JP6939800B2 - モータ制御方法、モータ制御システムおよび電動パワーステアリングシステム - Google Patents
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Description
本開示は、モータ制御方法、モータ制御システムおよび電動パワーステアリングシステムに関する。
電動モータ(以下、「モータ」と表記する。)の制御システムにおいて、ロータの回転方向の検出が重要とされることがある。例えば、モータおよびファンを有する、洗濯機用のモータ制御システムでは、システムの安定性を向上させるために、一般に、起動時または低速駆動時におけるロータの回転方向を検出することが求められる。また、車載用のモータ制御システム、例えば電動パワーステアリング(EPS)システムにおいて、低速駆動から高速駆動までの広範囲にわたって、ロータの回転方向を監視することが要求されることがある。例えば、位置センサからの出力信号に基づいてロータの回転方向を検出することができる。また、モータの各相に流れる電流(相電流)間の位相差の関係に基づいてロータの回転方向を検出できることが知られている。
特許文献1は、各相電流のゼロクロス点(電流ゼロクロス)を検出して、電流ゼロクロスの周期を計測し、その周期に基づいて電流周波数(ロータの回転数)を算出することを開示する。特許文献1はさらに、2相間の電流ゼロクロスの位相差を計測し、その位相差に基づいてロータの回転方向に対応した電流の回転方向を算出することを開示する。
Ghaderi, Ahmad, and Tsuyoshi Hanamoto. "Wide-speed-range sensorless vector control of synchronous reluctance motors based on extended programmable cascaded low-pass filters." IEEE Transactions on Industrial Electronics, Vol. 58, No. 6, (June 2011), p.2322-2333.
しかしながら、上述した従来の技術では、例えば非特許文献1で言及されているように、低速駆動時において、各相電流のゼロクロス点の周期が長くなるために、一回転当たりに取得されるデータのサンプル数が制限されてしまう。その結果、低速駆動時に、ロータの回転方向をより正確に検出することは困難となる。
本開示の実施形態は、低速駆動から高速駆動までの広範囲にわたって、ロータの回転方向を検出することが可能な、新規なモータ制御方法およびモータ制御システムを提供する。
本開示の例示的なモータ制御方法は、αβ固定座標系におけるモータの逆起電力のα軸上の成分BEMFαおよびβ軸上の成分BEMFβを獲得するステップAと、前記α軸上の成分BEMFαおよびβ軸上の成分BEMFβをそれぞれ時間微分するステップBと、前記α軸上の成分BEMFαに前記β軸上の成分BEMFβの微分値を乗算することで得られる第1乗算値と、前記β軸上の成分BEMFβに前記α軸上の成分BEMFαの微分値を乗算することで得られる第2乗算値と、の差分値を求めるステップCと、前記差分値に基づいてロータの回転方向を検出するステップDと、前記ロータの回転方向の検出結果に基づいてモータを制御するステップEと、を包含する。
本開示の例示的なモータ制御システムは、モータと、前記モータを制御する制御回路と、を有し、前記制御回路は、αβ固定座標系における逆起電力のα軸上の成分BEMFαおよびβ軸上の成分BEMFβを獲得し、前記α軸上の成分BEMFαおよびβ軸上の成分BEMFβをそれぞれ時間微分し、前記α軸上の成分BEMFαに前記β軸上の成分BEMFβの微分値を乗算することで得られる第1乗算値と、前記β軸上の成分BEMFβに前記α軸上の成分BEMFαの微分値を乗算することで得られる第2乗算値と、の差分値を求め、前記差分値に基づいて前記モータの回転方向を検出し、前記モータの回転方向の検出結果に基づいて前記モータを制御する。
本開示の例示的な実施形態によると、低速駆動から高速駆動までの広範囲にわたって、ロータの回転方向を検出することが可能な、新規なモータ制御方法およびモータ制御システムが提供される。
以下、添付の図面を参照しながら、本開示のモータ制御方法、モータ制御システム、および当該モータ制御システムを有する電動パワーステアリングシステムの実施形態を詳細に説明する。但し、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするため、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
(実施形態1)
〔モータ制御システム1000の構成〕
図1は、本実施形態によるモータ制御システム1000のハードウェアブロックを模式的に示す。
モータ制御システム1000は典型的に、モータMと、コントローラ(制御回路)100と、駆動回路200と、インバータ(「インバータ回路」とも称される。)300と、複数の電流センサ400と、アナログデジタル変換回路(以下、「ADコンバータ」と表記する。)500と、ROM(Read Only Memory)600とを有する。モータ制御システム1000は、例えばパワーパックとしてモジュール化され、モータ、センサ、ドライバおよびコントローラを有するモータモジュールとして製造および販売され得る。なお、本明細書では、構成要素としてモータMを有するシステムを例に、モータ制御システム1000を説明する。ただし、モータ制御システム1000は、構成要素としてモータMを有しない、モータMを駆動するためのシステムであってもよい。
モータMは、例えば、表面磁石型同期型モータ(SPMSM)または埋込磁石型同期型モータ(IPMSM)などの永久磁石同期モータ、および三相交流モータである。モータMは、例えば三相(U相、V相およびW相)の巻線(不図示)を有する。三相の巻線は、インバータ300に電気的に接続される。なお、三相モータに限らず、五相、七相などの多相モータも本開示の範疇である。本明細書では、三相モータを制御するモータ制御システムを例に、本開示の実施形態を説明する。
コントローラ100は、例えばマイクロコントロールユニット(MCU)である。または、コントローラ100は、例えば、CPUコアが組み込まれたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)によっても実現し得る。
コントローラ100は、モータ制御システム1000全体を制御し、例えばベクトル制御によってモータMのトルクおよび回転速度を制御する。なお、モータMは、ベクトル制御に限らず、他のクローズドループ制御によっても制御され得る。回転速度は、単位時間(例えば1分間)にロータが回転する回転数(rpm)または単位時間(例えば1秒間)にロータが回転する回転数(rps)で表される。ベクトル制御は、モータに流れる電流を、トルクの発生に寄与する電流成分と、磁束の発生に寄与する電流成分とに分解し、互いに直交する各電流成分を独立に制御する方法である。コントローラ100は、例えば、複数の電流センサ400によって測定された実電流値、および実電流値に基づいて推定されたロータ角などに従って目標電流値を設定する。コントローラ100は、その目標電流値に基づいてPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、駆動回路200に出力する。
コントローラ100は、複数の電流センサ400によって測定された実電流値に基づいてロータの回転方向を検出することができる。コントローラ100は、その検出結果に基づいてモータMを制御する。
駆動回路200は、例えばゲートドライバである。駆動回路200は、インバータ300におけるスイッチング素子のスイッチング動作を制御する制御信号を、コントローラ100から出力されるPWM信号に従って生成する。なお、後述するように、駆動回路200は、コントローラ100に実装されていてもよい。
インバータ300は、例えば直流電源(不図示)から供給される直流電力を交流電力に変換し、変換された交流電力でモータMを駆動する。例えば、インバータ300は、駆動回路200から出力される制御信号に基づいて、直流電力を、U相、V相およびW相の擬似正弦波である三相交流電力に変換する。この変換された三相交流電力でモータMは駆動される。
複数の電流センサ400は、モータMのU相、V相およびW相の巻線に流れる少なくとも2つの電流を検出する少なくとも2つの電流センサを有する。本実施形態では、複数の電流センサ400は、U相およびV相に流れる電流を検出する2つの電流センサ400A、400B(図2を参照)を有する。当然に、複数の電流センサ400は、U相、V相およびW相の巻線に流れる3つの電流を検出する3つの電流センサを有していてもよいし、例えばV相およびW相に流れる電流またはW相およびU相に流れる電流を検出する2つの電流センサを有していてもよい。電流センサは、例えば、シャント抵抗、およびシャント抵抗に流れる電流を検出する電流検出回路(不図示)を有する。シャント抵抗の抵抗値は、例えば0.1Ω程度である。
ADコンバータ500は、複数の電流センサ400から出力されるアナログ信号をサンプリングしてデジタル信号に変換し、この変換したデジタル信号をコントローラ100に出力する。なお、コントローラ100がAD変換を行ってもよい。その場合、複数の電流センサ400は、アナログ信号をコントローラ100に直接出力する。
ROM600は、例えば書き込み可能なメモリ(例えばPROM)、書き換え可能なメモリ(例えばフラッシュメモリ)または読み出し専用のメモリである。ROM600は、コントローラ100にモータMを制御させるための命令群を有する制御プログラムを格納する。例えば、制御プログラムはブート時にRAM(不図示)に一旦展開される。なお、ROM600は、コントローラ100に外付けされる必要はなく、コントローラ100に搭載されていてもよい。ROM600を搭載したコントローラ100は、例えば上述したMCUであり得る。
図2を参照して、インバータ300のハードウェア構成を詳細に説明する。
図2は、本実施形態によるモータ制御システム1000中のインバータ300のハードウェア構成を模式的に示す。
インバータ300は、3個の下アームのスイッチング素子および3個の上アームのスイッチング素子を有する。図示されるスイッチング素子SW_L1、SW_L2およびSW_L3が下アームのスイッチング素子であり、スイッチング素子SW_H1、SW_H2およびSW_H3が、上アームのスイッチング素子である。スイッチング素子として、例えば、電界効果トランジスタ(FET、典型的にはMOSFET)または絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などの半導体スイッチ素子を用いることができる。スイッチング素子は、モータMに向けて流れる回生電流を流す還流ダイオードを有する。
図2には、U相およびV相に流れる電流を検出する2つの電流センサ400A、400Bのシャント抵抗Rsを示す。図示されるように、例えばシャント抵抗Rsは、下アームのスイッチング素子とグランドとの間に電気的に接続され得る。または、例えばシャント抵抗Rsは、上アームのスイッチング素子と電源との間に電気的に接続され得る。
コントローラ100は、例えばベクトル制御を用いた三相通電制御を行うことによってモータMを駆動することができる。例えば、コントローラ100は、三相通電制御を行うためのPWM信号を生成し、そのPWM信号を駆動回路200に出力する。駆動回路200は、インバータ300中の各FETのスイッチング動作を制御するゲート制御信号をPWM信号に基づいて生成し、各FETのゲートに与える。
図3は、本実施形態の変形例によるモータ制御システム1000のハードウェアブロックを模式的に示す。
図示されるように、モータ制御システム1000は、駆動回路200を有していなくてもよい。その場合、コントローラ100は、インバータ300の各FETのスイッチング動作を直接制御するポートを有する。具体的に説明すると、コントローラ100は、ゲート制御信号をPWM信号に基づいて生成する。コントローラ100は、そのポートを介してゲート制御信号を出力し、そのゲート制御信号を各FETのゲートに与えることができる。
図3に示されるように、モータ制御システム1000は、位置センサ700をさらに有していてもよい。位置センサ700は、モータMに配置され、ロータの位置を検出する。具体的には、位置センサ700は、モータMのロータ角、つまり、ロータの機械角を検出し、ロータ角をコントローラ100に出力する。位置センサ700は、例えば、磁気抵抗(MR)素子を有するMRセンサおよびホールIC(ホール素子を含む)などの磁気センサ、またはレゾルバである。
モータ制御システム1000は、位置センサ700の代わりに、例えば、速度センサまたは加速度センサを有し得る。コントローラ100は、位置センサとして速度センサを用いる場合、回転速度信号または角速度信号に積分処理等を行うことでロータの位置、つまり、回転角を算出することができる。角速度は、1秒間にロータが回転する角度(rad/s)で表される。また、コントローラ100は、位置センサとして加速度センサを用いる場合、角加速度信号に積分処理等を行うことにより回転角を算出することができる。
本開示のモータ制御システムは、例えば図1および2に示されるような、位置センサを有しない、いわゆるセンサレス制御を行うモータ制御システムに応用され得る。また、本開示のモータ制御システムは、例えば図3に示されるような、位置センサを有するモータ制御システムにも応用され得る。
以下、図4から図6を参照しながら、センサレス制御によるモータ制御を例に、モータ制御システム1000の制御方法の具体例を説明し、主としてロータの回転方向の検出手法を説明する。なお、本開示のモータ制御方法は、ロータの回転方向を検出することが要求される様々なモータ制御システムを利用し得る。
〔モータ制御システム1000の制御方法〕
図4は、モータ制御システム1000の制御方法の処理手順の一例を示す。図示されるように、モータ制御システム1000は、ロータの回転方向を検出して、その検出結果に基づいてロータ角を演算し、演算したロータ角θに基づいてモータMを制御する。なお、各手順については、後で詳細に説明する。
本実施形態によるモータ制御方法を実現するためのアルゴリズムは、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)またはFPGAなどのハードウェアのみで実現することもできるし、ハードおよびソフトウェアの組み合わせによっても実現することができる。
図5は、コントローラ100の機能ブロックを模式的に示す。本明細書において、機能ブロック図における各ブロックは、ハードウェア単位ではなく機能ブロック単位で示される。ソフトウェアは、例えば、各機能ブロックに対応した特定の処理を実行させるためのコンピュータプログラムを構成するモジュールであり得る。
(1.ステップS100)
図5に示されるように、コントローラ100は、例えば、負荷角ユニット110、推定器120、回転方向検出ユニット130、セレクタ140、加算器150およびモータ制御ユニット160を有する。コントローラ100は、リファレンス電圧Vα *、Vβ *、電機子電流IαおよびIβに基づいてロータの回転方向を検出することができる。なお、本明細書において、説明の便宜上、各機能ブロックをユニットと表記することとする。当然に、この表記は、各機能ブロックを、ハードウェアまたはソフトウェアに限定解釈する意図で用いられない。
各機能ブロックがソフトウェアとしてコントローラ100に実装される場合、そのソフトウェアの実行主体は、例えばコントローラ100のコアであり得る。上述したように、コントローラ100は、FPGAによって実現され得る。その場合、全てまたは一部の機能ブロックは、ハードウェアで実現され得る。また、複数のFPGAを用いて処理を分散させることにより、特定のコンピュータの演算負荷を分散させることができる。その場合、図5に示される機能ブロックの全てまたは一部は、その複数のFPGAに分散して実装され得る。複数のFPGAは、例えば車載のコントロールエリアネットワーク(CAN)によって互いに接続され、データの送受信を行うことができる。
例えば三相通電制御において、各相を流れる電流の総和はゼロになる。換言すると、電流Ia、IbおよびIcの総和はゼロになる関係が満たされる。本明細書において、モータMのU相の巻線に流れる電流をIa、モータMのV相の巻線に流れる電流をIb、および、モータMのW相の巻線に流れる電流をIcとする。
コントローラ100(例えばコア)は、電流Ia、IbおよびIcのうちの2つの電流を受け取って残りの1つの電流を演算により求める。本実施形態では、コントローラ100は、電流センサ400Aで測定された電流Iaおよび電流センサ400Bで測定された電流Ibを取得する。コントローラ100は、電流Ia、IbおよびIcの総和はゼロになる上記関係を用いて、電流Ia、Ibに基づいて電流Icを演算する。なお、3つの電流センサを用いて測定された電流Ia、IbおよびIcがコントローラ100に入力されてもよい。
コントローラ100(例えばコア)は、ベクトル制御などに用いられるいわゆるクラーク変換を用いて、電流Ia、IbおよびIcを、αβ固定座標系における、α軸上の電流Iαおよびβ軸上の電流Iβに変換することができる。ここで、αβ固定座標系は静止座標系であり、三相のうちの一相の方向(例えばU相方向)がα軸であり、α軸と直交する方向がβ軸である。
コントローラ100(例えばコア)はさらに、クラーク変換を用いて、リファレンス電圧Va *、Vb *およびVc *を、αβ固定座標系における、α軸上のリファレンス電圧Vα *およびβ軸上のリファレンス電圧Vβ *に変換する。リファレンス電圧Va *、Vb *およびVc *は、インバータ300の各スイッチング素子を制御するための、上述したPWM信号を表す。
例えば、電流Iα、Iβ、リファレンス電圧Vα *およびVβ *を求める演算は、コントローラ100のモータ制御ユニット160によっても実行され得る。電流Iα、Iβ、リファレンス電圧Vα *およびVβ *は、負荷角ユニット110、推定器120および回転方向検出ユニット130に入力される。
負荷角ユニット110は、電流Iα、Iβ、リファレンス電圧Vα *およびVβ *に基づいて負荷角δを演算する。負荷角ユニット110は、例えば、下記の式(1)に基づいて錯交磁束Ψのα軸上の成分Ψαを演算し、かつ、下記の式(2)に基づいて錯交磁束Ψのβ軸上の成分Ψβを演算する。式(1)および(2)においてLPFは、ローパスフィルタによる処理を行うことを意味する。錯交磁束Ψは、下記の式(3)で表される。
Ψα=LPF(Vα *−R・Iα) 式(1)
Ψβ=LPF(Vβ *−R・Iβ) 式(2)
Ψ=(Ψα 2+Ψβ 2)1/2 式(3)
ここで、Rは電機子抵抗である。電機子抵抗Rは、例えばコントローラ100のコアによって負荷角ユニット110に設定される。
Ψα=LPF(Vα *−R・Iα) 式(1)
Ψβ=LPF(Vβ *−R・Iβ) 式(2)
Ψ=(Ψα 2+Ψβ 2)1/2 式(3)
ここで、Rは電機子抵抗である。電機子抵抗Rは、例えばコントローラ100のコアによって負荷角ユニット110に設定される。
負荷角ユニット110はさらに、ベクトル制御などに用いられるいわゆるパーク変換を用いて、電流Iα、Iβを、dq回転座標系における、d軸上の電流Idおよびq軸上の電流Iqに変換する。ここで、dq回転座標系は、ロータと共に回転する回転座標系である。負荷角ユニット110は、下記の式(4)に基づいて負荷角δを演算する。負荷角δは、例えばdq回転座標系において、錯交磁束ベクトル(大きさΨ)とd軸との間の角度で表され、反時計方向を正の方向とする角度である。
δ=tan-1{(Lq・Iq)/Ψ} 式(4)
ここで、Lqは、dq回転座標系におけるq軸上の電機子インダクタンスである。
δ=tan-1{(Lq・Iq)/Ψ} 式(4)
ここで、Lqは、dq回転座標系におけるq軸上の電機子インダクタンスである。
負荷角ユニット110は、負荷角δを加算器150に出力する。
推定器120は、電流Iα、Iβ、リファレンス電圧Vα *およびVβ *に基づいて位相角ρを推定する。推定器120は、負荷角ユニット110と同様に、例えば上記の式(1)および(2)に基づいて磁束成分Ψα、Ψβを演算する。推定器120はさらに、例えば下記の式(5)に基づいて位相角ρを演算する。位相角ρは、αβ固定座標系において、錯交磁束ベクトルとα軸との間の角度で表され、反時計方向を正の方向とする角度である。推定器120は、位相角ρをセレクタ140に出力する。
ρ=tan-1(Ψβ/Ψα) 式(5)
ρ=tan-1(Ψβ/Ψα) 式(5)
回転方向検出ユニット130は、電流Iα、Iβ、リファレンス電圧Vα *およびVβ *に基づいてロータの回転方向を検出する。ロータの回転方向は、一般に正転方向および逆転方向である。本明細書では、負荷側から見て、ロータがシャフトの軸回りを反時計回りに回転する方向を「正転方向」と呼び、ロータがシャフトの軸回りを時計回りに回転する方向を「逆転方向」と呼ぶこととする。当然に、正転および逆転方向は、製品仕様毎に異なって定義され得る。
図6は、回転方向検出ユニット130内の機能ブロックを詳細に示す。回転方向検出ユニット130は、例えば、逆起電力演算ユニット131、時間微分ユニット132、乗算器133およびコンパレータ134を有する。
逆起電力演算ユニット131は、電流Iα、Iβ、リファレンス電圧Vα *およびVβ *に基づいてα軸上の逆起電力成分BEMFαおよびβ軸上の逆起電力成分BEMFβを下記の式(6)および(7)に基づいて演算する。これにより、逆起電力成分BEMFαおよびBEMFβが獲得される。
BEMFα=Vα *−R・Iα 式(6)
BEMFβ=Vβ *−R・Iβ 式(7)
BEMFα=Vα *−R・Iα 式(6)
BEMFβ=Vβ *−R・Iβ 式(7)
時間微分ユニット132は、逆起電力成分BEMFαを時間微分し、かつ、逆起電力成分BEMFβを時間微分する。逆起電力成分BEMFαおよびBEMFβの時間微分値は乗算器133に出力される。
乗算器133は、逆起電力成分BEMFαに逆起電力成分BEMFβの時間微分値を乗算することで第1乗算値を生成する。また、乗算器133は、逆起電力成分BEMFβに逆起電力成分BEMFαの時間微分値を乗算することで第2乗算値を生成する。第1および第2乗算値は、コンパレータ134に出力される。
コンパレータ134は、例えばヒステリシスコンパレータである。ヒステリシスコンパレータによれば、入力信号にノイズが乗ったとしても、出力信号のジッタを抑制することができる。コンパレータ134は、下記の式(8)に基づいて第1および第2乗算値の差分値diffAを求め、その差分値に応じてフラグ信号flagを出力する。フラグ信号flagは、デジタル信号であり、ロータの回転方向を示す。
diffA=BEMFα・BEMFβ’−BEMFα’・BEMFβ 式(8)
ここで、「’」は時間微分の演算子を表す。
diffA=BEMFα・BEMFβ’−BEMFα’・BEMFβ 式(8)
ここで、「’」は時間微分の演算子を表す。
第1乗算値は、コンパレータ134の正(+)側の入力端子に入力され、第2乗算値は、コンパレータ134の負(−)側の入力端子に入力される。コンパレータ134は、第1乗算値から第2乗算値を引き算することにより差分値diffAを求める。例えばEPSシステムを想定した場合、コンパレータ134のヒステリシスの上限の閾値は、例えば200mV程度に設定することができ、下限の閾値は、例えば−200mV程度に設定することができる。
例えば、コンパレータ134は、差分値diffAに応じて、ハイレレベル「1」またはローレベル「0」を示すフラグ信号flagを出力することができる。ローレベルのフラグ信号flagは、ロータが正転方向に回転していることを示し、ハイレベルのフラグ信号flagは、ロータが逆転方向に回転していることを示す。
上記の式(6)および(7)基づいて演算される逆起電力成分BEMFαおよびBEMFβは、基本波および高調波を用いて表すことができる。ここで、高調波(高周波)を除去する目的で、例えばコントローラ100が有する汎用ローパスフィルタを用いて、逆起電力成分BEMFαおよびBEMFβは、一般にフィルタ処理される。この処理により、逆起電力成分BEMFαおよびBEMFβは、下記の式(9)および(10)に示される基本波のみによって表すことができる。
BEMFα=BEMF・cos(ρ) 式(9)
BEMFβ=BEMF・sin(ρ) 式(10)
BEMF=(BEMFα 2+BEMFβ 2)1/2 式(11)
ここで、BEMFは、逆起電力ベクトルの大きさであり、上記の式(11)に基づいて求まる。また、ρは位相角であり、例えば下記の式(12)に示される時間tの関数として表される。ωは、電気角(ロータ角)を時間微分することで得られる回転速度(「電気速度」と呼ぶ場合がある。)を示し、ρ(0)は初期位相を示す。
ρ(t)=ω・t+ρ(0) 式(12)
BEMFα=BEMF・cos(ρ) 式(9)
BEMFβ=BEMF・sin(ρ) 式(10)
BEMF=(BEMFα 2+BEMFβ 2)1/2 式(11)
ここで、BEMFは、逆起電力ベクトルの大きさであり、上記の式(11)に基づいて求まる。また、ρは位相角であり、例えば下記の式(12)に示される時間tの関数として表される。ωは、電気角(ロータ角)を時間微分することで得られる回転速度(「電気速度」と呼ぶ場合がある。)を示し、ρ(0)は初期位相を示す。
ρ(t)=ω・t+ρ(0) 式(12)
基本波によって表される逆起電力成分BEMFαおよびBEMFβに基づいて差分値diffAを求めると、差分値diffAは、近似的に下記の式(13)で表すことができる。
diffA≒ω・BEMF2・cos2(ρ)+ω・BEMF2・sin2(ρ)≒ω・BEMF2 式(13)
diffA≒ω・BEMF2・cos2(ρ)+ω・BEMF2・sin2(ρ)≒ω・BEMF2 式(13)
コンパレータ134は、差分値diffAに基づいてロータの回転方向を検出する。具体的に説明すると、コンパレータ134は、差分値diffAが正値であるとき、正転および逆転方向の一方へのロータの回転を検出し、差分値diffAが負値であるとき、正転および逆転方向の他方へのロータの回転を検出することができる。本実施形態では、コンパレータ134は、差分値diffAが正値であるとき、正転方向へのロータの回転を検出し、差分値diffAが負値であるとき、逆転方向へのロータの回転を検出する。なお、差分値diffAが「0」を示すとき、コンパレータ134は、ロータの停止を検出する。
図6に示されるコンパレータ134の差動入力の極性を反転させてもよい。つまり、コンパレータ134は、第2乗算値から第1乗算値を引き算することにより差分値diffBを求めて、差分値diffBに基づいてフラグ信号flagを生成してもよい。その場合、コンパレータ134は、差分値diffBが負値であるとき、正転方向へのロータの回転を検出し、差分値diffBが正値であるとき、逆転方向へのロータの回転を検出する。このように、差動入力の極性を反転させても、ロータの回転方向を検出することは可能である。
ロータの回転方向を検出するための、本実施形態によるアルゴリズムによれば、位置センサを用いたロータ角の測定または演算を行うことなく、より簡素な演算によってロータの回転方向を正しく検出することができる。その結果、モータ制御システムのコンピュータの演算負荷が低減し得る。また、モータの低速動作時において、ロータの回転方向を正しく検出することが可能となる。さらに、上述したように、位置センサによるロータ角の測定が不要になるので、本実施形態によるロータの回転方向を検出する手法は、センサレス制御に好適に適用することができる。
(2.ステップS200)
コントローラ100は、ロータの回転方向が正転方向であるか、または、逆転方向であるかを判定する。
(3.ステップS300)
コントローラ100は、位相角ρ、負荷角δおよびロータの回転方向の検出結果に基づいてロータ角θを演算する。具体的に説明すると、図5に示されるセレクタ140は、フラグ信号flagに応じてρまたは(ρ−180°)を加算器150に出力する。例えば、セレクタ140は、フラグ信号flagが「0」を示すとき、ρを加算器150に出力し、フラグ信号flagが「1」を示すとき、(ρ−180°)を加算器150に出する。
フラグ信号flagが、正転方向へのロータの回転を示すとき、換言すると、正転方向へのロータの回転が検出されたとき、コントローラ100は、下記の式(14)に基づいてロータ角θを演算する。
θ=ρ+δ 式(14)
θ=ρ+δ 式(14)
(4.ステップS400)
フラグ信号flagが、逆転方向へのロータの回転を示すとき、換言すると、逆転方向へのロータの回転が検出されたとき、コントローラ100は、下記の式(15)に基づいてロータ角θを演算する。
θ=(ρ−180°)+δ 式(15)
(5.ステップS500)
モータ制御ユニット160は、ロータの回転方向の検出結果に基づいてモータを制御する。具体的に説明すると、モータ制御ユニット160は、加算器150で演算されたロータ角θを用いてセンサレス制御によってモータを制御することができる。モータ制御ユニット160は、例えば一般的なベクトル制御に必要な演算を行う。なお、ベクトル制御は周知の技術であるので、その制御についての詳細な説明は省略する。
本実施形態によると、位置センサを利用しないセンサレス制御が可能となるので、位置センサの故障、およびハードウェアの追加によるシステムコストの増大などを抑制することが可能となる。また、ロータの回転方向を検出するための演算が簡素化されるため、メモリコストも低減し得る。
以下に、本開示によるロータの回転方向の検出に用いられるアルゴリズムの妥当性を、dSPACE社の”ラピッドコントロールプロトタイピング(RCP)システム”およびMathWorks社のMatlab/Simulinkを用いて検証した結果を示す。この検証には、ベクトル制御により制御を受ける表面磁石型(SPM)モータのモデルが用いられた。表1には、検証時の各種システムパラメータの値が示される。
図7は、所定期間(0秒から0.25秒)内のモータの電気速度(rps)の波形を示す。図8は、所定期間内のロータ角の波形を示す。図9は、所定期間内の、逆起電力BEMFαの波形(上)、逆起電力BEMFβの波形(中間)、および、逆起電力の大きさBEMFの波形(下)を示す。図10は、0秒から3.0秒の間に検出された差分値diffAの波形を示す。図7から図10の横軸は時間(秒)を示す。図7の縦軸は、電気速度の周波数(Hz(=rps))を示す。図8の縦軸は、ロータ角(度)を示す。図9の縦軸は、電圧(V)を示す。図10の縦軸は、コンパレータ134の差分値diffAを示す。
図7から図10は、ロータが正転方向に高速(30rps)で回転しているときに取得された各種の波形を示す。例えばEPSシステムを想定した場合、正転方向への回転に対し、高速度の範囲は、例えば26.2rps以上であり得る。
図10の結果は、コンパレータ134が、差分値diffA=1を取得し、正転方向へのロータの回転を検出したことを意味する。ロータが正転方向に高速で回転しているとき、ロータの回転方向は正しく検出されることが分かる。
図11は、所定期間(0秒から0.25秒)内のモータの電気速度の波形を示す。図12は、所定期間内のロータ角の波形を示す。図13は、所定期間内の、逆起電力BEMFαの波形(上)、逆起電力BEMFβの波形(中間)、および、逆起電力の大きさBEMFの波形(下)を示す。図14は、0秒から0.25秒の間に検出された差分値diffAの波形を示す。図11から図14の横軸は時間(秒)を示す。図11の縦軸は、電気速度の周波数(Hz)を示す。図12の縦軸は、ロータ角(度)を示す。図13の縦軸は、電圧(V)を示す。図14の縦軸は、コンパレータ134の差分値diffAを示す。
図11から図14は、ロータが逆転方向に高速(−30rps)で回転しているときに取得された各種の波形を示す。例えばEPSシステムを想定した場合、逆転方向への回転に対し、高速度の範囲は、例えば−26.2rps以下であり得る。
図14の結果は、コンパレータ134が、差分値A=−1を取得し、逆転方向へのロータの回転を検出したことを意味する。ロータが逆転方向に高速で回転しているとき、ロータの回転方向は正しく検出されることが分かる。
図15は、所定期間(0秒から0.25秒)内のモータの電気速度の波形を示す。図16は、所定期間内のロータ角の波形を示す。図17は、所定期間内の、逆起電力BEMFαの波形(上)、逆起電力BEMFβの波形(中間)、および、逆起電力の大きさBEMFの波形(下)を示す。図18は、0秒から2.0秒の間に検出された差分値diffAの波形を示す。図15から図18の横軸は時間(秒)を示す。図15の縦軸は、電気速度の周波数(Hz)を示す。図16の縦軸は、ロータ角(度)を示す。図17の縦軸は、電圧(V)を示す。図18の縦軸は、コンパレータ134の差分値diffAを示す。
図15から図18は、ロータが正転方向に低速(16rps)で回転しているときに取得された各種の波形を示す。例えばEPSシステムを想定した場合、正転方向への回転に対し、低速度の範囲は、例えば0.0rps超26.2rps未満であり得る。
図18の結果は、コンパレータ134が、差分値diffA=1を取得し、正転方向へのロータの回転を検出したことを意味する。ロータが正転方向に低速で回転しているとき、ロータの回転方向は正しく検出されることが分かる。
図19は、所定期間(0秒から0.25秒)内のモータの電気速度の波形を示す。図20は、所定期間内のロータ角の波形を示す。図21は、所定期間内の、逆起電力BEMFαの波形(上)、逆起電力BEMFβの波形(中間)、および、逆起電力の大きさBEMFの波形(下)を示す。図22は、0秒から2.5秒の間に検出された差分値diffAの波形を示す。図19から図22の横軸は時間(秒)を示す。図19の縦軸は、電気速度の周波数(Hz)を示す。図20の縦軸は、ロータ角(度)を示す。図21の縦軸は、電圧(V)を示す。図22の縦軸は、コンパレータ134の差分値diffAを示す。
図19から図22は、ロータが逆転方向に低速(−16rps)で回転しているときに取得された各種の波形を示す。例えばEPSシステムを想定した場合、逆転方向への回転に対し、低速度の範囲は、例えば−26.2rps超0.0rps未満であり得る。
図22の結果は、コンパレータ134が、差分値diffA=−1を取得し、逆転方向へのロータの回転を検出したことを意味する。ロータが逆転方向に低速で回転しているとき、ロータの回転方向は正しく検出されることが分かる。
以上のシミュレーション結果から、本開示のロータの回転方向の検出手法によれば、起動時を含む低速駆動から高速駆動までの広範囲にわたって、ロータの回転方向を正しく検出できることが分かる。
(実施形態2)
図23は、本実施形態によるEPSシステム2000の典型的な構成を模式的に示す。
自動車等の車両は一般に、EPSシステムを有する。本実施形態によるEPSシステム2000は、ステアリングシステム520、および補助トルクを生成する補助トルク機構540を有する。EPSシステム2000は、運転者がステアリングハンドルを操作することによって発生するステアリングシステムの操舵トルクを補助する補助トルクを生成する。補助トルクにより、運転者の操作の負担は軽減される。
ステアリングシステム520は、例えば、ステアリングハンドル521、ステアリングシャフト522、自在軸継手523A、523B、回転軸524、ラックアンドピニオン機構525、ラック軸526、左右のボールジョイント552A、552B、タイロッド527A、527B、ナックル528A、528B、および左右の操舵車輪529A、529Bから構成され得る。
補助トルク機構540は、例えば、操舵トルクセンサ541、自動車用電子制御ユニット(ECU)542、モータ543および減速機構544などから構成される。操舵トルクセンサ541は、ステアリングシステム520における操舵トルクを検出する。ECU542は、操舵トルクセンサ541の検出信号に基づいて駆動信号を生成する。モータ543は、駆動信号に基づいて操舵トルクに応じた補助トルクを生成する。モータ543は、減速機構544を介してステアリングシステム520に、生成した補助トルクを伝達する。
ECU542は、例えば、実施形態1によるコントローラ100および駆動回路200などを有する。自動車ではECUを核とした電子制御システムが構築される。EPSシステム2000では、例えば、ECU542、モータ543およびインバータ545によって、モータ制御システムが構築される。そのモータ制御システムとして、実施形態1によるモータ制御システム1000を好適に用いることができる。
本開示の実施形態は、ロータの回転検出能力が求められる、シフトバイワイヤ、ステアリングバイワイヤ、ブレーキバイワイヤなどのエックスバイワイヤおよびトラクションモータなどのモータ制御システムにも好適に用いられる。具体的に説明すると、エックスバイワイヤシステムの中には、位置センサを有し、位置センサからの出力信号に基づいてセンサ制御を行うシステムがある。例えばステアリングバイワイヤシステムでは、安全性の観点から、実際に検出されたロータの回転方向と、ステアリングハンドルの回転方向を示すリファレンスコマンドと、が一致しているか否かを監視することが求められる。両者が一致する場合、モータ制御システムを継続的に動作させることができる。一方、両者が一致しない場合(例えば、検出されたロータの回転方向は正転方向を示し、リファレンスコマンドは逆転方向を示す場合)、これは、何らかの故障がシステムに発生したことを意味する。故障が発生した場合、例えばシステムをバックアプモードに切替えることにより、路肩に自動車を安全に停止させることができる。
例えば、本開示の実施形態によるモータ制御システムは、日本政府および米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)によって定められたレベル0から4(自動化の基準)に対応した自動運転車に搭載され得る。
本開示の実施形態は、掃除機、ドライヤ、シーリングファン、洗濯機、冷蔵庫および電動パワーステアリングシステムなどの、各種モータを有する多様な機器に幅広く利用され得る。
100:コントローラ、110:負荷角ユニット、120:推定器、130:回転方向検出ユニット、131:逆起電力演算ユニット、132:時間微分ユニット、133:乗算器、134:コンパレータ、140:セレクタ、150:加算器、160:モータ制御ユニット、200:駆動回路、300:インバータ、400、400A、400B:電流センサ、500:ADコンバータ、600:ROM、700:位置センサ、1000:モータ制御システム、2000:EPSシステム
Claims (7)
- αβ固定座標系におけるモータの逆起電力のα軸上の成分BEMFαおよびβ軸上の成分BEMFβを獲得するステップAと、
前記α軸上の成分BEMFαおよびβ軸上の成分BEMFβをそれぞれ時間微分するステップBと、
前記α軸上の成分BEMFαに前記β軸上の成分BEMFβの微分値を乗算することで得られる第1乗算値と、前記β軸上の成分BEMFβに前記α軸上の成分BEMFαの微分値を乗算することで得られる第2乗算値と、の差分値を求めるステップCと、
前記差分値に基づいてロータの回転方向を検出するステップDと、
前記ロータの回転方向の検出結果に基づいてモータを制御するステップEと、
を包含するモータ制御方法。 - 前記ステップDにおいて、前記差分値が正値を示すとき、正転および逆転方向の一方への前記ロータの回転を検出し、前記差分値が負値を示すとき、前記正転および逆転方向の他方への前記ロータの回転を検出する、請求項1に記載のモータ制御方法。
- 前記ステップEにおいて、位相角ρ、負荷角δおよび前記ロータの回転方向の検出結果に基づいてロータ角θを演算し、前記ロータ角θを用いて前記モータを制御する、請求項2に記載のモータ制御方法。
- 前記ステップDにおいて、前記正転方向への前記ロータの回転が検出されたとき、前記ステップEにおいて、式(1)に基づいて前記ロータ角θを演算し、
θ=ρ+δ (1)
前記ステップDにおいて、前記逆転方向への前記ロータの回転が検出されたとき、前記ステップEにおいて、式(2)に基づいて前記ロータ角θを演算する、請求項3に記載のモータ制御方法。
θ=(ρ−180°)+δ (2)
- 前記ステップAにおいて、前記α軸上の成分BEMFαを式(3)に基づいて演算し、前記β軸上の成分BEMFβを式(4)に基づいて演算し、
BEMFα=Vα *−R・Iα (3)
BEMFβ=Vβ *−R・Iβ (4)
ここで、Vα *は、前記α軸上のリファレンス電圧を示し、Vβ *は、前記β軸上のリファレンス電圧を示し、Iαは、電機子電流の前記α軸上の成分であり、Iβは、前記電機子電流の前記β軸上の成分であり、Rは、電機子抵抗を示す、請求項1から4のいずれかに記載のモータ制御方法。 - モータと、
前記モータを制御する制御回路と、
を有し、
前記制御回路は、
αβ固定座標系における逆起電力のα軸上の成分BEMFαおよびβ軸上の成分BEMFβを獲得し、
前記α軸上の成分BEMFαおよびβ軸上の成分BEMFβをそれぞれ時間微分し、
前記α軸上の成分BEMFαに前記β軸上の成分BEMFβの微分値を乗算することで得られる第1乗算値と、前記β軸上の成分BEMFβに前記α軸上の成分BEMFαの微分値を乗算することで得られる第2乗算値と、の差分値を求め、
前記差分値に基づいて前記モータの回転方向を検出し、
前記モータの回転方向の検出結果に基づいて前記モータを制御する、モータ制御システム。 - 請求項6に記載のモータ制御システムを有する電動パワーステアリングシステム。
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