発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
図1は、本実施形態のアクチュエータの部分断面図である。図1の断面は、回転軸AXを含む平面による断面であるが、後述するナット51の内部構成は、省略している。図1の断面において、固定部材の位置を示すため、適宜、他の断面がわかるように、部分断面が示されている。図2は、図1における要部(二軸一体型モータMP)を示す要部断面図である。図3は、回転軸AXと直交する平面による二軸一体型モータMPの断面図である。図4は、図1における要部(後述するスプライン外筒用ハウジング)を示す要部断面図である。図5は、図1における要部(後述するクランプ機構)を示す要部断面図である。図6は、アンクランプ状態のクランプ機構を示す要部断面図である。図7は、ネジ軸を上昇させた状態を示す図である。
図1に示すアクチュエータ1は、例えば、ピックアンドプレース装置として用いられる。アクチュエータ1は、ワークを移送するアーム部80と、アーム部80を駆動する二軸一体型モータ(駆動部)MPと、二軸一体型モータMPに接続されたボールネジ50及びボールスプライン60と、クランプ機構130と、を有する。以下、Z軸に平行な方向であって、二軸一体型モータMPからアーム部80に向けた方向を上方とし、アーム部80から二軸一体型モータMPに向けた方向を下方として説明する。
アーム部80は、例えば、単一のアームのみを有する片持ちのアームである。アクチュエータ1は、例えば、アーム部80の回転軸AXをZ方向に向けて図示略の支持台に固定されている。図1に示すように、アクチュエータ1は、アーム部80をZ方向(直動方向)に移動させてアーム部80をZ方向に上下させ、アーム部80をZ方向と直交する任意の平面内で、回転軸AXの軸回り方向に回転あるいは回動させてワークを所望の位置に移送する。
図2に示すように、二軸一体型モータMPは、ステータ10と、第1ロータ20と、第2ロータ30と、ハウジング40と、第1回転検出部101と、第2回転検出部102と、を有する。ステータ10、第1ロータ20及び第2ロータ30は、回転軸AXを中心として、互いに同軸に配置されている。ステータ10は、第1ロータ20と第2ロータ30との間に配置されている。例えば、第1ロータ20は、ステータ10の径方向内側に配置され、ステータ10に対して相対回転する。第2ロータ30は、ステータ10の径方向外側に配置され、ステータ10に対して相対回転する。
図3に示すように、ステータ10は、ステータコア11と、第1励磁コイル12と、第2励磁コイル13と、を有する。ステータ10は、回転軸AXの周りに筒状に設けられている。ステータコア11は、筒状のバックヨーク15と、バックヨーク15の径方向内側に配置された複数の第1ティース14と、バックヨーク15の径方向外側に配置された複数の第2ティース16と、を有する。
複数の第1ティース14は、バックヨーク15の内周に沿って並んでいる。複数の第1ティース14は、バックヨーク15と接続されている。第1励磁コイル12は、第1ティース14の周りに巻き回されている。第1励磁コイル12は、第1ドライバ121と電気的に接続されている。第1ドライバ121は、第1励磁コイル12に第1駆動電流I1を供給することにより、第1ロータ20を駆動する。
第1励磁コイル12を励磁させて得られる回転磁界は、例えば3相である。第1励磁コイル12には、駆動信号の各位相が120°ずれたU相用、V相用及びW相用の励磁コイルが含まれる。
複数の第2ティース16は、バックヨーク15の外周に沿って並んでいる。複数の第2ティース16は、バックヨーク15と接続されている。第2励磁コイル13は、第2ティース16の周りに巻き回されている。第2励磁コイル13は、第2ドライバ122と電気的に接続されている。第2ドライバ122は、第2励磁コイル13に第2駆動電流I2を供給することにより、第2ロータ30を駆動する。
第2励磁コイル13を励磁させて得られる回転磁界は、例えば3相である。第2励磁コイル13には、駆動信号の各位相が120°ずれたU相用、V相用及びW相用の励磁コイルが含まれる。
第1ドライバ121と第2ドライバ122は、コントローラー120と電気的に接続されている。コントローラー120は、第1ドライバ121と第2ドライバ122とを独立して制御する。コントローラー120は、第1駆動電流I1の電流量と第2駆動電流I2の電流量とを独立に制御する。第1駆動電流I1の電流量によって、第1ロータ20の回転角が制御される。第2駆動電流I2の電流量によって、第2ロータ30の回転角が制御される。コントローラー120は、第1ロータ20の回転角と第2ロータ30の回転角とを独立に制御する。
複数の第1ティース14の軸方向長さは、複数の第2ティース16の軸方向長さより、長い。この構造により、第1駆動電流I1の電流量と、第2駆動電流I2の電流量とが同じでも、第1ロータ20のトルクが、第2ロータ30のトルクよりも極端に小さくならない。第1駆動電流I1の電流量と、第2駆動電流I2の電流量とが同じ場合、第1ロータ20のトルクが、第2ロータ30のトルクよりも小さくなるように、複数の第1ティース14の軸方向長さを、複数の第2ティース16の軸方向長さより長くする。これにより、コントローラー120は、第1ロータ20と、第2ロータ30とを独立して制御しやすくなる。
図2に示すように、第1ロータ20は、第1ロータブラケット21と、永久磁石によって構成された第1ロータコア22と、後述のナット51に連結される連結ブラケット23、24を有する。図3に示すように、第1ロータブラケット21は、回転軸AXの周りに筒状に設けられている。第1ロータブラケット21は、内径側の円筒出力軸とも言える。第1ロータ20の内径は、後述のナット51及びスプライン外筒61の外形よりも小さくなっている。
第1ロータコア22は、N極のマグネット部とS極のマグネット部とを有する。N極のマグネット部とS極のマグネット部は、回転方向に交互に等間隔で配置されている。第1ロータコア22は、第1励磁コイル12が第1ティース14に励磁した回転磁界に応じて回転する。第1ロータコア22は、第1ロータブラケット21の外周面に貼り付けられてもよいし、第1ロータブラケット21の内部に埋め込まれてもよい。
図2に示すように、連結ブラケット23は、筒状に形成され、第1ロータブラケット21の内周側に配置されている。連結ブラケット23は、Z方向下側の端部に形成されたフランジ部23aと、緩衝部材23bと、を有する。緩衝部材23bは、フランジ部23aのZ方向上側の面に配置されている。緩衝部材23bは、例えば、弾性体のゴムである。本実施形態において、連結ブラケット23は、第1ロータブラケット21の上端に固定され、第1ロータブラケット21の内周に沿って下方に延びている構成である。連結ブラケット24は、連結ブラケット23の下端に固定され、連結ブラケット23から下方に延びている構成である。したがって、第1ロータブラケット21から後述のナット51までの間は、第1ロータブラケット21の上端から内側下方に折り返されるように連結ブラケット23、24が連結された構成となっている。
第2ロータ30は、第2ロータブラケット31と、永久磁石によって構成された第2ロータコア32とを有する。第2ロータブラケット31は、第2ロータコア32の外周側に配置されている。図3に示すように、第2ロータブラケット31は、回転軸AXの周りに筒状に設けられている。第2ロータブラケット31は、外径側の円筒出力軸とも言える。
第2ロータコア32は、N極のマグネット部とS極のマグネット部とを有する。N極のマグネット部とS極のマグネット部は、回転方向に交互に等間隔で配置されている。第2ロータコア32は、第2励磁コイル13が第2ティース16に励磁した回転磁界に応じて回転する。第2ロータコア32は、第2ロータブラケット31の内周面に貼り付けられてもよいし、第2ロータブラケット31の内部に埋め込まれてもよい。
図2に示すように、第1軸受25は、第1ティース14及び第1励磁コイル12と、Z方向において重ならない位置に配置されている。第1軸受25は、バックヨーク15と、第1ロータブラケット21との間にあり、第1ロータ20を回転自在に支持している。第1軸受25は、軸受25a及び軸受25bを有する複数組み合わせ軸受である。バックヨーク15内には、径方向内側と、径方向外側とを分ける非磁性のスリットを設けることが望ましい。第1軸受25は、第1ロータブラケット21の外周にある突起部で位置決めされ、固定されている。
第2軸受35は、第2ティース16及び第2励磁コイル13と、Z方向において重ならない位置に配置されている。第2軸受35は、バックヨーク15と、第2ロータブラケット31との間にあり、第2ロータ30を回転自在に支持している。第2軸受35は、軸受35a及び軸受35bを有する複数組み合わせ軸受である。第2軸受35は、第2ロータブラケット31の内周にある突起部で位置決めされ、固定されている。
第1回転検出部101は、第1軸受25とZ方向において重ならない位置に設けられている。第1回転検出部101は、ハウジング40に対する第1ロータブラケット21の回転角を検出し、コントローラー120(図3参照)に供給する。
第1回転検出部101は、例えば、レゾルバである。第1回転検出部101は、レゾルバステータ101aと、レゾルバロータ101bと、を有する。レゾルバロータ101bは、第1ロータブラケット21の外周面に固定されている。レゾルバステータ101aは、レゾルバロータ101bの径方向において対向する位置に配置される。コントローラー120は、第1ロータ20において所望の回転角を得られるように、第1回転検出部101の検出結果に基づいて第1駆動電流I1の電流量を調節する。
第2回転検出部102は、第2軸受35とZ方向において重ならない位置に設けられている。第2回転検出部102は、ハウジング40に対する第2ロータブラケット31の回転角を検出し、コントローラー120(図3参照)に供給する。
第2回転検出部102は、例えば、レゾルバである。第2回転検出部102は、レゾルバロータ102aと、レゾルバステータ102bと、を有する。レゾルバロータ102aは、第2ロータブラケット31の内周面に固定されている。レゾルバロータ102aは、レゾルバステータ102bの径方向において対向する位置に配置されている。コントローラー120は、第2ロータ30において所望の回転角を得られるように、第2回転検出部102の検出結果に基づいて第2駆動電流I2の電流量を調節する。
第1回転検出部101と、第2回転検出部102とは、円環板状のカバー99で覆われている。円環板状のカバー99は、異物が第1回転検出部101と、第2回転検出部102との周囲に侵入しないよう、抑制している。
ボールネジ50は、ナット51と、ネジ軸(第1部分)52と、不図示の転動体とを有する。ナット51は、第1ロータブラケット21の下方に配置されている。つまり、ナット51は、第1ロータ20に対して軸線方向の下方の外側に配置されている。ナット51は、第1ロータ20と同軸に配置され、第1ロータ20の回転とともに回転する。図1に示すように、ナット51は、フランジ部51aを有する。フランジ部51aは、固定部材51bにより連結ブラケット24に固定されている。ナット51は、当該連結ブラケット24と、連結ブラケット23とを介して第1ロータブラケット21に連結されている。例えば、第1ロータブラケット21と連結ブラケット23との間は、固定部材26で固定されている。また、連結ブラケット23と連結ブラケット24との間は、固定部材27で固定されている。固定部材26、27としては、例えばボルト等が用いられる。ナット51は、連結ブラケット23、24により、第1ロータブラケット21と一体に設けられる。したがって、ナット51は、第1ロータ20が回転する場合、第1ロータ20と一体で回転軸AXの軸回り方向に回転する。
ネジ軸52は、第1ロータ20から下方に突出している。ネジ軸52は、外周面にネジ山が形成されたネジ部52aと、被クランプ部52bとを備える。ネジ部52aには、ナット51が螺合している。ナット51が回転すると、回転に応じてネジ軸52が軸方向(Z方向)に移動する。ナット51の内部には、転動体が配置される。被クランプ部52bは、ネジ部52aのネジ山よりも外径が小さい。
ネジ軸52の下端部には、ストッパ53がナット54によって取り付けられている。ストッパ53は、円環形状の部材である。ストッパ53は、ネジ軸52に挿入されている。ストッパ53のZ方向上側には、円環形状の緩衝部材53aが配置されている。緩衝部材53aは、例えば、弾性体のゴムである。緩衝部材53a及びストッパ53の外径r2は、フランジ部150aの内径r1よりも大きい。したがって、ストッパ53は、ネジ軸52が所定の長さだけ上昇した場合に、緩衝部材53aを介してフランジ部150aと接する。これにより、ストッパ53は、ネジ軸52が所定の長さを超えて上昇することを規制できる。
ボールスプライン60は、スプライン外筒61と、シャフト(第2部分)62と、不図示の転動体とを有する。スプライン外筒61は、第2ロータブラケット31の上方に配置されている。つまり、スプライン外筒61は、第1ロータ20に対して軸線方向の上方の外側に配置されている。スプライン外筒61は、第2ロータ30と同軸に配置され、第2ロータ30の回転とともに回転する。スプライン外筒61は、連結ブラケット33を介して第2ロータブラケット31に連結されている。例えば、第2ロータブラケット31と連結ブラケット33との間は、固定部材36で固定されている。固定部材36としては、例えばボルト等が用いられる。スプライン外筒61は、連結ブラケット33により、第2ロータブラケット31と一体に設けられる。したがって、スプライン外筒61は、第2ロータ30が回転する場合、第2ロータ30と一体で回転軸AXの軸回り方向に回転する。
スプライン外筒61の上端には、連結ブラケット34が配置されている。連結ブラケット34は、固定部材37により連結ブラケット33に固定されている。固定部材37としては、例えばボルト等が用いられる。
図1に示すように、シャフト62は、第1ロータ20から上方に突出している。シャフト62は、スプライン外筒61の内径側に挿入されている。シャフト62は、下端側が連結部56を介してネジ軸52と一体に連結されている。本実施形態においては、ネジ軸52とシャフト62とが連結部56において圧入され、一体となって軸部材SFを構成している。図2に示すように、連結部56には、ネジ軸52とシャフト62とを圧入する際に空気を逃がす孔部56aが設けられる。図4に示すように、シャフト62は、回転軸AXの軸線方向に平行な溝部62aが周方向に複数並んで設けられる。シャフト62は、上端に縮径部62bを有する。縮径部62bは、後述のアーム取り付け部材70に固定される。
また、スプライン外筒61の内周面には、シャフト62の溝部62aに対応した凸部が周方向に複数並んで設けられる。シャフト62の溝部62aにスプライン外筒61の凸部が挿入されることにより、回転軸AXの軸回り方向におけるスプライン外筒61とシャフト62との相対移動が規制され、かつ、回転軸AXの軸線方向におけるスプライン外筒61とシャフト62との相対移動が許容される。このため、スプライン外筒61が回転する場合、回転に応じてシャフト62が軸方向(Z方向)に移動する。また、スプライン外筒61を回転させない状態でナット51の回転によりネジ軸52が回転軸AXの軸線方向に移動する場合、シャフト62がネジ軸52と共に軸線方向に移動する。スプライン外筒61の内部には、転動体が配置される。
ハウジング40は、モータ用ハウジング41と、ナット用ハウジング42と、スプライン外筒用ハウジング43とを有する。モータ用ハウジング41は、例えば円筒状に形成され、二軸一体型モータMPを収容する。
ナット用ハウジング42は、フランジ部42aと、筒状部42bと、を有する。図2に示すように、フランジ部42aは、円環状に形成され、固定部材44によりモータ用ハウジング41の下端に固定される。フランジ部42aには、ステータコア固定ハウジング17を固定する固定部材45が取り付けられる。固定部材45により、ステータコア11がハウジング40に対して固定される。筒状部42bは、フランジ部42aの内周から下方に延びている。図1に示すように、筒状部42bは、ボールネジ50のナット51を収容する。
また、図2に示すように、ナット用ハウジング42は、連結ブラケット24との間で第3軸受28を保持する。第3軸受28は、ナット51を回転自在に支持している。第3軸受28は、例えば、転がり軸受である。第3軸受28は、ウェーブワッシャ29a及び押さえ部材29bを介してフランジ部42aに支持されている。第3軸受28は、ウェーブワッシャ29a及び押さえ部材29bにより、筒状部42b側に押し付けられている。例えば、アーム部80により物体を支持し、アーム部80及び物体の荷重の重心が回転軸AXと一致しない場合又はアーム部80及び物体の回転モーメントを受ける場合には、軸部材SFが回転軸AXに対して傾く方向に力を受ける可能性がある。これに対して、第3軸受28がウェーブワッシャ29a及び押さえ部材29bを介してナット用ハウジング42及び固定台STで径方向に支持されているので、回転軸AXの軸線方向に直交する方向へのナット51の変位又は振動が抑制される。
図1に示すように、スプライン外筒用ハウジング43は、フランジ部43aと、第1筒状部43bと、第2筒状部43cとを有する。フランジ部43aは、円環状に形成され、固定部材46によりモータ用ハウジング41の上端に固定される。図2に示すように、フランジ部43aは、固定部材47により、固定台STに固定される。フランジ部43aが固定台STに固定されることにより、アクチュエータ1が固定台STに固定される。
図1に示すように、第1筒状部43bは、円筒状に形成され、フランジ部43aの内周から上方に延びている。第1筒状部43bは、ボールスプライン60のスプライン外筒61を収容する。図4に示すように、第1筒状部43bは、第1段部43d及び第2段部43eを介して第2筒状部43cに接続される。
図4に示すように、第1筒状部43bは、第1段部43dにおいて、連結ブラケット34との間で第4軸受38を保持する。第4軸受38は、スプライン外筒61を回転自在に支持している。第4軸受38は、例えば、転がり軸受である。第4軸受38は、ウェーブワッシャ39a及び押さえ部材39bを介して第2段部43eに支持されている。第4軸受38は、ウェーブワッシャ39a及び押さえ部材39bにより、連結ブラケット34側に押し付けられている。また、第4軸受38は、スプライン外筒用ハウジング43及び固定台ST(図1参照)で径方向に支持されている。例えば、アーム部80により物体を支持し、アーム部80及び物体の荷重の重心が回転軸AXと一致しない場合又はアーム部80及び物体の回転モーメントを受ける場合には、軸部材SFが回転軸AXに対して傾く方向に力を受ける可能性がある。これに対して、第4軸受38がウェーブワッシャ39a及び押さえ部材39bを介してスプライン外筒用ハウジング43及び固定台STで径方向に支持されているので、回転軸AXの軸線方向に直交する方向へのスプライン外筒61の変位又は振動が抑制される。
図4に示すように、第2段部43eには、エア供給部43fが設けられる。エア供給部43fは、エアパージ用のエア継手を取り付け可能である。エア供給部43fは、外部と、第2筒状部43cとシャフト62との間に形成される空間との間を連通する。エア供給部43fには、閉塞用のボルト43gが設けられている。ボルト43gは、エア供給部43fに着脱可能に取り付けられる。ボルト43gは、エア供給部43fに埃等の異物が入らないように閉塞する。
第2筒状部43cは、円筒状に形成され、第1筒状部43bの上端から上方に延びている。第2筒状部43cは、第1筒状部43bよりも径が小さい。第2筒状部43cは、シャフト62の外周面の一部を覆うように配置される。例えば、図1に示すように、回転軸AXの軸線方向についての第2筒状部43cの寸法は、軸部材SFが最も下端に配置された状態で、第2筒状部43cの上端と軸部材SFの上端(シャフト62の上端)とが面一状態となるように設定される。
アーム取り付け部材70は、シャフト62の先端(上端)に連結される。アーム取り付け部材70は、連結部71と、筒状部72と、蓋部73とを有する。連結部71は、シャフト62の縮径部62bに連結される。連結部71は、縮径部62bを貫通させる貫通部71aと、連結部材74を挿入する凹部71bと、アーム部80を取り付けるアーム取り付け面71cと、蓋部73を取り付ける蓋部取り付け面71dとを有する。
貫通部71aは、縮径部62bの形状に対応して形成される。凹部71bは、貫通部71aに縮径部62bを挿入した状態において、縮径部62bとの間に空間を形成する。この空間には、連結部材74が配置される。連結部材74は、対向する等しい傾斜のテーパ面が形成された凹状部材74a及び凸状部材74bを有する。凹状部材74aは、環状に形成され、凹部71bの内周に接して配置される。凸状部材74bは、環状に形成され、凹部71bの内側に挿入される。凸状部材74bの内周は、縮径部62bの外周に接して配置される。連結部材74は、固定部材75により凸状部材74bが凹状部材74aの内側に圧入されて固定される。これにより、凹部71bの内周と凹状部材74aの外周との間、凹状部材74aのテーパ面と凸状部材74bのテーパ面との間及び凸状部材74bの内周と縮径部62bの外周との間が、互いに押し付け合った状態となる。そのため、凹部71b、凹状部材74a、凸状部材74b及び縮径部62bの間にそれぞれ摩擦力が生じる。この摩擦力により、アーム取り付け部材70が縮径部62bに一体で連結される。
アーム取り付け面71cは、アーム部80が取り付けられる。アーム取り付け面71cには、アーム部80を固定するための不図示の固定部材を挿入する挿入孔71eが設けられている。蓋部取り付け面71dは、後述の蓋部73が取り付けられる。
筒状部72は、円筒状に形成され、連結部71からスプライン外筒61側(下方)に延びた状態で設けられる。筒状部72は、スプライン外筒用ハウジング43の第2筒状部43cよりも回転軸AXの径方向外側に配置され、第2筒状部43cの先端(上端)を収容する。筒状部72は、下端部に段部72aを有する。段部72aは、内周面の下端が拡径された構成である。段部72aには、シール部77が配置される。シール部77は、筒状部72とスプライン外筒用ハウジング43の第2筒状部43cとの間に形成される隙間72bを封止する。シール部77としては、例えば、断面視でU字状又はコ字状の部材をリング状に形成した構造等が挙げられる。シール部77は、例えば、弾性変形可能な材料を用いて形成される。シール部77は、弾性変形した状態で、段部72aの内周面と第2筒状部43cの外周面との間に配置される。シール部77により、シャフト62が外部から保護された状態となる。なお、段部72aの下端部には、内側に突出する突起部が形成される。この突起部により、シール部77の落下が抑制される。また、電源遮断時においては、シール部77のシール抵抗により、シャフト62(軸部材SF)の回転が抑制される。
また、図1及び図4に示すように、筒状部72と第2筒状部43cとの間に円筒状の隙間72bが形成される。この隙間72bにより、シャフト62と外部との間にラビリンス構造が形成されるため、防塵性及び防水性が高められる。
蓋部73は、ボルト等の固定部材76により連結部71の蓋部取り付け面71dに取り付けられる。蓋部73は、シャフト62の縮径部62bを外部環境から保護する。
図5に示すように、クランプ機構130は、軸部材SFと、コレット132と、シリンダ134と、を含む。図5に示すように、コレット132は、径方向に変形可能な把持部132Aと、略筒形状のフランジ部132Bと、を備える。把持部132Aには、Z方向にスリ割りが4つ形成されている。図5に示す断面図は、該スリ割りに沿って切断した断面を示している。スリ割りは、周方向に90度ずつ異なる位置に形成されている。これにより、把持部132Aは、径方向に弾性変形が可能となる。なお、スリ割りの数、形状及び位置は、特に限定されない。スリ割りは、把持部132Aが径方向に弾性変形可能となるように、形成されていればよい。
コレット132には、ネジ軸52が挿入される。コレット132は、第1テーパ面132aと、第2テーパ面132bと、凹部132cと、内周面132dと、を備える。第1テーパ面132aは、把持部132Aの外周面である。第1テーパ面132aは、Z方向下側に向かうにつれて外径が小さくなる傾斜面である。つまり、第1テーパ面132aは、略円錐面の形状である。
第2テーパ面132bは、フランジ部132BのZ方向上側の外周面である。第2テーパ面132bは、Z方向上側に向かうにつれて外径が小さくなる傾斜面である。つまり、第2テーパ面132bは、略円錐面の形状である。凹部132cは、フランジ部132Bの外周面に形成された溝である。凹部132cは、Z方向において、第1テーパ面132aと第2テーパ面132bとの間に形成される。内周面132dは、ネジ軸52の被クランプ部52bと対向する面である。コレット132は、ネジ軸52が軸方向に最大限移動した場合でも内周面132dがネジ軸52の被クランプ部52bと対向するように配置されている。
図5に示すように、シリンダ134は、ピストン136と、シリンダチューブ138と、第1シール部材160と、第2シール部材162と、を備える。また、シリンダ134は、気体供給部163と、固定部材144と、ストッパ部146と、ネジ軸用ハウジング150と、ばね156と、を備える。
ピストン136には、軸部材SFが挿入される。ピストン136は、傾斜面136aと、第1外側面136bと、第2外側面136cと、溝部136dと、下面136eと、凹部136fと、上面136gと、を備える。
傾斜面136aは、ピストン136のZ方向上側の内周面である。傾斜面136aは、Z方向上側に向かうにつれて径が大きくなるように傾斜している。傾斜面136aは、Z方向において第1テーパ面132aと重なる。このような構成により、傾斜面136aは、ピストン136がZ方向上側に移動した場合に第1テーパ面132aと接触できる。そして、傾斜面136aは、第1テーパ面132aと接触した場合に、第1テーパ面132aを径方向内側に押圧できる。すなわち、傾斜面136aは、把持部132Aを径方向内側に押圧可能なチャック部である。傾斜面136aは、第1テーパ面132aと対向する。すなわち、傾斜面136aと第1テーパ面132aとは、略同じ傾きを有する。傾斜面136aは、径方向において第1テーパ面132aと重なるように配置される。これにより、ピストン136及びコレット132が占有する空間の軸線方向の寸法を小さくすることができる。
第1外側面136b及び第2外側面136cは、ピストン136の外側面である。第1外側面136bは、第2外側面136cよりもZ方向上側に位置する。第2外側面136cは、第1外側面136bよりも径が大きい。第1外側面136b及び第2外側面136cは、径方向において第1テーパ面132aと重なるように配置される。溝部136dは、第1外側面136bに形成された角溝である。溝部136dは、第1外側面136bの周方向に沿って形成されている。下面136eは、ピストン136のZ方向下側の面である。下面136eには、Z方向上側に凹んだ凹部136fが形成される。上面136gは、ピストン136のZ方向上側の面である。
シリンダチューブ138は、ピストン136を収容する略筒形状の部材である。筒状部138aと、外径側フランジ部138bと、内径側フランジ部138cと、溝部138dと、第1内側面138eと、第2内側面138fと、気体供給路138gと、を備える。筒状部138aは、筒形状の部材である。筒状部138aのZ方向上側の端部に外径側フランジ部138b及び内径側フランジ部138cが接続される。外径側フランジ部138bは、円環状に形成されたフランジ面である。外径側フランジ部138bは、固定部材140により筒状部42bの下端に固定される。内径側フランジ部138cは、円環状に形成され、外径側フランジ部138bよりも径方向内側に配置される。内径側フランジ部138cには、段差面142が形成される。段差面142は、内径側フランジ部138cのZ方向上側の端部に形成される。段差面142は、Z方向上側から見て、円環形状である。
第1内側面138eは、内径側フランジ部138cの径方向内側の側面である。第1内側面138eは、第1外側面136bと対向する。第2内側面138fは、筒状部138aの径方向内側の側面である。第2内側面138fの径は、第1内側面138eの径よりも大きい。第2内側面138fは、第2外側面136cと対向する。第1内側面138e及び第2内側面138fは、径方向において第1テーパ面132aと重なるように配置される。溝部138dは、第2内側面138fに形成された角溝である。溝部138dは、第2内側面138fの周方向に沿って形成されている。
図5に示すように、気体供給路138gは、シリンダチューブ138の外部からシリンダチューブ138の内部まで貫通する開口である。気体供給路138gには、気体供給配管158が接続されている。気体供給路138gと気体供給配管158とは、例えば、シールテープを介してネジ固定されている。
第1シール部材160は、Oリングである。第1シール部材160は、溝部136dに配置される。第1シール部材160は、第1外側面136bと、第1内側面138eとの間の隙間を埋める。これによれば、第1外側面136bと、第1内側面138eとの隙間がシールされる。
第2シール部材162は、Oリングである。第2シール部材162は、溝部138dに配置される。第2シール部材162は、第2外側面136cと、第2内側面138fとの間の隙間を埋める。これによれば、第2外側面136cと、第2内側面138fとの隙間がシールされる。このような構成により、気体供給配管158、気体供給路138g、第1外側面136b、第2外側面136c、第1内側面138e、第2内側面138f、第1シール部材160及び第2シール部材162で囲まれた圧力室139が形成される。
図6に示すように、気体供給部163は、圧縮空気164を供給するコンプレッサである。気体供給部163は、気体供給配管158に接続される。図3に示すように、気体供給部163は、コントローラー120と電気的に接続される。コントローラー120は、気体供給部163が圧縮空気164を供給するタイミングを制御する。なお、気体供給部163が供給する気体は、圧縮空気164に限定されない。気体供給部163は、例えば、圧縮された窒素を供給してもよい。
固定部材144は、円環形状の板部材である。固定部材144には、軸部材SFが挿入される。固定部材144は、径方向外側の下面が段差面142と接触するように配置される。また、固定部材144は、径方向内側の端部が凹部132cに挿入されている。
ストッパ部146は、円環形状の部材である。ストッパ部146には、軸部材SFが挿入される。ストッパ部146は、第2テーパ面132bと対向する傾斜面146aを備える。これにより、ストッパ部146は、コレット132のZ方向上側への移動を制限できる。また、ストッパ部146は、固定部材144を段差面142と挟んだ状態で、固定部材148によって、内径側フランジ部138cに固定される。したがって、ストッパ部146は、固定部材144のZ方向における位置を固定する。そして、固定部材144の内径側の端部は、凹部132cに挿入されている。これによれば、固定部材144は、コレット132のZ方向下側への移動を制限できる。このような構成により、コレット132のZ方向における位置が決定される。
ネジ軸用ハウジング150は、シリンダチューブ138、ナット用ハウジング42、モータ用ハウジング41及びスプライン外筒用ハウジング43を介して、固定台STに固定されている。ネジ軸用ハウジング150は、フランジ部150aと、フランジ面150bと、筒状部150cと、凹部150dと、蓋部材150eと、を有する。フランジ部150aは、円環状に形成され、固定部材152により筒状部138aの下端に固定される。フランジ面150bは、フランジ部150aのZ方向上側の面である。フランジ面150bは、下面136eと対向する。筒状部150cは、フランジ部150aの内周から下方に延びている。図5に示すように、筒状部150cは、ネジ軸52の下側の端部を収容する。凹部150dは、フランジ面150bからZ方向下側に凹んだ凹部である。蓋部材150eは、筒状部150cのZ方向下側を塞ぐ部材である。蓋部材150eは、固定部材153、154によって、筒状部150cのZ方向下側の端面に固定される。これにより、Z方向下側から、ネジ軸用ハウジング150の内部に異物が侵入することを防ぐことができる。
ばね156は、圧縮コイルばねである。ばね156は、一方の端部が凹部136fの底面と接触する。ばね156は、他方の端部が凹部150dの底面と接触する。したがって、ばね156は、凹部136fの底面及び凹部150dの底面によって圧縮されている。ネジ軸用ハウジング150が固定台STに固定されているので凹部150dの底面はZ軸方向下側に移動しない。したがって、ばね156は、ピストン136をZ方向上側に押圧する。なお、ばね156は、圧縮コイルばねであるとしたがこれに限定されない。ばね156は、ピストン136が把持部132Aに近づく方向にピストン136を付勢する弾性部材であればよい。ばね156は、例えば、角ばね及び円錐ばねでもよい。また、ばね156は、複数配置されていてもよい。
アクチュエータ1において、アーム部80を回転軸AXの軸線方向(Z方向)に移動させる場合、コントローラー120は、第2ロータ30を回転させることなく、第1ロータ20を回転軸AXの軸回り方向の一方又は他方に回転させる。この場合、第1ロータ20の回転に伴ってボールネジ50のナット51が一体となって回転する。ナット51の回転により、ナット51とネジ軸52とが回転軸AXの軸回り方向に相対的に回転するため、ネジ軸52がZ方向に移動する。ネジ軸52の移動により、ネジ軸52と一体に連結されたシャフト62、つまり軸部材SFがZ方向に移動する。軸部材SFの移動により、シャフト62の上端に連結されたアーム取り付け部材70及びアーム部80がZ方向に移動する。軸部材SFを上方に移動させる場合、図7に示すように、ネジ軸52の下端のストッパ53がフランジ部150aの下端に接し、軸部材SFの上方への移動が規制される。また、軸部材SFを下方に移動させる場合、図2に示すように、連結ブラケット23の緩衝部材23bが連結部56の下端に接し、軸部材SFの下方への移動が規制される。なお、緩衝部材23bは、連結部56の下端に固定される構成としてもよい。
アクチュエータ1において、アーム部80を回転軸AXの軸線周り方向に移動させる場合、コントローラー120は、第1ロータ20及び第2ロータ30を同期させて回転させる。この場合、第1ロータ20の回転に伴ってボールネジ50のナット51が一体となって回転する。また、第2ロータ30の回転に伴ってボールスプライン60のスプライン外筒61が一体となって回転する。スプライン外筒61の回転により、シャフト62がスプライン外筒61と一体で回転する。シャフト62の回転により、シャフト62と連結されたネジ軸52、つまり軸部材SFが回転する。したがって、ボールネジ50においては、ナット51とネジ軸52とが相対的に回転することが無く、ボールネジ50のネジ軸52はナット51に対してZ方向に移動しない。つまり、軸部材SFは、Z方向に移動することなく、回転軸AXの軸回り方向に回転する。この軸部材SFの回転により、アーム取り付け部材70及びアーム部80が回転軸AXの軸回り方向に回転する。
図5に示すように、クランプ機構130において、軸部材SFをクランプする場合、ばね156は、ピストン136の下面136eをZ方向上側に押す。これにより、ピストン136がZ方向上側に移動して、傾斜面136aが第1テーパ面132aに押し付けられる。そして、把持部132Aが径方向内側に弾性変形して、コレット132の内周面132dが被クランプ部52bに押し付けられる。
図6に示すように、クランプ機構130において、軸部材SFをアンクランプする場合、気体供給部163は、気体供給配管158及び気体供給路138gを介して圧力室139に所定の圧力の圧縮空気164を供給する。これにより、圧力室139の圧力が上昇する。圧縮空気164は、ピストン136の上面136gをZ方向下側に押圧する。これにより、ピストン136がZ方向下側に移動して傾斜面136aが第1テーパ面132aから離れる。そして、コレット132の内周面132dが被クランプ部52bから離れる。なお、所定の圧力とは、コレット132の内周面132dが被クランプ部52bと接する状態においてばね156がピストン136を押圧する力よりも、圧縮空気164がピストン136を押圧する力の方が大きくなるように設定された圧力である。
ここで、クランプ機構には、特許文献1に記載されているように、皿ばね等のクランプ部とクランプ部を押圧するピストンとを軸部材の軸線方向に並べて配置する構成が知られている。このような構成においては、クランプ機構の軸線方向の寸法が大きくなるという課題があった。
それに対し、本実施形態のクランプ機構130は、コレット132の第1テーパ面132aの径方向外側にピストン136の傾斜面136aが配置されている。そして、ピストン136の径方向外側にシリンダチューブ138が配置される。この構成によれば、クランプ部(皿ばね等)とクランプ部を押圧するピストンとを軸線方向に並べて配置する構成と比較して、クランプ機構130の軸線方向の寸法を小さくすることができる。その結果、アクチュエータ1の軸線方向の寸法を小さくすることができる。
本実施形態のクランプ機構130は、ばね156がピストン136をZ方向上側に押圧することで軸部材SFをクランプする。そして、クランプ機構130は、圧縮空気164がピストン136をZ方向下側に押圧することでアンクランプする。このような構成により、クランプ機構130は、停電により圧縮空気164の供給が停止した場合においても、軸部材SFをクランプすることができる。すなわち、クランプ機構130は、停電時において、軸部材SFがZ方向下側に落下することを防ぐことができる。また、傾斜面136aが第1テーパ面132aに食いついた場合でも、圧縮空気164の圧力をさらに高くすることで傾斜面136aを第1テーパ面132aから離すことができる。
図8は、本実施形態のアクチュエータの動作手順の一例を示すフローチャートである。以下、本実施形態のアクチュエータ1の動作手順の一例について図8を参照して説明する。なお、以下の説明においては、軸部材SFがコレット132にクランプされている状態を初期状態として説明する。
まず、コントローラー120は、第1ドライバ121を制御して第1励磁コイル12に所定の電流を供給する(第1軸部材保持ステップST10)。所定の電流とは、第1ロータ20に所定のトルクを発生させる電流値である。所定のトルクとは、軸部材SFがアンクランプされている場合に、軸部材SFが自重によってナット51を回転させるトルクと逆向き、且つ、大きさが等しいトルクである。これによれば、軸部材SFがアンクランプされた場合でも、軸部材SFの自重によって軸部材SFが回転しながら落下することを防止できる。
次に、コントローラー120は、気体供給部163を制御して圧力室139に圧縮空気164を供給する(アンクランプステップST12)。これにより、圧縮空気164は、ピストン136の上面136gを鉛直方向下側に押圧する。圧縮空気164の圧力は、ばね156がピストン136を鉛直方向上側に押圧する力よりも、圧縮空気164がピストン136を鉛直方向下側に押圧する力の方が大きくなるように調整される。したがって、ピストン136は鉛直方向下側に移動する。これにより、傾斜面136aが第1テーパ面132aから離れて軸部材SFをアンクランプすることができる。
次に、コントローラー120は、アーム部80が所定の高さ及び所定の回転位置となるように、二軸一体型モータMPを制御する(駆動ステップST14)。より詳細には、コントローラー120は、アーム部80が所定の高さとなるまで、第1ドライバ121を制御して第1ロータ20を回転させる。また、コントローラー120は、アーム部80が所定の回転位置となるまで、第1ドライバ121及び第2ドライバ122を制御して、第1ロータ20及び第2ロータ30を同期させて回転させる。
次に、コントローラー120は、第1ドライバ121を制御して第1励磁コイル12に所定の電流を供給する(第2軸部材保持ステップST16)。第2軸部材保持ステップST16は、第1軸部材保持ステップST10と同様である。
次に、コントローラー120は、気体供給部163を制御して圧縮空気164の供給を停止する(クランプステップST18)。これにより、圧力室139の圧力が下がり、ばね156がピストン136を鉛直方向上側に移動させる。したがって、傾斜面136aが第1テーパ面132aを押圧する。これにより、第1テーパ面132aは、径方向内側に弾性変形してネジ軸52の被クランプ部52bをクランプすることができる。
次に、コントローラー120は、第1ドライバ121を制御して第1励磁コイル12に供給されていた電流を止める(軸部材保持停止ステップST20)。このような手順により、アクチュエータ1は、第1励磁コイル12に電流が供給されていない場合でも、軸部材SFをクランプすることができる。すなわち、アクチュエータ1は、停電時においても軸部材SFがZ方向下側に落下することを防止できる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に記載されたものに限定されない。例えば、上記の実施形態では、第1ロータ20及び第2ロータ30の回転子として、PM(Permanent Magnet)型の回転子が用いられたが、第1ロータ20及び第2ロータ30の回転子として、VR(Variable Reluctance)型の回転子が用いられてもよい。また、気体供給部163の代わりにポンプ等の液体供給部を用いて、シリンダチューブ138の内部に液体を供給する構成としてもよい。この場合には、シリンダチューブ138に供給される液体の圧力が所定の圧力となるように、液体供給部が液体の圧力を調整すればよい。
また、上記の実施形態では、内側の第1ロータ20にボールネジ50のナット51を連結し、外側の第2ロータ30にボールスプライン60のスプライン外筒61を連結する構成としたが、これに限定されない。例えば、内側の第1ロータ20にボールスプライン60のスプライン外筒61を連結し、外側の第2ロータ30にボールネジ50のナット51を連結する構成としてもよい。
また、上記の実施形態では、二軸一体型モータMPに対して上側にボールスプライン60が配置され、下側にボールネジ50が配置された構成としたが、これに限定されない。例えば、二軸一体型モータMPに対して上側にボールネジ50が配置され、下側にボールスプライン60が配置された構成としてもよい。
また、上記の実施形態では、クランプ機構130は、軸部材SFを軸線方向に移動可能であり、且つ、軸部材SFを回転させることが可能なアクチュエータ1に適用されたが、これに限定されない。クランプ機構130は、例えば、軸部材SFを軸線方向にのみ移動可能なアクチュエータに適用されてもよい。また、クランプ機構130は、例えば、軸部材SFを軸線方向には移動できず、且つ、軸部材SFを回転可能なアクチュエータに適用されてもよい。
また、上記の実施形態では、ばね156は圧縮コイルばねであるとしたが、これに限定されない。ばね156は、傾斜面136aが第1テーパ面132aに接するように付勢できるものであればよい。ばね156は、例えば、ピストン136のZ方向上側に配置され、ピストン136をZ方向上側に付勢する引っ張りばねでもよい。
本実施形態のクランプ機構130は、軸部材SFと、コレット132と、シリンダ134と、を備える。コレット132は、軸部材SFが貫通する筒形状である。シリンダ134は、軸部材SFが貫通する筒形状のピストン136と、ピストン136を収容するシリンダチューブ138と、ピストン136を付勢する弾性部材(ばね156)と、を有する。ピストン136は、弾性部材(ばね156)によってコレット132の外周面(第1テーパ面132a)に接することで、コレット132を軸部材SFに押し付けるチャック部(傾斜面136a)を有する。コレット132は、シリンダチューブ138の内部に気体が供給されると、軸部材SFから離れる。
この構成によれば、ばね156は、傾斜面136aをコレット132の第1テーパ面132aに接するように付勢することができる。そして、傾斜面136aは、コレット132の内周面132dを被クランプ部52bに押し付けて軸部材SFをクランプすることができる。また、傾斜面136aは、第1テーパ面132aに接する構成であるため、第1テーパ面132aと径方向において重なる。このような構成により、クランプ機構130の軸線方向の寸法を小さくすることができる。また、シリンダチューブ138の内部に気体を供給することで、軸部材SFをアンクランプすることができる。
本実施形態のクランプ機構130は、外周面(第1テーパ面132a)が傾斜面136aに近づくにつれて径が小さくなるテーパ面である。傾斜面136aは、外周面(第1テーパ面132a)と対向する傾斜面である。
この構成によれば、傾斜面136aは、シリンダチューブ138の内部へ気体が供給されていない場合に、第1テーパ面132aと面接触することができる。これにより、第1テーパ面132aと傾斜面136aとが線接触、又は点接触する場合と比較して、コレット132とピストン136との間に生じる摩擦力を大きくすることができる。したがって、コレット132が軸部材SFをクランプしている場合に、第1テーパ面132aと傾斜面136aとが滑ることを抑制できる。
本実施形態のクランプ機構130は、シリンダチューブ138の内部に気体が供給されている場合に、外周面(第1テーパ面132a)が傾斜面136aと径方向において重なる。
これによれば、ピストン136及びコレット132が占有する空間の軸線方向の寸法をより小さくすることができる。その結果、クランプ機構130の軸線方向の寸法を小さくすることができる。
本実施形態のアクチュエータ1は、ハウジング40と、第1ロータ20と、第2ロータ30と、軸部材SF(ネジ軸52及びシャフト62)と、ナット51と、スプライン外筒61と、を備える。第1ロータ20は、ハウジング40に対して回転自在である。第2ロータ30は、第1ロータ20の径方向外側に配置され、ハウジング40に対して回転自在である。軸部材SFは、第1ロータ20の回転軸AXの軸線方向に第1ロータ20を貫通して配置され、第1ロータ20から軸線方向の一方に突出するネジ軸52を有し、第1ロータ20から軸線方向の他方に突出するシャフト62に軸線方向に沿った溝部62aを有する。ナット51は、第1ロータ20に対して軸線方向の下方の外側に配置され、ネジ軸52に螺合され、第1ロータ20と共に回転して軸部材SFを回転軸AXの軸線方向に移動させる。スプライン外筒61は、第1ロータ20に対して軸線方向の上方の外側に配置され、溝部62aに沿って軸部材SFを軸線方向に案内し、かつ第2ロータ30と共に回転して軸部材SFを第2ロータ30の回転軸AXの軸回り方向に回転させる。
この構成によれば、ナット51及びスプライン外筒61が第1ロータ20に対して回転軸AXの軸線方向の外側に配置されるため、第1ロータ20及び第2ロータ30を径方向について小型化することができる。これにより、フットプリントを小さくすることができる。