前頭前野(以下、「本領域」と呼ぶ)を活性化させるためには、この部位に流入する血流を増加させ、脳内への酸素供給量を挙げる必要があることは良く知られている。
本発明の組成物は、本領域の大部分を活性化させ、オキシヘモグロビン濃度を増加させる作用を有している。
テルピネオールは、1,8−テルピンから1分子の水が脱水して生ずる不飽和アルコールの総称である。4種の異性体が得られるはずであるが、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオールの3種のみ知られている。市販のテルピネオールは1,8−テルピンを希酸で脱水してつくられる。沸点214〜224℃の粘ちょうな液体である。主成分はα−テルピネオールである。本発明に用いるテルピネオールは、月桂樹、ローズマリー、アニス、マジョラムなどやアキギリ属、ビャクシン属の植物の精油から精製分離したものを用いることができる。また化学合成されたものであっても良いし、精製された結晶体であっても良い。また市販されているα−テルピネオールを主成分とする組成物を用いることもできる。
1,8−シネオール、別名ユーカリプトール(eucalyptol)は、天然に存在する有機化合物で、環状エーテル構造を持つモノテルペノイドの一種である。1,8−シネオールは、ローリエ、ヨモギ、バジリコ、ニガヨモギ、ローズマリー、セージなどの葉からも見出されるが、ユーカリ精油を蒸留すると99.6%から99.8%の純度のものが得られる。また1,8−シネオールは、こころよい芳香と味を持つことから、食品添加物・香料・化粧品に利用される、口中清涼剤やせき止めにも配合され、その効能や安全性は良く知られている化合物である。本発明に用いる1,8−シネオールは、精油から精製分離したものを用いることができる。また化学合成されたものであっても良いし、精製された結晶体であっても良い。また市販されている1,8−シネオールを主成分とする香料用組成物を用いることもできる。
カンファーは、元々はクスノキの材片を水蒸気蒸留により製造されていたが、現在は、多くが松等の精油を出発物質とする化学合成により製造されている。
カンファーは、血行の改善、消炎、鎮痛、鎮痒を目的として、筋肉痛、挫傷、打撲、捻挫、凍傷(第1度)、凍瘡、皮膚そう痒症に対する外用剤として使用されている。また、衣服の防虫剤としても使用されている。本発明に用いるカンファーは天然由来のものであっても化学合成されたものであっても良いし、精製された結晶体であっても良い。
本発明の脳血流改善用組成物は、テルピネオール、1,8−シネオール、カンファーを含有する。テルピネオール、1,8−シネオール、カンファーの混合物を、アルコールや油で希釈したり、軟膏などの製剤に配合したりして用いることができる。テルピネオール、1,8−シネオール、カンファーの混合物を有機溶媒等に溶解させた溶液をシリカゲルに含浸させてこれを嗅覚刺激の組成物として用いることもできる。また、ろうそくに練りこんでアロマキャンドルや線香としても良い。
本発明の脳血流改善用組成物は、揮発性の3成分テルピネオール、1,8−シネオール、カンファーが空気中に気散して、呼気を介して鼻腔内の臭細胞を刺激することによって作用する。このためこのような作用を示す形態であればどのような使用法であっても良いが、例えば、テルピネオール、1,8−シネオール、カンファーの結晶混合物を紙袋や布袋につつみ、そこから揮散成分を、香りとして吸入する方法が挙げられる。
テルピネオール、1,8−シネオール、カンファーの組み合わせの溶液をシリカゲルに含浸させたものを同様に紙袋や布袋に包み、香りを揮散させてもよい。また、テルピネオール、1,8−シネオール、カンファーを配合した軟膏を外用することにより、塗布部から揮散する香りを吸入してもよい。また、テルピネオール、1,8−シネオール、カンファーを配合した飲料を引用する際に揮散する香りを吸入してもよい。またテルピネオール、1,8−シネオール、カンファーを含有する溶液をスプレーし、揮散する香りを吸入してもよく、アロマキャンドルを燃焼させることによって香りを吸入してもよい。
本発明の脳血流改善用組成物としては、テルピネオール、1,8−シネオール、カンファーの3成分を含有することで、脳血流を改善するが、テルピネオールと1,8−シネオールとカンファーを質量比で15〜18:12〜6:3〜6の比率で含有するものが特に効率的な脳血流改善作用を発揮する。
本発明の組成物を用いた臨床試験を示し、本発明を具体的に説明する。
1.試験試料
市販の精製テルピネオール、1,8−シネオール、カンファーをジプロピレングリコールに溶解させて試験試料を調製した。
・試料541
処方:テルピネオール15質量%、1,8−シネオール12質量%、カンファー3質量%、ジプロピレングリコール70質量%
・試料622
処方:テルピネオール18質量%、1,8−シネオール6質量%、カンファー6質量%、ジプロピレングリコール70質量%
・テルピネオール
処方:テルピネオール10質量%、ジプロピレングリコール90質量%
2.脳血流改善効果の測定方法
脳血流量の計測には、近赤外光トポグラフィ装置(NIRS:Near−infrared Spectroscopy 以下、「NIRS」と称する)(株式会社日立製作所製 装置名:OT−R40)を用いた。NIRSは52ch(3×11ホルダ使用)(株式会社日立製作所製)、すなわち前頭葉内の52カ所から脳血流の測定が可能である。図1に測定部位の模式図を示す。NIRSにおける計測可能箇所である52chのプローブの配置位置を示している。各chが対応した箇所における脳血流量の変化の測定が可能である。光トポグラフィ装置は、695nm/800nmの2種の近赤外光を使用し、オキシヘモグロビンの吸収を指標として血流量の変化として観察測定する。測定結果はオキシヘモグロビン濃度変化と光路長の積(mM×mm)で表される。
脳神経は、活動すると酸素とグルコースが必要となるため、脳活動が活発な部位はオキシヘモグロビンが増加し、近赤外光の透過度は減衰し、これを血流量として測定する装置である。
したがって、光トポグラフィ装置によって、大脳皮質の血流量の変化、ひいては脳の活動を測定する。
3.被験者
被験者は、20〜45歳の健常な男女18名である。1人の被験者は、すべての試料を吸入した。なお各試料の試験は異なる日に実施した。
4.試験方法
すべての試料の強度が同程度となるよう事前に予備調査を行った。予備調査は6名の嗅覚に問題のない被験者によって行われた。被験者は試験試料541の30%濃度のものを0.3g、0.5gおよび試験試料622の30%濃度を0.3g、0.5g、0.7g(計5サンプル)をろ紙(1.5cm×1.5cm)に含浸させ、このろ紙を30mlのガラス瓶に入れ、被験者の鼻先に近づけて、検体の揮発成分を鼻から吸入させた。被験者は鼻先3cmのところに各サンプルを5秒間持って嗅ぎ、30秒間時間を空けることを4回繰り返した。全4回終了後にVAS法を用いてサンプルに対する「好み(0%:とても好き、100%:とても嫌い)」と「強度(0%:とても強い、100%:とても弱い」について回答させた。判定基準は、サンプルの「好み」と「強度」が76%を超えないこととした。予備調査の結果試験試料541と試験試料622はいずれも30%溶液を0.3gろ紙に含浸させた場合に「好み」と「強度」が判定基準を満たしていたことが示された。
テルピネオールも同様にして試料の強度の適性を確認した。
本試験において、各試験試料は、着席した被験者の鼻先3cmのところにろ紙(1.5cm×1.5cm)に0.3g含浸させ、このろ紙を30mlのガラス瓶に入れたものが提示された。被験者はこの香りを270秒間嗅ぎ続けた。その際、香りを嗅いでいるときの大脳皮質のオキシヘモグロビン濃度変化をNIRSで測定した。オキシヘモグロビン濃度が増えるほど、血流量が増加したことを意味する。
NIRSの測定部位は、上記したように前頭葉および側頭葉における、前頭極を含む全52カ所であった。また測定は、香りを嗅ぎ続けた時間(all)及び5つの時間枠で分割してデータを解析した。時間枠は次の表1に示すとおりである。
Figure 0006961481
測定結果は、香りを嗅ぐ前後の測定値の変化量で解析を行った。なお結果は各プローブのchごとに平均値と標準偏差を求めた。統計解析を行い、有意水準を5%とした。
5.試験結果
(1)試料541、試料622、テルピネオールによる脳血流量の変化比較
有意差の検出されたch及びch時間枠を下記の表2に示す。
Figure 0006961481
試料541は前頭極のchの血流量をテルピネオールに比して増加させた。またch26及びch37は、テルピネオールに比して血流量が増加したことが観察された。尚、ch26は前頭部上に位置し、ch37は前頭部下に位置している。ch29は、左側頭部上、ch51は左側頭部下、ch1は右側頭部上、ch18は前頭部上に位置している。テルピネオールに比して血流量が増加したことが観察されたch26とch37は前頭極と呼ばれる領域に含まれる。
(2)ch26、ch37における香りの組み合わせによる血流量変化
本発明の組成物が前頭葉および側頭葉の血流量増加に効果があることは表2に示したが、近年前頭極の血流量低下が認められるうつ病患者や統合失調症患者の増加が社会問題となっていることから、前頭極に含まれるch26とch37に着目して、オキシヘモグロビン濃度を比較した結果を下記の表3に示す。
尚、表3には、本試験と同様にして行ったカンファー、テルピネオール、1,8−シネオールの試験結果について、同様に解析した結果も載せている。
・カンファー
処方:カンファー12.5質量%、ジプロピレングリコール87.5質量%
・テルピネオール
処方:テルピネオール10質量%、ジプロピレングリコール90質量%
・1,8−シネオール
処方:1,8−シネオール7.5質量%、ジプロピレングリコール92.5質量%
Figure 0006961481
表3に示すとおり、試料541と試料622は、構成成分であるカンファー、テルピネオール、1,8−シネオールの血流に及ぼす効果より高い値を示した。すなわちカンファー、テルピネオール、1,8−シネオールを複合した香りは、脳血流量を増加させる優れた効果を有していた。またその作用点は、表2に示した通り大脳皮質前頭葉であって、光トポグラフィ装置のch26とch37を有意に増加させた。つまり、本発明の組成物は前頭極部位に選択的に作用するものであるといえる。
以上の試験結果から、テルピネオール、1,8−シネオール及びカンファーを含有する組成物は、嗅覚刺激を介して脳血流、特に前頭極の血流量を増加、改善することがわかった。本発明の香りの組成物は、嗜好性が高く常用に適するので、長期連用が想定される、うつ病や統合失調症への前頭極の脳血流改善剤として期待できる。

Claims (2)

  1. テルピネオールと1,8−シネオールとカンファーを質量比で15〜18:12〜6:3〜6の比率で含有する臭覚刺激による脳血流増加用組成物。
  2. 脳血流増加部位が大脳皮質である請求項1に記載の脳血流増加用組成物。
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